以下、実施の形態では、荷電粒子ビームの一例として、電子ビームを用いた構成について説明する。但し、荷電粒子ビームは、電子ビームに限るものではなく、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも構わない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における描画装置の構成を示す概念図である。図1において、描画装置100は、描画機構150(マルチビーム照射機構)と制御系回路160を備えている。描画装置100は、マルチ荷電粒子ビーム描画装置の一例である。描画機構150は、電子鏡筒102と描画室103を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、照明レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、ブランキングアパーチャアレイ機構204、縮小レンズ205、制限アパーチャ基板206、対物レンズ207、及び偏向器208,209が配置されている。描画室103内には、XYステージ105が配置される。XYステージ105上には、描画時(露光時)には描画対象基板となるマスク等の試料101が配置される。試料101には、半導体装置を製造する際の露光用マスク、或いは、半導体装置が製造される半導体基板(シリコンウェハ)等が含まれる。また、試料101には、レジストが塗布された、まだ何も描画されていないマスクブランクスが含まれる。XYステージ105上には、さらに、XYステージ105の位置測定用のミラー210が配置される。照明レンズ202、縮小レンズ205、及び対物レンズ207には、電磁レンズが用いられる。各電磁レンズは、マルチビーム(電子ビーム)を屈折させる。
制御系回路160は、制御計算機110、メモリ112、偏向制御回路130、デジタル・アナログ変換(DAC)アンプユニット132,134、レンズ制御回路137、ステージ制御機構138、ステージ位置測定器139及び磁気ディスク装置等の記憶装置140,142,144を有している。制御計算機110、メモリ112、偏向制御回路130、レンズ制御回路137、ステージ制御機構138、ステージ位置測定器139及び記憶装置140,142,144は、図示しないバスを介して互いに接続されている。記憶装置140(記憶部)には、描画データが描画装置100の外部から入力され、格納されている。偏向制御回路130には、DACアンプユニット132,134及びブランキングアパーチャアレイ機構204が図示しないバスを介して接続されている。ステージ位置測定器139は、レーザ光をXYステージ105上のミラー210に照射し、ミラー210からの反射光を受光する。そして、かかる反射光の情報を利用してXYステージ105の位置を測定する。レンズ制御回路137は、レンズ制御値を用いて各電磁レンズを制御する。
制御計算機110内には、ショットデータ生成部60、配列加工部62、データ生成方式設定部64、データ転送方式設定部66、ドーズ変調量演算部68、ショットサイクル演算部70、領域設定部72、レンズ制御部74、転送処理部76、描画制御部78、及び登録部79が配置されている。ショットデータ生成部60、配列加工部62、データ生成方式設定部64、データ転送方式設定部66、ドーズ変調量演算部68、ショットサイクル演算部70、領域設定部72、レンズ制御部74、転送処理部76、描画制御部78、及び登録部79といった各「~部」は、処理回路を有する。かかる処理回路は、例えば、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置を含む。各「~部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いても良いし、或いは異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。ショットデータ生成部60、配列加工部62、データ生成方式設定部64、データ転送方式設定部66、ドーズ変調量演算部68、ショットサイクル演算部70、領域設定部72、レンズ制御部74、転送処理部76、描画制御部78、及び登録部79に入出力される情報および演算中の情報はメモリ112にその都度格納される。
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。
図2は、実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。図2において、成形アパーチャアレイ基板203には、縦(y方向)p列×横(x方向)q列(p,q≧2)の穴(開口部)22が所定の配列ピッチでマトリクス状に形成されている。図2では、例えば、縦横(x,y方向)に512×512列の穴22が形成される。各穴22は、共に同じ寸法形状の矩形で形成される。或いは、同じ直径の円形であっても構わない。これらの複数の穴22を電子ビーム200の一部がそれぞれ通過することで、マルチビーム20が形成されることになる。また、穴22の配列の仕方は、図2のように、縦横が格子状に配置される場合に限るものではない。例えば、縦方向(y方向)k段目の列と、k+1段目の列の穴同士が、横方向(x方向)に寸法aだけずれて配置されてもよい。同様に、縦方向(y方向)k+1段目の列と、k+2段目の列の穴同士が、横方向(x方向)に寸法bだけずれて配置されてもよい。
図3は、実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ機構の構成を示す断面図である。
図4は、実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ機構のメンブレン領域内の構成の一部を示す上面概念図である。なお、図3と図4において、制御電極24と対向電極26と制御回路41とパッド43の位置関係は一致させて記載していない。ブランキングアパーチャアレイ機構204は、図3に示すように、支持台33上にシリコン等からなる半導体基板31が配置される。基板31の中央部は、例えば裏面側から薄く削られ、薄い膜厚hのメンブレン領域30(第1の領域)に加工されている。メンブレン領域30を取り囲む周囲は、厚い膜厚Hの外周領域32(第2の領域)となる。メンブレン領域30の上面と外周領域32の上面とは、同じ高さ位置、或いは、実質的に高さ位置になるように形成される。基板31は、外周領域32の裏面で支持台33上に保持される。支持台33の中央部は開口しており、メンブレン領域30の位置は、支持台33の開口した領域に位置している。
メンブレン領域30には、図2に示した成形アパーチャアレイ基板203の各穴22に対応する位置にマルチビームのそれぞれのビームの通過用の通過孔25(開口部)が開口される。言い換えれば、基板31のメンブレン領域30には、電子線を用いたマルチビームのそれぞれ対応するビームが通過する複数の通過孔25がアレイ状に形成される。そして、基板31のメンブレン領域30上であって、複数の通過孔25のうち対応する通過孔25を挟んで対向する位置に2つの電極を有する複数の電極対がそれぞれ配置される。具体的には、メンブレン領域30上に、図3及び図4に示すように、各通過孔25の近傍位置に該当する通過孔25を挟んでブランキング偏向用の制御電極24と対向電極26の組(ブランカー:ブランキング偏向器)がそれぞれ配置される。また、基板31内部であってメンブレン領域30上の各通過孔25の近傍には、各通過孔25用の制御電極24に偏向電圧を印加する制御回路41(ロジック回路)が配置される。各ビーム用の対向電極26は、グランド接続される。
また、図4に示すように、各制御回路41は、制御信号用のnビット(例えば10ビット)のパラレル配線が接続される。各制御回路41は、制御信号用のnビットのパラレル配線の他、クロック信号線および電源用の配線等が接続される。クロック信号線および電源用の配線等はパラレル配線の一部の配線を流用しても構わない。マルチビームを構成するそれぞれのビーム毎に、制御電極24と対向電極26と制御回路41とによる個別ブランキング機構47が構成される。また、図3の例では、制御電極24と対向電極26と制御回路41とが基板31の膜厚が薄いメンブレン領域30に配置される。但し、これに限るものではない。また、メンブレン領域30にアレイ状に形成された複数の制御回路41は、例えば、同じ行(x方向)の半分ずつによってグループ化され、同じグループ内の制御回路41群は、図4に示すように、直列に接続される。そして、グループ毎に配置されたパッド43からの信号がグループ内の制御回路41に伝達される。具体的には、各制御回路41内に、後述するシフトレジストが配置され、例えば、p×q本のマルチビームのうち例えば同じ行のビームのうち、左半分の制御回路内のシフトレジスタが直列に接続される。同様に、同じ行のビームのうち、右半分の制御回路内のシフトレジスタが直列に接続される。
実施の形態1では、描画精度を犠牲にしてでもスループットを重視した高速モードと、スループットを犠牲にしてでも描画精度を重視した高精度描画モードとを選択可能に構成する。高速モードで描画する場合には、描画装置100に実装される、例えば、p×q本のマルチビームのすべてを使って描画する。その場合、上述したようにクーロン効果によりマルチビーム像のいわゆるボケや位置ずれが生じ得る。一方、高精度描画モードで描画する場合には、描画装置100に実装される、例えば、p×q本のマルチビームのうち、使用するビームアレイを一部のビームアレイに制限して描画する。なお、ここでの「マルチビームのすべて」には、制御回路41の故障等により照射量の制御が困難な不良ビームは含まれず、使用可能なビームアレイのすべてであることは言うまでもない。
p×q本のマルチビームのすべてを使う高速モードで描画する場合、例えば、p×q本のマルチビームの同じ行の左半分のビームの制御信号がシリーズで送信されると共に右半分のビームの制御信号がシリーズで送信される。1行あたりp本のビームが配置される場合、例えば、p/2回のクロック信号によって各ビームの制御信号が対応する制御回路41に格納される。
また、グループを構成する制御回路41群の配列方向と直交するy方向の列毎に有効列と無効列とを指示するブランキング(BLK)配線が、同じ列の制御回路41群に直列に接続される。使用するビームアレイを制限する高精度描画モードでは、後述するように、かかるBLK配線による信号により、有効列を制限して、さらに有効列の一部を使って描画する。
図5は、実施の形態1の個別ブランキング機構の一例を示す図である。図5において、制御回路41内には、アンプ46(スイッチング回路の一例)が配置される。図5の例では、アンプ46の一例として、CMOS(Complementary MOS)インバータ回路が配置される。そして、CMOSインバータ回路は正の電位(Vdd:ブランキング電位:第1の電位)(例えば、5V)(第1の電位)とグランド電位(GND:第2の電位)に接続される。CMOSインバータ回路の出力線(OUT)は制御電極24に接続される。一方、対向電極26は、グランド電位が印加される。そして、ブランキング電位とグランド電位とが切り替え可能に印加される複数の制御電極24が、基板31上であって、複数の通過孔25のそれぞれ対応する通過孔25を挟んで複数の対向電極26のそれぞれ対応する対向電極26と対向する位置に配置される。
CMOSインバータ回路の入力(IN)には、閾値電圧よりも低くなるL(low)電位(例えばグランド電位)と、閾値電圧以上となるH(high)電位(例えば、1.5V)とのいずれかが制御信号として印加される。実施の形態1では、CMOSインバータ回路の入力(IN)にL電位が印加される状態では、CMOSインバータ回路の出力(OUT)は正電位(Vdd)となり、対向電極26のグランド電位との電位差による電界により対応ビーム20を偏向し、制限アパーチャ基板206で遮蔽することでビームOFFになるように制御する。一方、CMOSインバータ回路の入力(IN)にH電位が印加される状態(アクティブ状態)では、CMOSインバータ回路の出力(OUT)はグランド電位となり、対向電極26のグランド電位との電位差が無くなり対応ビーム20を偏向しないので制限アパーチャ基板206を通過することでビームONになるように制御する。
各通過孔を通過する電子ビーム20は、それぞれ独立に対となる2つの制御電極24と対向電極26に印加される電圧によって偏向される。かかる偏向によってブランキング制御される。具体的には、制御電極24と対向電極26の組は、それぞれ対応するスイッチング回路となるCMOSインバータ回路によって切り替えられる電位によってマルチビームの対応ビームをそれぞれ個別にブランキング偏向する。このように、複数のブランカーが、成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22(開口部)を通過したマルチビームのうち、それぞれ対応するビームのブランキング偏向を行う。
次に、描画機構150の動作の具体例について説明する。電子銃201(放出源)から放出された電子ビーム200は、照明レンズ202によりほぼ垂直に成形アパーチャアレイ基板203全体を照明する。成形アパーチャアレイ基板203には、矩形の複数の穴22(開口部)が形成され、電子ビーム200は、すべての複数の穴22が含まれる領域を照明する。複数の穴22の位置に照射された電子ビーム200の各一部が、かかる成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22をそれぞれ通過することによって、例えば矩形形状の複数の電子ビーム(マルチビーム)20a~eが形成される。かかるマルチビーム20a~eは、ブランキングアパーチャアレイ機構204のそれぞれ対応するブランカー(制御電極24と対向電極26の組)(第1の偏向器:個別ブランキング機構47)内を通過する。かかるブランカーは、それぞれ、少なくとも個別に通過する電子ビーム20を設定された描画時間(照射時間)ビームがON状態になるようにブランキング制御する。
ブランキングアパーチャアレイ機構204を通過したマルチビーム20a~eは、縮小レンズ205によって、縮小され、制限アパーチャ基板206に形成された中心の穴に向かって進む。ここで、ブランキングアパーチャアレイ機構204のブランカーによって偏向された電子ビーム20は、制限アパーチャ基板206(ブランキングアパーチャ部材)の中心の穴から位置がはずれ、制限アパーチャ基板206によって遮蔽される。一方、ブランキングアパーチャアレイ機構204のブランカーによって偏向されなかった電子ビーム20は、図1に示すように制限アパーチャ基板206の中心の穴を通過する。このように、制限アパーチャ基板206は、個別ブランキング機構47によってビームOFFの状態になるように偏向された各ビームを遮蔽する。そして、ビームONになってからビームOFFになるまでに形成された、制限アパーチャ基板206を通過したビームにより、1回分のショットの各ビームが形成される。制限アパーチャ基板206を通過したマルチビーム20は、対物レンズ207により焦点が合わされ、所望の縮小率のパターン像となり、偏向器208及び偏向器209によって、制限アパーチャ基板206を通過した各ビーム(マルチビーム20全体)が同方向にまとめて偏向され、各ビームの試料101上のそれぞれの照射位置に照射される。また、例えばXYステージ105が連続移動している時、ビームの照射位置がXYステージ105の移動に追従するように偏向器208によって制御される。一度に照射されるマルチビーム20は、理想的には成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22の配列ピッチに上述した所望の縮小率を乗じたピッチで並ぶことになる。
図6は、実施の形態1における描画動作の一例を説明するための概念図である。図6に示すように、試料101の描画領域30は、例えば、y方向に向かって所定の幅で短冊状の複数のストライプ領域32に仮想分割される。まず、XYステージ105を移動させて、第1番目のストライプ領域32の左端、或いはさらに左側の位置に一回のマルチビーム20のショットで照射可能な照射領域34が位置するように調整し、描画が開始される。第1番目のストライプ領域32を描画する際には、XYステージ105を例えば-x方向に移動させることにより、相対的にx方向へと描画を進めていく。XYステージ105は例えば等速で連続移動させる。第1番目のストライプ領域32の描画終了後、ステージ位置を-y方向に移動させて、第2番目のストライプ領域32の右端、或いはさらに右側の位置に照射領域34が相対的にy方向に位置するように調整し、今度は、XYステージ105を例えばx方向に移動させることにより、-x方向に向かって同様に描画を行う。第3番目のストライプ領域32では、x方向に向かって描画し、第4番目のストライプ領域32では、-x方向に向かって描画するといったように、交互に向きを変えながら描画することで描画時間を短縮できる。但し、かかる交互に向きを変えながら描画する場合に限らず、各ストライプ領域32を描画する際、同じ方向に向かって描画を進めるようにしても構わない。1回のショット(後述する照射ステップの合計)では、成形アパーチャアレイ基板203の各穴22を通過することによって形成されたマルチビームによって、最大で各穴22と同数の複数のショットパターンが一度に形成される。
上述した照射領域34は、x方向のビーム間ピッチにx方向のビーム数を乗じた値をx方向寸法とし、y方向のビーム間ピッチにy方向のビーム数を乗じた値をy方向寸法とした矩形領域で定義できる。なお、実施の形態1において、高速描画モードでは、実装されるマルチビーム20のすべてを用いるが、高精度描画モードでは、後述するように使用するビームアレイの領域を制限するため、高速描画モードと高精度描画モードとでは照射領域34のサイズが異なることになる。
図7は、実施の形態1におけるマルチビームの照射領域と描画対象画素との一例を示す図である。図7において、ストライプ領域32は、例えば、マルチビームのビームサイズでメッシュ状の複数のメッシュ領域に分割される。かかる各メッシュ領域が、描画対象画素36(単位照射領域、或いは描画位置)となる。描画対象画素36のサイズは、ビームサイズに限定されるものではなく、ビームサイズとは関係なく任意の大きさで構成されるものでも構わない。例えば、ビームサイズの1/n(nは1以上の整数)のサイズで構成されても構わない。図7の例では、試料101の描画領域が、例えばy方向に、1回のマルチビーム20の照射で照射可能な照射領域34(描画フィールド)のサイズと実質同じ幅サイズで複数のストライプ領域32に分割された場合を示している。なお、ストライプ領域32の幅は、これに限るものではない。照射領域34のn倍(nは1以上の整数)のサイズであると好適である。図7の例では、512×512列のマルチビームの場合を示している。そして、照射領域34内に、1回のマルチビーム20のショットで照射可能な複数の画素28(ビームの描画位置)が示されている。言い換えれば、隣り合う画素28間のピッチがマルチビームの各ビーム間のピッチとなる。図7の例では、隣り合う4つの画素28で囲まれると共に、4つの画素28のうちの1つの画素28を含む正方形の領域で1つのサブ照射領域29を構成する。図7の例では、各サブ照射領域29は、4×4画素で構成される場合を示している。
図8は、実施の形態1におけるマルチビームの描画方法の一例を説明するための図である。図8では、図7で示したストライプ領域32を描画するマルチビームのうち、y方向3段目の座標(1,3),(2,3),(3,3),・・・,(512,3)の各ビームで描画するグリッドの一部を示している。図8の例では、例えば、XYステージ105が8ビームピッチ分の距離を移動する間に4つの画素を描画(露光)する場合を示している。かかる4つの画素を描画(露光)する間、照射領域34がXYステージ105の移動によって試料101との相対位置がずれないように、偏向器208によってマルチビーム20全体を一括偏向することによって、照射領域34をXYステージ105の移動に追従させる。言い換えれば、トラッキング制御が行われる。図8の例では、8ビームピッチ分の距離を移動する間に4つの画素を描画(露光)することで1回のトラッキングサイクルを実施する場合を示している。
具体的には、ステージ位置測定器139が、ミラー210にレーザを照射して、ミラー210から反射光を受光することでXYステージ105の位置を測長する。測長されたXYステージ105の位置は、制御計算機110に出力される。制御計算機110内では、描画制御部86がかかるXYステージ105の位置情報を偏向制御回路130に出力する。偏向制御回路130内では、XYステージ105の移動に合わせて、XYステージ105の移動に追従するようにビーム偏向するための偏向量データ(トラッキング偏向データ)を演算する。デジタル信号であるトラッキング偏向データは、DACアンプユニット134に出力され、DACアンプユニット134は、デジタル信号をアナログ信号に変換の上、増幅して、トラッキング偏向電圧として偏向器208に印加する。
そして、描画機構150は、当該ショットにおけるマルチビームの各ビームのそれぞれの照射時間のうちの最大描画時間Ttr内のそれぞれの画素36に対応する描画時間(照射時間、或いは露光時間)、各画素36にマルチビーム20のうちONビームのそれぞれ対応するビームを照射する。
図8の例では、座標(1,3)のビーム(1)によって、時刻t=0からt=最大描画時間Ttrまでの間に注目サブ照射領域29の例えば最下段右から1番目の画素に1ショット目の複数の照射ステップ(多重露光)のビームの照射が行われる。時刻t=0からt=Ttrまでの間にXYステージ105は例えば2ビームピッチ分だけ-x方向に移動する。その間、トラッキング動作は継続している。
当該ショットのビーム照射開始から当該ショットの最大描画時間Ttrが経過後、偏向器208によってトラッキング制御のためのビーム偏向を継続しながら、トラッキング制御のためのビーム偏向とは別に、偏向器209によってマルチビーム20を一括して偏向することによって各ビームの描画位置(前回の描画位置)を次の各ビームの描画位置(今回の描画位置)にシフトする。図8の例では、時刻t=Ttrになった時点で、注目サブ照射領域29の最下段右から1番目の画素から下から2段目かつ右から1番目の画素へと描画対象画素をシフトする。その間にもXYステージ105は定速移動しているのでトラッキング動作は継続している。
そして、トラッキング制御を継続しながら、シフトされた各ビームの描画位置に当該ショットの最大描画時間Ttr内のそれぞれ対応する描画時間、マルチビーム20のうちONビームのそれぞれ対応するビームを照射する。図8の例では、座標(1,3)のビーム(1)によって、時刻t=Ttrからt=2Ttrまでの間に注目サブ照射領域29の例えば下から2段目かつ右から1番目の画素に2ショット目のビームの照射が行われる。時刻t=Ttrからt=2Ttrまでの間にXYステージ105は例えば2ビームピッチ分だけ-x方向に移動する。その間、トラッキング動作は継続している。
図8の例では、時刻t=2Ttrになった時点で、注目サブ照射領域29の下から2段目かつ右から1番目の画素から下から3段目かつ右から1番目の画素へと偏向器209によるマルチビームの一括偏向により描画対象画素をシフトする。その間にもXYステージ105は移動しているのでトラッキング動作は継続している。そして、座標(1,3)のビーム(1)によって、時刻t=2Ttrからt=3Ttrまでの間に注目サブ照射領域29の例えば下から3段目かつ右から1番目の画素に3ショット目のビームの照射が行われる。時刻t=2Ttrからt=3Ttrまでの間にXYステージ105は例えば2ビームピッチ分だけ-x方向に移動する。その間、トラッキング動作は継続している。時刻t=3Ttrになった時点で、注目サブ照射領域29の下から3段目かつ右から1番目の画素から下から4段目かつ右から1番目の画素へと偏向器209によるマルチビームの一括偏向により描画対象画素をシフトする。その間にもXYステージ105は移動しているのでトラッキング動作は継続している。そして、座標(1,3)のビーム(1)によって、時刻t=3Ttrからt=4Ttrまでの間に注目サブ照射領域29の例えば下から4段目かつ右から1番目の画素に4ショット目のビームの照射が行われる。時刻t=3Ttrからt=4Ttrまでの間にXYステージ105は例えば2ビームピッチ分だけ-x方向に移動する。その間、トラッキング動作は継続している。以上により、注目サブ照射領域29の右から1番目の画素列の描画が終了する。
図8の例では初回位置から3回シフトされた後の各ビームの描画位置にそれぞれ対応するビームを照射した後、DACアンプユニット134は、トラッキング制御用のビーム偏向をリセットすることによって、トラッキング位置をトラッキング制御が開始されたトラッキング開始位置に戻す。言い換えれば、トラッキング位置をステージ移動方向と逆方向に戻す。図8の例では、時刻t=4Ttrになった時点で、注目サブ照射領域29のトランキングを解除して、x方向に8ビームピッチ分ずれた注目グリッドにビームを振り戻す。なお、図8の例では、座標(1,3)のビーム(1)について説明したが、その他の座標のビームについてもそれぞれの対応するグリッドに対して同様に描画が行われる。すなわち、座標(n,m)のビームは、t=4Ttrの時点で対応するグリッドに対して右から1番目の画素列の描画が終了する。例えば、座標(2,3)のビーム(2)は、図7のビーム(1)用の注目サブ照射領域29の-x方向に隣り合うグリッドに対して右から1番目の画素列の描画が終了する。
なお、各グリッドの右から1番目の画素列の描画は終了しているので、トラッキングリセットした後に、次回のトラッキングサイクルにおいてまず偏向器209は、各グリッドの下から1段目かつ右から2番目の画素にそれぞれ対応するビームの描画位置を合わせる(シフトする)ように偏向する。
以上のように同じトラッキングサイクル中は偏向器208によって照射領域34を試料101に対して相対位置が同じ位置になるように制御された状態で、偏向器209によって1画素ずつシフトさせながら各ショットを行う。そして、トラッキングサイクルが1サイクル終了後、照射領域34のトラッキング位置を戻してから、図6の下段に示すように、例えば1画素ずれた位置に1回目のショット位置を合わせ、次のトラッキング制御を行いながら偏向器209によって1画素ずつシフトさせながら各ショットを行う。ストライプ領域32の描画中、かかる動作を繰り返すことで、照射領域34a~34oといった具合に順次照射領域34の位置が移動していき、当該ストライプ領域の描画を行っていく。
図9は、実施の形態1における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。図9において、実施の形態1における描画方法は、基準パラメータ設定工程(S102)と、ビームキャリブレーション工程(S104)と、描画ジョブ(JOB)登録工程(S106)と、ビームアレイ領域設定工程(S108)と、データ生成方式設定工程(S110)と、データ転送方式設定工程(S112)と、照射時間データ生成工程(S120)と、データ配列加工工程(S122)と、照射時間データ生成工程(S130)と、データ配列加工工程(S132)と、最大ドーズ変調量演算工程(S134)と、ショットサイクル演算工程(S136)と、ショットサイクル設定工程(S138)と、レンズ制御値変更工程(S140)と、フォーカス確認工程(S142)と、判定工程(S144)と、レンズ制御値修正工程(S146)と、データ転送工程(S150)と、描画工程(S152)と、いう一連の工程を実施する。
基準パラメータ設定工程(S102)として、描画制御部78は、実装される描画機構150で照射可能な例えばp×q本のマルチビーム20のすべてを使用する場合における基準パラメータが設定される。例えば、マルチビーム20のビーム毎の照射位置の位置ずれ量を補正するためのドーズ補正係数Dm(k)や、電流密度分布に応じた電流密度を補正するためのドーズ補正係数DJ(k)が設定される。ビーム毎の照射位置の位置ずれ量が定義された位置ずれマップ及び電流密度分布の各データは、例えば描画装置100の外部から入力され、記憶装置144に記憶される。各ビームが照射するドーズ量Dは、基準照射量Dbaseに、画素36内のパターンの面積密度と、近接効果を補正するための近接効果補正照射係数Dpと、ドーズ補正係数Dmと、ドーズ補正係数DJと、を乗じた値として求めることができる。基準パラメータとして、さらに、マルチビーム20のすべてを使用する場合における、かかるドーズ量Dのうち最大ドーズ量がショットできるようにショットサイクル(時間)が設定される必要がある。例えば、基準照射量Dbaseの3~5倍程度の最大ドーズ変調が行われる場合の最大照射時間とショット毎のデータ転送時間とを考慮して、ショットサイクル(時間)が設定される。
ビームキャリブレーション工程(S104)として、レンズ制御部74は、実装される描画機構150で照射可能な例えばp×q本のマルチビーム20のすべてを使用する場合における、マルチビーム20を屈折させる照明レンズ202、縮小レンズ205、及び対物レンズ207を励磁するためのレンズ制御値を調整し、レンズ制御回路137に設定する。各電磁レンズには、レンズ制御回路137により、対応するレンズ制御値に応じた電流が流され、励磁される。実装される描画機構150で照射可能な例えばp×q本のマルチビーム20のすべてを使用する場合、1ショットあたりの全電流量が大きい。かかる全電流量が大きいビームに合わせて、対物レンズ207による焦点位置が調整され、対応するレンズ制御値が設定される。
以上のようにして、実装される描画機構150で照射可能な例えばp×q本のマルチビーム20のすべてを使用する高速描画モードにおける準備が行われる。
描画ジョブ(JOB)登録工程(S106)として、登録部79は、描画JOBを登録する。
ビームアレイ領域設定工程(S108)として、領域設定部72は、実装される描画機構150で照射可能な例えばp×q本のマルチビーム20全体の領域のうち、使用するビームアレイの領域を設定する。
図10は、実施の形態1におけるビームアレイ領域を説明するための図である。図10の例では、8×8本のマルチビーム20が実装される描画機構150で照射可能である場合を示している。高速描画モードを用いる場合、領域設定部72は、図10(a)に示すように、使用するビームアレイの照射領域(使用領域)として、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20全体の領域を設定する。図10(a)の例では、8×8本のマルチビーム20全体の領域を設定する。これに対して、高精度描画モードを用いる場合、領域設定部72は、図10(b)に示すように、使用するビームアレイの照射領域として、実装される描画機構150で照射可能な例えばp×q本のマルチビーム20全体の照射領域のうち、中央部の領域を設定する。中央部の領域のx方向のビーム数の1/2と、各端部の領域のx方向のビーム数と、が同じ数になるように領域を設定する。図10(b)の例では、マルチビーム20全体の領域のうち、中央部の4×4本のビームアレイの領域を設定する。このように、ビームアレイの使用領域を制限する。これにより、1回のショットあたりの全電流量を小さくできる。その結果、クーロン効果による描画精度劣化を抑制できる。図10(b)の例では、8×8本のマルチビーム20から、4×4本のビームアレイに制限しているので、単純計算として、1/4程度の電流量に低減できる。
データ生成方式設定工程(S110)として、データ生成方式設定部64は、ビームアレイの使用領域に応じて、照射時間データ(ショットデータ)の生成方式を設定する。高速描画モードを用いる場合、データ生成方式設定部64は、ショット毎に、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20のすべてに対してデータを生成するように設定する。これに対して、高精度描画モードを用いる場合、データ生成方式設定部64は、制限された使用領域を含むビーム列に対してデータを生成するように設定する。図10(b)の例では、使用領域である中央部の4×4本のビームアレイの他に、使用領域よりもy方向上部の2×4本のビームアレイと、使用領域よりもy方向下部の2×4本のビームアレイと、に対してデータを生成するように設定する。但し、使用領域よりもy方向上部の2×4本のビームアレイと、使用領域よりもy方向下部の2×4本のビームアレイと、には常時、ビームOFF(照射時間ゼロ)の照射時間データを生成するように設定する。
データ転送方式設定工程(S112)として、データ転送方式設定部66は、ビームアレイの使用領域に応じて、データ転送の方式を設定する。
図11は、実施の形態1における個別ブランキング制御回路の内部構成を示す概念図である。図11において、描画装置100本体内のブランキングアパーチャアレイ機構204に配置された個別ブランキング制御用の各制御回路41には、シフトレジスタ40、レジスタ43、AND演算器49、カウンタ44、及びアンプ46が順に配置される。このように、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20(第1のビームアレイ)の各ビーム用に配置された、それぞれ対応するビームのショットデータを記憶する複数のシフトレジスタ40及び複数のレジスタ43が配置される。実施の形態1では、nビット(例えば、10ビット)の制御信号によって各ビーム用の個別ブランキング制御を行う。ここで、例えば、アレイ状(行列状)に配列されるp×q本のマルチビーム20のうち、x方向に並ぶ、例えば同じ行のp本のビームの左側半分(x方向の手前側半分)の制御回路41内のシフトレジスタ40が外周側から中央側に向かって(x方向に)直列に接続される。図11の例では、同じ行の左側半分に並ぶ4つのビームの各制御回路41のシフトレジスタ40a,40b,40c,40dが直列に接続される場合を示している。同様に、x方向に並ぶ、例えば同じ行のp本のビームの右側半分(x方向の後側半分)の制御回路41内のシフトレジスタ40が外周側から中央側に向かって(-x方向に)直列に接続される。
実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20のすべてを用いて照射する場合、1回のマルチビームのショットには、マルチビームの各行の左側半分毎にまとめられたnビットのマルチビームのON/OFF制御信号と、マルチビームの各行の右側半分毎にまとめられたnビットのマルチビームのON/OFF制御信号とが、マルチビームの行数分だけ存在する。よって、高速描画モードを用いる場合、データ転送方式設定部66は、マルチビームの各行の左側半分毎にまとめられたnビットのマルチビームのON/OFF制御信号と、マルチビームの各行の右側半分毎にまとめられたnビットのマルチビームのON/OFF制御信号とを転送するように設定する。かかるデータ群が、マルチビームのショット毎に、偏向制御回路130からブランキングアパーチャアレイ機構204に一括転送される。例えば、かかるデータ群が、パラレルに一括転送される。そして、例えば、(p/2)回のクロック信号によって各ビームのON/OFF制御信号が対応するシフトレジスタ40に格納される。図11の例では、4回のクロック信号によって4本のビームのON/OFF制御信号が対応するシフトレジスタ40a,40b,40c,40dに格納される。
これに対して、中央部のビームアレイを用いて照射する場合、1回のマルチビームのショットには、マルチビームの各行の左側半分のうち中央部側の半分毎にまとめられたnビットのマルチビームのON/OFF制御信号と、マルチビームの各行の右側半分のうち中央部側の半分毎にまとめられたnビットのマルチビームのON/OFF制御信号とが、マルチビームの行数分だけ必要となる。よって、高精度描画モードを用いる場合、データ転送方式設定部66は、マルチビームの各行の左側半分のうち中央部側の半分毎にまとめられたnビットのマルチビームのON/OFF制御信号と、マルチビームの各行の右側半分のうち中央部側の半分毎にまとめられたnビットのマルチビームのON/OFF制御信号とを転送するように設定する。かかるデータ群が、マルチビームのショット毎に、偏向制御回路130からブランキングアパーチャアレイ機構204に一括転送される。例えば、かかるデータ群が、パラレルに一括転送される。そして、例えば、(p/4)回のクロック信号によって使用領域の各ビームのON/OFF制御信号が対応するシフトレジスタ40に格納される。図11の例では、第1ショット目は4回、第2ショット目以降は2回のクロック信号によって4本のビームのうち使用領域内の2本のビームのON/OFF制御信号が対応するシフトレジスタ40c,40dに格納される。
図12は、実施の形態1における高精度描画モードでのデータ転送の仕方を説明するための図である。図12(a)には、例えば、実装される描画機構150により照射可能な8×8本のマルチビーム20(第1のビームアレイ)用のシフトレジスタ40に対して、まだデータが転送されていない状態を示す。ここでは、例えば、実装される照射可能な8×8本のマルチビーム20のうち、中央部の4×4のビームアレイ領域が使用領域として設定される。第1ショット目の使用領域を含むビーム列のビームアレイのON/OFF制御信号がショット毎に、偏向制御回路130からブランキングアパーチャアレイ機構204に一括転送される。そして、左右両側からデータが順次シフトされ、2回のクロック信号によって、図12(b)に示すように、使用領域の手前の使用しない領域(無効列)のビームアレイ(第3のビームアレイ)用のシフトレジスタ40a,40bに第1ショット(第nショット)目の使用領域を含むビーム列(有効列)によるビームアレイ(第2のビームアレイ)のON/OFF制御信号が格納される。さらに、2回のクロック信号によって、図12(c)に示すように、使用領域を含むビーム列(有効列)のビームアレイ(第2のビームアレイ)用の各シフトレジスタ40c,40d(レジスタの一例)に使用領域を含むビーム列のビームアレイのn番目のショット用のON/OFF制御信号(ショットデータ)が記憶される。同時期に、実装される描画機構150により照射可能な8×8本のマルチビーム20(第1のビームアレイ)のうち使用領域を含むビーム列のビームアレイ(第2のビームアレイ)以外の使用領域の手前の使用しない領域(無効列)のビームアレイ(第3のビームアレイ)用の各シフトレジスタ40a,40b(レジスタ)は、使用領域を含むビーム列のビームアレイ(第2のビームアレイ)のn+1番目のショット用のON/OFF制御信号(ショットデータ)を記憶する。そして、偏向制御回路130からのリード(read)信号によって、使用領域を含むビーム列(有効列)のビームアレイ(第2のビームアレイ)用のレジスタ43c,43dは、n番目のショット用のON/OFF制御信号(ショットデータ)を読み出す。そして、使用領域を含むビーム列(有効列)のビームアレイ(第2のビームアレイ)のAND回路49c,49dは、偏向制御回路130からの有効列信号によってカウンタ44c,44dにON/OFF制御信号を出力する。そして、偏向制御回路130からのショット(shot)信号によって、カウンタ44c,44dは、ON/OFF制御信号に対応する照射時間だけアンプ46にH電位を入力する。これにより使用領域を含むビーム列(有効列)のビームアレイ(第2のビームアレイ)は、ON/OFF制御信号に対応する照射時間だけビームONとなる。なお、使用領域よりもy方向上部の2×4本のビームアレイと、使用領域よりもy方向下部の2×4本のビームアレイと、には常時、ビームOFF(照射時間ゼロ)の照射時間データが生成されるので、ビームOFFのままである。その結果、使用領域となる中央部の4×4のビームアレイによって描画処理が行われることになる。なお、無効列のビームアレイ(第3のビームアレイ)用の各シフトレジスタ40a,40b(レジスタ)は、使用領域を含むビーム列のビームアレイ(第2のビームアレイ)のn+1番目のショット用のON/OFF制御信号(ショットデータ)の少なくとも一部を記憶する場合であっても構わない。
なお、偏向制御回路130からのリード(read)信号によって、レジスタ43c,43dが、n番目のショット用のON/OFF制御信号(ショットデータ)を読み出すと同時に、無効列のビームアレイ(第3のビームアレイ)用のレジスタ43a,43bが、n+1番目のショット用のON/OFF制御信号(ショットデータ)を読み出す。しかし、AND回路49a,49bが、偏向制御回路130からの無効列信号(BLK)によって信号を遮断する。そのため、無効列のビームアレイ(第3のビームアレイ)はビームOFFのままで維持される。
そして、n番目のショットが終了した場合に、n+1番目のショット用のショットデータは、2回のクロック信号によって、図12(d)に示すように、無効列のビームアレイ(第3のビームアレイ)用の各シフトレジスタ40a,40bから使用領域を含むビーム列(有効列)のビームアレイ(第2のビームアレイ)用の各シフトレジスタ40c,40dにシフトされる。同時期に、無効列のビームアレイ(第3のビームアレイ)用の各シフトレジスタ40a,40b(レジスタ)は、有効列のビームアレイ(第2のビームアレイ)のn+2番目のショット用のON/OFF制御信号(ショットデータ)を記憶することになる。なお、無効列のビームアレイ(第3のビームアレイ)用の各シフトレジスタ40a,40b(レジスタ)は、使用領域を含むビーム列のビームアレイ(第2のビームアレイ)のn+1番目のショット用のON/OFF制御信号(ショットデータ)の少なくとも一部を記憶する場合、n+1番目のショット用のショットデータは、少なくとも各シフトレジスタ40a,40bから各シフトレジスタ40c,40dにシフトされる。
以上のように、無効列のビームアレイ(第3のビームアレイ)用の各シフトレジスタ40a,40bに、使用領域を含む有効列のビームアレイ用の各ショットのON/OFF制御信号(ショットデータ)を待機させることで、実装されるすべてのビームを照射する場合に比べて少ないクロック回数でショットデータを転送できる。そのため、転送時間を短縮できる。
次に、高速描画モードでのデータ転送方式設定工程(S112)より後の各工程を説明する。
照射時間データ生成工程(S120)として、ショットデータ生成部60は、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20の全ビームの各ショット用のON/OFF制御信号(ショットデータ)を生成する。ショットデータ生成部60は、まず、描画領域(ここでは、例えばストライプ領域32)を所定のサイズでメッシュ状に複数の近接メッシュ領域(近接効果補正計算用メッシュ領域)に仮想分割する。近接メッシュ領域のサイズは、近接効果の影響範囲の1/10程度、例えば、1μm程度に設定すると好適である。ショットデータ生成部60は、記憶装置140から描画データを読み出し、近接メッシュ領域毎に、当該近接メッシュ領域内に配置されるパターンのパターン面積密度ρを演算する。
次に、ショットデータ生成部60は、近接メッシュ領域毎に、近接効果を補正するための近接効果補正照射係数Dpを演算する。ここで、近接効果補正照射係数Dpを演算するメッシュ領域のサイズは、パターン面積密度ρを演算するメッシュ領域のサイズと同じである必要は無い。また、近接効果補正照射係数Dpの補正モデル及びその計算手法は従来のシングルビーム描画方式で使用されている手法と同様で構わない。
そして、ショットデータ生成部60は、画素36毎に、当該画素36内のパターン面積密度ρ’を演算する。ρ’のメッシュサイズは例えば画素28の大きさと同じにする。
そして、ショットデータ生成部60は、画素(描画対象画素)36毎に、当該画素36に照射するための照射量Dを演算する。照射量Dは、例えば、予め設定された基準照射量Dbaseに基準照射量Dbaseに、画素36内のパターンの面積密度ρ’と、近接効果を補正するための近接効果補正照射係数Dpと、マルチビーム20のビーム毎の照射位置の位置ずれ量を補正するためのドーズ補正係数Dmと、電流密度分布に応じた電流密度を補正するためのドーズ補正係数DJと、を乗じた値として求めることができる。なお、ドーズ補正係数Dmと、ドーズ補正係数DJとは、マルチビーム20の各ビームによって異なる。各画素36がどのビームによって照射されるのかは、描画シーケンスによって決定される。
次に、ショットデータ生成部60は、まず、画素36毎に、当該画素36に演算された照射量Dを入射させるための電子ビームの照射時間tを演算する。照射時間tは、照射量Dを電流密度Jで割ることで演算できる。そして、画素36毎に得られた照射時間tを定義する照射時間tマップを作成する。作成されたtマップは記憶装置142に格納される。実施の形態1では、例えば各画素36の照射時間tを当該画素36のON/OFF制御信号とする。或いは、各画素36の照射時間tをクロック周期で割ったカウント値を当該画素36のON/OFF制御信号とする。
データ配列加工工程(S122)として、配列加工部62は、ショット順、かつビームの転送順に各画素36のON/OFF制御信号を並び変える。
データ転送工程(S150)として、転送処理部76は、設定されたデータ転送方式に沿って、マルチビーム20の各行の左側半分毎にまとめられたnビットのマルチビーム20のON/OFF制御信号と、マルチビーム20の各行の右側半分毎にまとめられたnビットのマルチビーム20のON/OFF制御信号とをショット順に転送する。
描画工程(S152)として、描画機構150は、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20を用いて、試料101にパターンを描画する。描画機構150の動作、及び描画の仕方は、上述した通りである。また、ビームキャリブレーション工程(S104)にて、実装される描画機構150で照射可能な例えばp×q本のマルチビーム20のすべてを使用する場合におけるレンズ制御値が各電磁レンズ用に設定されている。そのため、対物レンズ207により、マルチビーム20のすべてを使用する場合の全電流量に合わせたフォーカスが行われる。以上により、クーロン効果による精度劣化はあり得るもののスループットを高めた描画処理ができる。
次に、高精度描画モードでのデータ転送方式設定工程(S112)より後の各工程を説明する。
照射時間データ生成工程(S130)として、ショットデータ生成部60は、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20(第1のビームアレイ)の本数よりも少ない本数のビームアレイ(第2のビームアレイ)用のON/OFF制御信号(ショットデータ)を生成する。具体的には、図12(a)等に示した使用領域を含む有効列のビームアレイ(第2のビームアレイ)の各ショット用のON/OFF制御信号(ショットデータ)を生成する。なお、使用領域よりもy方向上部の2×4本のビームアレイと、使用領域よりもy方向下部の2×4本のビームアレイと、には常時、ビームOFF(照射時間ゼロ)の照射時間データを生成する点は上述した通りである。各画素36のショットデータの生成の仕方は上述した通りである。また、ストライプ領域32の設定の仕方も使用領域のビームアレイに合わせてサイズが設定されればよい。また、各画素36が、使用領域内のどのビームによって照射されるのかは、描画シーケンスによって決定される。
データ配列加工工程(S132)として、配列加工部62は、ショット順、かつビームの転送順に各画素36のON/OFF制御信号を並び変える。
最大ドーズ変調量演算工程(S134)として、ドーズ変調量演算部68は、設定された領域に応じた最大ドーズ変調量を演算する。
図13は、実施の形態1における各ビームの位置ずれ量が定義された位置ずれマップの一例を説明するための図である。図13では、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20全体での照射領域34(ビームアレイ領域)内での各ビームの位置ずれ量の傾向の一例を示す。マルチビーム20を照射する際、光学系の特性上、露光フィールドに歪が生じ、かかる歪等によって、個々のビームの照射位置が理想グリッドからずれてしまう。しかし、マルチビーム20の光学系では、個々のビームを個別に偏向することは難しいので個々のビームの試料面上の位置を個別に制御することは困難である。そのため、各ビームの位置ずれをドーズ変調によって補正することが行われる。例えば、周囲のビームにドーズの一部或いは全部を分配することで、理想グリッドにドーズの重心がくるように各ビームのドーズ変調を行えばよい。よって、分配されたビームのドーズ量は自身の設計ドーズよりも大きくなる場合が多い。かかるドーズ変調のために、マルチビーム20のビーム毎の照射位置の位置ずれ量を補正するためのドーズ補正係数Dm(k)を設定する。kは各ビームのインデックスを示す。図13に示すように、中央部のビームでは位置ずれ量が小さいのに対して、外周側に向かうほどビームの位置ずれ量が大きくなる傾向がある。ビームの位置ずれ量が大きいほどドーズ補正係数Dm(k)も大きくなる。実施の形態1では、使用領域をビームでは位置ずれ量が小さい中央部に制限しているので、かかる領域内の各ビームのドーズ補正係数Dm(k)を小さくできる。よって、マルチビーム20全体の領域内の各ビームのドーズ補正係数Dm(k)の振り幅よりも、中央部の領域内のビームアレイのドーズ補正係数Dm(k)の振り幅を小さくできる。言い換えれば、マルチビーム20全体の領域内の各ビームのドーズ補正係数Dm(k)の最大値よりも、中央部の領域内のビームアレイのドーズ補正係数Dm(k)の最大値を小さくできる。
図14は、実施の形態1におけるマルチビームの電流密度分布の一例を説明するための図である。図14では、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20全体での照射領域34(ビームアレイ領域)内での各ビームの電流密度の分布の傾向の一例を示す。上述したように、マルチビーム20は、例えば、1つの電子ビーム200が成形アパーチャアレイ基板203を通過することによって形成される。電子ビーム200の電流密度分布は、中央部においては略一様になるものの外周側では低下する。そのため、形成されるマルチビーム20についても、図14に示すように、中央部のビームでは、例えば98%以上と電流密度分布が高い状態で略一様であるのに対して、外周側に向かうほど電流密度が小さくなる傾向がある。よって、所望の照射時間のビーム照射を行ったとしても、中央部のビームと外周部のビームとでは、試料101に入射するドーズ量が異なってします。そのため、各ビームの電流密度のずれをドーズ変調によって補正することが行われる。すなわち、電流密度の不足分を補うための比率(1以上)のドーズ変調を行う。そのため、マルチビーム20の電流密度分布に応じた電流密度を補正するためのドーズ補正係数DJ(k)を設定する。実施の形態1では、使用領域を電流密度が高い状態でかつ略一様な中央部に制限しているので、かかる領域内の各ビームのドーズ補正係数DJ(k)を小さくできる。よって、マルチビーム20全体の領域内の各ビームのドーズ補正係数DJ(k)の振り幅よりも、中央部の領域内のビームアレイのドーズ補正係数DJ(k)の振り幅を小さくできる。言い換えれば、マルチビーム20全体の領域内の各ビームのドーズ補正係数DJ(k)の最大値よりも、中央部の領域内のビームアレイのドーズ補正係数DJ(k)の最大値を小さくできる。
ここで、上述したように、各ビームのドーズ量Dは、基準照射量Dbaseに、画素36内のパターンの面積密度と、近接効果を補正するための近接効果補正照射係数Dpと、ドーズ補正係数Dmと、ドーズ補正係数DJと、を乗じた値として求めることができる。最大ドーズ変調量は、近接効果補正照射係数Dpと、ドーズ補正係数Dmと、ドーズ補正係数DJと、を乗じた値として求めることができる。実施の形態1では、使用領域を中央部に制限しているので、中央部内の各ビームのドーズ補正係数Dmの最大値とドーズ補正係数DJの最大値との積が、マルチビーム20全体の領域内の各ビームのドーズ補正係数Dmの最大値とドーズ補正係数DJ(k)の最大値の積よりも小さくできる。よって、その分、最大ドーズ変調量を小さくできる。
ショットサイクル演算工程(S136)として、ショットサイクル演算部70は、設定された領域に応じたショットサイクル時間を演算する。
図15は、実施の形態1におけるタイムチャートの一例を示す図である。図15(a)には、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20の全ビームを用いる高速描画モードでのデータ転送時間とショット時間との一例を示す。高速描画モードでは、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20の全ビームのON/OFF制御信号(ショットデータ)の転送が必要である。また、各ショット時間についても最大ドーズ変調量で変調される最大ドーズ量に対応する最大照射時間が必要となる。最大照射時間とショット毎のデータ転送時間とを考慮して、ショットサイクル(時間)が設定される。図15(a)の例では、データ転送時間が最大照射時間よりも長い場合を示している。その場合、ショットサイクルはデータ転送時間により決まることになる。これに対して、高精度描画モードでは、上述したように、使用領域を中央部に制限し、外周側の無効列のビームアレイ(第3のビームアレイ)用の各シフトレジスタ40a,40bに、使用領域を含む有効列のビームアレイ用の各ショットのON/OFF制御信号(ショットデータ)を待機させることで、実装されるすべてのビームを照射する場合に比べて少ないクロック回数でショットデータを転送できる。そのため、図15(b)に示すように、転送時間を短縮できる。さらに、上述したように、使用領域を中央部に制限しているので、中央部内の各ビームのドーズ補正係数Dmの最大値とドーズ補正係数DJの最大値との積が、マルチビーム20全体の領域内の各ビームのドーズ補正係数Dmの最大値とドーズ補正係数DJ(k)の最大値の積よりも小さくできる。よって、その分、最大ドーズ変調量を小さくできる。よって、図15(b)に示すように、最大ドーズ変調量で変調される最大ドーズ量に対応する最大照射時間を短縮できる。そのため、マルチビーム20全体を用いて描画する場合よりも、図15(b)に示すように、ショットサイクル(時間)を短縮できる。
ショットサイクル設定工程(S138)として、描画制御部78は、演算されたショットサイクル(時間)を設定する。実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20の全ビームを用いる高速描画モードに比べて、高精度描画モードでは、ビーム数が少ないので、その分、一度に描画できる領域が小さい。そのため、高速描画モードと同様のショットサイクルで描画処理を行ったのでは、ビーム数の減少に応じて描画時間が長くかかることになる。しかしながら、実施の形態1では、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20全体の領域のうち中央部の領域に使用領域を制限した場合でのショットサイクルを演算し直すことで、ショットサイクルを短縮でき、スループットの劣化を抑制できる。
レンズ制御値変更工程(S140)として、レンズ制御部74は、設定された使用範囲内のビームアレイを使用する場合における、マルチビーム20を屈折させる縮小レンズ205、及び対物レンズ207を励磁するためのレンズ制御値をレンズ制御回路137に出力する。レンズ制御回路137は、現在設定されているレンズ制御値から新たに入力されたレンズ制御値に変更する。
図16は、実施の形態1におけるレンズ制御値テーブルの一例を示す図である。図16において、レンズ制御値テーブル(レンズテーブル)には、マルチビーム20のうち使用ビームの本数に関連させたレンズ制御値が定義される。図16の例では、ビーム本数が1本の場合、縮小レンズ205のレンズ制御値1がF11、対物レンズ207のレンズ制御値2がF21であることが定義される。ビーム本数が2本の場合、縮小レンズ205のレンズ制御値1がF12、対物レンズ207のレンズ制御値2がF22であることが定義される。・・・ビーム本数がN本の場合、縮小レンズ205のレンズ制御値1がF1n、対物レンズ207のレンズ制御値2がF2nであることが定義される。レンズ制御値テーブルは、予め描画装置100外部から入力し、記憶装置144に格納しておく。各電磁レンズの集束位置は、ビーム電流量によって変動する。そのため、高速描画モードと同様の電磁レンズの制御を行っていたのでは、ビーム数の減少に応じてビーム電流量が小さくなっているため各電磁レンズの集束位置が変動してしまう場合がある。そこで、実施の形態1において、レンズ制御部74は、レンズ制御値テーブルを参照して、設定された使用範囲内のビームアレイのビーム本数に応じた各レンズ制御値を読み出す。そして、レンズ制御部74は、読み出されたレンズ制御値をレンズ制御回路137に出力する。レンズ制御回路137は、テーブルを参照して得られた、設定された領域内のビームアレイのビーム本数に応じたレンズ制御値を切り替える。これにより、ビームアレイ領域の制限に伴う、焦点位置のずれを補正できる。
フォーカス確認工程(S142)として、切り替えられたレンズ制御値に対応して励磁された対物レンズ207により集束されたビームアレイの焦点位置が試料101面上に合っているかどうかを確認する。
判定工程(S144)として、レンズ制御部74は、設定(変更)されたレンズ制御値での焦点位置が許容値内に入っているかどうか(最調整が必要かどうか)を判定する。最調整が不要の場合、データ転送工程(S150)に進む。最調整が必要な場合、レンズ制御値修正工程(S146)に進む。
レンズ制御値修正工程(S146)として、レンズ制御部74は、設定(変更)されたレンズ制御値を修正し、レンズ制御回路137に出力する。レンズ制御回路137は、修正されたレンズ制御値に設定値を切り替える。例えば、設定(変更)されたレンズ制御値を起点に予め定めた値を加算する、或いは減算することでレンズ制御値を修正すればよい。そして、フォーカス確認工程(S142)に戻り、最調整が不要になるまでフォーカス確認工程(S142)からレンズ制御値修正工程(S146)までを繰り返す。
以上により、使用するビーム本数の全電流量に応じたレンズ制御ができる。よって、ビーム本数を変更させたことに起因するフォーカスずれを抑制でき、さらに高精度な描画精度が得られる。
データ転送工程(S150)として、転送処理部76は、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20(第1のビームアレイ)の本数よりも少ない本数の有効列のビームアレイ(第2のビームアレイ)用のON/OFF制御信号(ショットデータ)をショット順に転送する。具体的には、転送処理部76は、設定されたデータ転送方式に沿って、マルチビームの各行の左側半分のうち中央部側の半分毎にまとめられたnビットのマルチビームのON/OFF制御信号と、マルチビームの各行の右側半分のうち中央部側の半分毎にまとめられたnビットのマルチビームのON/OFF制御信号とをショット順に転送する。そして、1ショット目は高速描画モードと同様のクロック回数で、2ショット目以降は、高速描画モードの1/2のクロック回数で各ショットのON/OFF制御信号を所望のジレスタに転送する。そして、図12(c)に示したように、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20(第1のビームアレイ)の各ビーム用に配置された複数のシフトレジスタ40(レジスタ)のうち、転送されたn番目のショット用のショットデータを有効列のビームアレイ(第2のビームアレイ)用の各シフトレジスタ40(レジスタ)に記憶させると共に、同時期に、n+1番目のショット用のショットデータを前記第1のビームアレイのうち有効列のビームアレイ(第2のビームアレイ)以外の無効列のビームアレイ(第3のビームアレイ)用の各シフトレジスタ40(レジスタ)に記憶させる。また、使用領域を中央部に制限したことで、データ量自体も、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20の全ビーム用のデータ量の1/2程度に抑えることができる。その点でも転送時間を短縮できる。
描画工程(S152)として、描画機構150は、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20のうち、設定された中央部の領域内のビームアレイを用いて、試料101にパターンを描画する。また、描画機構150は、演算されたショットサイクル(時間)に沿って試料101にパターンを描画する。ここでは、描画機構150は、中央部の使用領域を含む有効列のビームアレイ(第2のビームアレイ)のショットを行うことにより、試料101にパターンを描画する。例えば、有効列のビームアレイ(第2のビームアレイ)のn番目のショットを行うことにより、試料にパターンを描画する。なお、使用領域よりもy方向上部の2×4本のビームアレイと、使用領域よりもy方向下部の2×4本のビームアレイと、には常時、ビームOFF(照射時間ゼロ)の照射時間データが生成されるので、ビームOFFのままである点は上述した通りである。描画機構150の動作、及び描画の仕方は、使用領域の制限に伴い照射領域34のサイズが小さくなった点、使用するビームアレイが制限された点、ショットサイクルが短くなった点、及びレンズ制御値が切り替えられた点、以外は、上述した通りである。
このように、中央部の使用領域を含む有効列のビームアレイ(第2のビームアレイ)のn番目のショットショット終了した場合に、データ転送工程(S150)では、n+1番目のショット用のショットデータを無効列のビームアレイ(第3のビームアレイ)用の各シフトレジスタ40(レジスタ)から有効列のビームアレイ(第2のビームアレイ)用の各シフトレジスタ40(レジスタ)にシフトする。そして、偏向制御回路130からリード信号とショット信号を受けて、描画機構150は、中央部の使用領域を含む有効列のビームアレイ(第2のビームアレイ)のn+1番目のショットを行うことにより、試料101にパターンを描画する。
図17は、実施の形態1における全ビーム電流量とショット回数との関係の一例を示す図である。高速描画モードでは、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20すべてを用いるため、1回のショットの全ビーム電流量が大きい。よって、クーロン効果によるボケ等の影響を受ける。これに対して、高精度描画モードでは、中央部の領域内のビームアレイに使用領域が制限されているので、同じ面積を描画するためのショット回数は増加するものの、1回のショットの全ビーム電流量を小さくでき、クーロン効果によるボケ等の影響を抑制できる。図17の例では、使用領域が制限され、8×8本のビームアレイが1/4の4×4本のビームアレイに制限されたため、同じ面積を描画するためのショット回数が4倍になることを示している。
以上のように、実施の形態1によれば、高スループットの高速描画モードと、クーロン効果による描画精度劣化を抑制した高精度描画モードとを選択的に使用できる。また、実施の形態1によれば、スループットの劣化を抑制しながらクーロン効果による描画精度劣化を抑制できる。
実施の形態2.
実施の形態1では、ブランキングアパーチャアレイ機構204にカウンタ44を搭載し、個別ブランキング機構47のカウンタ44で、個別ビームの照射時間を制御する場合に説明したが、これに限るものではない。実施の形態2では、共通ブランキング機構で個別ビームの照射時間を制御する場合に説明する。
図18は、実施の形態2における描画装置の構成を示す概念図である。図18において、電子鏡筒102内に、マルチビーム20全体を偏向可能な偏向器212が配置された点、及び、制御系回路160がさらにロジック回路131を有する点、以外は図1と同様である。偏向制御回路130には、さらに、ロジック回路131が図示しないバスを介して接続されている。ロジック回路131は、偏向器212に接続される。
また、実施の形態2における描画方法の要部工程を示すフローチャート図は、図9と同様である。その他、以下に特に説明する点以外の内容は、実施の形態1と同様である。
図19は、実施の形態2における個別ブランキング制御回路と共通ブランキング制御回路の内部構成を示す概念図である。図19において、描画装置100本体内のブランキングアパーチャアレイ機構204に配置された個別ブランキング制御用の各制御回路41には、シフトレジスタ40、レジスタ43、AND回路49、及びアンプ46が配置される。なお、実施の形態1では、数ビット(例えば、10ビット)の制御信号によって制御されていた各ビーム用の個別ブランキング制御を、例えば1ビットの制御信号によって制御する。すなわち、この場合シフトレジスタ40、及びレジスタ43には、1ビットの制御信号が入出力される。制御信号の情報量が少ないことにより、制御回路41の設置面積を小さくできる。言い換えれば、設置スペースが狭いブランキングアパーチャアレイ機構204上に制御回路41を配置する場合でも、より小さいビームピッチでより多くのビームを配置できる。
また、共通ブランキング用のロジック回路131には、レジスタ50、カウンタ52、及び共通アンプ54が配置される。こちらは、同時に複数の異なる制御を行うわけではなく、ON/OFF制御を行う1回路で済むため、高速に応答させるための回路を配置する場合でも設置スペース、回路の使用電流の制限の問題が生じない。よってこの共通アンプ54はブランキングアパーチャアレイ機構204上に実現できるアンプ46よりも格段に高速で動作する。この共通アンプ54は例えば、10ビットの制御信号によって制御する。すなわち、レジスタ50、及びカウンタ52には、例えば10ビットの制御信号が入出力される。
実施の形態2では、上述した個別ブランキング制御用の各制御回路41によるビームON/OFF制御と、マルチビーム全体を一括してブランキング制御する共通ブランキング制御用のロジック回路131によるビームON/OFF制御との両方を用いて、各ビームのブランキング制御を行う。また、実施の形態2では、1回のショットの最大照射時間を複数のサブ照射時間に分割し、複数のサブ照射時間による複数の分割ショットを組み合わせて、所望の照射時間の1回分のショットと同様のビーム照射を行う。
照射時間データ(S120)及び照射時間データ(S130)における各ビームの照射時間の演算までの各工程の内容は実施の形態1と同様である。次に、ショットデータ生成部60は、各画素36の照射時間データが示す照射時間を複数の分割ショット用に加工する。具体的には以下のように加工する。
図20は、実施の形態2における複数の分割ショットの桁数と照射時間との一例を示す図である。実施の形態2では、1回分のショットの最大照射時間Ttrを同じ位置に連続して照射される照射時間が異なるn回の分割ショットに分割する。まず、最大照射時間Ttrを量子化単位Δ(階調値分解能)で割った階調値Ntrを定める。例えば、n=10とした場合、10回の分割ショットに分割する。階調値Ntrを桁数nの2進数の値で定義する場合、階調値Ntr=1023になるように量子化単位Δを予め設定すればよい。これにより、最大照射時間Ttr=1023Δとなる。そして、図20に示すように、n回の分割ショットは、桁数k’=0~9までの2k’Δのいずれかの照射時間を持つ。言い換えれば、512Δ(=29Δ),256Δ(=28Δ),128Δ(=27Δ),64Δ(=26Δ),32Δ(=25Δ),16Δ(=24Δ),8Δ(=23Δ),4Δ(=22Δ),2Δ(=21Δ),Δ(=20Δ)のいずれかの照射時間を持つ。すなわち、1回分のビームアレイのショットは、512Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、256Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、128Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、64Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、32Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、16Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、8Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、4Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、2Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、に分割される。
よって、各画素36に照射する任意の照射時間t(=NΔ)は、かかる512Δ(=29Δ),256Δ(=28Δ),128Δ(=27Δ),64Δ(=26Δ),32Δ(=25Δ),16Δ(=24Δ),8Δ(=23Δ),4Δ(=22Δ),2Δ(=21Δ),Δ(=20Δ)及びゼロ(0)の少なくとも1つの組み合わせによって定義できる。例えば、N=50のショットであれば、50=25+24+21なので、25Δの照射時間をもつ分割ショットと、24Δの照射時間をもつ分割ショットと、21Δの照射時間をもつ分割ショットと、の組み合わせになる。なお、各画素36に照射する任意の照射時間tの階調値Nを2進数変換する場合には、できるだけ大きい桁の値を使用するように定義すると好適である。
ショットデータ生成部60は、まず、画素36毎に得られた照射時間tを量子化単位Δ(階調値分解能)で割ることで整数の階調値Nデータを算出する。階調値Nデータは、例えば、0~1023の階調値で定義される。量子化単位Δは、様々に設定可能であるが、例えば、1ns(ナノ秒)等で定義できる。量子化単位Δは、例えば1~10nsの値を用いると好適である。ここでは、上述したように1ショットあたりの最大照射時間Ttrの階調値Ntrが1023になるように量子化単位Δを設定する。但し、これに限るものではない。最大照射時間Ttrの階調値Ntrが1023以下になるように量子化単位Δを設定すればよい。
次に、ショットデータ生成部60は、画素36毎に、ビームONにする分割ショットの合計照射時間が、演算されたビームの照射時間に相当する組合せになるように複数の分割ショットの各分割ショットをビームONにするか、ビームOFFにするかを決定する。画素36毎に得られた照射時間tは、値0と1のいずれかを示す整数wk’と、n個の分割ショットのk’桁目の分割ショットの照射時間tk’とを用いて、以下の式(1)で定義される。整数wk’が1になる分割ショットはON、整数wk’が0になる分割ショットはOFFに決定できる。
例えば、N=700であれば、w9=1、w8=0、w7=1、w6=0、w5=1、w4=1、w3=1、w2=1、w1=0、w0=0、となる。よって、t9の分割ショットがON、t8の分割ショットがOFF、t7の分割ショットがON、t6の分割ショットがOFF、t5の分割ショットがON、t4の分割ショットがON、t3の分割ショットがON、t2の分割ショットがON、t1の分割ショットがOFF、t0の分割ショットがOFF、と決定することができる。
次に、ショットデータ生成部60は、1回分のショットを同じ位置に連続して照射される照射時間が異なる複数回の分割ショットに分割するための分割ショットの照射時間配列データを生成する。ショットデータ生成部60は、画素36毎に、当該画素に実施される分割ショットの照射時間配列データを生成する。例えば、N=50であれば、50=25+24+21なので、“0000110010”となる。例えば、N=500であれば、同様に、“0111110100”となる。例えば、N=700であれば、同様に、“1010111100”となる。例えば、N=1023であれば、同様に、“1111111111”となる。
そして、データ配列加工工程(S122)及びデータ配列加工工程(S132)において、配列加工部62は、各ビームのショット順に、照射時間配列データを加工する。ここでは、描画シーケンスに沿って、マルチビーム20が順にショットすることになる画素36順に各画素36の照射時間配列データが並ぶように順序を加工する。また、各ショット中の各分割ショットにおいて、直列に接続されたシフトレジスタ40順にON/OFF制御信号が並ぶように順序を加工する。加工されたON/OFF制御信号は、記憶装置142に格納される。
以降の各工程の内容は実施の形態1と同様である。なお、描画工程(S152)において、各ビーム用のアンプ46は、当該ビーム用のレジスタ43に格納されているON/OFF制御信号に従って、制御電極24に印加する電位を切り替える。例えば、ON/OFF制御信号が”1”であれば、CMOSインバータ回路にH電位(アクティブ電位)を入力する。これにより、CMOSインバータ回路の出力は、グランド電位となり、ビームON状態になる。例えば、ON/OFF制御信号が”0”であれば、CMOSインバータ回路にL電位を入力する。これにより、CMOSインバータ回路の出力は、正の電位となり、ビームOFF状態になる。
また、同時期に、偏向制御回路130からk番目の分割ショットの照射時間を示す共通ON/OFF制御信号が共通ブランキング機構のロジック回路131のレジスタ50に出力される。これにより、共通ブランキング用のレジスタ50には、k番目の分割ショットの共通ON/OFF制御信号が読み込まれる。
次に、偏向制御回路130からのショット信号が共通ブランキング機構のロジック回路131のカウンタ52に出力される。これにより、共通ブランキング用のカウンタ44は、共通ブランキング用のレジスタ50に格納されている共通ON/OFF制御信号が示す時間だけ共通アンプ54にビームON信号を出力する。具体的には、今回の分割ショットの照射時間に相当するカウント数だけクロック周期でカウントする。そして、カウントしている間だけCMOSインバータ回路(図示せず)の入力をH(アクティブ)にする。そして、共通ON/OFF制御信号が示す時間が経過すると共通アンプ54にビームOFF信号を出力する。具体的には、カウント完了後にCMOSインバータ回路の入力をLにする。
ここで、k番目の分割ショットのために、既に、各アンプ46からはON/OFF制御信号に従って、ビームON或いはビームOFFにする偏向電位が制御電極24に印加されている。かかる状態で、共通ブランキング用の偏向器212によって、今回の分割ショットの照射時間を制御する。すなわち、カウンタ44がビームON信号を出力している間だけ、マルチビーム20全体をブランキング偏向せずに、制限アパーチャ基板206の開口部を通過可能にする。逆に、その他の時間は、マルチビーム20全体をブランキング偏向して、制限アパーチャ基板206でマルチビーム20全体を遮蔽する。このように、共通ブランキング用の偏向器212によって、各分割ショットの照射時間が制御される。
以上のように、実施の形態2に示すように、複数の分割ショットを組み合わせて所望の照射時間の照射を行う場合でも、実施の形態1と同様、使用領域を中央部の領域のビームアレイに制限することで、1回の分割ショットあたりの全電流量を小さくでき、クーロン効果による影響を抑制できる。なお、実施の形態2によれば、中央部に使用領域を制限することで、実施の形態1と同様、データ転送時のクロック回数を少なくでき、また、最大照射時間を小さくできるので、ショットサイクルを短くできる。また、中央部に使用領域を制限することでビーム本数を減らした場合に、使用するビーム本数に応じてレンズ制御値を切り替える点も実施の形態1と同様である。
以上のように、実施の形態2によれば、高スループットの高速描画モードと、クーロン効果による描画精度劣化を抑制した高精度描画モードとを選択的に使用できる。また、実施の形態2によれば、複数の分割ショットを組み合わせて所望の照射時間の照射を行う場合でも、スループットの劣化を抑制しながらクーロン効果による描画精度劣化を抑制できる。
実施の形態3.
実施の形態1,2では、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20全体の照射領域のうち、使用するビームアレイの照射領域を中央部の領域に制限する領域制限によるビーム電流量の低減を行う場合を説明したが、クーロン効果を抑制する手法はこれに限るものではない。実施の形態3では、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20全体の照射領域を分割する領域分割によるビーム電流量の低減を行う構成について説明する。実施の形態3における描画装置100の構成は図1と同様で構わない。
図21は、実施の形態3における描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。図21において、データ生成方式設定工程(S110)と、データ転送方式設定工程(S112)と、照射時間データ生成工程(S130)と、データ配列加工工程(S132)と、最大ドーズ変調量演算工程(S134)と、ショットサイクル演算工程(S136)と、ショットサイクル設定工程(S138)と、を削除した点以外は、図9と同様である。
基準パラメータ設定工程(S102)と、ビームキャリブレーション工程(S104)と、描画ジョブ(JOB)登録工程(S106)との内容は実施の形態1と同様である。
ビームアレイ領域設定工程(S108)として、領域設定部72(領域分割部)は、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20の照射領域を複数の領域に分割し、設定する。
図22は、実施の形態3における領域分割の仕方の一例を示す図である。図22の例では、8×8本のマルチビーム20が実装される描画機構150で照射可能である場合を示している。高速描画モードを用いる場合、領域設定部72は、使用するビームアレイの照射領域(使用領域)として、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20全体の領域を設定する。図22の例では、8×8本のマルチビーム20全体の領域を設定する。これに対して、高精度描画モードを用いる場合、領域設定部72は、図22に示すように、実装される描画機構150で照射可能な例えばp×q本のマルチビーム20全体の照射領域を2つのグループ(G1,G2)に分割し、グループ毎に領域を設定する。図22の例では、左側半分の4×8のビームアレイによるグループG1と、右側半分の4×8のビームアレイによるグループG2と、に分割する。このように、ビームアレイの使用領域を分割する。そして、各回のマルチビーム20のショット処理の中で、グループ毎にショットタイミングをずらす。これにより、1回のショットあたりの全電流量を小さくできる。その結果、クーロン効果による描画精度劣化を抑制できる。図22の例では、8×8本のマルチビーム20から、4×8本のビームアレイずつに分割しているので、単純計算として、1/2程度の電流量に低減できる。
照射時間データ生成工程(S120)と、データ配列加工工程(S122)と、の内容は実施の形態1と同様である。具体的には、ショットデータ生成部60は、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20の全ビームの各ショット用のON/OFF制御信号(ショットデータ)を生成する。そして、配列加工部62は、ショット順、かつビームの転送順に各画素36のON/OFF制御信号を並び変える。
レンズ制御値変更工程(S140)として、レンズ制御部74は、設定された使用範囲内のビームアレイを使用する場合における、マルチビーム20を屈折させる縮小レンズ205、及び対物レンズ207を励磁するためのレンズ制御値をレンズ制御回路137に出力する。レンズ制御回路137は、現在設定されているレンズ制御値から新たに入力されたレンズ制御値に変更する。
具体的には、レンズ制御部74は、図16に示したレンズ制御値テーブルを参照して、設定された使用範囲内のビームアレイのビーム本数に応じた各レンズ制御値を読み出す。実施の形態3では、領域分割により複数のグループに分割しているので、1つのグループあたりのビーム本数に応じたレンズ制御値を読み出せばよい。そして、レンズ制御回路137は、テーブルを参照して得られた、設定された領域内のビームアレイのビーム本数に応じたレンズ制御値を切り替える。これにより、ビームアレイ領域の制限に伴う、焦点位置のずれを補正できる。
フォーカス確認工程(S142)として、切り替えられたレンズ制御値に対応して励磁された対物レンズ207により集束されたビームアレイの焦点位置が試料101面上に合っているかどうかを確認する。
判定工程(S144)として、レンズ制御部74は、設定(変更)されたレンズ制御値での焦点位置が許容値内に入っているかどうか(最調整が必要かどうか)を判定する。最調整が不要の場合、データ転送工程(S150)に進む。最調整が必要な場合、レンズ制御値修正工程(S146)に進む。
レンズ制御値修正工程(S146)として、レンズ制御部74は、設定(変更)されたレンズ制御値を修正し、レンズ制御回路137に出力する。レンズ制御回路137は、修正されたレンズ制御値に設定値を切り替える。例えば、設定(変更)されたレンズ制御値を起点に予め定めた値を加算する、或いは減算することでレンズ制御値を修正すればよい。そして、フォーカス確認工程(S142)に戻り、最調整が不要になるまでフォーカス確認工程(S142)からレンズ制御値修正工程(S146)までを繰り返す。
以上により、使用するビーム本数の全電流量に応じたレンズ制御ができる。よって、ビーム本数を変更させたことに起因するフォーカスずれを抑制でき、さらに高精度な描画精度が得られる。
データ転送工程(S150)として、転送処理部76は、ショット毎に、当該ショットのON/OFF制御信号を偏向制御回路130に一括転送する。偏向制御回路130は、ショット毎に、ブランキングアパーチャアレイ機構204(ブランキング装置)に、マルチビーム20の各ビームのON/OFF制御信号を一括転送する。具体的には、偏向制御回路130は、ショット毎に、ブランキングアパーチャアレイ機構204の各ビーム用の制御回路41にON/OFF制御信号を一括転送する。言い換えれば、複数のグループG1,G2のON/OFF制御信号を一括して転送する。
図23は、実施の形態3における個別ブランキング制御回路の内部構成を示す概念図である。図23において、描画装置100本体内のブランキングアパーチャアレイ機構204に配置された個別ブランキング制御用の各制御回路41には、シフトレジスタ40、バッファレジスタ45、バッファレジスタ42、レジスタ43、カウンタ44、及びアンプ46が順に配置される。実施の形態3では、nビット(例えば、10ビット)の制御信号によって各ビーム用の個別ブランキング制御を行う。ここで、例えば、アレイ状(行列状)に配列されるp×q本のマルチビーム20のうち例えば同じ行のp本のビームの制御回路41内のシフトレジスタ40が直列に接続される。図23の例では、同じ行に並ぶ4つのビームの各制御回路41のシフトレジスタ40a,40b,40c,40dが直列に接続される場合を示している。ここで、実施の形態3では、図22に示したように、p×q本のマルチビーム20を複数のグループにグループ化する。例えば、左半分と右半分とで2つのグループG1,G2にグループ化する。同じグループ内のレジスタ43(記憶装置)同士は接続される。言い換えれば、基板31内部に配置された複数のレジスタ43(記憶装置)は、マルチビーム20を複数のグループにグループ化する。図23の例では、シフトレジスタ40が直列に接続される同じ行に配列される4つのビームの各制御回路41a~41d内のレジスタ43aとレジスタ43bが同じグループG1として接続される。レジスタ43cとレジスタ43dが同じグループG2として接続される。そして、実施の形態3では、基板31内部に配置された複数のレジスタ43(記憶装置)は、グループ毎に時期をずらしながら当該レジスタ43内に格納されるON/OFF制御信号を対応するアンプ46(スイッチング回路)に出力する。以下、具体的に説明する。
図24は、実施の形態3におけるマルチビームのON/OFF制御信号の転送処理と制御回路内の動作について説明するための図である。上述したように、実施の形態3では、実装される描画機構150で照射可能なp×q本のマルチビーム20のうち例えば同じ行のp本のビーム用のシフトレジスタ40a,40b,40c,40d,・・・が直列に接続される。よって、1回のマルチビームのショットには、マルチビームの行毎にまとめられたnビットのマルチビームのON/OFF制御信号がマルチビームの列分存在する。かかるデータ群が、マルチビームのショット毎に、偏向制御回路130からブランキングアパーチャアレイ機構204に一括転送される。例えば、かかるデータ群が、パラレルに一括転送される。n番目のショットのON/OFF制御信号が一括転送される場合、例えば、p回のクロック信号によって各ビームのON/OFF制御信号が対応するシフトレジスタ40に格納される。図24の例では、第5番目のショットのON/OFF制御信号が一括転送されている場合を示している。図24の例では、4回のクロック信号によって4本のビームのON/OFF制御信号が対応するシフトレジスタ40a,40b,40c,40dに格納される。なお、実施の形態1のように、p×q本のマルチビーム20のうち、x方向に並ぶ、例えば同じ行のp本のビームの左側半分(x方向の手前側半分)の制御回路41内のシフトレジスタ40が外周側から中央側に向かって(x方向に)直列に接続されつと共に、右側半分(x方向の後側半分)の制御回路41内のシフトレジスタ40が外周側から中央側に向かって(-x方向に)直列に接続されるように構成しても構わないことは言うまでもない。
描画工程(S152)として、描画機構150は、分割された領域(グループ)毎に照射タイミングをずらして、当該領域内のビームアレイを、ビーム本数に応じてレンズ制御値が切り替わった縮小レンズ205、及び対物レンズ207といった電磁レンズで照射しながら試料101にパターンを描画する。具体的には、以下のように動作する。
(k+2)番目のショットのON/OFF制御信号が一括転送されている時の各ビーム用のバッファレジスタ45a(バッファ1)には、(k+1)番目のショットのON/OFF制御信号が格納されている。また、同時期の各ビーム用のバッファレジスタ42a(バッファ2)には、k番目のショットのON/OFF制御信号が格納されている。図11の例では、第5番目のショットのON/OFF制御信号が一括転送されている時の各ビーム用のバッファレジスタ45a(バッファ1)には、前回のショットである第4番目のショットのON/OFF制御信号が格納されている。各ビーム用のバッファレジスタ42a(バッファ2)には、さらに前回のショットである第3番目のショットのON/OFF制御信号が格納されている。
(k+2)番目のショットのON/OFF制御信号が一括転送されている間に、偏向制御回路130からはリセット信号が、各レジスタ43に出力される。これにより、すべてのビーム用のレジスタ43に格納されたON/OFF制御信号が削除される。
次に、G1のショットとして、まず、偏向制御回路130からグループG1の読み込み1信号(ロード1)がグループG1のレジスタ43に出力される。これにより、グループ1のレジスタ43(レジスタ1)には、バッファレジスタ42a(バッファ2)に格納されているk番目のショットのON/OFF制御信号が読み込まれる。一方、グループG2のレジスタ43(レジスタ2)には、リセットされた状態が続くので、ショットのON/OFF制御信号は読み込まれない。よって、かかる状態では、グループG1のレジスタ43(レジスタ1)にだけk番目のショット(図24の例では第3番目のショット)のON/OFF制御信号が格納されている状態になる。
次に、偏向制御回路130から1回目(グループG1用)のショット信号が全ビームのカウンタ44に出力される。これにより、各ビーム用のカウンタ44は、当該ビーム用のレジスタ43に格納されているON/OFF制御信号が示す時間だけアンプ46にビームON信号を出力する。具体的には、ON/OFF制御信号が示す、当該ビームの照射時間に相当するカウント数だけクロック周期でカウントする。そして、カウントしている間だけCMOSインバータ回路(アンプ46)の入力をH(アクティブ)にする。そして、ON/OFF制御信号が示す時間が経過するとアンプ46にビームOFF信号を出力する。具体的には、カウント完了後にCMOSインバータ回路(アンプ46)の入力をLにする。ここで、グループG1のレジスタ43には、k番目のショットのON/OFF制御信号が格納されているので、グループG1のカウンタ44は、ON/OFF制御信号が示す時間だけアンプ46にビームON信号を出力する。一方、グループG2のレジスタ43には、k番目のショットのON/OFF制御信号が格納されていないので、グループG2のカウンタ44は、アンプ46にビームOFF信号を出力する。
よって、グループG1のアンプ46は、カウンタ44からビームON信号が入力されている間だけ制御電極24にグランド電位を印加することで、当該ビームを偏向せずに制限アパーチャ基板206の開口部を通過させる。一方、グループG2のアンプ46は、カウンタ44からビームON信号が入力されていないので制御電極24に正の電位(Vdd)を印加することで、当該ビームをブランキング偏向して制限アパーチャ基板206にて遮蔽する。これにより、グループG1のk番目のショット(ショットk1)が実行される。かかるショットk1において、描画機構150の動作は、上述した動作と同様である。但し、ここでは、グループG1のビームだけが設定された照射時間ビームON状態になる。
グループG1のショット(ショット1)が終了すると、k+2番目のショットのON/OFF制御信号が一括転送されている間に、偏向制御回路130からはリセット信号が、各レジスタ43に出力される。これにより、すべてのビーム用のレジスタ43に格納されたON/OFF制御信号が削除される。
次に、グループG2のショットとして、まず、偏向制御回路130からグループG2の読み込み2信号(ロード2)がグループG2のレジスタ43に出力される。これにより、グループG2のレジスタ43(レジスタ2)には、バッファレジスタ42a(バッファ2)に格納されているk番目のショットのON/OFF制御信号が読み込まれる。一方、グループG1のレジスタ43(レジスタ1)には、リセットされた状態が続くので、ショットのON/OFF制御信号は読み込まれない。よって、かかる状態では、グループG2のレジスタ43(レジスタ2)にだけk番目のショット(図24の例では第3番目のショット)のON/OFF制御信号が格納されている状態になる。
次に、偏向制御回路130から2回目(グループG2用)のショット信号が全ビームのカウンタ44に出力される。これにより、各ビーム用のカウンタ44は、当該ビーム用のレジスタ43に格納されているON/OFF制御信号が示す時間だけアンプ46にビームON信号を出力する。今回は、グループG2のレジスタ43には、k番目のショットのON/OFF制御信号が格納されているので、グループG2のカウンタ44は、ON/OFF制御信号が示す時間だけアンプ46にビームON信号を出力する。一方、グループG1のレジスタ43には、k番目のショットのON/OFF制御信号が格納されていないので、グループG1のカウンタ44は、アンプ46にビームOFF信号を出力する。
よって、グループG2のアンプ46は、カウンタ44からビームON信号が入力されている間だけ制御電極24にグランド電位を印加することで、当該ビームを偏向せずに制限アパーチャ基板206の開口部を通過させる。一方、グループG1のアンプ46は、カウンタ44からビームON信号が入力されていないので制御電極24に正の電位(Vdd)を印加することで、当該ビームをブランキング偏向して制限アパーチャ基板206にて遮蔽する。これにより、グループG2のk番目のショット(ショットk2)が実行される。描画機構150の動作は、上述した動作と同様である。但し、ここでは、グループG2のビームだけが設定された照射時間ビームON状態になる。
以上のように、マルチビーム20用の複数のCMOSインバータ回路(アンプ46)(スイッチング回路の一例)は、基板31内部に配置され、複数のレジスタ43にそれぞれ接続され、対応するレジスタ43に格納されるON/OFF制御信号に沿って2値の電位を切り替える。そして、ON/OFF制御信号が転送されている間に、各グループのショットk1,k2を、照射タイミングをずらしながら連続して行う。
ロード2信号が出力された後であって、(k+2)番目のショットのON/OFF制御信号の一括転送が終了した後に、偏向制御回路130からはバッファシフト信号がバッファレジスタ45,42に出力される。これにより、各ビーム用のバッファレジスタ45(バッファ1)には、シフトレジスタ40に格納されている(k+2)番目のショットのON/OFF制御信号がシフトされる。同時に、各ビーム用のバッファレジスタ42(バッファ2)には、バッファレジスタ45に格納されている(k+1)番目のショットのON/OFF制御信号がシフトされる。
そして、バッファシフト信号が出力された後に、次の(k+3)番目のショットのON/OFF制御信号の一括転送が開始される。以下、同様に繰り返される。このように、シフトレジスタ40、バッファレジスタ45、バッファレジスタ42、及びレジスタ43といった各記憶装置は、基板31内部に配置され、一括転送されたマルチビーム20の各ビームのON/OFF制御信号を一時的に格納する。特に、マルチビーム20の複数のレジスタ43(記憶装置)は、マルチビーム20をグループ分けすると共に、一括転送されたマルチビーム20の各ビームのON/OFF制御信号を一時的に格納する。
図24の例では、2つのバッファレジスト45,42を用いて2回先(次次回)のショットのデータ転送を行っている間に今回のショットが行われる場合を説明した。しかし、これに限るものではない。1つのバッファレジスト42を用いて1回先(次回)のショットのデータ転送を行っている間に今回のショットが行われる場合であってもよい。いずれにしても、データ転送中にその転送時に行われるショットがグループ毎にショットタイミングをずらしながらも完了すればよい。
以上のように、実施の形態3によれば、データ転送をグループ毎に分ける必要がない。よって、スループットの劣化を抑制できる。また、実施の形態3では、転送されるON/OFF制御信号自体には、ショットタイミングをずらすグループを識別する情報が無い。それにも関わらず、図23及び図24に示すように、ブランキングアパーチャアレイ機構204内での回路構成により、同一ショットとして転送されてきたデータに対して、グループ毎にショットタイミングをずらしながらビームを照射する。これにより、ON/OFF制御信号に特別な情報を定義する必要を無くすことができる。また、実施の形態3では、制御計算機110や偏向制御回路130といった制御機構で特別にビームグループを識別しながら制御する必要が無い。
図25は、実施の形態3における全ビーム電流量とショット回数との関係の一例を示す図である。高速描画モードでは、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20すべてを用いるため、ショット毎に、マルチビーム20全体が同じ照射タイミングで照射される場合を示している。ここで、個別のビーム毎に照射時間が異なるので、照射(露光)開始時が、最もクーロン効果の影響を受ける。一方、最大露光時間付近では、一部のビームの照射が既に終了しているので、クーロン効果の影響が小さくなる。よって、クーロン効果の影響を抑制するためには、照射(露光)開始時の全ビームの電流量の合計を下げることが望ましい。実施の形態3における高精度描画モードでは、マルチビーム20を複数のグループに分割して、各ショット時に、グループ毎に照射時期をずらすので、グループ単位での照射(露光)開始時の当該グループのビームの電流量の合計は、マルチビーム20全体で同時照射(露光)開始時の全ビームの電流量の合計よりも小さくできる。よって、クーロン効果の影響を低減できる。一方、各ショットのデータ転送は1回で済ますことができるので、転送時間の増加によるスループットの劣化を回避できる。高速描画モードでは、実装される描画機構150で照射可能なマルチビーム20すべてを用いるため、1回のショットの全ビーム電流量が大きい。よって、クーロン効果によるボケ等の影響を受ける。これに対して、高精度描画モードでは、ビームアレイ領域が分割されているので、同じ面積を描画するためのショット回数は増加するものの、1回のショットの全ビーム電流量を小さくでき、クーロン効果によるボケ等の影響を抑制できる。図22の例では、使用領域が制限され、8×8本のビームアレイが1/2の4×8本のビームアレイずつに分割されたため、同じ面積を描画するためのショット回数が2倍になることを示している。
図26は、実施の形態3と比較例におけるタイムチャートの一例を示す図である。図26(a)には、比較例として、1回のショットを、グループG1のショットとグループG2のショットとの2回のショットに単純に分けた場合でのデータ転送時間とショット時間との一例を示す。図26(b)には、実施の形態3における同じショットのON/OFF制御信号(ショットデータ)を一括して転送し、グループ毎に照射タイミングをずらして照射する場合でのデータ転送時間とショット時間との一例を示す。比較例では、単純に1回のショットを2回のショットに分けた場合なので、図26(a)に示すように、露光時間が、図15(a)に示した高速描画モードと比較して単純に2倍になってしまう。これに対して、実施の形態3の高精度描画モードでは、図26(b)に示すように、データ転送を一括で行い、照射タイミングをずらして描画を行うことで、ショットサイクルが略半分で済むことがわかる。
図27は、実施の形態3における個別ブランキング制御回路の内部構成の他の一例を示す概念図である。上述した例では、図27(a)に示すように、レジスタ43G1とレジスタ43G2とで示すように、レジスタ43によってグループ分けされた場合について説明したが、これに限るものではない。図27(b)に示すように、カウンタ44G1とカウンタ44G2とで示すように、カウンタ44をグループ分けすることで、ショット1、及びショット2といったショット信号を対応するグループのカウンタ44に順に出力しても良い。
以上のように、実施の形態3によれば、データ転送量を増やさずにビーム全電流量を下げることができる。よって、マルチビーム描画のスループットの劣化を抑制しながら、クーロン効果を抑制できる。したがって、クーロン効果によるマルチビーム像のいわゆるボケや位置ずれを回避或いは低減できる。さらに、ビーム本数を変更させたことに起因するフォーカスずれを抑制でき、さらに高精度な描画精度が得られる。
実施の形態4.
実施の形態3では、ブランキングアパーチャアレイ機構204にカウンタ44を搭載し、個別ブランキング機構47のカウンタ44で、個別ビームの照射時間を制御する場合に説明したが、これに限るものではない。実施の形態4では、共通ブランキング機構で個別ビームの照射時間を制御する場合に説明する。
実施の形態4における描画装置の構成は、図18と同様で構わない。実施の形態3における描画方法の要部工程を示すフローチャート図は、図21と同様で構わない。その他、以下に特に説明する点以外の内容は、実施の形態3と同様である。
図28は、実施の形態4における個別ブランキング制御回路と共通ブランキング制御回路の内部構成を示す概念図である。図28において、描画装置100本体内のブランキングアパーチャアレイ機構204に配置された個別ブランキング制御用の各制御回路41には、シフトレジスタ40、バッファレジスタ45、バッファレジスタ42、レジスタ43、及びアンプ46が配置される。なお、実施の形態3では、数ビット(例えば、10ビット)の制御信号によって制御されていた各ビーム用の個別ブランキング制御を、1~3ビット(例えば1ビット)の制御信号によって制御する。すなわち、シフトレジスタ40、バッファレジスタ45、バッファレジスタ42、及びレジスタ43には、1ビットの制御信号が入出力される。制御信号の情報量が少ないことにより、制御回路41の設置面積を小さくできる。言い換えれば、設置スペースが狭いブランキングアパーチャアレイ機構204上に制御回路41を配置する場合でも、より小さいビームピッチでより多くのビームを配置できる。
また、共通ブランキング用のロジック回路131には、レジスタ50、カウンタ52、及び共通アンプ54が配置される。こちらは、同時に複数の異なる制御を行うわけではなく、ON/OFF制御を行う1回路で済むため、高速に応答させるための回路を配置する場合でも設置スペース、回路の使用電流の制限の問題が生じない。よってこの共通アンプ54はブランキングアパーチャアレイ機構204上に実現できるアンプ46よりも格段に高速で動作する。この共通アンプ54は例えば、10ビットの制御信号によって制御する。すなわち、レジスタ50、及びカウンタ52には、例えば10ビットの制御信号が入出力される。
実施の形態4では、実施の形態2と同様、上述した個別ブランキング制御用の各制御回路41によるビームON/OFF制御と、マルチビーム全体を一括してブランキング制御する共通ブランキング制御用のロジック回路131によるビームON/OFF制御との両方を用いて、各ビームのブランキング制御を行う。また、実施の形態4では、実施の形態2と同様、1回のショットの最大照射時間を複数のサブ照射時間に分割し、複数のサブ照射時間による複数の分割ショットを組み合わせて、所望の照射時間の1回分のショットと同様のビーム照射を行う。
照射時間データ(S120)における各ビームの照射時間の演算までの各工程の内容は実施の形態3と同様である。次に、ショットデータ生成部60は、実施の形態2と同様、各画素36の照射時間データが示す照射時間を複数の分割ショット用に加工する。1回分のショットの最大照射時間Ttrを同じ位置に連続して照射される照射時間が異なるn回の分割ショットに分割する。まず、最大照射時間Ttrを量子化単位Δ(階調値分解能)で割った階調値Ntrを定める。例えば、n=10とした場合、10回の分割ショットに分割する。階調値Ntrを桁数nの2進数の値で定義する場合、階調値Ntr=1023になるように量子化単位Δを予め設定すればよい。これにより、図20に示したように、n回の分割ショットは、桁数k’=0~9までの2k’Δのいずれかの照射時間を持つ。すなわち、1回分のビームアレイのショットは、512Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、256Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、128Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、64Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、32Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、16Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、8Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、4Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、2Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、Δの照射時間tk’をもつ分割ショットと、に分割される。
よって、各画素36に照射する任意の照射時間t(=NΔ)は、かかる512Δ(=29Δ),256Δ(=28Δ),128Δ(=27Δ),64Δ(=26Δ),32Δ(=25Δ),16Δ(=24Δ),8Δ(=23Δ),4Δ(=22Δ),2Δ(=21Δ),Δ(=20Δ)及びゼロ(0)の少なくとも1つの組み合わせによって定義できる。なお、各画素36に照射する任意の照射時間tの階調値Nを2進数変換する場合には、できるだけ大きい桁の値を使用するように定義すると好適である。
ショットデータ生成部60は、まず、画素36毎に得られた照射時間tを量子化単位Δ(階調値分解能)で割ることで整数の階調値Nデータを算出する。階調値Nデータは、例えば、0~1023の階調値で定義される。量子化単位Δは、様々に設定可能であるが、例えば、1ns(ナノ秒)等で定義できる。量子化単位Δは、例えば1~10nsの値を用いると好適である。
次に、ショットデータ生成部60は、画素36毎に、ビームONにする分割ショットの合計照射時間が、演算されたビームの照射時間に相当する組合せになるように複数の分割ショットの各分割ショットをビームONにするか、ビームOFFにするかを決定する。画素36毎に得られた照射時間tは、値0と1のいずれかを示す整数wk’と、n個の分割ショットのk’桁目の分割ショットの照射時間tk’とを用いて、上述した式(1)で定義される。整数wk’が1になる分割ショットはON、整数wk’が0になる分割ショットはOFFに決定できる。
次に、ショットデータ生成部60は、1回分のショットを同じ位置に連続して照射される照射時間が異なる複数回の分割ショットに分割するための分割ショットの照射時間配列データを生成する。ショットデータ生成部60は、画素36毎に、当該画素に実施される分割ショットの照射時間配列データを生成する。
そして、データ配列加工工程(S122)配列加工部62は、各ビームのショット順に、照射時間配列データを加工する。ここでは、描画シーケンスに沿って、マルチビーム20が順にショットすることになる画素36順に各画素36の照射時間配列データが並ぶように順序を加工する。また、各ショット中の各分割ショットにおいて、直列に接続されたシフトレジスタ40順にON/OFF制御信号が並ぶように順序を加工する。加工されたON/OFF制御信号は、記憶装置142に格納される。
レンズ制御値変更工程(S140)と、フォーカス確認工程(S142)と、判定工程(S144)と、レンズ制御値修正工程(S146)と、の各工程の内容は、実施の形態3と同様である。
データ転送工程(S150)として、転送処理部76は、分割ショット毎に、当該ショットのON/OFF制御信号を偏向制御回路130に一括転送する。偏向制御回路130は、分割ショット毎に、ブランキングアパーチャアレイ機構204(ブランキング装置)に、マルチビーム20の各ビームのON/OFF制御信号を一括転送する。具体的には、偏向制御回路130は、分割ショット毎に、ブランキングアパーチャアレイ機構204の各ビーム用の制御回路41にON/OFF制御信号を一括転送する。言い換えれば、複数のグループG1,G2のON/OFF制御信号を一括して転送する。
描画工程(S152)として、描画機構150は、ブランキングアパーチャアレイ機構204に搭載された複数の個別ブランキング機構47によってマルチビーム20が複数のグループにグループ化されたグループ毎に照射タイミングを切り替えながら、一括転送された各ビームのON/OFF制御信号に沿ってマルチビーム20を描画対象基板101に照射する。具体的には、以下のように動作する。
実施の形態4では、nビット(例えば、1ビット)の制御信号によって各ビーム用の個別ブランキング制御を行う。実施の形態4では、図22に示したように、p×q本のマルチビーム20を複数のグループにグループ化する。例えば、左半分と右半分とで2つのグループG1,G2にグループ化する。同じグループ内のレジスタ43(記憶装置)同士は接続される。言い換えれば、基板31内部に配置された複数のレジスタ43(記憶装置)は、マルチビーム20を複数のグループにグループ化する。図28の例では、シフトレジスタ40が直列に接続される同じ行に配列される4つのビームの各制御回路41a~41d内のレジスタ43aとレジスタ43bが同じグループG1として接続される。レジスタ43cとレジスタ43dが同じグループG2として接続される。そして、実施の形態4では、基板31内部に配置された複数のレジスタ43(記憶装置)は、グループ毎に時期をずらしながら当該レジスタ43内に格納されるON/OFF制御信号を対応するアンプ46(スイッチング回路)に出力する。以下、具体的に説明する。
図29は、実施の形態4におけるマルチビームのON/OFF制御信号の転送処理と制御回路内の動作について説明するための図である。上述したように、実施の形態4では、p×q本のマルチビーム20のうち例えば同じ行のp本のビーム用のシフトレジスタ40a,40b,40c,40d,・・・が直列に接続される。よって、1回のマルチビームのショットには、マルチビームの行毎にまとめられた1ビットのマルチビームのON/OFF制御信号がマルチビームの列分存在する。かかるデータ群が、マルチビームの分割ショット毎に、偏向制御回路130からブランキングアパーチャアレイ機構204に一括転送される。例えば、かかるデータ群が、パラレルに一括転送される。図29に示すように、(k+2)番目の分割ショットのON/OFF制御信号が一括転送される場合、例えば、p回のクロック信号によって各ビームのON/OFF制御信号が対応するシフトレジスタ40に格納される。図29の例では、第5番目の分割ショット(k’=5桁目の分割ショット)のON/OFF制御信号が一括転送されている場合を示している。図29の例では、4回のクロック信号によって4本のビームのON/OFF制御信号が対応するシフトレジスタ40a,40b,40c,40dに格納される。
(k+2)番目の分割ショットのON/OFF制御信号が一括転送されている時の各ビーム用のバッファレジスタ45a(バッファ1)には、(k+1)番目の分割ショットのON/OFF制御信号が格納されている。また、同時期の各ビーム用のバッファレジスタ42a(バッファ2)には、k番目の分割ショットのON/OFF制御信号が格納されている。図29の例では、第5番目の分割ショット(k’=5桁目の分割ショット)のON/OFF制御信号が一括転送されている時の各ビーム用のバッファレジスタ45a(バッファ1)には、前回の分割ショットである第4番目の分割ショット(k’=6桁目の分割ショット)のON/OFF制御信号が格納されている。各ビーム用のバッファレジスタ42a(バッファ2)には、さらに前回の分割ショットである第3番目の分割ショット(k’=7桁目の分割ショット)のON/OFF制御信号が格納されている。
(k+2)番目の分割ショットのON/OFF制御信号が一括転送されている間に、偏向制御回路130からはリセット信号が、各レジスタ43及びレジスタ50に出力される。これにより、すべてのビーム用のレジスタ43に格納されたON/OFF制御信号が削除される。同様に、共通ブランキング用のレジスタ50に格納されたON/OFF制御信号が削除される。
次に、まず、偏向制御回路130からグループ1の読み込み1信号(ロード1)がグループ1のレジスタ43に出力される。これにより、グループ1のレジスタ43a(レジスタ1)には、バッファレジスタ42a(バッファ2)に格納されているk番目の分割ショットのON/OFF制御信号が読み込まれる。一方、グループ2のレジスタ43c(レジスタ2)には、リセットされた状態が続くので、分割ショットのON/OFF制御信号は読み込まれない。よって、かかる状態では、グループ1のレジスタ43(レジスタ1)にだけk番目の分割ショット(図29の例では第3番目の分割ショット)のON/OFF制御信号が格納されている状態になる。これにより、各ビーム用のアンプ46は、当該ビーム用のレジスタ43に格納されているON/OFF制御信号に従って、制御電極24に印加する電位を切り替える。例えば、ON/OFF制御信号が”1”であれば、CMOSインバータ回路にH電位(アクティブ電位)を入力する。これにより、CMOSインバータ回路の出力は、グランド電位となり、ビームON状態になる。例えば、ON/OFF制御信号が”0”であれば、CMOSインバータ回路にL電位を入力する。これにより、CMOSインバータ回路の出力は、正の電位となり、ビームOFF状態になる。
また、同時期に、偏向制御回路130からk番目の分割ショットの照射時間を示す共通ON/OFF制御信号が共通ブランキング機構のロジック回路131のレジスタ50に出力される。これにより、共通ブランキング用のレジスタ50には、k番目の分割ショットの共通ON/OFF制御信号が読み込まれる。
次に、偏向制御回路130から1回目(グループ1用)のショット信号が共通ブランキング機構のロジック回路131のカウンタ52に出力される。これにより、共通ブランキング用のカウンタ44は、共通ブランキング用のレジスタ50に格納されている共通ON/OFF制御信号が示す時間だけ共通アンプ54にビームON信号を出力する。具体的には、今回の分割ショットの照射時間に相当するカウント数だけクロック周期でカウントする。そして、カウントしている間だけCMOSインバータ回路(図示せず)の入力をH(アクティブ)にする。そして、共通ON/OFF制御信号が示す時間が経過すると共通アンプ54にビームOFF信号を出力する。具体的には、カウント完了後にCMOSインバータ回路の入力をLにする。
ここで、k番目の分割ショットのために、既に、グループ1のビーム用のアンプ46からはON/OFF制御信号に従って、ビームON或いはビームOFFにする偏向電位が制御電極24に印加されている。一方、グループ2のビーム用のアンプ46からはビームOFFにする偏向電位(正の電位)が制御電極24に印加されている。かかる状態で、共通ブランキング用の偏向器212によって、今回の分割ショットの照射時間を制御する。すなわち、カウンタ44がビームON信号を出力している間だけ、マルチビーム20全体をブランキング偏向せずに、制限アパーチャ基板206の開口部を通過可能にする。逆に、その他の時間は、マルチビーム20全体をブランキング偏向して、制限アパーチャ基板206でマルチビーム20全体を遮蔽する。これにより、グループ1のk番目の分割ショット(ショットk1)が実行される。
グループ1の分割ショット(ショット1)が終了すると、偏向制御回路130からはリセット信号が、各レジスタ43に出力される。これにより、すべてのビーム用のレジスタ43に格納されたON/OFF制御信号が削除される。
次に、偏向制御回路130からグループ2の読み込み2信号(ロード2)がグループ2のレジスタ43に出力される。これにより、グループ2のレジスタ43c(レジスタ2)には、バッファレジスタ42c(バッファ2)に格納されているk番目の分割ショットのON/OFF制御信号が読み込まれる。一方、グループ1のレジスタ43(レジスタ1)には、リセットされた状態が続くので、分割ショットのON/OFF制御信号は読み込まれない。よって、かかる状態では、グループ2のレジスタ43c(レジスタ2)にだけk番目の分割ショット(図29の例では第3番目のショット)のON/OFF制御信号が格納されている状態になる。これにより、各ビーム用のアンプ46は、当該ビーム用のレジスタ43に格納されているON/OFF制御信号に従って、制御電極24に印加する電位を切り替える。例えば、ON/OFF制御信号が”1”であれば、CMOSインバータ回路にH電位(アクティブ電位)を入力する。これにより、CMOSインバータ回路の出力は、グランド電位となり、ビームON状態になる。例えば、ON/OFF制御信号が”0”であれば、CMOSインバータ回路にL電位を入力する。これにより、CMOSインバータ回路の出力は、正の電位となり、ビームOFF状態になる。
また、同時期に、偏向制御回路130からk番目の分割ショットの照射時間を示す共通ON/OFF制御信号が共通ブランキング機構のロジック回路131のレジスタ50に出力される。これにより、共通ブランキング用のレジスタ50には、k番目の分割ショットの共通ON/OFF制御信号が読み込まれる。
次に、偏向制御回路130から2回目(グループ2用)のショット信号が共通ブランキング機構のロジック回路131のカウンタ52に出力される。これにより、共通ブランキング用のカウンタ44は、共通ブランキング用のレジスタ50に格納されている共通ON/OFF制御信号が示す時間だけ共通アンプ54にビームON信号を出力する。そして、共通ON/OFF制御信号が示す時間が経過すると共通アンプ54にビームOFF信号を出力する。
ここで、k番目の分割ショットのために、既に、グループ2のビーム用のアンプ46からはON/OFF制御信号に従って、ビームON或いはビームOFFにする偏向電位が制御電極24に印加されている。一方、グループ1のビーム用のアンプ46からはビームOFFにする偏向電位(正の電位)が制御電極24に印加されている。かかる状態で、共通ブランキング用の偏向器212によって、今回の分割ショットの照射時間を制御する。すなわち、カウンタ44がビームON信号を出力している間だけ、マルチビーム20全体をブランキング偏向せずに、制限アパーチャ基板206の開口部を通過可能にする。逆に、その他の時間は、マルチビーム20全体をブランキング偏向して、制限アパーチャ基板206の開口部でマルチビーム20全体を遮蔽する。これにより、グループ2のk番目の分割ショット(ショットk2)が実行される。
以上のように、実施の形態4においても、実施の形態3と同様、マルチビーム20用の複数のCMOSインバータ回路(アンプ46)(スイッチング回路の一例)は、基板31内部に配置され、複数のレジスタ43にそれぞれ接続され、対応するレジスタ43に格納されるON/OFF制御信号に沿って2値の電位を切り替える。そして、ON/OFF制御信号が転送されている間に、各グループのショットk1,k2を、照射タイミングをずらしながら連続して行う。
ロード2信号が出力された後であって、(k+2)番目の分割ショットのON/OFF制御信号の一括転送が終了した後に、偏向制御回路130からはバッファシフト信号がバッファレジスタ45,42に出力される。これにより、各ビーム用のバッファレジスタ45(バッファ1)には、シフトレジスタ40に格納されている(k+2)番目の分割ショットのON/OFF制御信号がシフトされる。同時に、各ビーム用のバッファレジスタ42(バッファ2)には、バッファレジスタ45に格納されている(k+1)番目の分割ショットのON/OFF制御信号がシフトされる。
そして、バッファシフト信号が出力された後に、次の(k+3)番目の分割ショットのON/OFF制御信号の一括転送が開始される。以下、同様に繰り返される。このように、シフトレジスタ40、バッファレジスタ45、バッファレジスタ42、及びレジスタ43といった各記憶装置は、基板31内部に配置され、一括転送されたマルチビーム20の各ビームのON/OFF制御信号を一時的に格納する。特に、マルチビーム20の複数のレジスタ43(記憶装置)は、マルチビーム20をグループ分けすると共に、一括転送されたマルチビーム20の各ビームのON/OFF制御信号を一時的に格納する。
図29の例では、2つのバッファレジスト45,42を用いて2回先(次次回)の分割ショットのデータ転送を行っている間に今回の分割ショットが行われる場合を説明した。しかし、これに限るものではない。1つのバッファレジスト42を用いて1回先(次回)の分割ショットのデータ転送を行っている間に今回の分割ショットが行われる場合であってもよい。
以上のように、実施の形態4によれば、データ転送をグループ毎に分ける必要がない。よって、スループットの劣化を抑制できる。また、実施の形態4では、転送されるON/OFF制御信号自体には、分割ショットのタイミングをずらすグループを識別する情報が無い。それにも関わらず、図28及び図29に示すように、ブランキングアパーチャアレイ機構204内での回路構成により、同一分割ショットとして転送されてきたデータに対して、グループ毎に分割ショットのタイミングをずらしながらビームを照射する。これにより、ON/OFF制御信号に特別な情報を定義する必要を無くすことができる。また、実施の形態4では、制御計算機110や偏向制御回路130といった制御機構で特別にビームグループを識別しながら制御する必要が無い。
図30は、実施の形態4におけるデータ転送時間と分割ショット時間との関係の一例を示す図である。実施の形態4では、1~3ビット(例えば1ビット)の制御信号によって個別ブランキング機構47の制御回路41を制御するので、個々の分割ショットのデータ転送時間を短くできる。そのため、図30に示すように、n回の分割ショットのうち、照射時間が長い方の分割ショット(例えば、512Δの照射時間の分割ショット)では、データ転送時間内に、全グループの分割ショットを終了しきれない場合が発生する。一方、照射時間が短い方の分割ショット(例えば、128Δ以下の照射時間の分割ショット)では、データ転送時間内に3グループ以上(図30の例では4グループ以上)の分割ショットが可能になる。よって、実施の形態4では、n回の分割ショットの合計時間よりも例えば分割ショット1回分長く描画時間がかかってしまう。しかし、データ転送自体は、分割ショット毎に1回ずつで良いため、描画時間の遅延時間を最小限に留めることができる。
以上のように、実施の形態4によれば、データ転送量を増やさずにビーム全電流量を下げることができる。よって、マルチビーム描画のスループットの劣化を抑制しながら、クーロン効果を抑制できる。したがって、クーロン効果によるマルチビーム像のいわゆるボケや位置ずれを回避或いは低減できる。さらに、ビーム本数を変更させたことに起因するフォーカスずれを抑制でき、さらに高精度な描画精度が得られる。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。上述した例では、各画素に対してショット或いは複数の分割ショットを1回ずつ行う場合を示したが、これに限るものではない。さらに、Lパスの多重描画をおこなっても良い。例えば、Lパスの多重描画の各パスについて、ショット或いは複数の分割ショットを行えばよい。
また、ネガレジストではビームが照射される領域がレジストパターンとして残るため、実質的なパターンだけではなく、かかる実質的なパターンが存在しない領域についても描画することになる。そのため、実質的なパターンが存在しない領域(寸法精度が低くても構わない領域)については、グループ数を1にし、実質的なパターンが存在する領域(寸法精度が高いことが要求される領域)については、グループ数を2以上に設定すると好適である。
また各グループのビームの数は、全ビームの数をグループの数で割った数でなくてもよい。例えば図12において、使用領域であるビームアレイを4×4でなく6×6にしてもよい。この場合使用領域外のビームアレイ用のレジスタでは使用領域のビームアレイのデータすべてを保持できないが、使用領域外のビームアレイ用のレジスタで保持するデータと合せて保持できないビームアレイのデータを新規に使用領域のビームアレイ用のレジスタに転送すればよい。
また、上述した例では、バッファレジスタ45、バッファレジスタ42、及びレジスタ43といったように、記憶装置として、レジスタを用いているがこれに限るものではない。レジスタの代わりにメモリを用いて良い。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。例えば、描画装置100を制御する制御部構成については、記載を省略したが、必要とされる制御部構成を適宜選択して用いることは言うまでもない。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのマルチ荷電粒子ビーム描画装置およびマルチ荷電粒子ビーム描画方法は、本発明の範囲に包含される。