JP7188695B2 - 無水石膏製造形物およびその製造方法 - Google Patents

無水石膏製造形物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、型形状に賦形された無水石膏と当該無水石膏に含浸された樹脂から生成されたタール及び/又はピッチで形成された無水石膏製造形物及びその製造方法に関するものであるものであり、特に無水石膏製造形物が成形材料を所望の賦形するための成形用型及びその製造方法に関するものである。
溶融樹脂や溶融ゴム、溶湯金属などの成形材料を注入して所望形状の製品(成形品)を製造するための成形用型は、注入する成形材料や圧力、温度によって異なっており、金型や砂型(シェルモールド、中子を含む、以下同じ)、石膏型がある。金型は、溶湯金属や溶融樹脂を圧入する成形用型として利用されており、砂型と比べると型を何回も繰り返し使え、冷却速度が速いので生産効率が高いという長所がある。しかし、金型の製作費用が高く、製作期間が長期であるという短所がある。また、金型の補修管理が必要である。
一方、砂型は、溶融金属を注入する型(鋳型)として使用されており、その種類には生型、自硬性型、ガス硬化型(水ガラス型)および熱硬化型(シェルモールド)などがある。特に水を全く使用しない方法としては、ガス硬化型(炭酸ガス型)がある。この砂型は、珪砂に3~4%の水ガラスを添加して賦形した型に、炭酸ガスを通過させることにより硬化させて砂型としたものである。この砂型に含有する水分は、分解水だけなので非常に少なく、硬化後に抜型ができるので、寸法精度がよい等の長所がある。また、鋳物を取り出すときに砂型を破壊するので、補修管理の手間がない。一方、成形材料を圧入することができず、前記鋳型自体に吸湿性があるので、長時間放置すると強度が低下するという短所がある。
シェルモールド法は砂に石炭酸系合成樹脂粉末を3~4%混ぜて作られたレジンサンドを用いる。これを予め金属で作られた模型を250~350℃に熱してその上にこのレジンサンドを振り掛け、一定時間放置するとレジンサンドが硬化しシェル(殻)となる。これを砂で周辺を固めて鋳型とする方法である。シェルモールドは、250~350℃の熱処理に耐えなければならないから、金属製の模型が用いられており、模型の製作には切削加工が必要であり、製作費が高くなるという短所がある。
木型製法の石膏型は、半水石膏(焼石膏)を水で練ってスラリー状にして、木型に塗布したあと乾燥後脱型したものである。半水石膏が水和反応により二水石膏(硫酸カルシウムの二水和物)となって型を形成している。この石膏型は、その使用回数は限られるが、製造費用は安価であり、少量多品種の生産に適している。また、砂型と比べて寸法精度が高いという長所がある。しかし、二水石膏は二分子の水を含んでいるから、溶融樹脂や溶融金属を注入すると、含まれている水が水蒸気となって鋳造キャビティに滞留し、湯回り不良を起こすという短所がある。
石膏積層法の3Dプリンタにより賦形された石膏型は、焼石膏に似た水溶性の材料(3DSystems社・石膏ベースパウダー(石膏系混合物、以下「石膏」という))の粉末(粒径0.1mm)を薄く敷き詰め、その上からインクジェットヘッドによる微小水滴噴射で固形化することにより造形された型である。この石膏型の造形には木型が不要であり、製作期間が短いという長所がある。しかし、石膏により生成したものが主成分であるから、上記木型製法の石膏型と同様な問題を有するほかに、賦形後の強度が低く、更に石膏の吸湿作用により時間経過とともに強度低下が起きるという短所がある。
そこで、賦形後の強度を高めるために、熱硬化性樹脂を含浸させる方法が採用されている。例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂のような熱硬化性樹脂を主成分とし、これに脂肪族アミンや芳香族アミン、酸無水物、第3級アミンのような硬化剤を加えたものが使用されている。また、賦形された石膏型の表層をシアノアクリレートやエポキシ樹脂などでコーティングすることにより、石膏の吸湿による強度低下を防止している。しかし、前記の石膏型をそのまま金属成形用の鋳型ないし中子として用いた場合、その主成分が石膏であるから、木型製法の石膏型と同様に、湯回り不良を起こす。
なお、特許文献1には、原料石膏(半水石膏)を乾燥させて形成された無水石膏製の成型体が開示されている。また、特許文献2には、石膏系鋳型を550℃~800℃の温度で加熱処理する工程が開示されている。
特開2004-330215公報
特開2000-117415公報
本発明の第1の目的は、以上のような従来の欠点に鑑み、溶融樹脂や溶融ゴム、溶湯金属などの成形材料を注入することができる無水石膏製成形用型を提供することである。
本発明の第2の目的は、溶融樹脂や溶融ゴム、溶湯金属などの成形材料を注入する際に使用可能な無水石膏製成形用型の製造方法を提供することである。
請求項1の無水石膏製造形物は、所望の形状に造形された無水石膏と当該無水石膏に付着したタール及び/又はピッチで形成されたものである。
請求項2の発明は、請求項1記載の無水石膏製造形物において、前記無水石膏は、所望の形状に造形された石膏製造形物を熱処理して生成したものであり、前記タール及び/又はピッチは、前記石膏製造形物に含浸した樹脂を乾留して生成したものである。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の無水石膏製造形物において、前記石膏製造形物の造形を、石膏積層法の3Dプリンタを用いて造形したものである。
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の無水石膏製造形物が模型または成形用型である。
請求項5記載の無水石膏製成形用型の製造方法は、所望の形状の造形された石膏製造形物を熱処理して無水石膏製型を生成させる工程と、当該無水石膏製型に含浸した樹脂を乾留することにより、前記無水石膏に付着したタール及び/又はピッチを生成させる工程を有するものである。
請求項6記載の発明方法は、請求項5記載の無水石膏製造形物の製造方法において、半水石膏と水を練り合わせてなるスラリーを木型に塗布後脱型して所望の形状に造形された石膏製造形物を用いるものである。
請求項7記載の発明方法は、請求項5記載の無水石膏製造形物の製造方法において、石膏積層法の3Dプリンタを用いて所望の形状に造形された石膏製造形物を用いるものである。
請求項8記載の発明方法は、請求項7記載の無水石膏製造形物の製造方法において、3Dモデリングソフトウエアを用いて模型または成形用型の3Dデータを作成する工程と、当該3Dデータを用いて石膏製造形物を造形する工程を備えたものである。
請求項9の発明方法は、請求項4記載の模型を用い、前記模型を熱硬化性樹脂を含む鋳物砂で被覆し、240~280℃に加熱して熱硬化樹脂を硬化させたあとに、模型を脱型ないし崩壊して除去し、模型が転写された鋳造キャビティを形成したものである。
請求項10の発明方法は、請求項4記載の模型を用い、当該模型を耐熱容器に収容し、当該耐熱容器に金属溶湯を注入して固化後に、固化した金属製ブロックと共に前記金属ブロックに埋設された模型を取り出し、更に前記模型を脱型ないし崩壊して除去する、金属製成形用型の製造方法。
請求項1記載の発明は、所望の形状に造形された無水石膏と当該無水石膏に付着したタール及び/又はピッチで無水石膏製造形物を形成したから、含まれている水分は非常に少ない、耐熱性及び強度がある造形物を提供することができる。
請求項2記載の発明は、前記無水石膏が所望の形状に造形された石膏製造形物を熱処理して生成しものであり、前記タール及び/又はピッチが前記石膏製造形物に含浸した樹脂を乾留して生成したものであるから、乾留という熱処理を行うことにより、耐熱性や強度を有する無水石膏製造形物を提供することができる。しかも、樹脂の種類を選択することにより、無水石膏製造形物の強度を変えることができる。
請求項3記載の発明は、積層石膏法の3Dプリンタにより造形するものであるから、製造期間が短く、寸法精度が高く、顧客の要望を反映した無水石膏製造形物を得ることができる。
請求項4記載の発明は、無水石膏製造形物が模型または成形用型であるから、模型を用いてシェル型を作りことができ、成形用型に成形材料を注入してプラスチック成形品や鋳物を作ることができる。
請求項5記載の発明方法は、所望の形状の造形された石膏製造形物を熱処理して無水石膏製型を生成させる工程と、当該無水石膏製型に含浸した樹脂を乾留することにより、前記無水石膏に付着したタール及び/又はピッチを生成させる工程とを有しているから、簡単な熱処理工程で無水石膏製造形物を製作することができる。
請求項6記載の発明方法は、半水石膏と水を練り合わせてなるスラリーを原型に塗布後脱型して、原型が反転した形状に造形された石膏製造形物を用いるものであるから、従来の造形方法を利用することができる。
請求項7記載の発明方法は、石膏積層法の3Dプリンタを用いて所望の形状に造形された石膏製造形物を用いるものであるから、無水石膏製造形物を短い期間で製作することができる。
請求項8記載の発明方法は、3Dモデリングソフトウエアを用いて模型または成形用型の3Dデータを作成する工程と、当該3Dデータを用いて石膏製造形物を造形する工程を備えるものであるから、模型をディスプレイに表示させて顧客と相談しながら修正を加えて、顧客満足度の高い模型の3Dデータを作成することができる。また、当該3Dデータを用いて石膏積層法の3Dプリンタで出力することにより、石膏製型を形成することができる。模型及び成形用型の3Dデータはコンピュータでの管理が容易である。
請求項9の発明方法は、請求項4記載の模型を用い、前記模型を熱硬化性樹脂を含む鋳物砂で被覆し、230~300℃に加熱して熱硬化樹脂を硬化させたあとに、模型を脱型ないし崩壊して除去し、模型が転写された鋳造キャビティを形成したものであるから、シェル型を短期間で製造することができる。
請求項10の発明方法は、請求項4記載の模型を用い、当該模型を耐熱容器に収容し、当該耐熱容器に金属溶湯を注入して固化後に、金属製ブロックおよび前記ブロックに埋設された模型を取り出し、更に前記模型を脱型ないし崩壊して除去するものであるから、金型等を短期間で安価に製造することができる。
ディスプレイに表示された模型の正面図である。 図1のA-A断面図及びA-A断面図を成形する成形用型の断面図である。 本発明の無水石膏製成形用型のB部拡大断面図である。 縦軸に炉内温度を、横軸に処理時間をとった熱処理の昇温パターンである。 本発明の無水石膏製中子および金型を模式的に示す断面図である。 脱型後の鋳物から中子を除く操作の模式図である。 シェルモールド法の工程を示す摸試図である。 射出成形用の金型を製造する工程を示す摸試図である。
本発明は、所定の形状に造形された無水石膏と当該無水石膏に付着したタール及び/又はピッチで形成された無水石膏製造形物である。無水石膏は、所定の形状に造形された石膏製造形物を150~250℃の熱処理することにより得ることができる。石膏は、熱処理温度が70~130℃で半水石膏となり、110~200℃でIII型無水石膏(可溶性)となり、200~250℃でII型無水石膏(水和しにくい)となり、1150~1200℃でI型無水石膏になる。造形方法としては、所定の形状の容器に無水石膏及び接着剤を充填して圧縮する方法、半水石膏を水で練って木型に塗布する方法、石膏積層法の3Dプリンタで出力する方法などがある。
一般的にタールとは、固体炭素化合物を乾留して生成する粘稠油状の液体であり、ピッチとは、固体炭素化合物を乾留して生成する黒色固形物である。本発明でいう樹脂から生成されたタール及び/又はピッチとは、樹脂を乾留することにより生成した粘稠油状の液体ないし黒色固形物である。使用可能な樹脂としては、乾留することによりタール及び/ピッチを残留するものであればよく、天然樹脂や合成樹脂を使用することができる。例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などの低融点を有する熱可塑性樹脂を使用することができる。
ここで、熱処理とは、乾燥や熱分解、乾留を含むが概念である。乾燥は化学反応をともなわない熱処理であり、熱分解は熱分解反応を伴った熱処理である。乾留は不揮発性の固体有機物を空気を断ったまま強熱して熱分解すると同時に、その熱分解生成物を揮発性有機化合物と不揮発性物質に分けることである。つまり、空気を遮断した状態で加熱することで、燃焼を抑えつつ、熱分解を行う熱処理である。本発明でいう乾留とは、空気を遮断した状態で、樹脂を熱分解温度以上に加熱し、分解反応で生成する水や二酸化炭素、可燃性ガスなどの揮発性有機化合物を排出すると共に、不揮発性物質のタール及び/又はピッチを無水石膏に付着した状態で得る熱処理である。乾留も熱処理の一種であるから、石膏を無水石膏に変化させる熱処理として利用することができる。つまり、造形後の石膏製造形物の熱処理と、前記石膏製造形物に含浸された樹脂からタール及び/又はピッチの生成する熱処理を、乾留という一つの熱処理で行うことができる。
樹脂の熱分解温度は樹脂の種類によって異なっており、熱重量曲線により知ることができる。エポキシ樹脂は熱分解温度Tdが約350℃であり、400~420℃で90%、500℃で95%が熱分解する。ポリプロピレンの熱分解温度は約400℃であり、460℃で90%、470℃で100%が熱分解する。ポリエチレンの熱分解温度は約430℃であり、480℃で90%、490℃で100%が熱分解する。ポリ(シアノアクリレート)の熱分解温度は約250℃であり、300~330℃で80~90%が熱分解する。なお、生成したタール及び/又はピッチは、550℃~600℃以上でコークス化して型崩れを起こすので、乾留温度の上限を550℃未満、好ましくは500℃以下とするのがよい。
シアノアクリレートは単官能モノマーなので、これが重合して得られるポリ(シアノアクリレート)は連鎖状の熱可塑性樹脂であり、このため耐熱性が劣る。熱分解温度は250℃で低く、330℃の乾留で100%近く熱分解する。乾留で生成したタール及び/ピッチは、他の種類の樹脂から生成したものより衝撃に弱いので、シェル型の原型製作や中子の崩壊性を確保するうえで好適である。
本発明の無水石膏製造形物は、金型や砂型、石膏型に代えて使用することができる。砂型の一種である中子は鋳物の空洞部分や穴などをつくるために、金型内のその部分にセットされるものであり、特に複雑な内部形状を有する鋳物を鋳造するときに使用される。中子を金型の中にセットし、溶湯金属を流し込んだ後に鋳物とともに取り出し、衝撃を与えて中子を破壊して取り出す。中子はすべて一つひとつが消耗品であり、精度と崩壊性の良さが求められる。無水石膏に含浸する樹脂の種類及び樹脂の含浸量を選択することにより、無水石膏に付着した状態で得られるタール及び/又はピッチの種類や付着重量を選択することができ、シェル型の原型製造や中子の強度を適切な強度及び耐熱性を有するものに設定することができ、中子の崩壊性を確保することができる。
3Dモデリングソフトウエアにより作成した型モデルの3Dデータを用いて、石膏積層法の3Dプリンタで出力するものであるから、造形物以外の部分の粉末が造形物を支持することができるので、サポート材が不要であるから、球面や曲面、中空部を有する石膏製造形物を形成することができ、3次元的な中子を形成することも可能である。
図1はディスプレイに表示された表札モデル(模型)を示す図である。図1の表札モデル1は、矩形の外枠体2の内側奥部に、青海波模様の地模様体3を一体形成し、地模様体の表面に「木戸」という文字4を立体的に成形したものである。外枠体2は、幅3mmで厚さ6mmの棒材を縦長さ120mm、横長さ230mmの矩形に連結した形状である。地模様体3は、幅及び厚さ3mmの波形材5をその屈曲部で交差させて網状に形成したものであり、その外側先端部が外枠体2の内側奥部に連結されている。波形材5で区画された空間は扇形の透孔6となっている。
地模様体3の前面に左右対称位置に配置された「木戸」の文字4は、扇形の透孔6より大きく形成されており、各文字は波形材5と一体的に形成されると共に、複数の透孔6(図面上は5個の透孔)にかかるように配置されている。文字4の奥側面は地模様体3の奥側面と面一である。各文字4の前面は地模様体3から前方に3mmに突出しており、立体的に浮き出ている。文字の前面と外枠体の前面とは同一平面上にあり、文字の奥行寸法は6mmである。
表札モデル1の3Dデータを作成するには、コンピュータにインストールされた3Dデータ作成ソフト(3Dモデリングソフトウエア)を動作させて、まず、扇形の透孔6を有する地模様体3の3Dデータのファイルを作製する。次に、矩形の外枠体2の3Dデータのファイルを作成する。最後に文字「木戸」4の3Dデータのファイルを作成する。各ファイルの作成後に、地模様体の3Dデータを呼び出し、この3Dデータに外枠体の3Dデータを重ねて足し算し、不要な部分は削除することにより、外枠体に囲まれた地模様体の3Dデータファイルを作成する。このファイルに文字の3Dデータを取り込んで、地模様体の所望の位置に文字を配置した表札モデル1の3Dデータファイルとする。
3Dモデリングソフトウエアとして、例えば、ソリッドワークスやスペースクレーム、オートディスクの3D―CAD用ソフトウエアがある。また、123Dデザイン(拡張子.123d)やDSメカニカル(拡張子.rsdoc)、フュージョン360のようなフリーのモデリングソフトウエアを使用することができる。作成された3Dデータは、3Dプリンタ用の3Dデータ(拡張子.stl)に変換して保管する。
図2は、図1の表札モデルをスライシングソフトでA-A線で切断したものと、3Dデータを作成された成形用型11を示したものである。成形用型11は、A-A線に相当する位置でスライシングソフトで切断した状態で、ディスプレイに表示されている。成形用型11において、文字4と地模様体3と外枠体2が一体的に成形されるように、それぞれが連通された鋳造キャビティ12が形成されている。
成形用型11の3Dデータを作成するときは、コンピュータの画面に表示された直方体13の奥側(表札モデル側)から表札モデル11を没入させ、表札モデル1の奥側面が直方体13の奥側面と一致す位置で固定し、引き算(CombineコマンドのSubtract)することにより、直方体13の奥側面に表札モデルの形状に相当する鋳造キャビティ12を有する型モデルの3Dデータを作成することができる。なお、足し算や引き算という用語は、使用するソフトウエアによっては、ブーリアン(集合演算)と呼ばれることもある。
図3は、図2の成形用型の3Dデータを用いて、石膏積層法の3Dプリンタ(3DSystems社・ProJet660pro)で出力した石膏製成形用型に樹脂を含浸させたものであり、図2のB部に相当する位置の拡大図である。具体的は、造形された石膏製成形用型は、3DSystems社・石膏ベースパウダー(石膏系混合物、単に石膏という)の粉末(粒径0.1mm)をシアノアクリレート樹脂で固めたものである。石膏製成形用型21において、石膏22の重量は393g、含浸したシアノアクリレート樹脂(3DSystems社・純正品)の重量は149gであり、その総重量は542gである。石膏製成形用型21の外形寸法は縦120mm×横230mm×厚さ15mmである。シアノアクリレート樹脂が表面から2mmの深さまで浸透しており、シアノアクリレート樹脂が含浸された石膏製成形用型の表層22aを形成する。石膏製成形用型21を乾留炉(マッフル式電気炉)にいれ、図4の昇温パターンで熱処理(乾留)することにより無水石膏製の成形用型23を得ることができる。この成形用型23は、若干熱収縮により小型化しているが、石膏製成形型21と略同形である。24は成形型21の鋳造キャビティである。
次に、図4に基づき乾留工程を説明する。シアノアクリレート樹脂が含浸された石膏製成形用型21を乾留炉(いすゞ製作所製ポータブル電気炉、ISUZU MUFFLE FURNACE MF-11K)に入れ、その炉内の温度が200℃になるように設定して電源を入れる。15分が経過すると炉内は150℃に達し、その点aで乾留炉の天井面の貫通孔から白煙(第1の白煙)が出始め、200℃を維持すると白煙は出続ける。その状態で100分経過すると白煙が発生しなくなる。更に、乾留炉内の温度が300℃になるように設定すると、10分経過すると250℃に達し、その点bで乾留炉の天井面の貫通孔から白煙(第2の白煙)が出始める。300℃を維持すると白煙は出続け、60分が経過すると白煙が発生しなくなる。そこで電源を切って乾留処理を終了する。
炉内が200℃で維持されているときに出る白煙は、石膏製成形用型の石膏の熱分解により発生した水蒸気によるものと考えられる。この熱分解反応により石膏から水分が除去されてIII型無水石膏を生成している。炉内が300℃に維持されているときに発生した白煙は、表層22のシアノアクリレート樹脂が熱分解して生成した揮発性成分であると考えられる。この熱分解により残留するタールないしピッチが無水石膏に付着した状態で生成される。300℃に維持されているときに、III型無水石膏が水和しにくいII型無水石膏に変化していると考えられる。
乾留炉から無水石膏製成形型23を取り出し計量すると、乾留前の石膏製成形用型21の重量と比べて140g減少しており、表面は黒色に変色し、内部は薄茶色に変色していた。つまり、乾留により石膏製成形用型21はその成分が変化して、型形状が維持された状態の無水石膏とこれに付着したタールないしピッチで構成される無水石膏製の成形用型23になったと推測される。
無水石膏製成形型23に金蔵溶湯を鋳込むときに使用する蓋体は、鋳造キャビティ12を閉鎖できる大きいさであればよく、耐熱性がある無機質製の板材ないし金属製の板材を使用することができる。例えば、鉄板やステンレス板を挙げることができる。蓋板で閉鎖された鋳造キャビティ12に800℃のアルミニウム溶湯を鋳込むと、図1の表札モデルとそっくりのアルミニウム製鋳物(表札)を得ることができる。
図5及び図6は、本発明に係る成形用型である中子及びその使用方法を示したものである。中子形状の石膏製成形用型(図示なし)は、石膏積層法の3Dプリンタを用いて、メスフラスコ形状に形成されており、表層にエポキシ樹脂(AXSON社・RSF816)が含浸されている。この石膏製中子を乾留炉にいれて、200℃×100分、更に400℃×60分乾留してやれば無水石膏製中子31を形成することができる。無水石膏製中子31の球部34及び脚部35の表層は、無水石膏32にタール及び/又はピッチが付着したものである。この中子31を上下の金型36、37の内部に形成された球形空間38に、球部34が空間38の中心に位置するようにして、脚部35を下側金型37に固定する。これにより、金型内に壺型の鋳造キャビティ39が形成されることになる。図示しない湯口から1200℃の銅合金の溶湯を鋳込み、冷却後に銅製鋳物40及び中子31を脱型する。脱型された銅製鋳物40に振動を与えて中子を崩壊し、粉末状にして鋳物40の下方から排出する。
図7は本発明方法の第3実施例を示したものであり、円筒カム軸(製品)を鋳造するためのシェル型を製造する工程を示す摸試図である。円筒カム軸の半割体に相当する模型50は、半円柱状本体51とその表面に形成されたリング状の突条52、53とを備えており、突条の間にはカムフォロワーが嵌合する溝54が形成されている(図7(a))。模型50は石膏積層法の3Dプリンタを用いて造形されたものである。模型として造形された石膏製造形物を熱処理して無水石膏を生成させ、前記石膏製造形物に含浸した樹脂を乾留することにより、前記無水石膏に付着したタール及び/又はピッチを生成させて、耐熱性のある二水石膏製の模型50を製造する。
この二水石膏製の模型50を用いてシェルモールド法によりシェル55を製造するには、台枠56に模型50を載せて覆い箱57で覆い、その内壁のヒーター58で模型50を240℃に加熱したあと、離型剤を吹き付ける(図7(b))。次に、覆い箱を外してレジンサンド59が入ったダンプボックス60を被せ、その中のレジンサンド59をかけて、350℃で1分程度加熱し、模型50にレジンサンド59が熱硬化して付着するのを待つ(図7(c)。ダンプボックス60をひっくり返し(図7(d))、完成したシェル55を図示しない押しピンで押し出す。このシェルを2つ用意し、鋳造キャビティが形成されるように互いに対峙させ、その背面を砂で周辺を固めてシェル型とする。
図8は本発明方法の第4実施例を示したものであり、プラスチック製皿を射出成形するための金型を構成する凸ブロック(雄型)を製造する工程を示す摸試図である。本実施例の模型61は、皿本体62とそれに連結されたノズル部63とランナー部64とスプール部65とからなっており、石膏積層法の3Dプリンタを用いて造形されたものである。模型61に造形された石膏製造形物を熱処理して無水石膏を生成させ、前記石膏製造形物に含浸した樹脂を乾留することにより、前記無水石膏に付着したタール及び/又はピッチを生成させて、耐熱性のある二水石膏製の模型61を作成する(図8(a))。
この二水石膏製の模型61を用いて凸ブロックを製造する場合には、台板66に矩形の枠体67を載せ、その内部に皿本体62、ノズル部63及びランナー部64を台板66上に配置し、スプール部65を立設した状態で収容し(図8(b))、上方から鋳物砂68を入れて敷き固める(図8(c))。次に、枠体67の全体を持ち上げてひっくり返して再び台板66に載せ、皿本体62やノズル部63、ランアー部64を露出させる。この状態の枠体67に耐熱性枠体69を載せて、その内部に溶湯金属70を注入する(図8(d))。冷却して金属溶湯が固化したら耐熱枠体69を取り外して凸ブロック71を得る(図8(e))。
図示しないが、凸ブロックに引き続いて凹ブロック(雌型)を製造するときには、耐熱性枠体69を取り外さないで、枠体及び耐熱性枠体を上下逆にし、上側にある枠体を外して鋳物砂を除去する。露出した面に炭酸カルシウム等の離型剤を塗り、新たに耐熱性枠体を載せて金属溶湯を注入して凹ブロックを製造する。最後に凸ブロックと凹ブロックを引き離して、内部の皿本体とそれに連結されたノズル部とランナー部とスプール部を除去する。凸ブロックと凹ブロックの表面を工作機械で薄く削って仕上げ、雄金型と雌金型を製造する。本発明方法は、従来のように、直方体のブロックから直接削り出すものではなく、凸ブロック及び凹ブロックには模型が転写した形状が予め形成されているので、凸ブロックと凹ブロックの表面を仕上げるだけで、雄金型および雌金型を製造することができる。更に、ノズル、ランナー及びスプールとなる空所も皿本体の空所と同時に形成されるので、金型を安価に短期間で製造することができる。
このような技術の利用分野は、金型や砂型、石膏型が使用されている分野であり、例えば、溶融樹脂を注入して樹脂成形品を製造する分野、溶融ゴムを注入してゴム成形品を製造する分野、石膏スラリーを注入してゴムタイヤ用の金型を製造する分野、溶融金属を注入して鋳物を製造する分野、歯科技工士の業務である冠やカスタムアバットメントを製造する分野などである。
23 無水石膏製成形用型
31 無水石膏製中子
50 模型
60 模型

Claims (1)

  1. 所望の形状に造形された石膏製造形物を熱処理して無水石膏を生成させる工程と、
    当該石膏製造形物に含浸した樹脂を乾留することにより、前記無水石膏に付着したタール及び/又はピッチを生成させる工程を有する、
    前記無水石膏と前記タール及び/又はピッチで成形された無水石膏製造形物を製造する方法。

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