JP7187187B2 - ポンプ選定図作成装置、およびポンプ選定装置 - Google Patents

ポンプ選定図作成装置、およびポンプ選定装置 Download PDF

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Description

本発明は、納入先から要望される搬送液、全揚程および吐出流量などの要件を満たすポンプを選定するためのポンプ選定図を作成するポンプ選定図作成装置に関し、特に、清水と異なる特殊液を圧送可能なポンプを選定するための特殊液ポンプ選定図を作成するポンプ選定図作成装置に関する。さらに、本発明は、このポンプ選定図作成装置で作成された特殊液ポンプ選定図に基づいて、ポンプを選定するポンプ選定装置に関する。
納入先の要件を満たすポンプを選定する際に、性能曲線が用いられる。性能曲線は、ポンプの吐出流量(Q)、全揚程(H)および軸動力(L)の相互関係であるポンプ性能を示したグラフである。
量産の汎用ポンプにおいて、取扱液を清水とするポンプの性能曲線として、同一機種で同一仕様のポンプの基準となるポンプ性能を示した代表性能曲線やポンプ選定図が製品カタログなどに開示されている。また、所定の条件が満たされれば、取扱液が清水であるポンプのうちの一部は、清水以外の特殊液(例えば、機械の冷却液、クーリングタワーの不凍液、床暖房の循環液など)を使用できる。
図19は、ポンプの性能曲線の一例を示す図である。図19の上段のグラフにおいて、縦軸は全揚程またはポンプ効率を表し、横軸は吐出流量を表す。図19の下段のグラフにおいて、縦軸は軸動力を表し、横軸は吐出流量を表す。図19に示されるようなポンプの性能曲線は、ポンプ製造者の工場などで行われるポンプの性能試験に基づいて作成される。ポンプの性能試験は、一例として、日本工業規格に規定されるJISB8301の試験方法に基づいて行われる。そして、ポンプの性能曲線は、各吐出流量における全揚程を繋いだ曲線(図19の上段のグラフ参照)、および各吐出流量における軸動力を繋いだ曲線(図19の下段のグラフ参照)として作成される。本明細書では、説明の便宜上、各吐出流量における全揚程を繋いだ曲線をQ-H曲線と称することがあり、各吐出流量における軸動力を繋いだ曲線をQ-L曲線と称することがある。図19の上段のグラフに示されるように、性能曲線は、各吐出流量における標準ポンプのポンプ効率を繋いだ曲線を含んでもよい。
さらに、複数機種から所望の性能を発揮するポンプを容易に選定するために、各ポンプの性能曲線に基づいて作成されたポンプ選定図が予め作成されていることもある。ポンプ選定図は、搬送液が清水であるときの性能曲線に基づいて作成され、製品カタログなどに開示されている。
図20は、ポンプ選定図の一例を示す図である。図20において、縦軸は全揚程を表し、横軸は吐出流量を表す。ポンプ選定図は、図19に示すような性能曲線に基づいて作成された図であり、ポンプの種類と形状とが同一であるが、ポンプのサイズが異なる複数機種のポンプの性能曲線を1つの図表として示す図である。より具体的には、図20に示されるように、ポンプ選定図は、機種毎に適切に使用できる全揚程と吐出流量の範囲を示している。この性能範囲は、機種毎の性能曲線に基づいて作成される。例えば、図20に示される性能範囲xRx’は、清水を搬送液とするポンプxP1が選定可能な全揚程と吐出流量の範囲を示す。
納入先で必要な全揚程および吐出流量を満たすポンプを、図20に示されるようなポンプ選定図を用いて選定してもよい。例えば、納入先で要求される運転点が運転点xOPaである場合は、この運転点xOPaは、性能範囲xRx’内に存在するので、性能範囲xRx’を有するポンプxP1が適切なポンプとして選定される。納入先で要求される運転点が運転点xOPbである場合は、この運転点xOPbは、性能範囲xRx’’内に存在するので、性能範囲xRx’’を有するポンプxP2が適切なポンプとして選定される。このように、ポンプ選定図を用いることにより、納入先が要求する運転点の条件を満たす適切なポンプを選定することができる。また、作業者は、選定したポンプの性能曲線を参照して、所定の運転点(すなわち、所望の全揚程と吐出流量)でのポンプ効率および軸動力を確認できる。
特開2017-57725号公報
一般的に、特殊液をポンプで圧送するときの性能曲線は、清水を圧送するときの性能曲線とは異なる。例えば、清水よりも大きな粘度および/または比重を有する特殊液をポンプで圧送する場合、清水を圧送する場合に比べて、各吐出流量における特殊液の全揚程は低くなる。さらに、特殊液を圧送するときの軸動力は、清水を圧送するときの軸動力よりも大きくなる。したがって、作業者は、搬送液が特殊液の場合、清水用の性能曲線およびポンプ選定図を用いることができない。
そこで、特殊液を圧送するポンプを選定する作業者は、客先が所望する要件を満たすポンプを見つけるため、清水用の性能曲線と特殊液の粘度および比重とに基づいて、要求された運転点における効率や軸動力の確認作業を行う。一般的に、作業者は、客先が所望するポンプを見つけるまで、この確認作業を複数機種の性能曲線に対して繰り返す。このように、搬送液が特殊液の場合は、搬送液が清水の場合と比して作業者の負担が大きい。そこで、特殊液がポンプで圧送可能な液体である場合、複数機種のポンプのなかから、適切なポンプを容易に選定するためのポンプ選定図が望まれる。なお、本明細書では、このような特殊液用のポンプ選定図を、「特殊液ポンプ選定図」と称する。
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたもので、所定の運転点で特殊液を圧送可能なポンプを選定するための特殊液ポンプ選定図を自動で作成するポンプ選定図作成装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、このポンプ選定図作成装置で作成された特殊液ポンプ選定図に基づいて、ポンプを選定するポンプ選定装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するための本発明の一態様は、所定の運転点で搬送液を圧送可能なポンプを選定するため、前記ポンプが適切に使用できる性能範囲を示すポンプ選定図を作成するポンプ選定図作成装置であって、前記ポンプ選定図作成装置は、各種情報を記憶する記憶部と、前記各種情報を処理する処理部と、を備え、前記各種情報は、取扱液が清水であるときの前記ポンプの性能を示す標準性能曲線と、取扱液が清水と粘度および/または比重の異なる特殊液であるときの前記ポンプの性能を示す特殊液性能曲線と、を含み、前記処理部は、前記標準性能曲線と前記特殊液性能曲線とに基づいて、前記搬送液が前記特殊液のポンプ選定図である特殊液ポンプ選定図を算出し、粘度および/または比重が所定の粘度比重範囲内の特殊液における前記特殊液ポンプ選定図は、前記標準性能曲線と、前記所定の粘度比重範囲内で最も高い粘度および比重を有する代表特殊液の前記特殊液性能曲線とに基づいて算出されることを特徴とするポンプ選定図作成装置である。
本発明の好ましい態様は、前記処理部は、前記特殊液性能曲線を、前記標準性能曲線と、前記特殊液の粘度および比重と、に基づいて算出し、前記特殊液ポンプ選定図における前記性能範囲を、前記標準性能曲線における前記性能範囲に基づいて算出することを特徴とする
発明の好ましい態様は、前記代表特殊液は、所定の時間間隔内で蓄積された粘度および比重が密集する範囲中の最も高い粘度および比重の液体であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記特殊液ポンプ選定図は、補助特殊液性能曲線として羽根車の外径を変更した性能が示されることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記標準性能曲線として、所定の時間間隔内で実施された性能検査で得られた複数の前記標準性能曲線のなかで、前記特殊液性能曲線を作成するのに最も適した性能曲線である最適性能曲線が選択されることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記最適性能曲線は、前記性能検査で得られた複数の前記標準性能曲線のなかで、最も低い性能を有する性能曲線であることを特徴とする。
本発明の他の態様は、上記ポンプ選定図作成装置にて算出された前記特殊液ポンプ選定図に基づいて、前記ポンプを選定することを特徴とするポンプ選定装置である。
本発明の一参考例は、所定の運転点で、清水と異なる特殊液を圧送可能なポンプを選定するための特殊液ポンプ選定図であって、上記ポンプ選定図作成装置によって算出されることを特徴とする特殊液ポンプ選定図である。
本発明によれば、処理部は、標準性能曲線と、特殊液の粘度および比重とに基づいて、特殊液性能曲線を算出し、特殊液性能曲線に基づいて、特殊液ポンプ選定図を算出する。したがって、標準ポンプで特殊液を圧送可能な性能範囲が示される特殊液ポンプ選定図を、自動で作成することができる。
図1は、一実施形態に係るポンプ選定装置の概略図である。 図2は、一実施形態に係るポンプ選定方法を説明するフローチャートである。 図3は、標準性能曲線の一例を示す図である。 図4は、標準ポンプ選定図の一例を示す図である。 図5は、一実施形態に係る特殊液性能曲線を作成する方法を説明するフローチャートである。 図6は、図5に示されるフローチャートにしたがって作成された特殊液性能曲線を示す図である。 図7は、一実施形態に係る第1選定処理を説明するフローチャートである。 図8Aは、特殊液性能曲線の一例を示す図である。 図8Bは、特殊液性能曲線の別の例を示す図である。 図9は、一実施形態に係る特殊液ポンプ選定図の作成方法を説明するフローチャートである。 図10は、図9に示すフローチャートにしたがって作成された特殊液ポンプ選定図である。 図11は、一実施形態に係る第2選定処理を説明するフローチャートである。 図12は、一実施形態に係る代表特殊液ポンプ選定図の作成方法を説明するフローチャートである。 図13は、記憶部の記憶エリアに記憶された粘度および比重の一例を示すグラフである。 図14は、一実施形態に係る、代表特殊液ポンプ選定図を用いてポンプを選定する方法を説明するフローチャートである。 図15は、性能検査で取得した性能曲線に基づいて特殊液ポンプ選定図を作成する方法を説明するフローチャートである。 図16は、特殊液ポンプ選定図の変形例である。 図17は、一実施形態に係るポンプ選定装置を備えたポンプ選定システムを示す概略図である。 図18は、図17に示されるポンプ選定システムを用いてポンプを選定するポンプ選定方法の一例を説明するフローチャートである。 図19は、標準性能曲線の一例を示す図である。 図20は、標準ポンプ選定図の一例を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
[実施例1:ポンプ選定装置]
図1は、一実施形態に係るポンプ選定装置の概略図である。図1に示されるポンプ選定装置1は、複数機種のポンプの中から、納入先が所望する所定の運転点(以下、「所定の運転点OPc」と称する)で搬送液を圧送可能なポンプを選定するための装置である。本明細書で、標準ポンプは、取扱液が清水とされるターボ形ポンプを示す。取扱液が清水とされる標準ポンプは、清水を搬送液とするその性能曲線やポンプ選定図が製品カタログなどの製品情報にて開示されている。ここで、清水とは水道水、工業用水、井戸水で、例えば、pH5.8~8.6、塩素イオン濃度200mg/L以下、遊離残留塩素濃度1mg/L以下のものを意味する。
標準ポンプの製品情報にて開示されている性能曲線は、同一機種で同一仕様のポンプの基準となる性能を示した代表性能曲線であり、当該代表性能曲線を「標準性能曲線」と称する。また、所望の性能を発揮するポンプの選定を容易にするため、性能曲線に基づいて作成されたポンプ選定図がある。このポンプ選定図は、ポンプの種類と形状とが同一であるが、ポンプのサイズ(口径や出力等のポンプサイズ)が異なる複数機種の性能曲線を1つの図表として示す図である。搬送液が清水であるときの標準性能曲線に基づいて作成されたポンプ選定図を「標準ポンプ選定図」と称する。また、搬送液が清水以外の特殊液用の性能曲線を「特殊液性能曲線」と称し、特殊液用のポンプ選定図を「特殊液ポンプ選定図」と称する。
図1に示されるポンプ選定装置1は、納入先が所望するポンプの所定の運転点OPc(すなわち、全揚程と吐出流量)、搬送液の名称、粘度および比重などを含む搬送液情報、並びに、ポンプ選定装置1にて選定可能なポンプの性能曲線およびポンプ選定図等の性能情報が入力される入力部3と、入力部3に入力された各種情報や処理部5における演算結果を含む各種情報を記憶する記憶部4と、各種情報を処理する処理部5と、処理部5によって処理されたデータを表示する画像表示器6と、を有する。このようなポンプ選定装置1は、例えば、パーソナルコンピュータ、またはタブレット端末などの情報端末から構成することができる。入力部3は、一例として、タッチパネル、キーボード、およびマウスなどから構成される。入力部3は、ポンプの性能曲線などの情報を読み取ることが可能なスキャナーを含んでもよいし、USBメモリやハードディスクなどの外部の記録媒体から情報を入力するための入力ポートを含んでいてもよい。また、入力部3には、ネットワークを介して各種情報が入力されてもよい。ポンプ選定装置1は、インターネットなどのネットワークを介して別の情報端末と各種情報を共有してもよい。
画像表示器6は、例えば、パーソナルコンピュータまたはタブレット端末のディスプレイである。画像表示器6は、各種性能曲線およびポンプ選定図等を表示することができる。また、画像表示器6は、各種性能曲線およびポンプ選定図に加えて、納入先が要求する所定の運転点OPcなどを含む搬送液情報等を表示することができる。各種性能曲線およびポンプ選定図等に、納入先が要求する所定の運転点OPcを記し、画像表示器6に表示するとよい。これにより、所定の運転点OPcが含まれる性能範囲を有するポンプを視覚的に認識することができる。
また、ポンプ選定装置1は、各種ポンプの性能曲線やポンプ選定図を、紙などの印刷媒体に印刷することが可能な印刷機11を有することが好ましい。例えば、印刷機11から印刷された後述する特殊性能曲線や特殊液ポンプ選定図を客先に見せることにより、客先に所定の運転点OPcで特殊液を圧送可能な標準ポンプを提案することができる。印刷機11を用いて、納入先が要求する所定の運転点OPcを記した各種性能曲線およびポンプ選定図等を印刷媒体に印刷するとよい。
図1に示されるように、ポンプ選定装置1は、記憶部4に記憶された各種情報をポンプ選定装置1の外部に配置された別の情報端末(例えば、サーバ、パーソナルコンピュータ、またはタブレット端末)に送信し、別の情報端末から情報を受信するための入出力インターフェイス8を含んでいてもよい。ポンプ選定装置1は、入出力インターフェイス8を介してポンプ選定装置1とは別の情報端末と有線または無線で接続される。ポンプ選定装置1に入力される各種情報は、入出力インターフェイス8を介して入力されてもよい。
記憶部4は、ポンプ選定図を構成する値と、該ポンプ選定図に記載された機種毎の性能曲線を構成する値を性能情報として記憶する。例えば、記憶部4は、性能曲線の各流量ポイントおける全揚程、効率、軸動力をデータテーブルとして記憶し、該流量ポイントは、流量がゼロから最大流量間で等間隔もしくは任意の間隔で複数設けられる。また、記憶部4は、ポンプ選定図を構成する性能曲線の値(すなわち、同一形状のポンプの機種毎に選定可能な性能範囲を示す性能曲線の値)をデータテーブルとして記憶する。また、特に区別する必要がない限り、記憶部4に記憶される性能曲線およびポンプ選定図を構成する各値を性能曲線およびポンプ選定図と称する。
次に、図2に示すフローチャートにしたがって、ポンプ選定装置1が実行するポンプ選定処理の一例を説明する。図2は、一実施形態に係るポンプ選定方法を説明するフローチャートである。図2に示すポンプ選定方法は、ポンプ選定装置1の操作者等によって入力部3に搬送液の粘度および比重などを含む搬送液情報が入力されたときに処理部5によって実行される。ポンプを選定する際に使用するポンプ選定図および性能曲線は、図2のフローチャートに示されるポンプ選定方法が実施される前に、処理部5によって算出されるか、または入力部3からの入力により、記憶部4に記憶されるとよい。
まず、ポンプ選定装置1の入力部3に、納入先が所望するポンプの所定の運転点OPc(すなわち、全揚程と吐出流量)と、搬送液の名称、粘度および比重などを含む搬送液情報が入力される(ステップS01)。入力される搬送液情報は、納入先で所望されるポンプの種類、形状、ポンプのサイズ(口径や出力等のポンプサイズ)および軸動力が含まれてもよい。複数のポンプの種類や形状等に対応する選定図および標準性能曲線が、記憶部4に記憶されている場合、処理部5は、入力部3に入力された搬送液情報のポンプの種類や形状等に該当する標準ポンプ選定図および/または標準性能曲線を選定する。
次に、入力部3に入力された搬送液の粘度および比重が清水と同一であるか否かの判断を行う(ステップS10)。入力部3に入力された搬送液が清水である場合は、処理部5は、搬送液が清水であると判断し(ステップS10:Yes)、ステップS20に進む。
ステップS20で、処理部5は、標準ポンプ選定図または標準性能曲線に基づいて、入力部3に入力された所定の運転点OPcで搬送液(すなわち、清水)を圧送可能な標準ポンプを選定する。具体的には、処理部5は、記憶部4から入力された搬送液情報に該当する標準ポンプ選定図を読み出し、当該読み出した標準ポンプ選定図から所定の運転点OPcが含まれる性能範囲を有する標準ポンプを選定する。または、処理部5は、ポンプ選定図に代えて、標準性能曲線から標準ポンプを選定してもよい。具体的には、ステップS20で、まず該当する標準性能曲線を読み出す。さらに、所定の運転点OPcで使用できる標準性能曲線を有するポンプが見つかるまで、記憶部4に記憶された標準性能曲線を検索する。処理部5は、該当するポンプが見つかった場合、該ポンプを所定の運転点OPcで搬送液を圧送可能な標準ポンプとして選定する。記憶する全ての標準性能曲線で該当するポンプが見つからなかった場合は、処理部5は選定できる標準ポンプがない、と判断する。
次に、処理部5は選定された標準ポンプのありなしを判断する(ステップS30)。ステップS20で、選定された標準ポンプがある場合(ステップS30:Yes)、処理部5は、選定された標準ポンプの性能情報を、所定の運転点OPcと共に画像表示部6に表示する(ステップS40)。ステップS20で、所定の運転点OPcで、搬送液を圧送可能な標準ポンプが見つからなかった場合は、処理部5は、選定できる標準ポンプがないと判断する(ステップS30:No)。この場合、処理部5は、適切な標準ポンプがない旨の表示を画像表示部6に表示する(ステップS50)。
説明をステップS10に戻す。ステップS10にて、入力部3に入力された搬送液の粘度および/または比重が清水とは異なる場合、または搬送液の名称が清水以外の場合は、ポンプ選定装置1の処理部5は、搬送液が特殊液であると判断する(ステップS10:No)。
次に、ポンプ選定装置1の処理部5は、搬送液として入力された特殊液が、標準ポンプで使用可能か否かを判断する(ステップS60)。特殊液のうちの一部の液種(例えば、機械の冷却液、クーリングタワーの不凍液、床暖房の循環液など)は、運転点OPcで運転した時の軸動力が納入先の使用範囲内であれば標準ポンプで圧送できる。また、搬送液の粘度および比重によってポンプ性能が変わるため、特殊液の粘度および比重が所定の範囲内であれば、標準ポンプでこれらの特殊液を取り扱うことができる。よって、処理部5は、ポンプ選定装置1の入力部3に入力された特殊液の液種や粘度および比重が標準ポンプで使用可能である場合(ステップS60:Yes)、ステップS70に進む。
ここで、ポンプには、量産の汎用ポンプである標準ポンプの他に、特殊液に対応するための特殊な部品や加工等を施した専用ポンプがある。一般に、特殊液を圧送するための専用ポンプは、流通量が少ないために標準ポンプに比べて高価であり、製作に時間がかかってしまう。そのため、ポンプ選定装置1は、ステップS60で、可能な限り専用ポンプよりも優先して標準ポンプを選定する。これにより、短納期且つ安価なポンプを提供できる。
ステップS70では、特殊液を所定の運転点OPcで圧送可能な標準ポンプを選定するために、処理部5は、詳細を後述する特殊液性能曲線および/または特殊液ポンプ選定図によって、入力部3に入力された所定の運転点OPcで搬送液(すなわち、特殊液)を圧送可能な標準ポンプがあるか否かを判断して、ステップS30に進む。ここで、圧送可能な標準ポンプがある場合は『選定された標準ポンプあり』、圧送可能な標準ポンプがない場合は、『選定された標準ポンプなし』とする。
説明をステップS60に戻す。処理部5は、入力部3に入力された搬送液情報の特殊液が標準ポンプで使用できないと判断したら(ステップS60:No)、『選定できる標準ポンプがない』とし『選定された標準ポンプなし』として(ステップS80)、ステップS30に進む。
ステップS60において、例えば、標準ポンプのシール材(例えば、Oリング)が溶解してしまう等の不具合が発生する特殊液の場合や、特殊液の粘度および比重が所定の範囲外でポンプ性能が大きく変わる場合は、標準ポンプでこの特殊液を取り扱うことができないため、処理部5は、ステップS60でNoと判断する。なお、本実施形態において、ポンプ選定装置1の操作者が特殊液の名称を入力部3に入力するタイミングは、搬送液の粘度および比重などを入力するタイミング(すなわち、ステップS01)である。しかしながら、特殊液の名称を入力部3に入力するタイミングは、ステップS60の直前のタイミングでもよい。
ステップS30では、処理部5は選定された標準ポンプのありなしを判断する。選定された標準ポンプがある場合(ステップS30:Yes)、処理部5は、選定された標準ポンプの情報を画像表示部6に表示する(ステップS40)。所定の運転点OPcで搬送液を圧送可能な標準ポンプが見つからなかった場合は、処理部5は、所定の運転点OPcで圧送可能な標準ポンプがないと判断し(ステップS30:No)、適切な標準ポンプがない旨の表示を画像表示部6に表示する(ステップS50)。適切な標準ポンプがない旨の表示を確認した操作者は、搬送液情報を満足する専用ポンプを選定する。
図3は、標準性能曲線の一例を示す図である。図3における上段のグラフにおいて、縦軸は全揚程またはポンプ効率を表し、横軸は吐出流量を表す。図3における下段のグラフにおいて、縦軸は軸動力を表し、横軸は吐出流量を表す。図3は、ポンプの吐出流量(Q)および全揚程(H)の相互関係、並びに、ポンプの吐出流量(Q)および軸動力(L)の相互関係を示す性能曲線を示している。このような性能曲線は、図2のステップS20において、所望の性能を満たすポンプを選定する際に用いられる。
図3に示される標準性能曲線は、例えば、ポンプ製造者の工場などで行われるポンプの性能試験に基づいて作成される。ポンプの性能試験は、一例として、日本工業規格に規定されるJISB8301の試験方法に基づいて実施される。そして、標準性能曲線は、各吐出流量における全揚程を繋いだ曲線(図3の上段のグラフ参照)、および各吐出流量における軸動力を繋いだ曲線(図3の下段のグラフ参照)として作成される。本明細書では、説明の便宜上、各吐出流量における全揚程を繋いだ曲線をQ-H曲線と称することがあり、各吐出流量における軸動力を繋いだ曲線をQ-L曲線と称することがある。図3の上段のグラフに示されるように、性能曲線は、各吐出流量におけるポンプ効率を繋いだ曲線を含んでもよい。
図4は、標準ポンプ選定図の一例を示す図である。図4において、縦軸は全揚程を表し、横軸は吐出流量を表す。標準ポンプ選定図は、図3に示すような標準性能曲線に基づいて作成された図であり、ポンプの種類と形状とが同一であるが、ポンプサイズが異なる複数機種の性能曲線を1つの図表として示す図である。より具体的には、ポンプ選定図は、機種毎に適切に使用できる全揚程と流量の性能範囲を示している。図4に示されるような性能範囲は、機種毎の標準性能曲線に基づいて作成される。例えば、図4に示される性能範囲Rx’は、清水を搬送液とする標準ポンプP1が選定可能な全揚程と吐出流量の範囲を示している。
ここで、図4を用いて、図2のステップS20におけるポンプを選定する方法を説明する。まず、ステップS01で入力部3に入力された運転点OPcが運転点OPaである場合、この運転点OPaは、性能範囲Rx’内に存在するので、処理部5は、性能範囲Rx’を有する標準ポンプP1を適切なポンプとして選定する。運転点OPcが運転点OPbである場合は、処理部5は、この運転点OPbが性能範囲Rx’’内に存在するので、性能範囲Rx’’を有する標準ポンプP2を適切なポンプとして選定する。このように、ポンプ選定図を用いることで、処理部5は、納入先が要望する所定の運転点OPcの条件を満たす適切なポンプを簡単に選定することができる。また、処理部5は、ポンプ選定図を用いて選定されたポンプの標準性能曲線を参照して、所定の運転点OPc(すなわち、所望の全揚程と吐出流量)でのポンプ効率や軸動力を確認してもよい。
次に、図5から図16を参照して、搬送液が特殊液の場合の性能曲線およびポンプ選定図の作成方法、並びに、ポンプ選定方法について詳細に説明する。
まず、図5および図6を参照して、特殊液性能曲線の作成方法について説明する。図5は、一実施形態に係る特殊液性能曲線を作成する方法を説明するフローチャートである。図6は、図5に示されるフローチャートにしたがって作成された特殊液性能曲線を示す図である。図6の上段のグラフにおいて、縦軸は全揚程またはポンプ効率を表し、横軸は吐出流量を表す。図6の下段のグラフにおいて、縦軸は軸動力を表し、横軸は吐出流量を表す。図5のフローチャートに示されるステップは、特殊液性能曲線を用いてポンプを選定するとき、もしくは任意のタイミングで、処理部5によって実行される。なお、図6では、標準性能曲線が点線で描かれ、該標準性能曲線から算出された特殊液性能曲線が実線で描かれる。
図5に示すように、まず、処理部5は、演算回数をカウントするカウンタCNの値を0として、カウンタCNの値をリセットする(ステップS100)。そして、処理部5は、カウンタCNの値に1を加算する(ステップS102)。カウンタCNの値は、特殊液におけるポンプ性能を算出する流量ポイント(図6におけるQ1~Q5)にそれぞれ対応し、カウンタCNの最大値CNmaxは、特殊液におけるポンプ性能を算出する流量ポイントの数に対応する。
次に、処理部5は、ステップS01で入力された搬送液情報に基づいて、カウンタCNの値に対応する各流量ポイントでの特殊液の全揚程H、ポンプ効率η、軸動力Lを算出する(ステップS104)。例えば、処理部5は、ステップS01で入力された粘度比重に基づいて、ISO/TR 17766(Centrifugal pumps handling viscous liquids -- Performance corrections)に記載される計算方法を用い、特殊液の全揚程H、特殊液のポンプ効率η、電動機の軸動力Lを算出する。具体的には、処理部5は、標準性能曲線、並びに特殊液の粘度および比重に基づいてISO/TR 17766に記載される計算を行い、各流量ポイントQCN(CNはカウンタCNの値に対応する)における清水の全揚程H0CNから特殊液の全揚程H1CNを算出する。同様に、各流量ポイントQCNにおける清水の軸動力L0CNから軸動力L1CNを算出し、清水のポンプ効率η0CNから特殊液のポンプ効率η1CNを算出する。
次に、処理部5は、カウンタCNの値を確認する(ステップS106)。カウンタCNの値が最大値CNmax未満の場合(ステップS106:No)、処理部5は、ステップS102に戻りカウンタCNの値に1を加算し、次の流量ポイントにおける特殊液の全揚程H1CN、特殊液のポンプ効率η1CN、電動機の軸動力L1CNを算出する(ステップS104)。
カウンタCNの値が最大値CNmaxに到達している場合(ステップS106:Yes)、処理部5は、特殊液性能曲線を作成するために必要な各流量ポイントにおける性能を算出したと判断し、特殊液性能曲線を作成する(ステップS108)。ここで、図5および図6に示す例では、カウンタCNの最大値CNmaxは5である。すなわち、流量ポイントがQ1、Q2、Q3、Q4、Q5の5ポイントにて特殊液の全揚程H(H11、H12、H13、H14、H15)、特殊液の軸動力L(L11、L12、L13、L14、L15)、特殊液のポンプ効率η(η11、η12、η13、η14、η15)を算出している。Q1~Q5には、清水での定格運転点の流量ポイントを含むとよい。そして、処理部5は、ステップS108で、算出した各値を流量0から直線で結んで各流量ポイント間の値を補完することで、特殊液性能曲線が完成される。なお、最大値CNmaxは、処理部5の処理能力や記憶部4の容量に応じて変更してもよい。また、ステップS108の処理は、図2のステップS01にて所定の運転点OPcが入力されたときに、該所定の運転点OPcが実際に含まれる流量範囲でのみ実施されてもよい。また、特殊液用のポンプ性能を算出する流量ポイントの数(すなわち、最大値CNmax)を大きな値に設定することにより、ステップS108で行われる各流量ポイント間の値の補完処理を省略してもよい。
次に、図7、図8Aおよび図8Bを参照して、特殊液性能曲線を用いた、図2のステップS70に対応する標準ポンプの選定方法について説明する。ここでは、図2のステップS70における選定処理の一例として、特殊液性能曲線を用いてポンプを選定する第1選定処理について説明する。
図7は、一実施形態に係る第1選定処理を説明するフローチャートである。図8Aおよび図8Bは、特殊液性能曲線の例をそれぞれ示す図であり、図8Aおよび図8Bの上段のグラフにおいて、縦軸は全揚程を表し、横軸は吐出流量を表す。図8Aおよび図8Bの下段のグラフにおいて、縦軸は軸動力を表し、横軸は吐出流量を表す。図8Aおよび図8Bは、同じ特殊液を取扱液とした場合の異なる機種のポンプの特殊液性能曲線を示す。
ポンプは、所定の運転点OPc(すなわち、全揚程および吐出流量)が特殊液性能曲線のQ-H曲線の下方に位置し、かつ所定の運転点OPcにおける軸動力が特殊液性能曲線のQ-L曲線の使用範囲内(軸動力最小値Lmin~軸動力最大値Lmax)であれば、該運転点OPcで使用できる。すなわち、所定の運転点OPcが特殊液性能曲線のQ-H曲線の下方に位置し、かつ所定の運転点OPcにおける軸動力が特殊液性能曲線のQ-L曲線の使用範囲内にあるときに、所定の運転点OPcがポンプの使用範囲内にあると判断できる。軸動力における使用範囲は、一例として、ポンプの種類、機種、搬送液、ポンプ性能および、形状等に基づいて決められるポンプが正常に使用できる範囲である。特殊液を搬送液とする場合の標準ポンプの軸動力最小値Lminは、一例として、清水を搬送液とする場合の最大効率ηmaxの70パーセント程度の流量における軸動力Lmin1である。特殊液を搬送液とする場合の標準ポンプの軸動力最大値Lmaxは、一例として、清水を搬送液とする場合の最大効率ηmaxの110パーセント程度の流量における軸動力Lmax1である。また、一実施形態として、軸動力最小値Lmin並びに軸動力最大値Lmaxは、搬送液情報として入力された客先が所望する軸動力の最小値Lmin2、最大値Lmax2でもよい。更には、軸動力Lmin1と軸動力Lmin2とを比較し、より大きい方を軸動力最小値Lminとしてもよいし、軸動力Lmax1と軸動力Lmax2とを比較し、より小さい方を軸動力最大値Lmaxとしてもよい。
図7に示す第1選定処理は、図2のステップS70において実行される。処理部5は、図7のステップS110の前に、標準ポンプ選定図にて所定の運転点OPcが使用範囲に入る機種もしくは当該機種に近い出力の機種を機種1として選定し、該機種1の特殊液性能曲線を予め作成しているものとする。
処理部5は機種1の特殊液性能曲線において所定の運転点OPcが使用範囲内か否かを判断する(ステップS110)。より具体的には、処理部5は、客先が指定する所定の運転点OPcが機種1の特殊液性能曲線のQ-H曲線の下方に位置しており、かつ所定の運転点OPcにおける軸動力が機種1の特殊液性能曲線のQ-L曲線における使用範囲内であるか否かを判断する。ステップS110で、図8Aに示す特殊液性能曲線を有する標準ポンプP1は、所定の運転点OPcが機種1の特殊液性能曲線のQ-H曲線の下方に位置している(図8Aの上段のグラフ参照)が、所定の運転点OPcでの軸動力Lc1が特殊液性能曲線のQ-L曲線における軸動力最大値Lmaxを超える(図8Aの下段のグラフ参照)。したがって、標準ポンプP1は、所定の運転点OPcで特殊液を圧送するポンプとして使用できない(ステップS110:No)。一方で、図8Bに示す特殊液性能曲線を有する標準ポンプP2は、所定の運転点OPcが機種1の特殊液性能曲線のQ-H曲線の下方に位置しており、かつ所定の運転点OPcにおける軸動力Lc2が特殊液性能曲線のQ-L曲線における使用範囲内(すなわち、軸動力Lc2は、軸動力最小値Lmin~最大値Lmaxの範囲内)なので、所定の運転点OPcで特殊液を圧送するポンプとして使用できる。よって、図8Bに示される標準ポンプP2のように、特殊液性能曲線に記載した所定の運転点OPcが使用範囲内である場合(ステップS110:Yes)、処理部5は標準ポンプP2を選定ポンプとして決定し、選定可能なポンプがあると判断する(ステップS170)。このステップS170は、図2のステップS30で「YES」が選択されるステップに対応する。その後、処理部5は図7に示される第1選定処理を終了し、図2のステップS40に進む。
ステップS110にて、図8Aに示される標準ポンプP1のように、特殊液性能曲線に記載した所定の運転点OPcが使用範囲外である場合(ステップS110:No)、処理部5は、次の機種があるか否か、つまり、記憶部4に記憶された全ての機種の標準性能曲線を確認したか否かを判断する(ステップS120)。具体的には、前回のステップS140(後述する)で記憶部4に記憶された全ての機種のうち最小の出力の機種を選定した、もしくは、前回のステップS160(後述する)で記憶部4に記憶された全ての機種のうち最大の出力の機種を選定した等の場合に、処理部5は、記憶部4に記憶された全ての機種で使用範囲外であると判断(ステップS120:Yes)し、選定できる標準ポンプがないと判断する(ステップS180)。このステップS180は、図2のステップS30で「NO」が選択されるステップに対応する。その後、処理部5は図7に示される第1選定処理を終了し、図2のステップS50に進む。
処理部5は、ステップS120にて、記憶部4に記憶された標準性能曲線のうち次に確認する機種があると判断したら(ステップS120:No)、ステップS130に進む。ステップS130の処理において、例えば、所定の運転点OPcが図8Aに示すOPcの点であれば、所定の運転点OPcが機種1のQ-H曲線よりも下方に位置する(ステップS130:Yes)ので、処理部5は記憶部4に記憶された標準性能曲線の中から機種1より小さい出力の機種の標準性能曲線を選定し(ステップS140)、該選定した標準性能曲線に基づいて特殊液性能曲線を作成する(ステップS150)。また、ステップS130の処理において、所定の運転点OPcが機種1のQ-H曲線よりも上方に位置すると判断された場合は(S130:No)、処理部5は記憶部4に記憶された標準性能曲線の中から機種1より大きい出力の機種の標準性能曲線を選定し(ステップS160)、該選定した標準性能曲線に基づいて特殊液性能曲線を作成する(ステップS150)。ステップS150において、処理部5は、上述した図5に示されるフローチャートにしたがって特殊液性能曲線を作成する。そして、ステップS150で、特殊液性能曲線を作成した後、ステップS110に戻り、処理部5は、所定の運転点OPcが、ステップS150にて作成した特殊液性能曲線にて使用範囲内であるか否かを判断する。
このように、第1選定処理で、処理部5は、所定の運転点OPcで特殊液を圧送可能な標準ポンプが見つかるまで特殊液性能曲線を確認する作業を繰り返す。所定の運転点OPcで特殊液を圧送可能な特殊液性能曲線が見つかったときは、処理部5は、この特殊液性能曲線の標準ポンプを、所定の運転点OPcで搬送液を圧送可能な標準ポンプとして選定する。なお、ステップS110で確認する特殊液性能曲線が既に記憶部4に記憶されている場合は、ステップS150の処理を省略することができる。また、作成した特殊液性能曲線を記憶部4に記憶することで、ステップS150の処理を省略し処理スピードを上げることができる。
なお、本実施形態では、ステップS130からS160において、処理部5は、所定の運転点OPcが機種1のQ-H曲線よりも下方に位置する場合は機種1よりも小さい出力の機種の標準性能曲線を選定し、所定の運転点OPcが機種1のQ-H曲線よりも上方に位置する場合は機種1よりも大きい出力の機種の標準性能曲線を選定したが、これによらず、所定の運転点OPcが機種1のQ-H曲線の下方上方に位置するかに関わらず、記憶部4に記憶する全ての標準性能曲線で所定の運転点OPcが使用範囲外か否かを確認してもよい。なぜならば、例えば、運転点OPcがQ-H曲線の下方に位置する機種1において運転点OPcでの軸動力が納入先の所望する軸動力を超えても、機種1より大きな出力の機種2の方が運転点OPcでのポンプ効率が良い等の理由によって、当該機種2の運転点OPcにおける軸動力が納入先の所望する軸動力の範囲内となることがあるためである。
また、各機種毎の使用範囲は互いに重なる部分もあり、複数機種の標準ポンプにおいて運転点OPcで特殊液を圧送可能な場合もある。そのため、処理部5は、所定の運転点OPcで特殊液を圧送可能な標準ポンプを見つけた後にも、記憶部4に記憶する全ての標準性能曲線で所定の運転点OPcが使用範囲外か否かを確認してもよい。ポンプ選定装置1の操作者が複数機種を納入先に提示すれば、提示されたポンプの中から納入先で最も適したポンプを選択できる。
次に、特殊液ポンプ選定図について説明する。図9は、一実施形態に係る特殊液ポンプ選定図の作成方法を説明するフローチャートである。図10は、図9に示すフローチャートにしたがって作成された特殊液ポンプ選定図を示す。図10において、縦軸は全揚程を表し、横軸は吐出流量を表す。なお、図9のフローチャートに示される特殊液ポンプ選定図の作成方法は、図2のステップS70における標準ポンプの選定時、もしくは任意のタイミングにて処理部5によって実行される。なお、特殊液ポンプ選定図は、搬送液情報と少なくとも1つの標準ポンプの性能情報とを記憶する記憶部4と、記憶部4に記憶された標準ポンプの性能情報と搬送液情報とに基づいて特殊液ポンプ選定図を算出する処理部5を備えたポンプ選定図作成装置(本実施形態では、ポンプ選定装置1)にて算出される。
図9のステップS210で、処理部5は、標準性能曲線、並びに特殊液の粘度および比重に基づいて特殊液性能曲線を作成する。ステップS210において、処理部5は、上述した図5に示されるフローチャートにしたがって特殊液性能曲線を作成する。ここで、特殊液性能曲線が記憶部4に記憶されている場合は、ステップS210の処理は省略されてもよい。次に、処理部5は、特殊液ポンプ選定図に用いる全ての機種の特殊液性能曲線が作成済みか否かを確認する(ステップS220)。上述したように、ポンプ選定図は、ポンプの種類と形状とが同一であるが、ポンプサイズが異なる複数機種のポンプの性能曲線を1つの図表として示す図である。よって、ステップS220で、処理部5は、特殊液性能曲線を作成するのに必要な特殊液性能曲線が記憶部4に記憶されているか否かを確認する。
特殊液ポンプ選定図を作成するために必要な特殊液性能曲線が記憶部4に記憶されている場合(ステップS220:Yes)、各特殊液性能曲線の使用範囲に基づいて、特殊液ポンプ選定図を作成する(ステップS230)。特殊液ポンプ選定図を作成するのに必要な特殊液性能曲線が記憶部4に記憶されていない場合(ステップS220:No)、処理部5は、次の標準性能曲線を選択して(ステップS240)、該標準性能曲線から特殊液性能曲線を作成する(ステップS210)。そして、処理部5は、特殊液性能曲線の使用可能なQ―Hの範囲を抜粋し、複数の機種の該抜粋したQ―Hの範囲をひとつの図表で示すことにより、図10に示すような特殊液ポンプ選定図を作成する(ステップS230)。
図10に示される性能範囲Rxは、使用範囲(軸動力Lmin~Lmaxの範囲)に対応するQ-H曲線Y1、Q-H曲線Y2、スタート線STA、およびエンド線ENDによって囲まれた範囲である。処理部5は、ステップS210において、標準ポンプ選定図に記載された全てのもしくは一部の機種に対して特殊液性能曲線を算出し、更に、清水で使用できる性能範囲に基づいて性能範囲Rxを決定する。具体的には、一例として、特殊液の性能範囲Rxは、清水で使用できる流量範囲と同じか、より狭い範囲(ただし、最高効率点を含む)の流量範囲での特殊液性能曲線を使用する。清水で使用できる性能範囲に基づいて特殊液性能曲線の性能範囲Rxを適用する理由は、特殊液性能曲線は演算によって求められるため、性能が最高効率点からずれると、演算誤差が大きくなるからである。このように決定された特殊液の性能範囲Rxに基づいて特殊液ポンプ選定図を作成するとよい。また、各機種毎の性能範囲Rxは、互いに重なる範囲があってもよい。
次に、図10および図11を参照して、図2のステップS70における選定処理の一例として、特殊液ポンプ選定図を用いてポンプを選定する第2選定処理について説明する。図11は、一実施形態に係る第2選定処理を説明するフローチャートである。図11に示す第2選定処理で、処理部5は、図10に示されるような特殊液ポンプ選定図よりポンプを選択する。
図11に示す第2選定処理で、処理部5は、入力部3に入力された所定の運転点OPcが特殊液ポンプ選定図の何れかのポンプの使用範囲内であるか否かを判断する(ステップS310)。具体的には、図10に示されるように、処理部5は入力部3に入力された所定の運転点OPcを特殊液ポンプ選定図に記す。そして、処理部5はこの運転点OPcが含まれる性能範囲Ryを有する機種であるポンプP2を選定する。ここで、図2のステップS01で入力部3に入力された運転点OPcが、図10に示す運転点OP1であれば、処理部5はこの運転点OP1が含まれる性能範囲Rxを有する機種であるポンプP1を選定し、運転点OPcが運転点OP3であれば、処理部5はこの運転点OP3が含まれる性能範囲Rzを有する機種であるポンプP3を選定する。図10に示すように、所定の運転点OPcが特殊液ポンプ選定図の何れかのポンプの性能範囲内である場合は(ステップS310:Yes)、処理部5は、選択できるポンプありと判断する(ステップS320)。このステップS320は、図2のステップS30で「YES」が選択されるステップに対応する。その後、処理部5は、図11に示される第2選定処理を終了し、図2のステップS40に進む。
所定の運転点OPcが特殊液ポンプ選定図の何れかのポンプの性能範囲内に含まれない場合は(ステップS310:No)、処理部5は、選択できるポンプがないと判断する(ステップS330)。このステップS330は、図2のステップS30で「NO」が選択されるステップに対応する。その後、処理部5は、図11に示される第2選定処理を終了し、図2のステップS50に進む。なお、処理部5で複数の特殊液ポンプ選定図が作成可能、または、複数の特殊液ポンプ選定図が記憶部4に記憶されていれば、処理部5は、全ての特殊液ポンプ選定図で選択できるポンプがないかを判断し、該選択できるポンプがない場合にステップS310でNoと判断して、ステップS330に進むとよい。
本実施形態によれば、処理部5は、標準性能曲線と、特殊液の粘度および比重とに基づいて特殊液性能曲線を作成し、特殊液性能曲線に基づいて、特殊液ポンプ選定図を作成する。つまり、ポンプ選定図作成装置(ポンプ選定装置1)は、標準性能曲線と特殊液性能曲線を記憶する記憶部4と、当該各種情報を処理する処理部5と、を備え、処理部5は、標準性能曲線と特殊液性能曲線とに基づいて搬送液が特殊液である特殊液ポンプ選定図を算出する。この特殊液ポンプ選定図には、搬送液が特殊液の各標準ポンプで適切に使用できる性能範囲が示されているので、処理部5は、特殊液ポンプ選定図から、特殊液を圧送可能な標準ポンプを容易に選定することができる。
このように、ポンプ選定装置1は、入力部3に入力された搬送液の粘度および比重を含む搬送液情報と、標準ポンプの性能情報とに基づいて、所定の運転点OPcで搬送液を圧送可能なポンプを選定する。したがって、このポンプ選定装置1を使用することにより、搬送液が清水または特殊液のいずれの場合でも、複数機種のポンプのなかから、所定の運転点で搬送液を圧送可能なポンプを自動で選定することができる。
ここで、特殊液性能曲線の算出および特殊液ポンプ選定図の作成は、図2のフローチャートに示すポンプ選定方法が実行されるたびに、該当する特殊液に対して実施されてもよいし、記憶部4に予め記憶された特殊液性能曲線を用いてもよい。特殊液性能曲線を記憶部4に記憶させるために、特殊液性能曲線の各値を入力部3から記憶部4の不揮発性メモリに予め入力しておいてもよいし、処理部5が任意のタイミングで、標準性能曲線(標準ポンプ選定図に記載された各標準ポンプの全てもしくは一部の標準性能曲線)と、特殊液の粘度および比重(入力される可能性がある粘度および比重のすくなくとも一部)に基づいて、特殊液性能曲線を算出し、該算出された特殊液性能曲線を記憶部4の不揮発性メモリに記憶してもよい。また、後述する代表特殊液ポンプ選定図も任意のタイミングで作成され、該作成された代表特殊液ポンプ選定図を記憶部4の不揮発性メモリに記憶するとよい。ここで、任意のタイミングの例としては、ポンプ選定装置1の電源起動時や、標準性能曲線が追加または変更されたタイミング、および、ポンプ選定装置1が操作される機会の少ない深夜や休日などの定期的なタイミング等が挙げられる。このようなタイミングで特殊液性能曲線の算出および特殊液ポンプ選定図を作成すれば、図2のステップS70における処理時間を短縮できる。
また、処理部5は、第1選定処理と第2選定処理を並行して、または連続して実施してもよい。例えば、特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図は、ポンプの機種、並びに特殊液の粘度および比重毎に異なる。よって、全ての標準ポンプと特殊液の組み合わせの数だけ特殊液ポンプ選定図を作成すると、記憶部4のメモリ容量が不足するおそれがある。そこで、頻繁に入力される特殊液のみ特殊液ポンプ選定図を作成し、第2選定処理にてポンプを選定し、その他の特殊液は第1選定処理にて選定してもよい。
上述した本実施形態によれば、ポンプ選定装置1は、納入先が要求する所定の運転点OPcと搬送液の粘度および比重とを含む搬送液情報が入力される入力部3と、各種情報を記憶する記憶部4と、記憶部4に記憶される各種情報を処理する処理部5と、を備える。そして、ポンプ選定装置1が選定するポンプは、取扱液が清水とされる標準ポンプである。また、記憶部4に記憶される各種情報は、少なくとも1つの標準ポンプの性能曲線および/またはポンプ選定図である性能情報を含む。さらに、性能情報は、少なくとも1つの特殊液性能曲線および/または特殊液ポンプ選定図を含んでもよい。ポンプ選定装置1の処理部5は、上記標準ポンプの性能情報と搬送液情報に基づいて所定の運転点OPcで搬送液を圧送可能なポンプを選定するように構成される。
このような構成で、ポンプ選定装置1は、複数機種の標準ポンプのなかから、納入先で要望される所定の運転点で搬送液を圧送できる標準ポンプを自動で選定できる。
ポンプ選定装置1で選定される標準ポンプの搬送液(すなわち、納入先が要求する搬送液)には、清水と粘度および/または比重の異なる特殊液が含まれる。したがって、ポンプ選定装置1は、複数機種の標準ポンプのなかから、納入先で要望される運転点で特殊液を圧送できる標準ポンプを選定できる。
記憶部4は、標準ポンプの性能情報として、搬送液が納入先から要求される特殊液であるときの標準ポンプの性能を示す特殊液性能曲線を記憶する。そして、ポンプ選定装置1は、記憶部4に記憶された特殊液性能曲線と入力部3に入力された搬送液情報に基づいて、納入先が要求する所定の運転点OPcで、納入先が要求する特殊液を圧送可能な標準ポンプを選定する。
記憶部4は、搬送液が清水であるときの標準ポンプの性能を示す標準性能曲線を記憶する。そして、処理部5は、記憶部4に記憶された標準性能曲線と、納入先が要求する特殊液の粘度および比重とに基づいて、特殊液性能曲線の各値を算出する。
記憶部4は、標準ポンプの性能情報として、搬送液が納入先が要求する粘度および比重を有する特殊液であるときのポンプ選定図である特殊液ポンプ選定図を記憶する。そして、処理部5は、該特殊液ポンプ選定図と納入先が要求する特殊液の搬送液情報に基づいて、所定の運転点OPcで納入先が要求する特殊液を圧送可能な標準ポンプを選定する。
記憶部4は、搬送液が納入先が要求する粘度および比重を有する特殊液であるときの特殊液性能曲線を記憶する。そして、処理部5は、該特殊液性能曲線に基づいて、納入先が要求する特殊液を圧送可能な性能範囲を示す特殊液ポンプ選定図を作成する。
[変形例1]
上述した実施形態において、特殊液性能曲線は、特殊液の粘度および比重毎に異なるので、入力部3に入力される可能性のある全ての特殊液で特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図を作成すると、処理部5の負荷が大きくなって処理スピードが低下したり、記憶部4のメモリ容量が不足してしまう。そこで、処理部5は、入力部3に入力された特殊液の粘度および比重を記憶部4に記憶させ、所定範囲内で要求の多い粘度および比重に対応する特殊液ポンプ選定図(代表特殊液ポンプ選定図)を作成してもよい。
図12および図13を参照して、代表特殊液ポンプ選定図について説明する。図12は、一実施形態に係る代表特殊液ポンプ選定図を作成する方法を説明するフローチャートである。図12のフローチャートに示す方法は、ポンプ選定装置1の起動中、処理部5によって常時実行される。図13は、記憶部4の記憶エリアXに記憶された粘度および比重の一例を示すグラフである。より具体的には、図13は、所定の期間に入力部3に入力された記憶部4の記憶エリアXに記憶された、複数の特殊液の粘度および比重の値を示す図である。図13において、縦軸は粘度を表し、横軸は比重を表す。記憶エリアXは、ポンプ選定装置1の記憶部4にテーブル構造で形成される(図1参照)。
図12のフローチャートにおいて、まず、処理部5は、記憶エリアXに蓄積された特殊液の粘度および比重をクリアする(ステップS410)。次に、処理部5は、入力部3に入力された特殊液の粘度および比重を、記憶部4の記憶エリアXに蓄積する(ステップS420)。ここで、記憶エリアXは、テーブル構造であって、複数の特殊液の粘度および比重を記憶する領域を持つ。特殊液の粘度および比重の蓄積は、所定の時間間隔ΔT1(例えば、数ヶ月から数年間)が経過するまで行う(ステップS430)。所定の時間間隔ΔT1が経過したら(ステップS430:Yes)、処理部5は該蓄積された特殊液の粘度および比重が密集する範囲(例えば、蓄積された特殊液の粘度および比重の値が80%以上を占める範囲)を粘度比重範囲Zと決定する(ステップS440)。次いで、処理部5は、粘度比重範囲Zにおける最大の粘度および比重を有する特殊液(図13では、符号「LS」が付された特殊液に相当する)を決定する(ステップS450)。本明細書では、粘度比重範囲Zにおける最大の粘度および比重を有する特殊液を「代表特殊液」と称する。なお、粘度比重範囲Zは、ポンプ選定装置1から記憶エリアXに蓄積されたものに限らず、作業者が所定の粘度比重範囲Zを指定してもよいし、処理部5が粘度比重範囲Zを算出してもよい。ここで、粘度比重範囲Z内の特殊液の性能範囲Rxは、代表特殊液の性能範囲Rxと、少なくとも一部が重複する。
次に、処理部5は、標準性能曲線と、代表特殊液の粘度および比重とに基づいて、特殊液性能曲線(以下、「代表特殊液性能曲線」と称する)と特殊液ポンプ選定図(以下、代表特殊液ポンプ選定図と称する)を作成する(ステップS460)。ここで、以前作成した特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図のうち、代表特殊液の粘度および比重に基づいて作成したものが記憶部4に記憶されていたら、ステップS460の処理は省略してもよい。また、代表特殊液性能曲線と代表特殊液ポンプ選定図以外の記憶部4に記憶されている特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図をクリアして、記憶部4のメモリ容量を確保してもよい。
図14は、一実施形態に係る、代表特殊液ポンプ選定図を用いてポンプを選定する方法を説明するフローチャートである。図14のフローチャートに示す方法は、図2のステップS70で実行される。入力部3に入力された特殊液の粘度および比重が粘度比重範囲Z内にある場合(ステップS510:Yes)、処理部5は、代表特殊液ポンプ選定図を用いてポンプを選定する(ステップS520)。具体的には、処理部5は、代表特殊液ポンプ選定図を用いて、上述した第2選定処理を実施する。入力部3に入力された特殊液の粘度および比重が粘度比重範囲Z外にある場合(ステップS510:No)、処理部5は、特殊液性能曲線または特殊液ポンプ選定図を用いてポンプを選定する(ステップS530)。具体的には、処理部5は、特殊液性能曲線または特殊液ポンプ選定図を作成し、特殊液性能曲線または特殊液ポンプ選定図を用いてポンプを選定する上述の第1選定処理または第2選定処理を実施する。
ここで、ステップS510において、入力部3に入力された特殊液の粘度および比重が粘度比重範囲Z内にある場合(ステップS510:Yes)、この特殊液の各吐出流量における全揚程は、代表特殊液の各吐出流量における全揚程以上である。さらに、粘度および比重が粘度比重範囲Z内にある特殊液を圧送するときの軸動力は、代表特殊液を圧送するときの軸動力以下である。ポンプ選定図を用いてポンプを選定する場合は、納入先が所望する運転点OPcを指定して軸動力が使用範囲内のポンプを選定するため、代表特殊液ポンプ選定図は、粘度および比重が粘度比重範囲Z内にある特殊液を圧送可能な標準ポンプを選定するためのポンプ選定図として使用可能である。
図2のステップS01にて入力部3に入力された特殊液の粘度および比重が粘度比重範囲Z内にある場合は、図2のステップS70において、代表特殊液性能曲線または代表特殊液ポンプ選定図を用いて特殊液を圧送可能な標準ポンプを選定できる。したがって、特殊液を圧送可能な標準ポンプを容易かつ短時間で選定することができる。
この変形例1では、処理部5は、特殊液の粘度および比重に特化した代表特殊液性能曲線または代表特殊液ポンプ選定図を作成する。これと同様に、入力部3に客先からの要求として入力される頻度の高い運転点やポンプ機種(口径・出力)、ポンプ形状等に特化した別の特殊液ポンプ選定図(すなわち、別の代表特殊液ポンプ選定図)を作成してもよい。
[変形例2]
上述した標準ポンプにおいて、ポンプ製造者は、清水による性能検査を定期的に(例えば、ポンプの製造ロット毎に)実施している。本変形例2では、定期的に実施される性能検査で取得した性能曲線PC1に基づいて特殊液性能曲線を算出する。
性能曲線PC1は、例えば、清水による性能検査結果が蓄積されるサーバ等から定期的にネットワーク等を介してポンプ選定装置1の入力部3に入力され、処理部5は、性能曲線PC1を記憶部4に記憶させる。処理部5は、記憶部4に記憶された性能曲線PC1と、特殊液の粘度および比重に基づいて、特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図を作成する。この場合、処理部5は、性能曲線PC1に基づいて、ポンプを選定することができる。
図15は、性能検査で取得した性能曲線PC1に基づいて特殊液ポンプ選定図を作成する方法を説明するフローチャートである。まず、処理部5は、記憶部4に形成された記憶エリアY(図1参照)をクリアする(ステップS610)。次に、処理部5は性能曲線PC1を記憶部4の記憶エリアYに蓄積する(ステップS620)。具体的には、性能検査が行われるたび、もしくは、所定の時間間隔ΔT2(例えば、1週間から数ヶ月間)毎に、該性能検査で得られた性能曲線PC1は、入力部3(もしくはネットワーク等を介して)からポンプ選定装置1に入力され、処理部5は、該入力された性能曲線PC1を記憶エリアYに蓄積する。処理部5は、所定の時間間隔ΔT2の間(例えば、1週間から数ヶ月程度)、記憶エリアYに性能曲線PC1を蓄積した後に(ステップS630:YES)、記憶エリアYに蓄積されている複数の性能曲線PC1のなかで最も適した性能曲線を最適性能曲線として選択する(ステップS640)。
次に、処理部5は、最適性能曲線と特殊液の粘度および比重に基づいて、特殊液性能曲線を作成し、さらに、作成された特殊液性能曲線に基づいて特殊液ポンプ選定図(以下、「最適ポンプ選定図」と称する)を作成する(ステップS650)。なお、ここで用いる特殊液の粘度および比重は、上述した代表特殊液の粘度および比重を用いるとよい。図2のステップS70において、処理部5は、最適性能曲線と特殊液の粘度および比重に基づいて作成された特殊液性能曲線、またはステップS650にて作成した最適ポンプ選定図と、所定の運転点OPcとに基づいて、ポンプを選択するとよい。なお、他のタイミングで、最適性能曲線と特殊液の粘度および比重とに基づいて、特殊液性能曲線および最適ポンプ選定図を作成する場合、ステップS650は、省略されてもよいし、ステップ650で、特殊液性能曲線のみを作成してもよい。
処理部5は、最適ポンプ選定図から特殊液を圧送可能な標準ポンプを選定する。これにより、実際の性能曲線に基づいたポンプ選定を可能にしつつ、該標準ポンプを客先に納入した後に、該標準ポンプを所望された性能範囲内で運転することができる。
なお、変形例1で示した代表特殊液の粘度および比重が清水よりも大きい場合、最適性能曲線として、記憶エリアYに蓄積された複数の性能曲線PC1の中で最も低い性能を示す性能曲線を用いてもよい。最適ポンプ選定図が所定の期間内で最も低い性能を示す性能曲線PC1を用いて作成されれば、選定されたポンプの軸動力が使用範囲内となる。なお、最適性能曲線は、記憶エリアYに蓄積された複数の性能曲線PC1を任意の流量ポイントで平均した性能曲線を用いてもよいし、記憶エリアYに蓄積された複数の性能曲線PC1のうち、所定の範囲内の性能曲線を平均した性能曲線を用いてもよい。
[変形例3]
図16を参照して、上述した特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図の変形例を説明する。図16は、特殊液ポンプ選定図の変形例を示す。図16において、縦軸は全揚程を表し、横軸は吐出流量を表す。図16には、一例として、標準ポンプP1の性能範囲Rxを区画する特殊液性能曲線Y1,Y2の間に存在する2つの補助特殊液性能曲線Y3,Y4が描かれている。
一般的に、ポンプの羽根車の外径を変化させると、性能曲線が変化する。より具体的には、ポンプの羽根車の外径が小さくなるにつれて、吐出流量に対する全揚程は小さくなり、軸動力も小さくなる。図16に示される特殊液ポンプ選定図において、処理部5は、Q-H曲線Y1に比べて、羽根車の径を小さくした場合のQ-H曲線を算出し、特殊液補助性能曲線Y3,Y4として点線で示す。
このように、処理部5は、特殊液の粘度および比重に基づいて、標準ポンプ選定図に記載された補助標準性能曲線を特殊液補助性能曲線に変換し、これら特殊液補助性能曲線を特殊液ポンプ選定図に反映してもよい。すなわち、処理部5は、上述した特殊液性能曲線および特殊液補助性能曲線に基づいて、特殊液ポンプ選定図を作成する。例えば、図2のステップS70で特殊液を圧送可能なポンプを選定するときに、特殊液性能曲線と特殊液補助性能曲線に基づいて、1機種または複数機種のポンプを選定してもよい。そうすれば、ポンプ選定装置1の操作者は、ポンプ選定装置1が選定した複数機種のポンプのうち、納入先にとって最適なポンプを選定することができる。
納入先にとって最適なポンプの例としては、既設のポンプを取り換えるために納入する新規のポンプであって、既設のポンプが接続されていた配管径と同一の吸込口径および吐出口径を有するポンプである。このように、ポンプ選定装置1が複数機種のポンプを提示することで、操作者は納入先の要求を満たすポンプを選定することができる。
ここで、入力部3に入力された所定の運転点OPcが図16に示される運転点OP3である場合を想定する。運転点OP3で特殊液を圧送可能な標準ポンプとして選択されたポンプP1の羽根車の外径は、運転点OP1の羽根車の外径よりも小さい。
運転点OP3は、ポンプP1の性能範囲RxにおけるQ-H曲線Y3とQ-H曲線Y4との間に存在する。この場合、羽根車がQ-H曲線Y3の特殊液性能曲線を示す外径より大きいと、ポンプP1を運転したとき、ポンプP1の軸動力が、該ポンプの駆動機の定格出力を超えてしまうおそれがある。したがって、処理部5は、標準ポンプP1の羽根車の外径を、Q-H曲線Y3の特殊液性能曲線を示す羽根車径に決定する。
清水に比べて粘度および比重が大きい特殊液の場合、図6に示すように軸動力が増すので、羽根車の外径を変更してポンプP1の軸動力が駆動機の定格出力を超えない範囲を明確にすることで、処理部5が選択できる標準ポンプの機種が増える。このように、処理部5が特殊液補助性能曲線が反映された特殊液ポンプ選定図を作成することにより、処理部5は、入力された搬送液情報に適した羽根車の最適な外径を容易かつ短時間に決定することができるとともに、処理部5が特殊液ポンプ選定図から簡易的に選定できる標準ポンプの機種を増やすことができる。
このように、所定の運転点OPcで搬送液を圧送可能なポンプを選定するポンプ選定装置1は、運転点OPcと、搬送液情報が入力される入力部3と、各種情報を記憶する記憶部4と、各種情報を処理する処理部5と、を備え、ポンプ選定装置1によって選定されるポンプは、取扱液が清水とされる標準ポンプであり、記憶部4に記憶される各種情報は少なくとも1機種の標準ポンプの性能情報を含む。そして、処理部5は、標準ポンプの性能情報と搬送液情報とに基づいて、運転点OPcで搬送液を圧送可能なポンプを選定する。
一実施形態では、ポンプ選定装置1の搬送液は特殊液である。
一実施形態では、記憶部4は特殊液性能曲線を記憶する。そして、処理部5は特殊液性能曲線と搬送液情報に基づいてポンプを選定する。
一実施形態では、記憶部4は標準性能曲線を記憶する。そして、処理部5は、標準性能曲線と、特殊液の粘度および比重とに基づいて、特殊液性能曲線を算出する。
一実施形態では、記憶部4は特殊液ポンプ選定図を記憶する。そして、処理部5は、特殊液ポンプ選定図と搬送液情報に基づいて、運転点OPcで特殊液を圧送可能なポンプを選定する。
一実施形態では、記憶部4は、特殊液性能曲線を記憶する。そして、処理部5は、特殊液性能曲線に基づいて特殊液ポンプ選定図を算出する。
一実施形態では、記憶部4は、標準ポンプの性能情報と代表特殊液性能曲線を記憶する。そして、処理部5は、入力部3に入力された搬送液の粘度および比重が粘度比重範囲Z内であれば、代表特殊液性能曲線に基づいて、運転点OPcで搬送液を圧送可能なポンプを選定する。
一実施形態では、代表特殊液は、所定の時間間隔ΔT1内で蓄積された粘度および比重が密集する範囲中の最も高い粘度および比重の液体である。
一実施形態では、特殊液ポンプ選定図は、補助特殊液性能曲線として羽根車の外径を変更した性能(補助特殊液性能曲線Y3,Y4)が示される。
一実施形態では、複数の標準ポンプに対して所定の時間間隔ΔT2内で実施された性能検査で得られた性能曲線のなかで最も低い性能曲線を標準ポンプの性能として用いる。
一実施形態では、画像表示器をさらに備え、処理部5は、標準ポンプの性能情報を画像表示器6に表示する。
さらに、所定の運転点OPcで搬送液を圧送可能なポンプを選定するため、ポンプが適切に使用できる性能範囲を示すポンプ選定図を作成するポンプ選定図作成装置は、各種情報を記憶する記憶部4と、各種情報を処理する処理部5と、を備え、各種情報は、取扱液が清水であるときのポンプの性能を示す標準性能曲線と、取扱液が清水と粘度および/または比重の異なる特殊液であるときのポンプの性能を示す特殊液性能曲線と、を含む。そして、処理部5は、標準性能曲線と特殊液性能曲線とに基づいて、特殊液ポンプ選定図を算出する。
一実施形態では、処理部5は、特殊液性能曲線を、標準性能曲線と、特殊液の粘度および比重と、に基づいて算出し、特殊液ポンプ選定図における性能範囲を、標準性能曲線における性能範囲に基づいて算出する。
一実施形態では、粘度および/または比重が所定の粘度比重範囲Z内の特殊液における特殊液ポンプ選定図は、標準性能曲線と、所定の粘度比重範囲Z内で最も高い粘度および比重を有する代表特殊液の特殊液性能曲線とに基づいて算出される。
一実施形態では、代表特殊液は、所定の時間間隔ΔT1内に蓄積された粘度および比重が密集する範囲中の最も高い粘度および比重の液体である。
一実施形態では、特殊液ポンプ選定図は、補助特殊液性能曲線として羽根車の外径を変更した性能(補助特殊液性能曲線Y3,Y4)が示される。
一実施形態では、標準性能曲線として、所定の時間間隔ΔT2内で実施された性能検査で得られた複数の標準性能曲線のなかで、最も適した性能曲線である最適性能曲線が選択される。
一実施形態では、最適性能曲線は、性能検査で得られた複数の標準性能曲線のなかで、最も低い性能を有する性能曲線である。
なお、入力部3、記憶部4、処理部5、および、画像表示器6は、複数の機器で構成され、ネットワーク等を介して接続されてもよい。すなわち、搬送液情報が入力される入力部3、標準ポンプの性能情報を記憶する記憶部4、標準ポンプの性能情報と搬送液情報とに基づいて、前記運転点で搬送液を圧送可能なポンプを選定する処理部5、および、選定結果を表示する画像表示器6は、複数の情報処理機器(例えばパソコン)にて構成され、当該複数の情報処理機器がネットワーク(例えば、インターネットや社内LANなど)や通信(シリアル通信、パケット通信)等で、各種情報を送受信可能に接続されることで、ポンプ選定装置1が構成されるとよい。
さらに、本実施形態では、標準ポンプの性能情報と搬送液情報とに基づいて特殊液ポンプ選定図を算出するポンプ選定図作成装置と、当該ポンプ選定図作成装置にて作成された選定図を用いてポンプを選定するポンプ選定装置とを、ひとつの機器であるポンプ選定装置1として構成したが、これに限らず、ポンプ選定図作成装置とポンプ選定装置は別々の機器にて構成されてもよい。この場合も、ポンプ選定図作成装置とポンプ選定装置は、ネットワーク(例えば、インターネットや社内LANなど)や通信(シリアル通信、パケット通信)等で各種情報を送受信可能に接続されるとよい。
[実施例2:ポンプ選定システム]
図17は、上述した実施形態に係るポンプ選定装置1を備えたポンプ選定システムの一例を示す概略図である。図17に示されるポンプ選定システム100において、特に説明しないポンプ選定装置1の構成および動作は、上述した実施形態に係るポンプ選定装置1の構成および動作と同一であるため、その重複する説明を省略する。
上述したように、特殊液ポンプ選定図を得るためには、ポンプ選定装置1の処理部5は、標準ポンプの標準性能曲線と、特殊液の粘度および比重とに基づいて、特殊液性能曲線を算出する。さらに、処理部5は、補助特殊液性能曲線を算出する場合もある。そのため、処理部5の処理能力次第では、特殊液ポンプ選定図を得るための計算処理に長時間を要するおそれがある。さらに、特殊液の粘度および比重などの搬送液情報は、客先の要望ごとに異なることが多いため、記憶部4が複数の特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図に関する膨大な量のデータを記憶できなくなるおそれがある。さらに、最適ポンプ選定図を得るためには、複数の性能検査で得られた性能曲線PC1をポンプ選定装置1に定期的に入力する必要がある。
ポンプ選定システム100によれば、特殊液ポンプ選定図を短時間で作成し、搬送液を所定の運転点OPcで圧送可能な標準ポンプを短時間で選定することが可能である。さらに、複数の特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図に関する膨大な量のデータを、後述する中継処理装置に格納することができる。
図17に示されるポンプ選定システム100は、上述したポンプ選定装置1と、該ポンプ選定装置1と情報を送受信可能に接続される中継処理装置(例えば、サーバ)30と、中継処理装置30と情報を送受信可能に接続される末端処理装置32とを備えている。
末端処理装置32は、例えば、ポンプ製造者の工場に設置される。この末端処理装置32は、定期的に実施される性能検査で得られた性能曲線PC1などの標準ポンプの性能情報が入力される末端入力部35と、末端入力部35に入力された情報や末端処理部37における演算結果を含む各種情報を記憶する末端記憶部36と、末端記憶部36に記憶された各種情報を処理する末端処理部37と、末端処理部37で処理されたデータを表示する末端画像表示器38と、を備えている。このような末端処理装置32は、例えば、パーソナルコンピュータ、またはタブレット端末などの情報端末から構成することができる。末端入力部35は、一例として、タッチパネル、キーボードおよびマウスなどから構成される。末端入力部35は、性能検査で得られた性能曲線PC1などの標準ポンプの性能情報を読み取ることができるスキャナーを含んでもよいし、USBメモリなどの記録媒体から情報を入力するための入力ポートを含んでいてもよい。また、末端入力部35には、ネットワークを介して各種情報が入力されてもよい。さらに、末端処理装置32は、中継処理装置30と情報を送受信するための末端インターフェイス(入出力インターフェイス)39を含んでいる。この末端インターフェイス39を介して、末端記憶部36に記憶された各種情報(例えば、標準性能曲線、性能検査で得られた性能曲線PC1などの標準ポンプの性能情報)を中継処理装置30に送信することができる。
中継処理装置30は、末端処理装置32およびポンプ選定装置1と各種情報を送受信するための中継インターフェイス(入出力インターフェイス)45と、中継インターフェイス45を介して受信した各種情報を記憶する中継記憶部46と、中継記憶部46に記憶された各種情報を処理する中継処理部47と、を備えている。
中継処理装置30の中継インターフェイス45は、末端処理装置32の末端インターフェイス39と有線または無線で接続されている。したがって、末端処理装置32は、末端記憶部36に記憶された各種情報を末端インターフェイス39を介して中継処理装置30に送信することが可能であり、中継処理装置30は、末端処理装置32から送信された各種情報を中継インターフェイス45を介して受信することができる。さらに、中継処理装置30は、中継記憶部46に記憶された各種情報を中継インターフェイス45を介して末端処理装置32に送信することが可能であり、末端処理装置32は、中継処理装置30から送信された情報を末端インターフェイス39を介して受信することができる。
本実施形態では、ポンプ選定装置1は、入出力インターフェイス8を有している。この入出力インターフェイス8は、中継処理装置30の中継インターフェイス45と有線または無線で接続されている。したがって、ポンプ選定装置1は、記憶部4に記憶された各種情報を入出力インターフェイス8を介して中継処理装置30に送信することが可能であり、中継処理装置30は、ポンプ選定装置1から送信された各種情報を中継インターフェイス45を介して受信することができる。さらに、中継処理装置30は、中継記憶部46に記憶された各種情報を中継インターフェイス45を介してポンプ選定装置1に送信することが可能であり、ポンプ選定装置1は、中継処理装置30から送信された各種情報を入出力インターフェイス8を介して受信することができる。ポンプ装置1の処理部5は、中継処理装置30から送信された各種情報を処理することができる。
標準性能曲線、標準ポンプ選定図、性能検査で得られた性能曲線PC1などの標準ポンプの性能情報を、末端入力部35から末端処理装置32に入力することができる。末端処理装置32の末端処理部37は、末端入力部35から入力された標準ポンプの性能情報を末端記憶部36に記憶させる。さらに、末端処理部37は、末端記憶部36に記憶された標準ポンプの性能情報を中継処理装置30に送信することができる。中継処理装置30の中継処理部47は、末端処理装置32から送信された標準ポンプの性能情報を中継記憶部46に記憶させる。中継記憶部46は、例えば、標準ポンプ選定図、標準性能曲線などの標準ポンプの性能情報を含む各種情報を予め記憶している。
次に、図18を参照して、図17に示されるポンプ選定システムを用いたポンプ選定方法を説明する。図18は、図17に示されるポンプ選定システムを用いてポンプを選定するポンプ選定方法の一例を説明するフローチャートである。
まず、ポンプ選定装置1の入力部3に、納入先が所望するポンプの所定の運転点OPc(すなわち、全揚程と吐出流量)と、搬送液の名称、粘度および比重などを含む搬送液情報が入力される(ステップS701)。入力される搬送液情報は、納入先で所望されるポンプの種類、形状、ポンプのサイズ(口径や出力等のポンプサイズ)および軸動力が含まれてもよい。このステップS701は、図2のステップS01に対応する。次に、ポンプ選定装置1の処理部5は、搬送液情報を入出力インターフェイス8を介して中継処理装置30に送信する(ステップS710)。中継処理装置30は、中継インターフェイス45を介して搬送液情報を受信し、中継処理部32は、受信した搬送液情報を中継記憶部46に記憶させる。
次に、中継処理部32は、搬送液の粘度および比重が清水と同一であるか否かの判断を行う(ステップS720)。ステップS720で、中継処理部32は、受信した搬送液の名称が清水であるか否かの判断を行ってもよい。このステップS720の処理は、図2のステップS10に対応する。
搬送液が清水である場合は(ステップS720:YES)、中継処理装置30の中継処理部47は、中継記憶部46に予め記憶されている標準性能曲線および標準ポンプ選定図をポンプ選定装置1に送信する(ステップS730)。ポンプ選定装置1が標準ポンプの性能情報である標準性能曲線および標準ポンプ選定図を入出力インターフェイス8を介して受信すると、ポンプ選定装置1の処理部5は、図2のフローチャートに示されるステップS20以降の各ステップを実行する。上述したように、ポンプ選定装置1の処理部5は、受信した標準性能曲線または標準ポンプ選定図と、入力部3に入力された搬送液情報とに基づいて、搬送液(すなわち、清水)を所定の運転点OPcで圧送可能な標準ポンプを選定することができる。具体的には、上述したように、処理部5は、受信した標準ポンプ選定図を読み出し、所定の運転点OPcが含まれる性能範囲を有する標準ポンプを選定する。あるいは、処理部5は、所定の運転点OPcで使用できる標準性能曲線を有するポンプが見つかるまで、受信した標準性能曲線を検索する。
該当するポンプが見つかった場合、処理部5は、該ポンプを所定の運転点OPcで搬送液を圧送可能な標準ポンプとして選定する。受信した全ての標準性能曲線で該当するポンプが見つからなかった場合は、処理部5は選定できる標準ポンプがない、と判断する。そして、処理部5は、図2のステップS30に進む。
次に、処理部5は、選定された標準ポンプのありなしを判断し(図2のステップS30参照)、選定された標準ポンプがある場合(図2のステップS30における「Yes」参照)、選定された標準ポンプの性能情報を、所定の運転点OPcと共に画像表示部6に表示する(図2のステップS40参照)。所定の運転点OPcで、搬送液を圧送可能な標準ポンプが見つからなかった場合は、処理部5は、選定できる標準ポンプがないと判断する(図2のステップS30における「No」参照)。この場合、処理部5は、適切な標準ポンプがない旨の表示を画像表示部6に表示する(図2のステップS50参照)。
搬送液が清水とは粘度および比重が異なる特殊液である場合は(ステップS720:No)、中継処理装置30の中継処理部47は、受信した特殊液の粘度および比重を中継記憶部46に記憶させ、特殊液(搬送液)が、標準ポンプで使用可能か否かを判断する(ステップS740)。このステップS740の処理は、図2のステップS60の処理に対応する。受信した特殊液の名称や粘度および比重が標準ポンプで使用可能である場合(ステップS740:Yes)、中継処理部32は、図5に示されるフローチャートおよび図9に示されるフローチャートにしたがって、特殊液性能曲線(図6参照)および特殊液ポンプ選定図(図10参照)作成する(ステップS750)。さらに、中継処理部47は、作成された特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図を中継記憶部46に記憶させる。本実施形態では、特殊液ポンプ選定図は、ポンプ選定装置1から送信された搬送液情報と少なくとも1つの標準ポンプの性能情報とを記憶する中継記憶部46と、中継記憶部46に記憶された標準ポンプの性能情報と搬送液情報とに基づいて特殊液ポンプ選定図を算出する中継処理部47を備えたポンプ選定図作成システム(本実施形態では、ポンプ選定システム100)にて算出される。
次に、中継処理装置30は、中継処理部47によって作成された特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図を中継インターフェイス45を介してポンプ選定装置1に送信する(ステップS760)。ポンプ選定装置1が標準ポンプの性能情報である特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図を入出力インターフェイス8を介して受信すると、ポンプ選定装置1の処理部5は、図2のフローチャートに示されるステップS70以降の各ステップを実行する。具体的には、ポンプ選定装置1の処理部5は、標準ポンプの性能情報である特殊液ポンプ選定図と、入力部3に入力された搬送液情報である所定の運転点OPcとに基づいて、特殊液を圧送可能なポンプを選定する。
このとき、ポンプ選定装置1の処理部5は、図11のフローチャートに示される第2選定処理を用いてポンプを選定することができる。具体的には、処理部5は、受信した特殊液ポンプ選定図に所定の運転点OPcを記載し、この運転点OPcが含まれる性能範囲を有する機種があるか否かを判断する(図11のステップS310参照)。所定の運転点OPcが特殊液ポンプ選定図の何れかのポンプの性能範囲内である場合は(図11のステップS310における「Yes」参照)、処理部5は、選択できるポンプありと判断する(図11のステップS320参照)。その後、処理部5は第2選定処理を終了し、図2のステップS30に進み、該ステップS30以降のステップを実行する。
所定の運転点OPcが特殊液ポンプ選定図の何れかのポンプの性能範囲内に含まれない場合は(図11におけるステップS310の「No」参照)、処理部5は、選択できるポンプがないと判断する(図11のステップS330参照)。その後、処理部5は、第2選定処理を終了し、図2のステップS50に進み、適切な標準ポンプがない旨の表示を画像表示部6に表示する。
本実施形態によれば、中継処理部47は、中継記憶部46に記憶された標準性能曲線と、ポンプ選定装置1から送信された特殊液の粘度および比重などの搬送液情報とに基づいて特殊液性能曲線を作成し、該特殊液性能曲線に基づいて、特殊液ポンプ選定図を作成する。この特殊液ポンプ選定図は、中継処理装置30からポンプ選定装置1に送信される。特殊液ポンプ選定図には各標準ポンプで特殊液を圧送可能な性能範囲が示されているので、ポンプ選定装置1の処理部5は、受信した特殊液ポンプ選定図から、特殊液を圧送可能な標準ポンプを容易に選定することができる。
ステップS740で、受信した特殊液の名称や粘度および比重が標準ポンプで使用可能である場合(ステップS740:Yes)、中継処理部47は、図7のフローチャートに示される第1選定処理を行ってもよい。この場合、中継処理部47は、中継記憶部46に記憶された標準ポンプ選定図にて所定の運転点OPcが使用範囲に入る機種もしくは当該機種に近い出力の機種を機種1として選定し、該機種1の特殊液性能曲線を、図5に示されるフローチャートにしたがって作成する。
中継処理部47は、機種1の特殊液性能曲線において所定の運転点OPcが使用範囲内か否かを判断する(図7のステップS110参照)。特殊液性能曲線に記載した所定の運転点OPcが使用範囲内である場合(図7のステップS110における「Yes」参照)、中継処理部47は、機種1の標準ポンプを選定ポンプとして決定し、選定可能なポンプがあると判断する(図7のステップS170参照)。その後、中継処理部47は、機種1の特殊液特性曲線などの性能情報をポンプ選定装置1に送信し、性能情報を受信したポンプ選定装置1の処理部5は、図2のステップS30以降の各ステップを実行する。
機種1の特殊液性能曲線に記載した所定の運転点OPcが使用範囲外である場合(図7のステップS110における「No」参照)、中継処理部47は、次の機種があるか否か、つまり、中継記憶部46に記憶された全ての機種の標準性能曲線を確認したか否かを判断する(図7のステップS120参照)。中継処理部47は、中継記憶部46に記憶された全ての機種で使用範囲外であると判断したら(図7のステップS120における「Yes」参照)、選定できる標準ポンプがないと判断する(図7のステップS180参照)。その後、中継処理部47は、選定できる標準ポンプがない旨の情報をポンプ選定装置1に送信し、この情報を受信したポンプ選定装置1の処理部5は、図2のステップS30以降の各ステップを実行する。
中継処理部47は、中継記憶部46に記憶された標準性能曲線のうち次に確認する機種があると判断したら(図7のステップS120における「No」参照)、図7のステップS130に示される処理を実行する。具体的には、所定の運転点OPcが機種1の特殊液性能曲線のQ-H曲線の下方に位置しているか否かを判断する(図7のステップS130参照)。所定の運転点OPcが機種1の特殊液性能曲線のQ-H曲線の下方に位置していると判断された場合は(図7のステップS130における「Yes」参照)、中継処理部47は、中継記憶部46に記憶された標準性能曲線の中から機種1より小さい出力の機種の標準性能曲線を選定し(図7のステップS140参照)、該選定した標準性能曲線に基づいて特殊液性能曲線を作成する(図7のステップS150参照)。また、所定の運転点OPcが機種1の特殊液性能曲線のQ-H曲線の上方に位置していると判断された場合は(図7のS130における「No」参照)、中継処理部47は、中継記憶部46に記憶された標準性能曲線の中から機種1より大きい出力の機種の標準性能曲線を選定し(図7のステップS160参照)、該選定した標準性能曲線に基づいて特殊液性能曲線を作成する(図7のステップS150参照)。特殊液性能曲線を作成するステップにおいて、中継処理部47は、上述した図5に示されるフローチャートにしたがって特殊液性能曲線を作成する。次の機種の特殊液性能曲線を作成した後、中継処理部47は、所定の運転点OPcが、次の機種の特殊液性能曲線にて使用範囲内であるか否かを判断する(図7のステップS110参照)。
このように、中継処理部47は、所定の運転点OPcで特殊液を圧送可能な標準ポンプが見つかるまで特殊液性能曲線を確認する作業を繰り返す。所定の運転点OPcで特殊液を圧送可能な特殊液性能曲線が見つかったときは、中継処理部47は、この特殊液性能曲線の標準ポンプを選定ポンプとして決定し、選定可能なポンプがあると判断する(図7のステップS170参照)。その後、中継処理部47は、選定されたポンプの特殊液特性曲線などの性能情報をポンプ選定装置1に送信し、性能情報を受信したポンプ選定装置1の処理部5は、図2のステップS30以降の各ステップを実行する。
なお、本実施形態では、中継処理部47は、所定の運転点OPcが機種1のQ-H曲線よりも下方に位置する場合は機種1よりも小さい出力の機種の標準性能曲線を選定し、所定の運転点OPcが機種1のQ-H曲線よりも上方に位置する場合は機種1よりも大きい出力の機種の標準性能曲線を選定したが、これによらず、所定の運転点OPcが機種1のQ-H曲線の下方上方に位置するかに関わらず、中継記憶部46に記憶する全ての標準性能曲線で所定の運転点OPcが使用範囲外か否かを確認してもよい。なぜならば、例えば、運転点OPcがQ-H曲線の下方に位置する機種1において運転点OPcでの軸動力が納入先の所望する軸動力を超えても、機種1より大きな出力の機種2の方が運転点OPcでのポンプ効率が良い等の理由によって、当該機種2の運転点OPcにおける軸動力が納入先の所望する軸動力の範囲内となることがあるためである。
また、各機種毎の使用範囲は互いに重なる部分もあり、複数機種の標準ポンプにおいて運転点OPcで特殊液を圧送可能な場合もある。そのため、中継処理部47は、所定の運転点OPcで特殊液を圧送可能な標準ポンプを見つけた後にも、中継記憶部46に記憶する全ての標準性能曲線で所定の運転点OPcが使用範囲外か否かを確認してもよい。ポンプ選定装置1の操作者が複数機種を納入先に提示すれば、提示されたポンプの中から納入先で最も適したポンプを選択できる。
説明をステップS740に戻す。中継処理部47は、受信した特殊液の搬送液情報に基づいて、該特殊液を所定の標準ポンプで使用できないと判断したら(ステップS740:No)、選定できる標準ポンプがないと判断し(ステップS770)、適切な標準ポンプがない旨の情報をポンプ選定装置1に送信する(ステップS780)。その後、処理部5は、図2のステップS30に進み、該ステップS30以降の各ステップを実行する。
このように、ポンプ選定システム100は、ポンプ選定装置1の入力部3に入力された搬送液の粘度および比重を含む搬送液情報と、中継処理装置30の記憶部47に記憶された標準ポンプの性能情報とに基づいて、所定の運転点OPcで搬送液を圧送可能なポンプを選定する。したがって、このポンプ選定システム100を使用することにより、搬送液が清水または特殊液のいずれの場合でも、複数機種のポンプのなかから、所定の運転点OPcで搬送液を圧送可能なポンプを自動で選定することができる。
本実施形態では、ポンプ選定装置1は、入力部3に、所定の運転点OPc、特殊液の粘度および比重などの搬送液情報が入力されるたびに、入力された搬送液情報を中継処理装置30に送信する。中継処理装置30の中継処理部47は、搬送液情報を受信するたびに、該搬送液情報に含まれる特殊液の粘度および比重と、標準性能曲線とに基づいて特殊液性能曲線を算出し、算出された特殊液性能曲線に基づいて特殊液ポンプ選定図を作成する。さらに、中継処理部47は、このようにして作成された複数の特殊液ポンプ選定図を中継記憶部46に蓄積する。
ステップS720で、搬送液が清水とは異なる特殊液であると判断された場合は(ステップS720:No)、中継処理部47は、中継記憶部46に記憶された情報を検索して、受信した特殊液の粘度および比重と同じ粘度および比重に基づいて作成された特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図が中継記憶部46に記憶されているか否かを決定してもよい。このような特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図が中継記憶部46に記憶されている場合は、中継処理部47は、ステップS750を省略して、ステップS760で、この特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図をポンプ選定装置1に送信する。上述したように、ポンプ選定装置1の処理部5は、受信した特殊液性能曲線または特殊液ポンプ選定図に基づいて、特殊液を圧送可能な標準ポンプを選定することができる。
本実施形態によれば、中継処理部47は、中継記憶部46に記憶された標準性能曲線と、ポンプ選定装置1から送信された特殊液の粘度および比重とに基づいて特殊液性能曲線を作成し、特殊液性能曲線に基づいて、特殊液ポンプ選定図を作成する。つまり、ポンプ選定図作成システム(本実施形態では、ポンプ選定システム100)は、標準性能曲線と特殊液性能曲線を記憶する中継記憶部47と、当該各種情報を処理する中継処理部47と、を備え、中継処理部47は、標準性能曲線と特殊液性能曲線とに基づいて搬送液が特殊液である特殊液ポンプ選定図を算出する。さらに、中継処理部47は、特殊液ポンプ選定図をポンプ選定装置1に送信する。この特殊液ポンプ選定図には、搬送液が特殊液の各標準ポンプで適切に使用できる性能範囲が示されているので、ポンプ選定装置1の処理部5は、特殊液ポンプ選定図から、特殊液を圧送可能な標準ポンプを容易に選定することができる。
中継処理装置30の中継処理部47は、非常に高い処理能力(すなわち、ポンプ選定装置1の処理部5よりも高い処理能力)を有している。したがって、中継処理装置30は、特殊液性能曲線を得るための上述した計算処理、および該特殊液性能曲線に基づく特殊液ポンプ選定図の作成処理をポンプ選定装置1よりも高速で実行することができる。すなわち、中継処理装置30にこれら処理を実行させることにより、特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図をポンプ選定装置1よりも高速で得ることができる。その結果、ポンプ選定装置1は、特殊液を所定の運転点OPcで圧送可能な標準ポンプを短時間で選定することができる。
さらに、中継処理装置30の中継記憶部46は、ポンプ選定装置1の記憶部4よりも非常に大きな容量を有している。したがって、中継記憶部46は、複数の特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図に関する膨大な量のデータを格納することができる。中継処理装置30の中継処理部47は、中継記憶部46に格納された複数の特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図のデータの一部をポンプ選定装置1および/または末端処理装置32に送信してもよい。
[変形例1]
本変形例1では、上述した代表特殊液ポンプ選定図が、中継処理装置30の中継処理部47によって作成される。そのため、図17に示されるように、中継記憶部46は、記憶エリアXを有しており、ポンプ選定装置1から送信された搬送液情報に含まれる特殊液の粘度および比重は、この記憶エリアXに記憶される。記憶エリアXは、中継処理装置30の中継記憶部46にテーブル構造で形成される(図17参照)。中継記憶部46の記憶エリアXは、テーブル構造であって、複数の特殊液の粘度および比重を記憶する領域を持つ。中継処理部47は、図12に示されるフローチャートにしたがって代表特殊液ポンプ選定図を作成する。
まず、中継処理部47は、記憶エリアXに蓄積された特殊液の粘度および比重をクリアする(図12のステップS410参照)。次に、中継処理部47は、ポンプ選定装置1から送信された特殊液の粘度および比重を、中継記憶部46の記憶エリアXに蓄積する。このステップは、図12のステップS420に対応する。特殊液の粘度および比重の蓄積は、所定の時間間隔ΔT1(例えば、数ヶ月~数年程度)が経過するまで行う(図12のステップS430参照)。所定の時間間隔ΔT1経過したら(ステップS430:Yes)、中継処理部47は該蓄積された特殊液の粘度および比重が密集する範囲(例えば、蓄積された特殊液の粘度および比重の値が80%以上を占める範囲)を粘度比重範囲Z(図13参照)と決定する(図12のステップS440参照)。次いで、中継処理部47は、粘度比重範囲Zにおける最大の粘度および比重を有する特殊液(図13における符号「LS」が付された特殊液を参照)を決定する(図12のステップS450参照)。上述したように、粘度比重範囲Zにおける最大の粘度および比重を有する特殊液が「代表特殊液」である。なお、作業者が粘度比重範囲Zを指定してもよいし、中継処理部47が粘度比重範囲Zを算出してもよい。作業者が粘度比重範囲Zを指定する場合、作業者は、粘度比重範囲Zをポンプ選定装置1の入力部3から入力し、ポンプ選定装置1の処理部5は、入力された粘度比重範囲Zを中継処理装置30に送信する。ここで、粘度比重範囲Z内の特殊液の性能範囲Rxは、代表特殊液の性能範囲Rxと、少なくとも一部が重複する。
次に、中継処理部47は、中継記憶部46に記憶された標準性能曲線と、代表特殊液の粘度および比重とに基づいて、代表特殊液性能曲線および代表特殊液ポンプ選定図を作成する(図12のステップS460参照)。ここで、以前作成した特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図のうち、代表特殊液の粘度および比重に基づいて作成したものが中継記憶部46に記憶されていたら、ステップS460の処理は省略してもよい。
中継処理装置30の中継処理部47が代表特殊液性能曲線および代表特殊液ポンプ選定図を作成している場合は、中継処理部47は、図14に示すフローチャートにしたがって、所定の運転点OPcで搬送液を圧送可能なポンプを選定する。
具体的には、中継処理装置30の中継処理部47は、ポンプ選定装置1から送信された搬送液情報に含まれる特殊液の粘度および比重が粘度比重範囲Z内にあるか否かを判断する(図14のステップS510参照)。特殊液の粘度および比重が粘度比重範囲Z内にある場合(図14のステップS510における「Yes」参照)、中継処理部47は、代表特殊液ポンプ選定図を用いてポンプを選定する(図14のステップS520参照)。具体的には、中継処理部47は、代表特殊液ポンプ選定図を用いて、上述した第2選定処理を実施する。選定された標準ポンプがある場合は、中継処理部47は、選定されたポンプの特殊液特性曲線などの性能情報をポンプ選定装置1に送信し、性能情報を受信したポンプ選定装置1の処理部5は、図2のステップS30以降の各ステップを実行する。選定できる標準ポンプがない場合は、中継処理部47は、適切な標準ポンプがない旨の情報をポンプ選定装置1に送信し、この情報を受信したポンプ選定装置1の処理部5は、図2のステップS30以降の各ステップを実行する。
特殊液の粘度および比重が粘度比重範囲Z外にある場合(図14のステップS510における「No」参照)、中継処理部47は、上述したように、特殊液性能曲線または特殊液ポンプ選定図を用いてポンプを選定する(図14のステップS530参照)。具体的には、中継処理部47は、特殊液性能曲線または特殊液ポンプ選定図を作成し、特殊液性能曲線または特殊液ポンプ選定図を用いてポンプを選定する上述の第1選定処理または第2選定処理を実施する。
中継処理部47によって選定された標準ポンプがある場合は、中継処理部47は、選定されたポンプの特殊液特性曲線などの性能情報をポンプ選定装置1に送信し、性能情報を受信したポンプ選定装置1の処理部5は、図2のステップS30以降の各ステップを実行する。中継処理部47は選定できる標準ポンプがないと判断した場合は、中継処理部47は、適切な標準ポンプがない旨の情報をポンプ選定装置1に送信し、この情報を受信したポンプ選定装置1の処理部5は、図2のステップS30以降の各ステップを実行する。
上述したように、代表特殊液ポンプ選定図は、粘度および比重が粘度比重範囲Z内にある特殊液を圧送可能な標準ポンプを選定するためのポンプ選定図として使用可能である。したがって、特殊液の粘度および比重が粘度比重範囲Z内にある場合は、代表特殊液性能曲線または代表特殊液ポンプ選定図を用いて特殊液を圧送可能な標準ポンプを選定できる。したがって、特殊液を圧送可能な標準ポンプを容易かつ短時間で選定することができる。
この変形例1では、中継処理部47は、特殊液の粘度および比重に特化した代表特殊液性能曲線または代表特殊液ポンプ選定図を作成する。これと同様に、入力部3に客先からの要求として入力される頻度の高い運転点やポンプ機種(口径・出力)、ポンプ形状等に特化した別の特殊液ポンプ選定図(すなわち、別の代表特殊液ポンプ選定図)を作成してもよい。
[変形例2]
本変形例2では、中継処理装置30の中継処理部47は、定期的に実施される性能検査で取得した性能曲線PC1に基づいて特殊液性能曲線を算出する。
性能曲線PC1は、末端処理装置32の末端入力部35に入力され、末端処理部37は、性能曲線PC1を末端記憶部36に記憶させる。末端処理部37は、標準ポンプの性能情報である性能曲線PC1を末端インターフェイス39を介して中継処理装置30に送信する。性能曲線PC1は、例えば、末端処理装置32から定期的にネットワークを介して中継処理装置30に送信される。中継処理装置30の中継処理部47は、受信した性能曲線PC1を中継記憶部46に記憶させる。中継処理部47は、中継記憶部46に記憶された性能曲線PC1と、ポンプ選定装置1から送信された搬送液情報に含まれる特殊液の粘度および比重に基づいて、特殊液性能曲線および特殊液ポンプ選定図を作成する。この場合、中継処理部47は、性能曲線PC1に基づいて、ポンプを選定し、選定されたポンプの性能情報などをポンプ選定装置1に送信することができる。
中継処理部47は、図15に示されるフローチャートにしたがって、性能検査で取得した性能曲線PC1に基づく特殊液ポンプ選定図を作成する。まず、中継処理部47は、中継記憶部47に形成された記憶エリアYをクリアする(図15のステップS610参照)。次に、中継処理部47は性能曲線PC1を中継記憶部46の記憶エリアYに蓄積する(図15のステップS620参照)。具体的には、性能検査が行われるたびに、該性能検査で得られた性能曲線PC1は、末端処理装置32の末端入力部35から末端処理装置30に入力され、末端処理部37は、該入力された性能曲線PC1を末端記憶部36に記憶するとともに、性能検査が行われるたび、もしくは、所定の時間間隔ΔT2(例えば、1週間~数ヶ月間)毎に、性能曲線PC1を中継処理装置30に送信する。中継処理装置30は、受信した性能曲線PC1を記憶エリアYに蓄積する。中継処理部47は、所定の時間間隔ΔT2の間、記憶エリアYに性能曲線PC1を蓄積した後に(図15のステップS630:Yes参照)、記憶エリアYに蓄積されている複数の性能曲線PC1のなかで最も適した性能曲線を最適性能曲線として選択する(図15のステップS640参照)。
次に、中継処理部47は、最適性能曲線と特殊液の粘度および比重とに基づいて、特殊液性能曲線を作成し、さらに、作成された特殊液性能曲線に基づいて最適ポンプ選定図を作成する(図15のステップS650参照)。なお、ここで用いる特殊液の粘度および比重は、上述した代表特殊液の粘度および比重を用いるとよい。中継処理部47は、最適性能曲線に基づいて作成された特殊液性能曲線、または最適ポンプ選定図と、所定の運転点OPcに基づいて、ポンプを選択するとよい。なお、他のタイミングで、最適性能曲線と特殊液の粘度および比重とに基づいて作成された特殊液性能曲線および最適ポンプ選定図を作成する場合、ステップS650は、省略されてもよいし、ステップS650で、特殊液性能曲線のみを作成してもよい。
中継処理部47は、最適ポンプ選定図から特殊液を所定の運転点OPcで圧送可能な標準ポンプを選定する。これにより、実際の性能曲線に基づいたポンプ選定を可能にしつつ、該標準ポンプを客先に納入した後に、該標準ポンプを所望された性能範囲内で運転することができる。
なお、変形例1で示した代表特殊液の粘度および比重が清水よりも大きい場合、最適性能曲線として、記憶エリアYに蓄積された複数の性能曲線PC1の中で最も低い性能を示す性能曲線を用いてもよい。最適ポンプ選定図が所定の時間間隔ΔT2内で最も低い性能を示す性能曲線PC1を用いて作成されれば、選定されたポンプの軸動力が使用範囲内となる。なお、最適性能曲線は、記憶エリアYに蓄積された複数の性能曲線PC1を任意の流量ポイントで平均した性能曲線を用いてもよいし、記憶エリアYに蓄積された複数の性能曲線PC1のうち、所定の範囲内の性能曲線を平均した性能曲線を用いてもよい。
[変形例3]
本変形例3では、中継処理装置30の中継処理部47は、図16に示されるような特殊液ポンプ選定図を作成する。すなわち、中継処理部47は、補助特殊液性能曲線(例えば、図16に示される補助特殊液性能曲線Y3,Y4)が描かれた特殊液ポンプ選定図を作成する。上述したように、図16に示される特殊液ポンプ選定図で点線で示される特殊液補助性能曲線Y3,Y4は、Q-H曲線Y1に比べて、羽根車の径を小さくした場合のQ-H曲線である。
中継処理部47は、特殊液の粘度および比重に基づいて、標準ポンプ選定図に記載された補助標準性能曲線を特殊液補助性能曲線に変換し、これら特殊液補助性能曲線を特殊液ポンプ選定図に反映してもよい。すなわち、中継処理部47は、上述した特殊液性能曲線および特殊液補助性能曲線に基づいて、特殊液ポンプ選定図を作成する。特殊液補助性能曲線を含む特殊液ポンプ選定図は、中継処理装置30からポンプ選定装置1に送信される。ポンプ選定装置1は、特殊液性能曲線と特殊液補助性能曲線に基づいて、1機種または複数機種のポンプを選定してもよい。そうすれば、ポンプ選定装置1の操作者は、ポンプ選定装置1が選定した複数機種のポンプのうち、納入先にとって最適なポンプを選定することができる。
このように、中継処理装置30が特殊液補助性能曲線が反映された特殊液ポンプ選定図を作成することにより、処理部5は、羽根車の最適な外径を容易かつ短時間に決定することができるとともに、処理部5が選定できる機種を増やすことができる。
なお、上述した実施形態では、ポンプ選定装置1の処理部5で所定の運転点OPcで搬送液を圧送可能な標準ポンプの選定を行ったが、中継処理装置30の中継処理部47で当該標準ポンプの選定を行ってもよい。
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
1 ポンプ選定装置(ポンプ選定図作成装置)
3 入力部
4 記憶部
5 処理部
6 画像表示器
8 入出力インターフェイス
11 印刷機
30 中継処理装置
32 末端処理装置
35 末端入力部
36 末端記憶部
37 末端処理部
38 末端画像表示部
39 末端インターフェイス(入出力インターフェイス)
45 中継インターフェイス(入出力インターフェイス)
46 中継記憶部
47 中継処理部
100 ポンプ選定システム(ポンプ選定図作成システム)

Claims (7)

  1. 所定の運転点で搬送液を圧送可能なポンプを選定するため、前記ポンプが適切に使用できる性能範囲を示すポンプ選定図を作成するポンプ選定図作成装置であって、
    前記ポンプ選定図作成装置は、
    各種情報を記憶する記憶部と、
    前記各種情報を処理する処理部と、を備え、
    前記各種情報は、
    取扱液が清水であるときの前記ポンプの性能を示す標準性能曲線と、
    取扱液が清水と粘度および/または比重の異なる特殊液であるときの前記ポンプの性能を示す特殊液性能曲線と、を含み、
    前記処理部は、
    前記標準性能曲線と前記特殊液性能曲線とに基づいて、前記搬送液が前記特殊液のポンプ選定図である特殊液ポンプ選定図を算出し、
    粘度および/または比重が所定の粘度比重範囲内の特殊液における前記特殊液ポンプ選定図は、前記標準性能曲線と、前記所定の粘度比重範囲内で最も高い粘度および比重を有する代表特殊液の前記特殊液性能曲線とに基づいて算出されることを特徴とするポンプ選定図作成装置。
  2. 前記処理部は、
    前記特殊液性能曲線を、前記標準性能曲線と、前記特殊液の粘度および比重と、に基づいて算出し、
    前記特殊液ポンプ選定図における前記性能範囲を、前記標準性能曲線における前記性能範囲に基づいて算出することを特徴とする請求項1に記載のポンプ選定図作成装置。
  3. 前記代表特殊液は、
    所定の時間間隔内で蓄積された粘度および比重が密集する範囲中の最も高い粘度および比重の液体であることを特徴とする請求項1に記載のポンプ選定図作成装置。
  4. 前記特殊液ポンプ選定図は、補助特殊液性能曲線として羽根車の外径を変更した性能が示されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポンプ選定図作成装置。
  5. 前記標準性能曲線として、所定の時間間隔内で実施された性能検査で得られた複数の前記標準性能曲線のなかで、前記特殊液性能曲線を作成するのに最も適した性能曲線である最適性能曲線が選択されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポンプ選定図作成装置。
  6. 前記最適性能曲線は、前記性能検査で得られた複数の前記標準性能曲線のなかで、最も低い性能を有する性能曲線であることを特徴とする請求項5に記載のポンプ選定図作成装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポンプ選定図作成装置にて算出された前記特殊液ポンプ選定図に基づいて、前記ポンプを選定することを特徴とするポンプ選定装置
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