JP7186283B2 - ファクターリターン分散共分散行列予想システム - Google Patents

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Description

本発明は、株式などの金融商品に係る複数のファクターのファクターリターン間の分散共分散行列を予想するファクターリターン分散共分散行列予想システムに関する。
現在の株式投資、債券投資など金融商品投資の世界では、単独の銘柄に投資するよりも、複数の銘柄に対し適宜購入比率を定めて分散投資を行うほうが投資によって得られるリターン(収益・利益)が安定すると考えられている。これは投資対象を分散させたほうが、投資に伴うリスクを軽減できるというメリットがあるためである。
たとえば、銘柄Aと銘柄Bの値動きの相関係数が1未満である場合、すなわち、銘柄Aと銘柄Bの値動きが完全には連動しない場合、銘柄Aの価格が下がったときであっても、銘柄Bの価格は下がらないことがある。したがって、銘柄Aだけを購入するよりも、銘柄Aと銘柄Bの両方に分散して投資したほうが、損益が平準化されるため、リスク回避的な投資家にとってより有用なものとなる。さらに踏み込んで考えると、銘柄Aと銘柄Bの値動きの相関係数がマイナス1である場合、すなわち、銘柄Aと銘柄Bの値動きが完全に逆方向に動く場合、銘柄Aの価格が下がったときは、銘柄Bの価格は必ず上がることになる。この性質を利用して、銘柄Aと銘柄Bをうまく組み合わせて購入すれば、銘柄Aと銘柄Bの平均リターンを、コンスタントに得ることが理論的には可能といえる。
これは単独の銘柄についてだけでなく、あるファクター(株式や債券の発行体企業に係る属性や、株式や債券の市場における属性)を基準としてウェイト付けされた銘柄グループについても同様のことがいえる。このような銘柄グループは、全体として当該ファクターを起因としたリスク・リターン特性を有していると考えられる。これはそのファクターが持つリスク及びリターンと考えることも可能である。
例えばEP(税引後利益/時価総額)をファクターと考えた場合、EPによってウェイト付けされたポートフォリオによる、平均的な市場リターンに対する超過リターンはEPのファクターリターンであると考えることができる。同様にBP(自己資本/時価総額)についてもBPのファクターリターンがあると考えることができる。ここで、例えばEPのファクターリターンとBPのファクターリターンに逆相関の関係があるのならば両者を組み合わせたポートフォリオは、それぞれの単独ファクターによるポートフォリオよりも低リスクであるといえる。
したがって、各ファクターのファクターリターンの分散および、ファクター間のファクターリターンの共分散を正確に予想できるとすれば、各ファクターのリスクが相殺されるような、きわめてリスクの低いポートフォリオを構築できることになり極めて有用である。このようなポートフォリオの最適化によるリスク最小化は、金融工学の研究の最重要分野の一つである。
特表2006-522409公報
特許文献1には、リスク予想を生成するための因子リスク・モデルに基づく方法が開示されている。この方法は、証券グループの各証券の固有リスクと、リスクとなりうる複数のファクターの分散共分散行列から、証券グループの分散共分散行列を推定している。
しかしながら、特許文献1においては、各ファクターのファクターリターンの分散共分散をより正確に推定する方法については記載されていない。このため、各ファクターのリスクがより正確に相殺されるような、きわめてリスクの低いポートフォリオを構築することに貢献することはない。
このような次第であるから、ファクター間のファクターリターンの分散・共分散をより正確に推定する斬新なモデルによるファクターリターン分散共分散行列予想システムが求められている。
以上のような課題を解決するために、本発明は、複数のファクターの実績ファクターリターンを時系列で保持する実績ファクターリターン保持部と、集計時点Tを起点とした集計のパターンである集計パターン(集計時点Tを起点として過去にわたって集計する過去集計パターン(期間累積ファクターリターン、期間日次ファクターリターン等)と、集計時点Tを起点として将来にわたって集計する将来集計パターンとがある。)を複数保持する集計パターン保持部と、各集計パターンについて、各ファクターの実績ファクターリターン間の実績ファクターリターン分散共分散行列を算出する実績ファクターリターン分散共分散行列算出部と、複数の集計時点Tについて、各集計パターンによる実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素(「各行列要素」はファクター間の分散共分散値を示す。)を保持する実績ファクターリターン分散共分散行列保持部と、各過去集計パターンについて、集計時点T1から所定期間S1内の複数の集計時点N1(複数の集計時点Tに含まれる集計時点)における、過去集計パターンを用いた集計時点N1ごとの実績ファクターリターン分散共分散行列に基づく行列(実績ファクターリターン分散共分散行列そのものである場合も含む)の各行列要素の要素値と、将来集計パターンを用いた集計時点N2(N1と同一である場合もある。以下同じ。)の実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素の要素値との順位相関値(順位相関値の説明:集計時点N1を起点とした過去集計パターンの一つにおける行列要素値の大きさを所定期間S1内で順位付け(第1位から第S1位まで)し、集計時点N2を起点とした所定期間S1内の将来集計パターンの一つにおける行列要素値の大きさで順位付け(第1位から第S1位まで)した場合に、過去集計パターンの順位(変動)と、将来集計パターンの順位(変動)との間にどの程度相関があるかを示すもの)又は相関値である行列要素順位相関値を、各行列要素について算出する行列要素順位相関値算出部と、複数の集計時点T1について、各過去集計パターンによる各行列要素の行列要素順位相関値を保持する行列要素順位相関値保持部と、行列要素順位相関値保持部に保持されている各過去集計パターンについての行列要素順位相関値であって集計時点T2(複数の集計時点T1の一つ)から所定期間S2内における複数の集計時点M(複数の集計時点T1に含まれる集計時点)の行列要素順位相関値の正負とばらつきの程度とを示す値であるCV値(例えば、標準偏差を当該行列要素順位相関値の平均値で割算することにより得られる値である行列要素値)を、各行列要素について算出する行列要素CV値算出部と、少なくとも一以上の集計時点T2について、各過去集計パターンによる行列要素CV値を保持する行列要素CV値保持部と、各過去集計パターンについて、集計時点T2における実績ファクターリターン分散共分散行列に基づく行列(実績ファクターリターン分散共分散行列そのものである場合も含む)の行列要素値に、対応する行列要素CV値を重みづけ計算して得られる値であるCVウェイト分散共分散値を、各行列要素について算出するCVウェイト分散共分散値算出部と、集計時点T2における各行列要素の各過去集計パターンによるCVウェイト分散共分散値を、行列要素毎に合成し、予想分散共分散行列を算出する予想分散共分散行列算出部と、当該予想分散共分散行列を出力する出力部と、を備えるファクターリターン分散共分散行列予想システムなどを提案する。
また、上記構成に加え、実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素の絶対値を各行列要素とする実績ファクターリターン分散共分散絶対値行列を算出する絶対値行列算出部と、1の集計パターンの実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素と、少なくとも他の1の集計パターンの実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素とを掛け合わせた値を各行列要素とする実績ファクターリターン分散共分散掛け合わせ行列を算出する掛け合わせ行列算出部と、当該実績ファクターリターン分散共分散絶対値行列及び実績ファクターリターン分散共分散掛け合わせ行列を、追加の過去集計パターンの実績ファクターリターン分散共分散行列として、実績ファクターリターン分散共分散行列保持部に保持させる、追加集計パターン実績ファクターリターン分散共分散行列追加部と、を備えることを特徴とするファクターリターン分散共分散行列予想システムなどを提案する。
また、上記構成に加え、複数の集計時点T2における前記予想分散共分散行列の各行列要素を保持する予想分散共分散行列保持部と、集計時点T3(複数の集計時点T2の一つ)における前記予想分散共分散行列の各行列要素を、当該集計時点T3から見て過去の所定期間S3内の複数の集計時点L(複数の集計時点T2に含まれる集計時点)における前記予想分散共分散行列の各行列要素の平均値で除して得られる値を各行列要素とする予想分散共分散趨勢係数行列を算出する、予想分散共分散趨勢係数行列算出部と、集計時点T3から直近のK1日以内を集計期間とした実績ファクターリターンの分散共分散行列の各行列要素と、当該予想分散共分散趨勢係数行列の各行列要素を掛け合わせた値を各行列要素とする第2予想分散共分散行列を算出する第2予想分散共分散行列算出部を備え、前記出力部は、第2予想分散共分散行列を出力することを特徴とするファクターリターン分散共分散行列予想システムなどを提案する。
また、上記構成に加え、前記集計時点T3から直近のK2日よりも長い期間を集計期間とした実績ファクターリターンの母分散共分散行列を算出する母分散共分散行列取得部と、前記第2予想分散共分散行列の各行列要素と、当該母分散共分散行列の各行列要素とを、母分散共分散行列の各要素の加重ウェイトが予想分散共分散行列の各行列要素の加重ウェイト以上となるように、加重平均した値を各行列要素とする第3予想分散共分散行列を算出する第3予想分散共分散行列算出部を備え、前記出力部は、第3予想分散共分散行列を出力することを特徴とする、ファクターリターン分散共分散行列予想システムなどを提案する。
主に上記のような構成をとる本発明を採用することによって、将来における各ファクターのファクターリターンの相関度を正確に予想することができるようになる。これにより、より低リスクなポートフォリオを構築することが可能となり、きわめて有用である。
実施形態1の機能ブロック図 実施形態1のハードウェア図 実施形態1の処理の流れ 実施形態2の機能ブロック図 実施形態2のハードウェア図 実施形態2の処理の流れ 実施形態3の機能ブロック図 実施形態3のハードウェア図 実施形態3の処理の流れ 実施形態4の機能ブロック図 実施形態4のハードウェア図 実施形態4の処理の流れ 従来技術の分散共分散算出式1 従来技術の分散共分散算出式2 従来技術の分散共分散算出式3 本発明リスク回避度別のポートフォリオの累積アクティブリターン 従来技術リスク回避度別のポートフォリオの累積アクティブリターン 本発明と従来技術のBuy&Holdパフォーマンス比較 本発明と従来技術のリバランスシュミレーション結果比較 本発明と従来技術のリバランスシュミレーション累積アクティブリターン比較 従来技術と従来技術のリバランスシュミレーション累積IR比較 本発明と従来技術の最小分散ポートフォリオトータルリスク比較 従来技術の最小分散ポートフォリオの推定/実績トータルリスクの比較 本発明の最小分散ポートフォリオの推定/実績トータルリスクの比較 外れ値の末端処理 CVウェイト合成の算出式 趨勢係数の算出式 コーシー=シュワルツの不等式 順位相関値計算式 ファクター説明数式1 ファクター説明数式2 ファクター説明数式3 ファクター説明数式4 ファクター説明数式5 ファクター説明数式6 ファクター説明数式7 ファクター説明数式8 ファクター説明数式9 ファクター説明数式10 ファクター説明数式11 ファクター説明数式12 ファクター説明数式13
以下、本発明の各実施形態について図面と共に説明する。実施形態と請求項の相互の関係は、以下のとおりである。まず、実施形態1は、主に請求項1に対応する。実施形態2は、主に請求項2に対応する。実施形態3は、主に請求項3に対応する。実施形態4は、主に請求項4に対応する。そのほかの請求項は、本件発明を別の観点から保護するものであり、上記実施形態によって同時に説明されている。
また、以下の実施形態は、分散共分散行列を予想する為の構成であるが、その予想の方法自体は行列特有の計算を必要とするものでなく、行列を構成する各行列要素値に対する計算で成り立っている。したがって、本実施形態は、プログラム上のデータセットの形式等にはこだわらない。例えば本実施形態では、テーブル形式のデータセットに行列要素の値を格納しているが、これらは、オブジェクト型のデータセットとして処理しても、キーバリューのデータセットとして処理してもよいだろう。その他にも、実施形態の細部について、発明をより好適に実施するために詳細な説明をしていくが、権利範囲を限定するものではない点を特記しておく。本発明はその技術的思想を逸脱しない範囲で、当業者によって様々な形態で実施されてよいものである。
<<実施形態1>>
<実施形態1 発明の概要>
実施形態1においては、本件発明のもっとも基本的な実施形態について述べる。
本実施形態は、図1に示される通り、具体的には、実績ファクターリターン保持部(101)と、集計パターン保持部(102)と、実績ファクターリターン分散共分散行列算出部(103)と、実績ファクターリターン分散共分散行列保持部(104)と、行列要素順位相関値算出部(105)と、行列要素順位相関値保持部(106)と、行列要素CV値算出部(107)と、行列要素CV値保持部(108)と、CVウェイト分散共分散値算出部(109)と、予想分散共分散行列算出部(110)と、出力部(111)から構成される。以下、各構成について説明する。
<実施形態1 発明の構成>
<実施形態1 実績ファクターリターン保持部>
実績ファクターリターン保持部では、企業規模や市場感応度、BP、EP、財務健全性、売買回転率、変動性、長期リターン、市場フラグ、33業種区分などの各ファクターのファクターリターンを、時系列の形式で保持している。なお、ハードディスク上に長期的に保持する構成に限らず、外部データベースからデータを取得し、主記憶上に一時的に保持するような構成としても問題はない。以下、データの保持について同じである。なお、本実施例では45ファクターについて採用・保持しているが、採用すべきファクターについては当業者が適宜追加や削除をして構わないことは当然である。この45ファクターの詳細な内容は本発明の構成要件ではないが、後ほど好適な例について説明する。
<実施形態1 集計パターン保持部>
集計パターン保持部は、ファクターリターンの分散共分散行列を計算するための集計の方法のパターンを保持している。集計パターンには、集計時点Tを起点として所定期間過去にさかのぼって集計する過去集計パターンと、集計時点Tを起点として所定期間将来にわたって集計する将来集計パターンとがある。過去集計パターンは予想の基礎となる分散共分散行列を算出するための集計パターンである。対して、将来集計パターンは、過去集計パターンの予想精度を検証するための分散共分散行列を算出するための集計パターンである。
過去集計パターンは、例えば、集計時点Tから直近5日の日次ファクターリターンを集計するパターンや、直近750日の5日累積ファクターリターン(重複なし。つまり1日目から5日目の累積リターンの次の要素は、6日目から10日目の累積リターン)などがある。本実施形態では、集計期間の長さおよびファクターリターンの累積期間の長さを変えた18パターンである。すなわち、集計時点T(例えば計算実行日の当日)から直近5日、10日、20日、40日、60日、80日、100日、120日、250日、750日の日次ファクターリターンを集計する10パターン。集計時点からから直近750日の期間における、5日間、10日間、20日間、40日間、60日間、80日間、100日間、120日間の累積ファクターリターン(重複なし)を集計する8パターンである。また、将来集計パターンは集計時点T(例えば計算実行日の250日前)から将来250日間の日次ファクターリターンを集計する1パターンである。これらのパターンは当業者が適宜追加や削除をして構わないことは当然である。
<実施形態1 実績ファクターリターン分散共分散行列算出部>
実績ファクターリターン分散共分散行列算出部は、上記各集計パターン(過去集計パターンおよび将来集計パターン)による各ファクター間の実績ファクターリターン分散共分散行列を算出する。具体的には、集計時点Tから、直近5日の日次ファクターリターンの分散共分散行列などを算出する。なお、本実施形態では45ファクターの分散共分散行列を算出するので、その行列要素数は、1035(2ファクターの組み合わせの共分散が990パターン。1ファクターの分散が45パターン)である。また、本実施形態では各18集計パターンについての実績ファクターリターン分散共分散行列を算出する。
<実施形態1 実績ファクターリターン分散共分散行列保持部>
実績ファクターリターン分散共分散行列保持部は、複数の集計時点Tについて、各集計パターンによる実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素を保持する。なお、本明細書において「行列要素」とは、行列を構成する要素を示している。すなわち、本実施形態では、前記1035行列要素であり、ファクター間の分散共分散値である。これは日々更新してもよいし、一括で計算して更新するようにしてもよいが、理想的には過去の相当期間について、日々の各18過去集計パターンによる実績ファクターリターン分散共分散行列、および1パターンの将来集計パターンによる実績ファクターリターン分散共分散行列(計算日から250日前時点における将来250日間の日次ファクターリターンの分散共分散行列が計算される)の行列要素が累積的に保持されるとよい。すなわち、本実施形態においては各集計パターンによる1035要素の実績ファクターリターン分散共分散行列が、日々、累積保持されているということになる。
<実施形態1 行列要素順位相関値算出部>
行列要素順位相関値算出部では、集計時点T1(複数の集計時点Tの一つ)から所定期間S1内の複数の集計時点N1(複数の集計時点Tに含まれる集計時点)における、各過去集計パターンによる実績ファクターリターン分散共分散行列に基づく行列の各行列要素と、集計時点N2(本実施形態ではN1と同一)における、将来集計パターンによる実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素との順位相関または相関である行列要素順位相関を、各行列要素について算出する。
なお、各過去集計パターンによる実績ファクターリターン分散共分散行列に基づく行列とは、実績ファクターリターン分散共分散行列そのものでも当然よいが、実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素に対し、値の正規化やまるめ、一律の係数の加算、乗算及び指数計算、絶対値計算の処理を行った値など、元の各行列要素の性質を保持した値を、各行列要素として構成する行列を含めてよい趣旨である。本実施形態では、実績ファクターリターン分散共分散行列そのものを使用している。
また、順位相関の計算について説明すると、例えば、計算日から269日前をT1とし、S1を20日間とし、集計時点N1およびN2(本実施形態ではN1とN2は同一)を20日間の各日(すなわち269日前から、250日前までの各日)とした場合の、ある過去集計パターンAによる分散共分散行列のある行列要素1と、将来集計パターンBによる分散共分散行列の対応する行列要素1との順位相関は以下のように求める。
269日前から250日前までの過去集計パターンAによる分散共分散行列の行列要素1の値について、20日間での順位(1-20位)をつける。すなわち、269日前における行列要素1の値が、20日間の行列要素1の値の中で一番大きいのであれば、269日前における行列要素1の順位は1位である。また、250日前における行列要素1の値が、20日間の行列要素1の値の中で15番目に大きいのであれば、250日前における行列要素1の順位は15位である。
同様に、269日前から250日前までの将来集計パターンBによる分散共分散行列の行列要素1の値について、20日間での順位(1-20位)をつける。
そして、過去集計パターンAの行列要素1の20日間の順位と、将来集計パターンBの行列要素1の20日間の順位との相関をとる。以上、このようにして順位相関値を求める。念のため式を示すと以下の通りとなる(図29にも同じ式を掲載)。
Figure 0007186283000001
これを各過去集計パターン(本実施形態では18パターン)の各行列要素(本実施形態では1035要素)について算出する。
この順位相関は、「過去の一定期間における実績ファクターリターン分散共分散行列のある行列要素値1の値(20日間での順位)の動き」による「将来の一定期間における各集計時点の実績ファクターリターン分散共分散行列の対応する行列要素値1の値(20日間での順位)の動き」の推測の精度を、過去集計パターン(本実施形態では18パターン)ごと、かつ各行列要素(本実施形態では1035要素)ごとに評価したものと考えることができる。なお、順位相関の代わりに相関を用いても構わない。
<実施形態1 行列要素順位相関値保持部>
行列要素順位相関値保持部は、過去の複数の集計時点T1について、各過去集計パターン(本実施形態では18パターン)についての、各行列要素(本実施形態では1035要素)の行列要素順位相関値を保持する。すなわち、行列要素順位相関は、例えば、日々計算され時系列で累積的に保持される。なお、本実施形態においては、順位相関計算のために、基準時点から将来250日間の日時ファクターリターンを使用するため、直近249日間については欠損値としている。
<実施形態1 行列要素CV値算出部>
行列要素CV値算出部では、行列要素順位相関の各行列要素について、集計時点T2(複数の集計時点T1の一つ)から所定期間S2内における複数の集計時点M(複数の集計時点T1に含まれる集計時点)の行列要素順位相関値の正負とばらつきの程度とを示す値であるCV値を各行列要素について算出する。なお、本実施例ではCV値とは、上記複数の集計時点Mについて、行列要素順位相関値の標準偏差を当該行列要素順位相関値の平均値で割算することにより得られる値である。もちろん、ほかの類似の性質を持つ計算式で代替しても構わない。なお、CV値の逆数となる値はRCV値と呼ばれるが、その値の意味が同様であることは当然である。
例えば、各行列要素の行列要素順位相関について、計算当日(集計時点T2)から過去750日間(所定期間S2)の各日(複数の集計時点M)の順位相関値の標準偏差を、当該750日間の順位相関値の平均値で割算し、行列要素CV値を計算する。
<実施形態1 行列要素CV値保持部>
行列要素CV値保持部では、少なくとも一以上の集計時点T2について、各過去集計パターンによる行列要素CV値を保持する。本実施形態では、少なくとも、計算日における各過去集計パターン(本実施形態では18パターン)による各行列要素(本実施形態では1035要素)の行列要素CV値を含め、日々計算した値を時系列の値を累積的に保持している。
<実施形態1 CVウェイト分散共分散値算出部>
CVウェイト分散共分散値算出部では、例えば計算実行日など、直近の集計時点T2における、各集計パターン(本実施形態では18パターン)の実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素値(本実施形態では1035要素。分散値45。共分散値990)に、対応する各行列要素のCV値を重みづけ計算して得られる値であるCVウェイト分散共分散値を算出する。なお、本実施例ではCV値を逆数とした重みづけ計算を行う(すなわち、RCV値による重みづけ計算を行う)。
なお、上記重みづけ計算を行う前に、分散共分散要素値(以下の式内では変換前ファクター値と記載されている)について外れ値の影響を受けないように末端丸め処理をしてもよい。当該処理は、下記のようなアークタンジェント(arctan関数)用いた式によるものが考えられるが、これに限定されない(図25にも同じ式を掲載)。
Figure 0007186283000002
<実施形態1 予想分散共分散行列算出部>
予想分散共分散行列算出部では、例えば、前記直近の集計時点T2(計算日当日など)における、各集計パターン(本実施形態では18パターン)によるCVウェイト分散共分散値を、行列要素毎(本実施形態では1035要素)に合計し、当該集計時点T2における予想分散共分散行列を算出する。以下の式は、CVウェイト分散共分散値算出および予想分散共分散行列算出における計算を表したものである。(図26にも同じ式を掲載)。
Figure 0007186283000003
なお、上記の変換後ファクター値とは、後述の末端丸め処理後のファクター値のことである。
なお、予想分散共分散行列の分散項、共分散項において、コーシー=シュワルツの不等式が成立していない共分散項があれば、不等式を満たすように調整してよい。一例としては、ファクター1とファクター2の共分散の値が、ファクター1の標準偏差とファクター2の標準偏差の積より大きい場合は、共分散を両者の標準偏差の積の値に置換するなどの処理である。なお、符合は元の共分散の符合と同一としてもよい。このような処理は、当業者が適宜なしえる設計事項である。念のために補記すると、当業者にとっては技術常識であるが、コーシー=シュワルツの不等式は以下の式であらわされる(図28にも同じ式を掲載)。この式が、二つのファクターの共分散値が、両ファクターの標準偏差の積を超えないことを示していることは当然である。
Figure 0007186283000004
<実施形態1 出力部>
出力部は、当該予想分散共分散行列を出力する。出力先は、画面やデータファイルや他のシステムに対して出力する構成が考えられるが、これは当業者の適宜なしえるところである。
<実施形態1 ハードウェア構成>
図2は、本実施形態のハードウェア構成の一例である。本実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUやメインメモリ、GPU、画像メモリ、グラフィックボード、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶媒体とそれらの媒体の読取ドライブなど)、情報入力に利用される入力デバイス、タッチパネル、プリンタ、スキャナ装置その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、通信用インターフェース、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラムなどが挙げられる。そして、メインメモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力されメモリやハードウェア上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、前記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。ここで、上記プログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、2以上のプログラムを組み合わせて1のプログラムとして実現されても良い。さらにこのプログラムを記録した記憶媒体としてもよい。また、本実施形態は、一または複数の装置との組み合わせによりシステムとして実現可能である。なお、これらの点は本実施形態に限らず、本明細書の全体を通じて同様である。なお、図2では不揮発性メモリに記録された各プログラムおよび各データが、メインメモリに読み込まれて演算処理がなされること、およびメインメモリ上でなされた演算結果が不揮発性メモリに記録され得ることを示している。この点、以降のハードウェア図についても同様である。
<処理の流れ>
図3は、本実施形態の処理の流れの一例を示す図である。すなわち本実施形態は、具体的には、実績ファクターリターン保持ステップ(301)と、集計パターン保持ステップ(302)と、実績ファクターリターン分散共分散行列算出ステップ(303)と、実績ファクターリターン分散共分散行列保持ステップ(304)と、行列要素順位相関算出ステップ(305)と、行列要素順位相関保持ステップ(306)と、行列要素CV値算出ステップ(307)と、行列要素CV値保持ステップ(308)と、CVウェイト分散共分散値算出ステップ(309)と、予想分散共分散行列算出ステップ(310)と、出力ステップ(311)から構成される。
<実施形態1 効果>
以上の構成を有する本実施形態によって、将来における各ファクターのファクターリターンの分散共分散を正確に予想することができるようになる。これにより、より低リスクなポートフォリオを構築することが可能となり、きわめて有用である。
<<実施形態2>>
<実施形態2 概要>
実施形態2におけるファクターリターン分散共分散行列予想システムは、あらかじめ準備された各集計パターンの実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素についての絶対値計算や、2の実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素の掛け合わせ計算により、あらたな集計パターンの実績ファクターリターン分散共分散行列を拡張する点に特徴がある。
本実施形態は、図4に示される通り、具体的には、実施形態1の構成に加え、絶対値行列算出部(405)と、掛け合わせ行列算出部(406)と、追加集計パターン実績ファクターリターン分散共分散行列追加部(407)を備える。また、実施形態1の行列要素順位相関値保持部は、過去の複数の集計時点にわたって、追加の各集計パターンについての各行列要素の行列要素順位相関を保持するものであったが、本実施形態においては、絶対値行列算出部、掛け合わせ行列算出部によって算出された行列を追加的な集計パターンとして、当該各パターンに含めて保持する点が異なる。
<実施形態2 発明の構成>
<実施形態2 絶対値行列算出部>
絶対値行列算出部では、実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素の絶対値を各行列要素とする実績ファクターリターン分散共分散絶対値行列を算出する。例えば各過去集計パターン(本実施形態では18パターン)の絶対値行列を算出する。
<実施形態2 掛け合わせ行列算出部>
掛け合わせ行列算出部では、1の集計パターンの実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素と、他の1の集計パターンの実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素とを掛け合わせた値を各行列要素とする実績ファクターリターン分散共分散掛け合わせ行列を算出する。例えば、「直近10日の日次ファクターリターンの分散共分散」と「直近20日の日次ファクターリターンの分散共分散」を掛け合わせる。
<実施形態2 追加集計パターン実績ファクターリターン分散共分散行列追加部>
追加集計パターン実績ファクターリターン分散共分散行列追加部は、当該実績ファクターリターン分散共分散絶対値行列及び実績ファクターリターン分散共分散掛け合わせ行列を、追加の集計パターンの実績ファクターリターン分散共分散行列として、実績ファクターリターン分散共分散行列保持部に保持させる。
本実施形態の以降の処理は、基本的に実施形態1の行列要素順位相関値保持部と同じであるが、集計パターン保持部に保持されている過去集計パターンである18パターンに加え、追加の過去集計パターンである19パターンについても、各過去集計パターンとして(つまり、都合37パターンについて)、処理する点が異なる。
<実施形態2 ハードウェア構成>
図5は、本実施形態のハードウェア構成の一例である。本実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。また、プログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、2以上のプログラムを組み合わせて1のプログラムとして実現されても良い。
<処理の流れ>
図6は、本実施形態の処理の流れの一例を示す図である。すなわち本実施形態は、実施形態1の攻勢に加え、絶対値行列算出ステップ(605)と、掛け合わせ行列算出追加集計ステップ(606)と、パターン実績ファクターリターン分散共分散行列保持ステップ(607)とから構成される。
<実施形態2 効果>
以上の構成を有する本実施形態によって、将来における各ファクターのファクターリターンの相関度を正確に予想することができるようになる。特に実施形態1よりも合成する予想のパターンを増やすことにより、より多様な観点から分散共分散を予想できるようになる。これにより、より低リスクなポートフォリオを構築することが可能となり、きわめて有用である。
<<実施形態3>>
<実施形態3 概要>
実施形態3におけるファクターリターン分散共分散行列予想システムは、予想分散共分散行列の各行列要素の趨勢係数を求め、当該各行列要素の趨勢係数を直近の分散共分散行列の各行列要素に掛け合わせて得られる値を、各行列要素とする第2予想分散共分散行列として出力する点に特徴がある。
本実施形態は、図7に示される通り、具体的には、実施形態1または2の構成に加え、予想分散共分散行列保持部と(711)、予想分散共分散趨勢係数行列算出部(712)と、第2予想分散共分散行列算出部(713)を備える(図7は実施形態1に上記構成を加えた構成を例示している)。また、出力部(714)が第2予想分散共分散行列を出力する点が異なる。
<実施形態3 発明の構成>
<実施形態3 予想分散共分散行列保持部>
予想分散共分散行列保持部は、過去の複数の集計時点T2における前記予想分散共分散行列の各行列要素(本実施形態では1035要素)を保持する。なお、本実施形態では、日々計算・更新する予想分散共分散行列の各行列要素値を累積的に保持している。
<実施形態3 予想分散共分散趨勢係数行列算出部>
予想分散共分散趨勢係数行列算出部では、集計時点T3における前記予想分散共分散行列の各行列要素を、当該集計時点T3(複数の集計時点T2の一つ)から見て過去の所定期間S3内の複数の集計時点L(複数の集計時点T2に含まれる集計時点)における前記予想分散共分散行列の各行列要素の平均値で除して得られる値を各行列要素とする予想分散共分散趨勢係数行列を算出する。ここで平均値とは、単純平均でもよいが、加重平均や、移動平均、相乗平均(幾何平均)などであってもよい。
例えば、本実施形態では、算出日当日を集計時点T3とした、予想分散共分散行列の各行列要素を、算出日の4日前から1日前まで(所定期間S3)の、各日(複数の集計時点L)の予想分散共分散行列の各行列要素の平均値で割算することによって、予想分散共分散趨勢係数を求める。
<実施形態3 第2予想分散共分散行列算出部>
第2予想分散共分散行列算出部は、当該基準時点から直近のK1日以内を集計期間とした実績ファクターリターンの分散共分散行列の各行列要素と、当該予想分散共分散趨勢係数行列の各行列要素を掛け合わせた値を各行列要素とする第2予想分散共分散行列を算出する。ここでK1日とは100日以内など短期予想とされる日数であり、例えば、本実施形態では、直近の10日を集計期間とした実績ファクターリターンの分散共分散行列の各行列要素と当該予想分散共分散趨勢係数行列の各行列要素を掛け合わせる。下記の式は、予想分散共分散趨勢係数行列算出部および第2予想分散共分散行列算出部の計算を表している。これは数学的に同様の意味を持つ式によって計算してよいことは当然である。
Figure 0007186283000005
(図27にも同じ式を掲載)
なお、本実施形態では、直近の10日を集計期間とした実績ファクターリターンについては、あらかじめ準備された集計パターンに含まれているため、実績ファクターリターン保持部に保持さている。もちろん、別途計算してシステムに入力しても構わない。
なお、前述のコーシー=シュワルツの不等式を満たすための調整を第2予想分散共分散行列に対して行ってもよい。その場合は、予想分散共分散行列に対する調整は行わない構成としてもよい。
<実施形態3 出力部>
本実施形態の出力部は、第2予想分散共分散行列を出力する。
<実施形態3 ハードウェア構成>
図8は、本実施形態のハードウェア構成の一例である。本実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。また、プログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、2以上のプログラムを組み合わせて1のプログラムとして実現されても良い。
<実施形態3 処理の流れ>
図9は、本実施形態の処理の流れの一例を示す図である。すなわち本実施形態は、実施形態1または2の構成に加え、予想分散共分散保持ステップ(911)と、予想分散共分散趨勢係数行列算出ステップ(912)と、第2予想分散共分散行列算出ステップ(913)を備える(図9は実施形態1に上記構成を加えた構成を例示している)。また、出力ステップ(914)が第2予想分散共分散行列を出力する点が異なる。
<実施形態3 効果>
以上の構成を有する本実施形態によって、将来における各ファクターのファクターリターンの相関度を正確に予想することができるようになる。特に趨勢係数を直近の分散共分散行列の各行列要素に掛け合わせて得られる値を、各行列要素とすることにより、短期的な変化の方向性を反映した分散共分散行列の予想をすることが可能となる。これにより、市場リスクの変化への感応度が高くなり、結果としてより低リスクなポートフォリオを構築することが可能となり、きわめて有用である。
<<実施形態4>>
<実施形態4 概要>
実施形態4におけるファクターリターン分散共分散行列予想システムは、第2予想分散共分散行列と、統計的に有意となるような実績ファクターリターンの母分散共分散行列と加重平均して第3予想分散共分散行列を算出する点に特徴がある。具体的には、前記第2予想分散共分散行列の各行列要素と、当該基準時点から直近のK2日より長い期間を集計期間としたブートストラップ法により得られる実績ファクターリターンの分散共分散行列である母分散共分散行列の各行列要素とを、母分散共分散行列の各要素の加重ウェイトが予想分散共分散行列の各行列要素の加重ウェイトよりも大きくなるように加重平均した値を各行列要素とする。
本実施形態は、図10に示される通り、実施形態3の構成に加え、母分散共分散行列取得部(1014)と、第3予想分散共分散行列算出部(1015)を備える。また、出力部(1016)が第3予想分散共分散行列を出力する点が異なる(図10は実施形態1をベースとした実施形態3に上記構成を加えた構成を例示している)。
<実施形態4 発明の構成>
<実施形態4 母分散共分散行列取得部>
母分散共分散行列取得部では、集計時点T3から直近のK2日よりも長い期間を集計期間としたブートストラップ法などにより得られる実績ファクターリターンの母分散共分散行列を算出または取得する。ここでK2日とは母分散共分散を集計するのに十分とみなされる期間であり、例えば本実施例では、直近200営業日のデータからブートストラップ法により、母分散共分散行列を推定している。もちろん、別途外部システムよって計算された前記母分散共分散行列を取得し、使用してもよい。
<実施形態4 第3予想分散共分散行列算出部>
第3予想分散共分散行列算出部では、 前記第2予想分散共分散行列の各行列要素と、前記母分散共分散行列の各行列要素とを、母分散共分散行列の各要素の加重ウェイトが予想分散共分散行列の各行列要素の加重ウェイトよりも大きくなるように、加重平均した値を各行列要素とする第3予想分散共分散行列を算出する。例えば、第2予想分散共分散行列の各行列要素の重みづけ1に対し、母分散共分散行列の各行列要素の重みづけ4などとすると、短期的な変動を大きく取り込みすぎず好適である。
<実施形態4 出力部>
本実施形態の出力部は、第3予想分散共分散行列を出力する。
<実施形態4 ハードウェア構成>
図11は、本実施形態のハードウェア構成の一例である。本実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。また、プログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、2以上のプログラムを組み合わせて1のプログラムとして実現されても良い。
<実施形態4 処理の流れ>
図12は、本実施形態の処理の流れの一例を示す図である。すなわち本実施形態は、実施形態3の構成に加え、母分散共分散行列取得ステップ(1214)、第3予想分散共分散行列算出ステップ(1215)を備える。また、出力ステップ(1216)が第3予想分散共分散行列を出力する点が異なる(図12は実施形態1をベースとした実施形態3に上記構成を加えた構成を例示している)。
<実施形態4 効果>
以上の構成を有する本実施形態によって、将来における各ファクターのファクターリターンの相関度を正確に予想することができるようになる。特に、短期的な変化の方向性を反映した予想分散共分散行列と、統計的に有意となるような中長期の実績ファクターリターンの母分散共分散行列を掛け合わせることにより、よりバランスの良く分散共分散行列を予想できるようになる。これにより、より低リスクなポートフォリオを構築することが可能となり、きわめて有用である。
<実証データ>
以下に本発明による具体的な実証データについて説明する。すなわち、従来技術による予想分散共分散行列と本発明による予想分散共分散行列の精度や有用度に掛かる実証データについて説明する。なお、本発明には実証データが多数存在するが、ここでは特に、最適化ポートフォリオのBuy&Holdパフォーマンス比較。最適化ポートフォリオのリバランスパフォーマンス比較。最小分散ポートフォリオのパフォーマンス比較を行う。
<従来技術による予想方法の説明>
ここで、比較対象となる従来技術による分散共分散行列の予想方法を説明しておく。まず、従来の方法では、下記式であらわされる、累積ファクターリターンの時系列データを準備する(図13にも同じ式を掲載)。
Figure 0007186283000006
本件の場合、2日、20日、40日の累積ファクターリターン3パターンの時系列データを準備している。
次に、上記各3パターンについて、実測された過去の各ファクターの累積ファクターリターンを直近に近づくほど過重を重くして、分散共分散行列を推定する。具体的には、直近の累積ファクターリターンの加重を1とし、1時点過去に遡るほど、累積ファクターリターンの加重に0.999を乗ずる(図14にも同じ式を掲載)。
Figure 0007186283000007
すなわち、直近より過去になるほど指数的に重みづけが軽くなる(指数減衰法)。この加重にて、各ファクターの分散共分散を計算する。
最後に2日、20日、40日の累積ファクターリターンの3パターンにて算出された分散共分散行列を均等に線形結合する(図15にも同じ式を掲載)。
Figure 0007186283000008
以上が従来技術による予想方法の説明である。なお、図面中では、従来技術による予想分散共分散行列は「現リスクモデル」などと表記されている。一方、本発明による予想分散共分散行列は「短期リスクモデル」などと表記されている。以下、この従来技術による予想分散共分散行列と本発明による予想分散共分散行列の精度や有用度に掛かる実証データについて詳説する。
<最適化ポートフォリオのBuy&Holdのパフォーマンス比較>
まず、最適化ポートフォリオのBuy&Holdパフォーマンス比較結果について説明する。2012年10月5日から2013年11月20日まで、毎日ポートフォリオを作成し、Buy&Holdにて200営業日投資する。初期投資金額 は10億円とし、買付ユニバースは東証500採用銘柄、直近20日平均売買代金が2億円以上の銘柄のみ買付けるものとする。上記条件で、各ファクターのウェイトを最適化し、リスク回避度を、+0.001~0.009(9通り)+0.01~0.09 (9通り)+ 0.1~0.9 (9通り)の合計27通りで作成する。ベンチマークはTOPIXである。
図16が、本発明による予想分散共分散行列にて最適化したリスク回避度別のポートフォリオの累積アクティブリターンである。一方、図17が、従来技術による予想分散共分散行列にて最適化したリスク回避度別のポートフォリオの累積アクティブリターンである。両図ともに、横軸がリスクの回避度(左側ほどリスク回避度が大きい)であり、縦軸が保有日数(奥に行くほど保有日数が長い)であり、高さ軸が累積アクティブリターン(上に行くほど累積アクティブリターンが高い)である。
両図に示される通り、本発明によるポートフォリオの方が、従来技術による本発明によるポートフォリオよりも、明らかにリスク回避度に応じたパフォーマンスを発揮している(すなわち、リスク回避度が高くなるほど、低リスク・低リターンになっている)。また、累積アクティブリターンも高い。なお、図18ではその結果の一部を表にしている。本発明によるポートフォリオの方が、累積アクティブリターンも高いことが示されている。
<最適化ポートフォリオのリバランスパフォーマンス比較>
次に、最適化ポートフォリオのリバランスパフォーマンスの比較結果について説明する。2012年10月5日から2013年11月20日まで、毎週週末に初期ポートフォリオ作成。以後、20営業日ごとにリバランスしながら、トータル200営業日投資を行う。買付ユニバースは東証500採用銘柄、直近20日平均売買代金が2億円以上の銘柄のみ買付けるものとする。
リバランス条件は、回転率5%上限 (最適化が解けない場合のみ1%刻みで上限を広げる)。業種制約 は33業種すべてにつき、下限をベンチマークウェイト×0.80倍~0.95倍。上限をベンチマークウェイト×1.05倍~1.20倍とする。ベンチマークはTOPIXである。
図19は、本発明にて最適化したポートフォリオ(短期モデル)と、従来技術にて最適化したポートフォリオ(現モデル)のシュミレーション結果のサマリーである。同図に示される通り、本発明にて最適化したポートフォリオの方が、従来技術にて最適化したポートフォリオよりも、アクティブリターン、インフォメーションレシオともにおおむね優良な値である。
図20及び図21は、それぞれ累積アクティブリターン、累積インフォメーションレシオの比較グラフである。図20は横軸が経過日数、縦軸が累積アクティブリターン。図21は横軸が経過日数、縦軸が累積インフォメーションレシオである。また、両図ともに最終的に上になっている線が本発明にて最適化したポートフォリオの推移を表しており、下になっている線が従来技術にて最適化したリスク回避度別のポートフォリオの推移を表している。一定期間をのぞき、本発明にて最適化したポートフォリオの方が、従来技術にて最適化したリスク回避度別のポートフォリオよりも、優良な結果を出していることがわかる。
<最小分散ポートフォリオのリスク低減・リスク予測精度比較>
最後に、最小分散ポートフォリオのリスク低減・リスク予測精度の比較結果について説明する。ポートフォリオ作成(最適化)条件は、投資金額10億円。売買ユニバースはTOPIX採用銘柄。それ以外の制約条件はなく、トータルリスクを最小化してポートフォリオを作成する。リバランスは、月初第1営業日(フルリバランス)。条件はポートフォリオ作成(最適化)条件と同じである。シミュレーション期間は、2000年1月4日~2013年12月30日である。
図22は、本発明による最小分散ポートフォリオ(短期モデル)と、従来技術による最小分散ポートフォリオ(現モデル)のトータルリスクの比較である。棒グラフは計算期間のトータルリスク平均値を示しており、左奥の矢印の元になっている棒が、従来技術による最小分散ポートフォリオのトータルリスクを表し、右手前の矢印の先になっている棒が、本発明による最小分散ポートフォリオのトータルリスクを表している。いずれの場合も、発明による最小分散ポートフォリオのトータルリスクが低下していることがわかる。
図23は、従来技術による最小分散ポートフォリオの推定トータルリスクと実績トータルリスクの比較グラフである。なお、横軸は年月日、縦軸はトータルリスクである。激しく動いている細線が、実績トータルリスクであり、あまり動いていない太線が推定トータルリスクである。このグラフに示される通り、従来技術による最小分散ポートフォリオのリスク推定は、実際のータルリスクに比べて動きが緩慢であり、追従性が低い(つまり、予測精度が低い)ことがわかる。
一方、図24は、本発明による最小分散ポートフォリオの推定トータルリスクと実績トータルリスクの比較グラフである。なお、横軸は年月日、縦軸はトータルリスクである。推定が正確であるため、線が重なってしまっているが、細線が実績トータルリスクであり、太線が推定トータルリスクである。このグラフに示される通り、本発明による最小分散ポートフォリオのリスク推定は、実際のータルリスクと同様の激しい動きをしており、追従性が高い(つまり、予測精度が高い)ことがわかる。
上記の通りであるから、本発明は、各ファクターのリスクが相殺されるような、非常にリスクの低いポートフォリオを構築でき、極めて有用であることが実証されているといえる。
<ファクターの詳細な構成の例>
本発明で使用するファクターの詳細な内容は、本発明の構成要件ではないが、念のため以下に好適な一例について説明する。
1.リスクファクターの一覧と概略
(1) 規模ファクター
連結売上:連結総資産:時価総額 = 1:1:1、対数値を使用、時価会計考慮
(2) 市場感応度ファクター
240日β:480日β:36ヶ月β:48ヶ月β = 1:1:1:1、合成後に時価総額相関排除
(3) B/Pファクター
連結自己資本/時価総額、順位標準量を使用、時価会計考慮
(4) E/Pファクター
連結予想(経常益利回り:税引益利回り:CF利回り:EBITDA利回り=1:1:1:1)
順位標準量を使用
(5) 財務健全性比率(一般)ファクター
連結自己資本比率:単独総資産剰余金比率:単独インタレスト・カバレッジ・レシオ=1:1:1
時価会計・金庫株考慮、順位標準量を使用
(6) 財務健全性比率(金融)ファクター
連結自己資本比率:単独総資産剰余金比率:金融特有サブファクター=1:1:1
時価会計・金庫株考慮、順位標準量を使用
金融特有サブファクターは、各業種内で順位標準化したもの
銀行 ・・・ BISの自己資本比率:(債券5勘定尻+株式3勘定尻)/業務純益=1:1
証券 ・・・ (営業収益+金融収益)/金融費用
損保 ・・・ ソルベンシーマージン比率
(7) 米国株感応度ファクター
SP500β480日:NASDAQβ480日=1:1
TOPIX配当込みリターンとの重回帰でパラメータを算出
(8) 売買回転率ファクター
20日出来高回転率:120日出来高回転率=1:1、順位標準量使用
(9) 変動性ファクター
スペシフィックリターンの120日σ:240日σ:720日σ=1:1:1、合成後に時価総額相関排除
(10) 長期リターンファクター
上記9ファクター+業種ファクターとのクロスセクション相関を排除した日次調整60ヶ月リターン
(11) 東証1部外フラグ
東証1部以外で、かつ新興市場に上場していない銘柄=1、それ以外=0
(12) 新興市場フラグ
JASDAQ、東証マザーズ、大証ヘラクレスに上場している銘柄=1、それ以外=0

2.計算対象企業
時点時点における全取引所上場、及びJASDAQ上場 (店頭登録) 企業
但し、以下の企業を除く
・東証外国部上場企業
・カントリーファンド
・ETF、ETN
・優先出資証券

(1)各リスクファクターの計算に用いる「モデル推定ユニバース」
・東証1部上場の東証株価指数(TOPIX)採用銘柄で、指数用株式数>0株の銘柄群。

(2)各リスクファクターの計算に用いる「モデル推定用時価総額」
・TOPIXの浮動株化移行(2005年10月31日)の前後で以下のように定義。
・・~2005年10月28日 「厚基連評価株価」×「TOPIXの指数用上場株式数」
・・2005年10月31日~ 「厚基連評価株価」×「普通株発行済株式数」
但し、上記「普通株発行済株式数」は、特定の銘柄については、財務大臣、預金保険機構、産業再生機構などの公的機関による保有分を除く。

3.各リスクファクターに共通した財務データ処理
(1) 財務データのソースに関して
・2012年9月27日まで、実績本決算データ(連結、単独)は、「財務速報」(決算短信)及び「財務確報」を、予想本決算データ(連結、単独)は「業績予想」を使用。2012年9月28日以降、データベンダーから提供を受けたデータ、決算短信データ、会社リリースデータを使用。
・財務のヒストリカルデータに関しては、発生主義に基づき収録されたデータベースを使用している。具体的には、実績財務データは、決算発表日や決算修正日でデータが切り替わり、予想財務データは予想発表日でデータが切り替わる。
・ 財務のヒストリカルデータは、倒産や被合併で上場廃止になった銘柄を含む。
・ 新規上場企業の財務データは、原則上場前に取得し、上場当日の更新よりファクター計算に使用している。

(2) 会計基準変更への対応処理履歴
・ 1996年に保険業法施行規則の全面改正があり、保険業の損益計算書(P/L)の収録項目が大幅に変更になっているため、ファクターの連続性を保持するために、1996年3月期を境に収録項目を変更。
・ 1999年3月期以降の連結中心主義会計では、貸借対照表(B/S)、及び損益計算書(P/L)で項目の位置が変更になったため、ファクターの連続性を保持するために、1999年3月期を境に使用項目を変更。
・ 2001年3月期から順次導入された時価会計では、貸借対照表(特に自己資本)のクロスセクション評価を同一基準で行うために、含み損益を調整。
・ 2001年の商法改正で金庫株保有が解禁されたため、ファクター計算時に、自己資本中の自己株式(マイナス値)を考慮。
・ 2003年度決算の中間期から適用が始まった新会計基準では、ファクターの連続性を保持するために、「その他の剰余金」や「配当金総額」の計算方法を一部変更。
・ 2006年5月1日から施行された新しい「会社法」で、「資本の部」→「純資産の部」への変更、「利益処分計算書」「連結剰余金計算書」の廃止、「株主資本等変動計算書」の新設などの変更点に対応するため、ファクター計算に使う自己資本、剰余金、キャッシュフローなどの定義を一部修正。
・ 〔IFRS対応〕データ日付2011年5月10日~2017年3月23日における2011年3月期以降の決算期で、短信もしくは有報で本決算実績をIFRS基準のみ開示した銘柄についてはIFRS基準の財務データを最優先で収録。 データ日付2017年3月24日以降において複数の会計基準で本決算実績が開示された場合、IFRS基準 > SEC基準 > 日本基準 の優先順位で収録。

(3) 年率換算処理
・ 連結・単独実績本決算の本決算損益計算書(P/L)の項目は、12ヵ月の年率換算後のデータを用いる。
・ 連結・単独予想本決算(業績予想データ)の項目も年率換算(12ヵ月換算)処理を行う。

(4) 合併処理
・ 実績財務データに関しては、新設合併/吸収合併の別によらず、合併期日以降で合併後の最初の決算発表がある日までの間、合併企業と被合併企業(複数企業の場合はすべての被合併企業)の財務項目を合算し、疑似財務諸表を作成する。損益計算書(P/L)の項目については、年率換算後に合算。合併企業と被合併企業の決算年月が異なる場合もあるが、最も直近の実績決算数値を合算する。
・ 「1株当り配当金」や「BIS基準の自己資本比率」「ソルベンシーマージン比率」など単純に合算できない項目については、合併比率を考慮した上で加重平均値を算出する。
・ 予想財務データに関しては、特に処理を行わない(合併時に合併後の業績予想数値が出ているケースが多いため)。

(5) 連結優先財務取得処理
・ 連結予想値を使うファクターについては、連結予想が発表(収録)されていない場合、代替値を適用する。リスクを推定するという観点からは、連結予想が無いからといって、ファクター値を市場平均値(エクスポージャー=0)にすると、実体と乖離した評価を行ってしまう危険性が伴う。そこで、連結予想値が無い場合は、「連結実績値→単独予想値→単独実績値」の順でデータを検索し、データが存在した時点で当該値をセットする。もし、これでもデータが無い場合はNA値とする。
・ この処理によって、連結対象子会社が1つもない連結未発表企業は、「単独予想」(無い場合は「単独実績」)が用いられる。また、連結が発表されているにもかかわらず、連結予想が無い企業は、連結実績を優先して用いる。理由は、連結を発表している企業について単独予想を用いると、連単倍率の高い企業で大きな誤差が出る上に、特に、「E/Pファクター」の場合、連結減価償却費など他の実績項目との整合性がとれなくなってしまうためである。

4.各リスクファクターに共通した市場関連データ処理
(1)市場関連データのソースに関して
・ 市場関連データに関しては、株価、指数(日本、米国)のデータを中心に使用。具体的には、評価株価、配当込み収益率、出来高、普通株発行済株式数、配当込みTOPIX指数、S&P500指数、NASDAQ指数など。評価株価、配当込み収益率、出来高については、厚生年金基金基準及び東大名優先基準のデータ(共に主市場含む)を使用している。これらのデータは日々更新される。

(2)合併処理
・β値などを計算する際には、事前処理として、個別銘柄の配当込み収益率に合併処理を施す。β値等の計算期間の間で、対象銘柄に合併イベントが発生している場合は、過去に溯りながら合併期日、被合併銘柄、被合併銘柄の最終売買日時価総額をすべて取得した上で、1本の配当込み収益率を作成する。NPMServicesでは配当込み収益率は合併期日まで計算をしているため、計算上は合併期日以前(合併期日含む)の収益率について、被合併銘柄(複数ある場合もある)と合併先銘柄の日次収益率を最終売買日の時価総額で加重平均して1本化する。過去の被合併銘柄が、更に、それ以前に別会社を合併している場合等も含め、計算期間内のすべての合併イベントを反映させる。
・ 上記の合併処理は、売買回転率(「売買回転率ファクター」の計算で使用)やスペシフィックリターン (「変動性ファクター」の計算で使用)の計算時にも同様の処理を施す。

5.リスクファクター
5.1.規模ファクター
3サブファクターを等ウェイトで合成
(1)連結売上高 (対数値)
(2)連結総資産 (対数値)
(3)時価総額 (対数値)

5.1.1.ファクター作成準備
(1)年率換算処理
・ 連結売上高(連結が無い場合は単独売上高)は年率換算をしておく。

(2)合併処理
・ 連結売上高、連結総資産(連結が無い場合は単独売上高、単独総資産)は合併処理を施しておく。

5.1.2.サブファクター作成
(1)連結売上高
・ 連結直近本決算における売上高の対数値を用いる。
・ 金融業の売上高として、銀行は経常収益、証券は営業収益、損保は正味収入保険料、生保は経常収益を用いる。但し損保に関しては、損害保険業法改正後の1996年3月期からは連結の場合のみ経常収益を用いている。
・ 連結を発表していない企業は単独売上高を用いる。
・ 連結貸借対照表(B/S)は発表しているが、連結損益計算書(P/L)を発表していない企業(期中に連結子会社を取得したが期末日をみなし取得日といる場合等)は、単独売上高に総資産連単倍率を乗じて、みなし連結売上高を計算し、使用している。
・ 連結売上高が0またはNAの場合は、NAとする(0の場合は対数値が計算できないため)。これに該当する銘柄は、新規上場間も無い時期で財務データが全く収録されていない場合、売上高が百万円未満の超小型企業、持株会社形態の企業の単独売上高、あるいは日銀などに限られているが、現時点で、上場登録企業の中で日銀以外の銘柄が該当することは、極めて稀である。

(2)連結総資産
・ 連結直近本決算における総資産の対数値を用いる。
・ 連結を発表していない企業は単独総資産を用いる。
・ 2001年4月1日に始まる事業年度より、その他有価証券(いわゆる持ち合い株式)の時価評価が全面適用されている。従って、当該決算年度の決算発表(決算短信発表)がピークを越える2002年5月末を境として、2002年5月以前はクロスセクション評価基準を統一するために、時価会計適用による資産増減額を取り除く処理を施している。具体的には、その他有価証券の含み損益(「その他有価証券評価差額金」)と、それに絡む税効果会計の繰延税金負債増加額を一律で除く処理を行うが、繰延税金負債に占める時価評価に絡む金額は分からないため、「その他有価証券評価差額金」×100/60(繰延税金を40%としている)を総資産から取り除いている。逆に、2002年6月以降は時価会計適用後の総資産をそのまま用いている。
・ 連結損益計算書(P/L)は発表しているが、連結貸借対照表(B/S)を発表していない企業(期中に連結子会社の売却、吸収合併、連結対象から除外したために期末時点で連結対象子会社が無い場合)は、単独総資産に売上高連単倍率を乗じて、みなし連結総資産を計算し、使用している。
・連結総資産(時価会計調整時には時価会計調整後総資産)が0 以下またはNA の場合は、NA とする(0 以下の場合は対数値が計算できないため)。これに該当する銘柄は、新規上場間も無い時期で財務データが全く収録されていない場合、当指標値が百万円未満の超小型企業、あるいは日銀などに限られているが、現時点で、上場登録企業の中で日銀以外の銘柄が該当することは、極めて稀である。

(3)時価総額
・計算式は、「直近厚基連評価株価 × 直近普通株発行済株式数」の対数値。日次で直近営業日データを用いる。
・普通株発行済株式数は優先株式、後配株式を除く。また、CB 転換・新株予約権行使・自社株買いなどによる普通株式増減の反映時期は、東証の指数計算用上場株式数と比較して5 日~10 日程度早い。

5.1.3.規模ファクター計算手順
(1)外れ値処理
・前述の(1)(2)(3)で示した連結売上高、連結総資産、時価総額の3 サブファクターについて、モデル推定ユニバースの中で1%点と99%点を示す値を求める。その後、対象全企業について、この1%点以下の値を示す企業は1%点に、99%点以上の値を示す企業は99%点に置換する。
・具体的には、 Xをi 銘柄、t時点の原データとすると、
i,t ≧XP99 ,t の時、 Xi ,t=XP99 ,t ( X P 99 ,t はモデル推定ユニバースのXi ,t の99%点)
i ,t≦XP1,tの時、Xi ,t=XP1,t(XP1,tはモデル推定ユニバースのXi ,tの1%点)

(2) モデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・モデル推定ユニバースを対象として、外れ値処理後の各サブファクターについてモデル推定用時価総額加重平均値、等ウェイト標準偏差を算出し、全企業を対象に、このパラメータを適用して標準化を行う。標準化は(元データ - 加重平均)/等ウェイトσで行う。その後±5σ以上を±5σにし (標準化データの外れ値処理)、この操作を3 回繰り返し、最後にもう一度標準化を行う。
・具体的には、Xi ,tをi銘柄、t時点の原サブファクターとすると、標準化データxi ,tは以下の計算を行う。
Figure 0007186283000009
ここで
Figure 0007186283000010
i ,t : i 銘柄、t 時点のモデル推定ユニバースのモデル推定用時価総額ウェイト
Figure 0007186283000011
・ここでも、(1)の各サブファクターがNA の企業は計算対象外とする。

(3) 各サブファクターがNA の企業の処理
・(1)で、もし、各サブファクターがNAの企業が存在していた場合は、(2)の標準化の値を0 とする。計算出来ない企業に対し、市場平均値を適用する処理である。

(4) サブファクターの合成処理
・ (3)で、NA=0 変換を施した後の3 サブファクターについて、各企業毎に等ウェイトで合成する。

(5) 再びモデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ 最後に、もう一度、(2)と同様の標準化、及び標準化データの外れ値処理を行い、これを最終的な「規模ファクター」とする。

5.2. 市場感応度ファクター
4 サブファクターを等ウェイトで合成
(1)対配当込みTOPIX の240 日ヒストリカルβ値
(2)対配当込みTOPIX の480 日ヒストリカルβ値
(3)対配当込みTOPIX の36 ヵ月ヒストリカルβ値
(4)対配当込みTOPIX の48 ヵ月ヒストリカルβ値

5.2.1.ファクター作成準備
(1)合併処理
・個別企業の日次配当込み収益率、及び月次配当込み収益率は、合併処理を施しておく。具体的には、過去240 日、480 日、36 ヵ月、48 ヵ月の各期間内に当該企業に直接、あるいは間接的に関わった合併イベントをすべて取込み、1 本の配当込み収益率を作成する。

5.2.2.サブファクター作成
(1)対配当込みTOPIX の240 日ヒストリカルβ値
・個別銘柄の日次配当込み収益率を被説明変数、日次配当込みTOPIX 収益率を説明変数として、マーケットモデルの回帰係数であるβ値を過去240 日間で推定したもの。具体的には、240 日間( t =1...240 )で推定した下式のβiである。
Figure 0007186283000012
i,t: i 銘柄、t時点の日次配当込み収益率
M ,t:t 時点の日次配当込みTOPIX収益率

・日次配当込み収益率は、東大名優先基準の評価株価(複数市場に上場している企業の場合は、東京→大阪→名古屋→他市場の順で、特別気配優先の評価株価を採用)に基づいて、計算した日次の配当込み収益率(配当は発生主義)を使用。
・配当込みTOPIX 収益率は、東京証券取引所より1989年1月4日から発表されている「配当込みTOPIX 指数」から、日次の収益率を計算。一方、1988 年以前の配当込みTOPIX 収益率は、個別銘柄の日次配当込み収益率を東証1部上場企業の中で積み上げた収益率(金融データソリューションズにて推定)を使用している。
・新規上場銘柄等、計算期間が240日に満たない企業については、最低60日以上の配当込み収益率が存在すれば、当該有効データを用いてβ値を計算する。有効データが60 日未満の企業のβ値はNA とする(この60日を「最低計算日数」と呼ぶことにする)。
・日次β値の計算では、出来高の薄い銘柄が低いβ値を示すバイアスを避けるため、値付かず日の後、最初に値が付いた日のリターンは、その期間の累積リターンとみなして、説明変数である指数値のリターンも同期間累積して計算する。

(2)対配当込みTOPIX の480 日ヒストリカルβ 値
・計算方法は、(1)と同様で、計算期間は480 日。
・最低計算日数は、(1)と同様60日。

(3) 対配当込みTOPIXの36ヵ月ヒストリカルβ値
・(1)と同様の計算方法であるが、月末評価株価から計算された月次配当込み収益率と月次配当込みTOPIX収益率を用いる。収益率の計算方法は(1)と同様。マーケットモデルの回帰係数であるβ値を36ヵ月間で推定したもの。
・ 最低計算月数は12ヵ月。

(4) 対配当込みTOPIXの48ヵ月ヒストリカルβ値
・ 計算方法は(3)と同様で、計算期間は48ヵ月。
・ 最低計算日数は(3)と同様12ヵ月。

5.2.3.市場感応度ファクター計算手順
(1) 外れ値処理
・ 前述の(1)(2)(3)(4)で示した240日、480日、36ヵ月、48ヵ月の対配当込みTOPIXヒストリカルβ値の4サブファクターについて、モデル推定ユニバースの中で1%点と99%点を示す値を求める。その後、対象全企業について、この1%点以下の値を示す企業は1%点に、99%点以上の値を示す企業は99%点に置換する。計算式は「規模ファクター」を参照。

(2) モデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ モデル推定ユニバースを対象として、外れ値処理をしたあとの各サブファクターについてモデル推定用時価総額加重平均値、等ウェイト標準偏差を算出し、全企業を対象に、このパラメータを適用して標準化を行う。標準化は(元データ - 加重平均)/等ウェイトσで行う。その後±5σ以上を±5σにし (標準化データの外れ値処理)、この操作を3回繰り返し、最後にもう一度標準化を行う。計算式は「規模ファクター」を参照。
・ ここでも、(1)の各サブファクターがNAの企業は計算対象外とする。

(3) 各サブファクターがNAの企業の処理
・(1)で、もし、各サブファクターがNAの企業が存在していた場合は、(2)の標準化の値を0とする。計算出来ない企業に対し、市場平均値を適用する処理である。

(4) サブファクターの合成処理
・ (3)でNA=0変換を施した後の4サブファクターについて各企業毎に等ウェイトで合成する。

(5) 再びモデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ (4)で合成したあとのファクターについて、もう一度、(2)と同様の標準化、及び標準化データの外れ値処理を行う。

(6) 時価総額相関の排除処理
・ (5)で計算済みのファクターから、時価総額相関を排除する。具体的には、外れ値処理(1%点&99%点)・標準化処理後の対数時価総額(「規模ファクター」のサブファクターである「時価総額」と同じもの)を説明変数、(5)で計算済みのファクターを被説明変数として、対象全銘柄でクロスセクション単回帰を実施した際の残差(Residual)を「時価総額相関排除後ファクター」と定義する。
・具体的には、クロスセクションの計算対象全銘柄( i=1...N )から推定した下式のεi ,tである。
Figure 0007186283000013

i,t:i 銘柄、t 時点の上記(5)のファクター値
MVi,t:i 銘柄、t 時点の対数時価総額のクロスセクション標準化値

(7) 再びモデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・(6)の時価総額相関排除後のファクター値((6)のεi ,t)について、もう一度、(2)と同様の標準化、及び標準化データの外れ値処理を行い、これを最終的な「市場感応度ファクター」とする。

5.3. B/Pファクター
連結自己資本 / 時価総額
5.3.1.ファクター作成準備
(1) 合併処理
・ 連結自己資本(連結が無い場合は単独自己資本)は合併処理を施しておく。

5.3.2.サブファクター作成
(1) 時価総額
・ 計算式は、「直近厚基連評価株価 × 直近普通株発行済株式数」。日次で直近営業日データを用いる。
・ 普通株発行済株式数は優先株式、後配株式を除く。また、CB転換・新株予約権行使・自社株買いなどによる普通株式増減の反映時期は、東証の指数計算用上場株式数と比較して5日~10日程度早い。

(2) 連結自己資本
・ 連結直近本決算における自己資本を用いる。
・ 連結を発表していない企業は単独自己資本を用いる。
・ 0やマイナスの自己資本も計算対象とする。
・ 2001年4月1日に始まる事業年度より、その他有価証券(いわゆる持ち合い株式)の時価評価が全面適用されている。従って、当該決算年度の決算発表(決算短信発表)がピークを越える2002年5月末を境として、2002年5月以前はクロスセクション評価基準を統一するために、時価会計適用による自己資本増減額を取り除く処理を施している。具体的には、2002年5月以前は、その他有価証券の含み損益(「その他有価証券評価差額金」)を一律で除く処理を行っているが、逆に、2002年6月以降は、時価会計適用後の自己資本をそのまま用いている。
・ 2006年5月1日施行の新会社法に合わせ、2006年7月3日のデータ日付以降、自己資本は以下で定義された「NPM推定自己資本」を使用する。
・・直近実績期が2006年4月期以前の自己資本
単独 :自己資本(単)-新株式払込金・申込証拠金(単)
連結 :自己資本(連)-新株式払込金・申込証拠金(連)
・・直近実績期が2006年5月期以降の自己資本
単独 :純資産合計(単)-新株式申込証拠金(単)-新株予約権(単)
連結 :純資産合計(連)-新株式申込証拠金(連)-新株予約権(連)-少数株主持分(連)
・ 連結損益計算書(P/L)は発表しているが、連結貸借対照表(B/S)を発表していない企業(期中に連結子会社の売却、吸収合併、連結対象から除外したために、期末時点で連結対象子会社が無い場合)は単独自己資本を用いる。

(3) 連結B/Pの計算
・ 上述の(1)、(2)の処理を施した後の連結(優先)自己資本、(普通株式)時価総額を用いて、「連結自己資本 / 時価総額」を計算。
・連結(優先)自己資本がNA の場合のB/P はNA とする。これに該当する銘柄は、新規上場間も無い時期で財務データが全く収録されていない場合や日銀などの企業に限られているが、現時点で、上場登録企業の中で日銀以外の銘柄が該当することは極めて稀である。

5.3.3.B/P ファクター計算手順
(1)順位標準量の算出
・前述の(3)で計算された連結(優先)B/P について、計算対象企業全銘柄を対象に、BLOM 型の順位標準量を計算する。これは、一度B/P を順位に変換し、その後、標準正規累積密度関数の逆関数を適用させることで、標準正規分布を発生させる処理である。但し、上記の連結(優先)B/P がNA の企業は、ここでは計算対象外とする。
・具体的には、クロスセクションの(欠損値を除く)計算対象全銘柄( i=1...N )の中で、B/P を小さい順に並べた時の順位をr(1 位~N 位)とすると、BLOM 型の変換を適用した後の正規スコアyは、以下のようになる。

Figure 0007186283000014

Φ-1:累積正規密度関数の逆関数(PROBIT)
※ 順位標準量を用いた結果、将来のリターンに対する説明力向上と分布構造の時系列安定化に寄与している。もし、この順位変換を行わない場合、特に、B/P の分母の時価総額に大きな歪みの発生した1999 年末には、IT 関連銘柄を中心とする成長性の高い高PBR 高時価総額企業の一部が、PBR のクロスセクション分布を大きく歪めることになった。

(2) モデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・モデル推定ユニバースを対象として、(1)で計算された順位標準量について、モデル推定用時価総額加重平均値、等ウェイト標準偏差を算出し、全企業を対象に、このパラメータを適用して標準化を行う。標準化は(元データ - 加重平均)/等ウェイトσで行う。その後、±5σ以上を±5σにし (標準化データの外れ値処理)、この操作を3 回繰り返し、最後にもう一度標準化を行う。計算式は「規模ファクター」を参照。
・ここでも、(1)のB/P がNA の企業は計算対象外とする。

(3) B/P がNA の企業の処理
・(1)で、もし、連結(優先)B/P がNA の企業が存在していた場合は、(2)の標準化の値を0 とする。計算出来ない企業に対し、市場平均値を適用する処理である。

(4) 再び順位標準量の算出
・ (3)で、NA 企業がユニバースに入った結果若干の順位のずれが生じるので、(3)の結果に対し、もう一度(1)と同様の順位標準量を計算する。

(5) 再びモデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ 最後に、もう一度、(2)と同様の標準化、及び標準化データの外れ値処理を行い、これを最終的な「B/Pファクター」とする。

5.4.E/Pファクター
4サブファクターを等ウェイトで合成
(1) 連結予想経常益利回り
(2) 連結予想税引益利回り
(3) 連結予想キャッシュフロー(CF)利回り
(4) 連結予想EBITDA利回り
連結予想経常益利回り = 連結予想経常利益 / 時価総額
連結予想税引益利回り = 連結予想当期利益 / 時価総額
連結予想CF利回り = 連結予想CF / 時価総額
連結予想EBITDA利回り = 連結予想EBITDA / 時価総額

5.4.1.ファクター作成準備
(1) 年率換算処理
・ 損益計算書(P/L)項目である経常利益、当期利益、減価償却費、役員賞与、支払利息割引料、法人税等、配当金総額、少数株主持分損益は年率換算を施しておく。基本的には連結であるが、連結が無い場合は単独を使う。

(2) 合併処理
・ 上記の各種財務項目は合併処理を施しておく。

5.4.2.サブファクター作成
(1) 時価総額
・ 計算式は、「直近厚基連評価株価 × 直近普通株発行済株式数」。日次で直近営業日データを用いる。
・ 普通株発行済株式数は、優先株式、後配株式を除く。また、CB転換・新株予約権行使・自社株買いなどによる普通株式増減の反映時期は、東証の指数計算用上場株式数と比較して、5日~10日程度早い。

(2) 連結予想経常利益、連結予想税引利益
・ 連結予想1期本決算における予想経常利益、予想当期利益を用いる。
・ 連結予想が無い場合は、前述の「各リスクファクターに共通した財務データ処理」の中の「連結優先処理」に従う。

(3) 連結予想キャッシュフロー
・ データ日付が2006年6月30日以前は、連結本決算における「予想1期当期利益 + 直近実績減価償却費 - 直近実績役員賞与 - 直近実績配当金総額(単)」。
・ データ日付が2006年7月3日以降は、連結本決算における「予想1期当期利益 + 直近実績減価償却費 - 予想1期配当金総額(単)」。
・ 当期利益に連結予想が無い場合は、前述の「連結優先処理」に従う。
・ 直近実績連結本決算減価償却費がNAまたは0の場合で単独減価償却費が存在する場合は、(年率換算後の)単独減価償却費に有形固定資産連単倍率を乗じて推定した連結減価償却費を用いる。もし、有形固定資産連単倍率の一方が、NAなどで計算できない場合は、総資産連単倍率を乗じた減価償却費を用いる。もし、連結も単独も減価償却費がNAまたは0の場合は、減価償却費=0とする。特に、1990年代中頃までは、連結減価償却費が注記項目の中にほとんど収録されていないので、前述の推定減価償却費を用いることが多い。
・ 直近実績連結本決算役員賞与がNAまたは0の場合は、(年率換算後の)単独役員賞与を用いる。もし、連結も単独も役員賞与がNAまたは0の場合は、役員賞与=0とする。但し、新会社法の施行によって利益処分計算書が廃止され、その1項目であった「役員賞与」は、「販売費及び一般管理費」の中の1項目(「役員賞与引当金」)に一本化されて費用処理がされるため、2006年7月3日以降のデータ日付におけるキャッシュフローの計算は、予想1期当期利益の段階で「役員賞与」は控除済と見なす。
・2006年6月30日以前で、配当金総額(単独)がNAの場合は、配当金総額=0とする。
・2006年7月3日以降は、金融データソリューションズで独自推定した「単独予想1期配当金総額」を使う。予想期においてキャッシュアウトすると考えられる配当金を、公表されている予想値や実績値から推定したもので、より本来の予想キャッシュフローの意味合いに近づける。「予想1期キャッシュフロー」の計算手順概要は以下の通り(細かい調整部分は省略)。
・・1、実績の単独決算データが存在する場合は、「実績配当金総額」、「実績1株当たり年間配当金」、「実績期末普通株発行済株式数」、「実績期末自己株式数」等のデータから、「種類株式に関わる実績配当金総額」(年率換算後)を推定する。「実績配当金総額」(公表値)と、1株当たり配当金から積み上げた配当金総額(自己株式除く)を比較して、前者の値の方が大きい場合は、その差が「種類株式に関わる実績配当金総額」であると仮定する。逆に、後者の値の方が大きい場合、あるいは実績の単独決算データそのものが存在しない場合は、「種類株式に関わる実績配当金総額」(年率換算後)を0とする。
・・2、単独の「予想1期1株当たり配当金」と「予想1期普通株発行済株式数」を乗じて、「普通株式に関わる予想1期配当金総額」(年率換算後)を推定する。この時、1株当たり配当金と発行済株式数の間には、将来予定されるコーポレートアクションに関して整合性がとれていると仮定。また、実績がある場合は、「自己株式比率」をあらかじめ計算しておき、「普通株式に関わる予想1期配当金総額」の計算時に、(1-「自己株式比率」)を乗じておく(自己株式に対する配当金はキャッシュアウトしないため)。「自己株式比率」は「実績期末自己株式数」÷「実績期末普通株発行済株式数」で計算し、予想1期においてもこの比率は変わらないと仮定している。実績が無い場合は、「自己株式比率」=0として計算する。
・・3、1で推定された「種類株式に関わる実績配当金総額」(年率換算後)と、2で推定された「普通株式に関わる予想1期配当金総額」(年率換算後)を加算して、「単独予想1期配当金総額」(年率換算後)とする。この時、「種類株式に関わる実績配当金総額」は、予想1期決算期においても同額がキャッシュアウトされると仮定している(種類株の普通株転換などが無いと仮定)。

(4) 連結予想EBITDA
・ 連結本決算における「予想1期当期利益 + 直近実績法人税等 + 直近実績少数株主持分損益 + 直近実績支払利息割引料 + 直近実績減価償却費」。
・ 当期利益に連結予想が無い場合は、前述の「連結優先処理」に従う。
・ 直近実績連結本決算の法人税等、少数株主持分損益、支払利息割引料がNAまたは0に該当した場合は、当該項目値=0とする。単独決算数値を用いる場合は、少数株主持分損益=0として計算する。
・ 法人税等には、税効果会計の法人税等調整額も含む。
・ 直近実績連結本決算減価償却費がNAまたは0の場合は、上記(3)の「連結予想キャッシュフロー」と同様の処理を行う。

(5) 連結E/Pサブファクターの計算
・ 上述の(2)(3)(4)で示した連結優先の予想経常利益、予想税引利益、予想キャッシュフロー、予想EBITDAのそれぞれを、(1)の普通株式時価総額で除して、「連結経常益利回り」「連結税引益利回り」「連結キャッシュフロー利回り」「連結EBITDA利回り」を計算。
・ 分子(経常利益、税引利益、キャッシュフロー、EBITDA)がNAの企業の計算値はNAとする。これに該当する銘柄は、新規上場間も無い時期で、財務データが全く収録されていない場合、あるいは日銀などに限られているが、現時点で、上場登録企業の中で日銀以外の銘柄が該当することは極めて稀である。

5.4.3.E/Pファクター計算手順
(1) 順位標準量の算出
・ 前述の4サブファクター(4つのE/P)のそれぞれについて、計算対象企業全銘柄を対象に、BLOM型の順位標準量を計算する。但し、上記の各E/PがNAの企業は、ここでは計算対象外とする。順位標準量の適用方法や計算詳細は「B/Pファクター」を参照。

(2)モデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ モデル推定ユニバースを対象として、(1)で計算された各サブファクターの順位標準量について、モデル推定用時価総額加重平均値、等ウェイト標準偏差を算出し、全企業を対象に、このパラメータを適用して標準化を行う。標準化は(元データ - 加重平均)/等ウェイトσで行う。その後、±5σ以上を±5σにし (標準化データの外れ値処理)、この操作を3回繰り返し、最後に、もう一度、標準化行う。計算式は「規模ファクター」を参照。
・ ここでも、(1)のE/P(4サブファクター)がNAの企業は計算対象外とする。

(3) 各サブファクターがNAの企業の処理
・ (1)で、もし、各サブファクターがNAの企業が存在していた場合は、(2)の標準化の値を0とする。計算出来ない企業に対し、市場平均値を適用する処理である。

(4) サブファクターの合成処理
・ (3)で、NA=0変換を施したあとの4サブファクターについて、各企業毎に等ウェイトで合成する。

(5) 再び順位標準量の算出
・ (4)の合成後、ファクターに関して、もう一度(1)と同様の順位標準量を計算する。

(6) 再びモデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ 最後に、もう一度(2)と同様の標準化、及び、標準化データの外れ値処理を行い、これを最終的な「E/Pファクター」とする。

5.5.財務健全性比率(一般)ファクター
3サブファクターを等ウェイトで合成
(1) 連結自己資本比率
(2) 単独総資産剰余金比率
(3) 単独インタレスト・カバレッジ・レシオ
連結自己資本比率 = 連結自己資本 / 連結総資産
単独総資産剰余金比率 = 単独その他の剰余金 / 単独総資産
単独インタレスト・カバレッジ・レシオ = (単独営業利益+単独受取利息配当金) / 単独支払利息割引料
金融業(銀行・証券・保険・その他金融)のエクスポージャー値は0

5.5.1.ファクター作成準備
(1) 年率換算処理
・ 損益計算書(P/L)項目である単独の営業利益、受取利息配当金、支払利息割引料には、年率換算処理を施しておく。

(2) 合併処理
・ 自己資本、総資産、その他の剰余金、営業利益、受取利息配当金、支払利息割引料の各種財務項目には、合併処理を施しておく。

5.5.2.サブファクター作成
(1) 連結自己資本
・ 連結直近本決算における自己資本を用いる。
・ 連結を発表していない企業は、単独自己資本を用いる。
・ 連結損益計算書(P/L)は発表しているが、連結貸借対照表(B/S)を発表していない企業(期中に連結子会社の売却、吸収合併、連結対象から除外したために期末時点で連結対象子会社が無い場合)は、単独自己資本に売上高連単倍率を乗じて、みなし連結自己資本を計算し、使用している。
・ 0やマイナスの自己資本も計算対象とする。
・ 2001年4月1日に始まる事業年度より、その他有価証券(いわゆる持ち合い株式)の時価評価が全面適用されている。従って、当該決算年度の決算発表(決算短信発表)がピークを越える2002年5月末を境として、2002年5月以前はクロスセクション評価基準を統一するために、時価会計適用による自己資本増減額を取り除く処理を施している。具体的には、2002年5月以前は、その他有価証券の含み損益(「その他有価証券評価差額金」)を一律で除く処理を行っているが、逆に、2002年6月以降は時価会計適用後の自己資本をそのまま用いている。
・ 2006年5月1日施行の新会社法に合わせ、2006年5月期以降の実績本決算における自己資本は、以下で定義されたものを使用する。
・・直近実績期が2006年5月期以降の自己資本
単独 :純資産合計(単)-新株予約権(単)
連結 :純資産合計(連)-新株予約権(連)-少数株主持分(連)

(2) 連結総資産、単独総資産
・ 連結総資産は連結直近本決算における総資産、単独総資産は単独直近本決算における総資産を用いる。
・ 連結総資産で、連結を発表していない企業は単独総資産を用いる。
・ 連結総資産で、連結損益計算書(P/L)は発表しているが、連結貸借対照表(B/S)を発表していない企業(期中に連結子会社の売却、吸収合併、連結対象から除外したために期末時点で連結対象子会社が無い場合)は、単独総資産に売上高連単倍率を乗じて、みなし連結総資産を計算し、使用している。
・ 2001年4月1日に始まる事業年度より、その他有価証券(いわゆる持ち合い株式)の時価評価が全面適用されている。従って、当該決算年度の決算発表(決算短信発表)がピークを越える2002年5月末を境として、2002年5月以前はクロスセクション評価基準を統一するために、時価会計適用による資産増減額を取り除く処理を施している。具体的には、その他有価証券の含み損益(「その他有価証券評価差額金」)と、それに絡む税効果会計の繰延税金負債増加額を一律で除く処理を行うが、繰延税金負債に占める時価評価に絡む金額は分からないため、「その他有価証券評価差額金」×100/60(繰延税金を40%としている)を、連結・単独共に総資産から取り除いている。逆に、2002年6月以降は、時価会計適用後の総資産をそのまま用いている。
・ 総資産(連結、単独)が0またはNAの場合は、NAとする(0の場合は0割りが発生するため)。これに該当する銘柄は、新規上場間も無い時期で財務データが全く収録されていない場合、当指標値が百万円未満の超小型企業、あるいは日銀などに限られているが、現時点で、上場登録企業の中で日銀以外の銘柄が該当することは極めて稀である。

(3) その他の剰余金
・ 2006年4月期以前の決算期は、単独直近本決算におけるその他の剰余金を用いる。その他の剰余金は「諸任意積立金」、「当期未処分利益」、「その他資本剰余金・資本準備金取崩額」の合計で定義。
・ 2006年5月期以降の決算期は、単独直近本決算の純資産の部における「その他資本剰余金」、「その他利益剰余金」の合計で定義。
・ 0やマイナスのその他の剰余金も計算対象とする。
・ その他の剰余金がNAの場合はNAとする。これに該当する銘柄は、新規上場間も無い時期で、財務データが全く収録されていない場合や日銀などに限られているが、現時点で、上場登録企業の中で日銀以外の銘柄が該当することは、極めて稀である。
・ 2001年の商法改正で金庫株保有が解禁されたため、金庫株解禁後の決算数値については、その他の剰余金に自己資本中の自己株式を考慮する。具体的には、その他の剰余金に自己株式(マイナス値)をプラスしたものを用いる。
・ 2006年5月1日施行の新会社法により、「資本の部」は「純資産の部」に代わる。これに合わせ、2006年5月期以降の会社法適用決算期からは、「資本剰余金」の中の「その他資本剰余金」、「利益剰余金」の中の「その他利益剰余金」、の2項目の合計値とする。ここで、「その他利益剰余金」は、「任意積立金」と「繰越利益剰余金」の和である。

(4) 単独営業利益、単独受取利息配当金、単独支払利息割引料
・ 単独本決算における年率換算後の営業利益、受取利息配当金、支払利息割引料を用いる。
・ 営業利益、受取利息配当金、支払利息割引料がNAの場合、あるいは受取利息配当金や支払利息配当金がマイナスの場合はNAとする。これに該当する銘柄は、新規上場間も無い時期で、かつ財務データが全く収録されていない場合、あるいはデータの収録ミス、あるいは日銀などに限られているが、現時点で、上場登録企業の中で日銀以外の銘柄が該当することは、極めて稀である。

(5) 連結自己資本比率の計算
・ 連結(優先)本決算における「直近実績自己資本÷直近実績総資産」。(1)及び(2)で加工済みのデータを用いる。
・ 直近実績総資産(時価会計調整時は時価会計調整後総資産)がNAまたは0以下の場合、あるいは直近実績自己資本がNAの場合は、NAとする。

(6) 単独総資産剰余金比率の計算
・ 単独本決算における「直近実績その他の剰余金÷直近実績総資産」。(2)及び(3)で加工済みのデータを用いる。
・ 直近実績総資産(時価会計調整時は時価会計調整後総資産)がNAまたは0以下の場合、あるいは直近実績その他の剰余金がNAの場合は、NAとする。

(7) 単独インタレスト・カバレッジ・レシオの計算
・ 単独本決算における「(直近実績営業利益+直近実績受取利息配当金)÷直近実績支払利息割引料」。(4)で加工済みのデータを用いる。
・ 直近受取利息配当金がNAの場合は0と置き換えて計算する。
・ 営業利益、あるいは支払利息割引料がNAの場合はNAとする。
・ 営業利益がプラスで、支払利息割引料が0の場合は、インタレスト・カバレッジ・レシオを9999999999とする。当該企業は負債の無い会社と判断されるため、インタレスト・カバレッジ・レシオはクロスセクションの中で最高の順位を与える。

5.5.3.財務健全性比率(一般)ファクター計算手順
(1) 一般事業会社のみの選択
・ ファクターの計算対象は、一般事業会社のみなので、東証33業種分類の「銀行業」「証券、商品先物取引業」「保険業」「その他金融業」の4業種に属する企業を削除する。東京証券取引所では、個別企業の東証33業種分類を1993年7月から公表しており、それ以前の分類に関しては、東証28業種分類を元に、金融データソリューションズにて推定した業種分類を用いている。

(2) 順位標準量の算出
・ 3サブファクターのそれぞれについて、計算対象企業全銘柄(金融業除く)を対象に、BLOM型の順位標準量を計算する。但し、上記の各サブファクターがNAの企業は、ここでは計算対象外とする。順位標準量の適用方法や計算詳細は、「B/Pファクター」を参照。

(3) モデル推定ユニバース(金融除く)で標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ モデル推定ユニバース(金融業除く)を対象として、(2)で計算された各サブファクターの順位標準量についてモデル推定用時価総額加重平均値、等ウェイト標準偏差を算出し、全企業(金融業除く)を対象に、このパラメータを適用して標準化を行う。標準化は(元データ - 加重平均)/等ウェイトσで行う。その後、±5σ以上を±5σにし(標準化データの外れ値処理)、この操作を3回繰り返し、最後にもう一度標準化を行う。計算式は「規模ファクター」を参照。
・ ここでも、サブファクターがNAの企業は計算対象外とする。

(4) 各サブファクターがNAの企業の処理
・ (2)で、もし、各サブファクターがNAの企業が存在していた場合は、(3)の標準化の値を0とする。計算出来ない企業に対し、市場平均値を適用する処理である。

(5) サブファクターの合成処理
・ (4)で、NA=0変換を施したあとの3サブファクターについて、各企業毎に等ウェイトで合成する。

(6) 再び順位標準量の算出
・ (5)の合成後ファクターに関して、もう一度、(2)と同様の順位標準量を計算する。

(7) 再びモデル推定ユニバース(金融除く)で標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ 最後に、もう一度、(3)と同様の標準化、及び標準化データの外れ値処理を行う。

(8) 金融業のエクスポージャー値を0にセット
・ (1)で取り除いた金融業(東証33業種中の4業種)のエクスポージャー値を0にして(7)の一般事業会社のデータとマージし、最終的な「財務健全性比率(一般)ファクター」とする。

5.6.財務健全性比率(金融)ファクター
3サブファクターを等ウェイトで合成
(1) 連結自己資本比率
(2) 単独総資産剰余金比率
(3) 金融特有サブファクター
連結自己資本比率 = 連結自己資本 / 連結総資産
単独総資産剰余金比率 = 単独その他の剰余金 / 単独総資産
金融特有サブファクター
・銀行:(単独) BISの自己資本比率
(株式3勘定尻 + 債券5勘定尻) / 業務純益
・証券:(単独) (営業収益 + 金融収益) / 金融費用
・保険:(単独) ソルベンシーマージン比率
一般事業会社のエクスポージャー値は0

5.6.1.ファクター作成準備
(1) 年率換算処理
・ 損益計算書(P/L)項目である銀行の単独業務純益、証券の単独営業利益、単独金融収益、単独金融費用は年率換算処理を施しておく。

(2) 合併処理
・ 自己資本、総資産、その他の剰余金、金融特有サブファクターの構成項目については、合併処理を施しておく。BISの自己資本比率やソルベンシーマージン比率など、比率自体が項目になっているものに関しては、合併比率調整後の発行済株式数加重を行う。

5.6.2.サブファクター作成
(1)連結自己資本、連結総資産、単独総資産、単独その他の剰余金
・ 計算方法については「財務健全性比率(一般)ファクター」と同様。

(2) 金融特有サブファクターの構成項目
・ すべて単独本決算における数字を用いる。

(3) 連結自己資本比率、単独総資産剰余金比率の計算
・ 計算方法については「財務健全性比率(一般)ファクター」と同様。

(4) 銀行のBIS自己資本比率、保険のソルベンシーマージン比率の計算
・ 単独本決算の数値をそのまま用いる。NAはそのままにしておく。

(5) 銀行の (株式3勘定尻+債券5勘定尻)÷業務純益 (以下、勘定尻比率) の計算
・ 業務純益がNAあるいは0以下の場合は、NAとする。
・ 株式3勘定尻と債券5勘定尻が両方ともNAの場合は、NAとする。
・ 株式3勘定尻と債券5勘定尻の少なくとも、いずれか一方に数値が収録されている場合は、NA値を0に変換した上で(株式3勘定尻+債券5勘定尻)を計算する。

(6) 証券の (営業収益+金融収益)÷金融費用 (以下、金融費用カバレッジ) の計算
・ 金融費用が0以下、またはNA、あるいは営業収益がNAの場合は、NAとする。
・ 金融収益がNAの場合は0に変換した上で計算を行う。

5.6.3.財務健全性比率(金融)ファクター計算手順
(1) 銀行業の金融特有サブファクターの計算
・ 銀行業(東証33業種の銀行業に属する企業)のみを対象として、上記(4)のBIS自己資本比率と、上記(5)の勘定尻比率のそれぞれについて、順位標準量を算出する(NAの企業は算出対象外)。
・ モデル推定ユニバースに採用されている銀行業銘柄のみを対象として、上記2サブファクターのモデル推定用時価総額加重平均値、等ウェイト標準偏差を算出し、銀行業全体を対象に、このパラメータを適用して標準化を行う。計算式は「規模ファクター」を参照。
・ 各サブファクターの値がNAの場合は、標準化後の値として0を代入した上で、BIS自己資本比率と勘定尻比率を等ウェイトで合成する。
・ 合成後ファクターに関して、もう一度、銀行業全体で順位標準量を計算する。
・ 最後に、標準化処理を前述同様に行い、計算後のデータが、銀行業のサブファクター値となる。

(2) 証券業の金融特有サブファクターの計算
・ 証券業(東証33業種の証券・金融先物取引業に属する企業)のみを対象として、上記(6)の金融費用カバレッジの順位標準量を算出する(NAの企業は算出対象外)。
・ モデル推定ユニバースに採用されている証券業銘柄のみを対象として、順位標準化後の金融費用カバレッジのモデル推定用時価総額加重平均値、等ウェイト標準偏差を算出し、証券業全体を対象に、このパラメータを適用して標準化を行ったものが、証券業のサブファクター値となる。計算式は「規模ファクター」を参照。

(3) 保険業の金融特有サブファクターの計算
・ 保険業(東証33業種の保険業に属する企業)のみを対象として、上記(4)のソルベンシーマージン比率の順位標準量を算出する(NAの企業は算出対象外)。
・ モデル推定ユニバースに採用されている保険業銘柄のみを対象として、順位標準化後のソルベンシーマージンのモデル推定用時価総額加重平均値、等ウェイト標準偏差を算出し、保険業全体を対象に、このパラメータを適用して標準化を行ったものが、保険業のサブファクター値となる。計算式は「規模ファクター」を参照。

(4) 金融特有サブファクターの合成
・ (1)、(2)、(3)で作成されたそれぞれの業態のサブファクターを、そのままマージする。その他金融業の金融特有サブファクター値はここではNAとしておく。

(5) 金融のみの選択
・ ファクターの計算対象は金融のみなので、東証33業種分類の「銀行業」「証券、商品先物取引業」「保険業」「その他金融業」の4業種に属する企業のみを選択する。「財務健全性比率(一般)ファクター」と同様に、1993年6月以前の分類に関しては、東証28業種分類を元に、金融データソリューションズにて推定した業種分類を用いる。

(6) 順位標準量の算出
・ (5)で選択したユニバースに関して、連結自己資本比率、単独総資産剰余金比率、(4)で計算した金融特有サブファクターの計3つのサブファクターのそれぞれについて、計算対象企業全銘柄(金融業のみ)を対象に、BLOM型の順位標準量を計算する。但し、上記の各サブファクターがNAの企業はここでは計算対象外とする。順位標準量の適用方法や計算詳細は「B/Pファクター」を参照。

(7) モデル推定ユニバース(金融のみ)で標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ モデル推定ユニバース(金融業のみ)を対象として、(6)で計算された各サブファクターの順位標準量についてモデル推定用時価総額加重平均値、等ウェイト標準偏差を算出し、全企業(金融業のみ)を対象に、このパラメータを適用して標準化を行う。標準化は(元データ - 加重平均)/等ウェイトσで行う。その後、±5σ以上を±5σにし (標準化データの外れ値処理)、この操作を3回繰り返し、最後に、もう一度標準化行う。計算式は「規模ファクター」を参照。
・ ここでも、サブファクターがNAの企業は計算対象外とする。

(8) 各サブファクターがNAの企業の処理
・ (6)で、もし、各サブファクターがNAの企業が存在していた場合は、(7)の標準化の値を0とする。計算出来ない企業に対し、市場平均値を適用する処理である。

(9) サブファクターの合成処理
・ (8)でNA=0変換を施したあとの3サブファクターについて、各企業毎に等ウェイトで合成する。

(10) 再び順位標準量の算出
・ (9)の合成後ファクターに関して、もう一度、(6)と同様の順位標準量を計算する。

(11) 再びモデル推定ユニバース(金融のみ)で標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ 最後に、もう一度(7)と同様の標準化、及び標準化データの外れ値処理を行う。

(12) 一般事業会社のエクスポージャー値を0にセット
・ 本計算の対象外であった一般事業会社(東証33業種中の金融4業種以外に属する企業)のエクスポージャー値を0にして(K)の金融のデータとマージし、最終的な「財務健全性比率(金融)ファクター」とする。

5.7.米国株感応度ファクター
2 サブファクターを等ウェイトで合成
(1) 対S&P500 指数の480 日ヒストリカルβ 値
(2) 対NASDAQ 指数の480 日ヒストリカルβ 値
配当込みTOPIX 収益率との重回帰でパラメータを算出

5.7.1.ファクター作成準備
(1) 合併処理
・・個別企業の日次配当込み収益率、及び月次配当込み収益率は、合併処理を施しておく。具体的には、過去480 日の各期間内に当該企業に、直接、あるいは間接的に関わった合併イベントをすべて取込み、1 本の配当込み収益率を作成する。

5.7.2.サブファクター作成
(1) 対S&P500 指数の480 日ヒストリカルβ 値
・個別企業の日次配当込み収益率を被説明変数、日次配当込みTOPIX 収益率と日次S&P500 指数収益率を説明変数として、過去480 日間のデータで重回帰推定した際の、日次S&P500 種指数収益率の回帰係数(β値)。この時、個別銘柄の収益率とTOPIX 収益率を仮にt 時点のデータを使うとすれば、S&P 指数収益率はその前日(前夜)のt -1時点のデータを使う。言い換えれば、昨夜の米国株収益率と今日のTOPIX 収益率を用いて今日の個別企業の収益率を説明しに行く、という推定方法になる。
・具体的には、480 日間( t =1...480 )で推定した下式のS&P i である。
Figure 0007186283000015
i ,t: i 銘柄、t 時点の日次配当込み収益率
TOPIX,t: t 時点の日次配当込みTOPIX 収益率
S&P,t-1:t-1時点の日次 S&P 収益率

・日次配当込み収益率、及び日次配当込みTOPIX 収益率の定義は「市場感応度ファクター」を参照。日次S&P500 指数の収益率は、S&P500 指数の日次終値を用いて収益率に変換している。
・新規上場銘柄等、計算期間が480 日に満たない企業については、最低60 日以上の配当込み収益率が存在すれば、当該有効データを用いてβ値を計算する。有効データが60 日未満の企業のβ値はNA とする (この60 日を「最低計算日数」と呼ぶことにする)。
・日次β値の計算では、出来高の薄い銘柄が低いβ値がもつバイアスを避けるため、値付かず日のあと、最初に値が付いた日のリターンは、その期間の累積リターンとみなして、説明変数である指数値のリターンも同期間累積して計算する。
・米国市場のみ、あるいは日本市場のみ休場だった場合の計算も整合性を持たせている。まず、日本市場、米国市場双方において営業日ベースの日次収益率を算出し、(前日に相当する日が)米国のみ休場だった日は、日本市場の収益率は、その休みの期間累積した収益率を算出したあとに、説明変数として使用している。逆に、日本市場だけが休場だった場合も同様である。

(2) 対NASDAQ指数の480日ヒストリカルβ値
・ 計算方法はS&P500指数がNASDAQ指数に変わる以外は(1)と全く同様で、計算期間も480日。
・ 最低計算日数も(1)と同様60日。

5.7.3.米国株感応度ファクター計算手順
(1) 外れ値処理
・ 前述の(1)(2)で計算されたS&P500指数、及びNASDAQ指数に対する480日βの2サブファクターについて、モデル推定ユニバースの中で1%点と99%点を示す値を求める。その後、対象全企業について、この1%点以下の値を示す企業は1%点に、99%点以上の値を示す企業は99%点に置換する。計算式は「規模ファクター」を参照。

(2) モデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ モデル推定ユニバースを対象として、外れ値処理をした後の各サブファクターについて、モデル推定用時価総額加重平均値、等ウェイト標準偏差を算出し、全企業を対象にこのパラメータを適用して標準化を行う。標準化は(元データ - 加重平均)/等ウェイトσで行う。その後、±5σ以上を±5σにし (標準化データの外れ値処理)、この操作を3回繰り返し、最後に、もう一度、標準化行う。計算式は「規模ファクター」を参照。
・ ここでも、(1)の各サブファクターがNAの企業は、計算対象外とする。

(3) 各サブファクターがNAの企業の処理
・ (1)で、もし、各サブファクターがNAの企業が存在していた場合は、(2)の標準化の値を0とする。計算出来ない企業に対し、市場平均値を適用する処理である。

(4) サブファクターの合成処理
・ (3)で、NA=0変換を施したあとの2サブファクターについて、各企業毎に等ウェイトで合成する。

(5) 再びモデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ (4)で、合成後のファクターについて、もう一度、(2)と同様の標準化、及び標準化データの外れ値処理を行い、これを最終的な「米国株感応度ファクター」とする。

5.8.売買回転率ファクター
2サブファクターを等ウェイトで合成
(1) 20日出来高回転率
(2) 120日出来高回転率

5.8.1.ファクター作成準備
(1) 合併処理
・ (合併処理は出来高回転率作成後に行うため、下記「サブファクター作成」を参照のこと。)

5.8.2.サブファクター作成
(1) 20日出来高回転率
・ 「主市場出来高÷普通株発行済株式数」の直近20日間の平均値
・ 主市場出来高は、厚生年金基金連合会基準に基づき、FDSが定義した主市場における日次出来高。出来高が無い(0)の場合も計算に含む。普通株発行済株式数は優先株式、後配株式を除く。また、CB転換・新株予約権行使・自社株買いなどによる普通株式増減の反映時期は、東証の指数計算用上場株式数と比較して5日~10日程度早い。
・ 直近20日の間に合併イベントが発生している場合の合併(存続)企業の出来高回転率は、最終売買日の時価総額で、被合併銘柄と合併銘柄の出来高回転率を加重平均した比率を算出し、合併期日以前の出来高回転率を遡及する。こうして合併イベントを取込んだ1本の日次出来高回転率を算出したあとで、20日間の平均値を算出する。
・ 計算期間(20日)にSQ日の出来高回転率は含まない。
・ 新規上場銘柄等、計算期間が20日に満たない企業については、最低10日以上の出来高(0も含む)が存在すれば、当該有効データを用いて出来高回転率を計算する。有効データが10日未満の企業の出来高回転率はNAとする (この10日を「最低計算日数」と呼ぶことにする)。

(2) 120日出来高回転率
・ 「主市場出来高÷普通株発行済株式数」の直近120日間の平均値
・ 計算期間が120日である以外は、上記(1)と計算方法は全く同じ。
・ 最低計算日数は60日。

5.8.3.売買回転率ファクター計算手順
(1) 順位標準量の算出
・ 前述の2サブファクター(2つの出来高回転率)のそれぞれについて、計算対象企業全銘柄を対象に、BLOM型の順位標準量を計算する。但し、上記の各出来高回転率がNAの企業はここでは計算対象外とする。順位標準量の適用方法や計算詳細は「B/Pファクター」を参照。

(2) モデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ モデル推定ユニバースを対象として、(1)で計算された各サブファクターの順位標準量についてモデル推定用時価総額加重平均値、等ウェイト標準偏差を算出し、全企業を対象に、このパラメータを適用して標準化を行う。標準化は(元データ - 加重平均)/等ウェイトσで行う。その後、±5σ以上を±5σにし (標準化データの外れ値処理)、この操作を3回繰り返し、最後にもう一度標準化を行う。計算式は「規模ファクター」を参照。
・ ここでも、(1)の出来高回転率(2サブファクター)がNAの企業は計算対象外とする。

(3) 各サブファクターがNAの企業の処理
・ (1)で、もし、各サブファクターがNAの企業が存在していた場合は、(2)の標準化の値を0とする。計算出来ない企業に対し、市場平均値を適用する処理である。

(4) サブファクターの合成処理
・ (3)で、NA=0変換を施したあとの2サブファクターについて、各企業毎に等ウェイトで合成する。

(5) 再び順位標準量の算出
・ (4)の合成後ファクターに関して、もう一度、(1)と同様の順位標準量を計算する。

(6) 再びモデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ 最後に、もう一度、(2)と同様の標準化、及び標準化データの外れ値処理を行い、これを最終的な「売買回転率ファクター」

5.9. 変動性ファクター
3 サブファクターを等ウェイトで合成
(1) スペシフィックリターンの120 日標準偏差
(2) スペシフィックリターンの240 日標準偏差
(3) スペシフィックリターンの720 日標準偏差

5.9.1.ファクター作成準備
(1) スペシフィックリターン作成処理
・リスクモデルの残差であるスペシフィックリターンを算出する。前日の各ファクターのエクスポージャー値を説明変数に、前日から当日の個別企業の日次配当込み収益率(金利控除後)を被説明変数として回帰分析を行い、残差を求める。具体的には下式で示す回帰分析を行い、残差εを計算する。
(1 式)
Figure 0007186283000016
i ,t: i 銘柄、t 時点の日次配当込み収益率
f ,t: t 時点の日次安全資産収益率
i ,k ,t-1: i 銘柄、 t -1時点のk ファクターのエクスポージャー
k ,t: t 時点のk ファクターの日次ファクターリターン
εi ,t: i 銘柄、t 時点の日次スペシフィックリターン
・ファクターは10 個の銘柄属性ファクター、2 個の市場フラグファクター、33 個の業種ファクターの計45個で構成。回帰ウェイトは「1/推定スペシフィックリスク(分散)」を使用。安全資産収益率はCD3 ヵ月の売りレートを使用し、休日を挟む場合の日数調整も行っている。
・実際の日々のスペシフィックリターン計算は、以下の手順を追う。
(1-1) まず、(前日の)モデル推定ユニバースを対象として、「東証1 部外フラグ」「新興市場フラグ」を除いた43 ファクターで(1 式)の回帰計算を行う。その際に、被説明変数である日次配当込み収益率 には外れ値処理を施しておく(「75%点-25%点」の2 倍を25%点から引いた値を下限、75%点に足した値を上限にする)。
(1-2) このようにして推定されたファクターリターンFk,tを用いて、全企業を対象に、残差εi,t を算出する(2式)。
(2 式)で、ファクターk には「東証1 部外フラグ」「新興市場フラグ」は含まず、Ri ,t は外れ値処理適用前の生リターンを用いる。(モデル推定ユニバースに関しては、このεi ,tが「スペシフィックリターン」となる。)
(2 式)
Figure 0007186283000017
(1-3) 次にモデル推定ユニバース非採用企業のファクターリターンを求める。東証1 部外に属する企業(「東証1 部外フラグ」=1 の企業)について、(2 式)で計算された残差εi ,tの「1/推定スペシフィックリスク(分散)」加重平均値を算出し、この値を「東証1 部外フラグ」のファクターリターン推定値とする。同様に、新興市場に属する企業(「新興市場フラグ」=1 の企業)についても、残差の加重平均値を算出し、この値を「新興市場フラグ」のファクターリターン推定値とする。
(1-4) (1-3)で計算された「東証1 部外フラグ」と「新興市場フラグ」のファクターリターンとエクスポージャー(0 or 1)を(2 式)に適用し、全45 ファクターを用いた残差を算出する。この残差が「スペシフィックリターン」である。

(2) 基準化スペシフィックリターン作成処理
・(1)で求めたスペシフィックリターンを加工して、「基準化スペシフィックリターン」((3 式)のsr i ,t )を計算する。計算方法は、モデル推定ユニバース( 1...N )の中でパラメータを算出して、全企業に適用するという形である。
(3 式)
Figure 0007186283000018
sr i ,t: i 銘柄、t 時点の基準化スペシフィックリターン
sri ,t: i 銘柄、t 時点のスペシフィックリターン

(3) 合併処理
・(2)で求めた個別企業の基準化スペシフィックリターンには、合併処理を施しておく。具体的には過去120 日、240 日、720 日の各期間内に、当該企業に直接、あるいは間接的に関わった合併イベントをすべて取込み、1 本の基準化スペシフィックリターンを作成する。

5.9.2.サブファクター作成
(1) スペシフィックリターンの120 日標準偏差
・「基準化スペシフィックリターン」の直近120 日間のヒストリカル標準偏差値。
・具体的には、基準化スペシフィックリターンをsr i ,t、120 日標準偏差をσi,tとすれば、以下のようになる。
Figure 0007186283000019

・新規上場銘柄等、計算期間が120 日に満たない企業については、最低60 日以上のスペシフィックリターンが存在すれば、当該有効データを用いてサブファクターを計算する。有効データが60 日未満の企業のサブファクターはNA とする (この60 日を「最低計算日数」と呼ぶことにする)。

(2) スペシフィックリターンの240日標準偏差
・ 計算方法は(1)と同様で、計算期間は240日。
・ 最低計算日数は120日。

(3) スペシフィックリターンの720日標準偏差
・ 計算方法は(1)と同様で、計算期間は720日。
・ 最低計算日数は(2)と同様120日。

5.9.3.変動性ファクター計算手順
(1) 外れ値処理
・ 前述の(1)(2)(3)で示した120日、240日、720日のスペシフィックリターン標準偏差の3サブファクターについて、モデル推定ユニバースの中で1%点と99%点を示す値を求める。その後、対象全企業について、この1%点以下の値を示す企業は1%点に、99%点以上の値を示す企業は99%点に置換する。計算式は「規模ファクター」を参照。

(2) モデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ モデル推定ユニバースを対象として、外れ値処理後の各サブファクターについて、モデル推定用時価総額加重平均値、等ウェイト標準偏差を算出し、全企業を対象に、このパラメータを適用して標準化を行う。標準化は(元データ - 加重平均)/等ウェイトσで行う。その後、±5σ以上を±5σにし (標準化データの外れ値処理)、この操作を3回繰り返し、最後にもう一度標準化を行う。計算式は「規模ファクター」を参照。
・ ここでも、(1)の各サブファクターがNAの企業は、計算対象外とする。

(3) 各サブファクターがNAの企業の処理
・ (1)で、もし、各サブファクターがNAの企業が存在していた場合は、(2)の標準化の値を0とする。計算出来ない企業に対し、市場平均値を適用する処理である。

(4) サブファクターの合成処理
・ (3)で、NA=0変換を施した後の3サブファクターについて、各企業毎に等ウェイトで合成する。

(5) 再びモデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ (4)で、合成後のファクターについて、もう一度、(2)と同様の標準化、及び標準化データの外れ値処理を行う。

(6) 時価総額相関の排除処理
・ (5)で計算済みのファクターから、時価総額相関を排除する。具体的には、外れ値処理(1%&99%)・標準化処理後の対数時価総額(「規模ファクター」のサブファクターである「時価総額」と同じもの)を説明変数、(5)で計算済みのファクターを被説明変数として、対象全銘柄でクロスセクション単回帰を実施した際の残差(Residual)を「時価総額相関排除後ファクター」と定義する。計算式は「市場感応度ファクター」を参照。

(7) 再びモデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・ (6)の時価総額相関排除後のファクター値について、もう一度、(2)と同様の標準化、及び標準化データの外れ値処理を行い、これを最終的な「変動性ファクター」とする。

5.10.長期リターンファクター
日次調整60 ヵ月リターン (他ファクターとのクロスセクション相関排除)

5.10.1.ファクター作成準備
(1) 合併処理
・月次配当込み収益率、及び日次配当込み収益率に、合併処理を施しておく。具体的には、過去60 ヵ月以内に、当該企業に対して、直接あるいは間接的に関わった合併イベントをすべて取込み、1 本の月次収益率、及び1 本の日次収益率を作成する。配当込み収益率の計算定義は「市場感応度ファクター」を参照。

5.10.2.サブファクター作成
(1) 日次調整60 ヵ月リターンの作成
・60 ヵ月の月次配当込み収益率と当月の日次累積配当込み収益率を用いて、「日次調整60 ヵ月リターン」を作成する。
・60 ヵ月前~前月までの月次配当込み収益率と、当月の前日までの日次配当込み収益率を累積して計算した収益率を、月率換算した収益率を用いる。具体的には、以下の通りである。
(4 式)
Figure 0007186283000020
i ,t: i 銘柄、t 時点の(月率換算後)日次調整60 ヵ月リターン
i ,z: i 銘柄、z 時点の月次配当込み収益率
i ,z: i 銘柄、z 時点の日次配当込み収益率
:計算対象月数 (通常は60 ヵ月)
:計算対象日数 (当月内の月初第1 営業日~前営業日までの日数)
・・新規上場銘柄等、計算期間が60 ヵ月に満たない企業については、最低24 ヵ月以上の月次配当込み収益率が存在すれば、当該有効データを用いてサブファクターを計算する。この場合、(4 式)の収益率は有効データの存在する月数で計算する。有効データが24 ヵ月未満の企業のサブファクター値はNA とする。

5.10.3.長期リターンファクター計算手順
(1) 外れ値処理
・前述で計算した日次調整60 ヵ月リターンについて、モデル推定ユニバースの中で1%点と99%点を示す値を求める。その後、対象全企業について、この1%点以下の値を示す企業は1%点に、99%点以上の値を示す企業は99%点に置換する。計算式は「規模ファクター」を参照。

(2) モデル推定ユニバースで1 回標準化しパラメータを全銘柄に適用
・モデル推定ユニバースを対象として、外れ値処理後のサブファクター(日次調整60 ヵ月リターン)について、モデル推定用時価総額加重平均値、等ウェイト標準偏差を算出し、全企業を対象に、このパラメータを適用して標準化を行う。計算式は「規模ファクター」を参照。
・ここでも、(1)のサブファクターがNA の企業は計算対象外とする。
(3) サブファクターがNA の企業の処理
・(1)で、もし、サブファクターがNAの企業が存在していた場合は、(2)の標準化の値を0 とする。計算出来ない企業に対し、市場平均値を適用する処理である。
(4) 他ファクターとの相関排除処理
・(3)でNA=0 変換を施したあとのサブファクター(日次調整60 ヵ月リターン)について、「長期リターンファクター」「東証1 部外フラグ」「新興市場フラグ」の3 ファクターを除く42 ファクター(前述の9 個の銘柄属性ファクター+33 個の業種ファクター)とのエクスポージャー間相関を排除する。
・具体的には、42 ファクターのファクターエクスポージャーを説明変数、サブファクター(日次調整60 ヵ月リターン)を被説明変数としてクロスセクション回帰を行い、残差リターンを他ファクター相関排除後の日次調整60 ヵ月リターンとする。以下の計算式の残差εがこれに当たる。
Figure 0007186283000021
i ,t : i 銘柄、t 時点のサブファクター(日次調整60 ヵ月リターン)
i ,k ,t : i 銘柄、t 時点のk ファクターのエクスポージャー(全42 ファクター)
βk ,t: t 時点のk ファクターの回帰係数(全42 ファクター)
εi ,t: i 銘柄、t 時点の残差 → 相関排除後リターン

(5) モデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・モデル推定ユニバースを対象として、他ファクター相関排除処理後のサブファクターについて、モデル推定用時価総額加重平均値、等ウェイト標準偏差を算出し、全企業を対象に、このパラメータを適用して標準化を行う。標準化は(元データ - 加重平均)/等ウェイトσで行う。その後±5σ以上を±5σにし (標準化データの外れ値処理)、この操作を3 回繰り返し、最後にもう一度標準化を行う。
・ここでは、(4)のサブファクターがNA の企業は計算対象外とする。相関排除時に他のファクターに1 つでもNA 値がある場合、(4)のサブファクターもNA 値になる。

(6) サブファクターがNA の企業の処理
・(4)で、もし、サブファクターがNAの企業が存在していた場合は、(5)の標準化の値を0 とする。計算出来ない企業に対し、市場平均値を適用する処理である。

(7) 再びモデル推定ユニバースで標準化しパラメータを全銘柄に適用
・(6)で、NA置換後のサブファクターについて、もう一度、(5)と同様の標準化、及び標準化データの外れ値処理を行い、これを最終的な「長期リターンファクター」とする。

5.11.東証1部外フラグ
以下の5条件をすべて満たす企業は1、その他の企業は0 。
(1) 東証1部非上場企業
(2) 東証マザーズ非上場企業
(3) 大証ヘラクレス (2002年12月以前はナスダック・ジャパン) 非上場企業
(4) JASDAQ非上場企業
(5) 被合併企業で上場廃止期間に該当しない企業

5.12.新興市場フラグ
以下の3条件をすべて満たす企業は1、その他の企業は0 。
(1) 東証マザーズ or 大証ヘラクレス (2002年12月以前はナスダック・ジャパン) or JASDAQ のいずれかに上場している企業
(2) モデル推定ユニバース非採用企業
(3) 被合併企業で上場廃止期間に該当しない企業

5.13.業種ファクター (全33ファクター)
東証33業種で、当該業種に採用されている企業は1、それ以外は0 。
不動産投信は不動産業とみなす 。
東京証券取引所では、個別企業の東証33業種分類を1993年7月から公表しており、それ以前の分類に関しては東証28業種分類を元に、金融データソリューションズにて推定した業種分類を用いている。

Claims (7)

  1. 複数のファクターの実績ファクターリターンを時系列で保持する実績ファクターリターン保持部と、
    集計時点Tを起点とした集計のパターンである集計パターン(集計時点Tを起点として過去にわたって集計する過去集計パターン(期間累積ファクターリターン、期間日次ファクターリターン等)と、集計時点Tを起点として将来にわたって集計する将来集計パターンとがある。)を複数保持する集計パターン保持部と、
    各集計パターンについて、各ファクターの実績ファクターリターン間の実績ファクターリターン分散共分散行列を算出する実績ファクターリターン分散共分散行列算出部と、
    複数の集計時点Tについて、各集計パターンによる実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素(「各行列要素」はファクター間の分散共分散値を示す。)を保持する実績ファクターリターン分散共分散行列保持部と、
    各過去集計パターンについて、集計時点T1(複数の集計時点Tの一つ)から所定期間S1内の複数の集計時点N1(複数の集計時点Tに含まれる集計時点)における、過去集計パターンを用いた集計時点N1ごとの実績ファクターリターン分散共分散行列に基づく行列(実績ファクターリターン分散共分散行列そのものである場合も含む)の各行列要素の要素値と、将来集計パターンを用いた集計時点N2(N1と同一である場合もある。以下同じ。)の実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素の要素値との順位相関値(順位相関値の説明:集計時点N1を起点とした過去集計パターンの一つにおける行列要素値の大きさを所定期間S1内で順位付け(第1位から第S1位まで)し、集計時点N2を起点とした所定期間S1内の将来集計パターンの一つにおける行列要素値の大きさで順位付け(第1位から第S1位まで)した場合に、過去集計パターンの順位(変動)と、将来集計パターンの順位(変動)との間にどの程度相関があるかを示すもの)又は相関値である行列要素順位相関値を、各行列要素について算出する行列要素順位相関値算出部と、
    複数の集計時点T1について、各過去集計パターンによる各行列要素の行列要素順位相関値を保持する行列要素順位相関値保持部と、
    行列要素順位相関値保持部に保持されている各過去集計パターンについての行列要素順位相関値であって集計時点T2(複数の集計時点T1の一つ)から所定期間S2内における複数の集計時点M(複数の集計時点T1に含まれる集計時点)の行列要素順位相関値の正負とばらつきの程度とを示す値であるCV値(例えば、標準偏差を当該行列要素順位相関値の平均値で割算することにより得られる値である行列要素値)を、各行列要素について算出する行列要素CV値算出部と、
    少なくとも一以上の集計時点T2について、各過去集計パターンによる行列要素CV値を保持する行列要素CV値保持部と、
    各過去集計パターンについて、集計時点T2における実績ファクターリターン分散共分散行列に基づく行列(実績ファクターリターン分散共分散行列そのものである場合も含む)の行列要素値に、対応する行列要素CV値を重みづけ計算して得られる値であるCVウェイト分散共分散値を、各行列要素について算出するCVウェイト分散共分散値算出部と、
    集計時点T2における各行列要素の各過去集計パターンによるCVウェイト分散共分散値を、行列要素毎に合成し、予想分散共分散行列を算出する予想分散共分散行列算出部と、
    当該予想分散共分散行列を出力する出力部と、
    を備えるファクターリターン分散共分散行列予想システム。
  2. 実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素の絶対値を各行列要素とする実績ファクターリターン分散共分散絶対値行列を算出する絶対値行列算出部と、
    1の集計パターンの実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素と、少なくとも他の1の集計パターンの実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素とを掛け合わせた値を各行列要素とする実績ファクターリターン分散共分散掛け合わせ行列を算出する掛け合わせ行列算出部と、
    当該実績ファクターリターン分散共分散絶対値行列及び実績ファクターリターン分散共分散掛け合わせ行列を、追加の過去集計パターンの実績ファクターリターン分散共分散行列として、実績ファクターリターン分散共分散行列保持部に保持させる、追加集計パターン実績ファクターリターン分散共分散行列追加部と、
    を備えることを特徴とする、請求項1に記載のファクターリターン分散共分散行列予想システム。
  3. 複数の集計時点T2における前記予想分散共分散行列の各行列要素を保持する予想分散共分散行列保持部と、
    集計時点T3(複数の集計時点T2の一つ)における前記予想分散共分散行列の各行列要素を、当該集計時点T3から見て過去の所定期間S3内の複数の集計時点L(複数の集計時点T2に含まれる集計時点)における前記予想分散共分散行列の各行列要素の平均値で除して得られる値を各行列要素とする予想分散共分散趨勢係数行列を算出する、予想分散共分散趨勢係数行列算出部と、
    集計時点T3から直近のK1日以内を集計期間とした実績ファクターリターンの分散共分散行列の各行列要素と、当該予想分散共分散趨勢係数行列の各行列要素を掛け合わせた値を各行列要素とする第2予想分散共分散行列を算出する第2予想分散共分散行列算出部を備え、
    前記出力部は、第2予想分散共分散行列を出力する
    ことを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載のファクターリターン分散共分散行列予想システム。
  4. 前記集計時点T3から直近のK2日よりも長い期間を集計期間とした実績ファクターリターンの母分散共分散行列を算出する母分散共分散行列取得部と、
    前記第2予想分散共分散行列の各行列要素と、当該母分散共分散行列の各行列要素とを、母分散共分散行列の各要素の加重ウェイトが予想分散共分散行列の各行列要素の加重ウェイト以上となるように、加重平均した値を各行列要素とする第3予想分散共分散行列を算出する第3予想分散共分散行列算出部を備え、
    前記出力部は、第3予想分散共分散行列を出力する
    ことを特徴とする、請求項3に記載のファクターリターン分散共分散行列予想システム。
  5. 複数のファクターの実績ファクターリターンを時系列で保持する実績ファクターリターン保持ステップと、
    集計時点Tを起点とした集計のパターンである集計パターン(集計時点Tを起点として過去にわたって集計する過去集計パターン(期間累積ファクターリターン、期間日次ファクターリターン等)と、集計時点Tを起点として将来にわたって集計する将来集計パターンとがある。)を複数保持する集計パターン保持ステップと、
    各集計パターンについて、各ファクターの実績ファクターリターン間の実績ファクターリターン分散共分散行列を算出する実績ファクターリターン分散共分散行列算出ステップと、
    複数の集計時点Tについて、各集計パターンによる実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素(「各行列要素」はファクター間の分散共分散値を示す。)を保持する実績ファクターリターン分散共分散行列保持ステップと、
    各過去集計パターンについて、集計時点T1(複数の集計時点Tの一つ)から所定期間S1内の複数の集計時点N1(複数の集計時点Tに含まれる集計時点)における、過去集計パターンを用いた集計時点N1ごとの実績ファクターリターン分散共分散行列に基づく行列(実績ファクターリターン分散共分散行列そのものである場合も含む)の各行列要素の要素値と、将来集計パターンを用いた集計時点N2(N1と同一である場合もある。以下同じ。)の実績ファクターリターン分散共分散行列の各行列要素の要素値との順位相関値(順位相関値の説明:集計時点N1を起点とした過去集計パターンの一つにおける行列要素値の大きさを所定期間S1内で順位付け(第1位から第S1位まで)し、集計時点N2を起点とした所定期間S1内の将来集計パターンの一つにおける行列要素値の大きさで順位付け(第1位から第S1位まで)した場合に、過去集計パターンの順位(変動)と、将来集計パターンの順位(変動)との間にどの程度相関があるかを示すもの)又は相関値である行列要素順位相関値を、各行列要素について算出する行列要素順位相関値算出ステップと、
    複数の集計時点T1について、各過去集計パターンによる各行列要素の行列要素順位相関値を保持する行列要素順位相関値保持ステップと、
    行列要素順位相関値保持ステップにて保持されている各過去集計パターンについての行列要素順位相関値であって集計時点T2(複数の集計時点T1の一つ)から所定期間S2内における複数の集計時点M(複数の集計時点T1に含まれる集計時点)の行列要素順位相関値の正負とばらつきの程度とを示す値であるCV値(例えば、標準偏差を当該行列要素順位相関値の平均値で割算することにより得られる値である行列要素値)を、各行列要素について算出する行列要素CV値算出ステップと、
    少なくとも一以上の集計時点T2について、各過去集計パターンによる行列要素CV値を保持する行列要素CV値保持ステップと、
    各過去集計パターンについて、集計時点T2における実績ファクターリターン分散共分散行列に基づく行列(実績ファクターリターン分散共分散行列そのものである場合も含む)の行列要素値に、対応する行列要素CV値を重みづけ計算して得られる値であるCVウェイト分散共分散値を、各行列要素について算出するCVウェイト分散共分散値算出ステップと、
    集計時点T2における各行列要素の各過去集計パターンによるCVウェイト分散共分散値を、行列要素毎に合成し、予想分散共分散行列を算出する予想分散共分散行列算出ステップと、
    当該予想分散共分散行列を出力する出力ステップと、
    を備えるコンピュータによるファクターリターン分散共分散行列予想システムの動作方法


  6. 請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  7. 請求項6に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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