JP2003085359A - 株式取引コストを推定する方法及びシステム - Google Patents

株式取引コストを推定する方法及びシステム

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JP2003085359A
JP2003085359A JP2001319950A JP2001319950A JP2003085359A JP 2003085359 A JP2003085359 A JP 2003085359A JP 2001319950 A JP2001319950 A JP 2001319950A JP 2001319950 A JP2001319950 A JP 2001319950A JP 2003085359 A JP2003085359 A JP 2003085359A
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Osamu Sumiya
督 角谷
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【解決手段】 株式の取引コストを推定し提供する方法
であり、マルチファクターモデルで従来分離が困難であ
った買付と売却の取引コストを、2段階推定法を発展さ
せた3段階推定法によって分離推定し、これで分離推定
された取引コストを決定木法により銘柄属性セグメント
に分類して、銘柄属性セグメント別の取引コスト取引コ
スト平均値を得、各銘柄の取引コストの利用は、時価総
額やPBR指標などで関係付けられて理解しやすく且つ
統計的に安定的である上記平均値を以ってすることを特
徴とする。 【効果】取引コストを、買付コストと売却コストとに分
離して推定することが可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の技術分野】 本発明は、実務に供する形で株
式の取引コストを推定し、当該株式の取引コスト、並び
に、その属性情報を投資家に提供して、その売買執行と
ポートフォリオ実務を支援する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】 投資信託会社、投資顧問会社、銀行な
ど金融機関及びその他株式投資家など株式資産を保有
し、運用し、又は管理する主体(以下、単に「投資家」
という。)にとって、株式の売買手数料のみならず、売
買気配値の乖離(ビッド・アスクのスプレッド)、自己
の売買執行に伴う株価の変動リスク(以下、「マーケッ
トインパクト」という。)、及び売買を執行できなかっ
た場合の機会損失などを含む広義の株式取引コスト(以
下、単に「取引コスト」という。)を計測し、その可能
な限り正確な数値を、個別の銘柄毎に得ることは、非常
に重要である。こういった取引コストは、投資家の株式
の期待収益から控除されるべきものであって、これを考
慮しない期待収益に基づく売買執行や、株式ポートフォ
リオの構築、ポートフォリオのアロケーション計画は、
大きな損失を生じる危険を常に内包せざるを得ないから
である。
【0003】 取引コストの中で、その比重が大きく重
要であるにも拘らず、推定が難しいのはマーケットイン
パクトである。マーケットインパクトに関する代表的な
推定方法の1つに、Richard C.Grinol
dおよびRonald N.Kahnによる「在庫リス
クモデル」として知られるものがある(「Active
Portfolio Management」The
McGraw−hill Company,In
c.,1995のpp.294〜pp.296参照)。
これは、マーケットインパクトを流動性供給者(スペシ
ャリストなど)が反対売買しようとする取引量(以下、
単に「取引量」もしくは「出来高」という。)が与える
株式の価格(以下、「株価」という。)の変化から推定
する方法であって、概略、次のようである。
【0004】 即ち、まず、流動性供給者の在庫リスク
σinvを、次のように定義する。 σinv=σ・(τ/250)1/2 ここで、σは、株価の年率のボラティティ、τは流動性
供給者が行なう反対売買の推定時間(日数ベース)、2
50は営業日数である。σは株価時系列から個別の銘柄
毎に得られるから、τを取引量/1日平均出来高として
求めれば、銘柄毎にσinvが計算できる。次に、流動
性供給者は、上記在庫リスクσinvに見合った収益
(これは、投資家にとってはマーケットインパクトその
ものである。)を要求するとの想定の下、その在庫リス
クとマーケットインパクトのトレード・オフ関係が一定
であるとの仮定においては、マーケットインパクトと在
庫リスクの関係は次の式で表現できるとする。 ΔP/P=c・σinv ここで、Pは株価、ΔPは反対売買で生じたPの変化幅
(反対売買の期間差分)であり、ΔP/Pはマーケット
インパクトを意味し、cはマーケットインパクトのトレ
ード・オフ関係を表す定数である。cを推定すれば、全
ての在庫リスク状態σinvに対してマーケットインパ
クトを推定しうる。しかし、この手法を実際に適用する
には、取引量毎の株価変化の時系列データを大量に収集
する必要があるが、実際にはこれら大量の時系列データ
(以下、時系列データを単に「時系列」ともいう。)の
取得自体が容易ではないという問題があった。
【0005】 上述の在庫リスクモデルのように大量の
データを必要とせず、株価のみから簡便に取引コストを
推定する手法としては、「LDVモデル」(「ANew
Estimation of Transactio
n Costs」 David A.Lesmond,
Joseph P.Ogden,Charles A.
Trzcinka共著 “The Review of
Financial Studies Vol.12
/No.5/Winter 1999参照)がある。こ
のLDVモデルによる取引コストの推定方法は、証券価
格モデルとしてマーケットポートフォリオが株価の変動
要因であるとするCAPM(Capital Asse
t Pricing Model)を用い、取引コスト
を取引コスト額の株価に対する比率(取引コスト額/株
価)としてこれを、買付時の取引コスト、売却時の取引
コスト、売買往復の取引コストの別(以下、各コストを
順に「買付コスト」、「売却コスト」、「トータルコス
ト」と言う。)の別に推定するものである(以下、取引
コストという用語は全て取引コスト額の株価に対する比
率で表現されているものとする)。
【0006】 このLDV法を発展させ、CAPMで、
株価変動の説明要因として、市場の株価指数のみならず
当該株価の銘柄固有のパラメータを導入した場合におい
ても、トータルコストを売却コストと買付コストに分離
推定し得る実践的な方法として、発明者による「2段階
推定法」(特願2001−63185)がある。しか
し、この2段階推定法では、そのベースとなる証券価格
モデルで銘柄別株価変動率の説明変数を市場の株価指数
変動率のみとする場合は、取引コストを売却コストと買
付コストに分離推定し得るが、説明変数を複数と仮定す
るモデル(以下、「マルチファクターモデル」とい
う。)を前提とする場合は、取引コストを売却コストと
買付コストに分離推定し得ないという問題点が残った。
【0007】 次に、上述した手法の実務応用面での要
請又は問題として、取引コストの銘柄属性との関連付け
問題がある。銘柄属性とは、業種区分、値嵩/中位/低
位株区分、時価総額、配当状況区分、PBR、出来高、
売買回転率といったその銘柄の特徴を表す指標である。
資産運用業界での株式資産運用は、現在、投資スタイル
別にポートフォリオを構築して運用・管理して、顧客に
資産運用サービスを提供するという形が一般的になって
いる。そのため、資産運用を投資スタイル別の投資信託
の購入や投資顧問会社への運用委託といった形態でおこ
なう場合には、資産を委託する前に、当該ファンドの取
引コストを知るため、銘柄属性と取引コストの関係を知
ることが重要となる。
【0008】 また、実務面で、新規銘柄(上場もしく
は公開から間もない企業の株式をいう。)の扱いの問題
がある。これは、新規銘柄は、株価の時系列データが十
分に得られないため、取引コストはは推定不可能か、又
は推定してもその値が統計的に不安定となるという問題
である。
【0009】 取引コストを銘柄属性と関係付けて推定
する手法としては、取引コストの一要素である気配値ス
プレッドを被説明変数として、取引コストの要因と考え
られる複数の変数により線形回帰分析を行う方法や、取
引コストの要因と考えられる複数の変数を用いて、多段
階にソーティングを行い、分位ポートフォリオを作成し
て、属性と取引コストの関係を推測する手法(以下、
「ソーティングポートフォリオ分析」という。)があ
る。線形回帰分析の文献には、Stollによる“Th
e Supply of dealer servic
es in securities markets”
(Journal of Finance,33、19
78)がある。また、ソーティングポートフォリオ分析
ではAmihudおよびYakov,Haim Men
delsonによる“Asset Pricing a
nd the Bid−Ask Spread”(Jo
urnal of Financial Econom
ics,17,1986)がある。後者では、気配値ス
プレッドの大きさを時価総額と市場感応度による分位ポ
ートフォリオを作り分析した上で、気配値スプレッドの
大きさは市場感応度の大きさと関係し、市場感応度が大
きくなるほど、気配値スプレッドが大きくなるという結
果を報告している。しかし、上記の回帰分析では、トレ
ーディングに関わる摩擦と銘柄属性が単純な線形関係で
ない場合や銘柄属性間に相関がある場合、取引コストと
銘柄属性を表す説明変数との関係を線形回帰で特徴付け
ることは困難であるといった問題がある。さらに、上記
のソーティングポートフォリオを用いた分析では、分位
数の設定は恣意的であり、また、属性変数の数が多いと
組み合わせが膨大になるため、計算負荷が大きいという
問題があった。
【0010】 以上の理由により、上記の回帰分析方
法、ソーティングポートフォリオ分析の方法ともに、こ
れらは、銘柄属性と株式取引コストの関係を投資家に提
供するという視点では、実用に供し得ないものであっ
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点に鑑みてなされたものであり、証券価格モデルがマル
チファクターモデルであってもトータルコストを売却コ
ストと買付コストに分離推定し得、銘柄属性との関連付
けられ、銘柄属性との関連付けられ、また、時系列デー
タが十分に得られない新規銘柄に対しても統計的に安定
した取引コストを推定し得る取引コストの推定方法及び
システムを提供し、且つ、これら方法及びシステムをも
って推定される取引コストに関する情報を実用に供し得
る形で投資家に提供する方法を開発することを目的とし
ている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、本発明は2段階推定法を改良・発展させ
た3段階推定法によって、取引コストを推定し、推定さ
れた取引コストを決定木法により銘柄属性セグメントに
分類して、銘柄属性別の取引コストを推定する。即ち、
証券価格モデルとしてマルチファクターモデルを用いた
場合においても、2段階推定法により推定された銘柄別
のトータルコストを、さらに3段階推定法により買付コ
ストと売却コストに分離し、以ってれる銘柄別のトータ
ルコスト、買付コスト、売却コスト、非対称コスト(買
付コストと売却コストの絶対値差分をいう。)それぞれ
に複数の銘柄属性のカテゴリ値を対応させたデータセッ
トをトータルコスト、非対称コスト(買付コスト、売却
コスト、非対称コスト(以下、取引コストは、これら4
種類のいずれか、もしくは2つ以上の複数の組合わせを
指すものとする。種類別に作成し、取引コストを被説明
変数の値、銘柄属性の値を説明変数の値に定義して、各
データセットに決定木法を適用することにより、取引コ
ストの違いによって特徴づけられた各銘柄を銘柄属性の
リーフセグメント別に分類し、これを平均することによ
り、銘柄属性のカテゴリ値の組合わせであるリーフセグ
メント別にコスト値の平均値を得、これら種類別の平均
値をもって銘柄属性のリーフセグメントに属する銘柄の
取引コストの推定値とすることを特徴とする。
【0013】 上記2段階推定法は、以下の手順
(i)、(ii)、(iii)、(iv)から成り、こ
れを実行すればよい。 (i)株式の特定の銘柄jの株価の変動率R(t)の
時系列データを取得し、当該銘柄を含む株価指数の変動
率R(t)の時系列データを取得し、当該銘柄の期待
株式収益率R (t)(収益率とはここでは日次の株
価の変動率をいい、以下、同様の定義で用いる。)を、
銘柄の個別要因であるαjを含むR (t)=β
(t)+α+ε(t)(ただし、ε(t)はホ
ワイトノイズ)にて定義する。 (ii)株式の特定の銘柄jの株価の変動率R(t)
の時系列データの値を、負値を示す第1の状態、零値を
示す第2の状態および正値を示す第3の状態に分類し、
当該状態ごとに、該当する場合に零でない値を与え、そ
の一方、該当しない場合に零値をとるように作成された
二値の状態変数時系列y1(t)、y2(t)およびy
3(t)を得て、これら状態変数時系列に基づき、次式
の尤度関数L1を最大にするα、β、α、β
、Cを求める。 L1=Πt=1…TP1(t)y1(t)(C1×P1
(t)+C3×P3(t))y2(t)P3(t)
y3(t) ここで、 P1(t)=exp(R(t)β+α)/(1+
C1){exp(R(t)β+α)+exp(R
(t)β+α)} P3(t)=exp(R(t)β+α)/{(1+
C3){exp(R(t)β+α)+exp(R
(t)β+α)} 求められたα及びβ、α、βに基づき、R
(t)が正値と推定される確率p1(t)、および、
(t)が負値と推定される確率P3(t)を、 P1(t)=exp(R(t)β+α)/(ex
p(R(t)β+α)+exp(R(t)β
α)) P3(t)=exp(R(t)β+α)/(ex
p(R(t)β+α)+Σexp(R(t)β
+α)) にしたがって求め、p1(t)=P3(t)=0.
5を与えるR(t)から、前記R (t)の符号を
分離すると推定される当該銘柄を含む株価指数の変動率
(t)の時系列データに属するR を算出する。
(iii)次式の対数尤度関数lnL2を最大化するα
1j、α2jおよびβを算出する。 lnL2=Σln{1/(2πσj1/2}−Σ
{R(t)+α1j−β(t)}/(2σ
)+Σln{1/(2πσj1/2}−Σ
{R(t)+α2j−β(t)}/(2σj
)+Σln(Φj2−Φj1) ここで Φj1=Φ((α1j−β(t))/σj) Φj2=Φ((α2j−β(t))/σj) Φ:標準正規分布関数 Σ:iは以下に定義された株式の特定の銘柄jの株価
の変動率R(t)の状態 i=1:R(t)<R ∩R(t)≠0 i=2:R(t)=0 i=3:R(t)≧R ∩R(t)≠0 (iv)(ii)及び(iii)で得られたα1j及び
α2j、βj、R を用いて、売却取引コストをα
1j−β 、買付取引コストをα2j−β
として得る。
【0018】 また、上記3段階推定法は、以下に詳述
する手順(v)、(vi)、(vii)、(viii)
から成る。 (v)上記の手順(i)において当該銘柄を含む株価指
数の変動率R(t)とβによりあらわされるβ・R
(t)を各々が変動率データである変数Fn(t)
と、その係数Enjf線形結合であるΣEnjf・Fn
(t)であると定義して、上記の手順(i)を適用す
る。 (vi)上記の手順(ii)において当該銘柄を含む株
価指数の変動率R(t)とβによりあらわされるβ
・R(t)を、各々が変動率データである変数Fn
(t)と、その係数Dnjf1の線形結合であるΣD
jf1・Fn(t)で定義して、同様に、当該銘柄
を含む株価指数の変動率R(t)とβによりあらわ
されるβ・R(t)を、各々が変動率データである
変数Fn(t)とその係数Dnjf3の線形結合であ
るΣDnjf3・Fn(t)で定義して、上記の手順
(ii)を適用する。 (vii)上記の手順(iii)において、当該銘柄を
含む株価指数の変動率R(t)とβによりあらわさ
れるβ・Rm(t)が、各々が変動率データである変
数Fn(t)と、その係数Enjfの線形結合である
(t)=ΣEnjf・Fn(t)で定義して、上
記の手順(iii)を適用する。 (viii)前記の手順(vii)において推定された
係数Enjfと各々が変動率データである変数Fn
(t)の線形結合であるZ(t)=ΣEnjf・F
(t)を新たな軸とし,被説明変数を株価変動の状
態,説明変数をZ(t)とする線型モデルを考え,再
度、Z(t)を当該銘柄を含む株価指数の変動率R
(t)として与えたときの上記の手順(ii)による処
理を実行し、P1(t)=P3(t)=0.5を与
えるZ(t)をP1(t)=exp(R(t)β
+α)/((exp(R(t)β+α)+e
xp(R(t)β+α))から求め、売却時の取
引コストをα1j−Z(t)、買付時取引コストをα
2j−Z(t)として推定する。
【0015】 上記のクロスバリデーション法は、上記
の2段階推定法の手順(i)、もしくは上記の3段階推
定法の手順(v)において、株式の特定の銘柄jの株価
の変動率R(t)の時系列データの取得、及び当該銘
柄を含む株価指数の変動率R(t)の時系列データの
取得を時点tに関してランダムにサンプリングして、手
順(i)から(iv)、もしくは手順(v)から(vi
ii)を繰り返し、取引コストの推定値を複数個得て、
その平均値を推定値とする方法である。
【0016】 取引コストに対する推定値の統計的検定
は、上記のクロスバリデーション法によって得られた値
の分布から、推定値の信頼区間を検証することでその統
計的検定とする。
【0017】 次に、上記決定木法は、そのアルゴリズ
ムとしてC4.5を用いる(「C4.5:PROGRA
MS FOR MACHINE LEARNING」、
J.Ross Quinlan著、Morgan Ka
ufmann Publishers,Inc、199
3年参照)。以下、決定木生成の手順を詳述するにあた
って、記号を定義する。取引コストを推定する対象とな
る個々の銘柄のコストをその値の昇順にn個のクラスに
等分割したときのクラスをS(c=1,・・・,N、
Nは総クラス数の初期値)とし、Sの集合をSとす
る。また、銘柄jの属性hを表す変数をAjh(h=
1、・・・、m)とする。そしてSの属性hの値とし
て、Sに属する銘柄の当該属性値の平均値として与
え、Sの集合Sの中で、その平均値で分位し、分位に
応じて順序データASchを与える。そして、この属性
値ASchの値によってSをk(k=1、・・・K)個
に分割させるための決定木の分枝基準を次式gain
(x)を最大にする分割xを求める利得基準として与え
る。
【0018】
【数1】
【0019】 また、分割を終了する基準として最低の
基準となる利得又は事例数を適当な値として設定する。
【0020】 以下、決定木生成の手順は以下の通りで
ある。 総クラス数がNになるようにクラスSに分類し、ク
ラスの説明属性値ASchを含む集合Sを決定する。 全ての説明属性について、分割後の利得を計算する。 利得が最大の分割説明属性により、集合Sを分割す
る。 分割後の集合Sに対して、上記及びを繰返す。 分割後の集合Sのすべての利得又は事例数が適当に設
定された値以下のとき、分割を終了する。
【0021】 また、前記手順において分割後の集合S
は少なくともある数以上事例数を含むことを分割の条件
とする。そして、銘柄属性ごとのコストの推計値は、決
定木で作成される最終のリーフセグメントに含まれる銘
柄を特定し、そのコストの平均値として与えられる。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の中心部分である
取引コストの推定を行う取引コスト推定システムの処理
フローを示すブロックダイヤグラムである。以下、図1
に沿って、このシステムの構成とその作動を代表的な実
施形態に関してまず説明する。
【0023】 取引コスト推定システム(1)は、銘柄
別株価の時系列を変動率に変換した株価変動率の時系列
{Rjt;j=1,2,‥,n,t=1,2,‥,T}
を収容した株価変動率時系列収容部(2)と、株価指数
を変動率に変換した指数変動率の時系列{Rmt;t=
1,2,‥,T}並びに株価変動の第二のファクターと
するHMLファクターの時系列{HML;t=1,
2,‥,T}及びSMBファクターの時系列{SMB
t;t=1,2,‥,T}を収容した変動要因時系列デ
ータ収容部(3)と、銘柄別の銘柄属性のカテゴリデー
タ{H;j=1,2,‥,n}、を収容した銘柄属性
データ収容部(4)と、最尤法により、期待収益率(真
の収益率)が正、負いづれのの状態にあるかを推定する
期待収益率状態推定部(5)と、3段階推定法により取
引コストを推定する取引コスト推定部(6)と、得られ
た取引コストを決定木法を用いてリーフセグメント別に
分類してリーフセグメント別平均取引コスト{C;k
=1,2,‥,K}、を得るセグメント別取引コスト推
定部(7)と、リーフセグメント別平均取引コストをリ
ーフセグメント別該当銘柄集合{NAMEk;k=1,
2,‥,K}と共に記憶する結果収容部(8)とを備え
ている。
【0024】 まず、上記株価変動率時系列収容部
(2)には、株価変動率の時系列{Rjt;j=1,
2,‥,n,t=1,2,‥,T}を、図2の(a)に
示すように、日付、銘柄名と株価変動率をフィールドと
した日次レコードデータのファイルにして収容する。こ
こで、銘柄jの株価変動率Rjtは、当該銘柄のt時点
の終値をPjtとして次の式(1)により計算する。 Rjt=logPjt−logPjt−1 ・・・(1) 対象とする銘柄は、市場が日本である場合は、東証一
部、同二部、又は店頭の全て又はその一部となるが、可
能な限り下記に説明の株価指数のカバー範囲と一致させ
ることが望ましい。
【0025】 変動要因時系列データ収容部(3)に
は、指数変動率の時系列{Rmt;t=1,2,‥,
T}、並びにHMLファクターの時系列{HMLt;t
=1,2,‥,T}とSMBファクターの時系列{SM
;t=1,2,‥,T}を、図2の(b)に示すよ
うに、日付とこれら要因の記号名をフィールドとした日
次レコードデータのファイルにして収容する。指数変動
率は考える証券価格モデルの第一ファクターとして採用
するものであり、HMLファクターとSMBファクター
は第二ファクターとして採用するのが望ましい変量であ
る。ここで、指数変動率Fn1(t)の時系列は、元株
価指数の時系列Pmtより次式(2)により変換したも
のとする。 Fn(t)=logPmt−logPmt−1 ・・・(2) 式(2)で、Pmt−1はPmtの1日タイムラグ値を
表し、logは対数(常用対数又は自然対数)を示す。
元株価指数Pmtとしては、市場が日本である場合は、
通常、TOPIX指数(終値ベース)を採用する。
【0026】 HMLファクターの時系列、SMBファ
クターの時系列は、以下の手順に従って作成されてい
る。即ち、 (a)対象とする全銘柄を、毎年ある時点(通常は9月
末時点、以下同じ。)で、各銘柄の株価純資産倍率(以
下「PBR」という。)の大きさにより3分割する。こ
のときの3分割した各グループに属する銘柄の数の比率
はこれを3:4:3とし、PBRの低いグループから順
にそれぞれH、M、Lと命名する。 (b)同様に、毎年ある時点で、対象とする全銘柄の数
を時価総額の大きさの順でその比率が1:1になるよう
2分割し、分割した二つのグループで時価総額の低い方
をS、高い方をBと命名する。 (c)上記銘柄のグループH、M、LとS、Bの積集合
から形成される6つの銘柄グループを、HB(HとBの
積集合)、HS(HとSの積集合)、LB(LとBの積
集合)、LS(LとSの積集合)、MB(MとBの積集
合)、MS(MとSの積集合)として作成する。 (d)上記6つのグループ毎、グループに属する銘柄の
上記ある時点以降1年間の株価変動率Rjtに当該銘柄
のグループ内での時価総額比率を掛け合わせて、それら
の平均値を計算することで、加重平均変動率を算出す
る。 (e)時系列データHMLファクターは、HB、HSの
変動率の和からLB、LSの変動率の和を差し引いたも
の、SMBファクターは、HS、MS、LSの変動率の
和からHB,MB,LBの収益率の和を差し引いたもの
として計算する。以下、HMLのt時点の値をFn
(t)、SMBのt時点の値をFn(t)と表記す
る)。
【0027】 銘柄属性データ収容部(4)には、個別
銘柄の属性を表す変数であり、且つ、取引コストの大き
さに影響を与えると思われるデータを日付、個々の銘柄
と関連付けて格納する。
【0028】 期待収益率状態推定部(5)では、上記
の手順(vi)により、個別の銘柄の期待収益率の状態
推定が実行されるようプログラムする。前提として、銘
柄jのt時点における期待収益率R jtは、次式
(5)により計算できるものと仮定する。 R jt=ΣEnjf・Fn(t)+a0j+εjt・・・(5) ここで、tは時点(日次)、fはファクター番号を示
し、Fn(t)は変動要因時系列データ収容部(3)
から取り出されるt時点のファクター、Enjfは当該
銘柄のf番目のファクターに対する感応度係数である。
また、a0jは、銘柄の固有変動、εjtは正規分布に
従うホワイトノイズである。そして、真の収益率R
jtの値が正であるか或いは負であるかを、Fn
(t)、Fn(t)、Fn(t)の値によって判
別するため以下の手順(「Restore−MLE」又
は「Restore−MLEの手順」という。)を適用
する。(i)株価変動率Rjtが負の値をとるときを
「状態1」、「0」のときを「状態2」、正の値のとき
を「状態3」とし、t時点でのRjtが、状態1、状態
2、状態3に入る確率を、それぞれ、P1t、P2t
3tとする。これらは各々独立であり、それぞれの状
態に入った場合に「1」、入らなかった場合に「0」を
とる二値変数を、それぞれ、y1、y2、y3とすれ
ば、尤度関数Lは次式(6)のように表される。 L=Π0,・・・,T1t y1t2t y2t3t y3t・・・(6 ) さて、株価変動率が「0」となるとき、式(5)に従う
真のリターンR jtは、状態1或いは状態3に一定の
割合で属すると考え、定数C1、C3を用いて、P2t
=C1t+C3tとする。この仮定の下、次の
尤度関数Lの展開式(7)を
【数1】を条件として最大化することにより、パラメー
タα、Dnjf(f=1,2,3)、C1、C3を求め
る。 L=Πt=0,・・・,T1t y1t(C1t+C3t)P3t3t ・・・(7)
【0031】
【数2】
【0032】 なお、実際の推定では、Bの要素、α
はすべて0として、基準化されたBの要素、及びα
を推定する。
【0033】 以上のようにして、期待収益率状態推定
部(5)では、B3の要素であるパラメータDnjf3
(f=1,2,3)及びC、C、αが求められ
る。ここで、P1tは、t時点の株価変動率が「状態
1」に属する確率であるから、期待収益率の「状態1」
に属する確率P 1tを求めるには、「0リターン」
(株価変動率が0であること)についても考慮する必要
がある。同様に、P3tは、t時点の株価変動率が「状
態3」に属する確率であるから、期待収益率の「状態
3」に属する確率P 3tを求めるにあたっても、「0
リターン」(株価変動率が0であること)について考慮
する必要がある。結局、推定されたパラメータC、C
を用いて、P1t及びP3tをそれぞれ(1+C
倍、(1+C)倍することでP 1t、P 3tを求
め得るので、以下の
【数3】により期待収益率が「状態1」及び「状態3」
に属する確率が推定される。
【0034】
【数3】
【0035】 取引コスト推定部(6)においては、取
引コストを株価に対する収益率(取引コスト額/株価)
として推定する。推定方法は、発明者による出願特許
(特願2001−63185)による2段階推定法であ
る。ここでは、上記の期待収益率状態推定部(5)の状
態確率を用いて算出される。具体的には、P>P
3tかつRjtが0でないときに「状態1」、Rjt
が0のとき「状態2」、P<P 3tかつRjt
かつRjtが0でないときに「状態3」とし、
【数4】の対数尤度関数lnLを最大化することでパラ
メータを求める。求められるパラメータはEnj1、E
j2、Enj3、a1j、a2j、σである。
【0036】
【数4】
【0037】 取引コスト推定部(6)では、そこで推
定されたEnjfを用いて計算されたZ(t)=ΣE
jf・Fn(t)を変動要因時系列データの第1番
目の系列であるFn(t)として、再定義する。この
Fn(t)の時系列データは、再度、期待収益率状態
推定部(5)に取り出され、Bの要素及びBの要素
であるパラメータがそれぞれ1個であるとして、Dn
jf3(f=1)、Dnjf3(f=1)が推定され
る。推定方法は、上記で詳述された方法と同じである。
【0038】 ここで再度、期待収益率状態推定部
(5)で推定されたパラメータα3は、取引コスト推定
部(6)に取り出され、取引コスト推定部(6)で推定
された上記a1j、a2jを用いて計算されるa1j
α、a2j+α、a2j−a1jそれぞれを売却コ
ストa 1j、、買付コストa 2j、トータルコスト
TCjとして計算する。つまり、期待収益率状態推定部
(5)から取引コスト推定部(6)、そして再度、取引
コスト推定部で推定された変動要因時系列データに対す
る感応度パラメータを既知として期待収益率状態推定部
(5)で状態を推定し、取引コスト推定部(6)に期待
収益率状態推定部(5)の推定パラメータを引き渡すこ
とで、3段階推定法が実現される。
【0039】 上記の3段階推定法は、株価変動率時系
列収容部(2)と変動要因時系列データ収容部(3)に
格納されている株価変動率と変動要因データを日付で関
連付けてランダムに取得されたデータに対して適用され
る。そして、この手続きを複数回繰り返し、推定された
取引コストを平均することで、その推定値として与え
る。
【0040】 次にセグメント別取引コスト推定部
(7)に移り、ここでは、上記売却取引コスト
1j 、買付取引コストa 2j 、及びトータル取引
コストTCを銘柄属性データに関連付けて情報量利得
基準の決定木法を適用し、全銘柄を各々の取引コストの
近似度合で分別した銘柄の集合(「リーフセグメン
ト」、又は単に「セグメント」という。)を得て、その
リーフセグメント内の銘柄の各取引コストを平均するこ
とにより、セグメント別の4の取引コストを算出する。
具体的には、まず、取引コストを整数値区分して銘柄別
のカテゴリデータSを作成し、銘柄属性データ収容部
(4)より各銘柄の時価総額、売買金額、PBRなど説
明属性のカテゴリデータセットAjh(h=1、・・
・、m)とカテゴリデータSを銘柄番号jに関連付け
る。そして上記整数値区分されたカテゴリデータの属性
値を、カテゴリー内の属性変数のAjhの分位によって
与えられる順序データASchで与え、決定木の事例デ
ータをセットする。そして、決定木事例データセット
に、課題を解決するための手段で説明した情報量利得基
準の決定木法のアルゴリズムを適用する。分枝での最小
情報量利得又は事例数を適当に設定すれば、同アルゴリ
ズムにより自動的に事例データセットの分割が繰り返さ
れて、最終的に、リーフセグメント別の銘柄集合{NA
ME;k=1,2,‥,K}が得られる。そして、各
セグメントに属する銘柄の取引コストをその銘柄の数で
除してセグメント別平均取引コストを計算する。又は、
時価総額で加垂平均してもよい。以上の手順を売却コス
ト、買付コスト、トータルコスト及び非対称コストに関
し実行し、4取引コスト種類別のセグメント別平均取引
コスト{Cfk;f=1,2,3,k=1,2,‥,
K}の計算値を得て、これを結果収容部(8)に記憶す
る。
【0041】 結果収容部(8)では、上記セグメント
別平均取引コストのみならず、セグメント別銘柄番号セ
ット{NAME;k=1,2,‥,K}も共に記憶し
ておく。
【0042】 以下、上記代表的な実施の形態以外のそ
の他の実施の形態について述べる。
【0043】 まず、上記代表的な実施の形態において
前提とした証券価格モデル式(5)で、そのファクター
は、株価指数の指数変動率Rmt、HMLファクターH
MLt、SMBファクターSMBtとしたが、この前提
とする証券価格モデルが変れば、当然、変動要因時系列
収容部(3)に収容する時系列データも変ってくる。具
体的には、株価指数TOPIXの代りに、その対象とす
る銘柄範囲によっては、日経225指数を用いてもよい
し、第二ファクター以下のファクターも、HMLやSM
Bの概念とは異なる債券先物指数、商品市場指数、円の
対米ドル為替レートなどを用いてもよい。また、これら
に限定されず採用する証券価格モデルに応じた適切なフ
ァクターの時系列を変動要因時系列収容部(3)に収容
すればよい。
【0044】 また、上記代表的な実施の形態において
は、株価の変動率時系列は終値日次ベースの株価時系列
を式(1)により対数変換した値を使用しているが、こ
れに限定されず、パーセンテージによる変動率などを利
用してよいことは言うまでもない。また、終値、日次ベ
ースもこれに限定されるものではなく、前場・後場の終
値とこれに対応する市場開所時間などをベースとした時
系列を採用し、その変動率としてもよい。
【0045】 セグメント別取引コスト推定部(7)に
使用する決定木法は、上記の情報量利得基準のアルゴリ
ズムでなくとも、カイ二乗基準又はR2基準の分枝アル
ゴリズムでもよい。被説明属性と説明属性を持つ事例の
集合(事例集合)を説明属性の値(カテゴリ)の組み合
せに従い分割するとき、その分割で得られる被説明属性
のある統計量が被説明属性を分別するのに最も有効な説
明属性を選んで当該事例集合を分割し、こうして分割さ
れた事例集合にも同じ操作を繰り返して事例集合の樹状
の分枝を作り、分枝させた事例集合の別のある統計量が
設定した基準を満たさなくなるときその分枝の操作を終
了し、最終的に説明属性の値(カテゴリ)の組み合せに
より分割された分枝事例集合を得る方法のアルゴリズム
でありさえすればよい。
【0046】 また、上記代表的な実施の形態において
は、決定木法を適用するときの説明属性として、時価総
額、PBR、回転率を例示したが、他に、出来高、発行
株式総数、その銘柄の市場感応度、その株価の標準偏差
や分散などを用いてもよい。また、被説明属性として、
トータルコストを用いているが、これを買付コストと売
却コストの差としてもよい。
【0047】 次に、本取引コスト推定システムを実現
させるコンピュータの構成と作動について説明する。
【0048】 本取引コスト推定システム(1)は、例
えば、パーソナルコンピュータによっても実現できる。
図3は、そのためのパーソナルコンピュータ(9)の構
成の一例を示したものであって、CPU(10)、RA
M(11)、ROM(12)、外部記憶装置(13)、
CD−ROM、MO又はテープ等の可搬記憶媒体(1
7)をアクセスする可搬記憶媒体ドライバ(14)、キ
ーポードやマウスなどの入力装置(15)、及び表示装
置(16)から成る。
【0049】 取引コスト推定システムの処理プログラ
ムは、例えば、CD−ROM等の可搬記憶媒体(17)
に記憶し、これを可搬記憶媒体ドライバ(14)により
読み出し、CPU(10)により実行する。勿論、通信
回線(図示せず)を介して外部よりダウンロードし、実
行してもよい。本取引コスト推定システム(1)を構成
する株価変動率時系列収容部(2)、変動要因時系列デ
ータ収容部(3)、銘柄属性データ収容部(4)及び結
果収容部(8)に収容されるファイルは、物理的には、
ハードディスクなど外部記憶装置(13)に記憶する。
当該外部記憶装置(13)はこれらファイルを収容する
に十分な容量を有するものとして構成する。なお、ま
た、上記ファイルのデータは、外部記憶装置(13)に
記憶する外、株価変動率や指数変動率のデータ又はその
元データは、通信回線を介して外部から取得してもよ
い。
【0050】 外部記憶装置(13)に記憶されるセグ
メント別平均取引コストとセグメント別該当銘柄集合の
結果データは、随時、読み出し表示装置(16)に表示
する外、可搬記憶媒体ドライバ(14)を介してMOや
テープなど可搬記憶媒体(17)に記憶し、供給されて
もよい。さらに、サーバが本取引コスト推定システムを
実現する装置として機能し、インターネットなどを介し
たコマンドにしたがって、処理プログラムを実行して、
結果データを供給するように構成してもよい。
【0051】 なお、以上説明において、一つの機能
が、二つ以上の物理的手段により実現されても、若しく
は、二つ以上の機能が、一つの物理的手段により実現さ
れてもよいことは言うまでもない。
【0052】 最後に、取引コスト推定システムの実現
により得られる結果の利用形態について説明する。
【0053】 株式の銘柄別の取引コストの値を知るこ
とは、当初述べたように株式投資家にとって非常に重要
である。投資家がある銘柄の買付を予定する場合におい
て、投資家が期待するその銘柄の予想収益率がプラスで
あっても、その銘柄の買付取引コストがその予想収益率
を上回る時は当該銘柄の買付の実施を見送ることが合理
的な判断であり、逆に、予想収益率がプラスであって、
その銘柄の買付取引コストがその予想収益率を下回ると
きは、当該銘柄の買付を実施することが合理的な判断で
ある。
【0054】 株式の売却の場合は、保有ポートフォリ
オとの関係で単純ではないが、少なくとも、売却を予定
する銘柄について、その予想収益率がプラスであり、当
該銘柄の売却取引コストがその予想収益率を下回るとき
は売却を実施するのが合理的な判断である。
【0055】 また、投資家がある銘柄についてそれを
ポートフォリオに組み入れることを検討する場合におい
て、投資家が期待するその銘柄の予想収益率がプラスで
あっても、その銘柄のトータルコストがその予想収益率
を上回る場合は、その銘柄のポートフォリオ組み入れは
検討の対象から外すことが合理的な判断であり、逆に、
予想収益率がプラスであって、その銘柄のトータルコス
トがその予想収益率を下回るときは、その銘柄のポート
フォリオ組み入れを積極的に検討の対象とすることが合
理的な判断である。
【0056】 以上の合理的な判断に必要な4種類の取
引コストはセグメント別平均取引コストとして結果収納
部(8)に収納されているので、銘柄を指定されれば、
その銘柄の属するセグメントの平均取引コストをその銘
柄の取引コスト推定値として提供する。当該取引コスト
推定値は、銘柄属性に基づきグルーピングされたセグメ
ントでの平均値であるので、その値は、統計的に安定的
となり、上記判断に充分資することができる。また、取
引コストの推定が不可能な又は不安定となる新規銘柄に
対しても、その銘柄属性が同一であるセグメントの平均
取引コストを援用することにより上記判断に供すること
ができる。
【0057】 次に、投資スタイル別の株式投資信託の
購入や株式資産の運用委託を行う形態の投資家などに対
して、その株式投資信託又は株式資産全体の取引コスト
を提供することも本発明の実施の一つの形態である。そ
の資産を構成する銘柄に対応する又は近似できるセグメ
ントの平均取引コスト、又はこれらを銘柄の資産ウエイ
トで加重した当該資産全体の取引コストの推定値を提供
すればよい。また、直の対応や近似が難しければ、銘柄
が属するセグメントの平均取引コストをその銘柄の資産
ウエイトで加重して当該資産全体の取引コストを推定し
これを提供すればよい。若しくは、取引コスト推定部
(6)で得る個別の銘柄別の3種類取引コストをその資
産を構成する銘柄分集計して、又は銘柄別資産ウエイト
で加重平均してこれらを提供すればよい。
【0058】 以上のような投資家に対する取引コスト
の情報提供の形態は、口頭、電話、ドキュメント、磁気
記録媒体、又は通信媒体を問わない。また、その範囲
も、個別銘柄毎、又はセグメント毎、若しくは全銘柄を
問わない。また、情報提供内容も、取引コスト、銘柄属
性、本システムにより得られる諸パラメータ及び時系列
の全ての組み合せ(「関連情報」という。)を提供の対
象とすることができる。さらに、これら結果など数値情
報の外に、上記のような判断に関する情報の提供又は判
断の推奨も、本発明ではその実施の対象とできる。
【0059】
【実施例】 代表的な実施の形態に記載の実施形態によ
り、東証一部銘柄を中心とした銘柄の株式売買の取引コ
ストを推定した。対象銘柄は、1996年1月4日から
2001年5月31日までの間(以下、「観測期間」と
いう。)東証1部株価指数(TOPIX)に継続的に採
用されていた1160銘柄から取引が東京市場中心でな
いと思われる銘柄とPBR水準が5を超える銘柄を除い
た1056銘柄である。これら対象銘柄の株価の日次変
動率を、観測期間分、株価変動率時系列収容部(2)の
ファイルに記憶した。観測期間分の日次TOPIX指数
の変動率並びに上記作成方法になるHMLファクターと
SMBファクターの各日次時系列を変動要因時系列デー
タ収容部(3)のファイルに収容した。次に、銘柄属性
データ収容部(4)には、次の基準になる対象銘柄の銘
柄別時価総額、売買回転率、売買金額、及びPBRの5
分位順序数を銘柄番号に対応させて収納した。 (イ)時価総額:2001年5月31日現在のもの (ロ)売買回転率:2001年5月中の売買金額のメジ
アン値を2001年5月31日の時価で割ったもの (ハ)売買金額:2001年5月中のメジアン値 (二)PBR:2001年5月31日現在のもの 時価総額について言えば、2001年5月31日現在の
銘柄別時価総額を昇順に並べて5分位し、値の小さいも
のから1から5の順序数を銘柄が属する分位に応じて与
え、これを属性値とした。他も同様である。
【0060】 以上の準備をもって期待収益率状態推定
部(5)、取引コスト推定部(6)、セグメント別取引
コスト推定部(7)を作動させ、結果収容部(8)にリ
ーフセグメント別の4種類の取引コストを格納した。そ
のうち、トータルコストに関する決定木法での分枝状況
とリーフセグメント別取引コストの結果は図4のようで
ある。同図で、記号Nは分枝ノード、Averageは
分枝ノード内のサンプル数と平均取引コストを示す。ま
た、図の分枝ノードの上下にある属性名と数は、分岐に
おいて最も大きい情報量利得を得た属性と有効な分岐カ
テゴリ(5分位順序数)である。結果、1056の銘柄
は、情報量利得基準の決定木法により8つのリーフセグ
メントに分解され、各リーフセグメント別のトータルコ
スト平均値は、0.0181から0.0372の範囲に
分解された。
【0061】 図4で、各リーフセグメントの時価総額
区分とトータルコスト平均値の関係をみると、概ね、時
価総額が大きいほどトータルコストは小さいという関係
が見てとれる。また、時価総額の小さいセグメントで
は、低PBR銘柄のトータルコストよりも高PBR銘柄
のトータルコストが高いことがわかる。時価総額が低く
又は高PBRの銘柄群は一般的に高ベータ株であること
が知られており、先行研究であるAmihudおよびY
akov,Haim Mendelsonによる“As
set Pricing and the Bid−A
skSpread”(Journal of Fina
ncial Economics,17,1986)で
の高ベータ株ほど気配値スプレッドが大きくなるという
報告と整合した結果であった。
【0062】 図5は、時価総額区分とPBR区分で2
段ソーティングした銘柄グループ毎のファクターの係数
(感応度パラメータ)の平均値を計算したものである。
時価総額、PBRの欄の数字は、カテゴリ(順序数)を
示す。時価総額が小さく、高PBRの銘柄グループの感
応度パラメータの平均値の方が、他より相対的に大きい
値であるが、これは、上記の時価総額が低く又は高PB
Rの銘柄群は一般的に高ベータ株であるという認識と整
合的であることを示しており、本実施例の結果が妥当な
ものであることを示唆している。
【0063】
【発明の効果】本発明は以上のような方法及びシステム
であるので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0064】 本発明で三段階推定法を開発したことに
より、マルチアクターの証券価格モデルにおいても、取
引コストを、買付コストと売却コストとに分離して推定
することが可能となった。即ち、既存方法であるRes
tore−MLEの手順に開発した二段階推定法を組み
合せることにより、ある銘柄の株価は市場全体要因のみ
ならず銘柄固有の要因を反映して変動するという現実的
なモデル構造を前提として、上記取引コストが推定でき
るようになった。
【0065】 決定木法を適用し、推定した取引コスト
をその銘柄属性によりグループ化することにより、統計
的に安定した取引コストの推定値を得ることができ、ま
た、時価総額区分やPBR区分など銘柄属性と関連付け
られた実務上理解し易い取引コストの推定及びその関係
情報の提供が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態に係る取引コスト推定システム
の処理フロー例を示すブロックダイヤグラムである。
【図2】 本実施の形態に係る株価変動率時系列収容部
に収容される株価変動率時系列のファイル(a)、並び
に、変動要因時系列データ収容部に収容される指数変動
率とHMLファクターとSMBファクターの各時系列の
ファイル(b)状態を示す図である。
【図3】 本実施の形態に係る取引コスト推定システム
のハードウエアの構成例を示す図である。
【図4】 本実施例に係るトータルコストに関する決定
木法での分枝状況とリーフセグメント別取引コストの結
果を示す図である。
【図5】 本実施例に係る時価総額区分とPBR区分で
2段ソーティングした銘柄グループ毎のファクターの係
数(感応度パラメータ)の平均値の計算結果を示すもの
である。
【符号の説明】
1 取引コスト推定システム 2 株価変動率時系列収容部 3 変動要因時系列データ収容部 4 銘柄属性データ収容部 5 期待収益率状態推定部 6 取引コスト推定部 7 セグメント別取引コスト推定部 8 結果収容部 9 パーソナルコンピュータ 10 CPU 11 RAM 12 ROM 13 外部記憶装置 14 可搬記憶媒体ドライバ 15 入力装置 16 表示装置 17 可搬記憶媒体

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対象とする株式の銘柄{j=1,2,
    ‥,N、Nは銘柄数}に関する株価変動率R(t)の
    時系列(t=1,2,‥,T、Tは時点数、以下同
    じ。)と、対象銘柄を代表する株価指数の変動率Fn
    (t)の時系列を含む株価変動に関係する複数の変動要
    因(「変動要因」という。)Fn(t)(f=1,
    2,‥,p、pは1以上の整数)の時系列とを取得し、
    以下の手順: (i)銘柄jの株価変動率R(t)の時系列から、株
    価変動率R(t)が負値を示す状態1、零値を示す状
    態2及び正値を示す状態3に分類し、当該3つの状態毎
    に、該当する場合は非零の値を与え、該当しない場合に
    は零値を与えるように作成した二値をとる状態変数y1
    (t)、y2(t)及びy3(t)の時系列を計算し、
    (ii)銘柄jの真の収益率R (t)は複数の変動
    Fn(t)と当該銘柄の銘柄固有のパラメータa0j
    と正規分布に従う確率変数ε(t)により、次の式
    (5)に示す価格モデルにより表現されると仮定し、 R (t)=ΣEnjf・Fn(t)+a0j+ε(t)・・・(5) 但し、Enjfは係数 P1(t)、P2(t)、P3(t)は、それぞれ、t
    時点での株価変動率R(t)が、状態1、状態2、状
    態3に入る確率とし、C1、C3を定数として、次の式
    (7)に示す尤度関数Lを式(8)及び(9)の条件の
    下で最大化することにより、係数α、α、Dnjf
    (f=1,2,3)、C1、C3を推定し(但し、B3
    の要素αは、B1の要素αを0とした基準化された
    場合の値とする) L=Πt=0,・・・,T(t)y1(t)(C1P(t)+C3P (t))P(t)y3(t)・・・(7) 【数2】 (iii)次に、上記手順(ii)で得た係数Dn
    jf3(f=1,2,3)、C1、C3、α、及び3
    つの時系列Fn(t)、Fn(t)、Fn(t)
    を次の式(10)と(11)に与えて、期待収益率R
    (t)が状態1に属する確率P (t)及び状態3
    に属する確率P (t)を計算し、 【数4】 (iv)上記手順(iii)で得た生起確率P
    (t)、P (t)を用い、P (t)>P
    (t)且つR(t)が0でないときに状態1とし、
    (t)が0のときを状態2、P (t)<P
    (t)且つR(t)が0でないときを状態3とし、次
    の数式4に示す対数尤度関数lnLを最大化して、係数
    Enj1、Enj2、Enj3、a1j、a2j、σ
    を推定し、 【数3】 (v)上記手順(iv)で推定された係数Enjf(f
    =1,2,3)を用いて、第2の変動時系列Z(t)
    をZ(t)=ΣEnjf・Fn(t)(Σはfに関
    する和)として計算し、当該第2の変動時系列Z
    (t)を前記式(5)でのFn(t)として、手順
    (ii)を再度実行し(但し、B1及びB3の要素は各
    1であるとする)、係数α、α、Dnjf3、Dn
    jf3(但し、ともにf=1)を推定し、(vi)同様
    に再度手順(iii)を実行することにより、係数
    α、Enj1、Enj2、Enj3、a1j
    2j、σを得、このうちα、a1j、a2jをも
    って、a 1j=a1j+α、a 2j=a2j+α
    、TC=a2j−a1j及びNS=|a2j|−
    |a1j|を計算し、a 1jを売却時の取引コスト
    (売却コスト)、a 2jを買付時の取引コスト(買付
    コスト)、TCjを売買往復の取引コスト(トータルコ
    スト)、NSを非対称取引コスト(非対称コスト)と
    する、の処理を実行して、売却コスト、買付コスト、ト
    ータルコスト及び非対称コストの4つの取引コストにつ
    いて、銘柄別にその全部又はその一部を得るすることを
    特徴とする3段階推定法による株式取引コストの推定方
    法。
  2. 【請求項2】 上記対象とする株式の銘柄(以下、「対
    象銘柄」という。)は少なくとも東証1部上場の複数の
    銘柄を含み、上記株価指数は当該対象銘柄の株価をその
    株式時価総額で加重することにより作成できる株価指
    数、又はTOPIX指数であることを特徴とする請求項
    1に記載の3段階推定法による株式取引コストの推定方
    法。
  3. 【請求項3】 HMLファクターの時系列とSMBファ
    クターの時系列を、以下の手順: (a)対象銘柄を、毎年ある時点で、各銘柄の株価純資
    産倍率(PBR)の大きさの順位で銘柄の数の比率が
    3:4:3となるよう3分割して、分割したグループを
    PBRの低いグループから順にそれぞれH、M、Lと名
    付け、(b)同様に、毎年ある時点で、対象銘柄の数を
    時価総額の大きさの順でその比率が1:1になるよう2
    分割し、分割した二つのグループで時価総額の低い方を
    S、高い方をBと名付け、(c)上記銘柄のグループ
    H、M、LとS、Bの積集合から形成される6つの銘柄
    グループを、HB(HとBの積集合)、HS(HとSの
    積集合)、LB(LとBの積集合)、LS(LとSの積
    集合)、MB(MとBの積集合)、MS(MとSの積集
    合)として作成し、(d)上記6つのグループ毎、グル
    ープに属する銘柄の上記ある時点以降1年間の株価変動
    率に当該銘柄の時価総額を加重し平均した加重平均変動
    率の時系列を算出し、(e)HMLファクター、HBと
    HSの加重平均変動率の和からLBとLSの加重平均変
    動率の和を差し引いたもの、SMBファクターは、HS
    とMSとLSの加重平均変動率の和からHBとMBとL
    Bの加重平均変動率の和を差し引いたものとして計算す
    る、に従って作成し、このHMLファクターとSMBフ
    ァクターの各時系列を上記変動要因のうちFn(t)
    とFn(t)の各時系列とすることを特徴とする請求
    項1又は2に記載の3段階推定法による株式取引コスト
    の推定方法。
  4. 【請求項4】 上記請求項1乃至3に記載のいづれかの
    方法をもって、4つの取引コストのいづれか又は複数の
    取引コストに関し対象銘柄を1000以上として銘柄別
    の取引コストの数値を計算し、以って得る取引コストの
    一つ(「対象取引コスト」という。)についてその数値
    を整数値区分して銘柄別の該当区分番号データを作成し
    これを被説明属性のデータセットとする手順1と、他
    方、対象銘柄について、少なくとも時価総額とPBRを
    含む銘柄の特性を表す銘柄属性のカテゴリデータを取得
    してこれを説明属性のデータセットとする手順2と、以
    って得た両データセットを銘柄に関連付けて銘柄を事例
    とする決定木法の事例集合とし、これに対し、以下、当
    該事例集合を説明属性の値(カテゴリ)の組み合せに従
    い分割するとき、その分割で得られる被説明属性のある
    統計量が被説明属性を分別するのに最も有効な説明属性
    を選んで当該事例集合を分割し(「分枝」という。)、
    こうして分割された事例集合にも同じ操作を繰り返して
    事例集合の樹状の分枝を作り、分枝させた事例集合が別
    のある統計量について設定した基準を満たさなくなると
    きその分枝の操作を終了し、最終的に説明属性の値(カ
    テゴリ)の組み合せにより分割された分枝事例集合を得
    る方法である決定木法を適用して、決定木法で分枝操作
    を終了したときの分枝事例集合(「リーフセグメント」
    又は単に「セグメント」という。)を得る手順3と、各
    セグメント毎そこに属する銘柄の対象取引コストを銘柄
    を通じ算術平均し又は時価総額で加重平均してセグメン
    ト別の対象取引コスト平均値を計算する手順4と、以上
    手順1から4を実行して得るセグメント別の対象取引コ
    スト平均値をそのセグメントに属する対象取引コストの
    推定値とすることを特徴とする銘柄属性と関連付けて取
    引コストを推定する方法。
  5. 【請求項5】 上記ある統計量は情報量利得であり、上
    記別のある統計量は分枝事例集合における事例数(銘柄
    数)であることを特徴とする請求項4に記載の銘柄属性
    と関連付けて取引コストを推定する方法。
  6. 【請求項6】 上記請求項4に記載の手順1における銘
    柄別の取引コストの数値を計算は4つの取引コストの全
    てについて行い、その各取引コストを対象取引コストと
    して、以下、同請求項記載の手順2から4の実行を繰り
    返すことを特徴とする請求項4又は5に記載の銘柄属性
    と関連付けて取引コストを推定する方法。
  7. 【請求項7】 対象銘柄別の株価の時系列を変動率に変
    換した株価変動率の時系列を収容した株価変動率時系列
    収容部(2)と、対象銘柄を代表する株価指数の変動率
    の時系列並びに当該株価指数の変動率以外の変動要因の
    時系列を収容した変動要因データ収容部(3)と、対象
    銘柄別の銘柄属性のカテゴリデータを収容した銘柄属性
    データ収容部(4)と、最尤法により、期待収益率(真
    の収益率)を推定する期待収益率状態推定部(5)と、
    当該期待収益率状態推定部と連携して取引コストを推定
    する取引コスト推定部(6)と、対象銘柄を事例として
    その取引コストと銘柄属性のカテゴリデータに決定木法
    を適用して銘柄をセグメント別に分類し、セグメント別
    の対象取引コスト平均値を得るセグメント別取引コスト
    推定部(7)と、セグメント別平均取引コストをセグメ
    ント別該当銘柄集合と共に記憶する結果収容部(8)と
    から構成され、株価変動率時系列収容部(2)から銘柄
    別株価変動率の時系列を取得し、変動要因時系列収容部
    (3)から株価指数の変動率の時系列並びに当該株価指
    数の変動率以外の変動要因の時系列を取得し、これらデ
    ータを基に期待収益率状態推定部(5)において期待収
    益率に関する係数を推定し、当該係数を取引コスト推定
    部(6)に与えて2段階推定法により一次の取引コスト
    を推定し、当該一次の取引コストを、再度、期待収益率
    状態推定部(5)に与えて期待収益率に関する係数を推
    定し、再度この係数を取引コスト推定部(6)に与えて
    3段階目の取引コストを推定し、セグメント別取引コス
    ト推定部(7)ではその取引コストをカテゴリ化すると
    ともに、銘柄属性データ収容部(4)から銘柄属性のカ
    テゴリデータを取得して、これらを決定木法の事例集合
    とし、決定木法を適用して当該事例集合を分割してリー
    フセグメントを得、各リーフセグメント別の取引コスト
    の平均値を計算し、当該各リーフセグメント別の取引コ
    ストの平均値をセグメント別該当銘柄集合と共に結果収
    容部(8)に記憶する、以上各機能をコンピュータで実
    現することを特徴とする取引コスト推定システム。
  8. 【請求項8】 前記請求項1乃至6のいづれかに記載の
    方法の実行又は上記請求項8に記載のシステムの実現を
    もって得られる取引コスト及びリーフセグメントなど関
    連情報のうち、少なくとも、買付コストを、買付を予定
    する場合においては、期待される予想収益率がプラスで
    あっても当該買付コストがその予想収益率を上回る時は
    当該買付の実施を見送ることが合理的である旨若しくは
    予想収益率がプラスであり当該買付コストがその予想収
    益率を下回るときは当該買付を実施することが合理的で
    ある旨の判断情報の提供又は推奨を行い、投資家に対し
    提供することを特徴とする株式取引コストの提供方法。
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