(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品は、互いに直交する前後方向及び幅方向と、着用者の排泄口と対向する股下域と、前記股下域よりも後方に位置する後側域と、少なくとも前記股下域と前記後側域に配置される吸収コアと、着用物品に接合するための接合部と、を有する吸収性物品であって、前記後側域には、前記幅方向の外側に膨らんだヒップフラップが設けられており、前記吸収コアは、前記股下域における前記吸収コアの前記幅方向の側部に配置された一対の吸収隆起部と、前記吸収隆起部よりも薄い厚みを有する吸収薄部と、を有し、前記吸収薄部は、前記幅方向において前記一対の吸収隆起部に挟まれた中央領域に少なくとも配置されており、前記一対の吸収隆起部は、互いに離間している。
本態様によれば、股下域の吸収コアには、吸収薄部よりも厚みが厚い吸収隆起部が設けられている。一対の吸収隆起部は、吸収薄部を挟んで配置されており、排泄口の側方に位置する陰唇部に対向して配置される。吸収隆起部は、その厚みが比較的厚く、陰唇部に密着し易い。加えて、一対の吸収隆起部が互いに離間しているため、吸収隆起部のそれぞれが左右の陰唇部に追従し易く、陰唇部に密着した状態を維持し易い。よって、排泄口から側方に導かれた体液を吸収隆起部において引き込んで、横漏れを抑制し続けることができる。また、着用者の臀部近傍は、排泄口近傍と比較して、立体的に膨らんだ形状であり、横向きに寝た姿勢や密着性の低い着用物品を着用した場合であっても着用物品及び吸収性物品と密着し易い。後側域には、着用者の臀部を覆うヒップフラップが設けられている。ヒップフラップは、一般的に臀部の頂点を覆うように装着され、臀部の頂点に対して密着する。後側域では、ヒップフラップが臀部の頂点に対して密着し、股下域では、吸収隆起部が左右の陰唇部に密着し易い。そのため、横向きに寝た姿勢において着用物品及び吸収性物品が重力によって側方にずれ難くなる。よって、密着性の低い着用物品を着用した場合であっても、排泄口の側方に吸収隆起部を当て続け、吸収隆起部によって体液を吸収することにより、横漏れを抑制できる。
好ましい一態様によれば、吸収薄部は、前記中央領域と、前記中央領域よりも前記前後方向の外側に延びる前後領域と、に連続して設けられてよい。本態様によれば、各吸収隆起部がより独立して変形し易く、それぞれ左右の陰唇部に吸収隆起部が密着した状態を維持し易い。よって、排泄口から側方に導かれた体液を吸収隆起部において引き込んで、横漏れを抑制し続けることができる。また、各吸収隆起部のそれぞれが左右の陰唇部に密着した状態を維持することで、意図せずに吸収隆起部が膣口(排泄口)に当たることを抑制できる。デリケートな膣口に吸収隆起部が当たることに起因する違和感を抑制し、装着感を向上できる。
好ましい一態様によれば、前記吸収隆起部の後端縁は、前記股下域よりも後側、かつ前記ヒップフラップの最大幅の位置よりも前側に位置してよい。着用者の排泄口(膣口)よりも後側に位置する会陰近傍は、膣口よりも凹んだ形状であり、吸収性物品との隙間が生じ、横漏れが発生し易い。着用者の会陰近傍には、股下域の後端縁から後側にかけての領域が対向して配置され易い。本態様によれば、吸収隆起部の後端縁が股下域よりも後側に配置されているため、会陰近傍に吸収隆起部をフィットさせ、会陰近傍における横漏れを抑制できる。また、ヒップフラップの最大幅の位置は、一般的に臀部の頂点近傍に配置される。臀部の頂点近傍よりも前側のみに吸収隆起部が配置されているため、臀部の頂点に吸収隆起部が当たることに起因する違和感を抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記吸収隆起部を通り、かつ前記幅方向に沿った幅仮想線上において、前記中央領域における吸収薄部の前記幅方向の長さは、前記吸収薄部の最大厚みに対する2倍以上であって、各吸収隆起部の前記幅方向の長さは、前記吸収隆起部の最大厚み以上であってよい。両脚によって股下域が挟まれていない非押圧状態から両脚によって股下域が挟まれた押圧状態となると、中央領域における吸収薄部が膣口に向けて凸状に変形する。このとき、吸収薄部の幅方向の長さが吸収薄部の最大厚みに対する2倍以上であるため、吸収薄部が厚み方向に隆起し、膣口に対するフィット性を向上できる。また、吸収隆起部の幅方向の長さが吸収隆起部の最大厚み以上であるため、吸収隆起部と身体が面で当接した状態を維持し易く、陰唇部と吸収隆起部が当接した状態を維持できる。吸収薄部が隆起し易くなるともに、吸収隆起部が排泄口から側方に流れる体液を引き込むことで、横漏れを抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記吸収隆起部を通り、かつ前記幅方向に沿った幅仮想線上において、一対の前記吸収隆起部の前記幅方向の合計長さは、前記中央領域における前記吸収薄部の前記幅方向の長さよりも長くてよい。本態様によれば、吸収隆起部の幅方向の長さが比較的長いため、吸収コアの側部における体液の吸収容量を確保し、横漏れを抑制できる。また、吸収隆起部の幅方向の長さが比較的長いため、吸収コアの側部における剛性を高めることができる。よって、脚によって挟まれた際における吸収コアの型崩れを抑制し、体液を吸収し続け、横漏れを抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記吸収隆起部の前記前後方向の長さは、前記吸収隆起部の後端縁と前記吸収コアの後端縁の前記前後方向の長さよりも短くてよい。本態様によれば、吸収隆起部の後端縁と前記吸収コアの後端縁との間の領域を広く設けることができ、臀部の膨らみに吸収隆起部が当たり難くなる。これにより、臀部の一部に吸収隆起部が当たることに起因して吸収性物品が臀部に対して部分的に浮き上がることを抑制し、臀部に対するフィット性を高め、漏れを抑制できる。一方、吸収隆起部の前後方向の長さが比較的短いため、横漏れが発生し易い股下域を中心に吸収隆起部を局所的に設け、吸収性物品全体の剛性及び厚みを抑制し、横漏れの防止と装着感の向上を両立できる。
好ましい一態様によれば、前記吸収薄部は、前記吸収隆起部の外側辺から前記幅方向の外側に延びるサイド領域に配置されてよい。本態様によれば、吸収隆起部よりも幅方向の外側に吸収薄部が設けられているため、脚に対して吸収隆起部が直接当たらずに吸収薄部が当たり易い。吸収薄部の厚みが比較的薄いため、吸収性物品の外側部と脚が擦れた際における触り心地の悪化を抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記幅方向に延び、かつ前記吸収性物品の肌面側同士が向き合うように折り畳むための幅折り目を有し、前記幅折り目は、前記吸収隆起部と重なる領域に設けられてよい。幅折り目が吸収隆起部に設けられていることにより、幅折り目が設けられた部分の剛性が高くなる。また、幅折り目は、幅方向に沿って延びるため、幅方向の内側に向かう力に対向し易い。本態様によれば、脚によって挟まれた際における吸収コアの型崩れを抑制し、体液を吸収し続け、横漏れを抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記幅方向に延び、かつ前記吸収性物品の肌面側同士が向き合うように折り畳むための幅折り目を有し、前記幅折り目は、前記吸収隆起部と重ならない領域に設けられてよい。幅折り目が設けられた部分は、幅折り目による折り癖によって非肌面側に凸状に曲がり易い。本態様によれば、幅折り目が吸収隆起部と重ならない領域に設けられているため、折り癖によって吸収隆起部が非肌面側に凸状に曲がることを抑制できる。吸収隆起部が身体から離れるような変形を抑制し、吸収隆起部を身体に当て続け、横漏れをより抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記幅方向に延び、かつ前記吸収性物品の肌面側同士が向き合うように折り畳むための幅折り目を有し、前記幅折り目は、前記股下域の前記吸収隆起部と重ならない領域に設けられてよい。本態様によれば、股下域の吸収隆起部が折り癖によって非肌面側に凸状に曲がることを抑制できる。股下域において吸収隆起部が身体から離れるような変形を抑制し、吸収隆起部を身体に当て続け、排泄口が多く導かれる股下域における横漏れをより抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記吸収コアは、前記股下域よりも前側に位置する前側域において、前記吸収薄部よりも厚みが厚い吸収前部を有してよい。前側域は、排泄口よりも前側に位置する恥骨間の膨らみ部分と対向して配置され易い。前側域に比較的厚みが厚い吸収前部が設けられているため、恥骨間の膨らみ部分と吸収性物品が摩擦抵抗によってずれ難くなり、恥骨間の膨らみ部分に対して吸収性物品をフィットさせることができる。後側域では、ヒップフラップが臀部の頂点に対してフィットし、股下域では、吸収隆起部が左右の陰唇部にフィットし、更に前側域では、吸収前部が恥骨間の膨らみ部分に対してフィットすることにより、寝姿勢において着用物品及び吸収性物品が重力によって側方にずれ難くなる。よって、排泄口の側方に吸収隆起部を当て続け、吸収隆起部によって体液を吸収することにより、横漏れを抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記吸収前部は、前記吸収コアの前記幅方向の中心を跨がって配置されており、前記吸収隆起部と前記吸収前部は、前記吸収性物品の平面視において間隔を空けて配置されており、前記吸収隆起部と前記吸収前部の間には、前記吸収薄部が設けられてよい。押圧状態では、股下域が幅方向の内側に押圧され、中央領域の吸収薄部が凸状に変形する。そして、着用者が押圧状態で寝返りをすると、吸収性物品が捻れる。このとき、吸収隆起部と吸収前部の間に吸収薄部が設けられているため、吸収薄部が中央領域から前側かつ幅方向の外側に連続して延びる。中央領域から前側に向かいつつ幅方向の外側に向かって斜め方向に延びるライン(吸収薄部が設けられた領域)を基点に吸収コアが変形し、吸収性物品に係る捻れ方向の力を吸収できる。よって、寝返り等により捻れ方向の力がかかっても、排泄口の側方に吸収隆起部を当て続けることができ、横漏れを抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記吸収隆起部の内側辺は、前記股下域の前記前後方向の中心から後側に向かって前記幅方向の外側に延びており、前記吸収隆起部の後端縁から前記吸収隆起部の内側辺に沿って延びる後側延長線と、前記吸収性物品の外側辺と、の交点は、前記ヒップフラップの最大幅の位置より前側に位置してよい。押圧状態では、吸収隆起部の内側辺が変形基点となって吸収薄部が凸状に変形し、吸収隆起部の内側辺に沿って折り線が形成される。この折り線は、吸収隆起部の内側辺に沿って形成され、かつ吸収隆起部の内側辺に沿う後側延長線上に延びる。後側延長線上に延びる折り線が幅方向の外側に連続すると、ヒップフラップにも折り線が形成される。このとき、後側延長線と吸収性物品の外側辺との交点がヒップフラップの最大幅の位置よりも前側であるため、ヒップフラップに形成される折り線がヒップフラップの最大幅の位置まで到達し難い。よって、ヒップフラップ全体がよれたりめくれたりする不具合を抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記接合部は、前記ヒップフラップに設けられたフラップ接合部を有し、前記フラップ接合部の少なくとも一部は、前記後側延長線よりも前記幅方向の内側に位置してよい。後側延長線上の折り線を基点としてヒップフラップが捲れた場合であっても、折り線よりも幅方向の内側の領域においてフラップ接合部を介してヒップフラップを着用物品に接合できる。そのため、ヒップフラップ全体がよれたりめくれたりする不具合を抑制できる。
好ましい一態様によれば、前記股下域には、前記幅方向の外側に膨らんだウイングが設けられており、前記吸収隆起部の内側辺は、前記股下域の前記前後方向の中心から前側に向かって前記幅方向の外側に延びるとともに、前記股下域の前記前後方向の中心から後側に向かって前記幅方向の外側に延びており、前記吸収隆起部の後端縁から前記吸収隆起部の内側辺に沿って延びる後側延長線と、前記吸収性物品の外側辺と、の交点は、前記ウイングの後端縁より後側に位置し、前記吸収隆起部の前端縁から前記吸収隆起部の内側辺に沿って延びる前側延長線と、前記吸収性物品の外側辺と、の交点は、前記ウイングの前端縁よりも前側に位置してよい。押圧状態では、吸収隆起部の内側辺に沿って折り線が形成される。この折り線は、吸収隆起部の内側辺に沿って形成され、前側延長線上に延び、かつ後側延長線上に延びる。後側延長線と吸収性物品の外側辺との交点がウイングの後端縁よりも後側であって、前側延長線と吸収性物品の外側辺との交点がウイングの前端縁よりも前側であるため、吸収隆起部の内側辺から延びる折り線がウイングに形成され難い。ウイングを有する股下域の皺やよれを抑制でき、排泄口に対するフィット性を維持し易い。
(2)実施形態に係る吸収性物品
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品ついて説明する。吸収性物品は、生理用ナプキン、パンティライナー、母乳パッド、大人用失禁パッド、糞便パッド又は汗取りシートのような吸収性物品であってよい。吸収性物品は、使用者の下着のような着用物品の内側に取り付けられて使用される物品であってよい。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
図1は、実施形態に係る吸収性物品の肌面側から見た平面図である。図2は、実施形態に係る吸収性物品の非肌面側から見た平面図である。図3は、吸収コアの肌面側から見た平面図である。図4は、図1に示すA-A線に沿った断面図である。図5は、図1に示すB-B線に沿った断面図である。図6は、図1に示すC-C線に沿った断面図である。図7は、図1に示すD-D線に沿った断面図である。ここで、「肌面側」は、使用中に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌面側」は、使用中に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。吸収性物品1は、前後方向L、幅方向W及び厚み方向Tを有する。前後方向Lは、着用者の前側(腹側)から後側(背側)に延びる方向、又は着用者の後側から前側に延びる方向である。幅方向Wは、前後方向Lと直交する方向である。厚み方向Tは、肌面側T1と非肌面側T2に延びる方向である。
吸収性物品1は、股下域S2、前側域S1及び後側域S3を有する。股下域S2は、着用者の排泄口、例えば膣口に対向して配置される領域である。吸収性物品1が着用物品に装着されたときに、股下域S2は着用物品の股下に配置され、着用者の両脚の間に配置される領域である。前側域S1は、股下域S2よりも前側に位置する。前側域S1の前端縁は、吸収性物品1の前端縁を規定する。後側域S3は、股下域S2よりも後方に位置する。後側域S3の後端縁は、吸収性物品1の後端縁を規定する。
股下域S2には、ウイング25が設けられてよい。ウイング25は、吸収コア31よりも幅方向Wの外側に延出し、使用時に着用物品の非肌面側T2に折り畳まれる。ウイング25は、表面シート21と裏面シート22を有してよい。ウイング25の前端縁は、ウイング25の付け根によって規定されており、幅方向Wの内側に窪んだ2つの部分のうち、前側に位置する部分に相当する。ウイング25の前端縁は、股下域S2と前側域S1との境界を規定してもよい。ウイング25の後端縁は、ウイング25の付け根によって規定されており、幅方向Wの内側に窪んだ2つの部分のうち、後側に位置する部分に相当する。ウイング25の後端縁は、股下域S2と後側域S3との境界を規定してもよい。また、ウイング25の内側縁は、ウイングの付け根であり、ウイング25の前端縁とウイング25の後端縁を繋ぐ仮想線となる。また、ウイング25を有しない吸収性物品にあっては、吸収性物品1の前後方向Lの長さが最も長い位置において、吸収性物品1を前後方向Lに3等分した領域のそれぞれが、前側域S1、股下域S2及び後側域S3を構成してもよい。
なお、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける外縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Wにおける外縁である。本発明における内側部とは、幅方向Wにおける内縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、内側縁とは、幅方向Wにおける内縁である。また、本発明における前端部及び後端部は、前後方向Lにおける縁を含む前後方向Lに一定の範囲を占める部分であり、前端縁及び後端縁は、前後方向Lにおける縁である。外端部は、前端部及び後端部を含んでおり、外端縁は、前端縁及び後端縁を含んでいる。また、内側辺は、内側縁を含み、かつ前後方向に沿って延びる辺である。外側辺は、外側縁を含み、かつ前後方向に沿って延びる辺である。なお、本明細書において、「前後方向Lに沿って」という用語は、前後方向Lに対して45°未満の角度を持った方向を意味し、「幅方向Wに沿って」という用語は、幅方向Wに対して45°未満の角度を持った方向を意味する。
後側域S3には、ヒップフラップ27が設けられてよい。ヒップフラップ27は、後側域S3において幅方向Wの外側に膨らんでいる。ヒップフラップ27は、円弧状であってもよいし、複数の曲線からなる波状であってもよい。ヒップフラップ27は、使用時に着用物品の非肌面側T2に折り畳まれず、臀部に対向して配置される。ヒップフラップ27は、表面シート21と裏面シート22を有してよい。
吸収性物品1は、着用者の肌に面する表面シート21と、着用者の肌とは反対側に向けられる裏面シート22と、表面シート21と裏面シート22の間の吸収コア31と、を含む。表面シート21は、使用中に着用者の肌の方に向いて配置される。表面シート21は、繊維を有する不織布又は織布によって構成されてよい。表面シート21は、液透過性シートから構成されていてよい。裏面シート22は、液不透過性シートを含んでいてよい。図1及び図4等に示すように、表面シート21は、吸収コア31の幅方向Wの中央を覆うセンターシート21Cと、センターシート21Cの外側部に重なるサイドシート21Sと、と有してよい。センターシート21Cは、サイドシート21Sよりも肌面側T1に配置されてよい。サイドシート21Sの内側縁は、幅方向Wの外側に折り返されてよい。また、変形例において、折り返されたサイドシート21S間には、弾性部材が配置されてよい。
吸収コア31は、吸収性物品1の前後方向Lに沿って延びている。吸収コア31は、水分を吸収可能な吸収材料を有する。吸収材料は、パルプ、高吸収性ポリマー(SAP)を例示できる。図4に示すように、吸収コア31は、コアラップ24によって覆われていてよい。コアラップ24は、例えばティッシュにより構成することができる。吸収コア31は、少なくとも股下域S2及び後側域S3に配置されてよく、前側域S1、股下域S2及び後側域S3に配置されてもよい。吸収コア31については、後述にて詳細に説明する。
図2に示すように、吸収性物品1の非肌面側T2(裏面シート22の非肌面)には、接合部50が設けられてよい。接合部50は、吸収性物品1を着用物品に接合するための粘着剤が設けられた領域である。接合部50は、吸収コア31と重なる領域に配置された本体接合部51と、ウイング25に設けられたウイング接合部52と、ヒップフラップ27に設けられたフラップ接合部53と、を有してよい。本体接合部51は、前後方向Lに延び、かつ幅方向Wに間隔を空けて配置されている。なお、変形例において、本体接合部51は、幅方向Wに延び、かつ前後方向Lに間隔を空けて配置されていてもよい。接合部50は、図示しない剥離シート又は個包装シートによって使用前に覆われていてよい。
吸収性物品1は、少なくとも吸収コア31が厚み方向Tに圧搾された圧搾部80を有してよい。圧搾部80は、少なくとも吸収コア31が厚み方向Tに圧搾されていればよく、コアラップも厚み方向Tに圧搾されていてもよいし、表面シート21も厚み方向Tに圧搾されていてもよい。圧搾部80は、少なくとも股下域S2に配置された中央圧搾部81と、前側域S1に配置された前側圧搾部82と、を有してよい。中央圧搾部81は、後述する第1圧搾領域及び第2圧搾領域を有し、本発明の「圧搾部」を構成する。本実施の形態の圧搾部80は、表面シート21と吸収コア31が厚み方向に圧縮された部分である。吸収コア31のみを厚み方向Tに圧縮した構成と比較して、密度がより高くなり、変形基点として機能し易くなる。また、センターシート21Cとサイドシート21Sは、一体化されていてよい。サイドシート21Sは、下着の非肌面側に巻き込まれ、下着に固定されるため、着用時にずれ難い。サイドシート21Sとセンターシート21Cが一体化され、センターシート21Cと吸収コア31が圧搾部を介して強固に結合するため、吸収コアがよりよれ難くなる。
吸収性物品1は、使用前に複数の折り目を基点に折り畳まれていてよい。折り目は、吸収性物品の肌面側同士が向き合うように折り畳むための折り目であってよい。複数の折り目は、前後方向Lに延びる前後折り目FLであってもよいし、幅方向Wに延びる幅折り目FWであってもよいし、前後折り目FL及び幅折り目FWの両方であってもよい。幅折り目FWは、前後方向Lに間隔を空けて複数配置されてよい。本実施の幅折り目FWは、前側域S1に配置された第1幅折り目FW1と、後側域S3に配置された第2幅折り目FW2と、第2幅折り目FW2よりも後側に配置された第3幅折り目FW3と、を有する。前後折り目FLは、幅方向Wに間隔を空けて複数配置されてよい。前後折り目FLは、ウイング25を幅方向Wの内側に折り畳むための折り目であってよい。なお、折り目は、折り癖の位置によって特定することができ、吸収性物品の折り癖が特定しにくい形態にあっては、個包装シート又は剥離シートの折り癖を基準に折り目の位置を特定してよい。
次いで、吸収コア31について詳細に説明する。吸収コア31は、吸収隆起部34と、吸収薄部32と、吸収前部36と、を有してよい。吸収薄部32は、吸収隆起部34よりも薄い厚みを有する部分である。吸収薄部32は、一対の吸収隆起部34間に挟まれた中央領域R11に少なくとも配置されてよい。図3において、中央領域R11に斜線を付している。中央領域R11は、一対の吸収隆起部34間に挟まれた領域であり、股下域S2における吸収コア31の幅方向Wの中心を含んでいる。吸収薄部32は、中央領域R11の少なくとも一部に設けられてよく、好適には、中央領域R11の全域に設けられてよい。図3及び図4に示すように、股下域S2の前後方向Lにおける中心において、吸収薄部32は、吸収コア31を幅方向Wに三等分した領域のうち、幅方向Wの中央に位置する領域の全体に配置されてよい。中央領域R11における吸収薄部32の幅方向Wの長さ32Wは、各吸収隆起部34の幅方向の長さ34Wよりも長くてよい。変形例において、中央領域R11における吸収薄部32の幅方向Wの長さ32Wは、各吸収隆起部34の幅方向の長さ34Wよりも短くてもよい。吸収薄部32の肌面側の面は、吸収隆起部34よりも非肌面側T2に凹んでいる。変形例において、吸収薄部32の非肌面側の面が、吸収隆起部34よりも肌面側T1に凹んでいてもよい。
吸収隆起部34は、股下域S2における吸収コア31の幅方向Wの側部に配置されている。吸収隆起部34は、中央領域R11の吸収薄部32に対する両側に一対で配置されている。吸収隆起部34は、左右に離間して一対で配置されている。一対の吸収隆起部34は、部分的に互いに連なっていてもよいが、好適には、吸収隆起部34の前後方向の全域に亘って互いに離間してよい。吸収隆起部34は、吸収薄部32よりも厚い厚みを有していればよく、吸収隆起部34内で厚みが変化してもよい。なお、吸収薄部32から吸収隆起部34にかけて徐々に厚みが変化する形態にあっては、股下域S2の前後方向L及び幅方向Wの中心における吸収コア31の厚みを基準として、当該基準に対する10%の範囲までの部分を吸収薄部32とすることができる。吸収隆起部34は、吸収薄部32よりも厚い厚みを有する部分であり、吸収隆起部34の端縁(前端縁、後端縁、内側縁、及び外側縁)は、吸収薄部32と同じ厚みの部分となる。また、吸収コア31において厚みが厚い部分は、吸収コア31を構成する吸収材料の坪量が多い部分であってもよいし、吸収材料の坪量が周囲と同じであるが密度が低い部分であってもよいし、周囲よりも多くの吸収層が積層された領域であってもよい。本実施の形態の吸収コア31は、吸収材料の坪量が異なる領域を複数有している。本実施の形態においては、吸収隆起部34が最も高い坪量(500g/m2)を有し、吸収前部36が次に高い坪量(400g/m2)を有し、それ以外の領域(吸収薄部32)が低い坪量(200g/m2)を有している。すなわち、吸収隆起部34の吸収材料の坪量及び吸収前部36の吸収材料の坪量は、吸収薄部32の吸収材料の坪量よりも高くてよい。また、本実施の形態の中央領域R11における吸収薄部32は、吸収隆起部34よりも少ない吸収材料を有しているが、変形例において、吸収材料を有していなくてもよい(坪量が0であってもよい)。他の変形例において、複数の吸収層によって吸収コアが構成され、吸収隆起部の層数が吸収薄部の層数よりも多くてもよい。また、吸収コアは、複数のスリット(坪量が0の部分)を有してよい。複数のスリットは、前後方向及び幅方向に沿って複数形成され、吸収コアは、複数のブロックの集合体によって構成されてよい。複数のブロックのうち、厚みが厚いブロックが吸収隆起部を構成し、厚みが薄いブロックが吸収薄部を構成してもよいし、複数のブロックを有する区画が複数設けられ、最も厚みが厚いブロックを有する区画が吸収隆起部を構成し、最も厚みが薄いブロックを有する区画が吸収薄部を構成してもよい。このように、複数のスリットによって分断された複数のブロックを有する吸収コアによれば、各ブロックが変形し易く、身体に追従し易い。よって、身体に対する追従性と横漏れを抑制する効果を両立できる。
ここで、本明細書における「吸収コアの厚み及び坪量」の測定は、測定圧3g/cm2、直径10mmの測定端子を有する厚み計(株式会社 尾崎製作所社製 Peacockダイヤルシックネスゲージ)を用いることができる。複数の吸収性物品がパッケージに収容された形態にあっては、同じパッケージから5つの吸収性物品を取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において12時間放置したサンプルを用いる。個包装シート等によって包装された吸収性物品においては包装体を開封し、折り畳まれた吸収性物品を展開して、吸収性物品の坪量を測定する部分の厚みを測定する。次いで、坪量を測定する部分を吸収性物品から切り出し、切り出した部分の重量を測定する。次いで、切り出した部分から吸収コアを取り除き、表面シート及び裏面シート等、吸収コア以外の厚み及び重量を測定する。なお、吸収コアが接着剤等で残っている場合には、トルエン等ですべて取り除き、24時間常温で乾燥させた後に測定する。最初に測定した吸収性物品の厚みから吸収コア以外の厚みを除き、吸収コアの厚みを測定する。また、切り出した部分の重量から吸収コア以外の重量を除き、坪量を測定する部分の面積に基づいて坪量を算出する。
次いで、図8~図12に基づいて、このように構成された吸収コア31に基づく着用状態の作用効果について説明する。図8から図12は、着用物品としての下着Sに吸収性物品1を装着した状態である。図8は、図4に示す断面(A-A線に沿った断面)を基準とした着用状態(非押圧状態)の模式断面図である。図9は、図4に示す断面(A-A線に沿った断面)を基準とした着用状態(押圧状態)の模式断面図である。図10は、図6に示す断面(C-C線に沿った断面)を基準とした着用状態の模式断面図である。押圧状態は、両脚によって挟まれた状態や横向きに寝た状態等における幅方向Wの外側から幅方向Wの内側に押圧された状態であり、非押圧状態は、幅方向Wの外側から幅方向Wの内側に押圧されていない状態である。図11は、着用者を側方から見た側面を基準とした着用状態を説明するための模式図である。図11(a)は、着用者が立った状態であり、図11(b)は、着用者が横になって、床面LBに臀部が接した状態である。図12は、吸収性物品の着用状態を模式的に示した斜視図である。図8から11において、着用者の身体の外形をラインBLで示しており、身体の部位をB1~B6で示している。また、図8から図12においては、説明の便宜上、吸収性物品1の外形のみを示しており、各構成部材の境界を示していない。
本実施の形態の吸収性物品は、着用時における吸収性物品の側方へのずれを抑制することで、横漏れを抑制できるように構成されている。次いで、吸収性物品の側方へのずれを抑制する構成について詳細に説明する。図8及び図9に示すように、股下域S2は、着用状態において、両脚によって挟まれた空間内で膣口B1及び陰唇部B2に対向して配置される。このとき、吸収隆起部34は、股下域S2の側部に位置し、吸収薄部32よりも厚い厚みを有する。加えて、陰唇部B2は、膣口B1よりも吸収性物品1側に膨らんでいる。そのため、吸収隆起部34は、陰唇部B2に密着し易い。吸収隆起部34が排泄口B1から側方に導かれた体液を引き込むことで、横漏れを抑制できる。また、一対の吸収隆起部34は、吸収薄部32を挟んで配置され、互いに離間している。そのため、各吸収隆起部34がそれぞれ左右の陰唇部B2に追従し、陰唇部B2に密着した状態を維持し易い。よって、排泄口B1から側方に導かれた体液を吸収隆起部34において引き込んで、横漏れを抑制し続けることができる。また、股下域S2において吸収隆起部34が左右の陰唇部B2に密着するため、密着性の低い着用物品を着用した場合であっても、横向きに寝た姿勢において下着S及び吸収性物品1が重力によって側方にずれ難くなる。
図10に示すように、後側域S3は、着用状態において臀部に対向して配置される。着用者の臀部近傍の形状は、臀裂B3を挟んで吸収性物品側に曲線状に膨らんでいる。臀部の膨らみ部分B4は、排泄口近傍と比較して立体的に膨らんだ形状である。そのため、横向きに寝た姿勢や密着性の低い下着Sを着用した場合であっても下着S及び吸収性物品1と密着し易い。後側域S3には、着用者の臀部を覆うヒップフラップ27が設けられている。ヒップフラップ27は、一般的に臀部の膨らみ部分B4の頂点を覆うように配置され、臀部の頂点に対して密着する。このように、後側域S3では、ヒップフラップ27が臀部の頂点に対して密着し、股下域S2では、吸収隆起部34が左右の陰唇部B2に密着し易い。そのため、横向きに寝た姿勢において下着S及び吸収性物品1が重力によって側方にずれ難くなる。よって、膣口B1の側方に吸収隆起部34を当て続け、吸収隆起部34によって体液を吸収することにより、横漏れを抑制できる。また、横向きに寝た姿勢において下着S及び吸収性物品1が重力によって側方にずれ難くなり、吸収隆起部34が意図せずに膣口B1に当たることを抑制できる。膣口B1は、デリケートな部分であり、着用者が違和感を得易い部分である。吸収隆起部34が意図せずに膣口B1に当たることを抑制することにより、膣口B1に対する違和感を抑制し、装着感を向上できる。
吸収薄部32は、一対の吸収隆起部34間に挟まれた中央領域R11と、中央領域R11から前後方向Lの外側に延びる前後領域と、に連続して設けられてよい。前後領域は、中央領域R11よりも後側に位置する後側領域R13と、中央領域R11よりも前側に位置する前側領域R14と、を含む。図3において、前側領域R14と後側領域R13に斜線を付している。中央領域R11と後側領域R13の境界は、一対の吸収隆起部34の後端縁34Rを繋いだラインであり、中央領域R11と前側領域R14の境界は、一対の吸収隆起部34の前端縁34Fを繋いだラインである。前側領域R14は、中央領域R11の前端縁から吸収コア31の前端縁までの領域のうち、吸収前部36を除いた領域である。後側領域R13は、中央領域R11の後端縁から吸収コア31の後端縁までの領域である。吸収薄部32は、中央領域R11、前側領域R14及び後側領域R13の全面に設けられてよい。一対の吸収隆起部34間において厚みが薄い部分(吸収薄部32)は、吸収隆起部34よりも前側及び後側の両方に延出している。これにより、各吸収隆起部34がより独立して変形し易く、それぞれ左右の陰唇部B2に密着した状態を維持し易い。よって、排泄口B1から側方に導かれた体液を吸収隆起部34において引き込んで、横漏れを抑制し続けることができる。また、各吸収隆起部34のそれぞれが左右の陰唇部B2に密着した状態を維持することで、意図せずに吸収隆起部34が膣口に当たることを抑制できる。デリケートな膣口B1に吸収隆起部34が当たることに起因する違和感を抑制し、装着感を向上できる。
吸収隆起部34は、吸収コア31の前後方向Lの全域に亘って設けられていてもよいし、吸収コア31の前後方向Lの一部に設けられていてもよい。吸収隆起部34は、股下域S2の前後方向Lの中心に少なくとも設けられてよく、好適には、股下域S2の前後方向Lの全域に設けられてよい。股下域S2が膣口B1及び陰唇部B2と対向して配置される領域のためである。吸収隆起部34の前端縁34Fは、股下域S2の前端縁と一致していてもよいし、股下域S2よりも前側に配置されていてもよい。吸収隆起部34の後端縁34Rは、股下域S2の後端縁と一致していてもよいし、股下域S2よりも後側に配置されていてもよい。
好適には、吸収隆起部34の後端縁34Rは、股下域S2よりも後側、かつヒップフラップ27の最大幅27Mの位置よりも前側に位置してよい。図11に示すように、着用者の膣口B1よりも後側に位置する会陰部B5の近傍は、膣口B1よりも凹んだ形状であり、吸収性物品1との隙間が生じ、横漏れが発生し易い。着用者の会陰部B5の近傍は、股下域S2の後端縁から後側にかけての領域に対向して配置され易い。吸収隆起部34の後端縁34Rが股下域S2よりも後側に配置されているため、会陰部B5の近傍に吸収隆起部34を当てて、横漏れをより抑制できる。また、ヒップフラップ27の最大幅27Mの位置は、一般的に臀部の膨らみ部分B4の頂点近傍に配置される。臀部の膨らみ部分B4の頂点よりも前側のみに吸収隆起部34が配置されているため、臀部の頂点に吸収隆起部34が当たることに起因する違和感を抑制できる。また、臀部の頂点に吸収隆起部34が当たっていると、臀部の動きが吸収隆起部34を介して股下域S2に伝わることがある。しかし、臀部の動きが吸収隆起部34を介して股下域S2に伝わり難くなり、股下域S2において吸収コア31を身体に当て続けることができる。
図1に示すように、吸収隆起部34の前後方向Lの長さ34Lは、吸収隆起部34の後端縁34Rと吸収コア31の後端縁31Rの前後方向Lの長さよりも短くてよい。吸収隆起部34の後端縁34Rと吸収コア31の後端縁31Rとの間の領域を広く設けることができる。吸収隆起部34の後端縁34Rと吸収コア31の後端縁31Rとの間の領域は、吸収隆起部34の剛性の影響を受け難く、柔軟に変形し身体に追従し易い。よって、吸収性物品1の装着感を向上できる。また、吸収隆起部34の後端縁34Rと吸収コア31の後端縁31Rとの間の領域を広く設けることで、臀部の膨らみに吸収隆起部34が当たり難くなる。これにより、臀部の一部に吸収隆起部34が当たることに起因して吸収性物品が部分的に浮き上がることを抑制し、臀部に対するフィット性を高め、漏れを抑制できる。また、吸収隆起部34は、厚みが厚く、力を伝達し易い部分である。吸収隆起部34の後端縁と吸収コア31の後端縁との間の領域を広く設けることで、着用者の脚によって挟まれた際等における股下域の変形を、吸収隆起部34を介して後側域に伝わることを抑制でき、後側域S3を身体に追従させ続け易い。吸収隆起部34の前後方向Lの長さを比較的短くすることにより、横漏れが発生し易い股下域S2を中心に吸収隆起部34を局所的に設け、吸収性物品1全体の剛性及び厚みを抑制し、横漏れの防止と装着感の向上を両立できる。
図4に示すように、吸収隆起部34を通り、かつ幅方向Wに沿った幅仮想線ELW上において、中央領域R11における吸収薄部32の幅方向Wの長さ32Wは、吸収薄部32の最大厚み32MTに対する2倍以上であって、各吸収隆起部34の幅方向Wの長さ34Wは、吸収隆起部34の最大厚み34MT以上であってよい。ここで、幅仮想線ELWは、幅方向Wに平行な仮想線であり、吸収隆起部34の前後方向Lのいずれの位置においても任意に設定できる。すなわち、幅仮想線ELW上における説明は、吸収隆起部34が設けられた領域の幅方向Wに沿った任意の断面の説明と同義である。図4、図8及び図9は、幅仮想線ELWに沿った断面の一例である。図8に示すように、両脚によって股下域S2が挟まれていない非押圧状態では、吸収薄部32は、排泄口(膣口)B1に対向して配置され、吸収隆起部34は、左右の陰唇部B2に当接した状態となる。膣口B1は、左右の陰唇部B2と比較して凹んでおり、吸収薄部32に密着し難い。そのため、排泄口B1から排泄された体液は、対向する吸収薄部32に導かれたり、左右の吸収隆起部34に導かれたりする。このように、非押圧状態では、左右の陰唇部B2と吸収隆起部34が当接しており、かつ膣口B1と吸収薄部32が離れている。そして、非押圧状態から押圧状態となると、吸収隆起部34の内側辺34Dが変形基点となって、吸収隆起部34に挟まれた吸収薄部32が変形し、吸収薄部32が膣口B1に向けて凸状に変形する。このとき、吸収薄部32の幅方向Wの長さ33Wが吸収薄部32の最大厚み32MTに対する2倍以上であるため、変形時に吸収薄部32が厚み方向に隆起し、膣口B1に対するフィット性を向上できる。また、吸収隆起部34の幅方向Wの長さが吸収隆起部34の最大厚み34MT以上であるため、吸収隆起部34と身体が面で当接した状態を維持し易く、陰唇部B2と吸収隆起部34が当接した状態を維持できる。よって、吸収薄部32が隆起し易くなるともに、吸収隆起部34が排泄口から側方に流れる体液を引き込むことで、横漏れを抑制できる。
吸収薄部32は、中央領域R11において凸状に変形し易く構成されてよい。例えば、本体接合部51は、中央領域R11の幅方向の中心に配置されてなく、中央領域R11の幅方向の中心を挟んで配置されてよい。中央領域R11の幅方向の中心において、吸収性物品1が下着から浮き上がり易く、吸収薄部32が凸状に変形し易くなる。また、中央圧搾部81は、吸収隆起部34の内側辺に沿って、中央領域R11の幅方向の中心を挟んで一対で設けられてよい。中央領域R11の幅方向の中心を挟んだ両側に、中央圧搾部81による変形基点を設けることができ、中央圧搾部81間において吸収薄部32がより隆起し易くなる。加えて、中央圧搾部81が中央領域R11の幅方向の中心に設けられていると、中央領域R11の幅方向の中心に折り線が形成され、図9に示すように滑らかに隆起し難くなるおそれがある。しかし、中央圧搾部81が中央領域R11の幅方向の中心からずれた位置に設けられているため、中央領域R11の幅方向の中心を含む領域が凸状に隆起し易くなる。また、このように構成された中央圧搾部81によれば、次の効果を得ることができる。吸収薄部32から吸収隆起部34側(側方)への体液の引き込みを高めることができる。また、吸収薄部32と吸収隆起部34の間の吸収材料の移動を抑制し、それぞれの形状を維持できる。
幅仮想線ELW上において、一対の吸収隆起部34の幅方向Wの合計長さ(34W+34W)は、中央領域R11における吸収薄部32の幅方向Wの長さ33Wよりも長くてよい。吸収隆起部34の幅方向Wの長さが比較的長いため、吸収コア31の側部における体液の吸収容量を確保し、横漏れを抑制できる。また、吸収隆起部34の幅方向Wの長さが比較的長いため、吸収コア31の側部における剛性を高めることができる。よって、脚によって挟まれた際における吸収コア31の型崩れを抑制し、体液を吸収し続け、横漏れを抑制できる。また、本実施の形態のように、ウイング25を有する吸収性物品にあっては、吸収コア31の剛性が高くなることにより、吸収コア31の外側辺近傍にウイング25の着用時の折り目を形成できる。着用者は、一般的に、ウイングの折り目を下着のクロッチ部の外側辺の近くに配置しようとする。ウイング25の折り目が下着のクロッチ部の外側辺の近くになるように、着用者が吸収性物品を幅方向の外側に引っ張ることで、吸収コア31の外側辺が幅方向の外側に引っ張られ、着用状態における吸収コア31の幅方向Wの長さを確保し易い。よって、横漏れをより抑制できる。
吸収隆起部34の外側縁は、吸収コア31の外側縁に一致していてもよいし、吸収コア31の外側縁よりも幅方向Wの内側に位置してよい。吸収薄部32は、吸収隆起部34の外側辺34Eから幅方向Wの外側に延びるサイド領域R12に配置されてよい。サイド領域R12は、吸収隆起部34の外側辺34Eと吸収コアの31の外側辺31Eによって挟まれた領域である。図3において、サイド領域R12に斜線を示す。サイド領域R12の前端縁は、吸収隆起部34の前端縁34Fに一致し、サイド領域R12の後端縁は、吸収隆起部34の後端縁34Rに一致する。吸収隆起部34よりも幅方向Wの外側に吸収薄部32が設けられているため、脚に対して吸収隆起部34が直接当たらずに吸収薄部32が当たり易い。吸収薄部32の厚みが比較的薄いため、吸収性物品1の外側部と脚が擦れた際における触り心地の悪化を抑制できる。よって、着用時の脚に対する触り心地の悪化を抑制しつつ、排泄口に対するフィット性を向上させて漏れを抑制できる。なお、吸収薄部32は、サイド領域R12の少なくとも一部に設けられてよく、好適には、サイド領域R12の全域に設けられてよい。本実施の形態の吸収薄部32は、吸収隆起部34の周囲を囲んで設けられている。
吸収コア31は、前側域S1において、吸収薄部32よりも厚みが厚い吸収前部36を有してよい。吸収前部36は、少なくとも前側域S1に配置されていればよく、前側域S1のみに設けられてよい。前側域S1は、排泄口よりも前側に位置する恥骨間の膨らみ部分B6(図9(b)参照)と対向して配置され易い。前側域S1に比較的厚みが厚い吸収前部36が設けられているため、恥骨間の膨らみ部分B6と吸収性物品1が摩擦抵抗によってずれ難くなり、恥骨間の膨らみ部分に対して吸収性物品1をフィットさせることができる。上述のように、後側域S3では、ヒップフラップ27が臀部の頂点に対してフィットし、股下域S2では、吸収隆起部34が左右の陰唇部B2にフィットし、更に前側域S1では、吸収前部36が恥骨間の膨らみ部分B6に対してフィットすることにより、寝姿勢において下着S及び吸収性物品1が重力によって側方にずれ難くなる。よって、排泄口B1の側方に吸収隆起部34を当て続け、吸収隆起部34によって体液を吸収することにより、横漏れを抑制できる。
吸収前部36の前端縁36Fは、吸収コア31の前端縁31Fよりも後側に配置されてよい。吸収前部36の後端縁36Rは、吸収隆起部34の前端縁34Fよりも前側に配置されてよい。吸収前部36は、吸収コア31の幅方向Wの中心を跨いで配置されてよい。吸収前部36の外側縁は、吸収コア31の外側縁に一致していてもよいし、吸収コア31の外側縁と離間し、吸収コア31の外側縁よりも幅方向Wの内側に位置してもよい。吸収隆起部34と吸収前部36は、吸収性物品の平面視において間隔を空けて配置されてよい。すなわち、吸収隆起部34と吸収前部36は、前後方向L及び幅方向Wの少なくとも一方において間隔を空けて配置されてよい。吸収隆起部34と吸収前部36の間には、前側領域R14の吸収薄部32が設けられている。吸収薄部32は、中央領域R11から前側領域R14まで連続している。
吸収前部36が吸収コア31の幅方向Wの中心を跨ぎ、吸収隆起部34が吸収コア31の側部に設けられているため、吸収薄部32は、中央領域R11から前側かつ幅方向Wの外側に連続して延びる。中央領域R11から前側に向かいつつ幅方向Wの外側に向かって延びる領域は、吸収薄部32が設けられた領域であり、変形し易い領域である。そのため、中央領域R11から前側に向かいつつ幅方向Wの外側に向かって斜め方向に延びる変形基点が形成される。押圧状態では、股下域S2が幅方向Wの内側に押圧され、中央領域R11の吸収薄部32が凸状に変形する。そして、着用者が両脚で挟んだ状態で寝返りをすると、吸収性物品1が捻れる。このとき、中央領域R11から前側に向かいつつ幅方向Wの外側に向かって斜め方向に延びるラインを基点に吸収コア31が変形し、吸収性物品に係る捻れ方向の力を吸収できる。よって、寝返り等により捻れ方向の力がかかっても、排泄口の側方に吸収隆起部34を当て続けることができ、横漏れを抑制できる。また、吸収前部36を囲むように前側圧搾部82が配置されてよい。前側圧搾部82は、吸収前部36の外周辺に沿って配置されている。前側圧搾部82によって、吸収前部36から吸収薄部32への吸収材料の移動を抑制し、吸収前部36の形状を維持できる。
図1に示すように、幅折り目FWは、吸収隆起部34と重なる領域に設けられてよい。本実施の形態では、第2幅折り目FW2は、吸収隆起部34と重なる領域に設けられている。幅折り目FWが吸収隆起部34に設けられていることにより、幅折り目FWが設けられた部分の剛性が高くなる。また、幅折り目FWは、幅方向Wに沿って延びるため、幅方向Wの内側に向かう力に対向し易い。そのため、脚によって挟まれた際における吸収コア31の型崩れを抑制し、体液を吸収し続け、横漏れを抑制できる。
また、幅折り目FWは、吸収隆起部34と重ならない領域に設けられてよい。本実施の形態では、第1幅折り目FW1は、吸収隆起部34と重ならない領域に設けられている。肌面側同士が向き合うように折り畳むための幅折り目FWが設けられた部分は、幅折り目FWによる折り癖によって非肌面側T2に凸状に曲がり易い。幅折り目FWは、吸収隆起部34と重ならない領域に設けられているため、折り癖によって吸収隆起部34が非肌面側T2に凸状に曲がることを抑制できる。吸収隆起部34が身体から離れるような変形を抑制し、吸収隆起部34を身体に当て続け、横漏れをより抑制できる。
また、幅折り目FWは、股下域S2の吸収隆起部34と重ならない領域に設けられてよい。換言すると、幅折り目FWは、股下域S2以外の領域において、吸収隆起部34と重なる領域に設けられてもよい。本実施の形態の幅折り目FWは、股下域S2に配置されてなく、股下域S2の吸収隆起部34と重ならない領域に設けられている。当該構成によれば、股下域S2の吸収コア31が折り癖によって吸収隆起部34が非肌面側T2に凸状に曲がることを抑制できる。吸収隆起部34が身体から離れるような変形を抑制し、吸収隆起部34を身体に当て続け、横漏れをより抑制できる。
吸収隆起部34の幅方向Wの長さは、一定であってもよいし、変化していてもよい。吸収隆起部34の幅方向Wの長さは、前後方向Lの中央の長さが長く、前後方向Lの端部の長さが短くてよい。すなわち、吸収隆起部34は、前後方向Lの外側に向かって先細り形状であってよい。吸収隆起部34の外側辺34Eは、前後方向に沿っていてもよいし、前後方向の中央から前後方向の端縁に向かって幅方向Wの内側に延びていてもよい。また、吸収隆起部34の外側辺34Eが前後方向の中央から前後方向の外側(前側及び後側)に向かって幅方向Wの内側に延びる構成にあっては、吸収隆起部34の外側辺34Eは、斜め方向に直線状に延びていてもよいし、前後方向Lの中央が幅方向Wの外側に向かって膨らむ曲線状であってもよい。また、吸収隆起部34の内側辺34Dは、前後方向に沿っていてもよいし、前後方向の中央から前後方向の端縁に向かって幅方向Wの外側に延びていてもよい。また、吸収隆起部34の内側辺34Dが前後方向の中央から前後方向の外側に向かって幅方向Wの外側に延びる構成にあっては、吸収隆起部34の内側辺34Dは、斜め方向に直線状に延びていてもよいし、前後方向の中央が幅方向Wの内側に向かって膨らむ曲線状であってもよい。本実施の形態の吸収隆起部は、内側辺34Dが円弧状の半楕円形状である。しかし、吸収隆起部の平面視の形状は、限定されず、外側辺34Eが円弧状の半楕円形状であってもよいし、略矩形であってもよい。また、吸収隆起部は、厚みが厚い部分(構成要素)の集合体であってもよい。構成要素の集合体からなる吸収隆起部にあっては、構成要素間の距離が構成要素の最大寸法よりも短いことが好ましい。構成要素間の距離が構成要素の最大寸法よりも短い形態は、構成要素毎に別の圧搾部を構成せず、全体として一つの吸収隆起部を構成するものとする。
本実施の形態の吸収隆起部34の内側辺34Dは、股下域S2の前後方向の中心から後側に向かって幅方向Wの外側に延びている。図1に示すように、吸収隆起部34の後端縁34Rから吸収隆起部34の内側辺34Dに沿って延びる後側延長線EL341と、吸収性物品1の外側辺1Eと、の交点P1は、ヒップフラップ27の最大幅27Mの位置より前側に位置してよい。横向きに寝た状態等、両脚によって股下域S2が挟まれた押圧状態では、吸収隆起部34の内側辺34Dが変形基点となり、吸収隆起部34の内側辺34Dに沿って折り線が形成される。この折り線は、吸収隆起部34の内側辺34Dに沿って形成され、かつ吸収隆起部34の内側辺34Dに沿う延長線上に延びる。後側延長線EL341上の折り線が幅方向Wの外側に連続すると、ヒップフラップ27にも折り線が形成される。このとき、後側延長線EL341と吸収性物品の外側辺1Eとの交点P1がヒップフラップ27の最大幅27Mの位置よりも前側であるため、ヒップフラップ27の折り線がヒップフラップ27の最大幅27Mの位置まで到達し難い。よって、ヒップフラップ27全体がよれたりめくれたりする不具合を抑制できる。
フラップ接合部53の少なくとも一部は、後側延長線EL341よりも幅方向Wの内側に位置してよい。後側延長線EL341上の折り線によってヒップフラップ27が捲れた場合であっても、折り線よりも幅方向Wの内側の領域においてフラップ接合部53を介してヒップフラップ27を下着に接合できる。そのため、ヒップフラップ27全体がよれたりめくれたりする不具合を抑制できる。
本実施の形態の吸収隆起部34の内側辺34Dは、股下域S2の前後方向Lの中心から前側に向かって幅方向Wの外側に延びている。図1に示すように、吸収隆起部34の前端縁34Fから吸収隆起部34の内側辺34Dに沿って延びる前側延長線EL342と、吸収性物品の外側辺1Eと、の交点P2は、ウイング25の前端縁(股下域S2の前端縁)よりも前側に位置してよい。また、後側延長線EL341と吸収性物品の外側辺1Eとの交点P1は、ウイングの後端縁(股下域S2の後端縁)よりも後側に位置してよい。横向きに寝た状態等、両脚によって股下域S2が挟まれた際は、吸収隆起部の内側辺34Dに沿って折り線が形成される。この折り線は、前側延長線EL342上に延びるととともに、後側延長線EL341上に延びる。このとき、後側延長線EL341と吸収性物品の外側辺との交点P1がウイングの後端縁よりも後側であって、前側延長線EL342と吸収性物品の外側辺との交点P2がウイングの前端縁よりも前側であるため、吸収隆起部の内側辺34Dから延びる折り線がウイング25に形成され難い。ウイング25を有する股下域S2の皺やよれを抑制でき、排泄口に対するフィット性を維持し易い。
本実施の形態の吸収性物品は、吸収隆起部34の形状を維持することで、横漏れを抑制できるように構成されてよい。次いで、吸収隆起部34の形状を維持する構成について詳細に説明する。より詳細には、吸収隆起部34は、中央圧搾部81によって吸収薄部32への吸収材料の移動を抑制されてよい。吸収コア31は、股下域S2を前後方向に三等分した3つの領域のうち中央、かつ、吸収隆起部34を幅方向に三等分した3つの領域のうちの中央に位置する隆起中心域S34を有する。中央圧搾部81は、隆起中心域S34から幅方向Wの内側に延びる幅延長領域R41に設けられた第1圧搾領域811と、隆起中心域S34から前後方向Lの外側に延びる前後延長領域R42に設けられた第2圧搾領域812と、を有する。第1圧搾領域811及び第2圧搾領域812は、中央圧搾部81の一部の領域であり、中央圧搾部81は、第3圧搾領域813等、第1圧搾領域811及び第2圧搾領域812以外の領域を有してよい。幅延長領域R41は、左右の隆起中心域S34によって挟まれた領域である。幅延長領域R41の少なくとも一部に、第1圧搾領域811が設けられていればよく、好適には、幅延長領域R41の前後方向Lの全域に亘って第1圧搾領域811が設けられてよい。前後延長領域R42の少なくとも一部に、第2圧搾領域812が設けられていればよく、好適には、前後延長領域R42の幅方向の全域に亘って第2圧搾領域812が設けられてよい。図1において、隆起中心域S34、幅延長領域R41及び前後延長領域R42に斜線を付して示し、第1圧搾領域811及び第2圧搾領域812を図3に示す。
圧搾部80は、少なくとも吸収コア31を圧縮した部分であり、圧搾部80を挟んだ一方側から他方側への吸収材料の移動を抑制できる。隆起中心域S34は、吸収隆起部34の幅方向の中心かつ股下域S2の前後方向Lの中心を含んでおり、当該領域から周囲に吸収材料が移動すると、吸収隆起部34の形状を維持し難い。しかし、隆起中心域S34から幅方向Wの内側に延びる幅延長領域R41に第1圧搾領域811が配置されているため、隆起中心域S34から幅方向Wの内側への吸収材料の移動を抑制できる。加えて、隆起中心域S34から前後方向Lの外側に延びる前後延長領域R42に第2圧搾領域812が配置されているため、股下域S2の前後方向Lの中心から前後方向Lの外側に向けての吸収隆起部34の吸収材料の移動を抑制できる。よって、繰り返し種々の方向の力を受けた場合であっても、吸収隆起部34の形状を維持し、横漏れを抑制できる。
第1圧搾領域811は、隆起中心域S34よりも幅方向の内側のみに配置されてよい。例えば、吸収隆起部34を幅方向に二等分した中心部分又は吸収隆起部34を幅方向に三等分した中心部分に圧搾部が配置されている構成にあっては、粗密勾配の効果によって当該中心部分まで体液が拡散するおそれがある。これにより、吸収隆起部の幅方向の領域のうちの半分程度の範囲まで体液が拡散する。体液が拡散した領域は、湿潤状態となり、一般的によれ易い。しかし、第1圧搾領域811が隆起中心域S34よりも幅方向の内側のみに配置されている構成にあっては、吸収隆起部34内の体液の拡散を抑制し、よれを抑制できる。加えて、第1圧搾領域811が隆起中心域S34よりも幅方向の内側のみに配置されている構成にあっては、吸収隆起部内の体液の拡散を抑制し、吸収隆起部が身体にフィットした際の装着感を向上できる。また、吸収性物品が着用されて間もないタイミングでは、一般的に圧搾部を基点に変形し易い。例えば、吸収隆起部34を幅方向に二等分した中心部分又は吸収隆起34を幅方向に三等分した中心部分に圧搾部が配置されている構成にあっては、当該中心部分に変形基点が形成され、吸収隆起部内の変形基点によって吸収隆起部の隆起状態を実現し難いことがある。しかし、第1圧搾領域811が隆起中心域S34よりも幅方向の内側のみに配置されている構成にあっては、吸収隆起部の幅方向の中央近傍に変形基点が形成され難く、吸収隆起部の隆起状態を実現し、フィット性を維持できる。
第1圧搾領域811は、吸収隆起部34に重なって設けられていてもよいし、吸収隆起部34と重ならない領域、すなわち、中央領域R11の吸収薄部32に設けられてもよい。第1圧搾領域811は、吸収隆起部34の内側縁よりも幅方向の内側に配置されてよい。第1圧搾領域811が吸収隆起部34の内側縁よりも外側に位置する形態、すなわち、第1圧搾領域よりも幅方向の内側に吸収隆起部34の一部が配置された形態にあっては、第1圧搾領域よりも幅方向の内側に配置された吸収隆起部34から幅方向の内側への吸収材料の移動を抑制しし難い。しかし、本態様によれば、第1圧搾領域よりも幅方向の内側に吸収隆起部34が配置されてなく、幅方向の内側への吸収隆起部34の吸収材料の移動をより抑制できる。なお、第1圧搾領域811と吸収隆起部34が幅方向に離間した構成にあっては、吸収隆起部34からの吸収材料の移動を効果的に抑制するために、第1圧搾領域811と吸収隆起部34の距離が短いことが好ましい。具体的には、第1圧搾領域811と吸収隆起部34の距離は、第1圧搾領域811と吸収コア31の幅方向の中心との距離よりも短くてよい。また、吸収隆起部34からの吸収材料の移動を効果的に抑制するために、第1圧搾領域811は、吸収隆起部34の内側辺34Dに沿った形状であってよい。
第1圧搾領域811と第2圧搾領域812が離間していてもよい。しかし、好適には、中央圧搾部81は、第1圧搾領域811と第2圧搾領域812を繋ぐ第3圧搾領域813を有してよい。第1圧搾領域811と第2圧搾領域812が第3圧搾領域813を介して連なっており、隆起中心域S34の内側縁から前後方向Lに延びる内端仮想線EL343(図1参照)を幅方向に横断するように中央圧搾部81が設けられている。内端仮想線EL343を幅方向Wに横断する位置は、股下域S2の前後方向Lの中心よりも前後方向Lの外側である。押圧状態では、股下域S2は、幅方向の内側に押圧される。このとき、中央圧搾部81によって、幅方向Wの内側への吸収材料の移動を抑制できると共に、幅方向の内側かつ前後方向Lの外側に向かう斜め方向への吸収材料の移動を抑制できる。また、第1圧搾領域811と第2圧搾領域812が離間する構成よりも、第1圧搾領域811と第2圧搾領域812の隙間を介して吸収材料が移動することを抑制できるため、吸収材料の流出をより抑制し、吸収コア31の形状をより維持し易い。よって、繰り返し種々の方向の力を受けた場合であっても、吸収隆起部34の形状を維持し、横漏れを抑制できる。なお、中央圧搾部81は、線状に延びる形態のみならず、複数の圧搾された部分(構成要素)の集合体であってもよい。構成要素の集合体からなる圧搾部にあっては、構成要素間の距離が構成要素の最大寸法よりも短いことが好ましい。構成要素間の距離が構成要素の最大寸法よりも短い形態は、構成要素毎に別の圧搾部を構成せず、全体として一つの圧搾部を構成するものとする。
第1圧搾領域811と第2圧搾領域812が連なる形態において、中央圧搾部81は、第2圧搾領域812から幅方向の外側に延びる第4圧搾領域814を有し、第4圧搾領域814は、吸収隆起部34の幅方向の中心よりも外側に配置されてよい。この構成によれば、吸収隆起部34の幅方向における半分以上の領域で、股下域の前後方向Lの中心から前後方向Lの外側に向けての吸収材料の移動を抑制できる。よって、排泄口の側方に位置する領域において、吸収隆起部34の形状をより維持し、横漏れを抑制できる。より好適には、第4圧搾領域814は、吸収隆起部34の最外端を通りかつ前後方向Lに延びる外端仮想線EL344上に配置されてよい。この構成によれば、吸収隆起部34の幅方向における全域で、股下域S2の前後方向Lの中心から前後方向Lの外側に向けての吸収材料の移動を抑制できる。よって、排泄口の側方に位置する領域において、吸収隆起部34の形状をより維持し、横漏れを抑制できる。
第2圧搾領域812は、股下域S2の前後方向Lの中心よりも前側に位置する前第2圧搾領域F812と、股下域S2の前後方向Lの中心よりも後側に位置する後第2圧搾領域R812と、を有してよい。股下域の前後方向の中心から前側に向けての吸収隆起部34の吸収材料の移動を抑制できるとともに、股下域S2の前後方向の中心から前側に向けての吸収隆起部34の吸収材料の移動を抑制できる。排泄口の側方に位置する領域において、吸収隆起部34の形状を維持し、横漏れを抑制できる。なお、前第2圧搾領域F812と後第2圧搾領域R812は、1つの圧搾部に設けられていてもよいし、別々の圧搾部に設けられていてもよい。本実施の形態は、1個の中央圧搾部81内に、前第2圧搾領域F812と後第2圧搾領域R812が設けられていている。
第2圧搾領域812の少なくとも一部は、股下域S2よりも前側に配置されてよい。本実施の形態では、前第2圧搾領域F812が股下域S2の前端縁よりも前側に配置されている。前第2圧搾領域F812は、股下域S2に配置されてなく、前側域S1のみに配置されている。前第2圧搾領域F812によって、股下域S2よりも前側への吸収隆起部34の吸収材料の移動を抑制できる。また、第2圧搾領域812の少なくとも一部は、股下域S2よりも後側に配置されてよい。本実施の形態では、後第2圧搾領域R812が股下域S2の後端縁よりも後側に配置されている。後第2圧搾領域R812は、股下域S2に配置されてなく、後側域S3のみに配置されている。後第2圧搾領域R812によって、股下域よりも後側への吸収隆起部34の吸収材料の移動を抑制できる。股下域における吸収隆起部34の形状を維持し易くなり、繰り返し種々の方向の力を受けた場合であっても、吸収隆起部34の形状を維持し、横漏れを抑制できる。
吸収隆起部34の前端縁34F及び吸収隆起部34の後端縁34Rのうち少なくともいずれか一方は、前後方向Lにおいて第2圧搾領域812と股下域S2の中心との間に配置されてよい。吸収隆起部34の前端縁34F及び後端縁34Rの少なくとも一方よりも前後方向の外側には、圧搾部80が設けられている。よって、圧搾部80を境界として吸収材料の移動を抑制でき、吸収隆起部34とそれ以外の領域との厚み差及び剛性差を維持できる。また、吸収隆起部34は、股下域S2を中心とした一部の領域に配置される。吸収隆起部34の前後方向Lの外端縁よりも前後方向の外側の領域は、吸収隆起部34の剛性の影響を受け難く、柔軟に変形し身体に追従し易い。また、厚みが厚い吸収隆起部34を局所的に設けることにより、前後方向の全域にわたって厚みが厚い部分を設ける構成と比較して装着時の違和感を抑制するとともに、柔軟に変形する領域を設けることで、装着感を向上できる。
前後延長領域R42において、前第2圧搾領域F812は、吸収隆起部34の前端縁よりも前側に配置され、後第2圧搾領域R812は、吸収隆起部34の後端縁34Rよりも後側に配置されてよい。前後延長領域R42において、吸収隆起部34の前後方向Lの外側に圧搾部80が設けられており、圧搾部80を境界として吸収材料の移動を抑制でき、吸収隆起部34とそれ以外の領域との厚み差及び剛性差を維持できる。
吸収隆起部34の前端部における吸収隆起部34の幅方向の長さは、股下域S2の前後方向の中心における吸収隆起部34の幅方向の長さよりも短くてよい。着用者がうつ伏せで寝た状態等、腹側に体圧がかかった状態では、着用者の股下から鼠径部に対して吸収性物品が押圧され易い。着用者の鼠径部の形状は、股下域S2から前側に向かって幅方向の外側に膨らんでいる。吸収隆起部34の前端縁における吸収隆起部34の幅方向の長さが股下域S2の前後方向の中心における吸収隆起部34の幅方向の長さよりも短いことにより、鼠径部に対して当たる吸収隆起部34の幅が股下に対して当たる吸収隆起部34の幅よりも短くなる。鼠径部の形状に吸収隆起部34が沿い易く、吸収隆起部34の前端縁近傍に力が掛かりすぎることによる吸収隆起部34の型崩れを抑制できる。また、鼠径部に対して吸収性物品がフィットすることにより、鼠径部と吸収性物品との隙間の発生を抑制できる。よって、排泄口の側方のみならず鼠径部に対しても吸収隆起部34を当て続け、股下域S2の横漏れのみならず、鼠径部近傍の横漏れも抑制できる。
また、吸収隆起部34の後端部における吸収隆起部34の幅方向の長さは、股下域S2の前後方向の中心における吸収隆起部34の幅方向の長さよりも短くてよい。着用者が仰向けで寝た状態等、背側に体圧がかかった状態では、着用者の股下から臀部に対して吸収性物品が押圧され易い。着用者の臀部の形状は、股下域S2から前側に向かって幅方向の外側に膨らんでいる。吸収隆起部34の後端縁における吸収隆起部34の幅方向の長さが股下域S2の前後方向の中心における吸収隆起部34の幅方向の長さよりも短いことにより、臀部に対して当たる部分の吸収隆起部34の幅が股下に対して当たる部分の吸収隆起部34の幅よりも短くなり、臀部の形状に吸収隆起部34が沿い易く、吸収隆起部34の後端縁近傍の力が掛かりすぎることによる型崩れを抑制できる。また、臀部に対して吸収性物品がフィットすることにより、臀部と吸収性物品との隙間の発生を抑制できる。よって、排泄口の側方のみならず臀部に対しても吸収隆起部34を当て続け、股下域S2の横漏れのみならず、臀部近傍の横漏れも抑制できる。
吸収隆起部34の内側辺34Dは、股下域S2の前後方向の中心から前側に向かって幅方向の外側に延びてよい。吸収隆起部34の内側辺34Dは、前側に向かって幅方向の外側に延びており、鼠径部の形状に沿い易くなる。また、一対の吸収隆起部34によって挟まれた吸収薄部32の幅方向の長さは、吸収隆起部34の前端縁から後側に向かって短くなる。よって、図12に示すように、両足によって吸収隆起部34が押圧された際に、吸収薄部32は、股下域S2の前後方向の中心において着用者側に隆起し、当該部分から前側に向かって徐々に低くなる。股下域S2の前後方向の中心において吸収薄部32が対向して配置される膣口B1は、左右の陰唇部B2と比較して凹んでいる。股下域S2の前後方向の中心において着用者側に吸収薄部32が隆起することにより、膣口B1に対するフィット性を向上できる。中央領域R11における吸収薄部32は、股下域S2の前後方向の中心において着用者側に隆起し、当該部分から前側に向かって徐々に低くなる。そのため、吸収薄部32は、一対の吸収隆起部34を基点として、吸収隆起部34の前端縁から股下域S2の前後方向の中心に向かって幅方向の内側かつ後側に向かって押圧される。左右の吸収隆起部34から幅方向の内側かつ後側に向かう力がかかり、中央領域R11における吸収薄部32の幅方向の中央かつ股下域S2の前後方向の中心でこれらの力がぶつかり、吸収薄部32の隆起状態を維持しやすくなる。
また、吸収隆起部34の内側辺34Dは、股下域S2の前後方向の中心から後側に向かって幅方向の外側に延びてよい。一対の吸収隆起部34によって挟まれた吸収薄部の幅方向の長さは、吸収隆起部34の後端縁から前側に向かって短くなる。よって、図12に示すように、両足によって吸収隆起部34が押圧された際に、吸収薄部は、股下域S2の前後方向の中心において着用者側に隆起し、当該部分から後側に向かって徐々に低くなる。股下域S2の前後方向の中心において着用者側に吸収薄部32が隆起することにより、膣口に対するフィット性を向上できる。中央領域R11における吸収薄部は、股下域S2の前後方向の中心において着用者側に隆起し、当該部分から後側に向かって徐々に低くなる。そのため、吸収薄部は、一対の吸収隆起部34を基点として、吸収隆起部34の後端縁から股下域S2の前後方向の中心に向かって幅方向の内側かつ前側に向かって押圧される。左右の吸収隆起部34から幅方向の内側かつ前側に向かう力がかかり、中央領域R11における吸収薄部32の幅方向の中央かつ股下域S2の前後方向の中心でぶつかり、吸収薄部32の隆起状態を維持しやすくなる。
吸収隆起部34の内側辺34Dは、吸収隆起部34の内側縁から前側に向かって幅方向の外側に向かって円弧状に延びるとともに、吸収隆起部34の内側縁から後側に向かって幅方向の外側に向かって円弧状に延びてよい。吸収隆起部34の内側辺34Dのうち内側縁から前側に向かって延び部分の曲率は、吸収隆起部34の内側辺34Dのうち内側縁から後側に向かって延びる内側辺34Dの曲率と同じであってよい。しかし、より好適には、吸収隆起部34の内側辺34Dのうち内側縁から前側に向かって延び部分の曲率は、吸収隆起部34のうち内側辺34Dの内側縁から後側に向かって延びる内側辺34Dの曲率よりも小さくてよい。一般的な着用者の鼠径部及び臀部では、股下から幅方向の外側に広がり始めるまでの前後方向の距離が鼠径部の方が短い。内側辺34Dから前側に向かって延びる吸収隆起部34の内側辺34Dの曲率が比較的小さいため、鼠径部の形状に沿うように吸収隆起部34の内側辺34Dを配置し、鼠径部間の領域に吸収薄部を当てることができる。また、一般的な着用者の鼠径部及び臀部では、股下から幅方向の外側に広がり始めるまでの前後方向の距離が臀部の方が長い。内側辺34Dから後側に向かって延びる吸収隆起部34の内側辺34Dの曲率が比較的大きいため、臀部の形状に沿うように吸収隆起部34の内側辺34Dを配置し、臀部の頂点間の領域に吸収薄部32を当てることができる。
ここで、内側辺の曲率の比較は、以下の方法で測定できる。内側辺の前端縁と内側辺の内側縁を繋ぐ円弧の曲率RFと、内側辺の後端縁と内側辺の内側縁を繋ぐ円弧の曲率RRと、を算出し、両曲率を比較できる。内側辺の前端縁と内側辺の内側縁を繋ぐ円弧の曲率RFは、内側辺の内側縁を「A」とし、内側辺の前端縁を「C」とし、内側辺上の「A」と「C」の前後方向の中心を「B」とし、AとCを繋ぐAC直線と、Bを通り、かつAC直線に対する垂線と、の交点を「D」とすると、式1によって算出できる。
(式1)
RF=((BとAを繋ぐ直線長さ)×(BとCを繋ぐ直線の長さ))/(BとDを繋ぐ直線の長さ×2)
また、内側辺の後端縁と内側辺の内側縁を繋ぐ円弧の曲率RRは、内側辺の内側縁を「A」とし、内側辺の後端縁を「F」とし、内側辺上の「A」と「F」の前後方向の中心を「E」とし、AとFを繋ぐAF直線と、Eを通り、かつAF直線に対する垂線と、の交点を「G」とすると、式2によって算出できる。
(式2)
RR=((EとAを繋ぐ直線長さ)×(EとFを繋ぐ直線の長さ))/(EとGを繋ぐ直線の長さ×2)
吸収隆起部34の外側辺34Eは、前後方向に沿ってよい。吸収隆起部34の外側辺34Eが前後方向に延びているため、吸収隆起部34の外側辺34Eに沿ってウイングの折り目を形成できる。ウイングの折り目は、着用状態において着用物品の股下域S2における外側辺34E近傍に配置される。一般的に、着用者は、ウイング25の折り目を下着のクロッチ部の外側辺の近くに配置しようとして、装着時に吸収性物品1を幅方向の外側に引っ張る。これにより、ウイング25の折り目が着用状態において着用物品のクロッチ部の外側辺近傍に配置され、着用状態における吸収コア31の幅方向の長さを確保し易い。よって、吸収隆起部34を排泄口の側方にあてて、横漏れを抑制できる。
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。