JP7186068B2 - 時計バンド用潤滑組成物、時計バンドの製造方法および時計バンド - Google Patents
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Description
<時計バンド用潤滑組成物>
実施形態1の時計バンド用潤滑組成物は、金属製の時計バンドを作製する際に、駒のピン挿入部とピンとの間に潤滑用の成分を供給するために用いられる。ピンおよび駒は、たとえばステンレス鋼、チタン、チタン合金、銅、銅合金、タングステン、ニッケル合金により形成される。
潤滑剤(A)は、パラフィンワックス(A-1)を含むか、または融点が45℃以上であり炭素原子数が23以上38以下の脂肪族飽和炭化水素(A-2)から選ばれる少なくとも1種を含む。パラフィンワックス(A-1)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、脂肪族飽和炭化水素(A-2)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
耐摩耗剤(B)は、下記一般式(b-1)で表わされる中性リン酸エステル(B-1)および下記一般式(b-2)で表わされる中性亜リン酸エステル(B-2)から選ばれる少なくとも1種を含む。中性リン酸エステル(B-1)および中性亜リン酸エステル(B-2)は、それぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。1種または2種以上の中性リン酸エステル(B-1)および1種または2種以上の中性亜リン酸エステル(B-2)を組み合わせて用いてもよい。
溶媒としては、潤滑剤(A)および耐摩耗剤(B)を溶解できる限り、特に制限されない。溶媒としては、具体的には、ヘキサン、ノナン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、クロロホルム、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、メタノールが挙げられ、安全性の観点から、ヘキサン、ノナンが好適に用いられる。溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
実施形態1の時計バンド用潤滑組成物は、さらに、酸化防止剤(C)として、後述するヒンダードアミン化合物(C-1)を含んでいてもよい。
実施形態1の時計バンド用潤滑組成物は、さらに、蛍光剤(D)として、クマリンおよびクマリン誘導体から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。なお、実施形態1の時計バンド用潤滑組成物は、蛍光剤(D)を含んでいなくてもよい。クマリンおよびクマリン誘導体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本明細書において、「クマリンおよびクマリン誘導体」をまとめて「クマリン等」ともいう。
実施形態1の時計バンド用潤滑組成物は、さらに、その他の成分を含んでいてもよい。実施形態1の時計バンド用潤滑組成物がその他の成分を含んでいる場合は、時計バンドの作製の際に、ピンは、潤滑剤(A)、耐摩耗剤(B)およびその他の成分が付着した状態で駒のピン挿入部に差し込まれる。
実施形態1の時計バンドの製造方法は、ピンおよびピン挿入部を有する駒を含む時計バンドの製造方法である。ピンおよび駒は、たとえばステンレス鋼、チタン、チタン合金、銅、銅合金、タングステン、ニッケル合金により形成される。具体的には、実施形態1の時計バンドの製造方法は、ピンに、潤滑剤(A)と耐摩耗剤(B)と溶媒とを含む時計バンド用潤滑組成物を付着し、次いで、溶媒を蒸発させて、ピンに潤滑剤(A)および耐摩耗剤(B)を付着する工程(成分付着工程)と、ピン挿入部に、潤滑剤(A)および耐摩耗剤(B)が付着したピンを挿入し、ピンにより駒を固定する工程(駒固定工程)とを含む。時計バンド用潤滑組成物として、上述した時計バンド用潤滑組成物が用いられる。
実施形態2の時計バンド用潤滑組成物は、潤滑剤(A)と耐摩耗剤(B)と蛍光剤(D)と溶媒とを含む時計バンド用潤滑組成物であって、潤滑剤(A)は、パラフィンワックス(A-1)を含むか、または融点が45℃以上であり炭素原子数が23以上38以下の脂肪族飽和炭化水素(A-2)から選ばれる少なくとも1種を含み、耐摩耗剤(B)は、下記一般式(b-1)で表わされる中性リン酸エステル(B-1)および下記一般式(b-2)で表わされる中性亜リン酸エステル(B-2)から選ばれる少なくとも1種を含み、蛍光剤(D)は、クマリンおよびクマリン誘導体から選ばれる少なくとも1種を含み、時計バンド用潤滑組成物中、潤滑剤(A)、蛍光剤(D)および耐摩耗剤(B)の濃度は、合計で0.0025質量%以上0.1質量%未満であり、潤滑剤(A)および蛍光剤(D)が、合計で、耐摩耗剤(B)の量以上の量(質量部)で含まれている。
[1]潤滑剤(A)と耐摩耗剤(B)と溶媒とを含む時計バンド用潤滑組成物であって、上記潤滑剤(A)は、パラフィンワックス(A-1)を含むか、または融点が45℃以上であり炭素原子数が23以上38以下の脂肪族飽和炭化水素(A-2)から選ばれる少なくとも1種を含み、上記耐摩耗剤(B)は、下記一般式(b-1)で表わされる中性リン酸エステル(B-1)および下記一般式(b-2)で表わされる中性亜リン酸エステル(B-2)から選ばれる少なくとも1種を含み、上記時計バンド用潤滑組成物中、上記潤滑剤(A)および上記耐摩耗剤(B)の濃度は、合計で0.0025質量%以上0.1質量%未満である、時計バンド用潤滑組成物。
上記時計バンド用潤滑組成物は、時計バンドに用いたときに、駒のピン挿入部とピンとの間から、潤滑用の成分がしみ出し難い。
上記時計バンド用潤滑組成物は、潤滑用の成分の膜をより強固にでき、しみ出しをさらに抑制できるとともに、耐摩耗剤(B)との相溶性がよい点で好ましい。
上記時計バンド用潤滑組成物は、潤滑剤(A)および耐摩耗剤(B)の含有量がより少なくても、長期に渡って駒の連結部を潤滑できる。
上記時計バンド用潤滑組成物は、潤滑剤(A)および耐摩耗剤(B)が適切に付着しているかを検査できる。
上記時計バンド用潤滑組成物は、耐摩耗剤(B)をピンに付着させやすい。
上記時計バンドの製造方法および上記時計バンドによれば、駒のピン挿入部とピンとの間から、潤滑剤(A)および耐摩耗剤(B)がしみ出し難く、美観が維持できる。また、長期に渡って駒の連結部を潤滑できる。
上記時計バンド用潤滑組成物は、時計バンドに用いたときに、駒のピン挿入部とピンとの間から、潤滑用の成分がしみ出し難い。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)としてオクタコサン(純度98%以上、融点60~63℃)、中性亜リン酸エステル(B-2)として、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニルジトリデシルフォスファイト)(式(b-2)において、Rb21~Rb24=トリデシル基、Rb25、Rb27=メチル基、Rb26、Rb28=t-ブチル基、Rb291=水素原子、Rb292=n-プロピル基である化合物)、および溶媒としてヘキサンを用いた。
ヘキサンに、オクタコサンおよび4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニルジトリデシルフォスファイト)を添加し、超音波による攪拌を行って時計バンド用潤滑組成物を得た。なお、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)は、速やかに溶媒に溶けた。
ここで、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、合計で、0.01質量%となるように調製した。また、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.005質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.005質量%となるように調製した。
実施例1-1で得られた時計バンド用潤滑組成物に、ヘキサンをさらに加えて時計バンド用潤滑組成物を調製した。
ここで、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度は、0.0075質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.00375質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.00375質量%となるように調製した。
実施例1-1で得られた時計バンド用潤滑組成物に、ヘキサンをさらに加えて時計バンド用潤滑組成物を調製した。
ここで、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度は、0.005質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.0025質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.0025質量%となるように調製した。
実施例1-1で得られた時計バンド用潤滑組成物に、ヘキサンをさらに加えて時計バンド用潤滑組成物を調製した。
ここで、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度は、0.0025質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.00125質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.00125質量%となるように調製した。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度が、0.02質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度が、0.01質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、0.01質量%となるように調製した以外は、実施例1-1と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度が、0.05質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度が、0.025質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、0.025質量%となるように調製した以外は、実施例1-1と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度が、0.09質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度が、0.045質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、0.045質量%となるように調製した以外は、実施例1-1と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)としてオクタコサン(純度98%以上)、中性亜リン酸エステル(B-2)として、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニルジトリデシルフォスファイト)(式(b-2)において、Rb21~Rb24=トリデシル基、Rb25、Rb27=メチル基、Rb26、Rb28=t-ブチル基、Rb291=水素原子、Rb292=n-プロピル基である化合物)、および溶媒としてヘキサンを用いた。
ヘキサンに、オクタコサンおよび4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニルジトリデシルフォスファイト)を添加し、超音波による攪拌を行って時計バンド用潤滑組成物を得た。なお、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)は、速やかに溶媒に溶けた。
ここで、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、合計で、0.01質量%となるように調製した。また、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.0067質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.0033質量%となるように調製した。
実施例1-8で得られた時計バンド用潤滑組成物に、ヘキサンをさらに加えて時計バンド用潤滑組成物を調製した。
ここで、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度は、0.0075質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.005質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.0025質量%となるように調製した。
実施例1-8で得られた時計バンド用潤滑組成物に、ヘキサンをさらに加えて時計バンド用潤滑組成物を調製した。
ここで、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度は、0.005質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.0033質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.0017質量%となるように調製した。
実施例1-8で得られた時計バンド用潤滑組成物に、ヘキサンをさらに加えて時計バンド用潤滑組成物を調製した。
ここで、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度は、0.0025質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.00167質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.00083質量%となるように調製した。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度が、0.02質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度が、0.0133質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、0.0067質量%となるように調製した以外は、実施例1-8と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度が、0.05質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度が、0.033質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、0.017質量%となるように調製した以外は、実施例1-8と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度が、0.09質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度が、0.06質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、0.03質量%となるように調製した以外は、実施例1-8と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
実施例1-1で得られた時計バンド用潤滑組成物に、ヘキサンをさらに加えて時計バンド用潤滑組成物を調製した。
ここで、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度は、0.002質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.001質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.001質量%となるように調製した。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)としてオクタコサン(純度98%以上)の代わりに、ドトリアコンタン(純度96%以上、融点69~72℃)を用い、超音波による攪拌時間を長くした以外は、実施例1-1と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。なお、超音波による攪拌時間を長くすると、溶媒に脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)を溶かすことができた。
すなわち、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、合計で、0.01質量%となるように調製した。また、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.005質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.005質量%となるように調製した。
実施例2-1で得られた時計バンド用潤滑組成物に、ヘキサンをさらに加えて時計バンド用潤滑組成物を調製した。
ここで、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度は、0.0025質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.00125質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.00125質量%となるように調製した。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度が、0.02質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度が、0.01質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、0.01質量%となるように調製した以外は、実施例2-1と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度が、0.09質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度が、0.045質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、0.045質量%となるように調製した以外は、実施例2-1と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)としてオクタコサン(純度98%以上)の代わりに、ドトリアコンタン(純度96%以上)を用い、超音波による攪拌時間を長くした以外は、実施例1-8と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。なお、超音波による攪拌時間を長くすると、溶媒に脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)を溶かすことができた。
すなわち、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、合計で、0.01質量%となるように調製した。また、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.0067質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.0033質量%となるように調製した。
実施例2-5で得られた時計バンド用潤滑組成物に、ヘキサンをさらに加えて時計バンド用潤滑組成物を調製した。
ここで、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度は、0.0025質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.00167質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.00083質量%となるように調製した。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度が、0.02質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度が、0.0133質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、0.0067質量%となるように調製した以外は、実施例2-5と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度が、0.09質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度が、0.06質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、0.03質量%となるように調製した以外は、実施例2-5と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)としてオクタコサン(純度98%以上)の代わりに、テトラコサン(純度99%以上、融点50~53℃)を用いた以外は、実施例1-1と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
すなわち、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、合計で、0.01質量%となるように調製した。また、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.005質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.005質量%となるように調製した。
実施例3-1で得られた時計バンド用潤滑組成物に、ヘキサンをさらに加えて時計バンド用潤滑組成物を調製した。
ここで、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度は、0.0025質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.00125質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.00125質量%となるように調製した。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度が、0.02質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度が、0.01質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、0.01質量%となるように調製した以外は、実施例3-1と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度が、0.09質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度が、0.045質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、0.045質量%となるように調製した以外は、実施例3-1と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)としてのオクタコサン(純度98%以上)の代わりに、パラフィンワックス(A-1)としてのパラフィンワックス130°F(融点46.1~68.3℃、代表融点54.4℃であり、液体の油分を含有している。)を用いた以外は、実施例1-1と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
すなわち、パラフィンワックス(A-1)および中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、合計で、0.01質量%となるように調製した。また、パラフィンワックス(A-1)の濃度は、0.005質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.005質量%となるように調製した。
実施例4-1で得られた時計バンド用潤滑組成物に、ヘキサンをさらに加えて時計バンド用潤滑組成物を調製した。
ここで、パラフィンワックス(A-1)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度は、0.0025質量%、パラフィンワックス(A-1)の濃度は、0.00125質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.00125質量%となるように調製した。
パラフィンワックス(A-1)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度が、0.02質量%、パラフィンワックス(A-1)の濃度が、0.01質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、0.01質量%となるように調製した以外は、実施例4-1と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
パラフィンワックス(A-1)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度が、0.09質量%、パラフィンワックス(A-1)の濃度が、0.045質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、0.045質量%となるように調製した以外は、実施例4-1と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
中性亜リン酸エステル(B-2)として4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニルジトリデシルフォスファイト)(式(b-2)において、Rb21~Rb24=トリデシル基、Rb25、Rb27=メチル基、Rb26、Rb28=t-ブチル基、Rb291=水素原子、Rb292=n-プロピル基である化合物)の代わりに、表5の化合物を用いた以外は、実施例1-1と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。なお、表5において、Rb21~Rb24、Rb25、Rb27、Rb26、Rb28、Rb291およびRb292は、式(b-2)における置換基を表す。
すなわち、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、合計で、0.01質量%となるように調製した。また、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.005質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.005質量%となるように調製した。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)としてオクタコサン(純度98%以上)、中性亜リン酸エステル(B-2)として、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニルジトリデシルフォスファイト)(式(b-2)において、Rb21~Rb24=トリデシル基、Rb25、Rb27=メチル基、Rb26、Rb28=t-ブチル基、Rb291=水素原子、Rb292=n-プロピル基である化合物)、蛍光剤(D)としてクマリン誘導体(分子量231、4位および7位に置換基が導入されている誘導体であり、4位の置換基は炭素数1~2である。)、および溶媒としてヘキサンを用いた。
ヘキサンに、オクタコサン、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニルジトリデシルフォスファイト)およびクマリン誘導体を添加し、超音波による攪拌を行って時計バンド用潤滑組成物を得た。なお、脂肪族飽和炭化水素(A-2)および中性亜リン酸エステル(B-2)は、速やかに溶媒に溶けた。
ここで、脂肪族飽和炭化水素(A-2)、蛍光剤(D)および中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、合計で、0.01質量%となるように調製した。また、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度は、0.0025質量%、蛍光剤(D)の濃度は、0.0025質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度は、0.005質量%となるように調製した。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)、蛍光剤(D)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度が、0.02質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度が、0.005質量%、蛍光剤(D)の濃度は、0.005質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、0.01質量%となるように調製した以外は、実施例6-1と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
脂肪族飽和炭化水素(A-2)、蛍光剤(D)および中性亜リン酸エステル(B-2)の合計の濃度が、0.0075質量%、脂肪族飽和炭化水素(A-2)の濃度が、0.0025質量%、蛍光剤(D)の濃度は、0.0025質量%、中性亜リン酸エステル(B-2)の濃度が、0.0025質量%となるように調製した以外は、実施例6-1と同様にして、時計バンド用潤滑組成物を得た。
ヘキサン100質量部、トリオレイルフォスファイト0.1質量部および130°パラフィン0.1質量部を混合して時計バンド用潤滑組成物を得た。このとき、トリオレイルフォスファイトおよびパラフィンは溶媒に溶解していた。
下記の評価方法1、2を行った。
(評価1)
実施例1-1~5-6、比較例1-1、2-1の時計バンド用潤滑組成物については、以下の手順で行った。小皿に入れたインコネル製のピンに時計バンド用潤滑組成物をたらし、常温で乾燥し、溶媒を蒸発させた。潤滑用の成分を付着させたピンと、ステンレス製の駒とを用いて時計バンドを組み立てた。
また、実施例6-1~6-3の時計バンド用潤滑組成物については、以下の手順で行った。小皿に入れたインコネル製のピンに時計バンド用潤滑組成物をたらし、100℃で乾燥し、溶媒および蛍光剤(D)を蒸発または昇華させた。潤滑用の成分を付着させたピンと、ステンレス製の駒とを用いて時計バンドを組み立てた。
組立てた時計バンドについて、大気中、100℃で1時間保持した。次いで、駒のピン挿入部とピンとの間から、潤滑用の成分がしみ出しているか否かを調べた。
評価基準は、以下の通りである。なお、A~Cであれば、時計バンドを使用する際、長期に渡って、美観を維持できるレベルである。
A:潤滑用の成分のしみ出しは見られない。
B:潤滑用の成分が、わずかにしみ出している。
C:潤滑用の成分が、少ししみ出している(Bよりも多い量である)。
D:潤滑用の成分が、しみ出している(Cよりも多い量である)。
下記の表に評価結果を示す。
実施例1-1~5-6および比較例1-1、2-1の時計バンド用潤滑組成物について、以下の手順で行った。ステンレス製の駒のピン挿入部にインコネル製のピンを挿入して、先に時計バンドを組み立てた。次いで、駒のピン挿入部とピンとの間に、時計バンド用潤滑組成物をたらし、常温で乾燥し、溶媒を蒸発させた。
このようにして、駒のピン挿入部とピンとの間に、潤滑用の成分を付着させた。
組立てた時計バンドについて、大気中、100℃で1時間保持した。次いで、駒のピン挿入部とピンとの間から、潤滑用の成分がしみ出しているか否かを調べた。
評価基準は、以下の通りである。なお、A~Cであれば、時計バンドを使用する際、長期に渡って、美観を維持できるレベルである。
A:潤滑用の成分のしみ出しは見られない。
B:潤滑用の成分が、わずかにしみ出している。
C:潤滑用の成分が、少ししみ出している(Bよりも多い量である)。
D:潤滑用の成分が、しみ出している(Cよりも多い量である)。
下記の表に評価結果を示す。
Claims (6)
- 潤滑剤(A)と耐摩耗剤(B)と溶媒とを含む時計バンド用潤滑組成物であって、
前記潤滑剤(A)は、オクタコサンであり、
前記耐摩耗剤(B)は、下記一般式(b-1)で表わされる中性リン酸エステル(B-1)および下記一般式(b-2)で表わされる中性亜リン酸エステル(B-2)から選ばれる少なくとも1種を含み、
前記時計バンド用潤滑組成物中、前記潤滑剤(A)および前記耐摩耗剤(B)の濃度は、合計で0.0025質量%以上0.015質量%以下である、
時計バンド用潤滑組成物。
- さらに、蛍光剤(D)として、クマリンおよびクマリン誘導体から選ばれる少なくとも1種を含む、
請求項1または請求項2に記載の時計バンド用潤滑組成物。 - 前記潤滑剤(A)が、前記耐摩耗剤(B)の量以上の量(質量部)で含まれている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の時計バンド用潤滑組成物。 - ピンおよびピン挿入部を有する駒を含む時計バンドの製造方法であって、
前記ピンに、潤滑剤(A)と耐摩耗剤(B)と溶媒とを含む時計バンド用潤滑組成物を付着し、次いで、前記溶媒を除去して、前記ピンに前記潤滑剤(A)および前記耐摩耗剤(B)を付着する工程と、
前記ピン挿入部に、前記潤滑剤(A)および前記耐摩耗剤(B)が付着した前記ピンを挿入し、前記ピンにより前記駒を固定する工程とを含み、
前記潤滑剤(A)は、オクタコサンであり、
前記耐摩耗剤(B)は、下記一般式(b-1)で表わされる中性リン酸エステル(B-1)および下記一般式(b-2)で表わされる中性亜リン酸エステル(B-2)から選ばれる少なくとも1種を含み、
前記時計バンド用潤滑組成物中、前記潤滑剤(A)および前記耐摩耗剤(B)の濃度は、合計で0.0025質量%以上0.015質量%以下である、
時計バンドの製造方法。
- ピンおよびピン挿入部を有する駒を含む時計バンドであって、前記ピン挿入部に前記ピンが挿入され、前記ピンにより前記駒が固定されており、
前記ピンおよび前記駒の間に、潤滑剤(A)および耐摩耗剤(B)が介在しており、
前記潤滑剤(A)は、オクタコサンであり、
前記耐摩耗剤(B)は、下記一般式(b-1)で表わされる中性リン酸エステル(B-1)および下記一般式(b-2)で表わされる中性亜リン酸エステル(B-2)から選ばれる少なくとも1種を含む、
時計バンド。
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