以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる苗移植機1の略左側面図であり、図2は、図1に示された苗移植機1の略平面図である。本明細書においては、図1および図2に矢印で示されるように、苗移植機1の進行方向となる側を前方(F)とし、左右の方向判断は、特に断りがない限り、苗移植機1の進行方向を基準とする。
図1および図2に示されるように、苗移植機1は、走行車両2と、走行車両2の後部に取り付けられた苗植付部35を備えている。
図1に示されるように、走行車両2は、走行車両2の略中央に配置されたメインフレーム3と、前輪5および後輪6と、走行車両2の後部に設けられ、苗植付部35において植え付けられる苗に肥料を供給する施肥装置24を備えている。
図1および図2に示されるように、メインフレーム3の上方にはフロアステップ19が設けられ、フロアステップ19の上方には、走行車両2の前部に配置されたフロントカバー10と、フロントカバー10の後方に配置されたステアリングハンドル17と、ステアリングハンドル17の近傍に配置された操作部12と、フロントカバー10に覆われ、苗移植機1を制御する制御部(図1および図2には図示せず)と、操作部12の後方に配置された操縦席11とが設けられている。
操作部12は、走行車両2の前後進を操作するための前後進レバー20(図2参照)と、ステアリングハンドル17の下方に設けられた副変速レバー21(図1参照)を備え、図2に示されるように、前後進レバー20は、ステアリングハンドル17の側方に設けられている。
図1に示されるように、操縦席11の下方にはエンジン4が設けられており、エンジン4から出力された駆動力は、フロアステップ19の下方に設けられたベルト式動力伝達機構9および油圧式無段変速機8を介してミッションケース7に伝動された後に、ミッションケース7によって、前輪5および後輪6への走行用の動力と、苗植付部35を駆動するための動力とに分けて伝動される。
走行用の動力は、ミッションケース7の左右に設けられた前輪ファイナルケース13および車軸67を介して前輪5に伝動される他、後輪ギアケース14および車軸68を介して後輪6に伝動されることにより、走行車両2が前進または後退可能に構成されている。
ここに、作業者がステアリングハンドル17を切ると、ステアリングハンドル17の操舵操作が操作部12内に設けられた伝動機構を介して前輪ファイナルケース13に伝達され、前輪5の向きを変更可能に構成されている。また、ステアリングハンドル17のシャフトにはステアリングセンサ(図1ないし図2には図示せず)が設けられており、ステアリングセンサは、ステアリングハンドル17が切られた角度を検出し、検出結果を制御部に出力するように構成されている。
また、後輪ギアケース14に伝動された走行用の動力の一部は、施肥クラッチ(図示せず)が入れられた際に、施肥装置24に伝動される。
一方、苗植付部35を駆動するための動力は、走行車両2の後部に設けられた植付クラッチケース30(図1参照)内の植付クラッチ(図示せず)に伝動され、植付クラッチが入れられた際に、植付伝動軸(図示せず)を介して苗植付部35へ伝動される。
図1に示されるように、苗植付部35は、昇降リンク装置98を介して走行車両2に連結されている。昇降リンク装置98は、上部リンクアーム44および左右一対の下部リンクアーム45を備え、苗植付部35を昇降可能に構成されている。
上部リンクアーム44および下部リンクアーム45の一端は、メインフレーム3の後部に設けられたリンクベースフレーム69に取り付けられ、他端は苗植付部35の下部に位置する上下リンクアーム70に取り付けられている。そして、制御部により制御される電子油圧バルブ(図1および図2には図示せず)によって、昇降油圧シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上部リンクアーム44が上下に回動し、苗植付部35を、苗植付部35の下端がメインフレーム3の底部と略同一の高さとなる非作業位置(上昇位置)まで上昇させ、あるいは、苗植付部35が接地し、圃場に苗を植付けるのに好適な作業位置(下降位置)まで下降させることができ、苗植付部35が非作業位置にある場合には、苗植付部35が圃場に接地しないため、走行車両2の走行を妨げることを防止することができる。
苗植付部35は、その下端部に、苗の植付前に圃場を整地し、苗植付部35による苗の植付性能を向上させるために設けられた計5つのフロートを備えている。
具体的には、苗植付部35は、図2に示されるように、機体幅方向中央部に配置されたセンターフロート38と、センターフロート38の左右に2つずつ配置されたサイドフロート39を備えている。
各フロート38,39は、その前部が上下に揺動可能に支持されており、苗移植機1の走行と同時に、圃場上で各フロート38,39を滑らせることによって圃場を整地可能に構成されている。また、センターフロート38は圃場の凹凸に合わせてその前部が上下するように構成され、センターフロート38の前部に設けられ、ポテンショメータによって構成されたフロートセンサ(図1および図2には図示せず)は、センターフロート38前部の上下位置を検出し、制御部に出力するように構成されている。
制御部は、フロートセンサからの検出信号に基づき、電子油圧バルブを制御して、昇降油圧シリンダ46を伸縮させ、苗植付部35を昇降させることにより、圃場への苗の植付深さを一定に維持することができる。
ここに、昇降リンク装置98の上部リンクアーム44とリンクベースフレーム69との連結部分には、リンクセンサ(図1および図2には図示せず)が設けられており、リンクセンサは、リンクベースフレーム69に対する上部リンクアーム44の相対角度を検出して、制御部に出力し、制御部は出力信号に基づいて苗植付部35の現在の高さ(上下位置)を算出可能に構成されている。
図2に示されるように、苗植付部35の後部には4つの植付装置36が設けられている。各植付装置36は、伝動ケース40と、伝動ケース40に設けられた植付ケース42と、図1に示されるように、各植付ケース42に2つずつ取り付けられた植付具41を備えている。各植付具41は、各フロート38,39により整地された圃場に、以下のようにして、苗を植え付けることができる。
図2に示されるように、本実施態様にかかる苗移植機1の苗植付部35には植付具41が機体幅方向に8列に並べて設けられている。そして、各植付ケース42が機体幅方向に延びる回動軸周りに回転されることにより、各植付ケース42に取り付けられた(前後に並ぶ)2つの植付具41(図1参照)は、交互に、苗植付部35の上部に設けられた苗載置台37に載置された土付きのマット状の苗(以下、「苗マット」という。)のうち、図2に示された苗取出口43に位置する苗を、その先端部で取り出して圃場に移植することができる。
各植付ケース42に取り付けられた(前後に並ぶ)2つの植付具41(図1参照)は、互いに機体幅方向における位置が一致しており、したがって、機体幅方向の位置が一致するように、苗を苗移植機1の進行方向と略平行に1列に植え付けることができる。また、本実施態様にかかる苗移植機1の苗植付部35には、図2に示されるように、植付具41が機体幅方向に8列に並べて設けられているから、走行車両2が圃場を走行する際に、同時に8列分の苗を植付けることができる。
図2に示されるように、苗載置台37は、その上面に苗送りベルト62を備えており、苗送りベルト62によって、苗載置台37に載置された苗マットを後方かつ下方に移送することができ、また、苗載置台37は、機体幅方向に往復動することにより、苗取出口43に苗を一株ずつ供給可能に構成されている。
図1に示されるように、施肥装置24は、圃場上の各列に施肥する肥料を貯留可能な施肥ホッパ49と、施肥ホッパ49の下方に設けられた繰出装置(図示せず)と、繰出装置によって繰り出された肥料を圃場面に移送するための施肥ホース51と、施肥装置24の前端部に設けられ、施肥ホース51によって肥料を移送するための搬送風を発生させるブロワ52と、施肥ホース51の後端部に取り付けられた作溝器72を備えている。施肥ホース51によって移送された肥料は、作溝器72によって形成された圃場上の施肥溝に落とし込まれる。
図1および図2に示されるように、走行車両2の前部には、苗植付部35の苗載置台37に補充する苗マットを載置するための左右一対の予備苗載台58が設けられ、左右の予備苗載台58はそれぞれ、フロアステップ19の下部に取り付けられた支持フレーム84に支持されている。
図3は、図1に示された苗移植機1の制御系、検出系、入力系および駆動系のブロックダイアグラムである。
図3に示されるように、苗移植機1の制御系は、苗移植機1全体の動作を制御する制御部90と、制御プログラムなどが格納されたROM55および種々のデータが格納されるRAM54を備えている。
図3に示されるように、苗移植機1の検出系は、ステアリングハンドル17が操舵された角度を検出するステアリングセンサ32と、後輪ギアケース14に内装され、後輪6の回転数をカウントする後輪回転センサ15と、センターフロート38の前部に設けられ、センターフロート38前部の上下位置を検出するフロートセンサ33と、昇降リンク装置98の上部リンクアーム44とリンクベースフレーム69との連結部分に設けられ、リンクベースフレーム69に対する上部リンクアーム44の相対角度を検出するリンクセンサ53と、植付クラッチの入切の状態を検出する植付クラッチセンサ50を備えている。
図3に示されるように、苗移植機1の入力系は操作部12を備えており、操作部12は、ポテンショメータにより構成され、前後進レバー20の位置を検出する前後進レバーセンサ31と、ポテンショメータにより構成され、副変速レバー21の位置を検出する副変速レバーセンサ63を備えている。
図3に示されるように、苗移植機1の駆動系は、操縦席11の下方に設けられたエンジン4と、苗植付部35を昇降させる苗植付部昇降手段として機能し、苗植付部35を昇降させる際に昇降油圧シリンダ46を伸縮させる電子油圧バルブ47と、油圧式無段変速機8内のトラニオン軸22(図4参照)の開度を調整するためのHSTサーボモータ18と、ミッションケース7内に設けられた副変速機構の状態を切換える副変速モータ56と、植付クラッチケース30(図1参照)内の植付クラッチの入切の状態を切り換える植付クラッチモータ65と、昇降油圧シリンダ46からの作動油の出入りを規制し、昇降油圧シリンダ46の伸縮状態を固定するための油圧ロックレバー(図示せず)を作動位置と非作動位置に移動させる作動停止ソレノイド83を備えている。
図4は、図1に示された苗移植機1の油圧式無段変速機8の近傍の略左側面図である。
図4に示されるように、油圧式無段変速機8はトラニオン軸22を備え、本実施態様においては、HSTサーボモータ18の駆動によってトラニオン軸22の開度を電動で制御可能な、いわゆる電動HST(Hydro Static Transmission)として構成されている。
図2に示された前後進レバー20が操作された場合には、前後進レバーセンサ31からの出力信号に基づき、制御部90によって、図4に示されたHSTサーボモータ18が制御される。その結果、クラッチ機構23のギア軸26、ロッド27およびトラニオンアーム(図示せず)を介してトラニオン軸22の開度が大きく、または小さく調節されることにより、油圧式無段変速機8から前輪5および後輪6への出力の増減(走行車両2の加速、減速および停車)と、進行方向の切換えが行われる。
また、以上のように、前後進レバー20の位置(前後進レバーセンサ31の出力信号)に応じて、油圧式無段変速機8から出力された駆動力は、図1に示された副変速レバー21の操作によって、以下のようにして、ミッションケース7内で圃場速度もしくは路上速度に変速され、または前輪5および後輪6に駆動力が伝動されない中立の状態、すなわち、走行車両2が走行せず、エンジン4の動力が苗植付部35のみに伝達されるPTOの状態に切換えられる。
図5は、図1に示された苗移植機1のミッションケース7内に設けられた副変速機構の動作説明図である。
図1に示された副変速レバー21は、圃場速度(植付速度)位置と、路上速度(移動速度)位置と、中立位置(PTO位置)の計3か所に操作可能に構成されており、図5(a)には、副変速レバー21が路上速度の位置に操作された場合の副変速機構の状態が示され、図5(b)には、副変速レバー21が中立位置に操作された場合の副変速機構の状態が示され、図5(c)には、副変速レバー21が圃場速度の位置に操作された場合の副変速機構の状態が示されている。
図1に示されたミッションケース7の内部には副変速機構(図1には図示せず)が設けられており、図5(a)に示されるように、副変速機構28は、油圧式無段変速機8からの回転動力を、ミッション入力軸(図示せず)を介して受ける中継軸66と、圃場速度伝動部材57と、副変速モータ56によって移動される切換部材48と、切換部材48に連結された副変速切換軸64とを備えている。
図5(a)に示されるように、中継軸66は、大径の歯車で構成される路上速度伝動部材59と、路上速度伝動部材59に比して小径に構成された小歯車71を備えている。小歯車71は、常時、圃場速度伝動部材57と噛み合っており、したがって、油圧式無段変速機8から回転動力が出力されているときには、路上速度伝動部材59および小歯車71を含む中継軸66と、圃場速度伝動部材57は回転されている。
副変速レバー21が路上速度位置に操作された場合には、副変速レバーセンサ63からの出力信号に基づき、制御部90によって副変速モータ56が制御され、切換部材48が、図5(b)または図5(c)に示された位置から、図5(a)に示された位置へ移動される。
図5(a)に示されるように、切換部材48は、その外周部に歯61を備えており、移動に伴い、路上速度伝動部材59と噛み合う。したがって、油圧式無段変速機8から回転動力が出力されているときには、中継軸66から、切換部材48へ回転動力が伝達され、その結果、切換部材48および副変速切換軸64が一体的に回転される。このとき、圃場速度伝動部材57は、副変速切換軸64とは異なる回転数で回転される。
副変速切換軸64の回転動力は、デフ装置(図示せず)を介して、ミッションケース7(図1参照)の左右に設けられた前輪ファイナルケース13および車軸67を介して前輪5に伝動され、その一方で、後輪ギアケース14および車軸68を介して後輪6に伝動される。
また、副変速レバー21が中立位置(PTO位置)に操作された場合には、副変速レバーセンサ63からの出力信号に基づき、制御部90によって副変速モータ56が制御され、切換部材48が、図5(a)または図5(c)に示された位置から、図5(b)に示された位置、すなわち、図面左右方向において、圃場速度伝動部材57と路上速度伝動部材59との間の位置へ移動される。
この場合には、中継軸66から切換部材48および副変速切換軸64に動力が伝達されないため、走行車両2は前後進されない。なお、圃場速度伝動部材57には、苗植付部35に駆動力を伝動する伝動軸(図示せず)が副変速切換軸64と同軸に回転可能に固定されているため、切換部材48が図5(b)に示された位置にある場合であっても、植付クラッチモータ65によって植付クラッチを繋げれば、苗植付部35を駆動することができる。
一方、副変速レバー21が圃場速度位置に操作された場合には、副変速レバーセンサ63からの出力信号に基づき、制御部90によって副変速モータ56が制御され、切換部材48が、図5(a)または図5(b)に示された位置から、図5(c)に示された位置へ移動される。
図5(a)、(b)および(c)に示されるように、切換部材48は、側面に爪クラッチ60を備えており、図5(c)に示される位置に移動されると、爪クラッチ60によって、圃場速度伝動部材57と噛み合う。したがって、油圧式無段変速機8から回転動力が出力されているときには、中継軸66から、切換部材48へ回転動力が伝達され、その結果、切換部材48および副変速切換軸64が一体的に回転される。
副変速切換軸64の回転動力は、上述のように前輪5および後輪6に伝動されるが、中継軸66が油圧式無段変速機8から同一の量の回転動力を受けたとしても、図5(c)に示された圃場速度の場合に比して、図5(a)に示された路上速度の場合の方が、副変速切換軸64の回転数が多くなる。その結果、副変速レバー21が圃場速度の位置に操作された場合よりも、路上速度の位置に操作された場合の方が、走行車両2の走行速度は速くなる。
図6は、図2に示された苗移植機1の前後進レバー20およびその操作範囲を示す説明図である。
操作部12(図1および図2参照)には、図6に示される前後進レバーパネル77が取り付けられており、前後進レバーパネル77には、前後進レバー20の操作範囲(所定の領域)に沿って形成された開口78が設けられ、前後進レバー20は、開口78の形状に沿って前後左右に移動可能に開口78を貫通している。
本実施態様においては、前後進レバー20の操作範囲は、第一前進領域73および第二前進領域74と、第一前進領域73と第二前進領域74とを結ぶ連絡領域79と、第一前進領域73および第二前進領域74の後方に位置する単一の中立領域75と、中立領域75の後方に位置する単一の後退領域76を有している。
中立領域75は、後退領域76に近接する後退近接位置80と、第一前進領域73に近接する第一前進近接位置81と、第二前進領域74に近接する第二前進近接位置82を備えている。
前後進レバー20の位置は前後進レバーセンサ31によって検出され、制御部90に出力されるように構成されており、作業者は、前後進レバー20を、以下のように操作して、制御部90を介して、走行車両2の前後進の状態と、苗植付部35の昇降の状態を切り換えることができる。
走行車両2を前進させたい場合には、前後進レバー20を、図6に示された第一前進領域73または第二前進領域74に操作することにより、走行車両2を前進させることができ、それぞれの領域において、より前方の位置に前後進レバー20を操作することにより、走行車両2の前進速度を高くすることができる。
本実施態様においては、前後進レバー20を第一前進領域73に操作した場合には、苗植付部35が上昇された状態で走行車両2が前進し、前後進レバー20を第二前進領域74に操作した場合には、苗植付部35が下降され、植付装置36による苗の植付を伴う状態で走行車両2が前進する。
具体的には、前後進レバー20を第一前進領域73に操作すると、前後進レバーセンサ31の出力信号に基づき、制御部90によってHSTサーボモータ18(図4参照)が制御され、トラニオン軸22(図4参照)の開度が調節されることにより、走行車両2が前進を開始する。同時に、制御部90は、リンクセンサ53からの出力信号に基づき、苗植付部35の高さ位置を判定する。その結果、苗植付部35が上昇位置にあると判定した場合には、制御部90は、苗植付部35をその位置に保持する。
これに対して、判定の結果、苗植付部35が下降位置にあると判定した場合には、制御部90は電子油圧バルブ47を制御し、昇降油圧シリンダ46(図1参照)を収縮させることにより、苗植付部35を上昇させる。
一方、図6に示されるように、前後進レバー20を第二前進領域74に操作すると、前後進レバーセンサ31の出力信号に基づき、制御部90によってHSTサーボモータ18が制御され、トラニオン軸22の開度が調節されることにより、走行車両2が前進を開始する。同時に、制御部90は、リンクセンサ53からの出力信号に基づき、苗植付部35の高さ位置を判定する。その結果、苗植付部35が上昇位置にあると判定した場合には、制御部90は、電子油圧バルブ47を制御し、昇降油圧シリンダ46(図1参照)を伸長させて、苗植付部35を下降させ、植付クラッチモータ65を制御して、植付クラッチをつないで、苗植付部35に駆動力を伝達し、植付装置36による苗の植付を開始する。
これに対して、判定の結果、苗植付部35が下降位置にあると判定した場合には、制御部90は、直ちに、植付クラッチモータ65を制御して、植付クラッチをつなぎ、植付装置36による苗の植付を開始する。
すなわち、上述のように、前後進レバー20の操作範囲のうち、第一前進領域73は、苗植付部35による苗の植付を行わない状態で、走行車両2を前進させるための前後進レバー20の操作領域であり、第二前進領域74は、苗植付部35による苗の植付を行いつつ、走行車両2を前進させるための前後進レバー20の操作領域である。
ここに、図6に示されるように、第一前進領域73と第二前進領域74との間には両領域を結ぶ連絡領域79が設けられており、第一前進領域73内に位置している前後進レバー20を、第二前進領域74に移動させたい場合、すなわち、苗植付部35による苗の植付を開始したい場合、または、第二前進領域74内に位置している前後進レバー20を、第一前進領域73に移動させたい場合、すなわち、苗植付部35による苗の植付を終了させたい場合には、中立領域75を経由させることなく、前後進レバー20を移動させることができる。
具体的には、前後進レバー20を、第一前進領域73から第二前進領域74に移動操作する場合には、制御部90は、走行車両2の前進が継続された状態で、電子油圧バルブ47を制御し、昇降油圧シリンダ46を伸長させて、苗植付部35を下降させ、植付クラッチモータ65を制御して、植付クラッチをつなぎ、植付装置36による苗の植付を開始させる。
一方、前後進レバー20を、第二前進領域74から第一前進領域73に移動操作する場合には、制御部90は、走行車両2の前進が継続された状態で、植付クラッチモータ65を制御し、植付クラッチを切状態に切換える。同時に、制御部90は、電子油圧バルブ47を制御し、昇降油圧シリンダ46(図1参照)を収縮させて、苗植付部35を上昇させる。
したがって、圃場において、ある列上で、前後進レバー20が第二前進領域74に操作されている状態で、苗を植付けながら走行した後に、畔際において、走行車両2を旋回させる際に、前後進レバー20を、連絡領域79を介して第二前進領域74から第一前進領域73に移動させることにより、走行車両2を停車させることなく、すなわち、前後進レバー20を中立領域75に操作することなく、容易に、植付装置36による苗の植付を停止させ、苗植付部35を上昇させることができる。また、走行車両2の旋回後には、前後進レバー20を、連絡領域79を介して、第一前進領域73から第二前進領域74に操作することにより、走行車両2を停車させることなく、容易に、苗植付部35を下降させ、植付装置36による苗の植付を開始させることができる。
また、走行車両2を後退させたい場合には、前後進レバー20を、図6に示された後退領域76内に移動させることにより、走行車両2を後退させることができ、前後進レバー20を、後退領域76内の、より後方の位置に移動させることにより、走行車両2の後退速度を高くすることができる。
本実施態様においては、前後進レバー20を後退領域76に操作した場合には、苗植付部35が上昇された状態で、走行車両2が後退(後進)するように構成されている。
具体的には、前後進レバー20を後退領域76内に移動させると、制御部90は、前後進レバーセンサ31の出力信号に基づき、HSTサーボモータ18を制御し、その結果、トラニオン軸22の開度が調節されて、走行車両2が後退され始める。同時に、制御部90は、リンクセンサ53からの出力信号に基づき、苗植付部35の高さ位置を判定する。その結果、苗植付部35が上昇位置にあると判定した場合には、制御部90は、苗植付部35をその状態に保持する。
これに対して、判定の結果、苗植付部35が下降位置にあると判定した場合には、制御部90は、電子油圧バルブ47を制御し、昇降油圧シリンダ46(図1参照)を収縮させることにより、苗植付部35を上昇させる。
苗植付部35の上昇が終了すると、制御部90は、作動停止ソレノイド83を制御して、油圧ロックレバーを作動位置に移動させ、苗植付部35を上昇位置で固定するように構成されている。このように構成することにより、苗植付部35が、その重さで徐々に下降し、圃場に接触して破損する事態の防止が図られている。
さらに、前後進レバー20が第一前進領域73、第二前進領域74または後退領域76に操作され、走行車両2が前進または後退しているときに、走行車両2を停車させたい場合には、前後進レバー20を、図6に示された中立領域75に操作することにより、走行車両2を停車させることができる。
具体的には、前後進レバー20を中立領域75に移動させると、前後進レバーセンサ31からの出力信号に基づき、制御部90により、HSTサーボモータ18が制御され、トラニオン軸22の開度が調節され、走行車両2が停車される。
ここに、前後進レバー20を、中立領域75内の後退領域76に近接する後退近接位置80に操作する場合、または第一前進領域73に近接する第一前進近接位置81に操作する場合には、制御部90は、苗植付部35を上昇させ、または苗植付部35を上昇位置に保持するように構成されている。また、前後進レバー20を、第二前進領域82に近接する第二前進近接位置82に操作する場合には、制御部90は、苗植付部35が下降された状態に制御するように構成されている。換言すると、走行車両2が停止された状態、すなわち、前後進レバー20が中立領域に操作された状態で、苗植付部35を上昇させたい場合には、前後進レバー20を、後退近接位置80または第一前進近接位置81に移動させると、苗植付部35を上昇させることができる。また、走行車両2が停止された状態で、苗植付部35を下降させたい場合には、前後進レバー20を、第二前進近接位置82に操作すると、苗植付部35を下降させることができる。
具体的には、前後進レバー20を、後退近接位置80または第一前進近接位置81に操作し、前後進レバーセンサ31から検出信号が入力されたときには、制御部90は、リンクセンサ53からの出力信号に基づき、苗植付部35の高さ位置を判定する。その結果、苗植付部35が上昇位置にあると判定した場合には、制御部90は、苗植付部35の状態を保持する。
これに対して、判定の結果、苗植付部35が下降位置にあると判定した場合には、制御部90は、電子油圧バルブ47を制御し、昇降油圧シリンダ46(図1参照)を収縮させることにより、苗植付部35を上昇させる。
一方、前後進レバー20を第二前進近接位置82に操作し、前後進レバーセンサ31から検出信号が入力されたときには、制御部90は、リンクセンサ53からの出力信号に基づき、苗植付部35の高さ位置を判定する。その結果、苗植付部35が上昇位置にあると判定した場合には、制御部90は、電子油圧バルブ47を制御し、昇降油圧シリンダ46を伸長させることにより、苗植付部35を下降させる。
これに対して、判定の結果、苗植付部35が下降位置にあると判定した場合には、制御部90は、苗植付部35の状態を保持する。
本実施態様によれば、前後進レバー20が、第一前進領域73に操作されている場合には、苗植付部35が上昇された状態で走行車両2が前進され、前後進レバー20が、第二前進領域74に操作されている場合には、苗植付部35が下降された状態で走行車両2が前進されるから、前後進レバー20の移動により苗植付部35の昇降を行うことができ、したがって、苗植付部35の昇降を操作するための作業機昇降レバー(植付昇降レバー)を省くことが可能になり、苗移植機1の操作性を向上させることができる。
また、本実施態様によれば、前後進レバー20を、後退領域76に操作すると、制御部90の制御信号に基づき、電子油圧バルブ47および昇降油圧シリンダ46により苗植付部35が上昇されるから、前後進レバー20を後退領域76に移動させて苗移植機1を後退させる際に、圃場の畔に苗植付部35が接触し、破損する事態を防止することができる。
また、本実施態様によれば、中立領域75内の後退領域76に近接する位置である後退近接位置80に操作することにより、走行車両2が停止した状態のままで、苗植付部35を上昇させることができる。
さらに、本実施態様によれば、前後進レバー20を、中立領域75内の第一前進領域73に近接する第一前進近接位置81に移動させることにより、走行車両2が停止した状態で、苗植付部35を上昇させることができ、また、前後進レバー20を、中立領域75内の第二前進領域74に近接する第二前進近接位置82に移動させることにより、走行車両2が停止した状態で、苗植付部35を下降させることができるから、苗植付部35の昇降を操作するための作業機昇降レバー(植付昇降レバー)を省くことができ、苗移植機1の操作性を向上させることが可能になる。
また、本実施態様によれば、前後進レバー20を後退領域76に移動させ、走行車両2を後退させる際に、制御部90の制御信号に基づき、電子油圧バルブ47および昇降油圧シリンダ46による苗植付部35の上昇が終了すると、制御部90は、作動停止ソレノイド83を制御して、油圧ロックレバーを作動位置に移動させ、苗植付部35を上昇位置で固定することにより、重さによる苗植付部35の下降が規制されるから、苗植付部35が圃場に接触して破損する事態を防止することができる。
さらに、本実施態様によれば、前後進レバー20の操作範囲に連絡領域79が含まれており、走行車両2の前進中に、中立領域78を介することなく、連絡領域79を介して、第一前進領域73から第二前進領域74へ、または第二前進領域74から第一前進領域73へ前後進レバー20を相互に移動させることができ、したがって、走行車両2の前進中に、前後進レバー20を用いて、走行車両2を停車させることなく、苗植付部35を昇降操作することができる。
図7は、本発明の好ましい実施態様にかかる苗移植機1の制御系、検出系、入力系、駆動系、表示系および通信系のブロックダイアグラムである。
図7に示されるように、苗移植機1の表示系は、苗移植機1の種々の情報を確認し、または苗移植機1の状態を設定するためのモニタ16を備え、モニタ16はステアリングハンドル17の前方に設けられている。
苗移植機1の入力系は、操作部12を備えており、操作部12は、前後進レバー20(図6参照)の位置を検出する前後進レバーセンサ31と、苗植付部35を昇降操作する植付昇降レバー(図示せず)の位置を検出する植付昇降レバーセンサ86と、植付昇降レバーに設けられ、植付クラッチを入りにするための植付スイッチ87を備えている。植付昇降レバーは、ステアリングハンドル17の近傍に設けられている。
ここに、本実施態様においては、植付昇降レバーは、苗植付部35を上昇させる上昇位置と、苗植付部35を下降させる下降位置の2か所に移動可能に構成されている。
植付昇降レバーを上昇位置に操作する場合には、制御部90により、電子油圧バルブ47が制御され、昇降油圧シリンダ46(図1参照)が収縮されることにより、苗植付部35が上昇される。
一方、植付昇降レバーを下降位置に操作した場合には、制御部90により、電子油圧バルブ47が制御され、昇降油圧シリンダ46が伸長されることにより、苗植付部35が下降される。また、苗植付部35が下降された状態で、植付スイッチ87を操作すると、制御部90によって植付クラッチモータ65が制御されて植付クラッチが入り、植付装置36(図1参照)による苗の植付けが開始される。
図7に示されるように、苗移植機1の検出系は、テアリングハンドル17が操舵された角度を検出するステアリングセンサ32と、後輪ギアケース14に内装され、後輪6の回転数をカウントする後輪回転センサ15と、センターフロート38の前部に設けられ、センターフロート38前部の上下位置を検出するフロートセンサ33と、昇降リンク装置98の上部リンクアーム44とリンクベースフレーム69との連結部分に設けられ、リンクベースフレーム69に対する上部リンクアーム44の相対角度を検出するリンクセンサ53と、植付クラッチの入切の状態を検出する植付クラッチセンサ50に加え、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機85と、土壌センサ114を備えている。
を備えている。
GNSS受信機85は、測位衛星から受信したデータを制御部90に出力するように構成されている。
図7に示されるように、土壌センサ114は、電気伝導度センサ115と、圃場の高さを検出する深度センサ116と、圃場の温度を計測する温度センサ117を備え、制御部90は、電気伝導度センサ115、深度センサ116および温度センサ117からの出力信号に基づき、施肥装置24(図1および図2参照)による圃場への施肥量を調節可能に構成されている。
図7に示されるように、苗移植機1の通信系は、苗移植機通信部122と、タブレット型のパーソナルコンピュータにより構成された端末112を備え、苗移植機通信部122と端末112は、Bluetooth接続により、相互にデータを送受信することができる。
苗移植機1の制御系および駆動系の構成は、図3に示された前記実施態様の場合と同一である。
以上のように構成された本実施態様においては、作業者は、前後進レバー20を以下のように操作して、副変速機構28の状態を切換え、走行車両2の走行速度を圃場速度または路上速度に設定することができる。
なお、本実施態様においても、前記実施態様の場合と同様に、前後進レバー20を、図6に示された第一前進領域73、第二前進領域74または後退領域76に移動させると、前後進レバーセンサ31からの出力信号に基づき、制御部90によりHSTサーボモータ18が制御され、トラニオン軸22(図4参照)の開度が調節される。その結果、各領域における前後進レバー20の位置に応じた速度で走行車両2が前進または後退される。
ここに、本実施態様においては、前後進レバー20を第一前進領域73に移動させると、走行車両2は圃場速度で前進し、前後進レバー20を第二前進領域74に操作すると、走行車両2は路上速度で前進するように構成されている。
具体的には、前後進レバー20を第一前進領域73に移動させると、前後進レバーセンサ31からの出力信号に基づき、制御部90によって、副変速モータ56が制御され、副変速機構28内の切換部材48が図5(c)に示された位置に移動される。その結果、爪クラッチ60によって切換部材48と圃場速度伝動部材57が噛み合い、切換部材48および副変速切換軸64が一体的に回転されるため、ミッションケース7から前輪5および後輪6へ動力が圃場速度の状態で伝達される。
一方、前後進レバー20を第二前進領域74に操作すると、前後進レバーセンサ31からの出力信号に基づき、制御部90によって副変速モータ56が制御され、副変速機構28の切換部材48が図5(a)に示された位置に移動される。その結果、切換部材48の歯61が路上速度伝動部材59と噛み合い、切換部材48および副変速切換軸64が一体的に回転されることにより、ミッションケース7から、動力が、前輪5および後輪6へ路上速度の状態で伝達される。
また、前後進レバー20を中立領域75に移動させると、前後進レバーセンサ31からの出力信号に基づき、制御部90によってHSTサーボモータ18が制御され、トラニオン軸22の開度が中立領域75に対応する状態に調節され、その結果、走行車両2が停車される。
図8は、図7に示された苗移植機1の右側に設けられた予備苗載台58の近傍の略側面図である。
図8には、苗移植機1の右側に設けられた予備苗載台58を機体内側から見た状態が示されている。
図8に示されるように、苗移植機1の右側に設けられた予備苗載台58は、上下方向に並べて配置された3つの苗載台97と、3つの苗載台97が前後方向に並んだ状態と、上下方向に並んだ状態(図8に示された状態)との間で切換え可能な電動モータ96を備え、支持フレーム84に支持されている。
支持フレーム84は、メインフレーム3(図1参照)に固定された下部フレーム88と、下部フレーム88の上端部から前方(図面左側)に延びる中継フレーム89と、中継フレーム89の前端部から上方に延びる上部フレーム91を備えている。
上部フレーム91には、各苗載台97に載置される苗箱から苗マットを取り出すための一点鎖線で示された苗取板を収納する苗取板ステー92が設けられている。
苗取板ステー92は、それぞれ機体幅方向(図面奥行き方向)に延びる第一角部93、第二角部94および第三角部95を備えているため、苗取板を、苗取板ステー92に対して上方から差し込むように載置することにより、苗取板の前後左右を囲うと同時に、苗取板を下方から支持することができる。
本実施態様においては、苗取板ステー92は、スピードナット1個で上部フレーム91に固定されていることにより、部品点数を削減し、コストの削減が図られている。
さらに、上部フレーム91に対して苗取板ステー92のロッドを上下に貫通させて留められているため、最小限の部品点数で十分な強度が確保されている。
図8に示されるように、苗取板ステー92の上部99は、取り付けられる上部フレーム91に対して左右対称(図8において左右対称であり、実際には上部フレーム91に対して前後対称)に構成されており、したがって、左右の予備苗載台58で部品を共通化し、部品の種類の削減とコストダウンが可能に構成されている。
図9は、図7に示された苗移植機1のモニタ16の構成を示す説明図である。
本実施態様においては、モニタ16は、ステアリングハンドル17の前方に設けられており、液晶パネル106を有する表示部100と、モニタ操作部101を備えている。
図9に示されるように、モニタ操作部101は、回転させることにより操作が可能なジョグダイヤル102と、プッシュスイッチにより構成されたRボタン103と、プッシュスイッチにより構成されたGボタン104を備えている。
ジョグダイヤル102は、その中央部にプッシュスイッチ105を備えている。
モニタ操作部101にジョグダイヤル102が採用されているため、プッシュスイッチを何度も繰り返し押圧操作しなくても、ジョグダイヤル102を回転させることにより、設定する値を容易に変更することができる。また、ジョグダイヤル102を回転操作して、設定する値を変更した後に、プッシュスイッチ105を押圧操作することにより、設定値が確定されるように構成されており、ジョグダイヤル102の操作によって、設定する値の変更と、値の確定の2つの操作を完結させることができ、作業性の向上が図られている。
Rボタン103およびGボタン104は、液晶パネル106の表示の状態によって、その機能が異なるように構成されている。
ここに、従来のモニタにおいては、モニタの機能が追加されていくごとに、モニタ操作部に、専用の機能を有するボタンやダイヤルが増え、操作性が悪化していたが、場面に応じて、Rボタン103およびGボタン104の機能を異ならせるように構成されていることにより、パネル操作部101の構成を簡潔にすることができる。
エンジン4が始動され、モニタ16に電源が供給されると、液晶パネル106には、一定の間、オープニング画面(図示せず)が表示される。電源の投入直後には、接続されているすべてのコントローラ(図示せず)を立ち上げる必要があり、各コントローラのイニシャル処理が終了するまで初期データが安定しない。そのため、イニシャル処理が終了するまでの間に、液晶パネル106への表示内容が固定されたオープニング画面を表示することにより、各コントローラの初期データの安定時間を確保することができる。
図10は、図7に示された苗移植機1のモニタ16の液晶パネル106に表示される画面を示す図面であり、図10(a)は、図7に示された苗移植機1のモニタ16の液晶パネル106に表示される設定画面を示す図面であり、図10(b)は、図7に示された苗移植機1のモニタ16の液晶パネル106に表示される前後進レバー20の操作位置を示す図面である。
モニタ16において、苗移植機1の種々の設定をする場合には、液晶パネル106に所望の設定項目が表示されるまでジョグダイヤル102を回転操作し、プッシュスイッチ105を押圧操作することにより、表示されている項目について設定することが可能な状態になる。
この状態のときには、図10(a)に示されるように、設定画面の背景107が黄色に表示されるように構成されている。したがって、今、どの項目を設定しようとしているかを視覚的に認識することができる。
なお、本実施態様においては、設定画面の背景107が黄色になっている状態で、ジョグダイヤル102を回転操作して任意の状態に設定し、プッシュスイッチ105を押圧操作することにより、その項目についての設定を確定させることができる。
図10(b)に示されるように、液晶パネル106は、レバー位置表示部108と、レバー位置文字表示部109と、電波レベル表示部110と、端末接続状態表示部111と、施肥装置24による圃場への施肥量を逐次変更する可変施肥制御に関する情報を表示するための領域113(以下、「可変施肥タブ113」という。)と、旋回制御設定領域119と、ピタよせ設定領域120と、アワーメータ表示部121を表示可能に構成されている。
レバー位置表示部108は、前後進レバー20(図6参照)が、その操作範囲内のどの位置に、現在操作されているのかを示す部分であり、図10(b)には、前後進レバー20が第一前進領域73内の中立領域75に近い位置に移動された場合の液晶パネル106の表示の状態が示されている。
ここに、本実施態様においては、図1および図4に示された前記実施態様の場合と同様に、エンジン4からの出力を、油圧式無段変速機8によって変速する構成であるが、液晶パネル106上において、図6に示された後退領域76、第一前進領域73または第二前進領域74における前後進レバー20の現在の位置が段数で表示されるように構成されている。
このように構成することによって、現在の走行車両2の走行速度がどれくらいであるのかを、容易に、視覚的に認識することができる。
レバー位置文字表示部109は、走行車両2の走行状態を、「前進」「後進」「N」の3種類の文字によって示す部分である。
具体的には、前後進レバー20が第一前進領域73または第二前進領域74に操作されている場合には、レバー位置文字表示部109に「前進」と表示される。
また、前後進レバー20が後退領域76に操作されている場合には、レバー位置文字表示部109に「後進」と表示される。
さらに、前後進レバー20が中立領域75に操作されている場合には、レバー位置文字表示部109に「N」と表示される。
このように構成することによって、前後進レバー20の操作位置を、視覚的に直ちに認識することができる。
端末接続状態表示部111は、走行車両2と図7に示された端末112が、Bluetoothにより接続されているか否かを示す領域である。
本実施態様においては、モニタ16は、苗移植機通信部122から送信されるBluetooth受信状況が「1」の場合には、端末接続状態表示部111に表示されるBluetooth表示を活性化させ、Bluetooth受信状況が「0」の場合には、端末接続状態表示部111に表示されるBluetooth表示を非活性化させるように構成されている。
したがって、モニタ16の端末接続状態表示部111を確認すれば、端末112を確認することなく、現在、端末112が、Bluetoothにより走行車両2(苗移植機通信部122)と接続されているか否かを判断することができる。
電波レベル表示部110は、GNSS受信機85により衛星から受信した電波の強度を示す領域である。
GNSS受信機85による衛星からの電波の受信レベルを、制御部90を介してモニタ16の液晶パネル106上に表示される電波レベル表示部110に、数字で表示されるため、受信状況を即座に把握することができる。
燃料ゲージ表示部118は、走行車両2に注入された燃料の残量を示す領域である。燃料ゲージ表示部118に表示するデータは、走行車両2の制御部90から送信される。
従来の苗移植機においては、モニタ側のみで燃料ゲージ段数を判定するように構成されており、走行車両の燃料タンクの容量やヒューエルセンサが変更になった場合に、モニタでの燃料ゲージの表示がおかしくなる場合があった。
これに対し、本実施態様においては、上述のように、走行車両2側から燃料ゲージに関するデータを送信するように構成することによって、そのような事態の防止が図られている。
図10(b)に示されるように、液晶パネル106の表示の図面右側上方には、旋回制御設定領域119が表示されており、図面がグレースケールであるため、判別できないが、旋回制御設定領域119は、本実施態様においては、その背景が緑色に構成されている。
すなわち、本画面の状態においては、Gボタン104が、旋回制御の入切の設定のためのスイッチとして機能するように構成されている。
なお、旋回制御とは、ステアリングセンサ32によって、ステアリングハンドル17が所定の角度以上切られたことを検出されると、制御部90が、植付装置36の駆動を停止させ、電子油圧バルブ47によって昇降油圧シリンダ46を油圧で伸縮させることにより苗植付部35を上昇させるとともに、後輪ギアケース14に内装された後輪回転センサ15によって後輪6の回転数のカウントが開始され、その後に、ステアリングハンドル17が元の位置に戻されたことをステアリングセンサ32が検出し、さらに、後輪回転センサ15による後輪6の回転数のカウントが、設定された数に到達すると、制御部90が、自動的に苗植付部20を下ろし、植付装置36による苗の植付けを開始させる制御をいう。
本実施態様においては、制御部90からモニタ16へ送信される旋回制御の入切に関するデータが「1」の場合には、旋回制御設定領域119に「ZターンON」を表示し、旋回制御の入切に関するデータが「0」の場合には、旋回制御設定領域119に「ZターンOFF」を表示するように構成されており、したがって、現在の旋回制御の入切の状態を視覚的に認識することができる。
一方、図10(b)に示されるように、液晶パネル106の表示の図面右側下方には、ピタよせ設定領域120が表示されており、Rボタン103の表示が「ピタよせ」になっている場合には、Rボタン103はピタよせの入切スイッチとして機能するように構成されている。
なお、「ピタよせ」とは、苗を植え付ける際に、苗載置台37(図1および図2参照)を左右一方の端部に寄せる制御をいう。
本実施態様においては、制御部90からモニタ16に送信されるピタよせの入切に関するデータが「1」の場合には、ピタよせ設定領域120の背景色を橙色で表示し、ピタよせの入切に関するデータが「0」の場合には、ピタよせ設定領域120の背景色を灰色で表示するように構成されており、したがって、現在のピタよせの入切の状態を視覚的に認識することができる。
また、図10(b)に示されるように、液晶パネル106の表示の図面右側下端部には、アワーメータ表示部121が表示されている。
本実施態様においては、苗移植機1の制御部90から送信される積算許可フラグが「1」の時に、モニタ16のアワーメータ表示部121に表示されるアワーメータを積算するように構成されており、エンジン4がかかっていないときなど、制御部90側でアワーメータを進めたくないと判断した場合には、アワーメータの積算を停止させることができる。
図11(a)は、モニタ16の液晶パネル106に表示される苗の植付時の設定株数を表示する画面を示す図面であり、図11(b)は、作業情報を表示する画面を示す図面であり、図11(c)は、作業情報のリセット確認割り込み画面を示す図面である。
図11(a)に示されるように、モニタ16は、その液晶パネル106に、坪当たりの植付株数を示す株数表示部123を表示可能に構成されている。
本実施態様においては、モニタ16は、制御部90から送信される株数表示指示データに従って、植付株数を表示する。
図11(b)に示されるように、液晶パネル106に表示される作業情報には、苗植付部35による苗の植付面積と、施肥装置24による施肥量が含まれている。
図11(c)には、図11(b)に示された作業情報を表示する画面の状態で、プッシュスイッチ105(図9参照)を所定の時間に亘って長押し操作した場合に表示される作業情報のリセット確認割り込み画面が示されている。
リセット確認割り込み画面において、図11(c)に示されるように、「いいえ」が選択されている状態、すなわち、「いいえ」の周囲が二重の四角で囲われている状態で、図9に示されたプッシュスイッチ105を押圧操作すると、モニタ16は、作業情報をリセットせずにリセット確認のための割り込み画面を終了するように構成されている。
これに対し、「はい」が選択されている状態でプッシュスイッチ105を押圧操作すると、モニタ16は、作業情報をリセットするように構成されている。
図12(a)は、図7に示された苗移植機1のモニタ16の液晶パネル106に表示される可変施肥表示画面を示す図面であり、図12(b)は、可変施肥を実行するため手動計測中である旨を表示する画面を示す図面であり、図12(c)は、モニタ16上での操作が受け付けられない状態の可変施肥表示画面を示す図面である。
モニタ16は、制御部90から送信される型式データに基づき、可変施肥制御が可能であることを判定した後に、図12(a)に示された可変施肥表示画面内の施肥量表示部124に、現在の施肥量を表示する。さらに、制御部90から送信される減肥率目標値データに基づき、減肥率表示部125に、減肥率1~3の設定値(減肥目標値)を表示するように構成されている。
したがって、作業者は、モニタ16を確認すれば、端末112を確認することなく、現在の施肥量および減肥率の設定状況を把握することができる。
また、モニタ16は、本機制御部90から送信される可変型式Gボタン表示切換データにより、図12(b)に示されるように、手動計測中(手動ティーチング中)は、その旨を液晶パネル106に表示するように構成されている。
したがって、モニタ16を確認することにより、植付作業中に端末112を確認することなく、現在のティーチングの状態を把握することができる。
なお、ティーチングとは、圃場の所定区間の肥料濃度、圃場の深さおよび水温を測定する作業をいい、可変施肥作業を行うにあたり、基準となる施肥量を事前に設定するため、ティーチングを行う必要がある。
図12(a)に示されるように、可変施肥表示画面には、画面右上部に表示されたGボタン機能説明部126と、Gボタン機能説明部126の下方に表示されたRボタン機能説明部127が表示されている。
本実施態様においては、制御部90から送信される可変型式Gボタン表示切換データが「1」の場合には、モニタ16は、図12(a)に示された可変施肥表示画面の右上部に表示されたGボタン機能説明部126に「田植開始」の文字を表示し、Gボタン機能説明部126の背景色を緑色に設定する。このように構成することにより、図12(a)に示された画面において、Gボタン104(Greenボタン104)が田植開始のためのスイッチとして機能することが示されている。なお、本実施態様においては、「田植開始」とは、制御部90による可変施肥制御を伴う苗の植付作業を開始することを意味する。
また、本機から送信される可変型式Gボタン表示切換データが「2」の場合には、モニタ16は、Gボタン機能説明部126に「手動計測開始」の文字を表示し、Gボタン104を、手動計測を開始するスイッチとして機能させる。
さらに、本機から送信される可変型式Gボタン表示切換データが「3」の場合には、図12(b)に示されるように、モニタ16は、Gボタン機能説明部126に「手動計測完了」の文字を表示し、Gボタン104を、手動計測を完了するスイッチとして機能させる。
また、本機から送信される可変型式Gボタン表示切換データが「4」の場合には、モニタ16は、Gボタン機能説明部126に「自動計測中」の文字を表示する。
一方、本実施態様においては、本機から送信される可変型式田植終了Rボタン切換データが「0」の場合、すなわち、「田植開始」の機能が割り当てられたGボタン104が未だ操作されていない場合には、モニタ16は、図12(a)に示されたRボタン機能説明部127に「田植終了」の文字を表示し、Rボタン機能説明部127の背景色を灰色に設定する(いわゆるグレーアウトの状態)。この場合には、モニタ16は、Rボタン103の操作を受け付けない。
これに対し、本機から送信される可変型式田植終了Rボタン切換データが「1」の場合、すなわち、「田植開始」の機能が割り当てられたGボタン104が操作され、制御部90の制御によって、可変施肥制御が行われている場合には、モニタ16は、図12(b)に示されたRボタン機能説明部127に「田植終了」の文字を表示し、Rボタン機能説明部127の背景色を、橙色に設定する。このとき、モニタ16は、Rボタン103(Redボタン105)を、田植終了のスイッチとして機能させる。
すなわち、モニタ16は、Gボタン104または/およびRボタン103を機能させるときには、Gボタン機能説明部126または/およびRボタン機能説明部127の背景色をそれぞれ、緑色または橙色に設定し、Gボタン104または/およびRボタン103の操作を受け付けないときには、Gボタン機能説明部126または/およびRボタン機能説明部127の背景色を灰色に設定する(いわゆるグレーアウトの状態)。
図13は、図12(b)に示された画面の状態で、Rボタン103を操作した際に表示される割り込み画面を示す図面である。
図12(b)に示された画面の状態で、Rボタン103を操作、すなわち、Rボタン機能説明部126に表示された田植終了の操作を行うと、図13に示されるように、「植付作業は圃場1枚全て完了しましたか?」という表示が液晶パネル106(図9参照)に表示される。
このとき、図13に示されるように、「いいえ」が選択されている状態で、プッシュスイッチ105を押圧操作した場合には、モニタ16は、田植終了の操作をキャンセルする。
これに対し、「はい」が選択されている状態で、プッシュスイッチ105を押圧操作した場合には、モニタ16は、田植終了の操作を受け付け、可変施肥制御を伴う苗の植付作業を終了する。
このように構成することにより、Rボタン103の誤操作の防止が図られている。
また、本実施態様においては、モニタ16側で種々の設定が可能な「本機モード」と、端末112側で種々の設定が可能な「タブレットモード」の計2つのモードが用意されており、図12(a)および図12(b)には、制御部90から送信される可変モード判定データが「1」であることに基づき、「本機モード」に設定されている場合の画面の状態が示されている。このとき、モニタ16は、Gボタン104および/またはRボタン103を機能させ、その操作を受け付けることができる。
これに対し、図12(c)には、制御部90から送信される可変モード判定データが「2」であることに基づき、モニタ16上で種々の設定を行うことができない「タブレットモード」に設定されている場合の画面の状態が示されている。
本実施態様においては、「タブレットモード」の場合には、図12(c)に示されるように、Gボタン機能説明部126の背景色が灰色(いわゆるグレーアウトの状態)に構成されている。このとき、モニタ16は、Gボタン104の操作を受け付けない。
さらに、図12(c)に示されるように、図12(b)においてRボタン機能説明部127が表示されていた部分には、「タブレットモード」という文字が表示されており、このとき、モニタ16は、Rボタン103の操作を受け付けない。
図14(a)は、図12(a)に示された可変施肥表示画面の状態で、「田植開始」の操作を行った際に表示される割り込み画面を示す図面であり、図14(b)は、「手動計測開始」の操作を行った際に表示される割り込み画面を示す図面であり、図14(c)は、「田植終了」の操作を行った際に表示される割り込み画面を示す図面である。
図14(a)には、図12(a)に示された可変施肥表示画面において、Gボタン104を押圧することにより、Gボタン機能説明部126に示された「田植開始」の操作を行った場合に、液晶パネル106に表示される割り込み画面が示されている。
図14(a)に示されるように、「田植え情報の記録を開始しますか?」の問いに対し、「いいえ」が選択されている状態で、図9に示されたプッシュスイッチ105を押圧操作した場合には、田植え情報の記録の開始をキャンセルすることができ、Gボタン104の誤操作の防止が図られている。
これに対し、「はい」が選択されている状態で、プッシュスイッチ105を押圧操作した場合には、苗移植機1は、可変施肥の制御を開始するように構成されている。
図14(b)には、本機から送信される可変型式Gボタン表示切換データが「2」であることにより、図9に示されたGボタン104が、可変施肥制御に用いる圃場の基準データの手動計測を開始するスイッチとして機能する状態で、Gボタン104を操作した際に、液晶パネル106に割り込み画面表示される画面が示されている。
図14(b)に示されるように、「圃場の基準データの手動計測を開始しますか?」の問いに対し、「いいえ」が選択されている状態で、図9に示されたプッシュスイッチ105を押圧操作した場合には、圃場の基準データの手動計測の開始をキャンセルすることができ、Gボタン104を誤操作してしまう事態の防止が図られている。
これに対し、「はい」が選択されている状態で、プッシュスイッチ105を押圧操作した場合には、可変施肥制御に用いる圃場の基準データの手動計測を開始するように構成されている。
図14(c)には、図12(b)に示された可変施肥表示画面において、Gボタン104を押圧することにより、Gボタン機能説明部126に示された「手動計測完了」の操作を行った場合に、液晶パネル106に表示される割り込み画面が示されている。
図14(c)に示されるように、「手動計測を終了しますか?」の問いに対し、「いいえ」が選択されている状態で、図9に示されたプッシュスイッチ105を押圧操作した場合には、モニタ16は、手動計測終了の操作を中止し、手動計測を継続するように構成されており、Gボタン104の誤操作の防止が図られている。
これに対し、「手動計測を終了しますか?」の問いに対し、「はい」が選択されている状態で、図9に示されたプッシュスイッチ105を押圧操作した場合には、モニタ16は、圃場の基準データの手動計測を終了する。
一方、「手動計測を終了しますか?」の問いに対し、「キャンセル」が選択されている状態で、図9に示されたプッシュスイッチ105を押圧操作した場合には、モニタ16は、手動計測自体のキャンセル操作を受け付け、それまで手動計測した圃場の基準データを破棄する。
なお、本実施態様においては、図14(a)ないし図14(c)に示された各割り込み画面に表示された「はい」「いいえ」(図14(c)においては、さらに「キャンセル」を含む)という選択肢の選択状態を切換えるときは、ジョグダイヤル102を回転させることにより、選択状態を切換えることができる。
本実施態様によれば、前後進レバー20が、第一前進領域73(図6参照)に操作されている場合には、前後進レバーセンサ31からの出力信号に基づき、制御部90によって副変速モータ56が制御され、副変速機構28の切換部材48が図5(c)に示された位置に移動されるため、走行車両2が圃場速度で前進され、また、前後進レバー20が、第二前進領域74に操作されている場合には、前後進レバーセンサ31からの出力信号に基づき、制御部90によって副変速モータ56が制御され、副変速機構28の切換部材48が図5(a)に示された位置に移動されるため、走行車両2が路上速度で前進されるから、走行車両2の走行速度を、前後進レバー20を用いて、圃場速度と路上速度との間で切換えることができ、したがって、前記実施態様において図1に示された副変速レバー21を省くことが可能になり、苗移植機1の操作性を向上させることができる。
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、前記実施態様においては、作業車両としては苗移植機1が用いられ、作業機としては苗植付部35が用いられているが、作業車両として苗移植機1を用いることは必ずしも必要でなく、作業機として苗植付部35を用いることは必ずしも必要でない。
また、図1ないし図6に示された実施態様においては、前後進レバー20を、後退領域76に移動させると、制御部90が、作動停止ソレノイド83を制御して、油圧ロックレバーを作動位置に移動させ、苗植付部35を上昇位置で固定するように構成しているが、走行車両2の後退時に、苗植付部35を上昇位置に保持する手段は特に限定されず、電子油圧バルブ47と昇降油圧シリンダ46との間に、油圧回路をロックするソレノイドバルブを設け、制御部90によってこのソレノイドバルブを制御することにより、苗植付部35を上昇位置に保持するように構成してもよい。
さらに、図1ないし図6に示された実施態様においては、前後進レバー20を、第一前進領域73に移動させると、苗植付部35が上昇された状態で走行車両2が前進し、前後進レバー20を、第二前進領域74に移動させると、苗植付部35が下降された状態で走行車両2が前進するように構成されているが、前後進レバー20を、第一前進領域73に移動させると、苗植付部35が下降された状態で走行車両2が前進し、前後進レバー20を、第二前進領域74に移動させると、苗植付部35が上昇された状態で走行車両2が前進するように構成してもよい。
また、図1ないし図6に示された実施態様においては、前後進レバー20を、第一前進領域73に移動させると、苗植付部35が上昇された状態で走行車両2が前進し、一方、前後進レバー20を、第二前進領域74に移動させると、苗植付部35が下降され、植付装置36による苗の植付を伴う状態で走行車両2が前進するように構成されており、したがって、苗植付部35が下降され、かつ、植付装置36による苗の植付を伴わない状態で走行車両2を前進させることはできないが、第一前進近接位置81、第二前進近接位置82、第一前進近接位置81、第一前進領域73の順に前後進レバー20を移動させた場合に、前後進レバー20が第二前進近接位置82に移動された際に、制御部90が、苗植付部35を下降させ、その後に、前後進レバー20が第一前進近接位置81および第一前進領域73に移動されたときに、苗植付部35を下降位置に保持するように構成することにより、苗植付部35が下降され、かつ、植付装置36による苗の植付を伴わない状態で走行車両2を前進させることができる。
さらに、図1ないし図6に示された実施態様においては、前後進レバー20を第一前進領域73または第二前進領域74のいずれに操作するかによって、苗植付部35の昇降操作を可能に構成されており、また、図7ないし図14に示された実施態様においては、前後進レバーを第一前進領域73または第二前進領域74のいずれに操作するかによって、副変速機構28(図5参照)の状態を切換え、走行車両2の走行速度を、圃場速度と路上速度とに切換え可能に構成されているが、前後進レバー20を、複数ある前進領域のいずれに操作するかによって、例えば、植付装置36の入切の切換え、線引きマーカーの姿勢の切換え、自動運転の入切の切換え、デフロックの入切の切換え、施肥装置24による施肥の入切の切換え、および部分条クラッチ(各植付装置ごとに植付けの入切を可能にするもの)の状態の切換えなどを行えるように構成してもよい。また、この場合に、前後進レバー20の移動により操作する対象の装置(苗植付部35、副変速機構28など)を、スイッチやレバーなどによって選択可能に構成してもよい。このように構成することにより、作業車両の操作性を向上させることができる。
また、図1ないし図6に示された実施態様においては、前後進レバー20の操作範囲には、2つの前進領域、すなわち、第一前進領域73および第二前進領域74(図6参照)が設けられているが、前進領域の数は3以上でもよい。
さらに、前記実施態様においては、前後進レバー20の位置を前後進レバーセンサ31により検出し、制御部90によって、苗植付部35の昇降と副変速機構28の切換部材48の移動が制御されるように構成されているが、前後進レバーセンサ31および制御部90を介することなく、ワイヤーケーブルなどを用いて、機械的に前後進レバー20の操作を伝達し、苗植付部35の昇降または副変速機構28の状態の切換えを行うように構成してもよい。
また、図7ないし図14に示された実施態様においては、苗移植機1は、土壌センサ114を備え、施肥装置24による圃場への施肥量を逐次変更する可変施肥制御が可能に構成されているため、図11(b)に示される作業情報を表示する画面に、植付面積および施肥量が表示されているが、本機の制御部90から送信される型式データに基づき、電動の施肥調量がある型式であって、可変施肥制御が不可能な型式であると判定した場合には、モニタ16は、液晶パネル106に、現在の施肥量の設定値を表示するように構成してもよく、一方、制御部90から送信される型式データに基づき、電動の施肥調量がない形式であると判定した場合には、モニタ16は、液晶パネル106に、現在の施肥量の設定値を表示しないように構成してもよい。
さらに、図7ないし図14に示された実施態様においては、前後進レバー20が、第一前進領域73(図6参照)に操作されている場合には、走行車両2が圃場速度で前進され、また、前後進レバー20が、第二前進領域74に操作されている場合には、走行車両2が路上速度で前進されるように構成されているが、前後進レバー20が、第一前進領域73(図6参照)に操作されている場合に、走行車両2が路上速度で前進され、前後進レバー20が、第二前進領域74に操作されている場合に、走行車両2が圃場速度で前進されるように構成してもよい。
また、図7ないし図14に示された実施態様においては、モニタ16の液晶パネル106に、施肥装置24による圃場への施肥量を逐次変更する可変施肥制御に関する情報を表示するための可変施肥タブ113(図12参照)が表示されるが、この可変施肥タブ113は、制御部90からモニタ16に送信されるデータに、可変施肥に関するデータが含まれている場合に限り、液晶パネル106に表示されるように構成してもよい。
また、図7ないし図14に示された実施態様においては、モニタ16の液晶パネル106に、端末接続状態表示部111(図10(b)参照)が表示されているが、この端末接続状態表示部111は、走行車両2が、端末112とBluetoothにより接続可能な機種であり、制御部90からモニタ16に送信されるデータに、走行車両2と端末112とのBluetoothによる接続状態に関するデータが含まれている場合に限り、液晶パネル106に表示されるように構成してもよい。
さらに、図7ないし図14に示された実施態様においては、モニタ16の液晶パネル106に、衛星からGNSS受信機85により受信した電波の強度を示す電波レベル表示部110(図10(b)参照)が表示されているが、この電波レベル表示部110は、走行車両2がGNSS電波を受信可能な装備を備え、制御部90からモニタ16に送信されるデータにGNSS電波の強度に関するデータが含まれている場合に限り、液晶パネル106に表示されるように構成してもよい。