JP7181617B2 - 結合材料 - Google Patents

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Description

発明の詳細な説明
[発明の分野]
本発明は、結合剤および結合剤から形成される物に関する。結合剤は、菌類またはグルカンに基づかれ、すなわち、菌類およびグルカンの一方または両方は、出発材料として、例えばデキストリンなどのデンプンと共に使用される。本発明は、これらの結合剤からの三次元造形物を生産するための方法、並びに特定の当該結合剤を生産するための方法および構成部分が特定の当該結合剤によって共に固定される三次元複合産物を形成するための方法を提供する。造形物、複合産物、および結合剤は持続可能に供給されることができ、非毒性である。造形物および複合産物は、優れた強度特性を有する。
[背景]
加工木材産物は、建設業において頻繁に使用される。これらの産物は、複合木材産物を生産するために接着剤および/または結合剤を用いて共に固定される木片から作られる。異なる型の加工木材産物を、鎖、繊維、切れ端、または薄層(層)などのような異なる木質系原料から製造することができる。一般的な加工木材産物は、パーティクルボード、繊維板、およびプライウッド、例えば中質繊維板などを含む。加工木材産物は、それらの構造的および/または非構造的特性において変化することができ、家具および構造物のような種々の使用を見つけることができる。
加工木材産業は、例えば、原料として再植林からの木材を使用することによって、および木材と接着剤との、または木材と結合剤との最適な型の選択を介して効率性を上昇させることによって、経時的に、より持続可能で効率的になっている。
しかしながら、この分野において一般的に使用される接着剤および結合剤は、非再生可能な原料から未だ生産される。さらに、多くの一般的に使用される接着剤および結合剤は、接着剤および結合剤のヒト毒性および環境的影響に関して問題がある。
加工木材産業において、この10年間は、持続可能材料から形成される非毒性代替物の生産傾向を示している。
特別な関心は、複合木製パネル産物のような加工木材産物に存在するホルムアルデヒドの量である。尿素-ホルムアルデヒド樹脂のようなホルムアルデヒドに基づく樹脂は、パーティクルボードおよびMDFのような大部分の複合木材産物を結合するために使用される。特に、尿素ホルムアルデヒドは、最も安い結合剤であり、取り扱いが最も簡単であると考えられている。従って、ホルムアルデヒドは、室内家具のための加工木材において一般的に使用される。
ホルムアルデヒドは、複合木材産物の生産中および複合木材産物の寿命の間の両方で空気中に放出される。心配なことに、研究評議会(National Research Council)(米国)、ECHA(欧州連合)、および国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer)(IARC)(国際組織)のような様々な組織は、ホルムアルデヒドを潜在的な発がん物質として、および刺激物として特定している。
2015年に加工木材産物のための欧州標準が成立し、加工木材産物からのホルムアルデヒドの生涯放出を制限した。さらに厳しい制限が欧州で早くも2019年に成立されるかもしれない。米国において、加工木材産物のホルムアルデヒド量における厳しい規則を2017年に連邦法において法制化し、新しい産物は2018年からこれらの規則に従うことになる。
加工木材産物の生涯にわたって放出されるホルムアルデヒド量は、業界標準によって制御される。欧州において、加工木材産物は、加工木材産物のホルムアルデヒド放出等級に基づいて分類E0、E1、およびE2に分類される。MDFのオンライン供給者の15%未満は、最も低いホルムアルデヒド放出等級E0を順守していると思われる。
加工木材パネル産業の製造業者は、現在のホルムアルデヒドに基づく樹脂の代替物を積極的に探索している。しかしながら、結合剤自体内のホルムアルデヒドを完全に除去することは難しい。
pMDIのようなイソシアネートに基づく結合剤および接着剤は、加工木材産業において一般的に使用されるホルムアルデヒドを含まない代替物である。イソシアネートに基づく結合剤および接着剤は、機械的に非常に強い生産される加工木材産物を可能にするが、硬化される前に高い毒性があり接触性皮膚炎を引き起こし、特に有害になる。したがって、これらのイソシアネートに基づく結合剤および接着剤の使用は、イソシアネートに基づく材料が噴霧される任意の機械または製造過程を安全に囲むための大規模な設備の一新を必要とする。さらに、イソシアネートに基づく結合剤および接着剤は、UF樹脂より高価である。さらに、原料の入手可能性の欠如のために、近年、十分な量のイソシアネート接着剤を供給することが問題になっている。
通常用いられる方法は、ホルムアルデヒドに基づく樹脂を使用するが、生産工程中、および/または完成品になるまでにホルムアルデヒドを除去する接着剤および/または被覆剤を加えることである。しかしながら、これらの添加材を含むことは追加費用を伴ない、最終産物の製造費をより高価にすることが理解されるだろう。それと同時に、除去剤は、硬化時間または物の強度に対して重大な利益を及ぼさない。
生産工程自体も、加工木材産物の最終用途を見つける一般的に閉じ込められた屋内環境にホルムアルデヒドが放出される代わりに、ホルムアルデヒドが工場内に放出するように変えられている。しかしながら、このことは、環境へのホルムアルデヒドの放出を未だ必要とし、生産工程をより複雑にする。
ホルムアルデヒドに基づく結合剤に対して大豆系結合剤のような、生物学的に調達される代替物が開発されている。しかしながら、多くがまだ効果的な結合剤または接着剤として作用することができず、生産物は加工木材産業において必要とされるものより弱いものとなる。強度は家具や構造単位のような最終産物に利用される多くの加工木材産物にとって重要な因子でることが理解されるだろう。
さらに、生物学的資源を利用するために開発されている結合剤は、広範な商業的使用を可能にし得る量で利用することができない資源に基づいていることが多い。
いくつかの伝統的な生物学的に調達される代替物は、高い粘性も有するので、結合剤が使用可能になるように、高い粘性に対抗するために水を加えなければならない;結合剤は、チップボードおよびパーティクルボードのような加工木材産物を生産するために、木質チップまたはおがくずのような充填材料と混合されなければならないことは理解されるだろう。しかしながら、水の添加は硬化時間を増加させる。したがって、生物学的に調達される結合剤および接着剤は、一般的に特定分野(niche)にのみ適用が見られている。
結果的に、本発明の一つの目的は、伝統的なホルムアルデヒドに基づく樹脂の使用に取って代わる、または減らすことができる結合剤を提供することである。本発明の更なる目的は、非毒性であり、持続可能な資源から調製されることができる結合剤を提供することである。物は、非毒性であり持続可能な資源から調製される物を提供するために、他の非毒性および持続可能な原料と組み合わせて当該結合剤から生成されてもよい。
本発明の更なる目的は、比較的低い粘性を有する結合剤を提供することであり、比較的低い粘性を有する結合材は、取り扱いが容易であり、木質チップまたはおがくずのような充填材料とすぐに混合されることができ、硬化時間に悪影響を与え得る水分量の添加を必要としない。
本発明の更なる目的は、良い強度特性を有する加工木材産物を調製するために使用されることができる結合剤を提供することである。
第一の態様にしたがって、本発明は、請求項1に定義されるような造形物を生産する方法を提供する。第一の態様によって作られる造形物は、パーティクルボード、チップボード、または繊維板(例えば、MDFまたは断熱板など)のような有用な加工木材産物であってもよい。
一つの実施形態において、当該方法において使用される結合剤は、アルカリ組成物を形成するために菌類をアルカリ化剤と混合し、pH5~pH9を有する菌類に基づく結合剤を形成するためにアルカリ組成物を酸化剤と混合することによって生産されているということであってもよい。
第二の態様にしたがって、本発明は、請求項5に定義されるような加工木材産物である造形物を生産する方法を提供する。第二の態様によって作られる造形物は、プライウッドに有用であり得る。
本発明のこれらの方法は、製造工程の容易さ、および使用される原材料の豊富さのため、拡張可能である。好ましい実施形態において、結合剤は、デンプンと共に、重要な原材料として、酵母またはキノコのような菌類を使用する。酵母は安価であり、醸造(brewing)および焼き付け(baking)において大量のスケールで使用される。使用済み(spent)酵母は、容易に利用可能である。実施例に示されるように、動物飼料に使用される酵母型は(低級酵母であってもよく)、強い加工木材産物を生産するために本発明において使用されることができる。したがって、本発明は持続可能に調達される物を提供することができる。
本発明のこれらの方法において使用されるような結合剤は、結合するおよび接着するための当該能力に関して優れた特性を有すると決定されている。菌類、例えば、酵母が出発材料として使用される場合、結合剤は、容易に利用可能である天然源材料から形成される利点をさらに有し、結合剤が大スケールで生産されることができることを意味する。したがって、本発明は、単に特定分野(niche)の解決法というよりはむしろ、広範な商業的に実行可能である可能性を有する。
本発明のこれらの方法によって作られる物は、例えば、加圧のような力に対する抵抗性に関して、または耐久性に関して有利な弾性および強度を有する。特に、本発明のこれらの方法によって作られる物は、破壊係数(MOR)、弾性係数(MOE)に関して、および三点曲げ試験において、有利な弾性および強度を有する。
本発明のこれらの方法によって作られる造形物は、実施例によって証明されるように、固体である。本発明にしたがって作られる板形の物は、加熱加圧される場合、特に強く、家具類または構造物の産生において有利に使用されることができる。
本発明のこれらの方法によって作られる造形物は、例えば、断熱板(低密度断熱板など);床構造物または屋根構造物(タイル、シート、およびパネルを含む);木箱、箱、またはトレイのような梱包物;または、テーブル、椅子、もしくはスツールのような家具物、のような構造物であってもよい。しかしながら、本発明は特定の物の型に制限されない。
本発明者は、組成物に必要な硬化時間が本発明における効率的な工業的利用に重要であるということを決定している。本発明に係る結合剤は、急速に硬化されることができ、板厚mmにつき約10秒~20秒、例えば、板厚mmにつき12秒~18秒など、の硬化時間を達成してもよい。これは従来の結合剤の硬化時間と異ならない。さらに、当該硬化時間は、任意の現在利用可能な生体接着剤の硬化時間の中でも最も早い。
酵母に基づく接着剤は、Kadimaliev et al.,BioResources(2012)7(2),1984-1993に記述されている。接着剤は、醸造酵母を塩化水素酸または水酸化ナトリウムのどちらかと混合することによって作られた。Kadimalievらの論文は、紙、ボール紙、または木のための接着剤として、すなわち2つの当該表面を共に保持するために、当該酵母誘導体の使用を記述するだけである。さらに、重要なことに、Kadimalievらの論文は、酵母を酸との処理、またはアルカリとの処理にさらすことによって形成されている産物を記述するだけである。
本発明者は、驚くべきことに、でんぷんと共に酵母を含む出発材料を酸およびアルカリの両方と処理することは、酸処理または塩基処理のみを用いて作られる産物と比較して有利である産物を生産することを明らかにしている。この点に関して、両方の処理から結果的に生じる産物は、優れた結合特性を有し、容易に充填材(例えば、木質チップまたはおがくずなど)と混合されることができ、結果的に予想外に強い加工木材産物を生じる。対照的に、単一の処理(酸またはアルカリ)から生じる産物は、充填材料(例えば、木質チップまたはおがくずなど)と容易に混合せず、結果的に強い複合産物を生じないので、結合剤として有用に使用されることができない。このことは本願実施例において証明される。
その一方、生物学的分野では、酵母をアルカリおよび酸と攪拌することを含む方法を、酵母細胞を溶解させるために使用することができ、細胞成分を遊離させると長く認識されている。このことは、例えば、Biochem.J.(1966)101,36c、およびBiochem.J.(1937)81,72に記述される。しかしながら、この文献は、溶解された細胞の任意の潜在的な商業的使用を熟慮しておらず;グルカンおよびチキンのような細胞壁のより高純度な試料を試験することに焦点を合わせている。確かに、この溶解物は1960年代に記述されているにもかかわらず、溶解された細胞の商業的使用は、今日まで一見したところ決定されていないようである。
さらに、生物学的分野における先行技術において酵母細胞を溶解するために使用される技術は、本発明の方法において使用される好ましい条件とは異なる。特に、先行技術は、材料を研究する目的を有し、細胞材料を無傷な状態(intact)に保持すること、およびタンパク質材料の変性を最小限にすることを所望とされたことを意味する。
US2005/0130273は、菌類または酵母バイオマスからの、特に、アスペルギルス ニゲル(Aspergillus neger)バイオマスを使用して、細胞壁誘導体を単離する方法を記述する。これらの方法は、チキンの単離並びに動物由来でないチキンポリマーおよびキトサンを調製することに焦点を当てている。方法は、ヒドロゲル、フィルム、および有孔体のような産物を生産するために使用される。最終使用は、医療、化粧品および食品のような分野である。方法は、アルカリ処理および酸処理を用いるけれども、酸を添加する前に、アルカリ可溶性画分を捨てることを必須として記述される。したがって、本発明のように菌類/酵母バイオマスが酸およびアルカリの両方の処理を受けるというよりはむしろ、抽出物のみが処理を受ける。
JPS49-92308は、紙の光沢を向上させる被覆紙として使用するための組成物の製造を記述する。被覆は紙に適用され、乾燥させるとよい。被覆内に使用される結合剤は、約10wt%の細菌細胞濃度を有するクレンジング乳液として、湿った形態で酵母(ピキア ミソ(Pichia miso)バイオマス)から得られる。結合剤を生産する方法は、アルカリ処理および酸処理を使用するけれども、アルカリ処理後、残渣を遠心分離によって分離し除去し、その後、酸を添加し、その後、沈殿されたタンパク質を遠心分離によって分離し除去した。したがって、本発明のように酵母が酸処理およびアルカリ処理の両方を受けるというよりはむしろ、抽出物のみが処理を受ける。
JP S53-24098は、被覆紙として使用するための組成物の製造も記述する。被覆は紙に適用され、乾燥させるとよい。被覆内に使用される結合剤は、pH10~pH16にするために微生物にアルカリを加え、および界面活性剤を加え加熱し、その後、タンパク質および界面活性剤の複合体から沈殿するようにpH3~pH5に調節するために酸を加えることによって得られる。分離によって得られるこの白色粉末沈殿物は、すなわち、全処理産物というよりはむしろ抽出物であり、その後、被覆組成物に使用される。
RU2404222は、醸造酵母、ホウ酸、および水酸化ナトリウムから作られた接着剤を記述する。接着剤は、接着するために有用であると記述される。接着酵母を得るために、1:1の比率で水酸化ナトリウムと処理され、その後、ホウ酸およびグルセリンと組み合わせる。アルカリ処理酵母沈殿物の量が96.0~98.0%で、ホウ酸は、0.1%~0.3%の量で使用される。
GB 2 185 489は、アルカリを用いて酵母を処理することによって、任意に酢酸も用いて酵母を処理することによって作られる接着剤を記述する。接着剤は、2つの隣接面を結合するために有用であるとして記述される。
WO2017/075725は、酵母抽出物を調製する工程を記述し、酵母抽出物は、パーティクルボードを作るために使用される。文献は、タンパク質が酵母から遠心分離、エネルギー集中的ステップを用いて単離される前に、酵母細胞が熱的に溶解されたことを記述する。タンパク質単離物は、パーティクルボードを作るために使用された。これに関して、10mm厚のパーティクルボードを、ボード厚当たり24秒/mmの時間で硬化した。酵母のアルカリ処理および酸処理は記述されていない;使用される処理は熱的であり、その時点で使用される酵母の唯一の構成成分であるタンパク質単離物を得るために設計される。
本発明者は、驚くべきことに、結合剤は、菌類(酵母またはキノコなど)またはグルカン(ベータグルカンなど)から、デンプン(デキストリン)と共に得られることができ、結合剤は造形物、特にシートまたはパネルまたはタイルを形成することに高く効果的であり、結合剤は、強く、弾力性があり、用途が広い、ということを明らかにしている。これらの結合剤は、アルカリおよび酸の両方を用いて処理することによって得られる。出発材料のこの組み合わせおよび処理は新規であり、驚くほど効果的である。
バイオマスの酸処理および/または塩基処理から形成される産物は、以前に形成されているが、これらは被覆組成物の結合物質として、または標準的な接着剤として使用されていた。これらは結合剤ではない。
当業者が理解するように、結合剤は、粒子または他の要素などの形態で他の材料と混合され(blended)、または混ぜる(mixed)ことができ、硬化されると、それらを共に保持し、造形された全体をまとめるのに役立つ物質である。効果的な結合剤の特徴は、したがって、被覆組成物の接着剤または結合物質と同一でない。結合剤は、粒子または他の要素の形態で他の材料と容易に混合され(blended)、または混ぜる(mixed)ことができなければいけない。結合剤は、有用な複合産物を提供するように、三次元強度を与えるために硬化することができなければならず、ここで組み合わされた結合剤および充填材は、強く弾性の造形物を提供するためにともに保持される。
最も一般的なパーティクルボードの厚さは18mmであり、厚くなると、ボードは中心部を硬化することがより難しくなる。本発明は、18mm厚であり、厚さにつき約10~20秒/mm、例えば、12~18秒/mmで硬化されるパーティクルボードを生産するために使用されることができる。非毒性結合剤を用いて10mmより厚く、速い硬化スピードでボードを生産するための能力は、本発明によって提供される重要な技術的進歩である。
本発明によって提供される結合剤は、予想外に強い複合産物を与えるように硬化する。本発明にしたがって提供される造形物は、驚くべきことに、高い破壊係数および弾性係数を有する。本発明によって提供される結合剤は、結合剤の固体量に対して低い粘性も有する。本発明によって提供される結合剤は、充填材量(例えば、木質チップ、おがくず、または木質繊維など)と良好に混合する。本発明によって提供される結合剤の低い粘性は、結合剤が比較的低い水含有量を有することができ、充填材と容易に混合することも可能にしながら、水を蒸発させることによって結合剤を素早く硬化することができるようにする、ということを意味する。本発明によって提供される結合剤は、特に、加熱加圧によって硬化される場合、短い硬化時間を有する。これらの有利な技術的効果は、実施例の欄に示される。
更なる利点は、本願における結合剤を用いて作られる物は、屋内用にも十分な水抵抗性を有することである。本発明にしたがって作られ、24時間水に浸されたパーティクルボードの膨張する厚さ、および水吸着性は、尿素-ホルムアルデヒドの性能と類似している。このことは実施例に示される。
さらに、本発明によって提供される物は、ヒトの健康に対して毒性がなく、一つには低いまたは存在しないホルムアルデヒド、および/またはVOC含有量のために環境的に無害である。
さらに、菌類原料は、環境的に優しく、再生可能資源に由来する。
本発明における結合剤は、部分的に、または完全に現存する尿素-ホルムアルデヒド樹脂を取り換えるために、加工木材産業において現存する製造工程に容易に組み込まれることもできる。したがって、パーティクルボードのような産物は、本発明を用いて有用に作られることができる。しかしながら、本発明の結合剤の利益および使用は、加工木材産業を超えた分野においても適用可能であることも理解されるだろう。
優れた強度と、非毒性産物を有する能力および天然に調達される出発材料を使用する能力との組み合わせは、家具、構造物、および梱包物を含む、本発明のためのいくつかの潜在的な最終使用があるということを意味する。
第三の態様にしたがって、本発明は、第一の、または第二の態様の方法によって得ることができる物を提供する。
本発明者は、驚くべきことに、本発明の方法によって作られる物が、有利な特性を有するということを明らかにしている。上述されるように、結合剤は、形成された物に優れた機械的および化学的特性を与える。当該物は、特に弾性があり強度があってもよい。
本発明において、デキストリンなどのようなデンプンの使用と共に、菌類(酵母またはキノコなど)またはグルカン(ベータグルカンなど)のアルカリ処理および酸処理の両方を行う組み合わせがある。この組み合わせが、結合剤として使用するための優れた特性を有する新規産物につながることを明らかにしている。
したがって、第4の態様によると、本発明は、結合剤を調製するための方法を提供し、次のステップ:
i.アルカリ性組成物を形成するために(A)菌類またはグルカンと(B)デンプンとを、アルカリ化剤と共に混合すること;および前記結合剤を形成するために前記アルカリ組成物を酸化剤と混合すること;または
ii.酸性組成物を形成するために(A)菌類またはグルカンと(B)デンプンとを、酸化剤と共に混合すること;および前記結合剤を形成するために前記酸性組成物をアルカリ化剤と混合すること;
を含む。
アルカリ化剤は、pKaH8以上、例えば、pKaH11以上、を有するアルカリ性水溶液として、アルカリ化剤のアルカリ濃度が10重量%以上で提供されてもよい。酸化剤は、pKa5以下、例えば、pKa2以下、を有する酸性水溶液として、酸化剤の酸濃度が10重量%以上で提供されてもよい。
アルカリ化剤および酸化剤の量は、結果的に生じる結合剤が、pH5~9、例えばpH5.5~8、またはpH6~8など、を有するように適切に選択される。言い換えると、アルカリ化剤および酸化剤は、好ましくは、互いに実質的に中性である。
本発明のいくつかの実施形態において、比較的低い粘性を有する強く効果的な結合剤を提供するために、および硬化段階において除去される水の量を減少させるために、比較的強い酸および強いアルカリを、菌類/グルカンおよびデンプン出発材料に比較的高い濃度で加える。
本発明において形成される結合剤は、三次元形状複合産物において充填材量(例えば、木質チップまたはおがくずなど)と比較して比較的低い割合で使用されることができ、結合剤の優れた構造的特性を反映する。このことは、実施例に示される。
第四の態様にしたがって、本発明は第四の態様の方法によって得ることができる結合剤を提供する。
結合剤は、良い結合特性および良い接着特性を有する。したがって、(I)硬化される結合剤から特に立体形状造形物を形成するために、結合剤として使用されることができ、ここで、これらの物は、硬化される結合を介して分散される構成部分(例えば、木質チップまたはおがくずなど)を有し;(II)2つの表面を互いに固定するために、接着剤として使用されることができる(例えば、ラベル接着剤として使用されることができる)。
第一のまたは第二の態様におけるいくつの実施形態において、結合剤は、第五の態様に従う、または第四の態様における方法によって形成されることが理解されるだろう。
上記のように、発明者は、本発明の結合剤が2つの表面間に優れた接着性を提供することも決定している。
したがって、第六の態様にしたがって本発明は、複合産物を生産するために2つの構成部分を共に固定する方法を提供し、各構成部分は、接触面を有し、当該方法は、
a)第五の態様に係る結合剤を提供すること;
b)結合剤を第一の構成部分の接触面に、および/または第二の構成部分の接触面に適用すること;
c)第一の構成部分の接触面および第二の構成部分の接触面を共に結合させること;
d)複合産物を生産するために、2つの構成部分を共に固定するために結合剤を硬化すること、
を含む。
2つの構成部分は、したがって、構成部分の接触面に接着によって共に固定されることを理解されるだろう。
本発明のこの方法によって作られる複合産物は、従来の接着剤を用いて形成される複合産物より、例えば、接合部が壊れる前に約2倍の荷重に耐えることができるなど、良好な接合強度を有することを明らかにしている。
一つの実施形態において、ステップa)は、第四の態様の方法によって行われることを含む。
圧力は、2つの構成部分を共に固定することを助けるために、ステップc)および/またはステップd)中で適用されてもよい。
第七の態様にしたがって、本発明は、第六の態様の方法によって得ることができる複合産物を提供する。
上述のように、本発明は、驚くほど良好な接着特性を有する結合剤を提供する。特定のアルカリおよび酸処理の使用は、これらの特性を上昇させると考えられる。処理は、菌類細胞壁の効果的な破壊、およびその後、菌類細胞からの加水分解材料の再連結を提供すると考えられ、それらは実質的に中性条件で行う。菌類と共に、例えばデキストリンなどのデンプンの含有は、最終産物において優れた強度特性につながる。
一つの実施形態において、複合産物は木に基づく産物である。他の実施形態において、複合産物は、標識化された容器を形成するために共に固定される容器(例えば、瓶またはジャー(jar))および標識である。
本発明の全ての態様において、結合剤にさらに含まれるのは例えばPAEなどの架橋剤であると好ましいとすることができる。架橋剤は、下記により詳細に記述されるように、および実施例に示されるように結合剤の特性を向上させる。
本発明の全ての態様において、(A)菌類またはグルカン、および(B)デンプンを含む出発材料は、アルカリ処理および酸処理前に水性混合物の形態で好ましくは提供される。一つの実施形態において、水性混合物は、45wt%~90wt%、例えば、50wt%~80wt%、または50wt%~70wt%の水分量を有する。言い換えると、アルカリ処理および酸処理前の出発材料における乾燥量(水分がない量)は、10重量%~55重量%、例えば、20重量%~50重量%、または30重量%~50重量%が適切であってもよい。
したがって、本発明の全ての態様において、(A)菌類もしくはグルカン、および/または(B)デンプンは、アルカリ処理および酸処理前に、水を用いて任意に希釈されてもよい。これに関して、水は、(A)菌類またはグルカン、および(B)デンプンを含む出発材料のように(A)菌類もしくはグルカン、および/または(B)デンプンに、アルカリ処理および酸処理が始まる前の時点で加えられてもよく、45wt%~90wt%、例えば、50wt%~80wt%、または50wt%~70wt%の水分量を有する。
[詳細な説明]
本発明において、結合剤は作られることができ、造形物は結合剤から形成されることができ、複合産物は結合剤を用いて作られることができる。結合剤は、菌類に基づく結合剤であってもよく、すなわち、出発材料として菌類を用いて作られ、または出発材料としてグルカン(例えば、ベータグルカン)を用いて作られてもよい。次の説明に開示される全ての任意の実施形態および開示される特徴は、上記の発明の要旨において提供されるような与えられた態様の定義と矛盾するものを除いて本発明の全ての態様に適用する。
結合剤は、(A)菌類(例えば、酵母など)またはグルカン(例えば、ベータグルカンなど)、および(B)デンプンをアルカリ化剤と、その後、続いて酸化剤と混合することによって、または逆もまた同様に生産されることができる。
本発明者は、有用な結合剤が天然原料、すなわち菌類から形成されることができることを決定している。特に適切な菌類は、生物膜および/またはコロニーを形成する能力を含む。ベータグルカンのような、グルカンを含む菌類は、本発明における使用のために特に適切である。
使用のために熟慮され得る菌類の例は、サッカロミセス(Saccharomyces)属の種、カンジダ(Candida)属の種、クリプトコッカス ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、トリコスポロン(Trichosporon)属の種、並びに例えば、アスペルギルス フミガーツス(Aspergillus fumigatus)およびアスペルギルス ニゲル(Aspergillus niger)などのアスペルギルス(Aspergillus)属の種を含むが制限されない。言及されることができる他の実施例は、ペニシリウム(Penicillium)属、菌類トリコデルマ(Trychoderma),麹菌(アスペルギルス オリーゼ(Aspergillus oryzae)およびフザリウム ベネナタム(Fusarium venenatum)の種を含む。一つの実施形態において、菌類は、サッカロミセス セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス ブラウディ(Saccharomyces boulardi)、サッカロミセス ウバラム(Saccharomyces uvarum)、カンジダ アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ パラプシローシス(Candida parapsilosis)、カンジダ ドゥビリエンシス(Candida dubiliensis)、カンジダ トロピカリス(Candida tropicalis)、またはトリコスポロン アサヒ(Trichosporon asahi)であってよもい。
一つの実施形態において、菌類は、レンチヌラ エドデス(Lentinula edodes)(シイタケ キノコ)、トラメテス ベルシコロル(Trametes versicolor)(カワラタケ(turkey’s tail) キノコ)、イノノツス オブリクウス(Inonotus obliquus)(チャガ(chaga) キノコ)、またはヘリシウム エリナセウス(Hericium erinaceus)(ヤマブシタケ(lion’s mane)キノコ)であってもよい。これらの菌類は、酵母ではないが、実施例に示されるように、効果的な結合剤を生成することが示されている。キノコのような、非粉末菌類を用いる場合、アルカリで処理する前に、菌類を粉末に挽くことが必要であってもよい。
菌類はディカリア(Dikarya)であってもよい。一つの実施形態において、菌類は、子嚢菌門(phylum Ascomycota)である。一つの好ましい実施形態において、菌類は酵母である。一つの実施形態において、菌類は、ピキア(Pichia)、クロエッケラ(Kloeckera)、およびトルロプシス(Torulopsis)のような野生型酵母から選択される。他の実施形態において、菌類はサッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母である。
酵母は、適切にはサッカロミセス セレビジエ酵母であり、特にパン酵母株である。一つの好ましい実施形態において、酵母は、使用済み(spent)醸造酵母のような醸造酵母、またはパン酵母である。しかしながら、他の型の酵母を熟慮することも可能である。
好ましくは、酵母は、パン酵母から、または醸造酵母(例えば、使用済み(spent)醸造酵母など)から調達され、または動物飼料のために使用される型の酵母であってもよい(動物飼料のために使用される型の酵母は低級酵母であってもよい)。パン酵母は、ラレマンド社(Lallemand)、フェルミパンから調達されてもよく;低級酵母は、ツァンチョウ キシンデウェイ 動物薬会社(Cangzhou Xindewei Animal Drug Co.)から調達されてもよく;使用済み(spent)醸造酵母は、醸造工程から調達されてもよい。動物飼料に一般的に使用される酵母は、カンジダおよびサッカロミセス酵母の混合物が約40~60重量%、および灰(アッシュ)のような他の構成要素を一般的に含む。
酵母は、乾燥粉末形態であってもよく、または醸造工程における副産物であってもよい。乾燥粉末形態において、酵母は、一般的に水分量が約4重量%、例えば、2~8wt%を有し、一方、使用済み(spent)醸造酵母は、一般的に水分量が10~70wt%を有する。
使用済み(spent)醸造酵母の場合において、酵母は結合剤を作るために使用される前に、当該水含有量を減少させてもよい。これは、空気乾燥、オーブン乾燥、または遠心分離を用いることで適切に達成されてもよい。40℃を超えるような高温の使用は、有用な細胞壁生体分子を変性、および/または破壊し得る。したがって、好ましくは、乾燥は、例えば約室温などの40℃以下で達成される。遠心分離は、例えば、毎分回転数1000~5000(例えば、約3000)で、1~30分の期間(例えば約10分)での使用が適切であり得る。
一般的に、結合剤を作るために使用されるような形態の菌類は、25wt%以下、例えば20wt%、または15wt%以下、例えば、10wt%以下の水分量を有すると好ましい。一つの実施形態において、菌類は、0.5~20wt%、例えば1~15wt%、または2~10wt%などの水分量を有する。
当業者が理解するように、水分量は、20℃、大気圧で、伝導率計を用いて電気伝導率を測定することによって決定されてもよい。伝導率計は、当該伝導率を測定するために材料に直接的に挿入される2つの電極を使用する。伝導率計は、各材料が当該水分量に基づいて変化する特定の伝導率を有するので、この測定から材料の水分量を決定することができる。
菌類に対する代替物として、例えばベータグルカンなどのグルカンを、出発材料として用いることができる。実施例は、菌類の使用およびグルカンの使用が共に最終産物の特性に関して優れた結果をもたらすことにつながるということを示す。しかしながら、例えば酵母などの菌類は、天然原料であり容易に利用可能であるという事実のために出発材料として好ましいかもしれない。使用済み(spent)醸造酵母またはパン酵母のような材料の場合において、当該材料は低価格でもある。
ベータグルカンは、例えばナチュールヘリプラクシド(Naturheilpraxid) ベドラフ(Bedraf)、ドイツから商業的に調達されることができる。
例えばベータグルカンなどのグルカンは、最大10wt%、例えば1wt%~7wt%、または2wt%~6wt%、例えば3wt%~5wt%などの水分量を適切に有することができる。
本発明において使用される出発材料は、デンプンと組み合わせて、例えば酵母などの菌類、または例えばベータグルカンなどのグルカンを含む。
この点について、デキストリンまたは他の加工デンプンのようなデンプンは、アルカリ化剤および酸性酸との処理が行われる前に、菌類またはグルカンと組み合わせて提供される。デンプンおよび菌類、またはデンプンおよびグルカンは、アルカリ化剤および酸性酸との処理が行われる前に共に混合されてもよい。出発材料としてデンプンの含有は、デンプンがアルカリ化されることを意味するので重要であると思われる。このことは、酵母のグルカンを有するさらに良い高分子構造を形成することを意味する。したがって、結果的に生じる結合剤は、上昇した結合強度を有する。デキストリンまたは他の加工デンプンのようなデンプンが、アルカリ化剤および酸性酸との処理が行われる後に添加される場合、その後、結果的に生じる産物は、混合することが難しく、さらに硬化産物から形成される造形物は強度が低い。
使用されるデンプンの型は、特に制限されない。使用のために熟慮されることができるデンプン材料の例は:加工デンプン;カチオンデンプン;カルボキシメチルデンプン:酸化デンプン;漂白デンプン;並びにリン酸モノデンプンおよびリン酸ジデンプンを含む。アセチル化デンプンは、高い粘性を有することができるが、例えば、本発明の第二の態様における方法において、および/または本発明の第6の態様における方法においてなど、特に表面適用のために未だ熟慮されることができる。同様に、ヒドロキシプロピルデンプンは、粘性を増加させることができるが、非常に強く、例えば、本発明の第二の態様における方法において、および/または本発明の第6の態様における方法においてなど、特に表面適用のために確実に熟慮されることができる。
好ましくは、デンプンは:デキストリンまたは他の加工デンプン、アミロース、アミロペクチンおよびマルトデキストリンから選択される。より好ましくは、デンプンはデキストリンである。
デキストリンのようなデンプンは、紙およびパルプ産業における適用が明らかになっている一方、加工木材産業においては、デキストリンのようなデンプンは十分な結合特性を有しないので、デキストリンのようなデンプンの使用は未だ明らかになってはいない。
しかしながら、本発明は、本発明の物が出発材料としてデンプンを用いることなく作られる場合、本発明の物は強度の点については、破断係数によって測定されるように劣っていることを驚くべきことに明らかにしている。
特に、デキストリンは、本発明の方法によって提供される物の強度を増加させるのに特に効果的であると示されている。デキストリンは、デンプンの低分子量型であり、デンプンから単純な工程を用いて精製される。特に、デキストリンは、デンプンまたはグリコーゲンの加水分解によって生産されることができる。デキストリンは、アミラーゼのような酵素を用いてデンプンから、酸性条件下、熱乾燥(熱分解または焙煎)を適用することによって生産されることができる。デキストリンは、α-(1→4)またはα-(1→6)グリコシド結合によって結合されるD-グルコース単位のポリマーの混合物である。
乾燥出発材料、すなわち、デンプンと組み合わせた菌類またはグルカンは、好ましくは、デキストリンのようなデンプンを、最大50重量%、例えば、40重量%、例えば、最大0.01重量%~50重量%、または0.01重量%~40重量%、例えば、0.1重量%~20重量%、または0.5重量%~15重量%、または0.5重量%~10重量%、または1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%を含む。好ましくは、デンプンは、0.5重量%~15重量%、例えば、0.5重量%~10重量%の量で含まれる。
出発材料において、乾燥材料を考慮する場合、デンプンに対する菌類/グルカンの重量比は、200:1~1:1、例えば、200:1~5:2、または200:1~6:1、または200:1~10:1が適切であってもよく;一つの実施形態において、比率は、100:1~1:1、例えば、100:1~5:2、または100:1~6:1、または100:1~10:1であってもよい。比率は、75:1~1:1、または50:1~1:1であってもよい。一つの実施形態において、乾燥材料を考慮する場合、デンプンに対する菌類/グルカンの重量比は、100:1~3:2、例えば、75:1~3:2、または50:1~3:2であってもよい。他の実施形態において、乾燥材料を考慮する場合、デンプンに対する菌類/グルカンの重量比は、100:1~2:1、例えば、75:1~2:1、または50:1~2:1であってもよい。
デキストリンは、アトランティス アート マテリアルズ社(Atlantis Art Materials)から調達されることができる。一般的に、デキストリンは、乾燥粉末として加えられるだろう。これは、1重量%~10重量%、例えば1重量%~5重量%、の水分量を適切に有してもよい。
理論に縛られることなく、本発明は、グルカン、マンナン、および/またはキチンのような菌類細胞壁成分を放出することによって行われ、充填材料、特に木材に基づく充填材料によく結合すると考えられる。アルカリ化剤は、菌類細胞壁を溶解させるために菌類と相互作用する。この工程は、発熱性である。アルカリ化剤の化学的作用およびアルカリ化剤と菌類との相互作用によって生産される熱の両方は、菌類細胞壁の加水分解を助けると考えられる。菌類細胞壁はこの工程によって縮小され、開かれ、菌類細胞壁の構造を非結合な状態にすると考えられる。グルカン、マンナン、および/またはキチン層ポリサッカライドは、この工程において遊離させると思われる。
(A)菌類またはグルカン、および(B)デンプンを含む出発材料は、アルカリ処理および酸処理前に水性混合物の形態で好ましくは提供される。一つの実施形態において、水性混合物は、45wt%~90wt%、例えば、50wt%~80wt%、50wt%~70wt%の水分量を有する。言い換えると、アルカリ処理および酸処理前の出発材料の乾燥量(水がない量)は、10重量%~55重量%、例えば、20重量%~50重量%、または30重量%~50重量%で適切であってもよい。
したがって、(A)菌類もしくはグルカン、および/または(B)デンプンは、アルカリ処理および酸処理前に、水で任意に希釈されてもよい。これに関して、水は、(A)菌類またはグルカン、および(B)デンプンを含む出発材料のような(A)菌類もしくはグルカン、および/または(B)デンプンに、アルカリ処理および酸処理を始める前の時点で水分量が45wt%~90wt%、例えば、50wt%~80wt%、または50wt%~70wt%の水分量を有するように添加されてもよい。
結合剤を調製する工程は、室温から最大80℃までの温度で、好ましくは室温から最大45℃までの温度で適切に行われてもよい。
菌類が酸化剤と処理される前に、アルカリ化剤と最初に処理されることは、有利であるが必須ではない。
しかしながら、実施例において示されるように、良い結果は、酸処理が最初に行われ、続いてアルカリ処理が行われる場合にも得られる。重要であると示されていることは、アルカリ処理および酸処理が両方あること、出発材料は菌類(またはグルカン)だけでなくデンプンも含むことである。
アルカリ化剤は、水溶液として提供されると好ましく、このことは、菌類との当該反応を良好に管理することを可能にする。一つの実施形態において、アルカリ化剤は、アルカリ濃度が1重量%~80重量%、例えば、1重量%~70重量、または1重量%~60重量%、または2重量%~50重量%、例えば、5重量%~45重量%のアルカリ濃度を有する水溶液として提供される。好ましい実施形態において、アルカリ化剤は、アルカリ濃度が10重量%以上、例えば、15重量%以上、または20重量%以上、または40重量%以上、例えば、30重量%~70重量%、または50重量%~70重量%、または55重量%~65重量%を有する水溶液として提供され;またはアルカリ濃度が10重量%~60重量%、または10重量%~50重量%、または15重量%~45重量%、または20重量%~40重量%であってもよい。一つの実施形態において、溶媒は、水道水のような水である。
アルカリ化剤は、菌類細胞壁を溶解させるために十分に強くなるべきである。一つの実施形態において、アルカリ化剤において使用されるアルカリは、pKaH(pKaの当該プロトン化された形態)が9以上、例えば、10以上を有する。好ましくは、アルカリは、pKaHが11以上、例えば、12以上、または13以上を有する。当該アルカリは、良い結果をもたらすことが明らかになっている。
当業者が理解するように、酸のためのpKaが当該技術分野において公知とされる。これらは、ヘンダーソン-ハッセルバルヒの式(Henderson-Hasselbalch equation)によって決定されることもでき、pHおよびpKaを、解離酸[A-]および非解離酸[HA]それぞれの平衡濃度と関連付ける:
pH=pKa+log([A-])/[HA])
pKaHは、問題のアルカリにおける共役酸のpKaである。水中におけるpKaおよびpKaHを測定することが通常であると理解されるだろう。
アルカリ化剤は水酸化アンモニウムであってもよい。一つの実施形態において、アルカリ化剤は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、硫酸塩、炭酸塩またはリン酸塩の水溶液である。好ましい実施形態において、アルカリ化剤は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物である。特に好ましい実施形態において、アルカリ化剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、または水酸化ストロンチウムの水溶液であり、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液であってもよい。最も好ましい実施形態において、アルカリ化剤は、水酸化ナトリウムの水溶液である。水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムは、それらの溶解性のために共に好ましいが、水酸化ナトリウムは、水酸化カリウムより安価で、容易に利用可能であり、発熱的に反応することは少ないのでさらにより好ましい。
一つの実施形態において、アルカリ組成物は、pH9~14、例えば、pH10~13を有する。好ましくは、アルカリ組成物はpH11~12を有する。
アルカリ化剤の菌類/グルカンに対する重量比は、5:1~1:100、または4:1~1:100、または2:1~1:100、または1:1~1:50であってもよく、例えば1:1~1:30、または1:1~1:20であってもよい。好ましい実施形態において、アルカリ化剤の菌類/グルカンに対する重量比は、5:1~1:15であり、例えば、4:1~1:15、または3:1~1:15、または2:1~1:15であり、アルカリ化剤の菌類/グルカンに対する重量比は、5:1~1:10、例えば、4:1~1:10、または3:1~1:10、または2:1~1:10であってもよい。一つの実施形態において、アルカリ化剤の菌類/グルカンに対する重量比は、1:1~1:10、例えば、1:1~1:4、または1:1~1:3、または1:1~1:2であってもよい。アルカリ化剤の菌類/グルカンに対する重量比は、1:2~1:15、または1:3~1:10、例えば、1:4~1:10であってもよい。しかしながら、一つの実施形態において、アルカリ化剤の重量は、菌類/グルカンの重量の0.5~3倍であり、例えば、1~3倍、または1~2倍である。これに関して重量については、菌類/グルカンおよびデンプン出発材料と実際に混合される形態におけるアルカリ化剤との関連であり、すなわち、アルカリと、アルカリが希釈される溶媒(例えば、水など)とを含むが、菌類/グルカンおよびデンプン出発材料における任意の溶媒(例えば、水など)を含まない。上述のように、アルカリ化剤は、水溶液中でアルカリとして好ましくは提供される。菌類/グルカンの量は、菌類/グルカンおよびデンプン出発材料に存在している乾燥重量である。
好ましくは、菌類/グルカン(例えば、酵母など)の量は、アルカリ化剤の量と同一以上、例えば2~15倍より多い、例えば3~10倍多い。
これらの比率の使用は、工程の制御および得られる結合剤の特性に関して良い結果を与えることが明らかになっている。
一般的に、アルカリ化剤は、1分~3時間、または1分~2時間、例えば2分~90分、例えば5分~1時間、または10分~45分などの期間で菌類/グルカンおよびデンプンと接触されてもよい。一つの実施形態において、アルカリ化剤は、10分~30分、例えば15分~20分、または20分~2時間、または60分~2時間の期間で菌類/グルカンおよびデンプンと接触される。好ましくは、アルカリ化剤は、2分~90分、例えば2分~60分、例えば2分~30分または2分~15分の期間で菌類/グルカンおよびデンプンと接触される。しかしながら、より長い時間、例えば最大4時間または最大5時間も熟慮される。
一般的に、アルカリ化剤は、菌類/グルカンの大部分を溶かす(dissolve)、または溶解させる(lyse)ことを可能にするために十分に長い期間、菌類/グルカンおよびデンプンと接触させるべきである。このアルカリ処理工程の間、水蒸気放出を行ってもよい。したがって、アルカリ化剤、並びに菌類/グルカンおよびデンプンを、水蒸気放出の減少があるまで置いておくことができる。これは視覚的に評価されることができ、または自動化されることができる。同時に、アルカリ処理工程中、熱が発生される。したがって、温度を監視することができ、アルカリ化剤、並びに菌類/グルカンおよびデンプンを、温度が室温に戻り始めるまで置いておくことができる。これは、温度計を用いて手動で評価されることができ、または自動化されることができる。
アルカリ化剤は、菌類/グルカンおよびデンプンと接触している全期間、菌類/グルカンおよびデンプンと混合されてもよく、または接触時間のいくらかは、混合を停止してもよい。例えば、混合は接触時間の10%~100%の間、例えば、接触時間の50%~100%、75%~100%の間に行ってもよい。したがって、混合は接触期間のいくつか、ほとんど、または全ての間に行う。混合を行うことは、アルカリ化剤を菌類/グルカンおよびデンプンと効率的に反応させることを可能にする。混合は、好ましくは一定であり定常である。
アルカリ化剤を菌類/グルカンおよびデンプンと混合することは、任意の適切な混合装置を用いて行われてもよい。当業者は、組成物の粘性が適切な装置を選択することにおいて考慮されるべきであると理解するだろう。一つの実施形態において、機械的ミキサー、例えば遊星型ミキサー、またはパン型ミキサー、または円錐ねじミキサーなどを用いて行われる。混合スピードは、工程の規模および混合装置の型にしたがって選択されてもよい。混合は、例えば、10~1600rpmの範囲のスピードで行われてもよい。一つの実施形態において、混合は、10~800rpm、例えば、20~700rpm、例えば40~600rpmなどで機械的パドルを用いて行われる。他の実施形態において、混合は、50~200rpm、例えば、80~140rpm、例えば、100~120rpmで機械的パドルを用いて行われる。本発明は、特定の範囲の混合スピードに制限されず、混合スピードは単に例示である。重要なことは、包含されるスケールで、混合スピードは、均一な、円滑な混合産物を生じさせるために選択されるということである。
混合は、約室温で、例えば15℃~25℃で適切に行われてもよい。例えば、一つの実施形態において、加えられる外部熱はない。上述のように、反応は発熱的である。他の実施形態において、混合は、室温より上の温度、すなわち15℃より上、特に25℃より上、例えば25℃より上で最大90℃まで、または30℃~70℃、例えば40℃~60℃で行われる。
混合は、約大気圧で適切に行われる。例えば、一つの実施形態において、適用される外部熱はない。
アルカリ化剤と同様に、酸化剤は菌類細胞壁を溶解させるために菌類と相互作用することもできる。この工程は発熱的である。
酸は、アルカリ段階の間では分解されていない、例えば、酸可溶性グルカン、マンナン、および/またはキチンなどの細胞壁成分の結合を切断する。酸の添加は、組成物の粘性を著しく減少させることによって、結合剤を反応槽から流出することも可能にする。粘性の減少は、細胞壁成分をより小さいポリサッカライドに酸分解するためであると考えられる。
二番目に加えられる場合、酸化剤は、アルカリ組成物を中和し、さらに、菌類細胞壁からグルカンを放出する。酸化剤を最初に加える場合、アルカリ化剤は酸組成物を中和し、さらに、菌類細胞壁からグルカンポリサッカライドを放出するといことを理解するだろう。中和は発熱的である。
酸化剤は、水溶液として提供されると好ましく;これは菌類/グルカンとの当該反応の良好な管理を可能にすると好ましい。一つの実施形態において、酸化剤は、2重量%~50重量%、例えば5重量%~45重量%の濃度で水溶液として提供される。好ましい実施形態において、酸化剤は、10%以上、例えば15%以上、または20%以上の濃度で水溶液として提供される。例えば、酸化剤は、10重量%~50重量%、10重量%~20重量%、または15重量%~45重量%、または20重量%~40重量%の濃度で水溶液として提供されてもよい。一つの実施形態において、酸化剤は、5重量%~30重量%、または5重量%~25重量%、または5wt%~20wt%、例えば、10重量%~20重量%、または10重量%~15重量%の酸濃度で水溶液として提供されてもよい。一つの実施形態において、溶媒は、水道水のような水である。
用語「酸」はブレンステッド酸に関すると理解されるだろう。一つの実施形態において、酸化剤における酸は、pKaが5以下、または4以下、または3以下、または2以下を有する。好ましくは、酸はpKaが1以下、例えば、0以下を有する。
一つの実施形態において、酸化剤は、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸、炭酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプリル酸、シュウ酸、リンゴ酸、および安息香酸の水溶液から選択される。
一つの実施形態において、酸化剤は、塩化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、クエン酸、乳酸、ギ酸、および酢酸の水溶液から選択され、例えば、塩化水素酸、硫酸、リン酸、および硝酸から選択されてもよい。好ましい実施形態において、酸化剤は、塩化水素酸、炭酸、およびクエン酸の水溶液から選択される。より好ましい実施形態において、酸化剤は塩化水素酸の水溶液である。
酸化剤の菌類/グルカンに対する重量比は、5:1~1:15、例えば、4:1~1:15、または3:1~1:15、または2:1~1:15、または1:1~1:15であってもよい。一つの実施形態において、酸化剤の菌類/グルカンに対する重量比は、5:1~1:10、例えば、4:1~1:10、または3:1~1:10、または2:1~1:10、または1:1~1:10であってもよい。酸化剤の菌類/グルカンに対する重量比は、4:1~1:6、例えば、4:1~1:4、または3:1~1:3、例えば、2:1~1:2であってもよい。一つの実施形態において、酸化剤の菌類/グルカンに対する重量比は、1:2~1:6、例えば、1:3~1:5、例えば、1:4である。一つの実施形態において、酸化剤の重量は、菌類/グルカンの重量の0.5~3倍、例えば、1~3倍、または1~2倍である。これに関して重量については、菌類/グルカンおよびデンプン出発材料と実際に混合される形態における酸化剤との関連であり、すなわち、酸と、酸が希釈される任意の溶媒(例えば、水など)とを含むが、菌類/グルカンおよびデンプン出発材料における任意の溶媒(例えば、水など)を含まない。上述のように、酸化剤は、水溶液中で酸として好ましくは提供される。菌類/グルカンの量は、菌類/グルカンおよびデンプン出発材料に存在している乾燥重量である。
これらの量の酸化剤および菌類/グルカンの使用は、工程の制御および得られる結合剤の特性に関して良い結果を与えることが明らかになっている。
一般的に、酸化剤は、1分~2時間、例えば5分~1時間、または10分~1時間、または10分~45分の期間で菌類/グルカンと接触されてもよい。一つの実施形態において、酸化剤は、10分~30分、例えば15分~20分の期間で菌類/グルカンと接触される。好ましくは、酸化剤は、酸を均一に混合してのり状にすることを可能にするために、1分~60分の期間で菌類/グルカンと接触される。一つの実施形態において、酸化剤は、1分以上、または2分以上の期間で菌類/グルカンと接触される。一つの実施形態において、酸化剤は、1時間~2時間の期間で菌類/グルカンと接触される。しかしながら、より長い時間、例えば最大4時間も熟慮される。
二番目に加えられる場合、酸化剤は、好ましくは、組成物全体にわたって実質的な中和を確実にするために十分に長い期間、アルカリ処理された菌類/グルカンと接触されるべきである。酸化剤が最初に加えられる場合、その後、アルカリ化剤は、好ましくは、組成物全体にわたって実質的な中和を確実にするために十分に長い期間、酸処理された菌類/グルカンと接触されるべきである、と理解されるだろう。
上述のように、反応中、熱が発生される。したがって、温度を監視することができ、酸化剤および菌類/グルカンは、温度が室温に戻り始めるまで反応を置いておくことができる。これは温度計を用いて手動で評価されることができ、または自動化されることができる。
酸化剤は、菌類/グルカンが接触している全期間、菌類/グルカンと混合されてもよく、接触時間のいくつかは、混合を停止していてもよい。例えば、混合は接触時間の10%~100%、例えば、接触時間の50%~100%、または75%~100%の間で行ってもよい。したがって、混合は、接触時間のいくつか、ほとんど、または全ての間で行う。
混合を行うことは、酸化剤が菌類/グルカンと効率的に反応することを可能にする。混合は、好ましくは均一で一定である。
酸化剤の菌類/グルカンとの混合は、任意の適切な混合装置を用いて行われてもよい。当業者は、組成物の粘性が適切な装置の選択に考慮されるべきであることを理解するだろう。一つの実施形態において、機械的ミキサー、例えば遊星型ミキサー、またはパン型ミキサー、または円錐ねじミキサーなどを用いて行われる。混合スピードは、工程の規模および混合装置の型にしたがって選択されてもよいことが理解されるだろう。混合は、例えば、10~1600rpmの範囲のスピードで行われてもよい。一つの実施形態において、混合は、10~800rpm、例えば、20~700rpm、例えば40~600rpmなどで機械的パドルを用いて行われる。他の実施形態において、混合は、50~200rpm、例えば、80~140rpm、例えば、100~120rpmなどで機械的パドルを用いて行われる。本発明は、特定の範囲の混合スピードに制限されず、混合スピードは単に例示である。重要なことは、包含されるスケールで、混合スピードは、均一な、円滑な混合産物を生じさせるように選択されるということである。
混合は、約室温で、例えば15℃~25℃で適切に行われてもよい。例えば、一つの実施形態において、加えられる外部熱はない。上述のように、反応は発熱的である。より高い温度での結合剤の調製は、一般的に、結果的に生じる産物、例えばボードなどは、より弱くなる。一つの実施形態において、結合剤は、10℃~80℃、例えば15℃~60℃などの温度で調製されるが、好ましくは、15℃~45℃、例えば15℃~40℃、より好ましくは、約室温で、例えば15℃~25℃で調製される。
混合は、約大気圧で適切に行われてもよい。例えば、一つの実施形態において、適用される外部熱はない。
実施例によって示されるように、結合剤の結果的に生じるpHは、そこから作られる物の強度に重大な影響を与えないと決定されている。しかしながら、特定のpHの結合剤は、他の理由で、例えば、使用者の手、使用者の設備および/または充填材料の腐食を妨げるために、好ましくなり得る。
結合剤のpHは、充填材料(例えば、木)の損傷を避けるために、および産物における共結合樹脂(例えば、架橋剤)との良い結合を生み出すために選択されることができる。
一つの実施形態において、第一および第二の態様の造形物を生産する方法において、ステップa)では、結合剤はインサイチュ(in situ)で生産される。したがって、ステップa)において結合剤は、菌類/グルカンおよびデンプンをアルカリ化剤および酸化剤と混合することによって生産される。アルカリ化剤および酸化剤の量は、酸処理およびアルカリ処理後に結果的に生じる結合剤がpH1~9、または2~9、または3~9、または4~9を有するように選択されてもよく;一つの実施形態において、pHは5~9であってもよい。アルカリ化剤および酸化剤の量は、酸処理およびアルカリ処理後に結果的に生じる結合剤がpH1~8、または2~8、または3~8、または4~8を有するように選択されてもよく;一つの実施形態において、酸処理およびアルカリ処理後のpHは5.5~8、6~8であってもよい。アルカリ化剤および酸化剤は、互いに、実質的に、またはほとんど中和させてもよく、またはアルカリ化剤および酸化剤は、酸性結合剤を生産してもよい。
当業者が理解するように、材料のpHは、pHメーター(電位差pHメーター、電位差pHメーターはpH電極と参照電極との間の電位の違いを測定する)を用いて決定されることができる。
いくつかの場合において、結果的に生じる結合剤のpHは、静置させた後にわずかに変化するだろう。したがって、結果的に生じる結合剤のpHは、一般的に当該測定後4時間(または4時間以上)で測定される。
一つの実施形態において、使用される結合剤は、pH1~14、例えば、pH5~14、またはpH5~12を有してもよい。一つの実施形態において、使用される結合剤は、pH5~9、例えば、pH5.5~9、例えば、pH6~9、またはpH7~9、を有してもよい。例えば、使用される結合剤は、pH5~8.5、例えば、pH5~8またはpH5~7.5、またはpH5~7を有してもよい。pHは、pH5.5~8.5、例えば、pH5.5~8、またはpH5.5~7.5、またはpH5.5~7であってもよい。一つの実施形態において、使用される結合剤のpHは、pH6~8、またはpH6.5~8、例えば、約pH7であるだろう。
一つの実施形態において、使用される結合剤は、pH3~7、またはpH3~6.5を有してもよい。好ましくは、アルカリ化剤および酸化剤は、木のおおよそのpHに一致するために、pH3~6を有するような、酸性である結合剤を生産する量で加えられてもよい。当該pH値を有する結合剤は、よりアルカリ性のpHの結合剤より、木に基づく充填剤と容易に混合することができるということが知られている。
アルカリ化剤および酸化剤を考慮する場合、酸のアルカリに対するモル比は、5:1~1:30、例えば、4:1~1:30、または3:1~1:30、または2:1~1:30;例えば、5:1~1:10、例えば、4:1~1:10、または3:1~1:10、または2:1~1:10であってもよい。一つの実施形態において、酸のアルカリに対するモル比は、1:1~1:30、例えば1:1~1:20、または1:1~1:10、または1:1~1:8、または1:1~1:6である。一つの実施形態において、酸のアルカリに対するモル比は、酸およびアルカリが互いに実質的に中和するように選択されてもよい。一つの実施形態において、酸のアルカリに対するモル比は、1:1.5~1.5:1、例えば、1:1.4~1.4:1、または1:1.3~1.3:1である。一つの実施形態において、酸のアルカリに対するモル比は、1:1.2~1.2:1、例えば、1:1.1~1.1:1である。したがって、酸のモル数は、アルカリのモル数と実質的に同一であってもよい。
モル比を計算する場合、モル比は、通常(N)単位にしたがって、酸性種から遊離される酸性プロトンのモル数、およびアルカリ種のアルカリ部位のモル数を考慮しなければならないことを、当業者は理解するだろう。したがって、任意の当該計算は、例えば、酸が一塩基、または二塩基であるかどうかを考慮しなければならない。
一つの実施形態において、アルカリ化剤は、pKaHが12以上、例えば13以上を有し、アルカリ化剤のアルカリ濃度が10重量%以上(例えば、15重量%以上、例えば、15重量%~50重量%、または20重量%以上、例えば、20重量%~45重量%)を有するアルカリの水溶液として提供され、ここで酸化剤は、pKaが1以下、例えば、0以下を有し、酸化剤の酸濃度が10重量%以上(例えば、15重量%以上、例えば、15重量%~50重量%、または20重量%以上、例えば、20重量%~45重量%)を有する酸性の水溶液として、提供される。
菌類/グルカンと、アルカリ化剤および酸化剤とを結合するこの工程を実行することによって、有用な結合剤が得られる。理論に縛られることなく、この結合剤の強い結合能力は、菌類/グルカンからの加水分解材料の再結合(共有結合および/または水素結合を介して)のために得られると思われ、菌類/グルカンからの加水分解材料の再結合は、広く中性条件下で行う。
一つの好ましい実施形態において、菌類は、アルカリ化剤を用いて処理され、その後、酸化剤を用いて処理される。この順序での処理は、細胞を破壊し、その後、実質的に中性条件に曝すことを助け、結果的に生じる結合剤において最も有利に強い結合特性を与えることを明らかにしている。しかしながら、良い強度特性は、実施例に示されるように、菌類を酸化剤および続いてアルカリ化剤と処理する場合にも見られ、意図される最終使用に依存して、これらの特性は十分であり得る。
造形物は、硬化される結合剤を介して分散される充填材料を含む。
本発明に係る結合剤は、ろ過または遠心分離のような、任意の分離または抽出ステップなしで調製されてもよい。このことは、結合剤の生産が、単純であり、効率的であり、費用対効果が高いことを意味する。調製される結合剤は、その後、直接的に使用されることができ、例えば充填材料と直接的に結合されてもよい。
したがって、結合剤は、多くの材料の組み合わせを含むが、除去されるための任意の産物を必要としない、という工程によって調製されることができる。望まない副産物はない。
さらに、調製される結合剤は、当該粘性という点について有利な特性を有する。形成される結合剤は、3000センチポアズ未満の粘性を有する流体ペーストである。
結合剤の粘性は、結合剤を充填材料と容易に混合されることを可能にするために重要である。特に、結合剤の粘性は、結合剤が充填材料とうまく混合することができるように十分に低くしなければならない。3000センチポアズ未満の粘性は、結合剤を充填材料と容易に混合させることを可能にする。一つの実施形態において、本発明における結合剤の粘性は、100~3000センチポアズ、例えば、100~2000センチポアズ、または100~1000センチポアズ、または100~750センチポアズである。粘性は、200~1000センチポアズ、例えば、200~750センチポアズ、または200~700センチポアズであってもよい。好ましくは、結合剤の粘性は、600センチポアズ未満、例えば、200~600センチポアズであり、最も好ましくは、200~500センチポアズである。
本発明における結合剤のために、400~500センチポアズの粘性は、結合剤において30重量%~40重量%の乾燥材料量と一般的に対応する。比較的高い乾燥材料量で低い粘性を有するこの能力は、本発明における技術的利点である。先行技術の結合剤は、低い粘性を達成するために、通常、より低い乾燥材料量(すなわち、より高い水分量)を必要とする。
結合剤の粘性は、水のような希釈剤を添加することによって減少させることができる一方、そうすることは、硬化中に除去することが必要になる水の量を増加させるために結合剤の硬化時間を一般的に長くするだろう。したがって、酸およびアルカリ処理後に形成される結合剤が、添加される更なる水を必要とせずに有用な粘性を有することは、本発明の利点である。
粘性は、架橋剤または共結合剤を添加することによっても減少することもできる。結合剤の総重量に対して1重量%~40重量%、または2重量%~40重量%、例えば、2重量%~30重量%、または3重量%~20重量%、またはより好ましくは5重量%~15重量%の架橋剤、および/または共結合剤を添加してもよい。
本発明の結合剤は、使用される場合の形態において適切には非毒性である。特に、本発明の結合剤は、実質的にホルムアルデヒドの放出はなく、そのことによって、加工木材産業における安全性、環境的および規制上の要求に合う。
結合剤は、強い3次元造形物を形成するために成形され硬化されることができる。当該物は、優れた機械的特性を有する。
第一の態様における方法において、充填材料がステップb)おいて結合剤と混合される場合、組成物は3次元形状に成形されてもよく、結合剤を充填材料と混合するステップの間、またはステップ後に所望の形の造形物になる。
一つの当該実施形態において、造形(moulding)が使用される。結合剤および充填材料の混合前組成物は、成形するために型に置かれてもよく、その後、硬化させてもよく、または結合剤および充填材料は、形を形成するために型において混合されてもよく、その後、硬化させてもよい。
充填材料は、結合剤において分散され、結合剤によって結合されることができる任意の材料である。本発明における文脈において、用語「充填材料」のこの広い定義が意図されることを留意することが重要である。
充填材料は、結合剤を介して分散されることができる部分を含んでもよい。充填材料は、例えば、微粒子状、または顆粒状、または繊維状であってもよい。充填材料は、一つの実施形態において、切り刻まれた(chopped)、細かく切られた(shredded)、またはすりつぶされた(ground)材料であってもよい。
充填材料は、好ましくは持続的に調達される。充填材料は、好ましくは非毒性である。充填材料は、有用な天然材料であってもよい。
充填材料は、リグノセルロースを含んでもよい。好ましい実施形態において、充填材料は、木質チップ、おがくず、木質繊維および/または木くずのような木に基づく充填剤を含む、または木に基づく充填剤である。
木に基づく充填材料のようなリグノセルロースを含む充填剤が好ましい。なぜなら、木のセルロースは結合剤と相互作用し、最終産物の強度を向上させると考えられるからである。
好ましくは、充填材料は、ストランド(strands)、繊維、またはチップである。より好ましくは、充填材料は、木のストランド、繊維、またはチップの形態である。
結合剤は、実質的に均質の混合された組成物を形成するために、充填材料と混合される。したがって、充填材料は、硬化する前に結合剤全体に実質的に均等に分散されてもよい。代替的な実施形態において、充填剤は非均等に分散されてもよく、例えば、最上部で、底部で、または中央でより濃い濃度であってもよく、または充填剤は異なるサイズの部分を含んでもよく、より大きいサイズの部分は、ある場所、例えば中央方向へ集中されてもよい。
一般的に、本発明において、一つ以上の添加剤を、硬化する前に結合剤に任意に加えてもよい。一つの実施形態において、一つ以上の添加剤をステップb)の間に加えられる。好ましい実施形態において、架橋剤をステップb)の前、またはステップb)の間に早急に加える。結合剤は、好ましくは、ポリアミドアミンエピクロロヒドリンのような架橋剤を、最大40重量%の量で含む。
結合剤は、硬化する前または硬化する間に充填材料と有用に結合されることができる。充填剤は、任意の材料であってもよく、結合剤中に分散されることができ、結合剤によって結合されることができる。結合剤は、全体に分散された充填材料を有する硬化3次元物質を形成するために、充填材料、特に木に基づく充填材料を結合することにおいて優れていることが明らかになっている。
第一の態様における方法において、成形は、型(mould)の使用によって、例えばプレス成形によって行われる。したがって、例えば、成形は組成物を、パネル、シートまたはタイル形に成形することを含んでもよい。
本発明における物は、例えば、圧力のような力に対する抵抗性の点について、または当該耐久性の点について、弾力性および強度があってもよい。
実施例の項においてさらに記述されるように、結合剤は、ホルムアルデヒドを含まないことが明らかになっている。したがって、これらの結合剤は、加工木材産業において使用される尿素-ホルムアルデヒド樹脂に対するホルムアルデヒドを含まない代替物として用いられることができる。したがって、これらの結合剤は、例えばパーティクルボード、プライウッド、および中密度繊維板のような複合木材産物である造形物を形成するために、木に基づく充填材料と共に結合するために使用されることができる。
さらに、持続可能な資源からの充填材料を用いることによって、本発明の物は、持続可能な資源から得ることができる。充填剤は、天然材料として有用に選択されてもよいが、合成材料も熟慮されてもよい。
したがって、本発明は、強く弾力性のある物の産生を可能にし、構造物、包装などに利用されることができるが、非毒性であり、天然および持続可能な原料を用いるという意味では「グリーン」産物である。
本発明の結合剤は、共樹脂のような公知の結合剤と組み合わせて使用されてもよい。結合剤を共樹脂と組み合わせて使用する場合、共樹脂を、組み合わせれた結合剤に共樹脂を加えた最大60重量%の量、例えば0.5重量%~50重量%、または1重量%~40重量%の量で用いてもよい。共樹脂は、尿素-ホルムアルデヒド、メラミン-ホルムアルデヒド、およびpMDIからなる群から選択されてもよい。
本発明の結合剤は、特に強度の点について優れた特性を有するという事実のために、公知の結合剤、例えば尿素ホルムアルデヒドの量を、従来の物と比較して減少させることができる。したがって、環境への優しさが低い結合剤と組み合わせて使用される場合でさえ、正味の影響は、負の減少、例えば、放出されるホルムアルデヒドの量の減少である。一つの実施形態において、本発明の結合剤は、一つ以上の共樹脂、例えば、尿素ホルムアルデヒドと組み合わせて、100:1~1:2、例えば、50:1~1:1、例えば、50:1~2:1の重量比で使用される。
本発明の物は、分解前に6か月以上、例えば5年の期間、耐久性があってもよい。本発明の物は、屋外より屋内でより長い耐久性を有してもよい。
本発明の物は、実施形態において、非毒性で、持続可能に調達され、加工木材パネルに対する代替物としての使用が明らかになってもよい。特に、本発明の物は、従来の繊維板(高密度、中密度、または低密度繊維板のような)、断熱板、パーティクルボード、配向性ストランドボード(OSB)、またはプライウッドのための適切な代替物になり得ることを予想される。したがって、本発明の物は、一つの実施形態において、パネル、シート、またはタイルの形態であってもよい。
一つの実施形態において、本発明の物は、床材、屋根ふき材、または壁パネルのような一時的な、または永続的な建築材料であってもよい。
本発明の物は、例えば、床材タイルの形態で成形されてもよい。床材タイルは、任意の形を有してもよいが、一つの実施形態において、床材タイルは、正方形、または長方形、または六角形であってもよい。これらのタイルは、配列に形成されてもよく、実質的に平面であってもよい。一つの実施形態において、タイルは、床材構造を提供するために配列型で一時的に、または永続的に共に連結される。この床材構造は、祭り、または市場、または結婚式のような屋外行事に置かれてもよい。床材構造は、したがって、基礎地を保護するために、および/または平面で滑らかな表面を提供するために、および/またはきれいな乾燥表面を提供するために役立つことができる。
本発明の物は、包装産業において使用されてもよい。これに関して、本発明の物は、木箱、箱、またはトレイの形態で成形されてもよい。例えば、本発明の物は、果物または野菜のような備蓄食糧を、例えば、輸送中および/または展示中などに保持するために使用されることができる造形トレイであってもよい。本発明は、非毒性な物であり、安価で、容易に利用可能で、持続可能な原料から形成される物であるために、本出願において特に有益である。
一つ以上の充填材料は、組成物を形成するために結合剤と組み合わせられ、本発明に係る物を得るために硬化される。結合剤は、手によって、または遊星型ミキサー、回転ドラムミキサー、またはローラーのような混合機械(特に粘性が高い場合、および表面適用のために)を用いることによって充填材料と組み合わせられてもよい。結合剤は、充填材料に噴霧されてもよく、充填材料への散布を向上させるだろう。そして、特に、結合剤は低粘度、例えば、500cp以下、好ましくは、300cP以下、例えば、300cp~100cpである場合に特に適切である。
充填材料は結合剤と組み合わせられると、結合剤の量は、充填材料の性質、並びに本発明の物の使用目的と所望の特性との両方に依存すると理解されるだろう。パーティクルボードまたは繊維板のために、結合剤は、乾燥重量ベースで組成物の5重量%~15重量%で一般的に構成するだろう。プライウッドのために、結合剤は、結合剤が適用される各面に100g/m~300g/m、例えば140g/m~250g/mの量で一般的に使用されるだろう。一つの実施形態において、結合剤は、組成物の1重量%以上、または組成物の5重量%以上、または組成物の10重量%以上、例えば組成物の5重量%~90重量%、例えば組成物の10重量%~80重量%、または10重量%~75重量%を構成する。一つの実施形態において、結合剤は、組成物の10重量%~60重量%、または組成物の1重量%~50重量%、または15重量%~50重量%、例えば組成物の20重量%~50重量%を構成する。低温硬化適用のために、結合剤の量は、例えば、組成物の30重量%~70重量%、または組成物の40重量%~60重量%などで、一般的により高くなるだろう。一つの実施形態において、結合剤の量は、組成物の最大50重量%である。
適切な充填剤は、例えば、木に基づく充填剤(例えば、木質チップ、木質繊維、木くず、おがくず、または同種のものなど)、フライアッシュ、卵殻のような無機固体残留物(例えば、粉末卵殻など)、甲殻類の貝殻(例えば、粉末の甲殻類の貝殻など)、藻(例えば、微細藻類、粉末藻類残留物など)、羽毛、粉(例えば、米粉または小麦粉など)、麻、骨粉、プラスチック(バイオベースプラスチックおよび生分解性プラスチック)、粒状肥料、石英、ガラス繊維、および亜麻繊維、並びにそれらの組み合わせから選択される一つ以上の天然材料を含んでもよい。好ましくは、充填剤は、木に基づく充填剤(例えば、木質チップ、木質繊維、木くず、おがくず、または同種のものなど)を含むだろう。しかしながら、結合剤は、微粒子形態、顆粒形態または繊維形態の任意の固体材料を結合することができ、したがって、充填材料は特に制限されないことを理解するだろう。充填材料は、本来有機または無機であってもよい。
一つの実施形態において、充填材料は、例えば、木質チップ、木くず、および/またはおがくずなどの木に基づく充填剤を含む。上述のように、充填材料は、非毒性で、持続可能に調達され、現在利用可能な加工木質パネルに対する代替物である産物を提供することを可能にする。
充填材料の型は、物の加工木材産物における所望の型に幾分依存するだろう。例えば、木質チップはパーティクルボードに使用され;木質繊維は、中密度および高密度繊維板に用いられ;ストランドは、配向性ストランドボードに使用され;べニアまたはプライはプライウッドに使用され;および材木(timber)は、クロス-ラミネーティッドティンバーおよび集成材(グルーラム)に使用される。おがくずは、面を滑らかにするために種々の産物に使用される。
充填材料は、任意の適切な量で結合剤と混合されてもよい。一つの実施形態において、ステップb)で形成される組成物における充填材料は、組成物の5重量%以上、例えば、10重量%以上を構成する。
充填材料は、組成物の10重量%~99重量%、例えば、15重量%~95重量%、40重量%~95重量%、または70重量%~95重量%、または70重量%~90重量%を構成してもよい。一つの実施形態において、充填材料は、組成物の10重量%~90重量%、例えば、組成物の15重量%~85重量%、20重量%~80重量%を構成する。一つの実施形態において、充填材料は、組成物の25重量%~90重量%、例えば、組成物の40重量%~85重量%、または50重量%~80重量%を構成する。これらの量は、湿潤量ベースで考慮される場合、組成物の重量である。
結合剤の充填剤に対する種々の比率の範囲を熟慮することができ、本発明は任意の特定の比率に制限されない。一つの実施形態において、結合剤の充填剤に対する比率は、1:1~1:100、例えば、1:2~1:50または1:4~1:20であり、または5:1~1:10、例えば、3:1~1:8、例えば、2:1~1:6または1.5:1~1:5または1:1~1:4である。
一つの実施形態において、ステップb)において形成される組成物において結合剤は、組成物の2重量%~90重量%、例えば、2重量%~70重量%、または2重量%~50重量%、または2重量%~30重量%、または2重量%~25重量%を構成する。結合剤は、組成物の5重量%~90重量%、例えば、5重量%~70重量%、または5重量%~50重量%、または5重量%~30重量%、または5重量%~25重量%を構成してもよい。これらの量は、湿潤量ベースで考慮される場合、組成物の重量である。これらの量は、いくつかの任意の添加剤を含まず、添加剤は、成形および硬化段階の前に、架橋剤のような結合剤に添加されてもよい。
本発明の利点は、比較的多量の充填材料が比較的少量の結合剤によって強く成形された3D物質の形態で共に保持されることができることである。
硬化されるための組成物において、結合剤に充填材料を加えた合計量は、組成物全体の70重量%以上、例えば、75重量%以上、または80重量%以上、または85重量%以上であり得る。一つの実施形態において、硬化されるための組成物において結合剤に充填材料を加えた合計量は、組成物全体の75重量%~95重量%、例えば、80重量%~95重量%である。一つの実施形態において、硬化されるための組成物において結合剤に充填材料を加えた合計量は、組成物全体の75重量%~100重量%、例えば、80重量%~100重量%である。
一つの実施形態において、一つ以上の添加剤を、組成物において任意にさらに含んでもよい。適切な添加剤は、生物剤、増粘剤(ここで、この物質は本発明に必須な要素であるデンプンではない)、疎水性物質、硬化剤、架橋剤、および/または湿潤剤を含むが制限されない。好ましくは、組成物は架橋剤を含む。
一つの実施形態において、本発明は、組成物に結合剤、充填材料、および一つ以上の添加剤を使用し、成形され硬化される。
含まれる添加剤は、任意に適切な段階で含まれてもよい。添加剤は、結合剤と組み合わせる前に提供されてもよく、または結合剤と混合されてもよい。添加剤を、結合剤に充填材料を加えて混合する前、混合中、または混合後に加えることができる。添加剤は、充填材料と組み合わせる前に提供されてもよく、または充填材料と混合されてもよい。
一般的に、添加剤が存在する場合、添加剤は、組成物の全量の最大25重量%、例えば、最大20重量%含まれてもよい。例えば、添加剤は、組成物の全量の1重量%~20重量%、例えば、2重量%~15重量%、または5重量%~10重量%含まれてもよい。
デンプンは本発明の必須の要素として必要される。当業者は、デンプンが増粘剤であると理解するだろう。一つの実施形態において、デンプンではない付加的な増粘剤は、添加剤として含まれてもよい。当業者は理解するように、増粘剤は、物質の粘性を増加させる。これらの物質の使用から生じる当該増加した粘性は、結合剤が充填材料と混合することをより難しくすることができるので、望ましくないものになり得る。増粘剤は、混合におけるゲル化時間も増加させることができる。
硬化剤は添加剤として含まれてもよい。特に、架橋剤は添加剤として含まれてもよい。当業者は理解するように、架橋剤は材料の構造的安定性を増加させることができる。
使用のために熟慮されることができる架橋剤は、アミノ架橋剤、フェノール性架橋剤、およびイソシアネート/ポリウレタンを含む。
使用されることができる架橋剤の具体的な例は、ポリアミドアミン エピクロロヒドリン(PAE)樹脂、塩化パルミトイルおよびエポキシ樹脂を含む。好ましくは、PAE樹脂は架橋剤として使用される。ハーコセット(Hercosett)617は、PAE樹脂の例である。ハーコセット(Hercosett)617は、約13%固体量を有する液体樹脂として分類され、ソレニス社(Solenis)から入手できる。
特に、結合剤は、ポリアミドアミン エピクロロヒドリンのような架橋剤を、最大40重量%、または最大20重量%、または1重量%~40重量%、例えば、2重量%~30重量%、または5重量%~20重量%の量で好ましくは含み;好ましくは5重量%~12重量%を含む。
共結合剤は、添加剤として含まれてもよい。当業者が理解するように、共結合剤は、本発明に係る結合剤を補足する特性を有してもよい。例えば、ウレア-ホルムアルデヒド、メラニンホルムアルデヒド、および/またはフェノールホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒドに基づく樹脂は、共結合剤として含まれてもよい。ホルムアルデヒドを含むこれらの共結合剤にもかかわらず、本発明の結合剤の使用は、少量のホルムアルデヒドに基づく共結合剤が使用されることを可能にし、したがって、加工木材産物におけるホルムアルデヒドの量をさらに減少させるということを当業者は認識するだろう。一つの実施形態において、共結合剤は、例えば、ポリメチレンジフェニルジイソシアネート(PMDI)、ポリヘキサメチレンジイソシアネート(PHDI)、トルエンジイソシアネート、および/またはポリウレタンなどのイソシアネート樹脂である。例えば、結合剤は、最大70重量%、例えば、最大60重量%、または最大50重量%、または最大30重量%、例えば、最大20重量%などの量で共結合剤を含んでもよい。一つの実施形態において、結合剤は、1重量%~60重量%、または1重量%~50重量%、例えば、5重量%~30重量%、または10重量%~20重量%、または40重量%~60重量%の量で共結合剤を含む。
例えば架橋剤および共結合剤(Co-binding agent)などの添加剤は、少なくとも最初に、結合剤の粘性を減少させることによって、結合剤が充填剤とより容易に混合することを可能にし得る。更なる水の添加は加工木材産物が必要とする加圧時間および硬化時間を増加させるだろうという課題を実行するために、結合剤の粘性を減少させるための架橋剤または共結合剤のような添加剤を用いることは、水を使用するより好ましい。少量の添加剤、例えば最大10重量%の添加剤、または5重量%~10重量%の添加剤の付加でさえ、結合剤の粘性に重大な影響を及ぼし得る。好ましくは、例えば、5wt%~10wt%のPAEなどの添加剤の付加は、結合剤の粘性を500cP以下に減少させ、結合剤が反応槽から流出することを可能にする。
添加剤は含水であってもよく、したがって、結合剤産物の全含水量に貢献するだろうということを当業者は理解するだろう。いくつかの実施形態において、添加剤の水分量は、最大95wt%である。明らかに、結合剤産物の含水量に対する影響は、添加剤の含水量および加えられる添加剤の量の両方に依存するだろう。
一つの実施形態において、カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体は、結合剤に加えられる。CMCのようなセルロース誘導体は、ハーコセット(Hercosett)617のようなポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂に上手く結合する。したがって、CMCのようなセルロース誘導体は、充填材料に、特に木質系の充填材料に、タック(tack)を向上させるために、および強度をさらに高めるために加えられてもよい。結合剤は、カルボキシメチルセルロースのようなセルロース誘導体を、1重量%~40重量%、例えば、2重量%~30重量%、または5重量%~20重量%の量で含んでもよい。
鉱物は添加剤として含んでもよい。特に、ケイ酸塩、例えば、フィロケイ酸塩、例えば、ベントナイトおよび/またはモンモリロナイト、および/またはシリカナノ粒子は、結合剤を強くすることができる。当該鉱物は、結合剤の最大10重量%の量で、例えば結合剤の0.5重量%~6重量%の量で使用されてもよい。
殺菌剤および/または殺生物剤は、添加剤として含まれてもよい。当該物質は、細菌および菌類による木への定着化を遅らせる、または防ぐために、木に直接用いることができる。適切な殺菌剤および/または殺生物剤は、ホウ酸塩、精油(例えばココナッツ油、および/またはパーム油など)、タンニン、およびキトサンを含む。殺菌剤および/または殺生物剤は、0.1重量%~5重量%、例えば、0.5重量%~5重量%、または0.5重量%~3重量%、または0.5重量%~1重量%の量で使用されてもよい。結合剤は、例えば、物に適用され、または結合剤に適用され得る。
疎水性物質は、添加剤として含まれてもよい。当業者は理解するように、疎水性物質は水に対して抵抗がある。したがって、疎水性物質は、空気からの水分を吸着することから、および水によって溶解されるために潜在的に分解することから、物質を保護することができる。しかしながら、疎水性物質は結合剤の粘着特性を減少し得り、慎重に使用されるべきである。当該疎水性物質は、したがって、ある範囲の湿度条件にわたって安定性を維持するのに有用である。疎水性物質の例は、例えばナフサワックスおよび天然蜜ろうなどのワックス、およびパーム油化合物を含む。一つの実施形態において、疎水性物質は、充填材料の重量に対して、最大0.5重量%の量で結合剤に加えられる。一つの実施形態において、充填材料は、結合剤との処理前または処理後のどちらかに、充填材料の重量に対して最大0.5重量%の量で疎水性物質と直接処理される。
硬化剤は添加剤として含まれてもよい。当業者は理解するように、硬化剤は硬化工程を助ける。このことは、特に、熱の存在下で、硬化を開始し、または硬化を促進することによってなり得る。硬化剤の例は、アミドアミンファミリーの化合物を含む。
湿潤剤は添加剤として含まれてもよい。当業者は理解するように、湿潤剤は、液体の表面張力をより低くし、液体を物の表面にわたって、より容易に広げることを可能にする。抗-粘結性特性を有する物質は、一般的により湿らせることを可能にする。湿潤剤の例は、パーム油またはパーム油油化合物(例えば、塩化パルミトイルまたは塩化パルミトイルを含む他の化合物)、ココナッツ油、およびモノステアリン酸グリセロールを含む。
結合剤の水分量は、高温加圧段階において水泡形成および過剰な蒸気を出すことを避けるために、好ましくは制御され、加圧に必要とされる時間を増加し得るだけでなく、存在する結合も破壊し得る。結合剤の乾燥重量は、結合剤の25重量%~65重量%、例えば、30重量%~60重量%、であるべきである。好ましい実施形態において、結合剤の乾燥重量は、35重量%~55重量%、または35重量%~50重量%、例えば、35重量%~45重量%である。結合剤の最適な乾燥重量は、約40重量%である。
結合剤の水分量は、付加的な乾燥ステップによって減少されてもよく、好ましくはバッチ式手法で行われる。これは空気乾燥によって行われてもよく、ここで自然対流および気流は、水を取り除き、ゆっくりであるが安価であり、トレイ、パン、または回転乾燥機(例えば、ドラム型回転乾燥機など)で行われることができる。温風を、結合剤の水分量が減少するスピードを速めるために用いてもよく、そのことは前硬化を避ける。例えば、温風を30℃~100℃、例えば、40℃~90℃の温度で適用してもよい。水分は、結合剤を水と混合することによって加えられることができる。
本発明の方法は、任意に、結合剤を、漂白剤、例えば次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、またはオゾンなど、と処理することを含む。このステップは、臭気を減少させ、および/または結合剤の色を明るくし得る。この処置の副産物は、必要な場合、付加的な乾燥ステップ中に除去されてもよい。
本発明の方法は、結合剤を充填材料と混合する前の、結合剤のための処理を任意に含む。例えば、これは予熱処理であってもよい。一つの実施形態において、結合剤は、30℃~60℃、例えば、30℃~50℃または30℃~40℃の温度に加熱される。このことは、充填材料と混合する前に、欠点の少ない結合剤の調製を助けることができる。結合剤組成物は、高温加圧されると、その後すでに室温を超えるので、産物が高温加圧によって作られる場合も欠点の少ない結合剤の調製を助けることができる。
一般的に、結合剤は、充填材料と混合される場合、15℃~60℃、例えば、20℃~50℃の温度であってもよい。
本発明の方法は、結合剤を充填材料と混合する前に、充填材料のための処理を任意に含んでもよい。例えば、これは、充填材料を洗浄、乾燥、および/または漂白することであってもよく、および/または充填材料をより小さい粒子に切り刻む、またはすりつぶすことであってもよい。これは、結果的に生じる物にとって、特に所望の外観および/または機械的もしくは化学的特性を達成してもよい。
物を生産する方法において、結合剤、充填材料、およびいくつかの任意の添加剤を含む組成物は成形され、硬化される。
したがって、組成物は三次元形に成形され、硬化前または硬化中に所望の形の成形物になる。一つの実施形態において、成形は、型の使用(例えば、プレス成形など)によって、3Dプリンティングによって、鋳造によって、加圧によって、または彫刻によって行われる。一つの実施形態において、組成物はローラーによって形にまとめられる。他の実施形態において、組成物は圧力下で形に加圧される。
成形中および/または硬化中に適用される圧力は、一つの実施形態において、0.5MPa以上、例えば、0.5MPa~7MPa、例えば、0.5MPa~6MPa、または0.5MPa~5MPaであってもよく、特に0.5MPa~4MPaであってもよい。パーティクルボードのために、圧力は、1MPa以上、例えば、1MPa~5MPa、例えば、1MPa~4MPaであってもよく、MDFのために、圧力は、通常1MPa以上、例えば、1MPa~5MPa、例えば、1MPa~4MPaであるだろう。プライウッドのために、圧力は、通常0.5MPa~1.5MPaであるだろう。
熱は、成形ステップ中に、例えば、最大80℃で適用されてもよく、または成形は室温で行われてもよい。
熱は、硬化ステップ中に適用されてもよく、例えば、30℃~250℃の温度、例えば、30℃~70℃が使用されてもよく;好ましくは、硬化温度は、50℃~250℃、または75℃~250℃;例えば、100℃~230℃、および好ましくは150℃~210℃である。代替的に低温硬化は、すなわち室温(15℃~25℃)で使用されてもよい。一つの実施形態において、硬化中の温度は、15℃~250℃、例えば、15℃~230℃、例えば、20℃~210℃である。
成形前または成形後、組成物は、成形され硬化されると複合産物を形成するために、他の複合産物と積み重ねられてもよく、および/または層状にされてもよい。
充填材料を含む場合、組成物は、結合剤を充填材料と混合するステップの間、またはステップ中に三次元形に成形されてもよく、それは成形物の所望の形である。
一つの好ましい実施形態において、型を成形のために使用する。放出剤は、硬化物の除去を助けるために、結合剤組成物が型に置かれる前に、型に適用されてもよい。したがって、組成物が硬化すると物が型の形になるように、組成物は硬化前に型に置かれる。一つの実施形態において、組成物は型に加圧される。
硬化物は、その後、硬化後に型から除去されることができる。これは、当該技術分野において慣習であり公知である。したがって、独立型の成形物が提供される。
組成物は、室温および大気圧(‘‘空気乾燥)で硬化されてもよい。この場合において、完全な硬化は、湿度に依存して、7日~14日の期間にわたって通常行うだろう。
組成物は、上昇した温度および/または圧力で硬化されてもよい。これは、硬化を完全にするための期間の減少につながる。
一つの実施形態において、硬化は、乾燥装置で援助されてもよく、ここで温度は、室温より上に上昇され空気を流れさせる。加圧は、大気圧であり得る。産業用オーブンをこの目的のために使用してもよい。一つの当該実施形態において、温度は、30℃~70℃の範囲である。この場合において、完全な硬化は、温度および湿度に依存して、通常、30分~24時間、例えば、1時間~12時間の期間にわたって行うだろう。
好ましい実施形態において、硬化は、圧力および上昇した温度の適用を用いて、例えば油圧熱(‘‘加熱加圧(hot-press)’’)装置を用いて援助されてもよい。当該装置は、一般的に、1.4MPa~4MPa、例えば1.4MPa~3.5MPa、例えば2MPa~3MPaの圧力を1分~15分間、例えば3分~10分間または3分~5分間、100℃~300℃、例えば100℃~200℃、または100℃~230℃、または175℃~225℃、または120℃~180℃の範囲の温度で適用する。好ましくは、150℃~250℃または150℃~210℃の範囲の温度が使用される。好ましくは、150℃~250℃の範囲の温度が3分~10分使用される。硬化工程において使用される温度は、加工木材産物における所望の型に依存してもよい。例えば、プライウッドは、80℃~120℃の温度で硬化されてもよく;中密度繊維板のような繊維板は、170℃~210℃の温度で硬化されてもよく;およびパーティクルボードは160℃~210℃の温度で硬化されてもよい。
一般的に、完全に結合剤を硬化することは、中核温度を約104℃以上に上げる必要がある。
加圧によって物に適用される圧力は、重要な因子になり得る。過剰な圧力は、当該物の内部の結合の破壊を引き起こすことができ、一方、不十分な圧力は、十分な強度または密度が十分ではない物を生産することができる。加圧、例えば、油圧による加熱加圧によって適用される圧力は、最大13.8MPa、例えば、0.48MPa~6.9MPaであってもよい。硬化工程において使用される圧力は、加工木材産物における所望の型に依存してもよい。例えば、パーティクルボードは、1.38MPa~3.5MPaで硬化されてもよく;中密度繊維板のような繊維板は、0.48MPa~5.2MPaで硬化されてもよく、およびプライウッドは、0.68MPa~2.1MPaで硬化されてもよい。特に、プライウッドに使用される低い圧力は、べニアが反ること(warping)を防ぐ。
油圧による加熱加圧で結合剤を硬化することは、結合剤を部分的に硬化することであってもよく、そこから提供される物は、物を冷却させるために、および結合剤を完全に硬化させるために、最大2週間の期間、大気条件で置くことから利益を得てもよい。一つの実施形態において、硬化ステップに続いて、物は大気条件に最大2週間、例えば3日~2週間置かれる。
この硬化技術において、高温への曝露は、短期間だけである場合に、受け入れることができ、および物の所望の特性に悪影響を与えない。
他の実施形態において、硬化は圧力の適用により行われているが室温で行われてもよい。例えば、組成物は、大気条件下で硬化されるままにしておく前に、手加圧を用いて型に加圧されてもよい。手加圧は、0.5~12kN、例えば0.75~7.5kN、または1~5kNの力を有してもよい。圧力は、適切には、大気条件下で硬化されるままにしておく前に1分~10分間適用されてもよい。
本発明のいくつかの実施形態において、結合剤は、2つの構成部分を共に固定するために、複合産物を生成するために接着剤として使用される。結合剤は、したがって、一つ、または両方の構成部分の接触面に、一つ、または両方の構成部分をくっつける前に適用される。
接触面は任意の適切な材料から作られていてもよい。例えば、木(ボール紙(Chipboard)のような加工木材産物を含む)、ガラス、紙、段ボール、およびプラスチックを含む。接触面は、同じでもまたは異なっていてもよい。
結合剤を任意の適切な手段によって、構成部分の接触面に適用してもよい。例えば、結合剤は、塗布機を用いて接触面に広げられてもよい。当業者は、例えば、接着剤をロールにわたって噴霧する噴霧ノズルの使用によって、接着剤を表面に適用する型の接着剤塗布機を知っているだろう。代替的に、広げることをしないで適用されてもよく、例えば、ノズルまたは他の供給手段から接触面に供給されてもよい。接触面をくっつける行為は、結合剤を広げ得るということを理解するだろう。
一つの実施形態において、接触面をくっつけた時点で圧力が適用される。このことは、表面を共に固定することを助けることができる。
結合剤は、2つの接触面をくっつける前に2つの接触面の1つだけに適用されてもよい。代替的に、結合剤は、接触面をくっつける前に両方の接触面に適用されてもよい。
結合剤は、任意に、コンタクト接着剤のように、表面がくっつけられる前に部分的に硬化することを可能にし得る。
2つの接触面を共に固定するための結合剤の硬化時間は、構成部分が形成される材料、接触面のサイズ、硬化温度、および湿度のような因子に依存してもよい。したがって、硬化は室温で最大7日の期間にわたって行ってもよい。硬化時間は、10分~最大72時間、例えば、30分~最大48時間、または1時間~24時間であってもよい。2つの接触面を共に固定する硬化は、より高い温度で、例えば、30℃~70℃で、および/または圧力の適用を用いて加速されてもよい。当該条件下で、硬化は最大24時間、例えば、1分~最大6時間、または2分~最大3時間、または5分~最大1時間の期間にわたって、選択される温度に依存して行ってもよい。
本発明の結合剤は、接着剤としていくつかの有用な適用が明らかになってもよい。例えば、本発明の結合剤は、構造物または家具適用において、例えば、積層板を作るために、または家具の構成部分を共に接合するために、または包装産業において、ガラス瓶またジャーへの接着ラベルのためなどに、接着剤として使用されてもよい。
本発明の物は、例えば、断熱板(例えば、低密度断熱版)のような構造物;床材構造または屋根構造(タイル、シート、およびパネルを含む);木箱、箱またはトレイのような包装物;または、テーブル、椅子、またはスツールのような家具であってもよい。しかしながら、本発明は、特定の物の型に制限されない。
本発明の物は、例えば、プラスチック物の置換物として、および伝統的な加工木材物、例えば、ホルムアルデヒド-尿素樹脂結合物、例えば、パーティクルボードパネルなどのために使用されてもよい。加工木材パネルは、通常、正方形または長方形であり、一般的に2mm以上、特に5mm以上、または9mm以上、または10mm以上、例えば、約2mm~50mm、例えば、15mm~40mm、例えば、12mmまたは18mmまたは22mmまたは30mmまたは38mmの深さ(厚さ)を有することができる。パーティクルボードパネルは、通常、正方形または長方形であり、一般的に5mm以上、特に8mm以上、または9mm以上、または10mm以上、例えば、約10mm~50mm、例えば、15mm~40mm、例えば、12mmまたは18mmまたは22mmまたは30mmまたは38mmの深さを有することができる。MDFパネルのような繊維板パネルは、3mm、6mm、9mm、12mm、15mm、18mm、または25mmの深さで、通常利用可能である。
物は、整った形、例えば、長方形、正方形、または六角形のパネルまたはシートまたはタイルの形態であってもよい。造形物は、正方形または長方形のシートまたはパネルのような標準形であることができるが、本発明は特定の形に制限されない。
本発明は、制限されない方法で、次の実施例に関して、更に今記述されるだろう。
実施例2において、得られるタイルを示す図である。 実施例2において、得られるタイルを示す図である。 実施例2において、得られるタイルを示す図である。 実施例2において、得られるタイルを示す図である。 実施例5において、得られるシートパネルを示す図である。 実施例5において、得られるパーティクルボードパネルを示す図である。 実施例9において、酵母に基づく結合剤Bを用いるボードの生産方法を示し、特に、酵母に基づく結合剤Bをハーコセット617と40℃での混合を説明する図である。 実施例9において、酵母に基づく結合剤Bを用いるボードの生産方法を示し、特に、2メートル直径の回転ドラム混合機で木質チップまたはおがくずと結合剤と混合を説明する図である。 実施例9において、酵母に基づく結合剤Bを用いるボードの生産方法を示し、特に、手によるマットの形成を示す図である。 実施例9において、酵母に基づく結合剤Bを用いるボードの生産方法を示し、特に、マットを加圧した油圧プレスに置き、200℃の温度で180秒間~300秒間加圧することを示す図である。 実施例9において、生産される例示的なボードを示す図である。 実施例9において、生産される例示的なボードを示す図である。 実施例9において、生産される例示的なボードを示す図である。 実施例9において、PAEと共に酵母に基づく結合剤Bを用いて作られた125kg/m 、250kg/m 、および750kg/m の各密度を有する2つの断熱板およびMDFボードを、上から下まで、説明する図である。 比較例Aにおいて、左側に本発明に係る結合剤の画像を示す図であり、右側に酸が結合剤の産生から排除された結合剤の画像を示す図である。 比較例Aにおいて、結合剤の混合物を示す図である。 比較例Aにおいて、酸が結合剤の産生から排除されている結合剤から作られるボードを示す図である。 実施例9において、3層、19mm厚のパーティクルボードを示す図である。 実施例10において、本発明に係る、2層シートから作られる2つのプライベニアプライウッドを示す図である。
[実施例]
次の実施例において、特に明記しない限り、酵母に基づく結合剤(サッカロミセス セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae))が得られ使用される。しかしながら、他の菌類が結合剤を形成するために使用され得ると上述から理解されるだろう。
実施例1~実施例7は、本発明(結合剤A)に係る結合剤の第一の実施形態を示し、種々の原型を介して当該特性および多用途性を説明する。
実施例8~実施例12は、本発明(結合剤B)に係る結合剤の第二の実施形態を記述し、本発明(結合剤B)に係る結合剤は加工木材産業における適用のために、より具体的にはパーティクルボードおよびMDFのために用いられ、当該性能は、実験室規模の試験および大規模産業標準試験から評価される。
[実施例1:酵母に基づく結合剤Aの合成]
NaOH(30w/w水溶液として)および乾燥粉末パン酵母(8wt%水分量)を、機械的ミキサーを用いて6000rpmで約10分~15分間、アルカリ組成物を形成するために混合し、粘着性の茶色ペーストを得た。この期間の後、水蒸気放出は減少した。
HCl(30w/w水溶液として)をその後、ペーストに加え、機械的ミキサーを用いて6000rpmで約10分~15分間混合した。
結果的に生じる結合剤は、外観上均質であった。
異なる量の3つの試薬を、様々な結合剤を形成するために使用し、それぞれ結果的にpHが5.6~8の範囲を有する。
最も良い結果は、試薬を約等量で(試薬のそれぞれ、およびペア毎に1.5:1~1:1.5の範囲、特に1.2:1~1:1.2の範囲の各比率で)使用された場合に得られた。したがって、酸化剤:アルカリ化剤は好ましくは1.2:1~1:1.2であり;酸化剤:菌類は好ましくは1.2:1~1:1.2の範囲であり;およびアルカリ化剤:菌類は、好ましくは1.2:1~1:1.2である。
特に、次のものが使用されてもよい:
・NaOH:360g、30w/w%水溶液として
・乾燥粉末パン酵母:360g、8wt%水分量
・HCl:360g、30w/w%水溶液として
結果的に生じる結合剤は、約pH7を有し、外観上均質であった。
[実施例2:酵母に基づく結合剤Aを用いるタイルの生産]
組成物は、実施例1において生産された結合剤、充填材料、及び一つ以上の添加剤を加えて形成された。結合剤および充填材料は、1:1の比率で使用され、全組成物の少なくとも80wt%で構成された。
例示組成:
実施例1で形成された結合剤:45%w/w
パーム油(架橋剤):1%w/w
ココナッツ油(架橋剤):1%w/w
ナフサワックス(疎水性物質):1%w/w
デキストリン(増粘剤)7%w/w
充填材料:45%w/w
多数の異なる物は、異なる充填材料を用いて生産された:
a)木質チップ
b)微細藻類粉末
c)混合されたおがくず、フライアッシュ、および卵殻粉末
d)混合されたフライアッシュおよびすりつぶされた鶏羽毛
各場合において、結果的に生じる組成物は、型に置かれる。
これに関して、組成物は、大気条件下で10日間硬化させておく前に200kg-力の手動プレスを用いて型に加圧された。
この方法にしたがって形成される物は、測定値が深さ約1cmで直径10cmのタイルであった。
得られるタイルは、図1a)~d)に示される。
観察されることができるように、生産されるタイルは複雑な(不規則な)形を有した。さらに、型は産物がロゴを示す表面定義と共に形成することを可能にしている。しかしながら、規則的な成形タイル、例えば正方形または六角形タイルも同じ方法で生産されることができる。
[実施例3:タイルの毒性試験]
上述のように形成される微細藻類に基づくタイルは、欧州標準EN71-3との適合性のために試験され、産物からの特定の要素の遊走レベル(ICP-OES分光測定を用いることによって決定される)は、十分に低く、玩具に使用され得ることを示す。
Figure 0007181617000001
タイルは、BS EN ISO 14184-1:2011に従って、水抽出の方法による加水分解を介して遊離のホルムアルデヒドおよび部分的に抽出されるホルムアルデヒドの量も試験された。この工程は、16mg/kg~3500mg/kgの量の遊離、および加水分解されたホルムアルデヒドを計測する。
試験は、ホルムアルデヒドを検出しなかった、すなわち、ホルムアルデヒドのレベルは16mg/kgより低かった。
したがって、タイルは、ホルムアルデヒドがないという点で有利である。タイルは、現在の産物に対する非毒性の代替物である。
[実施例4:タイルのための強度試験]
上述のように形成される微細藻類に基づくタイルは、加圧試験を受けた。タイルは、いくつかの分解の兆候はなく9.5kN力に耐えた。
さらに、図1a)~d)に示されるようなタイルのそれぞれを、破壊する、砕ける、または割れることなく、1メーターの高さから硬い床に落とすことができた。
[実施例5:酵母に基づく結合剤を用いてのシートおよびパネルの生産]
組成物は、結合剤、充填材料、及び一つ以上の添加剤を加えて形成された。パネルのために結合剤および充填材料は、20:80の比で使用され、全組成物の少なくとも80wt%を構成する。
例示組成:
上述のように形成される結合剤:18%w/w
パーム油(架橋剤):1%w/w
ココナッツ油(架橋剤):1%w/w
ナフサワックス(疎水性物質):1%w/w
デキストリン(増粘剤)7%w/w
充填材料:72%w/w
使用される充填材料は:
i)50:50混合の微細藻類粉末および天然繊維(すりつぶされた鶏羽毛)
ii)木質チップ
結果的に生じる組成物を、硬化される前にi)シートおよびii)パネルの形態に加圧した。
特に、充填材料および結合剤および添加剤を、マットを形成するために型に置く。型は、底部トレイ、上端トレイ、および成形ガイドから成る。成形ガイドは、正方形であるが、もちろん長方形または他の形も使用され得る。使用されるトレイは金属であった。
ii)の場合において、真ん中に向かって使用される大きいサイズのチップの層、並びに上端および底表面に向かって使用される細かいサイズのチップの層で、層に使用される異なるサイズの木質チップがあった。前者は、平らな成層を達成するために使用されてもよく、または手工具は層を成形するために使用されてもよい。
ローラーは、マットの上部面を平らにするための圧力を適用するために使用された。
ii)の場合において、マットはその後、室温で予備加圧された。これは、手によって、または冷圧を用いることによってすることができる。このステップは任意であるが、チップ質量のサイズを減少させ、チップ間のより良い接触を保証し、産物が続く主要な硬化ステップにおいて加熱加圧に費やさなければならない時間を減少させる。予備加圧ステップにおいて使用される圧力は、主要な硬化ステップにおける圧力より低い。
マットを取り囲む成形ガイドは、その後、この段階で除去されることができる。例えば、トレイおよびマットは共に持ち上げられ、成形ガイドは残しておく。マットはガイドの形を保持し、底部トレイに置く。
加熱加圧は成形マットを硬化するために使用される。これは150℃~200℃の上昇した温度で、3分~10分間20~35kgcm-2の圧力を適用して行われる。
硬化産物は、その後、用意ができる。
この方法にしたがって形成される物は:
i)微細藻類シート、測定値 深さ約1mm
ii)パーティクルボードパネル、測定値 深さ5mmを超える
得られるシートおよびパネルは、図1e)および1f)それぞれに示される。
図1e)に示されることができるように、産物として藻類に基づくシートパネルは弾力性があり、曲がることが示される。曲がる場合、割れること、細かく砕けること、または破壊することはなかった。
図1f)のようなパーティクルボードパネルは、強く、現在のホルムアルデヒドに基づく複合木材産物に対して非毒性の代替物として使用することができる。
[実施例6:粘着剤として結合剤の使用]
上述のように形成される3グラムの結合剤を、2つの5cm×5cmブロックの木材を共に接着するために使用した。結合剤は、一方のブロックの頂部平面5cm×5cmに、他方のブロックの底部平面5cm×5cm表面と位置合わせして接触させる前に、適用された。
圧力は、手によって適用され、結合剤は、室温で10分間、2つのブロックを共に固定するために、複合産物を提供するために硬化させることを可能にする。
[実施例7:複合産物の強度試験]
複合産物は、上述のように形成され、硬化される結合剤の粘着強度を決定するために力を受けた。複合産物の一方の木材ブロックは確実に保持され、他方のブロックは、接着表面に垂直の方向で、ブロックの中心から適用される引張力を受ける。引張力は、荷重を用いて適用される。荷重をブロックがばらばらになるまで増加させた。
複合産物は、木質ブロックがばらばらになる前に最大45ニュートンの荷重からの引張力に耐えた。
比較の複合産物は、上述の方法によって形成されるが結合剤の代わりにPVA木工用ボンドを用いて形成され、続く23ニュートンだけの荷重の適用で分解することが明らかになった。
したがって、本発明における複合産物の結合剤は、従来の接着剤と比較して優れた粘着剤である。
[実施例8:酵母に基づく結合剤Bの合成]
パン酵母(250g、~5%水分量、商標フェルミパン(Fermipan)で販売され、ラレマンド(Lallemand)社から調達される)およびデキストリン(13g、~1-5%水分量、アトランティス アート マテリアルズ(Atlantis Art Materials)社から調達される)を混合乾燥した。酵母またはデキストリンのいくつかの塊(集塊(agglomerations)を破砕した。
酵母材料は非常に低い水分量を有したので、水(320ml)をその後、混合を助けるために酵母およびデキストリンに加えた。酵母、デキストリン、および水をオービター(orbiter)(Morphy Richards Standing Orbiter400020)で、100~123rpmで(機械でスピード6)で混合した。材料のいくつかの塊は粉砕され、混合物は均一になったことが保証された。結果的に生じる混合物は約pH7を有した。
水酸化ナトリウム(32g、37wt%水溶液)をオービターに加え、100~123rpmで1~2分間混合し、アルカリ組成物を形成した。材料のいくつかの塊は粉砕され、混合物は均一になったことが再び保証された。結果的に生じる混合物は、pH約11~12を有した。
HCl(52g、14wt%水溶液)をその後、アルカリ組成物に加えた。混合物をオービターに加え、100~123rpm(機械でスピード6)で6分間混合し、酵母に基づく結合剤B(667g)を、薄茶色のクリーム状の物質として、糖蜜様の粘性で得た。
酵母に基づく結合剤Bは、乾燥量40%を有した。酵母に基づく結合剤Bは、最初にpH約9を有し、4時間置いておいた後にpH約6~7に下がった。
[実施例9:酵母に基づく結合剤Bを用いてのボードおよびパネルの産生]
酵母に基づく結合剤B(667g)の試料に、ハーコセット(Hercosett)617(67g、PAE架橋剤;13%濃度の固体カチオン性ポリアミノアミンーエピクロロヒドリン樹脂)を加え、結果的に生じる組成物を均一になるまで40℃で混合した。組成物は流動性のある流体であり、当該粘性は、500cpより下になるように測定された。
図2aは、酵母に基づく結合剤Bをハーコセット(Hercosett)617と40℃での混合を説明する。
結合剤は、2メートル直径の回転ドラムで5%のATRO水分量を用いて再利用された木質チップまたはおがくず(40重量%)に噴霧混合された。図2bは、2メートル直径の回転ドラム混合機で木質チップまたはおがくずと結合剤との混合を説明し、ここで、結合剤はドラムの中心に注入され、ドラムの中心から噴霧される。結果的に生じる混合物を、その後、図2cに説明されるように、手によってマットに形成した。マットを、その後、図2dに説明されるように、加熱した油圧プレスに置き、200℃の温度で180秒~300秒加圧した。適用される最大の圧力は、約3MPaまたは約4MPaのどちらかであった。生産されるボードは、19.5mm厚または14mm厚のどちらかであった。作られるボードは、1層のボードで木質チップのみから作られもの、または3層のボードで外面におがくずを含むもののどちらかであった。
この工程によって生産される例示的なボードは、図3a、3b、および3cに示される。
断熱板およびMDFボードは、酵母に基づく結合剤BからPAEと共に生産されてもよい。図3dは、PAEと共に酵母に基づく結合剤Bを用いて作られた125kg/m^3、250kg/m^3、および750kg/m^3の各密度を有する2つの断熱板およびMDFボードを、上から下まで、説明する。
16個の50cm×50cmサイズの1層パーティクルボードを生産し、尿素ホルムアルデヒド樹脂、本発明の結合剤、並びに本発明の結合剤とメラミン-または尿素-ホルムアルデヒドとの50%混合物の性能を比較する目的で、複合材料のための専門のセンターで試験した。これらの試験の結果も下記の表2に示す。
パーティクルボードの密度は、適用される圧力の制御によって制御される。プレート間の大きな隙間は、より低い密度を与える。
一連の8個のパーティクルボードは、結合剤B+PAEから、より低い樹脂荷重で作られた。
これらのパーティクルボードの試験は、結合剤B+PAEが木に容易に混合されるために十分に低い粘性を有することを示した。しかしながら、結合剤B+PAEは、比較的高い乾燥量も維持し、ボードが比較的短い期間-尿素ホルムアルデヒドボードが取る時間の約2倍の時間で加熱加圧によって硬化されることを可能にする。これは生体接着剤のための最も速い硬化時間の間である(‘‘加工木材パネルのための持続可能な生体接着剤の発展-レビュー(Development of sustainable bio-adhesives for engineered wood panels-A Review)’’RSC Adv.,2017,7,38604-38630参照)。
結果は、結合剤B+PAEがホルムアルデヒドを含まないことも示す。
接着剤を尿素-またはメラミン-ホルムアルデヒドと混合することは、比較的低い樹脂荷重および加圧終了時間を維持しながら、ホルムアルデヒド放出を減少させることを明らかにした。
16個の50cm×50cmサイズの1層パーティクルボード(再利用された木質チップおよびおがくずから作られる)を生産し、本発明における結合剤(試験された8個の一層ボードおよび1個の三層ボード)、および本発明の結合剤とメラミン-または尿素-ホルムアルデヒドとの混合物、および尿素-ホルムアルデヒド(UF)単独の比較例、の性能を比較するために、産業施設で試験した。これらの試験の結果を下記の表2に示す。
Figure 0007181617000002
比較的高い樹脂荷重と共に結合剤B+PAEから作られるパーティクルボードは、内部結合強度のためのP1標準に合い、MORおよび水抵抗性に関して尿素-ホルムアルデヒド結合剤に比べて勝るとも劣らない。当該弾性率(MOE)は高く、P2標準に合う。
結合剤B+UF又はMUFを有する全てのボードの内部結合強度は、BS BSEN 319)によって測定されるように、P1産業標準に近い、またはP1産業標準より上であった。本発明に係る各ボードのMOR値は、UF単独から作られるボードの値に近い、または上であった。本発明に係る各ボードのMOE値は、UF単独から作られるボードの値に近い、またはいくつかの場合において、上であった。結果は、本発明の結合剤がホルムアルデヒド含有量についての産業標準に一致することも示す。
水に24時間浸された後の本発明における物の水抵抗性は、UFから作られる物に類似することが明らかになった。
使用される樹脂荷重は、オーブン乾燥木質チップで6%~8.5%の乾燥樹脂であり、尿素ホルムアルデヒドのための産業標準に類似する。一つのパーティクルボードは、12%のより高い荷重で作られた。
図5は、本発明に従って作られるように、3層、19mm厚のパーティクルボードを示す。
[実施例10:強度試験]
次の結合剤を調製した:
i)実施例8に記述される結合剤B
ii)酵母の代わりに、約40重量%~60重量%のカンジダ(Candida)およびサッカロミセス(Saccharomyces)酵母の混合物、およびアッシュ(ashes)のような他の要素を含む動物飼料酵母、を用いる結合剤Bの異型
iii)酵母の代わりにベータ-グルカンを用いる結合剤Bの異型
iv)尿素-ホルムアルデヒド
80×25×6mm^3のサイズの細長い一片をマツ硬材から切断し、これらの接着剤のそれぞれを乾燥ベースで150g/m^2を用いて50×25mm^2の表面積に適用した。2つの細長い一片を、さらに互いに積み重ねた。それらのいくつかを、180℃の温度および1.03MPaの圧力を用いて180秒間、加熱加圧した。これらの加熱加圧のために、実施例9aの始めに記述されるPAEを言及される量で加えた。それらをその後、室温で3日間保存した。せん断試験を、ツビック/ローエル(Zwick/Roell)万能試験機を用いて2mm/minのスピードでけん引して行った。2つの試料を、各製剤から生産し、これら2つの複製物間のせん断強度試験の平均標準偏差は、0.1MPaであった。
図6は、本発明に係る、2層シートから作られる2つのプライベニアプライウッドを示す。
Figure 0007181617000003
表3は、本発明の結合剤が従来の接着剤と比較して強い接着剤であることを示す。ベータグルカンは接着に部分的に関与しており、結合剤を、低級酵母であり得る動物飼料として使用される酵母から作ることができることを説明する。
[実施例11:代替的な酵母に基づく結合剤-入れ替えられる酸およびアルカリステップ]
実施例8に記述される手順(酵母に基づく結合剤Bの合成)を、HClの添加および水酸化ナトリウムの添加を入れ替える(すなわち、HClを水酸化ナトリウムの添加の前に加えた)ことを除いて、行った。HClを添加して混合した後、pHは約1として測定された。水酸化ナトリウムを添加して混合した後、pHは約11として測定され、4時間置いておいた後にpH約9~10に下がった。
実施例12に記述されるこの接着剤、および240秒間の加熱加圧を用いて作られた実験室規模のパーティクルボードは、結合剤Bに匹敵する強度を有した。
酸およびアルカリは結合剤を生産するために使用される場合、当該結合剤から生産される物は、アルカリが酸の前に使用されるかどうか、または酸がアルカリの前に使用されるかどうかで強くなる。結果を、下記のボックスプロットで説明する。下記のボックスプロットで示されるように、平均MORは5.0MPaであった。
Figure 0007181617000004
Figure 0007181617000005
[比較例A:酸およびアルカリの重要性]
この比較例は、Kadimaliev et al.,BioResources(2012)7(2),1984-1993に記述されるのと類似の物質の生産を記述する。
実施例8に記述される手順(酵母に基づく結合剤Bの合成)を、HClまたは水酸化ナトリウムのどちらも添加されないことを除いて、行った。HClの排除は、pH12~13の組成物を提供し、4時間置いておいた後にpH11~12に下がった。水酸化ナトリウムの排除は、pH約1の組成物を提供し、4時間置いておいた後にpH約2に上昇した。
実験室規模のパーティクルボードは実施例12に記述されるように作られた。酸またはアルカリが排除された場合、結合剤は充填材料と混合することが非常に難しかった。結合剤は、充填材料に接着するよりも結合剤自体に接着する。図4aは、左側に本発明に係る結合剤の画像を示す。結合剤は滑らかで光沢があり、比較的流動性がよい。図4aは、酸が結合剤産物から排除されている結合剤の例も示し、結合剤は本発明に係る結合剤より光沢がなく、重大により粘性がある。
図4bは、結合剤の混合物を示し、ここで酸はおがくずおよび木質チップを有する結合剤の産生から排除されている。この結合剤は、すぐに塊が形成され充填材料を被覆しないことになるため、充填材料と混合することの困難さを証明した。
パーティクルボードは、これらの組成物のいずれかを用いて、240秒の硬化時間で作られたが、実施例8に記述される結合剤を用いて作られるパーティクルボードと比較してはるかに劣る強度を有した。ボードは、手によって容易に薄い層に裂け、低い曲げ強度を有し壊れやすかった。
図4cは、酸が結合剤の産生から排除されている結合剤から作られるボードを示し、手によって壊れることになる。このボードは、本発明に係る結合剤を用いて作られた類似のボードより重大に弱かった。ボードは、手によって容易に壊れることができ(図4cに示されるように)、重大により壊れやすく、非常に容易に薄い層にも避けた。
酸またはアルカリのどちらかが排除された結合剤から作られたボードの6日後における機械的試験は、MORが約半分に減少していることを示した。本発明に係る結合剤から作られるボードは、5.1MPaのMORを有し、一方、酸またはアルカリのどちらかが排除されたボードは、約3.4MPaの平均MORを有した。
実施例8に定義される結合剤Bの型は、次の濃度の水酸化ナトリウム、アルカリ:9%、23%、37%(標準)、47%、55%を用いて生産された。結合剤Bの2つの付加的な型は、90分間アルカリ相を混合することによって生産された。第一の段階は酸性相によって行われ、一方、この相は第二の段階で排除された。2つの物(パーティクルボード)を、360秒間の加熱加圧によってこれらの結合剤のそれぞれを用いて生産し、各物のMORを決定した。これらの結合剤のpHおよび当該物のMORを、上記のボックスプロットに示す。結合剤は任意のpHで作用し、酸性相は、ボードの強度を重大に犠牲にすることなく排除されることができるということを示す。このことはアルカリ相が排除される場合にも当てはまる。
[実施例12:結合剤B+PAEから作られた物と他の結合剤から作られた物との比較]
実施例8に記述される結合剤の種々の異型を調製し、約5%のATRO水分を共に有する36gのおがくず、および85gの木質チップに混合した。マットはその後形成され、手動の油圧12×12cm樹脂熱プレス機に、プレート温度設定210℃(測定される温度は約170℃~180℃であった)で置かれた。プレスハンドルを固定しておいた後に12.4MPaの圧力を60秒間維持した。2つのパーティクルボードは、製剤(または「1×」で示される場合に単一ボード)ごとに作られた。
5日後、室温で、パーティクルボードは、約43×87mmのブロックに切断され、パーティクルボードの破壊係数(MOR)を、万能試験機を用いて、引っ張りスピード5mm/sで試験した。MORは、MOR=(3Fl)/(2wt)として算出され、ここでFは、ニュートンにおける最大荷重であり、lは支持径間長(support span length)であり、wおよびtは、それぞれ、メートルでの試料幅および試料厚である。
表4は作られた異型およびボードの強度を詳述する
ボードは実際には異なる密度を有するという事実を説明するために、線形回帰モデルがデータに適合され、675kg/mの平均密度ボードに一致するようにMOR値をスケール変更するために使用された。
Figure 0007181617000006
さまざまな結合剤は、木の重量に対して7重量%で使用され、240秒間硬化された。PAEを有する実施例8に係る結合剤Bは、5.1MPaのMORを有した。酸をアルカリの前に添加するように、酸およびアルカリの添加を交換することは、組成物から作られる物のMORを4.9MPaにわずかに減少させる。40℃で混合物を加熱することは、MORを4.3MPaにわずかに減少させる。
デキストリン(デンプン)を使用しなかった場合、MORは3.8MPaに重大に減少した。
水酸化ナトリウムまたはHClのどちらかのみ(すなわち、アルカリ処理のみ、または酸処理のみ)が結合剤の製造において使用された場合に、MORは平均3.4MPaに減少し、これはこの表に見られる最も低い値である。
したがって、結合剤の調製において(1)デンプン量および(2)酸および塩基の両方の使用は、所望の特性を得ることにおいて重要な因子であるといこうが示されている。
水をPAE(架橋剤)の代わりに使用する場合、MORは、3.7MPaになることが明らかになった。PAEを用いないで作られるボードは、プレスに置いて240秒後でボードの中心が上手く硬化されなかったように吸収性であった。
したがって、所望の特性を得るために、架橋剤を含むことが有利であるとも示される。
表4は、さまざまな結合剤が木の重量に対して約7重量%で使用され、360秒間硬化されたことも示す。これらの条件下、PAEを有する結合剤BのMORは、5.9MPaに増加した。ここで20%の酵母がβ-グルカンによって置換されると、MORは6.8MPaに増加することが明らかになった。酵母の代わりにβ-グルカンを用いると、物のMORは10.0MPaに増加した。強度におけるこの上昇は、酵母細胞内から放出されるβ-グルカンは、結合剤の接着性に部分的に関与していることを示す。NaOH混合時間を90分に増加すると、MORは6.0MPaにわずかに増加した。しかしながら、NaOH混合時間を90分に増加させるが酸を排除する場合、MORは5.0MPaに減少し、酸およびアルカリ処理が使用される場合より重大に劣っている。
低級酵母の使用は、PAEを有する標準的な結合剤Bより、MORが6.4MPaであり、わずかによくなった。HClの代わりに硫酸の使用は、5.5MPaの同等なMOR値を与えた。NaOHの代わりに代替的なアルカリの使用は、その結合剤から作られる物のMORにおいて影響は小さく、水酸化アンモニウムおよび水酸化カルシウムを用いて生産する物のMOR値はそれぞれ5.7MPaおよび5.3MPaであった。HClの代わりに硝酸の使用は、結合剤から作られる物のMOR値を4.8MPaに減少させた。酵母の代わりに代替的な菌類の使用は、これらの菌類から生産される物のMORにおいて小さな減少を与えた。ヤマブシタケ(Lion’s mane)、シイタケ、チャガ(chaga)およびカワラタケ(turkey’ tail)菌類を用いて生産される物のMOR値は平均で4.7MPaであった。
β-グルカンを酵母の代わりに使用した場合、同じ酸およびアルカリステップを使用し、同じ重量を使用した。ベータグルカンを、ドイツの供給業者、ナチュルヘイルプラクシスベドラフ(Naturheilpraxisbedarf)からもたらした。
通常の酵素の代わりに醸造酵母残留物を使用する場合、480秒の硬化時間を使用し、5.7MPaのMORを与えた。
表4は、14重量%の樹脂荷重および480秒の硬化時間を使用する場合、PAEを用いる結合剤BのMORは9.5MPaに増加することも示す。これらの条件下で、低級酵母から作られる類似の結合剤は、11.8MPaのMORを有する。低級酵母は、45重量%~50重量%のカンジダ(Candida)およびサッカロミセス(Saccharomyces)酵母の混合物、並びにアッシュ(ashes)のような他の要素を含んだ。低級酵母は費用が低く、大量に動物飼料のために利用可能である。
[結論]
菌類またはグルカンとデンプンとの出発混合物にアルカリ処理および酸処理を行うことは、ペースト用質感を有する結合剤産物につながることが明らかになっている。これは低い粘性を有し、木質チップまたはおがくずのような充填材料と容易に混合されることができる。この混合物を、その後成形し、優れた強度特性を有する3D造形物を与えるために硬化する。早い硬化時間、例えば約10~18秒/mm厚を達成することができる。
理論に縛られることなく、アルカリ処理は、菌類細胞壁を溶解し、塩基可溶性グルカンを可溶化する。酸処理中に、酸可溶性グルカンは溶解され、グルカンは、より小さいポリサッカライドに壊れることになる。
例えば、デキストリンなどのデンプンも重要であり、デンプンの不在で結合および強度特性は減少する。再び、理論に縛られることなく、木にあるセルロースと相互作用があり、そのことは最終産物の強度を向上させると考えられるように、デンプンは水素結合を介してグルカンと相互作用し、特に充填材料が木を含む場合に、結合剤と充填材料との間の高分子相互作用を強くする、と思われる。
グルカンを有するような、動物飼料ストック酵母、種々のキノコ、および醸造酵母を含むさまざまな菌類出発材料を、使用することが示されている。
架橋剤の使用は任意ではあるが、PAE架橋剤のような架橋剤が結果を向上させるということが明らかになっている。理論に縛られることなく、架橋剤は、結合剤および充填剤との間の高分子ネットワークを安定化する、もしかすると高分子相互作用を安定化するために木のリグノセルロースおよびグルカンと反応することによって安定化すると考えられる。架橋は、木のリグノセルロースとグルカンとの間の複雑な分子ネットワークにつながり得り、架橋は水素結合によってさらに向上し接着効果を増加させる。
[好ましい工程の要約]
1.提供される出発材料1:乾燥粉末/パレットの形態で水分量約1wt%~10wt%、例えば、5wt%を有する酵母。産業的醸造酵母、低級動物飼料酵母、または醸造酵母の副産物であってもよい。
2.提供される出発材料2:水分量1wt%~10wt%の範囲、例えば、5wt%を有する乾燥粉末の形態のデキストリン。
3.乾燥重量で85%~99%の酵母(例えば、95%)および1%~15%のデキストリン(例えば5%)の量で、酵母およびデキストリンを混合槽中で均一に混合する。
4.約45%乾燥量(例えば35%~50%乾燥量)を有する水性混合物を提供するために水を混合物に加える。
5.強アルカリ溶液を水性混合物に加える。好ましい溶液は、35重量%~40重量%(例えば37重量%)に希釈された水酸化ナトリウムである。水道水が溶媒であることができる。これは細胞壁、特にアルカリ可溶性グルカンの破壊を助ける。このステップは、2分~90分の範囲、好ましくは2分~15分の範囲、混合槽で行われる。
6.強い希酸を、その後アルカリ化原料に加える。好ましい酸は、10重量%~18重量%(例えば、約14重量%)溶液に希釈される塩化水素酸である。水道水は溶媒であることができる。これは産物を中性にすることを助けるだけでなく、アルカリ相中に破壊されていない要素の結合も切断する。これらのいくつかは、内部細胞壁に存在するアルカリ不溶性酸可溶性グルカンおよびマンナンを含む。このステップは、酸溶液を均一に混合してペーストにすることを可能にするために、10分~60分続く。結果的に生じる産物の粘性は、著しく減少し、槽の外側に流れることを可能にする。
7.結果的に生じるペーストは、pH5~pH8の範囲を有し、時間と共に、通常約7に確定するだろう。ペーストは、ポリマー溶解に類似のレオロジー挙動を有し、容器壁に固着し、および着実に流れる。
8.任意の付加的な水および/または例えば、架橋剤(例えば、PAE樹脂)、および共結合樹脂(例えば、イソシアネートに基づく樹脂またはホルムアルデヒドに基づく樹脂)などの任意の添加剤を加えることができる。これらは、流動様式を変えることも可能にする。架橋剤および/または共結合樹脂は、パネル産物がプレスに費やさなければならい時間量を水が増加させるので、この理由のために水の代わりに薦められる。少量の添加剤は、粘性を大きく減少させる原因になることができる。この実施例において、結合剤の質量で5%~10%のPAE(ハーコセット(Hercosett)617)の添加は、粘性を500cPaにさせ、良い流体流動を可能にする。
9.結合剤は、手によって、または回転ドラムミキサーのような混合機械、および当該技術分野において公知の他の物を用いることによって充填材料(例えば、木質チップ、木質繊維、おがくず)と混合され、または様々な基質(例えば、ベニアまたはプライ)に適用される。もし結合剤の粘性が低い場合には、結合剤は改良された基材への拡散のために、拡散されてもよい。
10.結合剤と充填材料との混合物は、3D形、例えばボードまたはパネルなどに形成されてもよく、一方、結合剤と充填材料との混合物は、プライウッドのような複合産物を形成するために、さらに積み重ねられても、または層状にされてもよい。産物は、産物の所望の最終形を取るために、室温で、型に手動で加圧されることができる。
11.予備加圧された造形物は、加熱および加圧下で、例えば180秒~300秒の間、および150℃~250℃、または150℃~210℃(例えば約200℃)のプレート温度などで、硬化するために油圧熱プレスに挿入される。これは、結合剤を硬化し、最終産物(例えば、パーティクルボード、配向性ストランドボード(OSB)、中/高密度繊維板(MDF/HDF)、断熱板、プライウッド)を形成する。硬化は、0.5MPa~7MPa、任意に1MPa~5MPaの圧力下で行われてもよい。
12.最終産物は、冷却、および硬化工程の完結を可能にするために(例えば、3日~2週間)保存されてもよい。
[次の節の主題も提供される]
1.造形物を生産する方法であって、前記方法は:
a)pH5~9を有する菌類に基づく結合剤を提供すること、ここで前記菌類に基づく結合剤は、
i.菌類をアルカリ化剤と共に混合することによりアルカリ性組成物を形成すること;および
ii.前記アルカリ組成物を酸化剤と混合することによりpH5~9を有する前記菌類に基づく結合剤を形成すること;
b)前記結合剤を、任意に充填材料と混合することによって結合組成物を形成すること;
c)前記結合組成物を三次元形状に成形すること;および
d)前記組成物を硬化することにより前記三次元形状を有する造形物を形成すること;
を含む。
前記結合剤は、例えば、デキストリンおよび他の加工デンプンなどのデンプンを含んでもよい。組成物は、上昇した温度および/または圧力で硬化されてもよい。組成物は、3次元に成形されてもよく、硬化前または硬化中に、所望の形の造形物になる。
2.節1の方法であって、ここで、ステップa)は、次のステップ:
i.菌類をアルカリ化剤と共に混合することによりアルカリ性組成物を形成すること;および
ii.前記アルカリ組成物を酸化剤と混合することにより前記菌類に基づく結合剤を形成すること、
を行うことによって、前記菌類に基づく結合剤を生産することを含み、
ここで、アルカリ化剤および酸化剤の量は、結果的に生じる菌類に基づく結合剤がpH5~9を有するように選択される
3.節1または節2の方法であって、前記菌類に基づく結合剤は、pH:
a)5.5~8;または
b)6~8
を有する。
4.前述の節のいずれかに記載の方法であって、ここで前記アルカリ化剤は:
(a)2重量%~50重量%、
(b)10重量%~50重量%、または
(c)15重量%~45重量%
のアルカリ濃度を有する水溶液として提供される。
5.前述の節のいずれかに記載の方法であって、ここで前記アルカリ化剤に使用される前記アルカリはpKaH:
(a)9以上、
(b)10以上、または
(c)11以上
を有する。
6.前述の節のいずれかに記載の方法であって、ここで前記酸化剤は:
(a)2重量%~50重量%、
(b)10重量%~50重量%、または
(c)15重量%~45重量%
の酸濃度を有する水溶液として提供される。
7.前述の節のいずれかに記載の方法であって、ここで前記酸化剤の前記酸はpKa:
(a)5以下、または
(b)4以下、
(c)3以下
を有する。
8.前述の節のいずれかに記載の方法であって、ここで前記結合剤は、ステップb)において形成される組成物の
(a)5重量%~90重量%、
(b)10重量%~75重量%、
(c)15重量%~60重量%、または
(d)20重量%~50重量%
を構成する。
9.前述の節のいずれかに記載の方法であって、ステップb)において、前記結合剤組成物は、前記結合剤を充填材料と混合することによって形成される。
10.節9の方法であって、前記充填材料は:木に基づく充填剤、フライアッシュ、無機固体残留物、例えば、卵殻、藻類、羽毛、麻、骨粉、プラスチック、粒状肥料、小麦粉、亜麻繊維、およびそれらの混合物など
から選択される一つ以上の材料を含む。
11.節9または節10の方法であって、前記充填材料は:
(a)微細藻類;および/または
(b)木に基づく充填剤;および/または
(c)羽毛;および/または
(d)小麦粉
を含む。
12.節9~節11のいずれかに記載の方法であって、前記充填材料は、ステップb)において形成される組成物の
(a)10重量%~90重量%、
(b)15重量%~85重量%、
(c)40重量%~85重量%、
(d)50重量%~80重量%
を構成する。
13.前述の節のいずれかに記載の方法であって、一つ以上の添加剤はステップb)において形成される組成物に含まれる。
14.前述の節のいずれかに記載の方法であって、前記組成物がステップd)において硬化する場合、前記物が型の形になるように、前記組成物は、ステップc)において型に置かれる。
15.節1~節13のいずれかに記載の方法であって、前記組成物は、ステップc)において3Dプリントされ、またはステップc)において3D形に加圧される。
16.節1~節15のいずれかに記載の方法によって得ることができる物。
17.節16の物であって、物は包装物、構造物、または家具である。
18.節17の物であって、物は床タイルである。
19.平面アレイに共に一時的または永続的に連結される節18に定義される複数の物を含む床構造。
20.結合剤を調製する方法であって、アルカリ組成物を形成するために菌類をアルカリ化剤と混合するステップ、およびアルカリ組成物を酸化剤と混合するステップを含み、
ここで、前記アルカリ化剤は、pKaHが11以上を有するアルカリの水溶液として、10重量%以上の前記アルカリ化剤の前記アルカリ濃度で提供され、
ここで、前記酸化剤は、pKaが2以下を有する酸の水溶液として、10重量%以上の前記酸化剤の前記酸濃度で提供される。
21.前述の節のいずれかに記載の発明であって、ここで前記菌類は:
(a)門アスコミコタ(Ascomycota)で;または
(b)酵母;または
(c)サッカロミセス(Saccharomyces)種の酵母
である。
22.節20の発明であって、前記酵母は、サッカロミセス セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)酵母である。
23.前述の節のいずれかに記載の発明であって、前記アルカリ化剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、または水酸化ストロンチウムの水溶液である。
24.前述の節のいずれかに記載の発明であって、前記アルカリ化剤の菌類に対する重量比は、
(a)4:1~1:4、
(b)3:1~1:3、
(c)2:1~1:2、または
(d)1.5:1~1:1.5
である。
25.前述の節のいずれかに記載の発明であって、前記酸化剤は、塩化水素酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、クエン酸、乳酸、および酢酸の水溶液から選択される。
26.前述の節のいずれかに記載の発明であって、前記酸化剤の菌類に対する重量比は、
(a)4:1~1:4、
(b)3:1~1:3、
(c)2:1~1:2、または
(d)1.5:1~1:1.5、
である。
27.前述の節のいずれかに記載の発明であって、前記酸の前記アルカリに対するモル比は、
(a)1:1.5~1.5:1、
(b)1:1.3~1.3:1、または
(c)1:1.1~1.1:1、
である。
28.前述の節のいずれかに記載の発明であって、前記菌類に基づく結合剤はpH7を有する。
29.節20の方法によって、または節20に従属する節21~節28のいずれかによって得ることができる結合剤。
30.複合産物を生産するために2つの構成部分を接着する方法であって、各構成部分は接触面を有し、前記方法は:
a)節29に定義される菌類に基づく結合剤を提供すること;
b)前記結合材を第一の構成部分の前記接触面に、および/または第二の構成部分の接触表面に適用すること:
c)第一の構成部分の前記接触面を、第二の構成部分の前記接触面と接触させること;および
d)前記複合産物を提供するために、前記結合剤を硬化すること
を含む。
31.節30の方法であって、ステップa)は、節20の方法または節20に従属する節21~節28のいずれかを行うことによって結合剤を生産することを含む。
32.節30または節31の方法によって得ることができる複合産物。

Claims (37)

  1. 造形物を生産する方法であって、前記方法は:
    a)結合剤を提供すること、ここで前記結合剤は、
    i)(A)菌類またはベータグルカンと(B)デンプンとを、アルカリ化剤と共に混合することによりアルカリ性組成物を形成すること;および前記アルカリ組成物を酸化剤と混合することにより前記結合剤を形成すること;または
    ii)(A)菌類またはベータグルカンと(B)デンプンとを、酸化剤と共に混合することにより酸性組成物を形成すること;および前記酸性組成物をアルカリ化剤と混合することにより前記結合剤を形成すること;
    の工程によって生産されており、
    b)前記結合剤を充填材料と混合することによって結合組成物を形成すること;
    c)前記結合組成物を三次元形状に成形すること;および
    d)前記結合組成物を硬化することにより前記三次元形状を有する造形物を形成すること;
    を含み、
    ここで、ステップc)およびステップd)は、同時に、または分離して行われることができ、ここで、ステップc)およびステップd)の一方または両方のステップの間、圧力が前記結合組成物に適用され
    前記デンプンは、アミロース、アミロペクチン、加工デンプン、カチオンデンプン、カルボキシメチルデンプン、酸化デンプン、漂白デンプン、リン酸モノデンプン、リン酸ジデンプン、アセチル化デンプン、及びヒドロキシプロピルデンプンの群から選ばれる、
    方法。
  2. 前記充填材料は木材を含み、および前記造形物は加工木材産物である、請求項1に記載の方法。
  3. ステップb)において形成される前記結合組成物において、前記結合剤は:
    目付湿重量としたとき、前記結合組成物の
    (a)2重量%~90重量%、
    (b)2重量%~50重量%、または
    (c)5重量%~25重量%、
    を構成する、
    請求項1又は2に記載の方法。
  4. ステップb)において形成される前記結合組成物において、前記充填材料は:
    目付湿重量で考えられる場合、前記結合組成物の
    (a)10重量%~99重量%、
    (b)15重量%~95重量%、
    (c)40重量%~95重量%、
    (d)70重量%~95重量%、または
    (e)70重量%~90重量%、
    を構成する、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 加工木材産物である造形物を生産する方法であって、前記方法は:
    a)結合剤を提供すること、ここで前記結合剤は、
    i)(A)菌類またはベータグルカンと(B)デンプンとを、アルカリ化剤と共に混合することによりアルカリ性組成物を形成すること;および前記アルカリ組成物を酸化剤と混合することにより前記結合剤を形成すること;または
    ii)(A)菌類またはベータグルカンと(B)デンプンとを、酸化剤と共に混合することにより酸性組成物を形成すること;および前記酸性組成物をアルカリ化剤と混合することにより前記結合剤を形成すること;
    の工程によって生産されており、
    b)前記結合剤および複数の構成部分を結合させることによって三次元形状を形成すること、ここで前記三次元形状は、層の形態での3つ以上の構成部分があり、それぞれは木材を含み、前記木材の層の間に提供されている結合剤の層を有し;
    c)圧力下で前記三次元形状を硬化することにより三次元形状を有する造形物を形成すること;
    を含み、
    前記デンプンは、アミロース、アミロペクチン、加工デンプン、カチオンデンプン、カルボキシメチルデンプン、酸化デンプン、漂白デンプン、リン酸モノデンプン、リン酸ジデンプン、アセチル化デンプン、及びヒドロキシプロピルデンプンの群から選ばれる
    方法。
  6. ステップa)は、工程i)または工程ii)を行うことによって、インサイチュ(in situ)で前記結合剤を生産することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記硬化は、15℃~250℃100℃~230℃、及び150℃~210℃から選ばれるいずれかの温度で行われる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記硬化は、0.5MPa~7MPa、又は1MPa~5MPaの圧力下で行われる、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 結合剤を生産する方法であって、次のステップ:
    i)(A)菌類またはベータグルカンと(B)デンプンとを、アルカリ化剤と共に混合することによりアルカリ性組成物を形成すること;および前記アルカリ組成物を酸化剤と混合することにより前記結合剤を形成すること;または
    ii)(A)菌類またはベータグルカンと(B)デンプンとを、酸化剤と共に混合することにより酸性組成物を形成すること;および前記酸性組成物をアルカリ化剤と混合することにより前記結合剤を形成すること;
    を含
    前記デンプンは、アミロース、アミロペクチン、加工デンプン、カチオンデンプン、カルボキシメチルデンプン、酸化デンプン、漂白デンプン、リン酸モノデンプン、リン酸ジデンプン、アセチル化デンプン、及びヒドロキシプロピルデンプンの群から選ばれる、方法。
  10. 前記デンプンはデキストリンである前記加工デンプンを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 工程i)またはii)によって生産される前記結合剤で、4時間静置させた後に測定される前記結合剤のpHは:
    (a)3~10
    (b)4~9
    (c)5~9
    (d)5.5~8;または
    (e)6~8
    である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 乾燥デンプン対乾燥菌類またはベータグルカンの重量比は、
    (a)1:200~1:2.5
    (b)1:200~1:5;または
    (c)1:200~1:10
    である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. (A)菌類またはベータグルカンと(B)デンプンとを含む出発材料は、乾燥含有量(すなわち、水がない構成要素)で
    (a)10%~55%;
    (b)20%~55%;または
    (c)35%~50%
    の重量で水性混合物として提供される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記アルカリ化剤は、アルカリ濃度:
    (a)2重量%~60重量%;
    (b)10重量%~50重量%;または
    (c)15重量%~45重量%
    を有する水溶液の形態で添加される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記アルカリ化剤で使用されるアルカリは、pKaH:
    (a)9以上、
    (b)10以上、または
    (c)11以上
    を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記酸化剤は、水溶液の形態で添加され、酸濃度は:
    (a)2重量%~50重量%;
    (b)10重量%~50重量%;または
    (c)15重量%~45重量%
    を有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記酸化剤の酸は、pKa:
    (a)5以下
    (b)4以下、または
    (c)3以下
    を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記菌類は、
    (a)ディカリア(Dikarya);
    (b)子嚢菌門または担子菌科で;
    (c)酵母
    (d)カンジダ(Candida)属若しくはサッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母;または
    (e)サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母
    である、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記酵母は、サッカロミセス セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)酵母である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記アルカリ化剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、または水酸化ストロンチウムの水溶液である、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記アルカリ化剤の乾燥菌類またはベータグルカンに対する重量比は、
    (a)5:1~1:15、
    (b)3:1~1:15、または
    (c)2:1~1:10、
    である、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記酸化剤は、塩化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸、クエン酸、乳酸、ギ酸、および酢酸の水溶液から選択される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記酸化剤の乾燥菌類またはベータグルカンに対する重量比は、
    (a)5:1~1:15、
    (b)3:1~1:15、
    (c)2:1~1:10、または
    (d)1:1~1:10、
    である、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記酸のアルカリに対するモル比は、
    (a)5:1~1:30、
    (b)2:1~1:10、または
    (c)1:1~1:6、
    である、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記結合剤は、硬化剤を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記硬化剤は架橋剤であり、前記架橋剤は、ポリアミドアミン エピクロロヒドリン(PAE)樹脂およびエポキシ樹脂から選択される、請求項25に記載の方法。
  27. 前記硬化剤は架橋剤であり、前記架橋剤は、0.1重量%~30重量%の量で含まれる、請求項25または請求項26に記載の方法。
  28. 前記架橋剤は、1重量%~30重量%の量で含まれる、請求項27に記載の方法。
  29. 前記結合剤は、共樹脂と組み合わせて使用され、前記共樹脂は、前記共樹脂を加えて組み合わせられた前記結合剤における最大60重量%の量で使用される、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記共樹脂は、尿素-ホルムアルデヒド、メラミン-ホルムアルデヒド、およびpMDIからなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
  31. 請求項1~4、並びに請求項1~4に直接的又は間接的に従属する請求項6~8及び10~30のいずれか一項に記載の造形物を生産する方法によって得られる、三次元形状を有する造形物。
  32. 層の形態での3つ以上の構成部分があり、前記構成部分のそれぞれは木材を含み、前記木材の層の間には硬化した結合剤の層を有する、三次元形状の造形物であって、
    前記造形物は、請求項5、並びに請求項5に直接的又は間接的に従属する請求項6~8及び10~30のいずれか一項に記載の造形物を生産する方法によって得られる、造形物。
  33. 請求項9、並びに請求項9に直接的又は間接的に従属する請求項10~30のいずれか一項に記載の結合剤を生産する方法によって得られる結合剤。
  34. 包装物、構造物、または家具である、請求項31または32に記載の造形物。
  35. 複合産物を生産するためにつの構成部分を接着することにより複合産物を生産する方法であって、各構成部分は接触面を有し、前記方法は:
    a)請求項33に記載の結合剤をること;
    b)前記結合剤を第一の構成部分の前記接触面、および第二の構成部分の前記接触面の一方または双方に適用すること;
    c)前記第一の構成部分の前記接触面を、前記第二の構成部分の前記接触面と接触させること;および
    d)記結合剤を硬化させることにより前記複合産物を提供すること
    を含む、方法。
  36. ステップa)は、請求項9記載の方法または請求項9に直接的または間接的に従属する請求項10~請求項30のいずれか一項に記載の方法を行うことによって前記結合剤を生成することを含む、請求項35に記載の方法。
  37. 2つの構成部分を有し、前記2つの構成部分は、前記各構成部分に設けられた接触面で互いに接着されている、複合産物であって、
    請求項35または36に記載の複合産物を生産する方法を行うことによって得られる複合産物。
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