JP7181580B2 - 抗菌性層状ケイ酸塩 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日:平成29年12月15日 ウェブサイトのアドレス:http://www.aist.go.jp/ http://www.aist.go.jp/aist_j/aistinfo/report/annual_rport/index.html http://www.aist.go.jp/pdf/aist_j/annual_report/h28/h28nenpou.pdf
本発明は、抗菌性層状ケイ酸塩、並びに抗菌性層状ケイ酸塩を含む抗菌剤及び歯科用組成物に関する。
従来、所望の材料に抗菌性を付与するために種々の有機化合物や銀、銅、亜鉛等の抗菌作用を有する金属イオンが抗菌剤として用いられている。しかし、有機系抗菌性化合物は耐熱性に乏しく、また、金属イオンは耐変色性に問題があるため、様々な検討が行われている。
例えば、特許文献1には、ケイ酸アルミニウム中に特定のビス第四級アンモニウム塩化合物を担持させることで、細菌、黴、藻類、原生動物といった数多くの微生物に対し殺滅的効果を示し、しかも高い熱安定性を有しながら持続的に抗菌力を発揮することができることから、繊維、紙、フィルム、プラスチック、ゴムなどへの練り込みが可能になると開示されている。
ところで、歯科のう蝕、歯周病は細菌感染が引き起こす疾患であり、古くから、銀などの抗菌剤が用いられている。また、超高齢社会における義歯装着人口の増加、中でも要介護高齢者の義歯による口腔環境の悪化は誤嚥性肺炎に繋がることから、口腔環境の向上のために、歯磨剤や義歯床用材料の研究が盛んに行われている。
例えば、層状ケイ酸塩にビス型第四アンモニウム塩化合物を担持させたものや、イオン交換が可能なイオンの一部または全部をアルカリ土類金属イオンまたは亜鉛族金属イオンで置換したフッ素置換層状ケイ酸塩にビグアナイド系抗菌剤あるいは第4級アンモニウム基を1個有する化合物を担持させたものが、該化合物の抗菌活性に関して耐熱性と持続性を向上することができ、該抗菌性層状ケイ酸塩を歯磨剤に適用可能であることが開示されている(特許文献2~4参照)。
また、特許文献5には、抗菌剤の粘膜滞留性を向上するために、粘膜に対する吸着性、滞留性に優れる粘土鉱物として、比表面積と平均粒子径が特定のものを用いる技術が開示されている。具体的には、スメクタイト等の水膨潤性粘土鉱物が挙げられており、該粘土鉱物に組み合わせる抗菌剤としては、粘膜への適用が可能なものであれば特に限定されないと記載されている。
特許文献6には、従来の義歯安定剤は通常エタノール及び水によりポリ酢酸ビニル樹脂を膨潤させて必要な柔軟性と付着力を与えているところ、ポリ酢酸ビニル樹脂を基材とする義歯安定剤組成物に高度の水和力を有するモンモリロナイト等のコロイド性含水ケイ酸塩を添加することにより、組成物の水分の保持力を高め、付着力を損なうことなく長時間持続させると共に、優れた剥離性を与えることができると開示されている。
特開2011-148754号公報 特開2004-217501号公報 特開2004-262795号公報 特開2004-262700号公報 特開2001-10941号公報 特開平8-99816号公報
しかしながら、従来の抗菌性を持たせた層状ケイ酸塩は、特に生体硬組織(歯、骨)用の抗菌剤などに使用する場合において脱灰を十分に抑制することができず、さらなる改良が望まれるところである。
本発明の課題は、抗菌効果と脱灰防止効果を有する抗菌性層状ケイ酸塩、並びに当該抗菌性層状ケイ酸塩を含む抗菌剤及び歯科用組成物を提供することである。
本発明は、
[1]層状ケイ酸塩が第4級アンモニウムイオンフッ化物を担持した、抗菌性層状ケイ酸塩、
[2][1]記載の抗菌性層状ケイ酸塩を含む、抗菌剤、及び
[3][1]記載の抗菌性層状ケイ酸塩を含む、歯科用組成物、に関する。
本発明によれば、抗菌効果と脱灰防止効果を有する抗菌性層状ケイ酸塩、並びに当該抗菌性層状ケイ酸塩を含む抗菌剤及び歯科用組成物を提供することができる。
調製例1のCPF溶液の調製方法を説明するための図である。 調製例2のCPF溶液の調製方法を説明するための図である。 実施例1~3の合成サンプルを乳鉢で粉砕した写真である。 実施例1~4の合成サンプルの結晶構造を粉末エックス線回折法で調べた結果である。 試験例1におけるFイオンおよびCPイオン濃度をイオンクロマトグラフィーおよび紫外可視分光法により測定した結果である。 試験例2における吸光度測定結果である。 試験例3における透過電子顕微鏡写真である。
本発明の抗菌性層状ケイ酸塩は、層状ケイ酸塩が第4級アンモニウムイオンフッ化物を担持したものである。
本発明に係る層状ケイ酸塩としては、層状構造をとるケイ酸塩をいう。また、本発明に係る層状ケイ酸塩は層電荷を持つため、層間にNa、Mg2+、Ca2+などの陽イオンを水和した状態で取り込んでおり、概して親水性を有するケイ酸塩である。本発明に係る層状ケイ酸塩は、通常、白色、薄茶色、薄灰色等の粉末状を呈するが、白色の粉末状を呈するものが好適である。
本発明に係る層状ケイ酸塩としては、特に限定されるものではないが、層電荷が0.2~0.6のスメクタイト族、層電荷が0.6~1.0のバーミキュライト族や雲母(マイカ)などの粘土鉱物、Na型テニオライト、Li型テニオライトなどが挙げられる。具体的には、スメクタイト族においては、2八面体型スメクタイトに分類されるモンモリロナイト、バイデライトや3八面体スメクタイトに分類されるサポナイト、ヘクトライトなどが挙げられる。バーミキュライト族においては、2八面体型バーミキュライトや3八面体型バーミキュライトが挙げられる。雲母においては、金雲母、白雲母、フッ素金雲母、フッ素四ケイ素雲母、ナトリウム四ケイ素雲母、Na型テニオライト、Li型テニオライトなどが挙げられる。また、上記の他に、カネマイト、マカタイト、マガディアイト、ケニアイトなどのアルミニウムやマグネシウムを含まない層状ケイ酸塩を使用することもできる。これらは天然に存在するものを精製したものであっても、水熱法など公知の方法で合成したものであってもよい。本発明に係る層状ケイ酸塩の好適例としては、モンモリロナイト、ヘクトライト、バイデライト、サポナイト、マイカなどが挙げられる。
本発明に係る層状ケイ酸塩の平均粒径としては、特に限定されるものではなく、操作性の観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下である。また、下限としては、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上である。なお、本明細書において、層状ケイ酸塩の平均粒径とは、層部分の最大面積を有する面の径を意味し、長径と短径がある場合はその平均値のことである。例えば、粒度分布計(ベックマン・コールター社製)により測定することができる。層状ケイ酸塩の平均粒径の調整は、例えば、粉砕又は篩等により分級することにより、容易に行うことができる。
本発明に係る第4級アンモニウムイオンフッ化物としては、フッ化セチルピリジニウム、フッ化ベンザルコニウム、フッ化ベンゼトニウムなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合せて含まれる。
本発明に係る第4級アンモニウムイオンフッ化物の担持量は、抗菌効果と脱灰防止効果の観点から、層状ケイ酸塩100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましく、30質量部以上が更に好ましく、200質量部以下が好ましく、180質量部以下がより好ましく、150質量部以下が更に好ましい。なお、第4級アンモニウムイオンフッ化物を2種以上含む場合における担持量は、合計量を指す。
本発明の抗菌性層状ケイ酸塩は、本発明の効果を阻害しない範囲において、任意に他の成分をさらに担持していてもよい。担持されていてもよい他の成分としては、メントール、1-ヘキサノールなどが挙げられる。
本発明の抗菌性層状ケイ酸塩の平均粒径としては、特に限定されるものではないが、例えば歯科用品へ適用する場合には、好ましくは500μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下である。また、抗菌性を発揮する観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上である。なお、平均粒径は前述と同様の方法により測定することができる。
本発明の抗菌性層状ケイ酸塩は、第4級アンモニウムイオンフッ化物を担持するため、抗菌効果のみならず、フッ素イオンによる脱灰防止効果が期待される。従って、生体硬組織(歯、骨)用の抗菌剤などに使用することができる。特に、歯質接着面が剥離した際、剥離部位における菌の増殖や脱灰を抑制する観点から、歯科用セメント、義歯用材料、歯科修復材料などの歯科用組成物に好適に使用される。即ち、本発明においては、本発明の抗菌性層状ケイ酸塩を含む抗菌剤や、本発明の抗菌性層状ケイ酸塩を含む歯科用組成物についても提供するものである。
本発明の抗菌性層状ケイ酸塩の製造方法は、特に限定されるものではなく、層状ケイ酸塩に抗菌剤を担持させる公知の方法と同様に調製することができる。即ち、第4級アンモニウムイオンフッ化物と層状ケイ酸塩とを溶媒中にて接触させることができればよい。例えば、層状ケイ酸塩をイオン交換水に添加して調製した懸濁液に、第4級アンモニウムイオンフッ化物をイオン交換水に溶解した溶液を徐々に滴下して攪拌し、固形成分を得る。用いる溶媒の種類及びその量、攪拌時の温度及び時間、ならびにその他の条件は公知技術に従って適宜調整することができる。得られた固形成分は、ろ取後に洗浄、乾燥してもよく、乾燥後に粉砕あるいは凍結乾燥してもよい。なお、第4級アンモニウムイオンフッ化物の調製方法としては、第4級アンモニウムイオン溶液にフッ化銀(AgF)を添加する方法や、第4級アンモニウムイオン溶液と、フッ化カリウム(KF)溶液又はフッ化ナトリウム(NaF)溶液とを混合する方法などが挙げられ、詳細は実施例に記載したとおりである。
次に、本発明の歯科用組成物について、説明する。
本発明の歯科用組成物中の抗菌性層状ケイ酸塩の含有量は、抗菌効果と脱灰防止効果の観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。また、上限は特に設定されず、例えば、歯科用組成物が抗菌性層状ケイ酸塩からなるものであってもよく、100質量%以下であればよい。
本発明の歯科用組成物においては、抗菌性層状ケイ酸塩以外に、その他の成分を本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。その他の成分としては、従来の歯科用材料にて用いられる原料であれば特に限定はなく、例えば、重合性単量体、重合開始剤、樹脂、フィラー、重合禁止剤、酸化防止剤、顔料、染料、香味剤、紫外線吸収剤、有機溶媒、粘度調整剤、緩衝剤、研磨剤等を用いることができる。また、本発明の抗菌性層状ケイ酸塩と同様に、抗菌性や脱灰防止効果を示す成分や他の薬効を示す成分、防カビ剤なども用いることができる。
例えば、義歯床用樹脂を更に含有する場合、抗菌性層状ケイ酸塩の含有量は、義歯床用樹脂100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、0.01質量部以上がより好ましく、0.1質量部以上が更に好ましく、30質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、3質量部以下が更に好ましい。
本発明の歯科用組成物は、本発明の抗菌性層状ケイ酸塩を含有するのであれば、特に限定なく調製することができる。既成の歯科用組成物に対して本発明の抗菌性層状ケイ酸塩を調製時又は調製後に添加してもよく、添加時期や添加方法については特に限定されるものではない。例えば、抗菌性層状ケイ酸塩と樹脂、さらに必要により、その他の添加剤を含有する原料を公知の混合機を用いて混合練合して調製することができ、公知技術に従って更に成形して調製することができる。
得られた歯科用組成物は、例えば、義歯用材料、歯科修復材料の各種歯科用材料の原材料、及び歯科用セメントとして好適に用いることができる。具体的には、人工歯、義歯床用材料、歯科充填用樹脂材料(歯科充填用レジン)、歯冠修復用樹脂材料、歯科用接着材、歯科用セメント、歯科用印象材等が挙げられる。義歯床用材料としては、義歯床用樹脂材料、硬質義歯裏装材料、軟質義歯裏装材料、粘膜調整材料、義歯修復用樹脂材料を例示することができる。また、歯科充填用レジンとしては、歯科充填用複合樹脂材料、歯科充填用低粘度樹脂材料、歯科仮封用樹脂材料、歯科用コーティング樹脂材料、及び支台築造用複合樹脂材料が例示され、歯冠修復用樹脂材料としては、歯冠修復用硬質レジン材料を例示することができる。歯科用セメントとしては、接着、合着、裏装、充填、仮封等に用いる歯科用グラスアイオノマーセメント、歯科用レジンモディファイドグラスアイオノマーセメント、及び歯科用レジンセメントを例示することができる。歯科用印象材としては、寒天印象材、アルジーネート印象材、シリコーン印象材等を例示することができる。また、これらの形状は特に限定されず、公知の歯科用材料の形状とすることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
フッ化セチルピリジニウム(CPF)は市販されていない。そこで、市販の塩化セチルピリジニウム(CPC)一水和物(和光純薬社製)を用いて、CPFに変換する2つの方法を検討した。
調製例1:フッ化セチルピリジニウム(CPF)溶液の調製1
1つ目の方法は、CPC・H2Oの溶解度の温度依存性を利用するCPFの調製方法である。CPC・H2Oは、25℃以上の水には容易に溶けるが、10℃以下ではほとんど溶解しない。そこで、CPC・H2O(4mmol)とモル濃度が10倍のフッ化ナトリウム(NaF)(40mmol)を約35℃に加温した80mLの蒸留水に添加し溶解した後、氷水中で約0℃に冷却して析出物を生成させ、この析出物を遠心分離で回収した(図1)。さらに、回収物に氷水を加え洗浄した後、40℃で3日間乾燥した。回収サンプルを室温で蒸留水に溶解し、溶液中の成分を分析した(表1)。陽イオンのCPおよびNa濃度は、それぞれ紫外可視分光法および原子吸光分光法により測定した。陰イオンのFおよびCl濃度は、イオンクロマトグラフィーにより測定した。陰イオンのFとClの濃度比は38:62であり、陽イオンでは98%以上がCP(セチルピリジニウム)であることから、回収サンプルは、CPFのモル分率が38%、CPCのモル分率が62%となる混合物であることがわかった。CPCの約40%をCPFに変換できたのは、CPC中のClに対して10倍のモル量のFを溶解させたことにより、析出する際にClイオンの一部がFイオンに置換されたと考えられる。
Figure 0007181580000001
調製例2:フッ化セチルピリジニウム(CPF)溶液の調製2
2つ目の方法は、フッ化銀(AgF)と塩化銀(AgCl)の溶解度の差を利用したCPF溶液の調製方法である。AgFの溶解度は高いが、塩化銀(AgCl)の溶解度は極めて低い。そこで、CPC溶液(0.1mol/L)にCPCと同じモル量のAgFを添加した。その結果、即座に白濁し析出物が形成された(図2)。これは、溶解度が極めて低いAgClが生成したためである。遠心分離で回収した溶液の成分分析結果を表2に示す。陽イオンのCPおよびAg濃度は、それぞれ紫外可視分光法および原子吸光分光法により測定した。陰イオンのFおよびCl濃度は、イオンクロマトグラフィーにより測定した。分析方法が異なるため、陽イオンと陰イオンのマスバランスに差があるものの、Agイオンは陽イオン全体の0.2%以下、Clイオンは2.8%以下であった。したがって、CPF溶液の純度は97%以上であると考えられる。これらの結果より、高純度のCPF溶液の調製方法としては、CPC溶液にCPCと同じモル量のAgFを添加する方法が好適であることがわかった。
Figure 0007181580000002
調製例3:フッ化ベンザルコニウム(Benzalkonium-F)溶液の調製
CPCに代えて塩化ベンザルコニウム(Benzalkonium-Cl)を用いた以外は調製例2と同様にしてフッ化ベンザルコニウム(Benzalkonium-F)溶液を調製した。
調製例4:フッ化ベンゼトニウム(Benzethonium-F)溶液の調製
CPCに代えて塩化ベンゼトニウム(Benzethonium-Cl)を用いた以外は調製例2と同様にしてフッ化ベンゼトニウム(Benzethonium-F)溶液を調製した。
実施例1~4:フッ化セチルピリジニウム担持モンモリロナイト(CPF-Mont)の調製
Na型モンモリロナイト懸濁液に調製例2で得られたCPF溶液を添加して室温で24時間撹拌し、モンモリロナイト層間へのCPF担持を試みた。反応後のサンプルはメンブランフィルターでろ過・水洗して回収した後、40℃で乾燥した。CPF溶液の添加量は、CPF溶液中のCP+のモル量がNa型モンモリロナイトの陽イオン交換容量(CEC、1.15mmol/g)の1倍(実施例1)、3倍(実施例2)、5倍(実施例3)、10倍(実施例4)の条件(CP+/CEC=1~10)で反応させた。CP/CEC =10の条件では、反応溶液を60℃に加温して行った。合成サンプルを乳鉢で粉砕した写真を図3に示す。合成サンプルの色は薄い茶色に変化した。また、反応時のCP/CEC比が高いほど濃く着色した。また、合成サンプルの結晶構造を粉末エックス線回折法で調べた結果を図4に示す。前駆体となるNa型モンモリロナイトの底面間隔に対するピークが7.4°に現れるのに対して、CP+/CEC=1~5で合成したサンプルでは4.3°、CP+/CEC=10で合成したサンプルでは2.2°に現れた。なお、4.3°のピークは、上からCP+/CEC =10(実施例4)、CP+/CEC =3(実施例2)、CP+/CEC =5(実施例3)、CP+/CEC =1(実施例1)である。ピークの低角度シフトは層間隔の拡張を示す。また、合成サンプルの熱分析において、110~1000℃範囲で重量が約40%減少し、多くの有機物が存在することが示唆された。これらの結果より、モンモリロナイトの層間にCPF分子が挿入されていると考えられる。また、反応温度60℃、CP+/CEC=10で合成したサンプルの方が層間隔の拡張が大きいことから、より多くのCPF分子が挿入されていると考えられる。
実施例5:フッ化ベンザルコニウム担持モンモリロナイト(F-Benzalkonium-Mont)の調製
調製例2で得られたCPF溶液に代えて調製例3で得られたBenzalkonium-F溶液を用いた以外は実施例3と同様にしてフッ化ベンザルコニウム担持モンモリロナイト(F-Benzalkonium-Mont)を調製した。
実施例6:フッ化ベンゼトニウム担持モンモリロナイト(F-Benzethonium-Mont)の調製
調製例2で得られたCPF溶液に代えて調製例4で得られたBenzethonium-F溶液を用いた以外は実施例3と同様にしてフッ化ベンゼトニウム担持モンモリロナイト(F-Benzethonium-Mont)を調製した。
試験例1:CPF-Montからフッ素およびセチルピリジニウムの溶出挙動
内径10mm、長さ100mmのガラスカラム内にCP+/CEC=10(実施例4)で合成したCPF-Mont 25mgと蒸留水 5mLを封入し、37℃の恒温振とう培養器内で振とうした。24時間振とう後、ガラスカラムの焼結フィルターを通して溶液のみ回収するとともに、新しい蒸留水5mLを加えて、引き続き溶出試験を行った。回収溶液中のFイオンおよびCPイオン濃度をイオンクロマトグラフィーおよび紫外可視分光法により測定した(図5)。図5中、左のバーがFイオン、右のバーがCPイオンであるが、FイオンとCPイオンは同時に溶出し、経過日数の増加に伴って溶出量が減少することがわかった。FイオンおよびCPイオンは、それぞれ歯の脱灰抑制および菌の増殖抑制に有効な成分である。歯質接着面の剥離時にCPF-Montが露出するように設計すれば、CPF-Montは歯の脱灰抑制および菌の増殖抑制のためのDDS 型層状フィラーになり得ると期待できる。
試験例2:CPF-MontのStreptococcus mutans(S.mutans)に対する抗菌性試験
実施例3のCPF-Mont0.003gを、3mlの1x105CFU/mlのS.mutans添加ブレインハートインフュージョン(BHI)培地に添加した。比較として、モンモリロナイト単体(Mont)、CPCを担持したCPC-Montも同様に準備した。24時間後に,それぞれ浸漬していた培地を100μl採取し、1.9mlのBIH培地に添加し、24時間後の濁度を測定した。その結果、CPF-Montは、CPC-Montと同等の抗菌性を示した(図6)。なお、図示しないが、実施例5のF-Benzalkonium-Mont、実施例6のF-Benzethonium-Montについても同様の抗菌性を示した。
試験例3:CPF-Mont添加歯質接着剤の作製と歯質接着界面の観察
歯質接着界面の観察として、ヒト抜去象牙質に、歯質接着剤(トライエスボンドNDクイック、クラレノリタケデンタル社製)に実施例3のCPF-Montを3質量%となるように添加して試作した3%CPF-Mont添加歯質接着剤を塗布し、光照射器で硬化させ、コンポジットレジンを築盛した。その後、グルタールアルデヒドで固定し、エタノール脱水後、レジン包埋した。サンプルは、ウルトラミクロトームで薄切切片を作製し、透過電子顕微鏡で観察した(図7)。界面は、はがれることなく強固に接着していた。CPF-Montの粒子も接着材層中に観察された。
本発明の抗菌性層状ケイ酸塩は、抗菌効果と脱灰防止効果を有するため、生体硬組織(歯、骨)用の抗菌剤などに使用することができる。

Claims (6)

  1. 層状ケイ酸塩が第4級アンモニウムイオンフッ化物を担持した、抗菌性層状ケイ酸塩であって、前記第4級アンモニウムイオンフッ化物が、フッ化セチルピリジニウム、フッ化ベンザルコニウム、及びフッ化ベンゼトニウムからなる群より選択される1種以上のフッ化物を含む、抗菌性層状ケイ酸塩。
  2. 前記層状ケイ酸塩が、モンモリロナイト、ヘクトライト、バイデライト、サポナイト、又はマイカである、請求項1記載の抗菌性層状ケイ酸塩。
  3. 請求項1又は2記載の抗菌性層状ケイ酸塩を含む、抗菌剤。
  4. 請求項1又は2記載の抗菌性層状ケイ酸塩を含む、歯科用組成物。
  5. 歯科用セメント、義歯用材料、又は歯科修復材料に用いられるための組成物である、請求項4記載の歯科用組成物。
  6. 第4級アンモニウムイオンフッ化物と層状ケイ酸塩とを溶媒中にて接触させる工程を含む抗菌性層状ケイ酸塩の製造方法であって、前記第4級アンモニウムイオンフッ化物が、第4級アンモニウムイオン塩化物溶液にフッ化銀を添加する工程を含む方法により調製されたものである、抗菌性層状ケイ酸塩の製造方法。
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