<第1実施形態>
以下、本発明の一実施形態に係るゲームシステムおよびゲームプログラムについて、図面を参照しつつ説明する。
[ハードウェア構成]
まず本発明の一実施形態に係るゲームシステム1の構成について説明する。図1は、当該ゲームシステム1を構成するゲーム装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、ゲームシステム1は、ゲーム装置2と、その外部装置としての一以上のコントローラ(操作部)31、モニタ(表示部)32、スピーカ33を備えている。
ゲーム装置2は、その動作を制御するコンピュータである制御部21を備える。制御部21は、例えばCPUである。制御部21には、メディアI/F部22、記憶部23、ネットワークI/F部24、無線通信制御部25、グラフィック処理部26およびオーディオ処理部27が、それぞれバス21aを介して接続されている。
メディアI/F部22は、ゲームを実行するためのゲームメディア34を装填可能なインターフェースである。ゲームメディア34は、例えばDVD-ROM等のディスク型記録媒体であり、その中にゲームの実行に必要なゲームプログラム34aおよびゲームデータ34bが記録されている。このゲームデータ34bには、ゲームを実行するために必要な各種データが含まれる。
記憶部23は、例えば、大容量記録媒体であるHDD、マスクROMまたはPROMなどの半導体メモリであるROM、および、DRAMまたはSRAMなどから成るRAMで構成される。記憶部23には、ゲームメディア34から読み込んだゲームプログラム34aおよびゲームデータ34b、並びにセーブデータ等が記録される。なお、本実施形態では、ゲーム起動時にゲームメディア34内の全てのゲームデータ34bを読み込まず、ゲームの進行状況(例えばゲームシーンの変わり目など)に応じて適宜必要となるゲームデータを読み込む。本発明の「記憶部」は、ゲーム装置2の記憶部23だけでなく、ゲームメディア34を含めたものとして解される。本明細書では、ゲームメディア34に記録された全ゲームデータと、記憶部23に適宜読み込まれるゲームデータを特に区別せず、「ゲームデータ34b」と表記する。
ネットワークI/F部24は、インターネットまたはLANなどの通信ネットワークNWに対してゲーム装置2を接続するインターフェースである。ゲーム装置2は、他のゲーム装置2およびサーバ装置3との間で通信ネットワークNWを介して互いに通信可能である。例えば、ゲーム装置2は、外部と通信しながらゲームを進行させる場合に、通信ネットワークNWを介して、他のゲーム装置2との間および/またはサーバ装置3との間でデータの送受信を行う。
無線通信制御部25は、ゲーム装置2に付属するコントローラ31との間で無線により接続され、該コントローラ31との間でデータの送受信が可能となっている。コントローラ31は、ユーザによる操作を受け付ける操作装置であり、例えば複数のキー(ボタン等)を備えている。コントローラ31がユーザにより操作されることにより、その操作に対応した操作情報が、無線通信制御部25を介してコントローラ31からゲーム装置2の制御部21に送られる。制御部21は、コントローラ31からの操作情報に基づきゲームを進行させる。
グラフィック処理部26は、制御部21の指示に従ってゲーム画像を動画形式で描画する。グラフィック処理部26によって描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてモニタ32に表示される。モニタ32は、ゲーム画像を表示する表示装置である。モニタ32は、例えば液晶ディスプレイである。
オーディオ処理部27は、制御部21の指示に従ってデジタルのゲーム音声を再生および合成する。また、オーディオ処理部27には、外部のスピーカ33と接続される。オーディオ処理部27により再生および合成されたゲーム音声は、音響出力装置としてのスピーカ33から外部へ出力される。なお、オーディオ処理部27には、スピーカ33に加えてまたは代わりに、外部のヘッドフォンなどに接続され得る。
[ゲーム概要]
本実施形態に係るゲームプログラム34aは、ゲーム装置2により実行されることにより、ユーザがコンピュータまたは他のユーザと対戦を行なう対戦型のコンピュータゲームを実現する。この種の対戦ゲームとして、スポーツ競技のルールに基づいてスポーツ競技を進行させるスポーツ競技ゲームが例示される。本実施形態では、スポーツ競技ゲームの一例として、サッカールールに基づいて進行するサッカーゲームが説明される。
このサッカーゲームでは、予め設定された複数のサッカーチームの中からユーザにより選択され操作される一のチームと、対戦相手チームとがサッカーの試合を行なう。サッカーチームごとに所属する選手キャラクタの特徴を示すパラメータ(スピード、スタミナなど)は異なる。また、このサッカーゲームでは、ゲーム開始時にプレイモードを、1プレイモードと2プレイモードとからユーザが選択可能である。1プレイモードでは、対戦相手チームの選手キャラクタはコンピュータにより制御され、2プレイモードでは、対戦相手チームの選手キャラクタは、ユーザが操作するコントローラ31とは別のコントローラ31に対する他のユーザの操作に基づいて制御される。なお、他のユーザが別のコントローラ31に対して操作することにより生成された操作情報は、ゲーム装置2に直接送られるものであってもよいし、ネットワークNWを介して他のゲーム装置2から送られるものであってもよい。
また、このサッカーゲームでは、互いに特徴の異なる複数の審判キャラクタが用意されている。ゲーム内のサッカーの試合を開始する際に、複数の審判キャラクタの中からその試合の審判キャラクタが選択される。審判キャラクタは、ユーザの操作により手動でまたはコンピュータにより自動で選択される。
[機能的構成]
図2は、ゲーム装置2の制御部21の機能的な構成を示すブロック図である。ゲーム装置2の制御部21は、ゲームプログラム34aを実行することにより、仮想空間生成手段40、選手キャラクタ制御手段41、審判キャラクタ制御手段42、ゲーム進行手段43、事象発生判別手段44、視野領域移動手段45、視野領域変更手段46、審判判定決定手段48、誤判定確率変更手段49、イベント発生手段50、およびイベント確率変更手段51として機能する。
仮想空間生成手段40は、スポーツ競技であるサッカーの試合が実施される仮想空間を生成する。図3は、仮想空間生成手段40により生成される仮想空間60の平面図である。仮想空間60は、互いに直交する3つの軸が設定された三次元空間である。仮想空間60には、長辺である2つのタッチライン62と短辺である2つのゴールライン63とにより囲まれたサッカーの試合を行うための長方形の平面であるフィールド61が配置される。また、フィールド61上には、現実世界のサッカーのフィールドと同様に、センターライン(ハーフウェイライン)64、センターサークル65、ペナルティエリア66、ゴールエリア67、ゴール68などが配置されている。
仮想空間60のフィールド61上には、サッカーボールオブジェクト(以下、単に「ボール」と称する)70、およびサッカーの試合に出場する複数の選手キャラクタが配置される。複数の選手キャラクタには、ユーザにより操作されるユーザチームの11体の選手キャラクタ71、および、対戦相手チームの11体の選手キャラクタ72が含まれる。なお、図3では、図の簡略化のため、ユーザチームの選手キャラクタ71と対戦相手チームの選手キャラクタ72とを1体ずつ示す。また、仮想空間60には、現実世界のサッカーの試合の主審を模した1体の審判キャラクタ73が配置されている。なお、図3には、審判キャラクタ73に対して設定された視野領域Rが示されている。視野領域Rについて詳細は後述する。
また、仮想空間60には、その仮想空間60を撮像する仮想カメラCが配置されている。仮想カメラCで撮像された領域(撮像領域)は、ゲーム画面としてモニタ32に表示される。モニタ32に表示される撮像領域は、仮想カメラCの動作に応じて変化する。仮想空間60内での仮想カメラCの動作(位置変更、姿勢変更、ズームなど)に応じたフィールド61の一部が、ゲーム画面としてモニタ32に表示される。仮想カメラCは、例えばフィールド61上を移動するボール70の位置や選手キャラクタ71,72の位置などに応じて、仮想空間60内で移動したり姿勢を変えたりズームしたりする。
図2に戻って、選手キャラクタ制御手段41は、ユーザによるコントローラ31への操作に応じて、ユーザチームの選手キャラクタ71の動作を制御する。例えば、選手キャラクタ制御手段41は、ユーザチームの11体の選手キャラクタ71のうちの一の選手キャラクタ71の動作をユーザの操作により制御し、残りの選手キャラクタ71の動作をゲームプログラム34aに基づきコンピュータにより制御する。ユーザにより動作を制御される選手キャラクタ71は、ゲームの進行状況に応じて自動的にまたはユーザの操作により選択される。例えばボール70がユーザチームに保持されている場合には、ボール70を保持している一の選手キャラクタ71がユーザにより動作を制御される選手キャラクタ71として選択される。例えばボール70が対戦相手チームに保持されている場合やどちらのチームにも保持されていない場合には、ボール70に最も近い選手キャラクタ71がユーザにより動作を制御される選手キャラクタ71として選択される。
また、選手キャラクタ制御手段41は、対戦相手チームの選手キャラクタ72の動作を制御する。1プレイモードでは、選手キャラクタ制御手段41は、対戦相手チームの11体の選手キャラクタ72の動作を、ゲームプログラム34aに基づきコンピュータにより制御する。2プレイモードでは、選手キャラクタ制御手段41は、対戦相手チームの11体の選手キャラクタ72のうちの一の選手キャラクタ72の動作を、他ユーザが操作するコントローラ31からの操作情報に基づき制御し、残りの選手キャラクタ72の動作をゲームプログラム34aに基づきコンピュータにより制御する。
審判キャラクタ制御手段42は、審判キャラクタ73の動作を制御する。審判キャラクタ制御手段42は、フィールド61上のボール70の位置などに応じて、1体の審判キャラクタ73をフィールド61内で移動させる。
ゲーム進行手段43は、ゲーム内のサッカーの試合を進行させる。例えばゲーム進行手段43は、競技時間の管理(例えば試合時間の停止、停止したあとの試合の再開、アディショナルタイムの決定など)、ボール70がフィールド61外に出たか否かの判定、フィールド61内の選手キャラクタ71とフィールド61外の選手キャラクタ71との交代などを、試合の進行状況やユーザによるコントローラ31に対する操作に応じて実行する。
事象発生判別手段44は、競技の規則に則って判定されるべき所定の事象が選手キャラクタ71,72の動作に起因して競技中に発生したか否かを判別する。事象発生判別手段44により事象が発生したか否かが判別される領域(判別対象領域)は、フィールド61内である。事象発生判別手段44により判別される事象は、選手キャラクタ71,72の動作に起因して発生し、主に審判の目視判定に関連する事象である。このサッカーゲームでは、事象発生判別手段44により判別される事象は、試合中に発生した選手キャラクタ71,72の反則行為である。例えば、事象発生判別手段44は、ユーザチームの選手キャラクタ71および対戦相手チームの選手キャラクタ72の一方が他方に対して行ったタックルが反則と判定されるべき所定の条件を満たすか否かや、ボールBが選手キャラクタ71,72の手に当たったか(つまりハンドか否か)などを判別する。
なお、上述したゲーム進行手段43は、上述の所定の事象が競技中に発生した場合に、その事象に対する競技ルールに則った審判キャラクタ73の判定が下されたものとして対戦ゲームを進行させたり、事象に対する競技ルールに則った審判キャラクタ73の判定が下されなかったものとして対戦ゲームを進行させたりする。所定の事象が発生したときのゲームの進行について、詳細は後述する。
視野領域移動手段45は、審判キャラクタ73に対して設定された視野領域Rを、審判キャラクタ73の動作(フィールド61上での移動や顔の向きの変更など)に応じて仮想空間60内で移動させる。
ここで、視野領域Rについて図3~5を参照しながら説明する。視野領域Rは、審判キャラクタ73の仮想的な視野範囲を示す領域である。このサッカーゲームでは、事象発生判別手段44により判別対象領域であるフィールド61内で試合中に反則行為が発生したと判別されたときであっても、その反則行為の発生位置が審判キャラクタ73の視野領域R外である場合には、その反則行為が審判キャラクタ73に見えなかったものとして取り扱われる。図3に示すように、例えば視野領域Rは、審判キャラクタ73の頭部オブジェクトの前方(つまり審判キャラクタ73の視線方向)に広がる二次元または三次元の領域である。例えば視野領域Rの形状は、審判キャラクタ73を中心としてその審判キャラクタ73の前方に放射状に広がる平面視して(フィールド61に直交する方向から見て)扇形の領域である。
図4は、審判キャラクタ73ごとに設定される特徴パラメータの一例を示す。上述したように、このサッカーゲームでは、互いに特徴の異なる複数の審判キャラクタ73が用意されており、サッカーの試合を開始する際に複数の審判キャラクタ73の中からその試合の審判として登場する審判キャラクタ73が選択される。ゲームデータ34bには、複数の審判キャラクタ73の特徴を示す特徴パラメータが個別に記憶されている。特徴パラメータには、視野領域パラメータ、誤判定確率値および体力値が含まれる。
視野領域パラメータは、視野領域Rの大きさや形状を規定するパラメータである。ゲーム内のサッカーの試合が開始される際、審判キャラクタX,Y,Zのうちのいずれかが、開始される試合の審判キャラクタ73として選択される。視野領域Rは、選択された審判キャラクタ73に対応する視野領域パラメータに基づき設定される。図4では、視野領域パラメータの一例として、平面視扇形状を呈する視野領域Rの半径と中心角が示されている。
誤判定確率値は、審判キャラクタ73の視野領域R内で発生した反則行為に対して、審判キャラクタ73が正当な判定を下さない確率、例えば本実施形態では反則行為を審判キャラクタ73が誤って見落してしまう確率を示すものである。つまり、このサッカーゲームでは、反則行為の発生位置が審判キャラクタ73の視野領域R内であるときであっても、誤判定確率値に基づいた確率で、反則行為に対する正当な判定が行われない場合が発生する。例えば、反則行為の発生位置が視野領域R内であるときであっても、一定の確率でその反則行為が審判キャラクタ73に見落されたものとして取り扱われる。
図3に示すように、本実施形態では、視野領域Rは、第1視野領域R1と第2視野領域R2とに区分けされている。第1視野領域R1は、審判キャラクタ73の視線Gの周りに位置し、第2視野領域R2は、第1視野領域R1よりも審判キャラクタ73の視線Gから遠い位置に位置する。具体的に、視野領域Rのうち、審判キャラクタ73の視線Gに対する角度が所定の角度以内の領域を第1視野領域R1として設定し、審判キャラクタ73の視線Gに対する角度が所定の角度を超えた領域を第2視野領域R2として設定されている。これら第1視野領域R1と第2視野領域R2には、それぞれ、互いに異なる誤判定確率である第1確率値と第2確率値とが設定されている。第1確率値と第2確率値とは、視線Gから遠い第2視野領域R2内で発生した反則行為が、第1視野領域R1内で発生した反則行為よりも、審判キャラクタ73により正当な判定が下されない確率が高くなるように設定されている。
図4に示す体力値は、審判キャラクタ73の体力を示す値である。ゲーム内のサッカーの試合が開始される際、審判キャラクタX,Y,Zの中から選択された審判キャラクタ73に対して、図4に示したような、選択された審判キャラクタ73に対応する予め設定された体力値(初期体力値)が設定される。体力値は、予め定めた条件に従って競技中に減少する。例えば、体力値は、予め設定された初期体力値から競技時間の経過とともに一定の割合で減少する。また、例えば、体力値は、試合中の審判キャラクタ73の総移動距離が増加するにつれて減少する。また、例えば、体力値は、センターライン64を横切る回数が増加するにつれて減少する。体力値は、後述する視野領域変更手段46および誤判定確率変更手段49により利用される。
図5は、ゲーム画面Dに表示される選手キャラクタ71,72と審判キャラクタ73の視野領域Rとの関係を示す図である。図5のゲーム画面Dでは、ユーザチームの選手キャラクタ71のうちの一の選手キャラクタ71aが、対戦相手チームの選手キャラクタ72に対して反則行為を行った状況が示されている。ゲーム画面Dには、反則行為を行った選手キャラクタ71aとは別の選手キャラクタ71bが示される。選手キャラクタ71bは、反則行為の発生位置Fと審判キャラクタ73との間に位置している。また、ゲーム画面Dには、審判キャラクタ73および視野領域Rも示される。なお、実際のゲーム画面Dでは、視野領域Rはユーザに視認可能に表示されないが、図5では視野領域Rと選手キャラクタ71,72との関係を説明するために示している。
視野領域Rは、選手キャラクタ71,72により審判キャラクタ73にとって死角となる領域を含まないように設定される。図5に示す反則行為が発生した状況において、選手キャラクタ71bによって、反則行為は、審判キャラクタ73にとって死角で発生している。このため、この反則行為の発生位置Fは、視野領域R外にあると判別される。反則行為の発生位置Fが審判キャラクタ73にとって死角となる領域にあるか否かは、例えば、反則行為発生位置Fと審判キャラクタ73に対応する所定の点とを結ぶ線分が、(例えば反則行為を行ったおよび行われた選手キャラクタを除く)視野領域R内に位置する選手キャラクタ71,72を通過するか否かにより判定される。なお、反則行為などの所定の事象の発生位置が視野領域R内か外かは、ゲーム進行手段43により判定される。
図2に戻って、視野領域変更手段46は、視野領域パラメータを変更して、視野領域Rのサイズおよび形状の少なくとも一方を変化させる。例えば、視野領域変更手段46は、競技時間が経過するにつれて、視野領域パラメータを、図4に示したような予め設定された初期の値から徐々にまたは段階的に減少させる。あるいは、例えば、視野領域変更手段46は、競技中の審判キャラクタ73の体力値の減少に応じて、視野領域パラメータを徐々にまたは段階的に減少させる。
上述したゲーム進行手段43は、審判判定表示手段43aを含む。ゲーム進行手段43は、事象の発生位置が視野領域R内であるときは、事象に対する判定が下されたものとして対戦ゲームを進行させる。本実施形態では、審判判定表示手段43aは、反則行為の発生位置が視野領域R内であるときは、審判キャラクタ73自身の判断により反則行為に対する判定が下されることを示す通常判定動画をモニタ32に表示させる。また、ゲーム進行手段43は、事象の発生位置が視野領域R外であるときは、基本的には、事象に対する判定が下されなかったものとして対戦ゲームを進行させる。具体的には、審判判定表示手段43aは、反則行為の発生位置が視野領域R外であるときは、通常判定動画をモニタ32に表示させない。このように、ゲーム進行手段43は、基本的には、事象の発生位置が視野領域R内であるときのみ、事象に対する判定を外部に出力して対戦ゲームを進行させ、事象の発生位置が視野領域R外であるときは、事象に対する判定を外部に出力せず対戦ゲームを進行させる。
なお、本件明細書において、「事象の発生位置が視野領域R外であるときは、事象に対する判定を外部に出力せず対戦ゲームを進行させる」とは、視野領域R外で発生した事象がユーザに知覚されない態様でゲームを進行させることを意味する。つまり、「事象の発生位置が視野領域R外であるときは、事象に対する判定を外部に出力せず対戦ゲームを進行させる」ことには、事象の発生位置が視野領域R外であるときは、コンピュータ内部で事象に対する判定が行われずにゲームを進行させるということ、および、事象の発生位置が視野領域R外であり、コンピュータ内部で事象に対する判定が行われたときであっても、コンピュータ内部での判定内容について出力装置(モニタ32やスピーカ33など)を介してユーザに知覚不能な態様で対戦ゲームを進行させることが含まれる。
また、後述するように、本ゲームでは、事象の発生位置が視野領域R外であるときであっても、イベント判定手段50がイベントを発生させることに決定した場合には、例外的に、事象に対する判定が外部に出力されて対戦ゲームを進行される。
また、ゲーム進行手段43は、反則行為の発生位置が視野領域R内であるときであっても、反則行為の発生位置が視野領域Rのうち撮像領域と重ならない領域内であるときは、事象に対する判定が下されなかったものとして前記対戦ゲームを進行させる。具体的には、審判判定表示手段43aは、反則行為の発生位置が視野領域R内であるときであっても、反則行為の発生位置が視野領域Rのうち撮像領域と重ならない領域内であるときは、通常判定動画をモニタ32に表示させない。つまり、ゲーム画面Dを通じてユーザに見えた反則行為のみが通常判定動画を表示させる対象となる。
審判判定決定手段48は、視野領域R内において反則行為が発生した場合に、審判キャラクタ73が反則行為に対して正当な判定を下すものとして進行させるか否かを決定する。審判判定決定手段48は、上述した所定の誤判定確率値に基づいて、審判キャラクタ73が反則行為に対して正当な判定を下すものとして進行させるか否かを決定する。
誤判定確率変更手段49は、競技中に誤判定確率値を変化させる。例えば、誤判定確率変更手段49は、競技時間が経過するにつれて、誤判定確率値を予め定めた値から徐々にまたは段階的に大きくする。あるいは、例えば、誤判定確率変更手段49は、審判キャラクタ73に対して設定された体力値が減少するにつれて審判キャラクタ73が正当な判定を下さない確率を上昇させるように、誤判定確率値を徐々にまたは段階的に変更する。あるいは、例えば誤判定確率変更手段49は、ゲームの進行状況に応じて誤判定確率値を変化させる。
イベント発生手段50は、下記(i),(ii)の場合に、所定のイベント確率値に基づいて、反則行為に対してビデオ検証イベントを発生させるか否かを決定する。
(i)視野領域R外において反則行為が発生した場合
(ii)審判判定決定手段48により審判キャラクタ73が反則行為に対して正当な判定を下さないものとして進行させることを決定した場合
なお、(i),(ii)の場合で、イベント確率値は同じであってもよいし、異なってもよい。
また、イベント発生手段50は、ビデオ検証イベントを発生させることに決定した場合、ビデオ検証イベントとして、反則行為に対するビデオ判定を模した動画(以下、ビデオ判定動画)をモニタ32に表示させる。このサッカーゲームでは、ビデオ検証イベントは、現実のサッカーの試合でも導入されているビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)による事象への介入を演出するイベントである。ビデオ判定動画について、詳細は後述する。
イベント確率変更手段51は、競技の進行状況に応じてイベント確率値を変化させる。例えば、イベント確率変更手段51は、対戦する双方のチームに点が入らない硬直状態が一定時間継続した場合に、イベント確率値を予め設定された値から増大させる。これによりゲームの盛り上がりに欠けるような試合展開である場合に、ビデオ検証イベントの発生確率を上げてゲームをプレイしているユーザやゲームを見ている観客に飽きを感じさせないようにすることができる。
次に、競技中に反則行為が発生した場合の審判判定に関連する審判判定表示処理の流れについて、図6を参照しながら説明する。
ゲーム内のサッカーの試合が開始すると、事象発生判別手段44は、反則行為が選手キャラクタ71,72の動作に起因して発生したか否かを判別する(ステップS11)。
反則行為が発生したと判別された場合(ステップS11:Yes)、審判判定表示手段43aは、反則行為の発生位置が視野領域R内であるか否かを判別する(ステップS12)。
反則行為の発生位置が視野領域R内であると判別された場合(ステップS12:Yes)、審判判定決定手段48は、所定の誤判定確率値に基づいて、審判キャラクタ73が反則行為に対して正当な判定を下すものとして進行させるか否かを決定する(ステップS13)。すなわち、ステップS13で、その対戦において、審判キャラクタ73が対象となる事象に対してどのように判定するかが決定される。
審判キャラクタ73が反則行為に対して正当な判定を下すものとして進行させることに決定された場合(ステップS13:Yes)、審判判定表示手段43aは、事象(反則行為)に対する判定が見かけ上審判キャラクタ73(の判断)によって下されたことを示す通常判定動画をモニタ32に表示させる(ステップS14)。すなわち、ステップS11で反則行為が発生した直後に、ステップS14で試合は中断され、反則行為に対して正当な判定が下される。通常判定動画が終了した後、試合は再開される。
ステップS12で反則行為の発生位置が視野領域R外であると判別された場合(ステップS12:No)、および、ステップS13で審判キャラクタ73が反則行為に対して正当な判定を下さない(本例では反則行為を見落す)ものとして進行させることに決定された場合(ステップS13:No)、イベント発生手段50は、所定のイベント確率値に基づいて、反則行為に対してビデオ検証イベントを発生させるか否かを決定する(ステップS15)。
ビデオ検証イベントを発生させることに決定された場合(ステップS15:Yes)、イベント発生手段50は、ビデオ検証イベントを発生させるイベント処理を実行する(ステップS16)。
図7は、イベント処理フローの一例を示す図である。イベント処理では、まずイベント発生手段50が、反則行為が発生した時点からの経過時間をカウントし、経過時間が所定の時間に到達したか否かを監視する(ステップS21)。経過時間が所定の時間に到達するまでは、反則行為発生後も試合時間は停止されることなく、サッカーの試合は進行する。反則行為発生時点から経過時間が所定の時間に到達するまでの間、試合中のサッカープレイ映像を表示するゲーム画面Dの片隅に、例えば、頭部に付けたヘッドセットを介してビデオアシスタントレフェリーから助言を聞いている審判キャラクタ73の映像など、ビデオ判定の発生をユーザに期待させる映像が表示されてもよい。
反則行為発生時点から所定の時間経過したと判定された場合(ステップS21:Yes)、イベント発生手段50は、試合は中断され、反則行為に対するビデオ判定動画をモニタ32に表示させる。
図8は、ゲーム画面Dに表示されたビデオ判定動画の画像の一例である。例えば、ビデオ判定動画は、審判キャラクタ73が反則行為の映像を確認するためにフィールド61から出るシーンの映像や、図8に示すような反則行為の有無の確認のために審判キャラクタ73が見ているであろう反則行為のシーンの映像などを含む。反則行為の映像をゲーム画面Dに表示する際には、図8に示すように、ゲーム画面Dの片隅に、例えば、審判キャラクタ73が反則行為の映像を確認している映像を表示する小窓Wが含まれてもよい。
こうして、ステップS11で反則行為が発生した時点からしばらくして、ステップS22で試合は中断され、反則行為に対して正当な判定が下される。ビデオ判定動画が終了した後、試合は再開される。
ステップS15でビデオ検証イベントを発生させないことに決定された場合(ステップS15:No)、イベント発生手段50は、ビデオ検証イベントを発生させない。すなわち、ゲーム進行手段43は、反則行為はなかったものとしてサッカーの試合を進行させる。
以上をまとめると、本実施形態に係るゲームプログラム34aは、コンピュータを、対戦ゲームにおける対戦(本例ではサッカーの試合)が実施される仮想空間60を生成する仮想空間生成手段40、ユーザによる操作部(コントローラ31)への操作に応じて競技に参加する選手キャラクタ71,72の動作を制御する選手キャラクタ制御手段41、対戦の審判キャラクタ73の動作を制御する審判キャラクタ制御手段42、審判キャラクタ73に対して設定された視野領域Rを、審判キャラクタ73の動作に応じて仮想空間60内で移動させる視野領域移動手段45、および、対戦において所定の事象(反則行為)が選手キャラクタ71,72の動作に起因して対戦中に発生した場合に、事象の発生位置が視野領域R内であるときは、事象に対する判定が下されたものとして対戦ゲームを進行させ、事象の発生位置が視野領域R外であるときは、事象に対する判定が下されなかったものとして対戦ゲームを進行させるゲーム進行手段43、として機能させる。
本実施形態のゲームプログラム34aによれば、審判キャラクタ73に対して設定された視野領域R内において事象が発生した場合には、事象に対する判定が下されたものとして対戦ゲームが進行し、視野領域R外において事象が発生した場合には、事象に対する判定が下されなかったものとして対戦ゲームが進行する。このため、どの位置で発生した事象に対しても正確に判定がされる従来の対戦ゲームの審判態様と現実世界の審判判定の態様との乖離を是正でき、ゲーム内の対戦の審判判定の態様を現実世界の審判判定の態様により近づけることができる。
(変形例1)
事象発生判別手段44により判別される事象は、反則行為だけでなく、反則行為に近いが反則行為ではない行為が含まれてもよい。あるいは、例えば、事象発生判別手段44は、試合に参加する選手キャラクタ71,72のいずれかが、反則行為の発生につながりやすい選手キャラクタ71,72の所定の動作を行ったことを判別してもよい。すなわち、事象は、例えばボディコンタクト、スライディングタックルなどの選手キャラクタ71,72の所定の動作であってもよい。事象発生判別手段44により判別される事象が反則行為に限定されない場合、図6のステップS11では、反則行為でない事象に対しても発生したか否かが判別され、またS15では、反則行為でない事象に対してもビデオ判定が生じ得る。
図9は、変形例1に係るイベント処理フローを示す図である。図9に示すイベント処理では、事象に対して一時的に下された判定が、ビデオ判定によって覆ったり覆らなかったりする処理となっている。まずイベント発生手段50は、事象に対して判定が下されることを示す第1判定動画をモニタ32に表示させる(ステップS31)。そして、第1判定動画が表示された後、イベント発生手段50は、ビデオ判定動画として、第1判定動画で示された判定を変更するまたは維持する第2判定動画をモニタ32に表示させる(ステップS32)。
変形例1に係るイベント処理フローの一例について説明する。例えばボールBがゴール68に入った場合に、変形例1に係るイベント処理フローでは、まず一方のチームに得点が入ったことを示す第1判定動画がモニタ32に表示される。その後に、審判キャラクタ73がその得点シーンで反則行為(例えばサッカールールにおけるオフサイドやハンドなどを含む)があったか否かをビデオ判定することを示す第2判定動画がモニタ32に表示される。第2判定動画では、ビデオ判定の結果、チームの得点を無効とする、あるいは認めることも示される。このように、変形例1に係るイベント処理では、ビデオ判定によりビデオ判定の前の判定結果が覆ったり覆らなかったりする。このため、イベントが発生した場合にユーザに、どのような判定結果が下されるかを予測させたり、所望の判定結果が下されることを期待させたりして、イベント発生の面白みをユーザにより実感させることができる。
(変形例2)
図10は、変形例2に係る審判判定表示処理を示す図である。変形例2に係る審判判定表示処理は、事象発生判別手段44により判別される事象が反則行為に限定されない点で、図6に示した審判判定表示処理と異なる。また、変形例2に係る審判判定表示処理では、イベント発生手段50によるビデオ検証イベントを発生させるか否かの決定が、事象発生位置が視野領域R外であると判別された場合、および、審判キャラクタ73が事象に対して正当な判定を下さないことに決定された場合に限られない。つまり、変形例2では、事象が発生した場合には漏れなくイベント発生手段50によるビデオ検証イベントを発生させるか否かの決定が実行される。
この審判判定表示処理では、ゲーム内のサッカーの試合が開始すると、事象発生判別手段44は、所定の事象が選手キャラクタ71,72の動作に起因して発生したか否かを判別する(ステップS41)。
事象が発生したと判別された場合(ステップS41:Yes)、審判判定表示手段43aは、事象の発生位置が視野領域R内であるか否かを判別する(ステップS42)。
事象の発生位置が視野領域R内であると判別された場合(ステップS42:Yes)、審判判定決定手段48は、所定の誤判定確率値に基づいて、審判キャラクタ73が事象に対して正当な判定を下すものとして進行させるか否かを決定する(ステップS43)。すなわち、ステップS43で、その対戦において、審判キャラクタ73に対象となる事象に対してどのような判定を下させるかが決定される。逆に、事象の発生位置が視野領域R外であると判別された場合には(ステップS42:No)、審判キャラクタ73に対象となる事象に対してどのような判定を下させるかの決定は行われない。
ステップS43で、審判キャラクタ73が事象に対して正当な判定を下すものとして進行させることに決定された場合(ステップS44:Yes)、ゲーム進行手段43は、事象に対して正当な判定が下されたものとして試合を進行させる。具体的には、審判判定表示手段43aが、事象に対して正当な判定が審判キャラクタ73によって下されたことを示す通常判定動画をモニタ32に表示させる(ステップS45)。
また、ステップS43で、審判キャラクタ73が事象に対して正当な判定を下さないものとして進行させることに決定された場合(ステップS44:Yes)、ゲーム進行手段43は、事象に対して正当な判定が下されないものとして試合を進行させる。具体的には、審判判定表示手段43aが、事象に対して正当な判定が審判キャラクタ73によって下されないことを示す通常判定動画、言い換えれば不当な判定を示す通常判定動画をモニタ32に表示させる(ステップS46)。例えば不当な判定を示す通常判定動画には、発生した事象が反則行為であるにもかかわらず、試合が中断されることなく続行されているゲームプレイ画面も含まれる。従って、事象の発生位置が視野領域R内であるときであっても、審判キャラクタ73によって下されることに決定された判定が必ずしもユーザに知覚可能に外部出力されるとは限らない。
通常判定動画が表示されたあと、あるいは、ステップS42で事象の発生位置が視野領域R外であると判別された場合(ステップS42:No)、イベント発生手段50は、所定のイベント確率値に基づいて、事象に対してビデオ検証イベントを発生させるか否かを決定する(ステップS47)。
ビデオ検証イベントを発生させることに決定された場合(ステップS47:Yes)、イベント発生手段50は、ビデオ検証イベントを発生させるイベント処理を実行する(ステップS48)。具体的には、イベント発生手段50は、事象に対するビデオ判定動画をモニタ32に表示させる。ビデオ判定動画では、事象が視野領域内か否かや審判キャラクタ73が正当な判定を下すか否かに関係なく、事象に対する正当な結果が示される。つまり、例えば、ステップS45で正当な判定を示す通常判定動画が表示された場合、ビデオ判定動画で示される判定結果は、通常判定動画で示された判定結果と同じである。また、例えば、ステップS46で不当な判定を示す通常判定動画が表示された場合、ビデオ判定動画で示される判定結果は、通常判定動画で示された判定結果と異なる。
また、ステップS47でビデオ検証イベントを発生させないことに決定された場合(ステップS47:No)、イベント発生手段50は、ビデオ検証イベントを発生させない。すなわち、ゲーム進行手段43は、事象はなかったものとしてサッカーの試合を進行させる。
この変形例2でも、ビデオ判定によりビデオ判定の前の判定結果(通常判定動画で示された結果)が覆ったり覆らなかったりする。このため、イベントが発生した場合にユーザに、どのような判定結果が下されるかを予測させたり、所望の判定結果が下されることを期待させたりして、イベント発生の面白みをユーザにより実感させることができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るゲームプログラムおよびゲームシステムについて、図11および図12を参照しつつ説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と重複する説明は省略する。
図11は、第2実施形態において仮想空間の模式的平面図である。第2実施形態では、仮想空間60に、主審を模した審判キャラクタ73(主審キャラクタ)とは別に、現実世界のサッカーの試合の副審を模した2体の審判キャラクタ74(副審キャラクタ)が配置される。審判キャラクタ制御手段42は、審判キャラクタ73だけでなく審判キャラクタ74の動作も制御する。審判キャラクタ制御手段42は、フィールド61上のボール70の位置などに応じて、2体の審判キャラクタ74を、審判キャラクタ74ごとにフィールド61外に規定された副審移動範囲75内で移動させる。2つの副審移動範囲75の一方は、フィールド61外における一のゴールライン63から一のタッチライン62に沿ってセンターライン64まで延びる範囲であり、他方の副審移動範囲75は、フィールド61外における他方のゴールライン63から他方のタッチライン62に沿ってセンターライン64まで延びる範囲である。
また、審判キャラクタ74にも、仮想的な視野範囲を示す視野領域Rbが設定されている。なお、図11では、図の簡略化のため、2体の審判キャラクタ74のうち一の審判キャラクタ74に対して設定された視野領域Rbのみ示す。図11では、審判キャラクタ73に対して設定される視野領域Rと審判キャラクタ74に対して設定される視野領域Rbとでは大きさや形状が異なるが、大きさや形状が同じであってもよい。つまり、視野領域R,Rbは、互いに異なるまたは同じ視野領域パラメータが設定される。
図12は、第2実施形態における審判判定表示処理フローの一例を示す図である。第2実施形態の審判判定表示処理フローでは、反則行為の発生位置が審判キャラクタ74の視野領域Rb内であるか否かについての審判判定表示手段43aによる判別が実行される。なお、本実施形態では、第1実施形態における審判判定決定手段48による決定(ステップ13)やイベント発生手段50による決定(ステップ15)が実行されないものとして説明する。
図12に示すように、ゲーム内のサッカーの試合が開始すると、事象発生判別手段44は、反則行為が選手キャラクタ71,72の動作に起因して発生したか否かを判別する(ステップS51)。
反則行為が発生したと判別された場合(ステップS51:Yes)、審判判定表示手段43aは、反則行為の発生位置が審判キャラクタ73の視野領域R内であるか否かを判別する(ステップS52)。
反則行為の発生位置が審判キャラクタ73の視野領域R内であると判別された場合(ステップS52:Yes)、ゲーム進行手段43は、事象に対して正当な判定が下されたものとして試合を進行させる(ステップS53)。具体的には、審判判定表示手段43aは、審判キャラクタ73自身の判断により反則行為に対する判定が下されることを示す通常判定動画をモニタ32に表示させる第1通常演出処理を実行する。
ステップS52で反則行為の発生位置が審判キャラクタ73の視野領域R外であると判別された場合(ステップS52:No)、審判判定表示手段43aは、反則行為の発生位置が審判キャラクタ74の視野領域Rb内であるか否かを判別する(ステップS54)。
反則行為の発生位置が審判キャラクタ74の視野領域Rb内であると判別された場合(ステップS55:Yes)、ゲーム進行手段43は、事象に対して正当な判定が下されたものとして試合を進行させる(ステップS55)。具体的には、審判判定表示手段43aは、審判(副審)キャラクタ74の判断に基づき審判(主審)キャラクタ73が反則行為に対して判定を下すことを示す動画をモニタ32に表示させる第2通常演出処理を実行する。
反則行為の発生位置が審判キャラクタ74の視野領域Rb外であると判別された場合(ステップS55:No)、審判判定表示手段43aは、第1および第2通常演出処理のいずれも実行しない。すなわち、反則行為の発生はなかったものとしてサッカーの試合は進行する。
本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、現実のサッカーで起こり得る、主審の見ていないところでの反則行為を副審が確認して主審に示す状況を表現することができる。
<その他の実施形態>
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
ゲームプログラム34aは、ゲームメディア34に記録されていなくてもよく、例えば、外部から通信ネットワークNWを介してゲーム装置2にダウンロードされてもよい。例えば、本発明のゲームシステムが備えるゲーム装置2は、スマートフォンなどの携帯情報端末であってもよく、操作装置および表示装置はタッチスクリーンなどであってもよい。また、ゲーム画面を表示する表示装置は、ヘッドマウントディスプレイなどであってもよい。
制御部21は、ゲームプログラム34aを実行することにより、視野領域変更手段46、審判判定決定手段48、誤判定確率変更手段49、イベント発生手段50、およびイベント確率変更手段51として機能しなくてもよい。事象発生判別手段44により事象が発生したか否かが判別される対象となる判別対象領域は、フィールド61に限られず、例えば視野領域R,Rbであってもよい。この場合、例えば事象の発生位置が視野領域内か否かの判定(例えば図6のステップS12)は不要となる。
また、上記実施形態では、対戦ゲームの一例として、サッカーゲームが説明されたが、本発明に係るゲームプログラムおよびゲームシステムにより実現される対戦ゲームは、これに限られない。例えば、本発明は、バレーボール、テニス、バスケットボール、野球、アメリカンフットボール、柔道、剣道、大相撲などのスポーツ競技ゲームに適用可能である。また、対戦ゲームは、スポーツ競技ゲームでなくてもよく、審判キャラクタが登場するものであればいかなる態様の対戦ゲームでもよい。例えば本発明は、ゴールまでの到着の速さを競う対戦ゲームや対戦相手と反射神経を競う対戦ゲームなどにおけるフライングや勝ち負けの判定にも適用可能である。
また、事象発生判別手段44により発生したか否かが判別される事象は、反則行為に限られない。例えば、ゲーム内のスポーツ競技が、ユーザと対戦相手とが得点を競う競技である場合、事象は、競技において、ユーザと対戦相手の一方に得点が付与される得点関連事象であってもよい。すなわち、例えばテニスやバレーボールなどの競技において、ボールがラインインしたかラインアウトしたかの判定が下される事象である。この場合、イベント発生手段は、ビデオ検証イベントとして、事象としての得点関連事象に対して、ユーザと対戦相手の一方に得点が付与されるべき事象であるか否かを判定するビデオ判定動画をモニタ32に表示させる。例えばビデオ判定動画は、例えばボールの軌跡をCG加工した映像などであってもよい。
現実世界のテニスやバレーボールでは、選手側からの異議によりビデオ判定が実行されるが、イベント発生手段は、ユーザによるコントローラ31の操作に応じてビデオ検証イベントを発生させることを決定してもよい。このゲームプログラムによれば、選手から審判の判定に対し異議を申し立ててビデオ判定を要求するようなスポーツ競技のゲームを実現できる。
上記の第1および第2実施形態や変形例1,2の構成は適宜組合せ可能である。例えば、第2実施形態において、第1実施形態のように、審判判定決定手段48による決定が実行されてもよいし、イベント発生手段50による決定が実行されてもよい。
また、第1実施形態において、図6のステップS13で審判キャラクタ73が反則行為に対して正当な判定を下さないものとして進行させることに決定された場合に発生し得るビデオ検証イベントは、ステップS12で反則行為の発生位置が視野領域R外であると判別された場合のビデオ検証イベントと異なってもよい。例えばステップS13で審判判定決定手段48により、審判キャラクタ73が反則行為に対して誤った判定を下すものとして進行させることに決定したとする。この場合、イベント発生手段50により反則行為に対してビデオ検証イベントを発生させることが決定されたときは、イベント発生手段50は、ビデオ判定動画の前に、審判キャラクタが誤った判定を下すことを示す動画をモニタ32に表示させてもよい。また、イベント発生手段50により反則行為に対してビデオ検証イベントを発生させないことが決定されたときは、審判判定表示手段43aは、通常判定動画をモニタ32に表示させる通常演出処理を実行してもよい。また、第2実施形態において、第1通常演出処理と第2通常演出処理とでモニタ32に表示する動画は同じであってもよい。
また、視野領域Rは、選手キャラクタ71,72により審判キャラクタ73,74にとって死角となる領域を含んでもよい。またゲームデータ34bには、基準となる一の審判キャラクタ73の特徴パラメータのみが記憶されていてもよい。視野領域Rの形状は、平面視扇形状でなくてもよく、例えば審判キャラクタ73を中心としてその審判キャラクタ73の全周囲に広がる平面視して円形の領域であってもよい。この場合、視野領域パラメータは視野領域Rの半径であってもよい。
視野領域Rの区分け方も、上記で説明されたものに限られない。視野領域Rは、審判キャラクタ73から所定の距離以内の領域である第1視野領域R1と、第1視野領域R1とは設定される誤判定確率値が異なる、審判キャラクタ73から所定の距離を超えた領域である第2視野領域R2とに区分けされてもよい。また、視野領域Rは、誤判定確率値が互いに異なる2以上の領域に区分けされてもよい。また、視野領域Rは区分けされなくてもよい。また、誤判定確率値は、審判キャラクタ73が正当な判定を下さない確率でなく、審判キャラクタ73が正当な判定を下す確率であってもよい。誤判定確率値は、判定すべき事象と審判キャラクタとの距離を用いた所定の計算式により算出されてもよい。
審判判定決定手段48による決定は、誤判定確率値に基づくものでなくてもよく、予め定めた所定の条件が満たされたか否かの判別結果に基づくものであってもよい。
イベント発生手段50による決定は、イベント確率値に基づくものでなくてもよく、予め定めた所定の条件が満たされたか否かの判別結果に基づくものであってもよい。例えば、イベント発生手段50は、上記(i),(ii)の場合に、反則行為発生位置がペナルティエリア66内であるか否かを判別し、ペナルティエリア66内である場合にビデオ検証イベントを発生させることを決定してもよい。
また、2プレイモードなど2以上のユーザが対戦する対戦ゲームであって、各ユーザが視認するゲーム画面が異なるゲームでは、一対戦において、仮想空間にはユーザごとに仮想カメラCが存在する。この場合、ゲーム進行手段は、事象の発生位置が、一対戦における複数の仮想カメラで撮像された撮像領域のいずれにも重ならないときは、事象に対する判定が下されなかったものとして対戦ゲームを進行させてもよい。また、ゲーム進行手段は、事象の発生位置が撮像領域と重ならない領域であっても、事象に対する判定が下されたものとして対戦ゲームを進行させてもよい。つまり、ゲーム画面Dを通じてユーザに見えなかった事象に対しても判定が下されてゲームが進行してもよい。
また、仮想空間内には、複数の審判キャラクタが登場してもよく、複数の審判キャラクタの視野領域のいずれかで事象が発生していた場合に、事象に対する判定が下されたものとして対戦ゲームを進行させてもよい。また、複数の審判キャラクタの下す判定は互いに異なってもよく、この場合、多数決により最終的な判定が決定されてもよい。また、仮想空間内に登場する審判キャラクタごとに、最終的な判定結果に影響し得る優先度や重み付けが設定されていてもよい。また、仮想空間内に登場する審判キャラクタごとに、体力値が設定されてもよい。例えば第2実施形態において、副審キャラクタの体力値が減少するにつれて、副審キャラクタの視野領域が狭くなってもよいし、副審キャラクタの体力値が減少するにつれて、副審キャラクタが正当な判定を下さない確率が上昇してもよい。
上記ゲームプログラムは、仮想空間に配置した仮想カメラで撮像した画像をゲーム画面として表示する表示部と、ユーザの操作を受け付ける操作部と、前記ユーザによる前記操作部への操作に応じて対戦ゲームを進行させるコンピュータと、を備えたゲームシステムにおいて前記コンピュータに実行させるゲームプログラムであって、前記コンピュータを、前記対戦ゲームにおける対戦が実施される前記仮想空間を生成する仮想空間生成手段、前記ユーザによる前記操作部への操作に応じて前記対戦ゲームにおいて対戦キャラクタの動作を制御する対戦キャラクタ制御手段、前記対戦において判定されるべき所定の事象が前記対戦キャラクタの動作に起因して前記対戦中に発生した場合に、前記事象の発生位置が、前記仮想カメラで撮像された撮像領域内であるときは、前記事象に対する判定が下されたものとして前記対戦ゲームを進行させ、前記事象の発生位置が、前記撮像領域外であるときは、前記事象に対する判定が下されなかったものとして前記対戦ゲームを進行させるゲーム進行手段、として機能させてもよい。
前記仮想空間には、前記仮想カメラを含む複数の仮想カメラが配置され、前記ゲーム進行手段は、前記事象の発生位置が、前記複数の仮想カメラで撮像された複数の撮像領域のいずれの撮像領域内にもないときは、前記事象に対する判定が下されなかったものとして前記対戦ゲームを進行させてもよい。
前記対戦ゲームは、前記ユーザを含む2以上のユーザが対戦する対戦ゲームであり、
前記仮想空間には、前記ユーザが視認するゲーム画面としての画像を撮像する前記仮想カメラが、前記ユーザごとに配置されてもよい。
ゲームシステムは、上記ゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータとを備えてもよい。