特許法第30条第2項適用 平成30年8月30日~平成30年8月31日に開催された第59回日本人間ドック学会学術大会にて、林大貴及び片桐悠貴が発明した自己採取検査具を公開し、試供品を配布した。
しかしながら、このような特許文献1などに開示される従来の自己採取検査具100では、自己採取後、検査機関へ送付するまで細胞が死滅してはいけないので、被験者が被験者の被検査部Aの細胞をスポンジ部材108で、擦過採取した後、図18に示したように、保存液容器120内に収容した、例えば、エタノールなどの所定の保存液Bを、検査具本体102の先端に形成された開口部102aを介して、ピストン室104内に注入する注入操作を行っている。
この際、検査具本体102の後端の首部112に形成された首部開口部114と、ピストン106との間には、液止め機構(シール部)が存在していない。
このため、被験者が注入操作を行う際に、首部開口部114と、ピストン106との間から、細胞などを含んだ保存液Bが漏洩して、感染症などに感染するおそれがある。
また、検査機関への輸送中、検査機関での検査の際に、首部開口部114と、ピストン106との間から、細胞などを含んだ保存液Bが漏洩して、検査員などが、感染症などに感染するおそれがある。
さらに、従来の自己採取検査具100では、ピストン106の先端にスポンジ部材108を装着する際には、例えば、接着剤、接着テープの少なくともいずれか一方で装着しているのが通常である。
このため、接着剤成分による汚染、接着剤、接着テープの剥がれによる、スポンジ部材108の脱落のおそれがあった。
また、従来の自己採取検査具100では、ピストン106には、弾力性(撓み性)があり、被験者の被検査部Aを擦過して、被験者の被検査部Aの細胞をスポンジ部材108に付着させる付着性能を保持するようにしている。
しかしながら、従来の自己採取検査具100では、このような弾力性(撓み性)を保持するために、ピストン106には、例えば、エラストマーなどの高価な材料を使用しており、コストが高くつくことになる。
本発明は、このような現状に鑑み、被験者が所定の保存液をピストン室内に注入する注入操作の際、検査機関への輸送中、検査機関での検査の際に、首部開口部と、ピストンとの間から、細胞などを含んだ保存液が漏洩して、検査員などが、感染症などに感染するおそれがない、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することを目的とする。
また、本発明は、従来のように、接着剤成分による汚染、接着剤、接着テープの剥がれによる、スポンジ部材の脱落のおそれがなく、清潔、衛生的で、かつ、スポンジ部材をピストンの先端に装着することが容易で、コストを低減できるとともに、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、ピストン(ピストンの先端のスポンジ部材が装着される装着部分)の弾力性(撓み性)に優れ、被験者の被検査部Aを擦過して、被験者の被検査部Aの細胞をスポンジ部材に付着させる付着性能に優れるとともに、安価な材料で作製でき、コストも低減できる自己採取検査具を提供することを目的とする。
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の自己採取検査具は、
略円筒形状の検査具本体と、
前記検査具本体の内部に形成されたピストン室と、
前記検査具本体に装着されるとともに、ピストン室内を検査具本体の長手方向に移動自在に装着されたピストンと、
前記ピストンの先端に装着されたスポンジ部材と、
前記検査具本体の先端に形成された開口部に、脱着自在に装着されたキャップ部材とを備え、
前記キャップ部材を取り外して、検査具本体を被験者の被検査部の所定の位置に挿入した後、
前記検査具本体の後端の首部に形成された、首部開口部を介して突出するピストンの操作部を操作して、前記ピストンを押し出し、
前記検査具本体の先端に形成された開口部を介して、前記スポンジ部材を突出させて、被験者の被検査部を擦過して、被験者の被検査部の細胞をスポンジ部材に付着させた後、
前記ピストンを引き戻して、スポンジ部材を検査具本体のピストン室に収納して、検査具本体を被験者の被検査部から引き抜き、所定の保存液を検査具本体の先端に形成された開口部を介して、ピストン室内に注入した後、
前記キャップ部材を検査具本体の先端に形成された開口部に装着するように構成した擦過式の自己採取検査具であって、
前記ピストンを引き戻した状態で、前記検査具本体の後端に形成された首部開口部を密封するシール部が形成され、
前記シール部が、前記ピストンの拡径されたピストン部の外周壁と、前記検査具本体のピストン室の内周壁との間に形成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、ピストンを引き戻した状態で、検査具本体の後端に形成された首部開口部を密封するシール部が形成されるので、被験者が所定の保存液をピストン室内に注入する注入操作の際、検査機関への輸送中、検査機関での検査の際に、首部開口部と、ピストンとの間から、細胞などを含んだ保存液が漏洩して、検査員などが、感染症などに感染するおそれがない、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
このように構成することによって、ピストンの拡径されたピストン部の外周壁と、検査具本体のピストン室の内周壁との間に、シール部が形成されているので、ピストン部の外周壁と、検査具本体のピストン室の内周壁との間が確実にシールされ、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、本発明の自己採取検査具は、前記シール部が、前記ピストンの拡径されたピストン部の外周壁に、外周側に突設するように形成された外周突設シール部と、前記検査具本体のピストン室の内周壁とによるシール部であることを特徴とする。
このように構成することによって、ピストンの拡径されたピストン部の外周壁に、外周側に突設するように形成された外周突設シール部と、検査具本体のピストン室の内周壁とによるシール部であるので、外周突設シール部と、検査具本体のピストン室の内周壁との間が確実にシールされ、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、本発明の自己採取検査具は、前記外周突設シール部が、主シール部を形成する第1の外周突設シール部と、補助シール部を形成する第2の外周突設シール部とを備えることを特徴とする。
このように構成することによって、第1の外周突設シール部35aによる主シール部としての機能と、第2の外周突設シール部35bによる補助シール部としての機能による二重のシールにより、確実にシールすることができ、首部開口部24と、ピストン16との間から、細胞などを含んだ保存液Bが漏洩することがない。
また、本発明の自己採取検査具は、前記第2の外周突設シール部の厚みが、第1の外周突設シール部よりも厚みが薄く形成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、第2の外周突設シール部35bが、第1の外周突設シール部35aよりも厚みが薄いので、摺動抵抗が低く、ピストン16の操作を阻害することがなく、スムーズにピストン操作を行うことが出来る。
また、本発明の自己採取検査具は、前記第1の外周突設シール部が、ピストン部の外周壁において、第2の外周突設シール部よりも基端部の方向に位置するように形成されていることを特徴とする。
これにより、ピストン16を引き戻す操作の際に、後述するように、ピストン16が、テーパー傾斜面15に案内される際に、先ず、第1の外周突設シール部35aによって、確実にシールすることができ、首部開口部24と、ピストン16との間から、細胞などを含んだ保存液Bが漏洩することがないように構成されている。
また、第1の外周突設シール部35aよりも、先端方向に位置する補助シール部を形成する第2の外周突設シール部35bが、補助シールと機能して、確実にシールすることができ、首部開口部24と、ピストン16との間から、細胞などを含んだ保存液Bが漏洩することがない。
また、本発明の自己採取検査具は、前記シール部が、前記ピストンの拡径されたピストン部の外周壁と、前記検査具本体のピストン室の内周壁に、内周側に突設するように形成された内周突設シール部とによるシール部であることを特徴とする。
このように構成することによって、ピストンの拡径されたピストン部の外周壁と、検査具本体のピストン室の内周壁に、内周側に突設するように形成された内周突設シール部とによるシール部であるので、ピストンの拡径されたピストン部の外周壁と、内周突設シール部との間が確実にシールされ、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、本発明の自己採取検査具は、前記シール部が、前記検査具本体の首部に位置するピストンのピストン棒部と、前記検査具本体の後端の首部の内周壁との間に形成されているシール部であることを特徴とする。
このように構成することによって、検査具本体の首部に位置するピストンのピストン棒部と、検査具本体の後端の首部の内周壁との間に形成されているシール部であるので、ピストン棒部と、検査具本体の後端の首部の内周壁との間が確実にシールされ、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、本発明の自己採取検査具は、前記シール部が、前記検査具本体の首部に位置するピストンのピストン棒部の外周壁に、外周側に突設するように形成された首部外周突設シール部と、前記検査具本体の後端の首部の内周壁とによるシール部であることを特徴とする。
このように構成することによって、検査具本体の首部に位置するピストンのピストン棒部の外周壁に、外周側に突設するように形成された首部外周突設シール部と、検査具本体の後端の首部の内周壁とによるシール部であるので、首部外周突設シール部と、検査具本体の後端の首部の内周壁との間が確実にシールされ、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、本発明の自己採取検査具は、前記シール部が、前記検査具本体の首部に位置するピストンのピストン棒部の外周壁と、前記検査具本体の後端の首部の内周壁に、内周側に突設するように形成された首部内周突設シール部とによるシール部であることを特徴とする。
このように構成することによって、検査具本体の首部に位置するピストンのピストン棒部の外周壁と、検査具本体の後端の首部の内周壁に、内周側に突設するように形成された首部内周突設シール部とによるシール部であるので、ピストン棒部の外周壁と、首部内周突設シール部との間が確実にシールされ、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、本発明の自己採取検査具は、前記シール部が、前記ピストンの拡径されたピストン部の後端壁と、前記検査具本体のピストン室の後端壁との間に形成されているシール部であることを特徴とする。
このように構成することによって、ピストンの拡径されたピストン部の後端壁と、検査具本体のピストン室の後端壁との間に形成されているシール部であるので、ピストン部の後端壁と、検査具本体のピストン室の後端壁との間が確実にシールされ、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、本発明の自己採取検査具は、前記シール部が、前記ピストンの拡径されたピストン部の後端壁に突設するように形成された後端突設シール部と、前記検査具本体のピストン室の後端壁とによるシール部であることを特徴とする。
このように構成することによって、ピストンの拡径されたピストン部の後端壁に突設するように形成された後端突設シール部と、検査具本体のピストン室の後端壁とによるシール部であるので、後端突設シール部と、検査具本体のピストン室の後端壁との間が確実にシールされ、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、本発明の自己採取検査具は、前記シール部が、前記ピストンの拡径されたピストン部の後端壁と、前記検査具本体のピストン室の後端壁に形成されたピストン後端突設シール部とによるシール部であることを特徴とする。
このように構成することによって、ピストンの拡径されたピストン部の後端壁と、検査具本体のピストン室の後端壁に形成されたピストン後端突設シール部とによるシール部であるので、ピストンの拡径されたピストン部の後端壁と、ピストン後端突設シール部との間が確実にシールされ、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、本発明の自己採取検査具は、前記スポンジ部材が、Oリング部材によって、ピストンの先端に装着されるとともに、
前記Oリング部材が、前記シール部を形成していることを特徴とする。
このように構成することによって、スポンジ部材が、Oリング部材によって、ピストンの先端に装着されるので、従来のように、接着剤成分による汚染、接着剤、接着テープの剥がれによる、スポンジ部材の脱落のおそれがなく、清潔、衛生的で、かつ、スポンジ部材をピストンの先端に装着することが容易で、コストを低減できるとともに、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、Oリング部材が、シール部を形成しているので、被験者が所定の保存液をピストン室内に注入する注入操作の際、検査機関への輸送中、検査機関での検査の際に、首部開口部と、ピストンとの間から、細胞などを含んだ保存液が漏洩して、検査員などが、感染症などに感染するおそれがない、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、本発明の自己採取検査具は、前記Oリング部材が、ピストンの軸方向に縦長形状に形成されるとともに、外周側に突設する先端シール部と、後端シール部が形成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、Oリング部材が、ピストンの軸方向に縦長形状に形成されるとともに、外周側に突設する先端シール部と、後端シール部が形成されているので、先端シール部と、後端シール部による二重のシールによって、確実にシールされ、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、本発明の自己採取検査具は、前記検査具本体のピストン室の内周壁に、漸次拡径するように形成されたテーパー傾斜面が形成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、検査具本体のピストン室の内周壁に、漸次拡径するように形成されたテーパー傾斜面が形成されているので、ピストンを引き戻した状態で、ピストンが、テーパー傾斜面に案内されて、ピストンの摺動抵抗が大きくなって、検査具本体の後端に形成された首部開口部を密封するシール部が形成された状態を保持することができ、シール性能を保持することができる。
しかも、ピストンを引き戻す際に、ピストンがテーパー傾斜面に案内されて、ピストンの摺動抵抗が大きくなり、固定位置(シール位置)を、被験者が感触で分かることができ、確実にシール状態を維持することができる。
また、このような摺動抵抗によって、検査機関への輸送中にも、首部開口部と、ピストンとの間から、細胞などを含んだ保存液が漏洩することがない。
また、本発明の自己採取検査具は、前記ピストンの先端のスポンジ部材が装着される装着部分の外周には、少なくとも1個の外周溝部が形成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、ピストンの先端のスポンジ部材が装着される装着部分の外周には、少なくとも1個の外周溝部が形成されているので、外周溝部で径が小さくなる。
これにより、ピストン(ピストンの先端のスポンジ部材が装着される装着部分)の弾力性(撓み性)に優れ、被験者の被検査部Aを擦過して、被験者の被検査部Aの細胞をスポンジ部材に付着させる付着性能に優れるとともに、安価な材料で作製でき、コストも低減できる自己採取検査具を提供することができる。
また、本発明の自己採取検査具は、前記ピストンの操作部には、前記ピストンを引き戻して、スポンジ部材を検査具本体のピストン室に収納する際の引き戻し位置を表示する位置表示部が形成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、ピストンの操作部に形成された、例えば、印刷、突設部、切り込み、凹部、貼着テープなどからなる位置表示部によって、ピストンを引き戻して、スポンジ部材を検査具本体のピストン室に収納する際の引き戻し位置を表示して(すなわち、位置表示部が視認できるまで引き戻すことによって)、引き戻し位置を視覚的に被験者が視認することができる。
これにより、固定位置(シール位置)を、被験者が視覚で分かることができ、確実にシール状態を維持することができる。
従って、検査機関への輸送中にも、首部開口部と、ピストンとの間から、細胞などを含んだ保存液が漏洩することがない。
また、本発明の自己採取検査具は、
略円筒形状の検査具本体と、
前記検査具本体の内部に形成されたピストン室と、
前記検査具本体に装着されるとともに、ピストン室内を検査具本体の長手方向に移動自在に装着されたピストンと、
前記ピストンの先端に装着されたスポンジ部材と、
前記検査具本体の先端に形成された開口部に、脱着自在に装着されたキャップ部材とを備え、
前記キャップ部材を取り外して、検査具本体を被験者の被検査部の所定の位置に挿入した後、
前記検査具本体の後端の首部に形成された、首部開口部を介して突出するピストンの操作部を操作して、前記ピストンを押し出し、
前記検査具本体の先端に形成された開口部を介して、前記スポンジ部材を突出させて、被験者の被検査部を擦過して、被験者の被検査部の細胞をスポンジ部材に付着させた後、
前記ピストンを引き戻して、スポンジ部材を検査具本体のピストン室に収納して、検査具本体を被験者の被検査部から引き抜き、所定の保存液を検査具本体の先端に形成された開口部を介して、ピストン室内に注入した後、
前記キャップ部材を検査具本体の先端に形成された開口部に装着するように構成した擦過式の自己採取検査具であって、
前記スポンジ部材が、Oリング部材によって、ピストンの先端に装着されていることを特徴とする。
このように構成することによって、スポンジ部材が、Oリング部材によって、ピストンの先端に装着されるので、従来のように、接着剤成分による汚染、接着剤、接着テープの剥がれによる、スポンジ部材の脱落のおそれがなく、清潔、衛生的で、かつ、スポンジ部材をピストンの先端に装着することが容易で、コストを低減できるとともに、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、Oリング部材が、シール部を形成しているので、被験者が所定の保存液をピストン室内に注入する注入操作の際、検査機関への輸送中、検査機関での検査の際に、首部開口部と、ピストンとの間から、細胞などを含んだ保存液が漏洩して、検査員などが、感染症などに感染するおそれがない、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、本発明の自己採取検査具は、
略円筒形状の検査具本体と、
前記検査具本体の内部に形成されたピストン室と、
前記検査具本体に装着されるとともに、ピストン室内を検査具本体の長手方向に移動自在に装着されたピストンと、
前記ピストンの先端に装着されたスポンジ部材と、
前記検査具本体の先端に形成された開口部に、脱着自在に装着されたキャップ部材とを備え、
前記キャップ部材を取り外して、検査具本体を被験者の被検査部の所定の位置に挿入した後、
前記検査具本体の後端の首部に形成された、首部開口部を介して突出するピストンの操作部を操作して、前記ピストンを押し出し、
前記検査具本体の先端に形成された開口部を介して、前記スポンジ部材を突出させて、被験者の被検査部を擦過して、被験者の被検査部の細胞をスポンジ部材に付着させた後、
前記ピストンを引き戻して、スポンジ部材を検査具本体のピストン室に収納して、検査具本体を被験者の被検査部から引き抜き、所定の保存液を検査具本体の先端に形成された開口部を介して、ピストン室内に注入した後、
前記キャップ部材を検査具本体の先端に形成された開口部に装着するように構成した擦過式の自己採取検査具であって、
前記ピストンの先端のスポンジ部材が装着される装着部分の外周には、少なくとも1個の外周溝部が形成されていることを特徴とする。
このように構成することによって、ピストンの先端のスポンジ部材が装着される装着部分の外周には、少なくとも1個の外周溝部が形成されているので、外周溝部で径が小さくなる。
これにより、ピストン(ピストンの先端のスポンジ部材が装着される装着部分)の弾力性(撓み性)に優れ、被験者の被検査部Aを擦過して、被験者の被検査部Aの細胞をスポンジ部材に付着させる付着性能に優れるとともに、安価な材料で作製でき、コストも低減できる自己採取検査具を提供することができる。
本発明によれば、ピストンを引き戻した状態で、検査具本体の後端に形成された首部開口部を密封するシール部が形成されるので、被験者が所定の保存液をピストン室内に注入する注入操作の際、検査機関への輸送中、検査機関での検査の際に、首部開口部と、ピストンとの間から、細胞などを含んだ保存液が漏洩して、検査員などが、感染症などに感染するおそれがない、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、スポンジ部材が、Oリング部材によって、ピストンの先端に装着されるので、従来のように、接着剤成分による汚染、接着剤、接着テープの剥がれによる、スポンジ部材の脱落のおそれがなく、清潔、衛生的で、かつ、スポンジ部材をピストンの先端に装着することが容易で、コストを低減できるとともに、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、Oリング部材が、シール部を形成しているので、被験者が所定の保存液をピストン室内に注入する注入操作の際、検査機関への輸送中、検査機関での検査の際に、首部開口部と、ピストンとの間から、細胞などを含んだ保存液が漏洩して、検査員などが、感染症などに感染するおそれがない、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
さらに、ピストンの先端のスポンジ部材が装着される装着部分の外周には、少なくとも1個の外周溝部が形成されているので、外周溝部で径が小さくなる。
これにより、ピストン(ピストンの先端のスポンジ部材が装着される装着部分)の弾力性(撓み性)に優れ、被験者の被検査部Aを擦過して、被験者の被検査部Aの細胞をスポンジ部材に付着させる付着性能に優れるとともに、安価な材料で作製でき、コストも低減できる自己採取検査具を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の自己採取検査具の縦断面図、図2は、図1の自己採取検査具のC部分の部分拡大断面図、図3は、図1のD方向の自己採取検査具の斜視図、図4は、図1のE方向の自己採取検査具の斜視図、図5は、本発明の自己採取検査具の使用状態を説明する概略図、図6は、本発明の自己採取検査具の使用状態を説明する概略図、図7は、本発明の自己採取検査具の使用状態を説明する概略図、図8は、本発明の自己採取検査具の使用状態を説明する、図1の自己採取検査具の初期位置、および、引き戻し位置直前の状態を示す図2と同様な断面図である。
図1~図8において、符号10は、全体で本発明の自己採取検査具を示している。
本発明の自己採取検査具10は、例えば、軽度の感染の可能性が強いもの(LSIL)、及び中等度異形成、高度異形成(ASC-US)などの細胞を採取する場合や、その他の多目的な検査にも適用することが可能な、擦過式の自己採取検査具である。
図1~図4に示したように、自己採取検査具10は、略円筒形状の検査具本体12を備えている。そして、検査具本体12の内部に形成されたピストン室14を備えている。
また、検査具本体12に装着されるとともに、ピストン室14内を検査具本体12の長手方向に移動自在に装着されたピストン16を備えている。そして、ピストン16の先端16aに装着されたスポンジ部材18を備えている。
この検査具本体12の先端に形成された開口部28に、脱着自在に装着されたキャップ部材20を備えている。
さらに、検査具本体12の後端の持ち手を構成する首部22に、首部開口部24が形成されている。そして、首部開口部24を介して、ピストン16の操作部26が突出している。
なお、図1に示したように、検査具本体12の首部22は、手で把持することが容易なように、その中間部分の径が大きくなるように形成されている。
また、操作部26の後端には、ハンドル25が形成(嵌合)されている。すなわち、図1に示したように、操作部26の後端の外周には、複数の凸状部26aが形成されている。そして、この凸状部26aが、ハンドル25の内周に形成された嵌合部25aの内周凸部25bにスナップフィット式に嵌合することにより、ハンドル25が、操作部26の後端に装着されるようになっている。
さらに、図3に示したように、ハンドル25には、嵌合部25aとハンドル25の外壁25dとの間に、中心角度180°離間して、2個のリブ25cが形成されている。
また、このハンドル25の外周には、縦方向に複数の滑り止め用の溝部26bが形成されている。
一方、検査具本体12の首部22の外周には、検査具本体12の軸方向に一定間隔離間して、先端方向に第1の鍔部30と、後端方向に第2の鍔部32が形成されている。
そして、図4に示したように、第2の鍔部32の後端面32aには、前述したハンドル25のリブ25cと係合するように、中心角度180°離間して、所定の角度方向に突設する2個の突設片30aが形成されている。
これにより、後述するように、図5に示したように、検査具本体12の先端に形成された開口部28を介して、スポンジ部材18を突出させて、図5の矢印で示したように、例えば、ピストン16の操作部26のハンドル25を回転するなどして、被験者の被検査部Aを擦過して、被験者の被検査部Aの細胞をスポンジ部材18に付着させる際に便利である。
すなわち、ハンドル25を所定の方向(図4、図5の実施例では、時計方向)に回転する際に、ハンドル25のリブ25cと、第2の鍔部32の突設片30aが係合し、通過することにより、被験者が手の感覚(回転振動)などによって、例えば、6回の回転振動などにより、所定の回転数による擦過が確認でき、確実に擦過操作を行うことができ、便利である。
なお、この場合、ハンドル25のリブ25cと、第2の鍔部32の突設片30aの数は特に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
また、図4、図6に示したように、操作部26には、後述するように、ピストン16を引き戻して、スポンジ部材18を検査具本体12のピストン室14に収納する際の引き戻し位置を表示する位置表示部34が形成されている。
このように構成することによって、図4、図6に示したように、ピストン16の操作部26に形成された、例えば、印刷、突設部、切り込み、凹部、貼着テープなどからなる位置表示部34によって、ピストン16を引き戻して、スポンジ部材18を検査具本体12のピストン室14に収納する際の引き戻し位置を表示して(すなわち、位置表示部34が視認できるまで引き戻すことによって)、引き戻し位置を視覚的に被験者が視認することができる。
これにより、後述するように、固定位置(シール位置)を、被験者が視覚で分かることができ、確実にシール状態を維持することができる。
従って、検査機関への輸送中にも、首部開口部24と、ピストン16との間から、細胞などを含んだ保存液Bが漏洩することがない。
また、本発明の自己採取検査具10では、図1、図2に示したように、ピストンを引き戻した状態で、検査具本体12の後端に形成された首部開口部24を密封するシール部38が形成されるように構成されている。
すなわち、この実施例では、図1、図2の拡大図に示したように、ピストン16のピストン室14に位置する先端40の部分には、拡径されたピストン部36が形成されている。このピストン部36の外周壁36aに、外周側に突設するように形成された外周突設シール部35が形成されている。
この場合、図2に示したように、主シール部を形成する第1の外周突設シール部35aと、補助シール部を形成する第1の外周突設シール部35aよりも厚みの薄い、第2の外周突設シール部35bが形成されている。
このように構成することによって、第1の外周突設シール部35aによる主シール部としての機能と、第2の外周突設シール部35bによる補助シール部としての機能による二重のシールにより、確実にシールすることができ、首部開口部24と、ピストン16との間から、細胞などを含んだ保存液Bが漏洩することがない。
また、第2の外周突設シール部35bが、第1の外周突設シール部35aよりも厚みが薄いので、摺動抵抗が低く、ピストン16の操作を阻害することがなく、スムーズにピストン操作を行うことが出来る。
なお、この実施例の場合には、第1の外周突設シール部35aが、ピストン部36の外周壁36aにおいて、第2の外周突設シール部35bよりも基端部(すなわち、ピストン16の操作部26の方向)の方向に位置するように形成されている。
これにより、ピストン16を引き戻す操作の際に、後述するように、ピストン16が、テーパー傾斜面15に案内される際に、先ず、第1の外周突設シール部35aによって、確実にシールすることができ、首部開口部24と、ピストン16との間から、細胞などを含んだ保存液Bが漏洩することがないように構成されている。
また、第1の外周突設シール部35aよりも、先端方向に位置する補助シール部を形成する第2の外周突設シール部35bが、補助シールと機能して、確実にシールすることができ、首部開口部24と、ピストン16との間から、細胞などを含んだ保存液Bが漏洩することがない。
また、図2に示したように、検査具本体12のピストン室14の後端の内周壁14aは、ピストン部36の外周突設シール部35(第1の外周突設シール部35aと第2の外周突設シール部35b)と当接するシール面を構成している。
このピストン室14の後端の内周壁14aには、図2に示したように、漸次拡径するように形成されたテーパー傾斜面15が形成されている。
このように構成することによって、検査具本体12のピストン室14の内周壁14aに、漸次拡径するように形成されたテーパー傾斜面15が形成されているので、ピストン16を引き戻した状態で、ピストン16が、テーパー傾斜面15に案内されて、ピストン16の摺動抵抗が大きくなって、検査具本体12の後端に形成された首部開口部24を密封するシール部が形成された状態を保持することができ、シール性能を保持することができる。
しかも、ピストン16を引き戻す際に、ピストン16がテーパー傾斜面15に案内されて、ピストン16の摺動抵抗が大きくなり、固定位置(シール位置)を、被験者が感触で分かることができ、確実にシール状態を維持することができる。
また、このような摺動抵抗によって、検査機関への輸送中にも、首部開口部24と、ピストン16との間から、細胞などを含んだ保存液Bが漏洩することがないように構成されている。
また、図1、図2に示したように、ピストン16の先端40の拡径されたピストン部36の近傍には、シール溝部42が形成されている。このシール溝部42に、Oリング部材44が装着されている。
すなわち、図2の拡大図に示したように、スポンジ部材18が、Oリング部材44によって、ピストン16の先端40に装着されるようになっている。
このように構成することによって、スポンジ部材18が、Oリング部材44によって、ピストン16の先端40に装着されるので、従来のように、接着剤成分による汚染、接着剤、接着テープの剥がれによる、スポンジ部材18の脱落のおそれがなく、清潔、衛生的で、かつ、スポンジ部材18をピストン16の先端40に装着することが容易で、コストを低減できるとともに、シール性能に優れた自己採取検査具10を提供することができる。
また、Oリング部材44が、シール部を形成しているので、被験者が所定の保存液をピストン室内に注入する注入操作の際、検査機関への輸送中、検査機関での検査の際に、首部開口部と、ピストンとの間から、細胞などを含んだ保存液が漏洩して、検査員などが、感染症などに感染するおそれがない、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
なお、スポンジ部材18を、Oリング部材44によって、ピストン16の先端40に装着するには、図15の矢印で示したように、装着治具60を介して、Oリング部材44をシール溝部42に装着すれば良い。
また、図1に示したように、ピストン16の先端40の装着部分40aの外周には、少なくとも1個(この実施例では、2個)の外周溝部40bが形成されている。
このように構成することによって、ピストン16の先端40のスポンジ部材18が装着される装着部分40aの外周には、少なくとも1個の外周溝部40bが形成されているので、外周溝部40bで径が小さくなる。
これにより、ピストン16(ピストン16の先端40のスポンジ部材18が装着される装着部分40a)の弾力性(撓み性)に優れ、被験者の被検査部Aを擦過して、被験者の被検査部Aの細胞をスポンジ部材18に付着させる付着性能に優れるとともに、安価な材料で作製でき、コストも低減できる自己採取検査具10を提供することができる。
すなわち、この場合、ピストン16の材質として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのある程度、弾力性(撓み性)を有し、かつ安価な材料で形成している。
また、前述したようなピストン16の先端40の装着部分40aの外周に、少なくとも1個の外周溝部40bを形成することによって、ピストン16(ピストン16の先端40のスポンジ部材18が装着される装着部分40a)の弾力性(撓み性)に優れている。
従って、被験者の被検査部Aを擦過して、被験者の被検査部Aの細胞をスポンジ部材18に付着させる付着性能に優れている。
しかも、前述したように、ピストン16を、安価な材料で作製でき、コストも低減できる自己採取検査具10を提供することができる。
なお、この場合、外周溝部40bの数、形状は特に限定されるものでなく、例えば、断面矩形状のスパイラル状の外周溝部40b、1個のスパイラル状の外周溝部40bにするなど適宜変更可能である。
このように構成される本発明の自己採取検査具10は、使用の際には、以下のように使用するように構成されている。
すなわち、図5に示したように、キャップ部材20を取り外して、検査具本体12を被験者の被検査部Aの所定の位置(例えば、膣内の子宮の位置)に挿入する。
この場合、図5に示したように、第1の鍔部30まで、自己採取検査具10の検査具本体12を挿入する。
その後、検査具本体12の後端の首部22に形成された、首部開口部24を介して突出するピストン16の操作部26のハンドル25を操作して、ピストン16を押し出す。
なお、この際、図8に示したように、初期位置では、拡径されたピストン部36の外周突設シール部35(第1の外周突設シール部35aと第2の外周突設シール部35b)が、ピストン室14の内周壁14aに形成されたテーパー傾斜面15の途中の位置に位置している。
従って、図8の矢印Fで示したように、ピストン16の操作部26のハンドル25を操作して、ピストン16を押し出す方向には、僅かな摺動抵抗がかかるだけであるので、押し出し易くなっている。
しかも、初期位置では、拡径されたピストン部36の外周突設シール部35が、ピストン室14の内周壁14aに形成されたテーパー傾斜面15の途中の位置に位置しているので、僅かな摺動抵抗がかかるので、ピストン16が不用意に移動することがないようになっている。
このようにして、図5に示したように、検査具本体12の先端に形成された開口部28を介して、スポンジ部材18を突出させる。そして、例えば、ピストン16の操作部26のハンドル25を回転するなどして、被験者の被検査部Aを擦過して、被験者の被検査部Aの細胞をスポンジ部材18に付着させる。
この際、前述したように、図5に示したように、検査具本体12の先端に形成された開口部28を介して、スポンジ部材18を突出させて、図5の矢印で示したように、例えば、ピストン16の操作部26のハンドル25を回転するなどして、被験者の被検査部Aを擦過して、被験者の被検査部Aの細胞をスポンジ部材18に付着させる際に便利な構造となっている。
すなわち、ハンドル25を所定の方向(図4、図5の実施例では、時計方向)に回転する際に、ハンドル25のリブ25cと、第2の鍔部32の突設片30aが係合し、通過することにより、被験者が手の感覚(回転振動)などによって、例えば、6回の回転振動などにより、所定の回転数による擦過が確認でき、確実に擦過操作を行うことができ、便利なように構成されている。
その後、図8の矢印Gで示したように、ピストン16の操作部26のハンドル25を操作して、ピストン16を引き戻して、スポンジ部材18を検査具本体12のピストン室14に収納する。この状態で、検査具本体12を被験者の被検査部Aから引き抜く。
この場合、前述したように、図6に示したように、ピストン16の操作部26に形成された、例えば、印刷、突設部、切り込み、凹部、貼着テープなどからなる位置表示部34によって、ピストン16を引き戻して、スポンジ部材18を検査具本体12のピストン室14に収納する際の引き戻し位置を表示して(すなわち、位置表示部34が視認できるまで引き戻すことによって)、視覚的に被験者が引き戻し位置を視認することができる。
これにより、後述するように、固定位置(シール位置)を、被験者が視覚で分かることができ、確実にシール状態を維持することができる。
従って、検査機関への輸送中にも、首部開口部24と、ピストン16との間から、細胞などを含んだ保存液Bが漏洩することがないように構成されている。
また、図8に示したように、引き戻し位置直前の状態では、拡径されたピストン部36の外周突設シール部35(第1の外周突設シール部35aと第2の外周突設シール部35b)が、ピストン室14の内周壁14aに形成されたテーパー傾斜面15の途中の位置に位置している。
従って、図8の矢印Gで示したように、ピストン16の操作部26のハンドル25を操作して、ピストン16を引き戻す方向には、僅かな摺動抵抗がかかり、ピストン16がテーパー傾斜面15に案内されて、ピストン16の摺動抵抗が大きくなり、固定位置(シール位置)を、被験者が感触で分かることができ、確実にシール状態を維持することができる。
しかも、図2に示したように、固定位置(シール位置)では、拡径されたピストン部36の外周突設シール部35が、テーパー面15によって狭くなったピストン室14の内周壁14aに位置している。
このため、ピストン16に対して、大きな摺動抵抗がかかることになるので、ピストン16が不用意に移動することがないようになっている。
また、このような摺動抵抗によって、検査機関への輸送中にも、首部開口部24と、ピストン16との間から、細胞などを含んだ保存液Bが漏洩することがないように構成されている。
そして、図7に示したように、保存液容器50内に収容した、例えば、エタノールなどの所定の保存液Bを、検査具本体12の先端に形成された開口部28を介して、ピストン室14内に注入する。
その後、キャップ部材20を検査具本体12の先端に形成された開口部28に装着し、密閉する。
そして、別途、図示しない、例えば、透明なビニール袋などからなる保存袋などの保存ケースに、自己採取検査具10を収納した後、所定の検査機関に、例えば、郵送、宅配便などにて送付して、所定の検査が行われるようになっている。
このように構成される本発明の自己採取検査具10によれば、ピストン16を引き戻した状態で、検査具本体12の後端に形成された首部開口部24を密封するシール部38が形成されるので、被験者が所定の保存液Bをピストン室14内に注入する注入操作の際、検査機関への輸送中、検査機関での検査の際に、首部開口部24と、ピストン16との間から、細胞などを含んだ保存液Bが漏洩して、検査員などが、感染症などに感染するおそれがない、シール性能に優れた自己採取検査具10を提供することができる。
(実施例2)
図9は、本発明の別の実施例の自己採取検査具10の図2と同様な部分拡大断面図である。
この実施例の自己採取検査具10は、図1~図8に示した実施例の自己採取検査具10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例の自己採取検査具10では、図9に示したように、シール部38が、ピストン16の拡径されたピストン部36の外周壁36aと、検査具本体12のピストン室14の内周壁14aに、内周側に突設するように形成された内周突設シール部14bとによるシール部である。
このように構成することによって、ピストン16の拡径されたピストン部36の外周壁36aと、検査具本体12のピストン室14の内周壁14aに、内周側に突設するように形成された内周突設シール部14bとによるシール部であるので、ピストン16の拡径されたピストン部36の外周壁36aと、内周突設シール部14bとの間が確実にシールされ、シール性能に優れた自己採取検査具10を提供することができる。
なお、この場合、内周突設シール部14bの数、形状などは、特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
また、図1~図8の実施例1のような外周突設シール部35(第1の外周突設シール部35aと第2の外周突設シール部35b)と組み合わせることも可能である。
(実施例3)
図10は、本発明の別の実施例の自己採取検査具10の図2と同様な部分拡大断面図である。
この実施例の自己採取検査具10は、図1~図8に示した実施例の自己採取検査具10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例の自己採取検査具10では、図10に示したように、シール部38が、検査具本体12の首部22に位置するピストン棒部21と、検査具本体12の後端の首部22の内周壁22aとの間に形成されているシール部である。
すなわち、この実施例の自己採取検査具10では、図10に示したように、シール部38が、検査具本体12の首部22に位置するピストン16のピストン棒部21の外周壁21aに、外周側に突設するように形成された首部外周突設シール部21bと、検査具本体12の後端の首部22の内周壁22aとによるシール部である。
このように構成することによって、検査具本体12の首部22に位置するピストン16のピストン棒部21の外周壁21aに、外周側に突設するように形成された首部外周突設シール部21bと、検査具本体12の後端の首部22の内周壁22aとによるシール部であるので、首部外周突設シール部21bと、検査具本体12の後端の首部22の内周壁22aとの間が確実にシールされ、シール性能に優れた自己採取検査具10を提供することができる。
なお、この場合、首部外周突設シール部21bの数、形状などは、特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
また、図10に示した実施例では、図1~図8の実施例1のような外周突設シール部35(第1の外周突設シール部35aと第2の外周突設シール部35b)と組み合わせた実施例を示しているが、組み合わせなくて単独でも良く、また、図9に示した実施例2のような内周突設シール部14bと組み合わせるようにしても良い。
(実施例4)
図11は、本発明の別の実施例の自己採取検査具10の図2と同様な部分拡大断面図である。
この実施例の自己採取検査具10は、図1~図8に示した実施例の自己採取検査具10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例の自己採取検査具10では、図10に示したように、シール部38が、検査具本体12の首部22に位置するピストン棒部21と、検査具本体12の後端の首部22の内周壁22aとの間に形成されているシール部である。
すなわち、この実施例の自己採取検査具10では、図11に示したように、シール部38が、検査具本体12の首部22に位置するピストン16のピストン棒部21の外周壁21aと、検査具本体12の後端の首部22の内周壁22aに、内周側に突設するように形成された首部内周突設シール部22bとによるシール部である。
なお、この場合、図11に示したように、検査具本体12の首部22に位置するピストン16のピストン棒部21の外周壁21aの径は、ピストン棒部21のピストン棒本体21cの径より若干大きくなっている。
これにより、ピストン16の操作部26のハンドル25を操作して、ピストン16を押し出し引き戻す際に、ピストン棒部21のピストン棒本体21cが、首部内周突設シール部22bと接触せず、円滑にピストン16の押し出し操作、引き戻し操作が可能なように構成されている。
このように構成することによって、検査具本体12の首部22に位置するピストン16のピストン棒部21の外周壁21aと、検査具本体12の後端の首部22の内周壁22aに、内周側に突設するように形成された首部内周突設シール部22bとによるシール部であるので、ピストン棒部21の外周壁21aと、首部内周突設シール部22bとの間が確実にシールされ、シール性能に優れた自己採取検査具10を提供することができる。
なお、この場合、首部内周突設シール部22bの数、形状などは、特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
また、図11に示した実施例では、図1~図8の実施例1のような外周突設シール部35(第1の外周突設シール部35aと第2の外周突設シール部35b)と組み合わせた実施例を示しているが、組み合わせなくて単独でも良く、また、図9に示した実施例2のような内周突設シール部14b、図10に示した実施例3のような首部外周突設シール部21bと組み合わせるようにしても良い。
(実施例5)
図12は、本発明の別の実施例の自己採取検査具10の図2と同様な部分拡大断面図である。
この実施例の自己採取検査具10は、図1~図8に示した実施例の自己採取検査具10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例の自己採取検査具10では、図12に示したように、シール部38が、ピストン16の拡径されたピストン部36の後端壁36bと、検査具本体12のピストン室14の後端壁14cとの間に形成されているシール部である。
すなわち、この実施例の自己採取検査具10では、図12に示したように、シール部38が、ピストン16の拡径されたピストン部36の後端壁36bに突設するように形成された後端突設シール部36cと、検査具本体12のピストン室14の後端壁14cとによるシール部である。
なお、後端突設シール部36cの数、形状などは、特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
また、この実施例の自己採取検査具10では、図1~図8に示した実施例1の外周突設シール部35(第1の外周突設シール部35aと第2の外周突設シール部35b)が形成されている。
さらに、この実施例の自己採取検査具10では、図10に示した実施例3のような、ピストン棒部21の外周壁21aに形成された首部外周突設シール部21bと、図11に示した実施例4のような、検査具本体12の後端の首部22の内周壁22aに、内周側に突設するように形成された首部内周突設シール部22bを形成している。
これにより、図12に示したように、ピストン16を引き戻した固定位置(シール位置)において、ピストン棒部21の外周壁21aに形成された首部外周突設シール部21bが、検査具本体12の後端の首部22の内周壁22aに、内周側に突設するように形成された首部内周突設シール部22bを乗り越えて、固定状態とすることができる。
これにより、ピストン16の固定位置が被験者にとって分かり易くなり、確実にシール状態を維持することができるように構成されている。
このように構成することによって、ピストン16の拡径されたピストン部36の後端壁36bに突設するように形成された後端突設シール部36cと、検査具本体12のピストン室14の後端壁14cであるので、後端突設シール部36cと、検査具本体12のピストン室14の後端壁14cとの間が確実にシールされ、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、図12に示した実施例では、図10に示した実施例3のような、ピストン棒部21の外周壁21aに形成された首部外周突設シール部21bと、図11に示した実施例4のような、検査具本体12の後端の首部22の内周壁22aに、内周側に突設するように形成された首部内周突設シール部22bを形成している。
しかしながら、このような組み合わせでなくて単独でも良く、また、図9に示した実施例2のような内周突設シール部14bと組み合わせるようにしても良い。
(実施例6)
図13は、本発明の別の実施例の自己採取検査具10の図2と同様な部分拡大断面図である。
この実施例の自己採取検査具10は、図1~図8に示した実施例の自己採取検査具10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例の自己採取検査具10では、図12の実施例5と同様に、図13に示したように、シール部38が、ピストン16の拡径されたピストン部36の後端壁36bと、検査具本体12のピストン室14の後端壁14cとの間に形成されているシール部である。
そして、この実施例の自己採取検査具10では、図13に示したように、シール部38が、ピストン16の拡径されたピストン部36の後端壁36bと、検査具本体12のピストン室14の後端壁14cに形成されたピストン後端突設シール部14dとによるシール部である。
なお、ピストン後端突設シール部14dの数、形状などは、特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
また、この実施例の自己採取検査具10では、図1~図8に示した実施例1の外周突設シール部35(第1の外周突設シール部35aと第2の外周突設シール部35b)が形成されている。
さらに、この実施例の自己採取検査具10では、図10に示した実施例3のような、ピストン棒部21の外周壁21aに形成された首部外周突設シール部21bと、図11に示した実施例4のような、検査具本体12の後端の首部22の内周壁22aに、内周側に突設するように形成された首部内周突設シール部22bを形成している。
これにより、図12に示した実施例5と同様に、ピストン16を引き戻した固定位置(シール位置)において、ピストン棒部21の外周壁21aに形成された首部外周突設シール部21bが、検査具本体12の後端の首部22の内周壁22aに、内周側に突設するように形成された首部内周突設シール部22bを乗り越えて、固定状態とすることができ、確実にシール状態を維持することができるように構成されている。
このように構成することによって、ピストン16の拡径されたピストン部36の後端壁36bと、検査具本体12のピストン室14の後端壁14cに形成されたピストン後端突設シール部14dとによるシール部であるので、ピストン16の拡径されたピストン部36の後端壁36bと、ピストン後端突設シール部14dとの間が確実にシールされ、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
また、図13に示した実施例では、図10に示した実施例3のような、ピストン棒部21の外周壁21aに形成された首部外周突設シール部21bと、図11に示した実施例4のような、検査具本体12の後端の首部22の内周壁22aに、内周側に突設するように形成された首部内周突設シール部22bを形成している。
しかしながら、このような組み合わせでなくて単独でも良く、また、図9に示した実施例2のような内周突設シール部14bと組み合わせるようにしても良い。
(実施例7)
図14は、本発明の別の実施例の自己採取検査具10の図2と同様な部分拡大断面図である。
この実施例の自己採取検査具10は、図1~図8に示した実施例の自己採取検査具10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例の自己採取検査具10では、Oリング部材44が、ピストン16の軸方向に縦長形状に形成されている。そして、Oリング部材44が、外周側に突設する先端シール部44aと、後端シール部44bとが形成されている。
このように構成することによって、Oリング部材44が、ピストン16の軸方向に縦長形状に形成されるとともに、先端シール部44aと、後端シール部44bが形成されているので、先端シール部44aと、後端シール部44bによる二重のシールによって、確実にシールされ、シール性能に優れた自己採取検査具を提供することができる。
なお、この場合、図14に示したように、先端シール部44aの外径が、後端シール部44bの外径より大きく形成されている。
これにより、図14に示したように、ピストン16を引き戻した固定位置(シール位置)において、検査具本体12のピストン室14の後端の内周壁14aに、後端シール部44bが当接するとともに、検査具本体12のピストン室14の本体部14eの内壁14fに、先端シール部44aが当接して、二重のシール構造となって確実にシール性が維持されるようになっている。
なお、この実施例の場合にも、図1~図13のそれぞれの実施例のシール部38と組み合わせることができることは勿論である。
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、自己採取検査具として、HPVの感染に伴う異常な細胞(ASC-US、LSIL)などの子宮がん、ならびに、中等度異形成、高度異形成などの、子宮がんの一歩手前の異常細胞も採収して、子宮がん検査に適用することが可能な、いわゆる「加藤式」と呼ばれる、擦過式の自己採取検査具として説明した。
しかしながら、例えば、喉の奥、耳、鼻など、その他の人体の部位の細胞などを採取する場合にも適用することが可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。