以下、図面を参照して、本実施の形態について説明する。なお、本実施の形態では、本発明に係る画像処理装置をインクジェット方式の画像形成装置10に適用した形態を例示して説明する。
(第1の実施形態)
まず、画像形成装置10の構成について説明する。
図1に示すように、画像形成装置10は、ヘッドユニット26、給紙ロール22、巻取ロール24、制御部50、乾燥部30、及び画像読取部40を備えている。
ヘッドユニット26は、記録媒体としての連帳紙(ロール紙)Pに液滴としてのインク滴を吐出して連帳紙Pに画像を形成するものである。ヘッドユニット26は、画像形成部の一例である。このヘッドユニット26は、K(ブラック)色の画像を形成するインクジェットヘッド12Kと、C(シアン)色の画像を形成するインクジェットヘッド12Cと、M(マゼンタ)色の画像を形成するインクジェットヘッド12Mと、Y(イエロー)色の画像を形成するインクジェットヘッド12Yとを備えている。
そして、各インクジェットヘッド12は、K→C→M→Yの順番で連帳紙Pの搬送方向Sに沿って配置されている。なお、各インクジェットヘッド12が整列する順番は一例であって、上記の順番に限定されることはない。また、以後の説明では、C、M、Y、Kを区別しない場合には、符号に付しているC、M、Y、Kを省略する。なお、第1の実施形態における画像形成装置10は、所謂シングルパス方式であり、インクジェットヘッド12が連帳紙Pの各位置を1回だけ通過することにより印刷が行われる。ただし、画像形成装置10は、シングルパス方式に限定されるものではない。
ここで、第1の実施形態では、制御部50が各ヘッドユニット26のノズルを識別するために、各ヘッドユニット26のノズルに1、2、・・・と1から順番にノズル番号を付与している。そして、第1の実施形態では、ノズル番号を4で割った余りが後述する識別番号に対応している。例えば、ノズル番号が「5」の場合、ノズル番号を4で割った余りである「1番」の識別番号となり、ノズル番号が「6」の場合、ノズル番号を4で割った余りである「2番」の識別番号となる。
給紙ロール22は、図示しないフレーム部材に回転可能に支持されている。この給紙ロール22には、連帳紙Pが巻き付けられている。そして、給紙ロール22は、図1を正面視して時計回りに回転することで、ヘッドユニット26に対して連帳紙Pを供給する。
巻取ロール24は、図示しないフレーム部材に回転可能に支持されている。そして、巻取ロール24が図示しないモータから回転力を受けて図1を正面視して時計回りに回転することで連帳紙Pが巻き取られ、連帳紙Pが搬送方向Sに沿って搬送される。
制御部50は、画像形成装置10の動作を制御するものである。制御部50の詳細については後述する。
乾燥部30は、ヘッドユニット26よりも搬送方向Sの下流側に配置されている。この乾燥部30は、連帳紙Pに向けて発熱源(光)を照射し、発熱源(光)に依存する発熱により連帳紙Pに吐出されたインク滴を乾燥させて、連帳紙Pへの画像の定着を図るものである。
画像読取部40は、乾燥部30よりも搬送方向Sの下流側、かつ巻取ロール24よりも搬送方向Sの上流側に配置されている。この画像読取部40は、ILS(In Line Sensor)とも称され、連帳紙Pに記録された画像を読み取るものである。画像読取部40は、例えば、搬送方向Sに対する交差方向Tにラインセンサが設けられており、連帳紙Pの搬送に応じてラインセンサで読み取りを行うことで、連帳紙Pに記録された二次元の画像情報を取得する。そして、画像読取部40は、取得した画像情報を制御部50へ送信する。
以上のように構成された画像形成装置10は、以下のように動作する。
まず、巻取ロール24が図示しないモータにより、図1を正面視して時計回りに回転する。これにより、給紙ロール22から供給される連帳紙Pは、搬送方向Sへの張力が付与されることで搬送方向Sに沿って搬送される。その後、連帳紙Pは、ヘッドユニット26によりインク滴が吐出され、画像が形成される。そして、連帳紙Pに吐出されたインク滴が乾燥部30により乾燥されることで、連帳紙Pに画像が定着する。連帳紙Pに記録された画像は、画像読取部40に読み取られ、二次元の画像情報として制御部50へ送信される。
次に、制御部50と、この制御部50に接続される構成とについて説明する。
図2に示すように、制御部50は、CPU51(Central Processing Unit)、ROM54(Read Only Memory)、RAM55(Random Access Memory)、及び入出力インターフェース(I/O56)がバスを介して各々接続されている。
ROM54には、CPU51に実行させる各種のプログラムが記憶されている。この各種のプログラムには、少なくとも、コンピュータを後述する算出部52及び補正部53として機能させるための画像処理プログラムが含まれている。そして、CPU51は、ROM54から各種のプログラムを読み出してRAM55に展開することで、各種のプログラムを実行する。なお、上記の画像処理プログラムは、画像形成装置10に予めインストールされていてもよいし、不揮発性の記憶媒体に記憶したり、又は、ネットワークを介して配布したりして、画像形成装置10に適宜インストールしてもよい。不揮発性の記憶媒体の例としては、CD-ROM、光磁気ディスク、HDD、DVD-ROM、フラッシュメモリ、メモリカード等が想定される。
また、I/O56には、通信部60、不揮発性メモリ62、ヘッドユニット26、乾燥部30及び画像読取部40が接続されている。
通信部60は、図示しないパーソナルコンピュータ等の端末装置と画像形成装置10とが相互にデータ通信を行うためのインターフェースである。
不揮発性メモリ62には、後述する補正テーブルに格納する出力画素値を生成するための元データとなる出力画素値が格納された元データテーブル(図6参照)と、元データとなる出力画素値に加算する調整値が格納された調整値テーブル(図7から図10参照)と、複数の補正テーブル(図11から図15参照)とが記憶されている。補正テーブルは対応表の一例である。なお、元データテーブル、調整値テーブル、及び補正テーブルの詳細については後述する。
ここで、画像形成装置10では、連帳紙Pに対して画像が形成される場合に、例えば、ヘッドユニット26のノズルが詰まることでインク滴が吐出されず、連帳紙Pの搬送方向Sに連続して白筋が発生することがある。以下では、連帳紙Pに対して画像が形成される場合にインク滴が吐出されないヘッドユニット26のノズルを「不吐出ノズル」と称する。
そして、制御部50のCPU51は、上記の白筋の低視認化を図るべく、不吐出ノズルに隣接する隣接ノズルに対応する画素の入力画素値を変動させた出力画素値を用いて画像を形成させるための算出部52及び補正部53として機能する。以下では、隣接ノズルに対応する画素の入力画素値を変動させ、対応する出力画素値を生成することを「補正」と称する。
次に、制御部50のCPU51が機能する算出部52及び補正部53の詳細について説明する。
まず、算出部52について説明する。
算出部52は、不吐出ノズルに隣接する隣接ノズルの着弾位置のずれを算出するものである。「着弾位置のずれ」とは、吐出異常がないとした場合の設計上の理想の着弾位置からのずれ量をいう。なお、この「着弾位置のずれ」の実際の測定値の単位はμmであるが、以下では数値の後の単位を省略し、数値の前に「+」又は「-」を付して記載する。「+」及び「-」の付し方については後述する。
算出部52は、ヘッドユニット26により吐出されるインク滴に関する情報を取得するインク滴情報取得処理の中で隣接ノズルの着弾位置のずれを算出する。このインク滴情報取得処理は、制御部50により制御され、例えば、画像形成装置10の製造時(出荷時)に実行される。なお、インク滴情報取得処理の実行契機は、これに限らず、画像形成装置10に対しユーザが操作を行った場合や、予め設定されたインク滴情報取得処理の実行時期に達した場合としてもよい。
インク滴情報取得処理では、まず、ヘッドユニット26がインク滴の理想の着弾位置が予め定められている印字パターン(以下、「テストパターン」とする)の画像を形成する。なお、このテストパターンの画像データは、制御部50のROM54に記憶されている。
次に、インク滴情報取得処理では、画像読取部40がテストパターンの印字結果に基づいて不吐出ノズルを検出する。具体的には、画像読取部40は、実際にヘッドユニット26により吐出されたインク滴の着弾位置の位置情報からインク滴の濃度に関する濃度情報を測定し、インク滴が吐出されなかったノズルを「不吐出ノズル」として検出する。
インク滴情報取得処理では、画像読取部40による不吐出ノズルの検出後、算出部52がテストパターンの画像データと実際の着弾位置の位置情報とを比較して、隣接ノズルの着弾位置のずれを算出する。なお、インク滴情報取得処理は、算出部52が隣接ノズルの着弾位置のずれを算出したことに基づいて終了する。テストパターンの画像データは基本情報の一例である。
算出部52は、搬送方向Sに対する交差方向Tに着弾位置のずれが生じた場合、交差方向Tの向きに応じて、補正部53により行われる補正の程度を示す補正強度が変化するよう補正値を算出する。また、交差方向Tの一方側と他方側を区別する必要がある場合は、図3に示す連帳紙Pの右側を+T側、左側を-T側と記載する。
具体的には、算出部52は、図3に示すように、隣接ノズルの着弾位置のずれが連帳紙Pに対して+T側に生じた場合は正数で着弾位置のずれを算出し、隣接ノズルの着弾位置のずれが連帳紙Pに対して-T側に生じた場合は負数で着弾位置のずれを算出する。
また、算出部52は、上記で算出した着弾位置のずれを用いて隣接ノズルに対応する画素の入力画素値を補正するための補正値を算出する。
具体的には、算出部52は、「不吐出ノズルの+T側の隣接ノズルの着弾位置のずれ」から、「不吐出ノズルの-T側の隣接ノズルの着弾位置のずれ」を減じることにより補正値を算出する。
ここで、算出部52は、隣接ノズルの着弾位置のずれが生じた交差方向Tの向きが不吐出ノズルから離れる方向である場合には、交差方向Tの向きが不吐出ノズルに近付く方向である場合に比べて、補正強度が強くなるよう補正値を算出する。また、算出部52は、隣接ノズルの着弾位置のずれが生じた交差方向Tの向きが不吐出ノズルに近付く方向である場合には、交差方向Tの向きが不吐出ノズルから離れる方向である場合に比べて、補正強度が弱くなるよう補正値を算出する。
以下、図3から図5に示す着弾位置のずれの一例を示す図を用いて、算出部52により補正値が算出される流れについて説明する。
図3から図5においては、破線で示す円が、不吐出ノズルから吐出されなかったインク滴を概念的に示しており、実線で示す円が、隣接ノズルから吐出されたインク滴の一部を概念的に示している。
また、図3から図5においては、連帳紙Pにおける交差方向Tの中央付近から搬送方向Sに沿って延びる破線が、不吐出ノズルから吐出されなかったインク滴の理想の着弾位置である理想着弾位置Xを概念的に示している。
以下同様に、理想着弾位置Xの+T側において搬送方向Sに沿って延びる一点鎖線が、不吐出ノズルの+T側の隣接ノズルから吐出されるインク滴の理想の着弾位置である理想着弾位置Yを概念的に示している。理想着弾位置Xの-T側において搬送方向Sに沿って延びる一点鎖線が、不吐出ノズルの-T側の隣接ノズルから吐出されるインク滴の理想の着弾位置である理想着弾位置Zを概念的に示している。
さらに、図3から図5においては、搬送方向Sに沿って延びる二点鎖線が、不吐出ノズルの+T側又は-T側の隣接ノズルから吐出されたインク滴の実際の着弾位置である実着弾位置Y’又は実着弾位置Z’を概念的に示している。そして、理想着弾位置Yと実着弾位置Y’との交差方向Tの距離、及び、理想着弾位置Zと実着弾位置Z’との交差方向Tの距離が着弾位置のずれであり、「不吐出ノズルの+T側の隣接ノズルの着弾位置のずれ」から、「不吐出ノズルの-T側の隣接ノズルの着弾位置のずれ」を減じた値が補正値である。
図3に示す一例では、実着弾位置Y’は理想着弾位置Yから+T側にずれており、算出部52は、その着弾位置のずれを「+2」と算出する。また、実着弾位置Z’は理想着弾位置Zから-T側にずれており、算出部52は、その着弾位置のずれを「-1.5」と算出する。そして、算出部52は、不吐出ノズルの+T側の隣接ノズルの着弾位置のずれである「+2」から、不吐出ノズルの-T側の隣接ノズルの着弾位置のずれである「-1.5」を減じることにより補正値「+3.5」を算出する(+2-(-1.5)=+3.5)。
図4に示す一例では、実着弾位置Y’は理想着弾位置Yから-T側にずれており、算出部52は、その着弾位置のずれを「-2」と算出する。また、実着弾位置Z’は理想着弾位置Zから+T側にずれており、算出部52は、その着弾位置のずれを「+1.5」と算出する。そして、算出部52は、不吐出ノズルの+T側の隣接ノズルの着弾位置のずれである「-2」から、不吐出ノズルの-T側の隣接ノズルの着弾位置のずれである「+1.5」を減じることにより補正値「-3.5」を算出する(-2-(+1.5)=-3.5)。
図5に示す一例では、実着弾位置Y’は理想着弾位置Yから-T側にずれており、算出部52は、その着弾位置のずれを「-2」と算出する。また、実着弾位置Z’は理想着弾位置Zから-T側にずれており、算出部52は、その着弾位置のずれを「-1.5」と算出する。そして、算出部52は、不吐出ノズルの+T側の隣接ノズルの着弾位置のずれである「-2」から、不吐出ノズルの-T側の隣接ノズルの着弾位置のずれである「-1.5」を減じることにより補正値「-0.5」を算出する(-2-(-1.5)=-0.5)。
補正テーブルの詳細については後述するが、第1の実施形態における補正強度は、「弱い」、「やや弱い」、「普通」、「やや強い」、「強い」の5種類が設けられている。そして、第1の実施形態では、補正値の正の値が大きくなるほど、補正強度の強い補正テーブルが用いられ、補正値の負の値が大きくなるほど、補正強度の弱い補正テーブルが用いられることとなっている。そのため、着弾位置のずれが不吐出ノズルから離れる方向に生じた図3に示す一例は、着弾位置のずれが不吐出ノズルに近付く方向に生じた図4に示す一例に比べて、補正強度が強くなるよう補正値が算出されている。
また、第1の実施形態では、補正強度が強くなるほど隣接ノズルから吐出されるインク滴のうち、小滴よりも大きい大滴が吐出される数を多くしている。さらに、第1の実施形態では、補正強度が弱くなるほど隣接ノズルから吐出されるインク滴のうち、小滴よりも大きい大滴が吐出される数を少なくしている。そのため、第1の実施形態では、補正強度が強くなるほど不吐出ノズル周辺の濃度が濃くなり、補正強度が弱くなるほど不吐出ノズル周辺の濃度が薄くなっている。
第1の実施形態では、算出部52により算出された補正値が、「-4未満」の場合は「弱い」、「-4以上-1未満」の場合は「やや弱い」、「-1以上+2未満」の場合は「普通」、「+2以上+5未満」の場合は「やや強い」、「+5以上」の場合は「強い」の補正強度の補正テーブルにそれぞれ対応する。
次に、補正部53について説明する。
補正部53は、隣接ノズルに対応する画素の入力画素値を算出部52により算出された補正値を用いて補正するものである。
具体的には、補正部53は、不揮発性メモリ62に記憶された元データテーブル及び調整値テーブルを用いて、各補正テーブルに格納される入力画素値に対応する出力画素値を生成する。
図6に示す元データテーブルは、着弾位置のずれを考慮しない場合における隣接ノズルに対応する画素の出力画素値が格納されたテーブルである。
元データテーブルは、インク滴の色(C、M、Y、K)毎に応じた4種類がある。具体的には、図6(A)はC(シアン)用、図6(B)はM(マゼンタ)用、図6(C)はY(イエロー)用、図6(D)はK(ブラック)用の元データテーブルである。
各元データテーブルには、着弾位置のずれを考慮しない場合における隣接ノズルに対応する画素の出力画素値が、入力画素値に対応して格納されている。具体的には、この出力画素値は、先打ちのインク滴、及び、先打ちのインク滴の後に連帳紙Pに着弾する後打ちのインク滴の各々に対応する4種類の識別番号(0番、1番、2番、3番)毎に分かれて格納されている。「1番」及び「3番」の奇数の識別番号は、先打ちのインク滴に対応したものであり、「0番」及び「2番」の偶数の識別番号は、後打ちのインク滴に対応したものである。先打ちのインク滴は第1の液滴の一例であり、後打ちのインク滴は第2の液滴の一例である。
上記のように、元データテーブルには、隣接ノズルに対応する画素の出力画素値が格納されているため、この出力画素値を用いて連帳紙Pに画像を形成することで、不吐出ノズルにより発生する白筋を目立たなくすることも可能である。ただし、元データテーブルに格納された出力画素値は、着弾位置のずれが考慮されていないため、以下の調整値テーブルに格納された調整値を用いて着弾位置のずれを考慮することが望ましい。
そこで、補正部53は、算出部52により算出された補正値を用いて調整値テーブルに格納された調整値を決定し、当該決定した調整値を元データテーブルに格納された出力画素値に加算することで、着弾位置のずれを考慮した出力画素値を生成している。
図7から図10に示す調整値テーブルは、着弾位置のずれを考慮して隣接ノズルに対応する画素の出力画素値を生成するための調整値が格納されたテーブルである。調整値には、「0」、「負数」、及び「正数」の3種類がある。
調整値テーブルは、インク滴の色(C、M、Y、K)毎に応じた4種類がある。図7はC(シアン)用、図8はM(マゼンタ)用、図9はY(イエロー)用、図10はK(ブラック)用の調整値テーブルである。
インク滴の各色の調整値テーブルには、更に、各識別番号(0番、1番、2番、3番)に対応する4種類のテーブルがある。このように、調整値テーブルは、インク滴の色(C、M、Y、K)毎に応じた4種類があり、更に、この4種類の調整値テーブルの中に、各識別番号(0番、1番、2番、3番)に対応する4種類のテーブルがある。
そして、各調整値テーブルには、隣接ノズルに対応する画素の入力画素値に対応する調整値が格納されている。具体的には、この調整値は、5種類の補正強度(弱い、やや弱い、普通、やや強い、強い)毎に分かれて格納されている。
例えば、図7(A)に示すように、「補正強度:弱い」及び「補正強度:やや弱い」に対応する調整値としては「0」又は「負数(-4又は-2)」が格納されている。また、「補正強度:普通」に対応する調整値としては「0」が格納されている。さらに、「補正強度:やや強い」及び「補正強度:強い」に対応する調整値としては「0」又は「正数(2又は4)」が格納されている。
そのため、補正部53は、補正強度が「弱い」から「強い」に向かうにつれ、隣接ノズルに対応する画素の出力画素値を大きく生成し、補正強度が「強い」から「弱い」に向かうにつれ、隣接ノズルに対応する画素の出力画素値が小さく生成しているといえる。
図11から図15に示す補正テーブルは、補正部53により、調整値を元データテーブルに格納された出力画素値に加算して生成された、着弾位置のずれを考慮した出力画素値(以下、「補正後の出力画素値」とする)が格納されたテーブルである。
補正テーブルは、補正強度の強弱に応じて、「補正強度:弱い」、「補正強度:やや弱い」、「補正強度:普通」、「補正強度:やや強い」、「補正強度:強い」の5種類が設けられている。具体的には、図11は「補正強度:弱い」用、図12は「補正強度:やや弱い」用、図13は「補正強度:普通」用、図14は「補正強度:やや強い」用、図15は「補正強度:強い」用の補正テーブルである。
各補正テーブルには、補正後の出力画素値が、隣接ノズルに対応する画素の入力画素値に対応して格納されている。具体的には、この出力画素値は、インク滴の色(C、M、Y、K)毎に分かれて格納されている。なお、補正テーブルに格納されている補正後の出力画素値には、入力画素値と出力画素値とが等しいもの、出力画素値が入力画素値よりも大きいもの、及び出力画素値が入力画素値よりも小さいものがある。補正後の出力画素値は補正情報の一例である。
そして、補正テーブルでは、インク滴の色(C、M、Y、K)毎に、格納されている補正後の出力画素値の値が異なっている。例えば、図11(B)に示すように、入力画素値が190である場合には、C(シアン)の出力画素値は「193」となり、M(マゼンタ)の出力画素値は「189」となり、Y(イエロー)の出力画素値は「192」となり、K(ブラック)の出力画素値は「188」となる。
また、各補正強度の補正テーブルは、更に、各識別番号(0番、1番、2番、3番)に対応する4種類のテーブルに分かれている。
以上のように、第1の実施形態では、補正強度の強弱に応じた5種類の補正テーブルがあり、更に、この5種類の補正テーブルの中に、先打ちのインク滴、後打ちのインク滴の各々に対応する4種類の補正テーブルがある。
以下、一例として、補正部53により、「補正強度:弱い」かつ「0番」の補正テーブル(図11(A)参照)における入力画素値「5」に対応するC(シアン)の出力画素値「8」が生成される流れについて説明する。
まず、補正部53は、図6(A)に示すC(シアン)のインク滴の元データテーブルから、入力画素値「5」の場合における「0番」の補正テーブルに対応する出力画素値「8」を読み出す。また、補正部53は、図7(A)に示すC(シアン)のインク滴の調整値テーブルから、入力画素値「5」の場合における「補正強度:弱い」の補正テーブルに対応する調整値「0」を読み出す。その後、補正部53は、上記で読み出した出力画素値「8」に調整値「0」を加算した値「8」を、図11(A)に示す「補正強度:弱い」かつ「0番」の補正テーブルにおける入力画素値「5」に対応するC(シアン)の出力画素値の領域に格納する。これにより、このC(シアン)の出力画素値の領域には、補正後の出力画素値「8」が格納される。
そして、補正部53は、上記の処理を繰り返して行うことにより、各補正テーブルに格納される補正後の出力画素値を生成する。
また、補正部53は、補正強度の強弱に応じた5種類の補正テーブルから、算出部52により算出された補正値を用いて、当該補正で用いる補正テーブルを決定する。そして、補正部53は、当該決定した補正テーブルの中から、対応する補正後の出力画素値を用いて、ヘッドユニット26に画像を形成させる。
まず、補正部53は、算出部52により算出された補正値が、「-7以上-4未満」の場合には「弱い」、「-4以上-1未満」の場合には「やや弱い」、「-1以上+2未満」の場合には「普通」、「+2以上+5未満」の場合には「やや強い」、「+5以上+8未満」の場合には「強い」の補正強度の補正テーブルに決定する。なお、補正部53は、補正値が「-7」よりも小さい場合には「補正強度:弱い」の補正テーブルに決定したり、補正値が「+8」よりも大きい場合には「補正強度:強い」の補正テーブルに決定したりしてもよいし、エラーとして補正テーブルの決定を行わなくてもよい。
例えば、補正部53は、算出部52により算出された補正値が「-5」の場合には「補正強度:弱い」の補正テーブルに決定し、この補正テーブルに格納された補正後の出力画素値を用いてヘッドユニット26に画像を形成させる。
以下、後打ちのインク滴を吐出するヘッドユニット26のノズル(ノズル番号「6」)が不吐出ノズルとなり、先打ちのインク滴が補正滴となった場合を例にして説明する。
補正部53は、不吐出ノズル(ノズル番号「6」)の+T側の隣接ノズル(ノズル番号「5」)に対応する補正テーブルを、図11(B)に示す「1番」の補正テーブルに設定する。同様に、補正部53は、不吐出ノズル(ノズル番号「6」)の-T側の隣接ノズル(ノズル番号「7」)に対応する補正テーブルを、図11(D)に示す「3番」の補正テーブルに設定する。
そして、入力画素値が190である場合、ヘッドユニット26は、図11(B)に示すように、隣接ノズル(ノズル番号「5」)の出力画素値をC:193、M:189、Y:192、K:188として画像を形成する。同様に、入力画素値が190である場合、ヘッドユニット26は、図11(D)に示すように、隣接ノズル(ノズル番号「7」)の出力画素値をC:197、M:189、Y:196、K:188として画像を形成する。
(第1の実施形態の作用効果)
算出部52は、着弾位置のずれを用いて隣接ノズルに対応する画素の入力画素値を補正するための補正値を算出し、補正部53は、算出部52により算出された補正値を用いて隣接ノズルに対応する画素の入力画素値を補正する。
つまり、第1の実施形態では、隣接ノズルに対応する画素の入力画素値を補正する際に着弾位置のずれを考慮している。例えば、算出部52は、不吐出ノズルの+T側及び-T側の隣接ノズルの着弾位置のずれが不吐出ノズルから離れる方向に生じた場合には、補正値を正数で算出する。そして、第1の実施形態では、補正値の正の値が大きくなるほど補正強度の強い補正テーブルが用いられ、不吐出ノズル周辺の濃度を濃くすることができる。これにより、第1の実施形態では、例えば、不吐出ノズルの+T側及び-T側の隣接ノズルの着弾位置のずれが不吐出ノズルから離れる方向に生じても、その着弾位置のずれを考慮して不吐出ノズル周辺の濃度を調整できる。
そのため、第1の実施形態によれば、不吐出ノズルにより発生する白筋を目立たなくする補正を行う場合において、不吐出ノズルに隣接する隣接ノズルから吐出されるインク滴の着弾位置がずれた際における補正効果の低下を抑制できる。
算出部52は、搬送方向Sに対する交差方向Tに着弾位置のずれが生じた場合、交差方向Tの向きに応じて、補正部53により行われる補正の補正強度が変化するよう補正値を算出する。
具体的には、算出部52は、隣接ノズルの着弾位置のずれが不吐出ノズルから離れる方向に生じた場合には、隣接ノズルの着弾位置のずれが生じない場合に比べて、補正強度が強くなるよう補正値を算出する。また、算出部52は、隣接ノズルの着弾位置のずれが不吐出ノズルに近付く方向に生じた場合には、隣接ノズルの着弾位置のずれが生じない場合に比べて、補正強度が弱くなるよう補正値を算出する。
そのため、第1の実施形態によれば、着弾位置のずれが生じた交差方向Tの向きにかかわらず、一律に補正強度を一方向に変化させる構成に比べて、着弾位置のずれに応じた補正強度で補正を行うことができる。
また、第1の実施形態では、例えば、不吐出ノズルの+T側及び-T側の隣接ノズルの着弾位置のずれが不吐出ノズルから離れる方向に生じても、その着弾位置のずれを考慮して不吐出ノズル周辺の濃度を濃くすることで、着弾位置のずれに対処している。これにより、第1の実施形態では、隣接ノズルの着弾位置のずれが不吐出ノズルから離れる方向に生じても、不吐出ノズルにより発生する白筋を目立たなくすることができる。
そのため、第1の実施形態によれば、隣接ノズルの着弾位置のずれが不吐出ノズルから離れる方向に生じた場合に、隣接ノズルの着弾位置のずれが生じない場合よりも補正強度が弱い補正値が算出される構成に比べて、補正後に白筋が残ることを抑制できる。
また、第1の実施形態では、例えば、不吐出ノズルの+T側及び-T側の隣接ノズルの着弾位置のずれが不吐出ノズルに近付く方向に生じても、その着弾位置のずれを考慮して不吐出ノズル周辺の濃度を薄くすることで、着弾位置のずれに対処している。これにより、第1の実施形態では、隣接ノズルの着弾位置のずれが不吐出ノズルから近付く方向に生じても、補正滴が合一することにより必要以上に不吐出ノズル周辺の濃度が濃くなることを抑制できる。
そのため、第1の実施形態によれば、隣接ノズルの着弾位置のずれが不吐出ノズルに近付く方向に生じた場合に、隣接ノズルの着弾位置のずれが生じない場合よりも補正強度が強い補正値が算出される構成に比べて、補正後に黒筋が発生することを抑制できる。
また、第1の実施形態では、算出部52は、更に、隣接ノズルに対応する画素の入力画素値を用いて補正値の算出を行っている。
具体的には、算出部52は、隣接ノズルに対応する画素の入力画素値が「0以上100以下」又は「200以上255以下」の場合には、着弾位置のずれにかかわらず、補正値を「-5」と算出する。上記のように、補正値が「-5」の場合には、補正部53により、当該補正で用いる補正テーブルが「補正強度:弱い」の補正テーブルに決定される。つまり、算出部52は、隣接ノズルに対応する画素の入力画素値が「0以上100以下」又は「200以上255以下」の場合には、当該補正で「補正強度:弱い」の補正テーブルが用いられるよう補正値を算出している。
これにより、第1の実施形態では、例えば、隣接ノズルに対応する画素の入力画素値が低い場合(例:入力画素値「0以上100以下」)や、高い場合(例:入力画素値「200以上255以下」)に、必要以上に不吐出ノズル周辺の濃度が濃くなることを抑制できる。そのため、第1の実施形態によれば、補正値の算出に隣接ノズルに対応する画素の入力画素値を用いない構成に比べて、隣接ノズルに対応する画素の入力画素値に応じた補正強度で補正を行うことができる。
また、第1の実施形態では、算出部52は、更に、着弾干渉を考慮して補正値の算出を行っている。第1の実施形態では、算出部52は、着弾干渉として、後打ちのインク滴が補正滴となった場合を考慮して補正値の算出を行っている。
ここで、後打ちのインク滴は、先打ちのインク滴よりもインクの動的表面張力が高く、先打ちのインク滴と後打ちのインク滴とが合一する際には、後打ちのインク滴が先打ちのインク滴側へ引き寄せられやすいと考えられている。
そして、後打ちのインク滴が先打ちのインク滴側へ引き寄せられ、先打ちのインク滴と後打ちのインク滴とが合一した場合には、実際に着弾した位置よりも先打ちのインク滴側へずれて後打ちのインク滴が位置することとなる。つまり、先打ちのインク滴と後打ちのインク滴とが合一した場合には、補正滴となる後打ちのインク滴が不吐出ノズルに対応する画素から離れてしまう。
そこで、算出部52は、先打ちのインク滴を吐出するヘッドユニット26のノズルが不吐出ノズルとなり、この不吐出ノズルに隣接する隣接ノズルから吐出される後打ちのインク滴が補正滴となった場合には、その後打ちのインク滴に対し、先打ちのインク滴が補正滴となった場合に比べて、補正部53により行われる補正の補正強度が強くなるよう補正値を算出する。この場合、算出部52は、後打ちのインク滴を吐出する隣接ノズルの着弾位置のずれに「+3」を加算して補正値を算出する。つまり、この場合における補正値は、「(不吐出ノズルの+T側の隣接ノズルの着弾位置のずれ)-(不吐出ノズルの-T側の隣接ノズルの着弾位置のずれ)+(+3)」により算出される。
上記のように、着弾位置のずれに「+3」を加算して補正滴となる後打ちのインク滴で用いる補正値が算出されると、着弾位置のずれに「+3」が加算されずに補正滴となった先打ちのインク滴よりも、一段階強い補正強度の補正テーブルが当該補正で用いる補正テーブルとして補正部53により決定される。つまり、算出部52は、後打ちのインク滴が補正滴となった場合には、その後打ちのインク滴に対し、先打ちのインク滴が補正滴となった場合よりも一段階強い補正強度の補正テーブルが用いられるよう補正値を算出している。
以上のように構成されているため、第1の実施形態によれば、補正値の算出に着弾干渉を考慮しない構成に比べて、着弾干渉が生じた場合でも、精度よく不吐出ノズルにより発生する白筋を目立たなくすることができる。
具体的には、第1の実施形態では、後打ちのインク滴に対する補正強度を予め強く設定し、着弾干渉を考慮して不吐出ノズル周辺の濃度を濃くすることで、着弾干渉に対処している。そのため、第1の実施形態によれば、後打ちのインク滴が補正滴となった場合に、その後打ちのインク滴に対して、先打ちのインク滴が補正滴となった場合よりも補正強度が弱い補正値が算出される構成に比べて、精度よく不吐出ノズルにより発生する白筋を目立たなくすることができる。
補正部53は、補正強度の強弱に応じた5種類の補正テーブルから、算出部52により算出された補正値を用いて、当該補正で用いる補正テーブルを決定する。そして、補正部53は、当該決定した補正テーブルの中に格納されている入力画素値に対応する出力画素値を用いて、ヘッドユニット26に画像を形成させる。
つまり、第1の実施形態では、隣接ノズルに対応する画素に画像を形成する都度、当該出力する画素値を算出する必要がなく、既に格納されている入力画素値に対応する補正後の出力画素値を選択して、その出力画素値でヘッドユニット26に画像を形成させればよい。そのため、第1の実施形態によれば、隣接ノズルに対応する画素に画像を形成する都度、隣接ノズルに対応する画素の画素値を算出する構成に比べて、簡易に隣接ノズルに対応する画素に画像を形成できる。
(第2の実施形態)
本実施の形態の第2の実施形態について、第1の実施形態との重複部分を省略又は簡略しつつ説明する。
第2の実施形態における画像形成装置10は、非浸透性の記録媒体の一例として、コート紙に画像を形成する。「非浸透性の記録媒体」とは、非浸透性の記録媒体以外の記録媒体である普通紙等よりも液体の浸透が遅い記録媒体をいう。なお、非浸透性の記録媒体の一例としては、コート紙の他に、樹脂、金属、ガラス、セラミックス、シリコン、ゴム等を材料とするフィルム、板等が挙げられる。
そして、第2の実施形態における算出部52は、着弾干渉として、コート紙を用いた場合を考慮して補正値の算出を行っている。
ここで、コート紙にインク滴が吐出された場合には、コート紙以外の用紙にインク滴が吐出された場合に比べて、インク滴が用紙に浸透しにくいため、コート紙の表面にインク滴が高さを持って残存することがある。そして、この場合には、コート紙の表面に残存する先打ちのインク滴に後打ちのインク滴が引き寄せられ、先打ちのインク滴と後打ちのインク滴とが合一する着弾干渉が生じることがある。
上記の着弾干渉が生じた場合には、第1の実施形態と同様に、実際に着弾した位置よりも先打ちのインク滴側へずれて後打ちのインク滴が位置し、補正滴となる後打ちのインク滴が不吐出ノズルに対応する画素から離れてしまうことがある。
そこで、算出部52は、コート紙を用いた場合には、コート紙以外の用紙を用いた場合に比べて、補正部53により行われる補正の補正強度が強くなるよう補正値を算出する。
具体的には、算出部52は、隣接ノズルの着弾位置のずれに「+3」を加算して補正値を算出する。第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、着弾位置のずれに「+3」を加算して補正値が算出されると、着弾位置のずれに「+3」が加算される前よりも、一段階強い補正強度の補正テーブルが当該補正で用いる補正テーブルとして補正部53により決定される。つまり、算出部52は、コート紙を用いる第2の実施形態では、コート紙以外の用紙(連帳紙P)を用いる第1の実施形態よりも一段階強い補正強度の補正テーブルが用いられるよう補正値を算出している。
上記のように、第2の実施形態では、コート紙以外の用紙を用いた場合に比べて補正強度を予め強く設定し、着弾干渉を考慮して不吐出ノズル周辺の濃度を濃くすることで、着弾干渉に対処している。
そのため、第2の実施形態によれば、コート紙を用いた場合に、コート紙以外の用紙を用いた場合よりも補正強度が弱い補正値が算出される構成に比べて、コート紙を用いた場合でも、精度よく不吐出ノズルにより発生する白筋を目立たなくすることができる。
第2の実施形態における補正部53は、補正部53により行われる補正に関する補正情報としての入力画素値に対応する乗算値が格納された補正テーブルから、当該補正で用いる乗算値を決定する。
具体的には、補正部53は、図16に示すように、入力画素値が「0以上100未満」の場合には乗算値を「1.2」に決定し、入力画素値が「100以上200未満」の場合には乗算値を「1.5」に決定し、入力画素値が「200以上255以下」の場合には乗算値を「1.3」に決定する。
また、補正部53は、当該決定した乗算値及び算出部52により算出された補正値を用いて、隣接ノズルに対応する画素の入力画素値を補正し、入力画素値に対応する出力画素値を生成する。
ここで、第2の実施形態における補正後の出力画素値の算出式は、以下のようになっている。
出力画素値=入力画素値+基本値+補正値*乗算値
基本値とは、入力画素値、補正値、及び乗算値の数値にかかわらず、隣接ノズルに対応する画素の入力画素値に加算する固定値であり、補正部53の所定の記憶領域に格納されている。第2の実施形態では、基本値が「+10」に設定されている。
なお、補正部53は、上記の演算を行うことにより小数点以下が生じる場合には、小数点第1位で四捨五入を行う。
補正部53は、例えば、入力画素値が「100」であり、補正値が「+5」である場合には、補正後の出力画素値を「118」と算出する(100+10+(+5*1.5)=118)。なお、上記の補正値「+5」は、算出部52により、隣接ノズルの着弾位置のずれである「+2」に、コート紙を考慮した「+3」が加算されることにより算出されている。
上記のように、第2の実施形態における補正部53は、補正後の出力画素値を、入力画素値、基本値、補正値、及び乗算値を用いた演算により算出している。
そして、第2の実施形態における補正値は、複数の補正テーブルの中から対応する一の補正テーブルを決定するための閾値ではなく、補正後の出力画素値を算出する際に直接用いられる値といえる。
そのため、第2の実施形態によれば、一定の補正値の範囲内で共通の補正強度で補正を行う構成に比べて、精度よく隣接ノズルに対応する画素の画素値の補正を行うことができる。
(その他)
上記の実施形態では、算出部52は、着弾位置のずれを用いて隣接ノズルに対応する画素の入力画素値を補正するための補正値を算出し、補正部53は、算出部52により算出された補正値を用いて、不吐出ノズルの+T側及び-T側の隣接ノズルに対応する画素の入力画素値を補正するとした。例えば、上記の実施形態では、補正値が「-5」である場合、不吐出ノズルの+T側及び-T側の双方の隣接ノズルで「補正強度:弱い」の補正テーブルを用いることとした。
しかし、これに限らず、算出部52は、不吐出ノズルの+T側及び-T側の各々の隣接ノズルで補正値を算出し、補正部53は、算出部52により算出された各補正値を用いて、各々の隣接ノズルに対応する画素の入力画素値を補正してもよい。この際には、算出部52は、不吐出ノズルから離れる方向に隣接ノズルの着弾位置のずれが生じた場合には、その着弾位置のずれを正数で補正値として算出し、不吐出ノズルに近付く方向に隣接ノズルの着弾位置のずれが生じた場合には、その着弾位置のずれを負数で補正値として算出してもよい。
上記のように構成すれば、不吐出ノズルの+T側及び-T側の各々の隣接ノズルで補正強度の異なる補正テーブルに決定しつつ、補正値の正の値が大きくなるほど補正強度の強い補正テーブルを用い、補正値の負の値が大きくなるほど補正強度の弱い補正テーブルを用いることができる。
上記の実施形態では、補正部53は、元データテーブル及び調整値テーブルを用いて、各補正テーブルに格納される入力画素値に対応する出力画素値を生成することとした。しかし、元データテーブル及び調整値テーブルを備えずに、着弾位置のずれが予め考慮された隣接ノズルに対応する画素の出力画素値が格納された補正テーブルのみを備える構成としてもよい。