JP7180114B2 - 熱収縮性ポリエステル系フィルムロール - Google Patents
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Description
本発明は以下の構成によりなる。
1.熱収縮性ポリエステル系フィルムをコアに巻き取ってなるフィルムロールであって、下記要件(1) ~ (4)を満たす熱収縮性ポリエステル系フィルムロール。
(1)有効巻長が3000m以上30000m以下であること
(2)前記フィルムロールの最表層の硬度をフィルム幅方向50mmの間隔で測定した際の平均硬さが500以上700以下の範囲であること
(3)前記フィルムロールの最表層の硬度をフィルム幅方向50mmの間隔で測定した際の硬さのばらつきが10%以上20%以下であること
(4)前記フィルムロールを最表層から500m単位で巻き出した後の前記平均硬さの増加率 R(%)が最表層~最表層からの巻長1000mの範囲で式1を満たし、
最表層からの巻長1000m~巻芯からの巻長1000mの範囲で式2を満たし、
巻芯~巻芯からの巻長1000mの範囲で式3を満たすこと
-6.0(%)≦ R(%)<0(%) ・・・式1
-2.0(%)≦ R(%)≦2.0(%) ・・・式2
0(%)< R(%)≦ 6.0(%) ・・・ 式3
2.前記熱収縮性ポリエステル系フィルムを90℃の温水中に10秒間浸漬処理後の主収縮方向の収縮率が30%以上である1.に記載の熱収縮性ポリエステルフィルムロール。
3.前記熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みが8μm以上60μm以下であることを特徴とする1.又は2.に記載の熱収縮性ポリエステルフィルムロール。
4.前記熱収縮性ポリエステル系フィルムロールの幅が400mm以上2000mm以下であることを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステルフィルムロール。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムロールを構成する熱収縮性ポリエステル系フィルムにおいて使用するポリエステルは、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とするものである。すなわち、ポリエステルの全構成成分100モル%に対してエチレンテレフタレートを50モル%以上、好ましくは60モル%以上含有するものである。
熱収縮率={(収縮前の長さ-収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%)・・式5
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムロールの有効巻長は3000m以上30000m以下であることが好ましい。ここで、有効巻長とは、フィルムロールからフィルムを巻きだして、長手方向端部から5m除去した箇所(最表層)から、巻芯コアから長手方向に少なくとも100mの箇所(巻芯)までのフィルムの長手方向の長さをさすものとする。なお、後述するようにフィルムロール最表層より500m毎の地点で平均硬さの測定を行うので、具体的には巻芯の地点は巻芯コアから長手方向に100m以上600m未満の地点となる。有効巻長が3000m未満であると、印刷工程において頻繁にフィルムロールを交換する手間が発生し、コストの面で好ましくない。また、30000mを超えるとフィルムロール径が大きくなりすぎてハンドリング性が低下し好ましくない。
硬さのばらつき=(硬さの最大値 ― 硬さの最小値)÷平均硬さ×100・・・式4
硬さのばらつきが20%を超えると、フィルムに部分的なたるみが生じる原因となり、印刷時に印刷抜けやシワが発生しやすくなり好ましくない。ばらつきは0%が理想ではあるが、実質的に達成は困難であり、せいぜい10%が下限と考えられる。
-6.0(%)≦ R (%)< 0(%) ・・・式1
-2.0(%)≦ R(%)≦ 2.0(%)・・・式2
0(%)< R(%)≦ 6.0(%)・・・式3
〈平均硬さの増加率〉
フィルムロールをフィルム巻き出し機にセットし、まず最表層のロールの硬さを幅方向に測定し平均硬さを求める。その後、巻出し機を用いてフィルムをロールから巻き出し、500mごとに巻き出し機を停止させて、その時のロールの硬さを幅方向に測定して平均硬さを求める。平均硬さの増加率は、ある巻長で測定した平均硬さXnから、その直前に測定した平均硬さXn-1(つまり500m表層側の巻長での平均硬さ)を引いて、さらに直前に測定した平均硬さXn-1で除して、100を乗じた値とする。例えば、最表層からの巻長500mでの平均硬さが680であり、最表層からの巻長1000mでの平均硬さが660である場合、最表層からの巻長500m地点~巻長1000m地点での増加率R(%)は (650―680)÷680×100= ―4.4%となる。
表層の平均硬さの増加率R(%)は式1を満たすことが好ましい。すなわち、最表層からフィルムを500m単位で巻き出した後の平均硬さが、測定毎に式1の範囲で減少することが好ましく、言い換えれば、マスターロールから製品ロールにスリットして巻き換える工程において製品ロールの巻長が増加するとともに、平均硬さが増加することが好ましい。なお表層は最表層~最表層からの巻長1000mの範囲であるため、平均硬さの測定は3箇所(最表層、最表層から巻長500m地点、最表層から巻長1000m地点)となり、増加率R(%)を求めるのは2区間である。表層の平均硬さの増加率R(%)が前記2区間の両方において式1を満たすことにより、フィルムロールを経時させた後に表層のシワが発生しにくくなる。最表層からフィルムを500m単位で巻き出した後の平均硬さが式1の範囲で減少することが好ましいので、増加率R(%)が0(%)未満であることが好ましく、0(%)は好ましくない。また、R(%)は-6.0(%)を下回ると、巻長当りの平均硬さの変化が大きすぎるために、かえって巻取り時にシワが入りやすくなり好ましくない。増加率R(%)の範囲は、より好ましくは -5.5(%)≦R(%)<0.5(%)であり、特に好ましくは-5.0(%)≦R(%)<1.0(%)である。
中間層の平均硬さの増加率R(%)は、500m毎の全区間において式2を満たすことが好ましい。すなわち、中間層は平均硬さが巻長に対して増加、減少、あるいは一定のいずれでもかまわないが、巻長当りの平均硬さの変化が小さいことが好ましい。中間層での増加率R(%)が-2.0(%)未満あるいは2.0(%)を超える場合、フィルムロール内に部分的に硬さの低い部分や、高い部分が生じてしまうため、フィルムロール端面にシワが入りやすくなり好ましくない。平均硬さの増加率R(%)のより好ましい範囲は-1.5(%)≦R(%)≦1.5(%)であり、特に好ましくは-1.0(%)≦R(%)≦1.0(%)である。
巻芯層の平均硬さの増加率R(%)は式3を満たすことが好ましい。すなわち、巻芯層ではフィルムを500m単位で巻き出した後の平均硬さが測定毎に式3の範囲で増加することが好ましい。なお、巻芯層は巻芯~巻芯からの巻長1000mの範囲であるため、平均硬さの測定は3箇所(巻芯、巻芯からの巻長500m地点、巻芯からの巻長1000m地点)、増加率R(%)を求めるのは2区間となる。巻芯層の平均硬さの増加率R(%)が前記2区間の両方において式3を満たすことにより、巻芯でのフィルムロール表面及び端面のシワの発生が抑えられる。巻芯層においてはフィルムを500m単位で巻き出した後の平均硬さが式3の範囲で増加することが好ましいので、増加率R(%)が0(%)より大きいことが好ましく、0(%)は好ましくない。また、増加率R(%)が6.0(%)を超えると、硬さの変化が急すぎるために、かえって巻取り時にシワが入りやすくなり好ましくない。平均硬さ増加率R(%)のより好ましい範囲は、0.5(%)<R(%)≦5.5(%)であり、特に好ましくは1.0(%)<R(%)≦5.0(%)である。
製膜したフィルムをマスターロールとして巻取り、その後、任意の幅にスリットして製品フィルムロールとして巻き取るが、マスターロールから製品フィルムロールまでのフィルムの走行や、巻取り時の回転するコアや巻き取ったフィルムロールの回転により、空気の随伴流が発生する。随伴流によりコアとフィルムの間、巻き取ったフィルムとフィルムの間に微細な空気の層が形成される。この空気の層は製品の巻取り直後は安定した状態にあるが、製品フィルムロールの長期的保管中に、巻取り時に発生した応力の残留によって、フィルムロールの端面や、あるいはフィルム表面から空気が抜けていき、フィルムロールが巻き締まることでシワが発生する。表層においてフィルムを巻き出した時の平均硬さが最表層から巻き芯側にかけて減少する(言い換えれば巻き芯側から、最表層にかけて増加する)ように巻き取ることで、随伴流による空気の層を形成させにくくすることが可能となる。表層における空気層が極めて少ないために、経時による空気抜けも発生しにくくなり、結果、経時でのシワの発生が抑制されるものと考えられる。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムロールを構成する熱収縮性ポリエステル系フィルムは、その製造方法について何ら制限される物ではないが、例えば、上記したポリエステル原料を押出機により溶融押し出しして未延伸フィルムを形成し、その未延伸フィルムを以下に示す方法により製造することによって得ることができる。
この際、幅方向の延伸温度がTg+5℃未満であると、延伸時に破断が生じやすくなり、好ましくない。またTg+40℃より高いと、均一な幅方向の延伸ができなくなり、幅方向の厚み斑が大きくなるため、フィルムロールの硬さのばらつきが大きくなり好ましくない。延伸温度はより好ましくはTg+8℃以上Tg+37℃以下であり、更に好ましくはTg+11℃以上Tg+34℃以下である。
この時の延伸倍率は特に制限されないが、2倍以上6倍以下が好ましい。延伸倍率が2倍未満であると、物質収支的に高い収縮率が得られにくい上に厚み精度が悪くなる。また延伸倍率が6倍を上回ると、延伸製膜時に破断しやすくなり好ましくない。
巻芯層においては、式3で規定の範囲に入るよう、巻取り開始時のフィルムにかかる張力(初期張力)を、90N/m以上130N/m以下にすることが好ましい。初期張力が80N/m未満であると、巻芯の巻き硬さが低くなり、巻取り開始のフィルム増速時にシワが入りやすくなり好ましくない。また、130N/mを超えると、硬さが高くなりすぎて、ロールのコアとなる紙管が変形したりするため好ましくない。より好ましくは、95N/m以上125N/m以下であり、特に好ましくは、100N/m以上120N/m以下である。
巻取り開始時のコンタクトロールの面圧(初期面圧)は、290N/m以上430N/m以下にすることが好ましい。初期面圧が290N/m未満であると、巻取り開始のフィルム増速時にフィルムを押さえる効果が小さくなりシワが入りやすくなり好ましくない。また、430N/mを超えると、張力の場合と同様にロールの硬さが高くなりすぎて、ロールのコアとなる紙管が変形したりするため好ましくない。より好ましくは、300N/m以上420N/m以下であり、特に好ましくは310N/m以上410N/m以下である。
フィルムロールの平均硬さの増加率R(%)を式3で規定の範囲にするために、張力と面圧は、初期条件から一定にするのではなく、巻取りの進行に従い変化させる(所謂、テーパ)ことが好ましい。巻取り張力については、巻取りの進行に従い減少させることが好ましく、その変化率は、巻取り長さが100m増加するにしたがい、初期張力に対して4%/100m以上7%/100m以下で減少(減少率 %/100m)させることが好ましい。この減少率が4%/100m未満もしくは7%/100mを超えると、式3で規定の平均硬さの増加率R(%)が得られず、期待される効果が得られないため好ましくない。一方で、張力の減少に伴い、フィルムが弛んだり、ロールから浮きがちになるために、シワが入りやすくなるため、面圧は巻取りの進行に伴い増加させることが好ましく、その変化率は、巻取り長さが100m増加するに従い、初期面圧に対して、7%/100m以上11%/100m以下で増加(増加率 %/100m)させることが好ましい。7%/100m未満では、張力の減少に伴いフィルムにシワが入りやすくなるため好ましくない。また、11%/100mを超えると、規定の巻き硬さの増加率にならず、期待される効果が得られないため好ましくない。
中間層は、式2で規定のように平均硬さの変化が小さいことが好ましく、巻取り張力とコンタクトロールの面圧は一定であることが好ましい。つまり、張力の増加率および面圧の増加率は0%/100mであることが好ましい。中間層は、巻取り開始から増速後の巻取り速度一定で巻く領域であり、張力と面圧が一定であれば、フィルムロールの平均硬さは大きく変化せず、規定の式2の範囲内になる。
表層において、フィルムロールの平均硬さが式1で規定の範囲になるように、巻取り張力とコンタクトロールの面圧は一定であることが好ましい。フィルムロール表層はスリット工程において巻き上がりのために減速する領域であり、張力と面圧を一定に設定しておくことで、巻取るフィルムがロールに対して押さえられる効果(すなわち空気の巻き込み量の減少)が速度の低下とともに増加し、巻き硬さは表層になるにつれて増加する(つまり平均硬さの増加率R(%)は式1で規定の範囲でマイナスになる)。張力と面圧は一定であるため、張力の減少率および面圧の増加率は0%/100mであることが好ましい。
示差走査熱量分析装置(セイコー電子工業株式会社製、DSC220)を用いて、未延伸フィルム5mgをサンプルパンに入れ、パンのふたをし、窒素ガス雰囲気下で-40℃から120℃に10℃/分の昇温速度で昇温して測定した。Tg(℃)はJIS-K7121-1987に基づいて求めた。
ポリエステル0.2gをフェノール/1,1,2,2-テトラクロルエタン(60/40(重量比))の混合溶媒50ml中に溶解し、30℃でオストワルド粘度計を用いて測定した。単位はdl/g。
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、所定温度±0.5℃の温水中に無荷重状態で10秒間浸漬して熱収縮させた後、25℃±0.5℃の水中に10秒間浸漬し、水中から引き出してフィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下記式5にしたがって、それぞれ熱収縮率を求めた。熱収縮率の大きい方向を主収縮方向とした。
熱収縮率={(収縮前の長さ-収縮後の長さ)/収縮前の長さ}×100(%) 式5
スイス プロセオ社製の硬さ試験機パロテスター2を用いて、フィルムロールの硬さを測定した。具体的には、スリッターで巻取り作製した本発明のフィルムロールを、フィルム巻き出し機を用いて、ロールの巻き解きと硬さ測定を繰り返しながら評価していく。最表層のロール硬さは、ロールから5mフィルムを除去した後、ロール幅方向に50mmの間隔で硬さを測定し、平均硬さおよび硬さのばらつきを求める。硬さのばらつきは下記の式4において算出されるものとする。
硬さのばらつき=(硬さの最大値 ― 硬さの最小値)÷平均硬さ×100・・・式4
上記のスリッターで、フィルムロールを500m単位に巻き解き、その時のロールの平均硬さを同様に求める。500m単位で巻き解いて測定した時の平均硬さを、その直前に測定した平均硬さ(つまり500m表層側で測定した平均硬さ)で割り、100を掛けることで、平均硬さの増加率R(%)を求める。なお、最初の500m地点での平均硬さの増加率R(%)は、最表層の平均硬さで割り、100を掛けることにより増加率R(%)を求めることとする。
フィルムロール最表層において、幅方向に50mmピッチで該スリットロールの端から画鋲等の針でフィルムが数枚貫通される程度に穴を開け、該スリットロールの最表層から長手方向に針穴間隔が3m以上得られる様にフィルム全幅をシワが無いようにサンプリングする。その後、得られたサンプルの長手方向の針穴間隔を平面台上にてサンプルが平面になるようにすること以外は不必要となる張力をかけることなく、それぞれメジャーにて測定した。長手方向の針穴間隔は3m以上で測定され、メジャーの目盛りの読取りは0.1mmの位までとし、その最大値と最小値と平均値から次式によりたるみ率を求め、少数点以下第4位を四捨五入して表記した。
たるみ率=(最大値-最小値)÷平均値×100 ・・・式6
弛みの評価は、弛み率が0.1%未満のフィルムロールは弛みなし(○)とし、弛み率が0.1%以上のフィルムロールは弛みあり(×)と判断した
フィルムロールの端面における、凹凸の有無およびその高さを測定した。ロールの端面に凹凸が存在しない場合もしくは、凹凸があるがその高さが3mm未満の場合を巻ズレなし(○)とし、3mm以上の凹凸がある場合は巻ズレあり(×)とした。
フィルムをロールから1枚巻き出し、蛍光灯下で観察した時に、シワの跡が見える場合をシワあり(×)と判定し、見えない場合をシワなし(○)と判定した。シワの評価は、製造直後のフィルムロールの最表層と、フィルムロールを巻き出して巻長100m残した箇所(巻芯)の2箇所および製造から雰囲気温度30℃湿度85RH%で6ヶ月間保管した後のフィルムロールの最表層と、フィルムロールを巻き出して巻長100m残した箇所の2箇所の合計4点で評価を行った。
スリット工程において、フィルムを巻き取った後、フィルムロール端面のスポーキングシワ(花模様や車輪のスポーク状のシワ)の長さを測定し、シワの長さが30mm以上のシワをNG(×)とし、シワがない場合もしくは、シワの長さが30mm未満の場合はOK(○)とした。
[合成例1]
撹拌機、温度計および部分環流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート(DMT)100モル%と、多価アルコール成分としてエチレングリコール(EG)100モル%とを、エチレングリコールがモル比でジメチルテレフタレートの2.2倍になるように仕込み、エステル交換触媒として酢酸亜鉛を0.05モル%(酸成分に対して)、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.225モル%(酸成分に対して)を添加し、生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応を行った。その後、280℃で26.7Paの減圧条件のもとで重縮合反応を行い、固有粘度0.75dl/gのポリエステル1を得た。組成を表1に示す。
[合成例2~4]
合成例1と同様の方法により、表1に示すポリエステル2~4を得た。ポリエステル2の製造の際には、滑剤としてSiO2(富士シリシア社製サイリシア266;平均粒径1.5μm)をポリエステルに対して7200ppmの割合で添加した。なお、表中、NPGはネオペンチルグリコール、BDは1,4-ブタンジオールである。なおポリエステルの固有粘度は、それぞれ、2:0.75dl/g,3:0.75dl/g,4:1.20dl/gであった。
なお、各ポリエステルは、適宜チップ状にした。各ポリエステルの組成は表1に示す。
上記したポリエステル1、ポリエステル2、ポリエステル3およびポリエステル4を質量比 9:6:75:10で混合して押出機に投入した。しかる後、その混合樹脂を280℃で溶融させてTダイから押出し、表面温度30℃に冷却された回転する金属ロールに巻き付けて急冷することにより、厚さが80μmの未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのTgは65℃であった。当該未延伸フィルムをテンターに導き、フィルム両端部をクリップで把持した状態で、フィルム温度が90℃(Tg+25℃)になるまで予熱し、その後、フィルム温度が85℃(Tg+15℃)で横方向に4.0倍延伸した。次いで該当延伸後のフィルムの両縁部を裁断除去後、ワインダーでロール状に巻き取り、厚み20μmのフィルムマスターロールを作製した。該当マスターロールを、スリッター工程にて、スリットし、900mm幅で有効巻長10000mのロールを得た。この時、スリット張力の初期張力を110N/mとし、張力減少率を巻芯層で5.7%/100m、中間層では0%/100m、表層では0%/100mとした。また、コンタクトロールの初期面圧は360N/mとし、面圧増加率を表層で8.9%/100m、中間層では0%/100m、表層では0%/100mとした。得られたフィルムの特性を上記の方法により評価した。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
[実施例2]
スリット張力の巻芯層の張力減少率を4.5%/100mにし、コンタクトロール面圧の、巻芯層の面圧増加率を7.5%/100mに変更した以外は、実施例1と同様とした。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
[実施例3]
スリット張力の巻芯層の張力減少率を6.5%/100mにし、コンタクトロール面圧の巻芯層の面圧増加率を10.5%/100mに変更した以外は、実施例1と同様とした。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
[実施例4]
スリット張力の初期張力を125N/mにし、コンタクトロール面圧の初期面圧を390N/mに変更した以外は、実施例1と同様とした。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
[実施例5]
スリット張力の初期張力を95N/mにし、コンタクトロール面圧の初期面圧を330N/mに変更した以外は、実施例1と同様とした。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
[実施例6]
フィルムロールの有効巻長を3000mに変更した以外は、実施例1と同様にした。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
[実施例7]
フィルムロールの有効巻長を25000mに変更した以外は、実施例1と同様にした。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
[比較例1]
スリット張力の初期張力を85N/mにし、コンタクトロール面圧の初期面圧を270N/mにした以外は、実施例1と同様にした。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
[比較例2]
延伸条件の予熱温度を110℃(Tg+45℃)にし、延伸温度を105℃(Tg+40℃)にした以外は、実施例1と同様にした。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
[比較例3]
スリット張力減少率を巻芯層で0.4%/100m、中間層で0.4%/100m、表層では0.4%/100mとし、コンタクトロールの面圧増加率を表層で2.5%/100m、中間層では2.5%/100m、表層では2.5%/100mとした以外は実施例1と同様にした。得られたフィルムの特性を上記の方法により評価した。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
[比較例4]
スリット張力の初期張力を90N/mにし、張力減少率を巻芯層で0.1%/100m、中間層で0.1%/100m、表層では0.1%/100mとして、また、コンタクトロールの初期面圧を150N/mとし、面圧増加率を表層で1.8%/100m、中間層では1.8%/100m、表層では1.8%/100mとしたいがいは実施例1と同様にした。得られたフィルムの特性を上記の方法により評価した。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
[比較例5]
スリット張力減少率を巻芯層で-0.3%/100m、中間層で-0.3%/100m、表層では-0.3%/100mとし、コンタクトロールの面圧増加率を表層で-2.5%/100m、中間層では-2.5%/100m、表層では-2.5%/100mとした以外は実施例1と同様にした。得られたフィルムの特性を上記の方法により評価した。製造条件を表2に、評価結果を表3に示す。
Claims (4)
- 熱収縮性ポリエステル系フィルムをコアに巻き取ってなるフィルムロールであって、下記要件(1)~(4)を満たす熱収縮性ポリエステル系フィルムロール。
(1)有効巻長が3000m以上30000m以下であること
(2)前記フィルムロールの最表層の硬度をフィルム幅方向50mmの間隔で、硬さ試験機パロテスター2で測定した際の平均硬さが500以上700以下の範囲であること
(3)前記フィルムロールの最表層の硬度をフィルム幅方向50mmの間隔で測定した際の硬さのばらつきが10%以上20%以下であること
(4)前記フィルムロールを最表層から500m単位で巻き出した後の前記平均硬さの増加率 R(%)が最表層~最表層からの巻長1000mの範囲で式1を満たし、
最表層からの巻長1000m~巻芯からの巻長1000mの範囲で式2を満たし、
巻芯~巻芯からの巻長1000mの範囲で式3を満たすこと
-6.0(%)≦ R(%) <0(%) ・・・式1
-2.0(%) ≦ R(%) ≦2.0(%) ・・・式2
0(%)< R(%) ≦ 6.0(%) ・・・ 式3 - 前記熱収縮性ポリエステル系フィルムを90℃の温水中に10秒間浸漬処理後のフィルム主収縮方向の収縮率が30%以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムロール。
- 前記熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚みが8μm以上60μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムロール。
- 前記熱収縮性ポリエステル系フィルムロールの幅が400mm以上2000mm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステルフィルムロール。
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