JP7179588B2 - 吸水性樹脂の固定方法、保水性舗装の製造方法、および多孔質舗装体用保水性付与剤 - Google Patents

吸水性樹脂の固定方法、保水性舗装の製造方法、および多孔質舗装体用保水性付与剤 Download PDF

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Description

本発明は、吸水性樹脂の固定方法、保水性舗装の製造方法、および多孔質舗装体用保水性付与剤に関する。
保水材(例えば、保水砂、鉱物質、吸水性樹脂)は、広範な用途(例えば、園芸用、土壌用、土地緑化用、空調用、舗装用)に使用されている。しかし、保水材を対象物(保水性能を発揮すべき対象物)に適切に固定するためには、多くの検討課題が残されている。一例として、保水材を舗装用に用いる場合について説明する。
保水材を舗装用に用いる場合には、道路表面部の多孔質舗装体の空隙に保水材を充填することにより、保水性舗装が構成される。このような保水性舗装は、雨等による水分を保持し、当該保持された水分が蒸発する際に気化熱が奪われることにより、路面温度の上昇を抑制する機能を有する。当該機能により、ヒートアイランド現象の緩和が期待されている。ここで、保水材が空隙内で適切に固定されない場合には、例えば降雨量が多い場合に保水材が空隙から流出してしまい、保水性が低下する、および、路面が滑りやすくなるという問題がある。このような問題に対応するために、セメントで保水材を固定する方法、より具体的には、未硬化状態のポーラスコンクリートに保水材を散布する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2006-274743号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では十分な固定化がなされず、結果として保水性能が十分に発揮されないという問題がある。
本発明は上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、吸水性樹脂を固定対象物に適切に固定し、当該固定対象物に良好な保水性能を付与し得る方法を提供することにある。
本発明の吸水性樹脂の固定方法は、吸水性樹脂とアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の存在下でゲル形成能を有する多糖類とを含む混合物を、固定対象物に塗布、散布、注入または充填することを含む。
1つの実施形態においては、上記混合物は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩をさらに含む。
1つの実施形態においては、上記混合物のゲル化時間は30分~24時間である。
1つの実施形態においては、上記多糖類は、アルギン酸およびその塩またはエステル、ヒドロキシプロピルグァーガム、カラギーナン、ペクチン、ジェランガム、グルコマンナン、および寒天(アガロース)、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。
1つの実施形態においては、上記混合物は樹脂エマルションをさらに含む。
1つの実施形態においては、上記固定対象物は、多孔質舗装体、多孔質層を含む建築物等の多孔質材料、無機材料成形体、アクリル板等の樹脂成形体および繊維から選択される。
本発明の別の局面によれば、保水性舗装の製造方法が提供される。本発明の保水性舗装の製造方法は、吸水性樹脂とアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の存在下でゲル形成能を有する多糖類とを含む混合物を多孔質舗装体に塗布、散布、注入または充填することを含む。
1つの実施形態においては、上記製造方法は、上記混合物が塗布、散布、注入または充填された上記多孔質舗装体を養生させることをさらに含む。
本発明のさらに別の局面によれば、多孔質舗装体用保水性付与剤が提供される。本発明の多孔質舗装体用保水性付与剤は、吸水性樹脂とアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の存在下でゲル形成能を有する多糖類とを含む。
1つの実施形態においては、上記多孔質舗装体用保水性付与剤は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩をさらに含む。
本発明のさらに別の局面によれば、保水性舗装が提供される。本発明の保水性舗装は、多孔質舗装体の空隙に形成された多糖類のゲルと、該ゲルにより該多孔質舗装体に固定された吸水性樹脂と、を有する。
本発明の実施形態によれば、保水材としての吸水性樹脂とバインダーとしての特定の多糖類とを組み合わせて採用することにより、不具合を生じることなく吸水性樹脂を固定対象物に適切に固定することができ、結果として、固定対象物に良好な保水性能を付与することができる。より具体的には、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の存在下でゲル形成能を有する多糖類を用いることにより、吸水性樹脂と当該多糖類とを含む混合物を固定対象物に塗布、散布、注入または充填する作業(以下、吸水性樹脂の固定作業または単に固定作業と称する場合がある)に必要な時間は混合物がゲル化せず、かつ、過度に長時間を要することなく混合物のゲル化を完了することができる。すなわち、固定作業において二液混合等の付加的および煩雑な操作を行うことなく、かつ、固定作業時間内において混合物のゲル化による作業性の低下を気にすることなく、吸水性樹脂を固定対象物の所望の位置に配置することができる。さらに、過度に長時間を要することなくゲル化が完了するので、固定対象物の所望の位置に配置された吸水性樹脂を実用上適切な時間でゲルの三次元網目構造内に取り込み、良好に固定することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
A.吸水性樹脂の固定方法の概要
本発明の実施形態による吸水性樹脂の固定方法は、吸水性樹脂とアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の存在下でゲル形成能を有する多糖類とを含む混合物を固定対象物に塗布、散布、注入または充填することを含む。
B.吸水性樹脂
本発明の実施形態においては、吸水性樹脂は、代表的には保水材として機能し得る。保水材として吸水性樹脂を用いることにより、従来の鉱物質等の無機材料よりも優れた保水性能を付与することができる。吸水性樹脂は、非常に高い吸水率と非常に高い保水率とを共に有するからである。このような吸水性樹脂を保水性舗装の保水材として用いることにより、以下の利点が得られ得る:鉱物質等の無機材料に比べて、多孔質舗装体の空隙部分への導入量を少なくすることができるので、空隙部分を過度に充填することがない。その結果、多孔質舗装体の透水性および排水性を維持しつつ、多孔質舗装体に良好な保水性能を付与することができる。
吸水性樹脂としては、任意の適切な吸水性樹脂を採用することができる。具体例としては、アルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート架橋重合体、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸(塩)架橋共重合体等のポリオキシアルキレン基を有する架橋(共)重合体;(メタ)アクリルアミド/(メタ)アクリル酸(塩)架橋共重合体、N-ビニルアセトアミド架橋重合体、N-ビニルアセトアミド/(メタ)アクリル酸(塩)架橋共重合体等のアミド基を有する架橋(共)重合体;ポリアリルアミン架橋体、ポリエチレンイミン架橋体等のアミノ基を有する架橋(共)重合体;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート架橋重合体、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸(塩)架橋共重合体、ビニルアルコール/(メタ)アクリル酸(塩)架橋(共)重合体等のヒドロキシル基を有する架橋(共)重合体;2-アクリルアミド/2-メチルプロパンスルホン酸(塩)架橋重合体、2-アクリルアミド/2-メチルプロパンスルホン酸(塩)/(メタ)アクリル酸(塩)架橋共重合体、スルホアルキル(メタ)アクリレート(塩)架橋共重合体、スルホアルキル(メタ)アクリレート(塩)/(メタ)アクリル酸(塩)架橋共重合体、スルホン化ポリスチレン架橋体等のスルホン酸(塩)基を有する架橋(共)重合体;ポリビニルスルホン酸架橋体、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート架橋(共)重合体等のリン酸(塩)基を有する架橋(共)重合体;架橋ポリエチレンオキシド、架橋ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピリジン、澱粉/ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合体のけん化物、澱粉/ポリ(メタ)アクリル酸(塩)グラフト共重合架橋体、ポリビニルアルコールと無水マレイン酸(塩)との反応生成物、イソブチレン/マレイン酸(塩)架橋共重合体、ベタインモノマー(共)重合体、アニオン性モノマーとカチオン性モノマーとの架橋共重合体が挙げられる。吸水性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、吸水性樹脂は、粉末で提供されてもよく、水性分散体として提供されてもよい。
1つの実施形態においては、吸水性樹脂は、ミクロヒドロゲル水性分散体として提供され得る。ヒドロゲルとは、水溶性又は親水性重合体に架橋構造を付与して得られる実質的に水不溶性且つ水膨潤性の物質の総称であり、ミクロヒドロゲルとは100μm以下の平均粒子径を有するヒドロゲルを指す。このミクロヒドロゲル水性分散体としては、例えば、酸性基及び架橋構造を含有するアクリロニトリル系重合体(以下、アクリロニトリルを必要に応じて「AN」と略称することがある)からなり、さらにニトリル基の加水分解反応により塩型カルボキシル基{-COOX(X:アルカリ金属又はアンモニウムイオン)で示される}が導入され、少なくとも0.1mmol/gの塩型カルボキシル基を含有し、且つ絶乾状態で100μm以下の平均粒子径を有するヒドロゲルが水系媒体中に安定に分散したもの、を挙げることができる。このような吸水性樹脂によれば、長期間に亘る保水効果の持続が可能となり得る。
ミクロヒドロゲル又はその水性分散体を得るための出発物質として使用されるAN系重合体とは、ANと他の1種又は2種以上のエチレン系不飽和化合物とを共重合させた重合体であって、酸性基及び架橋構造を含有する重合体の総称である。AN系重合体におけるANの含有率は、単量体全体に対して好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。ANの含有率がこのような範囲であれば、十分な親水化が達成され、かつ、所望の吸水率を有するヒドロゲルが形成され得る。
ANと共重合するエチレン系不飽和化合物としては、任意の適切なエチレン系不飽和化合物を採用することができる。エチレン系不飽和化合物の具体例としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデン類;アリルアルコール、メタリルアルコール等の不飽和アルコール及びこれらのエーテル類;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸及びこれらの塩類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル類;メチルビニルケトンの不飽和ケトン類、蟻酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリルアミド及びそのアルキル置換体;N-メチロールアクリルアミド;p-スチレンスルホン酸等の不飽和炭化水素スルホン酸及びこれらの塩類;アクリル酸スルホブチル、メタクリル酸スルホエチル等のアクリル酸若しくはメタクリル酸のスルホアルキルエステル及びこれらの塩類;スチレン、α-メチルスチレン、クロロステレン等のスチレン及びそのアルキル又はハロゲン置換体;ビニルピリジン等の塩基性ビニル化合物類;メタクリロニトリル、ヒドロキシエチルアクリロニトリル等のビニル系ニトリル化合物類;アクロレイン、メタクロレイン等のビニル系アルデヒド化合物類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の不飽和カルボン酸のグリシジルエステル類;グリシジルアリルスルホネート等の不飽和スルホン酸のグリシジルエステル類;ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の不飽和グリシジルエーテル類;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート等のアクリル酸若しくはメタクリル酸のジエステル類;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のアクリル酸若しくはメタクリル酸のトリエステル類;ジアリルフタレート、ジアリルマレート等の多価カルボン酸のジアリルエステル類;無水メタクリル酸等のジビニル系酸無水物類;ジビニルベンゼン及びそのアルキル又はハロゲン置換体が挙げられる。
吸水性樹脂の粉末(乾燥)状態における平均粒子径は、例えば500μm以下であり、好ましくは200μm以下であり、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下である。平均粒子径がこのような範囲であれば、例えば保水性舗装の保水材として用いる場合に以下の利点が得られ得る:(1)流動性に優れ、結果として施工性に優れる;(2)多孔質舗装体の空隙部分に良好に入り込むことができるので、良好な保水性能が実現できる;(3)多孔質舗装体の空隙部分を埋め尽くすことがないので、透水性および排水性を維持することができる;(4)これらの全体の結果として、保水性能をより効果的に発現できる。一方、平均粒子径は、例えば1μm以上であり、好ましくは5μm以上である。なお、ミクロヒドロゲル水性分散体等のあらかじめ水性分散化された吸水性樹脂の場合には、吸水性樹脂の水中で膨潤した状態における平均粒子径は、例えば20000μm以下であり、好ましくは1000μm以下であり、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。一方、膨潤状態の平均粒子径は、例えば0.02μm以上である。
吸水性樹脂の純水中での1時間吸水倍率は、好ましくは10g/g~1000g/gであり、より好ましくは15g/g~700g/gであり、さらに好ましくは20g/g~500g/gである。吸水倍率がこのような範囲であれば、良好な保水性能を実現することができる。
C.多糖類
本発明の実施形態においては、多糖類は、代表的にはバインダーとして機能し得る。多糖類は、上記のとおり、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の存在下でゲル形成能を有する。このような多糖類を用いることにより、吸水性樹脂の固定作業中は混合物(例えば、多孔質舗装体用保水性付与剤:詳細は後述)が液状を維持して取扱い性および作業性に優れ、かつ、ゲル化完了後は吸水性樹脂をゲルの三次元網目構造に取り込んで固定するので、吸水性樹脂を固定対象物に良好に固定することができる。その結果、混合物を一液型として提供することができ、吸水性樹脂の固定作業において二液混合等の付加的および煩雑な操作を省略することができる。さらに、このような多糖類は常温(例えば、20℃~30℃)でゲル化し得るので、吸水性樹脂の固定作業において、加熱工程を省略することができる。加えて、形成されるゲルは不溶不融であるので、吸水性樹脂を固定対象物にきわめて安定して固定することができる。
このような多糖類を含む混合物のゲル化時間は、好ましくは30分~24時間であり、より好ましくは1時間~20時間であり、さらに好ましくは2時間~15時間である。ゲル化時間が30分以上であれば、固定作業中は混合物が液状を維持することができるので、適切な可使時間を確保することができる。したがって、吸水性樹脂の固定作業において混合物のゲル化による作業性の低下を気にすることのない、良好な取扱い性を実現することができる。一方、ゲル化時間が24時間以下であれば、過度に長時間を要することなくゲル化を完了することができる。その結果、実用上適切な時間で吸水性樹脂をゲルの三次元網目構造内に取り込み、良好に固定することができる。なお、本明細書において「ゲル化時間」とは、混合物が流動性を失って外観上固化した状態になるまでの時間をいう。
多糖類としては、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の存在下でゲル形成能を有する任意の適切な多糖類を用いることができる。多糖類の具体例としては、アルギン酸およびその塩またはエステル、カロプビーンガム(ローカストビーンガム)、グアーガム、ヒドロキシプロピルグァーガム等のグアーガム誘導体、カラギーナン、ペクチン、キサンタンガム、ジェランガム、ダイユータンガム、カードラン、タマリンシードガム、ファーセレラン、ブルラン、グルコマンナン、寒天(アガロース)、でんぷん、褐藻抽出物、ゼラチン、コラーゲンが挙げられる。多糖類は、好ましくは、アルギン酸およびその塩またはエステル、ヒドロキシプロピルグァーガム、カラギーナン、ペクチン、ジェランガム、グルコマンナン、寒天(アガロース)である。これらの多糖類は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、代表的には、多糖類のゲル化反応の触媒として機能し得る。したがって、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、後述するように、混合物に多糖類とともに含まれていてもよく、固定作業において混合物(実質的には、多糖類)と接触してもよい。アルカリ金属塩としては、アルカリ金属(代表的には、リチウム、ナトリウム、カリウム)の有機塩および無機塩を用いることができる。アルカリ土類金属塩としては、アルカリ土類金属(代表的には、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム)の有機塩および無機塩を用いることができる。アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物;塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム等の塩化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸水素リチウム等の炭酸塩;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸水素リチウム等の硫酸塩;硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;ピロリン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素バリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三マグネシウム等のリン酸塩;ホウ酸塩;酢酸ナトリウム、安息香酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、エチレンジアミン四酢酸カルシウム、エチレンジアミン四酢酸マグネシウム、1,3-プロパンジアミン四酢酸カルシウム、1,3-プロパンジアミン四酢酸マグネシウム等の有機酸塩が挙げられる。アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、高い水溶性を有することが好ましい。例えば、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の溶解度は、1g/水100g以上であり得る。このような観点から、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、好ましくは、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウムであり;さらに好ましくは、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウムである。
D.混合物
本発明の実施形態においては、上記吸水性樹脂と上記多糖類とを含む混合物が固定対象物に塗布、散布、注入または充填される。混合物は、代表的にはいわゆる一液型であり、固定対象物に塗布、散布、注入または充填される前に、あらかじめ調製されている。したがって、吸水性樹脂の固定作業において二液混合等の付加的および煩雑な操作を省略することができる。混合物は、代表的には、吸水性樹脂と多糖類とアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩と水性分散媒(代表的には、水)とを含む。アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、上記のとおり、混合物が固定対象物に塗布、散布、注入または充填されると同時またはその前後に固定対象物に塗布等されて、混合物と接触してもよい。
混合物中における多糖類の含有量は、例えば0.01質量%~30質量%であり、好ましくは0.05質量%~10質量%であり、より好ましくは0.1質量%~5質量%である。多糖類の含有量がこのような範囲であれば、良好なゲル化が実現され、吸水性樹脂を固定対象物に適切にかつ安定して固定することができる。
混合物中における吸水性樹脂の含有量は、例えば0.01質量%~30質量%であり、好ましくは0.05質量%~20質量%であり、より好ましくは0.1質量%~10質量%である。吸水性樹脂の含有量がこのような範囲であれば、固定対象物に塗布等した後に良好な保水力を実現することができる。さらに、適切な施工性を実現し得る流動性を確保することができる。
混合物中における多糖類の含有量と吸水性樹脂の含有量との比(多糖類/吸水性樹脂)は、好ましくは1/99~99/1であり、より好ましくは5/95~95/5である。当該比がこのような範囲であれば、吸水性樹脂を効率良く固定化でき、保水性をより効率よく発現できるという利点を有する。
アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩は、混合物に含まれている場合または固定作業の際に混合物に接触する場合のいずれの場合であっても、ゲル化反応の触媒として適切に機能し得る量で使用され得る。アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の使用量は、多糖類100質量部に対して、例えば0.1質量部~200質量部であり、好ましくは0.5質量部~100質量部である。
混合物は、樹脂エマルションをさらに含んでいてもよい。樹脂エマルションは、多糖類の補助的なバインダーとして機能し得る。バインダーとして多糖類と樹脂エマルションとを併用することにより、吸水性樹脂を含有する混合物をより強固に固定対象物に固定し、保水力の低下を抑制できるという利点が得られ得る。
樹脂エマルションは、代表的には水分散型樹脂エマルションである。水分散型樹脂エマルションは分散媒が水であり、溶剤系のバインダー(例えば、溶剤系接着剤)に比べて分散媒が揮発しにくい。したがって、溶剤系のバインダーに比べて取扱い性および作業性が格段に優れ得る。さらに、溶剤系バインダーに比べて、臭気および引火性が格段に低いので、環境上の利点も大きい。加えて、水分散型樹脂エマルションは、多糖類に対する相溶性または分散性の観点からも好適である。エマルションにおける粒子を形成し得る樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレンブタジエンラテックス、エチレンビニルアクリレートが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。樹脂エマルションは、好ましくは、アクリル系樹脂エマルションである。入手および製造が容易であり、かつ、モノマー成分の種類および配合比等を調整することにより特性の調整が容易だからである。より好ましくは、アクリル系樹脂エマルションは、モノマー成分中に炭素数が4以上のアルキル基を有するアクリル酸エステルを15質量%以上含み、さらに好ましくは25質量%以上含み、特に好ましくは35質量%以上含む。
樹脂エマルション中に形成されている粒子(固形分)濃度は、例えば10質量%~80質量%であり、好ましくは20質量%~70質量%であり、より好ましくは30質量%~60質量%である。樹脂エマルションの濃度がこのような範囲であれば、樹脂エマルションの生産性および取扱い性に優れる。以下、エマルション中に形成されている樹脂粒子を単に樹脂粒子またはエマルション粒子と称する場合がある。樹脂エマルションは、分散媒を好ましくは20質量%~80質量%、より好ましくは30質量%~80質量%、さらに好ましくは40質量%~70質量%含む。樹脂エマルションに含まれる分散媒は、水が主成分であることが好ましい。分散媒全体に対する水の割合は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。
樹脂粒子の平均粒子径は、例えば50nm~500nmであり、好ましくは80nm~400nmであり、より好ましくは100nm~350nmである。樹脂粒子の平均粒子径がこのような範囲であれば、機械的安定性および耐水性に優れるという利点がある。
樹脂粒子の平均粒子径は、好ましくは、吸水性樹脂(膨潤状態)の平均粒子径以下である。樹脂粒子の平均粒子径と吸水性樹脂(膨潤状態)の平均粒子径との比[吸水性樹脂の平均粒子径/樹脂粒子の平均粒子径]は、例えば1/1~1000/1であり、好ましくは2/1~750/1であり、より好ましくは3/1~500/1である。平均粒子径の比がこのような範囲であれば、吸水性樹脂を効率よく固定でき、保水性をより効率よく発現できるという利点を有する。
樹脂エマルションの最低造膜温度(MFT:Minimum Film-forming Temperature)は、例えば70℃以下であり、好ましくは30℃以下であり、より好ましくは10℃以下であり、さらに好ましくは0℃以下である。一方、MFTは、例えば-10℃以上であり得、実用的には0℃以上である。MFTがこのような範囲であれば、良好な造膜が実現されるので、樹脂エマルションがバインダーとして良好に機能し得る。
樹脂エマルションの酸価は、例えば156以下であり、好ましくは78以下であり、より好ましくは39以下である。一方、酸価は、例えば0.1以上である。酸価がこのような範囲であれば、安定性に優れたエマルションが形成され得る。
混合物は、任意の適切な添加剤をさらに含んでいてもよい。添加剤の具体例としては、分散剤、消泡剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、発泡剤、可塑剤、湿潤剤、ブロッキング防止剤、老化防止剤、防腐剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、レベリング剤、可塑剤、染料、顔料、酸化防止剤が挙げられる。混合物に含まれる添加剤の種類、組み合わせ、量等は、目的に応じて適切に設定され得る。
混合物における水性分散媒は、上記成分の残量(樹脂エマルションが含まれる場合には、その水性分散媒の含有量との合計)として含まれる。水性分散媒の含有量は、例えば20質量%~99.98質量%であり得る。
E.固定対象物および固定方法
固定対象物としては、吸水性樹脂を固定して当該固定位置で保水機能を発揮すべき任意の適切な対象物が挙げられる。具体例としては、多孔質舗装体、多孔質ブロック、多孔質層を含む建築物等の多孔質材料、モルタル板、コンクリート板等の無機材料成形体、アクリル板等の樹脂成形体、繊維が挙げられる。言い換えれば、上記混合物は、このような固定対象物に対する保水性付与剤(例えば、多孔質舗装体用保水性付与剤)であり得る。以下、一例として、固定対象物が多孔質舗装体である場合における、吸水性樹脂の固定方法を説明する。
多孔質舗装体は、代表的には、道路等の表面に施工されている。多孔質舗装体としては、例えば、排水性アスファルト混合物、透水性アスファルト混合物、排水性セメントコンクリート、透水性セメントコンクリートの舗装が挙げられる。
混合物は、多孔質舗装体を形成する材料(例えば、上記のアスファルト混合物、セメントコンクリート)の調製時に混合されてもよく、多孔質舗装体の施工時(未硬化時)に導入してもよく、施工された(硬化後の)多孔質舗装体に塗布、散布、注入または充填されてもよい。以下、一例として、混合物を施工後の多孔質舗装体に導入する実施形態について説明する。
本実施形態においては、上記のとおり、混合物を多孔質舗装体に塗布、散布、注入または充填することにより導入する。実質的には、塗布等された混合物(液状)が、多孔質舗装体の空隙内に入り込む。混合物中の多糖類および吸水性樹脂の濃度が上記のような範囲であれば、特別な操作を行うことなく、混合物(実質的には、多糖類および吸水性樹脂)が空隙内に適切に入り込み得る。すなわち、本実施形態によれば、多孔質舗装体内部に保水層を形成する技術(例えば、多孔質舗装体の表面に吸水性樹脂を散布して保水層を形成した後、当該保水層を覆う多孔質舗装体をさらに施工する技術)に比べて、格段に優れた作業性かつ格段に低いコストで保水性舗装を実現することができる。さらに、塗布等の量を調整することにより、空隙を適切に充填し得る。混合物の塗布等の量は、多孔質舗装体1mに対して例えば0.2リットル~7リットルであり得る。必要に応じて、混合物の空隙内への入り込みを補助する操作を行ってもよい。このような操作としては、例えば、振動、加圧が挙げられる。
次に、混合物が塗布、散布、注入または充填された多孔質舗装体を養生させる。養生により多糖類のゲル化反応が進行し、吸水性樹脂が多孔質舗装体に固定される。上記のとおり、多糖類は常温でゲル化し得るので、養生方法として自然養生(常温での養生)を採用することができる。このように、本実施形態によれば、常温での操作により、吸水性樹脂を多孔質舗装体に固定することができる。必要に応じて(例えば、冬期の場合には)、加熱養生してもよい。加熱養生を行う場合の加熱温度は、好ましくは50℃~100℃であり、より好ましくは70℃~90℃である。加熱時間は、加熱温度に応じて変化し得る。加熱時間は、例えば5分~2時間であり得る。
以上のようにして、吸水性樹脂が固定対象物に固定される。上記例示の実施形態においては、吸水性樹脂の固定により保水性舗装が製造され得る。ここで、上記のとおり、吸水性樹脂は固定対象物内において不溶不融のゲルの三次元網目構造内に取り込まれて固定されるので、単なる樹脂バインダー(例えば、接着剤、固化フィルム)で固定される場合に比べて、その固定度合は格段に強く、かつ、安定している。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例には限定されない。なお、実施例における各特性の測定方法は以下のとおりである。
(1)吸水性樹脂の平均粒子径
レーザー回析式粒度分布装置(HORIBA社製 LA-920)を使用して測定した。測定は、分布形態:標準、粒子径基準:体積、グラフ形態:棒グラフ、に設定し、試料バスにメタノールを入れて空気抜き及び光軸調整を行い、サンプル(製造例で得られた吸水性樹脂)を試料バスに入れて超音波処理を2分行った後、透過率が81~88%になるようサンプル濃度を調整した後、再度超音波処理を2分行ってから実施した。
(2)吸水性樹脂の吸水倍率
製造例で得られた吸水性樹脂を試料として用いた。当該試料0.2gを不織布製のティーバッグ式袋(95mm×70mm)に均一に入れ、水に浸漬し、1時間後にこのティーバッグ式袋を引き上げ、所定の水きり操作を行った後、その重量Wa[g]を測定した。同様の操作を、吸水性樹脂を入れずに行い、そのときの袋の質量Wb[g]を測定した。以下の数式で示される計算式により吸水倍率を算出した。
吸水倍率=(Wa-Wb)/(吸水性樹脂試料の質量(0.2g))-1
<製造例1:吸水性樹脂1の製造>
内径85mm、円筒状のプラスチック容器(容量1000mL)に、アクリル酸ナトリウム62.6g、アクリルアミド110.4g、メチレンビスアクリルアミド0.24g、水329.8gを加えて充分混合した後、25℃の温水バスに浸漬し、窒素ガスを2L/minで20分間吹き込み、水溶液中の溶存酸素を除去した。その後、20%過硫酸ナトリウム水溶液3.88g、および2%L-アスコルビン酸水溶液3.88gを加えて混合した後、静置重合した。重合発熱がピークを過ぎてから、温水バスを90℃に昇温して40分静置した。静置後、得られたゲル状物を、ハサミで5mm程度の大きさにカットした後、115℃で2時間乾燥させた。得られた乾燥物をジェットミルで粉砕することにより、平均粒子径が15μm、吸水倍率が198g/gである吸水性樹脂1を得た。
<実施例1>
市販のグルコマンナン(清水化学株式会社製、製品名「レオレックスLM」)18.8質量部を水606.2質量部に溶解し、グルコマンナンの3質量%水溶液を調製した。得られた水溶液に対して、製造例1で得られた吸水性樹脂1を3.6質量部および炭酸ナトリウム1.85質量部を混合し、混合物を調製した。
あらかじめ秤量されたポーラスコンクリート供試体(縦20cm×横20cm×厚さ6cm、コメリ社製透水平板)の側面および底面を養生テープで覆い、そこへ上記で得られた混合物を流し込み、当該供試体の空隙内へ充填した。その後、当該供試体を室温で1日および7日かけてそれぞれ養生させた後、覆っていた養生テープを剥がし、吸水性樹脂が固定化された供試体を得た。次いで、当該供試体を水浴中へ1時間浸して十分に吸水させ、流水で洗った後、当該供試体表面の水気を拭き取って重量を求めた。さらに、60℃で24時間乾燥させた後の当該供試体の重量を求め、乾燥前後の供試体の重量差から保水性能を評価した。結果を表1に示す。また、供試体を浸漬した水を75メッシュの金網で濾過することにより、当該供試体からの吸水性樹脂の流出の有無を確認した。結果を表2に示す。
<実施例2>
試薬のアルギン酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製、アルギン酸ナトリウム80~120)6.3質量部を水518.7質量部に溶解し、アルギン酸ナトリウムの1.2質量%水溶液を調製した。得られた水溶液に対して、製造例1で得られた吸水性樹脂1を3.7質量部およびリン酸二水素カルシウムの1質量%水溶液92質量部を混合し、混合物を調製した。この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポーラスコンクリート供試体に充填し、実施例1と同様にして保水性能および吸水性樹脂の流出の有無を評価した。結果を表1および表2に示す。
<実施例3>
市販のグルコマンナン(清水化学株式会社製、製品名「レオレックスLM」)18.8質量部を水606.2質量部に溶解し、グルコマンナンの3質量%水溶液を調製した。得られた水溶液に対して、製造例1で得られた吸水性樹脂1を3.6質量部、市販の水系アクリルエマルション(株式会社日本触媒製、製品名「アクリセット(登録商標)EF-006」、平均粒子径:250nm、MFT:0℃以下、酸価:19.5、固形分濃度52.3%)7.2質量部および炭酸ナトリウム1.85質量部を混合し混合物を調製した。この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポーラスコンクリート供試体に充填し、実施例1と同様にして保水性能および吸水性樹脂の流出の有無を評価した。結果を表1および表2に示す。
<実施例4>
試薬のアルギン酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製、アルギン酸ナトリウム80~120) 6.3質量部を水518.7質量部に溶解し、アルギン酸ナトリウムの1.2質量%水溶液を調製した。得られた水溶液に対して、製造例1で得られた吸水性樹脂1を3.7質量部、「アクリセット(登録商標)EF-006」7.3質量部およびリン酸二水素カルシウム1質量%水溶液92質量部を混合し、混合物を調製した。この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポーラスコンクリート供試体に充填し、実施例1と同様にして保水性能および吸水性樹脂の流出の有無を評価した。結果を表1および表2に示す。
<比較例1>
水990重量部に対して吸水性樹脂1を10重量部混合し、混合物を調製した。すなわち、バインダー(多糖類)を用いずに混合物を調製した。この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポーラスコンクリート供試体に充填し、実施例1と同様にして吸水性樹脂の流出の有無を評価した。結果を表1および表2に示す。
<比較例2>
市販の水系アクリルエマルション(株式会社日本触媒製、製品名「アクリセット(登録商標)EF-006」、平均粒子径:250nm、MFT:0℃以下、酸価:19.5、固形分濃度52.3%)を固形分が0.6質量%となるように希釈した。この希釈エマルション600質量部に対して、製造例1で得られた吸水性樹脂1を3.6質量部混合し、混合物を調製した。この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポーラスコンクリート供試体に充填し、実施例1と同様にして吸水性樹脂の流出の有無を評価した。結果を表1および表2に示す。
<参考例1>
ポーラスコンクリート供試体のみを用いて、実施例1と同様にして保水性能を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007179588000001
Figure 0007179588000002
表1および表2から明らかなように、保水材としての吸水性樹脂とバインダーとしての多糖類とを組み合わせて用いることにより、保水材としての吸水性樹脂を固定対象物に常温で適切に固定し、固定対象物の保水性能を向上させることができる。
本発明の吸水性樹脂の固定方法は、保水機能を発揮すべき対象物に保水材としての吸水性樹脂を固定する用途に好適に用いられ得る。

Claims (6)

  1. 吸水性樹脂とアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の存在下でゲル形成能を有する多糖類とを含む混合物を、固定対象物に塗布、散布、注入または充填することを含み、
    該混合物がアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩と樹脂エマルションとをさらに含み、該混合物のゲル化時間が1時間~24時間であり、
    該樹脂エマルションが水分散型であり、エマルション樹脂粒子の平均粒子径が50nm~500nmであり、および、[吸水性樹脂(膨潤状態)の平均粒子径/エマルション樹脂粒子の平均粒子径]が1/1~1000/1である
    吸水性樹脂の固定方法。
  2. 前記多糖類が、アルギン酸およびその塩またはエステル、ヒドロキシプロピルグァーガム、カラギーナン、ペクチン、ジェランガム、グルコマンナン、および寒天(アガロース)、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の吸水性樹脂の固定方法。
  3. 前記固定対象物が、多孔質舗装体、多孔質材料、無機材料成形体、樹脂成形体および繊維から選択される、請求項1または2に記載の吸水性樹脂の固定方法。
  4. 吸水性樹脂とアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の存在下でゲル形成能を有する多糖類とを含む混合物を多孔質舗装体に塗布、散布、注入または充填することを含み、
    該混合物がアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩と樹脂エマルションとをさらに含み、該混合物のゲル化時間が1時間~24時間であり、
    該樹脂エマルションが水分散型であり、エマルション樹脂粒子の平均粒子径が50nm~500nmであり、および、[吸水性樹脂(膨潤状態)の平均粒子径/エマルション樹脂粒子の平均粒子径]が1/1~1000/1である
    保水性舗装の製造方法。
  5. 前記混合物が塗布、散布、注入または充填された前記多孔質舗装体を養生させることをさらに含む、請求項に記載の保水性舗装の製造方法。
  6. 吸水性樹脂とアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の存在下でゲル形成能を有する多糖類とを含み、
    アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩と樹脂エマルションとをさらに含み、
    該樹脂エマルションが水分散型であり、エマルション樹脂粒子の平均粒子径が50nm~500nmであり、および、[吸水性樹脂(膨潤状態)の平均粒子径/エマルション樹脂粒子の平均粒子径]が1/1~1000/1であり、
    ゲル化時間が1時間~24時間である
    多孔質舗装体用保水性付与剤。
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