JP7178250B2 - 核物質量計測装置及び核物質量計測方法 - Google Patents

核物質量計測装置及び核物質量計測方法 Download PDF

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Description

本発明は、原子力施設や核燃料施設で発生した放射性固体廃棄物に含まれる核物質量を計測する核物質量計測装置及び核物質量計測方法に関する。
核物質を取り扱う原子力発電施設、核燃料再処理施設等では、施設の稼働時や廃止措置時に、放射性固体廃棄物が発生する。放射能レベルが低い低レベル放射性廃棄物は、ドラム缶等の容器内にセメント、アスファルト等で固化されて廃棄されている。また、放射能レベルが高い高レベル放射性廃棄物は、金属缶等の容器内にガラス、セメント等で固化されて廃棄されている。放射性固体廃棄物は、ウラン、プルトニウム等の種々の核物質を含むため、廃棄の際には、核物質量を非破壊的に定量することが求められる。
核物質量を非破壊的に定量する方法としては、計測対象物が放射する中性子・ガンマ線を検出するパッシブ法や、計測対象物に中性子線・ガンマ線を照射して核反応を誘起し、核反応により計測対象物から出射される中性子・ガンマ線を検出するアクティブ法等がある。これらの方法のうち、中性子を照射・検出するアクティブ中性子法は、高精度な定量法として、放射性固体廃棄物の査察時等に用いられている。
アクティブ中性子法では、計測対象物に照射する中性子線として、パルス状に発生する高速中性子線が用いられている。計測対象物に誘起させる核反応としては、多くの場合、核分裂反応が利用されている。計測対象物に中性子を照射し、計測対象物から出射される中性子を中性子検出器で計数することによって、放射性固体廃棄物中の固化体等に含まれる核物質量が非破壊的に定量されている。
従来、アクティブ中性子法による定量の精度を向上させる技術が開発されている。特許文献1には、中性子を放射性廃棄物に照射するステップと、中性子数を測定するステップと、放射性廃棄物中の核分裂性物質量を算出するステップと、を有する核分裂性物質量の測定方法が記載されている。中性子吸収特性や中性子減速特性は物質毎に異なるところ、特許文献1の測定方法では、核分裂中性子の消滅時間(Die-away time)と中性子の総カウント数との相関関係を校正試験やシミュレーションに基づいて補正している。
特開2014-174123号公報
放射性固体廃棄物は、容器や固化体等の中に、材質や大きさが異なる種々の内容物を混在していることがある。種々の内容物は、放射性固体廃棄物中における存在分布だけでなく、ホウ素、ガドリニウム等が混在している場合のように、中性子に対する特性の分布も一様でない可能性がある。放射性固体廃棄物中に、内容物の偏在や、中性子に対する特性の偏りがある場合、正確な核物質量に対応した中性子数が計数されなくなるため、核物質量の定量の精度が低くなるという課題がある。
特許文献1に記載された測定方法によると、放射性固体廃棄物中の内容物が均一である場合には、核分裂中性子の消滅時間と中性子の総カウント数との相関関係に基づく補正が正しく機能するといえる。しかし、内容物が偏在している場合や、中性子に対する特性が大きく異なる物質が混在している場合には、中性子の自己遮蔽や吸収による影響が内容物の分布に応じて変わるため、正確な定量を行うことが困難である。
そこで、本発明は、計測対象物に核物質が不均一に含まれている場合であっても、核物質量を高精度で非破壊的に定量することができる核物質量計測装置及び核物質量計測方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明に係る核物質量計測装置は、互いにエネルギ域が異なる2種類以上のX線を計測対象物に照射し、前記エネルギ域毎に前記計測対象物を透過した透過X線を検出して前記エネルギ域毎の投影データを生成し、前記投影データを再構成して逆投影による分布データを取得するX線CT装置と、計測対象物に中性子線を照射して核反応を誘起し、前記計測対象物から出射する中性子数を計数する中性子計測装置と、前記中性子計測装置における計測系で核物質量が既知の計測対象物について実測された中性子数と、実測された前記計測対象物に含まれる核物質量と、の相関関係を表す校正用データを記憶する記憶装置と、前記分布データに基づいて生成された前記計測対象物の密度及び元素の空間分布を表す3次元データで表されるボクセル毎に前記ボクセル中に存在すると仮定された核物質に対応した放射性同位体の存在比が設定された計算体系を用いて、前記中性子計測装置における計測系で計測される中性子数を数値解析によって模擬するシミュレーション装置と、前記数値解析で求められた中性子数と前記校正用データとを比較し、前記中性子計測装置における計測系で核物質量が未知の計測対象物について実測された中性子数を補正して、前記計測対象物に含まれる核物質量を求める算出装置と、を備える。
また、本発明に係る核物質量計測方法は、互いにエネルギ域が異なる2種類以上のX線を計測対象物に照射し、前記エネルギ域毎に前記計測対象物を透過した透過X線を検出して前記エネルギ域毎の投影データを生成し、前記投影データを再構成して逆投影による分布データを取得するX線CT装置と、計測対象物に中性子線を照射して核反応を誘起し、前記計測対象物から出射する中性子数を計数する中性子計測装置と、を備える核物質量計測装置を用いた核物質量計測方法であって、互いにエネルギ域が異なる2種類以上のX線を計測対象物に照射し、前記エネルギ域毎に前記計測対象物を透過した透過X線を検出して前記エネルギ域毎の投影データを生成し、前記投影データを再構成して逆投影による分布データを取得する工程と、前記中性子計測装置における計測系で核物質量が既知の計測対象物に中性子線を照射して核反応を誘起し、前記計測対象物から出射する中性子を計数する工程と、前記中性子計測装置における計測系で核物質量が既知の計測対象物について実測された中性子数と、実測された前記計測対象物に含まれる核物質量と、の相関関係を求める工程と、前記分布データに基づいて前記計測対象物の密度及び元素の空間分布を表す3次元データを生成する工程と、前記3次元データで表されるボクセル毎に前記ボクセル中に存在すると仮定された核物質に対応した放射性同位体の存在比を設定して計算体系を構築し、前記計算体系を用いて前記中性子計測装置における計測系で計測される中性子数を数値解析によって模擬する工程と、前記数値解析で求められた中性子数と前記相関関係とを比較し、前記中性子計測装置における計測系で核物質量が未知の計測対象物について実測された中性子数を補正して、前記計測対象物に含まれる核物質量を求める工程と、を含む。
本発明に係る核物質量計測装置及び核物質量計測方法によると、計測対象物に核物質が不均一に含まれている場合であっても、核物質量を高精度で非破壊的に定量することができる。
本発明の実施形態に係る核物質量計測装置の構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る核物質量計測装置の構成例を示す図である。 本発明の実施形態に係る核物質量計測方法を示すフローチャートである。 中性子検出器によって検出される中性子数と時間との関係を示す図である。 3次元分布データの生成及び構造について説明する図である。 核物質量計測方法の流れについて説明する図である。 核物質量計測方法の流れについて説明する図である。 核物質量計測方法の流れについて説明する図である。 本発明の変形例に係るX線CT装置の構成を示す図である。 本発明の変形例に係る中性子計測装置の構成を示す図である。 本発明の変形例に係るX線CT装置の構成を示す図である。 X線アブソーバの作用について説明する図である。 本発明の変形例に係る核物質量計測方法を示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態に係る核物質量計測装置、及び、核物質量計測方法について説明する。なお、以下の各図において共通する構成については同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
<核物質量計測装置>
図1は、本発明の実施形態に係る核物質量計測装置の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る核物質量計測装置は、X線CT装置100と、中性子計測装置200と、3次元データ化装置300と、中性子計測シミュレーション装置(シミュレーション装置)400と、核物質量算出装置(算出装置)500と、を備えている。X線CT装置100は、互いにエネルギ域が異なる2種類以上のX線を計測対象物に照射するマルチエネルギ型(デュアルエネルギ型)X線CT装置とされる。
X線CT装置100は、互いにエネルギ域が異なる2種類以上のX線を計測対象物に照射し、エネルギ域毎に計測対象物を透過した透過X線を検出してエネルギ域毎の投影データを生成し、投影データを再構成して逆投影による透過X線の減弱率の空間分布のデータ(分布データ)を取得する。マルチエネルギ型のX線CT装置によると、エネルギ域毎の透過X線の減弱率の違いが計測されるため、計測対象物に含まれる元素(原子番号Z)を弁別することができる。そのため、内容物の偏在や中性子に対する特性の偏りを核物質量の定量に反映させることができる。
図1に示すように、X線CT装置100は、X線照射装置(X線源)101と、X線検出器102と、回転テーブル103と、X線CT制御装置121と、CTデータ収集装置122と、CT画像化装置123と、を有している。図1に示すX線CT装置100は、計測対象物の一つの断層毎にX線CT画像を撮像するシングルスライス型X線CT装置とされている。
X線照射装置101は、計測対象物にX線を照射するための装置であり、ターゲットに対する電子線の衝突によってX線を発生する装置が備えられる。図1において、X線照射装置101としては、X線を扇状に出射して計測対象物に照射するファンビーム型X線照射装置が備えられている。X線照射装置101とX線検出器102とは、回転テーブル103を挟んで対向するように設置されている。
X線照射装置101には、X線源として、例えば、タングステン、モリブデン等の金属ターゲットが備えられる。また、X線源が発生したX線のビーム形を成形するコリメータや、線質を調整するフィルタが備えられる。X線照射装置101の電子線源としては、電子線形加速器(linear accelerator:LINAC)が備えられている。
電子線形加速器には、小サイズの装置で、透過力が高い高エネルギのX線を発生させる装置がある。このような電子線形加速器を電子線源として用いると、計測対象物を透過する高エネルギのX線を発生させることができる。また、電子線形加速器には、加速電子のパルス毎にエネルギ域が異なるX線を発生させる装置がある。このような装置を用いると、一つのX線源でマルチエネルギ型の計測を行うことができる。
X線検出器102は、計測対象物に照射されて透過したX線(透過X線)を検出する装置である。X線検出器102は、透過X線を検出して、その検出信号をCTデータ収集装置122に出力する。X線検出器102としては、例えば、フォトンカウンティング方式等の半導体検出器、シンチレーション検出器等の適宜のX線検出素子がライン状に配列した検出素子アレイを備えることができる。
回転テーブル103は、計測対象物を設置する試料台であり、不図示の回転駆動機構によって回転可能に設けられる。X線の計測時、回転テーブル103は、計測対象物を載せて回転し、計測対象物が回転する間に、計測対象物に対するX線の照射と透過X線の検出とが行われる。このような計測により、計測対象物の一つの断層について、X線のエネルギ域毎に、X線強度の計測データが得られる。
X線CT制御装置121は、X線CT装置100における各機器の動作や処理を制御する。X線CT制御装置121は、例えば、X線照射装置101におけるX線の発生、X線検出器102による透過X線の検出のタイミング、回転テーブル103の回転動作等を制御する。また、X線の計測時、計測対象物の全体に対するX線の走査を順次行い、計測対象物の全体を網羅する多数の計測データの取得を制御する。
CTデータ収集装置122は、X線検出器102が検出したX線強度の計測信号を、増幅、A/D変換して、計測データを生成する。X線強度の計測データは、X線のエネルギ域毎、及び、計測対象物の断層毎に収集される。CTデータ収集装置122は、収集した計測データをCT画像化装置123に出力する。
CT画像化装置123は、CTデータ収集装置122が収集した計測データから投影データを生成し、投影データを断層毎に再構成して、逆投影による透過X線の減弱率の空間分布のデータ(分布データ)を生成する。投影データは、線減弱係数をX線の行路毎に積算したデータであり、透過X線の減弱率の投影座標分布の情報を含むデータである。投影データは、収集された計測データから透過X線の減弱率を計算し、対数変換を行うことによって生成される。投影データには、CT画像を生成する過程で、各種のフィルタ処理や、フィルタ補正逆投影法、コンボリューション逆投影法、逐次近似法等の再構成演算が行われる。再構成演算によって、CT画像の基になる分布データが生成される。分布データは、計測対象物の断層に対応した画素の位置情報と、画素毎の線減弱係数(μ)の情報を含むデータである。
従来、X線CT装置としては、シングルエネルギ型のX線CT装置が一般的に用いられている。シングルエネルギ型のX線CT装置では、1種類のエネルギ域のX線を計測対象物に照射し、計測対象物を透過した透過X線を検出することによって、計測対象物の断層における透過X線の減弱率の空間分布を示す分布データが生成される。しかし、1種類のエネルギ域のX線を用いた計測によると、線減弱係数に対する質量減弱係数の寄与と密度(厚さ)の寄与とを区別することができないため、元素の種類を弁別することができない。
これに対し、マルチエネルギ型のX線CT装置100では、互いにエネルギ域が異なるX線を照射し、それぞれのエネルギ域毎に計測対象物を透過した透過X線を検出するため、計測対象物に含まれる元素の種類や原子番号Zを弁別することができる。X線が計測対象物を透過するとき、X線の減弱の程度は、X線のエネルギや物質の種類によって異なるため、マルチエネルギ型の計測によると、物質に固有な質量減弱係数から、CT画像中に現れる元素の弁別を行うことができる。
CT画像化装置123では、計測に用いられるX線のエネルギ域が1種類の場合、断層毎の透過X線の減弱率の空間分布を示す2次元分布データが得られるが、計測に用いられるX線のエネルギ域が2種類以上の場合には、分布データ同士の比較に基づいて、断層毎の計測対象物の元素(原子番号Z)の空間分布を示す2次元分布データが得られる。マルチエネルギ型の計測の場合、2次元分布データは、画素毎の線減弱係数(μ)から計算される元素(原子番号Z)の情報を含むデータとして得ることができる。
但し、X線CT装置100では、計測対象物の密度(σ)及び元素(原子番号Z)の空間分布の情報は得られるものの、計測対象物に含まれる放射性同位体を弁別することができず、計測対象物に含まれる核物質量を正確に定量することはできない。そのため、本実施形態に係る核物質量計測装置では、X線CT装置100を用いたX線の計測に加え、中性子計測装置200を用いた中性子の計測を行う。
中性子計測装置200は、計測対象物に中性子線を照射して核反応を誘起し、計測対象物から出射する中性子数を計数する装置である。本実施形態に係る核物質量計測装置では、中性子計測装置200は、核物質量が未知の計測対象物についての中性子の計測と、核物質量が既知の計測対象物についての中性子の計測と、の両方に用いられる。核物質量が既知の計測対象物についての中性子の計測は、後記するとおり、校正用データを用意するために行われる。
図1に示すように、中性子計測装置200は、中性子線源201と、中性子検出器202と、回転テーブル203と、中性子計測制御装置221と、中性子計測データ収集装置222と、記憶装置291と、を有している。中性子線源201、中性子検出器202及び回転テーブル203は、中性子遮蔽材や中性子減速材で形成された筐体内に設置されている。
中性子線源201は、中性子を出射して計測対象物に照射するための装置である。中性子線源201としては、パルス状の中性子線を発生する装置が利用される。例えば、重水素と三重水素との核融合反応(D-T反応)や、重水素と重水素との核融合反応(D-D反応)を利用した、イオン源、小型加速器、ターゲット等を備える中性子発生管を用いることができる。D-T反応で発生する中性子のエネルギは、約14.1MeVである。また、D-D反応で発生する中性子のエネルギは、約2.5MeVである。このような中性子線源201を用いると、計測対象物にパルス状の高速中性子線を照射することができる。
中性子検出器202は、計測対象物に中性子線を照射したとき、計測対象物から出射する中性子を検出する装置である。中性子検出器202としては、例えば、ヘリウム3、ホウ素10等を利用した比例計数管や、シンチレータを利用したシンチレーション検出器等の適宜の中性子検出器を備えることができる。
回転テーブル203は、計測対象物を設置する試料台であり、不図示の回転駆動機構によって所定の回転速度で回転可能に設けられる。中性子の計測時、回転テーブル203は、計測対象物を載せて回転し、計測対象物が回転する間に、計測対象物に対する中性子線の照射と中性子の計数とが行われる。このような計測により、計測対象物の水平面毎に平均化された中性子数が計数される。
中性子計測制御装置221は、中性子計測装置200における各機器の動作や処理を制御する。中性子計測制御装置221は、例えば、中性子線源201による中性子の発生、中性子検出器202による中性子の計数、回転テーブル203の回転動作等を制御する。
中性子計測データ収集装置222は、中性子の計測により得られる中性子数データを、中性子検出器202から収集する。中性子数データは、中性子線の照射後に検出された経過時間毎の中性子数の情報を含むデータである。中性子計測データ収集装置222は、中性子の計測により得られた中性子数データを核物質量算出装置500に出力することができる。また、核物質量が既知の計測対象物について実測された中性子数データを、核物質量と紐付けてデータベース化し、校正用データとして記憶装置291に出力することができる。
記憶装置291は、校正用データを記憶するために備えられる。記憶装置291は、ハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスク等の適宜の装置とされる。記憶装置291は、中性子計測データ収集装置222から出力される校正用データを記憶し、核物質量を求める計算処理の際に、校正用データを核物質量算出装置500に出力する。
校正用データは、中性子計測装置200における計測系で核物質量が既知の計測対象物について実測された中性子数と、実測された計測対象物に含まれる核物質量と、の相関関係を表すデータである。校正用データは、核物質量の定量において検量線として機能し、核物質量が未知の計測対象物について計測された中性子数を、核物質の分布や自己遮蔽・吸収の影響を加味して補正するために用いられる。
校正用データは、核物質量が未知の計測対象物の計測に用いる計測系と同じ計測系、すなわち、核物質量を定量しようとしている計測対象物の計測に用いる中性子計測装置200を用いて、核物質量が既知の試料から出射される中性子数を計数することにより、作成することができる。校正用データは、核物質量値を変えた複数の試料について中性子の計測を行い、種々の核物質量値と中性子数の実測値との相関関係を表すテーブル、関数等として用意しておくことができる。
3次元データ化装置300は、X線CT装置100が取得した分布データに基づいて、計測対象物の密度(σ)及び元素(原子番号Z)の空間分布を表す3次元分布データを生成する装置である。3次元データ化装置300は、シングルスライスの計測の場合、計測対象物10の全体を網羅した多数の2次元分布データを、3次元のボリュームデータに再構成して、ボクセルデータとして表される3次元分布データを生成する。マルチエネルギ型の計測の場合、3次元分布データは、計測対象物の立体形状に対応したボクセル毎の線減弱係数(μ)から計算される密度(σ)及び元素(原子番号Z)の情報を含むデータとして得ることができる。
中性子計測シミュレーション装置400は、3次元データ化装置300が生成した3次元分布データに基づいて、中性子計測装置200における計測系で計測される中性数を数値解析によって模擬する。中性子計測シミュレーション装置400では、中性子計測装置200における計測系を模擬した計測系データに、計測対象物10の3次元分布データが組み込まれて、数値解析のための計算体系が構築される。このような計算体系上で、中性子の計測を模擬した中性子の輸送計算や中性子の反応計算を行うことにより、中性子数のデータとして中性子時間スペクトルが得られる。
中性子計測シミュレーション装置400には、中性子計測装置200における計測系を模擬した計測系データとして、中性子線源201による中性子の発生時間、中性子線幅、中性子線形等や、中性子線源201や中性子検出器202の幾何学的配置等のデータが用意される。数値解析法としては、中性子の輸送計算や中性子の反応計算を行える手法であれば、特に制限されるものではない。数値解析法としては、決定論的手法及び確率論的手法のいずれを用いることもできるが、モンテカルロ法が好ましく用いられる。計算コードや核データとしては、汎用されている一般的な種類を用いることができる。
核物質量算出装置500は、中性子計測シミュレーション装置400における数値解析で求められた中性子数と、記憶装置291に用意された校正用データとを比較し、校正用データ上の核物質量が既知の計測対象物について実測された中性子数に対する、数値解析で求められた中性子数の割合である、中性子数の減衰率を求める計算処理を行う。また、中性子計測装置200における計測系で核物質量が未知の計測対象物について実測された中性子数を減衰率を用いた逆算で補正して、核物質量が未知の計測対象物に含まれる核物質量を求める計算処理を行う。
3次元データ化装置300、中性子計測シミュレーション装置400、及び、核物質量算出装置500は、単一又は複数のコンピュータ等によって構成することができる。これらの装置には、CPU(Central Processing Unit)、集積回路等の演算装置や、RAM(Random access memory)、ROM(Read only memory)、ハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスク等の記憶装置や、キーボード、マウス、タッチパッド等の入力装置や、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、ブラウン管等の表示装置が備えられる。
図2は、本発明の実施形態に係る核物質量計測装置の構成例を示す図である。
図2に示すように、核物質量計測装置には、ファンビーム型X線照射装置101を備えるX線CT装置100に、昇降装置104を備えることができる。また、核物質量計測装置には、搬送機構(21,22,23)を備えることができる。
昇降装置104は、ファンビーム105で計測される計測対象物10を、X線照射装置101に対して相対移動させるために備えられる。昇降装置104は、回転テーブル103を支持し、回転テーブル103を鉛直方向に沿って昇降動作させる。昇降装置104の昇降動作は、X線CT制御装置121によって、予め設定した所定の移動量(ピッチ)となるように制御することができる。
X線CT装置100は、X線を扇状に出射するファンビーム型X線照射装置(X線源)101と、複数のX線検出素子が1次元的に配列したX線検出器102と、を備えている。X線CT装置100では、計測対象物10を回転テーブル103上に載置し、計測対象物10にファンビーム105を照射し、回転テーブル103によって計測対象物10を回転させながら、360°全ての方向からX線を照射し、360°全ての方向に透過した透過X線を、線状に配列したX線検出器102で検出する。このような計測により、計測対象物10の断層(シングルスライス)の計測データが得られる。
X線CT装置100では、シングルスライスの撮像毎に、昇降装置104によって、所定の移動量で、計測対象物10を上昇又は下降させて、計測対象物10の異なる断層について、シングルスライスの撮像を順次繰り返す。このような計測により、計測対象物10の全体を網羅した多数の計測データが得られる。シングルスライス型X線CT装置によると、計測対象物10の断層毎に計測が行われるため、X線強度の計測精度や分布データの解像度を高くすることができる。
搬送機構(21,22,23)は、X線CT装置100と中性子計測装置200との間で、計測対象物10を自動的に搬送するために備えられている。搬送機構(21,22,23)は、ガイドレール21と、支持構造22と、把持装置23と、によって構成されている。
ガイドレール21は、X線CT装置100と中性子計測装置200との間に架され、把持装置23の装置間の移動を所定の軌道内で案内する。把持装置23は、X線CT装置100から中性子計測装置200への移動、及び、中性子計測装置200からX線CT装置100への移動のいずれも可能とされる。支持構造22は、ガイドレール21を核物質量計測装置の所定の位置に支持している。
把持装置23は、ガイドレール21上を移動自在に設けられており、計測対象物10となる放射性固体廃棄物を把持することができる。把持装置23は、ガイドレール21上から、X線CT装置100の回転テーブル103上や、中性子計測装置200の回転テーブル203上に、昇降可能に設けられる。把持装置23の把持・開放、進退等の動作は、自動制御としてもよいし、手動制御としてもよい。
把持装置23は、計測対象物10を、X線CT装置100の回転テーブル103上から中性子計測装置200の回転テーブル203上まで搬送したり、中性子計測装置200の回転テーブル203上からX線CT装置100の回転テーブル103上まで搬送したりすることができる。そのため、このような搬送機構(21,22,23)によると、計測者の被曝を避けることが可能になり、核物質量の定量を安全に行うことができる。
中性子計測装置200では、計測対象物10を回転テーブル203上に載置し、中性子線源201によってパルス状の中性子線を発生させ、回転テーブル203によって計測対象物10を回転させながら、計測対象物10に中性子線を照射し、中性子検出器202によって計測対象物10から出射された中性子を検出する。このような計測により、中性子検出器202で検出される中性子数が中性子線の発生時から起算される経過時間と紐付けられた中性子時間スペクトルのデータが得られる。
なお、図2において、中性子計測装置200は、上部に開閉自在な入出口が設けられており、把持装置23は、計測対象物10を上方から把持・開放するように設けられている。しかしながら、計測対象物10が機器に干渉しない場合等には、計測対象物10を側方から把持・開放するように設けてもよい。また、把持装置23に代えて、吊持装置、吸引装置等のように、計測対象物10を着脱自在な他の搬送機構を利用してもよい。
<核物質量計測方法>
次に、本発明の実施形態に係る核物質量計測方法について具体的に説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る核物質量計測方法を示すフローチャートである。
図3に示すように、本実施形態に係る核物質量計測方法は、X線CT装置100で行うX線計測工程S100と、中性子計測装置200で行う中性子計測工程S200と、3次元データ化装置300で行う3次元データ化工程S300と、中性子計測シミュレーション装置400で行う数値解析工程S400と、核物質量算出装置(算出装置)500で行う計算工程S500と、核物質量計測装置で行う移送工程S600と、を含む。
X線計測工程S100では、はじめに、核物質量の定量に用いる互いにエネルギ域が異なる2種類以上のX線について、エネルギ域毎のエアデータを取得する(ステップS101)。エアデータは、互いにエネルギ域が異なる2種類以上のX線のそれぞれについて、個別にX線の計測を行い、核物質量の定量に用いるX線のエネルギ域毎に取得する。
エアデータとは、X線CT装置100における計測系で、計測対象物10にX線を照射することなく、空気中を進んだX線を検出して得るデータである。エアデータは、X線の出力や検出器の校正、バックグラウンドの除去に用いられる。エアデータは、X線CT装置100における計測系で、回転テーブル103上に計測対象物10を置かず、X線検出器102によって非透過のX線を検出することによって得ることができる。
続いて、核物質量を定量しようとしている計測対象物10について、X線CT画像の撮像を行い、計測対象物10の計測データを得る(ステップS102)。X線CT画像の撮像は、互いにエネルギ域が異なる2種類以上のX線のそれぞれについて、計測対象物10の全体を網羅するようにX線を走査して行い、計測対象物10の全体を網羅する多数のCTデータをX線のエネルギ域毎に取得する。
続いて、互いにエネルギ域が異なる2種類以上のX線のうち、1種のエネルギ域のX線を用いて取得した計測データと、これと同じエネルギ域のX線を用いて取得したエアデータとから、透過X線の減弱率の空間分布を求めて、計測対象物10の密度(σ)の空間分布を表す2次元分布データを生成する(ステップS103)。
また、互いにエネルギ域が異なる2種類以上のX線のうち、1種のエネルギ域のX線を用いて取得した計測データと、これと同じエネルギ域のX線を用いて取得したエアデータとから、透過X線の減弱率の空間分布を求めて2次元分布データを生成し、これとは異なるエネルギ域のX線を用いて、同様に2次元分布データを生成し、生成した互いにエネルギ域が異なるX線による2次元分布データ同士から、元素(原子番号Z)の空間分布を表す2次元分布データを生成する(ステップS104)。
個々の2次元分布データは、取得した計測データをエアデータで校正し、投影データに対する再構成演算を行うことによって生成することができる。なお、エアデータによる校正は、対数変換後のデータに減算処理で行ってもよいし、対数変換前のデータに除算処理で行ってもよい。
例えば、画素毎の密度(σ)のデータ(密度値)は、線減弱係数を既知のデータと比較する方法等によって導出することができる。また、元素(原子番号Z)のデータ(原子番号値)は、互いにエネルギ域が異なるX線で求めた2次元分布データ同士で、基底物質分解、重み付け減算処理等で物質の弁別を行い、弁別された物質毎の線減弱係数を既知のデータと比較する方法や、実効原子番号を直接計算する方法等によって導出することができる。
なお、これらの2次元分布データは、互いにエネルギ域が異なる2種類以上のX線を用いてエネルギ域毎に2次元分布データを生成し、これらの2次元分布データを組み合わせて、再構成演算後に合成する方法や、再構成演算前に密度(σ)や元素(原子番号Z)の空間分布に関する情報を織り込み、投影データから直接生成する方法等のいずれを用いて生成してもよい。
次に、核物質量を定量しようとしている計測対象物10を、X線CT装置100から中性子計測装置200に移送する(ステップS600)。なお、本実施形態においては、X線CT装置100を用いたX線計測工程S100を先に行い、中性子計測装置200を用いた中性子計測工程S200を後に行うものとしているが、これらの工程を実施する順序は、特に制限されるものではない。中性子計測工程S200を先に行い、X線計測工程S100を後に行ってもよい。
中性子計測工程S200では、計測対象物10に中性子線を照射して核反応を誘起し、計測対象物10から出射する中性子を計数する(ステップS201)。核物質量を定量しようとしている計測対象物10を、回転テーブル203によって所定の回転速度で回転させながら、計測対象物10に中性子線を照射して核反応を誘起し、計測対象物10から出射される中性子を検出する。
また、中性子計測工程S200では、核物質量を定量しようとしている計測対象物10とは別に、核物質量が既知の計測対象物について中性子数を実測し、校正用データを作成する(ステップS210)。核物質量が既知の計測対象物についての計測は、核物質量が未知の計測対象物の計測に用いる計測系と同じ計測系を用いて行う。すなわち、核物質量を定量しようとしている計測対象物の計測に用いる中性子計測装置200を用いて、中性子線源、計測対象物や機器の幾何学的配置、計測対象物の回転動作等を同一の条件として、計測対象物から出射される中性子数を計数する。
図4は、中性子検出器によって検出される中性子数と時間との関係を示す図である。
図4には、中性子線の単パルスを試料に照射したときに、中性子検出器によって検出される中性子数の計数結果を例示している。図において、横軸は、単パルスを発生させた時点から起算される経過時間、縦軸は、時間毎に検出される中性子数(count)を示す。
図4に示すように、時間と中性子数との関係を表す中性子時間スペクトル中には、大きく分けて三つの領域が現れる。単パルスを試料に照射した直後には、中性子線源が発生させた中性子成分、例えば、高速中性子等が検出される。高速中性子は、早期に減衰し、中性子数が比較的急速に減少していく。その後、試料に照射された中性子によって核反応が誘起され、核分裂性物質が発生させた中性子成分が検出される。核分裂性物質が発生させた中性子成分は、比較的緩速で減少していく。最終的には、バックグラウンドの中性子成分、例えば、熱中性子等が検出されるようになる。
中性子時間スペクトル中に現れる三つの領域のうち、中間期に検出される核分裂性物質に由来する中性子数は、試料に含まれる核物質量と相関がある。この期間に検出される総中性子数(図4の網掛けの領域の面積)が試料に含まれる核物質量と比例関係になることが知られている。
そのため、核物質量が既知の計測対象物について中性子数を実測し、実測された中性子数と、その核物質量と、の相関関係を求めておくと、その相関関係と、同一の計測系で核物質量が未知の計測対象物について実測された中性子数とから、その実測された中性子数に対応した核物質量を求めることができる。中性子計測装置200では、このような相関関係を表す校正用データ(ステップS210)を、記憶装置291に記憶させておき、核物質量を求める計算処理の際に読み出すことができる。
図3に示すように、3次元データ化工程S300では、X線CT装置100が取得した計測対象物10の密度(σ)の空間分布を表す2次元分布データ及び元素(原子番号Z)の空間分布を表す2次元分布データを用いて、3次元のボリュームデータへの再構成を行い、計測対象物10の密度(σ)及び元素(原子番号Z)の空間分布を表す3次元分布データ(3次元データ)を生成する(ステップS300)。
図5は、3次元分布データの生成及び構造について説明する図である。
図5に示すように、X線CT装置100を用いて計測対象物10の計測を行うと、計測対象物10の全体を網羅する多数の2次元CT画像51を生成することができる。このような2次元CT画像51に対応した密度(σ)や元素(原子番号Z)の空間分布の情報を記述するデータとしては、計測対象物10の断層毎の2次元分布データが得られる。計測対象物10が低密度物質52と高密度物質53とを含む場合、密度の違いによってX線の減弱の程度が異なるため、2次元CT画像51には、CT値の相違によるコントラストが現れる。
このような多数の2次元CT画像51を、計測した方向及び順序にしたがって積み重ねると、計測対象物10中の密度(σ)や元素(原子番号Z)の空間分布が反映された3次元立体画像61を再構成することができる。このような3次元CT画像61に対応した密度(σ)や元素(原子番号Z)の空間分布の情報を記述するデータとしては、計測対象物10の3次元分布データが得られる。
3次元分布データは、計測対象物10を、立方体又は直方体のボクセルの集合で構成されるボクセルデータの形式で表すことができる。計測対象物10が、低密度物質52や高密度物質53のように互いに異なる物質を含んでいる場合、これらの物質の分布や、原子番号毎に異なる中性子に対する特性の分布は、ボクセル毎に紐付けられる原子番号Zに基づいてボクセルデータ上で判別することができる。
図3に示すように、数値解析工程S400では、はじめに、3次元分布データ(3次元データ)を、数値解析のモデルとして中性子計測シミュレーション装置400に入力する(ステップS401)。3次元分布データには、計測対象物10の幾何学的形状や、計測対象物10を構成する物質の分布や、計測対象物10を構成する物質の物性の情報に加え、ボクセル毎の放射性同位体の種類ないし存在比の情報が紐付けられる。このような3次元分布データを、中性子計測装置200における計測系を模擬した計測系データに組み込むことによって、数値解析のための計算体系を定義することができる。
続いて、中性子計測装置における計測系を数値解析によって模擬した中性子計測シミュレーションを実施する(ステップS402)。数値解析では、計測対象物10に含まれる核原料物質、核分裂性物質等の核物質が、その元素(原子番号Z)に対応した全てのボクセル中に均等に存在すると仮定して数値解析を行うことができる。各ボクセルには、原子炉の燃焼度等に基づいて、任意の放射性同位体の種類ないし存在比を設定して計算体系を定義することができる。
通常、計測対象物10は、中性子に対する特性が異なる物質が偏在している場合や、中性子に対する特性が大きく異なる物質が分布している場合には、所定の中性子線を照射したとき、中性子の自己遮蔽や吸収を起こすため、出射する中性子数が減少する傾向を示す。元素(原子番号Z)を弁別した3次元分布データを組み込んで数値解析の計算体系を定義し、この計算体系を用いて中性子の輸送計算や反応計算を行うと、核物質の分布や自己遮蔽・吸収の影響に起因する中性子数の減衰率を数値解析上で求めることができる。
次に、計算工程S500では、中性子計測シミュレーション装置400による数値解析で求められた中性子数と、中性子計測装置200の記憶装置291に記憶されている校正用データと、中性子計測装置200における計測系で核物質量が未知の計測対象物10について実測された中性子数と、を用いて計算処理を行い、計測対象物10に含まれる核物質量を求める。
はじめに、中性子計測シミュレーション装置400による数値解析で求められた中性子数と、中性子計測装置200の記憶装置291に記憶されている校正用データとを比較して、核物質の分布や自己遮蔽・吸収の影響に起因する計測対象物10の中性子数の減衰率を求める(ステップS501)。
続いて、中性子計測装置200における計測系で核物質量値が未知の計測対象物10について実測された中性子数を、減衰率を用いた逆算で補正して、核物質量を定量しようとしている計測対象物10に含まれる核物質量を求める(ステップS502)。
図6A、図6B及び図6Cは、核物質量計測方法の流れについて説明する図である。
図6Aは、中性子計測装置200で行う中性子計測工程S200、図6Bは、中性子計測シミュレーション装置400で行う数値解析工程S400、図6Cは、核物質量算出装置500で行う計算工程S500に対応している。
図6Aに示すように、中性子計測工程S200では、中性子計測装置200における計測系で核物質量が既知の計測対象物10aについて中性子数を実測することにより、中性子時間スペクトルが得られる。核物質量が既知の計測対象物10aとしては、ウラン235(U-235)を用いた例を示す。核物質量が既知の計測対象物10aは、中性子の自己遮蔽や吸収の影響を避ける観点から、母材が無い核物質のみの状態で計測することが好ましい。
中性子計測工程S200で得られる中性子時間スペクトルは、中性子計測装置200における計測系で計測される核分裂性物質が発生した中性子数と、計測対象物10aに含まれる核物質量と、の相関関係を示している。中性子の計測を、m0(g)、m1(g)、m2(g)等のように種々の核物質量に変えて行うと、中性子数と核物質量との相関関係が種々の数値に対して求まり、検量線として機能する校正用データが得られる。
次に、図6Bに示すように、数値解析工程S400では、中性子計測シミュレーション装置400に3次元分布データ410を入力し、中性子計測装置200における計測系を表すデータに組み込むことにより、数値解析に用いる計算体系420が定義される。このような計算体系420を定義すると、放射性固体廃棄物の内容物の分布や中性子に対する特性の分布が不明であっても、マルチエネルギ型のX線計測で確認された密度(σ)や元素(原子番号Z)の空間分布を表す分布データによって、核物質量の定量に核物質の分布や自己遮蔽・吸収の影響を、中性子の輸送計算や中性子の反応計算に反映させることができる。また、元素毎の総重量を求めることができるため、校正用データから、核物質量が近い適切なデータを取得することができる。
3次元分布データ410としては、計測対象物10の密度(σ)及び元素(原子番号Z)の空間分布を表すボクセルデータを入力する。具体的には、元素(原子番号Z)の空間分布を表すボクセルデータから、ウラン(U:原子番号92)を表すボクセルを特定し、密度(σ)の空間分布を表すボクセルデータから、ウランを表すボクセルと同じ位置のボクセルの密度データを取得する。そして、取得した密度データと、ボクセルの体積と、に基づいて、そのボクセルが表す空間に存在するウランの重量を算出し、ウランを表す全てのボクセルについて、これらの空間に存在するウランの重量を合計する。
ボクセルデータで表される3次元分布データ(3次元データ)410は、計測対象物10に含まれる放射性同位体の情報を含んでいないため、ウランの総重量に対するU-235の重量割合は、原子炉における燃焼度等を用いて仮定的に設定する。任意の条件で設定したU-235の重量割合をウランの総重量に乗算し、その計算値をウランを表す全てのボクセルに均等に配分する。このような条件で3次元分布データ410を入力して計算体系420を定義すると、X線計測では弁別することができない放射性同位体比による影響を低減することができる。
図6Bに示すように、数値解析によって求められるシミュレーション結果では、同等の総重量のウランを含む核物質量が既知の計測対象物10aについて実測された結果と比較して、核分裂性物質に由来する総中性子数(図6Bの網掛けの領域の面積)が、ある割合で減少する。このように所定の元素の総重量が同等になる条件で、中性子計測シミュレーション装置400による数値解析で求められた中性子数と、中性子計測装置200の記憶装置291に記憶されている校正用データとを比較すると、核物質量が既知の計測対象物10aについて得られた中性子時間スペクトルが示す総中性子数(図6Bのドットの領域の面積)に対する、数値解析によって求められた中性子時間スペクトルが示す総中性子数(図6Bの斜線の領域の面積)の割合として、計測対象物10の中性子数の減衰率が求まる。
次に、図6Cに示すように、核物質量算出装置500に、中性子計測装置200における計測系で核物質量が未知の計測対象物10bについて実測された中性子数を入力し、中性子計測装置200における計測系で核物質量が未知の計測対象物10bについて実測された中性子数を、中性子数の減衰率の逆数である補正率で補正する、すなわち、減衰率で除算すると、核物質量が未知の計測対象物10bに含まれる核物質量が求まる。補正による計算結果では、所定の元素の総重量が同等になる条件のとき、核物質量が未知の計測対象物10bについて実測された結果と比較して、核分裂性物質に由来する総中性子数(図6Cのドットの領域の面積)が増加する。このようにして算出される計算結果は、核物質の分布や自己遮蔽・吸収の影響が反映されており、計測対象物10の核物質量の真値に近くなる。
したがって、以上の核物質量計測装置及び核物質量計測方法によると、計測対象物の密度(σ)及び元素(原子番号Z)の空間分布を表す3次元分布データに基づく数値解析で求められた中性子数と、核物質量が既知の計測対象物について実測された中性子数と核物質量との相関関係とを比較して、核物質量が未知の計測対象物について実測された中性子数を補正するため、計測対象物に核物質が不均一に含まれている場合であっても、核物質量を高精度で非破壊的に定量することができる。
次に、本発明の変形例に係る核物質量計測装置、及び、核物質量計測方法について説明する。
図7は、本発明の変形例に係るX線CT装置の構成を示す図である。
図7に示すように、前記の実施形態に係る核物質量計測装置は、ファンビーム型のX線を照射するX線CT装置100に代えて、コーンビーム型のX線を照射するX線CT装置(変形例に係るX線CT装置)150を備えることもできる。
変形例に係るX線CT装置150は、X線を円錐状に出射して計測対象物に照射するX線照射装置(X線源)151と、計測対象物に照射されて計測対象物を透過したX線(透過X線)を検出するX線検出素子が面状に配列したX線検出器152と、計測対象物を載せて回転させる回転テーブル103と、を有している。X線CT装置150には、コーンビーム型のX線による計測に対応した、X線CT制御装置121と、CTデータ収集装置122と、CT画像化装置123と、が備えられる。
変形例に係るX線CT装置150では、コーンビーム型のX線155を計測対象物10の全体に照射し、その透過X線を面状のX線検出器152で検出して、1回のX線CT撮像で、計測対象物10の全体を網羅する計測データを取得することができる。また、X線CT装置150が備えるCT画像化装置123では、FDK法等の再構成演算によって、投影データから直接的に3次元分布データを生成することができる。
ファンビーム型のX線105の場合、一つの断層の撮像を繰り返す必要がある。これに対し、変形例に係るX線CT装置150によると、コーンビーム型のX線155によって、3次元分布データを1回の撮像で生成することができる。そのため、一つの計測対象物10についての計測時間を、大幅に短縮することができる。
図8は、本発明の変形例に係る中性子計測装置の構成を示す図である。
図8に示すように、前記の実施形態に係る核物質量計測装置は、互いにエネルギ域が異なる2種類以上の中性子線を出射可能な中性子線源を有する中性子計測装置(変形例に係る中性子計測装置)250を備えることもできる。
変形例に係る中性子計測装置250は、D-T反応によって中性子を出射する中性子線源201Aと、D-D反応によって中性子を出射する中性子線源201Bと、中性子検出器202と、回転テーブル203と、中性子計測制御装置221と、中性子計測データ収集装置222と、記憶装置291と、を有している。
変形例に係る中性子計測装置250では、はじめに、一方の中性子線源201Aを所定の照射位置に移動させる。そして、照射位置に移動させた中性子線源201Aから、計測対象物10に中性子線を照射して核反応を誘起し、計測対象物10から出射する中性子を計数して、中性子時間スペクトルを取得する。
続いて、一方の中性子線源201Aを照射位置から退かせ、他方の中性子線源201Bを照射位置に移動させる。そして、照射位置に移動させた中性子線源201Bから、計測対象物10に中性子線を照射して核反応を誘起し、計測対象物10から出射する中性子を計数して、中性子線源201Aと同等の条件で中性子時間スペクトルを取得する。
中性子線と物質との反応確率や中性子線の減衰率は、中性子のエネルギによって、互いに相違する。これに対し、変形例に係る中性子計測装置250によると、2種類の中性子線源(201A,201B)によって、互いにエネルギ域が異なる2種類以上の中性子線を照射するため、異なる中性子エネルギスペクトルを得ることができる。互いに異なる中性子エネルギスペクトルを解析すると、計測対象物10に含まれる核物質を弁別することができる場合がある。
例えば、高速中性子に対する反応断面積が大きいPu-239が出射した中性子と、熱中性子に対する反応断面積が大きいU-235が出射した中性子とを、検出される中性子のエネルギの分布によって弁別することができる。また、計測対象物10に含まれる中性子吸収材の影響を解析することができる。このような中性子エネルギの情報は、3次元分布データに追加して、より正確な数値解析を行うことができる。
図9は、本発明の変形例に係るX線CT装置の構成を示す図である。
図9に示すように、前記の実施形態に係る核物質量計測装置は、X線を減弱させるX線アブソーバを用いたX線CT装置(変形例に係るX線CT装置)160を備えることもできる。
変形例に係るX線CT装置160は、X線照射装置(X線源)101と、X線検出器102と、回転テーブル103と、昇降装置104と、X線アブソーバ111と、可動装置114と、を有している。
X線アブソーバ111は、X線のエネルギの一部を吸収するX線吸収体であり、入射したX線を減弱させて透過X線を出射する。X線アブソーバ111としては、X線の吸収断面積が大きい物体、例えば、鉄、鉛、タングステン等を用いることができる。
可動装置114は、X線を減弱させるX線アブソーバ111を移動させるための装置であり、回転テーブル(試料台)103とX線検出器102との間に備えられている。可動装置114には、X線アブソーバ111が固定されている。可動装置114は、計測対象物10が設置される回転テーブル(試料台)103とX線を検出するX線検出器102との間のX線の行路内に、X線アブソーバ111を進退可能に設けられる。
図10は、X線アブソーバの作用について説明する図である。
図10において、横軸は、X線照射装置101が出射するX線のエネルギ、縦軸は、X線照射装置101が出射するX線の強度を示す。破線は、X線アブソーバ111を透過していないX線のエネルギスペクトルであり、実線は、X線アブソーバ111を透過したX線のエネルギスペクトルである。
図10に示すように、X線照射装置101が出射する制動X線は、通常、電子の加速エネルギを最大値とし、低エネルギから高エネルギにわたる幅広いスペクトルを示す。低エネルギのX線は物体を透過する能力が相対的に弱いため、X線アブソーバ111をX線が透過すると、図10に示すように、X線のエネルギスペクトルが変化し、透過X線のエネルギが弱くなり、低エネルギ側が大きく減弱する。
このようなX線アブソーバ111をX線の行路上に配置すると、X線照射装置101が、1種類のエネルギ域のX線を照射するX線源を備える場合であっても、X線のエネルギスペクトルを切り替えて、マルチエネルギ型の計測を行うことができる。複数のX線源を備える必要が無くなるため、X線CT装置100を低コスト化することができる。但し、X線アブソーバ111は、X線照射装置101が2種類以上のエネルギ域のX線を照射するX線源を備える場合にも用いることができる。
X線のエネルギスペクトルは、X線アブソーバ111の材質や、X線アブソーバ111のX線の行路上の長さ(厚さ)を変えることによって調節することができる。計測対象物10がガンマ線を発生する場合、X線撮像によって得られるCTデータ(投影データ)にノイズが発生するが、X線アブソーバ111を用いると、ノイズを低減することができる。
なお、図9において、可動装置114は、X線アブソーバ111を昇降させる方式とされているが、X線アブソーバ111がX線の行路上に位置する状態と、X線アブソーバ111がX線の行路上から外れる状態と、が切り替えられる限り、X線アブソーバ111をその他の方向に進退させる方式としてもよい。
また、図9において、X線アブソーバ111は、可動装置114によって進退可能に設けられているが、計測対象物10が設置される回転テーブル(試料台)103とX線を検出するX線検出器102との間には、可動装置114に固定されたX線アブソーバ111に代えて、着脱自在なX線アブソーバ111を、X線の行路内に取り付けてもよい。X線による計測毎に、X線アブソーバ111を脱着することにより、可動装置114のような機器を設けなくとも、マルチエネルギ型の計測を行うことができる。
また、図9において、X線アブソーバ111は、計測対象物10が設置される回転テーブル(試料台)103とX線を検出するX線検出器102との間に設けられているが、X線アブソーバ111は、計測対象物10が設置される回転テーブル(試料台)103とX線を出射するX線照射装置(X線源)との間に設けてもよい。X線アブソーバ111で減弱したX線を計測対象物10に照射し、X線検出器102で検出することにより、同様にマルチエネルギ型の計測を行うことができる。
図11は、本発明の変形例に係る核物質量計測方法を示すフローチャートである。
図11に示すように、前記の実施形態に係る核物質量計測方法は、計測対象物10がガンマ線を放射してノイズ源となる場合に、ノイズ除去処理を行う方法(変形例に係る核物質量計測方法)とすることもできる。
変形例に係る核物質量計測方法が、前記の核物質量計測方法(図3参照)と異なる点は、X線CT装置100において、X線を照射しない状態でノイズデータを取得する工程(ステップS105)と、計測対象物の計測データとノイズデータとを用いてノイズ除去処理を行う工程(ステップS106)と、を追加的に実施する点である。
変形例に係る核物質量計測方法では、前記の実施形態と同様に、はじめに、核物質量の定量に用いる、互いにエネルギ域が異なる2種類以上のX線について、エネルギ域毎のエアデータを取得する(ステップS101)。そして、X線CT装置100における計測系で、X線CT装置100の回転テーブル103に計測対象物10を設置し、計測対象物10にX線を照射することなく計測対象物10から放射されるガンマ線(X線)を検出してノイズデータ(計測データ)を取得する(ステップS105)。
続いて、前記の実施形態と同様に、核物質量を定量しようとしている計測対象物10にX線を照射して撮像を行い、透過X線による計測データを得る(ステップS102)。そして、計測対象物10について取得した透過X線による計測データを、ステップS105で取得したノイズデータ(計測データ)でフィルタ処理してノイズの影響を除去する(ステップS106)。ガンマ線によるノイズの影響は、減算処理等のフィルタ処理を行うことによって除去することができる。
変形例に係る核物質量計測方法によると、計測対象物10がガンマ線を放射してノイズ源となる場合に、ノイズの影響を除去することができるため、計測対象物10が高線量の放射性物質を含んでいるような場合であっても、高精度でX線の計測を行うことができる。そのため、密度(σ)や元素(原子番号Z)の空間分布の情報も、3次元分布データに正確に反映されるようになり、核物質量の定量の精度を向上させることができる。
以上、本発明について説明したが、本発明は、前記の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、本発明は、必ずしも前記の実施形態や変形例が備える全ての構成を備えるものに限定されない。或る実施形態や変形例の構成の一部を他の構成に置き換えたり、或る実施形態や変形例の構成の一部を他の形態や変形例に追加したり、或る実施形態や変形例の構成の一部を省略したりすることができる。
例えば、前記の搬送機構(21,22,23)は、ファンビーム型X線照射装置101を備える核物質量計測装置に備えられているが、コーンビーム型X線照射装置151を備える核物質量計測装置に備えてもよい。また、互いにエネルギ域が異なる2種類以上の中性子線を出射可能な中性子線源(201A,201B)を備える中性子計測装置200は、ファンビーム型X線照射装置101を備える中性子計測装置200と組み合わせてもよいし、コーンビーム型X線照射装置151を備える中性子計測装置200と組み合わせてもよい。
また、前記の核物質量計測装置は、X線CT装置100として、X線照射装置101の電子線源が電子線形加速器である装置を備えているが、X線CT装置100として、計測対象物に対する透過力が十分に備わっている限り、X線管球等をX線源とする他の装置を用いることもできる。また、X線照射装置101としては、パラレルビームを照射する装置や、計測対象物に対してX線源が回転するヘリカル式又はノンヘリカル式の装置を用いることもできる。X線によるマルチエネルギ型の計測は、管電圧が異なる複数のX線源から互いにエネルギ域が異なるX線を同時に照射して検出する方法や、単一のX線源で計測対象物の走査を反復して走査毎にX線のエネルギ域を切り替える方法や、単一のX線源の管電圧をパルス的にスイッチングする方法や、積層型のX線検出器を用いる方法等で行ってもよい。
10 計測対象物
21 ガイドレール
22 支持構造
23 把持装置
51 2次元CT画像
52 低密度物質
53 高密度物質
61 3次元立体画像
100 X線CT装置
101 X線照射装置(X線源)
102 X線検出器
103 回転テーブル
104 昇降装置
105 ファンビーム
121 X線CT制御装置
122 CTデータ収集装置
123 CT画像化装置
155 コーンビーム
200 中性子計測装置
201 中性子線源
202 中性子検出器
203 回転テーブル
221 中性子計測制御装置
222 中性子計測データ収集装置
291 記憶装置
300 3次元データ化装置
400 中性子計測シミュレーション装置(シミュレーション装置)
500 核物質量算出装置(算出装置)

Claims (10)

  1. 互いにエネルギ域が異なる2種類以上のX線を計測対象物に照射し、前記エネルギ域毎に前記計測対象物を透過した透過X線を検出して前記エネルギ域毎の投影データを生成し、前記投影データを再構成して逆投影による分布データを取得するX線CT装置と、
    計測対象物に中性子線を照射して核反応を誘起し、前記計測対象物から出射する中性子数を計数する中性子計測装置と、
    前記中性子計測装置における計測系で核物質量が既知の計測対象物について実測された中性子数と、実測された前記計測対象物に含まれる核物質量と、の相関関係を表す校正用データを記憶する記憶装置と、
    前記分布データに基づいて生成された前記計測対象物の密度及び元素の空間分布を表す3次元データで表されるボクセル毎に前記ボクセル中に存在すると仮定された核物質に対応した放射性同位体の存在比が設定された計算体系を用いて、前記中性子計測装置における計測系で計測される中性子数を数値解析によって模擬するシミュレーション装置と、
    前記数値解析で求められた中性子数と前記校正用データとを比較し、前記中性子計測装置における計測系で核物質量が未知の計測対象物について実測された中性子数を補正して、前記計測対象物に含まれる核物質量を求める算出装置と、を備える核物質量計測装置。
  2. 請求項1に記載の核物質量計測装置であって、
    前記中性子計測装置は、互いにエネルギ域が異なる2種類以上の中性子線を出射可能な中性子線源を有する核物質量計測装置。
  3. 請求項1に記載の核物質量計測装置であって、
    前記X線CT装置は、電子線形加速器を電子線源として有する高エネルギ型X線CT装置である核物質量計測装置。
  4. 請求項1に記載の核物質量計測装置であって、
    前記X線CT装置は、ライン状に配列したX線検出器を有するシングルスライス型X線CT装置である核物質量計測装置。
  5. 請求項1に記載の核物質量計測装置であって、
    前記X線CT装置は、X線を円錐状に出射するX線源と、面状に配列したX線検出器と、を有するコーンビーム型X線CT装置である核物質量計測装置。
  6. 請求項1に記載の核物質量計測装置であって、
    前記X線CT装置は、前記計測対象物が設置される試料台と前記X線を検出するX線検出器との間、又は、前記計測対象物が設置される試料台と前記X線を出射するX線源との間に、X線を減弱させる着脱自在なX線アブソーバを有するマルチエネルギ型X線CT装置である核物質量計測装置。
  7. 請求項1に記載の核物質量計測装置であって、
    前記X線CT装置は、X線を減弱させるX線アブソーバを移動させる可動装置を有するマルチエネルギ型X線CT装置であり、
    前記可動装置は、前記X線の行路内に、前記X線アブソーバを進退可能である核物質量計測装置。
  8. 互いにエネルギ域が異なる2種類以上のX線を計測対象物に照射し、前記エネルギ域毎に前記計測対象物を透過した透過X線を検出して前記エネルギ域毎の投影データを生成し、前記投影データを再構成して逆投影による分布データを取得するX線CT装置と、
    計測対象物に中性子線を照射して核反応を誘起し、前記計測対象物から出射する中性子数を計数する中性子計測装置と、
    を備える核物質量計測装置を用いた核物質量計測方法であって、
    互いにエネルギ域が異なる2種類以上のX線を計測対象物に照射し、前記エネルギ域毎に前記計測対象物を透過した透過X線を検出して前記エネルギ域毎の投影データを生成し、前記投影データを再構成して逆投影による分布データを取得する工程と、
    前記中性子計測装置における計測系で核物質量が既知の計測対象物に中性子線を照射して核反応を誘起し、前記計測対象物から出射する中性子を計数する工程と、
    前記中性子計測装置における計測系で核物質量が既知の計測対象物について実測された中性子数と、実測された前記計測対象物に含まれる核物質量と、の相関関係を求める工程と、
    前記分布データに基づいて前記計測対象物の密度及び元素の空間分布を表す3次元データを生成する工程と、
    前記3次元データで表されるボクセル毎に前記ボクセル中に存在すると仮定された核物質に対応した放射性同位体の存在比を設定して計算体系を構築し、前記計算体系を用いて前記中性子計測装置における計測系で計測される中性子数を数値解析によって模擬する工程と、
    前記数値解析で求められた中性子数と前記相関関係とを比較し、前記中性子計測装置における計測系で核物質量が未知の計測対象物について実測された中性子数を補正して、前記計測対象物に含まれる核物質量を求める工程と、を含む核物質量計測方法。
  9. 請求項8に記載の核物質量計測方法であって、
    前記数値解析で求められた中性子数と前記相関関係とを比較して、前記計測対象物の中性子数の減衰率を求め、前記中性子計測装置における計測系で核物質量が未知の計測対象物について実測された中性子数を前記減衰率を用いた逆算で補正して、前記計測対象物に含まれる核物質量を求める核物質量計測方法。
  10. 請求項8に記載の核物質量計測方法であって、
    前記X線CT装置における計測系で前記計測対象物にX線を照射することなく前記計測対象物から放射されるX線を検出して計測データを取得する工程を含み、
    取得した前記投影データを前記計測データでフィルタ処理してから前記3次元データを生成する核物質量計測方法。
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