JP7178094B2 - 反応性付与化合物、その製造方法、それを用いた表面反応性固体、及び表面反応性固体の製造方法 - Google Patents
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Description
[1] 固体と他の材料との接合のために前記固体の表面に設けられる反応性付与化合物であって、
1分子内に、トリアジン環と、アルコキシシリル基(前記アルコキシシリル基中のアルコキシ基がOHである場合も含まれる)と、ジアゾメチル基とを有する化合物である、反応性付与化合物。
[2] 下記一般式(1)で表される化合物である、[1]に記載の反応性付与化合物。
[3] 前記Q1及びQ2が-HN-R3又は-S-R3(R3は、RSi(R’)n(OA)3-nである。)である、[2]に記載の反応性付与化合物。
[4] 前記Q1,Q2のうちの少なくとも一つは-HN(CH2)3Si(EtO)3又は-S(CH2)3Si(EtO)3である、[2]又は[3]に記載の反応性付与化合物。
[5] 下記一般式(2)で表される化合物である、[1]から[4]のいずれか1に記載の反応性付与化合物。
下記一般式(3)で表される化合物をNH2-R3(R3は、RSi(R’)n(OA)3-nである。Rは、炭素数が1~12の鎖状の炭化水素基である。R’は、炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基である。Aは、H又は炭素数が1~4の鎖状の炭化水素基である。nは0~2の整数である。)と反応させることで、下記一般式(4)で表される化合物を得る、反応性付与化合物の製造方法。
[9] 固体の表面に請求項[1]から[5]のいずれか1に記載の反応性付与化合物を設ける、表面反応性固体の製造方法。
[10] 前記固体の表面と前記反応性付与化合物を光照射により結合させる、[9]に記載の表面反応性固体の製造方法。
本実施形態の反応性付与化合物は、固体と他の材料との接合のために用いられる。ここで固体は、金属、セラミックス、又は高分子材料(ポリマー)等が挙げられる。本実施形態では、好ましい形態として固体に高分子材料、接合する他の材料として金属が挙げられる。さらに具体的には、前記接合は高分子材料の固体表面にめっきによって金属膜を形成するに際して用いられる方法であってもよい。例えば、配線基板と言った機能性基板の製造、或いは、意匠製品(装飾製品)の製造において用いられるものが挙げられる。
アルコキシシリル基は、シラノール生成基の一種として選択される。シラノール生成基は、加水分解等によりシラノールを生じる基である。アルコキシシリル基としては、ケイ素とアルコキシ基を有する基であれば任意に選択できる。アルコキシシリル基がトリアジン環と結合する部位と、ケイ素との間には、他の元素が存在していることが好ましい。例えば、前記結合する部位とケイ素との間には、アミノ基、チオ基、オキシ基および/または炭化水素基などが存在していてもよい。前記他の元素が存在することで、固体と他の材料とが反応性付与化合物を介して接合する際に、後述するスペーサとして働く。また、本実施形態の反応性付与化合物が2個以上のアルコキシシリル基を有する場合は、その構造は同一でも異なるものでも良い。
本実施形態の反応性付与化合物は、トリアジン環に光反応性窒素官能基であるジアゾメチル基と、シランカップリング部位であるアルコキシシリル基を有するので、光(好ましくは紫外光など)で光分解して、高反応性の化学種を発生する。本実施形態の高反応性の化学種とは、ジアゾメチル基に由来するカルベン(価電子が6個で電荷を持たない炭素)である。このカルベンの部位が固体表面と結合する。結合後、この反応性付与化合物のシランカップリング部位が固体に付与される。シランカップリング部位は、溶媒などに含まれる水分による加水分解によってシラノール基を形成する。よって、この固体にシラノール基を介して他の材料と接合することのできる反応性を付与することができる。
本実施形態の反応性付与化合物は、アジド基を有していた従来の化合物に比すると、紫外光の吸収効率が高く、活性種の発生効率も良いため、固体表面により多くの分子が結合することができる。
また、本実施形態のジアゾメチル基を有する反応性付与化合物は、ジアゾメチル基にかえてアジド基を有していた従来の化合物に対して、接合強度が高い。例えば、反応性付与化合物が付与された樹脂を金属めっきした場合に、本実施形態の反応性付与化合物は、アジド基を有していた従来の化合物よりも金属が剥離しにくい。
本実施形態の反応性付与化合物は、トリアジン環を有する化合物にアルコキシシリル基及びジアゾメチル基を導入する方法により適宜製造することができる。例えば、1,3,5-トリアジンが塩素化された塩化シアヌルを出発物質とし、トリメチルシリルジアゾメタン(TMSジアゾメタン)を反応させることで、ジアゾメチル基を導入した化合物(下記の一般式(3))を得る。したがって、塩化シアヌルに対する置換を行うことで、本実施形態のジアゾメチル基を1つ有する化合物の合成に適した化合物を得ることができる。
本実施形態の表面反応性固体は、固体の表面に前記反応性付与化合物を設けられてなる。固体は、他の材質と接合して複合材料として用いられる固体を広く用いることができ、上述した金属やセラミックス等の無機材料、又は高分子材料(ポリマー)等が挙げられる。固体の形態は、広い平面を有するものからいわゆる粒状物、粉体まで応用できる。
ポリマーとしては、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂が挙げられる。ABS樹脂は、車両の部品等に用いられ、表面に金属めっきを施されることで、ABSと金属との接合した部位を有する複合材料に用いられる。
無機材質として、例えば、酸化ケイ素を含有する材質が挙げられる。その他、電子機器の部品、回路基板には無機及び有機の各種素材を含む基板があり、表面に金属めっき等で回路が形成されることで、複合材料として用いられる。
また、表面性反応固体は、固体の表面に前記反応性付与化合物の分子が、固体に対して垂直に近い形で配向していることが好ましい。
本実施形態の表面反応性固体を製造する際は、反応性付与化合物の固体との結合部位を活性化させ、固体と接触させる。ここで前記結合部位とは反応性付与化合物に由来するジアゾメチル基であり、活性化とは、エネルギーを与えることでジアゾメチル基に由来するカルベンが生ずることである。
固体と反応性付与化合物を接触させる際は、反応性付与化合物又はそれを含む成分(溶液等)を固体の表面に塗布する、前記成分に固体を浸漬する、などの手段を用いてもよい。
反応性付与化合物を含む溶液を用いる場合、溶媒としては水、有機溶媒等を適宜選択できる。具体的には、水、アルコール、ケトン、芳香族炭化水素、エステル又はエーテル等であってもよい。溶媒に対して反応性付与化合物は溶解せず分散していてもよい。溶液を用いた場合は、自然乾燥や加熱等によって溶液中の溶媒を乾燥させてもよい。
また、固体表面に残存する未結合の反応性付与化合物や溶媒等を洗浄する操作を行ってもよい。
また、この際に増幅剤を添加してもよい。増幅剤としては、他の結合に寄与する化合物、例えばシランカップリング剤が挙げられる。また増幅剤としては、光増感剤、例えばベンゾフェノン等が挙げられる。
本実施形態の表面反応性固体は、上述したように、固体とは異なる材質を含む他の部材と接合することができる。例えば、表面反応性固体の表面に、めっき等により金属を設けてもよい。めっきの方法としては、乾式めっき(蒸着やスパッタ)による手法と、湿式めっきによる手法を適宜選択でき、両者を併用してもよい。金属薄膜を形成する際には、金属薄膜の形成には、無電解めっきや電気めっきと言った湿式めっきを使用することができる。表面反応性固体には、従来知られているめっき工程の前処理の工程を適宜適用することもできる。
試料の合成及び合成した試料についての分析には、以下の機器、試薬を用いた。
・分析機器
核磁気共鳴スペクトル:Bruker DPX400 NMR測定装置(400 MHz)、JEOL JNM-ECA500 NMR測定装置(500 MHz)
赤外吸収スペクトル:JASCO FT/IR-4200 IR測定装置
質量分析:JEOL JMS-700 質量分析装置
・試薬
各種試薬:市販のものを用い必要に応じて定法により精製した
各種反応溶媒:必要に応じて定法により乾燥・精製した
シリカゲル:Wako-gel C-200(和光純薬)、シリカゲル 60N(関東化学)
(実施例1)
50mL三口フラスコに撹拌子と塩化シアヌル(1.00 g, 5.42 mmol)を入れ、次いでTHF(6 mL)およびアセトニトリル(6 mL)を加え、-10 ℃まで冷却した。トリメチルシリルジアゾメタン(2.0 M ヘキサン溶液, 3.0 mL, 6.0 mmol)を加えた後、室温まで昇温して6時間攪拌した。攪拌終了後、水を加え、混合溶液をエーテルにて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過した後、ロータリーエバポレータにて濃縮、減圧乾燥することで茶色固体の粗生成物を得た。この粗生成物を、クロロホルム : ヘキサン=4 : 1を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーにて分離、精製することで、2,4-ジクロロ-6-(ジアゾメチル)-1,3,5-トリアジン(0.689 g, 3.63 mmol, 67%)を黄色固体として得た。
2,4-Dichloro-6-(diazomethyl)-1,3,5-triazine: yellow solid; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.45 (s, 1H, CH); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 56.1, 170.4, 170.5, 175.0; HR-CI-MS m/z Calcd For C4H2Cl2N5 189.9687 [(M+H)+]; Found: 189.9693.
2,4-Bis[(3-triethoxysilylpropyl)amino]-6-diazomethyl-1,3,5-triazine: yellow sticky oil; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.66 (t, J = 8.4 Hz, 4H, CH2), 1.27 (t, J = 7.0 Hz, 18H, CH3), 1.67 (br s, 4H, CH2), 3.36 (br s, 4H, CH2), 3.82 (q, J = 7.0 Hz, 12H, CH2), 4.83-5.24 (m, 2H, NH), 5.44 (br s, 1H, CH); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 7.7, 18.3, 23.0, 43.1, 51.5, 58.4, 146.8, 165.1; IR (neat) ν 3277, 2974, 2135 1550, 1191, 1070 cm-1; HR-FAB-MS m/z Calcd For C22H46N7O6Si2 [(M+H)+]: 560.3048; Found: 560.3056.
50mL枝付きフラスコに撹拌子と塩化シアヌル(3.00 g, 16.3 mmol)を入れ、次いでアセトン(35 mL)を加え、0 ℃まで冷却した。蒸留水(15 mL)に溶解させたアジ化ナトリウム(1.08 g, 16.6 mmol)を加えた後、0 ℃で30分間攪拌した。室温まで昇温した後、混合溶液をエーテルにて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過した後、ロータリーエバポレータにて濃縮、減圧乾燥することで白色固体の粗生成物を得た。この粗生成物を、クロロホルム : ヘキサン = 1 : 2を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーにて分離、精製することで、2-アジド-4,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジン(2.12 g, 11.1 mmol, 68%)を無色固体として得た。
2-Azido-4,6-dichloro-1,3,5-triazine: white solid; EI-MS (70 eV) m/z 190 [M+].
2-Azido-4,6-bis(3-Triethoxysilylpropyl)amino-1,3,5-triazine: pale yellow oil; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.67 (t, J = 8.4 Hz, 4H, CH2), 1.23 (t, J = 7.0 Hz, 18H, CH3), 1.68-1.70 (m, 4H, CH2), 3.34-3.42 (m, 4H, CH2), 3.82 (q, J = 7.2 Hz, 12H, CH2), 5.30-5.91 (m, 2H, NH); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 7.8, 18.3, 22.8, 43.2, 58.5, 166.2, 166.5, 166.8; IR (neat) ν 3397, 2927, 2130, 1580, 1216, 1104 cm-1; HR-FAB-MS m/z Calcd For C21H45N8O6Si2:561.3001 [(M+H)+]; Found: 561.2990.
実施例1及び比較例1の化合物について、光照射により高反応性の部位(カルベン又はナイトレン)の発生する条件を検討した。これらの化合物について、UV-vis吸収スペクトル測定を行った。UV-vis吸収スペクトルの原理は、結合電子が基底状態から励起状態に遷移する際に、基底状態と励起状態間のエネルギー値に相当する波長を有する光を吸収する現象を利用して、その吸収された光の波長を測定するというものである。
・測定機器 UV-vis吸収スペクトル:JASCO V-670
・試料溶液 実施例1、比較例1の各化合物アセトンで洗浄後、乾燥させた50 mLメスフラスコに、試料を濃度が50μmol dm-3となるように量り入れ、脱水エタノールでメスアップした。脱水エタノールを選択した理由は、それぞれの化合物に存在するエトキシシラン部分の加水分解を防ぐためである。
・測定:アセトンで洗浄、乾燥させた石英ガラスセル(1 cm)に試料溶液を入れ、以下の条件で測定を行った。
UV-vis吸収スペクトル測定 band width: 0.2 nm, scan rate: 200 nm/min, repetition number: 1 times
ABS樹脂を実施例1、比較例1の反応性付与化合物の0.1%エタノール溶液に浸漬することで、樹脂上に化合物を吸着させた後、紫外光照射によって結合させた。その後、アルコシシラン部位の加水分解過程を含む、触媒担持工程(プレディップ(硫酸水素ナトリウム水溶液)、キャタリスト(パラジウムコロイド溶液)、アクセラレータ(ホウフッ化ナトリウム溶液))を経て、パラジウム触媒を担持させた。続く、銅めっき工程(無電解めっき→アニーリング(80℃,20分)、電解めっき、アニーリング(80℃,20分))を経て、ABS樹脂の銅めっき物を作製した。
このため、本実施形態の反応性付与化合物は、分子接合剤として非常に有効であると考えられる。
参考例1として、実施例1の化合物のトリエトキシシリルプロピルアミノ基にかえて、アミノプロピル基を有するモデル化合物を合成した。
50mL三口フラスコに撹拌子と塩化シアヌル(1.00 g, 5.42 mmol)を入れ、次いでTHF(6 mL)およびアセトニトリル(6 mL)を加え、-10 ℃まで冷却した。トリメチルシリルジアゾメタン(2.0 M ヘキサン溶液, 3.0 mL, 6.0 mmol)を加えた後、室温まで昇温して6時間攪拌した。攪拌終了後、水を加え、混合溶液をエーテルにて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過した後、ロータリーエバポレータにて濃縮、減圧乾燥することで茶色固体の粗生成物を得た。この粗生成物を、クロロホルム : ヘキサン=4 : 1を展開溶媒とするシリカゲルクロマトグラフィーにて分離、精製することで、2,4-ジクロロ-6-(ジアゾメチル)-1,3,5-トリアジン(0.689 g, 3.63 mmol, 67%)を黄色固体として得た。
2,4-Di(propylamino)-6-(diazomethyl)-1,3,5-triazine: pale yellow solid; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.93 (t, J = 7.2 Hz, 6H, CH3), 1.57 (br s, 4H, CH2), 3.32 (br s, 4H, CH2), 4.85-5.37 (m, 2H, NH), 5.61 (br s, 1H, CH); 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 11.4, 22.9, 42.4, 51.3, 146.9, 165.3; CI-MS m/z 236 [(M+H)+].
試料の合成及び合成した試料についての分析には、以下の機器、試薬を用いた。
・光源:AS ONE ハンディUVランプ(254 nm/365 nm兼用)
・測定機器:UV-vis吸収スペクトル JASCO V-670
・試料溶液:アセトンで洗浄後、乾燥させた50 mLメスフラスコに、試料であるモデル分子を濃度が50μmol dm-3となるように量り入れ、脱水シクロヘキサンでメスアップした。
・測定:アセトンで洗浄、乾燥させた石英ガラスセル(1 cm)に試料溶液を入れ、以下の条件で測定を行った。UV-vis吸収スペクトル測定:band width: 0.2 nm、scan rate: 200 nm/min、repetition number: 1 times。測定終了後、254nmの紫外光を10分間照射したのち再度上記の条件で測定を行い、その後同様の条件で、紫外光照射時間が10分間ごとにサンプルの測定を行った。
また、ジアゾメタンは約400nm付近の近紫外領域にも吸収をもっていることが知られており、そのためジアゾメチル基を有する参考例1においても400 nm付近に吸収を持つことが期待された。参考例1の化合物の溶解性を考慮して測定溶媒をシクロヘキセンに変更し、測定試料の濃度を50 mmol dm-3に調整して再度測定を試みた。測定結果として、モル吸光係数が小さく吸収効率が低いものの、予想通り400 nm付近に吸収ピークが観測された。
ついで、365 nmのUV照射による分解も可能であると考え、50μmol dm-3に調整した参考例1の化合物のシクロヘキサン溶液へ365 nmのUV照射した際のUV-vis吸収スペクトルを追跡したが、365 nmでの光反応は非常に遅く、長時間紫外光を照射しても吸収スペクトルの変化が少なく、120分間光を当て続けても完全に反応が進行しなかった。一方254 nmの紫外光では10分間で完全に反応が進行しており、反応の差は非常に大きいものであった。これらは先ほどのモル吸光係数の差によるものであると考えられる。しかし、365 nmの紫外光においても光反応は可能であり、この特性は分子接合剤として非常に有用であると考えられた。
試料の合成及び合成した試料についての分析には、以下の機器、試薬を用いた。
・光源:AS ONE ハンディUVランプ(254 nm/365 nm兼用)
・測定機器:GCMS-QP2010(島津製作所)
・試料溶液 新品のサンプル瓶に試料を1mg量り入れ、3mLの脱水シクロヘキサン、シクロヘキセン、脱水ベンゼンを加え試料溶液とした。
・測定:調整した試料溶液の一部を何も操作を加えずにサンプル瓶(小)に入れ、それを紫外光照射前のサンプルとした。残りの調整溶液を石英セルに入れ、その後石英セルにハンディUVランプで254nmの紫外光を照射した後、その溶液をサンプル瓶(小)に入れ、これを紫外光照射後のサンプルとした。それらをガスクロマトグラフ質量分析で分析した。なお測定カラムはHP-1MS(長さ30 m、内径0.25 mm、膜厚0.25μm)を用いた。
シクロヘキセン試料の254 nmの紫外線照射後のGC測定結果では、光反応生成物に相当する複数のピークが新たに検出された。質量分析の結果からいずれも分子量が289であることが分かり、カルベンがシクロヘキセンの2重結合へ付加したことによるシクロプロパン化が起きた化合物とカルベンがCH結合へ挿入した化合物の混合物と考えられた。
ベンゼン試料の365 nmの紫外線照射後のGC測定結果では、光反応生成物に相当する2つのピークが新たに確認された。質量分析の結果からいずれも分子量が285であることが分かり、カルベンがCH結合に挿入したベンジル基を有する化合物及びカルベンがベンゼン環の二重結合に付加して生じた化合物の混合物であると考えられた。
参考例1は実施例1と同様にトリアジン環にジアゾメチル基を有するため、ジアゾメチル基の反応性とカルベンの発生においては、参考例1と実施例1の化合物は類似していると予想される。参考例1は、紫外線照射によってカルベンが発生し、また、反応性が低いシクロヘキサン、シクロヘキセン及びベンゼンとの間の反応も可能であることから、実施例1も反応性の低い炭化水素系化合物とも反応可能であることが予測される。
Claims (5)
- 固体の表面に請求項1に記載の反応性付与化合物を備えた、表面反応性固体。
- 固体の表面に請求項1に記載の反応性付与化合物を設ける、表面反応性固体の製造方法。
- 前記固体の表面と前記反応性付与化合物を光照射により結合させる、請求項4に記載の表面反応性固体の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2019039777A JP7178094B2 (ja) | 2019-03-05 | 2019-03-05 | 反応性付与化合物、その製造方法、それを用いた表面反応性固体、及び表面反応性固体の製造方法 |
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