JP7177912B2 - ナノカーボン分散液の製造方法、ナノカーボン分散剤及び電磁波遮蔽材 - Google Patents

ナノカーボン分散液の製造方法、ナノカーボン分散剤及び電磁波遮蔽材 Download PDF

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Description

本開示は、ナノカーボンとセルロースナノクリスタルとを含有するナノカーボン分散液及びその製造方法、並びにセルロースナノクリスタルを含有するナノカーボン分散剤に関する。
カーボンナノチューブ、ナノグラフェン等のナノカーボンは、表面エネルギーが高いため、媒体中にナノカーボンを分散させようとしても、ナノカーボン表面には強いファンデルワールス力が働く。したがって、ナノカーボンは凝集しやすい。このため、ナノカーボンを安定的に分散させることが要望されている。
ナノカーボンの分散方法として、単糖又は少糖の結晶と、カーボンナノチューブと、非イオン又は陰イオン界面活性剤とを擂潰して得られる擂潰混合物に水を添加するカーボンナノチューブの分散方法が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。また、カルボキシメチルセルロースを分散剤とするカーボンナノチューブの分散方法が開示されている(例えば、特許文献2を参照。)。また、セルロースナノファイバーを分散剤とするカーボンナノチューブの分散方法が開示されている(例えば、特許文献3を参照。)。また、平均繊維外径が50~110nmの範囲である多層カーボンナノチューブをカルボキシメチルセルロースナトリウムで分散させる方法が開示されている(例えば、特許文献4を参照。)。
特開2008-230935号公報 国際公開第2005/082775号 国際公開第2014/115560号 特開2016-028109号公報
しかしながら、特許文献1に開示の方法では、上限値約5g/Lの低濃度のカーボンナノチューブ分散液しか得られない問題がある。また、界面活性剤を使用しており、分散液に泡立ちの問題が生じやすい。特許文献2に開示の方法では、カルボキシメチルセルロースを用いるため分散液の粘度が高くなりやすく、分散機を用いて製造しようとすると、粘稠質の分散液によって分散機が閉塞する問題がある。特許文献3に開示の方法では、セルロースナノファイバーを用いるため分散液の粘度が高くなりやすく、実施例におけるカーボンナノチューブの濃度は、最高でも0.05質量%に過ぎない。特許文献4に開示の方法は、特定の繊維径を有する多層カーボンナノチューブにしか適用できず、繊維径50nm以下の繊維径が小さい(比表面積の大きい)カーボンナノチューブを安定的に分散させることは困難であった。
本開示は、このような問題に鑑み、(1)カーボンナノチューブ等のナノカーボンが安定的に分散し、流動性を有する分散液及びその分散液の製造方法、(2)分散液を得るために添加するナノカーボン分散剤並びに(3)電磁波遮蔽材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、セルロースナノクリスタルを用いることによって、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明に係るナノカーボン分散液の製造方法は、ナノカーボンとセルロースナノクリスタルと分散媒とを含有する混合液を分散機で分散処理する工程を有し、前記混合液が、前記分散媒に前記セルロースナノクリスタルを添加して攪拌した後に前記ナノカーボンを添加して調製した混合液であることを特徴とする。分散媒とナノカーボンとの相溶性が損なわれにくくなり、ナノカーボンが分散媒に浮きにくくなる。
本発明に係るナノカーボン分散液の製造方法では、前記ナノカーボンの濃度が1質量%以上であることが好ましい。ナノカーボンの濃度が1質量%以上であっても、ナノカーボン分散液の安定性及び流動性を良好にすることができる。
本発明に係るナノカーボン分散液の製造方法では、前記ナノカーボンと前記セルロースナノクリスタルとの質量基準の含有比率(ナノカーボン:セルロースナノクリスタル)が1:0.1~1:10であることが好ましい。ナノカーボン分散液の安定性及び流動性をより良好にすることができる。
本発明に係るナノカーボン分散液の製造方法では、前記ナノカーボンの濃度が1質量%以上4質量%以下であり、かつ前記ナノカーボンと前記セルロースナノクリスタルとの合計濃度が1質量%を超えて15質量%以下であることが好ましい。ナノカーボンの濃度が高くても、ナノカーボン分散液の安定性及び流動性をより良好にすることができる。
本発明に係るナノカーボン分散液の製造方法では、前記分散媒が極性溶媒であることが好ましい。分散性がより高いナノカーボン分散液を得ることができる。
本発明に係るナノカーボン分散液の製造方法では、前記極性溶媒が、アルコール類、ケトン類、アミド類若しくは水又はこれらの混合物であることが好ましい。分散性がさらに高いナノカーボン分散液を得ることができる。
本発明に係るナノカーボン分散液の製造方法では、前記セルロースナノクリスタルがスプレードライ品であることが好ましい。セルロースナノクリスタルの濃度調整をしやすくすることができる。
本発明に係るナノカーボン分散液の製造方法では、前記分散機がホモジナイザーであることが好ましい。分散性がより安定したナノカーボン分散液を得ることができる。
本発明に係るナノカーボン分散剤は、セルロースナノクリスタルを含有することを特徴とする。
本発明に係る電磁波遮蔽材は、基材と該基材の表面に設けられた塗工層とを有し、該塗工層がナノカーボンとセルロースナノクリスタルとを相互に混合状態で含有することを特徴とする。
本発明に係る電磁波遮蔽材は、フィルムの形状を有し、該フィルムがナノカーボンとセルロースナノクリスタルとを相互に混合状態で含有することを特徴とする。
本開示によれば、(1)カーボンナノチューブ等のナノカーボンが安定的に分散し、流動性を有する分散液及びその分散液の製造方法、(2)分散液を得るために添加するナノカーボン分散剤並びに(3)電磁波遮蔽材を提供することができる。
分散液1を乾燥させて作製した乾燥フィルムの外観の画像である。 分散液2を乾燥させて作製した乾燥フィルムの外観の画像である。 分散液3を乾燥させて作製した乾燥フィルムの外観の画像である。 分散液4を乾燥させて作製した乾燥フィルムの外観の画像である。 電磁波の周波数45MHz~3GHzに対する透過損失の変化を示すグラフであって、紙基材及び分散液の塗工層が異なる塗工紙の比較を示す。 電磁波の周波数500MHz~18GHzに対する透過損失の変化を示すグラフであって、紙基材及び分散液の塗工層が異なる塗工紙の比較を示す。 CNTとCNCとの合計質量に対するCNTの質量割合に対する電磁波の周波数300MHz及び7GHzにおける透過損失の変化を示すグラフである。 電磁波の周波数45MHz~3GHzに対する透過損失の変化を示すグラフであって、紙基材及び分散液の塗工層の厚さが異なる塗工紙の比較を示す。 電磁波の周波数500MHz~18GHzに対する透過損失の変化を示すグラフであって、紙基材及び分散液の塗工層の厚さが異なる塗工紙の比較を示す。 分散液の塗工層の厚さ及び乾燥フィルムの厚さに対する電磁波の周波数300MHzにおける透過損失の変化を示すグラフである。 分散液の塗工層の厚さ及び乾燥フィルムの厚さに対する電磁波の周波数7GHzにおける透過損失の変化を示すグラフである。 電磁波の周波数500MHz~18GHzに対する伝送減衰率の変化を示すグラフであって、紙基材、アルミ箔及び分散液の塗工層の厚さが異なる塗工紙の比較を示す。
次に本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
(ナノカーボン分散液)
本実施形態に係るナノカーボン分散液は、ナノカーボンとセルロースナノクリスタルと分散媒とを含有する。
本実施形態において、ナノカーボンとは、カーボンナノチューブ(以下、CNTともいう。)、フラーレン、CVD法又は機械的剥離法によるグラフェンナノプレートレット等のナノカーボンをいう。これらのナノカーボンは単層であっても2以上の多層の構造であってもよい。本実施形態では、これらのナノカーボンの分散液に関して説明するが、以下、代表例としてCNT分散液について詳細を述べる。
CNTは、フラーレンとグラフェンの導電性との中間的な導電性を有することから、工業的にも使用しやすい特徴を有する。CNTは、用途に応じて繊維長、繊維径及びBET比表面積が異なるものが用いられ、例えば、その繊維長の範囲は、1μm~500μmであり、繊維径の範囲は、0.4nm~150nmであり、BET比表面積の範囲は、10m/g~2500m/gである。一般的に、比表面積が小さいものは繊維径が大きく、比較的分散しやすいが、比表面積が大きくなるにつれ(繊維径が小さくなるにつれ)、分散が困難となる傾向にある。CNTには、分散性を向上させるために表面にカルボキシル基等の官能基が導入されたものがあるが、そのようなCNTにおいても比表面積が大きくなるにつれ(繊維径が小さくなるにつれ)、分散が困難となる傾向にある。具体的には、カルボキシル基等の官能基が導入されたCNTのBET比表面積が100m/gを超えると、カルボキシメチルセルロース等の従来の分散剤では十分な分散が困難となることがあった。特に高濃度の分散液を得ることが困難となり、CNT濃度が1質量%を超える分散液を得ることは困難であった。
そこで、本実施形態においては、分散剤としてセルロースナノクリスタル(以下、CNCともいう。)を使用して、CNTを分散させる。ここで、CNCとは、植物由来特に木材由来のセルロース繊維を酸加水分解等の化学的処理を施すことで得られる針状結晶物である。一般的に、CNCの数平均繊維径は4nm~70nmであり、数平均繊維長は25nm~1000nmであり、BET比表面積は100m/g~500m/gであり、アスペクト比は50未満である。ここでアスペクト比とは、数平均繊維長を数平均繊維径で除した無次元数である。セルロースナノクリスタルはセルロースナノウィスカーとも呼ばれる。なお、CNCとは別に、分散剤としてセルロースナノファイバー(以下、CNFともいう。)が知られているが、CNFとは、CNCと同等の数平均繊維径を有するが、CNCよりも繊維長が10倍以上長く、一般的には繊維長が5μm以上である繊維状物をいい、CNFのアスペクト比は100を超える。一方、CNCは針状結晶物であり、CNF等の繊維状物のようにアスペクト比は大きくないが、本実施形態においては、CNCの長径を繊維長ともいい、短径を繊維径ともいう。
CNTの濃度が比較的高い分散液を得るには、繊維長がCNFより短いCNCが好適である。本実施形態において、CNCの数平均繊維長は、25nm~500nmが好ましく、より好ましくは100nm~400nmであり、最も好ましくは200nm~300nmである。平均繊維長が25nm未満であると、CNC同士が凝集する可能性がある。数平均繊維長が500nmを超えると、分散液の粘度が高くなりやすく、CNTの濃度を高くした場合の分散液の流動性が損なわれやすくなる可能性がある。尚、CNFは繊維長が長すぎることから、CNTの分散が困難なだけでなく、分散液の流動性を大きく損ないやすいという特徴がある。例えば、B型粘度計(20℃、60rpm、回転時間1分)で測定した粘度は、CNCの2質量%水溶液であれば100mPa・s以下であり、流動性は良好であるが、CNFの2質量%水溶液は、10000mPa・sを超えることも多く、結果として流動性を損なう。
本実施形態において、CNCの数平均繊維径は、5nm~60nmが好ましく、より好ましくは10nm~50nmであり、最も好ましくは20nm~30nmである。平均繊維径が5nm未満であると、CNC同士が凝集する可能性がある。数平均繊維径が60nmを超えると、分散液の粘度が高くなり、流動性が低下する可能性がある。
本実施形態において、CNCのBET比表面積は、120m/g~400m/gが好ましく、より好ましくは150m/g~300m/gであり、最も好ましくは175m/g~250m/gである。BET比表面積が120m/g未満であると、分散液の粘度が高くなり、流動性が低下する可能性がある。BET比表面積が400m/gを超えると、分散液の粘度が高くなり、CNC同士が凝集する可能性がある。
本実施形態において、CNCのアスペクト比は、5~40が好ましく、より好ましくは10~30であり、最も好ましくは15~25である。アスペクト比が5未満であると、CNC同士が凝集する可能性がある。アスペクト比が40を超えると、CNTの濃度を高くした場合の分散液の流動性が低下する可能性がある。
CNCの数平均繊維径及び数平均繊維長は、次に従って算出することができる。CNCの表面部分に対し、透過型電子顕微鏡(TEM、Transmission Electron Microscope)又は走査型電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いて、最低3枚の視野が重なっていないCNC表面部分の画像を撮影する。得られた画像に対し、1枚の画像あたり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交差する繊維の繊維径及び繊維長を目視で読み取っていく。このとき、構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍、50000倍のいずれかの倍率で行う。なお、2本の軸と交差する繊維数の条件は20本以上とする。各々2本の軸に交差する繊維の繊維径及び繊維長の値を読み取る。したがって、最低20本×2×3=120個の繊維情報が得られる。こうして得られた繊維径及び繊維長のデータから数平均繊維径及び数平均繊維長を算出する。CNTの数平均繊維径及び数平均繊維長を算出する場合についても同様である。
本実施形態では、例えば、セルロース繊維の水懸濁液またはスラリーを、硫酸、塩酸、臭化水素酸等による強酸を用いた酸加水分解等の化学的手法で調製したCNCを使用することができる。強酸としては好ましくは硫酸である。硫酸で加水分散することにより表面に硫酸エステル基が付加されることで負の電荷が付与されるとともに、硫酸エステル基は分子量としても大きいことから立体障害にもなり、CNTを分散させる能力が大きくなるものと推察される。
CNCの重合度は、特に限定するものではないが、100~500が好ましく、より好ましくは200~400である。重合度が100未満であると、CNTの分散性が低下する可能性がある。重合度が500を超えると、分散液の粘度が高くなり、流動性が低下する可能性がある。
ナノカーボン分散液の代表例として、CNT分散液について詳細を述べたが、ナノカーボンがフラーレン、グラフェンナノプレートレット等の他のナノカーボンである場合であっても、CNTである場合と同様に良好なナノカーボン分散液が得られる。
本実施形態のナノカーボン分散液では、このようなCNCを分散剤として用いることにより、CNT等のナノカーボンを分散媒に安定的に分散させる。特に、BET比表面積が100m/g以上のナノカーボン、例えばBET比表面積が100~1000m/gのCNTであっても安定的に分散させることが可能となる。BET比表面積が100~1000m/gのCNTの繊維径は30nm以下になると考えられ、このような繊維径のCNTは柔軟で導電性にも優れるものが多い。
本実施形態では、ナノカーボンの濃度が1質量%以上であることが好ましい。ナノカーボンの濃度が1質量%以上であっても、ナノカーボンの分散液の安定性及び流動性を良好にすることができる。
本実施形態に係るナノカーボン分散液では、ナノカーボン分散液におけるナノカーボンとCNCの含有比率は、特に限定するものではないが、ナノカーボンが安定的に分散した分散液とするには、質量基準で、ナノカーボン:セルロースナノクリスタル=1:0.1~1:10が好ましい。より好ましくは、ナノカーボン:セルロースナノクリスタル=1:0.5~1:5である。含有比率1:0.1よりも、セルロースナノクリスタルが少なく含有される含有比率であっても(例えば、ナノカーボン:セルロースナノクリスタル=1:0.01)、ナノカーボンの分散性の向上に効果があるが、ナノカーボンの濃度が例えば1質量%以上となるような比較的高い場合に、沈降物が生じやすくなる可能性がある。一方、1:10よりも、CNCが多く含有される含有比率であると、ナノカーボンがCNCに対して相対的に少なくなるため、ナノカーボン分散液の分散性及び安定性の向上効果は頭打ちとなる。ナノカーボンの濃度の上限値は、分散性の観点から、例えば4質量%である。
本実施形態に係るナノカーボン分散液では、ナノカーボンとセルロースナノクリスタルとの合計濃度が1質量%を超えて15質量%以下であることが好ましい。より好ましくは1.5質量%以上13質量%以下である。最も好ましくは、1.8質量%以上5質量%以下である。この合計濃度が1質量%以下であると、ナノカーボンが分散できない可能性がある。この合計濃度が15質量%を超えると、分散液の粘度が高くなり、流動性が低下する可能性がある。
本実施形態に係るナノカーボン分散液では、ナノカーボンの濃度が1質量%以上4質量%以下であり、かつナノカーボンとセルロースナノクリスタルとの合計濃度が1質量%を超えて15質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、ナノカーボンの濃度が1質量%以上3.5質量%以下であり、かつナノカーボンとセルロースナノクリスタルとの合計濃度が1.5質量%以上13質量%以下である。最も好ましくは、ナノカーボンの濃度が1質量%以上3質量%以下であり、かつナノカーボンとセルロースナノクリスタルとの合計濃度が1.8質量%以上5質量%以下である。ナノカーボンの濃度が高くても、ナノカーボン分散液の安定性及び流動性をより良好にすることができる。
分散媒は、用途に応じて任意に選択することができるが、CNCの分散効果を十分に発揮させるには、本実施形態に係るナノカーボン分散液では、分散媒が極性溶媒であることが好ましい。
本実施形態に係るナノカーボン分散液では、極性溶媒が、メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N-メチルピロリドン等のアミド類若しくは水又はこれらの混合物であることが好ましい。特に好ましくは水である。分散性がさらに高いナノカーボン分散液を得ることができる。
ナノカーボン分散液は、本発明の目的とする効果を損ねない範囲で、各種添加剤を含有することができる。添加剤は、例えば酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、発泡剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、軟化剤、粘着付与剤、可塑剤、離型剤、防臭剤、香料又はそれらの組合せである。これらの添加剤は、ナノカーボンの特性に影響を与える可能性があるため、添加の際には注意を要する。本実施形態に係るナノカーボン分散液は、フィルム等の基材に塗布、乾燥して、成膜することができるほか、分散液から直接、溶媒を除去するか、又は貧溶媒に投入して、固形分を析出させ、ろ過、乾燥することで、カーボンナノチューブ/セルロースナノクリスタル複合材料を得ることもできる。界面活性剤としては、例えば消泡効果を有する界面活性剤、分散効果を有する界面活性剤、又は粘度調整効果を有する界面活性剤があるが、本実施形態では、分散効果を有する界面活性剤を含有しないことが好ましい。分散効果を有する界面活性剤は泡立ちの発生の原因となる可能性がある。
(ナノカーボン分散液の製造方法)
本実施形態に係るナノカーボン分散液の製造方法は、ナノカーボンとセルロースナノクリスタルと分散媒とを含有する混合液を分散機で分散処理することを特徴とする。
CNCには、例えば、水に分散させた状態のスラリー品と、スラリー品を乾燥させて得たスプレードライ品が存在するが、そのどちらも使用することができる。本実施形態では、CNCがスプレードライ品であることが好ましい。CNCはCNFとは異なり、乾燥品でも比較的容易に水中に分散させることができるため、乾燥品を用いることで濃度調整を行いやすくすることができる。
ナノカーボンとCNCの分散媒への添加順は特に限定するものではないが、本実施形態に係るナノカーボン分散液の製造方法では、混合液が、ナノカーボンとCNCとを分散媒に同時に添加して調製した混合液であるか、又は分散媒にCNCを添加して攪拌した後にナノカーボンを添加して調製した混合液であることが好ましい。ナノカーボンは疎水性が強いため、分散媒が水である場合、分散媒に単独で最初に添加すると、分散媒に浮いてしまい、相溶性を損ないやすい可能性がある。混合液の流動性は、ナノカーボンとCNCとの合計濃度及び質量基準の含有比率により異なるが、例えば質量基準でCNT:CNC=1:1の場合は、CNTとCNCとの合計濃度を2~6質量%とすると、適度な流動性を保て、次工程の分散処理に好適となる。
分散処理に用いる分散機は特に限定するものではなく、各種公知の機械的分散処理機を用いることができ、例えば、アジテーターを備えた攪拌機、超音波分散機、高剪断攪拌機、バイオミキサー又はホモジナイザーを用いることができる。これらの分散機は2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、混合液を超音波分散機でプレ分散処理をし、その後、ホモジナイザーで分散処理を行うこと、混合液をバイオミキサーでプレ分散処理をし、その後、ホモジナイザーで分散処理を行うこと等の2段階以上の分散処理を行ってもよい。
本実施形態に係るナノカーボン分散液の製造方法では、分散機がホモジナイザーであることが好ましい。ホモジナイザーで分散処理をすることで、より分散性の安定したナノカーボン分散液を得ることができる。また、ホモジナイザーには、例えば、超音波式、攪拌式、高圧式があるが、高圧式のホモジナイザー(高圧ホモジナイザー)が好ましい。また、高圧ホモジナイザーの中でもウォータージェット方式が好適である。ウォータージェット方式の高圧ホモジナイザーとしては、例えばスギノマシン製のスターバースト(登録商標)がある。高圧ホモジナイズドの分散処理条件は圧力100~250MPa、1~10パスが好ましい。分散処理しないと、ナノカーボン分散液が得られない。圧力100MPa未満であると、分散不十分となる可能性がある。圧力250MPaを超えるか、又はパス回数10回を超えると、分散が進まなくなり、分散液の高温が上昇する可能性がある。
(ナノカーボン分散剤)
ナノカーボン分散剤は、ナノカーボンを分散させるための薬剤である。本実施形態に係るナノカーボン分散剤は、セルロースナノクリスタルを含有する。ナノカーボン分散剤の形態としては、例えば、セルロースナノクリスタルを水に分散させた状態のスラリー品(以下、形態Lという。)、該スラリー品を乾燥させて得られるセルロースナノクリスタルのスプレードライ品(以下、形態Mという。)、又は該スラリー品の分散媒を水以外の分散媒に置換した分散液(以下、形態Nという。)がある。ナノカーボン分散剤が、形態Lである場合、ナノカーボンを形態Lのスラリー品に添加することによって、分散媒が水であるナノカーボン分散液を容易に調製することができる。ナノカーボン分散剤が、形態Mである場合、使用の形態としては、例えば、ナノカーボンとナノカーボン分散剤とを分散媒に同時に添加すること、又はナノカーボンを分散媒に分散させた液中にナノカーボン分散剤を添加することがある。ここにおいて、分散媒が水ならば、ナノカーボンの疎水性の観点から、ナノカーボンとナノカーボン分散剤とを分散媒に同時に添加することが好ましい。ナノカーボン分散剤が、形態Nである場合、ナノカーボンを形態Nの分散液に添加することによって、分散媒が水以外の分散媒であるナノカーボン分散液を容易に調製することができる。
(基材と塗工層とを有する電磁波遮蔽材)
本実施形態に係る電磁波遮蔽材は、基材と該基材の表面に設けられた塗工層とを有し、該塗工層がナノカーボンとセルロースナノクリスタルとを相互に混合状態で含有する。
基材は、例えば、紙、ゴム、樹脂からなる板又は不織布である。電磁波遮蔽材の形態に応じて、基材の材質を変更することができる。
基材は、単一層又は複数層を有する。複数層の形態としては、例えば、支持体である上質紙に顔料塗工層が設けられた紙、又は抄き合わせた積層紙がある。
塗工層の厚さは、0.1μm~15.0μmであることが好ましく、より好ましくは2.0μm~10.0μmであり、さらに好ましくは3.5μm~5.0μmである。0.1μm未満であると、電磁波遮蔽材の電磁波シールド性が十分に得られない場合がある。15.0μmより大きいと、電磁波遮蔽材の作製が困難になる場合がある。
分散液が浸透しやすい濾紙や不織布などを基材として選択した場合は、分散液は基材に含浸することとなる。そして、分散液の分散媒が蒸発すれば、基材の内部の壁に塗工層が形成されることとなる。この場合は、塗工層の厚さが小さくとも、基材が分散液で十分に含浸されていれば電磁波シールド性を付与できる可能性がある。例えば基材の厚み方向に分散液が略均一に浸透しており、基材への浸透深さが10.0μmを超えるような場合には塗工層の厚みが小さくとも電磁波シールド性を付与できる可能性がある。塗工層が存在する深さは、1.0μm~15.0μmであることが好ましく、より好ましくは2.0μm~10.0μmである。
混合状態は、例えば、塗工層中のナノカーボンが偏在して分布し、かつセルロースナノクリスタルが偏在して分布する状態、ナノカーボンが均一に分布し、かつセルロースナノクリスタルが偏在して分布する状態、ナノカーボンが偏在して分布し、かつセルロースナノクリスタルが均一に分布する状態、又はナノカーボンが均一に分布し、かつセルロースナノクリスタルが均一に分布する状態である。好ましくは、塗工層中のナノカーボンが均一に分布し、かつセルロースナノクリスタルが均一に分布する状態である。
塗工層に含有されるナノカーボンとセルロースナノクリスタルとの質量基準の含有比率は、ナノカーボン:セルロースナノクリスタル=1:0.1~1:10が好ましく、より好ましくは1:0.1~1:5であり、さらに好ましくは1:1である。電磁波シールド性が高い電磁波遮蔽材を得ることができる。
電磁波遮蔽材は、基材にナノカーボン分散液を塗工し、当該ナノカーボン分散液に含有される分散媒を蒸発させて、塗工層を設けることによって製造できる。ここで、塗工層に含有されるナノカーボンとセルロースナノクリスタルとの質量基準の含有比率は、ナノカーボン分散液に含有されるナノカーボンとセルロースナノクリスタルとの質量基準の含有比率と同じである。
(フィルムの形状を有する電磁波遮蔽材)
本実施形態に係る電磁波遮蔽材は、フィルムの形状を有し、該フィルムがナノカーボンとセルロースナノクリスタルとを相互に混合状態で含有する。
フィルムの厚さは、30μm~160μmであることが好ましく、より好ましくは、40μm~160μmである。30μm未満であると、十分な電磁波シールド性を得るために、フィルムに含有されるCNT濃度を増加しなければなられない場合がある。160μmより大きいと、電磁波遮蔽材の電磁波シールド性が飽和し、厚くした分の電磁波シールド性の向上が得られない場合がある。
混合状態は、例えば、フィルム中のナノカーボンが偏在して分布し、かつセルロースナノクリスタルが偏在して分布する状態、ナノカーボンが均一に分布し、かつセルロースナノクリスタルが偏在して分布する状態、ナノカーボンが偏在して分布し、かつセルロースナノクリスタルが均一に分布する状態、又はナノカーボンが均一に分布し、かつセルロースナノクリスタルが均一に分布する状態である。好ましくは、フィルム中のナノカーボンが均一に分布し、かつセルロースナノクリスタルが均一に分布する状態である。
フィルムに含有されるナノカーボンとセルロースナノクリスタルとの質量基準の含有比率は、ナノカーボン:セルロースナノクリスタル=1:0.1~1:10が好ましく、より好ましくは1:1~1:10である。フィルム中のナノカーボンが均一に分布し、かつセルロースナノクリスタルが均一に分布する状態にすることができる。
電磁波遮蔽材は、ナノカーボン分散液に含有される分散媒を蒸発させることによって製造できる。ここで、フィルムに含有されるナノカーボンとセルロースナノクリスタルとの質量基準の含有比率は、ナノカーボン分散液に含有されるナノカーボンとセルロースナノクリスタルとの質量基準の含有比率と同じである。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
(CNCの製造)
針葉樹サルファイトパルプのシートを乾式で粗粉砕して綿状繊維とし、この綿状繊維の固形分濃度が3質量%となるように、64%硫酸水溶液に綿状繊維を添加して第1の懸濁液を調製し、懸濁液中にて45℃で60分間綿状繊維を加水分解させた。第1の懸濁液をイオン交換水により5倍に希釈し、懸濁物を沈降させて上澄み液を除く操作を、上澄み液のpHが5以上になるまで繰り返した。得られた懸濁物を遠心分離により濃縮し、その後イオン交換水を添加して固形分濃度を2質量%に調整し、第2の懸濁液を得た。第2の懸濁液を超音波ホモジナイザー(US300E、日本精機製作所製)により解繊処理し、次いでスプレードライ方式により水を除去しパウダー状のCNCを得た。
(CNT)
各実施例及び比較例で用いるカーボンナノチューブは下記のとおりである。尚、各カーボンナノチューブは市販品である。
CNT(A):カーボンナノチューブ
(商品名:K-nanos100P、多層型CNT、Kumho Petrochemical社製、繊維長(Bundle Diameter)3μm、繊維径8~15nm、比表面積220m/g)
CNT(B):カーボンナノチューブ
(商品名:nanocyl-7000、多層型CNT、nanocyl社製、数平均繊維長1.5μm、数平均繊維径9.5nm、比表面積250~300m/g)
(実施例1)
得られたCNCを分散剤としてイオン交換水に添加して攪拌し、次いでCNT(A)をイオン交換水と共に徐々に添加し、混合液を得た。混合液中のCNCの濃度は2質量%であり、CNT(A)の濃度は2質量%であった。得られた混合液を、バイオミキサー(BM-2型、日本精機製作所)を用いて30分間分散処理し、60メッシュ篩で濾した後、高圧ホモジナイザー(商品名:アルティマイザー、スギノマシン社製)により200MPaの圧力にて10回パスさせカーボンナノチューブ分散液を得た。
(実施例2)
混合液中のCNCの濃度が0.2質量%になるようにCNCを添加した以外は実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ分散液を得た。
(実施例3)
混合液中のCNCの濃度が10質量%になるようにCNCを添加した以外は実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ分散液を得た。
(実施例4)
混合液中のCNT(A)の濃度が1質量%になるようにCNT(A)を添加し、CNCの濃度が1質量%になるようにCNCを添加した以外は実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ分散液を得た。
(実施例5)
混合液中のCNT(A)の濃度が1質量%になるようにCNT(A)を添加し、CNCの濃度が0.1質量%になるようにCNCを添加した以外は実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ分散液を得た。
(実施例6)
混合液中のCNT(A)の濃度が1質量%になるようにCNT(A)を添加し、CNCの濃度が10質量%になるようにCNCを添加した以外は実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ分散液を得た。
(実施例7)
CNT(A)をCNT(B)に変更し、混合液中のCNT(B)の濃度が1.5質量%になるようにCNT(A)を添加し、CNCの濃度が1.5質量%になるようにCNCを添加した以外は実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ分散液を得た。
(比較例1)
CNCを、広葉樹クラフトパルプを機械的に解繊処理(処理機:スーパーマスコロイダー、増幸産業社製)することにより得られたセルロースナノファイバーに変更した以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ分散液を得た。
(比較例2)
CNCをカルボキシメチルセルロース(CMC、セロゲンPR、第一工業製薬製)に変更した以外は実施例1と同様にして処理したが、高圧ホモジナイザー処理中に粘度が上昇し、高圧ホモジナイザー内が閉塞して目的とするカーボンナノチューブ分散液を得ることができなかった。
(比較例3)
CNCをカルボキシメチルセルロース(CMC、セロゲンWS-C、第一工業製薬製)に変更し、混合液中のCNT(A)の濃度が1.5質量%になるようにCNT(A)を添加し、カルボキシメチルセルロースの濃度が1.5質量%になるようにカルボキシメチルセルロースを添加した以外は実施例1と同様にして処理したが、高圧ホモジナイザー処理中に粘度が上昇し、高圧ホモジナイザー内が閉塞して目的とするカーボンナノチューブ分散液を得ることができなかった。
(比較例4)
混合液にCNCを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ分散液を得た。
(比較例5)
CNCを、分散効果を有する界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム、東京化成工業社製)に変更した以外は実施例1と同様としたが、バイオミキサーでの分散処理の段階で多量の泡が発生し、高圧ホモジナイザーでの処理を行うことができなかった。
各実施例及び比較例で得たナノカーボン分散液の組成及び評価を表1に記載した。尚、ナノカーボン分散液の評価は、それぞれ以下の方法を用いた。
(分散性)
分散処理して得られたナノカーボン分散液をCNT濃度が0.05質量%となるようイオン交換水で希釈し、ガラス製バイアル瓶で1時間放置した後に目視観察にて以下の基準で評価した。
A:凝集物の沈降及びCNTと水との分離が無く良好である。
B:凝集物の沈降は無く、CNTと水との分離が僅かであり良好である。
C:細かい凝集物があり、CNTと水との小さな分離も確認できる(実用下限)。
D:凝集物の殆どが大きく、水との分離も大きい(実用不可)。
(流動性)
分散処理して得られたナノカーボン分散液の粘度をB型粘度計(No.1~4ローター)(商品名:B型粘度計、型式:BM、東京計器製作所製)を用い、20℃にて回転数60rpmで1分間回転させて粘度を測定し、その数値から下記A~Dの基準で評価した。
A:B型粘度は100mPa・s以下であり、流動性が非常に良好である。
B:B型粘度は1000mPa・s以下であり、流動性が良好である。
C:B型粘度は2000mPa・s以下であり、流動性が確認できる(実用下限)。
D:B型粘度は5000mPa・sを超え、流動性に欠ける(実用不可)。

Figure 0007177912000001
表1の結果より、実施例1~7では、安定的に分散し、流動性の良好なカーボンナノ材料分散液が得られた。比較例1はCNCの代わりにCNFを用いたが分散性、流動性ともに悪いものとなった。比較例2及び比較例3では、分散剤としてCNCの代わりにCMCを用いたため、粘度が高くかつ粘調質となり分散機器を閉塞させ分散液を得ることができなかった。比較例4ではCNCを使用しなかったため、疎水性の高いCNT単独では分散できず、大きな凝集体となり沈降を生じた。比較例5では分散剤としてCNCの代わりに界面活性剤を用いたため、分散処理の際、泡立ちが生じ処理を進めることができなかった。
(分散液1~分散液4の調製)
実施例6の分散液に相当する分散液1、実施例3の分散液に相当する分散液2、実施例1の分散液に相当する分散液3、及び実施例5の分散液に相当する分散液4をそれぞれ調製した。分散液1~分散液4の調製で用いるカーボンナノチューブはCNT(A)であり、分散剤はCNCであった。
(塗工紙の作製)
支持体である上質紙に顔料塗工層が設けられた紙(北越コーポレーション社製の「ミューコートネオス」(登録商標)、坪量157g/m)を「紙基材」として準備し、分散液1をバーコーターによって紙に塗工させた後、120℃で3分間乾燥させて水分を蒸発させ、塗工紙を作製した。すなわち、「塗工紙」は、紙基材に、CNTとCNCとを含有する塗工層が設けられたものである。分散液2、分散液3及び分散液4についても、それぞれ、分散液1の場合と同様の操作によって、塗工紙をそれぞれ作製した。塗工量については、各塗工紙の塗工層の理論的な厚さが一定になるように塗工量を調整した。
(乾燥フィルムの作製)
分散液1、分散液2、分散液3及び分散液4を、それぞれ直径8.5cmのシャーレに入れて、50℃で一晩乾燥させて水分を蒸発させ、乾燥フィルムをそれぞれ作製した。すなわち、「乾燥フィルム」は、CNTとCNCとを含有するシートであり、紙などの基材に設けられていない状態のものである。作製後、得られた各乾燥フィルムの成膜性を観察した。具体的な評価基準は、以下のとおりである。
A:シャーレ全面に、フィルムの形状及び柔軟性を有し、クラックがなく、かつナノカーボンとセルロースナノクリスタルとを相互に混合状態で含有する固形物が形成された。
B:シャーレ全面に、フィルムの形状及び柔軟性を有し、かつナノカーボンとセルロースナノクリスタルとを相互に混合状態で含有する固形物が形成されたが、この固形物には、クラックが生じていた。
C:シャーレの黒いスポットの部分のみに、フィルムの形状及び柔軟性を有し、クラックがなく、かつナノカーボンとセルロースナノクリスタルとを相互に混合状態で含有する固形物が形成された。
(成膜性の評価結果)
図1a~図1dは、カーボンナノチューブ分散液をシャーレに入れて50℃で一晩乾燥させて得られた乾燥フィルムの外観の画像である。表2に、乾燥フィルムの製膜性の評価結果を示した。
Figure 0007177912000002
図1a~図1d及び表2に示すように、分散液1~分散液3は、分散液4に比べて、CNTの分散性が良いため成膜性が良好だった。
分散液1~3では、成膜性に有意差は、確認されず、シャーレ全面に、フィルムの形状及び柔軟性を有し、クラックがなく、かつナノカーボンとセルロースナノクリスタルとを相互に混合状態で含有する固形物が形成された。分散液4は、CNTに対するCMCの含有量が少なすぎたため、シャーレの黒いスポットの部分のみに、フィルムの形状及び柔軟性を有し、クラックがなく、かつナノカーボンとセルロースナノクリスタルとを相互に混合状態で含有する固形物が形成された。
(同軸管法による電磁波シールド性の評価方法)
同軸管法において、「S21」を測定することにより、電磁波シールド性を評価した。「S21」は透過損失に相当し、「S21」の絶対値が大きいほど、電磁波シールド性が高い。試験機としては、ROHDE&SCHWARZ社製のネットワークアナライザー「ZVA67」、及びKEYCOM社製のシールド効果測定キット「S-39D」と「GPC7」を用いた。測定周波数を、45MHz~3GHzと、500MHz~18GHzと、で分けて測定を行った。
(同軸管法による電磁波シールド性の評価結果)
(1)CNTとCNCとの比率を変えたときの評価結果
上記のように作製した塗工紙および乾燥フィルムの電磁波シールド性を評価した。表2に、塗工紙の電磁波シールド性の評価結果を示した。図2及び図3は、測定周波数に対する塗工紙の「S21」の変化を示すグラフであって、図2における測定周波数は45MHz~3GHzであり、図3における測定周波数は500MHz~18GHzである。表2に示す@300MHzと表記した「S21」は、図2から周波数が300MHzのときの値を抜き出したものである。表2に示す@7GHzと表記した「S21」は、図3から周波数が7GHzのときの値を抜き出したものである。図4は、表2に示す「CNTとCNCとの合計質量に対するCNTの質量割合」に対して「S21」をプロットしたグラフである。「CNTとCNCとの合計質量に対するCNTの質量割合」は、CNTの質量とCNCの質量との合計を100質量%としたときのCNTが占める割合(質量%)である。
また、表2に分散液の塗工層の厚さを示した。ここで、分散液の塗工層の厚さとは、分散液を乾燥させることによって得られた塗工層の厚さをいう。分散液の塗工層の厚さは、SEMの解析にて測定した。具体的には、塗工紙全体の厚さから、紙基材の厚さ(上質紙の厚さ及び顔料塗工層の厚さ)を差し引いた厚さとした。
表2及び図2~図4に示すように、分散液1~分散液3から作製された塗工紙は、CNTとCNCとの合計質量に対するCNTの質量割合が多くなるほど、周波数300MHz及び7GHz共に、「S21」の絶対値は大きくなった。分散液4を用いて作製された塗工紙は、分散液3を用いて作製された塗工紙に比べて、周波数300MHz及び7GHz共に、「S21」の絶対値は小さかった。分散液3を用いて作製された塗工紙の「S21」の絶対値と比べて、分散液4を用いて作製された塗工紙の「S21」の絶対値が小さいのは、上記のように、分散液3の分散性と比べて、分散液4の分散性が悪いので、電磁波シールド性が低くなったためと考えられる。
分散液1~分散液4を用いて作製された塗工紙の評価結果から、分散液中のCNTとCNCとの質量基準の含有比率をCNT:CNC=1:0.1~1:5、好ましくは1:1とすることにより、電磁波シールド性を高くすることができることがわかった。
(2)厚さを変えたときの評価結果
上述した分散液3(分散液中のCNTと分散剤との質量基準の含有比率1:1)を用い、分散液3の塗工量を変えることによって分散液の塗工層の厚さをそれぞれ変えた以外は、上述した塗工紙の作製と同様に、塗工紙をそれぞれ作製した。また、上述した分散液3を用い、分散液3をシャーレに入れる量を変えることによって乾燥フィルムの厚さを変えた以外は、上述した乾燥フィルムの作製と同様に、乾燥フィルムを作製した。乾燥フィルムの厚さは、分散液の塗工層の厚さの測定と同様に、SEMの解析にて測定した。そして、塗工紙及び乾燥フィルムの電磁波シールド性を評価した。
図5及び図6は、周波数に対する「S21」を示すグラフである。図7及び図8は、厚さに対する「S21」を示すグラフあり、図7に示す「S21」は、図5から周波数が300MHzのときの値を抜き出したものである。図8に示す「S21」は、図6から周波数が7GHzの値を抜き出したものである。なお、図5及び図6において、0.3μm~4.5μmの数値で示した各プロファイルは、その厚さで分散液の塗工層を有する塗工紙のプロファイルであり、158μmの数値で示したプロファイルは、厚さ158μmの乾燥フィルムのプロファイルである。
図7及び図8に示すように、厚さが大きくなるほど、電磁波シールド性が高くなることがわかった。図7及び図8に示すように、特に測定周波数300MHz及び7GHzにおいて、厚さ40μmから158μmにかけて、電磁波シールド性の向上が緩やかになることから、厚さ160μm以上では、電磁波シールド性が飽和する傾向にあることが予測できた。本評価により、厚さを40μm以上160μm以下とすることにより、透過損失を-30dB以下に保ちつつ、CNTの量を減らせることが予測できた。
(マイクロストリップライン法による電磁波吸収性の評価方法)
以上の電磁波シールド性の評価は同軸管法で行ったが、本評価ではIEC 62333に準拠した近傍界用電磁波評価システムを用いて、マイクロストリップライン法によって電磁波吸収性の評価を行った。上述した「(2)厚さを変えたときの評価」での塗工紙の作製と同様に、塗工量を変えて分散液3を塗工して、分散液の塗工層の厚さが異なる(分散液の塗工層の厚さ0.4μm、2.4μm、4.5μm)塗工紙を作製した。そして、塗工紙の電磁波吸収性を評価した。さらに、参考例として、紙基材(北越コーポレーション社製の「ミューコートネオス」、坪量157g/m)、及びアルミ箔(厚さ6.5μm)の電磁波吸収性を評価した。
試験機としては、ROHDE&SCHWARZ社製のネットワークアナライザー「ZVA67」、及びKEYCOM社製のテストフイクスチャ「TF-18C」を用いた。測定周波数は、500MHz~18GHzとした。
(マイクロストリップライン法による電磁波吸収性の評価結果)
図9は、マイクロストリップライン法による電磁波吸収性の評価結果を示すグラフである。なお、図9の縦軸の「Rtp」は、伝送減衰率を示す。伝送減衰率の絶対値が大きいほど、電磁波吸収性が高い。
図9に示すように、CNTとCNCとを含有する塗工層が設けられた塗工紙は、紙基材及びアルミ箔よりも、電磁波吸収性が高いことがわかった。本評価により、CNTを含む塗工紙の電磁波吸収性を確認することができた。

Claims (11)

  1. ナノカーボンとセルロースナノクリスタルと分散媒とを含有する混合液を分散機で分散処理する工程を有し、
    前記混合液が、前記分散媒に前記セルロースナノクリスタルを添加して攪拌した後に前記ナノカーボンを添加して調製した混合液であることを特徴とするナノカーボン分散液の製造方法
  2. 前記ナノカーボンの濃度が1質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のナノカーボン分散液の製造方法
  3. 前記ナノカーボンと前記セルロースナノクリスタルとの質量基準の含有比率(ナノカーボン:セルロースナノクリスタル)が1:0.1~1:10であることを特徴とする請求項1又は2に記載のナノカーボン分散液の製造方法
  4. 前記ナノカーボンの濃度が1質量%以上4質量%以下であり、かつ前記ナノカーボンと前記セルロースナノクリスタルとの合計濃度が1質量%を超えて15質量%以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のナノカーボン分散液の製造方法
  5. 前記分散媒が極性溶媒であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載のナノカーボン分散液の製造方法
  6. 前記極性溶媒が、アルコール類、ケトン類、アミド類若しくは水又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項5に記載のナノカーボン分散液の製造方法
  7. 前記セルロースナノクリスタルがスプレードライ品であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載のナノカーボン分散液の製造方法。
  8. 前記分散機がホモジナイザーであることを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載のナノカーボン分散液の製造方法。
  9. セルロースナノクリスタルを含有することを特徴とするナノカーボン分散剤。
  10. 基材と該基材の表面に設けられた塗工層とを有し、該塗工層がナノカーボンとセルロースナノクリスタルとを相互に混合状態で含有することを特徴とする電磁波遮蔽材。
  11. フィルムの形状を有し、該フィルムがナノカーボンとセルロースナノクリスタルとを相互に混合状態で含有することを特徴とする電磁波遮蔽材。
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