JP2021161001A - 電磁波シールドシートの製造方法、および電磁波シールドシート - Google Patents

電磁波シールドシートの製造方法、および電磁波シールドシート Download PDF

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Abstract

【課題】電磁波に対するシールド性が高く、かつコストが低い電磁波シールドシートを製造する電磁波シールドシートの製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る電磁波シールドシートの製造方法は、カーボンナノチューブと、無機顔料と、カルボキシメチルセルロースと、水と、を含む分散液を作製する工程と、分散液を乾燥させる工程と、を含み、無機顔料のアスペクト比は、10以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波シールドシートの製造方法、および電磁波シールドシートに関する。
カーボンナノチューブは、一様な平面のグラファイトを筒状に巻いたような構造を有している。カーボンナノチューブの両端は、フラーレンの半球のような構造で閉じられており、必ず5員環を6個ずつ有している。カーボンナノチューブは、このような独特の構造を有するため、様々な特性を有しており、広範な分野において応用が期待されている。
例えば特許文献1では、カルボキシメチルセルロース等からなる多糖類と、アニオン性界面活性剤と、を分散剤として用いたカーボンナノチューブ水分散液から、電磁波をシールドするためのシートを作製することが記載されている。
特開2013−82610号公報
上記のようなカーボンナノチューブは、無機顔料に比べて高価である。そのため、電磁波に対するシールド性を確保しつつ、カーボンナノチューブの一部を、無機顔料に置き換えることができれば、コストが低い電磁波シールドシートを製造することができる。
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、電磁波に対するシールド性が高く、かつコストが低い電磁波シールドシートの製造方法を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、電磁波に対するシールド性が高く、かつコストが低い電磁波シールドシートを提供することにある。
本発明に係る電磁波シールドシートの製造方法の一態様は、
カーボンナノチューブと、無機顔料と、カルボキシメチルセルロースと、水と、を含む分散液を作製する工程と、
前記分散液を乾燥させる工程と、
を含み、
前記無機顔料のアスペクト比は、10以上である。
前記電磁波シールドシートの製造方法の一態様において、
前記無機顔料は、カオリン、マイカ、およびタルクからなる群から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
前記電磁波シールドシートの製造方法のいずれかの態様において、
前記無機顔料は、カオリンであってもよい。
前記電磁波シールドシートの製造方法のいずれかの態様において、
前記分散液において、前記カーボンナノチューブの質量に対する前記無機顔料の質量の比は、1/4以上1以下であってもよい。
前記電磁波シールドシートの製造方法のいずれかの態様において、
前記分散液において、前記カーボンナノチューブの質量と前記無機顔料の質量との合計に対する前記カルボキシメチルセルロースの質量の比は、3以下であってもよい。
前記電磁波シールドシートの製造方法のいずれかの態様において、
前記分散液を作製する工程では、分散剤として前記カルボキシメチルセルロースのみを用いてもよい。
前記電磁波シールドシートの製造方法のいずれかの態様において、
前記分散液を作製する工程は、
前記カーボンナノチューブと、前記カルボキシメチルセルロースと、前記水と、を混合して混合液を作製する工程と、
水中対向衝突法によって、前記混合液に含まれる前記カーボンナノチューブを分散させる工程と、
を含んでもよい。
本発明に係る電磁波シールドシートの一態様は、
カーボンナノチューブと、無機顔料と、カルボキシメチルセルロースと、を含み、
前記無機顔料のアスペクト比は、10以上である。
前記電磁波シールドシートの一態様において、
前記無機顔料は、カオリン、マイカ、およびタルクからなる群から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
前記電磁波シールドシートのいずれかの態様において、
前記無機顔料は、カオリンであってもよい。
前記電磁波シールドシートのいずれかの態様において、
前記カーボンナノチューブの質量に対する前記無機顔料の質量の比は、1/4以上1以下であってもよい。
前記電磁波シールドシートのいずれかの態様において、
前記カーボンナノチューブの質量と前記無機顔料の質量との合計に対する前記カルボキシメチルセルロースの質量の比は、3以下であってもよい。
本発明に係る電磁波シールドシートの製造方法によれば、電磁波に対するシールド性が高く、かつコストが低い電磁波シールドシートを製造することができる。また、本発明に係る電磁波シールドシートは、電磁波に対して高いシールド性を有することができ、かつコストが低い。
本実施形態に係る電磁波シールドシートの製造方法を説明するためのフローチャート。 実験例で用いた無機顔料を説明するための表。 塗工紙の電磁波シールド性の評価結果を示す表。 乾燥フィルムの電磁波シールド性の評価結果を示す表。 分散液1〜12の分散性の評価結果を示す表。 分散液1〜12を一晩乾燥させた後の状態を示す写真。 カーボンナノチューブとカルボキシメチルセルロースとの比率を変えたときの電磁波シールド性の評価結果を示す表。 周波数に対する「S21」を示すグラフ。 周波数に対する「S21」を示すグラフ。 Pass回数を変えたときの電磁波シールド性の評価結果を示す表。 周波数に対する「S21」を示すグラフ。 周波数に対する「S21」を示すグラフ。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 電磁波シールドシートの製造方法
まず、本実施形態に係る電磁波シールドシートの製造方法について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る電磁波シールドシートの製造方法を説明するためのフローチャートである。
本実施形態に係る電磁波シールドシートの製造方法は、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」ともいう)と、無機顔料と、カルボキシメチルセルロース(以下、「CMC」ともいう)と、水と、を含む分散液を作製する分散液作製工程を含む。分散液作製工程は、図1に示すように、例えば、CNTと、CMCと、水と、を混合して混合液を作製する混合液作製工程(ステップS1)と、水中対向衝突法によって、混合液に含まれるCNTを分散させる分散工程(ステップS2)と、分散液に無機顔料を混合する無機顔料混合工程(ステップS3)と、を含む。さらに、本実施形態に係る電磁波シールドシートの製造方法は、分散液を乾燥させる乾燥工程(ステップS4)を含む。以下、本実施形態に係る電磁波シールドシートの製造方法の各工程について、順に説明する。
1.1. 混合液作製工程(ステップS1)
1.1.1. カーボンナノチューブ(CNT)
混合液作製工程で用いられるCNTとしては、炭素によって作られる1枚の六員環ネットワーク(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層カーボンナノチューブ(SWNT:single-walled carbon nanotube)、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層カーボンナノチューブ(MWNT:multi-walled carbon nanotube)が挙げられる。混合液作製工程では、SWNTおよびMWNTのうち一方のみを用いてもよいし、両方を用いてもよいが、CNTの分散性を考慮すると、CNTとしてMWNTのみを用いることが好ましい。
上記のようなCNTは、例えば、アーク放電法、レーザーアブレーション法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などによって、好ましいサイズに作製される。混合液作製工程で用いられるCNTは、いずれの方法を用いて作製されたものであってもよい。
CNTの直径は、特に限定されないが、好ましくは1nm以上100nm以下であり、より好ましくは5nm以上50nm以下であり、さらにより好ましくは8nm以上15nm以下である。CNTの直径が上記範囲内であれば、分散性の良い分散液を作製することができる。CNTの直径は、SEM(Scanning Electron Microscope)によって測定することができる。
CNTの繊維長は、特に限定されないが、好ましくは0.5μm以上50μm以下であり、より好ましくは15μm以上35μm以下である。CNTの繊維長が上記範囲内であ
れば、分散性の良い分散液を作製することができる。CNTの繊維長は、SEMによって測定することができる。なお、「CNTの繊維長」とは、CNTがファンデルワールス力によって束(バンドル)となっている状態での長さであり、溶媒に分散される前のCNTの長さである。
CNTのBET比表面積は、特に限定されないが、好ましくは50m/g以上500m/g以下であり、より好ましくは100m/g以上300m/g以下である。CNTのBET比表面積が上記範囲内であれば、分散性の良い分散液を作製することができる。なお、「BET比表面積」とは、BET(Brunauer Emmett Teller)法で測定された比表面積のことであり、自動比表面積測定装置によって測定することができる。
混合液において、CNTの含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1質量%以上10.0質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上5.0質量%以下であり、さらにより好ましくは1.0質量%以上3.0質量%以下である。CNTの含有量が0.1質量%以上であれば、電磁波に対してシールド性(電磁波シールド性)の高い電磁波シールドシートを製造することができる。さらに、CNTの含有量が5.0%質量以下であれば、分散性の良い分散液を作製することができる。
1.1.2. カルボキシメチルセルロース(CMC)
混合液作製工程では、分散剤としてCMCを用いる。ここで、「分散剤」とは、CNTを水に分散させて、CNTの凝集・沈降防止に寄与する添加剤のことをいう。
混合液作製工程では、分散剤としてCMCのみを用いることが好ましい。すなわち、混合液作製工程で作製される混合液は、CNTの凝集・沈降防止に寄与する添加剤を、CMC以外に含まないことが好ましい。分散剤としてCMCのみを用いることにより、例えばCMCの他に分散剤としてアニオン性界面活性剤などを添加する場合に比べて、気泡の混入などを防ぐことができるので、混合液を容易に作製することができ、後述する乾燥工程において気泡混入のない電磁波シールドシートを製造することができる。
CMCの重量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは5000以上100000以下であり、より好ましくは10000以上60000以下であり、さらに好ましくは10000以上35000以下である。CMCの重量平均分子量が5000以上であれば、CMCがCNTに絡みつきやすく、CNTの分散性が向上する。ただし、重量平均分子量が大きすぎると逆に分散性が悪化するので、好ましくは100000以下である。なお、本明細書における「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量のことをいう。
CMCのエーテル化度は、特に限定されないが、好ましくは0.6以上1.2以下であり、より好ましくは0.6以上0.8以下である。CMCのエーテル化度が上記範囲内であれば、分散性の良い分散液を作製することができる。
混合液において、CMCの含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.1質量%以上10.0質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上5.0質量%以下であり、さらにより好ましくは1.0質量%以上3.0質量%以下である。
混合液において、CNTの質量と無機顔料との合計MSUMに対するCMCの質量MCMCの比MCMC/MSUMは、好ましくは1/7以上であり、より好ましくは1/6以上である。比MCMC/MCNTが1/7以上であれば、分散性の良い分散液を作製することができる(詳細は後述する「3. 実験例」参照)。
混合液において、比MCMC/MSUMは、好ましくは3以下であり、より好ましくは1以下である。比MCMC/MCNTが3以下であれば、電磁波シールド性の高い電磁波シールドシートを製造することができる(詳細は後述する「3. 実験例」参照)。
1.1.3. 水
混合液作製工程では、溶媒として水を用いる。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、および蒸留水等の純水、ならびに超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。溶媒として水を用いることにより、溶媒として有機溶媒を用いる場合に比べて、環境に優しい混合液を作製することができる。混合液作製工程では、CNT、CMC、および水のみを混合して混合液を作製してもよい。すなわち、混合液は、CNT、CMC、および水のみを含んでいてもよい。
1.2. 分散工程(ステップS2)
分散工程では、水中対向衝突法によって、混合液に含まれるCNTを分散させる。水中対向衝突法によって混合液に含まれるCNTを分散させることにより、混合液が分散剤としてCMCしか含んでいなくても、分散性良くCNTを分散させることができる。これにより、分散性の良い分散液を作製することができる。
本実施形態における「水中対向衝突法」では、対向配置された一対のノズル孔(第1ノズル孔および第2ノズル孔)からCNTを含む混合液を高圧で吐出させて、第1ノズル孔から吐出された混合液と、第2ノズル孔から吐出された混合液と、を衝突させてCNTを分散させる。好ましくは、水中対向衝突法では、第1ノズル孔から吐出された混合液に含まれるCNTと、第2ノズル孔から吐出された混合液に含まれるCNTと、を衝突させてCNTを分散させる。水中対向衝突法では、第1ノズル孔の中心軸と、第2ノズル孔の中心軸とが、互いに交われば、両中心軸は、一直線上にあってもよいし、互いに傾いていてもよい。
分散工程における水中対向衝突法では、好ましくは50μm以上200μm以下、より好ましくは80μm以上120μm以下、さらにより好ましくは100μmの径を有するノズル孔から、混合液を吐出させて、混合液同士を衝突させる。ノズル孔の径が50μm以上であれば、粘度が高い混合液であっても、ノズル孔から吐出させることができる。さらに、ノズル孔の径が200μm以下であれば、混合液同士の衝突エネルギーを高くすることができる。
分散工程における水中対向衝突法では、好ましくは150MPa以上250MPa以下、より好ましくは180MPa以上220MPa以下、さらにより好ましくは200MPaの圧力で、混合液を吐出させて、混合液同士を衝突させる。圧力が150MPa以上であれば、混合液同士の衝突エネルギーを高くすることができる。さらに、圧力が250MPa以下であれば、衝突エネルギーが高すぎてCNTの繊維が切れ、分散液の粘度が低くなることを抑制することができる。
具体的には、分散工程における水中対向衝突法は、株式会社スギノマシン製の湿式微粒化装置「スターバーストラボ」(機種名:HJP−25005)を用いて行われる。当該湿式微粒化装置は、例えば超音波ホモジナイザーやボールミルに比べて、エネルギー密度が高く、短時間で分散性の良い分散液を作製することができる。さらに、当該湿式微粒化装置は、不純物の混入を極小とすることができ、不純物の混入が極めて少ない分散液を製造することができる。
湿式微粒化装置における混合液のPass回数は、好ましくは1回以上40回以下であり、より好ましくは2回以上10回以下であり、さらにより好ましくは2回または3回で
ある。Pass回数が40回以下であれば、混合液同士の衝突によってCNTの繊維が切れて分散液の粘度が低くなることを抑制することができる。また、Pass回数が2回以上であれば、CNTを均一性良く分散させることができる。さらに、Pass回数が2回以上であれば、電磁波に対するシールド性に有意差は確認されない。したがって、Pass回数が2回以上10回以下であれば、分散性および電磁波シールド性を保ちつつ、湿式微粒化装置による処理時間の短縮化を図ることができる。
ここで、「湿式微粒化装置における混合液のPass回数」とは、湿式微粒化装置における混合液の循環回数のことであり、例えば、「Pass回数が2回」とは、1度衝突したCNTがもう1度衝突するように、混合液を2回循環させることを意味する。このように、Pass回数は、混合液に含まれるCNTの衝突回数に相当する。さらに、Pass回数は、湿式微粒化装置における処理時間に比例する。湿式微粒化装置における処理時間が長いと、混合液の循環回数が増える。
なお、分散性の良い分散液を作製し、かつ電磁波シールド性の高い電磁波シールドシートを製造することができれば、分散工程における水中対向衝突法で用いられる装置は、上記の湿式微粒化装置「スターバーストラボ」に限定されない。また、分散性の良い分散液を作製し、かつ電磁波シールド性の高い電磁波シールドシートを製造することができれば、分散工程において水中対向衝突法を用いなくてもよい。
また、分散工程を行う前に、前処理として、ホモジナイザーによって混合液を処理することが好ましい。ホモジナイザーは、超音波でキャビテーションを起こす超音波式であってもよいし、混合液を攪拌する攪拌式であってもよいし、混合液に圧力をかける圧力式であってもよい。ホモジナイザーによる処理によって、CNTによる凝集物を減らすことができ、分散工程をスムーズに行うことができる。
1.3. 無機顔料混合工程(ステップS3)
無機顔料混合工程では、分散工程で作製された分散液に無機顔料を混合して、CNTと、無機顔料と、CMCと、水と、を含む分散液を作製する。無機顔料の混合方法は、特に限定されないが、例えば、分散工程の前処理と同様に、ホモジナイザーを用いて行われる。無機顔料は、化学的に無機質の顔料のことであり、天然の鉱石や金属の化学反応によって得られる酸化物などから作られる顔料である。
無機顔料混合工程で混合される無機顔料の粒子は、扁平な形状(板状)を有し、無機顔料のアスペクト比は、10以上であり、好ましくは50以上200以下である。ここで、「無機顔料のアスペクト比」とは、無機顔料の粒子の厚さに対する粒子径の比である。「粒子径」とは、粒子の厚さ方向から見て、粒子の形状が円の場合は、直径であり、粒子の形状が円でない場合は、粒子の面積と同じ面積を有する円の直径である。無機顔料のアスペクト比は、例えば50個の無機顔料をSEMによって観察して該無機顔料の厚さおよび粒子径を測定し、それらの平均値から計算して求めることができる。無機顔料のアスペクト比が10以上であれば、無機顔料のアスペクト比が10未満の場合に比べて、電磁波シールド性の高い電磁波シールドシートを製造することができる(詳細は後述する「3. 実験例」参照)。アスペクト比が200より大きい無機顔料は、入手が困難になる。
無機顔料は、好ましくは、カオリン、マイカ、およびタルクからなる群から選ばれる少なくとも1種類である。無機顔料が上記群から選ばれる少なくとも1種類であれば、無機顔料が軽質炭酸カルシウムまたは重質炭酸カルシウムである場合に比べて、電磁波シールド性の高い電磁波シールドシートを製造することができる(詳細は後述する「3. 実験例」参照)。なお、無機顔料のアスペクト比が10以上であれば、無機顔料は、カオリン、マイカ、タルク以外であってもよい。
無機顔料は、より好ましくは、カオリンである。無機顔料がカオリンであれば、無機顔料がマイカまたはタルクである場合に比べて、電磁波シールドシートの電磁波シールド性が高くなる傾向にある(詳細は後述する「3. 実験例」参照)。
無機顔料混合工程で作製される分散液において、CNTの質量MCNTに対する無機顔料の質量MCOLの比MCOL/MCNTは、好ましくは1/4以上1以下であり、より好ましくは1/4以上1/2以下である。る。比MCOL/MCNTが1/4以上であれば、CNTの割合が小さいので、コストが低い電磁波シールドシートを製造することができる。さらに、比MCB/MCNTが1以下であれば、電磁波シールド性が高い電磁波シールドシートを製造することができる。比MCOL/MCNTが1より大きいと、CNTの割合が小さくなり過ぎて、電磁波シールド性が低くなる(詳細は後述する「3. 実験例」参照)。
無機顔料混合工程で無機顔料を混合することにより、分散液の粘度を高くすることができる。これにより、電磁波シールドシートを製造する際に、分散液をローラーに付着させ易くすることができる。電磁波シールドシートは、例えば、ロールコーターを用いて、分散液をローラーに付着させ、該ローラーによって分散液を、紙などの基材に転写させる方法により製造される。分散液の粘度が低いと、分散液をローラーに付着させることが困難となる。無機顔料を混合することにより、分散液の粘度を高くさせることができるので、別途、増粘剤を用いなくても、分散液をローラーに付着させ易くすることができる。
なお、分散液の粘度をさらに高くしたい場合は、分散液に増粘剤を混合してもよい。増粘剤としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、およびこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩;ポリ(メタ)アクリル酸、変性ポリ(メタ)アクリル酸等のポリカルボン酸類、およびこれらのアルカリ金属塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリビニルアルコール系(共)重合体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸およびフマル酸等の不飽和カルボン酸とビニルエステルとの共重合体の鹸化物;ポリアクリルアミド系共重合体などの水溶性ポリマーが挙げられる。
また、電磁波シールドシートは、ロールコーターに限定されず、例えば、ワイヤーバーコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、ブレードコーター、リバースロールコーター、ダイコーター等を用いて、分散液を基材に直接塗布する方法によって製造されてもよい。
無機顔料混合工程で作製された分散液の粘度は、特に限定されないが、20℃において、100mPa・s以上3000mPa・s以下であることが好ましい。分散液の粘度が100mPa・s以上であれば、上記のようにローラーを用いて分散液を基材に塗工し易い。さらに、分散液の粘度が3000mPa・s以下であれば、上述した分散工程において、湿式微粒化装置のノズル孔から混合液を吐出させ易い。分散液の粘度は、粘度計によって測定することができる。
無機顔料混合工程で作製された分散液は、CNT、無機顔料、CMC、および水のみを含んでいてもよいし、CNT、無機顔料、CMC、および水以外に、添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、保存剤、pH調整剤などが挙げられる。
なお、無機顔料混合工程で作製された分散液に含まれるCNTの質量と無機顔料の質量との合計MSUMに対するCMCの質量MCMCの比MCMC/MSUMは、上述した混合液に含まれる比MCMC/MSUMと同じである。
1.4. 乾燥工程(ステップS4)
乾燥工程では、無機顔料混合工程で作製された分散液を乾燥させる。これにより、分散液の水分を蒸発させて、電磁波シールドシートを製造することができる。分散液を乾燥させる方法は、特に限定されず、熱プレートやヒーターなどによって乾燥させてもよいし、自然乾燥であってもよい。
乾燥工程では、分散液をシャーレなどに入れた後に、分散液を乾燥させることにより、電磁波シールドシートを製造してもよい。
または、乾燥工程では、分散液を紙などの基材に塗工し、塗工された分散液を乾燥させることにより、電磁波シールドシートを製造してもよい。分散液の基材への塗工方法は、特に限定されないが、例えば、ワイヤーバーコーター、ナイフコーター、エアーコーター、ブレードコーター、リバースロールコーター、ダイコーター等を用いて基材に直接塗工する方法や、分散液をローラーに付着させ、ローラーに付着された分散液を基材に転写させる方法、所謂ロールコーターなどが挙げられる。
1.5. 変形例
上記では、分散液を作製する分散液作製工程が、CNTとCMCと水とを混合して混合液を作製する混合液作製工程(ステップS1)と、水中対向衝突法によって、混合液に含まれるCNTを分散させる分散工程(ステップS2)と、分散工程で作製された分散液に無機顔料を混合する無機顔料混合工程(ステップS3)と、を含む例について説明したが、分散液作製工程は、この例に限定されない。
分散液作製工程では、例えば、CNTと無機顔料とCMCと水とを混合して混合液を作製し、該混合液に対して水中対向衝突法を行って、CNTを分散させてもよい。または、分散液作製工程では、例えば、水中対向衝突法を行ったCNT含有液に、無機顔料の粉とCMCの粉とを入れて混合することにより、CNTが分散された分散液を作製してもよい。ただし、無機顔料を含む液体に対して水中対向衝突法を行うと、水中対向衝突法における衝突によって無機顔料のアスペクト比が10未満となる可能性があるので、無機顔料を混入する前の混合液に対して水中対向衝突法を行うことが好ましい。
2. 電磁波シールドシート
次に、本実施形態に係る電磁波シールドシートついて説明する。本実施形態に係る電磁波シールドシートは、上述の「1. 電磁波シールドシートの製造方法」で製造される電磁波シールドシートである。したがって、本実施形態に係る電磁波シールドシートは、CNTと、無機顔料と、CMCと、を含み、無機顔料のアスペクト比は、10以上である。本実施形態に係る電磁波シールドシートは、CNTと、無機顔料と、CMCと、から構成されていてもよい。
本実施形態に係る電磁波シールドシートに含まれるCNTの質量に対する無機顔料の比は、無機顔料混合工程で作製された分散液に含まれるCNTの質量に対する無機顔料の比と同じである。また、本実施形態に係る電磁波シールドシートに含まれるCNTの質量と無機顔料の質量との合計MSUMに対するCMCの質量MCMCの比MCMC/MSUMは、無機顔料混合工程で作製された分散液における比MCMC/MSUMと同じである。このような電磁波シールドシートの成分の質量比は、質量分析法によって測定することができる。
本実施形態に係る電磁波シールドシートは、厚さに対して、厚さ方向と直交する方向の大きさが十分に大きい形状を有している。厚さ方向からみて、電磁波シールドシートの形
状は、特に限定されないが、例えば、円、楕円、四角形などの多角形である。
本実施形態に係る電磁波シールドシートの厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.1μm以上500μm以下であり、より好ましくは1μm以上300μm以下である。電磁波シールドシートの厚さは、SEMによって測定することができる。電磁波シールドシートの厚さが0.1μm以上であれば、電磁波シールドシートの電磁波シールド性を高くすることができる。さらに、電磁波シールドシートの厚さが500μm以下であれば、電磁波シールドシートにクラックが生じることを抑制することができる。
本実施形態に係る電磁波シールドシートは、特に限定されないが、例えば、10MHz以上100GHz以下の周波数に対して高いシールド性を有している。電磁波シールドシートのシールド性は、例えば、同軸管法、自由空間法、マイクロストリップライン法、KEC(関西電子工業振興センター)法などによって評価される。
3. 実験例
以下に実験例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実験例によって何ら限定されるものではない。
3.1. 第1実験例
3.1.1. 電磁波シールドシートの作製
まず、CNTと、CMCと、水と、を混合して混合液を作製した。混合には、株式会社日本精機製作所製のホモジナイザー「バイオミキサーBM−2」を用いた。混合の処理時間を5分とした。
CNTは、KUMHO PETROCHEMICAL社製の「K−Nanos−100P」を用いた。当該CNTは、MWNT、直径8nm〜15nm、繊維長27μm(バンドル)、BET比表面積220m/gである。
CMCは、第一工業製薬株式会社製の「セロゲン5A」を用いた。当該CMCは、重量平均分子量11000〜15000、エーテル化度0.7である。分散剤としてはCMCのみを用いた。増粘剤等の添加剤は、添加しなかった。
次に、上記混合液に対して、水中対向衝突法を行った。水中対向衝突法は、株式会社スギノマシン製の湿式微粒化装置「スターバーストラボ」(機種名:HJP−25005)を用いて行った。混合液が吐出されるノズル孔の径を100μmとし、混合液の吐出圧力を200MPaに設定した。湿式微粒化装置による混合液のPass回数は、2回とした。これにより、CNTと、CMCと、水と、を含む分散液を作製した。
次に、上記の分散液に、無機顔料を入れて混合し、無機顔料を含む分散液を作製した。これにより、CNTと、無機顔料と、CMCと、水と、を含む分散液を作製した。混合には、株式会社日本精機製作所製のホモジナイザー「バイオミキサーBM−2」を用いた。混合の処理時間を5分とした。
無機顔料を含む分散液は、CNTの質量と無機顔料の質量との合計に対するCMCの比が1((CNT+無機顔料):CMC=1:1)となるように作製した。また、分散液は、CNTの含有量と、無機顔料の含有量と、CMCの含有量と、の合計が5質量%となるように作製した。
本実験例では、8種類の無機顔料を用いた。図2は、本実験例で用いた無機顔料を説明するための表である。なお、図2および以下では、軽質炭酸カルシウムを「軽カル」とい
い、重質炭酸カルシウムを「重カル」という。
また、CNTの質量に対する無機顔料の質量の比を1/4〜4(CNT:無機顔料=4:1〜1:4)と振った。
上記の分散液を、ロールコーターによって紙(北越コーポレーション株式会社製の「ミューコートネオス」(登録商標)、坪量157g/m)に塗工させた後、50℃で一晩乾燥させて水分を蒸発させ、塗工紙を作製した。
以上により、電磁波シールドシートとしての塗工紙を作製した。
さらに、無機顔料を含まない塗工紙を作製した。当該塗工紙は、無機顔料を含まない分、CNTの含有量を増やし、分散液において、CNTの含有量とCMCの含有量との合計が、5質量%となるようにした。
3.1.2. 塗工紙の電磁波シールド性の評価
(1)評価方法
同軸管法において、「S21」を測定することにより、塗工紙の電磁波シールド性を評価した。「S21」は透過損失に相当し、「S21」の絶対値が大きいほど、電磁波シールド性が高い。試験機としては、ROHDE&SCHWARZ社製のネットワークアナライザー「ZVA67」、およびKEYCOM社製のシールド効果測定キット「S−39D」を用いた。測定周波数を、45MHz〜18GHzとした。
(2)評価結果
図3は、塗工紙の電磁波シールド性の評価結果を示す表である。図3では、周波数300MHzおよび7GHzの「S21」を示している。なお、図3および以下の記載では、図2の「コンツァー1500」を「カオリン1」といい、「ハイドログロス90」を「カオリン2」といい、「ブリリアント−15」を「軽カル1」といい、「タマパールTP121」を「軽カル2」といい、「ソフトン1500」を「重カル1」といい、「ソフトン2200」を「重カル2」という。また、図3および以下の記載では、無機顔料を含まずCNTを含む塗工紙を「CNTのみ」という。
また、図3に塗工紙の厚さを示した。塗工紙の厚さは、SEMによって測定した。なお、図3において、「厚さ」は、塗工紙全体の厚さから基材である紙の厚さを差し引いた値を示している。
図3に示すように、無機顔料のアスペクト比が10以上であるカオリン1,2、マイカ、およびタルクは、無機顔料のアスペクト比が10未満である軽カル1,2および重カル1,2に比べて、「S21」の絶対値が大きかった。
したがって、無機顔料のアスペクト比が10以上であれば、無機顔料のアスペクト比が10未満の場合に比べて、電磁波シールド性の高い電磁波シールドを製造できることがわかった。特に、カオリン1,2は、マイカおよびタルクに比べて、「S21」の絶対値が大きい傾向にあった。さらに、無機顔料のアスペクト比が50以上であるカオリン1は、他の無機顔料に比べて、「S21」の絶対値が大きい傾向にあった。
さらに、図3に示すように、CNTの質量に対する無機顔料の質量の比が大きくなるにつれて、「S21」の絶対値は小さくなった。特に、当該比が4(CNT:無機顔料=1:4)の場合は、測定周波数300MHzおよび7GHzともに、「S21」の絶対値が5dBより小さく、電磁波シールド性が低かった。一方、当該比が1(CNT:無機顔料
=1:1)または4(CNT:無機顔料=4:1)の場合は、測定周波数300MHzおよび7GHzともに、「S21」の絶対値が10dBより大きく、電磁波シールド性が高かった。
したがって、CNTの質量に対する無機顔料の質量の比を、1/4以上1以下とすることにより、CNTの一部を無機顔料に置き換えても、電磁波シールド性の著しい低下を防げることがわかった。
3.1.3. 乾燥フィルムの電磁波シールド性の評価
上述の「3.1.1. 電磁波シールドシートの作製」で作製した分散液を紙に塗工せずに、シャーレに入れて50℃で一晩乾燥させて水分を蒸発させ、電磁波シールドシートとしての乾燥フィルムを作製した。すなわち、乾燥フィルムは、紙などの基材に塗工されていない状態のものである。
乾燥フィルムについて、塗工紙の場合と同様に電磁波シールド性の評価を行った。図4は、乾燥フィルムの電磁波シールド性の評価結果を示す表である。図4では、周波数300MHzおよび7GHzの「S21」を示している。図4に示すように、乾燥フィルムは、塗工紙に比べて厚いため、塗工紙よりも電磁波シールド性が高かった。このこと以外は、塗工紙の場合と同じような挙動を示した。
3.1.4. 乾燥フィルムの成膜性の評価
上記の乾燥フィルムの成膜性を評価した。具体的な評価基準は、以下のとおりである。
A:クラックおよび波打ちが発生しなかった。
B:クラックは発生しなかったが、波打ちが発生した。
C:クラックが発生した。
なお、「波打ち」とは、クラックには至らないものの、膜が波のようにうねっている状態を意味する。
図4に、乾燥フィルムの成膜性の評価結果を示す。図4に示すように、無機顔料のアスペクト比が10以上であるカオリン1,2、マイカ、およびタルクは、無機顔料のアスペクト比が10未満である軽カル1,2および重カル1,2に比べて、成膜性が良かった。カオリン1,2、マイカ、およびタルクは、アスペクト比が高いため、比表面積が小さい。そのため、分散液を乾燥させた際に無機顔料が凝集し難く、クラックおよび波打ちが発生しなかったものと推察される。
さらに、図4に示すように、CNTの質量に対する無機顔料の質量の比が大きくなるにつれて、成膜性が悪化する傾向にあった。
本評価により、電磁波シールド性と成膜性とは、相関があり、成膜性が良いほど、電磁波シールド性が高くなる傾向にあることがわかった。
3.2. 第2実験例
上記の第1実験例では、無機顔料を含む分散液を作製したが、第2実験例では、無機顔料を用いることなく、CNTと、CMCと、水と、のみを含む分散液を作製して、分散性および電磁波シールド性を評価した。
なお、CNTおよび無機顔料は、ともに無機材料であり、第2実験例の評価結果は、CNTと、無機顔料と、CMCと、水と、を含む分散液の分散性、および当該分散液から製
造された電磁波シールドシートの電磁波シールド性の説明に適用することができる。以下、分散性および電磁波シールド性の評価について、順に説明する。
3.2.1. CNTの分散性の評価
(1)分散液の作製
CNTと、CMCと、水と、のみを混合して混合液を作製した。混合液のCNT含有量とCMC含有量との合計を、5質量%とした。CNTの質量に対するCMCの質量の比を1/9〜9(CNT:CMC=1:9〜9:1)と振った。
上記のこと以外は、上述した「3.1.1. 電磁波シールドシートの作製」と同様にして、分散液1〜10を作製した。
混合液を作製する際に、CMCを混入しなかったこと以外は、上述した分散液1と同様にして、分散液11を作製した。
混合液に対して水中対向衝突法を行わなかったこと以外は、上述した分散液4と同様にして、分散液12を作製した。図5は、分散液1〜12の作製条件を示す表である。
(2)評価方法
上記のように作製した分散液1〜12を直径8.5cmのシャーレに入れて、50℃で一晩乾燥させて水分を蒸発させた。そして、乾燥物の成膜性を観察することにより、CNTの分散性を評価した。CNTの分散性が良いほど、均一性の良い膜が形成される。具体的な評価基準は、以下のとおりである。
A:シャーレ全面にクラックの無い膜が形成された。
B:シャーレ全面に膜が形成されたが、クラックが発生した。
C:膜が形成されなかった。
(3)評価結果
図5に、分散液1〜12の分散性の評価結果を示す。また、図6は、分散液1〜12をシャーレに入れて50℃で一晩乾燥させた後の状態を示す写真である。
図5および図6に示すように、分散液1〜8は、分散液9〜12に比べて、成膜性が良く、CNTの分散性が良かった。
分散液1〜7では、成膜性に有意差は、確認されず、クラックの無い膜が形成された。分散液8は、CNTに対するCMCの含有量が少ないために、膜にクラックが発生した。分散液9,10は、CNTに対するCMCの含有量が少なすぎて、膜が形成されなかった。本評価により、CNTの質量に対するCMCの質量の比を1/7以上、好ましくは1/6以上とすることにより、分散性の良い分散液を作製できることがわかった。
分散液11は、混合液にCMCを添加していないので、CNTの分散性が悪く、分散液9,10と同様に膜が形成されなかった。
分散液12は、混合液に対して水中対向衝突法を行っていないため、CNTの分散性が悪く、膜が形成されなかった。水中対向衝突法によってCNTを分散させることにより、分散性の良い分散液を作製できることがわかった。
3.2.2. 電磁波シールド性の評価
(1)CNTとCMCとの比率を変えたときの評価結果
上述の分散液1〜12から、上述した「3.1.1. 電磁波シールドシートの作製」と同様にして、塗工紙を作製した。そして、上述した「3.1.2. 塗工紙の電磁波シールド性の評価」の評価方法と同様に電磁波シールド性を評価した。
図7は、塗工紙の電磁波シールド性の評価結果を示す表である。図8および図9は、周波数に対する「S21」を示すグラフであり、図7に示す「S21」は、図8および図9から300MHzおよび7GHzの値を抜き出したものである。
なお、図8および図9は、塗工紙の「S21」を示すグラフであって、図8の測定周波数は45MHz〜3GHzであり、図9の測定周波数は500MHz〜18GHzである。
図7〜図9に示すように、分散液1〜4から作製された塗工紙では、CNTの含有量が多くなるほど、「S21」の絶対値は大きくなった。分散液4〜7から作製された塗工紙等では、「S21」は、おおむね横ばいであった。分散液8〜10から作製された塗工紙等は、分散液4〜7から作製された塗工紙等に比べて、「S21」の絶対値は小さかった。これは、分散液8〜10は、上記のように、分散性が悪いので、電磁波シールド性が低くなったためと考えられる。
本評価より、CNTの質量に対するCMCの質量の比を1/6以上3以下(CNT:CMC=1:3〜6:1)、好ましくは1/6以上1以下(CNT:CMC=1:1〜6:1)とすることにより、電磁波シールド性を高くできることがわかった。
(2)Pass回数を変えたときの評価結果
上述した分散液4(CNT:CMC=1:1)について、湿式微粒化装置による混合液の処理時間を変えることにより、Pass回数を変え、上述した「(1)CNTとCMCとの比率を変えたときの評価」と同様に、塗工紙を作製した。そして、塗工紙の電磁波シールド性を評価した。なお、湿式微粒化装置による混合液の処理時間0.5分が、Pass回数1回に相当するように混合液の量を調整した。さらに、上述した分散液12(湿式微粒化装置による処理を行っていない分散液)から塗工紙を作製し、同様に評価した。塗工紙は、乾燥フィルムに比べて、CNT含有シートを薄くできるため、分散性の悪い分散液12でも、評価することができた。
図10は、Pass回数を変えたときの電磁波シールド性の評価結果を示す表である。図11および図12は、周波数に対する「S21」を示すグラフであり、図10に示す「S21」は、図11および図12からそれぞれ300MHzおよび7GHzの値を抜き出したものである。図11の測定周波数は45MHz〜3GHzであり、図12の測定周波数は500MHz〜18GHzである。
図10〜図12に示すように、湿式微粒化装置による処理を起こった塗工紙は、処理を行っていない塗工紙に比べて、電磁波シールド性が高かった。未処理の塗工紙は、図10に示すように、厚さが大きいにもかかわらず、電磁波シールド性が低かった。
本評価により、湿式微粒化装置による処理、すなわち、水中対向衝突法を行うことにより、シールド性を高くできることがわかった。なお、図10〜図12において、湿式微粒化装置による処理を行った塗工紙については、電磁波シールド性に有意差は確認されなかった。
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (12)

  1. カーボンナノチューブと、無機顔料と、カルボキシメチルセルロースと、水と、を含む分散液を作製する工程と、
    前記分散液を乾燥させる工程と、
    を含み、
    前記無機顔料のアスペクト比は、10以上である、電磁波シールドシートの製造方法。
  2. 前記無機顔料は、カオリン、マイカ、およびタルクからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の電磁波シールドシートの製造方法。
  3. 前記無機顔料は、カオリンである、請求項1または2に記載の電磁波シールドシートの製造方法。
  4. 前記分散液において、前記カーボンナノチューブの質量に対する前記無機顔料の質量の比は、1/4以上1以下である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電磁波シールドシートの製造方法。
  5. 前記分散液において、前記カーボンナノチューブの質量と前記無機顔料の質量との合計に対する前記カルボキシメチルセルロースの質量の比は、3以下である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電磁波シールドシートの製造方法。
  6. 前記分散液を作製する工程では、分散剤として前記カルボキシメチルセルロースのみを用いる、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電磁波シールドシートの製造方法。
  7. 前記分散液を作製する工程は、
    前記カーボンナノチューブと、前記カルボキシメチルセルロースと、前記水と、を混合して混合液を作製する工程と、
    水中対向衝突法によって、前記混合液に含まれる前記カーボンナノチューブを分散させる工程と、
    を含む、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電磁波シールドシートの製造方法。
  8. カーボンナノチューブと、無機顔料と、カルボキシメチルセルロースと、を含み、
    前記無機顔料のアスペクト比は、10以上である、電磁波シールドシート。
  9. 前記無機顔料は、カオリン、マイカ、およびタルクからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項8に記載の電磁波シールドシート。
  10. 前記無機顔料は、カオリンである、請求項8または9に記載の電磁波シールドシート。
  11. 前記カーボンナノチューブの質量に対する前記無機顔料の質量の比は、1/4以上1以下である、請求項8ないし10のいずれか1項に記載の電磁波シールドシート。
  12. 前記カーボンナノチューブの質量と前記無機顔料の質量との合計に対する前記カルボキシメチルセルロースの質量の比は、3以下である、請求項8ないし11のいずれか1項に記載の電磁波シールドシート。
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