JP7176916B2 - 磁気粘性流体 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気粘性流体に関する。特に、ブレーキ、クラッチ、防振装置、制振装置のダンパといった各種機械装置などにおける物体間に作用する摩擦力を制御するために用いる磁気粘性流体に関する。
一般に、磁気粘性流体は、磁化可能な金属粒子である磁性粒子を分散媒中に分散させて調製する。磁気粘性流体は、磁場の作用のないときには流体として機能する。一方、磁場を作用させたときには、磁性粒子がクラスターを形成して増粘し、内部応力が増大する。
上述した内部応力の増大により磁気粘性流体は、剛体のように機能してせん断流れや圧力流れに対して抗力を示す。磁気粘性流体は、ブレーキ、クラッチ、防振装置、制振装置のダンパといった各種機械装置などにおいて、物体間に作用する摩擦力を制御するために利用されている。
このため、磁場が作用しているとき(励磁時)には、せん断流れや圧力流れに対する抗力(励磁時平均トルク値)は大きいほうが良い。一方、磁場の作用を停止した状態では、クラスターが崩壊することにより磁場の作用前のトルクの状態に速やかに戻ることが好ましい。このように、トルクの回復時間が短いと良好な磁気応答性が得られる。
なお、磁気粘性流体に研磨剤を含有した材料は、磁気粘弾性流体研磨(MRF)としても利用されている。
磁気粘性流体中の磁性粒子と分散媒は比重差が大きいため、磁性粒子の沈降が生じやすい。そして、磁性粒子の凝集力に起因して硬いスラリー状の沈殿物を生成しやすい。
この場合、磁場を作用させると流体の内部応力の低下につながるため、磁性粒子の分散安定性を向上させて、磁性粒子の沈降を抑制することが求められている。
また、上記機械装置を長期間停止状態とするとスラリー状の沈殿物が生成する可能性がある。このような場合であっても上記沈殿物に物理的な力を作用させると、瞬時に磁性粒子が分散媒中に均一に分散する必要がある。このため、磁性粒子には、高い再分散性も求められている。
これらの問題点を改善した例として以下のものが知られている(例えば、特許文献1~2参照)。特許文献1は、有機ベントナイトや有機ヘクトライトなどの粘土鉱物を使用した例である。特許文献2は、ノイブルグ珪土を使用した例である。
特許文献1、特許文献2において使用される有機ベントナイトや有機ヘクトライト及びノイブルグ珪土は、何れも増調剤として添加されている。このため、分散安定性の向上という点においては効果があるものの、再分散性という観点では満足し得るものではなかった。
磁気粘性流体は市販されており、例えば、シグマハイケミカル社製の商品「E-600」、ロード社製の商品「MRF-122-2ED」、「MRF-132DG」、「MRF-140CG」等が知られている。
上記市販品を用いて測定した結果、励磁時平均トルク値及びトルクの回復時間については改善の余地があることがわかった。
特開2002-121578号公報 特開2006-286890号公報
本発明は、上記現状に鑑み、磁性粒子の分散安定性及び再分散性に優れ、励磁時平均トルク値が高く、且つトルクの回復時間が短い磁気粘性流体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、脂肪酸アミドと、分散助剤とを磁気粘性流体中に含有させることで、上記課題を解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の磁気粘性流体は、(A)磁性粒子と、(B)分散媒と、(C)脂肪酸アミドと、(D)分散剤と、(E)分散助剤とを含有することを特徴とする。
上記分散助剤は、キシラン、シクロデキストリン、中空無機粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、上記中空無機粒子は、ガラスバルーン、シリカバルーン、セラミックバルーンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
さらに、上記磁気粘性流体に、40℃雰囲気下で、直流0.5Tの磁場を印加したときの励磁時平均トルク値は、20,000μN・m以上であり、トルクの回復時間は、1.8秒以下となることが好ましい。
本発明により、磁性粒子の分散安定性及び再分散性に優れる磁気粘性流体を提供することができる。本発明の磁気粘性流体は、励磁時平均トルク値が高く、且つトルクの回復時間が短い。
実施例5、参考例1及び参考例2の磁気粘性流体の励磁時平均トルク値及びトルクの回復時間の評価結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明の磁気粘性流体は、(A)磁性粒子と、(B)分散媒と、(C)脂肪酸アミドと、(D)分散剤と、(E)分散助剤とを含有する。
以下、本明細書において、磁気粘性流体、磁気粘性流体の製造方法及び磁気粘性流体の磁気特性について順に説明する。
(磁気粘性流体)
本発明の磁気粘性流体は、磁性粒子と、分散媒と、脂肪酸アミドと、分散剤と、分散助剤とを含み、一般には、分散媒中に磁性粒子を分散させたコロイド状の流体である。
以下、磁気粘性流体に含まれる各成分について説明する。
(A)磁性粒子
本発明の磁気粘性流体に含まれる磁性粒子は、目的とする透磁率に応じて選択することができる。例えば、マグネタイト、カルボニル鉄、γ酸化鉄、マンガンフェライト、コバルトフェライト、もしくはこれらと亜鉛、ニッケルとの複合フェライトやバリウムフェライトなどの強磁性酸化物;鉄、コバルト、希土類などの強磁性金属;窒化金属;センダスト(登録商標)、パーマロイ(登録商標)、スーパーマロイ(登録商標)などの各種合金などが挙げられる。これらの中でもカルボニル鉄が好ましい。
なお、磁性粒子は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の磁気粘性流体では、外部から磁場が加えられたとき分散した磁性粒子が磁場の方向に配向して鎖状のクラスターを形成することにより、増粘し、その流動特性や降伏応力が変化する。このような挙動を示すように磁性粒子の平均粒子径は定められる。具体的には、0.1~100μmの範囲であることが好ましく、1~60μmの範囲であることがより好まく、5~50μmの範囲であることが特に好ましい。磁性粒子の形状は、球状もしくはほぼ球状であることが好ましい。
なお、磁性粒子の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置で測定される平均一次粒子径である。
磁気粘性流体に含まれる磁性粒子の含有比率は、磁気粘性流体全量に対しては、30~90質量%の範囲であることが好ましく、40~80質量%の範囲であることがより好ましい。
(B)分散媒
本発明の磁気粘性流体に含まれる分散媒は、常温(25℃)で液状であり、磁性粒子を分散し得るものであれば特に制限はない。例えば、アルファオレフィン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、ハロゲン化炭化水素などの炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、グリコール系溶剤及びシリコーン系溶剤が挙げられる。アルファオレフィンとしては、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンなどが挙げられる。これらの中でも1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどの炭素数10~14のアルファオレフィンが好ましい。また、グリコール系溶剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、又はエチレンオキサイド-プロピレンオキサイドコポリマー、プロピレンオキサイド-ブチレンオキサイドコポリマー、及びこれらの誘導体が挙げられる。相溶性が良好であれば、複数種の分散媒を混合して用いてもよい。
本発明で用いる分散媒の40℃における動粘度は、2~5000mm /sの範囲であることが好ましく、5~2000mm /sの範囲であることがより好ましく、5~1000mm /sの範囲であることがさらに好ましい。動粘度は、JIS K2283:2000動粘度試験方法により測定した値である。
分散媒の含有比率は、磁気粘性流体全量に対して5~30質量%の範囲であることが好ましく、9~25質量%の範囲であることがより好ましい。
(C)脂肪酸アミド
本発明の磁気粘性流体に含まれる脂肪酸アミドとしては、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどが挙げられる。これらの中でもステアリン酸アミド、オレイン酸アミドが好ましい。脂肪酸アミドは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸アミドの含有比率は磁気粘性流体の全量に対して0.1~10質量%の範囲であることが好ましく、1~5質量%の範囲であることがより好ましい。0.1質量%未満であると、流体を維持できず磁性粒子が沈降する場合があり、10質量%を超えると、増粘し流動性がなくなる場合がある。
(D)分散剤
分散剤は、磁性粒子の分散媒への分散性を向上させるために添加される。分散剤としては、公知の界面活性剤、高分子分散剤などを適宜使用しうる。これらの中でも、分散性の観点から、界面活性剤が好ましい。
分散剤として用いられる界面活性剤としては、例えば、石油スルホン酸またはその塩、合成スルホン酸またはその塩、エイコシルナフタレンスルホン酸またはその塩、ポリブテンコハク酸またはその塩、エルカ酸またはその塩など、カルボキシル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基などの極性基を有する炭化水素化合物である陰イオン性界面活性剤;ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシアルキレンデシルエーテル、ポリオキシアルキレンイソデシルエーテル、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどの非イオン性界面活性剤;アルキルジアミノエチルグリシンなどの分子構造中に陽イオン部分と陰イオン部分とを共に持つ両性界面活性剤;などが挙げられる。
これらの中でも、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシアルキレンデシルエーテルが好ましい。
(E)分散助剤
本発明の磁気粘性流体は、分散助剤を必須成分として含有する。本発明で用いられる分散助剤としては、キシラン、シクロデキストリン、中空無機粒子などを挙げることができる。
分散助剤の形状は特に限定されず、破砕状、球状、板状、数珠状、棒状、繊維状、針状、中空状などが挙げられる。
分散助剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。以下に、それぞれの分散助剤の詳細を説明する。
(E)-1.キシラン
キシランは、D-キシロースがβ-1,4結合した多糖類をいう。天然には、キシロースの主鎖に、様々な側鎖が結合したヘテロ糖として存在しており、植物種間でその構造が異なっている。例えば、単子葉植物に含まれるキシランとしては、アラビノキシランが知られており、アラビノース残基を側鎖に有する。単子葉植物としては、例えば、トウモロコシ、コムギやカラスムギのわら等のイネ科植物、針葉樹などが挙げられる。
双子葉植物に含まれるキシランとしては、グルクロノアラビノキシランやグルクロノキシランが知られており、グルクロン酸残基及びアラビノース残基を側鎖に有する。双子葉植物としては、例えばブナ、ポプラ、カバなどが挙げられる。
水溶性キシランとは、β-1,4結合によって連結された6以上のキシロース残基を含む分子であって、20℃の水に6mg/mL以上溶解する分子をいう。水溶性キシランは、キシロースの少なくとも一部の水酸基が他の置換基(例えば、アセチル基、グルクロン酸残基、アラビノース残基など)に置き換わっている分子である。
上記キシランは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(E)-2.シクロデキストリン
シクロデキストリンは、環状構造を有するオリゴ糖の総称である。シクロデキストリンは、例えば、6~8個のD-グルコピラノース残基がα―1,4-グルコシド結合により環状に結合したものである。シクロデキストリンとしては、α-シクロデキストリン(グルコース数:6個)、β-シクロデキストリン(グルコース数:7個)、γ―シクロデキストリン(グルコース数:8個)などが挙げられる。これらの中でも、γ-シクロデキストリンが好ましい。上記シクロデキストリンは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(E)-3.中空無機粒子
中空無機粒子とは、外殻が無機質材料からなり、中が空洞になっている粒子である。中空無機粒子の具体例としては、ガラスバルーン:シラスバルーン:シリカ、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスバルーン等が挙げられる。これらの中でも、ガラスバルーンが好ましい。ガラスバルーンの市販品としては、「グラスバブルスS60SH」(住友スリーエム社製;真密度0.6g/cm3、平均粒径27μm)、「グラスバブルスS60」(住友スリーエム社製;真密度0.6g/cm3、平均粒径30μm)、「Sphericel(登録商標)110P8」(ポッターズ・バロティーニ社製;嵩比重0.4g/cc、平均粒径13μm)等が挙げられる。上記中空無機粒子は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
分散助剤の含有比率は磁気粘性流体の全量に対して1~8質量%の範囲であることが好ましく、2~6質量%の範囲であることがより好ましい。上記の範囲とすることで、より分散安定性と再分散性に優れた磁気粘性流体を得ることができる。
脂肪酸アミドと分散助剤の配合比は質量比で1:4~4:1であることが好ましく、1:3~3:1がより好ましく、1:2~2:1が特に好ましい。上記の範囲とすることで、より分散安定性と再分散性に優れた磁気粘性流体を得ることができる。
その他の成分
磁気粘性流体には、本発明の効果を損なわない範囲で、磁性粒子、分散媒、脂肪酸アミド、分散剤及び分散助剤の他に、目的に応じて、さらに種々の他の成分を併用してもよい。他の成分としては、例えば、微小磁性粒子、粘性調整剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、極圧剤、さび止め剤、酸化防止剤、腐食防止剤、金属不活性剤、消泡剤などが挙げられる。
微小磁性粒子としては上記磁性粒子と同様の材料組成のものを用いることができるが、平均粒子径は5~50nm、好ましくは7~40nmである。
微小磁性粒子の平均粒子径は、動的光散乱法で測定される平均一次粒子径である。
粘性調整剤としては、水添ヒマシ油ワックス、ベンリジデンソルビトール、金属石鹸、酸化ポリエチレン、硫酸エステル系アニオン活性剤などが挙げられる。
(磁気粘性流体の製造方法)
磁気粘性流体の製造方法は、特に限定されない。例えば、磁性粒子、分散剤、分散媒、脂肪酸アミド、分散助剤及びその他の成分をホモジナイザー、ビーズミル、メカニカルミキサーなどの高せん断力が与えられる処理機で混合する方法が挙げられる。なお、磁気粘性流体の製造においては必要に応じ加温もしくは冷却してもよい。
(磁気粘性流体の磁気特性)
上述のとおり、本発明の磁気粘性流体は、励磁時平均トルク値が高く、且つトルクの回復時間が短いという特性を有する。具体的には、本発明の磁気粘性流体に、40℃の雰囲気下で、直流0.5Tの磁場を印加したときの励磁時平均トルク値は、20,000μN・m以上であり、トルクの回復時間は1.8秒以下であることが好ましい。
励磁時平均トルク値及びトルクの回復時間は、レオメータを用いて、後述する条件で測定した値である。
上記励磁時平均トルク値は、35,000μN・m以上であることがより好ましく、40,000以上であることがさらに好ましい。一方、トルクの回復時間は、1.5秒以下であることがより好ましく、1.2秒以下であることがさらに好ましい。
また、磁場を印加する前(未励磁)の平均トルク値(以下、初期値という場合がある)に対する励磁時平均トルク値の比(以下、相対比という場合がある)は、1500以上であることが好ましく、2000以上であることがより好ましい。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<実施例1~8、比較例1~6>
表1~表3に示す質量比で各種成分をビーカーに入れ、80℃で10分間加温した後、ホモジナイザーを用いて100rpmにて1分間撹拌し、磁気粘性流体を製造した。得られた磁気粘性流体をサンプル瓶No.7(AS―ONE社製、50ml)に25ml入れ、分散安定性、再分散性及び流動性を評価し、状態観察を行った。
それぞれの評価方法については後述する。
なお、使用した原材料は以下のものである。
(A)磁性粒子
(a1)カルボニル鉄(球状粒子、D50=5.9μm)
(B)分散媒
(b1)αオレフィン(1-デセン、動粘度 15mm /s、40℃)
(b2)ポリアルキレングリコール(動粘度 30mm /s、40℃)
(C)脂肪酸アミド
(c1)ステアリン酸アミド
(D)分散剤
(d1)界面活性剤:ポリオキシアルキレンデシルエーテル
(E)分散助剤
(E)-1 キシラン
(e1)とうもろこし由来のキシラン(β-1,4キシラン):試薬、東京化成工業社製
(e2)水溶性キシラン:商品名GX1 PS-Baiotec社製
(e3)ブナ由来のキシラン:試薬 和光純薬社製
(E)-2 シクロデキストリン
(e4)γ-シクロデキストリン(多糖類):試薬、関東化学株式会社製
(E)-3 中空無機粒子
(e5)ガラスバルーン:商品名110P8 ポッタースパロティーニ株式会社製
・有機変性ベントナイト:商品名TIXOGEL-VP BYK社製
・セピオライト・サポナイト・ヘクトライト:商品名GARAMITE-1958 BYK社製
・参考例1:磁気粘性流体(商品名MRF-132DG、ロード社製)
・参考例2:磁気粘性流体(商品名E-600、シグマハイケミカル社製)
<分散安定性の評価>
サンプル瓶に磁気粘性流体を入れ、23℃において24時間、96時間、120時間、240時間経過後に磁性粒子含有層と分散媒層(上澄層)の厚みを測定した。磁性粒子含有層と分散媒層の合計厚みに対する分散媒層の厚みを100分率で表した値を評価値とした。得られた結果を表1に示す。
また、表2及び表3では、以下の評価基準で表した。
A:240時間経過後の分散媒層(上澄層)の厚みが全体の1/3未満である。
B:240時間経過後の分散媒層(上澄層)の厚みが全体の1/3以上1/2未満である。
C:240時間経過後の分散媒層(上澄層)の厚みが全体の1/2以上である。
<再分散性の評価>
上記分散安定性の評価における120時間経過後の磁気粘性流体に、振動モーター(EXEN社製 TURBIN BTP24)を用いて10秒間振動を与え再度分散させた。5分経過後に、磁性粒子含有層と分散媒層の厚みを測定した。磁性粒子含有層と分散媒層の合計厚みに対する分散媒層の厚みを100分率で表した値を評価値とした。得られた結果を表1に示す。また、振動条件は以下のとおりである。
使用圧力:0.6MPa、振動数:351Hz
<流動性の評価>
上記分散安定性の評価における240時間経過後の磁気粘性流体を45度に傾斜し、磁性流体の流動性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
A:10秒間傾斜した際に10mm以上流動したもの
B:20秒間傾斜した際に10mm以上流動したもの(A評価の試料を除く)
C:20秒間傾斜した際に10mm未満流動したもの
D:20秒間傾斜した際に流動しなかったもの
<状態観察>
上記分散安定性の評価における240時間経過後の磁気粘性流体の状態を目視観察した。評価基準は以下のとおりである。
A:ゲル状部分が認められない又はほとんど認められない。
B:わずかにゲル状部分が認められる。
C:部分的にゲル状(B評価の試料を除く)。
D:全体的にゲル状もしくは固体化
<励磁時平均トルク値、相対比及びトルクの回復時間の評価>
下記試験用プレートに実施例5の磁気粘性流体を注入し、この試験プレートを装着したTAインスルメント社製レオメータDHRを用いて40℃の雰囲気下でトルク値(μN・m)を測定し、励磁時平均トルク値、相対比及びトルクの回復時間を評価した。評価した条件は以下のとおりである。
磁場の印加条件:測定開始後30秒後に直流0.5Tの磁場を印加し、測定開始後50秒後にその磁場の印加を停止する。
試験用プレートは20mm pararell plateを使用した。
励磁平均トルク値は、測定開始後30秒から50秒間のトルク値の相加平均を示す。
トルクの回復時間は、磁場の作用を停止(磁束密度0T)した後のトルク値が初期値に戻るまでの時間から50を差し引いた時間を示す。なお、前記「戻る」とは、磁場の印加を停止した後のトルク値が初期値±1%の値を示すことを意味する。また、同一条件にて、市販の磁気粘性流体である参考例1及び2についても励磁時平均トルク値、及びトルクの回復時間を測定し、相対比を算出した。
表1に示すように、(C)脂肪酸アミドを含有しない比較例1では、24時間後には粒子の沈降が認められ、振動を与えても十分な再分散性が得られないことがわかった。また、(E)分散助剤を含有しない比較例2では、分散性及び再分散性とも比較例1よりは改善されたが、十分な特性は得られなかった。これに対して、(A)磁性粒子、(B)分散媒、(C)脂肪酸アミド、(D)分散剤及び(E)分散助剤を全て含有する実施例1では、分散安定性及び再分散性とも明らかに向上し、本発明の効果が確認された。
Figure 0007176916000001
表2に示すように、分散媒を実施例1の(b1)αオレフィンから、(b2)ポリアルキレングリコールに変更した実施例2においては、240時間後も良好な分散安定性が得られた。また、実施例2は、240時間後の流動性が良好で、ゲルの生成も認められなかったことから、再分散性も良好であることが確認された。このように、より高粘度の分散媒である(b2)ポリアルキレングリコールにおいても本発明の効果が得られることから、本発明では、用途に応じて、好適な物性値を有する分散媒を適宜選択可能であることが確認された。表中には記載していないが、複数種の分散媒を混合しても本発明の効果が得られることが確認されている。
さらに実施例2の(D)分散剤と(E)分散助剤の比率を変更した実施例3及び実施例4においても、240時間後の分散性は、良好であった。また、実施例3及び4とも240時間後の流動性が良好で、ゲルの生成も認められないか(実施例3)、認められてもその量はわずかであった(実施例4)。このことから、(D)分散剤と(E)分散助剤の比率を適宜調整することにより、さらに要求特性に適合した磁気粘性流体が実現可能であると考えられる。
Figure 0007176916000002
(c1)ステアリン酸アミドも(d1)ポリオキシアルキレンデシルエーテルも親水基及び疎水基を有する構造であるため、いずれか一方を含有する構成でも本発明の効果が得られるか確認した。(c1)ステアリン酸アミドを添加せず、2倍の(d1)ポリオキシアルキレンデシルエーテルを添加した比較例3では、十分な分散安定性を実現できなかった。一方、(d1)ポリオキシアルキレンデシルエーテルを添加せず、2倍の(c1)ステアリン酸アミドを添加した比較例4では、240時間後には、全体がゲル状となり、流動性が失われた。このことから、(C)脂肪酸アミドと(D)分散剤の一方では、本発明の効果は得られず、(C)脂肪酸アミドと(D)分散剤を併用することが重要であることが確認された。
また、比較例5及び比較例6では、(C)脂肪酸アミドに変えて、(C)脂肪酸アミドと同様にレオロジーコントロール剤(特開2017-59660号公報参照)として位置づけられるセピオライト・サポナイト・ヘクトライト及び有機変性ベントナイトを添加した。比較例5及び比較例6のいずれにおいても240時間後は、全体がゲル状となり、流動性が失われ、本発明の効果は得られないことが確認された。
以上の結果、本発明の効果を得るためには、(A)磁性粒子、(B)分散媒、(C)脂肪酸アミド、(D)分散剤及び(E)分散助剤の全てを含有することが必要であることが明らかとなった。
表3に示すように、実施例2の(E)分散助剤である(e1)トウモロコシ由来のキシランに変えて、(e2)水溶性キシラン(実施例5)、(e3)ブナ由来キシラン(実施例6)、(e4)γ―シクロデキストリン(実施例7)及び(e5)ガラスバルーン(実施例8)を用いたいずれの試料でも、240時間経過後も分散安定性は良好で、ゲルは生成せず、優れた流動性を維持することがわかった。このことから、本発明の(E)分散助剤としては、キシランの他に、シクロデキストリン及び中空無機粒子が有効に用いられることがわかった。
Figure 0007176916000003
本発明の磁気粘性流体におけるメカニズムは明らかになっていないが、例えば、以下のように考えることができる。磁性粒子表面に分散剤の親水基が結合し、疎水基が外側を向いた粒子が形成される。また、分散助剤の表面に脂肪酸アミドの親油基が結合して、疎水基が外側を向いた粒子が形成される。本発明の磁気粘性流体中では、このように疎水基が外側を向いた2種類の粒子が、互いに反発しあいながら浮遊しており、この構成により、本発明の磁気粘性流体の優れた分散安定性及び再分散性が実現される可能性が考えられる。
図1に、実施例5、参考例1及び参考例2の磁気粘性流体の励磁時平均トルク値及びトルクの回復時間の評価結果を示す。なお、ここでは、励磁時平均トルク値は、実施例5の値(励磁時平均トルク値/初期値)を100として相対値で示している。また、トルクの回復時間は実測値を示している。
実施例5、参考例1及び参考例2の磁気粘性流体の励磁時平均トルク値の実測値は、それぞれ42782N・m、38389N・m、30868N・mであり、初期値はそれぞれ18.7N・m、16.6N・m、26.4N・mであった。
この結果、相対比はそれぞれ2281、2310、1169となった。
実施例5では、励磁時平均トルク値は、参考例1と同等であったが、トルクの回復時間は参考例1の1/2程度に短縮されることが確認された。また、実施例5の励磁時平均トルク値は、参考例2の2倍程度であり、トルクの回復時間は、参考例2の1/5程度に短縮されることがわかった。
上記結果より、本発明により、既存品に比べ、励磁時平均トルク値が高く、且つトルクの回復時間が短い磁気粘性流体が実現されることが確認された。

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  1. (A)磁性粒子と、(B)分散媒と、(C)脂肪酸アミドと、(D)分散剤と、(E)分散助剤とを含有し、前記(E)分散助剤は、キシラン、シクロデキストリン、中空無機粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする磁気粘性流体。
  2. 前記中空無機粒子は、ガラスバルーン、シリカバルーン、セラミックバルーンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項に記載の磁気粘性流体。
  3. 前記磁気粘性流体に、40℃の雰囲気下で、直流0.5Tの磁場を印加したときの励磁時平均トルク値は、20,000μN・m以上であり、トルクの回復時間は、1.8秒以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気粘性流体。
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