[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
(1)本発明の一態様に係る中継装置は、周期的に送信されるデータを、通信線を介して受信し、受信したデータを送信する中継装置であって、前記通信線を介して受信したデータが記憶される記憶部と、前記記憶部に記憶されているデータを送信する第1送信部と、前記第1送信部が送信したデータを前記記憶部から削除する削除部と、前記通信線を介して受信するデータについて、前記記憶部に記憶されているデータのデータ量が閾値以上であるか否かを判定するデータ量判定部と、前記データ量判定部によって、前記データ量が前記閾値以上であると判定された場合、データを送信する送信周期のより長い周期への変更を指示する変更データを、前記通信線を介して送信する第2送信部とを備える。
(2)本発明の一態様に係る中継装置は、変更後の前記送信周期を、所定期間内に前記通信線を介してデータを受信した回数に基づいて決定する決定部を備える。
(3)本発明の一態様に係る中継装置では、前記通信線の数は2以上であり、複数の前記通信線夫々を介して、周期的に送信されるデータを受信し、前記記憶部には、前記複数の通信線を介して受信した複数のデータが記憶され、前記データ量判定部は、前記複数の通信線を介して受信する複数のデータ夫々について、前記記憶部に記憶されているデータのデータ量が閾値以上であるか否かを判定し、前記第2送信部は、前記複数の通信線を介して受信する複数のデータ中の少なくとも1つについて、前記データ量判定部によって、前記データ量が前記閾値以上であると判定された場合、前記データ量が前記閾値以上であると判定されたデータが送信される前記通信線を介して前記変更データを送信する。
(4)本発明の一態様に係る中継装置では、前記複数の通信線を介して受信する複数のデータに係る複数の閾値中の2つは相互に異なる。
(5)本発明の一態様に係る中継装置では、前記通信線の数は2以上であり、周期的に送信される複数種類のデータを、複数の前記通信線を介して受信し、前記記憶部には、前記複数の通信線を介して受信した複数種類のデータが記憶され、前記データ量判定部は、前記複数種類のデータ夫々について、前記記憶部に記憶されているデータのデータ量が閾値以上であるか否かを判定し、前記第2送信部は、前記複数種類のデータ中の少なくとも1種類のデータについて、前記データ量判定部によって前記データ量が前記閾値以上であると判定された場合、前記データ量が前記閾値以上であると判定されたデータが送信される前記通信線を介して前記変更データを送信する。
(6)本発明の一態様に係る中継装置では、データの種類は、前記データを用いる処理に係るアプリケーションプログラムによって決まる。
(7)本発明の一態様に係る中継装置では、前記複数種類のデータに係る複数の閾値中の2つは相互に異なる。
(8)本発明の一態様に係る中継方法は、通信装置から通信線を介して周期的に送信されるデータを記憶部に記憶するステップと、前記記憶部に記憶されているデータを送信するステップと、送信したデータを前記記憶部から削除するステップと、前記通信装置から前記通信線を介して送信されるデータについて、前記記憶部に記憶されているデータのデータ量が閾値以上であるか否かを判定するステップと、前記データ量が前記閾値以上であると判定した場合、データを送信する送信周期のより長い周期への変更を指示する変更データを、前記通信線を介して送信するステップとを含む。
(9)本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、通信装置から通信線を介して周期的に送信されるデータを記憶部に記憶するステップと、前記記憶部に記憶されているデータの送信を指示するステップと、送信されたデータを前記記憶部から削除するステップと、前記通信装置から前記通信線を介して送信されるデータについて、前記記憶部に記憶されているデータのデータ量が閾値以上であるか否かを判定するステップと、前記データ量が前記閾値以上であると判定した場合、データを送信する送信周期のより長い周期への変更を指示する変更データの前記通信線を介した送信を指示するステップとを実行させる。
上記の一態様に係る中継装置、中継方法及びコンピュータプログラムにあっては、記憶部に記憶されているデータのデータ量が閾値以上となった場合、通信線を介して、データの送信元である通信装置に変更データが送信される。これにより、通信装置が通信線を介して送信するデータの送信周期が長くなり、データ量の増大が抑制される。結果、記憶部に記憶されているデータのデータ量が上限値に到達する可能性が低い。
上記の一態様に係る中継装置にあっては、変更後の送信周期は、所定期間内に通信線を介してデータを受信した回数に基づいて、適切な周期に決定される。
上記の一態様に係る中継装置にあっては、複数の通信線を介して送信される複数のデータの中で、データ量が閾値以上となったデータの送信周期がより長い周期に変更される。データ量が閾値未満であるデータの送信周期は変更されない。結果、データが効率的に送信される。
上記の一態様に係る中継装置にあっては、複数の通信線を介して受信する複数のデータに係る全ての閾値は、同一ではなく、各別に設定される。
上記の一態様に係る中継装置にあっては、複数種類のデータの中でデータ量が閾値以上となった種類のデータの送信周期がより長い周期に変更される。データ量が閾値未満である種類のデータの送信周期は変更されない。結果、複数種類のデータが効率的に送信される。
上記の一態様に係る中継装置にあっては、1つのアプリケーションプログラムに係る処理で用いられるデータは、1種類のデータである。
上記の一態様に係る中継装置にあっては、複数種類のデータに係る全ての閾値は、同一ではなく、適宜設定されている。
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る通信システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
(実施形態1)
図1は、実施形態1における通信システムNの要部構成を示すブロック図である。通信システムNは、車両100に搭載されており、3つのECU(Electronic Control Unit)1a,1b,1c、中継装置2及び3つの通信線3a,3b,3cを備える。ECU1a,1b,1c夫々は、通信線3a,3b,3cの一端に接続されている。通信線3a,3b,3cの他端は中継装置2に接続されている。
ECU1a,1b,1c夫々は、通信装置として機能し、送信すべき送信データの一部分である部分データを、通信線3a,3b,3cを介して中継装置2に送信する。通信システムNでは、部分データを含むデータフレームを送信することによって、部分データを送信する。データフレームには、部分データの他に、データフレームの送信先の装置を示す送信先データ、及び、データフレームの送信元の装置を示す送信元データ等が含まれている(図3参照)。送信先の装置は、3つのECU1a,1b,1c中の1つである。送信元の装置も、3つのECU1a,1b,1c中の1つである。
図2はECU1aが行う送信の説明図である。図2に示すように、送信データは、複数の部分データによって構成される。ECU1aは、複数のデータフレームを送信することによって、送信データを構成する複数の部分データを送信する。送信データを構成する全ての部分データの送信が完了するまで、ECU1aは、通信線3aを介して、データフレームを周期的に中継装置2に送信する。
データフレームを送信する送信周期は、1つのデータフレームの送信を開始してから次のデータフレームの送信を開始するまでの期間である。ECU1aは、1つの送信データに係る周期的なデータフレームの送信を突発的に開始する。
ECU1b,1c夫々が行う送信は、ECU1aが行う送信と同様である。ECU1aが行う送信の説明において、ECU1a及び通信線3a夫々をECU1b及び通信線3bに置き換える。これにより、ECU1bが行う送信を理解することができる。同様に、ECU1aが行う送信の説明において、ECU1a及び通信線3a夫々をECU1c及び通信線3cに置き換える。これにより、ECU1cが行う送信を理解することができる。
中継装置2は、3つのECU1a,1b,1cから、3つの通信線3a,3b,3cを介して複数のデータフレームを受信する。中継装置2は、3つの通信線3a,3b,3c中の1つを介してデータフレームを受信した場合、3つの通信線3a,3b,3c中の1つを介して、受信したデータフレームの送信先データが示すECUに、受信したデータフレームを送信する。このように、中継装置2は、3つのECU1a,1b,1c中の2つが行う通信を中継する。
ECU1a,1b,1c夫々は、車両100に搭載されている電気機器に関する制御を行う。3つのECU1a,1b,1cは、中継装置2を介して相互に通信し、これらの少なくとも2つは協調動作を行う。例えば、車両100のドアノブを人物が接触した場合、ECU1aに、ドアの解錠を指示するデータが入力される。ECU1aは、中継装置2を介して、ドアの解錠を指示する送信データに係る複数のデータフレームをECU1cに送信する。ECU1cは、この送信データに係る全てのデータフレームを受信した場合、ドアの解錠を指示するデータを出力する。これにより、ドアが解錠される。
中継装置2は、通信線3a,3b,3c夫々を介して、データフレームの送信周期の変更を指示する周期変更フレームをECU1a,1b,1cに送信する。ECU1a,1b,1c夫々は、周期変更フレームの指示に従って、データフレームの送信周期を変更する。
通信線3a,3b,3c夫々を介した通信では、例えば、イーサネット用のプロトコルが用いられる。通信線3a,3b,3c夫々を介した通信は、1対1の通信である。このため、通信線3a,3b,3c夫々に接続される装置の数は2である。
図3はデータフレーム及び周期変更フレームの説明図である。前述したように、データフレームには、送信先データ、送信元データ及び部分データが含まれている。周期変更フレームには、周期を示す変更周期データが含まれている。ECU1a,1b,1c夫々は、中継装置2から周期変更フレームを受信した場合、送信周期を、受信した周期変更フレームの変更周期データが示す周期に変更する。従って、周期変更フレームの変更周期データは、変更後の送信周期を示す。
周期変更フレームには、更に、周期変更フレームの送信先の装置を示す送信先データと、周期変更フレームの送信元の装置を示す送信元データとが含まれている。周期変更フレームの送信先データが示す送信先の装置は、3つのECU1a,1b,1c中の1つである。周期変更フレームの送信元データが示す送信元の装置は中継装置2である。
図4はECU1aの要部構成を示すブロック図である。ECU1aは、通信部10、一時記憶部11、タイマ12、主記憶部13及び制御部14を有する。これらは、ECU1a内において、内部バス15に接続されている。通信部10は、更に、通信線3aに接続されている。
通信部10は、制御部14の指示に従って、通信線3aを介してデータフレームを送信する。更に、通信部10は、通信線3aを介してデータフレーム及び周期変更フレームを受信する。制御部14は、通信部10が受信したデータフレーム及び周期変更フレームを、通信部10から取得する。
制御部14は、送信データを生成し、生成した送信データを一時記憶部11に記憶する。制御部14は、更に、通信部10が受信した複数のデータフレームに含まれる複数の部分データによって構成される送信データを、電気機器の制御に用いる制御データとして記憶する。一時記憶部11に記憶されているデータは、制御部14によって読み出される。制御部14は、一時記憶部11に記憶されているデータを削除する。一時記憶部11は、データを一時的に記憶する。例えば、一時記憶部11への電力供給が停止した場合、一時記憶部11に記憶されているデータは消去される。
タイマ12は、制御部14の指示に従って計時の開始及び終了を行う。制御部14は、タイマ12が計時している計時時間をタイマ12から読み出す。
主記憶部13は不揮発性メモリである。主記憶部13には、データフレームの送信周期を示す送信周期データが記憶されている。制御部14は、送信周期データが示す送信周期を、通信部10が受信した周期変更フレームの変更周期データが示す周期に変更する。
主記憶部13には、更に、コンピュータプログラムP1が記憶されている。制御部14は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部14が有する一又は複数のCPUは、コンピュータプログラムP1を実行することによって、制御データ記憶処理、制御処理、送信データ記憶処理、ECU側送信処理及び周期変更処理を実行する。
制御データ記憶処理及び送信データ記憶処理夫々は、制御データ及び送信データを記憶する処理である。制御処理は、制御データに基づいて電気機器に関する制御を行う処理である。ECU側送信処理は、送信データを構成する複数の部分データを送信する処理である。周期変更処理は、送信周期を変更する処理である。
なお、コンピュータプログラムP1は、制御部14が有する一又は複数のCPUが読み取り可能に、記憶媒体A1に記憶されていてもよい。この場合、図示しない読み出し装置によって記憶媒体A1から読み出されたコンピュータプログラムP1が主記憶部13に記憶される。記憶媒体A1は、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気ディスク、磁気光ディスク又は半導体メモリ等である。光ディスクは、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、又は、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等である。磁気ディスクは、例えばハードディスクである。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部装置からコンピュータプログラムP1をダウンロードし、ダウンロードしたコンピュータプログラムP1を主記憶部13に記憶してもよい。
制御部14は、制御データ記憶処理が実行していない状態で、通信部10がデータフレームを受信した場合に制御データ記憶処理を実行する。制御データ記憶処理では、制御部14は、通信部10が受信した複数の部分データによって構成される送信データを制御データとして一時記憶部11に記憶する。
具体的には、通信部10が1つの送信データに係る全てのデータフレームの受信を完了するまで、通信部10がデータフレームを受信する都度、制御部14は、通信部10が受信したデータフレームに含まれる部分データを一時記憶部11に記憶する。通信部10が1つの送信データに係る全てのデータフレームの受信を完了した場合、即ち、1つの送信データを構成する全ての部分データが一時記憶部11に記憶された場合、制御部14は制御データ記憶処理を終了する。前述したように、制御部14は、通信部10が受信した送信データを制御データとして扱う。
制御部14は、制御データ記憶処理を終了した後において、通信部10がデータフレームを受信した場合、制御データ記憶処理を再び実行する。制御部14は、制御データ記憶処理の実行中に、通信部10がデータフレームを受信した場合に、制御データ記憶処理を新たに開始することはない。
制御部14は、一時記憶部11に制御データが記憶されている場合、制御処理を実行する。制御処理では、制御部14は、一時記憶部11に記憶されている制御データに基づく処理を実行する。例えば、制御部14は、図示しない出力部に、特定の動作を指示するデータを出力させ、電気機器に特定の動作を行わせる。その後、制御部14は、一時記憶部11から、実行した処理に係る制御データを削除し、制御処理を終了する。制御処理が終了した後において、他の制御データが一時記憶部11に記憶されている場合、制御部14は再び制御処理を実行する。
制御部14は、例えば、センサの検出結果を示すデータ又は特定の動作を指示するデータ等が図示しない入力部に入力された場合に送信データ記憶処理を実行する。送信データ記憶処理では、制御部14は、入力部に入力されたデータに基づいて送信データを生成し、生成した送信データを一時記憶部11に記憶する。その後、制御部14は送信データ記憶処理を終了する。
図5は、ECU側送信処理の手順を示すフローチャートである。制御部14は、送信データ記憶処理で生成した送信データが一時記憶部11に記憶されている場合、ECU側送信処理を実行する。ECU側送信処理では、制御部14は、まず、送信対象の送信データを構成する複数の部分データを生成し(ステップS1)、生成した複数の部分データ夫々を含む複数のデータフレームを生成する(ステップS2)。
制御部14は、ステップS2を実行した後、タイマ12に計時の開始を指示する(ステップS3)。これにより、タイマ12は計時を開始する。次に、制御部14は、ステップS2で生成した複数のデータフレーム中の1つのデータフレームの送信を通信部10に指示する(ステップS4)。これにより、通信部10は、通信線3aを介して中継装置2にデータフレームを送信する。
次に、制御部14は、ステップS2で生成した全てのデータフレームを通信部10が送信したか否かを判定する(ステップS5)。制御部14は、通信部10が全てのデータフレームを送信していないと判定した場合(S5:NO)、タイマ12が計時している計時時間が、送信周期データが示す送信周期以上であるか否かを判定する(ステップS6)。制御部14は、計時時間が送信周期未満であると判定した場合(S6:NO)、ステップS6を実行し、計時時間が送信周期以上となるまで待機する。
制御部14は、計時時間が送信周期以上であると判定した場合(S6:YES)、タイマ12に計時の終了を指示する(ステップS7)。これにより、タイマ12は計時を終了する。次に、制御部14は、ステップS3を実行する。ステップS2で生成した全てのデータフレームを通信部10が送信するまで、制御部14は、ステップS4を繰り返し実行する。制御部14がステップS4を繰り返し実行することによって、ステップS2で生成した複数のデータフレームを通信部10は順次送信する。
制御部14は、通信部10が全てのデータフレームを送信したと判定した場合(S5:YES)、通信部10が送信した送信データを削除し(ステップS8)、タイマ12に計時の終了を指示する(ステップS9)。これにより、タイマ12は計時を終了する。制御部14は、ステップS9を実行した後、ECU側送信処理を終了する。他の送信データが一時記憶部11に記憶されている場合、制御部14は再びECU側送信処理を実行する。
制御部14がECU側送信処理を実行することによって、通信部10は、図2に示すように、送信周期データが示す送信周期でデータフレームを中継装置2に順次送信する。
制御部14は、通信部10が、中継装置2から通信線3aを介して周期変更フレームを受信した場合に周期変更処理を実行する。制御部14は、周期変更処理では、制御部14は、主記憶部13に記憶されている送信周期データが示す送信周期を、通信部10が受信した周期変更フレームの変更周期データが示す周期に変更する。
これにより、制御部14がECU側送信処理を実行することによって、通信部10が送信する複数のデータフレームの送信周期が、変更周期データが示す周期に変更される。
制御部14は、送信周期を変更した後、周期変更処理を終了する。
ECU1b,1c夫々の構成はECU1aの構成と同様である。ECU1aの構成の説明において、ECU1a及び通信線3a夫々をECU1b及び通信線3bに置き換える。これにより、ECU1bの構成を説明することができる。ECU1aの構成の説明において、ECU1a及び通信線3a夫々をECU1c及び通信線3cに置き換える。これにより、ECU1cの構成を説明することができる。
図6は、中継装置2の要部構成を示すブロック図である。中継装置2は、3つの通信部20a,20b,20c、一時記憶部21、時計部22、主記憶部23及び制御部24を有する。これらは、中継装置2内において、内部バス25に接続されている。通信部20a,20b,20c夫々は、更に、通信線3a,3b,3cに接続されている。
通信部20a,20b,20c夫々は、制御部24の指示に従って、データフレーム及び周期変更フレームを通信線3a,3b,3cを介して送信する。通信部20a,20b,20c夫々が送信したデータフレーム及び周期変更フレームは、ECU1a,1b,1cの通信部10によって受信される。
通信部20a,20b,20c夫々は、通信線3a,3b,3cを介してデータフレームを受信する。従って、ECU1a,1b,1c夫々の通信部10が送信したデータフレームは、中継装置2の通信部20a,20b,20cによって受信される。
制御部24は、通信部20a,20b,20cが受信したデータフレームを一時記憶部21に記憶する。制御部24は、通信部20a,20b,20cがデータフレームを受信した日時と、このデータフレームの送信元の装置とを示す受信時刻データを一時記憶部21に記憶する。送信元の装置は、ECU1a,1b,1c中の1つである。
制御部24は、一時記憶部21に記憶されているデータフレーム及び受信時刻データを一時記憶部21から読み出す。制御部24は、一時記憶部21に記憶されているデータフレームを削除する。一時記憶部21には、データが一時的に記憶される。例えば、一時記憶部21への電力供給が停止した場合、一時記憶部21に記憶されている全てのデータは消去される。
制御部24は、時計部22から日時を示す日時データを取得する。制御部24が取得した日時データは、この日時データを取得した時点の日時を示す。
主記憶部23は不揮発性メモリである。主記憶部23には、送信周期として基本的に設定される一定の基本周期を示す基本周期データが記憶されている。制御部24は、主記憶部23から基本周期データを読み出す。
主記憶部23には、更に、コンピュータプログラムP2が記憶されている。制御部24は、一又は複数のCPUを有する。制御部24が有する一又は複数のCPUは、コンピュータプログラムP2を実行することによって、装置側記憶処理、装置側送信処理及び3つのECU1a,1b,1cに係る3つのデータ量調整処理を並行して実行する。
装置側記憶処理は、データフレームを一時記憶部21に記憶する処理である。装置側送信処理は、一時記憶部21に記憶されているデータフレームを送信する処理である。3つのデータ量調整処理夫々は、通信線3a,3b,3cを介して受信するデータのデータ量を調整する処理である。コンピュータプログラムP2は、制御部24が有する一又は複数のCPUに、装置側記憶処理、装置側送信処理及び3つのデータ量調整処理を実行させるために用いられる。
なお、コンピュータプログラムP2は、制御部24が有する一又は複数のCPUが読み取り可能に、記憶媒体A2に記憶されていてもよい。この場合、図示しない読み出し装置によって記憶媒体A2から読み出されたコンピュータプログラムP2が主記憶部23に記憶される。記憶媒体A2は、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気ディスク、磁気光ディスク又は半導体メモリ等である。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部装置からコンピュータプログラムP2をダウンロードし、ダウンロードしたコンピュータプログラムP2を主記憶部23に記憶してもよい。
図7は、装置側記憶処理の手順を示すフローチャートである。制御部24は、通信部20a,20b,20c中の1つがデータフレームを受信した場合に装置側記憶処理を実行する。装置側記憶処理では、制御部24は、まず、通信部20a,20b,20c中の1つが受信したデータフレームを一時記憶部21に記憶する(ステップS11)。
次に、制御部24は、時計部22から日時データを取得し(ステップS12)、受信時刻データを一時記憶部21に記憶する(ステップS13)。受信時刻データは、受信されたデータフレームの送信元データが示す送信元の装置と、ステップS12で取得した日時データが示す日時とを示す。制御部24は、ステップS13を実行した後、装置側記憶処理を終了する。
図8は、装置側送信処理の手順を示すフローチャートである。制御部24は、一時記憶部21にデータフレームが記憶されている場合、装置側送信処理を実行する。装置側送信処理では、制御部24は、送信対象のデータフレームの送信先データが示す送信先の装置に基づいて、3つの通信部20a,20b,20cの中から1つの通信部を選択する(ステップS21)。
前述したように、送信先データが示す送信先の装置は、ECU1a,1b,1c中の1つである。ECU1a,1b,1c夫々は、通信部20a,20b,20cに対応する。ステップS21では、制御部24は、通信部20a,20b,20cの中で、送信対象のデータフレームの送信先データが示す送信先の装置に対応する通信部を選択する。例えば、送信先の装置がECU1aである場合、制御部24は通信部20aを選択する。
次に、制御部24は、一時記憶部21に記憶されている送信対象のデータフレームの送信を、ステップS21で選択した通信部に指示する(ステップS22)。これにより、ステップS21で選択した通信部は、自身に接続されている通信線を介して、一時記憶部21に記憶されている送信対象のデータフレームを、ECU1a,1b,1c中の1つの通信部10に送信する。例えば、ステップS21で通信部20aが選択されている場合、ステップS22では、制御部24は、送信対象のデータフレームの送信を通信部20aに指示する。これにより、通信部20aは、自身に接続されている通信線3aを介して、送信対象のデータフレームをECU1aの通信部10に送信する。通信部20a,20b,20c夫々は第1送信部として機能する。
制御部24は、ステップS22を実行した後、ステップS21で選択した通信部が送信した送信対象のデータフレームを一時記憶部21から削除する(ステップS23)。制御部24は削除部として機能する。
制御部24は、ステップS23を実行した後、装置側送信処理を終了する。
以上のように、制御部24は、通信部20a,20b,20c中の1つが通信線3a,3b,3c中の1つを介してデータフレームを受信する都度、受信されたデータフレームは一時記憶部21に記憶する。一時記憶部21に記憶されたデータフレームは、通信部20a,20b,20c中の1つによって送信され、送信対象のデータフレームは一時記憶部21から削除される。従って、一時記憶部21に記憶されているデータのデータ量は、単位時間当たりに通信部20a,20b,20cが受信するデータのデータ量と、単位時間当たりに通信部20a,20b,20cが送信するデータのデータ量とに応じて変動する。
通信部20a,20b,20c中の1つがデータフレームを受信する都度、データフレームを受信した日時と、受信したデータフレームの送信元の装置とを示す受信時刻データが一時記憶部21に記憶される。
図9はデータ量調整処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、ECU1aに係るデータ量調整処理を説明する。制御部24は、このデータ量調整処理を周期的に実行する。制御部24がECU1aに係るデータ量調整処理を実行した時点では、ECU1aの送信周期データは、送信周期として、前述した基本周期を示している。
データ量調整処理では、制御部24は、一時記憶部21において、ECU1aの通信部10から通信線3aを介して受信するデータフレームに係るデータのデータ量が第1閾値以上であるか否かを判定する(ステップS31)。第1閾値は、一定であり、予め設定されている。制御部24はデータ量判定部としても機能する。
制御部24は、データ量が第1閾値以上であると判定した場合(S31:YES)、基準時間内に、ECU1aから通信線3aを介して通信部20aがデータフレームを受信した受信回数を計数する(ステップS32)。
図10は、ECU1aに係る受信回数の説明図である。図10では、時間軸において、ECU1aから通信線3aを介して通信部20aがデータフレームを受信した時点(日時)が黒丸で示されている。受信回数は、ステップS32の実行を開始した時点から基準時間遡った時点から、ステップS32の実行が開始された時点までに、ECU1aから通信線3aを介してデータフレームを受信した回数である。基準時間は、1つの送信データに係る全てのデータフレームの送信に必要な送信時間の最大時間よりも十分に長い。
図10の例では、受信回数は10である。ステップS32では、一時記憶部21に記憶されている複数の受信時刻データに基づいて受信回数を計数する。図10の例は、1つの送信データの送信に5つのデータフレームが用いられる例である。図10の例では、3つの送信データが送信されている。3つの送信データの送信は、周期的に開始されず、突発的に開始されている。
次に、制御部24は、ステップS32で計数した受信回数に基づいて、ECU1aに係る送信周期を決定する(ステップS33)。主記憶部23には、送信周期の候補である候補周期と、受信回数との関係が予め記憶されている。ステップS33では、制御部24は、この関係に基づいて送信周期を決定する。
図11は候補周期及び受信回数の関係を示すグラフである。図11には、ECU1aに係る候補周期が示されている。図11に示す関係は、主記憶部23に予め記憶されている。図11に示すように、候補周期は、受信回数が多い程、長い。ステップS33では、制御部24は、送信周期を、ステップS32で計数した受信回数に対応する候補周期に決定する。また、候補周期の最小値は基本周期よりも長い。従って、ステップS33で決定される送信周期は、基本周期よりも長い。
次に、制御部24は、通信部20aに周期変更フレームの送信を指示する(ステップS34)。ここで、周期変更フレームの変更周期データが示す周期は、ステップS33で決定した送信周期である。制御部24がステップS34を実行することにより、通信部20aはECU1aに周期変更フレームを送信する。
ECU1aでは、通信部10が周期変更フレームを受信した場合、制御部14は、周期変更処理を実行し、送信周期データが示す送信周期を、基本周期から、周期変更フレームの変更周期データが示す周期に変更する。結果、ECU1aの通信部20aが通信線3aを介して中継装置2の通信部20aに送信するデータフレームの送信周期は、基本周期から、ステップS33で決定した送信周期に変更される。この送信周期は、前述したように基本周期よりも長く、ECU1aに係る受信回数が多い程長い。制御部24は決定部としても機能する。
制御部24は、ステップS34を実行した後、一時記憶部21において、ECU1aの通信部10から受信したデータフレームに係るデータのデータ量が第2閾値未満であるか否かを判定する(ステップS35)。第2閾値は、一定であり、予め設定されている。第2閾値は、第1閾値よりも小さい。
制御部24は、データ量が第2閾値以上であると判定した場合(S35:NO)、ステップS35を実行し、ECU1aの通信部10から受信したデータフレームに係るデータのデータ量が第2閾値未満となるまで待機する。この待機期間中、ECU1aの通信部20aは、送信データを送信する場合、複数のデータフレームを、ステップS33で決定した送信周期で中継装置2の通信部20aに送信する。
制御部24は、データ量が第2閾値未満であると判定した場合(S35:YES)、変更周期データが基本周期を示す周期変更フレームの送信を通信部20aに指示する(ステップS36)。これにより、通信部20aは、通信線3aを介してECU1aに周期変更フレームを送信する。
ECU1aでは、通信部10が周期変更フレームを受信した場合、制御部14は、周期変更処理を実行し、送信周期データが示す送信周期を、周期変更フレームの変更周期データが示す周期に変更する。結果、ECU1aの通信部20aが通信線3aを介して中継装置2の通信部20aに送信するデータフレームの送信周期は、基本周期に戻る。
制御部24は、データ量が第1閾値未満であると判定した場合(S31:NO)、又は、ステップS36を実行した後、データ量調整処理を終了する。
以上のように、ECU1aの通信部10が送信するデータフレームの送信周期が基本周期である状態で、送信元がECU1aであるデータフレームに係るデータのデータ量が第1閾値以上となった場合、送信周期を基本周期よりも長い周期に変更する。変更後の送信周期、即ち、ステップS33で決定される送信周期は、受信回数が多い程、長い周期に変更される。送信元がECU1aであるデータフレームに係るデータのデータ量が第2閾値未満となった場合、送信周期を基本周期に戻す。
制御部24は、ECU1b,1c夫々に係るデータ量調整処理を、ECU1aに係るデータ量調整処理と同様に実行する。ECU1aに係るデータ量調整処理の説明において、ECU1a、通信線3a及び通信部20a夫々をECU1b、通信線3b及び通信部20bに置き換える。これにより、ECU1bに係るデータ量調整処理を理解することができる。ECU1aに係るデータ量調整処理の説明において、ECU1a、通信線3a及び通信部20a夫々をECU1c、通信線3c及び通信部20cに置き換える。これにより、ECU1cに係るデータ量調整処理を理解することができる。
制御部24は、ECU1a,1b,1cに係るデータ量調整処理を実行する。従って、制御部24が、3つの通信線3a,3b,3c中の少なくとも1つを介して受信するデータフレームについて、一時記憶部21に記憶されているデータフレームに係るデータのデータ量が第1閾値以上であると判定したと仮定する。この場合、3つの通信部20a,20b,20c中の1つは、データ量が第1閾値以上であると判定されたデータの送信元であるECUに周期変更フレームを送信する。3つの通信部20a,20b,20c全体は、第2送信部として機能する。
3つのデータ量調整処理に係る3つの第1閾値、即ち、3つの通信線3a,3b,3cを介して受信する3つのデータフレームに係る3つの第1閾値中の2つは相互に異なっている。従って、3つのデータ量調整処理に係る全ての第1閾値は、同一ではなく、各別に適宜設定されている。また、3つのデータ量調整処理に係る3つの第2閾値中の2つは相互に異なっている。更に、3つのECU1a,1b,1cの全てについて、候補周期及び受信回数の関係は同一ではない。
図12は、ECU1a,1b,1cに係る候補周期の説明図である。図12には、ECU1a,1b,1c夫々に係る候補周期及び受信回数の関係が示されている。図12に示すように、ECU1a,1b,1c夫々について、受信回数が多い程、候補周期が長い。また、共通の受信回数について、ECU1aに係る候補周期は、ECU1bに係る候補周期よりも長い。ECU1bに係る候補周期は、ECU1cに係る候補周期よりも長い。更に、ECU1aに係る直線の傾きは、ECU1bに係る直線の傾きよりも大きい。ECU1bに係る直線の傾きは、ECU1cに係る直線の傾きよりも大きい。
中継装置2では、通信線3a,3b,3c中の1つを介して受信するデータフレームについて、一時記憶部21に記憶されているデータフレームに係るデータ量が第1閾値以上となった場合、データ量が第1閾値以上であるデータフレームを送信しているECUに周期変更フレームを送信する。3つの通信線3a,3b,3c中の1つを介して送信するデータフレームの送信周期が長くなり、データ量の増大が抑制される。結果、一時記憶部21に記憶されているデータのデータ量が一時記憶部21の容量の上限値を超える可能性、即ち、一時記憶部21においてオーバーフローが発生する可能性が低い。
また、3つの通信線3a,3b,3cを介して送信される3つのデータフレームの中で、データ量が第1閾値以上となったデータフレームの送信周期が、基本周期から基本周期よりも長い周期に変更される。データ量が第1閾値未満であるデータフレームの送信周期は変更されない。結果、データフレームが効率的に送信される。
更に、変更後の送信周期、即ち、ステップS33で決定される送信周期は、受信回数が多い程、長い周期に変更される。これにより、変更後の送信周期が、オーバーフローが発生する可能性が低く、かつ、送信データの送信速度が速い構成を実現する適切な周期に決定される。
なお、3つのデータ量調整処理に係る3つの第1閾値は同一であってもよい。また、3つのデータ量調整処理に係る3つの第2閾値も同一であってもよい。更に、3つのECU1a,1b,1cについて、候補周期及び受信回数の関係は同一であってもよい。
(実施形態2)
実施形態1では、中継装置2の制御部24は、3つの通信部20a,20b,20cが3つの通信線3a,3b,3cを介して受信する3つのデータフレーム夫々について、データ量が第1閾値以上であるか否かを判定する。しかしながら、データ量が第1閾値以上であるか否かの判定に係るデータフレームは、送信元の装置によって分類されるデータフレームに限定されない。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通している。このため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
実施形態2における通信システムNでは、中継装置2は、通信線3a,3b,3cを介して、周期的に送信される4種類のデータフレームを受信する。また、第1アプリケーションプログラム、第2アプリケーションプログラム、第3アプリケーションプログラム及び第4アプリケーションプログラム夫々は、3つのECU1a,1b,1c中の1つにおいて、制御部14によって実行される。これにより、種々の処理が実行される。
第1アプリケーションプログラムに係る処理において、第1アプリケーションデータが用いられる。第2アプリケーションプログラムに係る処理において、第2アプリケーションデータが用いられる。第3アプリケーションプログラムに係る処理において、第3アプリケーションデータが用いられる。第4アプリケーションプログラムに係る処理において、第4アプリケーションデータが用いられる。第1アプリケーションデータ、第2アプリケーションデータ、第3アプリケーションデータ及び第4アプリケーションデータ夫々は、送信データの1つである。
図13は、実施形態2における4種類のデータフレームの説明図である。第1種類のデータフレームは、第1アプリケーションデータの部分データを含むデータフレームである。第2種類のデータフレームは、第2アプリケーションデータの部分データを含むデータフレームである。第1種類及び第2種類のデータフレームは、ECU1aの通信部10によって送信される。
第3種類のデータフレームは、第3アプリケーションデータの部分データを含むデータフレームであり、ECU1bの通信部10によって送信される。第4種類のデータフレームは、第4アプリケーションデータの部分データを含むデータフレームであり、ECU1cの通信部10によって送信される。データフレームの種類は、このデータフレームに含まれる部分データが用いられるアプリケーションプログラムによって決まる。1つのアプリケーションプログラムに係る処理で用いられるデータの部分データを含むデータフレームは、1種類のデータフレームである。
図14は、データフレーム及び周期変更フレームの説明図である。ECU1a,1b,1cの通信部10が送信するデータフレームには、送信先データ、送信元データ及び部分データの他に、データフレームの種類を示す種類データが含まれている。
中継装置2の通信部20a,20b,20cが送信する周期変更フレームには、送信先データ、送信元データ及び部分データの他に、種類データが含まれている。周期変更フレームに含まれる種類データは、送信周期を変更すべきデータフレームの種類を示す。データフレーム及び周期変更フレーム夫々の種類データは、第1アプリケーションプログラム、第2アプリケーションプログラム、第3アプリケーションプログラム及び第4アプリケーションプログラム中の1つを示す。
図15は、ECU1aの要部構成を示すブロック図である。実施形態2におけるECU1aは、実施形態1におけるECU1aが有する構成部に加えて、タイマ40を有する。タイマ40は内部バス15に接続されている。タイマ40は、タイマ12と同様に、制御部14の指示に従って計時の開始及び終了を行う。制御部14は、タイマ40が計時している計時時間をタイマ40から読み出す。通信部10は、制御部14の指示に従って、通信線3aを介して第1種類及び第2種類のデータフレームを送信する。
実施形態2では、制御部14は、制御データ記憶処理、制御処理、送信データ記憶処理を実施形態1と同様に実行する。送信データ記憶処理では、制御部14は、送信データとして、第1アプリケーションデータ又は第2アプリケーションデータを生成し、生成した送信データを一時記憶部11に記憶する。制御部14は、第1アプリケーションデータを生成する送信データ記憶処理、及び、第2アプリケーションデータを生成する送信データ記憶処理の両方を実行する。
実施形態2では、制御部14は、第1種類のデータフレーム用のECU側送信処理及び周期変更処理を実行するとともに、第2種類のデータフレーム用のECU側送信処理及び周期変更処理を実行する。また、主記憶部23には、第1種類のデータフレーム用の送信周期データと、第2種類のデータフレーム用の送信周期データとが記憶されている。
制御部14は、送信データとして第1アプリケーションデータが一時記憶部11に記憶されている場合に、第1種類のデータフレーム用のECU側送信処理を、実施形態1におけるECU側送信処理と同様に実行する。第1種類のデータフレーム用のECU側送信処理のステップS6では、第1種類のデータフレーム用の送信周期データが示す送信周期が用いられる。
制御部14は、送信データとして第2アプリケーションデータが一時記憶部11に記憶されている場合に、第2種類のデータフレーム用のECU側送信処理を、実施形態1におけるECU側送信処理と同様に実行する。第2種類のデータフレーム用のECU側送信処理では、制御部14は、タイマ12ではなく、タイマ40に計時の開始及び終了を指示し、タイマ40が計時している計時時間を読み出す。また、第2種類のデータフレーム用のECU側送信処理のステップS6では、第2種類のデータフレーム用の送信周期データが示す送信周期が用いられる。
従って、ECU1aの通信部10は、第1種類のデータフレーム用の送信周期データが示す送信周期で第1種類のデータフレームを中継装置2の通信部20aに送信する。更に、ECU1aの通信部10は、第2種類のデータフレーム用の送信周期データが示す送信周期で第2種類のデータフレームを中継装置2の通信部20aに送信する。
制御部14は、通信部10が、種類データが第1アプリケーションプログラムを示す周期変更フレームを、中継装置2から通信線3aを介して受信した場合に、第1種類のデータフレーム用の周期変更処理を、実施形態1における周期変更処理と同様に実行する。第1種類のデータフレーム用の周期変更処理では、第1種類のデータフレーム用の送信周期データが示す送信周期を、第1アプリケーションプログラムに係る周期変更フレームが示す周期に変更する。
制御部14は、通信部10が、種類データが第2アプリケーションプログラムを示す周期変更フレームを、中継装置2から通信線3aを介して受信した場合に、第2種類のデータフレーム用の周期変更処理を、実施形態1における周期変更処理と同様に実行する。第2種類のデータフレーム用の周期変更処理では、第2種類のデータフレーム用の送信周期データが示す送信周期を、第2アプリケーションプログラムに係る周期変更フレームが示す周期に変更する。
実施形態2におけるECU1b,1cの構成は、実施形態2におけるECU1aの構成と同様である。ECU1bの構成の説明において、ECU1a、通信線3a、通信部20a、第1種類のデータフレーム、第1アプリケーションプログラム及び第1アプリケーションデータ夫々を、ECU1b、通信線3b、通信部20b、第3種類のデータフレーム、第3アプリケーションプログラム及び第3アプリケーションデータに置き換える。これにより、ECU1bの構成を理解することができる。
従って、ECU1bの通信部10は、第3種類のデータフレーム用の送信周期データが示す送信周期で第3種類のデータフレームを中継装置2の通信部20bに送信する。また、通信部10が、種類データが第3アプリケーションプログラムを示す周期変更フレームを、中継装置2から通信線3bを介して受信した場合、第3種類のデータフレーム用の送信周期データが示す送信周期を、第3アプリケーションプログラムに係る周期変更フレームが示す周期に変更する。
なお、ECU1bの通信部10が送信するデータフレームの種類の数は1である。このため、ECU1bではタイマ40は不要である。ECU1bの制御部14は、第2種類のデータフレーム用のECU側送信処理及び周期変更処理を実行することはない。
同様に、ECU1aの構成の説明において、ECU1a、通信線3a、通信部20a、第1種類のデータフレーム、第1アプリケーションプログラム及び第1アプリケーションデータ夫々を、ECU1c、通信線3c、通信部20c、第4種類のデータフレーム、第4アプリケーションプログラム及び第4アプリケーションデータに置き換える。これにより、ECU1cの構成を理解することができる。
従って、ECU1cの通信部10は、第4種類のデータフレーム用の送信周期データが示す送信周期で第4種類のデータフレームを中継装置2の通信部20cに送信する。また、通信部10が、種類データが第4アプリケーションプログラムを示す周期変更フレームを、中継装置2から通信線3cを介して受信した場合、第4種類のデータフレーム用の送信周期データが示す送信周期を、第4アプリケーションプログラムに係る周期変更フレームが示す周期に変更する。
なお、ECU1cの通信部10が送信するデータフレームの種類の数は1である。このため、ECU1cではタイマ40は不要である。ECU1cの制御部14は、第2種類のデータフレーム用のECU側送信処理及び周期変更処理を実行することはない。
実施形態2における中継装置2では、制御部24は、装置側記憶処理及び装置側送信処理を実施形態1と同様に実行する。装置側記憶処理のステップS13では、制御部14が一時記憶部11に記憶する受信時刻データは、送信元の装置及び日時に加えて、通信部20a,20b,20c中の1つが受信したデータフレームの種類データが示すアプリケーションプログラムを示す。制御部24は装置側記憶処理を実行するので、一時記憶部21には、3つの通信線3a,3b,3cを介して受信された4種類のデータフレームが記憶される。
実施形態2では、制御部24は、ECU1a,1b,1cに係るデータ量調整処理ではなく、第1種類、第2種類、第3種類及び第4種類のデータフレームに係るデータ量調整処理を実行する。制御部24は、第1種類のデータフレームに係るデータ量調整処理を、ECU1aに係るデータ量調整処理と同様に、周期的に実行する。
ステップS31では、制御部24は、一時記憶部21において、3つの通信線3a,3b,3c中の1つを介して受信した第1種類のデータフレームに係るデータのデータ量が第1閾値以上であるか否かを判定する。ステップS32では、制御部24は、基準時間内に、3つの通信部20a,20b,20cが第1種類のデータフレームを受信した受信回数を計数する。受信回数は、ステップS32の実行を開始した時点から基準時間遡った時点から、ステップS32の実行が開始された時点までに、3つの通信部20a,20b,20cが第1種類のデータフレームを受信した回数である。
ステップS33では、制御部24は、ステップS32で計数した受信回数に基づいて、第1種類のデータフレームに係る送信周期を決定する。主記憶部23には、第1種類のデータフレームについて、候補周期及び受信回数の関係が予め記憶されている。ステップS33では、制御部24は、この関係に基づいて送信周期を決定する。第1種類のデータフレームに係る候補周期の最小値は基本周期よりも長い。従って、ステップS33で決定される送信周期は、基本周期よりも長い。
ステップS34では、制御部24は、3つの通信部20a,20b,20cの中で第1種類のデータフレームの送信元の装置に接続されている通信部に周期変更フレームの送信を指示する。ここで、周期変更フレームについて、種類データは第1アプリケーションプログラムを示し、変更周期データが示す周期は、ステップS33で決定した送信周期である。制御部24がステップS34を実行することにより、3つの通信部20a,20b,20c中の少なくとも1つは、第1種類のデータフレームの送信元であるECU、即ち、ECU1aに周期変更フレームを送信する。
ECU1aでは、種類データが第1アプリケーションプログラムを示す周期変更フレームを通信部10が受信した場合、制御部14は、第1種類のデータフレーム用の周期変更処理を実行する。これにより、第1種類のデータフレーム用の送信周期データが示す送信周期を、基本周期から、周期変更フレームの変更周期データが示す周期に変更する。結果、第1種類のデータフレームの送信周期は、基本周期から、ステップS33で決定した送信周期に変更される。この送信周期は、前述したように基本周期よりも長い。
ステップS35では、一時記憶部21において、第1種類のデータフレームに係るデータのデータ量が第2閾値未満であるか否かを判定する。データ量が第2閾値未満となるまでの間、第1種類のデータフレームは、ステップS33で決定した送信周期で中継装置2に送信される。
ステップS36では、制御部24は、第1種類のデータフレームの送信元の装置に接続されている通信部に周期変更フレームの送信を指示する。ここで、周期変更フレームについて、種類データは第1アプリケーションプログラムを示し、変更周期データは基本周期を示す。制御部24がステップS36を実行することにより、3つの通信部20a,20b,20c中の少なくとも1つは、第1種類のデータフレームの送信元であるECU、即ち、ECU1aに周期変更フレームを送信する。これにより、第1種類のデータフレームの送信周期は基本周期に戻る。
以上のように、第1種類のデータフレームの送信周期が基本周期である状態で、第1種類のデータフレームに係るデータのデータ量が第1閾値以上となった場合、第1種類のデータフレームの送信周期を基本周期よりも長い周期に変更する。第1種類のデータフレームに係るデータのデータ量が第2閾値未満となった場合、第1種類のデータフレームの送信周期を基本周期に戻す。
制御部24は、第2種類、第3種類及び第4種類夫々のデータフレームに係るデータ量調整処理を、第1種類のデータフレームに係るデータ量調整処理と同様に実行する。第3種類のデータフレームに係るデータ量調整処理では、周期変更フレームの送信先はECU1bである。第4種類のデータフレームに係るデータ量調整処理では、周期変更フレームの送信先はECU1cである。第2種類、第3種類及び第4種類夫々のデータフレームは、第1アプリケーションプログラム、第2アプリケーションプログラム及び第3アプリケーションプログラムに対応する。
制御部24は、4種類のデータフレームに係るデータ量調整処理を実行する。従って、制御部24が、4種類のデータフレーム中の少なくとも1種類のデータフレームについて、一時記憶部21に記憶されているデータフレームに係るデータのデータ量が第1閾値以上であると判定したと仮定する。この場合、3つの通信部20a,20b,20c中の1つは、データ量が閾値以上であると判定されたデータの送信元であるECUに周期変更フレームを送信する。
4種類のデータフレームに係る4つの第1閾値中の2つは相互に異なっている。従って、4種類のデータフレームに係る全ての第1閾値は、同一ではなく、各別に適宜設定されている。また、4種類のデータフレームに係る4つの第2閾値中の2つは相互に異なっている。更に、4種類のデータフレームの全てについて、候補周期及び受信回数の関係は同一ではない。
図16は、4種類のデータフレームに係る候補周期の説明図である。図16には、4種類のデータフレーム夫々に係る候補周期及び受信回数の関係が示されている。図16に示すように、4種類のデータフレーム夫々について、受信回数が多い程、候補周期が長い。また、共通の受信回数について、第1種類のデータフレームに係る候補周期は、第2種類のデータフレームに係る候補周期よりも長い。第2種類のデータフレームに係る候補周期は、第3種類のデータフレームに係る候補周期よりも長い。第3種類のデータフレームに係る候補周期は、第4種類のデータフレームに係る候補周期よりも長い。
更に、第1種類のデータフレームに係る直線の傾きは、第2種類のデータフレームに係る直線の傾きよりも大きい。第2種類のデータフレームに係る直線の傾きは、第3種類のデータフレームに係る直線の傾きよりも大きい。第3種類のデータフレームに係る直線の傾きは、第4種類のデータフレームに係る直線の傾きよりも大きい。
中継装置2では、4種類のデータフレーム夫々について、一時記憶部21に記憶されているデータフレームに係るデータ量が第1閾値以上となった場合、データ量が第1閾値以上であるデータフレームを送信しているECUに周期変更フレームを送信する。3つの通信線3a,3b,3c中の1つを介して送信するデータフレームの送信周期が長くなり、データ量の増大が抑制される。結果、一時記憶部21においてオーバーフローが発生する可能性が低い。
また、4種類のデータフレームの中で、データ量が第1閾値以上となった種類のデータフレームの送信周期が、基本周期から基本周期よりも長い周期に変更される。データ量が第1閾値未満である種類のデータフレームの送信周期は変更されない。結果、4種類のデータフレームが効率的に送信される。
更に、変更後の送信周期、即ち、ステップS33で決定される送信周期は、受信回数が多い程、長い周期に変更される。これにより、変更後の送信周期が、オーバーフローが発生する可能性が低く、かつ、送信データの送信速度が速い構成を実現する適切な周期に決定される。
なお、実施形態2において、4種類のデータフレームに係る4つの第1閾値は同一であってもよい。また、4種類のデータフレームに係る4つの第2閾値も同一であってもよい。更に、4種類のデータフレームにについて、候補周期及び受信回数の関係は同一であってもよい。
また、通信システムNにおいて送信されるデータフレームの種類の数は、4に限定されず、2、3又は5以上であってもよい。ECU1aが送信するデータフレームの種類の数は、2に限定されず、1又は3以上であってもよい。ECU1b,1c夫々が送信するデータフレームの種類の数は、1に限定されず、2以上であってもよい。ECU1a,1b,1c夫々について、送信するデータフレームの種類の数に応じて、タイマ、送信周期データ、ECU側送信処理及び周期変更処理夫々の数が調整されている。例えば、ECU1aが送信するデータフレームの種類の数が3である場合、ECU1aに係るタイマ、送信周期データ、ECU側送信処理及び周期変更処理夫々の数は3である。更に、複数のECUが同じ種類のデータフレームを送信してもよい。
実施形態1,2において、データフレームを送信する送信周期は、1つのデータフレームの送信を開始してから次のデータフレームの送信を開始するまでの期間に限定されない。送信周期は、例えば、1つのデータフレームの送信が完了してから次のデータフレームの送信が開始するまでの期間であってもよい。この場合、ECU1a,1b,1c夫々は、1つのデータフレームを完了してから、送信周期が経過した後、次のデータフレームを送信する。この送信周期は、中継装置2によって変更される。
また、中継装置2に接続されるECUの数は、3に限定されず、2又は4以上であってもよい。中継装置2に接続される通信線の数は、ECUの数と同じである。更に、データ量調整処理のステップS33で決定する送信周期は、受信回数に応じて変動しない一定の周期であってもよい。
開示された実施形態1,2はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。