JP7176225B2 - 研磨液、研磨液セット及び研磨方法 - Google Patents

研磨液、研磨液セット及び研磨方法 Download PDF

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Description

本発明は、研磨液、研磨液セット及び研磨方法に関する。本発明は、例えば、シャロートレンチ分離(シャロー・トレンチ・アイソレーション。以下「STI」という。)等における、仕上げ研磨工程に使用することが可能な研磨液、研磨液セット及び研磨方法に関する。
近年、半導体集積回路(以下、「LSI」という)の高集積化及び高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。化学機械研磨(以下、「CMP」という)法はその1つであり、LSI製造工程(特に、多層配線形成工程における層間絶縁膜の平坦化、金属プラグ形成、又は、埋め込み配線形成)において頻繁に利用される技術である。この技術は、例えば、下記特許文献1に開示されている。
CMPは、半導体製造における各工程に適用されてきており、その一形態として、例えば、STI形成工程への適用が挙げられる。トランジスタ作製の際のSTI形成工程においては、絶縁部(二酸化ケイ素からなる被研磨部)を、ストッパ膜(窒化ケイ素からなる被研磨部)が露出するまで、選択的に研磨する。その後、得られた被研磨面の絶縁部とストッパ膜を非選択に研磨し、選択研磨により生じた該被研磨面の研磨傷及び/又はディッシングを低減させる。これにより被研磨面の高度な平坦化が達成される。本明細書では、上記非選択研磨工程を仕上げ研磨工程と定義する。
この場合、課題の一つとして、二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素を非選択的に研磨する要求が存在している。ここで、「非選択的」とは、二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素が選択的に研磨されないことを意味し、二酸化ケイ素の研磨速度(二酸化ケイ素からなる被研磨部の研磨速度)Rに対する窒化ケイ素の研磨速度(窒化ケイ素からなる被研磨部の研磨速度)Rの比率(R/R)が同程度(例えば、R/Rが0.80~1.20)であることを意味する。
二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素を非選択的に研磨する場合に用いられる砥粒として、セリア粒子及びシリカ粒子が一般的に知られている。
ところで、近年の半導体素子の製造工程では、更なる配線の微細化を達成することが求められており、研磨時に発生する研磨傷が問題となっている。すなわち、従来のセリア粒子及びシリカ粒子を用いて研磨を行った際に、微小な研磨傷が発生しても、この研磨傷の大きさが従来の配線幅より小さいものであれば問題にならなかったが、更なる配線の微細化を達成しようとする場合には、研磨傷が微小であっても問題となってしまう。
米国特許第4944836号明細書 国際公開第2012/070542号 特開2006-249129号公報 特開2010-153781号公報 特開2002-241739号公報
本発明者らは、砥粒による研磨傷の発生を低減しつつ、上記のような被研磨面における二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素を非選択的に研磨する観点から、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素を含む被研磨面の研磨において、該二酸化ケイ素に対して該窒化ケイ素を非選択的に研磨するために用いられる研磨液の砥粒として、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒を用いることを検討した。
しかしながら、4価金属元素の水酸化物は二酸化ケイ素との反応性が高いため、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒を用いた場合、二酸化ケイ素の研磨速度が窒化ケイ素の研磨速度に対して過剰に高くなる。そのため、窒化ケイ素の研磨速度を維持すると同時に、二酸化ケイ素の研磨速度を充分に抑止すること、すなわち、二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素を非選択的に研磨することは難しいことが明らかとなった。
本発明は、上記課題を解決しようとするものであり、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素を含む被研磨面の研磨において、二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素を非選択的に研磨することが可能な研磨液、該研磨液を得るための研磨液セット、並びに、該研磨液を用いた研磨方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素を含む被研磨面を研磨して二酸化ケイ素及び窒化ケイ素を除去するために用いられ、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒と、陽イオン性ポリマと、液状媒体と、を含有する、研磨液に関する。
本発明に係る研磨液によれば、二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素を非選択的に研磨することができる。そのため、本発明に係る研磨液によれば、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素を含む被研磨面を高度に平坦化することができる。すなわち、本発明に係る研磨液によれば、選択研磨により生じた被研磨面の研磨傷及びディッシングをより充分に低減させることができる。
上記研磨液は、二酸化ケイ素の研磨速度に対する窒化ケイ素の研磨速度の比率が0.80~1.20である上記被研磨面の研磨に用いられてよい。すなわち、上記研磨液は、例えば、二酸化ケイ素の研磨速度に対する窒化ケイ素の研磨速度の比率が0.80~1.20となるように構成されていてよい。
上記砥粒は、4価金属元素の水酸化物として、セリウム水酸化物を含んでいてよい。
上記陽イオン性ポリマは、ジアリルジメチルアンモニウム又はその誘導体由来の構造単位を有していてよい。
上記陽イオン性ポリマの含有量は、上記砥粒100質量部に対して、1~2000質量部であってよい。
上記研磨液は、ポリアルキレングリコールを更に含んでいてよい。このポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも一種を含んでいてよい。
上記研磨液のpHは2.0~7.0であってよい。
本発明の他の一側面は、上述した研磨液の構成成分が第1の液と第2の液とに分けて保存され、第1の液が砥粒及び液状媒体を含み、第2の液が陽イオン性ポリマ及び液状媒体を含む、研磨液セットに関する。
本発明の他の一側面は、上述した研磨液、又は、上述した研磨液セットにおける第1の液と第2の液とを混合して得られる研磨液を用いて、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素を含む被研磨面を研磨し、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素を除去する工程を備える、研磨方法に関する。この方法によれば、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素を含む被研磨面における二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素を非選択的に研磨することができ、該被研磨面を高度に平坦化することができる。
上記工程は、STI形成工程であってよい。
上記工程では、二酸化ケイ素の研磨速度に対する窒化ケイ素の研磨速度の比率が0.80~1.20であってよい。
本発明によれば、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素を含む被研磨面の研磨において、二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素を非選択的に研磨することが可能な研磨液、該研磨液を得るための研磨液セット、並びに、該研磨液を用いた研磨方法を提供することができる。また、本発明は、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素を含む被研磨面の非選択的研磨への研磨液の応用を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<定義>
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該複数の物質の合計量を意味する。
<研磨液>
本実施形態に係る研磨液は、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒と、陽イオン性ポリマと、液状媒体と、を含有する。この研磨液は、CMPに用いられる研磨液(CMP研磨液)であり、二酸化ケイ素(二酸化ケイ素からなる被研磨部)及び窒化ケイ素(窒化ケイ素からなる被研磨部)を含む被研磨面(露出面)を研磨して二酸化ケイ素及び窒化ケイ素を除去するために用いられる研磨液である。
本実施形態に係る研磨液によれば、二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素を非選択的に研磨し除去することができる。すなわち、本実施形態に係る研磨液は、二酸化ケイ素の研磨速度(二酸化ケイ素からなる被研磨部の研磨速度)Rに対する窒化ケイ素の研磨速度(窒化ケイ素からなる被研磨部の研磨速度)Rの比率(R/R)が、例えば、0.80~1.20となるように構成されている。上記比率(R/R)は、0.80以上が好ましく、0.85以上がより好ましく、0.90以上が更に好ましく、0.95以上が特に好ましく、1.00以上が極めて好ましい。また、上記比率(R/R)は、1.20以下が好ましく、1.20未満がより好ましく、1.15以下が更に好ましく、1.10以下が特に好ましく、1.05以下が極めて好ましい。上記観点から、上記比率(R/R)は、0.80~1.20が好ましく、0.80以上1.20未満がより好ましく、1.00以上1.20未満が更に好ましい。
上記効果が発現される理由は必ずしも明らかではないが、本発明者らは、以下のように推察している。すなわち、上記特許文献2に記載されているように、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒は、化学的作用によって除去対象材料である二酸化ケイ素を研磨する。この際、従来の研磨液では、4価金属元素の水酸化物の二酸化ケイ素との反応性が高いため、二酸化ケイ素の研磨速度が窒化ケイ素の研磨速度に対して過剰に高くなる。一方、本実施形態の研磨液では、研磨液に含有されている陽イオン性ポリマが研磨液中で正電荷を帯びるため、負に帯電している二酸化ケイ素の表面に静電引力によって吸着し、二酸化ケイ素(二酸化ケイ素からなる被研磨部)の表面に保護層を形成する。この保護層によって砥粒と二酸化ケイ素との化学的作用が阻害されるため、二酸化ケイ素の研磨速度が抑制されると推察される。また、窒化ケイ素の表面は、二酸化ケイ素の表面に比べ、負に帯電していないため、二酸化ケイ素の表面よりも陽イオン性ポリマの吸着量が少なく、窒化ケイ素の研磨速度は抑制され難い。そのため、二酸化ケイ素の研磨速度が選択的に抑制されると推察される。以上の理由から、本実施形態に係る研磨液によれば、二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素を非選択的に研磨することができると推察される。
(砥粒)
砥粒は、4価金属元素の水酸化物を含む。本明細書において、「4価金属元素の水酸化物」とは、4価の金属イオン(M4+)と、少なくとも1つの水酸化物イオン(OH)とを含む化合物である。4価金属元素の水酸化物は、水酸化物イオン以外の陰イオン(例えば、硝酸イオンNO 及び硫酸イオンSO 2-)を含んでいてもよい。例えば、4価金属元素の水酸化物は、4価金属元素に結合した陰イオン(例えば、硝酸イオンNO 及び硫酸イオンSO 2-)を含んでいてもよい。
4価金属元素の水酸化物を含む砥粒は、シリカ、セリア等からなる砥粒と比較して、絶縁材料である二酸化ケイ素との反応性が高く、二酸化ケイ素を高い研磨速度で研磨することができる。砥粒は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。4価金属元素の水酸化物を含む砥粒以外の他の砥粒としては、例えば、シリカ、アルミナ、セリア等を含む砥粒が挙げられる。また、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒として、4価金属元素の水酸化物とシリカとを含む複合粒子等を用いることもできる。
4価金属元素の水酸化物は、希土類金属元素の水酸化物及びジルコニウムの水酸化物からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。4価金属元素の水酸化物は、絶縁材料(例えば二酸化ケイ素)の研磨速度が更に向上する観点から、希土類金属元素の水酸化物であることがより好ましい。4価をとり得る希土類金属元素としては、セリウム、プラセオジム、テルビウム等のランタノイドなどが挙げられ、中でも、絶縁材料(例えば二酸化ケイ素)の研磨速度に更に優れる観点から、ランタノイドが好ましく、セリウムがより好ましい。換言すれば、砥粒は、4価金属元素の水酸化物として、セリウム水酸化物を含むことがより好ましい。希土類金属元素の水酸化物とジルコニウムの水酸化物とを併用してもよく、希土類金属元素の水酸化物から二種以上を選択して使用することもできる。
4価金属元素の水酸化物を含む砥粒において、4価金属元素の水酸化物の含有量の下限は、砥粒全体(研磨液に含まれる砥粒全体)を基準として、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、98質量%以上が特に好ましく、99質量%以上が極めて好ましい。研磨液の調製が容易であると共に研磨特性にも更に優れる観点から、砥粒が実質的に4価金属元素の水酸化物からなる(実質的に砥粒の100質量%が4価金属元素の水酸化物の粒子である)ことが最も好ましい。特に、セリウム水酸化物の含有量が上記範囲であることが好ましい。
砥粒の平均粒径は、窒化ケイ素の研磨速度を向上させる観点から、1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましく、3nm以上が更に好ましく、5nm以上が特に好ましく、10nm以上が極めて好ましく、20nm以上がより一層好ましい。砥粒の平均粒径は、被研磨面に傷がつくことを更に抑制する観点から、300nm以下が好ましく、250nm以下がより好ましく、200nm以下が更に好ましく、100nm以下が特に好ましく、50nm以下が極めて好ましく、30nm以下が非常に好ましい。これらの観点から、砥粒の平均粒径は、1~300nmであることがより好ましく、3~100nmであることが更に好ましい。
砥粒の「平均粒径」とは、砥粒の平均二次粒径を意味する。砥粒の平均粒径は、光回折散乱式粒度分布計(例えば、ベックマン・コールター株式会社製、商品名:N5、又はマルバーンインスツルメンツ社製、商品名:ゼータサイザー3000HSA)を用いて測定することができる。ベックマン・コールター株式会社製、商品名:N5を用いた測定方法は、具体的には例えば、砥粒の含有量を1質量%に調整した水分散液を調製し、この水分散液を1cm角のセルに約80mL(Lは「リットル」を示す。以下同じ)入れ、装置内にセルを設置する。分散媒の屈折率を1.333、分散媒の粘度を0.887mPa・sに設定し、25℃において測定を行うことで得られるUnimodal Size Meanとして表示される値を砥粒の平均粒径として採用できる。
研磨液における平均粒径を上記の範囲とする観点から、使用する砥粒の平均粒径は、砥粒を含む水分散液中において、300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、150nm以下が更に好ましく、100nm以下が特に好ましく、80nm以下が極めて好ましく、60nm以下が非常に好ましく、40nm以下がより一層好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm以下が更に好ましい。同様の観点から、使用する砥粒の平均粒径の下限は、砥粒を含む水分散液中において、1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましく、3nm以上が更に好ましく、5nm以上が特に好ましい。これらの観点から、使用する砥粒の平均粒径は、砥粒を含む水分散液中において、1~300nmが好ましい。
砥粒が4価金属元素の水酸化物を含む場合、下記光透過率又は吸光度を満たすことが好ましい。
本実施形態に係る研磨液は、可視光に対する透明度が高い(目視で透明又は透明に近い)ことが好ましい。具体的には、本実施形態に係る研磨液に含まれる砥粒は、該砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液において波長500nmの光に対して光透過率50%/cm以上を与えるものであることが好ましい。これにより、添加剤の添加に起因する除去対象材料(例えば二酸化ケイ素、窒化ケイ素)の研磨速度の低下を更に抑制できるため、研磨速度を維持しつつ他の特性を得ることが容易である。同様の観点から、上記光透過率の下限は、60%/cm以上がより好ましく、70%/cm以上が更に好ましく、80%/cm以上が特に好ましく、90%/cm以上が極めて好ましく、92%/cm以上が非常に好ましい。光透過率の上限は100%/cmである。
このように砥粒の光透過率を調整することで除去対象材料(例えば二酸化ケイ素、窒化ケイ素)の研磨速度の低下を抑制することが可能な理由は詳しくは分かっていないが、4価金属元素(例えばセリウム)の水酸化物を含む砥粒が有する砥粒としての作用は、機械的作用よりも化学的作用の方が優勢であると考えられる。そのため、砥粒の大きさよりも砥粒の数の方が、より研磨速度に寄与すると考えられる。
砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液において光透過率が低い場合、その水分散液に存在する砥粒は、粒径の大きい粒子(以下「粗大粒子」という)が相対的に多く存在すると考えられる。このような砥粒を含む研磨液に添加剤を添加すると、粗大粒子を核として他の粒子が凝集する。その結果として、単位面積当たりの被研磨面に作用する砥粒数(有効砥粒数)が減少し、被研磨面に接する砥粒の比表面積が減少するため、研磨速度が低下すると考えられる。
一方、砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液において光透過率が高い場合、その水分散液に存在する砥粒は、上記「粗大粒子」が少ない状態であると考えられる。このように粗大粒子の存在量が少ない場合は、研磨液に添加剤を添加しても、凝集の核になるような粗大粒子が少ないため、砥粒同士の凝集が抑えられるか、又は、凝集粒子の大きさが相対的に小さい。その結果として、単位面積当たりの被研磨面に作用する砥粒数(有効砥粒数)が維持され、被研磨面に接する砥粒の比表面積が維持されるため、研磨速度が低下し難いと考えられる。
一般的な粒径測定装置において測定される砥粒の粒径が同じ研磨液であっても、目視で透明である(光透過率の高い)もの、及び、目視で濁っている(光透過率の低い)ものがあり得ることが過去の検討からわかっている。これにより、上記のような作用を起こし得る粗大粒子は、一般的な粒径測定装置で検知できないほどのごくわずかの量であっても研磨速度の低下に寄与すると考えられる。
上記光透過率は、波長500nmの光に対する透過率である。上記光透過率は、分光光度計で測定されるものであり、具体的には例えば、株式会社日立製作所製の分光光度計U3310(装置名)で測定される。
より具体的な測定方法としては、砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液を測定サンプルとして調製する。この測定サンプルを1cm×1cmのセルに約4mL入れ、装置内にセルをセットし測定を行う。
4価金属元素の水酸化物を含む砥粒が、該砥粒の含有量を1.0質量%に調整した水分散液において波長400nmの光に対して吸光度1.00以上を与えるものであることにより、除去対象材料(例えば二酸化ケイ素、窒化ケイ素)の研磨速度を更に向上させることができる。この理由は必ずしも明らかではないが、4価金属元素の水酸化物の製造条件等に応じて、1個の4価の金属イオン(M4+)に対して、1~3個の水酸化物イオン(OH)及び1~3個の陰イオン(Xc-)を有する、組成式がM(OH)(式中、a+b×c=4である)で表される粒子が砥粒の一部として生成すると考えられる(なお、このような粒子も「4価金属元素の水酸化物を含む砥粒」である)。M(OH)では、電子吸引性の陰イオン(Xc-)が作用して水酸化物イオンの反応性が向上しており、M(OH)の存在量が増加するに伴い研磨速度が向上すると考えられる。そして、組成式がM(OH)で表される粒子が波長400nmの光を吸光するため、M(OH)の存在量が増加して波長400nmの光に対する吸光度が高くなるに伴い、研磨速度が向上すると考えられる。
4価金属元素の水酸化物を含む砥粒は、組成式がM(OH)で表される粒子だけでなく、組成式がM(OH)、MO等で表される粒子も含み得ると考えられる。陰イオン(Xc-)としては、NO 、SO 2-等が挙げられる。
なお、砥粒が組成式M(OH)を有することは、砥粒を純水でよく洗浄した後にFT-IR ATR法(Fourier Transform Infra Red Spectrometer Attenuated Total Reflection法(フーリエ変換赤外分光光度計全反射測定法))を用いて陰イオン(Xc-)に該当するピークを検出する方法により確認できる。XPS法(X-ray Photoelectron Spectroscopy(X線光電子分光法))により、陰イオン(Xc-)の存在を確認することもできる。また、X線吸収微細構造(XAFS)測定から、EXAFS解析をすることによって、Mと陰イオン(Xc-)の結合の有無を確認することもできる。
ここで、M(OH)(例えばM(OH)X)の波長400nmの吸収ピークは、後述する波長290nmの吸収ピークよりもはるかに小さいことが確認されている。これに対し、砥粒の含有量が比較的多く、吸光度が大きく検出されやすい砥粒含有量1.0質量%の水分散液において波長400nmの光に対する吸光度1.00以上を与える砥粒を用いる場合除去対象材料(例えば二酸化ケイ素、窒化ケイ素)の研磨速度の向上効果に優れる。
波長400nmの光に対する吸光度の下限は、除去対象材料(例えば二酸化ケイ素、窒化ケイ素)の更に優れた研磨速度が得られる観点から、1.00以上が好ましく、1.20以上がより好ましく、1.40以上が更に好ましく、1.50以上が特に好ましく、1.80以上が極めて好ましく、2.00以上が非常に好ましい。
4価金属元素の水酸化物を含む砥粒が、該砥粒の含有量を0.0065質量%に調整した水分散液において波長290nmの光に対して吸光度1.000以上を与えるものであることにより除去対象材料(例えば二酸化ケイ素、窒化ケイ素)の研磨速度を更に向上させることができる。この理由は必ずしも明らかではないが、4価金属元素の水酸化物の製造条件等に応じて生成する、組成式がM(OH)(例えばM(OH)X)で表される粒子は、計算上、波長290nm付近に吸収のピークを有し、例えばCe4+(OHNO からなる粒子は波長290nmに吸収のピークを有する。そのため、M(OH)の存在量が増加して波長290nmの光に対する吸光度が高くなるに伴い研磨速度が向上すると考えられる。
ここで、波長290nm付近の光に対する吸光度は、測定限界を超えるほど大きく検出される傾向がある。これに対し、砥粒の含有量が比較的少なく、吸光度が小さく検出されやすい砥粒含有量0.0065質量%の水分散液において波長290nmの光に対する吸光度1.000以上を与える砥粒を用いる場合、除去対象材料(例えば二酸化ケイ素、窒化ケイ素)の研磨速度の向上効果に優れる。
波長290nmの光に対する吸光度の下限は、更に優れた研磨速度で除去対象材料(例えば二酸化ケイ素、窒化ケイ素)を研磨する観点から、1.000以上が好ましく、1.050以上がより好ましく、1.100以上が更に好ましく、1.150以上が特に好ましく、1.190以上が極めて好ましい。波長290nmの光に対する吸光度の上限は、特に制限はないが、例えば10.000以下が好ましい。
波長400nmの光に対する吸光度1.00以上を与える上記砥粒が、砥粒の含有量を0.0065質量%に調整した水分散液において波長290nmの光に対して吸光度1.000以上を与える場合には、更に優れた研磨速度で除去対象材料(例えば二酸化ケイ素、窒化ケイ素)を研磨できる。
4価金属元素の水酸化物(例えばM(OH)aXb)は、波長450nm以上、特に波長450~600nmの光を吸光しない傾向がある。従って、不純物を含むことにより研磨に対して悪影響が生じることを抑制して更に優れた研磨速度で除去対象材料(例えば二酸化ケイ素、窒化ケイ素)を研磨する観点から、砥粒は、該砥粒の含有量を0.0065質量%(65ppm)に調整した水分散液において波長450~600nmの光に対して吸光度0.010以下を与えるものであることが好ましい。すなわち、砥粒の含有量を0.0065質量%に調整した水分散液において波長450~600nmの範囲における全ての光に対する吸光度が0.010を超えないことが好ましい。波長450~600nmの光に対する吸光度の下限は、0が好ましい。
水分散液における吸光度は、例えば、株式会社日立製作所製の分光光度計(装置名:U3310)を用いて測定できる。具体的には例えば、砥粒の含有量を1.0質量%又は0.0065質量%に調整した水分散液を測定サンプルとして調製する。この測定サンプルを1cm角のセルに約4mL入れ、装置内にセルを設置する。次に、波長200~600nmの範囲で吸光度測定を行い、得られたチャートから吸光度を判断する。
研磨液に含まれる砥粒が水分散液において与える吸光度及び光透過率は、砥粒以外の固体成分、及び、水以外の液体成分を研磨液から除去した後、所定の砥粒含有量の水分散液を調製し、該水分散液を用いて測定できる。固体成分又は液体成分の除去には、研磨液に含まれる成分によっても異なるが、数千G以下の重力加速度をかけられる遠心機を用いた遠心分離、数万G以上の重力加速度をかけられる超遠心機を用いた超遠心分離等の遠心分離法;分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法;自然ろ過、減圧ろ過、加圧ろ過、限外ろ過等のろ過法;減圧蒸留、常圧蒸留等の蒸留法などを用いることができ、これらを適宜組み合わせてもよい。
例えば、重量平均分子量が数万以上(例えば5万以上)の化合物を研磨液が含む場合の方法としては、クロマトグラフィー法、ろ過法等が挙げられ、ゲル浸透クロマトグラフィー、限外ろ過が好ましい。ろ過法を用いる場合、研磨液に含まれる砥粒は、適切な条件の設定により、フィルタを通過させることができる。重量平均分子量が数万以下(例えば5万未満)の化合物を研磨液が含む場合の方法としては、クロマトグラフィー法、ろ過法、蒸留法等が挙げられ、ゲル浸透クロマトグラフィー、限外ろ過、減圧蒸留が好ましい。4価金属元素の水酸化物を含む砥粒以外の砥粒が研磨液に含まれる場合の方法としては、ろ過法、遠心分離法等が挙げられ、ろ過の場合はろ液に、遠心分離の場合は液相に、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒がより多く含まれる。
クロマトグラフィー法で砥粒を分離する方法としては、例えば、下記条件によって砥粒及び/又は他成分を分取できる。
試料溶液:研磨液100μL
検出器:株式会社日立製作所製、UV-VISディテクター、商品名:L-4200、波長:400nm
インテグレーター:株式会社日立製作所製、GPCインテグレーター、商品名:D-2500
ポンプ:株式会社日立製作所製、商品名:L-7100
カラム:日立化成株式会社製、水系HPLC用充填カラム、商品名:GL-W550S
溶離液:脱イオン水
測定温度:23℃
流速:1mL/min(圧力:40~50kgf/cm(3.9~4.9MPa)程度)
測定時間:60min
なお、クロマトグラフィーを行う前に、脱気装置を用いて溶離液の脱気処理を行うことが好ましい。脱気装置を使用できない場合は、溶離液を事前に超音波等で脱気処理することが好ましい。
研磨液に含まれる成分によっては、上記条件でも砥粒を分取できない可能性があるが、その場合、試料溶液量、カラム種類、溶離液種類、測定温度、流速等を最適化することで砥粒を分離できる。また、研磨液のpHを調整することで、研磨液に含まれる成分の留出時間を調整することにより、該成分を砥粒と分離できる可能性がある。研磨液に不溶成分がある場合、必要に応じ、ろ過、遠心分離等で不溶成分を除去することが好ましい。
(添加剤)
本実施形態に係る研磨液は、添加剤を含有する。ここで、「添加液」とは、砥粒及び液状媒体以外に研磨液が含有する物質を指す。添加剤を用いることにより、例えば、研磨速度、研磨選択性等の研磨特性;砥粒の分散性、保存安定性等の研磨液特性などを調整することができる。
[陽イオン性ポリマ]
本実施形態に係る研磨液は、添加剤として、陽イオン性ポリマを含有する。陽イオン性ポリマは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。ここで、陽イオン性ポリマとは、陽イオン基、又は、陽イオン基にイオン化され得る基を主鎖又は側鎖に有するポリマである。陽イオン基、又は、陽イオン基にイオン化され得る基としては、アミノ基、イミノ基、シアノ基等が挙げられる。
陽イオン性ポリマは、二酸化ケイ素の研磨速度を抑制し、二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素をより非選択的に研磨する観点から、ジアリルジメチルアンモニウム又はその誘導体(第四級アンモニウム)由来の構造単位を有することが好ましい。すなわち、陽イオン性ポリマは、ジアリルジメチルアンモニウム由来の構造単位及びジアリルジメチルアンモニウム誘導体由来の構造単位のうちの少なくとも一方を有することが好ましい。ジアリルジメチルアンモニウム誘導体としては、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムのハロゲン化物(ジアリルジメチルアンモニウム塩)が挙げられる。具体的には、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物、ジアリルジメチルアンモニウムブロミド、ジアリルジメチルアンモニウムブロマイド、臭化ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルジメチルアンモニウム臭化物、ジアリルジメチルアンモニウムヨード、ジアリルジメチルアンモニウムヨーダイド、沃化ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルジメチルアンモニウム沃化物等が好ましく用いられる。
このような陽イオン性ポリマは、ジアリルジメチルアンモニウム及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも一種を含む単量体成分を重合させることにより得ることができる。
陽イオン性ポリマは、ジアリルジメチルアンモニウムの単独重合体(ジアリルジメチルアンモニウム由来の構造単位のみからなるポリマ、ポリジアリルジメチルアンモニウム)であってよく、一種のジアリルジメチルアンモニウム誘導体の単独重合体(ジアリルジメチルアンモニウム誘導体由来の構造単位のみからなるポリマ、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム誘導体))であってよく、ジアリルジメチルアンモニウム及びその誘導体、又は、複数種のジアリルジメチルアンモニウム誘導体の共重合体(ジアリルジメチルアンモニウム由来の構造単位及びジアリルジメチルアンモニウム誘導体由来の構造単位、又は、複数種のジアリルジメチルアンモニウム誘導体由来の構造単位を含む共重合体)であってもよい。
陽イオン性ポリマにおけるジアリルジメチルアンモニウム及びその誘導体由来の構造単位の割合は、二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素をより非選択的に研磨する観点から、陽イオン性ポリマを構成する全構造単位に対し、10mol%以上、20mol%以上、又は5mol%以上であってよい。
共重合体において構造単位の配列は任意である。共重合体としては、例えば、(a)それぞれ同種の構造単位が連続したブロック共重合体、(b)構造単位A及び構造単位Bが特に秩序なく配列したランダム共重合体、(c)構造単位A及び構造単位Bが交互に配列した交互共重合体等が挙げられる。
陽イオン性ポリマは、ジアリルジメチルアンモニウム又はその誘導体由来の構造単位に加えて、ジアリルジメチルアンモニウム又はその誘導体以外の単量体由来の構造単位を有していてもよい。陽イオン性ポリマは、例えば、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、マレイン酸、二酸化硫黄等に由来する構造単位を有していてもよい。このような陽イオン性ポリマとしては、例えば、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・ジメチルアクリルアミド共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・ジエチルアクリルアミド共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・ヒドロキシエチルアクリルアミド共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリル酸共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリル酸メチル共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・メタクリル酸共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・マレイン酸共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・二酸化硫黄共重合体等が好ましく用いられる。
陽イオン性ポリマの重量平均分子量は、窒化ケイ素に対する二酸化ケイ素の研磨選択性を低下させる観点から、100以上が好ましく、300以上がより好ましく、500以上が更に好ましく、1000以上が特に好ましく、10000以上が極めて好ましく、100000以上が非常に好ましい。陽イオン性ポリマの重量平均分子量は、窒化ケイ素の研磨速度が抑制される観点から、1000000以下が好ましく、600000以下がより好ましく、500000以下が更に好ましい。上記観点から、陽イオン性ポリマの重量平均分子量は、100~1000000であることがより好ましい。
なお、陽イオン性ポリマの重量平均分子量は、例えば、標準ポリスチレンの検量線を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により下記の条件で測定することができる。
使用機器:日立L-6000型[株式会社日立製作所製]
カラム:ゲルパックGL-R420+ゲルパックGL-R430+ゲルパックGL-R440[日立化成株式会社製 商品名、計3本]
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:1.75mL/分
検出器:L-3300RI[株式会社日立製作所製]
陽イオン性ポリマの含有量は、窒化ケイ素に対する二酸化ケイ素の研磨選択性を低下させる観点から、砥粒100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.1質量部以上が更に好ましく、1質量部以上が特に好ましく、2質量部以上が極めて好ましい。陽イオン性ポリマの含有量は、窒化ケイ素の研磨速度が抑制される観点から、砥粒100質量部に対して、10000質量部以下が好ましく、7500質量部以下がより好ましく、5000質量部以下が更に好ましく、2000質量部以下が特に好ましく、1000質量部以下が極めて好ましく、500質量部以下が非常に好ましく、200質量部以下がより一層好ましい。上記観点から、陽イオン性ポリマの含有量は、砥粒100質量部に対して、0.01~10000質量部であることが好ましい。なお、陽イオン性ポリマとして複数の化合物を用いる場合、各化合物の含有量の合計が上記範囲を満たしていることが好ましい。陽イオン性ポリマの含有量は、二酸化ケイ素の研磨速度、窒化ケイ素に対する二酸化ケイ素の研磨選択性を低下させる観点から、二酸化ケイ素及び二酸化ケイ素の作製方法(例えば、種類及び膜付け条件)に応じて適宜調整することが好ましい。
陽イオン性ポリマの含有量は、窒化ケイ素に対する二酸化ケイ素の研磨選択性を低下させる観点から、研磨液の全質量を基準として、0.0001質量%以上が好ましく、0.0002質量%以上がより好ましく、0.0005質量%以上が更に好ましく、0.001質量%以上が特に好ましく、0.002質量%以上が極めて好ましい。陽イオン性ポリマの含有量は、窒化ケイ素の研磨速度が抑制される観点から、研磨液の全質量を基準として、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以下が特に好ましく、0.1質量%以下が極めて好ましく、0.05質量%以下が非常に好ましく、0.03質量%以下がより一層好ましい。上記観点から、陽イオン性ポリマの含有量は、研磨液の全質量を基準として0.0001~5質量%であることが好ましい。なお、陽イオン性ポリマとして複数の化合物を用いる場合、各化合物の含有量の合計が上記範囲を満たしていることが好ましい。陽イオン性ポリマの含有量は、二酸化ケイ素の研磨速度、窒化ケイ素に対する二酸化ケイ素の研磨選択性を低下させる観点から、二酸化ケイ素及び二酸化ケイ素の作製方法(例えば、種類及び膜付け条件)に応じて適宜調整することが好ましい。
[ポリアルキレングリコール]
本実施形態に係る研磨液は、ポリアルキレングリコールを含有してもよい。ポリアルキレングリコールは、陽イオン性ポリマ(特にジアリルジメチルアンモニウム又はその誘導体由来の構造単位を有するポリマ)を含む研磨液において、窒化ケイ素の研磨速度を向上することができる。このような効果が発現される理由は必ずしも明らかではないが、本発明者らは、以下のように推察している。窒化ケイ素の表面は二酸化ケイ素の表面に比べより疎水性を示すため、ポリアルキレングリコールが選択的に被覆し、窒化ケイ素の表面への陽イオン性ポリマの被覆を妨げる。すなわち、ポリアルキレングリコールは窒化ケイ素の表面に陽イオン性ポリマの保護層の形成を妨げる効果があり、窒化ケイ素の研磨速度を向上することができる。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等が挙げられる。中でも、ポリアルキレングリコールとしては、窒化ケイ素に対する二酸化ケイ素の研磨選択性を更に低下させつつ、被研磨面における砥粒残り及び研磨傷の発生が抑制される観点から、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、ポリエチレングリコールがより好ましい。
ポリアルキレングリコールは、窒化ケイ素に対する二酸化ケイ素の研磨選択性を更に低下させる目的で、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリアルキレングリコールの重量平均分子量は、作業性及び起泡性に優れる観点から、500×10以下が好ましく、200×10以下がより好ましく、100×10以下が更に好ましく、80×10以下が特に好ましく、60×10以下が極めて好ましく、10×10以下が非常に好ましく、5000以下がより一層好ましい。ポリアルキレングリコールの重量平均分子量の下限は、窒化ケイ素に対する二酸化ケイ素の研磨選択性を更に低下させる観点から、200以上が好ましく、300以上がより好ましく、400以上が更に好ましく、500以上が特に好ましく、600以上が極めて好ましい。上記観点から、ポリアルキレングリコールの重量平均分子量は、200~500×10がより好ましい。
なお、重量平均分子量は、例えば、標準ポリスチレンの検量線を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により下記の条件で測定することができる。
使用機器:日立L-6000型〔株式会社日立製作所製〕
カラム:ゲルパックGL-R420+ゲルパックGL-R430+ゲルパックGL-R440〔日立化成株式会社製 商品名、計3本〕
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:1.75mL/分
検出器:L-3300RI〔株式会社日立製作所製〕
ポリアルキレングリコールの含有量は、窒化ケイ素に対する二酸化ケイ素の研磨選択性を更に低下させつつ、被研磨面における砥粒残り及び研磨傷の発生が抑制される観点から、砥粒100質量部に対して、100質量部以上が好ましく、200質量部以上がより好ましく、500質量部以上が更に好ましく、750質量部以上が特に好ましく、1000質量部以上が極めて好ましい。ポリアルキレングリコールの含有量は、窒化ケイ素の適度な研磨速度を得る観点から、砥粒100質量部に対して、20000質量部以下が好ましく、15000質量部以下がより好ましく、10000質量部以下が更に好ましい。上記観点から、ポリアルキレングリコールの含有量は、研磨液の全質量を基準として100~20000質量部がより好ましい。なお、ポリアルキレングリコールとして複数の化合物を用いる場合、各化合物の含有量の合計が上記範囲を満たしていることが好ましい。
ポリアルキレングリコールの含有量は、窒化ケイ素に対する二酸化ケイ素の研磨選択性を更に低下させつつ、被研磨面における砥粒残り及び研磨傷の発生が抑制される観点から、研磨液の全質量を基準として、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が更に好ましく、0.4質量%以上が特に好ましく、0.5質量%以上が極めて好ましい。ポリアルキレングリコールの含有量は、窒化ケイ素の適度な研磨速度を得る観点から、研磨液の全質量を基準として、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。上記観点から、ポリアルキレングリコールの含有量は、研磨液の全質量を基準として0.05~5質量%がより好ましい。なお、ポリアルキレングリコールとして複数の化合物を用いる場合、各化合物の含有量の合計が上記範囲を満たしていることが好ましい。
[その他の添加剤]
本実施形態に係る研磨液は、研磨特性を調整する等の目的で、任意の添加剤(ポリアルキレングリコール、陽イオン性ポリマに該当する化合物を除く)を更に含有していてもよい。任意の添加剤としては、pH安定化剤、酸化剤(例えば過酸化水素)等が挙げられる。pH安定化剤としては、カルボン酸、複素環アミン、アミノ酸等が挙げられる。これらの添加剤のそれぞれは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
カルボン酸は、pHを安定化させ、二酸化ケイ素の研磨速度を抑制する効果がある。カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸等が挙げられる。
複素環アミンは、pHを安定化させ、砥粒(例えば、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒)の分散性を向上させる効果がある。複素環アミンとしては、ピリミジン、キノリン、イソキノリン、ピラジン、ピリジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、インドール、チアゾール、ピリダジン、トリアゾール、テトラゾール等が挙げられる。
アミノ酸は、pHを安定化させ、砥粒(例えば、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒)の分散性を向上させ、窒化ケイ素の研磨速度を向上させる効果がある。アミノ酸としては、アルギニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、プロリン、チロシン、トリプトファン、セリン、トレオニン、グリシン、アラニン、β-アラニン、メチオニン、システイン、フェニルアラニン、ロイシン、バリン、イソロイシン等が挙げられる。
カルボン酸、複素環アミン、アミノ酸又は酸化剤を使用する場合、その含有量は、砥粒の沈降を抑制しつつ添加剤の添加効果が得られる観点から、研磨液の全質量を基準として0.0001~10質量%が好ましい。なお、これらの各添加剤として複数の化合物を用いる場合、各化合物の含有量の合計が上記範囲を満たしていることが好ましい。
(液状媒体)
本実施形態に係る研磨液は、液状媒体を含有する。液状媒体としては、水を用いることができる。水としては、脱イオン水、超純水等が挙げられる。液状媒体の含有量は、他の構成成分の含有量を除いた研磨液の残部でよい。
(pH)
本実施形態に係る研磨液のpHは、二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素を非選択的に研磨しやすい観点から、2.0以上が好ましく、2.5以上がより好ましく、3.0以上が更に好ましく、3.5以上が特に好ましく、4.0以上が極めて好ましく、4.5以上が非常に好ましく、5.0以上がより一層好ましい。研磨液のpHは、二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素を非選択的に研磨しやすい観点から、7.0以下が好ましく、6.5以下がより好ましく、6.0以下が更に好ましく、5.5以下が特に好ましい。上記観点から、研磨液のpHは、2.0~7.0であることが好ましく、3.0~6.0であることがより好ましい。研磨液のpHは、液温25℃におけるpHと定義する。
研磨液のpHは、pH調整剤等を用いて所望の範囲に調整することができる。また、研磨液のpHを安定化させるために上述したようなpH安定化剤を用いてもよい。例えば、無機酸、有機酸等の酸成分;アンモニア、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、イミダゾール、アルカノールアミン等のアルカリ成分などによって研磨液のpHを調整できる。また、pHを安定化させるため、緩衝剤を添加してもよい。また、緩衝液(緩衝剤を含む液)として緩衝剤を添加してもよい。このような緩衝液としては、酢酸塩緩衝液、フタル酸塩緩衝液等が挙げられる。
本実施形態に係る研磨液のpHは、pHメータ(例えば、株式会社堀場製作所(HORIBA,Ltd.)製Model D-51)で測定することができる。具体的には例えば、フタル酸塩pH緩衝液(pH:4.01)、中性リン酸塩pH緩衝液(pH:6.86)及びホウ酸塩pH緩衝液(pH:9.18)を標準緩衝液として用いてpHメータを3点校正した後、pHメータの電極を研磨液に入れて、3分間以上経過して安定した後の値を測定する。標準緩衝液及び研磨液の液温は、共に25℃とする。
本実施形態に係る研磨液は、4価金属元素の水酸化物を含む砥粒と、陽イオン性ポリマと、液状媒体と、を少なくとも含む一液式研磨液として保存してもよく、スラリ(第1の液)と添加液(第2の液)とを混合して上記研磨液となるように上記研磨液の構成成分をスラリと添加液とに分けた複数液式(例えば二液式)の研磨液セットとして保存してもよい。スラリは、例えば、砥粒と、液状媒体とを少なくとも含む。添加液は、例えば、陽イオン性ポリマと、液状媒体とを少なくとも含む。ポリアルキレングリコール、陽イオン性ポリマ、任意の添加剤、及び、緩衝剤は、スラリ及び添加液のうち添加液に含まれることが好ましい。なお、上記研磨液の構成成分は、三液以上に分けた研磨液セットとして保存してもよい。
上記研磨液セットにおいては、研磨直前又は研磨時に、スラリ及び添加液が混合されて研磨液が作製される。また、一液式研磨液は、液状媒体の含有量を減じた研磨液用貯蔵液として保存されると共に、研磨時に液状媒体で希釈して用いられてもよい。複数液式の研磨液セットは、液状媒体の含有量を減じたスラリ用貯蔵液及び添加液用貯蔵液として保存されると共に、研磨時に液状媒体で希釈して用いられてもよい。
<研磨方法>
本実施形態に係る研磨方法は、本実施形態に係る研磨液を用いて、二酸化ケイ素(二酸化ケイ素からなる被研磨部)及び窒化ケイ素(窒化ケイ素からなる被研磨部)を含む被研磨面を研磨し、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素を除去する工程を備える。この研磨工程では、二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素が非選択的に研磨されるため、二酸化ケイ素と窒化ケイ素とが実質的に同時に除去される。そのため、この研磨工程によれば、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素を含む被研磨面を高度に平坦化することができる。研磨工程において用いる研磨液としては、上記一液式研磨液であってもよく、上記研磨液セットにおけるスラリと添加液とを混合して得られる研磨液であってもよい。上記研磨工程は、例えば、二酸化ケイ素を窒化ケイ素に対して選択的に研磨する工程の後に行われる、仕上げ研磨工程(例えばバフ研磨工程)であってよい。また、上記工程は、STI形成工程におけるCMP研磨工程(特に仕上げ研磨工程)として実施されてよい。
研磨工程では、例えば、基体の被研磨面を研磨定盤の研磨パッド(研磨布)に押圧した状態で、上記研磨液を被研磨面と研磨パッドとの間に供給し、基体と研磨定盤とを相対的に動かして被研磨面を研磨する。研磨工程では、例えば、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素の一部を研磨により除去する。
研磨対象である基体としては、被研磨基板等が挙げられる。被研磨基板としては、例えば、半導体製造に係る基板(例えば、STIパターン、ゲートパターン、配線パターン等が形成された半導体基板)上に被研磨材料が形成された基体が挙げられる。被研磨基板の被研磨部を構成する材料としては、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素が挙げられる。被研磨部は、膜状(被研磨膜)であってよく、例えば、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜等であってよい。
本実施形態に係る研磨方法において、研磨装置としては、被研磨面を有する基体を保持可能なホルダーと、研磨パッドを貼り付け可能な研磨定盤とを有する一般的な研磨装置を使用できる。ホルダー及び研磨定盤のそれぞれには、回転数が変更可能なモータ等が取り付けてあってもよい。研磨装置としては、例えば、APPLIED MATERIALS社製の研磨装置:Reflexionを使用できる。
研磨パッドとしては、一般的な不織布、発泡体、非発泡体等が使用できる。研磨パッドの材質としては、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリエステル、アクリル-エステル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ4-メチルペンテン、セルロース、セルロースエステル、ポリアミド(例えば、ナイロン(商標名)及びアラミド)、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリシロキサン共重合体、オキシラン化合物、フェノール樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、エポキシ樹脂等の樹脂が使用できる。
二酸化ケイ素の研磨速度Rに対する窒化ケイ素の研磨速度Rの比率(R/R)は、0.80以上が好ましく、0.85以上がより好ましく、0.90以上が更に好ましく、0.95以上が特に好ましく、1.00以上が極めて好ましい。二酸化ケイ素の研磨速度に対する窒化ケイ素の研磨速度の比率は、1.20以下が好ましく、1.20未満がより好ましく、1.15以下が更に好ましく、1.10以下が特に好ましく、1.05以下が極めて好ましい。上記観点から、上記比率は、0.80~1.20が好ましく、0.80以上1.20未満がより好ましく、1.00以上1.20未満が更に好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。但し、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。例えば、研磨液の材料の種類及びその配合比率は、本実施例に記載の種類及び比率以外の種類及び比率でも差し支えなく、研磨対象の組成及び構造も、本実施例に記載の組成及び構造以外の組成及び構造でも差し支えない。
<砥粒の準備>
350gのCe(NH(NO50質量%水溶液(日本化学産業株式会社製、商品名:CAN50液)を7825gの純水と混合して溶液を得た。次いで、この溶液を撹拌しながら、750gのイミダゾール水溶液(10質量%水溶液、1.47mol/L)を5mL/分の混合速度で滴下して、セリウム水酸化物を含む沈殿物を得た。セリウム水酸化物の合成は、温度25℃、撹拌速度400min-1で行った。撹拌は、羽根部全長5cmの3枚羽根ピッチパドルを用いて行った。
得られた沈殿物(セリウム水酸化物を含む沈殿物)を遠心分離(4000min-1、5分間)した後に、デカンテーションで液相を除去することによって固液分離を施した。固液分離により得られた粒子10gと、水990gと、を混合した後、超音波洗浄機を用いて粒子を水に分散させて、セリウム水酸化物を含む砥粒を含有するセリウム水酸化物スラリ(砥粒の含有量:1.0質量%)を調製した。
<平均粒径の測定>
ベックマン・コールター株式会社製、商品名:N5を用いてセリウム水酸化物スラリにおける砥粒(セリウム水酸化物を含む砥粒)の平均粒径を測定したところ、22nmであった。測定方法は下記のとおりである。まず、1.0質量%の砥粒を含む測定サンプル(セリウム水酸化物スラリ、水分散液)を1cm角のセルに約1mL入れ、N5内にセルを設置した。N5ソフトの測定サンプル情報の屈折率を1.333、粘度を0.887mPa・sに設定し、25℃において測定を行い、Unimodal Size Meanとして表示される値を読み取った。
<砥粒の構造分析>
セリウム水酸化物スラリを適量採取し、真空乾燥して砥粒を単離した後に、純水で充分に洗浄して試料を得た。得られた試料について、FT-IR ATR法による測定を行ったところ、水酸化物イオン(OH)に基づくピークの他に、硝酸イオン(NO )に基づくピークが観測された。また、同試料について、窒素に対するXPS(N-XPS)測定を行ったところ、NH に基づくピークは観測されず、硝酸イオンに基づくピークが観測された。これらの結果より、セリウム水酸化物スラリに含まれる砥粒は、セリウム元素に結合した硝酸イオンを有する粒子を少なくとも一部含有することが確認された。また、セリウム元素に結合した水酸化物イオンを有する粒子が砥粒の少なくとも一部に含有されることから、砥粒がセリウム水酸化物を含むことが確認された。これらの結果より、セリウムの水酸化物が、セリウム元素に結合した水酸化物イオンを含むことが確認された。
<吸光度及び光透過率の測定>
セリウム水酸化物スラリを適量採取し、砥粒含有量が0.0065質量%(65ppm)となるように水で希釈して測定サンプル(水分散液)を得た。この測定サンプルを1cm角のセルに約4mL入れ、株式会社日立製作所製の分光光度計(装置名:U3310)内にセルを設置した。波長200~600nmの範囲で吸光度測定を行い、波長290nmの光に対する吸光度と、波長450~600nmの光に対する吸光度とを測定した。波長290nmの光に対する吸光度は1.192であり、波長450~600nmの光に対する吸光度は0.010未満であった。
セリウム水酸化物スラリ(砥粒の含有量:1.0質量%)を1cm角のセルに約4mL入れ、株式会社日立製作所製の分光光度計(装置名:U3310)内にセルを設置した。波長200~600nmの範囲で吸光度測定を行い、波長400nmの光に対する吸光度と、波長500nmの光に対する光透過率とを測定した。波長400nmの光に対する吸光度は2.25であり、波長500nmの光に対する光透過率は92%/cmであった。
<CMP研磨液の調製>
(実施例1)
ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体[添加剤1(陽イオン性ポリマ)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、センカ株式会社製、商品名:ユニセンスFPA1000L、重量平均分子量:10万~50万]0.1質量%、3,5-ジメチルピラゾール[pH安定化剤]0.2質量%及び水99.7質量%を含有する添加剤100gと、水850gと、上記セリウム水酸化物スラリ50gとを混合することにより、セリウム水酸化物を含む砥粒を0.05質量%、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体を0.01質量%、3,5-ジメチルピラゾールを0.02質量%含有するpH5.2のCMP研磨液を調製した。
(実施例2)
陽イオン性ポリマの含有量及びpH安定化剤の含有量を変更したこと以外は実施例1と同様にして、セリウム水酸化物を含む砥粒を0.05質量%、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体を0.007質量%、3,5-ジメチルピラゾールを0.12質量%含有するpH5.8のCMP研磨液を調製した。
(実施例3)
pH安定化剤として酢酸、pH調整剤として1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジンを用い、陽イオン性ポリマの含有量を変更した以外は実施例2と同様にして、セリウム水酸化物を含む砥粒を0.05質量%、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体を0.022質量%、酢酸を0.005質量%、1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジンを0.003質量%含有するpH4.6のCMP研磨液を調製した。
(実施例4)
陽イオン性ポリマとしてジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体[添加剤1(陽イオン性ポリマ)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド)、ニットーボーメディカル株式会社製、商品名:PAS-J-81、重量平均分子量:10万~30万]を用い、pH調整剤の含有量を変更した以外は実施例3と同様にして、セリウム水酸化物を含む砥粒を0.05質量%、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体を0.025質量%、酢酸を0.005質量%、1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジンを0.004質量%含有するpH5.0のCMP研磨液を調製した。
参考例1
ポリアルキレングリコールとしてポリエチレングリコール[添加剤2(ポリアルキレングリコール)、日油株式会社製、商品名:PEG#600、重量平均分子量:600]を用いたこと以外は実施例1と同様にして、セリウム水酸化物を含む砥粒を0.05質量%、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体を0.01質量%、ポリエチレングリコールを0.5質量%、3,5-ジメチルピラゾールを0.02質量%含有するpH5.2のCMP研磨液を調製した。
(比較例1)
3,5-ジメチルピラゾール[pH安定化剤]0.2質量%及び水99.8質量%を含有する添加剤100gと、水850gと、上記セリウム水酸化物スラリ50gとを混合することにより、セリウム水酸化物を含む砥粒を0.05質量%、3,5-ジメチルピラゾールを0.02質量%含有するpH5.2のCMP研磨液を調製した。
(比較例2)
pH安定化剤の含有量を変更したこと以外は比較例1と同様にして、セリウム水酸化物を含む砥粒を0.05質量%、3,5-ジメチルピラゾールを0.12質量%含有するpH5.8のCMP研磨液を調製した。
(比較例3)
ポリアルキレングリコールとしてポリエチレングリコール[添加剤2(ポリアルキレングリコール)、日油株式会社製、商品名:PEG#600、重量平均分子量:600]を用いたこと以外は比較例1と同様にして、セリウム水酸化物を含む砥粒を0.05質量%、ポリエチレングリコールを0.5質量%、3,5-ジメチルピラゾールを0.02質量%含有するpH5.2のCMP研磨液を調製した。
<評価>
(CMP研磨液のpH測定)
CMP研磨液のpHを以下の条件により測定した。結果を表1及び表2に示す。
測定温度:25℃
測定装置:株式会社堀場製作所(HORIBA,Ltd.)製Model D-51
測定方法:標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液、pH:4.01(25℃);中性リン酸塩pH緩衝液、pH:6.86(25℃);ホウ酸塩pH緩衝液、pH:9.18(25℃))を用いて3点校正した後、電極をCMP研磨液に入れて、3分間以上経過して安定した後のpHを上記測定装置により測定した。
(砥粒の粒径測定)
CMP研磨液中の砥粒(セリウム水酸化物を含む砥粒)の平均粒径は下記の条件で評価した。
測定温度:25±5℃
測定装置:ベックマン・コールター株式会社製、商品名:N5
測定方法:CMP研磨液を、砥粒の含有量が1質量%の水分散液となるように調整し、この水分散液を1cm角の測定用セルに約1mL入れ、N5内にセルを設置した。N5ソフト内の測定サンプル情報の屈折率を1.333、粘度を0.887mPa・sに設定し、25℃において測定を行い、Unimodal Size Meanとして表示される値を読み取った。
(研磨速度評価)
得られたCMP研磨液を用いて、下記三種類のブランケット基板を下記研磨条件で研磨した。
[ブランケット基板]
・厚さ10000Åの二酸化ケイ素膜をシリコン基板上に有するブランケット基板。
・厚さ2500Åの窒化ケイ素膜をシリコン基板上に有するブランケット基板。
[CMP研磨条件]
研磨装置:Reflexion(APPLIED MATERIALS社製)
CMP研磨液流量:200mL/分
被研磨基板:上記ブランケット基板
研磨パッド:独立気泡を有する発泡ポリウレタン樹脂(ROHM AND HAAS ELECTRONIC MATERIALS CMP INC.製、型番IK4140H)
研磨圧力:8.75kPa(1.5psi)
被研磨基板と研磨定盤との相対速度:85m/分
研磨時間:ブランケットウエハは、30秒間研磨を行った。
ウエハの洗浄:CMP処理後、超音波を印加しながら水で洗浄を行った後、スピンドライヤで乾燥させた。
[研磨速度及び研磨選択比の算出]
フィルメトリクス株式会社製の光干渉式膜厚測定装置(装置名:F80)を用いて、研磨前後の被研磨膜(二酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜)の膜厚を測定して膜厚の変化量を算出した。65点の膜厚を測定し、膜厚の平均値を用いて膜厚の変化量を算出した。膜厚の変化量と研磨時間とに基づき、下記式により被研磨膜の研磨速度を算出した。結果を表1及び表2に示す。
研磨速度[Å/min]=(研磨前の膜厚[Å]-研磨後の膜厚[Å])/研磨時間[min]
また、二酸化ケイ素の研磨速度Rに対する窒化ケイ素の研磨速度Rの比率(R/R、研磨選択比)を算出した。
実施例、参考例及び比較例について得られた各測定結果を表1及び表2に示す。なお、表中の化合物は下記化合物を示す。
化合物1A:ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体
化合物1B:ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体
化合物2A:ポリエチレングリコール
化合物3A:3,5-ジメチルピラゾール
化合物3B:酢酸
化合物4A:1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン
Figure 0007176225000001



Figure 0007176225000002
実施例では、二酸化ケイ素の研磨速度Rに対する窒化ケイ素の研磨速度Rの比率(R/R)が0.80~1.20であり、二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素を非選択的に研磨できることを確認した。
陽イオン性ポリマを含まない比較例1~3では、二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素を非選択的に研磨できないことを確認した。また、比較例3より、ポリアルキレングリコールを含む場合であっても、陽イオン性ポリマを含まない場合には、二酸化ケイ素に対して窒化ケイ素を非選択的に研磨できないことを確認した。

Claims (6)

  1. 二酸化ケイ素及び窒化ケイ素を含む被研磨面を研磨して前記二酸化ケイ素及び前記窒化ケイ素を除去するために用いられ、
    セリウム水酸化物を含む砥粒と、陽イオン性ポリマと、液状媒体と、を含有し、
    前記陽イオン性ポリマが、ジアリルジメチルアンモニウム又はその誘導体由来の構造単位を有し、
    前記陽イオン性ポリマの含有量が、前記砥粒100質量部に対して、14~50質量部であり、
    前記二酸化ケイ素の研磨速度に対する前記窒化ケイ素の研磨速度の比率が0.80~1.20である、研磨液(ただし、炭素数4以上のアルコールを含有する研磨液、官能基が直接結合した第1の分子鎖と、当該第1の分子鎖から分岐した第2の分子鎖と、を有し、前記官能基が、カルボキシル基、カルボン酸塩基、ヒドロキシル基、スルホ基及びスルホン酸塩基からなる群より選択される少なくとも一種であるポリマを含有する研磨液、並びにポリアルキレングリコールを含有する研磨液を除く)。
  2. 3,5-ジメチルピラゾールを更に含有するか、又は、
    酢酸及び1,3,5-トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジンを更に含有する、請求項1に記載の研磨液。
  3. pHが3.06.0である、請求項1又は2に記載の研磨液。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の研磨液の構成成分が第1の液と第2の液とに分けて保存され、前記第1の液が前記砥粒及び液状媒体を含み、前記第2の液が前記陽イオン性ポリマ及び液状媒体を含む、研磨液セット。
  5. 請求項1~3のいずれか一項に記載の研磨液、又は、請求項4に記載の研磨液セットにおける前記第1の液と前記第2の液とを混合して得られる研磨液を用いて、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素を含む被研磨面を研磨し、前記二酸化ケイ素及び前記窒化ケイ素を除去する工程を備え、
    前記工程では、前記二酸化ケイ素の研磨速度に対する前記窒化ケイ素の研磨速度の比率が0.80~1.20である、研磨方法。
  6. 前記工程がSTI形成工程である、請求項5に記載の研磨方法。
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