以下、図面を参照して本発明の実施の形態(本実施の形態)を説明する。なお、以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。
本実施の形態における通信装置間(例えば車両間)の直接通信の方式はLTE(あるいはNR)のD2D(例えばV2X)であることを想定しているが、直接通信の方式はLTE(あるいはNR)のD2Dに限られない。また、直接通信の方式としてLTE(あるいはNR)のD2Dを用いる場合において、通信方式は「D2Dディスカバリ」でもよいし「D2Dコミュニケーション」でもよい。
また、本実施の形態では、報告を実施する通信装置が車両に搭載される形態を主に説明しているが、本発明の実施形態は、この形態に限定されない。例えば、報告を行う通信装置が人が保持する端末である場合、報告を行う通信装置がドローンあるいは航空機に搭載される装置である場合にも本発明を適用可能である。また、報告を行う通信装置が、認証に基づいて決定されてもよいし、特定の条件(例:車両の走行状態)に応じて、通信装置が以下で説明する実施の形態の動作を実行しないこととしてもよい。
また、本実施の形態におけるハザードオブジェクトとは狭義には路上の障害物であるが、具体的なオブジェクトに関連付けられないハザードロケーションあるいはハザードエリアでもよく、車両の急制動などによるハザードイベント及びその発生場所であってもよい。
(D2Dの概要)
本実施の形態においては通信装置間の直接通信が行われることから、そのための基本的な技術の例であるLTEで規定されているD2Dの概要について説明する。
既に説明したように、D2Dには、大きく分けて「D2Dディスカバリ」と「D2Dコミュニケーション」がある。「D2Dディスカバリ」については、図2Aに示すように、Discovery period毎に、Discoveryメッセージ用のリソースプールが確保され、UE(本実施の形態の通信装置に相当)はそのリソースプール内でDiscoveryメッセージ(発見信号)を送信する。より詳細にはType1、Type2bがある。Type1では、UEが自律的にリソースプールから送信リソースを選択する。Type2bでは、上位レイヤシグナリング(例えばRRC信号)により準静的なリソースが割り当てられる。
「D2Dコミュニケーション」についても、図2Bに示すように、SCI(Sidelink Control Information)/データ送信用のリソースプールが周期的に確保される。送信側のUEはControlリソースプール(PSCCHリソースプール)から選択されたリソースでSCIによりデータ送信用リソース(PSSCHリソースプール)等を受信側に通知し、当該データ送信用リソースでデータを送信する。「D2Dコミュニケーション」について、より詳細には、Mode1とMode2がある。Mode1では、基地局からUEに送られる(E)PDCCHによりダイナミックにリソースが割り当てられる。Mode2では、UEはリソースプールから自律的に送信リソースを選択する。リソースプールについては、SIBで通知されたり、予め定義されたものが使用される。
また、Rel-14では、Mode1とMode2に加えて、Mode3とMode4がある。Rel-14では、SCIとデータとを同時に(1サブフレームで)、周波数方向に隣接したリソースブロックで送信することが可能である。
LTEにおいて、「D2Dディスカバリ」に用いられるチャネルはPSDCH(Physical Sidelink Discovery Channel)と称され、「D2Dコミュニケーション」におけるSCI等の制御情報を送信するチャネルはPSCCH(Physical Sidelink Control Channel)と称され、データを送信するチャネルはPSSCH(Physical Sidelink Shared Channel)と称される。
D2Dに用いられるMAC(Medium Access Control)PDU(Protocol Data Unit)は、図3に示すように、少なくともMAC header、MAC Control element、MAC SDU(Service Data Unit)、Paddingで構成される。MAC PDUはその他の情報を含んでも良い。MAC headerは、1つのSL-SCH(Sidelink Shared Channel)subheaderと、1つ以上のMAC PDU subheaderで構成される。
図4に示すように、SL-SCH subheaderは、MAC PDUフォーマットバージョン(V)、送信元情報(SRC)、送信先情報(DST)、Reserved bit(R)等で構成される。Vは、SL-SCH subheaderの先頭に割り当てられ、UEが用いるMAC PDUフォーマットバージョンを示す。送信元情報には、送信元に関する情報が設定される。送信元情報には、ProSe UE IDに関する識別子が設定されてもよい。送信先情報には、送信先に関する情報が設定される。送信先情報には、送信先のProSe Layer-2 Group IDに関する情報が設定されてもよい。
(システム構成)
図5は、本実施の形態に係る通信システムの構成例を示す図である。図5に示すように、本実施の形態に係る通信システムは、1つ又は複数の基地局10、及び1つ又は複数のITSサーバ30がネットワーク50に接続された構成を有する。また、通信システムには1つ又は複数の通信装置20が存在し、基地局10あるいはRSU40と通信を行う。
本実施の形態において、通信装置20は、自動車等の車両に搭載された装置であり、LTEあるいはNRにおけるUEとしてのセルラ通信の機能、及び、上述したチャネルでの信号送受信を含むD2D機能を有している。更に、通信装置20は、GPS装置、カメラ、各種センサ等、報告情報(位置、イベント情報等)を取得する機能を含む。
なお、通信装置20は1つの筐体の装置である必要はなく、例えば、各種センサが車両内に分散して配置される場合でも、当該各種センサを含めた装置が通信装置20である。また、通信装置20は各種センサを含まずに、各種センサとデータを送受信する機能を備えることとしてもよい。
RSU40は、例えば路側に設置される装置であり、通信装置20と無線により通信する機能、ネットワーク40あるいは基地局10と通信する機能を含む。
基地局10は、LTEあるいはNRにおける基地局としてのセルラ通信の機能、D2Dをサポートする機能、イベント情報の配信制御機能等を含む。
ITSサーバ30は、複数の通信装置20から発出された位置情報、イベント情報等を受信し、これらの情報に基づいて、ハザードの発生を判断して、ハザード情報を配信する機能を含む。通信装置20からITSサーバ30に送信される位置情報、走行状態情報、イベント情報等を総称して報告情報と呼ぶ。また、ITSサーバ30を情報配信サーバと称してもよい。
ネットワーク50は、モバイル網におけるコアネットワーク、及びITSサーバ30を接続するインターネットあるいは専用ネットワーク等のネットワークを含むネットワークである。
なお、図5に示す例では、ITSサーバ30はアプリケーションサーバを想定しているが、ITSサーバ30の機能をネットワーク50内のノードが備えてもよいし、ITSサーバ30の機能を基地局10が備えてもよい。
以下、本実施の形態における通信システムの基本的な動作例として、まず、通信装置20からITSサーバ30への報告情報の送信動作、及び、ITSサーバ30から通信装置20へのハザード情報の配信動作について説明する。
(報告情報の送信動作の例)
本実施の形態における通信装置20は、周期的な報告とイベントベースの報告をITSサーバ30に対して行う。ただし、周期的な報告とイベントベースの報告のうちのいずれか一方のみを行うこととしてもよい。
周期的な報告においては、図6に示すように、通信装置20は、自身(車両)の位置の情報、及び走行状態の情報をITSサーバ30に送信する(S101)。周期的な報告における周期は、予め定められていてもよいし、ITSサーバ30から指示されてもよい。また、周期の単位は走行時間(一定時間間隔で報告)でもよいし、走行距離(一定距離走行する度に報告)でもよいし、その他の単位でもよい。報告情報における走行状態の情報は、特定の情報に限られないが、例えば、走行速度、走行軌跡等である。
通信装置20は、周期的な報告の報告情報に、目的地及び/又は走行計画(予定経路)を含めてもよい。
イベントベースの報告においては、図7に示すように、通信装置20は、イベントの発生を検知すると(S201)、当該イベントをトリガにしてイベント情報を報告するか否かを判定する(S202)。報告すると判定した場合に、通信装置20は、イベント情報をITSサーバ30に送信する。
上記のイベントとして、例えば、ハンドル操作/アクセル操作/ブレーキ操作等の車両に対する制御に係るイベント、速度の大きさ/加速度の大きさ/走行方向の変化等の車両制御等に基づいて生じる走行状態に係るイベント、あるいは、車載カメラ/レーダー等のセンサによる障害物検知に係るイベント等があるが、これらに限られない。
S202における報告判定においては、例えば、通信装置20は、特定のイベント(障害物)を検知したこと、走行状態が所定の条件を満たしたこと(例:閾値以上の加速度検知、閾値以上の減速検知、閾値以上の角度のハンドル操作)、等の場合にイベント情報を報告すると判定する。
S203において送信されるイベント情報は、例えば、検知したイベントの情報(例:加速度等の車両制御状態情報)、及び/又は、イベント発生時の車両位置/走行軌跡等である。また、イベント検知として、あるいはイベント検知とは別に、イベント発生時にセンサで取得した情報(画像、点群等)を報告してもよい。また、ウィンカー、ハザードランプ等の状態を送信してもよい。なお、以降の説明においては、イベントを検知したとは、報告すべきイベントを検知したことを意味する。
報告を行う車両には、道路管理者の車両等、特別な車両も存在する。このような特別な車両あるいはRSU等の特定の装置から報告を行う際には、報告情報に、特定の装置からの報告情報であることを識別する識別子が付されてもよい。
図5に示したように、本実施の形態では複数のITSサーバ30が備えられる。複数のITSサーバ30における各ITSサーバ30は、例えば、担当するエリア単位に備えられる。そこで、通信装置20は、報告情報を送信する宛先のITSサーバ30を、自身の位置あるいは走行状態に基づいて選択してもよい。なお、通信装置20において、報告先となるITSサーバ30の複数選択候補のアドレス、及び/又は、選択のルールを配信するルートITSサーバ30のアドレスが予め設定されていてもよい。例えば、通信装置20は、最初にルートITSサーバにアクセスし、ルールを取得し、当該ルールに従って選択候補の中から報告情報の宛先のITSサーバ30を選択する。
なお、後述するハザード情報は、報告の宛先としたITSサーバ30から、報告を行った通信装置20に配信されるとは限らない。報告の宛先としたITSサーバ30とは別のITSサーバ30からハザード情報が配信される場合もある。
ITSサーバ30は報告情報の送信を通信装置20に指示することとしてもよい。例えば、通信装置20は、ITSサーバ30から報告情報の送信要求を受け、その送信要求に応じて報告情報をITSサーバ30に報告する。また、ITSサーバ30が、通信装置20に対して、予め報告情報の送信を実施すべき区間(例:所定範囲のエリア、ある道路の所定長さの区間)を指定することとしてもよい。通信装置20は、自身が当該区間に入ったことを検知した場合に、報告すべき報告情報をITSサーバ30に送信する。
また、ITSサーバ30は、イベント情報の記憶、及び、イベント情報の収集用の通信装置を介した送信を指示してもよい。本実施の形態では、イベント情報の収集用の通信装置の例として、RSU40を使用する。
RSU40を介した報告の例を図8を参照して説明する。車両に搭載された通信装置20は、RSU40と通信可能になるまで報告情報(イベント情報及び/又は位置・走行状態)を取得し、メモリに格納しておく。そして、通信装置20は、予め保持するRSU40の位置情報、あるいは、RSU40から送信される信号に基づいて、RSU40と通信可能になったことを検知すると、RSU40にまとめて報告情報を送信し(S301)、RSU40が当該報告情報をバックホール回線を用いてITSサーバ30に送信する(S302)。このような方式により、通信装置20にかかる通信コストを削減することができる。なお、RSU40は、報告を行う前に、収集したイベント情報の統計処理及び/又はデータ整形を行うこととしてもよい。また、RSU40の動作を基地局10が行ってもよい。
(ハザード情報の生成、配信動作の例)
図9に示すように、ITSサーバ30は、1つ又は複数の通信装置20から報告情報を受信すると(S401)、受信した報告情報に基づいて、ハザード情報配信要否の判定、ハザード情報の配信要の場合におけるハザード情報の内容の決定等を実行する(S402)。そして、ITSサーバ30は、ハザード情報の配信要の場合にハザード情報を通信装置20に送信する(S403)。
例えば、ITSサーバ30は、複数の通信装置20から周期的に受信した位置情報に基づいて、多くの車両が回避しているエリアを判別し、当該エリアをハザード情報として配信することを決定できる。
また、例えば、ITSサーバ30は、ある通信装置20から受信したハザードオブジェクト(障害物等)の映像及び位置情報に基づき、当該位置を含む所定範囲にハザード情報(障害物があることを示す情報)を配信することを決定できる。
なお、ITSサーバ30は、受信した報告情報の一部又は全てを道路管理者のサーバ等に送信し、道路管理者がハザード情報の配信要否、及びハザード情報の内容を決定し、決定した情報をITSサーバ30に対して通知してもよい。
ハザード情報の配信の方法としては、例えば、ユニキャストの配信とマルチキャストの配信がある。
<ユニキャスト配信>
ユニキャストの場合、ハザード情報は、例えば、ハザードの事象が発生した位置(ハザード発生位置)の周辺の所定の範囲に存在する通信装置20(車両)に配信される。
所定の範囲とは、例えば、ハザード発生位置から所定の距離以内の範囲、ハザード発生位置をカバレッジとする基地局のカバレッジ範囲等である。あるいは、所定の範囲が、ハザード発生位置のエリアを担当する複数基地局(基地局リスト)のカバレッジ範囲であってもよい。
上記の「所定の範囲」を配信エリアと呼ぶ。ITSサーバ30は配信エリア内で位置情報を通知している通信装置20に対してハザード情報を配信する。例えば、ITSサーバ30は、受信した位置情報で示される位置が、配信エリア内であることを検知すると、当該位置情報を送信した通信装置20を宛先としてハザード情報を送信することができる。
また、ITSサーバ30は、受信した位置情報そのものを使用することに代えて、通信装置20から受信した走行状態(速度、加速度等)及び/又は走行計画に基づいて推定した当該通信装置20の現在又は将来の位置が配信エリア内にある場合に、当該通信装置20にハザード情報を配信してもよい。
なお、ユニキャスト配信において通信装置20のアドレスについては、報告情報のパケットから取得してもよいし、ITSサーバ30に予め登録しておくこととしてもよい。また、想定される配信エリア(例:交差点エリア等)をネットワーク50におけるノード(例:コアNWにおけるMME等のノード)、及び/又は、基地局10に登録してもおいてもよい。
上記のように、ユニキャスト配信では、ITSサーバ30は、配信エリア内の通信装置20のアドレスを指定してハザード情報を送信する。しかし、通信装置20が接続している基地局10が、配信エリアをカバーしない場合が考えられる。
そこで、配信エリアに対応する基地局10でのみハザード情報の配信を行なってもよい。具体的には、例えば、配信されたハザード情報を受信したネットワーク10におけるノードは、宛先の通信装置20が接続している基地局10が配信エリアに該当しない場合に、当該ハザード情報を破棄してもよい。また、例えば、配信されたハザード情報を受信した基地局10は、自身が当該ハザード情報の配信エリアをカバーしていない場合に、当該ハザード情報を破棄してもよい。
上記は通信装置20が接続状態にある場合の例である。アイドル状態にある通信装置20に関しては、配信エリアに対応する基地局10のみが、配信の宛先の当該通信装置20にページングを送信することとしてもよい。
なお、RSU40から通信装置20に対してハザード情報を配信することができる場合、通信装置20の車両間直接通信の方式と同じ方式によるRSU-車両間通信の実施エリアに対しては、ユニキャストによる配信の対象外としてもよい。
図10に、ユニキャスト配信の場合のシーケンスの例を示す。図10に示す例において、ITSサーバ30は、通信装置20の宛先アドレスを指定して、ハザード情報と、配信エリア(を示す情報)を送信する(S501)。ネットワーク50のノードにおいて、宛先アドレスに基づき、ハザード情報配信先の基地局10が判定される(S502)。ここで、前述したように、ハザード情報配信先の基地局10が、配信エリアをカバーしないと判定された場合には、ハザード情報が破棄されてもよい。
ハザード情報はネットワーク50から基地局10に送信される。基地局10は、宛先アドレスから配信先の通信装置20を判別し、当該通信装置20に対してハザード情報をユニキャストで送信する(S505)。なお、前述したように、当該基地局10のカバレッジが配信エリア外である場合には、ハザード情報は破棄されてもよい。
<マルチキャスト配信>
マルチキャストの場合、例えばハザード情報はハザードの事象が発生した位置(ハザード発生位置)の周辺の所定の範囲(配信エリア)に配信される。「所定の範囲」は配信エリアでありユニキャストの場合と同様である。
図11に、マルチキャスト配信の場合のシーケンスの例を示す。図11に示す例において、ITSサーバ30は、ハザード情報と、配信エリア(を示す情報)を送信する(S601)。ネットワーク50のノードにおいて、配信エリアに基づき、ハザード情報配信先の基地局10(1つ又は複数)が判定される(S602)。ここでは、例えば、エリアと基地局とが対応付けられたデータベースを参照することでハザード情報配信先の基地局10を判定することしてもよい。
ハザード情報はネットワーク50から基地局10に送信される(S603)。基地局10は、ハザード情報をマルチキャストで送信する(S604)。
なお、マルチキャストはセルラー通信のマルチキャストに限られず、放送であってもよい。例えば、以下に列挙するマルチキャストの方式のうちのいずれか1つ又は複数の方式が本実施の形態におけるマルチキャストでのハザード情報配信に使用されてもよい。
それらは、3GPPにおいて規定されているMBMS(Multimedia Broadcast/Multicast Service)、CBS(Cell Broadcast Service)、ETWS(Earthquake and Tsunami Warning System)又はSIB(System Information Block)、DVBにおいて規定されているDVB-IPDC(Digital Video Broadcasting-Internet Protocol Datacast)又はDVB-H(Digital Video Broadcasting-Handheld)、JCPにおいて規定されているJSR272、OMAにおいて規定されているBCAST(Browser and Content Broadcast)、ワンセグ規格であるISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)、又は携帯端末向けマルチメディア放送規格であるMediaFLO等である。
<配信エリアの例>
図12~図15に、ハザード情報の配信エリアの例を示す。図12は、ハザード事象発生地点を中心とする一定距離の範囲が配信エリアとして決定された場合の例を示す。図13は、ハザード事象発生地点の周辺の道路に沿った範囲が配信エリアとして決定された場合の例を示す。図14は、高速道路における配信エリアの例であり、上り車線、下り車線のそれぞれにおいて、図示のとおりに配信エリアが決定されている。
図15の例は、「通信エリア外」と示した範囲が配信エリア内に設定された例である。「通信エリア外」においては、基地局10との通信はエリア外となるが、そこにはRSU40が設置されており、RSU40と通信可能な通信装置20は、RSU40からハザード情報を受信することができる。
(ハザード情報のモニタ動作の例)
次に、ユニキャストの場合とマルチキャストの場合のそれぞれについてのハザード情報のモニタ方法(受信方法)を説明する。
<ユニキャストの場合>
前述したように、通信装置20は、周期的に位置情報等をITSサーバ30に送信するので、ITSサーバ30は、当該報告情報を用いて、特定の通信装置20を宛先とするハザード情報のユニキャスト配信を行い、当該通信装置20は当該ハザード情報をユニキャストで受信することができる。ただし、通信装置20が、周期的な位置情報等の報告を行わない場合には、通信装置20は、ユニキャスト配信を受けるために、例えばイベント情報を報告する際に、自身の位置情報等をITSサーバ30に報告する。
<マルチキャストの場合>
通信装置20がハザード情報のマルチキャスト配信をモニタするために、通信装置20は、まず、1つ又は複数の配信情報(マルチキャストモニタのための情報)をITSサーバ30から受信する。配信情報はITSサーバ30から定期的に配信される情報であってもよいし、通信装置20からの要求に基づいて当該通信装置20に配信される情報であってもよい。
1つの配信情報(1つのマルチキャストチャネルに対応する配信情報)には、例えば、事業者ID、周波数、セルID、セッションID、配信局座標、配信局エリア、マルチキャスト受信用のセキュリティ情報等が含まれる。通信装置20は、モニタを希望するマルチキャストの配信情報に示される周波数、セキュリティ情報等を使用することで、当該マルチキャストで配信される情報を受信し、復号できる。
通信装置20が複数の配信情報を受信した場合において、通信装置20は、例えば、自身の能力もしくは回線契約等に基づいて、複数の配信情報の中から使用する配信情報を選択する。また、例えば、通信装置20は、各配信情報に示されている配信局までの距離、及び/又は、配信局からの信号の無線測定結果に基づいて、ランキングを行って最高位となる配信局を使用する配信情報を選択してもよいし、最近傍の配信局の配信情報を選択してもよい。
通信装置20における受信機(受信部)を、ユニキャストとマルチキャストで共有する場合、通信装置20は、マルチキャストモニタのために選択された周波数及び/又はセルIDを基地局10に報告してもよい。報告を受信した基地局10は、報告をした通信装置20の能力と選択結果(希望)に基づいて、例えば、別の基地局へのハンドオーバ等を指示することができる。なお、上記の報告を、3GPPで規定されているMBMSInterestIndicationを使用して実施してもよい。
(対向車線の先頭車のモニタについて)
モニタに関連して、車両(通信装置)は、ITSサーバ30からの配信情報に基づいて、対向車線の先頭車両のモニタを行うようにしてもよい。なお、以降の説明において、便宜上、動作主体である通信装置が、車両と結びついていることを明記するために、"車両(通信装置)"のような記述を適宜行う。
例えば、図16に示す道路の例において、車両A(通信装置)は、ITSサーバ30から対向車線に車両B(通信装置)が存在することを通知される。これにより、例えば、交差点右折時あるいは追い越し時等には危険となる対向車線の先頭車両位置の把握を行うことができる。
上記の通知を行うために、例えば、各車両(通信装置)は、カメラ等のセンサに基づいて、前方(自分の進行方向、対向車線側を含む)の検出可能範囲に別の車両が存在しないことを検出した場合に、ITSサーバ30に自身の位置情報等の車両情報を報告する。
また、各車両(通信装置)は、車両間直接通信により、前方(自分の進行方向、対向車線側を含む)に他の車両を検出しない場合に、ITSサーバ30に自身の位置情報等の車両情報を報告することとしてもよい。
また、各車両(通信装置)は、車両間直接通信により、自分の進行方向と同一方向に走行する他の車両を検出しない場合に、ITSサーバ30に自身の位置情報等の車両情報を報告することとしてもよい。
また、各車両(通信装置)は、車両間直接通信により、自分が代表車両に指定された場合に、ITSサーバ30に自身の位置情報等の車両情報を報告することとしてもよい。
上記の報告を受けたITSサーバ30は、報告発信元の車両(通信装置)に対し、対向車線の先頭車両までの距離又はすれ違うまでの時間を通知する。また、例えば、ITSサーバ30は、報告発信元の車両(通信装置)が交差点に進入するまでの距離又は進入するまでの時間を交差点管理サーバ、あるいは車両(通信装置)に通知することとしてもよい。
(車両間直接通信による車両の検出について)
本実施の形態で説明される車両間直接通信による車両の検出は、例えば以下の(1)あるいは(2)の方法で実施することができる。
<(1)直接通信を用いて送信されるITSメッセージの受信>
車両に搭載された通信装置20は、車両間直接通信により、例えばV2Xのデータチャネルを使用することで、送信元車両の位置情報、走行方向、車種、通信装置種別情報のうちのいずれか1つ又は複数を含むITSメッセージを送信する。別の車両の通信装置20は、当該ITSメッセージを受信することで、送信元の車両の位置情報、走行方向、車種、通信装置種別情報を把握することができる。また、同一レーンの車両検出などの条件付き検出も行うことができる。
<(2)直接通信の測定結果>
車両に搭載された通信装置20は、車両間直接通信により、例えば同期信号、参照信号、発見信号等を送信する。別の車両の通信装置20は、当該信号を受信することで、RSSI又はRSRPを測定し、RSSI又はRSRPが予め設定された閾値を超えた場合に、周辺に別の車両が存在すると認識することができる。(2)の方法は、(1)の方法よりも長距離の車両間直接通信に適用することが可能である。
(過剰な報告の抑止方法)
車両が渋滞した高速道路のように、多数の通信装置20が高密度で存在する場合に、報告対象のイベント等が発生した場合において、全ての通信装置が報告情報をITSサーバ30に報告してしまうと、トラフィックが輻輳し、通信を正常に行えなくなる可能性がある。そこで、本実施の形態では、以下に説明する方法により、過剰な報告を抑止することとしている。
<配信情報等に基づく報告の抑止>
例えば、通信装置20は、ITSサーバ30から受信した配信情報に基づいて、イベント情報の報告を省略することができる。
例えば、ITSサーバ30が、あるエリアに位置する通信装置20全体からの報告情報の量(例:1秒当たりのバイト数)が閾値を超えたことを検知した場合に、当該エリア内に位置する場合にハザード情報の報告を行わないことを指示する通知を、当該エリア内あるいはエリアよりも広い範囲の通信装置20に送信する。当該通知を受信した通信装置20は、自身が当該エリアに入ったことを検知すると、報告情報の通知タイミング(あるいはイベントを検知した場合)でも報告情報の送信を行わない。
また、例えば、図17に示すように、通信装置20がITSサーバ30からハザード情報を受信した後に、当該ハザード情報の起因となったハザードオブジェクトの位置の所定範囲内の位置で、当該通信装置20がイベントを検知した場合には、当該通信装置20は当該イベントの報告を行わないこととしてもよい。
上記の所定範囲内とは、例えば、上記ハザードオブジェクトの位置から所定距離以下の範囲、あるいは、上記ハザードオブジェクトの位置から所定走行時間だけ走行した距離の範囲などである。また、ハザードオブジェクトの位置が道路上である場合において、所定範囲は、対象位置のレーン(車線)と同じレーンにおける範囲であるとしてもよい。
上記ハザードオブジェクトの位置から所定距離以下の範囲、あるいは、上記ハザードオブジェクトの位置から所定走行時間だけ走行した距離の範囲などに基づいてITSサーバ30への報告タイミングにオフセット値を加えてもよい。例えば、ハザードオブジェクトから遠方の通信装置20ほど報告タイミングに大きなオフセット値を加えることで、当該通信装置20に対し、他の通信装置20及び/又はITSサーバ30等から報告済み事象であったり報告が不要であることを通知することができ、不要なITSサーバ30への報告を抑止することができる。
また、通信装置20は、周辺の車両(通信装置)からの配信情報に基づいてITSサーバ30への報告情報の送信を省略してもよい。
図18を参照して、周辺の車両からの配信情報に基づいて報告情報の送信を省略する場合の例を説明する。図18は、3車線の道路のレーンに、車両A~F、及びハザードオブジェクトが存在することを示している。
図18に示すように、車両A(通信装置)はハザードオブジェクトに起因してイベントを検出する(S701)。車両A(通信装置)~F(通信装置)のうち、車両A(通信装置)が最初に当該イベントを検出したと想定する。
次に、車両A(通信装置)は、イベント情報をITSサーバ30に報告する(S702)。更に、車両A(通信装置)は、イベントを報告したことを他の車両(通信装置)に通知するための通知情報を車両間直接通信(本実施の形態ではV2Xを想定)により送信する(S703)。当該通知情報を受信した車両B(通信装置)~車両F(通信装置)の各車両(通信装置)は、イベント対象物に起因するイベントが既にITSサーバ30に報告されたと判断し、ハザードオブジェクトに起因するイベントを検出したとしても報告情報のITSサーバ30への送信を行わない。なお、この報告停止動作は、予め定めた時間が経過したら解除されることとしてもよい。
図18を参照して説明した動作により、一斉にイベント情報の報告が発生することによる輻輳を回避することができる。
また、車両(通信装置)は、車両間直接通信により、自車両の前方に特定のクラスの車両が存在することを検出した場合に、自身がイベントを検出した場合でも、報告情報の送信を行わないこととしてもよい。特定のクラスの車両とは、例えば、イベント報告を行うと予想できる道路管理車両である。特定のクラスの車両が存在することの検出については、例えば、当該特定クラス車両(通信装置)から車両間直接通信により受信する信号に含まれるクラス情報に基づき判断することができる。
また、例えば、車両(通信装置)は、他の車両(通信装置)からの車両間直接通信の信号を検出し、当該他の車両(通信装置)が車両間直接通信を実行していることを検知した場合に、自身がイベントを検出した場合でも、報告情報の送信を行わないこととしてもよい。
<ハザードオブジェクトまでの距離/時間に基づく報告の抑止>
ハザードオブジェクトまでの距離/時間に基づく報告の抑止の例を図19を参照して説明する。図19は、3車線の道路のレーンに、車両A~C、及びハザードオブジェクトが存在することを示している。なお、ここでも便宜上、動作実行主体の通信装置を"車両A(通信装置)"のように記述する。
この例では、各車両(通信装置)は、カメラ等のセンサにより、ハザードオブジェクトまでの距離を推定することができる。また、その距離と、自身の速度とからハザードオブジェクトの位置に到達するまでにかかる時間を推定できる。
まず、「距離」を用いる場合の例を説明する。例えば、図19に示す各車両(通信装置)は、ハザードオブジェクトの種類(例:交通事故車両、落下物、人、...)毎に、イベント情報の報告を行うべき、ハザードオブジェクトとの距離を保持している。当該距離の情報は、各車両(通信装置)に事前設定されていてもよいし、ITSサーバ30から設定されてもよい。各車両(通信装置)は、該当種類のハザードオブジェクトからの距離が、当該設定値以下になった時点で、当該ハザードオブジェクトに起因するイベント情報の報告をITSサーバ30に対して行うとともに、図18で説明したように、他の車両(通信装置)に対して、イベント報告を行ったことを示す情報を通知する。あるいは、図18で説明した通知の代わりに、他の車両(通信装置)は、ITSサーバ30からのイベント情報を受信することで、報告を抑止してもよい。
例えば、図19において、車両A(通信装置)が最初にハザードオブジェクトからの距離が設定値以下になったことを検知し、ITSサーバ30への報告を行うとともに、車両B(通信装置)と車両C(通信装置)に対してイベント報告を行ったことを通知する。
上記の動作により、多数の車両が同時にハザードオブジェクトを検出した場合に精度の高いイベント情報が優先的に報告されるとともに、多数の車両からの報告を抑止できる。
次に、「時間」を用いる場合の例を説明する。例えば、図19に示す各車両(通信装置)は、ハザードオブジェクトの種類(例:交通事故車両、落下物、人、...)毎に、イベント情報の報告を行うべき、ハザードオブジェクトに到達するためにかかる時間を保持している。当該時間の情報は、各車両(通信装置)に事前設定されていてもよいし、ITSサーバ30から設定されてもよい。各車両(通信装置)は、該当種類のハザードオブジェクトに到達するまでにかかる時間が、当該設定値以下になった時点で、当該ハザードオブジェクトに起因するイベント情報の報告をITSサーバ30に対して行うとともに、図18で説明したように、他の車両(通信装置)に対して、イベント報告を行ったことを示す情報を通知する。あるいは、図18で説明した通知の代わりに、他の車両(通信装置)は、ITSサーバ30からのイベント情報を受信することで、報告を抑止してもよい。
例えば、図19において、車両B(通信装置)の速度が大きいために最初にハザードオブジェクトに到達するまでの時間が設定値以下になったことを検知し、ITSサーバ30への報告を行うとともに、車両A(通信装置)と車両C(通信装置)に対してイベント報告を行ったことを通知する。
上記の動作により、多数の車両が同時にハザードオブジェクトを検出した場合に、早く危険をこうむる可能性が高い車両からのイベント情報が優先的に報告されるとともに、多数の車両からの報告を抑止できる。
<先頭検知に基づく報告抑止>
例えば図20に示すように、道路上では、複数の車両(通信装置)が接近して車列になって車両群を形成し、車両群と車両群との間隔が開く状態になることが多い。そのような場合に、車両群を形成する全ての車両(通信装置)がITSサーバ30に報告情報を送信することは、トラフィックの輻輳に繋がる。
そこで、本例では、車両(通信装置)が、車両群の先頭に位置することを検知した場合に、報告情報の送信を行い、車両(通信装置)が、車両群の先頭に位置することを検知しない場合には、報告情報の送信を行わない。
図20の例では、車両A(通信装置)が、自身が車両群の先頭であることを検知したので、報告情報の送信を行う。一方、当該車両群の他の車両(通信装置)は報告情報の送信を行わない。車両A(通信装置)は、カメラ等のセンサにより、前方の所定距離内に他の車両がないことを検知することで自身が車両群の先頭にあることを検出してもよいし、ITSサーバ30が、収集した位置情報等から、車両群の先頭車両を検出し、当該車両(通信装置)に、当該車両(通信装置)が先頭車両であることを通知し、当該車両(通信装置)は当該通知に基づいて、自身が先頭車両であることを検知してもよい。
(ハザード状態解消の検出方法)
例えば、ITSサーバ30は、車両(通信装置)が特定の区間(あるいは特定エリア)を通過した場合に報告情報をITSサーバ30に送信するよう、車両(通信装置)に要求してもよい。
例えば、図21において、特定エリアでハザードに係るイベントが発生したとする。この場合に、例えば、ITSサーバ30は、所定時間以内に当該特定エリアに到達すると推定される車両(通信装置)に対して、"当該特定エリアを通過した場合に報告情報を送信し、当該特定エリアを通過しない場合には、報告情報の送信を行わない"ことを指示する。なお、この指示は、ITSサーバ30から車両(通信装置)へのハザード情報通知に含められてもよい。
報告情報は、通過したことを示す情報の他、特定エリア(特定区間)内での周期的位置情報の送信であってもよいし、特定エリア(特定区間)を含む前後所定時間・所定距離の走行軌跡でもよい。
例えば、図21において、ITSサーバ30が、A~Bを走行した車両(通信装置)から報告情報を受信する場合において、ITSサーバ30は、当該エリアが通過可能になったことを認識し、ハザード状態が解消したことを検出できる。このような制御を実施しない場合には、ハザード状態が解消するまでに特定エリア外からの報告を含めて多数のトラフィックが生じることが想定されるが、このような制御を実行することにより、少ない通信トラフィックでハザード状態の解消を検出することができる。
なお、ITSサーバ30から車両(通信装置)への指示は、ユニキャストとマルチキャストのいずれで行ってもよい。また、本指示の解消については、本指示にタイマ値を含めることにより、車両(通信装置)がタイマ満了を検知することで本指示の動作を解除してもよい。また、車両(通信装置)は、ITSサーバ30からのハザード情報通知の解消をもって本指示の動作を解除してもよいし、明示的にITSサーバ30から車両(通信装置)に対して解除通知を行ってもよい。
(装置構成)
次に、これまでに説明した処理動作を実行する基地局10、通信装置20、ITSサーバ30、RSU40の機能構成例を説明する。各装置は、本実施の形態で説明した全ての機能を備えている。ただし、各装置は、本実施の形態で説明した全ての機能のうちの一部の機能のみを備えてもよい。
<基地局>
図22は、基地局10の機能構成の一例を示す図である。図22に示すように、基地局10は、送信部101と、受信部102と、配信制御部103と、ネットワーク通信部104を有する。図22に示す機能構成は一例に過ぎない。本実施の形態に係る動作を実行できるのであれば、機能区分及び機能部の名称はどのようなものでもよい。
送信部101は、通信装置20側に送信する信号を生成し、当該信号を無線で送信する機能を含む。受信部202は、通信装置20から送信された各種の信号を受信し、受信した信号から、例えばより上位のレイヤの情報を取得する機能を含む。
配信制御部103は、例えばユニキャストあるいはマルチキャストによるハザード情報の配信制御を行う。ネットワーク通信部104は、ネットワーク50との通信を行う。
<通信装置>
図23は、通信装置20の機能構成の一例を示す図である。図23に示すように、通信装置20は、送信部201と、受信部202と、イベント検出部203と、報告制御部204と、操作表示部205を有する。図23に示す機能構成は一例に過ぎない。本実施の形態に係る動作を実行できるのであれば、機能区分及び機能部の名称はどのようなものでもよい。
送信部201は、送信データから送信を作成し、当該送信信号を無線で送信する。受信部202は、各種の信号を無線受信し、受信した物理レイヤの信号からより上位のレイヤの信号を取得する。イベント検出部203は、センサ等によりイベントを検出する。報告制御部204は、本実施の形態で説明した動作を実行することにより、報告制御を実施する。操作表示部205は、ユーザからの操作を受け付けるとともに、ハザード情報の表示を行う。なお、報告制御部204の送信に関わる機能が送信部201に含まれ、報告制御部204の受信に関わる機能(例:先頭車両判定機能)が受信部202に含まれてもよい。
例えば、報告制御部204は、前記通信装置とハザードオブジェクトとの間の距離、又は、前記通信装置が前記ハザードオブジェクトに到達するまでにかかる時間に基づいて、報告情報を前記情報配信サーバに送信するか否かを判定するように構成され、送信部201は、前記報告制御部204により、前記報告情報を前記情報配信サーバに送信すると判定された場合に、前記報告情報を前記情報配信サーバに送信するように構成される。
前記送信部201は、例えば、前記報告情報を前記情報配信サーバに送信するとともに、他の通信装置に対して、前記報告情報を前記情報配信サーバに送信したことを通知する。また、例えば、前記通信装置が車両に搭載されるものであり、当該車両と他の車両とで車両群を構成する場合において、前記報告制御部204は、前記通信装置を搭載する前記車両が前記車両群の中の先頭車両であるか否かを判定し、前記車両が先頭車両でない場合には、前記報告情報を前記情報配信サーバに送信しないこととしてもよい。
また、例えば、受信部202は、前記通信装置が、当該通信装置が特定エリアを通過した場合に報告情報を前記情報配信サーバに送信することを指示する情報を当該情報配信サーバから受信し、前記送信部201は、前記通信装置が、前記特定エリアを通過した場合に報告情報を前記情報配信サーバに送信し、前記情報配信サーバにおいて、当該報告情報に基づいて前記特定エリアにおけるハザードが解消したと判断される。
<RSU>
図24は、RSU40の機能構成の一例を示す図である。図24に示すように、RSU40は、送信部401と、受信部402と、配信制御部403と、報告制御部404と、ネットワーク通信部405を有する。図24に示す機能構成は一例に過ぎない。本実施の形態に係る動作を実行できるのであれば、機能区分及び機能部の名称はどのようなものでもよい。
送信部401は、通信装置20側に送信する信号を生成し、当該信号を無線で送信する機能を含む。受信部402は、通信装置20から送信された各種の信号を受信し、受信した信号から、例えばより上位のレイヤの情報を取得する機能を含む。
配信制御部403は、例えばユニキャストあるいはマルチキャストによるハザード情報の配信制御を行う。報告制御部404は、通信装置20から受信した報告情報をITSサーバ30に報告する制御を行う。ネットワーク通信部405は、ネットワーク50あるいは基地局10との通信を行う。
<ITSサーバ>
図25は、ITSサーバ30の機能構成の一例を示す図である。図25に示すように、ITSサーバ30は、送信部301と、受信部302と、ハザード判定部303と、配信制御部304と、データ格納部305を有する。図25に示す機能構成は一例に過ぎない。本実施の形態に係る動作を実行できるのであれば、機能区分及び機能部の名称はどのようなものでもよい。
送信部301は、通信装置20側に送信する信号(例:IPパケット)を生成し、当該信号をネットワーク50を介して送信する機能を含む。受信部302は、通信装置20から送信された各種の報告情報を受信し、受信した報告情報をデータ格納部305に格納する。ハザード判定部303は、データ格納部305に格納されている報告情報に基づいて、ハザードの発生の判定、ハザード情報の配信要否、配信エリア決定等を実行する。配信制御部304は、ハザード情報の配信制御を行う。
<ハードウェア構成>
上記実施の形態の説明に用いたブロック図(図22~図25)は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に複数要素が結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
また、例えば、本発明の一実施の形態における基地局10、通信装置20、ITSサーバ30、RSU40はいずれも、本実施の形態に係る処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図26は、本実施の形態に係る基地局10、通信装置20、ITSサーバ30、RSU40のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の基地局10、通信装置20、ITSサーバ30、RSU40はそれぞれ、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。基地局10、通信装置20、ITSサーバ30、RSU40のハードウェア構成は、図に示した1001~1006で示される各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
基地局10、通信装置20、ITSサーバ30、RSU40における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール又はデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、基地局10、通信装置20、ITSサーバ30、RSU40のそれぞれの機能は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本発明の一実施の形態に係る処理を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。例えば、各装置の送信部、受信部、ネットワーク通信部は、通信装置1004で実現されてもよい。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
また、基地局10、通信装置20、ITSサーバ30、RSU40はそれぞれ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
(実施の形態のまとめ)
以上説明したように、本実施の形態によれば、情報配信サーバと通信装置とを有する通信システムにおける前記通信装置であって、前記通信装置とハザードオブジェクトとの間の距離、又は、前記通信装置が前記ハザードオブジェクトに到達するまでにかかる時間に基づいて、報告情報を前記情報配信サーバに送信するか否かを判定する報告制御部と、前記報告制御部により、前記報告情報を前記情報配信サーバに送信すると判定された場合に、前記報告情報を前記情報配信サーバに送信する送信部とを備えることを特徴とする通信装置が提供される。
上記の構成により、情報配信サーバへ報告情報を送信する通信装置において、報告情報の送信を適切に抑制することができる。
前記送信部は、前記報告情報を前記情報配信サーバに送信するとともに、他の通信装置に対して、前記報告情報を前記情報配信サーバに送信したことを通知することとしてもよい。この構成により、他の通信装置は、報告情報が情報配信サーバに送信されたことを迅速に検知でき、報告抑止を効果的に実現できる。
前記通信装置が車両に搭載されるものであり、当該車両と他の車両とで車両群を構成する場合において、前記報告制御部は、前記通信装置を搭載する前記車両が前記車両群の中の先頭車両であるか否かを判定し、前記車両が先頭車両でない場合には、前記報告情報を前記情報配信サーバに送信しないこととしてもよい。この構成により、情報通知等をしなくても効果的な報告抑止を実現できる。
前記通信装置は、当該通信装置が特定エリアを通過した場合に報告情報を前記情報配信サーバに送信することを指示する情報を、当該情報配信サーバから受信する受信部を更に備え、前記送信部は、前記通信装置が、前記特定エリアを通過した場合に報告情報を前記情報配信サーバに送信し、前記情報配信サーバにおいて、当該報告情報に基づいて前記特定エリアにおけるハザードが解消したと判断されることとしてもよい。この構成により、少ないとらフィックでハザードの解消を判断できる。
また、本実施の形態により、情報配信サーバと通信装置とを有する通信システムにおける前記通信装置が実行する報告制御方法であって、前記通信装置とハザードオブジェクトとの間の距離、又は、前記通信装置が前記ハザードオブジェクトに到達するまでにかかる時間に基づいて、報告情報を前記情報配信サーバに送信するか否かを判定するステップと、前記ステップにより、前記報告情報を前記情報配信サーバに送信すると判定された場合に、前記報告情報を前記情報配信サーバに送信するステップとを備えることを特徴とする報告制御方法が提供される。
上記の構成により、情報配信サーバへ報告情報を送信する通信装置において、報告情報の送信を適切に抑制することが可能となる。
(実施形態の補足)
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、開示される発明はそのような実施形態に限定されず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。上記の説明における項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。機能ブロック図における機能部又は処理部の境界は必ずしも物理的な部品の境界に対応するとは限らない。複数の機能部の動作が物理的には1つの部品で行われてもよいし、あるいは1つの機能部の動作が物理的には複数の部品により行われてもよい。実施の形態で述べた処理手順については、矛盾の無い限り処理の順序を入れ替えてもよい。処理説明の便宜上、基地局10、通信装置20、ITSサーバ30、RSU40は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明の実施の形態に従って各装置が有するプロセッサにより動作するソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD-ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に保存されてもよい。
また、情報の通知は、本明細書で説明した態様/実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、ブロードキャスト情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
本明細書において基地局10によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。基地局10を有する1つまたは複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、通信装置20との通信のために行われる様々な動作は、基地局10および/または基地局10以外の他のネットワークノード(例えば、MMEまたはS-GWなどが考えられるが、これらに限られない)によって行われ得ることは明らかである。上記において基地局10以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MMEおよびS-GW)であってもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。
通信装置20は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
基地局10は、当業者によって、NB(NodeB)、eNB(enhanced NodeB)、ベースステーション(Base Station)、gNB、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
本明細書で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
「含む(include)」、「含んでいる(including)」、およびそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本開示の全体において、例えば、英語でのa,an,及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含み得る。
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。