以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る水位予測装置の装置構成及び水位予測装置の機能的構成を示す図である。図1に示すように、水位予測装置1Aは、水位予測の局面における水位予測装置を構成する。具体的には、水位予測装置1Aは、河川における水位の予測対象の地点における現在時刻の所定時間後の予測対象時の水位を予測する。
また、水位予測装置1Bは、水位予測モデルの構築の局面における水位予測装置を構成する。具体的には、水位予測装置1Bは、水位予測装置1Aにおける水位の予測対象の地点の上流に位置する地点の水位を予測するための水位予測モデルを構築する。
図1に示すように、水位予測装置1Aは、取得部11、第1予測部12、第2予測部13、確率情報付与部14及び出力部15を備える。水位予測装置1Bは、学習データ取得部21、モデル構築部22及びモデル出力部23を備える。また、水位予測装置1A,1Bを含むシステムは、水位予測装置1A,1Bの各機能部からネットワークまたは所定の通信手段を介してアクセス可能に構成された観測データ記憶部3、水位予測モデル記憶部5及び河川地形データ記憶部7を含む。
本実施形態の水位予測装置1A及び水位予測装置1B並びに観測データ記憶部3、水位予測モデル記憶部5及び河川地形データ記憶部7は、各々が別の装置として構成されているが、一体に構成されてもよい。また、水位予測装置1A及び水位予測装置1Bに含まれる各機能部は、複数の装置に分散されて構成されてもよい。また、水位予測装置1A及び水位予測装置1Bに含まれる各機能部は、ハードウェア及びソフトウェアのいずれか、または任意の組み合わせによって実現される。観測データ記憶部3、水位予測モデル記憶部5及び河川地形データ記憶部7は、水位予測装置1に設けられてもよい。
図2は、水位予測装置1のハードウェア構成図である。水位予測装置1は、物理的には、図2に示すように、CPU101、RAM及びROMといったメモリにより構成される主記憶装置102、ハードディスク及びメモリ等で構成される補助記憶装置103、通信制御装置104などを含むコンピュータシステムとして構成されている。水位予測装置1は、入力デバイスであるキーボード、タッチパネル、マウス等の入力装置105及びディスプレイ等の出力装置106をさらに含むこととしてもよい。
図1に示した各機能は、図2に示すCPU101、主記憶装置102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信制御装置104等を動作させるとともに、主記憶装置102及び補助記憶装置103等におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。処理に必要なデータやデータベースは主記憶装置102や補助記憶装置103内に格納される。
次に、水位予測装置1における水位の予測対象の地点及び水位等の水量に関する水量情報が観測される観測地点の位置関係の例を説明する。図3は、河川における水位の予測対象地点、予測対象地点の上流近傍に位置する観測地点、及び複数のその他の観測地点を模式的に示す図である。
図3に示されるように、本実施形態では、河川Wにおいて、例えば工事が実施される地点A(第1の地点)を水位の予測対象の地点とする。地点Aには観測設備が設けられておらず、地点Aにおける過去の水位等の観測データは存在しない。また、地点Aの上流近傍には、観測設備が設けられた観測地点である地点B(第2の地点)が位置している。さらに、地点Bの上流には、観測設備が設けられた観測地点である地点C1~C4(観測地点)が位置している。地点C3の上流には、ダムDが位置している。また、河川Wの流域には、仮想的な地域メッシュR1~R16が設定されている。
本実施形態では、水位予測装置1Aは、地点Aにおける現在時刻の所定時間後の予測対象時の水位を予測する。水位予測装置1Bは、地点Bの水位を予測するための水位予測モデルを構築する。
再び図1を参照して、水位予測装置1Aに先立って水位予測装置1Bの機能部を説明する。学習データ取得部21は、水位予測モデルを構築するための学習データを取得する。具体的には、学習データ取得部21は、観測データ記憶部3に記憶されている観測データを学習データとして取得する。観測データ記憶部3は、過去の観測データを記憶している記憶手段である。観測データは、各観測地点における少なくとも水位を含む水量に関する水量情報を含む。
図4は、各観測地点における水量情報を含む観測データの例を示す図である。図4に示すように、観測データは、地点B及び地点C1~C4における時系列の水位/流量を含む。なお、水位と流量とは互いに一意に対応付けられるデータであるので、観測データは水位及び流量のいずれかを含んでいれば足りる。本実施形態では、観測データは、水位のデータを水量情報として含むこととする。
また、観測データは、地域メッシュR1~R16のそれぞれにおける時系列の雨量を水量情報として含んでもよい。さらに、観測データは、潮位、降雪量、積雪深、気温及びダム放流量等のそれぞれの時系列のデータを水量情報として含んでもよい。
モデル構築部22は、学習データ取得部21により取得された学習データに基づいて、水位予測モデルを構築する。水位予測モデルは、水位予測装置1Aにおける水位の予測対象の地点である第1の地点より上流に位置する第2の地点の水位を予測するためのモデルであって、第2の地点及び第2の地点より上流に位置する1以上の観測地点のそれぞれにおける基準時以前の時系列の少なくとも水位を含む水量に関する水量情報を入力値とし、第2の地点における基準時の所定時間後の水位を示す水位情報を出力値とする関数を含む。その関数は、第2の地点及び第2の地点より上流に位置する1以上の観測地点の過去の水量情報及び第2の地点の過去の水位情報のペアからなる観測データに基づいて構築される。
本実施形態において、モデル構築部22により構築される水位予測モデルは、地点Bの水位を予測するためのモデルであって、地点B及び地点Bより上流に位置する地点C1~C4のそれぞれにおける基準時以前の時系列の少なくとも水位を含む水量に関する水量情報を入力値とし、地点Bにおける基準時の所定時間後の水位を示す水位情報を出力値とする関数を含む。その関数は、地点B及び地点C1~C4の過去の水量情報及び地点Bの過去の水位情報のペアからなる観測データに基づいて構築される。
水位予測モデルは、例えば、地点B及び地点C1~C4の過去の水量情報及び地点Bの過去の水位情報のペアからなる観測データを学習データとして機械学習により構築された、統計的手法に基づくモデルであってもよい。
モデル構築部22は、決定木により構成される水位予測モデルを構築してもよい。決定木は、学習データの入出力の組み合わせに対して,入力から出力を対応づけるツリー構造を構築することにより得られる。ツリー構造は,入力に対して,予め学習データを使って設定した条件式を繰り返し適用し,その入力をより細かく分類していき,最終的にどの出力に対応するのかを分類することによって,出力を予測するものである。
また、モデル構築部22は、いわゆるアンサンブル法といわれる確率論的手法により水位の確率分布を得るために、同一の学習データから独立した複数のモデルを構築及び生成してもよい。
図5は、モデル構築部22による水位予測モデルの構築の処理を模式的に示す図である。図5に示されるように、モデル構築部22は、学習データ取得部21により取得された観測データにおける地点B及び地点C1~C4における基準時以前の過去の水量情報dc0を入力値とし、地点Bにおける基準時の所定時間後の予測対象時の水位情報db0を出力値(教師ラベル)とし、入力値と出力値とのペアからなる学習データに基づいて、複数の予測器1~N(pd1~pdn)を構築する。
具体的には、学習データ取得部21により取得された入力値及び出力値の組合せからなる複数の学習データから、ランダムに抽出された複数の学習データ群のそれぞれに基づいて予測器としての決定木を構築することにより複数のモデルを生成する。後に詳述される第1予測部12は、アンサンブル法の一種であるランダムフォレストにより水位の確率分布を得る。ランダムフォレストは、各決定木の出力の平均を取ることで予測を行うアンサンブルモデルである。
また、モデル構築部22は、ニューラルネットワークを含む水位予測モデルを構築してもよい。モデル構築部22は、観測データにおける地点B及び地点C1~C4における基準時以前の過去の水量情報dc0を入力値とし、地点Bにおける基準時の所定時間後の予測対象時の水位情報db0を出力値(教師ラベル)とする学習データを用いた機械学習により、ニューラルネットワークを構築する。ニューラルネットワークからの出力は、水位の予測値及びその予測値に関する確率を含む。従って、後述される第1予測部12は、各予測値及び確率に基づいて、水位の確率分布を得ることができる。
また、モデル構築部22は、カオス理論により構築されたアトラクタを含む水位予測モデルを構築してもよい。カオス理論に基づく予測モデルは、観測された時系列のデータに対して、Takensの埋込定理に基づく遅延座標系における再構成状態空間を設定し、少数自由度の非線形力学系によるアトラクタを再構成することにより、次状態の予測を行うものである。
より具体的には、モデルの構築では、時刻t=0から時刻t=Tを定義域とする時系列の水位及び入力データに含まれる水位(または流量)以外の特定の入力変数のデータx(t)を、時間遅れ値τ、次元数mとして、多次元空間の点X(t)=(x(t),x(t-τ),x(t-2τ),・・・,x(t-mτ))として表現する。このとき、τとmを適切に設定すると、点X(t)の軌跡は、特定の軌道を描く。この軌道をアトラクタという。得られたアトラクタを関数近似することで、点X(t)から次時刻の点X(t+Δt)を予測することができる。アトラクタにより、次時刻の点を繰り返し再帰的に予測することで、任意の時間先の水位(または流量)を予測できる。
モデル構築部22は、アトラクタの関数近似過程において、時間遅れ値、次元数及び水位以外に使用する入力変数の構成方法を変えることにより、複数の予測器1~Nを作成できる。第1予測部12は、複数の予測器から出力される予測値の分布から確率情報を得るアンサンブル手法により、水位の確率分布を得ることができる。
本実施形態において構築された水位予測モデルは、コンピュータにより読み込まれ又は参照され、コンピュータに所定の処理を実行させ、コンピュータに所定の機能を実現させるプログラムとして捉えることができる。即ち、本実施形態の水位予測モデルは、CPU及びメモリを備えるコンピュータにおいて用いられる。具体的には、コンピュータのCPUが、メモリに記憶された水位予測モデルからの指令に従って、入力された水位情報等に対し、モデルに含まれる関数等に基づく演算を行い、所定の演算により得られた出力値を水位の予測値として出力するよう動作する。
再び図1を参照して、モデル出力部23は、モデル構築部22により構築された水位予測モデルを出力する。具体的には、モデル出力部23は、第1予測部12による水位予測の局面に供するために、構築された水位予測モデルを水位予測モデル記憶部5に記憶させる。
次に、水位予測装置1Aの各機能部を説明する。水位予測装置1Aは、地点Aにおける現在時刻の所定時間後の予測対象時の水位を予測する。
取得部11は、第1の地点より上流に位置する1以上の観測地点における、現在時刻以前の時系列の少なくとも水位を含む水量に関する水量情報を取得する。具体的には、取得部11は、予測対象時の地点Bの水位を予測するために、観測データ記憶部3から、地点B及び地点C1~C4における現在時刻以前の時系列の水量情報を取得する。図4に示すように、水量情報は、地点B及び地点C1~C4における時系列の水位のデータの他に、地域メッシュR1~R16のそれぞれにおける時系列の雨量、潮位、降雪量、積雪深、気温及びダム放流量等を含んでもよい。
第1予測部12は、第1の地点より上流に位置する第2の地点における予測対象時の水位を、第2の地点及び第2の地点より上流に位置する1以上の観測地点のそれぞれにおける水量情報に基づいて、水位予測モデルを用いて予測する。本実施形態では、第1予測部12は、地点Bにおける予測対象時の水位を、地点B及び地点C1~C4における現在時刻以前の時系列の水量情報に基づいて、観測データ記憶部3に記憶されている水位予測モデルを用いて予測する。
第1予測部12は、統計的手法により構築された水位予測モデルを用いて地点Bの水位を予測してもよい。具体的には、第1予測部12は、決定木またはニューラルネットワークを含む水位予測モデルを用いて地点Bの水位を予測してもよい。また、第1予測部12は、カオス理論により構築されたアトラクタを含む水位予測モデルを用いて地点Bの水位を予測してもよい。
第1予測部12は、取得部11により取得された地点B及び地点C1~C4の現在時刻以前の時系列の水量情報を水位予測モデルに入力し、水位予測モデルから出力された水位情報を、地点Bの予測対象時の水位を示す情報として取得する。前述のとおり、第1予測部12は、水位予測モデルの構成に応じて、水位の予測値の確率分布を取得できる。
図6は、第1予測部12により予測された地点Bの水位の予測値を示す図である。図6に示されるように、第1予測部12は、予測対象時ごとに、複数の予測器1~Nに対応する水位1~Nを出力する。
第2予測部13は、第1予測部12により予測された第2の地点の水位に基づいて、所定の物理的解析手法により第1の地点の水位を予測する。本実施形態では、第2予測部13は、第1予測部12により予測された地点Bの水位に基づいて、所定の物理的解析手法により地点Aの水位を予測する。
所定の物理的解析手法は、第2の地点から第1の地点までの河川領域を、当該河川領域の河川地形のモデルに基づいてメッシュに分割し、第2の地点の水位を境界条件として各メッシュの水の流出入を算出する流体解析手法である。
本実施形態では、第2予測部13は、地点Bから地点Aまでの河川領域を、当該河川領域の河川地形のモデルに基づいて、2次元または3次元のメッシュに分割し、地点Bの水位の予測値を境界条件として各メッシュの水の流出入を算出することにより、地点Aの水位を予測する。
河川地形データ記憶部7は、河川地形データを記憶している記憶手段である。河川地形データは、河川の地形の形状の情報を含む河川地形のモデルであることができる。
図7は、水位の予測対象の地点である地点Aと、地点Aの上流近傍に位置する観測地点である地点Bとの位置関係の例を模式的に示す図である。図7に示すように、地点Bは、地点Aの上流近傍に位置している。地点Aには、水位等の観測施設は設けられていない。地点Bには、観測施設が設けられている。地点Aと地点Bとの距離は、例えば数百メートル程度であるが、その距離は限定されない。
第2予測部13は、河川地形データ記憶部7から取得した河川地形のモデルに基づいて、地点Bから地点Aまでの河川領域RVを2次元または3次元のメッシュに分割する。第2予測部13は、河川領域RVの地点B側端部のメッシュの水の流出入量を、地点Bの水位の予測値に基づいて算出する。第2予測部13は、水の流出入量が算出されたメッシュに隣接するメッシュの水の流出入量を、地点Aに向かって順次算出することにより、地点Aの水位の予測値を得る。
地点Bが、地点Aの上流近傍に位置する場合には、第2予測部13は、物理的解析において、地点Bから地点Aに至る流域において河川に流入する雨量を無視できる。この場合には、物理的解析のためのメッシュモデルが単純化され、解析のための計算量が削減される。
図8は、観測地点の水量情報に基づく予測対象の地点の水位の予測の処理を模式的に示す図である。図8に示されるように、第1予測部12は、取得部11により取得された地点B及び地点C1~C4における現在時刻以前の時系列の水量情報dcを、水位予測モデルmd1に入力する。そして、第1予測部12は、水位予測モデルmd1からの出力を、地点Bの水位の予測値dbとして取得する。予測値dbは、予測器1~Nに対応する水位の予測値1~N(db1~dbn)を含む。従って、第1予測部12は、複数の予測器から出力される予測値の分布から確率情報を得るランダムフォレストといったアンサンブル手法により、地点Bの水位の予測値を確率分布として得ることができる。
第2予測部13は、地点Bの水位の予測値dbに基づいて、地点Bから地点Aに至る河川領域RVの河川地形モデルに基づく物理的解析を実施することにより、地点Aの水位の予測値daを得る。前述のとおり、地点Bの水位は、複数の予測値db1~dbnからなる確率分布として得られるので、第2予測部13は、予測値db1~dbnのそれぞれに対して物理的解析を実施することにより、予測値db1~dbnに対応する予測値da1~danからなる確率分布として、地点Aの水位を得ることができる。
図9は、水位の予測対象の地点である地点Aの水位の予測値を示す図である。図9に示されるように、第2予測部13は、予測対象時ごとに、地点Bの水位の予測値db1~dbnに対応する水位1~N(予測値da1~dan)を地点Aの水位の予測値として出力する。
再び図1を参照して、確率情報付与部14は、第2予測部13により出力された第1の地点の水位の確率分布に基づいて、第1の地点の水位の予測値に確率情報を付与する。具体的には、確率情報付与部14は、第2予測部13により出力された地点Aの水位の確率分布に基づいて、地点Aの水位の予測値に関する確率情報を付与する。確率情報は、例えば、所定の閾値として設定される警戒水位を超える確率である警戒水位超過確率である。
前述のとおり、地点Aの水位の予測値は、予測対象時ごとに、複数の予測値に基づく確率分布として得られるので、確率情報付与部14は、水位の確率分布に基づいて、所定の警戒水位を超える確率を算出できる。そして、例えば図9に例示されるように、確率情報付与部14は、予測対象時ごとの警戒水位超過確率を予測値に付与して出力できる。
再び図1を参照して、出力部15は、第2予測部13により予測された第1の地点の水位を出力する。具体的には、出力部15は、地点Aの水位の予測値を種々の態様で出力する。出力部15は、地点Aの水位の予測値を、所定の表示装置に表示させることにより出力する。また、出力部15は、地点Aの水位の予測値の確率分布を、グラフの態様で表示してもよい。また、出力部15は、地点Aの水位の予測値を、所定の記憶手段に記憶させることにより出力する。
また、出力部15は、地点Aの水位の予測値に基づいて算出された警戒水位超過確率が所定の確率を超える場合にアラームを発してもよい。また、地点Aの水位の予測値が予測対象時ごとに出力されるので、出力部15は、警戒水位超過確率が所定の確率を超える時刻までの時間が、例えば工事現場である地点Aにおける人員及び/又は重機の退避に必要な時間として予め設定された待避時間に達したときにアラームを発してもよい。
次に、図10を参照して、本実施形態の水位予測装置の動作について説明する。図10は、水位予測装置1Aにおいて実施される水位予測方法の処理内容を示すフローチャートである。
ステップS1において、取得部11は、観測地点(地点B及び地点C1~C4)の現在時刻以前の時系列の水量情報を取得する。
ステップS2において、第1予測部12は、水位予測モデルを用いて、地点B(第2の地点)の予測対象時の水位を予測する。
ステップS3において、第2予測部13は、物理的解析手法により、地点A(第1の地点)の予測対象時の水位を予測する。
ステップS4において、出力部15は、予測された地点Aの水位の情報を所定の態様で出力する。
次に、図11を参照して、コンピュータを水位予測装置として機能させるための水位予測プログラムを説明する。図11(a)に示される水位予測プログラムP1Aは、水位予測の局面の水位予測装置1Aとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、メインモジュールm10、取得モジュールm11、第1予測モジュールm12、第2予測モジュールm13、確率情報付与モジュールm14及び出力モジュールm15を含む。
図11(b)に示される水位予測プログラムP1Bは、モデル構築の局面の水位予測装置1Bとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、メインモジュールm20、学習データ取得モジュールm21、モデル構築モジュールm22及びモデル出力モジュールm23を含む。
メインモジュールm10,m20は、水位予測処理を統括的に制御する部分である。取得モジュールm11、第1予測モジュールm12、第2予測モジュールm13、確率情報付与モジュールm14及び出力モジュールm15を実行することにより実現される機能はそれぞれ、図1に示される水位予測装置1Aの取得部11、第1予測部12、第2予測部13、確率情報付与部14及び出力部15の機能と同様である。
学習データ取得モジュールm21、モデル構築モジュールm22及びモデル出力モジュールm23を実行することにより実現される機能はそれぞれ、図1に示される水位予測装置1Bの学習データ取得部21、モデル構築部22及びモデル出力部23の機能と同様である。
水位予測プログラムP1A,P1Bは、例えば、磁気ディスクや光ディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体M1A,M1Bによって提供される。また、水位予測プログラムP1A,P1Bは、搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
以上説明した本実施形態の水位予測装置1、水位予測方法及び水位予測プログラムP1によれば、第2の地点及び1以上の観測地点の過去の観測データに基づいて構築された水位予測モデルにより、第2の地点の水量情報及び1以上の観測地点の水量情報に基づいて、第2の地点の予測対象時の水位が予測される。そして、第2の地点の予測対象時の水位の予測値に基づく所定の物理的解析手法により、第1の地点の予測対象時の水位が予測される。物理的解析手法では、第1の地点の観測データを必要としないので、第1の地点に観測施設が設けられておらず、第1の地点の水位等の観測データが存在しなくとも、第1の地点の水位を予測できる。また、第1の地点の水位は、観測地点の水位ではなく、観測地点よりも第1の地点に近い第2の地点の水位の予測値に基づいて物理的解析手法により予測されるので、計算量を抑制しつつ精度の良い水位の予測が可能となる。
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。