JP7174539B2 - 抽出装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、常温、常圧で気体であり、液化状態では水と油を溶解できる物質Aの相変化のサイクルを利用し、固体と液体の混合物を分離する構成が開示されている。
本発明は上記実状に鑑み創案されたものであり、抽出処理を効率良く行え、抽出物を高圧系外へ排出できる抽出装置の提供を目的とする。
本発明は、液化ガス(抽剤)を溶媒として用いて、混合物から抽出物を取り出す抽出装置に係る発明である。
本実施形態1は、魚に含まれるドコサヘキサエン酸(DocosaHexaenoic Acid、DHA)、エイコサペンタエン酸(Eicosa Pentaenoic Acid、EPA)などを含む魚油の抽出等に適用可能である。
≪実施形態1≫
本実施形態1の抽出装置は、抽剤の相変化を行うための熱交換器3と、抽剤を圧送する圧縮機5と、被処理物である魚が格納される処理槽2と、処理槽2と熱交換器3との間であって液化した抽剤が通る経路に設けられる膨張弁6と、処理槽2と熱交換器3の間であって、液化した抽剤が通る経路に設けられる貯留槽7と、熱交換器3で気化した抽剤が通る経路に設けられた閉止弁13と、被処理物から抽出した抽出物を回収容器8に回収するための回収弁9と、を備える。
本実施形態1では、ブタンの相変化に必要な蒸発潜熱を、自身の凝縮潜熱で供給する。まず、ブタンガスは圧縮機5から高温高圧のガスとなって排出され冷却器20を経由して熱交換器3のチューブ内に送られる。
まず、膨張弁6を全閉にし、圧縮器5を運転する。この状態では、シェル側の液化ブタンは常に蒸発し、チューブ側のブタンガスは凝縮を継続する。凝縮した液化ブタンは、チューブ下流に設置された貯留槽7に貯留することとなる。貯留槽7は魚油の回収運転時には、液化ブタンが流入できる余裕が必要となる。膨張弁6を全閉していない定常運転時(抽出運転時)において、貯留槽7の内部の大半はブタンガスで充たされていることが好ましく、液化ブタンは少ない方が好ましい。
魚油を大気圧下に取り出す際には、外気の高圧系内への流入を防ぐために、熱交換器3のシェル側の圧力を大気圧以上に保つようにする。
図2は、実施形態2の抽出装置の構成を示す模式図である。
本実施形態2では、熱交換器3で液化した液化ブタンが流れる経路に貯留槽7を設けることは共通するが、実施形態1と異なり、並列に貯留槽7を設けている。そして、定常運転時(膨張弁6開弁時)には貯留槽7を介さずに液化ブタンが流れるように、対象物(魚油)の回収運転時(膨張弁6全閉時)には貯留槽7を介するように経路を切り替える切替弁31を備えている。
本実施形態2に必須の構成ではないが、熱交換器3で液化したブタンが流れる経路にポンプ10を設けるとより好ましい。ポンプ10により、液化ブタンの送液圧力を昇圧できるので、処理槽2の圧力損失が大きな場合でも、安定的に液化ガスを処理槽2に送液できる。ポンプ10の設置位置は、気体の吸い込みによる送液効率低下を防ぐために、処理槽2および熱交換器3、貯留槽7よりも天地方向で下側にすることが好ましい。ポンプ10は、実施形態1に記載した直列に貯留槽7を配置した構造に適用しても、同様の効果を奏する。
図3は、実施形態3の抽出装置の構成を示す模式図である。
熱交換器3のチューブ側から流出した液化ブタンは直接処理槽2の天地方向上側に導かれる。高圧系内に封入されるガス量は、定常運転時において、処理槽2の内部に気液界面が存在するように調整され、上部はブタンガスで充たされている。
対象物(魚油)の回収運転時は、膨張弁6を全閉し、熱交換器3から排出される液化ブタンを処理槽2に貯留する。
図4は、実施形態4の抽出装置の構成を示す模式図である。
実施形態4では、抽出に用いる液化ガスとしてのブタンと、熱の伝達に用いる冷媒としてのフロンとの二種類のガスを用いる。ここで用いる抽出用のガスはブタンである必要は無く、抽出対象に合わせてプロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ネオペンタン、イソペンタン、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテルを選定しても良い。熱の伝達用のガスは、フロンである必要は無く室温付近で適切な圧力で相変化を起こすガスを選定しても良い。
一方、ブタン側のサイクルでは、まず、熱交換器3のシェル側から排出された液化ブタンが、ポンプ10により、魚が充填、保持された処理槽2に送られる。処理槽2では、魚に含まれる魚油が液化ブタンに溶解する。
なお、本実施例では、気相側流路に配置した圧縮器11と液相側流路に配置したポンプ10の双方を記載した例を示したが、これに限定されるものではない。抽剤であるブタンの循環が実現すればよいので、ブタンサイクルの移送器としては、圧縮器11とポンプ10の何れか一方の構成でも問題ない。圧縮機11を用いる場合には、ブタンサイクルに膨張弁が必要となる。これは、圧縮機11により変化した圧力を膨張弁で緩和する必要があるからである。後述するように、熱交換器4から回収物を回収するためには、ブタンサイクルの一部を回収弁9が開弁したとき外気から遮断するための回収用の弁(12、13)が必要となる。回収用の弁の他に、追加で膨張弁を設けるとコストが上がるため、回収用の弁を膨張弁とすれば、圧縮器用の弁と回収用の弁を一つの弁で賄えることからコスト削減可能である。一方で、圧力変化が生じないポンプ10を用いる場合には、ブタンサイクルに膨張弁を用いる必要が無いため、回収用の弁は膨張弁でなくともよい。また、熱交換器3を熱交換器4よりも上に配置することで,ブタンを重力により循環するのであれば、圧縮器11とポンプ10の双方が無くても実現可能である。
回収運転では、ポンプ10を停止し、閉止弁12を全閉にし、圧縮器11を運転すると、熱交換器4のシェル側は減圧されるので、残存する液化ブタンの蒸発が促進される。圧縮器11の運転を継続すると、圧縮器11の下流は圧力が上昇するのでブタンガスが液化する。液化ブタンは処理槽2に送られるので、熱交換器4の液化ブタンは減少し、魚油の純度が向上する。魚油を大気圧下に取り出す操作では、閉止弁12、閉止弁13、圧縮器11を適切に制御し、熱交換器4のシェル側の圧力を大気圧以上に保つ。熱交換器4のシェル側を適切な圧力へ調整した後、回収弁9を開放する事で回収容器8に魚油を回収できる。
図5は、実施形態5の抽出装置C1の定常運転の状態を示す模式図である。図5中の二重実線はフロン(冷媒)側のサイクルに液化ブタンが存在することを示す。図5の処理槽2Aの密なドットは液化ブタンの存在を示し、処理槽2Bの白抜き空間は真空を示す。
実施形態5の抽出装置C1は、ポンプ10と熱交換器4との間に、並列に2つの処理槽2A、2Bを配置している。処理槽2A、2Bには、それぞれ固体をろ過するためのフィルターf3、f4が下方に設置されている。
ここでは、処理槽2Aで抽出が行われることとする。この際、処理槽2Aをブタン側のサイクル(図5中二重実線で示す)とを接続する弁14、16は開弁されている。一方、処理槽2Bをブタン側のサイクルとを接続する弁15、17は閉弁され、ブタン側のサイクルから切り離される。
次いで、気体となったフロンガスは圧縮機5に送られて再度圧縮され、冷凍サイクルを形成する。
なお、本実施例では、冷凍サイクルをフロン側のサイクルで構成した例を示しているが、実施例1から3に記載したように、ブタン側のサイクルのみで冷凍サイクルを構成してもよい。
次に、魚油を溶解した液化ブタンは処理槽2A内部のフィルターf3を通過し固形分がフィルターf3で除去され、開弁された弁16を通過して熱交換器4に送液される。熱交換器のチューブ4cには液化ブタンよりもやや高温のフロンが連続的に供給されているので、フロンの持つ潜熱により液化ブタンが加熱され、ブタンガスとなって排出される。
回収運転に移行する前に、弁16を全閉にし、弁15を開弁し、フロン側のサイクルの圧縮器5を運転する濃縮運転を実施することが好ましい。このようにすると、熱交換器4内に残存する液化ブタンが気化され、熱交換器4内の魚油の純度が向上する。処理槽2Bが実施例2で記載した貯留槽7としての役割を果たすため、本実施例では、貯留槽7を省略可能である。また、濃縮運転を実施することにより、熱交換器4内に残存する液化ブタンの量を低減できるため、回収運転の際に外部に放出されるブタンの量を低減できるので、1サイクルによるブタンのロスを低減可能である。
移送運転を行った後、濃縮運転を行って、その後回収運転を実施してもよいし、濃縮運転を行った後に回収運転を実施し、その後に移送運転を行ってもよい。前者の場合には、回収運転と、後述する原料の入れ替えを並行して実施できるため、効率がより良くなる。
一方、ブタン側のサイクル(図6中二重実線で示す)では、処理槽2A内部の魚油を溶解した液化ブタンは、フィルターf3を通過し、開弁された弁16を通過して熱交換器4に送液される。熱交換器4のチューブ4cには液化ブタンよりもやや高温のフロンが連続的に供給されているので、フロンの持つ潜熱により熱交換器4のシェル4s内の液化ブタンが加熱され、熱交換器3の第2チューブ3bに向けてブタンガスとなって排出される。
上述の移送運転を継続することで、液化ブタンが処理槽2Aから処理槽2Bへの移送が終了する(図7参照)。
続いて、抽出装置C1は移送運転から回収運転に移行する。
回収運転で抽出物(魚油)を大気圧下の油受け19に取り出す操作では、弁22を全閉にし、フロン側のサイクルの圧縮器5を停止する。そして、弁16と弁17とを全閉にし、ポンプ10を停止し、熱交換器4のシェル4s側の圧力を大気圧以上に保つ。熱交換器4のシェル4s側を適切な圧力へ調整した後、回収弁18を開放する事で油受け(回収容器)19に魚油が回収される。
その後、交互に処理槽2Aと処理槽2Bとに原料gを入れて、処理槽2Aの抽出と処理槽2Bの抽出とが交互に行われる。
処理槽2Aは、弁14、16を開閉し、また、処理槽2Bは、弁15、17を開閉することで、ブタン側のサイクルの回路から独立させることができる。そのため、移送運転と同時に抽出物の抽出が行え、処理槽2Aと処理槽2Bとを連続して稼動(運転)させることができる。従って、効率が高い抽出が可能となる。そのため、抽出が短時間にできる。
なお、処理槽2Aと処理槽2Bが2つの場合を例示したが、3つ以上の処理槽を設けてもよい。処理槽を多く設けることで、抽出時間が長い抽出物の処理時間の短縮を図れる。
図8は、実施形態6の抽出装置C2の構成を示す模式図である。図8中の二点鎖線はブタン側のサイクルが真空であることを示す。
実施形態6の抽出装置C2は、弁14、16の間に処理槽2Aと真空ポンプ21aとを設け、弁15、17の間に処理槽2Bと真空ポンプ21bとを設けたものである。その他の構成は、実施形態5と同様であるから同一の構成要素を同じ符号を付して示し、説明は省略する。
図9は、実施形態6の変形例1の抽出装置C21の処理槽2A、2B周辺の構成を示す模式図である。
実施形態6の変形例1は、実施形態5における処理槽2A、2B近くに一つの真空ポンプ24を設けたものである。その他の構成は、実施形態5と同様であるから同一の構成要素を同じ符号を付して示し、説明は省略する。
三方弁25で、真空ポンプ24に続く配管p3と処理槽2Aに続く配管p1との間を開とし、処理槽2Bに続く配管p2を閉とすることで、処理槽2Aおよび処理槽2Aに接続されるブタン側のサイクル(図5中二重実線で示す)を真空引きできる。この際、処理槽2Bを真空状態にすることなく、独立した作業が行える。
実施形態6の変形例2は、処理槽2A、2B近くに一つの真空ポンプ24を設け、処理槽2Aと処理槽2Bとの切替えを、弁26と弁27とで切り換える構成としたものである。その他の構成は、実施形態5と同様であるから同一の構成要素を同じ符号を付して示し、説明は省略する。
実施形態7では、実施形態5の抽出装置C1に2つの真空ポンプ21a、21を設けた抽出装置C3の動作方法について説明する。その他の構成は、実施形態5の抽出装置C1と同様であるから同様な符号を付して示し、詳細な説明を省略する。
以下の各工程は、制御装置E3で制御される。
実施形態7の抽出装置C3では、弁14と弁16との間に真空ポンプ21aと排気弁28とを接続する。また、弁15と弁17との間に真空ポンプ21bと排気弁29とを接続している。
以下、抽出装置C3の動作方法について説明する。
第2工程として、処理槽2Bを含むブタン側のサイクル(図12中二重実線)に液化イソブタン(抽剤)が封入される。
排気弁29は閉弁される。そして、ボンベ30内の液化ブタンを処理槽2Bおよびブタン側のサイクル(図12中二重実線で示す)に封入する。真空ポンプ21bとボンベ30とを処理槽2Bの同じ側に設置することで、部品を共通化でき、部品数を少なくできる。なお、真空ポンプ21bとボンベ30とを処理槽2Bの下方側に設置することも可能である。
第3工程では、弁14、16が閉弁され排気弁28は開弁され、処理槽2Aがブタン側のサイクル(図13中二重実線)から切り離され、処理槽2Bとブタン側のサイクルとに液化ブタンが充填されている。排気弁29は閉弁されている。
その後、第4工程で、排気弁28、弁14、16を閉弁した状態で、真空ポンプ21aが稼動され原料が投入された処理槽2Aが真空ポンプ21aにより真空引きされる。
第5-1工程では、弁16、排気弁28が閉弁され、弁14が開弁される。そして、原料gが投入され真空引きした処理槽2Aに、弁17、22、23が開弁されたブタン側のサイクル(図14中二重実線で示す)からガス化したブタンが封入される。
第5-2工程では、弁17、22、23、14が開弁され、処理槽2Bから処理槽2Aへのブタン側のサイクル(図15中二重実線で示す)が開放される。そして、弁15、16および排気弁28、29が閉弁される。この状態で、圧縮機5が稼動され、ポンプ10が稼動される。これにより、処理槽2Bに封入された液化ブタンは、処理槽2Bから出て、熱交換器4で気化され、熱交換器3で液化され、液化ブタンとなる。そして、液化ブタンは、処理槽2Aに運ばれる。この運転が継続され、処理槽2Bに封入された液化ブタンは処理槽2Aに移送される。こうして、処理槽2Bにはガス化したブタンが残留する。
処理槽2A近くの排気弁28は閉弁され、処理槽2Aを含むブタン側のサイクル(図16中二重実線で示す)の弁16、22、23、14は開弁される。この状態で、圧縮機5、ポンプ10は稼動される。処理槽2Aの原料gと液化ブタンは、フィルターf3で固形分が除去され、熱交換器4のシェル4sに流入する。熱交換器4のシェル4sで液化ブタンは気化されるとともに、液化ブタンに溶解していた抽出対象は熱交換器4のシェル4sに残留する。気化したイソブタンは熱交換器3の第2チューブ3bで液化され、ポンプ10により処理槽2Aに移送される。
第6-4工程では、処理槽2Aでの抽出は続行される。一方、処理槽2Bは、弁15、17は閉弁され排気弁29が開弁された状態で、処理槽2Bに原料が投入される。
第6-5工程では、処理槽2Aでの抽出は続行される。一方、原料gが投入された処理槽2Bは、弁15、17と排気弁29とが閉弁された状態で、真空ポンプ21bが稼動されて真空引きされる。
第7工程では、処理槽2A側の弁14、排気弁28は閉弁する。そして、弁16、22、23、15を開弁し、排気弁29は閉弁する。そして、圧縮機5、ポンプ10を稼動ずる。これにより、処理槽2Aの液化ブタンは、熱交換器4で気化され、熱交換器3で液化される。そして、液化ブタンは処理槽2Bに送られる。処理槽2Aには、ガス化したブタンが留まることとなる。
第8工程は、液化イソブタンの回収処理である。第8工程は、熱交換器4に貯留した抽出物を回収する前の処理である。
第9工程は、熱交換器4の抽出物を回収する工程である。
第10-1工程では、処理槽2A近くの弁14、16を閉弁し、排気弁28を開放する。これにより、処理槽2A内に存在する気化したブタンを排気弁28から排出する。図22の処理槽2Aのクロスハッチングは大気圧であることを示す。
一方、処理槽2Bでは、弁17、22、23,15を開き、圧縮機5、ポンプ10を稼動して、処理槽2Bの原料の抽出を開始する。処理槽2Bの原料が入った液化ブタンはフィルターf4で固形分が除去され、熱交換器4のシェル4sに送られる。熱交換器4のシェル4sで液化ブタンは気化し、抽出物は、熱交換器4のシェル4sに残る。気化したブタンは熱交換器3の第2チューブ3bで液化され、ポンプ10で処理槽2Bに送られる。図22の処理槽2Bの密なドットは液化ブタンの存在を示す。
第10-5工程では図22の第10-1工程と同様に、処理槽2Bでの抽出は続行される。一方、原料gが投入された処理槽2Aは、弁14、16と排気弁28とが閉弁された状態で、真空ポンプ21aが稼動されて真空引きされる。
第11工程では、処理槽2B側の弁15、排気弁29は閉弁する。そして、弁17、22、23、14を開弁し、排気弁28は閉弁する。そして、圧縮機5、ポンプ10を稼動ずる。これにより、処理槽2Bの液化ブタンは、熱交換器4のシェル4sで気化され、熱交換器3で液化される。そして、液化ブタンはポンプ10により処理槽2Aに送られ、回収される。その結果、処理槽2Bの液化イソブタンが処理槽2Aに移送され、処理槽2Bには、ガス化したブタンが留まることとなる。図24の処理槽2Aの中央から下部には液化イソブタンが存在し、理槽2Aの上部にはガス化したブタンが存在することを示す。処理槽2Bには、ガス化したブタンが存在することを示す。
第12工程は、液化ブタンの回収処理である。第12工程は、熱交換器4に貯留した抽出物を採取する前の処理である。
第13工程は、熱交換器4の抽出物を回収する工程である。
一方、処理槽2Aでは、弁14、16、22、23を開き、圧縮機5、ポンプ10を稼動して、処理槽2Aの原料の抽出を開始する。処理槽2Aの原料が入った液化ブタンはフィルターf3で固形分が除去され、熱交換器4に送られる。熱交換器4のシェル4sで液化ブタンは気化し、抽出物は、熱交換器4のシェル4sに残留する。気化したブタンは熱交換器3の第2チューブ3bで液化され、ポンプ10で処理槽2Aに送られる。
第14-2工程では、図27の第14-1工程と同様に、処理槽2Aでの抽出は続行される。一方、大気圧となった処理槽2Bの側の弁15、17、排気弁29は閉弁され、真空ポンプ21aが稼動される。これにより処理槽2Bは真空とされる。
抽出装置C3のポンプ10の上流側には、吸い込み側の圧力計Psが設けられ、ポンプ10の下流側には、吐出側の圧力計Pdが設けられている。圧力計Ps、Pdの検出信号は、制御装置E3に入力されている。また、ポンプ10を運転するための制御信号は制御装置E3から出力されている。
また、処理槽2Aまたは処理槽2Bの液化ガスを効率よく、別の処理槽2Bまたは処理槽2Aに移送できる。
従って、熱交換器4に貯留する抽出物を効率良く回収できる。
図29は、実施形態8の抽出装置C30における実施形態7の第7工程の処理槽2A、2B周辺を示す模式図である。
実施形態8の抽出装置C30は、第7工程(図19)で処理槽2Aの液化ブタンを処理槽2Bに移送する際の構成と、第11工程(図24)で処理槽2Bの液化ブタンを処理槽2Aに移送する際の構成とに係るものである。
実施形態8では、第7工程(図19)で処理槽2Aの液化ブタンが処理槽2Bに移送し終わったことを検知するため、処理槽2Aの液化ブタンの液面を検知する液検知センサ2a1を設けている。
液検知センサ2a1、2b1の入力信号は、制御装置E30に入力される
処理槽2Aに液検知センサ2a1を設けているので、第7工程(図19)で処理槽2Aの液化ブタンが処理槽2Bに移送し終わったことを検出し、制御装置E30で判断できる。また、処理槽2Bに液検知センサ2b1を設けているので、第11工程(図24)で処理槽2Bの液化ブタンが処理槽2Aに移送し終わったことを検出し、制御装置E30で判断できる。
図30は、実施形態9の抽出装置C31の圧縮機5、熱交換器4周辺を示す模式図である。
実施形態9は、圧縮機5のフィードバック制御に係る構成である。
そして、抽出装置C31には、熱交換器4において、液化ブタンや抽出物の液位がチューブ4cの高さ以下の高さになったことを検知する液検知センサ4a1が設けられている。
また、温度センサ4a2が熱交換器4のフロンの出口温度が既定値以上になったと検出した場合には、フロン側のサイクルの動作が過剰なので、制御装置E31は、圧縮機5の回転速度を低下させる。
また、温度センサ4a3が熱交換器4のガス化したイソブタンの出口温度が既定値以上になったと検出した場合には、フロン側のサイクルが動作が過剰なので、制御装置E31は、圧縮機5の回転速度を低下させる。
上記構成によれば、抽出装置C31の運転状態に応じて圧縮機5を適切にフィードバック制御できる。
図31は、実施形態10の抽出装置C32の圧縮機5、熱交換器4周辺を示す模式図である。
実施形態10の抽出装置C32は、実施形態7の液化ブタンの回収処理の第8工程(図20参照)、第12工程(図25参照)において気化用の熱交換器4の終了判断の制御に係る構成である。
実施形態10では、フロン側のサイクル(図31中破線で示す)の熱交換器4のチューブ4cのフロンの出口温度を検出する温度センサ4a2が熱交換器4の下流に設けられている。そして、ブタン側のサイクル(図31中二重実線で示す)の熱交換器4下流のガス化したイソブタンの管路には、流量センサr1が設けられている。その他の構成は、実施形態7と同様な構成であるから同様な構成要素には同一の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
温度センサ4a2で検出される熱交換器4のチューブ4cのフロンの出口温度が既定温度以上の場合には、ガス化したブタンの存在が少ないと考えられるので、制御装置E32により、熱交換器4を稼動させる圧縮機5の運転を停止する。
図32は、実施形態11の抽出装置C33の処理槽2A、2B周辺を示す模式図である。
実施形態11は、実施形態7の第6-1工程(図16参照)での処理槽2Bのガス化したブタンと第10-1工程(図22参照)の処理槽2Aのガス化したブタンとを再利用する構成である。
実施形態11の抽出装置C33では、排気弁28、29は管路k1を介してそれぞれ貯留タンク32に接続され、貯留タンク32は管路k2を介して圧縮機33に接続されている。圧縮機33は管路k3を介して水管34aが巻かれた液タンク34に接続され、液タンク34は管路k4を介して循環タンク10の上流側に接続されている。水管34aには冷却水が流される。
上記構成によれば、ガス化したブタンが捨てられることなく再利用されるので、ランニングコストの低コスト化が可能である。そのため、ランニングコストが低い抽出装置C33を実現できる。
実施形態5~11において、被処理物として魚、抽出物として魚油を例に挙げたが、魚以外の被処理物、魚油以外の抽出物に適用できるのは勿論である。
図33は、実施形態12の抽出装置C34の熱交換器44周辺を示す模式図である。
実施形態12の抽出装置C34は、被処理物が固体で抽出物が固体の場合である。
実施形態12の処理槽42A、42Bでは、被処理物の固体に含まれる抽出物(固体)が抽剤に溶けている。そして、フィルターf3、f4で被処理物の抽出物以外の固体は除去される。
一例としては、例えば砂と塩が混ざった被処理物から、抽出物の塩を溶解して取り出せる。
図34は、実施形態13の抽出装置C35の構成を示す模式図である。
実施形態13の抽出装置C35は、実施形態3(図3)における処理槽2に代えて、2つの処理槽2A、2Bを並列に設置したものである。
抽出装置C35は、実施形態5(図5~図7参照)と同様に、処理槽2Aの上流に弁14を設置し、下流に弁16を設置している。また、処理槽2Bの上流に弁15を設置し、下流に弁17を設置している。
上記構成によれば、実施形態5と同様な作用効果を奏する。
図35は、実施形態14の抽出装置C36の構成を示す模式図である。
実施形態14の抽出装置C36は、実施形態4(図4)の処理槽4に代えて、真空ポンプ21aおよび処理槽2Aと、真空ポンプ21bおよび処理槽2Bとを並列に設置したものである。
上記構成によれば、実施形態6、7と同様な作用効果を奏する。
また、実施形態14の抽出装置C36は実施形態8~12の構成を適用できる。
1.前記実施形態では、抽出中の処理槽として、処理槽2Aまたは処理槽2Bの単数の場合を例示したが、抽出中の処理槽と非抽出中の処理槽とを単数の処理槽と単数の処理槽だけではなく、抽出中の単数の処理槽と非抽出中の複数の処理槽または抽出中の複数の処理槽と非抽出中の単数の処理槽または抽出中の複数の処理槽と非抽出中の複数の処理槽としてもよい。
2A 第2の処理槽(処理槽)
3 熱交換器(第1の相変化部、第1の熱交換器)
4 熱交換器(第2の相変化部、第2の熱交換器)
4a1 液検知センサ(液センサ)
4a2 温度センサ(第1温度センサ)
4a3 温度センサ(第2温度センサ)
5 圧縮機
6 膨張弁
7 貯留槽
8 回収容器
9 回収弁
10 ポンプ
12 閉止弁
13 閉止弁
15 弁(第2弁)
17 弁(第1弁)
14 第4の弁、
16 第3の弁、
18 弁(回収弁)
20 冷却器
21b 真空ポンプ(第2の真空ポンプ)
21a 真空ポンプ(第1の真空ポンプ)
24 真空ポンプ
28、29 排出弁
30 ボンベ(抽剤容器)
33 圧縮機(再利用圧縮機)
34 液タンク(冷却器)
2a1、2b1 液検知センサ(終了センサ)
C、C1、C2、C3、C21、C22、C30~C36 抽出装置
E3、E21、E22、E30~E36 制御装置
f3、f4 フィルター
p4 配管(第1配管)
p5 配管(第2配管)
p6 配管(第3配管)
26 弁(第5弁)
27 弁(第6弁)
Pd 圧力センサ
r1 流量センサ
Claims (7)
- 抽剤である1種類の液化ガスを溶媒および冷媒として用いて、抽出物を取り出す装置であり、
抽剤を気体から液体に相変化させる第1の相変化部と、抽剤を液体から気体に相変化させる第2の相変化部とを有する1つの熱交換器と、
被処理物が格納され、前記第1の相変化部で液化した抽剤が流入される処理槽と、
前記第2の相変化部と前記処理槽との間に設けられる膨張弁と、
前記第1の相変化部と前記処理槽との間に設けられる切替弁とを備え、
前記第2の相変化部には、回収弁が接続され、
前記切替弁と前記処理槽との間に、貯留槽が並列に設けられており、
前記液化ガスが発泡しやすい液体の場合、前記切替弁を用いて、前記貯留槽を通過することなく前記処理槽に導かれ、
前記液化ガスが発泡しにくい液体の場合、前記切替弁を用いて、前記貯留槽を通過して前記処理槽に導かれる抽出装置。 - 請求項1に記載の抽出装置において、
前記貯留槽は、前記第1の相変化部および前記第2の相変化部よりも下側に配置されている抽出装置。 - 請求項2に記載の抽出装置において、
前記処理槽は、前記貯留槽よりも下側に配置されている抽出装置。 - 抽剤である1種類の液化ガスを溶媒および冷媒として用いて、抽出物を取り出す装置であり、
抽剤を気体から液体に相変化させる第1の相変化部と、抽剤を液体から気体に相変化させる第2の相変化部とを有する1つの熱交換器と、
被処理物が格納され、前記第1の相変化部で液化した抽剤が流入される処理槽と、
前記第2の相変化部と前記処理槽との間に設けられる膨張弁と、
前記第1の相変化部と前記処理槽との間に設けられる貯留槽とを備え、
前記第2の相変化部には、回収弁が接続される抽出装置。 - 抽剤である1種類の液化ガスを溶媒および冷媒として用いて、抽出物を取り出す装置であり、
抽剤を気体から液体に相変化させる第1の相変化部と、抽剤を液体から気体に相変化させる第2の相変化部とを有する1つの熱交換器と、
被処理物が格納され、前記第1の相変化部で液化した抽剤が流入される処理槽と、
前記第2の相変化部と前記処理槽との間に設けられる膨張弁とを備え、
前記第2の相変化部には、回収弁が接続される抽出装置。 - 抽剤を気体から液体に相変化させる第1の相変化部と、
抽剤を液体から気体に相変化させる第2の相変化部と、
被処理物が格納され、前記第1の相変化部で液化した抽剤が流入される処理槽と、
前記第2の相変化部と前記処理槽との間に設けられる第1弁と、
前記第1の相変化部と前記処理槽との間に設けられる第2弁とを備え、
前記第2の相変化部には、回収弁が接続され、
前記処理槽と並列に設けられる第2の処理槽と、
前記第2の相変化部と第2の処理槽との間に設けられる第3の弁と、
前記第1の相変化部と前記第2の処理槽との間に設けられる第4の弁と、を備え
前記第1弁と前記第3の弁は並列に設けられ、
前記第2弁と前記第4の弁は並列に設けられ、
前記第4の弁と前記第3の弁の間に前記第2の処理槽と第1の真空ポンプとを設け、前記第2弁、前記第1の弁の間に前記処理槽と第2の真空ポンプとを設け、
前記第2弁および前記第1の弁を閉弁するとともに前記第4の弁および前記第3の弁を開弁し、前記第1の真空ポンプを稼働し、前記第2の処理槽を含む抽剤サイクルを、前記処理槽とは独立して真空引きし、
前記第3の弁と前記第4の弁とを閉弁するとともに前記第2弁、前記第1弁を開弁し、前記第2の真空ポンプを稼働し、前記処理槽を含む抽剤サイクルを、前記第2の処理槽とは独立して真空引きする抽出装置。 - 抽剤を気体から液体に相変化させる第1の相変化部と、
抽剤を液体から気体に相変化させる第2の相変化部と、
被処理物が格納され、前記第1の相変化部で液化した抽剤が流入される処理槽と、
前記第2の相変化部と前記処理槽との間に設けられる第1弁と、
前記第1の相変化部と前記処理槽との間に設けられる第2弁とを備え、
前記第2の相変化部には、回収弁が接続され、
前記処理槽と並列に設けられる第2の処理槽と、
前記第2の相変化部と第2の処理槽との間に設けられる第3の弁と、
前記第1の相変化部と前記第2の処理槽との間に設けられる第4の弁と、を備え
前記第1弁と前記第3の弁は並列に設けられ、
前記第2弁と前記第4の弁は並列に設けられ、
前記第2の処理槽と前記処理槽の近くに一つの真空ポンプを設け、
前記第2の処理槽に続く第1配管と、前記処理槽に続く第2配管とを設け、
前記真空ポンプに続く第3配管と、前記第2の処理槽に続く前記第1配管との間に第5弁が設けられ、前記真空ポンプに続く前記第3配管と、前記処理槽に続く前記第2配管との間に第6弁が設けられ、
前記第5弁を開弁し、前記第6弁を閉弁することで、前記第2の処理槽および前記第2の処理槽に接続される抽剤サイクルを真空引きし、
前記第6弁を開弁し、前記第5弁を閉弁することで、前記処理槽および前記処理槽に接続される抽剤サイクルを真空引きする抽出装置。
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