(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品は、前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向と、表面シート、裏面シート及び吸収コアを有する本体部と、前記裏面シートに配置され、着用物品に吸収性物品を接合する粘着部と、前記粘着部と前記本体部の外縁の間において、前記裏面シートに配置された後処理用のテープ部材と、を有する吸収性物品であって、前記テープ部材は、前記テープ部材の前記前後方向の一端側から他端側に向かう第1方向と、前記第1方向と直交する第2方向と、前記裏面シートに接合された固定部と、前記裏面シートに剥離可能に接合された仮固定部と、前記裏面シートに接合されず、前記裏面シートに剥離可能に配置された非固定部と、を有し、前記固定部における前記テープ部材と前記裏面シートの接合強度は、前記仮固定部における前記テープ部材と前記裏面シートの接合強度よりも高く、前記非固定部は、前記第2方向において前記固定部の両側に配置されている。
後処理用のテープ部材を使用する際に、固定部において裏面シートに対してテープ部材を接合しつつ、仮固定部において裏面シートに対してテープ部材を剥がして使用することができる。使用前は、仮固定部によってテープ部材を裏面シートに接合しており、テープ部材が使用前に意図せずに折れたり剥がれたりする不具合を抑制できる。また、非固定部は、裏面シートに接合されず、固定部を基点として裏面シートに対して浮き上がり易い。この非固定部が固定部の第2方向の両側に設けられている。特に、吸収性物品の廃棄する際に吸収性物品を丸めたり、折ったりして吸収性物品を曲線状に変形させることによって非固定部が固定部を基点にして裏面シートに対して浮き上がり易い。テープ部材が浮き上がることにより、テープ部材が目立ち易くなる。使用者は、テープ部材の存在を容易に認識でき、また使用時に掴み易くなる。よって、吸収性物品の廃棄前に後処理用のテープ部材を保護し、廃棄時にテープ部材によって清潔に廃棄できる。
前記粘着部の着用物品に対する接合強度は、前記仮固定部の前記裏面シートに対する接合強度よりも高くてよい。
吸収性物品の使用時には、粘着部によって吸収性物品を着用物品に接合する。粘着部の接合強度が比較的高いため、使用時に意図せずに吸収性物品が着用物品から剥がれることを抑制できる。
一態様に係る吸収性物品は、前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向と、表面シート、裏面シート及び吸収コアを有する本体部と、前記裏面シートに配置され、着用物品に吸収性物品を接合する粘着部と、前記裏面シートに配置された後処理用のテープ部材と、を有する吸収性物品であって、前記テープ部材は、前記テープ部材の一端側から他端側に向かう第1方向と、前記第1方向と直交する第2方向と、前記裏面シートに接合された固定部と、前記裏面シートに剥離可能に接合された仮固定部と、前記裏面シートに接合されず、前記裏面シートに剥離可能に配置された非固定部と、を有し、前記粘着部の一部は、前記仮固定部を構成し、前記固定部における前記テープ部材と前記裏面シートの接合強度は、前記仮固定部における前記テープ部材と前記裏面シートの接合強度よりも高く、前記非固定部は、前記第2方向において前記固定部の両側に配置されている。
後処理用のテープ部材を使用する際に、固定部において裏面シートに対してテープ部材を接合しつつ、仮固定部において裏面シートに対してテープ部材を剥がして使用することができる。使用前は、仮固定部によってテープ部材を裏面シートに接合しており、テープ部材が使用前に意図せずに折れたり剥がれたりする不具合を抑制できる。また、非固定部は、裏面シートに接合されず、固定部を基点として裏面シートに対して浮き上がり易い。この非固定部が固定部の第2方向の両側に設けられている。特に、吸収性物品の廃棄する際に吸収性物品を丸めたり、折ったりして吸収性物品を曲線状に変形させることによって非固定部が裏面シートに対して浮き上がり易い。テープ部材が浮き上がることにより、テープ部材が目立ち易くなる。使用者は、テープ部材の存在を容易に認識でき、また使用時に掴み易くなる。よって、吸収性物品の廃棄前に後処理用のテープ部材を保護し、廃棄時にテープ部材によって清潔に廃棄できる。
前記固定部と前記仮固定部は、前記第1方向において隣接し、前記非固定部は、前記第2方向における仮固定部の両側にも配置され、前記固定部の両側と前記仮固定部の両側を跨ってよい。
非固定部が固定部の両側と仮固定部の両側に跨って配置されているため、非固定部が裏面シートに対してより浮き上がり易い。使用者は、テープ部材の存在を容易に認識でき、また使用時に掴み易くなる。
前記非固定部は、前記テープ部材の前記第2方向の外縁を含む外縁領域において、前記テープ部材の前記第1方向の全域に配置されてよい。
非固定部がテープ部材の第1方向の全域に配置されているため、非固定部が裏面シートに対してより浮き上がり易い。使用者は、テープ部材の存在を容易に認識でき、また使用時に掴み易くなる。
前記固定部は、前記テープ部材の前記一端側に配置されており、前記非固定部は、前記テープ部材の前記他端を含む他端領域において、前記テープ部材の前記第2方向の全域に配置されてよい。
固定部と反対側に位置する他端領域において、第2方向の全域に非固定部が配置されているため、固定部と反対側では、裏面シートに対してテープ部材が浮き上がり易い。よって、使用者は、テープ部材の存在をより容易に認識でき、また使用時に掴み易くなる。
前記固定部の前記第2方向の長さは、前記仮固定部の前記第2方向の長さよりも長くてよい。
固定部の第2方向の長さが長く、かつ固定部の接合強度が高いため、固定部によってテープ部材を裏面シートに接合した状態を維持できる。また、仮固定部の第2方向の長さが短いため、テープ部材の使用時に仮固定部を裏面シートから剥がす長さが短く、テープ部材を円滑に操作できる。
前記テープ部材の非肌対向面の摩擦係数は、前記裏面シートの非肌対向面の摩擦係数よりも高くてよい。
テープ部材の摩擦係数が比較的高いため、使用者は、テープ部材を把持し易く、テープ部材の操作性が向上する。また、着用物品に吸収性物品を装着した状態で、テープ部材が着用物品に対してずれ難く、意図せずにテープ部材が折れたり曲がったりする不具合を抑制できる。
前記裏面シートの非肌対向面の摩擦係数は、前記テープ部材の非肌対向面の摩擦係数よりも高くてよい。
裏面シートにおいて非肌対向面(非肌対向面側に位置する面)の摩擦係数が比較的高いため、着用物品に吸収性物品を装着した状態で、テープ部材の周囲において裏面シートが着用物品に対してずれ難く、意図せずにテープ部材が折れたり曲がったりする不具合を抑制できる。
前記仮固定部は、前記吸収コアの外縁を跨がって配置されてよい。
吸収コアの外縁は、厚さ及び剛性が変化する境界である。仮固定部が吸収コアの外縁に重なることにより、テープ部材の厚み方向に変形、及びそれに伴うテープ部材のめくれを抑制できる。
前記吸収性物品は、折り目を基点に折り畳まれており、前記テープ部材は、前記折り目を跨いでよい。
吸収性物品を展開した際(使用時や廃棄時)にテープ部材が折り癖によって裏面シートから浮き上がりやすい。よって、使用者は、テープ部材の存在に気づきやすく、また、テープ部材を掴み易くなる。
前記テープ部材の第2方向の長さは、前記粘着部の第2方向の長さよりも短くてよい。
テープ部材の第2方向の長さが比較的短いことにより、吸収性物品の使用時に下着に対して接着することができない領域を狭くすることができ、下着に対する接着強度を確保し易い。また、粘着部の第2方向の長さが比較的長いため、吸収性物品の廃棄時にテープ部を止めやすくなる。
(2)吸収性物品の構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品ついて説明する。吸収性物品は、生理用ナプキン、テープ型の使い捨ておむつ、パンツ型の使い捨ておむつ、パンティライナー、母乳パッド、大人用失禁パッド、糞便パッド又は汗取りシートのような吸収性物品であってよい。吸収性物品は、下着のような着用物品の内側に取り付けられて使用される物品であってよい。
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
図1は、肌対向面側から見た第1実施形態に係る吸収性物品10の平面図である。図2は、非肌対向面側から見た第1実施形態に係る吸収性物品10の平面図である。ここで、「肌対向面側」は、使用中に着用者の肌に面する側に相当する。「非肌対向面側」は、使用中に着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。図3は、図1に示すA-A線に沿った断面図であり、図4は、前後方向に巻かれた状態の吸収性物品の斜視図である。なお、説明の便宜上、図2においては、図1に示す包装シートを省略している。
吸収性物品10は、前後方向L及び幅方向Wを有する。前後方向Lは、着用者の前側(腹側)から後側(背側)に延びる方向、又は着用者の後側から前側に延びる方向である。幅方向Wは、前後方向Lと直交する方向である。
吸収性物品10は、本体部20と、後処理用のテープ部材60と、を有する。本体部20は、着用者の肌に向けられる表面シート21と、着用者の肌とは反対側に向けられる裏面シート22と、表面シート21と裏面シート22の間に配置された吸収コア23と、を含む。表面シート21は、使用中に着用者の肌の方に向く。裏面シート22は、使用中に、着用者の肌とは反対側に向けられる。吸収コア23は、体液を吸収する吸収材料を含み、吸収性物品の前後方向Lに沿って延びている。
本体部20は、ウイング40及びヒップフラップ50を有していてもよい。ウイング40は、使用時に着用物品のクロッチ部の非肌対向面側に折り返される。ヒップフラップ50は、ウイング40よりも後方で、幅方向Wに膨らんだ部分である。ヒップフラップ50は、幅方向Wにおける吸収コア23の外縁よりも外側に膨らんだ部分である。
本体部20は、使用中に着用者の排泄口(例えば膣口)に対向する排泄口対向域S1を有する。本体部20は、使用中に着用者の排泄口(例えば膣口)に対向する排泄口対向域S1を有する。排泄口対向域S1は、着用者の股下、すなわち着用者の両足の間に配置される領域であって、吸収コア23が存在する領域に相当する。
図2に示すように、本体部20は、裏面シート22の非肌対向面側に設けられた粘着部70を有する。粘着部70は、吸収性物品10を着用物品に止めるための粘着剤が設けられた領域である。裏面シート22の非肌対向面側に設けられた粘着部70によって、吸収性物品10を下着等の着用物品に接合することができる。また、図4に示すように、粘着部70によって、吸収性物品10の使用後に、吸収性物品10を巻いた状態でテープ部材60を止着させ、巻いた状態を維持することもできる。したがって、粘着部70は、着衣に接合する用途と、後処理用のテープ部材60を止着する用途と、の2つに兼用できる。
粘着部70は、吸収性物品10の厚み方向において、吸収コア23と重なる領域に設けられている。粘着部70は、少なくとも排泄口対向域S1から吸収性物品10の後方へ連続的又は断続的に延びていることが好ましい。粘着部70は、前後方向に延び、かつ幅方向に間隔を空けて複数設けられている。他の形態において、粘着部70は、幅方向Wに延び、かつ前後方向に間隔を空けて複数設けられてよい。また、本体部20は、ウイング40に設けられたウイング粘着部42と、ヒップフラップ50に設けられたフラップ粘着部52を有してよい。
吸収性物品10は、包装シート80によって、吸収性物品10の使用前に粘着部70が劣化しないように、粘着部70を保護してもよい。包装シート80は、粘着部70に当接している。この場合、包装シート80の面積は、粘着部70全体を覆うために粘着部70の面積よりも大きい。吸収性物品10の使用時に包装シート80から吸収性物品が剥がれることにより、粘着部70が露出し、粘着部70によって吸収性物品10を着用物品に止めることができる。
また、他の形態において、粘着部70を覆う剥離シートを有してよい。剥離シートは、粘着部70と包装シート80の間に配置されてよい。この形態においては、剥離シートが、吸収性物品10の使用前に粘着部70が劣化しないように、粘着部70を保護する。剥離シートの面積は、粘着部70全体を覆うために粘着部70の面積よりも大きい。吸収性物品の使用時に剥離シートが剥がされることにより、粘着部70が露出し、粘着部70によって吸収性物品10を着用物品に止めることができる。
吸収性物品10は、包装シート80によって個別に包装されてよい。図5は、このように構成された吸収性物品10の折り畳み態様の一例を示す図である。吸収性物品10の本体部20は、包装シート80と共に複数の折り目を起点に折り畳まれていてよい。すなわち、吸収性物品10は、幅方向Wに沿って延びた折り目を有していてもよい。吸収性物品10の折り目は、第1折り目F1と、第2折り目F2と、第3折り目F3と、第4折り目F4と、を有してよい。第1折り目F1及び第2折り目F2は、幅方向に延びる折り目である。第1折り目F1は、吸収性物品10の前端縁E1に最も近い折り目である。第2折り目F2は、吸収性物品10の後端縁E2に最も近い折り目である。第3折り目F3及び第4折り目F4は、前後方向Lに延びている。折り目は、吸収性物品の包装時に、吸収性物品10の肌対向面側を内側にして吸収性物品10を折り畳むためのラインである。
吸収性物品10は、前後方向Lに沿う第3折り目F3及び第4折り目F4を基点に折り畳まれた後、幅方向Wに沿う第1折り目F1及び第2折り目F2を基点に折り畳まれてよい。具体的には、図5(a)に示すように、包装シート80上に本体部20及びテープ部材60が配置された状態で、本体部20の一方の外側縁を含む領域が、第3折り目F3を起点に幅方向Wの内側に折り畳まれる。次いで、図5(b)に示すように、本体部20の他方の外側縁を含む領域が、第4折り目F4を起点に幅方向Wの内側に折り畳まれる。次いで、吸収性物品10の後端縁が第2折り目F2を起点に前後方向Lの内側に折り畳まれ、吸収性物品10の前端縁が第1折り目F1を起点に前後方向Lの内側に折り畳まれる。このように、第1折り目から第4折り目を起点に折り畳まれることにより、本体部20及びテープ部材60が包装シート80内に内包され、吸収性物品の使用前にテープ部材60を保護することができる。
図3及び図4に示すように、平面視において、テープ部材60は、粘着部70と本体部20の外縁20Eとの間に配置されている。本実施の形態のテープ部材60は、粘着部の後端縁と、本体部の後端縁と、の間に配置されている。図2に示すように、テープ部材60は、固定部61側に位置する一端60Aと、非固定部64側の他端60Bと、一端60Aから他端60Bに向かって延びる一対の側縁60Cと、を有する。テープ部材60は、テープ部材60の一端60A側から他端60B側に向かう第1方向D1と、第1方向D1と直交する第2方向D2と、を有する。テープ部材60の一端60Aは、テープ部材60の長手方向における一端であってよい。本実施の形態の第1方向D1は、テープ部材60の長手方向に沿っており、吸収性物品10の前後方向Lに沿っている。他の形態において、テープ部材60の一端60Aは、テープ部材60の短手方向における一端であってよい。また、他の形態において、第1方向D1は、テープ部材60の幅方向に沿い、吸収性物品の幅方向に沿ってよい。なお、第1方向D1は、テープ部材60を操作時に引き出す方向であってよい。よって、テープ部材60の第1方向D1の長さは、テープ部材60の第2方向D2の長さよりも長くてよい。
具体的には、テープ部材60の第2方向D2の長さは、5mm以上50mm以下であることが好ましい。テープ部材60の第2方向D2の長さが5mm未満であると、テープ部材60が小さいため、廃棄時に掴み難いおそれがある。また、一般的に、各粘着部70の幅方向の長さが5mm程度であり、テープ部材60と粘着部70がほぼ同じとなり、粘着部にテープ部材60を貼り難くなるおそれがある。また、テープ部材60の第2方向D2の長さが50mmを超えると、粘着部70の全幅と同じもしくは超えるような形状となる。そのため、廃棄時にテープ部材60を貼り易いが、吸収性物品の使用時に擦れてしまい、臀部のズレの原因となってしまう。
テープ部材60の第2方向D2の長さは、粘着部70の第2方向の長さよりも短くてよい。当該粘着部70の第2方向D2の長さは、粘着部70が第2方向D2に間隔を空けて複数設けられている場合にあっては、粘着部70の合計長さである。テープ部材60が配置された領域は、粘着部70を設けることができず、吸収性物品10の使用時に下着に対して接着することができない。テープ部材60の第2方向D2の長さが比較的短いことにより、吸収性物品10の使用時に下着に対して接着することができない領域を狭くすることができ、下着に対する接着強度を確保し易い。また、粘着部70の第2方向D2の長さが比較的長いため、吸収性物品10の廃棄時にテープ部材60を止めやすくなる。
テープ部材60は、吸収性物品10の廃棄時に、吸収性物品10の肌対向面側を内側にして巻かれた状態の本体部20に止着し、吸収性物品10が巻かれた状態を維持するように構成されてよい。テープ部材は、固定部61、仮固定部62及び非固定部64を有する。テープ部材60の固定部61は、本体部20の裏面シート22に固定されている。固定部61は、裏面シート22に接合されており、テープ部材60の使用時(吸収性物品の廃棄時)に裏面シート22から剥がれないように構成されている。固定部61は、テープ部材60の第1方向D1の一端60Aである後端縁に設けられてよい。なお、固定部61は、一端60Aに一致してなくてもよく、一端60Aと離間していてもよい。固定部61は、テープ部材60の第1方向D1の中心よりも一端60A側に配置されていればよい。
テープ部材60の仮固定部62は、裏面シート22に剥離可能に接合されている。仮固定部62は、テープ部材60の使用時(吸収性物品の廃棄時)に裏面シート22から剥がれるように構成されている。仮固定部62は、テープ部材60の使用前(吸収性物品10の使用時)に裏面シート22から剥がれないことが好ましい。仮固定部62を設けることにより、テープ部材60の使用前(製造時、着用時)に非固定部64が捲れたり、非固定部64が折れたりすることを抑制できる。仮固定部62は、固定部61と第1方向D1において隣接してよく、固定部の他端60B側に配置されてよい。仮固定部62の裏面シート22に対する接合強度は、0.1N/25mm以上2.0N/25mm以下であってよい。仮固定部62の接合強度が0.1N/25mm未満であると、裏面シート22から直ぐに剥がれてしまうおそれがある。また、仮固定部62の接合強度2.0N/25mmを超えると、テープ部材60を引っ張って仮固定部62を剥がす際に、裏面シート22が破れてしまうおそれがある。
テープ部材60の非固定部64は、裏面シート22に固定されていない。テープ部材60の非固定部64は、本体部20の粘着部70に対して止着可能に構成されている。非固定部64は、裏面シート22に接合されてなく、使用者がテープ部材60を操作する部分である。より詳細には、使用者は、テープ部材60を使用する際に、非固定部64を把持して固定部61を基点にして非固定部64を折り返したり、非固定部64を第1方向D1に伸長したりして、非固定部64を本体部20に止着する。非固定部64の少なくとも一部は、使用者が把持可能な把持部を構成する。把持部は、非固定部64全域であってもよいし、非固定部64のうち、固定部61とは反対側の一端側に設けられていてもよい。
固定部61におけるテープ部材60と裏面シート22の接合強度は、仮固定部62におけるテープ部材60と裏面シート22の接合強度よりも高い。仮固定部62の接合力が固定部61の接合力よりも低いため、使用者は、テープ部材60の使用時に容易に仮固定部62を剥がし、非固定部64を掴んでテープ部材60を操作することができる。
固定部61及び仮固定部62の接合手段としては、接着剤、エンボス加工、熱溶着、超音波溶着を例示できる。固定部61及び仮固定部62は、本体部20の外縁のエンボスによって構成されていてもよい。固定部61の接着力と仮固定部62の接着力を異ならせる構成としては、例えば、固定部61の接着剤の塗布量(面積、目付)を仮固定部62の接着剤の塗布量よりも多くしたり、固定部61のエンボスの強度を仮固定部62のエンボス加工の強度よりも強くしたり、固定部61に接着剤を塗布するとともにエンボス加工を施し、仮固定部62に接着剤を塗布し、エンボス加工を施さなかったり、固定部61にエンボス加工を施し、仮固定部62に接着剤を塗布したりすることによって構成されていてもよい。
接合力は、引張試験機(インストロンジャパンカンパニイリミテッド製、型式5543)で測定可能である。例えば、接合力は次のように測定する。まず、引張試験機の上部接合部及び下部接合部に、テープ部材60の試験片と裏面シート22の試験片を接合する。上部接合部及び下部接合部に接合する試験片は幅10mmとする。上部接合部に接合する試験片と下部接合部に接合する試験片との間には、固定部61に相当する接合面(又は仮固定部62に相当する接合面)が形成されている。引張試験機の上部接合部と下部接合部との相対変位速度を100mm/分に設定し、各接合部を剥離している間の最大荷重点を接合力(接着強度)とする。
図6は、吸収性物品のテープ部材60の平面図であり、仮固定部62の変形パターンを示している。テープ部材60の固定部61及び仮固定部62には、接着剤が塗布されている。図6において、固定部61と仮固定部62に異なる斜線を付して示す。仮固定部62の接着剤の面積率(単位面積当たりの接着剤の面積の比率)は、固定部61の接着剤の面積率よりも低くてよい。仮固定部62の接着剤の目付は、固定部61の接着剤の目付よりも低くてよい。好適には、仮固定部62の接着剤の目付が低く、かつ仮固定部62の接着剤の面積率が低くてよい。
図6(a)に示すように固定部61の第2方向である幅方向Wの長さは、仮固定部62の幅方向Wの長さよりも長くてよい。仮固定部62の幅方向の長さは、固定部61から離れるにつれて短くなっている。接着剤の塗布量は、テープ部材60の一端60A側からテープ部材60の他端60Bに向かって少なくなっている。固定部61の第2方向D2の長さが長く、かつ固定部61の接合強度が高いため、固定部61によってテープ部材60を裏面シート22に接合した状態を維持できる。また、仮固定部62の第2方向D2の長さが短いため、テープ部材60の使用時に仮固定部62を裏面シート22から剥がす長さが短く、テープ部材60を円滑に操作できる。また、仮にテープ部材60の使用時に仮固定部62の一部が接合した状態であっても、仮固定部62の第2方向D2の長さが短いため、裏面シート22に対してテープ部材60を移動可能な領域を確保でき、テープ部材60を円滑に操作できる。また、仮固定部62は、接着剤が斑に塗布された領域や、図6(b)に示すように接着剤が点状に塗布された領域を含んでよい。
また、仮固定部62がホットメルト型接着剤である場合、テープ部材60を剥がした後、テープ部材60側に接着剤が多く残る場合と、裏面シート22側に接着剤が多く残る場合と、がある。テープ部材60側に接着剤が多く残る場合は、粘着部70とテープ部材60を貼りつけることにより、接着強度の向上につながる。裏面シート22側に接着剤が多く残る場合は、伸長させて使用するテープ部材60において、接着剤の残りが少なく、接着剤によって伸長を阻害することを抑制できる。
このような構成によれば、仮固定部62の接合力を固定部61の接合力よりも小さくできる。また、接着剤を塗布する工程では、接着剤を噴射するノズル等をテープ部材に当てた状態を維持し、ノズルから噴射する接着剤を調整すればよい。具体的には、固定部61を設ける領域に向かって接着剤を噴射し、固定部61の終端の領域において接着剤の噴射を止める。接着剤は、粘性があり、噴射を止めても直ちに噴射量が零にならず、徐々に噴射量が減る。この徐々に噴射量が減った接着剤によって仮固定部62を構成できる。このような仮固定部62においては、固定部61から離れるにつれて徐々に接合力が小さくなっている。仮固定部62の他端60B側の端縁(非固定部64側の端縁)は、テープ部材60の他端60Bに到達していてもよい。
非固定部64は、第2方向D2において固定部61の両側に配置されている。テープ部材の使用時に、固定部の第2方向の両側に設けられた非固定部64が裏面シートに対して浮き上がり、使用者は、テープ部材の存在を容易に認識でき、また使用時に掴み易くなる。好適には、非固定部64の第2方向の長さは、テープ部材の第2方向の全域に対する30%であってよく、5mm~20mmであってよい。非固定部64の第2方向D2の長さが5mm未満であると、テープ部材60を操作し難くなり、非固定部64の第2方向D2の長さが20mmを超えると、固定部61の長さを十分確保できず、テープ部材60が外れ易くなるおそれがある。テープ部材60の非固定部64は、固定部61と側縁60Cの間において、第1方向D1に延びている。
固定部61と仮固定部62は、第1方向D1において隣接してよい。また、非固定部64は、第2方向D2における仮固定部62の両側にも配置され、固定部61の両側と仮固定部62の両側を跨ってよい。非固定部64が固定部61の両側と仮固定部62の両側に跨って配置されているため、非固定部64が裏面シート22に対してより浮き上がり易い。使用者は、テープ部材60の存在を容易に認識でき、また使用時に掴み易くなる。
図6に示すように、非固定部64は、テープ部材60の第2方向D2である幅方向の外縁を含む外縁領域R1において、テープ部材60の第1方向D1である前後方向Lの全域に配置されてよい。非固定部がテープ部材60の第1方向D1の全域に配置されているため、非固定部64が裏面シート22に対してより浮き上がり易い。具体的には、テープ部材の側縁60Cの全域が、固定部61及び仮固定部62を基点に浮き上がり易い。使用者は、テープ部材60の存在を容易に認識でき、また使用時に掴み易くなる。好適には、外縁領域R1の第2方向の長さは、テープ部材の第2方向の全域に対する30%であってよく、5mm~20mmであってよい。外縁領域R1の第2方向D2の長さD2が5mm未満であると、テープ部材60の使用時に掴み難く、外縁領域R1の第2方向D2の長さが20mmを超えると、テープ部材60が第2方向D2にめくれ易くなる。なお、外縁領域R1は、テープ部材の両方の側縁60Cのうち少なくとも一方に設けられていればよい。
また、非固定部64は、テープ部材60の他端60B側にも設けられてよい。より詳細には、非固定部64は、第1方向D1の他端60Bを含む他端領域R2に設けられてよい。なお、非固定部64の少なくとも一部が、テープ部材60の第1方向D1の中心よりも他端60B側に配置されていてもよい。また、非固定部64は、他端領域R2において、テープ部材60の第2方向D2の全域に配置されてよい。固定部61と反対側に位置する他端領域において、第2方向D2の全域に非固定部が配置されているため、固定部61と反対側では、裏面シート22に対してテープ部材60が浮き上がり易い。よって、使用者は、テープ部材60の存在をより容易に認識でき、また使用時に掴み易くなる。好適には、他端領域R2の第1方向の長さは、テープ部材の第1方向の全域に対する20%であってよく、10mm~30mmであってよい。他端領域R2の第1方向D1の長さが10mm未満であると、テープ部材60の肌対向面側T1と非肌対向面側T2を指と指で摘まむように掴み難く、他端領域R2の第1方向D1の長さが30mmを超えると、テープ部材60が第1方向D1にめくれ易くなる。
次いで、このように構成された吸収性物品の使用態様の一例について説明する。使用者が吸収性物品10を使用する際は、包装シート80を展開し、本体部20の粘着部70と包装シート80を剥離させる。これにより、本体部20の粘着部70が露出する。また、テープ部材60は、固定部61及び仮固定部62を介して裏面シート22に接合されている。次いで、下着などの着用物品に粘着部70を止め、吸収性物品10を使用する。吸収性物品10の使用後に、本体部20を着用物品から引き剥がす。吸収性物品10の肌対向面を内側にして、吸収性物品10の前端縁側(テープ部材が配置されていない側)から吸収性物品10を丸める。テープ部材60の非固定部64を把持し、裏面シート22から離れる側に引っ張ることにより、仮固定部62が裏面シート22から剥がれる。この状態では、テープ部材60は、固定部61のみ裏面シート22に接合されている。固定部61を基点に非固定部64を折り返すことにより、テープ部材60の少なくとも一部が本体部20の外縁20Eよりも外側に延出する。外側に延出させたテープ部材60を粘着部70等に止着することによって、吸収性物品10を丸めた状態に維持することができる。
後処理用のテープ部材60を使用する際に、固定部61において裏面シート22に対してテープ部材60を接合しつつ、仮固定部62において裏面シート22に対してテープ部材60を剥がして使用することができる。使用前は、仮固定部62によってテープ部材60を裏面シート22に接合しており、テープ部材60が使用前に意図せずに折れたり剥がれたりする不具合を抑制できる。よって、吸収性物品の廃棄前に後処理用のテープ部材60を保護し、廃棄時にテープ部材60によって清潔に廃棄できる。
仮固定部62は、使用時に裏面シート22に対して剥離可能であるが、使用前に裏面シート22に接合されている。そのため、使用前にテープ部材60の存在を使用者が認識できなかったり、使用時に使用者がテープ部材60を掴み難くなったりすることがある。非固定部64は、固定部61の両側に設けられている。非固定部64は、裏面シート22に接合されず、固定部61を基点として裏面シート22に対して浮き上がり易い。特に、吸収性物品10の廃棄する際に吸収性物品を丸めたり、折ったりして吸収性物品を曲線状に変形させることによって非固定部64が裏面シート22に対して浮き上がり易い。テープ部材60が浮き上がることにより、テープ部材60が目立ち易くなる。使用者は、テープ部材60の存在を容易に認識でき、また使用時に掴み易くなる。
テープ部材60は、本体部20の外縁20Eよりも外側に延出可能に構成されてよい。本実施の形態のテープ部材60は、固定部61を基点に非固定部64が折り返されることにより、非固定部64の少なくとも一部が本体部20の外縁20Eよりも外側に延出する。図2に示すように、テープ部材60は、折り返されていない状態において、本体部20の外縁20Eよりも内側に配置されてもよい。テープ部材60は、肌対向面側から見ると、本体部20に隠れた状態であってもよい。図4に示すように、テープ部材60は、折り返された状態において、本体部20の外縁20Eよりも外側に延出してもよい。使用者は、吸収性物品10の使用後に本体部20を前後方向Lに巻いた後、テープ部材60を本体部20の外縁20Eよりも外側に延出させ、本体部20にテープ部材60を止着することができる(図4参照)。
他の形態として、テープ部材は、伸長方向に伸長可能に構成されてもよい。この場合、使用者がテープ部材を引っ張ることによって、テープ部材が本体部20の外縁20Eよりも外側に延出する。ここで、「伸長」とは、「弾性変形」又は「塑性変形」による伸長を含む。一例として、テープ部材60は、伸縮性シート、フィルムから構成されていてよい。更に別の例として、テープ部材は、Z型に折り畳まれたシートから構成されていてもよい。この場合、使用者がテープ部材60の先端を引っ張ることによって、折り畳まれたテープ部材60が展開され、これによりテープ部材60が本体部20の外縁20Eよりも外側に延出する。
このような構成によれば、吸収性物品10の使用中においては、テープ部材60は、裏面シート22の非肌対向面側で本体部20の外縁20Eよりも内側に配置されているため、経血のような体液が付されない。使用者は、吸収性物品10の使用後に、外側に延出させたテープ部材60を粘着部70等に止着することによって、吸収性物品10を丸めた状態に維持することができる。ここで、テープ部材60に経血のような体液が付着しないため、テープ部材60と粘着部70との接合力の低下、又はテープ部材60の止着手段の接合力の低下を防止することができる。
さらに、吸収性物品10の使用中においては、テープ部材60は、裏面シート22の非肌対向面側に設けられ、本体部20の外縁20Eより外側へ延びていないため、テープ部材60は、着用者の肌に直接当たらない。したがって、使用中の違和感や不快感を低減することができる。
図7は、テープ部材60の折り返し態様を説明するための図である。図7(a)は、テープ部材60が第1方向D1に沿って折り返された状態の図である。図7(b)は、比較例に係るテープ部材60が第1方向D1に対して傾斜する方向に沿って折り返された状態の図であり、図7(c)は、本実施の形態に係るテープ部材60が第1方向D1に対して傾斜する方向に沿って折り返された状態の図である。比較例に係るテープ部材60は、テープ部材60の第2方向D2の全域に固定部61が設けられている。
テープ部材60を折り返す際は、固定部61を起点に折り返す。このとき、図7(a)に示すように、テープ部材60が第1方向D1に沿って折り返されると、テープ部材60の折り基点は、固定部61の他端60B側の端縁61Bである。また、使用者によっては、テープ部材60を折り返す際に、第1方向D1に沿ってテープ部材60を折り返さずに、第1方向D1に傾斜する方向に折り返すことがある。図7(b)に示すように、比較例に係るテープ部材600が第1方向D1に対して傾斜する方向に沿って折り返されると、テープ部材600の折り基点は、固定部610の他端600B側の端縁と側縁600Cとが交差する交点C1となる。一方、図7(c)に示すように、実施の形態に係るテープ部材60が第1方向D1に対して傾斜する方向に沿って折り返されると、テープ部材60の折り基点は、固定部61の他端60B側の端縁と固定部61の側縁60C側の端縁とが交差する交点C2となる。交点C2は、交点C1よりも第2方向D2の内側に位置する。このように、非固定部64が固定部61の第2方向D2の両側に設けられていることにより、テープ部材60を折り返して使用する形態において、折り返す方向の制限が少なくなり、テープ部材60の配置の自由度が高くなる。
また、粘着部70の着用物品に対する接合強度は、仮固定部62の裏面シート22に対する接合強度よりも高くてよい。接合強度は、次の接着性及び剥離音のいずれか一方によって規定できる。
(1) 接着性
まず、粘着部の着用物品に対する接着性は、次のように測定できる。
吸収性物品を以下の各種布に貼り、2kgのローラーをその上から1往復して接着させた。接着後(20秒以内)に、布と貼り合せた吸収性物品を室温状態でプッシュブルゲージを用いて、吸収性物品側をプッシュブルゲージに接合し、通常手で剥がすスピード(2000mm/分相当)で、手で剥がし、その時の最大荷重を測定した。
a . :巾70mm×長さ200mmのカナキン基布(日本規格協会、かなきん3号)
また、仮固定部62の裏面シート22に対する接着性は、次のように測定できる。
手順1として、テープ部材60と裏面シート22を100×100mmに切り取る。手順2として、チャック間を調整した引張試験機(インストロンジャパンカンパニイリミテッド製、型式5543)の片側テープ部材を、もう一方に裏面シートをはさみ、100mm/min.のスピードで引っ張る。その時の最大荷重を測定し、N/25mmに換算した結果を仮固定部の接合強度とする。
(2)剥離音
無音室(環境条件:室温成り行き)にて通常剥がすスピード(300mm/min.相当)で、手で剥がし、剥離時の音圧(dB)を測定し、最大値を剥離音とした。測定にはリオン製のS A-27 1/3オクターブ実時間分析器を用いて、マイクとの距離を30cm 前後に設定して25Hz~20000Hzまでの周波数での音圧レベルを測定した。
どちらもn=10の結果の平均値を用いている。
このように測定した剥離音の音圧レベルが高いことにより、接着強度が高いとする。
吸収性物品の使用時には、粘着部70によって吸収性物品10を着用物品に接合する。吸収性物品の使用時には、粘着部70によって吸収性物品を着用物品に接合する。粘着部の接合強度を確保することにより、使用時に意図せずに吸収性物品が着用物品から剥がれることを抑制できる。また、吸収性物品の使用後に、着用物品から吸収性物品を剥がす際は、一般的に着用者の両手が空いている状態であり、例えば、一方の手で着用物品を抑え、他方の手で吸収性物品を把持し、両手を使用して吸収性物品を着用物品から剥がすことができる。よって、粘着部の接合強度を高くしても、吸収性物品を着用物品から円滑に剥がすことができる。
一方、テープ部材60は、吸収性物品全体と比較して小さい。そのため、使用者が掴み難く、仮固定部62の接合を外し難いことがある。仮固定部62の接合強度が比較的低いため、容易に仮固定部62の接合を外して、テープ部材60を用いて清潔に廃棄できる。また、吸収性物品の廃棄時は、吸収性物品を丸める等小さくした状態で、テープ部材60によって当該状態を維持するようにテープ部材60を止める。テープ部材60を止める際は、一般的に片手のみ空いている状態であり、例えば、一方の手で吸収性物品を小さくした状態で保持し、他方の手でテープ部材60の仮固定部62の接合を外すなどの操作を行う。仮固定部62の接合強度を低くすることにより、片手でも円滑にテープ部材60の操作を行うことができる。
テープ部材60の非肌対向面の摩擦係数は、裏面シート22の非肌対向面の摩擦係数よりも高くてよい。テープ部材60の摩擦係数が比較的高いため、使用者は、テープ部材60を把持し易く、テープ部材60の操作性が向上する。また、着用物品に吸収性物品を装着した状態で、テープ部材60が着用物品に対してずれ難く、意図せずにテープ部材60が折れたり曲がったりする不具合を抑制できる。当該摩擦係数は、JIS P 8147の3.1頁に記載の方法に準拠して測定した動摩擦係数であってよい。
また、変形例において、裏面シート22の非肌対向面の摩擦係数は、テープ部材60の非肌対向面の摩擦係数よりも高くてよい。裏面シート22の摩擦係数が比較的高いため、着用物品に吸収性物品を装着した状態で、テープ部材60の周囲において裏面シート22が着用物品に対してずれ難く、意図せずにテープ部材60が折れたり曲がったりする不具合を抑制できる。
仮固定部62は、吸収コア23の外縁を跨がって配置されてよい。吸収コア23の外縁は、厚さ及び剛性が変化する境界である。仮固定部62が吸収コア23の外縁に重なることにより、テープ部材60の厚み方向に変形、及びそれに伴うテープ部材60のめくれを抑制できる。
テープ部材60は、本体部20の前後方向Lの中心よりも後側に設けられていることが好ましい。使用者は、通常吸収性物品10を丸める際に、吸収性物品10の前端縁E1又は後端縁かE2から前後方向Lに丸め始める。そのうち、約8割の使用者は、吸収性物品10の前端縁E1から丸め始める。よって、テープ部材60は、前後方向Lの中心に対して後側に位置する領域に設けられていることが好ましい。テープ部材60の少なくとも一部は、吸収コア23の後端縁を跨いで、または吸収コアの後端縁よりも後側に配置されてよい。
好ましくは、テープ部材60は、第1折り目F1~第2折り目F2のうちの最も後側の第2折り目F2よりも後側に設けられてよい。上述のように、約8割の使用者は、使用後の吸収性物品10を前側から巻き始める。テープ部材60が第2折り目F2よりも後側に設けられていることにより、多くの使用者は、吸収性物品10の前端縁E1から丸め始め、巻き終わり部分をテープ部材60によって止着できる。
本実施の形態の吸収性物品の具体的な構成の一例を示す。表面シートは、目付30g/m2のエアースルー不織布(PE/PET)によって構成されてよい。表面シートと吸収コアの間にセカンドシートが設けられてよい。セカンドシートとしては、表面シートと同様の材料によって構成されてよい。本体部の幅方向の外側には、表面シートが配置されず、サイドシートが配置されてもよい。サイドシートとしては、目付13g/m2のSMS不織布(PP)によって構成されてよい。吸収コアの吸収材料は、針葉樹クラフトパルプと高吸収ポリマーによって構成されてよい。吸収材料全体の重量に対する高吸収ポリマーの重量の比率は、10%であってよい。排泄口対向域S1を含む領域の吸収コアの目付は、周囲の吸収コアの目付よりも高く構成されてよい。排泄口対向域S1を含む領域の吸収コアの目付は、950g/m2であってよく、周囲の吸収コアの目付は、300g/m2であってよい。裏面シートは、目付23.5g/m2のポリエチレンフイルム(非通気タイプ)によって構成されてよい。吸収性物品は、表面シートと吸収コアが厚み方向に圧搾された圧搾部が形成されていてもよい。本体粘着部は、ゴム系のホットメルト型接着剤によって構成されてよい。本体粘着部の目付は、27g/m2のであってよい。本体粘着部は、幅方向に空けて6本設けられてよい。各本体粘着部の幅方向の長さは、5mm、各本体粘着部の前後方向の長さは、320mmであってよい。吸収性物品の前後方向の長さは、420mm、吸収性物品の幅方向の長さは、200mmであってよい。後処理用のテープ部材60の第1層は、目付10g/m2のポリプロピレン層、10g/m2のスチレン系ゴム層、及び目付10g/m2のポリプロピレン層の積層によって構成されてよい。テープ部材60の前後方向の長さは、55mm、テープ部材60の短手方向の長さは、25mmであってよい。テープ部材60は、60g/m2のゴム系のホットメルト型接着剤によって本体部に接合されてよい。接着剤は、幅21mm、かつ長さ12mmの範囲で塗布されてよい。テープ部材は、ピンク色のウレタン系インクを用いた印刷層を有してよい。
次いで、変形例に係る吸収性物品について説明する。変形例の説明において、上述の実施の形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。図8は、変形例1に係る吸収性物品10Aの非肌対向面側から見た平面図である。変形例1に係る吸収性物品10Aは、粘着部の一部が仮固定部62を構成している。変形例1に係る吸収性物品10Aは、粘着部が幅方向に延びており、前後方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の粘着部のうち、最も後側に位置する粘着部70は、粘着部の一部は、仮固定部62を構成している。変形例にかかる吸収性物品によっても、後処理用のテープ部材60を使用する際に、固定部61において裏面シートに対してテープ部材60を接合しつつ、仮固定部62において裏面シートに対してテープ部材60を剥がして使用することができる。使用前は、仮固定部62によってテープ部材60を裏面シートに接合しており、テープ部材60が使用前に意図せずに折れたり剥がれたりする不具合を抑制できる。
仮固定部62は、テープ部材60の他端側に設けられてよい。非固定部は、第1方向D1における固定部61と仮固定部62の間と、固定部61の第1方向D1の外側と、に設けられていてよい。使用者は、テープ部材60の側縁60Cに設けられた非固定部64を掴んだり、固定部61と仮固定部62の間の非固定部64に指などを引っかけたりすることによって、裏面シート22から仮固定部62を剥がし、テープ部材によって吸収性物品10Aを丸めた状態で維持できる。
なお、変形例1に係る吸収性物品において、仮固定部を構成する粘着部70は、仮固定部を構成しない他の粘着部と同じ接着剤によって構成されていてもよいし、他の粘着部と異なる接着剤によって構成されていてもよい。
次いで、図9に基づいて、変形例2に係る吸収性物品10Bについて説明する。変形例2に係る吸収性物品10Bのテープ部材60は、折り目を跨いで配置されている。具体的には、吸収性物品10Bは、第2折り目F2よりも後側に幅方向に延びる第5折り目F5を有する。第5折り目F5は、もっとも後側に位置する折り目である。当該第5折り目F5とテープ部材60は、厚さ方向において重なっている。テープ部材60には、第5折り目F5による折り癖が形成されている。変形例2に係る吸収性物品10Bによれば、吸収性物品10Bを展開した際(使用時や廃棄時)にテープ部材60が折り癖によって裏面シート22から浮き上がりやすい。よって、使用者は、テープ部材60の存在に気づきやすく、また、テープ部材60を掴み易くなる。
第5折り目F5は、テープ部材60の非固定部64及び仮固定部62に跨がっていることが好ましい。すなわち、第5折り目F5は、第1方向D1において固定部61が設けられていない領域(非固定部及び仮固定部が設けられた領域)に設けられていることが好ましい。図9において、第1方向D1において固定部が設けられていない領域に符号69を付している。当該領域69は、固定部61の他端側の端縁と、テープ部材60の他端60Bと、の間の領域である。当該領域69に折り癖がつくことにより、使用者は、テープ部材60の存在により気づきやすく、また、テープ部材60をより掴み易くなる。領域69において、第5折り目F5と固定部の反対側の端縁(本実施の形態の他端60B)との距離L2は、第5折り目F5と固定部61の距離L1よりも短いことが好ましい。折り癖を基点にテープ部材がより立ち上がり易くなる。
なお、テープ部材に重なる折り目は、第5折り目に限られず、他の折り目であってもよく、吸収性物品のみを折り畳むための折り目であってもよいし、吸収性物品と包装シートを折り畳むための折り目であってもよい。
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。例えば、第1方向は、幅方向であり、第2方向は、前後方向であってもよい。