JP7173070B2 - 酸化物半導体素子及び酸化物半導体素子の製造方法 - Google Patents

酸化物半導体素子及び酸化物半導体素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化物半導体素子及び酸化物半導体素子の製造方法に関する。
p型半導体とn型半導体とを接合したpn接合素子は、電子回路の整流素子、フォトダイオードや太陽電池等の主要な光デバイスに用いられ、現代のエレクトロニクス/オプトエレクトロニクスにおける基幹デバイスである。
通常のpn接合素子は、シリコンなどの単結晶半導体から作製され、p型及びn型の単結晶半導体が格子整合状態で接合されることで高い整流性が得られる。しかし、単結晶半導体を用いる場合は、結晶成長やイオン注入等の煩雑な工程が必要となり、低コストでの製造が困難である。また、単結晶半導体を用いたpn接合素子では、フレキシブル性や透明性等といった新たな付加価値を付与することが困難であるという課題があった。
単結晶半導体を用いないpn接合素子として、有機半導体を用いたpn接合素子が知られている。
有機半導体は溶液塗布プロセスにより作製することが可能であるため、製造工程の簡易化やpn接合素子へのフレキシブル性の付与といった点でメリットがあり、幅広い応用が期待される。特に、ロール・ツー・ロールプロセスで作製される有機半導体のpn接合素子には、太陽電池を始めとする多くの用途が見込まれ、有望視されている。しかし、有機半導体のpn接合素子は耐候性が低いという課題があった。
有機半導体よりも耐候性に優れるpn接合素子として、酸化物半導体を用いたpn接合素子が知られている。例えば、非特許文献1には、スパッタリング法を用いて、p型の酸化物半導体である酸化スズ(p-SnO)とn型の酸化物半導体である酸化亜鉛(n-ZnO)とを接合したpn接合素子を製造する方法が開示されている。
溶液塗布プロセスを用いた酸化物半導体のpn接合素子の製造方法も知られている。溶液塗布プロセスを用いることで、材料の制約が緩和されて、種々の機能性デバイスを提供できる。
例えば、非特許文献2には、ゾルゲル法を用いて、p型の酸化物半導体である酸化銅(p-CuO)と、n型の酸化物半導体である酸化亜鉛(n-ZnO)とを接合したpn接合素子を製造する方法が開示されている。
K.C.Sanal et、al., Mater.Sci.Eng.B 178(2013) p.816-821. S.Mridha et al., Semicond.Sci.Technol. 21(2006) p.928-932.
しかしながら、上述した酸化物半導体のpn接合素子の製造方法はいずれも、整流性の高いpn接合素子が得られないという課題があった。
例えば、スパッタリング法を用いて製造された非特許文献1に記載の素子の整流比は12程度であり、整流素子として充分な性能が得られているとは言い難い。
また、非特許文献2が開示する素子の室温における整流比は1であり、整流素子として用いることができない。これは、溶液塗布プロセスによる酸化物半導体のpn接合素子の製造にあたっては、接合界面が多結晶の酸化物半導体で構成されるため、格子整合のミスマッチに由来する界面欠陥が多数存在し、高い整流性が得られないものと推測される。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、整流性及び耐候性に優れた酸化物半導体素子を提供することを目的とする。
本発明の酸化物半導体素子は、第1酸化物半導体粒子を含む第1酸化物半導体層と、第2酸化物半導体粒子を含む第2酸化物半導体層とが対向して配置される酸化物半導体素子であって、上記第1酸化物半導体粒子と上記第2酸化物半導体粒子は異なる組成であり、上記第1酸化物半導体層及び上記第2酸化物半導体層のうち、少なくとも一方の層の単位厚さあたりの拡面率が5π/8×10[m-1]以上であることを特徴とする。
本発明の酸化物半導体素子の製造方法は、表面に表面修飾剤が配置された酸化物半導体ナノ粒子が溶媒中に分散したコロイダルナノ粒子溶液を調製するコロイダルナノ粒子溶液調製工程と、上記コロイダルナノ粒子溶液を基材に塗布した後に加熱して、酸化物半導体層を得る加熱工程とを含み、上記加熱工程における加熱温度を、上記酸化物半導体層の単位厚さあたりの拡面率が5π/8×10[m-1]以上となるような温度に設定することを特徴とする。
本発明によれば、整流性及び耐候性に優れた酸化物半導体素子を提供することができる。
図1は、本発明の酸化物半導体素子の一例を示す模式図である。 図2は、本発明の酸化物半導体素子の別の一例を示す模式図である。 図3は、酸化銅ナノ粒子のTGチャートである。 図4は、酸化亜鉛ナノ粒子のTGチャートである。 図5は、実施例1~5に係る酸化物半導体素子の電流電圧特性を示す図である。 図6は、比較例1~4に係る酸化物半導体素子の電流電圧特性を示す図である。
以下、本発明の酸化物半導体素子及び本発明の酸化物半導体素子の製造方法について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
[酸化物半導体素子]
本発明の酸化物半導体素子は、第1酸化物半導体粒子を含む第1酸化物半導体層と、第2酸化物半導体粒子を含む第2酸化物半導体層とが対向して配置される酸化物半導体素子であって、上記第1酸化物半導体粒子と上記第2酸化物半導体粒子は異なる組成であり、上記第1酸化物半導体層及び上記第2酸化物半導体層のうち、少なくとも一方の層の単位厚さあたりの拡面率が5π/8×10[m-1]以上であることを特徴とする。
図1は、本発明の酸化物半導体素子の一例を示す模式図である。
図1に示すように、酸化物半導体素子1では、第1酸化物半導体層10と第2酸化物半導体層20が対向して配置されている。
第1酸化物半導体層10及び第2酸化物半導体層20にはそれぞれ配線40が接続されており、pn接合素子として機能する。
第1酸化物半導体層は、第1酸化物半導体粒子を含む層である。
第2酸化物半導体層は、第2酸化物半導体粒子を含む層である。
第1酸化物半導体粒子と第2酸化物半導体粒子は、互いに異なる組成である。
第1酸化物半導体層と第2酸化物半導体層は、いずれか一方がn型の酸化物半導体層であり、他方がp型の酸化物半導体層である。
以下、第1酸化物半導体層がn型の酸化物半導体層であり、第2酸化物半導体層がp型の酸化物半導体層である場合について説明する。ただし、本発明の酸化物半導体素子では、第1酸化物半導体層がp型の酸化物半導体層であり、第2酸化物半導体層がn型の酸化物半導体層であってもよい。
n型の酸化物半導体としては、ZnO,TiO,SnO,In,ThO,Al,Nb,Ta,V,BaTiO,SrTiO,PbCrO,CeO,WO等が挙げられる。
また、BaTiOにLaを添加したLaBa(1-x)TiOのように上記酸化物に不純物を添加したものであってもよい。これらの酸化物を構成する金属イオンに、原子価が+1価異なる金属イオンを不純物として添加することによってもn型の酸化物半導体が得られる。例えば、ZnOではZn2+イオンに対して原子価が+1価異なるAl3+イオンやGa3+イオンを添加する方法が挙げられる。
第2酸化物半導体層のp型酸化物半導体としては、CuO,CuO,NiO,CoO,FeO,MnO,Cr,MoO,Bi,LaCrO,LaMnO等が挙げられる。
また、これらの酸化物の構成金属イオンに原子価が-1価異なる金属イオンを不純物として添加することによってもp型半導体が得られる。例えば、NiOではNi2+イオンに対して原子価が-1価異なるLiイオンを添加する等が挙げられる。
なお、酸化物半導体粒子が上述した不純物を添加したものである場合、酸化物半導体粒子の組成が異なるとは、酸化物半導体粒子を構成する不純物以外の成分(主成分)の組成が異なることを意味し、不純物の組成は考慮しないものとする。
例えば、第1酸化物半導体粒子と第2酸化物半導体粒子で、主成分が異なるが不純物が同じである場合、第1酸化物半導体粒子と第2酸化物半導体粒子の組成は異なる。一方、第1酸化物半導体粒子と第2の酸化物半導体粒子の主成分が同じであっても不純物の組成が異なる場合には、第1酸化物半導体粒子と第2酸化物半導体粒子の組成は同じである。
n型酸化物半導体とp型酸化物半導体の組み合わせとしては、ZnO(n型)とCuO(p型)、ZnO(n型)とCuO(p型)の組み合わせ等が好ましい。
第1酸化物半導体層と第2酸化物半導体層のうち、少なくとも一方の層の単位厚さあたりの拡面率が、5π/8×10[m-1]以上である。
第1酸化物半導体層と第2酸化物半導体層のうち、少なくとも一方の層の単位厚さあたりの拡面率が上記値以上であると、第1酸化物半導体層と第2酸化物半導体層との境界において局所的に方位を揃えた状態で接合する酸化物半導体粒子の割合が増加するため、整流性の高い酸化物半導体素子となる。
酸化物半導体層の単位厚さあたりの拡面率Rは、以下の一般式(1)で表される。
R={4π(D/2)×[Ad/(D×A)]}/d (1)
[ただし、πは円周率、Aは酸化物半導体層同士の対向面積、dは酸化物半導体層の厚さ、Dは酸化物半導体粒子の平均粒子径である。]
本発明の酸化物半導体素子において、第1酸化物半導体層と第2酸化物半導体層のうち、少なくとも一方の層の単位厚さあたりの拡面率は、π×10[m-1]以上であることが好ましい。
第1酸化物半導体層及び第2酸化物半導体層の厚さは特に限定されないが、0.05μm以上、2.0μm以下であることが好ましい。
酸化物半導体層の厚さが0.05μm未満の場合、熱電子放出のかたちでキャリアが移動するため、空乏層が機能せず整流性が発現しづらい。一方、酸化物半導体層の厚さが2.0μmを超える場合、酸化物半導体層自体の抵抗が高まり、整流性が発現しづらい。
第1酸化物半導体層を構成する第1酸化物半導体粒子の平均粒子径は特に限定されないが、1nm以上、16nm以下であることが好ましい。また第1酸化物半導体粒子の平均粒子径は10nm以下であることがより好ましい。
また、第2酸化物半導体層を構成する第2酸化物半導体粒子の平均粒子径は特に限定されないが、1nm以上、16nm以下であることが好ましい。また第2酸化物半導体粒子の平均粒子径は10nm以下であることがより好ましい。
なお、単位厚さあたりの拡面率の算出に用いる第1酸化物半導体粒子の平均粒子径及び第2酸化物半導体粒子の平均粒子径は、本発明の酸化物半導体素子の表面又は破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察することにより求めることができる。
具体的には、SEMにより得られた拡大画像において、粒界によって区切られた領域を一つの酸化物半導体粒子とみなし、粒界を辺とみなした場合の対向する辺を結ぶ線分のうち長さの最も短い線分の長さを粒子径とする。無作為に選択した50個の粒子について上記の方法で求めた粒子径の平均値を、酸化物半導体粒子の平均粒子径とする。
なお、酸化物半導体素子の破断面を観察する場合、ダイサー等による機械的な面出しではなく、例えば手で割るなど素子に衝撃を与える方法が好ましい。表面観察の場合、素子の研磨は行わない。また観察中の素子の帯電防止のための導電コーティング等は、粒子径測定の弊害になるため施さないようにする。観察倍率については個々の粒子を識別しうる倍率であれば何倍であってもよい。
第1酸化物半導体粒子及び第2酸化物半導体粒子のうち、拡面率が5π/8×10[m-1]以上である層を構成する酸化物半導体粒子の表面が表面修飾剤で覆われていることが好ましい。
酸化物半導体粒子の表面が表面修飾剤で覆われていると、酸化物半導体粒子同士が、表面修飾剤を隔てて配置されることとなる。表面修飾剤を隔てて配置された酸化物半導体粒子同士は、粒子間の距離が極めて短くなるため、トンネル効果によってキャリア伝導が促進される。これによって、注入された少数キャリアの拡散長が長くなるという効果がもたらされる。さらに、表面修飾剤があることによって酸化物半導体粒子が持つ表面欠陥が不活性化されて、pn接合界面におけるキャリアの再結合が著しく抑制されるという効果がある。
表面修飾剤は、炭素、酸素及び水素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む有機化合物であることが好ましい。
また、表面修飾剤としては、ヒドロキシ基、アルデヒド基、カルボニル基、オキシカルボニル基、カルボキシ基、ニトロ基、アミノ基、スルホ基、アルキル基、ビニル基、フェニル基、ナフチル基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、アスタト基、エーテル結合、エステル結合等の官能基のうち少なくとも1つを含む化合物が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
酸化物半導体粒子の表面が表面修飾剤で覆われていること、及び、表面修飾剤の種類は、酸化物半導体粒子に対して、フーリエ変換型赤外分光(FT-IR)分析を行うことで特定することができる。
具体的には、表面修飾剤を構成する化合物の格子振動による赤外吸収ピークのパターンにより表面修飾剤の種類を特定することができる。
また、表面修飾剤を構成する化合物の格子振動に由来するピークの積分強度の、リファレンスの積分強度に対する比から、酸化物半導体粒子の表面が表面修飾剤で覆われているかどうかを判断することができる。
例えば、表面修飾剤がカルボキシ基を含む化合物である場合、炭素-酸素二重結合に由来した格子振動による赤外吸収ピークが1560cm-1近傍に現れる。ピーク波数に対して±300cm-1の領域について積分強度を計算しバックグラウンド強度を除去して格子振動由来のピーク積分強度(I)を得る。続いて、測定セルのブランクの積分強度を測定し、同じ波数帯の領域について積分強度を得て、リファレンスの積分強度(I)とする。リファレンスの積分強度(I)に対するピーク積分強度(I)の比S=I/Iが0.1未満の場合、表面修飾剤が完全に分解されていると考えることができる。すなわち、S=I/Iが0.1以上である場合には、酸化物半導体粒子の表面が表面修飾剤で覆われていると判断できる。
本発明の酸化物半導体素子においては、第1酸化物半導体層及び第2酸化物半導体層とは組成の異なる絶縁層を介して、第1酸化物半導体層及び第2酸化物半導体層が対向していてもよい。
図2は、本発明の酸化物半導体素子の別の一例を示す模式図である。
図2に示すように、酸化物半導体素子2では、絶縁層30を介して、第1酸化物半導体層10と第2酸化物半導体層20とが対向している。第1酸化物半導体層10及び第2酸化物半導体層20にはそれぞれ配線40が接続されている。絶縁層30の厚さがトンネル効果を示す程度に薄い場合には、第1酸化物半導体層10と第2酸化物半導体層20との間でキャリアの移動が発生し、pn接合素子として機能する。
絶縁層の厚さは1μm以下であれば動作するが、トンネル効果によりキャリアが通過できる程度であるほうがよく、5nm未満であることが好ましい。
絶縁層を構成する材料は特に限定されないが、SiO、Al等が挙げられる。
なお、ここでいう絶縁層とは、第1酸化物半導体層と第2酸化物半導体層の接合部分で電子と空孔が再結合することによって生じる空乏層とは異なるものである。
本発明の酸化物半導体素子は、順バイアス電圧(4V)で流れる電流値を逆バイアス電圧(-4V)で流れる電流値で除した値の絶対値である整流比が、3000以上であることが好ましい。
[酸化物半導体素子の製造方法]
本発明の酸化物半導体素子の製造方法は、表面に表面修飾剤が配置された酸化物半導体ナノ粒子が溶媒中に分散したコロイダルナノ粒子溶液を調製するコロイダルナノ粒子溶液調製工程と、上記コロイダルナノ粒子溶液を基材に塗布した後に加熱して、酸化物半導体層を得る加熱工程とを含み、上記加熱工程における加熱温度を、上記酸化物半導体層の単位厚さあたりの拡面率が5π/8×10[m-1]以上となるような温度に設定することを特徴とする。
本発明の酸化物半導体の製造方法においては、表面に表面修飾剤が配置された酸化物半導体ナノ粒子が溶媒中に分散したコロイダルナノ粒子溶液を用いる。表面に表面修飾剤が配置された酸化物半導体ナノ粒子は、比較的低温で表面修飾剤の一部が分解されるため、酸化物半導体層の単位厚さあたりの拡面率が5π/8×10[m-1]以上を保った状態で酸化物半導体層を形成することができる。
また、本発明の酸化物半導体素子の製造方法は、格子整合した状態のpn接合を作製する必要がないため、材料選択の制約が緩和されて、種々の機能性デバイスを提供することができる。さらに、溶液の塗布プロセスで製造できるため、安価かつ簡便に、大面積基板に対して酸化物半導体層を形成することができる。
[コロイダルナノ粒子溶液調製工程]
コロイダルナノ粒子溶液調製工程では、表面に表面修飾剤が配置された酸化物半導体ナノ粒子が溶媒中に分散したコロイダルナノ粒子溶液を調製する。
コロイダルナノ粒子溶液を調製する方法としては、例えば、金属カルボン酸塩と有機溶媒とを含む金属塩分散液に強塩基を添加して金属複塩分散液を調製し、これを100℃未満で加熱する方法が挙げられる。
コロイダルナノ粒子溶液調製工程においては、金属カルボン酸塩を構成する金属元素の価数をmとしたときに、金属カルボン酸塩の物質量に対して強塩基の物質量が0.4m以上、0.9m以下となるような量の強塩基を添加することが好ましい。
強塩基の添加量が0.4m未満の場合は、形成した金属複塩が酸化物に転化しにくい場合がある。一方、強塩基の添加量が0.9mを超える場合は、形成した金属複塩の分散性が充分ではない場合がある。
金属カルボン酸塩としては、例えば、酢酸銅(II)、酢酸亜鉛(II)、酢酸マンガン(II)、酢酸コバルト(II)、酢酸鉄(II)、酢酸インジウム(III)及び酢酸セリウム(III)等が挙げられる。これらの酢酸塩は水和物であってもよい。また、複数種類の金属元素を含んでいてもよい。
なお、金属カルボン酸塩に、価数が異なる2種以上の金属元素が含まれる場合には、各金属元素の金属元素全体における存在割合[mol%]に各金属元素の価数を乗じたものの総和を、金属カルボン酸塩を構成する金属元素の価数mとする。
有機溶媒の種類は特に限定されないが、Snydelの極性パラメータが3.5以上の有機溶媒であることが望ましい。
Snydelの極性パラメータが3.5以上の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、1-メチル-2ピロリドン(NMP)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、ピリジン等が挙げられる。
強塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)等の第4級アンモニウム水酸化物、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(ジアザビシクロウンデセン又はDBUともいう)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(ジアザビシクロノネン又はDBNともいう)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン及び7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン等のアミジン骨格を有する有機塩基、並びに、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(テトラメチルグアニジン又はTMGともいう)等のグアニジン骨格を有する有機塩基等が挙げられる。
これらの中では、アミジン骨格又はグアニジン骨格を有する有機塩基が好ましく、ジアザビシクロウンデセンがより好ましい。
金属カルボン酸塩と有機溶媒とを含む金属塩分散液に強塩基を添加することで、金属カルボン酸塩と強塩基とが反応して金属複塩が形成される。
金属複塩は、M(RCOO)m-x-y(OH)(HO)[ただし、Mは金属元素、Rは水素原子又はアルキル基、Aはアニオン、mは金属元素Mの価数、0<x+y<m、x>0、y≧0、z≧0である。]で表される組成を有することが好ましい。
上記組成を有する金属複塩は、カルボキシレート(RCOO)を有するため、有機溶媒に対する親和性に優れ、有機溶媒中での分散性が高い。また、水酸化物イオン(OH)を有しているため、100℃未満の加熱で容易に酸化物に転化できる。
金属複塩を構成する官能基Rは、水素原子、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基及びイソプロピル基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を含むことが好ましい。
これらのなかでは、メチル基が好ましい。
また、金属複塩分散液においては、Rが異なる2種以上の複塩の混合物であってもよい。
金属複塩を構成するアニオンAとしては塩化物イオン(Cl)、硝酸イオン(NO )、炭酸イオン(CO 2-)、硫酸イオン(SO 2-)等が挙げられる。
アニオンAの割合が多いと、カルボキシレートの割合が相対的に低下することによって複塩の分散性が低下する。従って、yは0以上、1以下であることが好ましい。
金属複塩を示す組成式中、zは水和水の結合数を示す。
水和水の結合数が多いと、複塩の分散性が悪化する。そのため、zは0以上、4以下であることが好ましい。
金属複塩分散液は、有機溶媒と金属複塩の他に、カルボン酸と強塩基の塩や金属カルボン酸塩が含まれていてもよい。
カルボン酸と強塩基の塩は、金属複塩分散液を製造する過程で生成する副生成物である。
金属カルボン酸塩は、金属複塩分散液を製造する過程で使用される未反応の原料である。
カルボン酸と強塩基の塩としては、例えば、酢酸テトラメチルアンモニウム、酢酸ジアザビシクロウンデセン、酢酸ジアザビシクロノネン、酢酸テトラメチルグアニジン、酢酸テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。
これらの中では、酢酸ジアザビシクロウンデセンが好ましい。
また、金属塩分散液を準備する方法として、金属カルボン酸塩を用いない方法を用いてもよい。
金属カルボン酸塩を用いないで金属塩分散液を準備する場合、例えば、金属カルボン酸塩以外の金属塩(例えば、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩等)と、カルボン酸化合物と、有機溶媒とを混合すればよい。
金属塩分散液に強塩基を添加する工程では、金属塩分散液を混合しながら、強塩基を滴下することが好ましい。
強塩基は、有機溶媒に溶解又は分散させた状態で金属塩分散液に添加してもよい。
添加する強塩基は1種類であってもよいし、2種以上であってもよい。
上記手順により、有機溶媒及び金属複塩を含む金属複塩分散液が得られる。
この金属複塩分散液を100℃未満で加熱することによって、金属複塩が酸化物半導体ナノ粒子に転化する。ただし、転化は完全には進行しないため、酸化物半導体ナノ粒子の表面には表面修飾剤が配置されたままとなる。
金属複塩分散液を加熱する際、必要に応じて水を添加してもよい。
すなわち、コロイダルナノ粒子溶液を構成する溶媒は、金属複塩分散液を得る際に用いられた有機溶媒であってもよく、該有機溶媒と水との混合物であってもよい。
コロイダルナノ粒子溶液においては、酸化物半導体ナノ粒子が溶媒中に単分散していることが好ましい。
なお、単分散とは、酸化物半導体ナノ粒子同士が凝集及び沈降することなく長時間安定して溶液中に分散している状態を指す。
コロイダルナノ粒子溶液を塗布する方法は特に限定されないが、スピンコート法等が挙げられる。
スピンコート法によるコロイダルナノ粒子溶液の塗布は、複数回行ってもよい。
[加熱工程]
加熱工程では、コロイダルナノ粒子溶液を基材に塗布した後に加熱して、酸化物半導体層を得る。
加熱工程における加熱温度は、酸化物半導体層の単位厚さあたりの拡面率が5π/8×10[m-1]以上となるような温度に設定する。
コロイダルナノ粒子溶液を塗布する基材の種類は特に限定されない。
基材は、酸化物半導体素子の電極となる基板であってもよいし、加熱工程で得られる酸化物半導体層とは別の酸化物半導体層であってもよいし、第1酸化物半導体層と第2酸化物半導体層の間に配置される絶縁層であってもよい。
また、コロイダルナノ粒子溶液が塗布される酸化物半導体層及び絶縁層は、加熱工程が行われる前の状態であってもよい。
加熱温度は、酸化物半導体ナノ粒子の表面に配置された表面修飾剤が完全には分解しない温度に設定することが好ましい。
表面修飾剤が完全に分解する温度は、酸化物半導体ナノ粒子における熱重量分析(TG)により確認することができる。具体的には、乾燥状態の酸化物半導体ナノ粒子を室温から600℃まで大気中で昇温した際の重量減少率を測定し、600℃の時点における重量減少率の95%の重量減少率に到達する温度を、表面修飾剤が完全に分解する温度とする。
加熱温度は、TGにより測定される重量減少率が、600℃の時点における重量減少率の5%以上、95重量%未満となる温度であることが好ましい。
加熱温度が、TGにより測定される重量減少率が、600℃の時点における重量減少率の5%未満となる温度であると、酸化物半導体ナノ粒子の表面に配置された表面修飾剤が多すぎて、表面修飾剤によって酸化物半導体粒子同士のキャリア伝導が著しく阻害されてしまい、充分な整流性を発現しない場合がある。一方、加熱温度が、TGにより測定される重量減少率が、600℃の時点における重量減少率の95%以上となる温度であると、表面修飾剤が完全に分解してしまい、キャリア伝導の促進や再結合の抑制といった効果を発揮できなくなる。
上述したコロイダルナノ粒子溶液調製工程及び加熱工程によって、単位厚さあたりの拡面率が5π/8×10[m-1]以上となる酸化物半導体層を備えた酸化物半導体素子を得ることができる。
なお、本発明の酸化物半導体素子の製造方法においては、酸化物半導体素子に必要な2つの酸化物半導体層のうち片方の酸化物半導体層だけを形成してもよいし、両方の酸化物半導体層を形成してもよい。
第1酸化物半導体層と第2酸化物半導体層の両方を形成する場合、加熱工程を複数回行ってもよい。
例えば、基材上に第1酸化物半導体層となるコロイダルナノ粒子溶液を塗布し、加熱して第1酸化物半導体層を作製した後に、第1酸化物半導体層の表面に第2酸化物半導体層となるコロイダルナノ粒子溶液を塗布し、加熱して第2酸化物半導体層を作製してもよい。
第1酸化物半導体層と第2酸化物半導体層の両方を1回の加熱工程で形成してもよい。
例えば、第1酸化物半導体層となるコロイダルナノ粒子溶液を基材上に塗布し、その上にさらに第2酸化物半導体層となるコロイダルナノ粒子溶液を塗布し、加熱することで第1酸化物半導体層と第2酸化物半導体層の両方を1回の加熱工程で形成することができる。
絶縁層は、第1酸化物半導体層及び第2酸化物半導体層とは別に形成してもよいし、第1酸化物半導体層及び/又は第2酸化物半導体層と同時に形成してもよい。
第1酸化物半導体層及び第2酸化物半導体層とは別に絶縁層を形成する場合には、例えば、絶縁層となる絶縁材料を溶媒に分散させた分散液を調製し、これを第1酸化物半導体層又は第2酸化物半導体層の表面に塗布し、加熱する方法が挙げられる。
第1酸化物半導体層及び/又は第2酸化物半導体層と同時に絶縁層を形成する場合には、例えば、第1酸化物半導体層又は第2酸化物半導体層のうちの一方の酸化物半導体層となるコロイダルナノ粒子溶液を基材上に塗布し、その上に絶縁層となる絶縁材料分散液を塗布し、加熱する方法が挙げられる。
絶縁層となる絶縁材料の分散液を塗布した表面に、さらに他方の酸化物半導体層となるコロイダルナノ粒子溶液を塗布した後に加熱してもよい。
以下、本発明の酸化物半導体素子及び本発明の酸化物半導体素子の製造方法をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
<亜鉛溶液の製造>
まず、酢酸亜鉛(II)[ナカライテスク製]4.39gにエタノール[超脱水グレード、富士フイルム和光純薬(株)製]38.79mLを加えて室温で混合した。この溶液に1.21mLの2-アミノエタノール[ナカライテスク製]を滴下しながら室温で混合することで、亜鉛溶液を得た。
<酸化銅コロイダルナノ粒子溶液の製造>
酢酸銅(II)一水和物[富士フイルム和光純薬(株)製]0.83gにエタノール[超脱水グレード、富士フイルム和光純薬(株)製]37.98mLを加えて室温で混合した。この溶液にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の25%メタノール溶液[シグマアルドリッチ社製]0.21mLと1.05mLの水を滴下しながら室温で混合することで、酢酸銅(II)と強塩基であるTMAHとが反応した金属複塩を含む金属複塩分散液を得た。この金属複塩分散液を75℃で加熱撹拌することにより、酸化物半導体ナノ粒子である酸化銅ナノ粒子が有機溶媒中に単分散した、酸化銅コロイダルナノ粒子溶液を得た。
<表面修飾剤の分解挙動の測定>
酸化銅コロイダルナノ粒子溶液を乾燥させて得られた酸化銅ナノ粒子を、熱重量分析(TG)装置を用いて大気中で室温から600℃まで昇温し、重量減少率を測定した。結果を図3に示す。図3は、酸化銅ナノ粒子のTGチャートである。
図3に示すように、酸化銅ナノ粒子の600℃における重量減少率は19.28重量%であった。従って、重量減少率が19.28重量%の95%(18.29重量%)となる温度が、表面修飾剤が完全に分解する温度である。従って、酸化銅ナノ粒子における表面修飾剤が完全に分解する温度は300℃と判断した。
<実施例1>
電極となる基板に、亜鉛溶液をスピンコート法で10回塗布し、大気中400℃で加熱することで酸化亜鉛粒子を含む第1酸化物半導体層を得た。第1酸化物半導体層を構成する酸化亜鉛粒子の平均粒子径は34.2nmであった。
続いて、第1酸化物半導体層の表面に、酸化銅コロイダルナノ粒子溶液をスピンコート法で10回塗布し、大気中150℃で加熱することによって、第1酸化物半導体層上に第2酸化物半導体層を形成した。第2酸化物半導体層を構成する酸化銅粒子の平均粒子径は5.9nmであった。
第2酸化物半導体層の表面に電極を形成し、実施例1に係る酸化物半導体素子を得た。
<実施例2>
第2酸化物半導体層を得る際の加熱温度を200℃に変更したほかは、実施例1と同様の手順で実施例2に係る酸化物半導体素子を得た。
<実施例3>
第2酸化物半導体層を得る際の加熱温度を250℃に変更したほかは、実施例1と同様の手順で実施例3に係る酸化物半導体素子を得た。
<比較例1>
第2酸化物半導体層を得る際の加熱温度を300℃に変更したほかは、実施例1と同様の手順で比較例1に係る酸化物半導体素子を得た。
<銅溶液の製造>
酢酸銅(II)一水和物[富士フイルム和光純薬(株)製]3.99gにエタノール[超脱水グレード、富士フイルム和光純薬(株)製]36.14mLを加えて室温で混合した。この溶液に3.85mLの2-アミノエタノール[ナカライテスク製]を滴下しながら室温で混合することで、銅溶液を得た。
<酸化亜鉛コロイダルナノ粒子溶液の製造>
酢酸亜鉛(II)二水和物[富士フイルム和光純薬(株)製]0.95gにエタノール[超脱水グレード、富士フイルム和光純薬(株)製]39.66mLを加えて室温で混合した。この溶液にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の25%メタノール溶液[シグマアルドリッチ社製]3.10mLを滴下しながら室温で混合することで、酢酸亜鉛(II)と強塩基であるTMAHとが反応した金属複塩を含む金属複塩分散液を得た。この金属複塩分散液を50℃で加熱撹拌することにより、酸化物半導体ナノ粒子である酸化亜鉛コロイダルナノ粒子が有機溶媒中に単分散した、酸化亜鉛コロイダルナノ粒子溶液を得た。
<表面修飾剤の分解挙動の測定>
酸化亜鉛コロイダルナノ粒子溶液を乾燥させて得られた酸化亜鉛ナノ粒子を、熱重量分析(TG)装置を用いて大気中で室温から600℃まで昇温し、重量減少率を測定した。結果を図4に示す。図4は、酸化亜鉛ナノ粒子のTGチャートである。
図4に示すように、酸化亜鉛ナノ粒子の600℃における重量減少率は16.06重量%であった。従って、重量減少率が16.06重量%の95%(15.26重量%)となる温度が、表面修飾剤が完全に分解する温度である。従って、酸化亜鉛ナノ粒子における表面修飾剤が完全に分解する温度は392℃と判断した。
<実施例4>
電極となる基板に、銅溶液をスピンコート法で10回塗布し、大気中500℃で加熱することで酸化銅粒子を含む第1酸化物半導体層を得た。第1酸化物半導体層を構成する酸化銅粒子の平均粒子径は91.4nmであった。
続いて、第1酸化物半導体層の表面に、酸化亜鉛コロイダルナノ粒子溶液をスピンコート法で10回塗布し、大気中150℃で加熱することによって、第1酸化物半導体層上に第2酸化物半導体層を形成した。第2酸化物半導体層の表面に電極を形成し、実施例4に係る酸化物半導体素子を得た。
第2酸化物半導体層を構成する酸化亜鉛粒子の平均粒子径は13.1nmであった。
<実施例5>
電極となる基板に、実施例1で用いた酸化銅コロイダルナノ粒子溶液をスピンコート法で10回塗布し、大気中150℃で加熱することによって、第1酸化物半導体層を得た。第1酸化物半導体層を構成する酸化銅粒子の平均粒子径は5.9nmであった。
続いて、第1酸化物半導体層の表面に、実施例4で用いた酸化亜鉛コロイダルナノ粒子溶液をスピンコート法で10回塗布し、大気中150℃で加熱することで、第1酸化物半導体層上に第2酸化物半導体層を形成した。
第2酸化物半導体層の表面に電極を形成し、実施例5に係る酸化物半導体素子を得た。
第2酸化物半導体層を構成する酸化亜鉛粒子の平均粒子径は13.1nmであった。
<比較例2>
第2酸化物半導体層を得る際の加熱温度を250℃に変更したほかは、実施例4と同様の手順で比較例2に係る酸化物半導体素子を得た。
<比較例3>
第2酸化物半導体層を得る際の加熱温度を500℃に変更したほかは、実施例4と同様の手順で比較例3に係る酸化物半導体素子を得た。
<比較例4>
第2酸化物半導体層を得る際に用いる酸化亜鉛コロイダルナノ粒子溶液を、実施例1で用いた亜鉛溶液に変更したほかは、比較例3と同様の手順で比較例4に係る酸化物半導体素子を得た。
<酸化物半導体層の拡面率の測定>
実施例1~5及び比較例1~4に係る酸化物半導体素子の表面又は破断面をSEMにより観察し、酸化物半導体粒子の平均粒子径を求めた。
酸化物半導体層同士の接合面積、酸化物半導体層の厚さ及び酸化物半導体粒子の平均粒子径から、拡面率を算出した。結果を表1に示す。
<FT-IRによる表面修飾剤の確認>
実施例1~5及び比較例1~4に係る酸化物半導体素子について、第2酸化物半導体層の表面をFT-IRで分析した。オキシカルボニル基に由来する1560cm-1付近の吸収を確認したものについては、リファレンスの積分強度(I)に対するピーク積分強度(I)の比Sを求めた。なお、実施例5に係る酸化物半導体素子については、第1酸化物半導体層の表面もFT-IRで分析し、リファレンスの積分強度(I)に対するピーク積分強度(I)の比Sを求めた。結果を表1に示す。
<整流比の測定>
実施例1~5及び比較例1~4に係る酸化物半導体素子に対して電流電圧測定を行った。順バイアス電圧(4V)を印加した際の電流値を、逆バイアス電圧(-4V)を印加した際の電流値で除した値の絶対値を整流比とした。測定はそれぞれ27個の素子で行い、平均値を求めた。結果を表1に示す。また、27個のうちの1つの電流電圧特性を図5及び図6に示す。
図5は、実施例1~5に係る酸化物半導体素子の電流電圧特性を示す図であり、図6は、比較例1~4に係る酸化物半導体素子の電流電圧特性を示す図である。図5より、実施例1~5に係る酸化物半導体素子は整流性を示した。図6より、比較例1~4に係る酸化物半導体素子は整流性を示さなかった。
Figure 0007173070000001
表1の結果より、第1酸化物半導体層及び第2酸化物半導体層のうち、少なくとも一方の拡面率が5π/8×10[m-1]以上(表1の拡面率の欄の数値が0.625以上)であると、酸化物半導体素子の整流比が高いことがわかった。
なお、比較例2は、表面修飾剤が完全には分解していなかったが、拡面率が0.625未満であったため、整流性をほとんど発現しなかったと考えられる。
1、2 酸化物半導体素子
10 第1酸化物半導体層
20 第2酸化物半導体層
30 絶縁層
40 配線

Claims (8)

  1. 第1酸化物半導体粒子を含む第1酸化物半導体層と、第2酸化物半導体粒子を含む第2酸化物半導体層とが対向して配置される酸化物半導体素子であって、
    前記第1酸化物半導体粒子と前記第2酸化物半導体粒子は異なる組成であり、
    前記第1酸化物半導体層及び前記第2酸化物半導体層のうち、少なくとも一方の層の単位厚さあたりの拡面率が5π/8×10[m-1]以上であることを特徴とする酸化物半導体素子。
  2. 前記第1酸化物半導体粒子及び前記第2酸化物半導体粒子のうち、拡面率が5π/8×10[m-1]以上である層を構成する酸化物半導体粒子の表面が表面修飾剤で覆われている請求項1に記載の酸化物半導体素子。
  3. 前記表面修飾剤が、炭素、酸素及び水素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む有機化合物である請求項2に記載の酸化物半導体素子。
  4. 前記第1酸化物半導体層及び前記第2酸化物半導体層とは組成の異なる絶縁層を介して、前記第1酸化物半導体層及び前記第2酸化物半導体層が対向している請求項1~3のいずれか1項に記載の酸化物半導体素子。
  5. 前記絶縁層の厚さは5nm未満である請求項4に記載の酸化物半導体素子。
  6. 表面に表面修飾剤が配置された酸化物半導体ナノ粒子が溶媒中に分散したコロイダルナノ粒子溶液を調製するコロイダルナノ粒子溶液調製工程と、
    前記コロイダルナノ粒子溶液を基材に塗布した後に加熱して、酸化物半導体層を得る加熱工程とを含み、
    前記加熱工程における加熱温度を、前記酸化物半導体層の単位厚さあたりの拡面率が5π/8×10[m-1]以上となるような温度に設定することを特徴とする、酸化物半導体素子の製造方法。
  7. 前記表面修飾剤が、炭素、酸素及び水素からなる群から選択される少なくとも1種の元素を含む有機化合物である請求項6に記載の酸化物半導体素子の製造方法。
  8. 前記加熱工程における加熱温度を、前記表面修飾剤が完全には分解しない温度に設定する請求項6又は7に記載の酸化物半導体素子の製造方法。

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