JP7172832B2 - 熱間プレス成形品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱間プレス成形品の製造方法に関する。
従来、自動車のピラーを熱間プレス成形する際には、曲げ成形と絞り成形とを複合した複合形成が行われている(例えば、特許文献1参照)。
この複合成形において、皺の発生が懸念される縮みフランジ部は、ブランクホルダーを用いた絞り成形で成形されている。また、縮みフランジ部以外の部位は、曲げ成形で成形されている。
特開2017-159359号公報
しかしながら、ブランクホルダーを用いた絞り成形では、ブランクホルダーとダイとで挟まれたブランクの部位が急激に温度低下し延性低下する。すると、絞り成形時に材料の流入が阻害され、割れが生じる虞がある。この現象は、成形品に内側へ後退する凹部が存在する場合、顕著に現れる。
特に、車体の軽量化のために薄板鋼板を使用する場合、この現象は顕著となり、成形品の割れを抑制するための対策に苦労を要する。
本開示は、成形品の割れや皺の発生を抑制可能な熱間プレス成形品の製造方法を提供することを目的とする。
態様1は、熱間プレス成形品を製造する方法であって、前記熱間プレス成形品は天板面を備え、前記熱間プレス成形品は前記天板面に面内方向の内側へ後退する凹部を備え、前記熱間プレス成形品は前記天板面の縁に連続する縦壁を備え、ブランクを前記ブランクのAc3変態点以上の温度に加熱し、前記Ac3変態点以上の温度の前記ブランクに対して曲げ成形を開始し、前記曲げ成形から絞り成形に切り替える、熱間プレス成形品の製造方法である。
態様2は、前記凹部の縁の曲率半径は、100mm以上300mm未満であり、前記曲げ成形で形成される縦壁が前記熱間プレス成形品の縦壁の成形高さの30%から80%の間のときに当該曲げ成形を前記絞り成形に切り替える態様1に記載の熱間プレス成形品の製造方法である。
態様3は、前記凹部の縁の曲率半径は、50mm以上100mm未満であり、前記曲げ成形で形成される縦壁が前記熱間プレス成形品の縦壁の成形高さの40%から70%の間のときに当該曲げ成形を前記絞り成形に切り替える態様1に記載の熱間プレス成形品の製造方法である。
態様4は、前記凹部の縁の曲率半径は、25mm以上50mm未満であり、前記曲げ成形で形成される縦壁が前記熱間プレス成形品の縦壁の成形高さの50%から60%の間のときに当該曲げ成形を前記絞り成形に切り替える態様1に記載の熱間プレス成形品の製造方法である。
本態様により、成形品の割れや皺の発生が抑制可能となる。
本実施形態に係る熱間プレス成形品を示す斜視図である。 本実施形態で用いる熱間プレス装置におけるプレス機の金型の要部を示す模式図である。 本実施形態の金型にブランクをセットした状態を示す要部の断面図である。 本実施形態の金型でブランクを曲げ成形する状態を示す要部の断面図である。 本実施形態の金型でブランクを絞り成形する状態を示す要部の断面図である。 図5に続いてブランクをさらに絞り成形する状態を示す要部の断面図である。 本実施形態の金型を下死点まで作動した状態を示す図である。 本実施形態で成形した熱間プレス成形品の要部を示す斜視図である。 試験結果を示す図である。
一般的な熱間プレス成形において、自動車部品であるサイドシルやピラーのような断面ハット型の部品を絞り成形する場合、ブランクホルダーとダイとで挟まれたブランクの部位が急激に温度低下して延性低下し得る。すると、パンチで絞り成形を開始した際に材料の流入が阻害され、縦壁等で割れが生じる虞がある。
この現象は、薄板鋼板を使用する際に顕著となる。このため、薄板鋼板を用いる熱間プレス成形では、ブランクホルダーを用いない曲げ成形を行うことが多い。
また、縮みフランジのような形状急変部を曲げ成形で形成すると、皺が発生し易く、この皺の発生は、薄板鋼板を用いる際に顕著となる。
一方、自動車部品では、車両を軽量化するために薄肉化が要求されており、薄板鋼板を用いた熱間プレス成形が必要となる。
しかし、熱間プレス成形品を軽量化しつつ、皺の発生の抑制と割れの発生の抑制とを両立することは困難であった。
そこで、本発明者は研究を重ね、次のことを発見した。
すなわち、熱間プレス形成において、曲げ成形の成形深さが大きくなると、成形による歪量が増大し、皺が発生する。
また、絞り成形で成形深さが大きくなると、割れが発生する。この現象について、次のように説明することができる。絞り成形時に、金型のブランクホルダーとダイとでブランクを挟むと、その部分は温度が急激に低下して延性低下する。この状態で、パンチによる絞り成形を開始すると、延性低下した部分における材料の流入が阻害され、熱間プレス成形品の縦壁等で割れが生じる。
このように、曲げ成形及び絞り成形のいずれも成形深さが大きくなると問題が生じる。しかし、両者の問題の原因は異なる点に本願発明者は着目した。
曲げ成形又は絞り成形の一方を行った後、他方の成形に切り替えると問題を生じることなく成形深さを大きくすることが可能と思われる。
しかし、絞り成形を先にすると、冷却されて延性低下したブランクを曲げ成形することになる。すると、曲げ成形時に割れが生じる虞がある。これを避けるため、先に曲げ成形し、その後に絞り成形する。
このようにして、薄板鋼板を用いた熱間プレス成形品の成形において、成形初期段階では、曲げ成形する。そして、皺の発生が懸念される形状急変部においては、成形途中から部分的にブランクホルダーを用いて絞り成形(部分絞り成形)する。
これにより、割れや皺の発生を抑制可能な熱間プレス成形を実現できる。
また、この製造方法では、ブランク全体の温度低下を招くことがないので、焼き入れ後の硬さも確保可能であり、軽量で高強度の熱間プレス成形品を得ることができる。
<実施形態>
以下、本実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態に係る熱間プレス成形品の製造方法で成形された熱間プレス成形品10を示す図であり、熱間プレス成形品10の一例として、自動車部品であるピラーが示されている。
(熱間プレス成形品)
この熱間プレス成形品10は、長尺状であり、長さ方向に延びる平坦な天板面12を備えている。
[天板面]
天板面12の基端部の幅寸法は、基端側へ向かうに従って幅方向HHの一方側IHへ広がっている。
これにより、天板面12には、基端部に幅寸法が広い幅広部12Aが形成されており、幅広部12Aより先端側に幅寸法が狭い一般部12Bが形成されている。また、天板面12には、幅広部12Aと一般部12Bとの間に、当該天板面12の面内方向の内側へ後退する凹部14が形成されている。
[縦壁]
天板面12の一方側IHの一側縁からは、第一屈曲部18を介して連続する第一縦壁20が天板面12の裏側へ向けて延びている。また、天板面12の他方側THの他側縁からは、第二屈曲部22を介して連続する第二縦壁24が天板面12の裏側へ向けて延びている。
第一縦壁20は、天板面12の一般部12Bに連続した縦壁一般部20Bと、幅広部12Aに連続した縦壁幅広部20Aとを備えている。縦壁一般部20Bと縦壁幅広部20Aとが連続する部分には、円弧状の縦壁湾曲部20Dが形成されており、縦壁湾曲部20Dは、幅方向HHの内側へ後退する。
[フランジ]
第一縦壁20の縁からは、第三屈曲部26を介して第一フランジ28が幅方向HHの外側へ向けて延びている。また、第二縦壁24の縁からは、第四屈曲部30を介して第二フランジ32が幅方向HHの外側へ向けて延びている。
第一フランジ28は、第一縦壁20の縦壁一般部20Bに連続したフランジ一般部28Bと、縦壁幅広部20Aに連続したフランジ幅広部28Aとを備えている。
フランジ幅広部28Aとフランジ一般部28Bとが連続する部分には、円弧状に湾曲した形状急変部を構成するフランジ湾曲部28Dが形成されている。このフランジ湾曲部28Dは、幅方向HHの内側へ後退しており、フランジ湾曲部28Dには、成形時において第一縦壁20方向に伸びが生じるとともにフランジ湾曲部28Dの長さ方向に縮みが生じる縮みフランジを構成する。
(金型)
図2は、本実施形態に係る熱間プレス成形品の製造方法で用いる熱間プレス装置におけるプレス機36の金型を示す模式図である。図2には、プレス機36の上金型38と下金型40との間にブランク42を配置する様子が示されている。
[上金型]
上金型38は、図3から図7にも示すように、冷媒流路を備えたダイ金型で構成されている。上金型38は、熱間プレス成形品10の長さに応じた長尺状に形成されている。
この上金型38の上型端面46には、熱間プレス成形品10を形成する為のダイ穴部48が幅方向HHの中央部に設けられている。
ダイ穴部48は、図2に示したように、基端部に幅寸法が広い幅広部48Aが形成されており、幅広部48Aより先端側に幅寸法が狭い一般部48Bが形成されている。また、ダイ穴部48には、幅広部48Aと一般部48Bとの間に、当該ダイ穴部48の面内方向の内側へ後退する凹部48Cが側部に形成されている。
ダイ穴部48の内面は、図3から図7に示したように、上型端面46に第一角部50を介して連続した第一凹部壁面52と、第一凹部壁面52に第一隅部54を介して連続した凹部底面56とを備えている。また、ダイ穴部48の内面は、上型端面46に第二角部58を介して連続する第二凹部壁面60を備えており、第二凹部壁面60は、第二隅部62を介して凹部底面56に連続している。
[下金型]
下金型40は、冷媒流路を備えた長尺状のパンチ金型で構成されている。下金型40は、熱間プレス成形品10の長さに応じた長尺状に形成されている。
この下金型40の下型上面72には、熱間プレス成形品10を形成する為のパンチ凸部74が幅方向HHの中央部に設けられている。
パンチ凸部74は、図2に示したように、基端部に幅寸法が広い幅広部74Aが形成されており、幅広部74Aより先端側に幅寸法が狭い一般部74Bが形成されている。また、パンチ凸部74には、幅広部74Aと一般部74Bとの間に、当該パンチ凸部74の面内方向の内側へ後退する凹部74Cが側部に形成されている。
パンチ凸部74は、図3から図7に示したように、下型上面72より第一折部76を介して連続した第一凸部壁面78と、第一凸部壁面78に第一肩部80を介して連続した凸部天面82とを備えている。また、パンチ凸部74は、下型上面72に第二折部84を介して連続する第二凸部壁面86を備えており、第二凸部壁面86は、第二肩部88を介して凸部天面82に連続している。
下型上面72の長さ方向の基端部側には、パンチ凸部74を境とした幅方向HHの一方側IHに、ホルダー収容穴92が形成されている。ホルダー収容穴92は、図2に示したように、パンチ凸部74の凹部74Cに隣接した部位に形成されている。
このホルダー収容穴92には、図3にも示したように、ブロック状のブランクホルダー96が収容されている。
ブランクホルダー96は、一例として油圧シリンダのロッド98によって上下移動可能に支持されている。ブランクホルダー96が最も下降した下死点では、図7に示したように、ブランクホルダー96のホルダー上面96Aが下金型40の下型上面72と同じ高さになる。
上金型38の上型端面46と下金型40の下型上面72とは、熱間プレス成形品10の各フランジ28、32を成形する。上金型38の上型端面46と下金型40のブランクホルダー96のホルダー上面96Aとは、熱間プレス成形品10の第一フランジ28におけるフランジ湾曲部28Dを形成する。
また、上金型38の各凹部壁面52、60と下金型40の各凸部壁面78、86とは、熱間プレス成形品10の各縦壁20、24を成形する。上金型38の凹部底面56と下金型40の凸部天面82とは、熱間プレス成形品10の天板面12を成形する。
[油圧シリンダ]
油圧シリンダは、図外の制御装置で制御される。制御装置は、油圧シリンダのロッド98の延び出し量や、ロッド98を後退させる為に必要な圧力を設定する。
これにより、制御装置は、図3に示したように、上金型38と下金型40とが最も離れた上死点において、ホルダー上面96Aの高さを設定することができる。また、制御部は、上金型38とブランクホルダー96とでブランク42を挟んだ状態で、ブランク42を押える圧力を設定できる。
[ブランク]
ブランク42は、板厚0.8mm以上3.0mm以下の鋼板である。この範囲の板厚の鋼板が自動車部品によく使用される。
このブランク42として用いる鋼材は、質量%で、C:0.1%以上0.8%以下、Si:0.001%以上2.0%以下、Mn:0.5%以上3.0%以下、P:0.05%以下、S:0.01%以下を化学組成として含有する。
また、鋼材は、質量%で、sol.Al:0.001%以上1.0%以下、N:0.01%以下、B:0.01%以下を化学組成として含有し、残部がFeおよび不純物からなることが好ましい。また,前記化学組成が、Feの一部に代えて、Ti、Nb、V、Cr、Mo、Cu、Niからなる群から選ばれた1種または2種以上を含有してもよい。
炭素Cの量が少なすぎると、焼入れの効果があまりない強度の低い製品になり得る。このため、本実施形態では、ブランク42が含有する炭素量を0.1質量%以上とした。一方、炭素Cの量が多すぎると、硬くなりすぎて靭性に乏しい製品となる。このため、本実施形態では、ブランク42が含有する炭素量を0.8質量%以下とし、ブランク42が含有する炭素量を、0.1質量%以上0.8質量%以下とした。
Siは、0.001質量%以上2.0質量%以下の範囲に制御することが好ましい。Siは、オーステナイト相から低温変態相へ変態するまでの冷却過程において炭化物の生成を抑制するため延性を劣化させることなく、あるいは、延性を向上させて、焼入れ後の強度を高める作用を有する元素である。Si含有量が0.001質量%未満では上記作用を得ることが困難である。したがって、Si含有量は0.001質量%以上とすることが好ましい。
なお、Si含有量を0.05質量%以上にすると、延性がさらに向上する。したがって、Si含有量は0.05質量%以上とすることがより好ましい。一方、Si含有量が2.0質量%超では、上記作用による効果は飽和して経済的に不利となる上、表面性状の劣化が著しくなる。したがって、Si含有量は2.0質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは1.5質量%以下である。
Mnは、0.5質量%以上3.0質量%以下の範囲に制御することが好ましい。Mnは、鋼の焼入れ性を高め、焼入れ後の強度を安定して確保するために、非常に効果のある元素である。しかし、Mn含有量が0.5質量%未満では、急速冷却条件下でもその効果が十分に得られず、焼入れ後の強度で1200MPa以上の引張強度を確保することが非常に困難となる。したがって、Mn含有量は0.5質量%以上とすることが好ましい。
Pは、0.05質量%以下に制御することが好ましい。Pは、一般には鋼に不可避的に含有される不純物であるが、固溶強化により、強度を高める作用を有するので積極的に含有させてもよい。しかし、P含有量が0.05質量%超では本実施形態の部材と他部材との抵抗溶接性の劣化が著しくなる。したがって、P含有量は0.05質量%以下とすることが好ましい。P含有量はより好ましくは0.02質量%以下である。上記作用をより確実に得るには、P含有量を0.003質量%以上とすることが好ましい。
Sは、0.01質量%以下に制御することが好ましい。Sは、鋼に不可避的に含有される不純物であり、MnやTiと結合して硫化物を生成して析出する。この析出物量が過度に増加するとその析出物と主相の界面が破壊の起点となることがあるため低いほど好ましい。S含有量が0.01質量%超ではその悪影響が著しくなる。したがって、S含有量は0.01質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.003質量%以下、さらに好ましくは0.0015質量%以下である。
sol.Alは0.001質量%以上1.0質量%以下の範囲で制御することが好ましい。Alは、鋼を脱酸して鋼材を健全化する作用を有する元素であり、また、Ti等の炭窒化物形成元素の歩留まりを向上させる作用を有する元素でもある。sol.Al含有量が0.001質量%未満では上記作用を得ることが困難となる。したがって、sol.Al含有量は0.001質量%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.015質量%以上である。一方、sol.Al含有量が1.0質量%超では、溶接性の低下が著しくなるとともに、酸化物系介在物が増加して表面性状の劣化が著しくなる。したがって、sol.Al含有量は1.0質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.080質量%以下である。
Nは、0.01質量%以下に制御することが好ましい。Nは、鋼に不可避的に含有される不純物であり、溶接性の観点からは低いほど好ましい。N含有量が0.01質量%超では溶接性の低下が著しくなる。したがって、N含有量は0.01質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.006質量%以下である。
Bは、0.01質量%以下に制御することが好ましい。Bは、低温靭性を高める作用を有する元素である。したがって、Bを含有させてもよい。しかし、0.01質量%を超えて含有させると、熱間加工性が劣化して、熱間圧延が困難になる。したがって、B含有量は0.01質量%以下とすることが好ましい。なお、上記作用による効果をより確実に得るには、B含有量を0.0003質量%以上とすることがより好ましい。
その他添加元素として、Ti、Nb、V、Cr、Mo、Cu、Niを、鋼の焼入れ性を向上させ、かつ焼入れ後の強度を安定して確保するために必要応じて添加してもよい。
(熱間プレス成形品の製造方法)
熱間プレス成形品の製造方法について説明する。
「加熱工程」
本実施形態に係る熱間プレス成形品の製造方法では、加熱工程においてブランク42を当該ブランク42のAc3変態点以上の温度に加熱してオーステナイト化する。
オーステナイト化変態点温度を示すAc3変態点は、前述した鋼材からなるブランク42が完全にオーステナイト化される温度であり、一例として次式で示される。
Ac3(℃)=910-203×√C(質量%)+44.7×Si(質量%)-30×Mn(質量%)-11×Cr(質量%)+700×S(質量%)+400×Al(質量%)+50×Ti(質量%)
ここで、Cは炭素、Siはケイ素、Mnはマンガン、Crはクロム、Sは硫黄、Alはアルミニウム、Tiはチタンを示す。
「焼き入れ工程」
加熱工程でAc3変態点以上に加熱されたブランク42を、図3から図7に示したように、熱間プレス装置のプレス機36で熱間プレスする。熱間プレス後、型締めしたまま上金型38及び下金型40でプレス成形品の熱を急速に奪って冷却することで熱間プレス成形品10をマルテンサイト変態させる。
以下において焼き入れ工程を具体的に説明する。
[セット]
すなわち、加熱工程でAc3変態点以上に加熱されたブランク42を、図3に示したように、下金型40と上金型38との間にセットする。
このとき、予め制御装置で油圧シリンダを制御して下金型40の下型上面72からホルダー上面96Aまでの高さBHが下型上面72からブランクホルダー96側の凸部天面82までの高さhの30%から80%の範囲内の定められた高さになるようにする。
なお、上金型38とブランクホルダー96とでブランク42を挟んだ状態で、ブランク42を押える圧力は適宜定めるものとする。
[曲げ成形]
このセット状態において、図4に示すように、一例として上金型38を下金型40へ向けて下降する。
すると、ブランク42の両側部が下金型40の各肩部80、88に支持された状態で上金型38の各角部50、58によって下方へ押され、ブランク42が曲げ成形される。これにより、Ac3変態点以上の温度のブランク42に対して曲げ成形を開始する。
[絞り成形]
上金型38の下降を続けると、図5に示すように、曲げ成形されたブランク42の一側部が上金型38の上型端面46とブランクホルダー96のホルダー上面96Aとで挟まれる。すると、曲げ成形されたブランク42の一側部は、上金型38とブランクホルダー96とで押えられ、皺の発生が抑制される。
これにより、曲げ成形から絞り成形に切り替えられる。
そして、図5から図6に示したように、下金型40のパンチ凸部74が上金型38のダイ穴部48へ挿入されるに従って、絞り成形されているブランク42はダイ穴部48内へ引き込まれる。そして、ブランク42の幅方向HHの中央部が、下金型40のパンチ凸部74及び上金型38のダイ穴部48の形状に基づく形状に成形される。
そして、上金型38が下金型40に最も近づく下死点に達すると、図7に示したように、上金型38と下金型40で挟まれた状態でブランク42の成形が完了する。
[冷却]
上金型38が下死点に達した状態において、成形されたブランク42は、上金型38と下金型40とに密着する。この状態を型締めという。型締めされた状態で、ブランク42の熱は、上金型38及び下金型40によって急速に奪われる。その結果、ブランク42はマルテンサイト変態する。すなわち、焼き入れが行われる。このようにして、ブランク42は、熱間プレス成形品10となる。
ブランク42から熱を奪う抜熱方法は、上金型38と下金型40の内部を流れる冷媒により間接的に冷却する方法が挙げられる。また、他の抜熱方法として、上金型38と下金型40とからブランク42に冷媒を噴射して直接冷却する方法が挙げられる。
加熱工程から冷却開始までの時間は、8秒以内とする。すなわち、加熱工程で加熱されたブランク42が加熱炉を出てから上金型38が下死点に達するまでの時間は、8秒以内とする。
最も冷却速度の速い板厚が0.8mmの鋼板でブランク42を構成した場合、室温雰囲気において、ブランク42の温度は、Ac3変態点から12秒程度で600℃以下になる。プレス成形時において、金型に接触するブランク42の箇所は更に速い速度で冷却される。このため、加熱工程から冷却開始までの時間を、8秒以内にする必要がある。そうしなければ、熱間プレス成形品10が焼き入れできない。
(作用及び効果)
本実施形態の作用効果を説明する。
成形初期段階では、曲げ成形する。このため、成形初期段階から絞り成形を行う場合と比較して、金型によるブランク42の挟み込みでブランク42から熱が奪われず、ブランク42の延性低下を抑制することができる。これにより、ブランク42を構成する材料の流動性が確保できるので、熱間プレス成形品10の割れを抑制することができる。
そして、成形深さが大きくなる前に、曲げ成形から絞り成形に切り替え、成形途中から絞り成形する。これにより、下死点まで曲げ成形を継続することで曲げ成形での成形深さが大きくなり歪が大きくなる場合と比較して、皺の発生を抑制することができる。
また、絞り成形に切り替えることで、形状急変部である第一フランジ28のフランジ湾曲部28Dを上金型38の上型端面46とブランクホルダー96のホルダー上面96Aとで挟んだ状態で成形できるので、皺の抑制効果を高めることができる。
したがって、熱間プレス成形品10の割れや皺の発生を抑制可能な熱間プレス成形品の製造方法を提供することができる。
そして、成形完了までブランク42の局所的な温度低下を抑制することができるので、焼き入れ後の熱間プレス成形品10の硬さの確保も可能であり、軽量で高強度の熱間プレス成形品10を得ることができる。
なお、本実施形態では、上金型38が下金型40に最も近づく下死点において、第一フランジ28のフランジ湾曲部28Dとなる部分が上金型38とブランクホルダー96とで挟まれるようにしたが、これに限定されるものではない。
例えば、ブランクホルダー96を幅方向HHの一方側IHへ移動して設置すれば、下死点に到達する直前で、フランジ湾曲部28Dとなる部分を上金型38とブランクホルダー96とで挟まれた状態から解放することができる。この場合、ブランクホルダー96のロッキング機構が不要となる。
また、ブランクホルダー96にディスタンスブロックを設け、ホルダー上面96Aとブランク42との間に隙間を形成すれば、ブランクホルダー96とブランク42との接触による抜熱を抑制することも可能となる。
<試験>
図8及び図9は、試験に付いて説明する図であり、図9には、試験結果が示されている。
この試験結果には、絞り成形を開始するタイミングと熱間プレス成形品10に生じた割れ及び皺の有無との関係が、天板面12の一側縁を構成する第一屈曲部18における凹部14での曲率半径R毎に示されている。
絞り成形を開始するタイミングは、図8に示す熱間プレス成形品10の各フランジ28、32から天板面12までの成形高さHを基準とし、その0.0倍から1.0倍の各高さ位置で曲げ成形から絞り成形に切り替える。
この成形高さHは、図3に示したように、下金型40の下型上面72から凸部天面82までの高さhで定まり、上昇したブランクホルダー96のホルダー上面96Aから下型上面72までの高さBHによって絞り成形を開始するタイミングを決定する。
具体的に説明すると、図9において、0.1Hでは、下型上面72からホルダー上面96Aまでの高さBHが、0.1H(成形高さHの10%の高さ)となるようにブランクホルダー96の高さを定めて成形する。
また、0.0Hでは、下型上面72からホルダー上面96Aまでの高さBHを、0.0H、すなわちホルダー上面96Aと下型上面72とを同じ高さにして成形する。そして、1.0Hでは、下型上面72からホルダー上面96Aまでの高さBHを、1.0H、すなわちホルダー上面96Aと下型上面72から凸部天面82までの高さhとを同じ高さにして成形する。
この試験で成形される熱間プレス成形品10は、図1に示したように、一例として、天板面12の長さLが、1540mm、天板面12の一般部12Bの幅W1が、100mmとする。また、この熱間プレス成形品10は、幅広部12Aの幅W2が、230mm、各フランジ28、32から天板面12までの高さHが、60mmとする。
そして、図8に示すように、凹部14の曲率半径Rが、25mm以上50mm未満の熱間プレス成形品10と、曲率半径Rが、50mm以上100mm未満の熱間プレス成形品10とを前述の熱間プレス装置で成形した。また、凹部14の曲率半径Rが、100mm以上300mm未満の熱間プレス成形品10を前述の熱間プレス装置で成形した。
その結果、曲率半径Rが、25mm以上50mm未満の熱間プレス成形品10では、0.5Hから0.6Hのタイミングで絞り成形を開始した際に、割れ及び皺の発生が見られなかった。
また、曲率半径Rが、50mm以上100mm未満の熱間プレス成形品10では、0.4Hから0.7Hのタイミングで絞り成形を開始した際に、割れ及び皺の発生が見られなかった。
そして、曲率半径Rが、100mm以上300mm未満の熱間プレス成形品10では、0.3Hから0.8Hのタイミングで絞り成形を開始した際に、割れ及び皺の発生が見られなかった。
したがって、凹部14の縁の曲率半径Rが、100mm以上300mm未満の場合、曲げ成形で形成される縦壁が熱間プレス成形品10の第一縦壁20の成形高さHの30%から80%の間のときに曲げ成形を絞り成形に切り替えるとよいことが分かる。
また、凹部14の縁の曲率半径Rが、50mm以上100mm未満の場合、曲げ成形で形成される縦壁が熱間プレス成形品10の第一縦壁20の成形高さHの40%から70%の間のときに曲げ成形を絞り成形に切り替えるとよいことが分かる。
さらに、凹部14の縁の曲率半径Rが、25mm以上50mm未満の場合、曲げ成形で形成される縦壁が熱間プレス成形品10の第一縦壁20の成形高さHの50%から60%の間のときに曲げ成形を絞り成形に切り替えるとよいことが分かる。
なお、熱間プレス成形品10は、最終成形品であっても中間成形品であってもよい。熱間プレス成形品10を中間成形品とした場合、この熱間プレス成形品10をさらに焼き入れしてもよい。
10 熱間プレス成形品
12 天板面
14 凹部
20 第一縦壁
28 第一フランジ
28D フランジ湾曲部
36 プレス機
96 ブランクホルダー
R 曲率半径

Claims (4)

  1. 熱間プレス成形品を製造する方法であって、
    前記熱間プレス成形品は天板面を備え、
    前記熱間プレス成形品は前記天板面に面内方向の内側へ後退する凹部を備え、
    前記熱間プレス成形品は前記天板面の縁に連続する縦壁を備え、
    ブランクを前記ブランクのAc3変態点以上の温度に加熱し、
    前記Ac3変態点以上の温度の前記ブランクに対して曲げ成形を開始し、
    前記曲げ成形から絞り成形に切り替える、
    熱間プレス成形品の製造方法。
  2. 前記凹部の縁の曲率半径は、100mm以上300mm未満であり、
    前記曲げ成形で形成される縦壁が前記熱間プレス成形品の縦壁の成形高さの30%から80%の間のときに当該曲げ成形を前記絞り成形に切り替える請求項1に記載の熱間プレス成形品の製造方法。
  3. 前記凹部の縁の曲率半径は、50mm以上100mm未満であり、
    前記曲げ成形で形成される縦壁が前記熱間プレス成形品の縦壁の成形高さの40%から70%の間のときに当該曲げ成形を前記絞り成形に切り替える請求項1に記載の熱間プレス成形品の製造方法。
  4. 前記凹部の縁の曲率半径は、25mm以上50mm未満であり、
    前記曲げ成形で形成される縦壁が前記熱間プレス成形品の縦壁の成形高さの50%から60%の間のときに当該曲げ成形を前記絞り成形に切り替える請求項1に記載の熱間プレス成形品の製造方法。
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