JP4427465B2 - 生産性に優れたホットプレス高強度鋼製部材の製造方法 - Google Patents

生産性に優れたホットプレス高強度鋼製部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は,例えば自動車の足回り,シャーシ,メンバー,衝突安全用補強部材等に用いられる高強度鋼製部材を得るための製造方法に関するものである。
近年,地球環境保全に向けた自動車軽量化ニーズ,衝突安全性の向上ニーズ等に伴い,プレス成形によって製造される鋼製部材にも引張強度で980MPa以上の高強度化が強く望まれている。しかし,素材としての鋼板の高強度化はプレス成形性の低下を招き,複雑な形状の製作が困難となる。具体的には,延性低下による破断,スプリングバックによる寸法精度の劣化という問題等である。このため,高強度鋼板を用いてのプレス加工による複雑な形状の製作は容易ではない。
そこで,最近注目されつつある技術としてホットプレス(熱間プレス)がある。本技術は,例えば特許文献1に開示されているように,鋼板を加熱してプレス加工する方法であり,鋼板が高温ゆえに,軟質,高延性となり,複雑な形状も寸法精度良く成形可能である。加えて,加熱時にオーステナイトが生成する温度域まで昇温しておけば,プレス加工後の冷却,あるいは,プレス加工時の金型内で冷却することにより,所望の材質を得ることが可能である。すなわち,冷却速度を高めることにより,硬化相であるマルテンサイトを生成し,高強度部材を得ることが可能である。特許文献1では,金属材を850℃以上に加し,850℃以上の高温状態で,所望形状を付与すべく相対的に低温のプレス型を用いてプレス加工を施して製造する,車両用衝突補強材の製造方法が開示されている。
しかしながら,この製造方法は,プレスが下死点到達後,その位置でプレス金型を保持し,金型と素材鋼片を密着させ抜熱して素材を冷却するため,時間がかかり生産性が低い。この場合,素材は金型内で200℃以下に冷却され,1つの部材を製造するのに約30秒程度かかる。このように,この製造方法の最大の弱点は生産性が低いことである。また,金型での冷却では,金型と素材の接触部,非接触部で冷却速度が異なるため,成形後の部材内での材質変動が大きくなる。
特開2002−102980号公報
本発明は上述の課題を解決し,プレス金型での抜熱による素材の冷却工程の省略可能な,生産性に優れたホットプレス高強度鋼製部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は,鋼板成分とホットプレス成形方法の関係について種々の検討を行った結果,鋼板中に含まれるMn,Cr,Cu,Ni量がMn+Cr/3.1+(Cu+Ni)/1.4≧2.5%を満たした鋼板を,加熱し,ホットプレス成形後,0.1℃/秒以上の比較的低い速度で冷却しても,面積率60%以上のマルテンサイト組織を得ることができ,所望の強度を得ることが可能であること,また,成形後の形状凍結性も部材として十分良好であることを見出した。本発明は,上記知見に基づいて完成されたもので,その要旨とするところは以下の通りである。
即ち本発明によれば,質量%で,C:0.05〜0.35%,Si:0.005〜1.0%,Mn:0〜4.0%,Cr:0〜3.0%,Cu:0〜4.0%,Ni:0〜3.0%,B:0.0002〜0.1%,Ti:0.001〜3.0%,P:0.1%以下,
S:0.05%以下,Al:0.005〜0.1%,N:0.01%以下,を含有し,かつ,Mn+Cr/3.1+(Cu+Ni)/1.4≧2.5%を満たし,残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼板を,750〜1300℃に昇温して10〜6000秒間維持した後,300℃以上にてプレス成形を行い,その後,成形品を金型から取り出して,200〜1100℃から5〜40℃まで0.1℃/秒以上の冷却速度で冷却し,面積率で60%以上のマルテンサイト組織を有する部材を得ることを特徴とする,生産性に優れたホットプレス高強度鋼製部材の製造方法が提供される。
前記鋼板は,さらに質量%で,Mo:0.01〜3.0%を含有しても良い。また前記鋼板は,さらに質量%で,Nb:0.01〜3.0%,V:0.001〜3.0%,W:0.005〜3.0%,の1種または2種以上を含有しても良い。また前記鋼板は,さらに質量%で,REM:0.0005〜0.01%,Y:0.0005〜0.01%,Ca:0.0005〜0.01%,Mg:0.0005〜0.01%,の1種または2種以上を含有しても良い。
また前記鋼板を,1〜100℃/秒の昇温速度で750〜1300℃に昇温させても良い。
本発明によれば,プレス金型での抜熱による素材の冷却工程を省略でき,生産性の向上をはかることができる。本発明によって得られる部材は,内部での材質変動が少なく,部材形状も良好で均一性に優れる。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
まず,本発明における鋼の化学成分の限定理由について説明する。
C:Cは,鋼板の強度を上昇させるための必須元素であり,また,Ar3点を下げ,変態を抑制することから,その下限を0.05質量%とした。一方で,Cが0.35質量%を超えると溶接が困難となることから,その上限を0.35質量%とした。
Si:Siは,強化元素であり,鋼板の強度を上昇させることに有効である。しかしながら質量%で1%超えると表面スケールの問題が生じるため,1%を上限とする。下限は特に定めないが,極低化は製造コストの高騰を招くことから,質量%で0.005%以上の含有量とすることが望ましい。
Mn:Mnは,フェライト変態を抑制することから,焼入れ性確保に非常に重要な元素である。しかし,過剰の添加はP,Sとの共偏析を助長するだけでなく,製造時および熱延時の製造性に悪影響を及ぼすため質量%で4%を上限とする。好ましくは質量%で3.5%以下が望ましい。本発明において,0%も含むものとする。
Cr:Crは,強化元素であるとともに焼入れ性の向上に重要である。しかし,質量%で3%超含有すると製造時および熱延時の製造性に悪影響を及ぼすため,上限値を3%とした。本発明において,0%も含むものとする。
Cu:Cuは,強化に有効である上,焼入れ性の向上に重要である。しかし,過剰添加は製造時および熱延時の製造性に悪影響を及ぼすため,上限を質量%で4.0%とした。本発明において,0%も含むものとする。
Ni:Niは,強化元素であるとともに焼入れ性の向上に重要である。しかし,質量%で3%超では製造時および熱延時の製造性に悪影響を及ぼすため,上限値を3%とした。また,Ni硫化物が水素侵入を抑制し遅れ破壊特性を向上させる効果もあることから鋼板への添加は有効である。本発明において,0%も含むものとする。
上記Mn,Cr,Cu,Niの4元素は,いずれもオーステナイトからの冷却中の変態点を低下させることが可能であり,変態を抑制する,すなわち焼き入れ性向上に有効である。これら全ての元素を含有する必要はないが,Mn+Cr/3.1+(Cu+Ni)/1.4が2.5%未満となると,変態抑制の効果を十分得ることができないため,Mn+Cr/3.1+(Cu+Ni)/1.4の下限を2.5%とした。マルテンサイトの面積率をより高くするために,好ましくは3.0%以上が好ましい。また,Cuヘゲ防止の観点から,NiはCu/2%以上の添加が好ましい。
B:Bは,鋼板の強度上昇に有効な元素である。しかし,質量%で0.0002%未満ではこの効果が得られないため,下限値を0.0002%とした。逆に,質量%で0.1%超含有すると熱間加工性が劣化するため,上限値を0.1%とした。
Ti:Tiは,TiはNと化合物を作り,鋼板中の固溶N量を低減するため,Bを用いて鋼板の焼入れ性を向上させる場合には,添加することが望ましい。そこで下限値を質量%で0.001%とした。逆に,質量%で3%超含有すると,炭窒化物の析出が多くなり加工性および耐遅れ破壊性低下が生じるため,上限値を3%とした。また,Tiは,鋼板を再加熱する際,結晶粒の粒成長を抑制し,粒径を小さくする効果も有することから,靭性向上の観点からもその添加は望ましい。また,Tiを含有する析出物および晶出物は水素トラップサイトとなるため,耐水素脆化の観点からも重要である。
P:Pは不純物であり,0.1質量%を超えると,溶接性ならびに製造時および熱延時の製造性に悪影響を及ぼす。このことから上限値を,0.1質量%とした。Pの下限値は特に定めないが,0.0001質量%未満とすることは,経済的に不利であることからこの値を下限値とすることが好ましい。
S:Sは不純物であり,溶接性ならびに製造時および熱延時の製造性に悪影響を及ぼす。このことから,その上限値を0.05質量%以下とした。
Al:Alは,脱酸材として用いられるために質量%で0.005%以上を添加するが,質量%で0.1%を超えると非金属介在物が多くなり製品に表面疵が発生しやすくなるため上限を0.1%とする。
N:Nは不純物であり,加工性劣化や溶接時のブローホール発生にも寄与するため少ない方が良い。質量%で0.01%を越えると加工性が劣化してくるので,0.01%を上限とする。
Mo:Moは,本発明において任意の含有元素である。Moは,鋼板の強度上昇,粒径の微細化及び焼入れ性向上に有効である。これらの効果は,添加量が質量%で0.01%未満ではこれらの効果が得られないため,下限値を0.01%とした。逆に,質量%で3%超含有すると,製造時および熱延時の製造性に悪影響を及ぼすため,上限値を3%とした。また,Moは,加熱炉を用いて鋼板を再加熱する際,結晶粒の粒成長を抑制し,粒径を小さくする効果も有することから,靭性向上の観点からもその添加は望ましい。
Nb:Nbは,本発明において任意の含有元素である。Nbは,鋼板の強度上昇,粒径の微細化及び焼入れ性向上に有効である。これらの効果は,添加量が質量%で0.01%未満ではこれらの効果が得られないため,下限値を0.01%とした。逆に,質量%で3%超含有すると,炭窒化物の析出が多くなり加工性および耐遅れ破壊性低下が生じるため,上限値を3%とした。また,Nbは,鋼板を再加熱する際,結晶粒の粒成長を抑制し,粒径を小さくする効果も有することから,靭性向上の観点からもその添加は望ましい。
V:Vは,本発明において任意の含有元素である。Vは,鋼板の強度上昇及び粒径の微細化に有効である上,Vを含有する析出物および晶出物は水素トラップサイトとなるため非常に重要な元素である。しかし,質量%で0.001%未満ではこの効果が得られないために,下限値を0.001%とした。逆に質量%で3%超含有すると炭窒化物の析出が顕著になり,延性低下が著しくなる。このため上限値を3%とした。
W:Wは,本発明において任意の含有元素である。Wは,鋼板の強度上昇に有効である上,Wを含有する析出物および晶出物は水素トラップサイトとなるため非常に重要な元素である。しかし,質量%で0.005%未満ではこれらの効果が得られないため,下限値を0.005%とした。逆に,質量%で3%超含有すると加工性低下が生じるため,上限値を3%とした。また,Wは,鋼板を再加熱する際,結晶粒の粒成長を抑制し,粒径を小さくする効果も有することから,靭性向上の観点からもその添加は望ましい。
REM,Ca,Yは,本発明において任意の含有元素である。REM,Ca,Yは,介在物の形態制御に有効で,耐遅れ破壊性に寄与することから,それぞれ質量%で0.0005%以上の添加とした。一方,過剰添加は熱間加工性を劣化させるため,それぞれ質量%で0.01%以下の添加とした。ここでREMはRare Earth Metalの略でLaから始まるランタノイド系元素の総称である。
Mg:Mgは,本発明において任意の含有元素である。Mgは,自身の化合物が耐遅れ破壊向上に効果的なだけでなく,他元素との複合析出物または複合昇出物を生成させ,かつそれらの形態を耐遅れ破壊性向上に寄与するよう制御するために有効な元素であることから,質量%で0.0005%以上とした。しかし,質量%で0.01%超では粗大酸化物および硫化物を生成して,形態制御に効果的でなくなる上,薄鋼板の基本的要求特性である加工性を低下させるため,上限を0.01%とした。
次に,ホットプレス後の部材の組織限定理由について述べる。面積率で60%以上をマルテンサイトとする理由は,980MPa以上,好ましくは1180MPa,更には1480MPa以上の高い引張強度を得るためであり,そのためには,硬質相であるマルテンサイトを面積率で60%以上,好ましくは80%以上,更に好ましくは95%以上100%以下の量を素地とすることが好ましい。ただし,ここで言う面積率100%とは,当然鋼材中には不可避的不純物,炭化物及び介在物が存在し,厳密には100%とはならないが,光学顕微鏡での観察ではこれらの不可避的不純物や介在物が認識できないレベルの大きさで存在することから,100%であるとした。その他の残部の組織として,フェライト,パーライト,ベイナイト,残留オーステナイトの1種又は2種以上を面積率の合計で40%以下含有しても良い。
次にホットプレス成形方法について述べる。
ホットプレス成形は,質量%で,C:0.05〜0.35%,Si:0.005〜1.0%,Mn:0〜4.0%,Cr:0〜3.0%,Cu:0〜4.0%,Ni:0〜3.0%,B:0.0002〜0.1%,Ti:0.001〜3.0%,P:0.1%以下,S:0.05%以下,Al:0.005〜0.1%,N:0.01%以下,を含有し,かつ,Mn+Cr/3.1+(Cu+Ni)/1.4≧2.5%を満たし,さらに任意で,質量%でMo:0.01〜3.0%,または,質量%で,Nb:0.01〜3.0%,V:0.001〜3.0%,W:0.005〜3.0%,の1種または2種以上,または,質量%で,REM:0.0005〜0.01%,Y:0.0005〜0.01%,Ca:0.0005〜0.01%,Mg:0.0005〜0.01%,の1種または2種以上を含有し,残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼板を,750〜1300℃に昇温して10〜6000秒間維持した後,プレスダイスの上に置き,300℃以上にてプレス成形を行う。その後,成形品を金型から取り出して,200〜1100℃から5〜40℃まで0.1℃/秒以上の冷却速度で冷却する。
鋼板の昇温速度は,1〜100℃/秒の範囲とすることが好ましい。昇温速度が1℃/秒より遅いと生産性が低下することから好ましくない。一方,昇温速度を100℃/秒より速くすることは,通常の炉の昇温では困難である。しかしながら,高周波加熱等によって,100℃/秒を上回る昇温速度で加熱したとしても,本発明の効果を得ることができる。
加熱温度については,600℃程度でもプレス成形性は向上するが,980MPa以上の高強度の部材を得るためには,加熱時にオーステナイト組織とし,冷却時にマルテンサイト組織を得る必要があるため,下限を750℃とした。一方,過度の加熱は,鋼板組織の粗粒化,スケールの増加,加熱コストの上昇を招くため,上限は1300℃とした。なお,加熱方法には特段の限定はないが,均一に速く効率良く加熱可能な装置を使用することが好ましい。また,目的とする部材強度によっては,加熱時にフェライト相が残存していても問題ない。
また,加熱時間を10〜6000秒としたのは,加熱時間が10秒未満であると鋼板内部では所定の温度となっておらず,鋼板内部では十分な量のオーステナイトが得られておらず,焼き入れ後に所定の強度が得られないため10秒以上とした。また6000秒より長時間加熱するとオーステナイト粒が粗大化し,焼きいれ後に所定の強度が得られないため,また,加熱コストの上昇を招くため6000秒以下とした。
プレス時の加工温度は300℃以上の温度範囲とする。下限値を300℃としたのは,300℃以下になるとマルテンサイトが生成し始め,鋼板の強度が上昇し,成形性,特に形状凍結性が低下するからである。加熱炉抽出からプレスまでの待機時間も考慮すると,好ましくは400℃以上が良い。ただし,鋼板温度が300℃未満にて加工されたとしても,同様の機械特性は発揮される。加工温度の上限は特に限定しないが,鋼板組織の粗大化防止,スケールの増加防止,加熱コスト上昇の抑制のためには,1300℃以下とすることが好ましい。
プレス成形後,成形品を金型から取り出し0.1℃/秒以上の冷却速度で冷却するとしたのは,0.1℃/秒より遅い冷却速度であると,時間を過度に要し生産性が低下するとともに,マルテンサイト分率が低下して所望する強度が得られなくなるからである。なお,10℃/秒より速い速度で冷却するためには,金型中での冷却や液体を使用した冷却等,別途,冷却手段を必要となるので,生産性や経済性を考慮すると,0.1〜10℃/秒の冷却速度が望ましい。
冷却開始温度を200〜1100℃としたのは,プレス時に金型内に長時間保持し,素材の温度を低下させることは,生産性を下げるため200℃以上とし,1100℃超の高温からの冷却は,時間を過度に要するため,1100℃以下とした。また,5〜40℃まで冷却するとしたのは,成形部材を5℃未満あるいは40℃超で保持するには,別途,冷却装置や保温装置を必要とし,生産性や経済性が低下するからである。また,本発明において,Alめっき鋼板またはZnめっき鋼板を使用することは,スケール生成抑制として有効であるが,その場合は,それぞれのめっき合金相の沸点以下での加熱温度とする必要がある。
次に,実施例で本発明をより詳細に説明する。
表1に示す成分の鋼を溶製し,常法に従い連続鋳造でスラブ鋼片とした。符号(鋼No.)A〜Iが本発明に従った成分の鋼で,符号J〜P(鋼No.)は成分が本発明から逸脱するものである。これらの鋼片を加熱炉中で1120℃〜1280℃に加熱し,熱間圧延を仕上げ温度850〜950℃で実施,その後620℃まで空冷し巻き取った。この熱延板を圧下率50%で冷延し,それぞれ冷延鋼板とし,ホットプレス用素材とした。
Figure 0004427465
こうして製造した鋼板を1〜100℃/秒で昇温して,それぞれ,表2に示す温度で300秒間加熱した後,常温の金型でプレスを行なった。プレス後は,他成形品と接触しない個別空冷,重ね置きで空冷,ベルトコンベアで運搬中に空冷という方法で冷却した。
その後,成形した部材に関してその組織観察および特性調査を行った。材質調査はプレス成形された部位より,JIS Z 2201 5号試験片を加工し,同2241記載の試験方法に従って行った。
このようにして得られた部材の組織観察結果,引張強度(TS)を表2に示す。なお,表2中では,マルテンサイトの面積率が60%未満,引張強度(TS)が980MPa未満を,本発明の範囲外として示した。
Figure 0004427465
No.1〜9は,本発明例であり,ホットプレス後の高強度が確保されており,かつ,成形温度に材質が依存せず,機械特性の変動の少ない鋼板が得られた。また,スプリングバック等の形状不良もなかった。
一方,No.10〜19は以下の理由で本発明の範囲外である。すなわち,No.10〜14は,Mn+Cr/3.1+(Cu+Ni)/1.4が本発明の2.5%以上を満たしていない鋼であるJ〜Nを使用したため,プレス成形後の組織中のマルテンサイト面積率が低下し,所望の高強度が得られなかった。No.15はTi,Bが本発明の成分範囲より低い鋼であるOを使用したため,十分焼きが入らず,所望の高強度が得られなかった。No.16はCが本発明の成分範囲より低い鋼Pを使用したため,十分な量のマルテンサイト組織は得られたものの,所望の高強度が得られなかった。No.17は,プレス温度が本発明の成分範囲より低かったため,マルテンサイトの生成後,すなわち,高強度でのプレスとなったため,大きなスプリングバックが生じ,所望する形状が得られなかった。No.18は,プレス後の冷却時に多量の成形品を重ねて置いたため,冷却速度が本発明の範囲外となり,十分なマルテンサイト量が得られず,所望する強度が得られなかった。No.19は,加熱温度が本発明の成分範囲より低かったため,加熱時にオーステナイト組織にならず,ゆえにプレス成形後にマルテンサイト組織が十分に得られず,所望の高強度が得られなかった。
本発明は,例えば自動車の足回り,シャーシ,メンバー,衝突安全用補強部材等に用いられる高強度鋼製部材の製造などに利用される。

Claims (5)

  1. 質量%で,
    C:0.05〜0.35%,
    Si:0.005〜1.0%,
    Mn:0〜4.0%,
    Cr:0〜3.0%,
    Cu:0〜4.0%,
    Ni:0〜3.0%,
    B:0.0002〜0.1%,
    Ti:0.001〜3.0%,
    P:0.1%以下,
    S:0.05%以下,
    Al:0.005〜0.1%,
    N:0.01%以下,
    を含有し,かつ,Mn+Cr/3.1+(Cu+Ni)/1.4≧2.5%を満たし,残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼板を,750〜1300℃で10〜6000秒間加熱した後,300℃以上にてプレス成形を行い,その後,成形品を金型から取り出して,200〜1100℃から5〜40℃まで0.1℃/秒以上の冷却速度で冷却し,面積率で60%以上のマルテンサイト組織を有する部材を得ることを特徴とする,生産性に優れたホットプレス高強度鋼製部材の製造方法。
  2. 前記鋼板は,さらに質量%で,Mo:0.01〜3.0%を含有することを特徴とする,請求項1に記載の生産性に優れたホットプレス高強度鋼製部材の製造方法。
  3. 前記鋼板は,さらに質量%で,
    Nb:0.01〜3.0%,
    V:0.001〜3.0%,
    W:0.005〜3.0%,
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする,請求項1又は2に記載の生産性に優れたホットプレス高強度鋼製部材の製造方法。
  4. 前記鋼板は,さらに質量%で,
    REM:0.0005〜0.01%,
    Y:0.0005〜0.01%,
    Ca:0.0005〜0.01%,
    Mg:0.0005〜0.01%,
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする,請求項1〜3の何れかに記載の生産性に優れたホットプレス高強度鋼製部材の製造方法。
  5. 前記鋼板を,1〜100℃/秒の昇温速度で750〜1300℃に加熱することを特徴とする,請求項1〜4の何れかに記載の生産性に優れたホットプレス高強度鋼製部材の製造方法。
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