JP7172829B2 - レーザ肉盛溶接方法及びレーザ肉盛溶接装置 - Google Patents
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Description
図1は、本実施の形態に係るレーザ肉盛溶接装置10の全体構成を示す斜視図である。図1に示すように、レーザ肉盛溶接装置10は、レーザ照射部11と、金属粉末供給部12と、位置決め部15と、移動部16と、制御部19と、を備えている。
図3は、シリンダヘッドの粗形材1を示す模式図である。図3に示すように、シリンダヘッドの粗形材1には、半球状の燃焼室31にポート穴32が放射状に複数形成され、ポート穴32の外周に沿うように円環状のザグリ溝33が形成されている。ザグリ溝33の一部が加工部位2である。
図5は、レーザ肉盛溶接方法の流れについて説明するフローチャートである。図5に示すように、シリンダヘッドの粗形材1において、ポート穴32の外周に沿うように円環状のザグリ溝33を形成する(ステップS1)。なお、ステップS1は、レーザ肉盛溶接装置10にシリンダヘッドの粗形材1をセットする前に行う。続いて、レーザ肉盛溶接装置10にシリンダヘッドの粗形材1をセットする(ステップS2)。続いて、ザグリ溝33の中心軸を鉛直方向に一致させる(ステップS3)。続いて、ザグリ溝33に金属粉末を供給しつつ、レーザビームを照射して、バルブシート用の肉盛層を形成する(ステップS4)。続いて、レーザ肉盛溶接装置10からシリンダヘッドの粗形材1を取り外す(ステップS5)。
図7から図10は、比較例に係るレーザ肉盛溶接方法の問題点について説明する図である。図7に示すように、比較例に係るレーザ肉盛溶接方法では、ザグリ溝33の中心軸とレーザトーチ14の回転軸とを一致させる。そして、レーザトーチ14を回転軸において回転させ、ザグリ溝33に金属粉末を供給させつつレーザビームLを照射させる。燃焼室壁側と仕切壁側で、回転軸から同軸ノズル12aの先端までの距離(回転半径)は同じR1にしている。
図11は、本実施の形態に係るレーザ肉盛溶接装置10によるレーザ肉盛溶接方法について説明する模式図である。図11に示すように、ザグリ溝33における燃焼室31の中心側(仕切壁側)の部分を溶接する場合、レーザビームLの照射軌跡L1のザグリ溝33の中心軸からの距離Raが、仕切壁31aが溶け落ちない第1の距離範囲になるようにする。また、ザグリ溝33における燃焼室31の外周側(燃焼室壁側)の部分を溶接する場合、レーザビームLの照射軌跡L2のザグリ溝33の中心軸からの距離Rbが、肉盛層34における溶接後の界面が目標とする界面に対し所定の取代が確保される第2の距離範囲になるようにする。制御部19は、距離Raが、仕切壁側の部分を溶接する場合は第1の距離範囲内(Ra1≦Ra≦Ra2)、燃焼室壁側の部分を溶接する場合は第2の距離範囲内(Rb1≦Rb≦Rb2)になるよう、回転動作部17及び直線移動動作部18の動作を制御する。なお、距離Rbが距離Raよりも長くなる。
図12は、変形例1に係る移動部116を示す模式図である。図12に示すように、変形例1に係る移動部116は、図2に示す移動部16における直線移動動作部18の代わりに、レーザトーチ14の鉛直方向に対する角度θを調節する角度調節部118を有する。図1に示す制御部19は、レーザビームを照射中に回転動作部17及び角度調節部118の動作を制御する。そして、図11を参照して説明したように、ザグリ溝33における燃焼室31の中心側(仕切壁側)の部分を溶接する場合、レーザビームLを照射中に、レーザビームLの照射軌跡L1のザグリ溝33の中心軸からの距離Raが、仕切壁31aが溶け落ちない第1の距離範囲になるようにする。また、ザグリ溝33における燃焼室31の外周側(燃焼室壁側)の部分を溶接する場合、レーザビームLを照射中に、レーザビームLの照射軌跡L2のザグリ溝33の中心軸からの距離Rbが、肉盛層34における溶接後の界面が目標とする界面に対し所定の取代が確保される第2の距離範囲になるようにする。
図13は、変形例2に係る移動部216及び位置決め部215を示す模式図である。図13に示すように、変形例2に係る移動部216は、図2に示す移動部16における直線移動動作部18を有さず、回転動作部17のみを有する。つまり、レーザトーチ14は、レーザビームLを照射中に、燃焼室壁側の部分を溶接する場合にも仕切壁側の部分を溶接する場合にも設定した回転半径で回転する。位置決め部215は、レーザビームLを照射中に、直線移動させることが可能なように構成されている。図1に示す制御部19は、レーザビームを照射中に回転動作部17及び位置決め部215の動作を制御する。そして、図11を参照して説明したように、ザグリ溝33における燃焼室31の中心側(仕切壁側)の部分を溶接する場合、レーザビームLを照射中に、レーザビームLの照射軌跡L1のザグリ溝33の中心軸からの距離Raが、仕切壁31aが溶け落ちない第1の距離範囲になるようにする。また、ザグリ溝33における燃焼室31の外周側(燃焼室壁側)の部分を溶接する場合、レーザビームLを照射中に、レーザビームLの照射軌跡L2のザグリ溝33の中心軸からの距離Rbが、肉盛層34における溶接後の界面が目標とする界面に対し所定の取代が確保される第2の距離範囲になるようにする。
10 レーザ肉盛溶接装置
11 レーザ照射部
12 金属粉末供給部
12a 同軸ノズル
12b 圧送ポンプ
12c ホース
14 レーザトーチ
15、215 位置決め部
16 移動部
17 回転動作部
18 直線移動動作部
19 制御部
31 燃焼室
31a 仕切壁
31b 燃焼室壁
32 ポート穴
33 ザグリ溝
34 肉盛層
116、216 移動部
118 角度調節部
Claims (6)
- 半球状の燃焼室が形成され前記燃焼室にポート穴が放射状に複数形成されたシリンダヘッドの粗形材において、前記ポート穴の外周に沿うように円環状のザグリ溝を形成する第1の工程と、
前記ザグリ溝の中心軸を鉛直方向に一致させ、前記ザグリ溝に金属粉末を供給しつつ、レーザビームを照射して、バルブシート用の肉盛層を形成する第2の工程と、を備え、
前記第2の工程において、前記ザグリ溝における前記燃焼室の中心側の部分では、前記レーザビームの照射軌跡の前記ザグリ溝の中心軸からの距離が、隣接する前記ザグリ溝の間にある仕切壁が溶け落ちない第1の距離範囲になり、かつ、前記ザグリ溝における前記燃焼室の外周側の部分では、前記レーザビームの照射軌跡の前記ザグリ溝の中心軸からの距離が、前記肉盛層における溶接後の界面が目標とする界面に対し所定の取代が確保される第2の距離範囲になるように、前記レーザビームを照射するためのレーザトーチを移動させ、
前記ザグリ溝における前記燃焼室の外周側の部分における、前記レーザビームの照射軌跡の前記ザグリ溝の中心軸からの距離が、前記ザグリ溝における前記燃焼室の中心側の部分における、前記レーザビームの照射軌跡の前記ザグリ溝の中心軸からの距離よりも長い、レーザ肉盛溶接方法。 - 前記ザグリ溝における前記燃焼室の中心側の部分における前記レーザビームの照射軌跡と、前記ザグリ溝における前記燃焼室の外周側の部分における前記レーザビームの照射軌跡と、の間の前記レーザビームの照射軌跡が直線状になるように前記レーザトーチを移動させる、請求項1に記載のレーザ肉盛溶接方法。
- 半球状の燃焼室が形成されかつ前記燃焼室にポート穴が放射状に複数形成されたシリンダヘッドの粗形材において、前記ポート穴の外周に沿うように円環状のザグリ溝を形成する第1の工程と、
前記ザグリ溝の中心軸を鉛直方向に一致させ、前記ザグリ溝に金属粉末を供給しつつ、レーザビームを照射して、バルブシート用の肉盛層を形成する第2の工程と、を備え、
前記第2の工程において、前記ザグリ溝における前記燃焼室の中心側の部分では、前記レーザビームの照射軌跡の前記ザグリ溝の中心軸からの距離が、隣接する前記ザグリ溝の間にある仕切壁が溶け落ちない第1の距離範囲になり、かつ、前記ザグリ溝における前記燃焼室の外周側の部分では、前記レーザビームの照射軌跡の前記ザグリ溝の中心軸からの距離が、前記肉盛層における溶接後の界面が目標とする界面に対し所定の取代が確保される第2の距離範囲になるように、前記粗形材を移動させ、
前記ザグリ溝における前記燃焼室の外周側の部分における、前記レーザビームの照射軌跡の前記ザグリ溝の中心軸からの距離が、前記ザグリ溝における前記燃焼室の中心側の部分における、前記レーザビームの照射軌跡の前記ザグリ溝の中心軸からの距離よりも長い、レーザ肉盛溶接方法。 - 前記ザグリ溝における前記燃焼室の中心側の部分における前記レーザビームの照射軌跡と、前記ザグリ溝における前記燃焼室の外周側の部分における前記レーザビームの照射軌跡と、の間の前記レーザビームの照射軌跡が直線状になるように、前記粗形材を移動させる、請求項3に記載のレーザ肉盛溶接方法。
- 半球状の燃焼室にポート穴が放射状に複数形成され、前記ポート穴の外周に沿うように円環状のザグリ溝が形成されたシリンダヘッドの粗形材の位置決めをする位置決め部と、
前記ザグリ溝に対して金属粉末を供給する金属粉末供給部と、
レーザビームを照射して該金属粉末を溶融させることで前記ザグリ溝に肉盛層を形成するレーザ照射部と、
前記レーザ照射部におけるレーザトーチを回転させる回転動作部と、
前記レーザトーチを直線移動させる直線移動動作部と、
前記位置決め部、前記金属粉末供給部、前記レーザ照射部、前記回転動作部及び前記直線移動動作部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部が、
前記ザグリ溝の中心軸を鉛直方向に一致させるよう前記位置決め部の動作を制御し、
前記ザグリ溝に金属粉末を供給させつつレーザビームを照射させるよう前記金属粉末供給部及び前記レーザ照射部の動作を制御し、
前記レーザビームを照射中に前記ザグリ溝における前記燃焼室の中心側の部分では、前記レーザビームの照射軌跡の前記ザグリ溝の中心軸からの距離が、隣接する前記ザグリ溝の間にある仕切壁が溶け落ちない第1の距離範囲になり、かつ、前記ザグリ溝における前記燃焼室の外周側の部分では、前記レーザビームの照射軌跡の前記ザグリ溝の中心軸からの距離が、前記肉盛層における溶接後の界面が目標とする界面に対し所定の取代が確保される第2の距離範囲になるように、前記回転動作部及び前記直線移動動作部の動作を制御し、
前記ザグリ溝における前記燃焼室の外周側の部分における、前記レーザビームの照射軌跡の前記ザグリ溝の中心軸からの距離が、前記ザグリ溝における前記燃焼室の中心側の部分における、前記レーザビームの照射軌跡の前記ザグリ溝の中心軸からの距離よりも長い、レーザ肉盛溶接装置。 - 半球状の燃焼室にポート穴が放射状に複数形成され、前記ポート穴の外周に沿うように円環状のザグリ溝が形成されたシリンダヘッドの粗形材の位置決めをする位置決め部と、
前記ザグリ溝に対して金属粉末を供給する金属粉末供給部と、
レーザビームを照射して該金属粉末を溶融させることで前記ザグリ溝に肉盛層を形成するレーザ照射部と、
前記レーザ照射部におけるレーザトーチを回転させる回転動作部と、
前記レーザトーチの鉛直方向に対する角度を調節する角度調節部と、
前記位置決め部、前記金属粉末供給部、前記レーザ照射部、前記回転動作部及び前記角度調節部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部が、
前記ザグリ溝の中心軸を鉛直方向に一致させるよう前記位置決め部の動作を制御し、
前記ザグリ溝に金属粉末を供給させつつレーザビームを照射させるよう前記金属粉末供給部及び前記レーザ照射部の動作を制御し、
前記レーザビームを照射中に前記ザグリ溝における前記燃焼室の中心側の部分では、前記レーザビームの照射軌跡の前記ザグリ溝の中心軸からの距離が、隣接する前記ザグリ溝の間にある仕切壁が溶け落ちない第1の距離範囲になり、かつ、前記ザグリ溝における前記燃焼室の外周側の部分では、前記レーザビームの照射軌跡の前記ザグリ溝の中心軸からの距離が、前記肉盛層における溶接後の界面が目標とする界面に対し所定の取代が確保される第2の距離範囲になるように、前記回転動作部及び前記角度調節部の動作を制御し、
前記ザグリ溝における前記燃焼室の外周側の部分における、前記レーザビームの照射軌跡の前記ザグリ溝の中心軸からの距離が、前記ザグリ溝における前記燃焼室の中心側の部分における、前記レーザビームの照射軌跡の前記ザグリ溝の中心軸からの距離よりも長い、レーザ肉盛溶接装置。
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