JP7170564B2 - モータ劣化傾向監視システム - Google Patents
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Description
また、特許文献2に記載のモータ劣化の遠隔予測システムは、遠隔にてモータの信頼性及び故障までの残存時間予想は可能であるが、評価項目は、絶縁破壊に限られており、複数の原因による故障予測を行うことができないという問題があった。
本実施の形態について、図1~図16を用いて説明する。
図1は、モータ劣化傾向監視システムの構成図であり、図2はこのシステムのデータの流れを示す図である。図3~図6は、各々センサデータ、信号種別、モータデータ及びメーカデータのデータ管理形式の一例を示す図である。図7~図14は、データの処理フローと機械学習等を具体的に示している。図15は、監視端末で表示するための表示用データの作成フローを示している。また、図16は、演算部等のハードウェア図を示している。
図1はモータ劣化傾向監視システムの構成図を示している。モータ劣化傾向監視システムは、大きく分けて、モータ及びセンサが接続され、主にモータ制御とセンサからのデータ収集とを行うコントロールセンタ5、15、データの蓄積及び演算等を行うクラウド31、このシステムのユーザが処理の進行等を監視するための監視端末23とこれらの間でデータのやり取りを行うためのインターネット24で構成されている。なお、ここでクラウド31は、データ収集部分から遠隔に配置され、大量のデータ蓄積、高速演算処理を行うサーバ又はサーバ群を呼ぶ。
図2を用いてモータ劣化傾向監視システムのデータフローの概略を説明する。
センサ2、4、12、14から取得したセンサデータ35、37は、各コントロールセンタ5、15内に保管され、図1に示した下位通信処理部8、18の指示により、インターネット24を介してクラウド31に送信される。
図3にセンサデータ、図4に信号種別、図5にモータデータ、図6にメーカデータのデータ管理のための表を示している。これらはデータ管理の一例であり、モータ劣化傾向監視システムの運用条件、管理基準等に従って、管理項目の変更、増減等が可能である。
信号種別は、いずれもモータの駆動に関する評価項目であり、本実施の形態においては、モータの異常を感知したときに出力する「異常」、モータを駆動するための入力情報である「電流」「電圧」「電力」、モータの動作環境条件である「温度」「湿度」「塵埃多寡」、モータの動作結果生じる駆動状況である「振動」「トルク」及びモータの「ON/OFF回数」等が記録される。
図6はメーカデータであり、モータの機種を区別するモータ機種ID56、機種名59に加え、モータのメーカ名60も記録して管理する。
図7~図14を用いてモータ劣化傾向監視システムのデータ処理フローと具体的なデータ処理方法を説明する。図7はセンサデータの収集フローを、図8は、モータの故障原因推定のフローを示している。図9~図13はモータの故障原因の推定を説明する図である。図14は、故障時期予測による傾向監視フローを示し、図15は監視端末への表示用データ作成フローを示している。
図7は、モータ1、3、11、13に取付けられたセンサ2、4、12、14により、センサデータを収集するフローを示している。センサデータは、図4の信号種別55に示された項目の中から、必要に応じて、複数の項目が選択される。
センサデータの収集は定期的に行われ、ステップS001において、センサデータの収集のタイミングか否かが判断される。
センサデータの収集のタイミングであった場合、ステップS002においてセンサデータを収集し、コントロールセンタ5、15内に保存される。ステップS003において、コントロールセンタ5、15の下位通信処理部8、18により、インターネット24を介してクラウド31に送信され、ステップS004において、上位データ管理部27に保存された蓄積データ38に統合され、直近のセンサデータが更新される。
センサデータの収集は、この間隔、データ数に限定されるものではない。本実施の形態においては、モータ劣化診断等の判断のための機械学習として時系列データに基づくLSTMモデルを用いている。そのため、収集時間が連続する複数のセンサデータを一組の時系列データとして取り扱うものであればよい。
図8に示したフローでは、更新したセンサデータが正常な場合には、それまでに取得したセンサデータと今回更新したセンサデータを用いて追加の機械学習を実施する。更新したセンサデータが正常でない場合には、故障原因の推定を行う。また、図9~図13は、追加の機械学習及び故障原因の推定を行うための具体的なデータの取り扱いの例を示している。これらのフロー及びデータの取り扱いにおいては、図4の信号種別55に示すように、多くの測定項目について同様の処理を実施することが必要であるが、説明の簡略化のため、ここでは、信号種別55の中から、電流値について取り扱った例のみを示している。
モータ情報として異常が確認されなかった場合、更新データは正常であると判断され、このセンサデータを用いて、ステップS012及びS013に示す追加の機械学習を実施する。モータ情報が異常の場合、ステップS014からS016において故障原因推定のフローを実施する。
ステップS012において、追加の機械学習を実施する。すでに述べたように、本実施の形態においては、機械学習として、時系列データに基づくLSTMモデルを用いた。
ステップS012においては、図9に示すように、前回更新までのLSTMモデルに今回の更新データを入力したときの出力データであるLSTMモデルの予測データ(●)71と、今回の更新データ(×)72の各々の時系列データとから、各経過時間での差異dA73の二乗和を最小とするLSTMモデルを求め、これを今回の更新データを用いた追加の機械学習によるLSTMモデルとする。なお、前述したように、この操作は図4の信号種別55に記載した複数の測定項目について行う必要があるが、ここでは信号種別55のうち、電流値を例として説明に用いた。
この更新データ72と正規分布77との対を、後に故障原因推定等に用いるための演算結果42としてステップS017において保存する。
図12に示すように、前回更新までのLSTMモデルに、今回の更新データを入力したときのLSTMモデルの予測データ(●)78を求める。なお、異常なデータが生じた後には、モータの駆動は、その時点で停止する場合もあり、目的とするデータ収集及び送信周期でデータ測定を行うことができないことが考えられる。そのため、今回の更新データである異常時のデータは、通常の周期で収集したデータではなく、異常が生じた時点から、データの送信周期分だけ遡った期間のデータを更新データ79として用いた。
同じ図13に示した正規分布84は、更新データが異常を示す前までに得られたLSTMモデルの予測データと、その更新データとの差異の分布をフィッティングした正規分布、つまり正常時の正規分布84を示している。
本実施の形態においては、信号種別55として電流を例に用いて説明を行ってきたが、実際には、図4に記載した複数の信号種別55について同様の検討を行っており、それぞれについて上記と同様に、正規分布の極大部分のシフト量83を求め、シフト量が大きい順に、更新データの異常、つまりモータ故障の原因であると推定する。
ここまでの検討において、各信号種別55について、モデルによる予測データと実際の更新データの差異の分布状態を、モータの正常時と異常時とで比較し、シフト量を求めることで、複数の信号種別55のうち、モータの故障原因と推定することができる測定項目を抽出することができた。
図14は、モータの故障までの時間である故障時期の予測フローを示している。なお、各モータについて、複数の信号種別55についてセンサデータを収集し、時系列データに基づく機械学習方法であるLSTMモデルを用いて故障原因の推定を行う基本部分はここまでの説明と共通している。
過去に評価した同機種のモータは、基本的には、図8のフロー図等で説明したように、更新データに異常が生じ、故障したと判断されるまでデータ測定を行っているので、モータ機種IDに該当して抽出された、過去に評価した複数の同機種のモータは、すべて故障が生じるまでのデータを有していることになる。
まず、ステップS022においては、評価対象モータについて、LSTMモデルに更新データを入力した時のLSTMモデルの予測データから更新データを減じ、得られた差異の分布を求め、さらにフィッティングを行い、正規分布を得る。
なお、ここで説明する故障時期予測では、すべての信号種別55について、データ処理を行うのではなく、図8等に示した故障原因の推定においてモータ故障の原因と推定された信号種別55について、測定及び評価を行うことで十分であると考えられる。
そこで、ステップS025では、故障モータの故障時期と同じ時期に評価対象モータも故障すると仮定し、故障モータの故障までの駆動時間から、評価対象モータの現在までの駆動時間を減算して、評価対象モータの故障までの時間を予測した。
本実施の形態に記載したモータ劣化傾向監視システムは、図1等に示すように、インターネット24を介して監視端末23を備え、モータの劣化状況等を遠隔地より監視することができる。
図15等に沿って、本実施の形態での監視端末23に表示する表示用データ44の作成フローについて説明する。
また、表示用データ44には、予測される故障時期も表示され、必要に応じて、評価対象モータと類似した劣化の進み方を示した故障モータのセンサデータも表示する場合もある。
監視端末23はクラウド31に対してステップS031において演算結果監視要求を送信する。これを受けクラウド31内では、ステップS032において演算結果42を用いて表示用データ43を作成し、ステップS033においてインターネット24を介して監視端末23へ表示用データ44を送信する。最後に、ステップS034において監視端末23に表示する。
図に示すように、ハードウェア90は、プロセッサ91と記憶装置92から構成される。記憶装置は図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを具備する。また、フラッシュメモリの代わりにハードディスクの補助記憶装置を具備してもよい。プロセッサ91は、記憶装置92から入力されたプログラムを実行する。この場合、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプロセッサ91にプログラムが入力される。また、プロセッサ91は、演算結果等のデータを記憶装置92の揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存してもよい。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
Claims (5)
- 電気機器を駆動するモータと、
前記モータに設置されたセンサにより、前記モータの駆動に関する複数の測定項目のデータを、時間経過に追随して測定し収集するコントロールセンタと、
前記コントロールセンタから送られる前記データにより各測定項目の蓄積データを更新するデータ管理部と、
各測定項目の前記データに基づき各々の予測データを算出する機械学習モデルを求める演算部と、を備え、
更新する蓄積データが異常であると判断された場合、
前記モータの各測定項目の正常時のデータから、前記機械学習モデルに正常時の前記データを入力して算出した各測定項目の予測データを減じ、得られた差異の分布にフィッティングさせ求めた各測定項目の正常時の正規分布と、
前記モータの各測定項目に異常が生じた時点から一定期間遡った過去のデータから、前記機械学習モデルに、前記異常が生じた時点から一定期間遡った過去のデータを入力して算出した各測定項目の予測データを減じ、得られた差異の分布にフィッティングさせ求めた各測定項目の異常時の正規分布と、を比較し、
各測定項目の両者の正規分布の変化量が所定の値を超えたもののうち、前記変化量が大きい順に前記モータの故障が原因であると推定した測定項目として監視端末に表示することを特徴とするモータ劣化傾向監視システム。 - 電気機器を駆動するモータと、
前記モータに設置されたセンサにより、前記モータの駆動に関する複数の測定項目のデータを、時間経過に追随して測定し収集するコントロールセンタと、
前記コントロールセンタから送られる前記データにより各測定項目の蓄積データを更新するデータ管理部と、
各測定項目の前記データに基づき各々の予測データを算出する機械学習モデルを求める演算部と、を備え、
すでに異常を生じた複数の故障モータについて、異常発生までに収集した前記故障モータの各測定項目のデータから、前記故障モータの機械学習モデルにより算出した予測データを減じ、得られた差異の分布にフィッティングさせ求めた各測定項目についての故障モータの正規分布と、
異常が未だ発生しない同機種の評価対象モータについて収集した各測定項目のデータから、前記評価対象モータの機械学習モデルにより算出した予測データを減じ、得られた差異の分布にフィッティングさせ求めた各測定項目についての評価対象モータの正規分布と、を比較し、
複数の前記故障モータについての正規分布のうち、前記評価対象モータについて得られた正規分布からの変化量が最小となる故障モータを抽出し、
当該故障モータの故障時期に基づき、前記評価対象モータの故障時期を予測することを特徴とするモータ劣化傾向監視システム。 - 前記変化量は、二つの正規分布を示す曲線の極大部分のシフト量であることを特徴とする請求項1または2に記載のモータ劣化傾向監視システム。
- 収集した前記データに基づき各測定項目の予測データを算出する前記機械学習モデルが、一定時間に収集した複数の時系列データを一組とし管理するLSTMモデルであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のモータ劣化傾向監視システム。
- 前記LSTMモデルは、前回の更新までの蓄積データを用いて算出した一組の時系列の予測データと、新たに測定された一組の時系列のデータとの、各経過時間での差異の二乗和を最小とする学習を行うことを特徴とする請求項4に記載のモータ劣化傾向監視システム。
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