JP7168364B2 - 自動車用防音材 - Google Patents
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Description
自動車のドア100は、ドアアウターパネル101とドアインナーパネル102で構成され、ドアホールシール10は、ドアインナーパネル102に形成された開口部Hを覆うとともに、ドア100内部の防音性対策と防水性確保のためドアインナーパネル102とドアトリム103の間に設けられている。
そこで、本発明者は、シート本体部の凹凸形状とその比率を変えた試行を重ねた結果、本発明に至った。
このように、シート本体部の凹凸形状とその比率に着目して狙いとする周波数に対して吸音性能を向上させるようにした従来例は一切存在しない。
その断面形状は、上下二等分線(200)に対して左右略対称で下底(42)の長さ(42L)よりも上底(41)の長さ(41L)が短い台形部(40)が複数、隣接する下底(42,42)同士が左右に連設されてなる形状であり、
前記下底(42)の長さ(42L)を、11.8±1mmとする基準値(S)にした場合、前記基準値(S)に対する前記上底(41)の長さ(41L)を59%以上にしたことを特徴とする。
その断面形状は、上下二等分線(200)に対して左右略対称で下底(42)の長さ(42L)よりも上底(41)の長さ(41L)が短い台形部(40)が複数、隣接する下底(42,42)同士が左右に連設されてなる形状であり、
前記下底(42)の長さ(42L)を、11.8±1mmとする基準値(S)にした場合、前記上底(41)と前記隣接する台形部(40,40)間に形成された谷(44)の底(45)までの距離(43L)を半分にした位置(P)における前記谷の幅(44W)を、前記基準値(S)の15%以上25%以下にしたことを特徴とする。
その断面形状は、上下二等分線(200)に対して左右略対称で下底(42)の長さ(42L)よりも上底(41)の長さ(41L)が短い台形部(40)が複数、隣接する下底(42,42)同士が左右に連設されてなる形状であり、
前記下底(42)の長さ(42L)を、11.8±1mmとする基準値(S)にした場合、前記隣接する台形部(40,40)間に形成された谷(44)の底(45)と前記下底(42)までの谷の深さを表す距離(44L)を、前記谷(44)の底(45)が破れない程度の深さから前記基準値(S)の26%以下までにしたことを特徴とする。
例えば、ドアインナーパネルの車内側に取付けられ、ドアインナーパネルに形成された開口部を覆うドアホールシールのシート本体部に適用した場合、ドライバーの耳の位置において吸音性能の優れるピーク位置を3000Hz付近から2500Hz付近に下げることができる。
例えば、ドアインナーパネルの車内側に取付けられ、ドアインナーパネルに形成された開口部を覆うドアホールシールのシート本体部に適用した場合、ドライバーの耳の位置において、吸音性能の優れるピーク位置よりも低周波数側となる、特に1500Hz付近よりも低周波数側の吸音性能を上げることができる。
例えば、ドアインナーパネルの車内側に取付けられ、ドアインナーパネルに形成された開口部を覆うドアホールシールのシート本体部に適用した場合、ドライバーの耳の位置において吸音性能の優れるピーク位置よりも高周波数側、特に3500Hz~4500Hzの吸音性能を飛躍的に上げることができる。
ドアホールシール30は、遮音性及び吸音性に優れたシート本体部31とそのシート本体部31に熱溶着(溶着部T)によって固着一体化され、シート本体部31をドアインナーパネル102の車内側に取付ける合成樹脂フィルム(PEフィルム)32からなる。合成樹脂フィルム32の車外側面には接着剤としてブチルゴムシール剤33が設けられ、これによってドアホールシール30はドアインナーパネル102に固着されている。
また、シート本体部31には、図示は省略するが、各種ケーブルを貫通させたり作業者が作業時に手を挿入したりするための穴や切欠き部が形成されている。
シート本体部31の断面形状は、図2に示すように、上下二等分線200に対して左右略対称で下底42の長さ42Lよりも上底41の長さ41Lが短い台形部40が複数、隣接する下底42,42同士が左右に連設されてなる形状である。なお、図2の紙面上では、上下二等分線200は左右に延びるものであり、台形部40が左右に連設されているとは、上下に連設されたものとなっている。
基準値Sについては、11.8±1mmとした。また、台形部40の高さ40Tについては、30mm以下であることが好ましい。
ここでは、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)を使用した。
試行1では、台形部40の下底42の長さ42Lを基準値Sにした場合、上底41側の長さ41Lを、図2の場合から図3に示すように変化させて、防音効果について調査した。
これは、実際に自動車のドア100内部に対象となるシール本体部31を取付けた後に、ドライバーの耳の位置において周波数に対する吸音率の変化を測定したものである。吸音率については、ドライバーの耳の位置に車外側から車内側に垂直に入射する音源に対するものとした。以下、測定方法は、試行2,試行3においても同様である。
図3(a)は、台形部40の下底42の長さ42Lを基準値Sとして11.8mmにした場合、上底41の長さ41Lを5.0mm(基準値Sに対する上底41の長さ41Lの比率=42%)にしたもの,
図3(b)は、上底41の長さ41Lを6.0mm(基準値Sに対する上底41の長さ41Lの比率=51%)にしたもの,
図3(c)は、上底41の長さ41Lを11.0mm(基準値Sに対する上底41の長さ41Lの比率=93%)にしたものであり、
これらを、図2に示した、上底41の長さ41Lを7.0mm(基準値Sに対する上底41の長さ41Lの比率=59%)にしたものとともに、従来例(図10,図11)のように山型形状の凹凸部11aをシール本体部11としたものと比較した。
なお、上底41の長さ41Lが変化すると隣接する台形部40,40間に形成される谷44の幅44Wは必然的に変化する。
その結果を表1及び図6に示した。
これに対して、図3(a)に示したもの(上底41の長さ41Lを5.0mm(基準値Sに対する上底41の長さ41Lの比率=42%))は、3000Hz以上でかつ3000Hz付近であり、図3(b)に示したもの(上底41の長さ41Lを6.0mm(基準値Sに対する上底41の長さ41Lの比率=51%))は、3000Hz以下であるが3000Hz付近であるので、吸音性能の優れるピーク位置を低周波数側するといった狙いに沿うものではないため生産性はNGとした。
次に、試行2では、台形部40の下底42の長さ42Lを基準値Sにした場合、上底41と、隣接する台形部40,40間に形成された谷44の底45までの距離43Lを半分にした位置Pにおける谷44の幅44Wを、図2の場合から図4に示すように変化させて、防音効果について調査した。
図4(a)は、台形部40の下底42の長さ42Lを基準値Sとして11.8mmにした場合、谷44の幅44Wを1.5mm(基準値Sに対する谷幅44Wの比率=13%)にしたもの,
図4(b)は、谷幅44Wを3.0mm(基準値Sに対する谷幅44Wの比率=25%)にしたもの,
図4(c)は、谷幅44Wを3.6mm(基準値Sに対する谷幅44Wの比率=31%)にしたものであり、
これらを、図2に示した、谷幅44Wを1.8mm(基準値Sに対する谷幅44Wの比率=15%)にしたものとともに、従来例(図10,図11)のように山型形状の凹凸部11aをシール本体部11としたものと比較した。
なお、この場合、上底41の長さ41Lは同一で、7.0mmとした。
その結果を表2及び図7に示した。
しかし、図4(a)に示したもの(谷幅44Wを1.5mm(基準値Sに対する谷幅44Wの比率=13%))と、図4(c)に示したもの(谷幅44Wを3.6mm(基準値Sに対する谷幅44Wの比率=31%))とは、吸音性能の優れるピーク位置(3000Hz付近)よりも高周波数側の吸音性能が、従来例のものと比較して劣るため生産性はNGとした。
次に、試行3では、台形部40の下底42の長さ42Lを基準値Sにした場合、隣接する台形部40,40間に形成された谷44の底45と下底42までの谷44の深さを表す距離44Lを、図2の場合から図5に示すように変化させて、防音効果について調査した。
図5(a)は、台形部40の下底42の長さ42Lを基準値Sとして11.8mmにした場合、谷44の深さ44Lを2.1mm(基準値Sに対する谷44の深さ44Lの比率=18%)にしたもの,
図5(b)は、谷44の深さ44Lを2.5mm(基準値Sに対する谷44の深さ44Lの比率=21%)にしたもの,
図5(c)は、谷44の深さ44Lを3.5mm(基準値Sに対する谷44の深さ44Lの比率=30%)にしたもの,
図5(d)は、谷44の深さ44Lを4.0mm(基準値Sに対する谷44の深さ44Lの比率=34%)にしたものであり、
これらを、図2に示した、谷44の深さ44Lを3.1mm(基準値Sに対する谷44の深さ44Lの比率=26%)にしたものとともに、従来例(図10,図11)のように山型形状の凹凸部11aをシール本体部11としたものと比較した。
なお、この場合、上底41の長さ41Lは同一で、7.0mmとした。
その結果を表3及び図8に示した。
しかし、図5(a)に示したもの(谷44の深さ44Lを2.1mm(基準値Sに対する谷44の深さ44Lの比率=18%))にしたものは、谷44の深さ44Lが僅かでその間に破れが発生する恐れがあるので使用することはできない。
また、図5(c)に示したもの(谷44の深さ44Lを3.5mm(基準値Sに対する谷44の深さ44Lの比率=30%))と、図5(d)に示したもの(谷44の深さ44Lを4.0mm(基準値Sに対する谷44の深さ44Lの比率=34%))は、従来例のものと比較して大差なく、図5(b)に示したもの(谷44の深さ44Lを2.5mm(基準値Sに対する谷44の深さ44Lの比率=21%))や、図2に示したもの(谷44の深さ44Lを3.1mm(基準値Sに対する谷44の深さ44Lの比率=26%))のように吸音性能の優れるピーク位置(3000Hz付近)よりも高周波数側の吸音性能が、従来例のものと比較して飛躍的に向上するものではないため生産性はNGとした。
11 シート本体部
11a 凹凸部
12 PEフィルム(合成樹脂フィルム)
13 ブチルゴムシール剤
30 ドアホールシール
31 シート本体部(防音材)
32 PEフィルム(合成樹脂フィルム)
33 ブチルゴムシール剤
40 台形部
40T 台形部の高さ
41 上底
41L 上底の長さ
42 下底
42L 下底の長さ
43L 上底と谷の底までの距離
44 谷
44L 谷の深さを表す距離
44W 谷の幅
45 谷の底
100 ドア
101 ドアアウターパネル
102 ドアインナーパネル
103 ドアトリム
200 上下二等分線
H 開口部
P 上底と谷の底までの距離を半分にした位置
S 基準値
T 溶着部
Claims (5)
- 自動車に使用される、0.08以下の低比重でゴム又は熱可塑性エラストマー又は熱可塑性樹脂からなるシート状の防音材であって、
その断面形状は、上下二等分線に対して左右略対称で下底の長さよりも上底の長さが短い台形部が複数、隣接する下底同士が左右に連設されてなる形状であり、
前記下底の長さを、11.8±1mmとする基準値にした場合、前記基準値に対する前記上底の長さを59%以上にしたことを特徴とする自動車用防音材。 - 自動車に使用される、0.08以下の低比重でゴム又は熱可塑性エラストマー又は熱可塑性樹脂からなるシート状の防音材であって、
その断面形状は、上下二等分線に対して左右略対称で下底の長さよりも上底の長さが短い台形部が複数、隣接する下底同士が左右に連設されてなる形状であり、
前記下底の長さを、11.8±1mmとする基準値にした場合、前記上底と前記隣接する台形部間に形成された谷の底までの距離を半分にした位置における前記谷の幅を、前記基準値の15%以上25%以下にしたことを特徴とする自動車用防音材。 - 自動車に使用される、0.08以下の低比重でゴム又は熱可塑性エラストマー又は熱可塑性樹脂からなるシート状の防音材であって、
その断面形状は、上下二等分線に対して左右略対称で下底の長さよりも上底の長さが短い台形部が複数、隣接する下底同士が左右に連設されてなる形状であり、
前記下底の長さを、11.8±1mmとする基準値にした場合、前記隣接する台形部間に形成された谷の底と前記下底までの谷の深さを表す距離を、前記谷の底が破れない程度の深さから前記基準値の26%以下までにしたことを特徴とする自動車用防音材。 - 前記隣接する台形部間に形成された谷の底と前記下底までの谷の深さを表す距離を、前記基準値の21%以上26%以下にしたことを特徴とする請求項3に記載の自動車用防音材。
- ドアインナーパネルの車内側に取付けられ、前記ドアインナーパネルに形成された開口部を覆うことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の自動車用防音材。
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JP2000274257A (ja) | 1999-03-19 | 2000-10-03 | Nichias Corp | 吸音構造体 |
JP2018047808A (ja) | 2016-09-21 | 2018-03-29 | 西川ゴム工業株式会社 | ドアホールシール |
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