JP7168236B2 - 日本語学習教材における促音のローマ字表記方法、及びこの表記方法を用いた日本語学習用教材並びに日本語学習用装置 - Google Patents

日本語学習教材における促音のローマ字表記方法、及びこの表記方法を用いた日本語学習用教材並びに日本語学習用装置 Download PDF

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Description

本発明は、外国人が日本語を学習する際の日本語のローマ字表記に関するものであり、より詳しくは日本語の促音を従来とは異なる態様で表記する日本語学習のためのローマ字表記方法、この表記方法により表記した日本語学習用教材、及びこのような表記を使用した日本語学習用装置に関する。
日本語において促音をひらがなやカタカナの音で表す場合、例えば「切符」は「きっぷ」や「キップ」のように、「つ」小さくした文字「っ」または「ッ」として表記する。促音は単独では存在できず、例えば「きっぷ」のように、前後を「き」と「ぷ」の2文字に挟まれた「っ」の文字からなる合計3文字の存在が前提となるが、本明細書では、「っ」の部分を促音とし、「き」を促音の前の文字、「ぷ」を促音の後ろの文字と定義して説明する。
また、促音の前の文字の母音とは、「きっぷ」の場合、促音「っ」の前の「き」すなわち「ki」の母音「i」であり、「コップ」の場合、「ko」の母音「o」である。
さらに、一般的には日本語をローマ字で表示したものも日本語であるが、本明細書では説明の都合により、原則として、漢字、ひらがな文字、カタカナ文字で記載された文字及び音声として発声されたものを「日本語」と称し、ローマ字で表記された日本語は「ローマ字表記」または「ローマ字による表記」と称して、特に指摘した場合を除き、本明細書で使用する「日本語」とは区別して用いるものとする。
現在のローマ字の用法としては、訓令式ローマ字とヘボン式ローマ字が一般的に使用されている。日本語のローマ字による促音表記では、例えば、「切符(きっぷ)」を「kippu」と表記するように、促音の直後の音を表す文字「ぷ」=「pu」の子音部分の文字「p」を2文字続けて「pp」と表示している。また、ヘボン式において「そっち」のようにchが続く場合には、「sotchi」と表記し、「tchi」で促音部分と後続音を表記することもある。
日本語を外国語として学習する場合、学習者は一般的にこのような訓令式またはヘボン式ローマ字表記の学習教材を使用して日本語の発声を学んでいる。
なお、先行技術文献ではないが、参考までに、本発明と関連する特許文献として特許文献1を提示する。この特許文献1は、文字に合わせて表記する上下発声母音表記方法を提示するもので、発声時における音の上向き又は下向きに応じた上下発声母音表記方法である。したがって特許文献1は、促音のローマ字表記については何も開示しておらず示唆してもいないが、日本語の発声に関する特許文献であるので、念のために、参考文献として提示した。
特許第6274470号公報
訓令式ローマ字表記では、例えば、日本語の「切手」、「学校」、又は「石鹸」などは、「kitte」、「gakko」、「sekken」などとローマ字表記される。しかし、「kitte」や「gakko」、「sekken」などの表記は、通常の英語の発音としては存在しない。そのため外国人の学習者は、促音をどのように発声してよいのか、この表記によっては促音の発音のコツがつかみにくいという問題があった。また、日本語の促音表記が「っ」または「ッ」というように「つ」を小さく表示して用いているため、初学習者は日本語文字「つ」の音と勘違いして、「きつて」=「kitute」、「こつち」=「kotuchi」、「そつち」=「sotuchi」と発音しがちである。このように、現在使用されている日本語学習教材の促音のローマ字表記は実際に発声する音とはずれており、外国人用の日本語学習教材の促音の表記としては問題があった。
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、日本語の学習教材のローマ字表記において、促音の表記を実際の促音の発声に近いローマ字表記とした日本語学習教材における促音のローマ字表記方法、及びこの表記方法を用いた日本語学習用教材並びに日本語学習用装置を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明の第一の態様は、日本語学習教材における促音のローマ字による表記方法であって、促音の表記を、促音の直前の音の母音を表すローマ字の直後に、該母音と同じローマ字を連続表記することにより、二重の母音文字表記としたことを特徴とする。
これにより、より促音の実際の発音に近いローマ字表記となり、日本語学習者にとって、促音の発声の習得が容易となる。
さらに、二重の母音文字表記における前の音の母音の文字を大文字で表記し、後続する母音の文字を小文字により表記するようにし、または二重の母音文字表記の直後にクォーテーションマークやその他の補助記号を付す構成としても良い。
また、本発明の第1の態様に係る日本語学習教材は、促音以外のローマ字表記部分は訓令式ローマ字表記、ヘボン式ローマ字表記又はその他のローマ字表記のいずれかを用いてローマ字表記されており、促音部のローマ字表記は、上記促音のローマ字表記方法により表記されていることを特徴とする。
さらに、本発明の第1の態様に係る日本語学習装置は、漢字、ひらがな及び/又はカタカナを含む日本語と、ローマ字とを入力する入力部と、前記入力部から入力された促音以外の日本語を訓令式ローマ字、ヘボン式ローマ文字またはその他のローマ字に変換する変換部と、前記変換部から出力された文字を出力する出力部とを備える日本語学習に使用する学習装置であって、
前記変換部は、前記入力部から促音が入力されたときに、該促音のローマ字表記を請求項1から4のいずれか1項に記載の日本語教材における促音のローマ字表記方法によって促音をローマ字表記に変換することを特徴とする。
この日本語学習装置において、入力部として文字入力部の他、文字読取入力部(スキャナ等)、音声入力部を設けることもできる。また、出力部として、表示出力部の他、印刷出力部、音声出力部を設けることができる。
このような日本語教材または日本語学習装置を使用することにより、より効率的に日本語の促音の発声について学習するとことができる。
上記した日本語の促音のローマ字表記方法によれば、英語またはこれに類する言語を母国語とする外国人に実際の発声のポイントがわかりやすくなるため、より短時間で促音を習得することが可能となる。
また、日本語表記についても、本願発明の日本語表記を用いて促音部分を日本語の母音で表記することができる。これにより、従来の促音の日本語の促音表記の“っ”がなくなるために、促音の発音が、”つ“に関連するとの誤解を生じることがなくなる。
本発明の促音のローマ字表記によれば、従来の促音表記“っ”の音や発音が、”つ=tu”に関連する音であるとの誤解を生じるおそれがない。また、英語またはこれに類する言語を母国語とする外国人にとって、実際の促音発声のポイントがわかりやすくなるため、より短時間で促音を理解でき習得できる日本語学習教材、日本語学習機材、及び日本語学習に適した促音の表示方法を提供することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る促音のローマ字表記方法によりローマ字を表記した例を示す図。 本発明の第2の実施形態に係る促音のローマ字表記方法によりローマ字を表記した例を示す図。 本発明の第2の実施形態に係る促音のローマ字表記方法によりローマ字を表記した例を示す図。 図4は、本発明に係る日本語学習装置10の機能ブロック図。 本発明の日本語学習装置の制御部の基本構成要素を示すブロック図。 本発明の促音変換部のローマ字変換処理手順の一例を示フローチャート。
日本語において促音は、例えば「切手(きって)」「切符(きっぷ)」「そっち」、「石鹸」等、種々使用されている。日本語における促音の仮名表記は、「っ」「ッ」と表されて、「つまる音」ともいわれ、促音は一般的には1モーラとして数えられている。ただし促音は単独では存在できず、2つの文字(2モーラ)の間に促音(1モーラ)を加えた結合体(3モーラ)の真ん中の要素としてのみ存在する。
促音の表記は、平安時代末期(12世紀)に表記法の概要が確立している。
ここで、モーラとは、ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典によると、ラテン語韻律学において,1短音節の長さに相当する時間の単位をさす。1長音節は1短音節の2倍の長さをもつ。転じて,おもに日本語の“仮名”1字 (子音+短母音) に相当する時間的長さの単位をさすのに用いられる。撥音 (ン) ,促音 (ッ) ,長音 (ー)もそれ自身で1モーラをなすのが日本語の特徴である。
促音のローマ字表記の基礎知識として、英語を例に”外国語”と“日本語”の発音の違いの観点から、日本語の「促音」について比較検討する。まず、日本語と英語の音節(syllable)の違いについて検討する。広辞苑」によれば、音節とは「一まとまりに発音される最小の単位。普通核となる母音があり、その前後に子音を伴う」と記されている。
「英語」では以下に示すように、子音+母音+子音で一般的には構成されている。
(例)
英:Top 1syllable
日:トップ [ト・ッ・プ] 3音
英:That 1syllable
日:ザット[ザ・ッ・ト] 3音
英:Went 1syllable
日:ウェント[ウ・エ・ン・ト] 4音
Syllable を”音”と解釈すると、英語では上記の例は一音であるが、日本語では1文字を一音ずつの音として区切って発音するため、3音~4音として発声される。この違いがとりわけ外国人にとって日本語の「促音」の理解を難しくしていると思われる。
もう少し詳しく説明すると、英語では前例のTopの場合
(i)T(子音)の口の形・音の位置を作る。そして”phonics”による文字と発音に基づき、音(声)を 発声する。日本語には馴染薄い“摩擦音””破裂音”等が発声される。
(ii)次に、母音“o”を発声する。
(iii)最後に、Pの子音の口の形。舌や唇の形をつくりPの子音で終わる。
ただし、最後の子音は口・舌・唇等の形はつくるがそのままストップされ音(声)の無いまま終わるケースが多い。
以上の合計で 1Syllable ≒1音(音節)の発声とされている。これは、子音+母音+子音は途切れることなく連続的に繋がり一音となるという仕組みによるものである。
一方、日本語では「ト」、「ッ」、「プ」と、一音ずつははっきり発音する仕組みである。すなわち外国語と日本語では、子音の繋がりの仕組みに発声上の大きな違いがある。この違いを前提にした「促音」の仕組みと発声法を、外国人へ正しく教えることが日本語学習にとって重要であると思われる。
現在使用されている日本語学習の教材では、17世紀以来、来日した欧米人が日本語習得のために”ローマ字”表記を用いて「あ・い・う・え・おから長音・促音まで」の発音表を作成し、いくつかの変化・変更を重ねて外国人向けの日本語の”発音表”が作成され、これが日本語会話学習のベースになっている。これらの”発音表”作成は、ポルトガル人・オランダ人・英国人・アメリカ人等が作成したものであるため、各国言語による”母語干渉”によって表記に違いが。これらの発音表に対して、日本人の研究者や国による改訂を試みられ、現在の日本語のローマ字伝統的な形式には”訓令式ローマ字“、ヘボン式ローマ字”があるが、”日本式ローマ字”や古くは“ポルトガル式ローマ字”や”オランダ式ローマ字”等もあるようである。
本発明においては、ローマ字とは、訓令式、ヘボン式、日本式その他現在通用しているローマ字をすべて含むものとする。現在通用している「促音」の日本語表記及びローマ字表記においては、日本語表記では「っ」と表示し、ローマ字表記では一部の例外を除き後続する子音文字を2文字続けて表記するということについては、ヘボン式の一部の表記をのぞき、訓令式、ヘボン式、日本式において変わるところはなく、誰も異を唱えることなく一般化されている。
しかし、この現在一般的に用いられて促音の表記は、促音の実際の発音(発声)と整合していないため、日本語を母国後としない日本語学習者にとっては促音の学習上の障害となる。
例えば、apple , cotton , batter 等のように、英語にも同一子音の文字が2つ連続する単語がある。これらの英単語の日本語によるカナカナ表記は、「アップル」 「コットン」、「バッター」のように促音を含むものとして表されるのが一般的である。このように英語において子音の文字が続く単語の発音が、日本語の表記において促音を含むものとしてカタカナ表記されると、日本語を母国語とする者にとっては、子音が2つ連続する場合、英語でも日本語の促音と同じ発声となるように見えてしまう。しかし、以下に述べるように、これらの英単語は実際には促音の発声を含んでおらず、日本語のカタカナ表記は、発声される“音”を表す表音文字の表記としては適切ではない。
英語は子音も母音と同様に音(声)であり、日本語では子音は母音と組み合わせて一つの音(1モーラ)となるという、両者の音節の間違いに由来するものであり、以下に説明するように、上記の「アップル」などの日本語のカタカナ表記は、実際の発音を正しく表していないということが理解できる。
すなわち、音節の観点から説明すると、Appleは2音節発音で、実際に発音に近い音をカタカナで表記すればアップルではなくて、“アポォー”となる。
Cotton は cot・tonの2音節発音であり、カタカナ表記は“コットン”でなくより近いのは“コォツゥン”
Batterは bat・bater で2音節発音であり、“バッター”ではなくより近いのは“バラー”である。
上記した英語の発音は、日本語のカタカナ表記の発音であるアップル、コットン、バターとは全く異なっており、英語における子音が2つ重なった部分の発音は促音とは一致していないことがわかる。
促音の日本語表記にも問題がある。
日本語で促音を小さな「っ」と表記する前は、「む」と表記された歴史もあるようであるが、そもそも“促音”を小さな「っ」と表記することが、発声の観点から適切なのであろうか。
カタカナやひらがなは、発音する音をそのまま表す“表音文字”である。したがって、日本語の初学者である外国人は、“っ”と表記されていると、促音が“つまる音”であると教えられてそれを頭で理解していたとしても、潜在的に“つ”に近い音を発生するものと勘違いされやすいと思われる。したがって、少なくともローマ字の促音表記は、できるだけ実際の発音に近い音に対応する文字により表現することが、初学者にとって促音の発声を理解しやすくなるものと解される。
日本語話者の「促音」研究も多く、促音「っ」の次に子音によって実際の発声の方法が決まるという説明もある。「っ」の次に「た行」がくるのか、「は行」がくるのか、または「ら行」がくるのかなどにより「促音」の発生が違うと説明する。しかし、これもローマ字表記の同一子音2文字表記に影響された分析であり、この分析からは、具体的な促音表記をどのように表記するかという答えは導き出せない。
英語等を母国語とする日本語学習初心者に促音の発音を理解されやすいものにするために促音をどのように表記することが適切であるかを考察するには、日本語の促音の発音がどのようなものであるかを、実際の発音から解析するのが有益である。
促音を音としてとらえるためには、わかりやすいゆっくりした「会話」を観察することが有用である。これにより、促音がどのように発声されているか、どのような“音”が一番促音に近いかをより具体的かつ正確とらえることができる。しかし、促音部分をゆっくりと発声することは日常会話では存在しない。一方、促音がゆっくりした発声が行われる例として、日常会話よりも昭和時代の歌謡曲で表現されていることが多く、歌の中からリズムを伴って探ってみると、促音がどのような音に近いがわかりやすい。
森進一氏の歌「年上の女」を例にとれば、以下のような分析が可能である。
(例)「だって わかって欲しいのと」の歌詞の促音部分(2か所)を傾聴すると、
「だ・・て・わ・か・ぁ・ぁ・て・ほしいのと」 と発せられている。
すなわち、促音部分は「っ」でなく「ぁ」と発音されている。
また、松村和子氏の歌「帰ってこいよ」を例にとれば
(例)「きっと帰ってくるんだと」の促音部分(2か所)は、
「き・・と・か・え・・て・く・る・ん・だ・と」と発せられている。
すなわち、各促音の直前の音「だ」、「か」、「き」、「く」の母音である「あ」、「あ」、「い」、「え」が、後続する促音部分の“音”として繰り返されている。言い換えると、促音」は直前の音の母音をもう一度繰り返す事により基本的に成り立っているのであり、促音表記としては、直前の音の母音を繰り返して表記するのが一番近い音になると考えられる。
以上をまとめると、日本語の促音(日本語)として表される「っ」「ッ」はつまるよという表記であり、通常の文字「っ」「ッ」とは発音しない。日本語でつまる音の場合、上述の歌の例でわかるように、促音の前の音(声)の母音を発声しているのである。
表記すると、以下のようになる。
(例)
あった = あぁた あァた = aata
あっち = あぁち あァち = aati
促音は一般的には1モーラと解されている。しかし、上記の例の「あぁ」、「あァ」は「促音の前の音(あ)+(ぁ)0.5モーラ」すなわち、「1モーラ+0.5モーラ」、又は「0.5モーラ + 0.5モーラ」くらいの時間スピードで発声されていると解すると促音の発音に近くなることがわかる(歌でゆっくり発声する場合は別)。
以上から、母音を中心とした日本語の発声で子音を重視する発声の外国語話者が表記したローマ字を母音中心に改めることが日本語会話学習者について正しく日本語を理解し習得することになる。
以上を基に「促音」をローマ字表記すれば以下の通りとなる。
「だって」は従来「datte」と表示されていたものを、ローマ字表記を「daate」とする。日本語表記も「だぁて」とした方が、より促音に近い日本語表記になるので、促音を「っ」と表記するよりも促音の発音に対する誤解が生じにくいので、日本語学習者にとって促音の発音がわかり易いものとなり、より好ましい。
同様に、「たった」は従来「tatta 」と表示されていたものが、「taata 」とし、「たぁた」と表記する。「もっと」は 従来の表記「 motto」を、「 mooto 」及び「もぉと」と表記する。「切手」は従来表記「kitte」を、「kiite」及び「きぃて」と表記する。
これに近い表記として、英語にも母音を二つ重ねた表記がある。例えば、Good、Book、Look 等である。この母音を2つ続けて表記した単語の発音は、子音を2つ重ねた apple、cotton、batterよりも、「促音」に近いつまる音を発する発音である。したがって、英語の話者には、このGood、Book、Look 等の単語発音と合わせて、促音の発音がつまる音であることを母音表記と合わせて説明すると、促音の発声がより理解されやすいと思われる。
また、国際音声記号では、次のモーラ(音)の子音と合わせて、子音に長音記号の“コロン”を付けるか、子音を二つ重ねて表記する。破裂音で子音を二つ重ねて表記する場合、前の子音に閉鎖を開放しないことを表すクォーテーションマーク「 ’」の符号を付けることもある。また、英語等の外国語においては、つまる音、飛ばす音を上記する場合に小文字で表記することや、「 ’」の符号を付して表すこともある。さらに、促音表記ではないものの、「ん」という発音は、「NN」と「N」を重ねて表記すると発声が理解されやすいものとなる。
したがって、促音表記においても、このような表記を併用することができる。例えば、本願発明において、促音部の前の音の母音を大文字にした上で、促音部を小文字にすることや、ヘボン式表記を併用することにより表記することが、より促音の発音をわかり易くすることができる。
以上の通り、本願発明は、日本語学習の教材(印刷表記)においては、促音のローマ字又はアルファベットによる表記は、従来の表記のように子音を重ねるのではなく、直前の音の母音と合わせて母音を2個重ねて母音を二重表記することを、基本的な表記方法とするものである。また、より一層日本語学習を効率的に進めるために、日本語の促音を自動的に二重母音表示して出力することができ、必要に応じて、その促音を含む単語を音声出力する日本語学習装置を提供することが望ましい。
図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、「切手」、「あっさり」、「学校」、「雑誌」、「石鹸」を用いて、従来の促音表記と、本発明の一実施形態に係る促音表記を例示したものである。それぞれの用語について、従来のひらがなの促音表記とローマ字の促音表記、及び本発明のローマ字による促音表記とひらがなの促音表記を例示している。本発明の促音のローマ字表記とひらがな表記においては、促音「「っ」直前の文字の母音が、続けて表示された「二重母音文字表記」となっている。
具体的に説明すると、「切手」の促音表記は、従来は「きって」、「KITTE」と表示されているが、本発明の表記では、ローマ字表記では「KIITT」と表記され、ひらがなでは「きぃて」と表記される。すなわち促音のローマ字表記では、母音「I」が2文字連続して表記されることにより促音を表している。
「学校」は「GAAKO」、ひらがなでは「がぁこう」と表記する。
「雑誌」は、「ZAASI」、「ざぁし」であり、ヘボン式ではローマ字表記が「ZAASH」となる。「石鹸」は「SEEKEN」、「せぇけん」と表記する。
なお、図に示していないが、「SEEKENN」と「ん」を「NN」と表記してもよい。また、日本語表記では、「切手」を「きぃて」と二重母音の後ろのかな文字を小さな「ぃ」とすることにより、促音であることを示すことが好ましい。なお、図1の第1の実施形態では、すべて大文字によるローマ字表記を示しているが、次に説明する第2の実施形態を除き、すべて小文字のローマ字表記としても良い。
図2は本発明の促音の表記方法の第2の実施形態を示す図である。
図1との違いは、本発明による促音のローマ字表記において、促音部分の二重母音文字表記において、後ろの母音文字が小文字となっている点である。
例えば、「切手」では、「KIiTT」と表記し、「「あっさり」は、「AaSARI」、学校」は「GAaKO」と表記する。「雑誌」は、「ZAaSI],又はヘボン式では「ZAaSHI」となり、「石鹸」は「SEeKEN」と表記する。
図3は、本発明の促音表記方法の第3の実施形態を示す図である。
図1及び図2との違いは、本発明のローマ字表記では、二重母音文字表記の後にクォーテーションマーク「’」が付されている点である。例えば、「切手」は「KII‘TE」、「あっさり」は「AA’SARI」と表記する。他の文字も同様である。なお、図示していないが、例えば「KIi’TE」のように、第2の実施形態の表記方法にクォーテーションマークを付しても良い。また、「kii’te」とクォーテーションマーク以外をすべて小文字で表記しても良い。さらに、二重の母音文字表記の後ろに、他の符号を付して、促音であることを強調するようにしても良い。
日本語学習教材における促音のローマ字表記として、以上説明したような本発明のローマ字表記を用いることにより、日本語を母国語としない日本語学習者にとって、促音の発声が理解しやすくなる。また、日本語の表記についても、ローマ字表記と同じように2重母音表記とする日本語表記を併用することより、促音が「つ=tu」に関係するものであるとの誤解を避けることができる。
次に、本発明の促音のローマ字表記を用いた日本語学習機について説明する。図4は、本発明に係る日本語学習装置10の機能ブロック図である。この学習装置は、サーバに組み込んで学習システムとして構築しても良いし、小型のハンディ学習機としても良い。図5に示すような基本構成要素(素子)を装置内部に組み込んで、小型の学習機として構成することもできる。
図4の機能ブロック図を用いて日本語学習装置について説明する。日本語学習装置10は、基本構成要素として、入力部30、出力部35、及び制御部11等を備えている。入力部はキーボード、タッチパネル等の文字入力部30aに加えて、スキャナ等の文字読取部30b、音声入力部30cなどを設けることもできる。出力部35としては表示主力部に加えて、必要に応じて印刷出力部35b、音声出力部35cを設けても良い。
制御部11は、入力部30及び出力部35とのデータの受け渡しを行う入出力インタフェイス12、主制御部13、及び変換部15を備える。変換部15はローマ字変換部17、促音変換部16を備える。また、必要に応じて、本発明の日本語表記を出力する日本語変換部18を設けることもできる。ローマ字変換部16は、日本語入力をローマ字表記に変換する。促音以外については訓令式、ヘボン式、その他の予め定められたローマ字表記に変換する。促音変換部17は、促音検知部17aと母音等確定部17bを備えている。
促音検知部17aは入力データから促音「っ」、「ッ」を検出する(日本語変換部18を備えるときには、又はローマ字入力のときは「子音の2連続しているか」等についても検出する)。母音等確定部17bは、入力文字を少なくとも2文字以上記憶している。促音を検知したときに、記憶している直前の入力文字の母音に基づいて促音として表記する母音を確定し、ローマ字変換部16または日本語変換部18に二重表記する母音文字の情報を出力する。その際、第2の実施態様、第3の実施態様のときには、促音部の母音を小文字にし、またはクォーテーションマークを付するとの情報をローマ字変換部16に出力する。
図4に示す機能の日本語学習装置は、図5にブロック図として示すような、CPU20、ROM21、RAM22、バスコントロール23、及びデータバス25により実現することができる。ROM21またはRAM22に制御プログラム、変換プログラム、日本語からローマ字へ変換する変換テーブル、または必要に応じてローマ字から日本語への変換テーブルを備えることにより、本発明の日本語からローマ字へ変換すること、及びローマ字から日本語への変換することなどを実施することができる。ヘボン式ローマ字、訓令式ローマ字、その他のローマ字の変換テーブルを備えることにより、自由な形式のローマ字へ変換することも可能となる。
例えば、文字入力部30aから「きって」という日本語が入力された場合についての変換動作について説明する。文字入力部30aからの入力データが制御部11に入力されると、主制御部13はその入力を適宜処理した後に、ローマ字変換部16に出力する。ローマ字変換部16は、促音表記を除いて、入力文字を予め記憶されている日本語からローマ字へ変換テーブル等に基づいてローマ字へ変換する。促音部の変換については、促音変換部17の情報に基づいてローマ字変換する。
促音変換部17の処理手順の一例を、図6を用いて説明する。図6は促音変換部17の処理手順の一例を示フローチャートである。日本語「切手」が入力されると、主制御部で仮名文字に変換されて、促音変換部17に入力される。促音変換部17は仮名文字を取得すると(ステップS1)、入力された仮名文字を少なくとも最新の2文字以上を入力順に記憶し(ステップS2)、促音「っ」又は「ッ」がないかどうかを確認する(ステップS3)。促音「っ」を検知すると(ステップS3:Yes)、一つ前の文字「き」の母音が「い」であることを確定し(ステップS5)し、その情報をローマ字変換部15に出力する(ステップS6)。このとき、第2の実施形態、又は第3の実施形態では、促音の母音文字(二重母音文字表記の後ろの母音文字)が小文字であること、または二重母音文字表記の後ろにクォーテーションマークを付すとの情報をローマ字変換部16に出力する(ステップS6)。
変換されたローマ字又は日本語は、主制御部13に出力され、入出力インタフェイス12を介して、出力部35に出力される。音声出力部35cに出力する機能を備えている場合には、文字を音声に変換して出力する。
なお、文字読取部(30)または音声入力部30cからの入力の場合には、これらの入力を仮名文字またはローマ字に変換する変換部を、主制御部13内または個別に設けて、入力データを仮名文字またはローマ字に変換した後に、変換部11に出力する。
以上の説明から明らかなように、本発明は日本語学習教材において、促音のローマ字表記を「二重の母音文字表記」とし、これを基本にした上で、各種変形、補助記号を付加するものである。この促音のローマ字表記によれば、実際の促音の音に近い表記となるため、英語またはこれに類する言語を母国語とする外国人に実際の発声のポイントがわかりやすくなる。そのため、より短時間で促音を理解することが可能となる。
また、促音のローマ字表記が母音で表示されることにより発音が明確になるため、日本語の促音表記「っ」から生じる、促音の発声が、”つ“に関連する発声であるとの誤解を生じることがない。さらに日本の促音表記も母音を小さな文字で表記することにより、より確実にこのような誤解を回避することが可能となる。このように、本願発明は、より短時間で促音の発音を習得できる日本語学習に適した促音表記方法、日本語学習教材、日本語学習装置を提供するものである。
10 日本語学習装置
11 制御部
15 変換部
16 ローマ字変換部
17 促音変換部
17a 促音検知部
17b 母音等確定部
30 入力部
35 出力部

Claims (6)

  1. 促音及び促音以外を含む日本語を、漢字、ひらがな及び/又はカタカナで入力する入力部と、
    前記入力部から入力された促音以外の日本語を訓令式ローマ字、ヘボン式ローマ字またはその他のローマ字に変換する変換部と、
    前記変換部から出力された文字を出力する出力部と、を備える日本語学習装置であって、
    前記変換部は、前記入力部から促音を含む日本語が入力されたときに、前記促音の直前の音の母音を表すローマ字の直後に、該母音と同じローマ字を連続させることにより、二重の母音文字として変換する日本語学習装置。
  2. 前記入力部は文字読取部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の日本語学習装置。
  3. 促音及び促音以外を含む日本語を、音声で入力する音声入力部と、
    前記音声入力部から入力された促音以外の日本語を訓令式ローマ字、ヘボン式ローマ字またはその他のローマ字に変換する変換部と、
    前記変換部から出力された文字を出力する出力部と、を備える日本語学習装置であって、
    前記変換部は、前記音声入力部から促音を含む日本語が音声入力されたときに、前記促音の直前の音の母音を表すローマ字の直後に、該母音と同じローマ字を連続させることにより、二重の母音文字として変換する日本語学習装置。
  4. 前記二重の母音文字において、前の母音の文字を大文字とし、後の母音の文字を小文字とするように、前記変換部が変換を行う、請求項1~3のいずれか1項に記載の日本語学習装置。
  5. 記二重の母音文字の直後に、クォーテーションマークを付すように前記変換部が変換を行う、請求項1~3のいずれか1項に記載の日本語学習装置。
  6. 前記出力部は、前記変換部から出力された文字を印刷する印刷出力部、画面への表示を行う表示出力部、及び/又は音声により出力する音声出力部を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の日本語学習装置。
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