図1から図20に基づいて、本発明の実施形態に係る顔認証システム、当該システムを構成する顔認証サーバ、および、顔認証方法について説明する。
〔第一実施形態〕
〔概略説明〕
本実施形態に係る顔認証システム1は、図1、図2に示すように、顔データを用いて被認証者Aが認証対象者Bであることを確認する認証を行うシステムである。なお、被認証者Aとは、顔認証システム1にて認証を受ける人物Pである。認証対象者Bとは、顔認証システム1に登録されている人物Pである。顔データとは、顔画像またはその特徴量である。顔画像とは、人物Pの顔をカメラ等で撮影した画像である。特徴量とは、顔画像における人物Pの顔の特徴を数値化した量である。
認証対象者Bは、例えば所定の権限を有する人物Pとして登録されている。所定の権限とは、例えば、所定の場所へ入場する権限(以下では、入場権限と称する場合がある)が例示的に挙げられる。この場合、認証対象者Bの入場権限は、入場許可者として顔認証システム1に登録される。認証対象者Bの入場権限は、例えば認証対象者Bの属性(例えば、正社員や非正社員、社員や社員以外であるなどの所属や、課長職や部長職、システム管理者などの職位等)に関連付けられている。
本実施形態における、被認証者Aが認証対象者Bであると認証する概念には、被認証者Aが認証対象者Bであると判定されることが含まれる(後述する顔一致方式)。また、認証の概念には、被認証者Aが認証対象者Bである蓋然性が高いと判定されることが含まれる(後述する顔一位方式)。さらに、認証の概念には、被認証者Aが認証対象者Bであるとの推定が否定されないと判定されることが含まれる(後述する顔記録方式)。
図3に示す顔認証システム1は、管理エリアの入口扉(電気扉20)に設置されて、管理エリアへの入場を管理する。顔認証システム1は、認証対象者Bであると認証された被認証者Aに管理エリアへの入場を許可する。
本実施形態では、被認証者Aの顔データを入力顔データE(被認証者情報の一例)と呼び、認証対象者Bの顔データを登録顔データF(登録認証情報の一例)と呼ぶ。
人物Pの個人識別情報とは、顔データ以外の情報であって、個人を識別できる情報である。個人識別情報としては、例えば氏名、社員番号、管理番号など、単独で個人を識別できる情報であってもよいし、所属会社名、部署、役職、連絡先電話番号、メールアドレスなど、複数の組合せで個人を識別できる情報であってもよい。また、個人識別情報として暗証番号であっても良い。
本実施形態では、被認証者Aの個人識別情報を入力個人識別情報H(被認証者情報の一例)をと呼び、認証対象者Bの個人識別情報を登録個人識別情報I(登録認証情報の一例)と呼ぶ。
顔認証システム1は、被認証者Aを認証対象者Bであると認証する場合の認証条件を複数の認証方式の中から選択するようになっている。本実施形態では、以下、主として、顔認証システム1が、1つの入力顔データEと複数の登録顔データFとを照合する第一認証方式(1対N認証)と、第一認証方式とは異なる第二認証方式とを選択して実行可能となっている場合を例示して説明する。第二認証方式は、入力個人識別情報Hと登録個人識別情報Iとを照合する方法を含む。認証方式の選択は、後述する選択部33aが行う。
なお、顔認証システム1では、特定の認証方式に定められた第一認証方式や第二認証方式が実行可能となる場合のみならず、第一認証方式や第二認証方式として、顔一致方式、顔一位方式、顔記録方式のほか、後述するパス認証方式を併用する認証方式(顔ID一致方式)やパス認証方式のみの認証方式を含む、種々の認証方式を実行可能とすることができる。また、これら実行可能とされた種々の認証方式は、選択部33aにより選択可能とすることができる。選択可能とされる認証方式は一段階で認証を行うものでもよいし、二段階で認証を行うものでもよい。二段階で認証を行う場合は、第一段階の認証で失敗したとき、第一段階の認証方式とは異なる認証方式を用いる第二段階の認証を行うことができる。
また、顔認証システム1では、第一認証方式や第二認証方式に加えて、第三認証方式や第N認証方式(ただし、Nは4以上の整数)を選択して実行することができる。第三認証方式から第N認証方式は、第二認証方式と同様に、顔一致方式、顔一位方式、顔記録方式のほか、後述するパス認証方式を併用する認証方式(顔ID一致方式)やパス認証方式のみの認証方式を含む、種々の認証方式を実行可能とすることができる。なお、第三認証方式から第N認証方式は、第一認証方式や第二認証方式とは異なる方式が実行可能とされる。また、これら実行可能とされた種々の認証方式は、選択部33aにより選択可能とすることができる。本実施形態では、第三認証方式から第N認証方式は第二認証方式と同様であるため、顔認証システム1が第一認証方式と第二認証方式とを実行可能である場合を例示して説明する。
図1に示すように、顔認証システム1は、入力顔データEを取得した場合(#01)、第一認証方式を実行して認証を試みて、認証できた場合は開錠して電気扉20を開く(#03)ようになっている。図2に示すように、顔認証システム1は、入力顔データEを取得した(#01)が、第一認証方式を実行して認証できなかった場合、さらに入力個人識別情報Hを取得(#02)して認証する第二認証方式を実行し、認証できた場合は開錠して電気扉20を開く(#03)ようになっている。
本実施形態では、認証対象者Bである人物P2等の個人識別情報を、末尾に同じ番号を付して登録個人識別情報I2等と呼ぶ場合がある。
顔認証システム1では、複数の認証方式の中から認証方式を選択する選択ステップと、選択された認証方式に応じて被認証者Aの情報を被認証者情報として取得する情報取得ステップと、選択された認証方式に応じて被認証者情報と認証対象者Bの情報である登録認証情報とを照合する照合ステップと、選択された認証方式の認証条件と照合ステップで照合した結果とに基づいて、被認証者Aが認証対象者Bであると認証する認証ステップと、を含む顔認証方法が実行される。
この顔認証方法においては、複数の認証方式として、被認証者Aの顔データの照合を伴う認証方式を含み、複数の認証方式は、少なくとも、照合ステップで照合した結果に基づく第一認証方式と、当該第一認証方式とは異なる第二認証方式を含んでいる。
〔詳細説明〕
〔認証システムの説明〕
以下では、図1から図3に示すように、顔認証システム1が、入場を管理されている場所への入場を希望する被認証者Aを、入場権限を有する認証対象者Bであると認証すると、電気扉20を開く開錠システムである場合を例示して説明する。以下では、入場を管理されている場所を、単に管理エリアと称する。
顔認証システム1は、図3に示すように、被認証者Aの情報を被認証者情報として取得する認証端末10と、認証端末10が取得した情報に基づいて認証を行う認証サーバ30および電気錠管理サーバ40とを含んでいる。認証端末10と認証サーバ30と電気錠管理サーバ40とは、外部のネットワークN(例えばインターネット)を介して双方向通信により接続されている。
顔認証システム1は、図1および図2に示すように、顔認証システム1が、被認証者Aを認証対象者Bであると認証した場合、電気扉20を開く。本実施形態では、図3に、認証は認証サーバ30が行い、電気扉20の開錠は電気錠管理サーバ40が行う場合を例示して説明している。
〔認証端末の説明〕
図1および図2に示すように、認証端末10は、管理エリアの入口付近に配置され、被認証者Aから入力顔データEおよび入力個人識別情報Hを取得する装置である。図3に示すように、認証端末10は、撮像部11(情報取得部の一例)と、個人情報取得部12(情報取得部の一例)と、端末側制御部13と、端末記憶部15と、報知部16と、端末側通信部17とを備えている。
端末側制御部13は、認証端末10の動作を制御する機能部である。端末側制御部13は、撮像部11、個人情報取得部12、端末記憶部15、報知部16および端末側通信部17などへ動作の指示を出力する。
端末側制御部13は、例えば、各種の処理を実現するためのソフトウェアプログラムと、該ソフトウェアプログラムを実行するCPUと、当該CPUによって制御される各種ハードウェア等によって構成されている。
端末側通信部17は、端末側制御部13の動作指令により、認証端末10の外部のネットワークNと通信するための通信インタフェースである。端末側通信部17は、ネットワークNを介して、認証サーバ30および電気錠管理サーバ40と通信する。
撮像部11は、被認証者Aの顔を撮影する装置である。撮像部11が撮影した顔に基づき入力顔データEが生成される。本実施形態では撮像部11はカメラである。
撮像部11は、認証端末10の前に立った被認証者Aを撮影する。撮像部11は、撮影した画像から顔を検出して顔画像を作成する。そして撮像部11は、顔画像または顔画像から抽出された特徴量に基づいて顔データを生成し、入力顔データEとして端末記憶部15に記憶する。端末記憶部15に入力顔データEが記憶されると、端末側通信部17が端末記憶部15から入力顔データEを読み出して、認証サーバ30へ送信する。なお、撮像部11が撮影した画像を認証サーバ30に送信して、認証サーバ30の制御部33が入力顔データEを生成してもよい。以下、顔画像とその特徴量とを区別することなく「顔データ」と総称して説明する。
個人情報取得部12は、被認証者Aから入力個人識別情報Hを取得する装置である。本実施形態では個人情報取得部12はICカードリーダーである。個人情報取得部12は、被認証者AがかざしたIDカードQから被認証者AのID番号(個人識別情報)を読み取って、入力個人識別情報Hとして端末記憶部15に記憶する。端末記憶部15に入力個人識別情報Hが記憶されると、端末側通信部17が端末記憶部15から入力個人識別情報Hを読み出して、認証サーバ30へ送信する。
なお個人情報取得部12は、顔認証システム1で用いられる個人識別情報の種類に応じて構成される。例えば個人識別情報としてQRコード(登録商標)化されたID番号を用いる場合は、個人情報取得部12としてカメラを用いる。個人識別情報としてID番号そのものや暗証番号を用いて、被認証者Aから手入力を受け付ける場合には、個人情報取得部12としてタッチパネル式入力装置やテンキーを用いる。個人識別情報として指紋や虹彩などの生体認証情報を用いる場合には、個人情報取得部12として指紋読取装置や虹彩認識装置などの生体情報入力装置を用いる。
報知部16は、被認証者Aに所定の動作を指示したり、認証結果を通知したりするための装置である。本実施形態では、報知部16は液晶モニタである。報知部16は、所定の動作の指示として、被認証者Aに、IDカードQを個人情報取得部12にかざすべき旨の指示をする。また、報知部16は、認証結果の通知として、例えば入場不可を通知する。なお、被認証者Aが認証対象者Bであると認証された場合には、報知部16でその旨を通知してもよいし、後述するように、報知部16でその旨を通知することなく、電気錠管理サーバ40が、電気扉20を開錠等してもよい。
〔電気扉の説明〕
電気扉20は、電気錠管理サーバ40により開錠・施錠(または開閉)が制御される扉である。電気扉20は、管理エリアの入口に設置される。
電気扉20は、電気錠管理サーバ40の指示により開錠する。電気扉20の開錠により、被認証者Aが管理エリアに入場することが可能となる。
〔電気錠管理サーバの説明〕
電気錠管理サーバ40は、錠側制御部43と、錠側記憶部44と、計時部46と、錠側通信部47とを備える。
錠側制御部43は、電気錠管理サーバ40の動作を制御する機能部である。錠側制御部43は、錠側記憶部44、計時部46および錠側通信部47とから情報を取得し、また、これらに対して動作の指示を出力する。
錠側制御部43は、例えば、各種の処理を実現するためのソフトウェアプログラムと、該ソフトウェアプログラムを実行するCPUと、該CPUによって制御される各種ハードウェア等によって構成されている。
錠側通信部47は、錠側制御部43の指示により、電気錠管理サーバ40の外部のネットワークNと通信するための通信インタフェースである。錠側通信部47は、ネットワークNを介して、認証端末10および認証サーバ30と通信する。
錠側通信部47は、認証サーバ30から、被認証者Aが認証対象者Bであると認証した場合、認証した旨と、認証方式についての情報(以下では方式情報と称する)と、被認証者Aに対応する認証対象者Bの登録個人識別情報Iとを取得する。
計時部46は時刻情報を錠側制御部43に出力する機能部である。本実施形態では、いわゆる内部時計である。
錠側記憶部44には、認証対象者Bのうち、電気扉20からの入場を許可されている入場許可者の識別情報が記憶されている。本実施形態では、入場許可者の識別情報の一つとして、ID番号が記憶されている。以下では、入場許可者のID番号のことを入場許可者IDと称する。
本実施形態では、入場許可者は認証対象者Bに含まれている。入場許可者IDは、認証対象者Bのうち、入場を許可された人物のID番号である。また、錠側記憶部44には、入場許可者の入場を許可するための条件にかかる情報が記憶されている。これら、入場許可者の識別情報と入場を許可するための条件とを、以下では権限情報G(登録認証情報の一例)と称する。この権限情報Gが、本実施形態における認証方式関連情報の一例である。
本実施形態では、権限情報Gである入場許可者の入場を許可するための条件として、被認証者Aが認証対象者B(入場許可者)であると認証する場合に要求される認証方式が含まれている。認証方式については後述する。また、本実施形態では、権限情報Gとして、会社の就業時間帯に応じた権限情報Gが設定されている。権限情報Gでは、入場許可者IDごとに要求される認証方式が紐付けられており、その認証方式は、入場許可者の属性に基づいて決定されている(図7、図8参照)。
図7には、事務室への入室を許可するための条件として、定時内の権限情報Gが、関係データベースの形態で図示されている。図8には、事務室への入室を許可するための条件として、定時後の権限情報Gが、関係データベースの形態で図示されている。
なお、事務室への入室を許可するための条件は、図7、図8における定時内や定時後のような時刻のみならず、日時や期間に対応して変更してもよい。例えば、交代勤務の場合の各勤務シフトに対応してもよい。繁忙期/閑散期に対応して変更してもよい。また、平日と休日、特に休日については夏休みなどの長期休暇に対応して変更してもよい。例えば、定時外は定時より入室頻度が小さくなり認証処理のCPU負荷に余裕が出るので、認証方式を厳しく設定すると、定時後のセキュリティーの向上と、定時内の利便性とを両立できるため好ましい。
また、事務室への入室(入場)を許可するための条件は、入室の可否判断を行う管理エリアの種類に応じて変更することができる。例えば、建物入口、事務所、サーバールームなどの特定の管理エリアに対応して変更することができる。管理エリアに対応して変更する場合は、当該管理エリアごとに要するセキュリティーレベルを考慮するとよい。
これら図7、図8には、個別の入場許可者IDの所有者の属性に対応して、入場を許可するために要する認証方式が規定されている場合を図示している。入場許可者IDの所有者の属性としては、所属(正社員/非正社員、社員/社員以外)、職位等などが挙げられる。例えば、職位の上下に対応させて認証方式を変更するようにしてもよい。この場合、課長職以上はセキュリティーレベルの高いエリアへの入室を許可するため、これに対応してセキュリティーレベルの高い認証方式をもって社長室への入室を許可するように構成すればよい。
また、サーバールームへの入室可否を判断する場合に、図9に示すように、属性として職種を設定し、当該職種に対応して認証方式を設定してもよい。図9の場合は、サーバールームはセキュリティーレベルが高いため、サーバールームへの入室の必要性があるシステム管理者やプログラマに限り入室を許可し、認証方式も、セキュリティーレベルの高い顔一致方式を要求している。なお、顔一致方式については後述する。
なお、図7から図9に示す表中、認証項目の列において、顔一致方式は顔一致、顔一位方式は顔一位、顔記録方式は顔記録と、省略して記載して図示されている。
図3に戻って、錠側制御部43は、認証サーバ30から錠側通信部47を介して、被認証者Aが認証対象者Bであると認証した旨およびその方式情報と、被認証者Aに対応する認証対象者Bの登録個人識別情報Iとを取得すると、錠側記憶部44から権限情報Gを読み出して、認証対象者Bの登録個人識別情報Iに対応する入場許可者IDを検出する。錠側制御部43は、当該検出結果に対応して電気扉20を開錠し、もしくは、開錠できない旨を、認証端末10に送信する。
〔認証サーバの説明〕
認証サーバ30は、顔認証システム1の全体の動作を制御し、各種の処理を行う。認証サーバ30は、制御部33と、認証側記憶部34と、認証側通信部37とを備えている。
制御部33は、認証サーバ30の動作を制御する機能部である。制御部33は、認証側記憶部34および認証側通信部37などへ動作の指示を出力し、また、認証側記憶部34および認証側通信部37から情報を取得する。
制御部33は、認証方式を選択する選択部33aと、入力顔データEと登録顔データFとを照合し、また、入力個人識別情報Hと登録個人識別情報Iとを照合する照合部33bと、照合部33bが照合した結果に基づいて、被認証者Aが認証対象者Bであると認証する認証部33cとを備えている。
制御部33は、制御部33は、例えば、各種の処理を実現するためのソフトウェアプログラムと、該ソフトウェアプログラムを実行するCPUと、該CPUによって制御される各種ハードウェア等によって構成されている。制御部33の動作に必要なソフトウェアプログラムやデータは認証側記憶部34に保存されるが、保存先は特に限定されず、別途専用に設けられたディスクやフラッシュメモリ等の記憶装置に保存される態様であってもよいし、通信可能に接続されたサーバや記憶装置等に保存される態様であっても構わない。
認証側通信部37は、制御部33の動作指令により認証サーバ30の外部のネットワークNと通信するための通信インタフェースである。認証側通信部37は、ネットワークNを介して、認証端末10および電気錠管理サーバ40と通信する。
認証側記憶部34には、認証方式記憶部34a、登録情報記憶部34bおよび認証履歴記憶部34cが含まれる。
認証側記憶部34は、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性RAM(Random Access Memory)といった記憶デバイスで構成される。認証側記憶部34は、物理的に別個の記憶デバイスであってもよいし、一つの記憶デバイスに設けられた2つの記憶領域であってもよい。また、認証側記憶部34は、顔認証システム1が設けられた場所(例えばサーバールーム)に設けられてもよいし、いわゆるクラウド上の記憶領域であってもよい。
認証方式記憶部34aには、認証サーバ30が認証に用いることができる認証方式を実行するためのプログラムなどの情報として、第一認証方式の情報と、第二認証方式の情報とが記憶されている。以下では、認証方式を実行するための情報を包括して、単に、「認証方式」、と記載する。なお、認証方式記憶部34aには、認証サーバ30が認証に用いることができる認証方式として、顔一致方式、顔一位方式、顔記録方式、パス認証方式を併用する認証方式(顔ID一致方式)やパス認証方式のみの認証方式を含む、種々の認証方式が記憶されている。また、認証方式記憶部34aには、認証サーバ30が認証に用いる認証方式を選択するための方式選択情報が記憶されている
登録情報記憶部34bには、登録顔データFと登録個人識別情報Iとが記憶されている。なお、人物Pの認証対象者Bとしての顔認証システム1への「登録」は、当該人物Pの顔データおよび個人識別情報が、互いに関連づけられた状態で登録情報記憶部34bに記憶されていることを意味する。照合部33bは、登録情報記憶部34bから、登録顔データFと登録個人識別情報Iと読み出して取得する。
認証履歴記憶部34cには、認証サーバ30がおこなった認証の履歴(被認証者情報、照合の結果や認証の結果)が記憶される。例えば、認証履歴記憶部34cには、撮像部11で生成された入力顔データE(図4から図6参照)と、個人情報取得部12で取得された入力個人識別情報Hとが記憶されている。照合部33bは、後述する照合を行う際に、入力顔データEと入力個人識別情報Hとを認証履歴記憶部34cから読み出して取得する。そして、照合部33bの照合により特定された登録顔データFやその一致度を、照合の結果として認証履歴記憶部34cに一時的に記憶する。また、詳細は後述するが、認証部33cが認証した結果として、認証した旨と認証に用いた認証方式とを認証履歴記憶部34cに一時的に記憶する。
登録情報記憶部34bにおける、登録顔データFと登録個人識別情報Iとの記憶、および、認証履歴記憶部34cにおける、入力個人識別情報Hと入力顔データEとの記憶の態様について補足する。
本実施形態では、図4から図6に示すように、被認証者Aである人物P1等の顔データを、末尾に同じ番号を付して入力顔データE1等と呼ぶ場合がある。認証対象者Bである人物P2等の顔データを、末尾に同じ番号を付して登録顔データF2等と呼ぶ場合がある。また、同じ人物P(例えば人物P2)に関して複数の登録顔データFが記憶されている場合があり、それら登録顔データFを、末尾にさらに連番を付して登録顔データF21、F22、F23等と呼ぶ場合がある。この場合、アルファベットの直後の数字が人物Pの番号を表し、その次の数字が人物Pの複数の顔データの中での通し番号を表す。
以下、認証側記憶部34と錠側記憶部44とをまとめて記憶部Mと総称する場合がある。また、制御部33と錠側制御部43とをまとめて制御部Cと総称する場合がある。
〔認証方式についての説明〕
〔第一認証方式について〕
認証方式記憶部34aには、第一認証方式が記憶されている。本実施形態では、第一認証方式として、1つの入力顔データEと複数の登録顔データFと一致度が所定の閾値(例えば90)よりも大きい場合に、認証部33cが被認証者Aをこの特定の認証対象者Bであると判定し、当該判定をもって認証する方式が、選択部33aによって選択されている場合を説明する。以下では、当該方式を顔一致方式と称する場合がある。なお本実施形態では、入力顔データEと登録顔データFとの一致度合いが高いほど一致度は大きく、一致度は0から100までの値を取り得るものとする。
第一認証方式として選択された顔一致方式では、照合部33bが1つの入力顔データEと複数の登録顔データFとを照合して一致度を求め、複数の登録顔データFの中で最も一致度が大きい登録顔データFを選択し、被認証者Aを、当該最も一致度が大きい登録顔データFに対応する認証対象者Bであると特定する。そして、認証部33cが、照合部33bで特定された登録顔データF(最も一致度が大きい登録顔データF)の一致度が所定の閾値よりも大きい場合に、被認証者Aを認証対象者Bであると認証する。以下では、特定の認証対象者Bであると判定するための一致度の閾値を、第一判定値V1と称する場合がある。また、以下では、登録顔データFの中で最も一致度が大きい登録顔データFを選択した際の一致度を、単に一致度と称する場合がある。
〔第二認証方式について〕
認証方式記憶部34aには、第二認証方式として、後述する顔一位方式と、顔記録方式などが記憶されている。顔一位方式と顔記録方式とはいずれも入力顔データEを利用する方法である。顔一位方式と顔記録方式とはいずれも、後述するパス認証方式を併用する認証方式である。なお、本実施形態におけるパス認証方式とは、後述するような、いわゆる物理認証方式の概念と、知識認証方式の概念とを包括した方式として定義している。本実施形態では、第二認証方式として、選択部33aにより顔一位方式が選択されている場合を説明する。
物理認証方式について補足する。物理認証方式とは、照合部33bが、入力個人識別情報HとしてICカードなどの認証キーデバイスを所持している被認証者Aを、登録個人識別情報Iとして当該認証キーデバイスを所持していることが登録されている認証対象者Bであると特定する方式である。
知識認証方式について補足する。知識認証方式とは、認証キーデバイスを用いる代わりに暗証番号などの知識情報を用い、当該知識情報を有している被認証者Aを、登録個人識別情報Iとして知識情報を有していることが登録されている認証対象者Bであると特定する方式である。
物理認証方式や知識認証方式においては、照合部33bが入力個人識別情報Hと複数の登録個人識別情報Iとを照合し、これらが一致する場合に被認証者Aを認証対象者Bであると特定する。
顔一致方式、顔一位方式および顔記録方式について補足する。顔一致方式では、被認証者Aが認証対象者Bであると判定するのに対し、顔一位方式では、被認証者Aが認証対象者Bである蓋然性が高いと判定されるにとどまる。さらに、顔記録方式においては、被認証者Aが認証対象者Bであるとの推定が否定されないに過ぎない。したがって、認証のセキュリティーレベルは、顔一致方式が最も高く、次いで顔一位方式が高く、顔記録方式が最も劣る。
以下では、パス認証方式がICカードを用いる物理認証方式である場合を例示して説明するが、パス認証方式において、物理認証方式と知識認証方式とはそれぞれ置き換え可能である。
顔一位方式について説明する。この方式は、照合部33bが、1つの入力顔データEと複数の登録顔データFとを照合して一致度を求め、登録顔データFの中で最も一致度が大きい登録顔データFを選択する。そして、認証部33cが、被認証者Aを、当該最も一致度が大きい登録顔データFに対応する認証対象者Bであると特定する方法である。
なお、顔一位方式において、登録顔データFの中で最も一致度が大きい登録顔データFを選択した場合に、当該一致度が十分小さい場合には、被認証者Aを、当該最も一致度が大きい登録顔データFに対応する認証対象者Bであると特定すると妥当を欠く場合もある。したがって、顔一位方法においては、照合部33bが登録顔データFの中で最も一致度が大きい登録顔データFを選択し、さらに、当該一致度が所定の閾値(例えば60)以上である場合に、認証部33cが、被認証者Aを、当該最も一致度が大きい登録顔データFに対応する認証対象者Bであると特定すると好適である。以下では、特定の認証対象者Bであると特定する一致度の閾値を、第二判定値V2と称する場合がある。第二判定値V2は、第一判定値V1よりも小さい値が設定される。
選択部33aおよび認証部33cについて補足する。認証部33cは、まず第一認証方式に基づいて認証する。そして第一認証方式を実行して認証できなかった場合、認証部33cは、選択部33aが選択した第二認証方式に基づいて認証する。つまり、認証部33cは、選択部33aで選択された認証方式を用いて認証を行う。本実施形態では、選択部33aにより、あらかじめ操作者の操作によって認証を行う場所毎に認証方式を設定できるようになっており、本実施形態では、あらかじめ選択部33aにより認証方式が選択されている場合を説明している。なお、選択部33aでの操作者の操作による選択は、例えば認証サーバ30に接続されている入力機器を介して行う。入力機器としては、例えばキーボードやマウスなどが挙げられる。なお、選択部33aが自動で認証方式を設定するようにしてもよい。
〔認証の実行についての説明〕
以下では、顔認証システム1における認証の実行について具体例を挙げて説明を加える。
まず、認証対象者Bの登録顔データFと登録個人識別情報Iとについて説明する。
登録情報記憶部34bには、図4から図6に示すように、認証対象者Bの登録顔データFと登録個人識別情報Iとがあらかじめ記憶されている。この例では、認証対象者Bである3人の人物P2、P3およびP4について、各人物Pの複数の登録顔データFと、登録個人識別情報Iとが、人物P毎に関連づけられた状態で、登録情報記憶部34bに記憶されている。
詳しくは、人物P2について、4つの登録顔データF21、F22、F23およびF24と、登録個人識別情報I2とが記憶されている。人物P3について、2つの登録顔データF31およびF32と、登録個人識別情報I3とが記憶されている。人物P4について、3つの登録顔データF41、F42およびF43と、登録個人識別情報I4とが記憶されている。このように本実施形態では、一人の人物Pに対して複数の登録顔データFが関連づけられている。
さらに図10のフローチャートを参照しながら、顔認証システム1の動作について説明する。
被認証者Aが認証端末10に近づくと、撮像部11が被認証者Aの顔を検出する(ステップ#101)。そして、ステップ#102へ移行する。撮像部11は、撮像部11の撮像範囲の中央付近で顔を検出する処理を繰り返し、被認証者Aの顔が当該中央付近に進入したことで被認証者Aの顔を検出する構成を取り得る。また、認証端末10に赤外線式センサや超音波センサなどで構成される人感センサの人検知によって顔の探索を開始し、当該探索により被認証者Aの顔を検出する態様も取り得る。
ステップ#102は、認証端末10が入力顔データEを取得して認証サーバ30に入力顔データEを送信するステップである(情報取得ステップ)。
ステップ#102では、撮像部11が被認証者Aの顔を撮影し、入力顔データEを生成する。そして、撮像部11は、入力顔データEを端末記憶部15に記憶する。さらに、端末側通信部17は、端末記憶部15から入力顔データEを読み出して、入力顔データEを認証サーバ30に送信する。そしてステップ#103へ移行する。
ステップ#103は、認証サーバ30が被認証者Aを認証対象者Bであると認証するステップである(照合ステップおよび認証ステップ)。
ステップ#103では、認証サーバ30の認証側通信部37が、入力顔データEを受信すると、制御部33が、選択部33aで選択されている第一認証方式を実行するためのプログラムを、認証方式記憶部34aから呼び出して実行する。そして、認証履歴記憶部34cに入力顔データEを一時的に記憶する。本実施形態では、選択部33aの選択の初期値として第一認証方式を実行することが選択されている。
制御部33が第一認証方式を実行することで、照合部33bは、登録情報記憶部34bに記憶されている全ての登録顔データFと、認証履歴記憶部34cに一時的に記憶されている入力顔データEとを読み出し、照合して一致度を求める。
図4の例では、照合部33bにより算出された一致度が登録顔データFの下に示されている。例えば、人物P1に係る入力顔データE1と、人物P2に係る登録顔データF21~F24との一致度は、18、21、22、19と算出されている。
そして照合部33bは、入力顔データEとの一致度が最も高い登録顔データFを選択する。
図4の例では、人物P4に係る登録顔データF42が、一致度が97であり最も大きいので、登録顔データF42が選択される。図5の例では、人物P4に係る登録顔データF41が、一致度が67であり最も大きいので、登録顔データF42が選択される。また、図6の例では、人物P4に係る登録顔データF41が、一致度が37であり最も大きいので、登録顔データF42が選択される。これらの場合、いずれも、人物P4が特定される。
なお、照合部33bは、これら選択した結果(登録顔データF42を選択したという結果とその一致度)を認証履歴記憶部34cに一時的に記憶する。
さらにステップ#103では、認証部33cは、照合部33bが選択した登録顔データFに関連づけられた一致度の大小に基づいて、被認証者Aを、照合部33bが選択した登録顔データFに関連づけられた認証対象者Bであると判定して認証する。
認証部33cは、選択された登録顔データFの一致度が所定の第一判定値V1(例えば90)以上である場合に、被認証者Aが、選択された登録顔データFに関連づけられた認証対象者Bであると判定して認証する。
被認証者Aが認証対象者Bであると認証されると(ステップ#104:Yes)、ステップ#113へ移行して、錠側制御部43は、電気扉20を開錠する。この際、認証側通信部37は、第一認証方式で被認証者Aは認証対象者Bであると認証した旨とその方式情報とを電気錠管理サーバ40に送信する。
図4の例では、入力顔データEとの一致度が最も高いとして選択された登録顔データF42の一致度は97であり、第一判定値V1(90)以上である。したがって被認証者Aが、登録顔データF42に係る人物P4(認証対象者B)であると判定されて認証される(図面上では顔一致方式での認証を◎で表示している)。この際、認証側通信部37は、第一認証方式で被認証者Aは人物P4であると認証した旨とその方式情報(顔一致方式)とを電気錠管理サーバ40に送信する。
一方、ステップ#104では、照合部33bで入力顔データEとの一致度が最も高いとして選択された登録顔データFの一致度が所定の第一判定値V1(例えば90)未満であると、認証部33cは被認証者Aを、入力顔データEとの一致度が最も高いとして選択された登録顔データFに関連づけられた認証対象者Bであると認証しない。この場合、認証部33cは、選択部33aが選択した第二認証方式で認証することになる。本実施形態では、認証部33cは、第二認証方式として顔一位方式を用いて認証する。
このように被認証者Aが認証対象者Bであると認証されなければ(ステップ#104:No)、認証部33cは第二認証方式を用いて認証する。そのため、認証方式記憶部34aから第二認証方式を実行するためのプログラムを呼び出して、制御部33が当該プログラムを実行する。これによりステップ#105へ移行する。
図5の例では、人物P4に係る登録顔データF41が、一致度が67である。また、図6の例では、人物P4に係る登録顔データF41が、一致度が37である。したがって被認証者Aが、顔一致方式において登録顔データF42に係る人物P4(認証対象者B)であると認証しない。
ステップ#105は、認証端末10が被認証者Aから入力個人識別情報Hを取得するステップである。
ステップ#105では、認証端末10が被認証者Aから入力個人識別情報H(本実施形態では、IDカードQからID番号)を取得するために、認証端末10の報知部16は、被認証者Aに、入力個人識別情報Hの入力要求としてIDカードQを個人情報取得部12にかざすべき旨の指示をする。
個人情報取得部12がIDカードQからID番号を取得しなければ(ステップ#106、No)、所定の時間を経過してタイムアウトするまで被認証者AがIDカードQを個人情報取得部12にかざすことを待機する(ステップ#117、No)。
被認証者AがIDカードQを個人情報取得部12にかざすと、個人情報取得部12は、IDカードQからID番号を取得して、端末記憶部15に記憶する。端末記憶部15にID番号が記憶されると、端末側通信部17は、端末記憶部15からID番号を取得して、入力個人識別情報Hとして認証サーバ30に送信する(ステップ#106、Yes)。そしてステップ#107へ移行する。
ステップ#105で、認証端末10の報知部16が、被認証者Aに、IDカードQを個人情報取得部12にかざすべき旨の指示をしたのち、個人情報取得部12がIDカードQからID番号を取得しないまま所定の時間を経過してタイムアウトすると(ステップ#117、Yes)、ステップ#118に移行して、認証しないまま終了する。
ステップ#107は、認証サーバ30が、被認証者Aを、ステップ#104で入力顔データEとの一致度が最も高いとして選択された登録顔データFに関連づけられた認証対象者Bである蓋然性が高いと判定して認証するステップである(顔一位方式)。
ステップ#107では、認証サーバ30の認証側通信部37が、入力個人識別情報Hを取得すると、認証履歴記憶部34cに入力個人識別情報Hを一時的に記憶する。
ステップ#108では、ステップ#104で入力顔データEとの一致度が最も高いとして選択された登録顔データFの一致度が第一判定値V1(90)未満、かつ、第二判定値V2(例えば60)以上の場合(ステップ#108、Yes)に、照合部33bが、被認証者Aを、選択された登録顔データFに関連づけられた認証対象者Bであると特定し、ステップ#109に移行する。ステップ#104で入力顔データEとの一致度が最も高いとして選択された登録顔データFの一致度が第二判定値V2(例えば60)未満の場合(ステップ#108、No)はステップ#118に移行して終了する。
図5の例では既に、ステップ#104で入力顔データE1との一致度が最も高いとして人物P4に係る登録顔データF41が選択されている。そして、入力顔データE1と人物P4に係る登録顔データF41との一致度が67であり、第一判定値V1(90)未満、かつ、第二判定値V2(例えば60)以上である。したがって、照合部33bが、被認証者Aを、選択された登録顔データF41に関連づけられた人物P4(認証対象者B)であると特定する。なお、ステップ#108で、入力顔データEと、一致度が最も高いとして選択された登録顔データFとの一致度が第二判定値V2未満か否かを判定しないで、ステップ#109に移行しても良い。
ステップ#109では、照合部33bは、入力顔データEの入力個人識別情報Hと、入力顔データEと一致度が最も高いとして選択された登録顔データFの登録個人識別情報Iとを照合する。そして、このステップ#109において入力顔データEの入力個人識別情報Hと、入力顔データEと一致度が最も高いとして選択された登録顔データFの登録個人識別情報Iとが一致する場合に、認証部33cは、被認証者Aを、認証対象者Bである蓋然性が高いと判定して認証する(ステップ#109、Yes)。そして、ステップ#111へ移行する際、認証側通信部37は、被認証者A(認証対象者B)の入力個人識別情報H(登録個人識別情報I)と、認証した旨とその方式情報(顔一位方式)とを電気錠管理サーバ40に送信する。
図5の例では、被認証者Aの入力個人識別情報HのID番号が、入力顔データE1との一致度が最も高いとして選択された登録顔データF41の登録個人識別情報I4に含まれるID番号と一致する。このため、認証部33cは、被認証者Aを、入力顔データEとの一致度が最も高いとして選択された登録顔データF41に関連づけられた認証対象者Bである蓋然性が高いと判定して認証する(図面上では顔一位方式での認証を○で表示している)。そして、認証側通信部37は、人物P4のID番号と、認証した旨とその方式情報(顔一位方式)とを電気錠管理サーバ40に送信する。
図6の例では、入力顔データE1との一致度が最も高いとして人物P4に係る登録顔データF41が選択されているが、一致度が37である。したがって、顔一位方式では、被認証者Aが、登録顔データF41に係る人物P4(認証対象者B)であると特定されていないため(ステップ#108、No)、ステップ#118に移行して終了する。
ステップ#111では、権限情報Gを参照して、開錠の可否を判断する。
本実施形態では、ステップ#111において、錠側通信部47が、被認証者A(認証対象者B)のID番号と認証された旨およびその方式情報とを取得すると、錠側制御部43は、計時部46から時刻を取得する。そして、錠側制御部43は、当該取得した時刻に対応する権限情報Gを錠側記憶部44から取得する。錠側制御部43は、そして、被認証者A(認証対象者B)のID番号と一致する入場許可者IDを検出する。
次に、ステップ#112において、被認証者A(認証対象者B)の方式情報が、検出された入場許可者IDに対応する認証方式を満たしていれば(ステップ#112、Yes)、ステップ#113へ移行して、錠側制御部43は、電気扉20を開錠する。被認証者A(認証対象者B)の方式情報が、検出された入場許可者IDに対応する認証方式を満たしていなければ(ステップ#112、No)、ステップ#118へ移行して終了する。
図11を参照しつつ、開錠の可否を判断するステップ#112について補足する。
ステップ#112に移行すると、開錠の可否判断を開始する(ステップ#301)。まず、錠側制御部43は、計時部46から時刻情報を取得して、当該時刻情報に対応する権限情報Gを特定し、ステップ#303に移行する。以下では、錠側制御部43が計時部46から定時後であるとの時刻情報を取得して、対応する権限情報Gとして図8の関係情報データベースを特定する場合を説明する。
ステップ#303では、錠側制御部43は、被認証者A(認証対象者B)のID番号を権限情報Gと照合し、被認証者AのID番号に対応する入場許可者IDの検出を試みる。
被認証者AのID番号に対応する入場許可者IDの検出ができなければ(ステップ#303、No)、ステップ#307へ移行し、認証端末10に開錠できない旨を通知して、ステップ#308へ移行して終了する。
一方、被認証者AのID番号に対応する入場許可者IDを検出すると(ステップ#303、Yes)、ステップ#304へ移行して開錠のために要求される認証条件を特定する。
例えば、図8の場合、被認証者AのID番号が0002であると、認証方式として顔一位方式以上が要求されていることになる。被認証者AのID番号が0003であると、どのような認証方式でも開錠されないことになる。なお、定時内であれば、ID番号が0003である被認証者Aは、顔記録方式以上の認証方式であれば、入場を許容されることになる(図7参照)。
その後、ステップ#305へ移行する。ステップ#305は、被認証者AのID番号と方式情報とが、ステップ#304で特定した認証条件を満たす場合に開錠する判断を行うステップである。ステップ#305では、錠側制御部43は、被認証者Aの方式情報と、ステップ#304へ移行して開錠のために要求される認証条件とを対比する。そして、被認証者Aの方式情報が、当該認証条件を満たしていれば(ステップ#306、Yes)、ステップ#113へ移行して電気扉20を開錠する。
図8の場合、被認証者AのID番号が0002であると、被認証者Aの方式情報が顔記録方式であれば、当該認証条件を満たしていないから、錠側制御部43は開錠しない。一方、被認証者Aの方式情報が顔一位方式であれば、当該認証条件を満たしているため、錠側制御部43は開錠する。
一方、図10に戻り、ステップ#109において入力顔データEの入力個人識別情報Hと、入力顔データEと一致度が最も高いとして選択された登録顔データFの登録個人識別情報Iとが一致しない場合(ステップ#109、No)はステップ#118に移行して終了する。
〔第一実施形態の変形例〕
上述した実施形態では、選択部33aは、第一認証方式として顔一致方式、第二認証方式として顔一位方式の順で認証方式を選択したが、特に限定されない。選択部33aは、第一認証方式として顔一致方式、第二認証方式として顔一位方式の順で認証方式を選択し、顔記録方式を省略しても良い。また、選択部33aは、第一認証方式として顔一致方式、第二認証方式として顔記録方式の順で認証方式を選択し、顔一位方式を省略しても良い。さらに、選択部33aは、第一認証方式として顔一位方式を採用し、第二認証方式として顔記録方式を採用し、顔一位方式、顔記録方式の順で選択しても良い。また、選択部33aは、第一認証方式として顔一致方式、第二認証方式として顔一位方式、顔記録方式を選択し、顔一致方式、顔一位方式、顔記録方式の順で認証方式を選択してもよい。
ここで、顔記録方式について説明する。この方式は、入力顔データEを認証履歴記憶部34cに記憶して、入室記録を保存する方法である。
顔記録方式とは、照合部33bがパス認証方式を実行した結果、被認証者Aが認証対象者Bであると特定された場合に、認証部33cが、入力顔データEを記録して被認証者Aを認証対象者Bであると認証する方式である。換言すると、入力顔データEが適切に記録された被認証者Aは、認証対象者Bであるとの特定が否定されないと認証部33cが判定し、パス認証方式を実行して認証する方式である。
図13を参照しつつ第一実施形態の変形例について具体例を挙げて説明する。上記実施形態では、ステップ#107において顔一位方式を実行する場合を説明した。しかし、顔一位方式を実行するかわりに、顔記録方式を実行してもよい。この場合、図13に示すように、第一実施形態のステップ#107からステップ#109の代わりに、ステップ#110の顔記録方式を実行すればよい。
ステップ#105で認証端末10の報知部16が、被認証者Aに、入力個人識別情報Hの入力要求としてIDカードQを個人情報取得部12にかざすべき旨の指示をし、被認証者AがIDカードQを個人情報取得部12にかざすと、個人情報取得部12は、IDカードQからID番号を取得して、端末記憶部15に記憶する。端末記憶部15にID番号が記憶されると、端末側通信部17は、端末記憶部15からID番号を取得して、入力個人識別情報Hとして認証サーバ30に送信する(ステップ#106、Yes)。そしてステップ#110へ移行する。この場合、認証部33cは、選択部33aが選択した第二認証方式で認証する。本実施形態では、認証部33cは、第二認証方式として顔記録方式で認証する。
ステップ#110は、顔記録方式で認証を行うステップである。照合部33bは、入力顔データEの入力個人識別情報Hと、登録顔データFの登録個人識別情報Iとを照合する。そして、入力顔データEの入力個人識別情報Hと一致する登録顔データFの登録個人識別情報Iがあれば、認証部33cは、入力顔データEを認証履歴記憶部34cに記録して被認証者Aを認証対象者Bであると認証する。認証側通信部37は、被認証者A(認証対象者B)のID番号と、被認証者Aを認証対象者Bあると認証した旨とその方式情報(顔記録方式)とを電気錠管理サーバ40に送信する。
図6の例では、入力顔データE1との一致度が最も高いとして人物P4に係る登録顔データF41が選択されているが、一致度が37である。この場合において、被認証者Aの入力個人識別情報HのID番号と登録顔データF41の登録個人識別情報I4に含まれるID番号とが一致する。このため、認証部33cは、入力顔データE1を認証履歴記憶部34cに記録して、被認証者Aを、認証対象者Bとしての人物P4であると認証する(図面上では顔記録方式での認証を△で表示している)。認証側通信部37は、検出された登録個人識別情報Iに関連づけられた人物P4のID番号と、被認証者Aを人物P4であると認証した旨とその方式情報(顔記録方式)とを電気錠管理サーバ40に送信する。その他は第一実施形態と同様である。
この変形例における図7、図8の場合について補足する。図7において、被認証者AのID番号が0001であると、被認証者Aの方式情報が顔記録方式であれば、当該認証条件を満たしているから、錠側制御部43は開錠する。一方、図8において、被認証者AのID番号が0002であると、被認証者Aの方式情報が顔記録方式であれば、当該認証条件を満たしていないから、錠側制御部43は開錠しない。したがって、この変形例の場合には、認証サーバ30が認証した場合にも、被認証者Aは、入場を許容されない場合がある。
〔第二実施形態〕
第一実施形態では、顔認証システム1は、認証端末10と、認証サーバ30および電気錠管理サーバ40とを含んでいる場合を例示した。そして、電気錠管理サーバ40が、錠側記憶部44と、計時部46とを備える場合を例示した。
しかしながら、図12に示すように、顔認証システム1を、認証端末10と、認証サーバ30とで構成し、電気錠管理サーバ40が包含していた錠側記憶部44と、計時部46とを、認証サーバ30が備えることもできる。
この場合、認証サーバ30は、認証を行う際に、計時部46から取得する時刻情報や、錠側記憶部44に記憶されている権限情報Gに基づいて、認証方式を選択し、認証することができる。
本実施形態における認証の実行は、例えば図14に示すフローチャートのように実行することができる。
図14の各ステップと第一実施形態の図10の各ステップとの関係において、認証端末10のステップ#201とステップ#101とは同じである。また、ステップ#202とステップ#102とは同じである。また、ステップ#205とステップ#105とは同じである。また、ステップ#206とステップ#106とは同じである。また、ステップ#217と、ステップ#117とは同じである。また、ステップ#218とステップ#118とは同じである。
ステップ#203は、認証サーバ30の認証側通信部37が、入力顔データEを受信すると、第一実施形態のステップ#103と同様に入力顔データEとの一致度が最も高い登録顔データFを選択し、被認証者Aを、入力顔データEとの一致度が最も高いとして選択された登録顔データFに関連づけられた認証対象者Bであると特定する。そして、選択部33aは、例えば計時部46から時刻情報を取得し、当該時刻情報に基づいて、錠側記憶部44から権限情報Gを取得する。
例えば計時部46から取得した時刻が定時後の場合、選択部33aは図8に示す関係データベースを参照する。そして、入力顔データEとの一致度が最も高いとして選択された登録顔データFに関連づけられた認証対象者BのID番号と一致する入場許可者IDに紐付けされた認証方式を要求された認証方式として特定する。以下では、この特定された認証方式を、要求方式と称する場合がある。
要求方式がID番号(入力個人識別情報H)を要しない顔一致方式の場合(ステップ#204、No)はステップ#207へ移行する。特定された認証方式がID番号(入力個人識別情報H)を要する顔一位方式以下の場合(ステップ#204、Yes)はステップ#205へ移行する。
例えば図8の場合において、登録顔データFに関連づけられた認証対象者BのID番号と一致する入場許可者IDが0001の場合、選択部33aは、顔記録方式以上の認証方式を選択する。
選択部33aは、認証部33cにおいて顔一致方式で認証できる見込みの場合(一致度が第一判定値V1以上の場合)は、入力個人識別情報Hを要しないと判断して(ステップ#204、No)、ステップ#207へ移行する。
選択部33aは、認証部33cにおいて顔一致方式で認証できる見込みがない場合(一致度が第一判定値V1未満の場合)であって、顔一位方式もしくは顔記録方式で認証することが許容される場合は(ステップ#204、Yes)、ステップ#205へ移行する。
以下では、計時部46から取得した時刻が定時後の場合(図8の関係データベースを参照する場合)であって、入力顔データEとの一致度が最も高いとして選択された登録顔データFに関連づけられた認証対象者BのID番号が、図8における入場許可者IDの0001に該当する場合を例示して説明する。
ステップ#207は、制御部33が認証を行うステップである。図8の場合は、制御部33は、顔一致方式、もしくは顔一位方式での認証を行う。本実施形態では、顔一位方式以上の認証方式を要求されている場合にも、顔記録方式の認証は実行している。
顔一致方式、顔一位方式、および顔記録方式のそれぞれにおいて、制御部33における照合部33bと認証部33cの動作や役割は第一実施形態と同様であるため説明を省略する。
ステップ#207においていずれかの方式で認証を実行した場合、および、いずれの方式でも認証を実行できなかった場合のいずれも、ステップ#208へ移行する。この際、認証部33cは、被認証者Aを認証対象者Bであると認証された場合も、認証されなかった場合も認証結果を認証履歴記憶部34cに記憶する。
ステップ#208は、ステップ#207で行った認証の結果を基にして開錠の可否を判定するステップである。
ステップ#207で、認証されていない場合、もしくは、要求方式で認証されていない場合は、制御部33(制御部C)は、開錠できないと判断して(ステップ#209、No)ステップ#218へ移行し、終了する(ステップ#218)。
ステップ#207で、要求方式を満たす認証方式で認証されている場合は、制御部33(制御部C)は、開錠条件を満たすと判断し(ステップ#209、Yes)、ステップ#210へ移行する。
ステップ#210では、制御部33は、認証側通信部37を介して電気錠管理サーバ40に、開錠条件を満たす認証方式で認証された旨を送信する。錠側通信部47が、当該指令を受信すると、電気錠管理サーバ40の錠側制御部43(制御部C)は、開錠条件を満たす認証方式で認証されているから開錠してよいと判断し、当該判断に基づいて電気扉20を開く。
〔顔認証システムの包括的な説明〕
さらに、本実施形態の概略を整理して説明する。本実施形態では、複数の認証方式を備え、認証に用いる認証方式を選択することができる。上述のごとく、顔認証システム1では、第一認証方式や第二認証方式に加えて、第三認証方式や第N認証方式(ただし、nは4以上の整数)を選択して実行することができる。以下では、顔認証システム1で、第一認証方式から第N認証方式を実行可能とした場合の顔認証システム1の概略構成の例を説明する。
顔認証システム1は、図15に示すように、選択部33aにより選択された認証方式で認証を行う。あるいは、最初の認証で認証条件を満たすことができない場合に追加の認証を行う二段階以上の認証を行ってもよい。
図15のフローについて説明する。ステップ#301で顔認証システム1が動作を開始する。引き続いて、ステップ#302で、選択部33aは認証方式記憶部34aに記憶されている方式選択情報を読み出して認証方式を選択する(選択ステップ)。図19、図20には、認証方式記憶部34aに記憶されている方式選択情報の一例を示している。図19、図20に例示した方式選択情報については後述する。
ステップ#303では、認証部33cは、ステップ#302で選択部33aが選択した認証方式で認証する(照合ステップおよび認証ステップ)。ここで、ステップ#302で選択部33aが選択した認証方式の認証条件を満たしていれば(ステップ#304、Yes)、ステップ#308へ移行して、電気錠管理サーバ40が電気扉20を開き、ステップ#309へ移行して動作を終了する。一方、ステップ#302で選択部33aが選択した認証方式の認証条件を満たしていなければ(ステップ#304、No)、ステップ#309へ移行して動作を終了する。
ステップ#303について補足する。図18は、ステップ#303で選択部33aにより選択された認証方式での認証の動作をさらに説明したものである。
ステップ#303では、認証サーバ30において制御部33は、選択部33aの選択結果に基づいて、第一認証方式から第N認証方式のいずれかを実行するプログラムを呼びだす(ステップ#600)。そして制御部33は、照合部33bや認証部33cに、第一認証方式から第N認証方式に対応した照合や認証を行わせる。この照合や認証は、第一実施形態で既に説明した照合や認証と同じであるから説明を省略する。制御部33は、呼び出したプログラムに従って、選択された第一認証方式から第N認証方式のそれぞれに対応する認証動作を実行する。すなわち、認証端末10に被認証者情報を取得させてこれを認証サーバ30で受信し(ステップ#601aから#601n、nは4以上の整数)、照合部33bの照合により入力個人識別情報Hと複数の登録個人識別情報Iとの照合や、入力顔データEと複数の登録顔データFとの照合を行い(ステップ#602aから#602n)、さらに、認証部33cが照合部33bの照合結果を基にして一致度の判定などを行って(ステップ#603aから#603n)、ステップ#303を終了し、図15のステップ#304へ移行する。
なお、図18の例では、上述の顔一致方式、顔一位方式、顔記録方式やその他の任意の認証方式が、第一認証方式から第N認証方式に対応付けて、認証方式記憶部34aに記憶されている。また、本実施形態では、顔データの照合を含む認証方式が少なくとも1つ選択可能とされている。
図18の例では、認証サーバ30が認証に用いる認証方式は、権限情報Gによる選択の他、手動や自動やその組み合わせにより、選択することができる。具体的には、選択部33aは予め設定された方式選択情報に基づいて、認証に用いる認証方式を選択する。認証方式の選択は、認証を行う毎に行なってもよいし、事前に選択しておいてもよい。
顔認証システム1は、図15に示す場合に加えて、図16、図17に示す手順で認証を行うこともできる。
図16に例示した場合では、ステップ#401で顔認証システム1が動作を開始し、引き続いて、ステップ#402で、あらかじめ設定されていた認証方式(所定の認証方式、例えば、第一認証方式)で認証を実行する。所定の認証方式の認証条件を満たしていれば(ステップ#404、Yes)、ステップ#408へ移行して、電気錠管理サーバ40が電気扉20を開き、ステップ#409へ移行して動作を終了する。一方、ステップ#402で所定の認証方式の認証条件を満たしていなければ(ステップ#404、No)、ステップ#412へ移行する。なお、ステップ#408、ステップ#409は、図15に示したステップ#308からステップ#309と同じである。
そしてステップ#412からステップ#414を実行する。このステップ#412からステップ#414は、図15に示したステップ#302、ステップ#304と同じであるから説明を省略する。
図17に例示した場合では、ステップ#501で顔認証システム1が動作を開始し、引き続いて、ステップ#502、ステップ#503を実行し、さらにステップ#504へ移行する。ステップ#502、ステップ#503は、図15のステップ#302、ステップ#303と同じであるから説明を省略する。
ステップ#504では、ステップ#503で選択された認証方式の認証条件を満たしていれば(ステップ#504、Yes)、ステップ#508へ移行する。ステップ#503で選択された認証方式の認証条件を満たしていなければ(ステップ#504、No)、ステップ#508へ移行する。
ステップ#504以降では、ステップ#508、ステップ#509、もしくはステップ#512からステップ#514が実行される。
ステップ#508、ステップ#509は、図15のステップ#308、ステップ#309と同じであるから説明を省略する。
ステップ#512からステップ#514は、図15のステップ#308、ステップ#309と同じであるから説明を省略する。
ステップ#512からステップ#514は、図15に示したステップ#302からステップ#304と同じであるから説明を省略する。
〔方式情報の説明〕
図19、図20を参照しつつ、方式選択情報について例示的な説明を加える。
図19には、複数の認証端末10と、それぞれの認証端末10に対して適用される認証方式との組み合わせが関係データベースの態様で示している。図19では、複数の認証端末10として、認証端末IDが1から3の三つの認証端末10について、それぞれ別個の認証方式が設定されている。
図19に示す関係データベースの表示は、操作者の入力インタフェースの説明を兼ねている。例えば、コンピュータのモニタに図19に示す関係データベースを表示し、当該表示において認証端末10のID毎に認証方式をラジオボタン(黒で塗りつぶされた丸記号)などで選択可能なインタフェースを提供することで、操作者に対して、簡便なインタフェースを提供することができる。
図19に示す関係データベースにおける、認証端末10と認証方式との組み合わせは、操作者が認証端末10の設置位置を勘案して選択したものである。本実施形態では、図19に示す関係データベースの情報は、方式選択情報として認証方式記憶部34aに記録される。
図19に示す関係データベースの表示内容について説明を補足する。認証端末IDが1の認証端末10の認証方式は、黒で塗りつぶされた丸記号で示される顔一致方式が選択されている。同様に、認証端末IDが2の認証端末10の認証方式は、顔一位方式が選択されている。認証端末IDが3の認証端末10の認証方式も、顔一位方式が選択されている。
図20は、図19の場合と異なり、複数の認証端末10と、それぞれの認証端末10に対して適用される認証方式との組み合わせが、時間帯ごとに設定されている場合を図示している。図20の場合は、時間帯として、8時以降17時まで(例えば、定時内)と、17時以降8時まで(例えば、定時後)の2つの時間帯ごとに認証端末10と認証方式との組み合わせが設定されている。
図20の場合も、図19の場合と同様に、図20に示す関係データベースの表示が、操作者の入力インタフェースの説明を兼ねている。認証方式をラジオボタン(黒で塗りつぶされた丸記号)などで選択可能とされる点も、図19の場合と同様である。
図20の場合には、2つの時間帯ごとに認証端末10と認証方式との組み合わせが設定されているが、本実施形態は、このような態様に限定されない。例えば、時間帯の時刻や時間帯の数は、任意に変更可能とすることができる。また、時間帯の時刻や時間帯の数は、予め設定したものに固定してもよい。
図示による説明は省略するが、選択された認証方式で認証を行う段階が二段階以上ある場合は、方式選択情報は各段階毎に設定、作成等行うことができる。
なお、図15から図17の顔認証システム1において、権限情報Gを用いる場合は、開錠の前に権限情報Gによる判定を行わせることができる。
以上のようにして、本実施形態は、使用される状況に応じて適切に認証できる顔認証システムおよび、顔認証サーバを提供するものである。
〔別実施形態〕
(1)上記第一実施形態では、第一認証方式で認証できない場合に、認証部33cは選択部33aが選択した第二認証方式により認証する場合を例示した。そして、第一認証方式と第二認証方式とはあらかじめ選択部33aにより認証方式が選択されている場合を説明した。
しかしながら、選択部33aによりあらかじめ第一認証方式や第二認証方式が選択されている場合に限られない。例えば、第一認証方式を実行して認証できなかった場合に、選択部33aで第二認証方式を選択するようにしてもよい。この場合、第二認証方式の選択は、時刻や場所等に応じて自動的に設定される形態であると好ましい。また、例えば、選択部33aを、被認証者Aが操作して認証方式を選択することができる切替スイッチとすることもできる。この場合、第一認証方式で認証できない場合に、被認証者Aが切替スイッチである選択部33aで第二認証方式を選択し、認証を受けることができる。
(2)上記第一実施形態では、顔認証システム1の制御部Cを構成する制御部33と錠側制御部43とを、それぞれ認証サーバ30と電気錠管理サーバ40とに備える場合を例示した。この場合に、制御部33には選択部33a、照合部33b、および認証部33cを備える場合を例示した。また、認証サーバ30が認証側記憶部34を備え、認証側記憶部34には、認証方式記憶部34a、登録情報記憶部34b、および認証履歴記憶部34cを含む場合を例示した。
しかし、制御部Cを構成する要素は、顔認証システム1における、認証サーバ30もしくは電気錠管理サーバ40のいずれに備えても良い。
例えば、選択部33aを、認証端末10や電気錠管理サーバ40が備えていてもよい。この場合、認証サーバ30の制御部33は、認証端末10や電気錠管理サーバ40が備えている選択部33aから、どの認証方式を選択するのかについての指令を受信し、当該指令に基づいて認証方式を選択することができる。
また、例えば、認証方式記憶部34aを、認証端末10や電気錠管理サーバ40が備えていてもよい。この場合、選択部33aと認証方式記憶部34aとがネットワークNを介して情報のやり取りを行うことができれば足りる。換言すれば、選択部33aは、ネットワークNを介して認証方式記憶部34aの認証方式にかかる情報を取得できればよい。
同様に、登録情報記憶部34bも、認証端末10や電気錠管理サーバ40が備えていてもよい。この場合も、照合部33bなどの制御部33が、登録情報記憶部34bとネットワークNを介して情報のやり取りを行うことができれば足りる。もちろん、本実施形態において登録情報記憶部34bが記憶している登録顔データFや登録個人識別情報Iは、認証サーバ30が備える認証側記憶部34に記憶して置くのが好ましいが、ネットワークNを介した通信に要する時間が十分短ければ(ネットワークNの通信速度が十分に速ければ)必要に応じてネットワークNを介して登録顔データFや登録個人識別情報Iを取得する構成とすることも可能である。
つまり、上記第一実施形態では、顔認証システム1の記憶部Mを構成する認証側記憶部34と錠側記憶部44とを、それぞれ認証サーバ30と電気錠管理サーバ40とに備える場合を例示し、この場合に、認証側記憶部34には認証方式記憶部34a、登録情報記憶部34b、および認証履歴記憶部34cを備える場合を例示したが、記憶部Mを構成する要素は、顔認証システム1における、認証サーバ30もしくは電気錠管理サーバ40のいずれに備えても良いのである。
(3)上記第一実施形態では、計時部46を電気錠管理サーバ40に備える場合を例示した。また、上記第二実施形態では、計時部46を認証サーバ30に備える場合を例示した。
しかし、計時部46は、認証端末10に備えることもできる。この場合、認証端末10は、認証端末10が入力顔データEを認証サーバ30へ送信する際に、入力顔データEと共に、計時部46の時刻情報を含めて送信することができる。
例えば、認証端末10が設置されている場所と、認証サーバ30が設置されている場所との間で時差が存在する場合に、選択部33aは、認証端末10が設置されている場所の時刻に応じて認証方式を選択することができるため有益である。
(4)上記実施形態では、認証端末10と認証サーバ30と電気錠管理サーバ40とは、外部のネットワークN(例えばインターネット)を介して双方向通信により一体的に接続されている場合を例示した。
しかし、認証端末10と認証サーバ30と電気錠管理サーバ40とは、ローカルエリアネットワークで接続されてもよいし、一部がローカルエリアネットワークで接続され、他の一部が外部のネットワークNに接続されてもよい。
(5)上記実施形態では、第一認証方式として顔一致方式を実行し、認証部33cが認証することができなかった場合、認証部33cは、選択部33aが第二認証方式として選択した顔一位方式で認証する場合や、選択部33aが第二認証方式として選択した顔記録方式で認証する場合を例示した。
しかし、選択部33aによる選択は上記実施形態に記載された場合に限られず第一認証方式、第二認証方式のいずれか、あるいは両段階の認証方式を選択できるようにしても良い。この場合、認証方式の選択は、選択部33aが時刻や対象者に応じて自動的に行なってもよい。例えば、時刻によって顔一致方式、顔一位方式、顔記録方式等の認証方式を切り替えてもよいし、特定の対象者には顔一致方式で認証成功してもIDカードQの提示も求めて顔一致方式の認証としてもよい。
(6)上記実施形態では、第一認証方式から第N認証方式として、顔一致方式、顔一位方式、顔記録方式を例示し、権限情報Gから特定される認証方式としても、顔一致方式、顔一位方式、顔記録方式から特定される場合を例示した。
しかし、認証方式は顔一致方式、顔一位方式、顔記録方式のみに限られない。顔一致方式において、さらにパス認証方式を併用するような認証方式(以下では顔ID一致方式と称する)を採用することもできる。この顔ID一致方式においては、あらかじめパス認証方式で人物Pを特定してから入力顔データEを取得し、当該特定された人物Pに紐付けられた登録顔データFに対して、入力顔データEが所定の閾値(例えば80、第三判定値V3)以上の一致度で一致する場合に認証する、いわゆる1対1認証の方式を採用することもできる。また、パスのみ認証方式で認証することもできる。このパスのみ認証方式は、顔データを用いることなく、個人識別情報のみに基づいて認証を行う方式である。
具体的には例えば、顔一位方式での認証を行い、当該顔一位方式で認証できなかった場合や、顔一位方式で認証を行う代わりに、入力顔データEとIDカードQから読取った入力個人識別情報Hに一致する登録個人識別情報Iに関連付けられた登録顔データFとを照合して認証してもよい。
顔認証システム1は、第一認証方式として顔一致方式を選択可能であり、第二認証方式として、顔ID一致方式を選択可能とすることができる。例えば、第一認証方式を実行したが、被認証者Aを、入力顔データEとの一致度が最も高いとして選択された登録顔データFに関連づけられた認証対象者Bであると判定できなかった場合(一致度が第一判定値V1未満である場合)、第二認証方式として顔ID一致方式を選択する。第二認証方式として顔ID一致方式が選択された場合、被認証者Aに、入力個人識別情報H(IDカードQ)の入力要求を認証端末10の報知部16を介して行う。そして、入力された入力個人識別情報Hにもとづいて検出された登録個人識別情報Iに関連づけられた認証対象者Bと、入力顔データEとの一致度が第三判定値V3以上であれば、認証部33cは、被認証者Aを、被認証者Aにより入力された入力個人識別情報Hにもとづいて検出された登録個人識別情報Iに関連づけられた認証対象者Bであると判定して認証する。この場合、第三判定値V3の値は第一判定値V1の値よりも小さくすることができる。例えば、第一判定値V1の値を90とし、第三判定値V3の値を80とすることができる。第三判定値V3の値を第一判定値V1の値よりも小さくすることで、本人を拒否するような誤認識を回避することができる。
また、顔認証システム1は、第一認証方式として顔ID一致方式を採用し、第二認証方式として、顔一位方式、顔記録方式およびパスのみ認証方式の少なくともいずれか1つを採用することができる。さらに、顔認証システム1は、第一認証方式として顔一致方式を採用し、第二認証方式として、顔ID一致方式、顔一位方式、顔記録方式およびパスのみ認証方式の少なくともいずれか1つを採用することができる。要するに、本実施形態では、複数の認証方式を適宜組み合わせて認証することにより、使用される状況に応じて認証条件を選択できる。
(7)上記第一実施形態では、被認証者Aが認証対象者Bであると認証されると(ステップ#104:Yes)、ステップ#113へ移行して、錠側制御部43は、電気扉20を開錠する場合を例示した。
しかしながら、被認証者Aが認証対象者Bであると認証されると(ステップ#104:Yes)、ステップ#111へ移行して開錠の可否を判断してもよい。この場合、認証側通信部37は、ステップ#104で入力顔データEとの一致度が最も高いとして選択された登録顔データFに対応する認証対象者BのID番号と、認証した旨と、その方式情報(顔一致方式)と、を電気錠管理サーバ40に送信すればよい。なお、顔一致方式で認証した場合には、ステップ#104で入力顔データEとの一致度が最も高いとして選択された登録顔データFに対応する認証対象者BのID番号は被認証者AのID番号に対応することになる。
(8)上記第一実施形態では、顔認証システム1の記憶部Mを構成する認証側記憶部34と錠側記憶部44とを、それぞれ認証サーバ30と電気錠管理サーバ40とに備える場合を例示した。
しかし、IDカードQが記憶部Mを有する場合もある。具体的には例えば、IDカードQが、記憶部Mを構成する認証側記憶部34の登録情報記憶部34bを有する態様も取り得る。つまり、IDカードQの登録情報記憶部34bに登録顔データFや登録個人識別情報Iを記憶しておく態様も採り得るのである。
このようにIDカードQに登録情報記憶部34bを設ける場合も、上記実施形態と同様に、入力顔データEと登録顔データFとを照合して認証することが可能である。具体的には、IDカードQから個人識別情報(入力個人識別情報H)と登録顔データFとを読み取り、入力顔データEと登録顔データFとを照合して認証してもよい。この場合は、IDカードQから読取った個人識別情報が入力個人識別情報Hであるとともに、登録個人識別情報Iであり、IDカードQから読取った顔データが登録顔データFある。
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。