(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる加工処理装置1の模式断面図である。加工処理装置1は、装置本体10の両端に、給紙トレイを有する給紙部11と、排紙トレイを有する排紙部12とを備えている。給紙部11から排紙部12へは、多数個の対のローラ21からなる搬送部2によって搬送経路20が構成されている。搬送部2は、シート材を、給紙部11から排紙部12へ向けて、矢印F方向に、搬送するようになっている。搬送部2には、搬送駆動部(図示せず)が連結している。そして、搬送経路20上には、給紙部11側から、図示しない搬送補正部、情報読取部、及びリジェクト部等を経て、3つの加工処理機構3、4、5が設けられている。これらは全て装置本体10内に設けられている。
また、加工処理装置1は、装置全体の作動を制御する制御部6を装置本体10内に備えている。制御部6は、操作パネル22に接続したCPUを有している。操作パネル22は、シート材の加工処理情報を設定する設定部221として機能する。また、操作パネル22は、情報読取部で読み取った結果を表示する表示部222としても機能する。更に、加工処理装置1は、シート材の加工によって発生する切屑を収容するためのゴミ箱101を装置本体10内の底部に有している。
加工処理機構3、4、5は、搬送部2により搬送されるシート材に所定の加工処理を施す加工刃23をそれぞれ備えている。加工刃23には、例えば、シート材を裁断するスリッターやカッターなどの裁断刃、シート材にミシン目を形成するミシン刃、シート材に折り型を形成するクリース刃、シート材の厚さ方向の一部を裁断するキスカット刃等を用いることができる。装着する加工刃23の種類によって、加工処理機構3、4、5は、裁断刃を備えた裁断加工処理機構、ミシン刃を備えたミシン目加工処理機構、クリース刃を備えた折り型加工処理機構、キスカット刃を備えたキスカット加工処理機構等とすることができる。
また、加工刃23を用いてシート材に施す加工線の向きによれば、加工処理機構3、4、5は、シート材の搬送方向Fに沿って加工線を形成する縦加工処理機構30とすることができ、また、シート材の搬送方向Fに直交し、加工刃23を支持する支持軸の軸方向Wに沿って加工線を形成する横加工処理機構31とすることも可能である。さらには、シート材の搬送方向Fに対し所定角度傾斜した加工線を形成する傾斜加工処理機構(図示省略)とすることも可能である。図1には、加工処理機構3が縦加工処理機構30、加工処理機構4,5が、横加工処理機構31の場合を示している。縦加工処理機構30の加工刃23は、回転式とされることが多い。一方、横加工処理機構31の加工刃23は、回転式の加工刃23を支持する支持軸の軸方向Wに延在する直線刃とされることが多い。
各加工処理機構3,4,5は、加工処理部15と、該加工処理部15の加工刃23を駆動する駆動部16とを備える。各加工処理部15は、装置本体10に形成された受容部9に対して、着脱自在に構成されている。駆動部16は、装置本体10側に設けられる。加工処理部15が受容部9に受容されると、加工刃23は連結機構によって駆動部16に連結され、駆動可能とされる。
図2は、加工処理機構3を搬送方向上流側から見た図であり、図3は、加工処理機構3の平面図である。加工処理機構3の加工処理部15は、支持枠体24を備えている。支持枠体24は、左右一対の側板25、26と、各側板25、26の上方にそれぞれ設置される左右一対の上板27、28と、両側板25、26を連結する複数の架設部材29とを有している。架設部材29は、両側板25、26の間で、加工刃23を支持するための上下の支持軸33と、上下の回転式の加工刃23のうち一方の加工刃23を回転駆動するための駆動軸34と、加工刃23の位置決め治具60を係止する係止部材32とが含まれ、これらが互いに平行に架設されている。上板27,28の上面には、加工処理部15を受容部9から抜き取る際に用いる持手39及び加工処理部15を受容部9に固定する固定螺子40が立設されている。
加工処理部15は、複数の加工線形成ユニット35を備える。1個の加工線形成ユニット35は1本または複数の搬送方向Fに沿った加工線を形成する。図2,3における右端の第1加工線形成ユニット351と左端の第5加工線形成ユニット355は、左右対称で、略同様な構造を有してしている。第1加工線形成ユニット351と第5加工線形成ユニット355は、1個の加工線形成ユニット35で1本の縦加工線を形成可能である。支持軸33の軸方向W中央部に設置された第2、第3、第4加工線形成ユニット352~354は、1つの加工線形成ユニット352~355で複数の縦加工線を形成可能である。これら第2、第3、第4加工線形成ユニット352~354は、互いにほぼ同様な構造を有している。複数の加工線形成ユニット35の下側の加工刃23である下回転刃234、235は、駆動軸34の駆動によって同期して回転される。
各加工線形成ユニット35は、手動により支持軸33の軸方向Wに移動可能である。また、各加工線形成ユニット35は、支持枠体24に対し着脱自在に設置される。加工線形成ユニット35を支持枠体24から離脱させるには、左右いずれか一方の側板25,26から駆動軸34及び支持軸33の端部を外し、当該端部から加工線形成ユニット35を抜き取る。そして、シート材の加工処理情報から必要な種類及び数の加工線形成ユニット35を残し、支持枠体24内に配置する。加工線形成ユニット35を支持枠体24内に装着する際は、逆に、左右いずれか一方の側板25,26から駆動軸34及び支持軸33の端部を外し、当該端部から加工線形成ユニット35を挿通する。
図4は、第1加工線形成ユニット351の内部構成を示す拡大図である。加工刃23は加工刃保持体41に保持される。加工刃保持体41は、上保持体411及び下保持体412を備える。上保持体411は、上側の加工刃23である上回転刃231を保持する。下保持体412は、下側の加工刃23である下回転刃232を保持する。
上回転刃231は、上保持体411の内部に設置された加工刃支持軸43によって回動自在に軸支される。下回転刃232は、駆動軸34が挿通される。本第1実施形態では、加工刃23としてスリッターが用いられる場合を示している。上下のスリッターは、それぞれ周囲に先鋭な刃先238が形成されている。図4では、上回転刃231の左方に下回転刃232が左方から接触する。図2に示す左端の第5加工線形成ユニット355では、図4に示す第1加工線形成ユニット351とは逆に、上回転231の右方に下回転刃232が右方から接触する。いずれの上回転刃231も下回転刃232が回転されることで従動回転する。
上保持体411と下保持体412とは加工線形成位置の下流側で連結部材45によって連結されており、上保持体411と下保持体412とは支持軸33の軸方向Wへ一体で移動可能である。上保持体411の上部には、上側の支持軸33である上支持軸331が挿通される挿通穴471が軸方向Wに貫通して形成される。
また、上保持体411の上部には、加工刃保持体41を手動により軸方向Wに移動し、所定位置に固定させるための把持部48が設けられる。把持部48は、摘み481及び螺子部482を備える。螺子部482は、上保持体411の上面より上支持軸331の挿通穴471に掛けて上下方向に貫通して形成された螺合穴483の雌螺子部484に螺合する。螺子部482の先端は、上支持軸331の上部にV字状に形成された案内溝334に係合する。これら把持部48と上支持軸331とで、加工刃保持体41を支持軸33の軸方向Wに移動させる移動部49を構成している。螺子部482が絞められ、螺子部482の先端が案内溝334内に所定圧力で当接した状態では、加工刃保持体41を軸方向Wの所定位置に固定することができる。螺子部482を緩めることによって、加工刃保持体41は案内溝334に螺子部482の先端を摺接させて案内させつつ軸方向Wに移動できるようになる。
また、上保持体411の上部には、支持軸33の軸方向Wにおける加工刃23の設置位置に対応して指標部51が設けられる。指標部51は、加工刃23の刃先238が位置する支持軸33の軸方向Wに直交する面と同一面内に設けられる。指標部51は、上保持体411上面に立設された指標ピン511によって構成されている。指標ピン511は、加工刃保持体41内の加工刃23の軸方向Wにおける刃先238の位置を示しており、縦加工線が形成される位置を示す。指標ピン511は、円柱状に形成される。指標ピン511の軸芯C1が、加工刃23による加工線形成位置と一致するよう位置合わせされている。
図4における加工刃23設置位置の左方には、シート材の搬送面の上下に離間して案内部材531、532が設置される。案内部材531,532はシート材が下流側へ搬送されるのを案内する。また、図4における加工刃23設置位置の右方には、シート材から加工刃23によって切り取られたマージン部を下方のゴミ箱101へ案内する紙片案内部551が設けられる。
図5は、第2加工線形成ユニット352の内部構成を示す拡大図である。第2加工線形成ユニット352は、下保持体414の内部に2枚の下回転刃234、235が支持軸33の軸方向Wに対向して保持されている。また、下保持体414内には、一対の付勢部材57が、両下回転刃234、235の回転軸58にそれぞれ挿通されている。
各々の下回転刃234、235は、付勢部材57の付勢力により略円柱状に形成された上回転刃233の左右両側面に所定圧力で各々側方より当接され、付勢されている。これより、加工処理機構3の中央部に並設された第2~第4加工線形成ユニット352~354は、1つの加工線形成ユニット35によって、シート材に2本の加工線を形成し、シート材に対し搬送方向Fに平行な帯状の紙片Jを切り取る加工処理を行う。
上保持体413と下保持体414とは、上下回転刃233、234、235の下流側で連結部材45によって連結され、上保持体413と下保持体414とは支持軸33の軸方向Wへ一体で移動可能である。連結部材45の下部は、上下回転刃233、234、235によってシート材から切り取られた帯状の紙片Jを下方のゴミ箱101へ案内する紙片案内部552を構成する。
第2加工線形成ユニット352の上保持体413の上部には、第1加工線形成ユニット351と同様に、把持部48及び指標部51が設けられる。第2加工線形成ユニット352では1つのユニットで2本の加工線を形成可能であるので、指標部51は2個設けられている。即ち、左右一対の下回転刃234、235のそれぞれの刃先238と軸方向Wに直交する面が同一面内に設置された指標部51が、左右一対設けられる。指標部51は、一対の指標ピン512、513により構成される。一対の指標ピン512,512の軸心C2、C3は、下回転刃234、235の刃先238の距離L1だけ離間している。
加工刃23設置位置の両側方には、シート材の搬送面の上下に離間して案内部材533~536が設置される。案内部材533~536はシート材が下流側へ搬送されるのを案内する。
更に、加工処理機構3は、位置決め治具60を備える。位置決め治具60は、加工刃23を支持する支持軸33の軸方向Wに沿って変位可能に設置された複数の加工刃23により、シート材を所定間隔で加工処理するため、複数の加工刃23を所定の間隔で配置するよう位置決めする。位置決め治具60は、複数並設される加工線形成ユニット35間の距離を所定値に設定する。位置決め治具60は支持軸33の軸方向に所定長さで延在する。位置決め治具60は、加工処理部15の架設部材29に係止され、支持枠体24に対して着脱自在に設けられる。
図6は、位置決め治具60を上流側から見た図、図7は位置決め治具60の平面図、図8は位置決め治具60の右側面図である。位置決め治具60は、基材61及び摺接部材63を備える。基材61は、水平方向に延びる基台部611と、基台部611よりシート材の搬送方向F下流側に設けられ、基台部611の下流側端縁から立ち上がり、下向きコ字状に屈曲された屈曲部612とを備える。
屈曲部612は、四角形柱状に形成された架設部材29に係止する係止部として構成される。屈曲部612の内方には、磁性体615が取付けられている。架設部材29が強磁性を有する材質により構成される場合には、磁性体615が架設部材29の適宜位置に容易に固着されるとともに、架設部材29に対し容易に着脱可能である。屈曲部612の搬送方向上流側の立設面には、本尺目盛617が付設されている。本尺目盛617は、隣接する加工刃23の間の長さL3を計測するために設けられる。基台部611は、屈曲部612と一体に形成され、該屈曲部612の上流側下端部がシート材の搬送方向F上流側へ延在してなる。
摺接部材63は、基台部611の上面に摺接可能に連結される。摺接部材63の上面の一方の端部近傍には、副尺目盛631が付設されている。摺接部材63を所定量スライドさせることで、本尺目盛617と副尺目盛631とによって、隣接する加工刃23の間の長さL3を精度よく計測することができる。本尺目盛617及び副尺目盛631によって示される値は、隣接する加工刃23の設置位置の間の長さとなるよう予め目盛りの位置が調整される。
摺接部材63には、支持軸33の軸方向Wに長く形成され、上下方向に貫通する案内穴632が設けられている。案内穴632には、下端部が基台部611上面に固定された複数の案内軸633が挿通される。案内軸633の上部には、摘み螺子635が設けられる。本尺目盛617及び副尺目盛631によって摺接部材63を所定位置に位置させた状態で、摘み螺子635を締めることで、摺接部材63を基台部611の所定位置に固定することができる。摺接部材63の他方の端部には把手636が立設される。
更に、位置決め治具60は間隔計測部65を備える。間隔計測部65は隣接する加工刃23の設置位置を示す指標部51の間に設置される。間隔計測部65は、支持軸33の軸方向Wにおける加工刃23の設置位置に対応して設けられた指標部51を用いて、隣接する加工刃23の間の長さL3を計測するためのものである。間隔計測部65は、加工刃23の刃先238が位置する軸方向Wに直交する面と同一面内に設けられた指標部51を用いて隣接する加工刃23の間の長さL3を計測する指標計測部658を備えてなる。
間隔計測部65は、指標部51に係合する係合部652を備える。係合部652は、加工刃23を保持する加工刃保持体41に設けられた指標部51に係合する保持体係合部659を備えてなる。保持体係合部659は、円柱状の指標ピン511~513の外周に当接する搬送方向Fに平行な当接面653を有する。係合部65は基台部611及び摺接部材63にそれぞれ設けられる。基台部611に設けられる図7において左側に示す第1係合部656は、隣接する加工刃23の設置位置を示す指標部51のうちの一方の指標部51に係合する。第1係合部656を構成する第1当接面661は、隣接する加工刃23の設置位置を示す一対の指標ピン511~513のうち一方の指標ピン511~513の外周に当接する。摺接部材63に設けられる図7において右側に示す第2係合部657は、隣接する加工刃23の設置位置を示す指標部51のうちの他方の指標部51に係合する。第2係合部657を構成する第2当接面662は、隣接する加工刃23の設置位置を示す一対の指標ピン511~513のうち他方の指標ピン511~513の外周に当接する。
第1当接面661から第2当接面662までの長さL2に、隣接する加工刃23の設置位置に対応して設けられた一対の指標ピン511~513の双方の半径R1、R2(図11参照)を加算した値は、隣接する加工刃23の間の長さL3に等しくなる。尚、複数の指標ピン511~513の直径が同じ長さである場合には、第1当接面661から第2当接面662までの長さL2に、指標ピン511~513の1個分の直径を加算した値が、隣接する加工刃23の間の長さL3に等しくなる。
このため本尺目盛617及び副尺目盛631によって示される値は、第1当接面661から第2当接面662までの長さL2よりも大きい数とされ、第1当接面661から第2当接面662までの長さL2に、隣接する加工刃23の設置位置に対応して設けられた一対の指標ピン511~513の双方の半径R1、R2を加算した値を示すよう予め調整されている。これより、本尺目盛617及び副尺目盛631により示される数値を、加工処理物Qの軸方向Wの長さL4に合わせるだけで、隣接する加工刃23の間の長さL3を加工処理物Qの軸方向Wの長さL4に一致させることができる。
更に、加工処理部15は、複数の加工刃保持体41を軸支したままの状態で支持軸33を軸方向Wに所定量移動する移動部69を備える。移動部69は、図2では加工処理部15の右上位置に設けられる場合を示している。図9は移動部69の周辺を拡大して示す縦断面図である。移動部69は、複数の加工刃23を軸方向Wに一括して変位させるための一括変位部を構成する。移動部69は、操作ダイヤル691、連結部692、ネジ軸693、及び螺合部694を備える。操作ダイヤル691は、円盤状に形成され、一部が上板27に設けられた窓部37から上方に突出している。
ネジ軸693は、側板26の外方から内方にかけて延在する。ネジ軸693の一方の端部近傍が、操作ダイヤル691に、駆動プーリ700、連結ベルト701、従動プーリ697により構成される連結部692によって連結される。ネジ軸693は操作ダイヤル691が手動により回転操作されることで回転される。ネジ軸693は、筒体696及び従動プーリ697と一体に形成される。
螺合部694は、支持軸33の図9における右端部に設けられる。螺合部694は、上支持軸331の軸方向Wに所定深さだけ形成された雌螺子部703によって構成される。雌螺子部703にネジ軸693の他方の端部に形成された雄螺子部702が螺合している。上支持軸331の左右双方の端部は、側板25、26にそれぞれ設置されたブラケット698に対し軸方向W摺動自在に支持される。
操作ダイヤル691を手動によって操作して連結部692を介してネジ軸693を回動させると、螺合部694がネジ軸693に対して螺進螺退し、すなわち、上支持軸331が支持枠体24に対して軸方向Wに移動する。これに伴い、加工刃保持体41は上支持軸331に固定されたまま軸方向Wに移動する。下回転刃234、235は、駆動軸34に対して摺接しつつ軸方向Wへ移動する。
図1に示す搬送経路20には、さらに、シート材の所定位置を検出する図示しない複数の検出部が配置されている。検出部は、例えばシート材の前端(下流側端縁)あるいは後端(上流側端縁)の双方を検出する光透過式のセンサーによって構成することができる。検出部は、搬送経路20上に間隔をおいて設置される。各検出部は、それぞれ制御部6のインターフェースに電気的に接続されている。
図10は、シート材の加工処理パターンの一例を示す平面図である。同図に示す加工処理パターンは、一枚のシート材から複数の加工処理物Qを製作するようになっている。搬送方向Fと平行に延びる複数の裁断による加工線Tと、軸方向Wに延びる複数の裁断による加工線Kが設定されている。
図10において右端に示す第1加工線T1は、図2に示す第1加工線形成ユニット351によって形成される。左端に示す第8加工線T8は、第5加工線形成ユニット355で形成される。第1加工線T1と第8加工線T8の間に形成される第2~第7加工線T2~T7は、第2~第4加工線形成ユニット352~354によって形成される。第2,3加工線T2、T3は、第2加工線形成ユニット352の2枚の加工刃23によって加工処理される。第2,3加工線T2、T3の間の帯状の不要な紙片Jは、図5に示す紙片案内部552によって下方へ案内され、ゴミ箱101で回収される。同様に、第4,5加工線T4,T5及び第6,7加工線T6,T7についても第3,4加工線形成ユニット353,354の加工刃23によって帯状の紙片Jが切り取られる。
また、裁断線Kは、シート材が加工線Tで搬送方向Fに平行に裁断され、シート材から切り取られた長尺の紙片Jが除去されることで、軸方向Wに並んだ複数の帯状の裁断片Pに対し、同時に裁断処理が複数回施されることで形成される。
尚、図9に示すシート材の加工処理パターンでは、折り型加工処理機構による折線が設定されていないので、図1に例示した加工処理機構5では、折り型加工処理機構を受容部9に受容させたまま機能させず、クリース処理を実行させないようにするか、図示しない搬送処理部に差し替えるか、または折り型加工処理機構の加工処理部15を脱離させ、空の状態で使用する。加工処理機構3では、マージンスリッターを加工刃23として備えた第1,5加工線形成ユニット351、355を両端に用いるとともに、軸方向Wの中央部には、2枚の下回転刃234,235と1枚の上回転刃233とを加工刃23として備える第2~4加工線形成ユニット35を用いる。
次に、加工処理装置1の動作について説明する。まず、設定部221より、シート材の加工処理情報が設定される。この設定は、作業者が操作パネル22を操作することで行ってもよく、シート材に印刷された加工処理情報を示すバーコードM2を位置マークM1とともに情報読取部により自動で読み取ることで設定するようにしてもよい。
また、使用者は、シート材の加工処理情報から、加工処理部15において必要となる加工線形成ユニット35を支持枠体24内に設置する。その際、使用者は、駆動軸34及び2本の支持軸33を左右いずれかの側板25,26から外し、必要な加工線形成ユニット351~355を必要な順序で駆動軸34及び2本の支持軸33に挿通する。そして、駆動軸34及び2本の支持軸33を側板25,26に固定する。
右端に設置される第1加工線形成ユニット351は、搬送経路20においてシート材の右端縁が接触しつつ搬送される軸方向W右端の基準位置からシート材の右側のマージン幅だけ離間した位置に手動で移動される。第1加工線形成ユニット351は上下の支持軸33に案内され、軸方向Wの所定位置に移動される。使用者は、弛められた摘み481を回転し、螺子部482を螺合穴483の雌螺子部484に対して螺進させる。そして、螺子部482の先端を案内溝334に係合し、第1加工線形成ユニット351を所定位置に固定する。
その後、使用者は、加工刃23の加工処理によって得られる加工処理物Qの軸方向Wの長さL4から位置決め治具60を用いて各加工線形成ユニット35の軸方向Wにおける位置を調整する。使用者は、位置決め治具60を第1加工線形成ユニット351の左側で架設部材29に係止させる。そして、摺接部材63を案内穴632に挿通された案内軸633によって軸方向Wに案内させつつ把手636を用いて摺接部材63を基台部611に対しスライドさせる。使用者は、本尺目盛617及び副尺目盛631によって示される値を、加工処理物Qの軸方向Wの長さL4と同じ値となる位置に摺接部材63を位置させ、摘み螺子635を締めて基材61に対して摺接部材63の位置を固定する。このとき、本尺目盛617及び副尺目盛631が曲面上ではなく平面上に表示されているので、使用者は数値をより正確に把握することができ、加工刃23の設置位置の精度を向上できる。
続いて、使用者は、係止部614を架設部材29に係止させたままで位置決め治具60を軸方向Wに手動にて摺動させ、第1加工線形成ユニット351の指標部51に、右側の係合部657を係合させる。
図11は、位置決め治具60により第1加工線形成ユニット351の加工刃23と第2加工線形成ユニット352の加工刃23とを加工処理物Qの長さL4だけ離間させて配置する際の使用態様を示す平面図である。図11において使用者は、摺接部材63に設けられた第2係合部657を、第1加工線形成ユニット351の加工刃23の設置位置を示す指標部51に左方より係合させる。使用者は、第2当接面662が第1加工ユニット351の指標ピン511の外周に当接されたことを確認する。
その後使用者は、第2加工線形成ユニット352を支持軸33及び駆動軸34に案内させつつ軸方向Wに摺動する。第1係合部656に、第2加工線形成ユニット352の図11において右側に示す指標部51を左方より係合させる。そして、第2加工線形成ユニット352の右側の指標ピン513を第1当接面661に適正に当接させた状態で、第2加工線形成ユニット352の摘み481を回転し、螺子部482の先端を案内溝334に係合させる。これより、第2加工線形成ユニット352を上支持軸331の所定位置に固定する。
第3加工線形成ユニット353についても第2加工線形成ユニット352と同様に、位置決め治具60を用いて軸方向Wの所定位置に設置される。その際、第2加工線形成ユニット352を上支持軸331に固定した後、位置決め治具60を架設部材29から外し、第2加工線形成ユニット352の左側に係止させる。第2加工線形成ユニット352の上保持体413の上部に2個設置された指標ピン512,513のうち図11における左側の指標ピン512に、位置決め治具60の第2当接面662を当接させる。そして、第1当接面661に第3加工線形成ユニット353の図5における右側の指標ピン513を当接させて位置決めし、摘み481を締めて第3加工線形成ユニット353を上支持軸331の所定位置に固定する。このようにして全ての加工線形成ユニット35を軸方向Wの必要な箇所に順次位置させる。
また、加工処理部15に設置された第1~第5加工線形成ユニット351~355を相互の位置関係を変更することなく一括で軸方向Wに移動する場合には、使用者は、操作ダイヤル691を回動する操作を行う。そして、螺合部694がネジ軸693の回転に伴って螺進螺退するようにする。使用者が、操作ダイヤル691を回転操作し、螺合部694に対しネジ軸693が螺進すると、上支持軸331は、図9において右方へ移動する。この上支持軸331の移動によって、複数の加工線形成ユニット35は一括で図2、3において右方へ移動する。逆に、操作ダイヤル691の回転操作によってネジ軸693が螺合部694に対して螺退すると、上支持軸331が図9において左方へ移動され、複数の加工線形成ユニット35は一括で図2、3において左方へ移動される。操作ダイヤル691の回転角度が大きくなると、ネジ軸693の回転量が大きくなり、加工線形成ユニット35の軸方向Wの移動量が大きくなる。
使用者がシート材の加工処理を開始する操作を操作パネル22から行うと、図1の供給トレイ111に積載されたシート材は、搬送部2により搬送経路20上を搬送される。次に、加工処理機構3~5で、使用者が操作パネル22を用いて設定を行った処理内容に適合するようシート材に加工処理が施され、排出トレイ121に排出される。加工処理機構3においては、搬送方向Fに沿った加工線が形成され、加工処理機構4では、搬送方向Fに直交する加工刃23の支持軸33の軸方向Wに沿って加工線が形成され、加工処理物Qが生成される。
以上より、本第1実施形態に係る位置決め治具60は、隣接する加工刃23の間の長さL3を計測するための本尺目盛617が付設された基材61と、基材61に摺接可能に連結され、副尺目盛631が付設された摺接部材63とを備えたので、本尺目盛617及び副尺目盛631を用いて隣接する加工刃23の間の長さL3を精度高く位置決めすることができる。
また、軸方向Wにおける加工刃23の設置位置に対応して設けられた指標部51を用いて、隣接する加工刃23の間の長さL3を計測するための間隔計測部65を設けたので、間隔計測部65を用いて容易に加工刃23を位置決めすることができる。
そして、間隔計測部65は、加工刃23の刃先238が位置する軸方向Wに直交する面と同一面内に設けられた指標部51を用いて隣接する加工刃23の間の長さL3を計測する指標計測部を備えたので、使用者は、加工刃23の位置を視覚的に容易に把握することができる。
更に、間隔計測部65は、指標部51に係合する係合部652を備えたので、指標部51に係合部652を係合させることで容易に加工刃23を位置決めすることができる。
更に、係合部652は、加工刃23を保持する加工刃保持体41に設けられた指標部51に係合する保持体係合部659を備えたので、加工刃23の位置を容易に把握し、加工刃23を位置決めすることができる。
更に、本第1実施形態に係る加工処理装置1は、隣接する加工刃23の間の長さL3を計測するための本尺目盛617が付設された基材61及び基材61に摺接可能に連結され、副尺目盛631が付設された摺接部材63とを備える位置決め治具60が設けられたので、本尺目盛617及び副尺目盛631を用いて隣接する加工刃23の間の長さL3を精度高く計測し、加工刃23を位置決めすることができる。特に、搬送部2による搬送速度が非常に高速な状態でシート材が加工処理される場合、加工線のずれが大きくなってしまうこともあるが、このような場合でも本願の位置決め治具60で位置決めすることで、得られる加工処理物の精度を向上可能である。
更に、軸方向Wにおける加工刃23の設置位置に対応する指標部51が設けられ、位置決め治具60は、指標部51を用いて隣接する加工刃23の間の長さL3を計測するための間隔計測部65が設けられたので、使用者は、指標部51を目安とし、間隔計測部65を用いて容易に加工刃23を位置決めすることができ、利便性が向上する。
更に、加工刃23を保持する加工刃保持体41が設けられ、指標部51は、加工刃保持体41に設けられるので、加工刃23の位置を加工刃保持体41に設けられた指標部51から容易に把握し、加工刃23を位置決めすることができる。
更に、複数の加工刃23を軸方向Wに一括して変位させるための一括変位部を設けたので、複数の加工刃23の位置関係を変更することなく、加工刃23を一括で同時に移動させることができる。特に、シート材が印刷後のシート材であって、シート材上の印刷位置が軸方向Wの左方または右方に僅かにずれていた場合には、搬送部2によるシート材の搬送位置を変更することなく基準位置に合わせたままで、一括変位部によって加工刃23の設置位置を印刷位置に合わせて一括で移動することができる。これより、シート材の印刷位置がずれている場合であっても、印刷位置と加工線形成位置とを一致させることができ、仕上がりをきれいにすることが可能である。
(第2実施形態)
第2実施形態について以下に説明する。尚、上記第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する。図12は、第2実施形態にかかる加工処理機構3aの加工処理部15aを搬送方向上流側から見た図であり、図13は、加工処理部15aの平面図である。第2実施形態にかかる加工処理部15aは、第1~第8加工線形成ユニット351a~358aによって構成される8個の加工線形成ユニット35aが設置されている。1個の加工線形成ユニット35aで1本の搬送方向Fに沿った加工線を形成する。
図14は、図12、13において右端に示す第1加工線形成ユニット351aの右側面図、図15は、図14におけるA-A線矢視断面図である。加工刃23aは加工刃保持体41aに保持される。加工刃保持体41aは、上保持体411a及び下保持体412aを備える。上保持体411aは、上側の加工刃23aである上回転刃236を図15において、右端に保持する。
上回転刃236は、上保持体411aの内部に設置された上加工刃支持軸431の図15における右部分に図示しない止め螺子によって固定されている。上加工刃支持軸431は、滑り軸受434により上保持体411aに回動自在に軸支される。滑り軸受434は、上加工刃支持軸431の軸方向Wで所定量離間して一対設置されている。
下保持体412aは、下側の加工刃23aである下回転刃237を図15において、右端から上回転刃236の厚みに相当する所定量の位置で保持する。下回転刃237は、下保持体412aの内部に設置された下加工刃支持軸432に支持される。下加工刃支持軸432は、搬送幅方向に延在する円筒状の軸部436と、この軸部436の図15で軸方向W右端に設けられたフランジ部439とが一体に形成されている。下加工刃支持軸432には駆動軸34aが挿通される。
軸部436の図15における右上部に、キー440が上下方向に挿通され、図15における右方よりキー固定具442によって固定される。キー440は、駆動軸34aに設けられたキー溝444に係合する。加工刃保持体41aは、キー溝444に沿って軸方向Wに移動可能に構成される。そして、駆動軸34aが回転駆動されることで、キー溝444に係合するキー440によって下加工刃支持軸432が回転される。軸部436の同図における左部分は、一対の滑り軸受435により下保持体412aに回動自在に軸支される。滑り軸受435は、軸方向Wで所定量離間して一対設置されている。
下回転刃237は、軸部436に挿通され、フランジ部439の同図における左側に対向配置される。フランジ部439の円盤面の所定位置には、図示しない穴部が設けられる。一方、下回転刃237には、フランジ部439の穴部の対向位置に位置合わせして、図示しないノックピンが圧入される。ノックピンは、フランジ部439に向けて所定量突出している。下回転刃237のノックピンとフランジ部439の穴部とが係合することで、下回転刃237は、下加工刃支持軸432の回転に伴い回転される。フランジ部439の同図における右側にはカバー445が設置される。
下回転刃237は、周囲に先鋭な刃先238aが形成されている。軸部436内には、圧縮バネにより構成される付勢部材57aが、挿通されている。下回転刃237は、付勢部材57aの付勢力により上回転刃236の図15における左側の裁断端面241に所定圧力で左側方より当接され、付勢されている。
上保持体411aの上部には、上側の支持軸33aである上支持軸331aが挿通される挿通穴471aが2個軸方向Wに貫通して形成される。下保持体412aの下部には、下側の支持軸33aである下支持軸332aが挿通される挿通穴472aが1個軸方向Wに貫通して形成される。
図14に示すように、上保持体411aの上部には、加工刃保持体41aを手動により軸方向Wに移動し、所定位置に固定させるための把持部48aが設けられる。把持部48aは、摘み481a及び螺子部482aを備える。
また、上保持体411aの上部には、支持軸33aの軸方向Wにおける加工刃23aの設置位置に対応して指標部51aが設けられる。指標部51aは、下回転刃237の刃先238aと鉛直面で同じ位置に位置する。即ち、指標部51aは、下回転刃237の先鋭な刃先238aと上回転刃236の裁断端面241が接触する支持軸33aの軸方向Wに直交する面と同一面内に設けられる。
指標部51aは、上保持体411a上面に立設された指標ピン511aによって構成されている。指標ピン511aは、加工刃保持体41a内の加工刃23aの下回転刃237と上回転刃236の接触する軸方向Wにおける刃先238aの接触位置を示しており、縦加工線が形成される位置を示す。指標ピン511aは、円柱状に形成される。指標ピン511aの上部は下部より円柱の直径が小さい小径部512として形成される。小径部512の下方には、小径部512より円柱の直径の大きい大径部513が形成される。指標ピン511aの小径部512と大径部513は軸芯C4が一致し、この軸心C4が加工刃23aによる加工線形成位置と一致するよう位置合わせされている。
図15における加工刃23a設置位置の左方には、シート材の搬送面の上下に離間して案内部材531a、532aが設置される。案内部材531a,532aはシート材が下流側へ搬送されるのを案内する。また、図15における加工刃23a設置位置の右方には、シート材から加工刃23aによって切り取られたマージン部を下方のゴミ箱101へ案内する紙片案内部551aが設けられる。
上保持体411aと下保持体412aとは加工線形成位置のシート材の搬送方向下流側で連結部材45aによって連結され、上保持体411aと下保持体412aとは支持軸33aの軸方向Wへ一体で移動可能である。連結部材45aは、シート材の搬送面で、支持軸33aの軸方向Wに屈曲される。
連結部材45aの下方には、切替案内部材448が設けられる。切替案内部材448は、上下回転刃236、237によって裁断された裁断後のシート材を、該シート材の下面を支持しつつ搬送面上を下流側へ案内するか、シート材から切り取られた紙片Jを下方のゴミ箱101へ案内するかを切り替える。切替案内部材448の下部には、付勢部材450によってシート材の搬送方向上流側へ付勢される付勢端部451が設けられる。付勢部材450は引張りばねによって構成される。
切替案内部材448は揺動軸453を軸心に揺動可能となっている。使用者が手動により付勢端部451を操作し、切替案内部材448を図14において実線で示す傾斜姿勢と二点鎖線で示す起立姿勢との間で切り替えることで、裁断後のシート材を、該シート材の下面を支持しつつ搬送面上を下流側へ案内するか、シート材から切り取られた不要な紙片Jを下方のゴミ箱101へ案内するかを切り替える。
第1加工線形成ユニット351aでは、上回転刃236の図15における左側に示す裁断端面241に下回転刃237の刃先238aが接触することで、シート材に加工線Tとしての裁断線Kを形成する。上回転刃236の図15における右側に示す非裁断端面242は、軸方向Wにおいて、上保持体411aの右側の端面と同一面内に位置する。よって、上回転刃236aの非裁断端面242は、上保持体411aの右側でむき出しの状態となっている。第1加工線形成ユニット351aの加工刃保持体41aは、軸方向Wで加工刃保持体41aの図15における右端部近傍に加工刃23を保持する右加工刃保持体を構成する。
図12に示す左端の第8加工線形成ユニット358aでは、図15に示す第1加工線形成ユニット351aとは逆に、上回転236の右側に設けられた裁断端面241に下回転刃237の先鋭な刃先が右方から接触する。第8加工線形成ユニット358aの上回転刃236の左側に示す非裁断端面242は、軸方向Wにおいて、上保持体411aの左側端面と同一面内に位置する。よって、上回転刃236の非裁断端面242は、上保持体411aの左側でむき出しの状態となっている。第8加工線形成ユニット358aの加工刃保持体41aは、軸方向Wで左端部近傍に加工刃23aを保持する左加工刃保持体を構成する。いずれの上回転刃236も下回転刃237が回転されることで従動回転する。
図12,13における右端の第1加工線形成ユニット351aと左端の第8加工線形成ユニット358aは、左右対称で、略同様な構造を有してしている。支持軸33aの軸方向W中央部に設置された第2~7加工線形成ユニット352a~357aのうち、第3,5,7加工線形成ユニット353a、255a、257aは、互いにほぼ同様な構造を有している。
第3,5,7加工線形成ユニット353a、255a、257aの加工刃保持体41aは、第1加工線形成ユニット351aの加工刃保持体41aと同様に、軸方向Wで加工刃保持体41aの図12における右端部近傍に加工刃23を保持する右加工刃保持体を構成する。第3,5,7加工線形成ユニット353a、255a、257aでは、上回転刃236の図12における左側に示す裁断端面242に下回転刃237の刃先238aが接触する。そして、第3,5,7加工線形成ユニット353a、255a、257aには、第1加工線形成ユニット351aの紙片案内部551aが設けられていない。
第2,4,6加工線形成ユニット352a、254a、256aは互いにほぼ同様な構造を有している。第2,4,6加工線形成ユニット352a、254a、256aの加工刃保持体41aは、第8加工線形成ユニット358aの加工刃保持体41aと同様に、軸方向Wで図12における左端部近傍に加工刃23aを保持する左加工刃保持体を構成する。第2,4,6加工線形成ユニット352a、254a、256aでは、上回転刃236の図12における左側に示す裁断端面241に下回転刃237の刃先238aが接触する。第2,4,6加工線形成ユニット352a、254a、256aは第8加工線形成ユニット358aが有する紙片案内部551aを備えていない。第2,4,6加工線形成ユニット352a、254a、256aと、第3,5,7加工線形成ユニット353a、255a、257aは、左右対称で、略同様な構造を有してしている。
図12では、第2,4,6加工線形成ユニット352a、254a、256aによって構成される左加工刃保持体の加工刃23aの非裁断端面242と、第3,5,7加工線形成ユニット353a、255a、257aによって構成される右加工刃保持体の加工刃23aの非裁断端面242は対向配置されている。そして、第2,4,6加工線形成ユニット352a、254a、256aの加工刃23aと、第3,5,7加工線形成ユニット353a、255a、257aの加工刃23aとは、所定値以下の長さだけ離間した位置で対向している。
図16は第2実施形態にかかる位置決め治具60aを上流側から見た図、図17は位置決め治具60aの平面図、図18は位置決め治具60aの左側面図である。位置決め治具60aは、基材61a及び摺接部材63aを備える。基材61aは、水平方向に延びる基台部611aと、基台部611aと一体に形成され、基台部611aの下流側端縁に立設される目盛用立設部618と、基台部611aと一体に形成され、基台部611aの軸方向Wで一方の端縁に立設される対向位置決め部619とを備える。目盛用立設部618の搬送方向上流側の立設面には、本尺目盛617aが付設されている。本尺目盛617aは、隣接する加工刃23aの間の長さを計測するために設けられる。
対向位置決め部619は、図16,17において基台部611aの左端部に設けられる。対向位置決め部619は、左加工刃保持体に保持される加工刃23aと、右加工刃保持体に保持される加工刃23aとが所定値以下の長さだけ離間した位置で対向するよう加工刃23aを位置決めする。対向位置決め部61
9は、隣接する加工刃23aを所定値以下の長さだけ離間するよう位置決めする。
対向位置決め部619は、支持軸33aの軸方向Wにおける加工刃23aの設置位置に対応して設けられた指標部51aを用いて、隣接する加工刃23aの間の長さを計測するため間隔計測部66を備える。間隔計測部66は、支持軸33aの軸方向Wに直交する面において、加工刃23aの刃先238aが位置する面と同一面内に設けられた指標部51aを用いて加工刃23aの間の長さを計測する指標計測部660を備える。間隔計測部66は、指標部51aに係合する係合部654を備える。係合部654は、加工刃23aを保持する加工刃保持体41aに設けられた指標部51aに係合する保持体係合部669を備える。保持体係合部669は、円柱状の指標ピン511a~518aの頂部の小径部512に係合する円形の貫通穴647として形成される。対向位置決め部619の貫通穴647は、3個以上形成されることで、隣接する加工刃23aの間の長さを、異なる複数の長さに設定することができる。
図18に示す対向位置決め部619では、上下方向に第1貫通穴648、第2貫通穴649、第3貫通穴650の3つの貫通穴647が中心を一致させ、直線上に並設されている。図18において最下位形成された第1貫通穴648と中位に形成された第2貫通穴649の間は例えば10mmに設置される。第2貫通穴649と最上位に形成された第3貫通穴650との間の長さは5mmに設置される。これより、図18に示す対向位置決め部619は、隣接する加工刃23aの間の長さを5mm、10mm、または15mmの異なる複数の長さ設定することができる。
上記第1実施形態では案内穴632が摺接部材63に設けられたが、本第2実施形態では案内穴632aが、摺接部材63aに替えて基材61aに設けられる。即ち、基材61aの基台部611aには、支持軸33aの軸方向Wに長く形成され、上下方向に貫通する案内穴632aが設けられている。
摺接部材63aは、図16,17において実線及び二点鎖線で示すように、案内穴632aに案内されつつの基台部611aに摺接する。摺接部材63aは、基台部611aの上面に摺接する上摺接部637と、基台部611aの下面に摺接する下摺接部638とを備える。上摺接部637は、薄板状に形成される。上摺接部637の上面には、副尺目盛631aが付設されている。摺接部材63aを所定量スライドさせることで、本尺目盛617aと副尺目盛631aとによって、隣接する加工刃23の間の長さを精度よく計測することができる。本尺目盛617a及び副尺目盛631aによって示される値は、隣接する加工刃23aの設置位置の間の長さとなるよう予め目盛りの位置が調整される。
下摺接部638は、所定厚さを有する。下摺接部638は上摺接部637より厚く形成される。下摺接部638は、搬送方向Fに沿った縦断面が凸字状に形成され、下摺接部638の搬送方向中央部には、支持軸33aの軸方向Wに長い案内凸部639が設けられる。上記第1実施形態では、案内軸633が案内穴632に挿通され、摺接部材63を案内した。一方、本第2実施形態では案内凸部639が、基材61aに設けられた案内穴632aに挿通され、該案内穴632aに係止され、案内される。案内凸部639は、案内穴632aより僅かに上方に突出し、案内凸部639の上面が、上摺接部637の下面に当接している。案内凸部639の上摺接部637への当接箇所で、上摺接部637と下摺接部638とが一対の連結部材640によって連結されている。
一対の連結部材640の間には、摺接部63aを基材61aの所定位置に固定する固定具としての摘み螺子635aが設けられる。本尺目盛617及び副尺目盛631によって隣接する加工刃23aの間の長さを計測し、摺接部材63aを所定位置に位置させた状態で、摘み螺子635aを締めることで、摺接部材63aを基台部611aの所定位置に固定することができる。
第2実施形態にかかる間隔計測部65aは、指標部51aに係合する係合部652aを備える。係合部652aは、加工刃23aを保持する加工刃保持体41aに設けられた指標部51aに係合する保持体係合部659aを備えてなる。上記第1実施形態では、保持体係合部659は、円柱状の指標ピン511~513の外周に当接する搬送方向Fに平行な当接面653を有したが、本第2実施形態では当接面653に替えて、保持体係合部659aは、円柱状の指標ピン511a~518aの下部の大径部513の外周に係合する凹状に形成された係合凹部644を有する。
係合部65aは基台部611a及び摺接部材63aにそれぞれ設けられる。基台部611aの図17において右端には、第1係合部656aが設けられる。第1係合部656aは、基台部611aの右端部が平面視凹状に切り欠かれ、形成される。摺接部材63aには下摺接部638の図17において左端部が平面視凹状に切り欠かれた第2係合部657aが設けられる。
第1係合部656aは、隣接する加工刃23aの設置位置を示す指標部51aのうちの一方の指標部51aを係止する。第2係合部657aは、隣接する加工刃23aの設置位置を示す一対の指標ピン511a~518aのうち他方の指標部51aを係止する。第1係合部656a及び第2係合部657aは、いずれも指標ピン511a~518aの下部の大径部513の外周に係合する。第2係合部657aに係合される指標ピン511a~518aは、案内穴632aに挿通され該案内穴632aの上方に突出する。
第1係合部656aの係合凹部644の最も凹んだ位置から第2係合部657aの係合凹部644の最も凹んだ位置までの長さL5に、隣接する加工刃23aの設置位置に対応して設けられた一対の指標ピン511a~518aの双方の大径部513の半径R3、R4(図19参照)を加算した値は、隣接する加工刃23aの間の長さL6に等しくなる。尚、複数の指標ピン511a~518aの直径が同じ長さである場合には、第1係合部656aと第2係合部657aとの双方の係合凹部644の最も窪んだ位置の間の長さL5に、指標ピン511a~518aの1個分の直径を加算した値が、隣接する加工刃23aの間の長さL6に等しくなる。
第1係合部656a、第2係合部657aに、それぞれ隣接する加工刃23aの設置位置に対応して設けられた一対の指標ピン511a518aの下部の大径部513が係合したとき、これら隣接する一対の指標ピン511a~518aの中心間の距離が、隣接する加工刃23aの間の長さL6に等しくなる。
このため本尺目盛617a及び副尺目盛631aよって示される値は、第1係合部656a及び第2係合部657aにそれぞれ隣接する一対の指標ピン511a~518aの下部の大径部513が係合したときの隣接する加工刃23aの間の長さを示すよう予め調整されている。
次に、本第2実施形態にかかる加工処理機構3aを用いて、図10に示す加工処理パターンの加工処理を実行する場合の動作について以下に説明する。使用者は、シート材の加工処理情報から、加工処理部15aにおいて必要となる加工線形成ユニット35aを支持枠体24a内に設置する。その際、使用者は、図12に示すように、加工刃23aを加工刃保持体41aの図12において右端に保持する右加工刃保持体であって、加工刃23aの右側に紙片案内部551aが設けられた第1加工線形成ユニット351aを支持枠24a内の右端に設置する。また、使用者は、第1加工線形成ユニット351aの切替案内部材448を図14において二点鎖線で示す起立姿勢へ手動で切り替える。これより、図10において右端に示す第1加工線T1を形成することで、シート材から切り取られる右端の紙片Jaを適正に下方のごみ箱へ案内することができる。
同様に、支持枠24a内の図12において左端には、加工刃23aを加工刃保持体41aの左端に保持する左加工刃保持体であって、加工刃23aの左側に紙片案内部551aが設けられた第8加工線形成ユニット358aを設置し、切替案内部材448を起立姿勢へ切り替える。これより、図10において左端に示す第8加工線T8を形成する際生じる紙片Jbを適正に下方のごみ箱へ案内することができる。
一方、支持枠24a内の軸方向Wの中央部には、加工刃23aを加工刃保持体41aの左端に保持する左加工刃保持体である第2,4,6加工線形成ユニット352、354、356と、加工刃23aを加工刃保持体41aの右端に保持する右加工刃保持体である第3,5,7加工線形成ユニット353、355、357とを互いの加工刃23aを近接させ、所定値以下の長さだけ離間した位置で対向させるように対して設置する。そして、使用者は、全ての加工線形成ユニット351~357の切替案内部材448を不要な紙片Jcを下方のごみ箱101へ案内するよう切り替える。これより、図10に示す複数の加工処理物Qの間に形成される幅が狭く帯状の不要な紙片Jcを、近接対向する左右一組の加工刃23aによってシート材を裁断することで形成し、下方のごみ箱101へ落下させることができる。
上記第1実施形態では、第2~4加工線形成ユニット352~354は、1枚の上回転刃231とこれに側方から接触する2枚の下回転刃234によって構成されたので、加工処理物Qの間に形成される不要な紙片Jcの幅方向の長さを自由に設置することができなかった。本第2実施形態では不要な紙片Jcを形成する左右一組の加工刃23aがそれぞれ別の加工刃保持体41aに保持され、各加工刃保持体41aは、個別に支持軸33aの軸方向Wに沿って変位可能である。よって、加工処理物Qの間に形成される不要な紙片Jcの幅方向の長さを自由に設置することができ、利便性が向上する。
支持枠24a内に第1加工線形成ユニット351aを設置する際、使用者は、軸方向W右端の基準位置からシート材の右側のマージン幅だけ離間した適正な位置に位置合わせし、固定する。そして、使用者は、位置決め治具60aの本尺目盛617aと副尺目盛631aによって示される値を、加工処理物Qの幅方向の長さL4と同じ値となるように摺接部材63aを基台部611aに対しスライドさせ、固定する。摺接部材63aは、案内凸部639が案内穴632aに係止され、案内されて軸方向Wにスライドされる。使用者は、摘み螺子635aを締めて基材61aに対して摺接部材63aの位置を固定する。
そして、使用者は、第1加工線形成ユニット351aの指標部51aに、基材61aに設けられた第1係合部656aを係合させる。図19は、位置決め治具60aにより第1加工線形成ユニット351aの加工刃23aと第2加工線形成ユニット352aの加工刃23aとを加工処理物Qの長さL4だけ離間させて配置する際の使用態様を示す平面図である。
使用者は、第1係合部656aが第1加工ユニット351aの指標ピン511aの大径部513の外周に係合されたことを確認する。その後、使用者は、摺接部材63aに設けられた第2係合部657aを、第2加工線形成ユニット352aの加工刃23aの設置位置を示す指標部51aに右方より係合させる。使用者は、第2係合部657aが、第2加工ユニット352aの指標ピン511aの大径部513の外周に係合されたことを確認すると、第2加工線形成ユニット352aの摘み481aを回転し、第2加工線形成ユニット352を軸方向Wの所定位置に固定する。
第2実施形態にかかる位置決め治具60aは、円柱状の指標ピン511a~518aの大径部513の外周に係合する係合凹部644を有するので、指標ピン511a~518aの大径部513の外周に係合凹部644の凹状部分に適正に係合することで、ずれが生じにくくなる。よって、加工刃23aを位置決めする際の安定性を向上可能である。上記第1実施形態の円柱状の指標ピン511~513の外周に当接する当接面653に比較して、搬送面に平行な面でのずれを抑制し適正に位置決めすることができる。また、上記第1実施形態のように、架設部材29に屈曲部612を係止させる必要がなく、係合部652aを指標部51aに容易に係合させることができる。
更に、使用者は、第2加工線形成ユニット352aの左方に、第3加工線形成ユニット353aを設置する。図20は、位置決め治具60aにより第2加工線形成ユニット352aの加工刃23aと第3加工線形成ユニット353aの加工刃23aとを紙片Jcの軸方向W長さだけ離間させて配置する際の使用態様を示す平面図である。
使用者は、位置決め治具60aを上下方向に向け、立て保持する。そして、使用者は、対向位置決め部619に設けられた複数の貫通穴647のうち紙片Jcの幅方向の長さに応じて必要となる1つの貫通穴647を、第2加工線形成ユニット352aの指標ピン512aの小径部512に係合する。使用者は、残りの貫通穴647のうち紙片Jcの幅方向の長さに応じて必要となる1つの貫通穴647を、第3加工線形成ユニット353aの指標ピン512aの小径部512に係合する。
例えば、紙片Jcの幅方向の長さを10mmとしたいときには、使用者は、第1貫通穴648を第2加工線形成ユニット352aの指標ピン512aの小径部512に係合する。そして、第2貫通穴649を第3加工線形成ユニット353aの指標ピン513aの小径部512に係合する。これより、対向位置決め部619を用いて左加工刃保持体に保持される加工刃23aと、右加工刃保持体に保持される加工刃23aとが所定値以下の長さだけ離間した位置で対向するよう加工刃23aを容易に位置決めすることができる。
対向位置決め部619の3個以上の貫通穴647のうち所望する長さだけ離間した2個の貫通穴647を、隣接する加工刃23aの加工刃保持体41aの指標部51aに係合することで、隣接する加工刃23aを、所定値以下の長さだけ離間した近接対向位置に容易に位置決めすることができる。
使用者は、第3加工線形成ユニット353aの軸方向Wの所定位置に固定した後、第4乃至第8加工線形成ユニット354a~35aについても、第1乃至第3加工線形成ユニット351a~353aと同様に順次位置決めし、支持枠24a内に固定する。
本第2実施形態では、摺接部材63aに設けられる第2係合部657aに係合する指標部51aが、案内穴632a内に挿通され、案内穴より上方へ突出するので、上記第1実施形態より隣接する加工刃23aをより近い位置に位置させるよう位置決めすることができる。
尚、上記各実施形態では、加工刃23,23aは手動で支持軸33,33aの軸方向Wに移動されたが、これに限定されず、駆動部を設け、これに連結された加工刃を自動で移動可能とし、当該加工刃を軸方向に自動で移動させる際に、位置決め治具を用いてもよい。また、位置決め治具60,60aは、装置本体10に対し着脱自在に設けたが、これに限定されず、架設部材に摺接自在に挿通する等してもよい。
また、加工処理装置10が指標部51,51aを備えたが、これに限定されず、指標部を設けなくてもよい。例えば、窓部を設けるなどによって、加工刃の刃先を直接視認可能な状態とすることで、指標部を設けなくても隣接する加工刃の間の長さを目視などの方法によって計測することもできる。また、位置決め治具60,60aが間隔計測部65,65aを備えたが、これに限定されず、間隔計測部を設けなくてもよい。例えば、位置決め治具は、加工刃の刃先に直接接触可能な構成とし、これを用いて隣接する加工刃の間の長さを計測する構成としてもよい。
また、指標部51,51aは、軸方向Wに直交する面において、加工刃23,23aの刃先238,238aが位置する面と同一面内に設けられたが、加工刃の刃先が位置する面から所定量離間した位置や、加工刃の刃先に交差する面や位置等他の位置に設けてもよい。また、指標部51,51aに係合する係合部652,652aを備えたが、係合部に替えて、指標部を位置決め治具を用いて長さを計測する際の目印として用いてもよく、係合部を設けない構成としてもよい。
また、加工刃23,23aを保持する加工刃保持体41,41aを設けたが、加工刃が駆動軸及び支持軸に保持されることで、加工刃保持体を設けない構成としてもよい。係合部652,652aは、加工刃23,23aを保持する加工刃保持体41,41aに設けられたが、加工刃の移動に連動して移動可能な他の位置に設けてもよい。
また、複数の加工刃を軸方向に一括して変位させるための一括変位部を設けたが、一括変位部を設けなくてもよい。一括変位部は手動で加工刃の位置を移動させたが、駆動部を設けて自動で複数の加工刃を移動させてもよい。
また、各種加工処理情報は、操作パネル46より使用者が手動設定するかまたは読取部によりバーコードM2を読み取ることで自動的に入力したが、パソコンなど外部の情報処理装置と通信を行って設定してもよい。また、予め操作パネルからの手動入力によって、シートの配列パターンを複数記憶手段に記憶しておき、各パターンを番号などによって呼出して、設定することとしてもよい。