JP7161094B2 - 走査駆動装置、光走査制御装置及び駆動波形生成方法 - Google Patents

走査駆動装置、光走査制御装置及び駆動波形生成方法 Download PDF

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Description

本発明は、走査駆動装置、光走査制御装置及び駆動波形生成方法に関する。
従来技術として、ミラー部を回転軸回りに回転させて光を走査する光走査装置が知られている。このような光走査装置では、駆動源に鋸歯状波形の電圧が用いられる。
特開2012-198415号公報
しかしながら、駆動時にミラー部の共振振動によるリンギングが発生する場合ある。リンギングの発生は、光走査装置の走査により形成される画像の画質劣化を引き起こす。
そこで、本開示は、光走査装置におけるリンギングの発生を抑制可能な走査駆動装置、光走査制御装置及び駆動波形生成方法を提供する。
本開示は、
信号レベルが上昇する上昇期間と、信号レベルが下降する下降期間とを有する鋸歯状の駆動波形を生成する波形生成部と、
前記駆動波形をフィルタ処理するFIRフィルタと、
固有の共振周波数で共振する光走査装置を、前記FIRフィルタによるフィルタ処理された後の前記駆動波形に対応する鋸歯状の駆動電圧波形で駆動する駆動部とを備え、
前記上昇期間と前記下降期間とのうちの一方の期間の時間幅は、他方の期間よりも短く、且つ、0次の前記共振周波数の逆数の整数倍であり、
前記FIRフィルタは、前記駆動波形が有する1次以上の前記共振周波数の成分を減衰させるフィルタであり、
前記FIRフィルタのタップ数は、前記他方の期間の長さと前記駆動電圧波形の前記他方の期間における直線領域の時間との差を、前記駆動電圧波形のデータレートで除算した値に略等しい、走査駆動装置を提供する。
また、本開示は、当該走査駆動装置と、前記光走査装置とを備える、光走査制御装置を提供する。
また、本開示は、
固有の共振周波数で共振する光走査装置の駆動波形であって、信号レベルが上昇する上昇期間と、信号レベルが下降する下降期間とを有する鋸歯状の駆動波形を生成する駆動波形生成方法であって、
前記上昇期間と前記下降期間とのうちの一方の期間の時間幅を、他方の期間よりも短く、且つ、前記共振周波数の逆数の整数倍に設定し、
前記他方の期間の長さと前記駆動波形の前記他方の期間における直線領域の時間との差を、前記駆動波形のデータレートで除算した値に略等しいタップ数のFIRフィルタにより、前記駆動波形が有する1次以上の前記共振周波数の成分を減衰する、駆動波形生成方法を提供する。
本開示の技術によれば、光走査装置におけるリンギングの発生を抑制することができる。
第1の実施の形態に係る走査駆動装置を備える光走査制御装置の構成の一例を示すブロック図である。 第1の実施の形態に係る光走査装置の一例を示す斜視図(その1)である。 第1の実施の形態に係る光走査装置の一例を示す斜視図(その2)である。 第1の実施の形態に係る光走査装置の光走査部の一例を示す上面側の斜視図である。 駆動源に印加する駆動電圧波形とミラーの動作波形との関係を説明する図である。 光走査装置を用いて画像表示を行ったときの状態を説明する図である。 波形生成部により生成される鋸歯状の駆動波形の一例を示す図である。 鋸歯状の駆動波形のスペクトラムと、光走査装置自身が持つ固有の共振周波数との関係の一例を示す図である。 ミラー動作波形の鈍りについて説明する図である。 FIRフィルタの構成の一例を示す図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
図1は、第1の実施の形態に係る走査駆動装置1100を備える光走査制御装置600の構成の一例を示すブロック図である。光走査制御装置600は、走査駆動装置1100と、光走査装置1000とを備える。走査駆動装置1100は、ミラー110を有する光走査装置1000を鋸歯状(三角波状)の駆動電圧波形で駆動する。走査駆動装置1100の詳細な構成については後述する。
図2及び図3は、第1の実施の形態に係る光走査装置の一例を示す斜視図であり、図2はパッケージカバーを取り外した状態の光走査装置を示し、図3はパッケージカバーを取り付けた状態の光走査装置を示している。
図2及び図3に示されるように、光走査装置1000は、光走査部100と、光走査部100を搭載するセラミックパッケージ200と、セラミックパッケージ200上に配されて光走査部100を覆うパッケージカバー300とを有する。光走査装置1000は、セラミックパッケージ200の下側に、基板や制御回路等を備えてもよい。
光走査装置1000において、パッケージカバー300の略中央部には光反射面を有するミラー110の近傍を露出する開口部300Aが設けられている。開口部300Aは、ミラー110へのレーザ入射光Li及びミラー110からのレーザ出射光Lo(走査光)を遮らない形状とされている。
なお、開口部300Aにおいて、レーザ入射光Liが通る側は、レーザ出射光Loが通る側よりも小さく開口されている。すなわち、レーザ入射光Li側が略半円形状に狭く開口しているのに対し、レーザ出射光Lo側は略矩形状に広く開口している。これは、レーザ入射光Liは一定の方向から入射するのでその方向のみを開口すればよいのに対し、レーザ出射光Loは2次元に走査されるため、2次元に走査されるレーザ出射光Loを遮らないように、走査される全範囲を開口する必要があるためである。
次に、光走査装置1000の光走査部100について説明する。図4は、第1の実施の形態に係る光走査装置の光走査部の一例を示す上面側の斜視図である。
図4に示されるように、光走査部100は、ミラー110を揺動させて光源から照射されるレーザ入射光を走査する部分である。光走査部100は、例えば圧電素子によりミラー110を駆動させるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー等である。
光走査部100は、ミラー110と、ミラー支持部120と、捻れ梁130A、130Bと、連結梁140A、140Bと、水平駆動梁150A、150Bと、可動枠160と、垂直駆動梁170A、170Bと、固定枠180とを有する。ミラー支持部120の上面にミラー110が支持されている。本実施の形態においては、ミラー支持部120と、捻れ梁130A、130Bと、連結梁140A、140Bと、水平駆動梁150A、150Bと、可動枠160をまとめて、ミラー110を支持するミラー支持体161と称する。
ミラー支持体161の両側に、ミラー支持体161に接続される一対の垂直駆動梁170A、170Bが配置されている。ミラー支持体161と垂直駆動梁170Aは、ミラー支持体接続部A11により接続される。固定枠180と垂直駆動梁170Aは、固定枠接続部A12により接続される。ミラー支持体161と垂直駆動梁170Bは、ミラー支持体接続部A13により接続される。固定枠180と垂直駆動梁170Bは、固定枠接続部A14により接続される。垂直駆動梁170A、170Bの詳細については後述する。
また、ミラー110を支持するミラー支持部120の両側に、ミラー支持部120に接続される一対の水平駆動梁150A、150Bが配置されている。また、水平駆動梁150A、150B、連結梁140A、140B、捻れ梁130A、130B、ミラー支持部120及びミラー110は、可動枠160によって外側から支持されている。即ち、水平駆動梁150A、150Bのそれぞれの一方の側は、可動枠160の内周に接続され、支持されている。水平駆動梁150Aの他方の側は内周側に延びて連結梁140A、140Bと連結している。水平駆動梁150Bの他方の側も同様に、内周側に延びて連結梁140A、140Bと連結している。連結梁140A、140Bは、水平回転軸H方向に延びる捻れ梁130A、130Bに接続されており、捻れ梁130A、130Bは水平回転軸H方向の両側からミラー支持部120を支持している。上記のように、水平駆動梁150A、150Bは、捻れ梁130A、130Bの延びる水平回転軸H方向と直交する方向に、ミラー110及びミラー支持部120を挟むように、対をなして設けられている。水平回転軸H方向については後述する。
水平駆動梁150A、150Bは、それぞれ水平駆動源151A、151Bを有する。また、垂直駆動梁170A、170Bは、それぞれ垂直駆動源171A、171Bを有する。水平駆動梁150A、150Bおよび垂直駆動梁170A、170Bは、ミラー110を上下又は左右に揺動してレーザ光を走査するアクチュエータとして機能する。
水平駆動梁150A、150Bの上面には、水平駆動源151A、151Bがそれぞれ形成されている。水平駆動源151A、151Bは、水平駆動梁150A、150Bの上面の圧電素子の薄膜(以下「圧電薄膜」ともいう。)の上に形成された上部電極と、圧電薄膜の下面に形成された下部電極とを含む。水平駆動源151A、151Bは、上部電極と下部電極に印加する駆動電圧の極性に応じて伸長したり縮小したりする。
このため、水平駆動源151Aと水平駆動源151Bとに、互いに逆位相となる波形(例えば、正弦波)の駆動電圧を印加すれば、ミラー110の左側と右側で水平駆動梁150Aと水平駆動梁150Bとが上下反対側に交互に振動する。これにより、捻れ梁130A、130Bを揺動軸又は回転軸として、ミラー110を水平回転軸Hの軸周りに揺動させることができる。ミラー110が捻れ梁130A、130Bの軸周りに揺動する方向を水平方向と呼び、ミラー110の光反射面の中心Cを通る上記の揺動軸を水平回転軸Hという。例えば水平駆動梁150A、150Bによる水平駆動には、共振振動が用いられ、高速にミラー110を揺動駆動することができる。
ミラー支持部120には、ミラー110の円周に沿うようにスリット122が形成されている。スリット122により、ミラー支持部120を軽量化しつつ捻れ梁130A、130Bによる捻れをミラー110へ伝達することができる。
また、垂直駆動梁170Aは、水平回転軸H方向に延在する複数の矩形状の垂直梁を有し、隣接する垂直梁の端部同士が連結され、全体としてジグザグ状(蛇腹状)の形状を有する。
例えば、ミラー支持体161側から数えて1番目の垂直梁の端部と2番目の垂直梁の端部とが折り返し部171X1により連結されている。又、2番目の垂直梁の端部と3番目の垂直梁の端部とが折り返し部171X2により連結されている。又、3番目の垂直梁の端部と4番目の垂直梁の端部とが折り返し部171X3により連結されている。又、4番目の垂直梁の端部と5番目の垂直梁の端部とが折り返し部171X4により連結されている。又、5番目の垂直梁の端部と6番目の垂直梁の端部とが折り返し部171X5により連結されている。なお、図4では、各折り返し部を、便宜上、梨地模様で示している。
垂直駆動梁170Bも同様に、水平回転軸H方向に延在する複数の矩形状の垂直梁を有し、隣接する垂直梁の端部同士が連結され、全体としてジグザグ状(蛇腹状)の形状を有する。
例えば、ミラー支持体161側から数えて1番目の垂直梁の端部と2番目の垂直梁の端部とが折り返し部171Y1により連結されている。又、2番目の垂直梁の端部と3番目の垂直梁の端部とが折り返し部171Y2により連結されている。又、3番目の垂直梁の端部と4番目の垂直梁の端部とが折り返し部171Y3により連結されている。又、4番目の垂直梁の端部と5番目の垂直梁の端部とが折り返し部171Y4により連結されている。又、5番目の垂直梁の端部と6番目の垂直梁の端部とが折り返し部171Y5により連結されている。上記と同様に、各折り返し部を、便宜上、梨地模様で示している。
垂直駆動梁170Aの上面には、それぞれ曲線部を含まない矩形単位である垂直梁ごとに、垂直駆動源171Aが形成されている。垂直駆動源171Aは、垂直駆動梁170Aを構成する1番目から6番目の各垂直梁の上にそれぞれ形成された6つの垂直駆動源171A1、171A2、171A3、171A4、171A5及び171A6を含む。垂直駆動梁170Bの上面には、それぞれ曲線部を含まない矩形単位である垂直梁ごとに、垂直駆動源171Bが形成されている。垂直駆動源171Bは、垂直駆動梁170Bを構成する1番目から6番目の各垂直梁の上にそれぞれ形成された6つの垂直駆動源171B1、171B2、171B3、171B4、171B5及び171B6を含む。垂直駆動源171Aは、垂直駆動梁170Aの上面の圧電薄膜の上に形成された上部電極と、圧電薄膜の下面に形成された下部電極とを含む。垂直駆動源171Bは、垂直駆動梁170Bの上面の圧電薄膜の上に形成された上部電極と、圧電薄膜の下面に形成された下部電極とを含む。
垂直駆動梁170Aは、垂直梁ごとに隣り合う垂直駆動源171Aに、駆動波形の中央値を基準に上下反転した波形の駆動電圧を印加することにより、各垂直梁の上方向への変形量を変化させ、各垂直梁の上下動の蓄積を可動枠160に伝達する。同時に、垂直駆動梁170Bは、垂直梁ごとに隣り合う垂直駆動源171Bに、駆動波形の中央値を基準に上下反転した波形の駆動電圧を印加することにより、各垂直梁の上方向への変形量を変化させ、各垂直梁の上下動の蓄積を可動枠160に伝達する。駆動波形の中央値を基準に上下反転した波形の駆動電圧は、例えば、鋸歯状の駆動電圧波形である。垂直駆動梁170A、170Bのこのような動作により、ミラー110及びミラー支持体161が水平回転軸Hの方向と直交する方向に揺動され、この揺動する方向を垂直方向と呼び、ミラー110の光反射面の中心Cを通る上記の揺動軸を垂直回転軸Vという。例えば垂直駆動梁170A、170Bによる垂直駆動には、非共振振動を用いることができる。
例えば、垂直駆動源171A1、171B1、171A3、171B3、171A5、171B5を同波形、垂直駆動源171A2、171B2、171A4、171B4、171A6及び171B6を前者と駆動波形の中央値を基準に上下反転した波形で駆動する。これにより、ミラー110及びミラー支持体161を垂直方向へ揺動できる。
水平駆動源151Aの上部電極及び下部電極に駆動電圧を印加する駆動配線は、固定枠180に設けられた端子群190Aに含まれる所定の端子と接続されている。水平駆動源151Bの上部電極及び下部電極に駆動電圧を印加する駆動配線は、固定枠180に設けられた端子群190Bに含まれる所定の端子と接続されている。また、垂直駆動源171Aの上部電極及び下部電極に駆動電圧を印加する駆動配線は、固定枠180に設けられた端子群190Aに含まれる所定の端子と接続されている。垂直駆動源171Bの上部電極及び下部電極に駆動電圧を印加する駆動配線は、固定枠180に設けられた端子群190Bに含まれる所定の端子と接続されている。
また、光走査部100は、水平駆動源151A、151Bに駆動電圧が印加されてミラー110が水平方向に揺動している状態におけるミラー110の水平方向の傾き具合(水平方向の振角)を検出する水平振角センサとして、圧電センサ191、192を有する。圧電センサ191は連結梁140Aに設けられ、圧電センサ192は連結梁140Bに設けられている。
また、光走査部100は、垂直駆動源171A、171Bに駆動電圧が印加されてミラー110が垂直方向に揺動している状態におけるミラー110の垂直方向の傾き具合(垂直方向の振角)を検出する垂直振角センサとして、圧電センサ195、196を有する。圧電センサ195は垂直駆動梁170Aを構成する垂直梁の一つに設けられており、圧電センサ196は垂直駆動梁170Bを構成する垂直梁の一つに設けられている。
圧電センサ191は、ミラー110の水平方向の傾き具合に伴い、捻れ梁130Aから伝達される連結梁140Aの変位に対応する電流値を出力する。圧電センサ192は、ミラー110の水平方向の傾き具合に伴い、捻れ梁130Bから伝達される連結梁140Bの変位に対応する電流値を出力する。圧電センサ195は、ミラー110の垂直方向の傾き具合に伴い、垂直駆動梁170Aのうち圧電センサ195が設けられた垂直梁の変位に対応する電流値を出力する。圧電センサ196は、ミラー110の垂直方向の傾き具合に伴い、垂直駆動梁170Bのうち圧電センサ196が設けられた垂直梁の変位に対応する電流値を出力する。
第1の実施の形態では、圧電センサ191、192の出力を用いてミラー110の水平方向の傾き具合が検出され、圧電センサ195、196の出力を用いてミラー110の垂直方向の傾き具合が検出される。なお、各圧電センサから出力される電流値からミラー110の傾き具合の検出を行う傾き検出部が光走査部100の外部に設けられていてもよい。又、傾き検出部の検出結果に基づき水平駆動源151A、151B、垂直駆動源171A、171Bに供給する駆動電圧を制御する駆動制御部が光走査部100の外部に設けられていてもよい。
圧電センサ191、192、195、196は、圧電薄膜と、圧電薄膜の上面に形成された上部電極と、圧電薄膜の下面に形成された下部電極とを含む。第1の実施の形態では、各圧電センサの出力は、上部電極と下部電極とに接続されたセンサ配線の電流値となる。
圧電センサ191の上部電極及び下部電極から引き出されたセンサ配線は、固定枠180に設けられた端子群190Bに含まれる所定の端子と接続されている。圧電センサ195の上部電極及び下部電極から引き出されたセンサ配線は、固定枠180に設けられた端子群190Aに含まれる所定の端子と接続されている。また、圧電センサ192の上部電極及び下部電極から引き出されたセンサ配線は、固定枠180に設けられた端子群190Bに含まれる所定の端子と接続されている。圧電センサ196の上部電極及び下部電極から引き出されたセンサ配線は、固定枠180に設けられた端子群190Bに含まれる所定の端子と接続されている。
光走査部100は、例えば支持層、埋め込み酸化(BOX:Buried Oxide)層及び活性層を有するSOI(Silicon On Insulator)基板を用いて形成することができる。例えば、可動枠160と、水平駆動梁150A、150Bの裏面に設けられたリブ、及び垂直駆動梁170A、170Bの裏面に設けられたリブ等は、支持層からパターン形成された部材である。また、水平駆動梁150A、150Bと垂直駆動梁170A,170B等は、活性層及びBOX層、または、活性層からパターン形成された部材である。
次に、図1を参照して、走査駆動装置1100の詳細な構成について説明する。走査駆動装置1100は、フロントエンドIC(Integrated Circuit)400、LD(Laser Diode)440及びミラードライバIC500を有する。
本実施形態のフロントエンドIC400は、入力されたビデオ信号に信号処理を施し、LD440へ供給する。また本実施形態のフロントエンドIC400は、ミラー110の揺動を制御する信号をミラードライバIC500へ供給する。
本実施形態のフロントエンドIC400は、ビデオ信号処理部410、LDドライバ420及び波形生成部430を有する。ビデオ信号処理部410は、入力されたビデオ信号に含まれる同期信号と、輝度信号及び色度信号とを分離する処理を行う。ビデオ信号処理部410は、輝度信号及び色度信号をLDドライバ420へ供給し、同期信号を波形生成部430へ供給する。
LDドライバ420は、ビデオ信号処理部410から出力された信号に基づき、LD440を制御する。
波形生成部430は、ミラードライバIC500を経由して入力される圧電センサ191、192、195、196の出力と、ビデオ信号処理部410からの同期信号とに基づき、ミラー110の揺動を制御する駆動波形(駆動波形信号)を生成する。波形生成部430は、ミラー110を水平回転軸H周りに水平方向に揺動させるための正弦波状の駆動波形信号を生成し、ミラー110を垂直回転軸V周りに垂直方向に揺動させるための鋸歯状の駆動波形信号を生成する。
ミラードライバIC500は、波形生成部430により生成される駆動波形(駆動波形信号)に対応する駆動電圧波形で光走査装置1000を駆動する。本実施形態のミラードライバIC500は、バッファ550,570及び駆動部512を有する。
バッファ550は、ミラー110の水平方向の傾き具合(水平方向の振角)を検出する圧電センサ191,192の出力を増幅し、波形生成部430に出力する。バッファ570は、ミラー110の垂直方向の傾き具合(垂直方向の振角)を検出する圧電センサ195,196の出力を増幅し、波形生成部430に出力する。
駆動部512は、波形生成部430により生成される駆動波形(駆動波形信号)に対応する駆動電圧波形で光走査装置1000を駆動する。駆動部512は、例えば、波形生成部430により生成される正弦波状及び鋸歯状の駆動波形信号をそれぞれ増幅し、増幅後の正弦波状及び鋸歯状の駆動電圧波形で光走査装置1000を駆動する回路である。
駆動部512は、位相反転部510、511を有する。位相反転部510、511は、波形生成部430から出力される駆動波形信号の位相を反転させる。具体的には、位相反転部510は、駆動部512が水平駆動源151Aに印加する正弦波状の駆動電圧波形の位相に対して反転させた正弦波状の駆動電圧波形を、水平駆動源151Bに印加する。これにより、捻れ梁130A、130Bを揺動軸又は回転軸として、ミラー110を水平回転軸Hの軸周りに揺動させることができる。
一方、駆動部512は、可動枠160側から数えて奇数番目に配列された垂直駆動源171A1、171B1、171A3、171B3、171A5、171B5のそれぞれに、互いに同位相の鋸歯状の駆動電圧波形を印加する。同時に、位相反転部511は、可動枠160側から数えて偶数番目に配列された垂直駆動源171A2、171B2、171A4、171B4、171A6、171B6のそれぞれに、互いに同位相の鋸歯状の駆動電圧波形を印加する。このとき、位相反転部511は、奇数番目の垂直駆動源171A1等のそれぞれに印加される鋸歯状の駆動電圧波形の位相を反転させた鋸歯状の駆動電圧波形を、偶数番目の垂直駆動源171A2等のそれぞれに印加する。これにより、ミラー110を垂直回転軸Vの軸周りに揺動させることができる。
次に、光走査装置1000の動作について説明する。図5は、垂直駆動源171A、171Bに印加する駆動電圧波形とミラー110の動作波形との関係を説明する図である。図5において、破線は駆動電圧波形Vを表し、実線はミラー動作波形Vを表す。図6は、光走査装置1000を用いて画像表示を行ったときの状態を説明する図である。
垂直駆動源171A、171Bには、例えば図5に示されるように、鋸歯状波形の電圧が印加される。これにより、例えば正弦波形の電圧が印加される場合と比較して、ミラー110によって光を走査する速度が一定になる区間(図9の直線領域S)を長くすることができる。
ところで、図5に示すように、垂直駆動源171A、171Bに印加する駆動電圧波形Vを鋸歯状波形としてミラー110を駆動させると、ミラー110のミラー動作波形Vが振動する、所謂リンギングが発生することがある。そして、リンギングが発生すると、光走査装置1000を用いて画像表示を行った場合、例えば図6に示されるように、横縞が発生し、画質が劣化する。
そこで、本実施形態における波形生成部430は、このようなリンギングの発生を抑制可能な鋸歯状の駆動波形を生成する。
図7は、波形生成部430により生成される鋸歯状の駆動波形の一例を示す図である。波形生成部430により生成される鋸歯状の駆動波形は、信号レベルが上昇する上昇期間Trと、信号レベルが下降する下降期間Tdとを有する。上昇期間Trは、信号レベルが駆動波形の振幅の極小値(最小値)から極大値(最大値)まで直線的に増加していく立ち上がり期間を表し、下降期間Tdは、信号レベルが駆動波形の振幅の極大値から極小値まで直線的に減少していく立ち下がり期間を表す。波形生成部430は、上昇期間Trと下降期間Tdとのうちの一方の期間の時間幅(長さ)が他方の期間よりも短くなるように、鋸歯状の駆動波形を生成する。図7は、下降期間Tdの時間幅が上昇期間Trの時間幅よりも短い例を示す。
図8は、鋸歯状の駆動波形のスペクトラムと、光走査装置1000自身が持つ固有の共振周波数f0との関係の一例を示す図である。共振周波数f0は、光走査装置1000の垂直回転軸V周りの揺動に関する固有振動数である。鋸歯状の駆動波形について高速フーリエ変換(FFT)による解析をすると、鋸歯状の駆動波形のスペクトラムは、周波数軸上で周期的に周波数成分が零となる周波数ポイントが繰り返し発生する。この周波数ポイントの周期(周波数ステップ)は、鋸歯状の駆動波形における時間幅の短い方の期間(つまり、図7の場合、下降期間Td)の長さを周期とした周波数に略一致している。
したがって、固有の共振周波数f0で共振する光走査装置1000のミラー110を鋸歯状に走査する場合、周波数成分が零となる上記の周波数ポイントに共振周波数f0を図8のように一致させると、鋸歯状の駆動波形に共振周波数成分が含まれなくなる。これにより、ミラー110の垂直側への振角に不要な共振が励起されないため、リンギングが抑制され、光を走査する速度を高精度に一定にすることができる。つまり、走査精度が向上し、光走査装置1000を用いて表示される画像の画質が向上する。
また、波形生成部430は、鋸歯状の駆動波形の周波数fvの整数倍に一致する高調波成分の周波数が共振周波数f0と異なるように、当該鋸歯状の駆動波形を生成する。これにより、ミラー110の垂直側への振角に不要な共振が励起されないため、リンギングが抑制され、光を走査する速度を高精度に一定にすることができる。つまり、走査精度が向上し、光走査装置1000を用いて表示される画像の画質が向上する。
したがって、本実施形態における波形生成部430は、fvを鋸歯状の駆動波形の周波数、f0を光走査装置1000の垂直回転軸V周りの揺動に関する固有振動数(共振周波数)、nを整数とするとき、
fv=f0/(1/2+n)
を満たす周波数の中から、所望のリフレッシュレート(フレームレート)に最も近い周波数を、光走査装置1000を駆動する駆動周波数fv(駆動周期Tの逆数)として選択する。リフレッシュレートは、走査の頻度を示す。f0をnで除算するのではなく、f0をnと1/2との和で除算することによりfvを算出することで、共振周波数f0からできるだけ周波数的に離れた周波数fvを選択することができる。
そして、本実施形態における波形生成部430は、mを整数とするとき、
Td=m/f0
を満たす時間幅(共振周波数f0の逆数の整数倍)の中から下降期間Tdの時間幅を選択する。波形生成部430は、駆動周期Tから下降期間Tdの時間幅を減算することで、上昇期間Trを決定する(Tr=T-Td)。
このように演算された周波数fv及び下降期間Tdを有する鋸歯状の駆動波形に基づいて光走査装置1000を駆動することで、図9に示されるように、ミラー動作波形Vのリンギングを抑制することができる。なお、垂直駆動源171A、171Bに印加する駆動電圧波形Vの周波数、並びに下降期間及び上昇期間の長さは、それぞれ、波形生成部430により生成される駆動波形の周波数fv、並びに下降期間Td及び上昇期間Trの長さと略等しい。
また、光走査装置1000が有する固有の共振周波数は一つとは限らない。そのため、共振周波数f0以外の共振周波数f1,f2,・・・で光走査装置1000が共振しても、走査精度を悪化させる場合がある。
そこで、その対策として、走査駆動装置1100は、共振周波数f0以外の共振周波数f1,f2,・・・の成分を鋸歯状の駆動波形から除去するため、共振周波数f1,f2,・・・の成分を減衰させるフィルタ処理部440を備えてもよい。フィルタ処理部440は、波形生成部430より生成される鋸歯状の駆動波形を、低域通過フィルタ又は帯域除去フィルタでフィルタ処理する。駆動部512は、フィルタ処理部440によるフィルタ処理された後の駆動波形に対応する鋸歯状の駆動電圧波形で光走査装置1000を駆動する。低域通過フィルタは、遮断周波数より高い周波数の成分を減衰させるフィルタである。帯域除去フィルタは、特定の帯域に含まれる周波数の成分を減衰させるフィルタである。
フィルタ処理部440は、図10に例示されるようなFIR(Finite Impulse Response)フィルタ440Aであることが好適である。FIRフィルタ440Aは、周知の通り、(L-1)個の遅延ブロック441,・・・441L-1と、L個の乗算器442,・・・442L-1と、1個の加算器443とを有する。
次に、FIRフィルタ440Aのフィルタ特性を決めるフィルタ定数の設計方法について説明する。
FIRフィルタ440Aによるフィルタ処理が施されると、鋸歯状の駆動電圧波形Vは、図9に示すミラー動作波形V(実線)のように鈍って直線性が低下した波形となることがある。その結果、垂直描画領域(光走査装置の走査速度が一定になる区間)となる直線領域Sが短くなるため、画像表示に用いることが可能な領域が狭くなる。このため、画像表示に用いることが可能な直線領域Sを確保しつつ、リンギングの発生を抑制することが要求される。
鋸歯状の駆動波形の上昇期間Trのうち、直線領域Sの確保に最低限必要な上昇期間Tr_minは、
Tr_min= 1/(2×水平側の共振周波数fh)×所望の水平走査線数k
と表すことができる。水平側の共振周波数fhは、光走査装置1000の水平回転軸H周りの揺動に関する固有振動数である。水平方向の走査は、水平走査速度に依存する。「1/(2×水平側の共振周波数fh)」は、水平走査線1本当たりの走査時間を表す。したがって、上式により、上昇期間Trをどのくらいの時間(すなわち、Tr_min)まで狭められるのかを求めることができる。
そうすると、フィルタ処理による鈍りが許容される期間(最大上昇期間dT_max)は、
dT_max = Tr-Tr_min
と表すことができる。したがって、FIRフィルタ440Aのタップ数Lは、
L ≒ dT_max/(波形データのデータレート)
に従って設計することができる。波形データのデータレートは、画像走査のリフレッシュレート(フレームレート)によって決まる。
そして、垂直側の共振周波数f0及び共振周波数f0,f1,f2,・・・にFIRフィルタ440Aのゼロ点が配置されるように、フィルタ係数b,b,b,・・・bL-1が選択される。このように選択されたフィルタ係数b,b,b,・・・bL-1が設定されたFIRフィルタ440Aを使用することで、走査精度を悪化を防ぐことができる。
なお、共振周波数f0,f1,f2・・・や水平側の共振周波数fhを、光走査装置1000を予め共振させることで実測し、その実測値が鋸歯状の駆動波形の生成用パラメータとして波形生成部430に設定されるとよい。
また、気温などにより光走査装置1000の共振周波数が変動するのに備え、気温などの共振周波数の変動要因が予め測定されてもよい。波形生成部430は、その測定値から光走査装置1000の現在の共振周波数の推定値を算出することで、鋸歯状の駆動波形の生成に使用する共振周波数を時々刻々と調整できる。
フロントエンドIC400の各機能(ビデオ信号処理部410、LDドライバ420、波形生成部430及びフィルタ処理部440)は、例えば、メモリに読み出し可能に記憶されるプログラムによってプロセッサが動作することにより、実現される。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。
以上、走査駆動装置、光走査制御装置及び駆動波形生成方法を実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
例えば、上述の実施形態では、下降期間Tdの時間幅が上昇期間Trの時間幅よりも短いため、時間幅が短い方の下降期間Tdは、共振周波数f0の逆数の整数倍の時間幅に設定される。しかしながら、上昇期間Trの時間幅は、下降期間Tdの時間幅よりも短くてもよい。この場合、時間幅が短い方の上昇期間Trは、共振周波数f0の逆数の整数倍の時間幅に設定される。
また、上述の実施形態では、f0をnと1/2との和で除算することによりfvを算出している。しかしながら、f0をnと1/aとの和で除算することによりfvを算出してもよい。aは、1よりも大きな数であり、例えば1よりも大きく5以下の数である。
100 光走査部
110 ミラー
120 ミラー支持部
122 スリット
130A、130B 梁
140A、140B 連結梁
150A、150B 水平駆動梁
151A、151B 水平駆動源
160 可動枠
161 ミラー支持体
170A、170B 垂直駆動梁
171A、171B 垂直駆動源
180 固定枠
190A、190B 端子群
191、192、195、196 圧電センサ
200 セラミックパッケージ
300 パッケージカバー
300A 開口部
430 波形生成部
440 フィルタ処理部
512 駆動部
600 光走査制御装置
1000 光走査装置
1100 走査駆動装置

Claims (8)

  1. 信号レベルが上昇する上昇期間と、信号レベルが下降する下降期間とを有する鋸歯状の駆動波形を生成する波形生成部と、
    前記駆動波形をフィルタ処理するFIRフィルタと、
    固有の共振周波数で共振する光走査装置を、前記FIRフィルタによるフィルタ処理された後の前記駆動波形に対応する鋸歯状の駆動電圧波形で駆動する駆動部とを備え、
    前記上昇期間と前記下降期間とのうちの一方の期間の時間幅は、他方の期間よりも短く、且つ、0次の前記共振周波数の逆数の整数倍であり、
    前記FIRフィルタは、前記駆動波形が有する1次以上の前記共振周波数の成分を減衰させるフィルタであり、
    前記FIRフィルタのタップ数は、前記他方の期間の長さと前記駆動電圧波形の前記他方の期間における直線領域の時間との差を、前記駆動電圧波形のデータレートで除算した値に略等しい、走査駆動装置。
  2. 前記FIRフィルタは、前記FIRフィルタのゼロ点を0次の前記共振周波数及び1次以上の前記共振周波数に設定するフィルタ係数を有する、請求項1に記載の走査駆動装置。
  3. 前記一方の期間は、前記下降期間である、請求項1又は2に記載の走査駆動装置。
  4. 前記駆動波形の周波数の整数倍は、前記共振周波数と異なる、請求項1からのいずれか一項に記載の走査駆動装置。
  5. fvを前記駆動波形の周波数、f0を前記共振周波数、nを整数とするとき、
    fv=f0/(1/2+n)
    を満たす、請求項に記載の走査駆動装置。
  6. 請求項1からのいずれか一項に記載の走査駆動装置と、前記光走査装置とを備える、光走査制御装置。
  7. 固有の共振周波数で共振する光走査装置の駆動波形であって、信号レベルが上昇する上昇期間と、信号レベルが下降する下降期間とを有する鋸歯状の駆動波形を生成する駆動波形生成方法であって、
    前記上昇期間と前記下降期間とのうちの一方の期間の時間幅を、他方の期間よりも短く、且つ、前記共振周波数の逆数の整数倍に設定し、
    前記他方の期間の長さと前記駆動波形の前記他方の期間における直線領域の時間との差を、前記駆動波形のデータレートで除算した値に略等しいタップ数のFIRフィルタにより、 前記駆動波形が有する1次以上の前記共振周波数の成分を減衰する、駆動波形生成方法。
  8. 前記FIRフィルタは、前記FIRフィルタのゼロ点が0次の前記共振周波数及び1次以上の前記共振周波数に配置されるように設定されたフィルタ係数を有する、請求項に記載の駆動波形生成方法。
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