JP7160722B2 - 剥離紙用原紙、及び剥離紙 - Google Patents
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Description
剥離剤としては、一般的にシリコーン樹脂が用いられているが、シリコーン樹脂は非常に高価である。そのため、剥離紙用原紙には、シリコーン樹脂塗工液が浸透せず、少量で剥離剤層を形成できるように、高い目止め性が要求される。このような剥離紙用原紙としては、ポリエチレンラミネート紙や、顔料を含有する目止め層を備えた剥離紙用原紙(特許文献1、2)が用いられている。
1.基紙と、前記基紙の少なくとも一方の面に目止め層を有し、
前記目止め層が、澱粉系化合物と合成樹脂ラテックスとを、70/30~20/80の配合比(乾燥重量)で含有することを特徴とする剥離紙用原紙。
2.前記合成樹脂ラテックスが、スチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスであることを特徴とする1.に記載の剥離紙用原紙。
3.前記合成樹脂ラテックスのガラス転移温度(Tg)が、-20℃以上30℃以下であることを特徴とする1.または2.に記載の剥離紙用原紙。
4.前記目止め層の塗工量が、片面当たり乾燥重量で1g/m2以上5g/m2以下であることを特徴とする1.~3.のいずれかに記載の剥離紙用原紙。
5.前記目止め層のJIS P8155:2010に基づいて測定した平滑度(王研法)が、50秒以上2000秒未満であることを特徴とする1.~4.のいずれかに記載の剥離紙用原紙。
6.前記基紙の坪量が、35g/m2以上80g/m2以下であることを特徴とする1.~5.のいずれかに記載の剥離紙用原紙。
7.1.~6.のいずれかに記載された剥離紙用原紙の目止め層上に剥離剤層を有することを特徴とする剥離紙。
本発明において基紙とは、製紙用繊維、填料、各種助剤等からなるシートである。製紙用繊維は、木材パルプを用いることが好ましい。木材パルプとしては、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、サルファイトパルプ等の化学パルプ、サーモメカニカルパルプ、ストーングラインドパルプ、リファイナーグラインドパルプ等の機械パルプ、及び、新聞紙、コート紙、上質紙等から得られる再生パルプ等が挙げられ、これらの木材パルプを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。また、必要に応じてケナフ、麻、竹等の非木材パルプ、ガラス繊維、ポリエチレン繊維等のセルロース繊維以外の繊維材料を1種または2種以上配合することができる。
得られる基紙に目止め層用塗工液が浸透しにくくなり緻密な目止め層を形成することができるため、針葉樹クラフトパルプを用いることが好ましい。また、製紙用繊維の濾水度を低くすることが好ましい。具体的には、製紙用繊維の濾水度(カナダ式標準ろ水度:CSF)は、500ml以下であることが好ましく、450ml以下であることがより好ましい。
基紙の表面処理の方法は特に限定されるものではないが、ロッドメタリングサイズプレス、ポンド式サイズプレス、ゲートロールコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、カーテンコーターなど公知の塗工装置を用いることができる。
目止め層は、基紙の少なくとも一方の面に設けられる。目止め層は、澱粉系化合物と合成樹脂ラテックスとを、70/30~20/80の配合比(乾燥重量)で含有する。
なお、合成樹脂ラテックスのTgは、合成樹脂ラテックスを130℃で30分間の前処理を行った後、走査型差動熱量計(JIS K-7122に準拠して窒素雰囲気下で10mgの試料を20℃/分で昇温)での二次転移に伴う比熱の変化を測定して、下記計算式から求められる。
Tg=Tg1×α1+Tg2×α2+・・・+Tgn×αn
Tg1、Tg2・・・Tgn:実測した各組成単体のガラス転移温度(K)
α1、α2・・・αn:全樹脂重量に対する各組成単体の重量分率(%)
顔料としては、特に限定されることはなく、一般に製紙に使用されている顔料を使用することができる。例えば、カオリン、エンジニアードカオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、マイカ、イライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料、及び、密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料等の顔料を1種または2種類以上組み合わせて使用することができる。
本発明の目止め層において、目止め層の固形分全量に対する顔料の含有率は、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましく、含有しないことが最も好ましい。
目止め層を乾燥させる手法としては、例えば、蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒーター、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライヤー等の通常の方法が用いられる。
平滑度(王研法)が50秒未満であると、剥離剤層用塗工液を薄く均一に塗工することが困難になることがある。また、平滑度(王研法)が2,000秒を超えると、剥離紙用原紙と剥離剤層との密着性が低下することがある。
本発明の剥離紙用原紙は、坪量が40g/m2以上90g/m2以下であることが好ましく、50g/m2以上80g/m2以下であることがより好ましい。
本発明の剥離紙用原紙の目止め層上に、剥離剤を塗工して剥離剤層を形成することにより、剥離紙を製造することができる。剥離剤としては、シリコーン樹脂、フッ素化合物、アミノアルキド化合物、ポリエステル化合物等の表面エネルギーが低く粘着剤との粘着力が弱い材料を特に制限することなく使用することができるが、本発明においては、シリコーン樹脂を使用することが好ましい。
剥離剤として使用するシリコーン樹脂としては、溶剤系シリコーン樹脂、無溶剤UV硬化型シリコーン樹脂、無溶剤系シリコーン樹脂、水系エマルジョン系シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中で、無溶剤UV硬化型シリコーン樹脂、無溶剤系シリコーン樹脂、水系エマルジョン系シリコーン樹脂が目止め層に浸透しにくいため好ましい。
剥離剤層を乾燥させる手法としては、例えば、蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒーター、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライヤー等の通常の方法が用いられる。
(1)平滑度(王研法)
JIS P8155:2010に基づいて、王研式平滑度計(旭精工株式会社製:KY-5)を使用して目止め層の表面を測定した。
(1)剥離力
剥離紙の剥離剤層の上に、アクリルエマルジョン粘着剤(サイデン化学株式会社製、AT-27)を、塗工量が乾燥重量で50g/m2となるように塗工した後、110℃で3分間乾燥して粘着剤層を形成した。次いで、粘着剤層の上に上質紙(坪量64g/m2)を貼付し、粘着紙を作成した。
この粘着紙を23℃、50%RHの環境下で1週間静置した後、JIS Z0237:2009に基づいて、180度方向に300mm/分の速度で上質紙を剥離させる条件で、引張試験機を使用して上質紙と剥離剤層の剥離力を測定した。なお、剥離力が40~150mN/30mmであると、実用上問題がない。
(2)密着性
剥離紙の剥離剤層の表面を指(およそ3kg荷重)で約5cmを往復5回擦り、表面状態を目視により観察して、以下の3段階により評価した。
○:擦った箇所に跡が付かない。
△:擦った箇所に跡が付くが、剥離剤層の剥がれはない。
×:擦った箇所の剥離剤層が剥がれる。
(3)耐久性
70℃、95%RHの環境下で3日間処理した後、剥離紙の剥離剤層の表面を指(およそ3kg荷重)で約5cmを往復5回擦り、表面状態を目視により観察して、以下の3段階により評価した。
○:擦った箇所に跡が付かない。
△:擦った箇所に跡が付くが、剥離剤層の剥がれはない。
×:擦った箇所の剥離剤層が剥がれる。
(基紙の作製)
カナダ式標準ろ水度(CSF)300mlの広葉樹クラフトパルプ(LBKP)90重量部及びカナダ式標準ろ水度(CSF)500mlの針葉樹クラフトパルプ(NBKP)10重量部を混合して、カナダ式標準ろ水度(CSF)320mlの原料パルプとした。紙力剤としてカチオン化澱粉を原料パルプ100重量部に対して0.3重量部添加し、次いで、硫酸バンドを1.0重量部添加した後、長網式の抄紙機を用いて抄紙を行い、坪量54g/m2の基紙を得た。
澱粉系化合物(日本コーンスターチ株式会社製:SK-100)及び合成樹脂ラテックス(日本エイアンドエル株式会社製:PA0330、Tg:-10℃)を50/50の配合比(乾燥重量)で配合した目止め層用塗工液を調製した。
(剥離紙用原紙の作製)
得られた基紙に、目止め層用塗工液を片面当たり乾燥重量で塗工量3g/m2(両面で乾燥重量で塗工量6g/m2)となるようサイズプレスコーターを用いて塗工、乾燥し、ソフトカレンダーで表面処理を行い、坪量60g/m2、平滑度300秒の剥離紙用原紙を得た。
無溶剤系シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製:LTC-1053L)に触媒を2部添加し、剥離剤層用塗工液とした。
(剥離紙の作成)
剥離紙用原紙の目止め層の上に、RI印刷機を用いて剥離剤層用塗工液を、塗工量が乾燥重量で1.0g/m2となるように塗工した後、乾燥機で硬化処理(130℃、30秒)を行い、剥離紙を得た。
澱粉系化合物及び合成樹脂ラテックスを70/30の配合比(乾燥重量)で配合した以外は、実施例1と同様にして剥離紙用原紙と剥離紙を得た。
[実施例3]
澱粉系化合物及び合成樹脂ラテックスを30/70の配合比(乾燥重量)で配合した以外は、実施例1と同様にして剥離紙用原紙と剥離紙を得た。
[実施例4]
澱粉系化合物及び合成樹脂ラテックスを20/80の配合比(乾燥重量)で配合した以外は、実施例1と同様にして剥離紙用原紙と剥離紙を得た。
目止め層用塗工液を片面当たり乾燥重量で塗工量1g/m2(両面で乾燥重量で塗工量2g/m2)となるようサイズプレスコーターを用いて塗工、乾燥し、ソフトカレンダーで表面処理を行い、坪量56g/m2の剥離紙用原紙を得た以外は、実施例1と同様にして剥離紙用原紙と剥離紙を得た。
[実施例6]
目止め層用塗工液を片面当たり乾燥重量で塗工量6g/m2(両面で乾燥重量で塗工量12g/m2)となるようサイズプレスコーターを用いて塗工、乾燥し、ソフトカレンダーで表面処理を行い、坪量66g/m2の剥離紙用原紙を得た以外は、実施例1と同様にして剥離紙用原紙と剥離紙を得た。
前記剥離紙用原紙のカレンダー処理で塗工面の平滑度を30秒としたこと以外は、実施例1と同様の方法により剥離紙用原紙を得た。
[実施例8]
前記剥離紙用原紙のカレンダー処理で塗工面の平滑度を3000秒としたこと以外は、実施例1と同様の方法により剥離紙用原紙を得た。
澱粉系化合物及び合成樹脂ラテックスを100/0の配合比(乾燥重量)で配合した以外は、実施例1と同様にして剥離紙用原紙と剥離紙を得た。
[比較例2]
澱粉系化合物及び合成樹脂ラテックスを100/0の配合比(乾燥重量)で配合し、目止め層用塗工液を片面当たり乾燥重量で塗工量6g/m2(両面で乾燥重量で塗工量12g/m2)となるようサイズプレスコーターを用いて塗工、乾燥し、ソフトカレンダーで表面処理を行い、坪量66g/m2の剥離紙用原紙を得た以外は、実施例1と同様にして剥離紙用原紙と剥離紙を得た。
澱粉系化合物及び合成樹脂ラテックスを80/20の配合比(乾燥重量)で配合した以外は、実施例1と同様にして剥離紙用原紙と剥離紙を得た。
[比較例4]
澱粉系化合物及び合成樹脂ラテックスを10/90の配合比(乾燥重量)で配合した以外は、実施例1と同様にして剥離紙用原紙と剥離紙を得た。
澱粉系化合物及び完全ケン化ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製:PVA-117)を50/50の配合比(乾燥重量)で配合した以外は、実施例1と同様にして剥離紙用原紙と剥離紙を得た。
比較例1~5で得た剥離紙用原紙は、いずれも剥離紙用原紙としては粘着力が大きかった。
Claims (7)
- 基紙と、前記基紙の少なくとも一方の面に目止め層を有し、
前記目止め層が、澱粉系化合物と合成樹脂ラテックスとを、70/30~20/80の配合比(乾燥重量)で含有し、
前記目止め層のJIS P8155:2010に基づいて測定した平滑度(王研法)が、50秒以上2000秒未満であることを特徴とする剥離紙用原紙(ただし、前記平滑度が500秒以上であるものを除く)。 - 前記合成樹脂ラテックスが、スチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスであることを特徴とする請求項1に記載の剥離紙用原紙。
- 前記合成樹脂ラテックスのガラス転移温度(Tg)が、-20℃以上30℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の剥離紙用原紙。
- 前記目止め層の塗工量が、片面当たり乾燥重量で1g/m2以上5g/m2以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の剥離紙用原紙。
- 前記目止め層における、目止め層の固形分全量に対する顔料の含有率が20重量%以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の剥離紙用原紙。
- 前記基紙の坪量が、35g/m2以上80g/m2以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の剥離紙用原紙。
- 請求項1~6のいずれかに記載された剥離紙用原紙の目止め層上に剥離剤層を有することを特徴とする剥離紙。
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