洗浄液として用いる溶剤に対して蒸留再生を行う場合、蒸留を行うことで、溶剤に含まれる汚れ等を除去することができる。また、これにより、例えば、溶剤を適切に再利用して、被洗浄物の洗浄を適切に行うことができる。
しかし、溶剤の蒸留再生を行う場合にも、例えば長期間にわたって洗浄システムを利用する間等に、溶剤の量が徐々に減少する場合がある。より具体的に、例えば、溶剤を用いて洗浄を行う洗浄槽等を備える洗浄システムにおいて、洗浄槽等に対してポンプによる吸引を行う場合、ポンプの排気に溶剤が含まれることになる。そして、この場合において、例えば排気をそのまま大気中に放出すると、洗浄システム内の溶剤の量が徐々に減少することになる。また、このような溶剤の量の減少は、ポンプの排気以外にも、洗浄システムにおける様々な位置で用いる溶剤を含む気体の影響で生じる場合がある。
これに対し、本願の発明者は、このような気体に含まれる溶剤についても液化して、洗浄液として再利用することを考えた。このように構成すれば、例えば、洗浄システムで洗浄液として用いる溶剤をより効率的かつ適切に使用することができる。しかし、この場合、排気等の気体に含まれる溶剤を液化するための構成が増えることで、洗浄システムの装置構成が大型化することが考えられる。また、その結果、洗浄システムを設置するために必要な設置スペースの増大や、コストの大幅な上昇等の問題が生じることになる。
そのため、従来、洗浄液として用いる溶剤について、より適切に再利用することが望まれていた。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる液化装置及び洗浄システムを提供することを目的とする。
本願の発明者は、上記の問題を解決するために、溶剤の蒸留再生を行うために溶剤の蒸気を液化するための構成と一体化させて、排気等の気体中の溶剤を液化するための構成を設置することを考えた。また、この場合において、2つの構成を単に組み合わせるのではなく、異なる目的の液化を近接した位置で行う特徴を活かした構成を用いることを考えた。また、このような構成として、排気等の気体を冷却するために用いる冷媒について、蒸留再生のプロセスで液化した溶剤との間でも熱の移動を可能にすることを考えた。
より具体的に、蒸留再生のプロセスでは、溶剤の蒸気を冷却することで、溶剤を液化する。そのため、液化した直後の溶剤は、通常、低い温度になっている。これに対し、溶剤を用いて行う洗浄時において、溶剤の温度は、ある程度以上に温度になっていることが好ましい。また、この場合、例えば、洗浄槽へ溶剤を送る経路に設けたタンクや洗浄槽において、溶剤を加熱することが考えられる。
そして、この場合、蒸留再生のプロセスにおいて液化した直後に冷えている溶剤に対し、排気等の気体を冷却するために用いる冷媒から熱を移動させることで、再生された溶剤の温度について、液化した直後と比べて高い温度に変化させることが考えられる。このように構成すれば、例えば、その後に溶剤を加熱する場合において、加熱に要するエネルギー(熱量)を削減することができる。また、例えばその後に溶剤を加熱しない場合にも、溶剤の温度を高めることで、洗浄をより適切に行うことが可能になる。そのため、このように構成すれば、例えば、異なる目的の液化を近接した位置で行う特徴を活かした構成を適切に実現することができる。また、これにより、例えば、洗浄液として用いる溶剤について、より適切に再利用することができる。
また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。上記の課題を解決するために、本発明は、洗浄に用いる溶剤を液化する液化装置であって、前記液化装置の外部にある加熱手段によって前記溶剤を加熱することで発生する前記溶剤の蒸気を液化するための空間である第1液化室と、前記加熱手段から供給される前記溶剤の蒸気とは異なる経路で前記液化装置の外部から前記液化装置へ供給される気体に含まれる前記溶剤を液化するための空間である第2液化室と、前記第2液化室の中にある前記気体を冷却するために用いる冷媒を保持する空間である冷媒保持室とを備え、前記冷媒保持室は、前記第2液化室の中にある前記気体、及び、前記第1液化室の中で液化した前記溶剤との間で熱が移動可能なように、前記冷媒を保持し、前記第2液化室の中にある前記気体から前記冷媒保持室の中にある前記冷媒へ熱を移動させることにより、前記気体に含まれる前記溶剤を液化し、前記冷媒保持室の中にある前記冷媒から前記第1液化室の中にある液体の前記溶剤へ熱を移動させることにより、前記第1液化室の中にある液体の溶剤の温度を高めることを特徴とする。
このように構成した場合、例えば、第1液化室及び第2液化室において、溶剤の液化を適切に行うことができる。また、この場合において、第2液化室の中にある気体を冷却するために用いる冷媒について、第1液化室及び第2液化室を用いる構成を活かして適切に用いることができる。そのため、このように構成すれば、例えば、洗浄液として用いる溶剤について、より適切に再利用することができる。
この構成において、冷媒保持室が保持する冷媒については、例えば、第2液化室において気体を冷却するための物質等と考えることができる。そのため、冷媒の温度は、第1液化室の中にある液体の溶剤よりも高くてもよい。より具体的に、冷媒保持室内での冷媒の温度は、例えば、溶剤を含む気体が第2液化室に入る時点の温度よりも低く、かつ、第1液化室で液化した直後の溶剤の温度よりも高くなっている。
また、この場合、第1液化室の中にある液体の溶剤へ冷媒から熱を移動させ、第1液化室の中にある液体の溶剤の温度を高めることについては、例えば、熱の移動によって結果的に溶剤の温度が上がること等と考えることができる。また、溶剤の温度が上がることについては、例えば、第1液化室で液化した直後の温度と比べて溶剤の温度が高くなること等と考えることができる。溶剤の温度が高くなることで、例えば、洗浄に用いる前や洗浄時に溶剤を加熱する場合において、加熱に要するエネルギーを削減することができる。また、その後に溶剤を加熱しない場合にも、溶剤の温度を高めることで、洗浄をより適切に行うことが可能になる。
また、この構成において、加熱手段は、例えば、洗浄装置で用いられる溶剤を蒸留によって再生するために溶剤を加熱する手段である。第2液化室へ供給される気体は、例えば、洗浄装置で用いられる溶剤を含んだ状態で液化装置以外の装置から排出される気体である。このように構成すれば、例えば、溶剤を再生するための液化と、排気から溶剤を取り出すための液化とを、1つの液化装置において適切に行うことができる。
また、この構成において、冷媒保持室としては、例えば、第1液化室の周囲の少なくとも一部を囲む空間を用いることが考えられる。第2液化室としては、例えば、冷媒保持室の周囲の少なくとも一部を囲む空間を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、第1液化室、第2液化室、及び冷媒保持室を適切に配置することができる。また、この場合、例えば、第1液化室と第2液化室との間に冷媒保持室を配置することで、第1液化室内の溶剤、及び第2液化室内の気体の両方に対し、冷媒保持室内の冷媒との間での熱の移動を適切に行わせることができる。
また、この構成において、液化装置は、例えば、第1液化室の中で溶剤の蒸気を冷却する冷却手段を更に備える。この場合、冷却手段は、例えば、液化装置の外部から供給される冷媒を第1液化室の中で通すことで、溶剤の蒸気を冷却する。このように構成すれば、例えば、溶剤の蒸気を適切に液化することができる。このような冷却手段としては、例えば、コイル状に巻かれた流路に冷媒が流れる冷却コイル等を好適に用いることができる。
また、この場合、冷媒保持部及び冷却手段で共通の冷媒を用いることが考えられる。より具体的に、この場合、冷媒保持室は、例えば、冷却手段を通過した後の冷媒を通して、液化装置の外部へ排出することで、冷媒を保持する。このように構成すれば、例えば、冷却手段及び冷媒保持部において、冷媒を効率的かつ有効に用いることができる。
また、この構成において、溶剤としては、例えば、水よりも沸点が高い炭化水素系洗浄剤を用いることが考えられる。冷媒としては、例えば、水を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、第2液化室において、気体が含む溶剤を適切に液化することができる。
また、この構成において、液化装置は、例えば、第1液化室内に、オーバーフロー管を更に備える。この場合、オーバーフロー管は、例えば、第1液化室に貯まる液体の溶剤において所定の高さを超える分を第1液化室の外部へ流出させる。このように構成すれば、例えば、第1液化室で液化した溶剤を適切に取り出すことができる。また、溶剤としては、例えば、水よりも比重の小さい(軽い)溶剤を用いることが考えられる。この場合、オーバーフロー管を用いることで、例えば、水と溶剤とを適切に分離して、溶剤のみを液化装置の外で取り出すことができる。また、オーバーフロー管を用いることで、例えば、所定の量の溶剤を第1液化室内に適切に貯留すること等も可能になる。そして、この場合、例えば、第1液化室内に貯留されている間に、ある程度の時間をかけて、第1液化室内の溶剤と冷媒保持室内の冷媒との間での熱の移動をより適切に生じさせることが可能になる。そのため、このように構成すれば、例えば、第1液化室の中にある液体の溶剤の温度をより適切に高めることができる。
また、この構成において、第2液化室は、例えば、液化装置の外部から気体の供給を受ける気体の入口と、液化装置の外部へ気体を排出する気体の出口とを有する。気体の出口としては、例えば、大気中に気体を放出する出口を用いることが考えられる。この場合、第2液化室に入る気体について、例えば溶剤を液化することなく、そのまま出口から排出すると、洗浄システムから溶剤が徐々に失われることになる。これに対し、上記のように構成した場合、例えば、第2液化室において気体中の溶剤を液化することで、溶剤を適切に回収することができる。また、この場合、第2液化室において入口から出口へ気体が移動する間に、気体を適切かつ十分に冷却することが好ましい。そして、この場合、例えば、熱伝導性フィンを用いて、気体を冷却することが考えられる。熱伝導性フィンについては、例えば、第2液化室の中の熱を冷媒保持室の中の冷媒へ伝える熱伝導性の板状部材等と考えることができる。
また、液化装置は、複数の熱伝導性フィンを更に備えることが好ましい。また、この場合、例えば、複数の熱伝導性フィンの間の空間に気体の渦を発生させることが考えられる。より具体的に、この場合、第2液化室内において、気体の入口と、気体の出口とは、例えば、鉛直方向における位置をずらして配設される。そして、複数の熱伝導性フィンは、例えば、鉛直方向において気体の入口と気体の出口との間に、気体の入口の開口部の面積に応じた間隔を第2液化室の内壁との間に空けて配設される。また、これにより、複数の熱伝導性フィンは、例えば、第2液化室の中での気体の入口から気体の出口への気体の流れに応じて、複数の熱伝導性フィンの間の空間に気体の渦を発生させる。このように構成すれば、例えば、第2液化室内において、気体をより確実に熱伝導性フィンに接触させることができる。また、これにより、例えば、気体をより確実に冷却することができる。
ここで、このような熱伝導性フィンを用いる場合において、例えば第2液化室の内壁と熱伝導性フィンとの間の隙間が大き過ぎると、熱伝導性フィンの影響を受けることなく気体が流れることで、渦が発生することなく、気体が隙間を通り抜けることになる。また、その結果、気体が十分に冷やされず、多くの溶剤を含んだままの状態で、気体の出口に達することになる。また、第2液化室の内壁と熱伝導性フィンとの間の隙間が小さ過ぎる場合、例えば、第2液化室内で気体が流れにくくなることで、渦が発生しにくくなる。そのため、熱伝導性フィンと第2液化室の内壁との間において気体が流れる隙間の面積については、例えば、気体の入口の開口部の面積と等しくすることが好ましい。このように構成すれば、例えば、複数の熱伝導性フィンの間の空間に気体の渦をより適切に発生させることができる。隙間の面積が入口の開口部の面積と等しいことについては、例えば、渦を適切に発生させるという目的に応じた精度で、実質的に等しいこと等と考えることができる。
また、この構成において、気体の出口は、例えば、気体の入口よりも鉛直方向の上側に配設される。そして、気体の入口は、例えば、液化して第2液化室に溜まる溶剤の液面よりも鉛直方向における上側になる位置に配設される。このように構成すれば、例えば、第2液化室において気体が含む溶剤をより適切に液化することができる。
また、この構成において、第2液化室は、例えば、液化した溶剤を液化装置の外部へ流出させる溶剤の出口を有する。この場合、第2液化室は、溶剤の出口から、例えば、洗浄装置で洗浄に用いる溶剤を貯留するタンクへ溶剤を供給する。このように構成すれば、例えば、第2液化室で液化した溶剤を適切に利用することができる。また、第2液化室は、このようなタンク以外へ溶剤を供給してもよい。例えば、第2液化室は、溶剤の出口から、加熱手段へ溶剤を供給してもよい。このように構成した場合も、例えば、第2液化室で液化した溶剤を適切に利用することができる。
また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有する洗浄システム等を用いることも考えられる。この場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。この場合、洗浄システムは、例えば、溶剤を用いて被洗浄物を洗浄するシステムであって、溶剤を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄装置と、洗浄装置で用いられる溶剤を蒸留によって再生するために溶剤を加熱する加熱手段と、上記と同様の特徴を有する液化装置とを備える。
本発明によれば、例えば、洗浄液として用いる溶剤について、より適切に再利用することができる。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る洗浄システム10について説明をする図である。図1は、洗浄システム10の要部の構成の一例を示す。図2は、図1に示した洗浄システム10の構成をより簡略化して示す図であり、洗浄システム10におけるコンデンサ106の動作に関連する構成に着目して、洗浄システム10の要部の構成の一例を示す。
本例において、洗浄システム10は、溶剤を用いて被洗浄物を洗浄する。この場合、溶剤については、例えば、洗浄時に汚れを除去するための非水性の液体等と考えることができる。また、溶剤について、例えば、汚れを溶解させる有機物質を含む液体等と考えることもできる。溶剤としては、例えば、洗浄用の公知の各種の溶剤を好適に用いることができる。また、より具体的に、本例の洗浄システム10において、溶剤としては、水よりも比重が小さく(軽く)、かつ、水よりも沸点が高い炭化水素系洗浄剤を用いる。
また、本例において、洗浄システム10は、図1に示すように、真空洗浄槽102、蒸留釜104、コンデンサ106(ハイブリッドコンデンサ)、ベーパーバッファタンク108、第1真空バッファタンク110(真空バッファタンク1)、第2真空バッファタンク112(真空バッファタンク2)、真空ポンプ114、液位調整器116、粗洗浄用フィルタ122、仕上げ洗浄用フィルタ124、鉄磁濾過フィルタ126、熱媒体タンク128、及びこれらの各構成を接続する流路等を備える。各構成を接続する流路は、例えば図1に示すように、自動バルブ等の流路の開閉手段を適宜備える。それぞれの流路は、洗浄システム10において実行する動作等に応じて自動バルブ等が適宜開閉されることで、流路の位置に応じて、液体又は気体を流す。
尚、それぞれの流路における自動バルブについては、例えば、洗浄システム10の動作を制御する制御装置からの指示に応じて開閉することが考えられる。この場合、制御装置について、洗浄システム10の構成の一部と考えてもよい。図2においては、同一の構成間をつなぐ複数の流路を適宜まとめた上で、主に液体を流す流路を実線で示し、主に気体を流す流路を破線で示している。また、上記及び以下において説明をする点を除き、洗浄システム10の各構成は、公知の洗浄システムと同一又は同様の特徴を有してよい。より具体的に、洗浄システム10におけるコンデンサ106以外の各構成としては、例えば、公知の洗浄システムにおける構成と同一又は同様の構成を用いることが考えられる。
また、これらの構成のうち、真空洗浄槽102は、洗浄システム10における洗浄装置の一例であり、被洗浄物を内部に収容して、溶剤を用いて、被洗浄物に対する洗浄を実行する。本例において、真空洗浄槽102では、例えばユーザによる操作や制御装置を介して受け取るユーザ(オペレータ)の指示等に応じて、蒸留釜104から供給される溶剤の蒸気を用いて行う蒸気洗浄(ベーパー洗浄)や、液体の溶剤に被洗浄物を浸漬して行う浸漬洗浄等を行う。また、浸漬洗浄として、例えば、第1真空バッファタンク110から供給される溶剤を用いて行う粗洗浄と、第2真空バッファタンク112から供給される溶剤を用いて行う仕上げ洗浄とを行う。また、本例において、真空洗浄槽102は、図1に文字L及びLLによって示すように、液面センサを有している。液面センサを用いることにより、例えば浸漬洗浄時において、溶剤の液面の位置を適切に制御することができる。また、真空洗浄槽102は、超音波発生器を有することが好ましい。この場合、浸漬洗浄時に、超音波発生器から超音波を発生して、超音波洗浄を行うことが考えられる。
蒸留釜104は、加熱手段の一例であり、真空洗浄槽102で用いられる溶剤を蒸留によって再生する蒸留再生を行うために溶剤を加熱する。この場合、蒸留再生については、例えば、溶剤を加熱することで溶剤の蒸気を生成し、その蒸気を液化することで汚れや不純物等を溶剤から取り除く動作等と考えることができる。また、本例において、蒸留釜104は、溶剤の蒸気を液化するコンデンサ106の外部において溶剤を加熱することで、溶剤の蒸気を生成する。より具体的に、本例において、蒸留釜104は、蒸留再生の対象となる溶剤について、液位調整器116を介して、第1真空バッファタンク110から受け取る。そして、熱媒体タンク128から供給される熱媒体を用いて溶剤を加熱することで、溶剤を沸騰させて、溶剤の蒸気を生成する。また、蒸留釜104は、生成した溶剤の蒸気をコンデンサ106へ供給することで、溶剤の蒸気をコンデンサ106に液化させる。
また、本例においては、真空洗浄槽102で蒸気洗浄を行う場合に用いる溶剤の蒸気についても、蒸留釜104で生成する。また、蒸留釜104からの溶剤の蒸気の供給先については、真空洗浄槽102及びコンデンサ106のそれぞれと蒸留釜104とを接続する流路における自動バルブの開閉を制御することで、選択する。この場合、例えば、蒸留再生の実行時にはコンデンサ106にのみ溶剤の蒸気を供給し、真空洗浄槽102での蒸気洗浄の実行時には真空洗浄槽102のみに溶剤の蒸気を供給することが考えられる。このように構成すれば、例えば、溶剤の蒸気の供給を効率的かつ適切に行うことができる。また、必要に応じて、例えば、真空洗浄槽102及びコンデンサ106の両方へ同時に溶剤の蒸気を供給してもよい。
コンデンサ106は、洗浄に用いる溶剤を液化する液化装置であり、蒸留釜104から供給される溶剤を液化することで、溶剤の蒸留再生を行うプロセスの中で、溶剤の液化を実行する。また、本例において、コンデンサ106は、冷媒の一例である水(冷却水)を用いて、溶剤の蒸気を冷却する。また、本例において、コンデンサ106は、真空ポンプ114の排気に含まれる溶剤の液化を更に実行する。この場合、真空ポンプ114の排気は、蒸留釜104から供給される溶剤の蒸気とは異なる経路でコンデンサ106の外部からコンデンサ106へ供給される気体の一例である。また、この排気については、例えば、真空洗浄槽102で用いられる溶剤を含んだ状態でコンデンサ106以外の装置から排出される気体の一例と考えることもできる。また、本例において、コンデンサ106は、排気に含まれる溶剤を液化して、洗浄システム10内での溶剤の経路に戻す。このように構成すれば、例えば、排気中の溶剤を適切に回収することができる。コンデンサ106の特徴については、後に更に詳しく説明をする。
ベーパーバッファタンク108、第1真空バッファタンク110、及び第2真空バッファタンク112は、洗浄システム10内で溶剤を貯留するタンクである。また、これらのタンクのうち、ベーパーバッファタンク108は、蒸気洗浄時に真空洗浄槽102に溜まる液体の溶剤を回収(ベーパー回収)するためのタンクである。また、本例において、ベーパーバッファタンク108は、更に、蒸留再生を行うプロセスの中で液化した溶剤をコンデンサ106から受け取り、貯留する。第1真空バッファタンク110は、粗洗浄用の溶剤を貯留するタンクである。第2真空バッファタンク112は、仕上げ洗浄用の溶剤を貯留するタンクである。また、本例において、第1真空バッファタンク110及び第2真空バッファタンク112は、所定の温度に溶剤を加熱するヒータを有する。この場合、例えば、温めた溶剤を用いて真空洗浄槽102において洗浄を行うことで、被洗浄物の汚れをより適切に除去することができる。
また、これらのタンク及び真空洗浄槽102等の各構成は、例えば図1、2に示すように相互に接続され、各構成の間で溶剤の供給や回収を行う。この場合、例えば、それぞれの流路における自動バルブを適宜開閉し、溶剤の供給先となるタンク又は真空洗浄槽102に対して真空ポンプ114による吸引を行うこと等により、各構成の間で溶剤を移動させる。より具体的に、本例において、真空洗浄槽102は、第1真空バッファタンク110及び第2真空バッファタンク112のそれぞれに対し、溶剤の供給を受ける流路、及び溶剤を戻す流路により、接続されている。また、真空洗浄槽102は、ベーパーバッファタンク108に対し、蒸気洗浄時に液化した溶剤を回収する流路により、接続されている。ベーパーバッファタンク108及び第2真空バッファタンク112は、ベーパーバッファタンク108から第2真空バッファタンク112への溶剤の補充を行う流路により、接続されている。また、第1真空バッファタンク110及び第2真空バッファタンク112は、例えば図1に示すように、オーバーフローによって第2真空バッファタンク112から第1真空バッファタンク110への溶剤の移動が可能なように、隣接して配設されている。また、第1真空バッファタンク110は、蒸留再生の対象となる溶剤を蒸留釜104へ供給する流路により、液位調整器116を介して蒸留釜104に接続されている。
このように構成すれば、例えば、真空洗浄槽102に対する溶剤の供給や回収を適切に行うことができる。また、仕上げ洗浄用の溶剤を貯留する第2真空バッファタンク112に対し、ベーパーバッファタンク108に貯留されている清浄な溶剤を適切に補充することができる。また、補充によって第2真空バッファタンク112からあふれる溶剤を第1真空バッファタンク110へ移動させ、第1真空バッファタンク110から蒸留釜104へ溶剤を供給することで、第1真空バッファタンク110内の溶剤の入れ替えや溶剤の蒸留再生を適切に行うことができる。
真空ポンプ114は、真空洗浄槽102、ベーパーバッファタンク108、第1真空バッファタンク110、及び第2真空バッファタンク112に対して真空引きを行うポンプであり、自動バブルの開閉によって選択される構成から気体を吸引することで、その構成に対する真空引きを行う。これにより、真空ポンプ114は、洗浄システム10における構成間で、溶剤を適宜移動させる。また、本例において、第1真空バッファタンク110及び第2真空バッファタンク112に対する真空引きについては、両方のタンクに対して接続されている流路を介して、両方のタンクに対して同時に行う。また、真空ポンプ114が各構成から吸引する気体(ガス)は、溶剤を含んでいる。そのため、真空ポンプ114の排気も、溶剤を含むことになる。そして、本例において、真空ポンプ114は、溶剤を含む排気について、コンデンサ106へ供給する。
液位調整器116は、蒸留釜104の内部の溶剤の液面を一定に保つ調整手段である。すなわち、液位調整器116は、蒸留釜104の内部の溶剤の容量を一定に保つことで、溶剤の再生量を安定させている。粗洗浄用フィルタ122は、第1真空バッファタンク110から真空洗浄槽102へ溶剤を供給する流路において溶剤中の不純物を除去するフィルタである。仕上げ洗浄用フィルタ124は、第2真空バッファタンク112から真空洗浄槽102へ溶剤を供給する流路において溶剤中の不純物を除去するフィルタである。鉄磁濾過フィルタ126は、真空洗浄槽102から第1真空バッファタンク110へ溶剤を戻す流路において溶剤中の不純物を除去するフィルタである。また、より具体的に、鉄磁濾過フィルタ126は、鉄等の不純物を磁石によって吸引することで除去するフィルタである。熱媒体タンク128は、蒸留釜104での加熱に用いられる熱媒体を貯留するタンクである。
上記の構成の洗浄システム10を用いることにより、本例によれば、例えば、被洗浄物に対する洗浄を適切に行うことができる。また、洗浄に用いる溶剤について、適切に蒸留再生を行うことができる。更には、真空ポンプ114の排気に含まれる溶剤を液化することで、排気中の溶剤を適切に回収することができる。
続いて、本例の洗浄システム10におけるコンデンサ106の特徴について、更に詳しく説明をする。上記においても説明をしたように、本例において、コンデンサ106は、蒸留釜104から供給される溶剤の蒸気を液化する動作に加えて、真空ポンプ114から供給される排気に含まれる溶剤を液化する動作を行う。この場合、排気に含まれる溶剤を液化する動作について、例えば、蒸留釜104から供給される溶剤の蒸気以外の気体に含まれる溶剤を液化する動作の一例と考えることができる。また、本例のコンデンサ106については、例えば、蒸留再生のプロセスでの液化以外の液化を更に行うハイブリッドコンデンサ等と考えることもできる。また、このようなコンデンサ106の構成としては、例えば、図3に示す構成を用いることが考えられる。
図3は、コンデンサ106の構成の一例を示す。図中に示すように、本例において、コンデンサ106は、第1液化室202、第2液化室204、ジャケット部206、冷却コイル212、オーバーフロー管214、複数の冷却フィン216、及び液面センサ218を有する。また、本例のコンデンサ106では、溶剤の蒸気や排気中の溶剤を冷却するための冷媒として、水(冷却水)を用いる。
第1液化室202は、蒸留釜104によって溶剤を加熱することで発生する溶剤の蒸気を液化するための空間である。本例において、第1液化室202は、冷却水の入口302及び出口304と、溶剤の蒸気の入口312と、液化した溶剤の出口314と、水抜き用の出口316とを有し、冷却コイル212及びオーバーフロー管214を収容する。冷却水の入口302は、コンデンサ106の外部から第1液化室202内の冷却コイル212へ冷却水を導入するための入口である。冷却水の出口304は、冷却コイル212を通過した冷却水の出口である。溶剤の蒸気の入口312は、蒸留釜104から供給される溶剤の蒸気の入口である。液化した溶剤の出口314は、第1液化室202内で冷却コイル212によって冷却されることで液化した溶剤の出口である。また、本例において、出口314は、第1液化室202の下面においてオーバーフロー管214と接続されており、オーバーフロー管214の上部から流入する溶剤をベーパーバッファタンク108へ向けて送り出す。出口316は、第1液化室202内に溜まる水を抜くための出口である。
ここで、上記においても説明をしたように、本例においては、水よりも比重が小さく、かつ、水よりも沸点が高い溶剤を用いる。この場合、蒸留釜104からは、溶剤の蒸気と共に、水蒸気が供給されることになる。また、第1液化室202内において、水蒸気は、溶剤の蒸気と共に液化して、第1液化室202の底部に溜まることになる。そのため、本例において、出口316は、第1液化室202の下面に形成される。このように構成すれば、例えば、コンデンサ106のメンテナンス時等の所定のタイミングで出口316を解放することで、第1液化室202内の水を第1液化室202の外へ適切に流出させることができる。
第2液化室204は、真空ポンプ114の排気に含まれる溶剤を液化するための空間である。本例において、第2液化室204は、排気の入口322及び出口324と、液化した溶剤の出口326とを有し、複数の冷却フィン216を収容する。排気の入口322は、真空ポンプ114から排出(供給)される排気の入口である。また、本例において、排気の入口322は、コンデンサ106の外部から気体の供給を受ける気体の入口の一例である。排気の出口324は、第2液化室204内を通過した排気をコンデンサ106の外へ放出する出口である。この場合、第2液化室204内を通過した排気については、例えば、第2液化室204へ入った時点での排気が含んでいた溶剤が液化された後の排気等と考えることができる。排気が含んでいた溶剤が液化されることについては、例えば、第2液化室204の構成等に応じた精度で溶剤が液化されること等と考えることができる。また、本例において、排気の出口324は、コンデンサ106の外部へ気体を排出する気体の出口の一例であり、排気ダクトを介して、大気中に排気を放出する。
排気の入口322及び出口324については、例えば、鉛直方向における位置をずらして配設することが好ましい。より具体的に、本例において、出口324は、入口322よりも鉛直方向の上側に配設される。また、入口322は、液化して第2液化室204に溜まる溶剤の液面よりも鉛直方向における上側になる位置に配設される。このように構成すれば、例えば、第2液化室204内に適切に排気を通過させて、排気が含む溶剤を適切に液化することができる。また、液化した溶剤の出口326は、排気中の溶剤が第2液化室204内で液化することで生じる液体の溶剤をコンデンサ106の外部へ流出させる出口である。本例において、出口326は、例えば第2液化室204内にある程度の液体の溶剤が溜まった時点で、溶剤を第1真空バッファタンク110へ送り出す。
ジャケット部206は、第2液化室204の中にある気体(排気)を冷却するために用いる冷媒を保持する空間である。本例において、ジャケット部206は、冷媒保持室の一例であり、冷媒として用いる冷却水の入口306及び出口308を有する。冷却水の入口306は、第1液化室202における冷却水の出口304と接続されることで、冷却コイル212を通過した後の冷却水を受け取る。また、冷却水の出口304は、ジャケット部206内を通過した後の冷却水をコンデンサ106の外部へ排出する。このように構成すれば、例えば、冷却コイル212とジャケット部206とで共通の冷媒を適切に用いることができる。また、この場合、ジャケット部206について、例えば、冷却コイル212を通過した後の冷却水を通して、コンデンサ106の外部へ排出することで、冷却水を保持していると考えることができる。本例によれば、例えば、冷却コイル212及びジャケット部206において、冷却水を効率的かつ有効に用いることができる。
冷却コイル212は、第1液化室202の中で溶剤の蒸気を冷却する冷却手段の一例であり、コンデンサ106の外部から供給される冷却水を第1液化室202の中で通すことで、溶剤の蒸気を冷却する。このように構成すれば、例えば、溶剤の蒸気を適切に液化することができる。冷却コイル212については、例えば、コイル状に巻かれた流路に冷媒が流れる冷却手段等と考えることができる。また、コンデンサ106の構成の変形例においては、第1液化室202内で溶剤の蒸気を冷却するための構成として、冷却コイル212以外の構成の冷却手段を用いてもよい。オーバーフロー管214は、第1液化室202に貯まる液体の溶剤において所定の高さを超える分を第1液化室の外部へ流出させるための構成である。オーバーフロー管214を用いることにより、例えば、第1液化室202の底部に溜まる水から溶剤を適切に分離することができる。また、これにより、例えば、第1液化室202で液化した溶剤をコンデンサ106の外部へ適切に取り出すことができる。
複数の冷却フィン216のそれぞれは、熱伝導性の部材で形成された板状部材であり、第2液化室204の中の熱をジャケット部206の中の冷却水へ伝えることにより、第2液化室204内の排気を冷却する。また、本例において、冷却フィン216は、熱伝導性フィンの一例であり、第2液化室204とジャケット部206とを隔てる壁面に一部がつながることで、第2液化室204の中の熱をジャケット部206の中の冷却水へ伝える。また、複数の冷却フィン216は、第2液化室204の内壁との間に隙間を空けて、鉛直方向において、排気の入口322と出口324との間に配設される。この場合、この内壁については、例えば、第2液化室204とジャケット部206とを隔てる壁面と反対側の壁面における内壁等と考えることができる。また、この内壁について、例えば、コンデンサ106の外面側における第2液化室204の内壁等と考えることもできる。また、この隙間については、例えば、冷却フィン216と第2液化室204の内壁との間において排気が流れる隙間等と考えることができる。このように構成すれば、例えば、第2液化室204内で入口322から出口324へ適切に排気を流すことができる。
また、本例においては、第2液化室204の内壁とそれぞれの冷却フィン216との間の隙間の間隔(隙間の幅)について、第2液化室204内へ流れ込む排気の流量に応じた所定の間隔にすることで、複数の冷却フィン216の間の空間に気体の渦(排気の渦)を発生させる。この場合、第2液化室204内へ流れ込む排気の流量に応じた間隔については、例えば、排気の入口322の開口部の面積に応じて設定することが考えられる。また、この場合、例えば、第2液化室204の中での入口322から出口324への排気の流れに応じて、複数の冷却フィン216の間の空間に排気の渦を発生させていると考えることもできる。このように構成した場合、例えば、渦を発生させない場合と比べ、第2液化室204内で排気をより確実に冷却フィン216に接触させることができる。また、これにより、例えば、排気をより確実に冷却することができる。そのため、本例によれば、例えば、第2液化室204において、排気が含む溶剤をより適切に液化することができる。第2液化室204内で排気の渦を発生させることに関する特徴については、後に更に詳しく説明をする。
液面センサ218は、第2液化室204内に溜まる液体の溶剤の液面を検知するセンサである。液面センサ218を用いて溶剤の液面を検知することで、例えば、第2液化室204内の溶剤を出口326から外へ取り出すべきタイミングを適切に検知することができる。また、本例において、液面センサ218は、溶剤の液面の位置を検知することで、例えば、溶剤の液面の位置が排気の入口322の位置を超えることを防止する。
本例によれば、例えば、溶剤を再生するための液化と、排気から溶剤を取り出すための液化とを、1つのコンデンサ106において適切に行うことができる。また、これにより、例えば、コンデンサ106について、ハイブリッドコンデンサとして適切に機能させることができる。また、この場合、例えば、蒸留釜104から供給される溶剤の蒸気を液化するための液化装置とは別の装置で排気中の溶剤を液化する場合等と比べて、装置の設置面積やコスト等を大幅に低減することが可能になる。
また、図3に図示した構成等から理解できるように、本例において、ジャケット部206としては、第1液化室202の周囲の少なくとも一部を囲む空間を用いている。そして、第2液化室204としては、ジャケット部206の周囲の少なくとも一部を囲む空間を用いている。このように構成すれば、例えば、第1液化室202、第2液化室204、及びジャケット部206について、省スペースで適切に配置することができる。また、この場合、第1液化室202と第2液化室204との間にジャケット部206を配置することで、例えば、第2液化室204の中にある排気、及び第1液化室202の中にある溶剤の両方に対し、ジャケット部206内の冷却水との間での熱の移動を適切に行わせることができる。また、この場合、ジャケット部206について、例えば、第2液化室204の中にある排気、及び第1液化室202の中で液化した溶剤との間で熱が移動可能なように、冷却水を保持していると考えることができる。
また、本例において、ジャケット部206は、第1液化室202において液体の溶剤が溜まる部分から冷却コイル212において冷却水がコイル状に流れる部分までの範囲の大部分の周囲を囲んでいる。この場合、例えば、冷却コイル212において冷却水がコイル状に流れる部分の近辺では、第1液化室202の外側をジャケット部206により覆うことで、ジャケット部206内の冷却水によっても溶剤の蒸気を冷却していると考えることができる。また、この場合、例えば、溶剤の蒸気の熱がジャケット部206内の冷却水に移動していると考えることもできる。本例によれば、例えば、第1液化室202内の溶剤の蒸気をより適切に液化することができる。また、この場合、例えば、第1液化室202において高温になっている溶剤の蒸気が存在する範囲の外側をジャケット部206で覆うことで、コンデンサ106の外面の温度が過度に上昇することを防止すること等も可能になる。
また、本例において、複数の冷却フィン216は、第2液化室204がジャケット部206を囲んでいる部分において、第2液化室204とジャケット部206とを隔てる壁面から、第2液化室204内に突出している。このように構成すれば、例えば、複数の冷却フィン216を介して、第2液化室204内の熱をジャケット部206内の冷却水へ適切に伝えることができる。また、これにより、例えば、第2液化室204内の排気を適切に冷却することができる。
ここで、上記においても説明をしたように、本例において、ジャケット部206に流れる冷却水は、第1液化室202内で冷却コイル212を流れた後の水である。そのため、ジャケット部206に流れ込む冷却水の温度は、冷却コイル212に流れ込む時点の温度よりも高い温度になっている。また、ジャケット部206内において、冷却水の温度は、第2液化室204内の排気を冷却すること等によって、更に上昇すると考えられる。これに対し、第1液化室202内で液化された直後の溶剤の温度は、冷却コイル212を流れる冷却水で冷却されることで、低い温度になっている。そのため、本例において、ジャケット部206内での冷却水の温度については、排気が第2液化室204に入る時点の温度よりも低く、かつ、第1液化室202で液化した直後の溶剤の温度よりも高くなる。
そして、この場合、ジャケット部206内の冷却水の温度が第1液化室202内で液化された直後の溶剤の温度より高くなることで、ジャケット部206内の冷却水は、例えば、第1液化室202内の液体の溶剤に対し、結果的に温度を高めるように作用する。すなわち、この場合、ジャケット部206内の冷却水について、例えば、第2液化室204内の排気に対しては冷却用の熱媒体として機能し、第1液化室202内の液体の溶剤に対しては温めるための熱媒体として機能していると考えることができる。また、ジャケット部206内の冷却水について、例えば、第2液化室204の中にある排気から冷却水へ熱を移動させることにより、排気に含まれる溶剤を液化し、かつ、冷却水から第1液化室202の中にある液体の溶剤へ熱を移動させることにより、第1液化室202の中にある液体の溶剤の温度を高めていると考えることもできる。
また、本例においては、ジャケット部206で冷媒として用いる冷却水について、例えば、第2液化室204において気体を冷却するための物質等と考えることができる。また、この場合、説明の便宜により冷却水としているものの、ジャケット部206内での冷却水の温度については、上記のように、第1液化室202の中にある液体の溶剤よりも高くてもよい。また、第1液化室202の中にある液体の溶剤へ冷却水から熱を移動させ、第1液化室202の中にある液体の溶剤の温度を高めることについては、例えば、熱の移動によって結果的に溶剤の温度が上がること等と考えることができる。溶剤の温度が上がることについては、例えば、第1液化室202で液化した直後の温度と比べて溶剤の温度が高くなること等と考えることができる。
また、この場合、溶剤の温度が高くなることで、例えば、洗浄に用いる前や洗浄時に溶剤を加熱する場合において、加熱に要するエネルギーを削減することができる。より具体的に、上記においても説明をしたように、本例において、第1液化室202内で液化された溶剤は、その後に、再度、真空洗浄槽102(図1参照)での洗浄に用いられる。そして、真空洗浄槽102での洗浄時に用いる溶剤については、ある程度以上の温度に加熱することが好ましい。また、上記においても説明をしたように、本例においては、第1液化室202からベーパーバッファタンク108を介して溶剤が供給される第1真空バッファタンク110及び第2真空バッファタンク112において、溶剤を加熱している。そして、この場合、上記のように第1液化室202内にある液体の溶剤の温度を高めることで、例えば、その後に行う溶剤の加熱時に要するエネルギーを削減すること等も可能になる。また、洗浄システム10の構成の変形例においては、第1液化室202から出た後の溶剤に対して加熱を行わないこと等も考えられる。このような場合も、第1液化室202において液体の溶剤の温度を高めることで、例えば、洗浄をより適切に行うことが可能になる。
また、上記においても説明をしたように、本例においては、第1液化室202内に溜まる液体の溶剤について、オーバーフロー管214を介して、第1液化室202の外へ送り出す。そして、この場合、第1液化室202内において、オーバーフロー管214の高さに応じて決まる所定の量の液体の溶剤が溜まることになる。また、その結果、液体の溶剤が第1液化室202内に貯留されている間に、ある程度の時間をかけて、ジャケット部206内の冷却水との間での熱の移動を生じさせることが可能になる。また、これにより、例えば、第1液化室202の中にある液体の溶剤の温度をより適切に高めることができる。
以上のように、本例によれば、例えば、第2液化室204の中にある排気を冷却するために用いる冷却水について、第1液化室202及び第2液化室204を用いる構成(ハイブリッドコンデンサの構成)を活かして適切に用いることができる。また、これにより、例えば、真空洗浄槽102において洗浄液として用いる溶剤について、より適切に再利用することができる。
続いて、上記において説明をした様々な構成に関する補足説明や変形例の説明等を行う。また、以下においては、説明の便宜上、上記において説明をした変形例等を含めて、本例という。
上記においても説明をしたように、本例において、洗浄用の溶剤としては、水よりも比重が小さく、かつ、水よりも沸点が高い炭化水素系洗浄剤を用いる。この場合、例えば、1気圧の環境での沸点が170℃程度(例えば150~250℃程度、好ましくは、170~210℃程度)の炭化水素系洗浄剤を用いることが考えられる。このように構成した場合、水の沸点(100℃)よりも十分に沸点が高い溶剤を用いることで、例えば、冷媒として水を用いて、溶剤の蒸留再生をより適切に行うことができる。また、例えば、第1液化室202内の冷却コイル212を通過した後の水をジャケット部206に通す構成を用いる場合でも、排気中に含まれる溶剤をより適切に液化することが可能になる。このような炭化水素系洗浄剤としては、例えばノルマルパラフィン系の洗浄剤やイソパラフィン系の洗浄剤等の公知の洗浄用の炭化水素系洗浄剤を好適に用いることができる。
また、上記においても説明をしたように、本例においては、冷却水について、先に冷却コイル212を通過させ、その後にジャケット部206を通過させている。このように構成すれば、例えば、蒸留再生のプロセスでの溶剤の液化をより適切に行うことができる。また、コンデンサ106の構成の変形例においては、コンデンサ106で用いる冷媒として、水(冷却水)以外の冷媒を用いてもよい。また、冷却コイル212とジャケット部206とを接続して共通の冷媒を流すのではなく、冷却コイル212及びジャケット部206のそれぞれに対し、コンデンサ106の外部から別の経路で供給される冷媒を供給してもよい。また、この場合、冷却コイル212及びジャケット部206のそれぞれに対し、互いに異なる冷媒を供給してもよい。
また、上記においても説明をしたように、本例においては、第2液化室204において排気から液化した溶剤について、出口326から、第1真空バッファタンク110へ送り出している。このように構成すれば、例えば、第2液化室204で液化した溶剤を適切に再利用することができる。また、洗浄システム10の構成の変形例においては、第2液化室204における溶剤の出口326から、第1真空バッファタンク110以外の構成へ溶剤を供給してもよい。この場合、例えば、出口326から、蒸留釜104へ溶剤を供給することが考えられる。また、この場合、例えば、液位調整器116(図1参照)を介して、出口326から蒸留釜104へ溶剤を供給することが考えられる。このように構成した場合も、例えば、第2液化室204で液化した溶剤を適切に再利用することができる。
また、上記の説明等から理解できるように、本例のコンデンサ106では、溶剤の蒸気、排気、液体の溶剤、及び冷却水の間で様々な熱の移動を生じさせることで、蒸留再生を行うプロセスでの溶剤の液化や、排気中に含まれる溶剤の液化等を行う。そして、この場合、コンデンサ106に出入りする気体や液体の温度について、一例としては、以下のようになることが考えられる。蒸留釜104からコンデンサ106へ供給される溶剤の蒸気の温度については、例えば110~120℃程度になることが考えられる。コンデンサ106の外部から供給されて冷却コイル212に入る時点(第1液化室202に入る時点)での冷却水の温度については、例えば18℃程度(例えば、15~20℃程度)になることが考えられる。また、この場合、冷却コイル212から出る時点(第1液化室202から出る時点)での冷却水の温度については、例えば、冷却コイル212に入る時点よりも10℃程度(例えば、8~12℃程度)高い温度になり、28℃程度(例えば、25~30℃程度)になることが考えられる。また、その後にジャケット部206を通過してジャケット部206から出てくる時点での冷却水の温度は、冷却コイル212を出る時点の温度よりも更に高くなり、例えば30℃程度(例えば、27~32℃程度)になることが考えられる。また、第2液化室204へ入る排気の温度については、例えば110℃程度(例えば、100~120℃程度)になることが考えられる。第2液化室204で液化されて出てくる溶剤の温度については、例えば45℃程度(例えば、40~50℃程度)になることが考えられる。第2液化室204から排気ダクトへ排出される排気の温度については、例えば28℃程度(例えば、27~32℃程度)になることが考えられる。第1液化室202内に溜まった後に出てくる溶剤の温度については、例えば20℃程度(例えば、19~22℃程度)になることが考えられる。また、これらの温度については、例えばコンデンサ106の具体的な構成や動作等に応じて、適宜、上記と異なる温度になってもよい。
また、上記においても説明をしたように、本例においては、第2液化室204内で、複数の冷却フィン216の間の空間に気体の渦(排気の渦)を発生させている。図4及び図5は、第2液化室204内に発生させる気体の渦について更に詳しく説明をする図である。図4は、第2液化室204の内壁と冷却フィン216との間の隙間502について説明をする図であり、コンデンサ106における第1液化室202、第2液化室204、ジャケット部206、及び冷却フィン216の水平断面(以下、コンデンサ106の水平断面という)の一例を簡略化して示す。図4(a)は、冷却フィン216が設けられていない位置におけるコンデンサ106の水平断面を示す。図4(b)は、冷却フィン216が設けられている位置におけるコンデンサ106の水平断面を示す。図5は、隙間502に対する排気の流れ方と渦の発生の有無との関係の例を示す。図5(a)は、渦が発生している状態の一例を示す。図5(b)は、渦が発生しない状態の一例を示す。
図3等を用いて上記においても説明をしたように、本例において、複数の冷却フィン216は、コンデンサ106の外面側における第2液化室204の内壁との間に隙間を空けて、鉛直方向において、排気の入口322(図3参照)と出口324(図3参照)との間に配設される。そして、この場合、図4(a)に示すような冷却フィン216が設けられていない位置におけるコンデンサ106の水平断面において、第2液化室204は、広い空間に排気が流れる構成になる。また、図4(b)に示すような冷却フィン216が設けられている位置におけるコンデンサ106の水平断面において、第2液化室204は、第2液化室204の内壁と冷却フィン216との間にある狭い隙間502に排気が流れる構成になる。そして、この場合、第2液化室204に流入する排気の流量に対して隙間502を狭くすることで、例えば図5(a)に示すように、複数の冷却フィン216の間の空間に排気の渦が発生することになる。より具体的に、ベルヌーイの定理等から理解できるように、排気の流量に対して隙間502が十分に狭い場合、狭い隙間502を排気が流れることで、隙間502の位置での排気の流速が大きくなる。また、これに伴い、隙間502の付近において、圧力の低下が生じることになる。また、この場合、隙間502の付近で圧力の低下が生じると、複数の冷却フィン216の間の空間にある気体(排気)がその位置へ向けて流れることになる。また、その結果、例えば図5(a)に示すように、排気の渦が発生することになる。
ここで、本例において隙間502に排気が流れることで生じる現象については、例えば、エゼクタで生じる現象と同様の現象等と考えることもできる。また、本例においては、上記においても説明をしたように、このような渦を発生させることで、第2液化室204内で排気をより確実に冷却フィン216に接触させることができる。また、これにより、例えば、第2液化室204内において排気を適切に冷却して、排気に含まれる溶剤をより確実に液化することができる。
これに対し、例えば第2液化室204の内壁と冷却フィン216との間の隙間が大き過ぎる場合、流速の変化が生じないまま隙間502を排気が通過することになる。そして、この場合、例えば図5(b)に示すように、冷却フィン216の影響を十分に受けることなく排気が流れ、渦が発生しないことになる。また、渦が発生しないことで、例えば、冷却フィン216によって十分に冷やされないまま、第2液化室204を排気が通り抜けることになる。また、その結果、例えば、多くの溶剤を含んだままの状態で、第2液化室204における排気の出口324に排気が達することになる。また、反対に、第2液化室204内へ流れ込む排気の流量に対して第2液化室204の内壁と冷却フィン216との間の隙間が小さ過ぎる場合、例えば、第2液化室204内で気体が流れにくくなることで、渦が発生しにくくなると考えられる。
そのため、上記においても説明をしたように、隙間502を構成する第2液化室204の内壁と冷却フィン216との間隔については、例えば第2液化室204における排気の入口322の開口部の面積に応じて設定することで、渦が適切に発生するように、第2液化室204内へ流れ込む排気の流量に応じた所定の間隔にするが考えられる。また、より具体的に、この場合、それぞれの冷却フィン216に対応する隙間502の面積については、例えば、排気の入口322の開口部の面積と等しくすることが好ましい。この場合、隙間502の面積については、例えば、コンデンサ106の水平断面において隙間502が占める部分の面積等と考えることができる。入口322の開口部の面積については、例えば、入口322に対して排気が流入する方向と直交する面による入口322の開口部の断面の面積等と考えることができる。また、隙間502の面積が入口322の開口部の面積と等しいことについては、例えば、渦を適切に発生させるという目的に応じた精度で、実質的に等しいこと等と考えることができる。このように構成すれば、例えば、複数の冷却フィン216の間の空間に排気の渦をより適切に発生させることができる。また、実用上、隙間502の面積が入口322の開口部の面積と等しいことについては、例えば、面積の差が入口322の開口部の面積の10%以下程度であること等と考えることができる。この面積の差は、好ましくは、入口322の開口部の面積の5%以下、更に好ましくは、2%以下である。
また、上記のように、本例においては、複数の冷却フィン216の間の空間に排気の渦を発生させることで、例えば、排気に含まれる溶剤をより確実に液化することができる。この点に関し、第2液化室204に入る排気について、例えば溶剤を液化することなく、そのまま出口324から排出すると、洗浄システム10(図1参照)から溶剤が徐々に失われることになる。より具体的に、上記においても説明をしたように、本例において、第2液化室204における排気の出口324は、排気ダクトを介して、大気中に排気を放出する。そのため、排気中の溶剤を液化せずにそのまま排気を放出すれば、洗浄システム10から溶剤が失われることになる。また、この場合、溶剤を大気中へ放出することで、環境への影響が生じるおそれもある。これに対し、本例によれば、例えば、第2液化室204において入口322から出口324へ排気が移動する間に、排気を適切かつ十分に冷却することができる。また、これにより、排気中の溶剤を適切に液化して、より確実に溶剤を回収することができる。
また、第2液化室204では、例えば、微量の溶剤のみを含んでいる排気中の溶剤を液化することも考えられる。例えば、本例において、第2液化室204に入る時点の排気については、体積比で1%未満の溶剤を含んだ気体になることが考えられる。また、より具体的に、例えば図1及び図2に示す構成において、第2液化室204に入る時点での排気については、例えば、体積比で0.05%以下程度の溶剤を含む気体になることが考えられる。そして、このように溶剤の含有量が少ない場合、排気中の溶剤を適切に液化するためには、排気をより確実に冷却することが重要になる。これに対し、本例によれば、複数の冷却フィン216を用いて排気の渦を発生さることで、上記のように、排気中の溶剤をより適切に液化することができる。
また、上記においても説明をしたように、冷却フィン216と第2液化室204の内壁との間の隙間502の面積については、排気の入口322の開口部の面積と等しくすることが好ましい。また、この場合、全ての冷却フィン216について、それぞれの冷却フィン216に対応する隙間502の面積と、入口322の開口部の面積とを等しくすることが考えられる。また、コンデンサ106の構成の変形例においては、一部の冷却フィン216に対応する隙間502の面積について、入口322の開口部の面積と異ならせてもよい。この場合、例えば、一部の冷却フィン216に対応する隙間502について、入口322の開口部の面積よりも大きくすることが考えられる。このように構成した場合も、隙間502の面積を入口322の開口部の面積と等しくする冷却フィン216を用いることで、排気の渦を適切に発生させることができる。