JP7160272B2 - 有機無機複合材料 - Google Patents
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Description
1.下記式(1)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂に、表面修飾剤により修飾されている無機微粒子が分散した有機無機複合材料。
2.式(1)で表される構造単位のモル比が、全カーボネート繰り返し単位100モル%に対して、0.5モル%以上20モル%以下である、前項1に記載の有機無機複合材料。
3.表面修飾剤が、酸性官能基を有する前項1または2に記載の有機無機複合材料。
4.酸性官能基が、スルホン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基およびカルボン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1つの酸性官能基である前項3に記載の有機無機複合材料。
5.表面修飾剤の含有量が、無機微粒子に対して1~30重量%である前項1~4のいずれかに記載の有機無機複合材料。
6.無機微粒子の平均粒子径が1~20nmである前項1~5のいずれかに記載の有機無機複合材料。
7.無機微粒子の含有量が、ポリカーボネート樹脂に対して1~95重量%である前項1~6のいずれかに記載の有機無機複合材料。
8.無機微粒子が、ZrO2(酸化ジルコニウム)、TiO2(酸化チタン)、SnO2(酸化スズ)、SiO2(酸化ケイ素)、またはAl2O3(酸化アルミニウム)である前項1~7のいずれかに記載の有機無機複合材料。
9.前項1~8のいずれかに記載の有機無機複合材料を用いて得られる成形品、フィルムまたはシート。
10.前項1~9のいずれかに記載の有機無機複合材料の製造方法であって、前記式(1)で表される構造単位をもたらすジオール化合物と、カーボネート前駆物質とを反応させて前記ポリカーボネート樹脂を得ること、及び前記表面修飾剤により修飾されている無機微粒子を前記ポリカーボネート樹脂に分散させることを含む、方法。
《有機無機複合材料》
〈ポリカーボネート樹脂〉
本発明で用いるポリカーボネート樹脂は、下記式(1)で表される構造単位を有することを特徴とし、樹脂中の全カーボネート繰り返し単位100モル%に対して、前記式(1)で表される構造単位のモル比は、好ましくは0.1~20モル%、より好ましくは0.5~20モル%、さらに好ましくは1~20モル%である。0.1モル%以上であれば無機微粒子との分散性向上効果を発現しやすく、20モル%以下であれば流動性を維持しやすく好ましい。モル比は、日本電子社製JNM-AL400のプロトンNMRにて測定して算出することができる。
(式(1)および式(2)について)
一般式(1)以外のその他の単位としては、各種ジオール化合物が挙げられる。かかるジオール化合物としては、芳香族ジオール化合物、脂肪族ジオール化合物、脂環式ジオール化合物のいずれでも良く、国際公開第2004/111106号パンフレット、国際公開第2011/021720号パンフレットに記載のジオール化合物やジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、または二種以上組み合わせて用いてもよい。以下にジオール成分の代表的具体例を示すが、本発明のその他の成分は、それらによって限定されるものではない。
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば上記のようなジオール成分に炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。ジオール成分と、カーボネート前駆物質とを反応させてポリカーボネート樹脂を得る工程について、基本的な手段を簡単に説明する。
金属化合物としては亜鉛アルミニウム化合物、ゲルマニウム化合物、有機スズ化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等が例示される。これらの化合物は1種または2種以上併用してもよい。
本発明で用いられるポリカーボネート樹脂には、必要に応じて、離型剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、充填剤などの添加剤を適宜添加して用いることができる。
リグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリン酸トリグリセリドとステアリルステアレートの混合物が好ましく用いられる。
なかでも、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイトおよびビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイトが好ましく使用される。特に好ましくはトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイトが使用される。
ポリカーボネート樹脂の比粘度(ηSP)は、0.2~1.5が好ましい。比粘度が下限以上では強度等が向上し、上限以下では成形加工特性が優れる。より好ましくは、0.2以上1.2以下であり、さらに好ましくは、0.2以上1.0以下、特に好ましくは、0.2以上0.5以下である。なお、本発明の効果を損なわない範囲で他の樹脂と併用してよい。
比粘度(ηSP)=(t-t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
製造可能であるという観点から、本発明のポリカーボネート樹脂の個数平均分子量(Mn)は、5,000以上、8,000以上、10,000以上、15,000以上、又は20,000以上であってもよく、100,000以下、80,000以下、50,000以下、30,000以下、又は20,000以下であってもよい。例えば、Mnの範囲は、5,000以上100,000以下、又は10,000以上30,000以下の範囲である。
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは90~160℃、より好ましくは100~150℃である。Tgが上記範囲内であると、光学成形体として使用した際に、耐熱安定性及び成形性が良好であり好ましい。ガラス転移温度(Tg)はティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製2910型DSCを使用し、昇温速度20℃/minにて測定する。
本発明で用いられる表面修飾剤により修飾されている無機微粒子は、その平均粒子径が好ましくは20nm以下のナノスケールの範囲にあり、酸性官能基を有する表面修飾剤で修飾されているものが好ましく使用できる。
(屈折率)
本発明の有機無機複合材料の25℃で測定した波長589nmの屈折率(以下nDと略すことがある)は、1.500~1.800であることが好ましい。屈折率が下限以上の場合、レンズの球面収差を低減でき、さらにレンズの焦点距離を短くすることができる。
本発明の有機無機複合材料は透過率が高いことが好ましい。100μm厚の成形体のD線透過率70%以上であることが好ましく、D線透過率80%以上であることがより好ましい。かかる特性を満足することで光学レンズ用途や光学フィルム用途に好適に用いることができる。
本発明の有機無機複合材料の製造方法は、式(1)で表される構造単位をもたらすジオール成分と、カーボネート前駆物質とを反応させてポリカーボネート樹脂を得ること、及び表面修飾剤で表面修飾された無機微粒子をそのポリカーボネート樹脂に分散させることを含む。このような方法は、重合したポリマーを後工程において変性させて、そのポリマーにカルボン酸基を導入する方法よりも、非常に簡易であるため好ましい。
本発明における有機無機複合材料の成形方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、溶液キャスト法等、一般のポリカーボネート樹脂の成形法を採用することができる。有機無機複合材料の流動性の観点から、本発明では、圧縮成形およびキャスト成形することが好ましい。本発明の有機無機複合材料は、透明性、高屈折率に優れているので種々の成形体として利用することができる。殊に光学レンズ、光学ディスク、液晶パネル、光カード、シート、フィルム、光ファイバー、コネクター、蒸着プラスチック反射鏡、ディスプレイなどの光学部品の構造材料、パソコンや携帯電話の外装や前面板などの電気電子部品、自動車のヘッドランプや窓などの自動車用途、または機能材料用途に適した成形体として有利に使用することができ、特に光学レンズや光学フィルムに好適である。
1.ポリマー組成比(NMR)
日本電子社製JNM-AL400のプロトンNMRにて各繰り返し単位を測定し、ポリマー組成比(モル比)を算出した。
20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求めた。
比粘度(ηSP)=(t-t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
試料8mgを用いてティー・エイ・インスツルメント(株)製の熱分析システム DSC-2910を使用して、JIS K7121に準拠して窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
フィルムを日立製作所(株)製分光光度計U-3310を用いて測定した。
フィルムをATAGO製DR-M2アッベ屈折計を用いて、25℃における屈折率(波長:589nm)を測定した。
目視により、白濁がない場合を透明性〇、白濁がある場合を透明性×として評価した。
表面修飾無機微粒子のジクロロメタン分散液を、動的光散乱測定(DLS)した値である。
PC1の製造方法:
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(以下BPA)50.0部、ジフェノール酸(以下BPAcid)0.6部、ジフェニルカーボネート(以下DPC)49.3部および触媒として、水酸化ナトリウム1.3×10-5部とテトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.0×10-3部を、窒素雰囲気下200℃で加熱し溶融させた。その後、20分かけて220℃へ昇温し、減圧度を13.7kPaに調整した。その後、さらに40分かけて260℃へ昇温し、減圧度を1kPaに調整した。10分間その温度で保持した後、減圧度を133Pa以下とした。反応終了後、反応槽の底より窒素加圧下吐出し、水槽で冷却しながら、ペレタイザーでカットしてペレットを得た(PC1)。得られたペレットについて各種評価を行った。評価結果を表1に記載した。
BPA47.8部、BPAcid3.2部、DPC49.1部を原料として用いた他は、PC1の製造方法と同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
BPA50.6部、DPC49.4部を原料として用いた他は、実施例1と全く同様の操作を行い、同様の評価を行った。その結果を表1に記載した。
スターラーチップをセットした100mLナスフラスコに、ZrO2に対し10~30重量%に相当する量の表面修飾剤をとり、メタノール10gおよびトルエン15gに溶解させた溶液に、ZrO2水分散液(堺化学工業製:SZR-W、メジアン径:3nm)を滴下し混合した。混合液を1時間室温で撹拌した後、ロータリーエバポレーターにより3~5mL程度になるまで溶媒を留去した。留去は液相内で突沸が生じない程度の圧力に減圧することにより行った。
(実施例1~16、比較例1~4)
前記表面修飾ジルコニア微粒子のジクロロメタン分散液に、前記ポリカーボネート樹脂のジクロロメタン溶液を5分かけて滴下し、これを30分撹拌した。この分散液をガラスシャーレ上にキャストし、室温で十分に乾燥させた後、100℃以下の温度にて12時間乾燥して、厚さ約100μmのフィルムを作製した。製造したフィルムの各種評価を行い、その結果を表3に記載した。使用した表面修飾剤の種類と無機成分としての添加量は、表3に示す通りとした。
実施例14と同様に作製した、表面修飾ジルコニア微粒子とポリカーボネートのジクロロメタン分散液を、80℃4時間乾燥してジクロロメタンを除去し、有機無機複合体のフレークを得た。このフレークを、真空熱プレス装置(神藤金属工業所(株)製 圧縮成形機:SFV-10、真空ポンプユニット:GXD-360)でプレス成形し、厚さ約1mmの成形板を得た。プレス成形条件は、金型温度220℃、1次圧:1MPa(30秒)、2次圧:1.5MPa(5分)とした。
ポリカーボネート樹脂としてPC3を用いた以外は、実施例17と同様の方法で、厚さ約1mmの成形板を得た。
Claims (8)
- 下記式(1)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂に、表面修飾剤により修飾されている無機微粒子が分散した有機無機複合材料であって、
前記表面修飾剤が、スルホン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基およびカルボン酸基からなる群より選ばれる少なくとも1つの酸性官能基を有する、
有機無機複合材料。
- 式(1)で表される構造単位のモル比が、全カーボネート繰り返し単位100モル%に対して、0.5モル%以上20モル%以下である、請求項1に記載の有機無機複合材料。
- 表面修飾剤の含有量が、無機微粒子に対して1~30重量%である請求項1又は2に記載の有機無機複合材料。
- 無機微粒子の平均粒子径が1~20nmである請求項1~3のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
- 無機微粒子の含有量が、ポリカーボネート樹脂に対して1~95重量%である請求項1~4のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
- 無機微粒子が、ZrO2(酸化ジルコニウム)、TiO2(酸化チタン)、SnO2(酸化スズ)、SiO2(酸化ケイ素)、またはAl2O3(酸化アルミニウム)である請求項1~5のいずれか一項に記載の有機無機複合材料。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の有機無機複合材料を用いて得られる成形品、フィルムまたはシート。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の有機無機複合材料の製造方法であって、前記式(1)で表される構造単位をもたらすジオール化合物と、カーボネート前駆物質とを反応させて前記ポリカーボネート樹脂を得ること、及び前記表面修飾剤により修飾されている無機微粒子を前記ポリカーボネート樹脂に分散させることを含む、方法。
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