JP7159175B2 - イムノグロブリン結合タンパク質、及びそれを用いたアフィニティー担体 - Google Patents
イムノグロブリン結合タンパク質、及びそれを用いたアフィニティー担体 Download PDFInfo
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Description
イムノグロブリン結合タンパク質であって、
イムノグロブリン結合ドメインの変異体を少なくとも1つ含み、
該イムノグロブリン結合ドメインの変異体が、配列番号1~9のいずれかで示されるアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列であって且つ以下の(a)~(h):
(a)配列番号9で示されるアミノ酸配列の17位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(b)配列番号9で示されるアミノ酸配列の26位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(c)配列番号9で示されるアミノ酸配列の35位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(d)配列番号9で示されるアミノ酸配列の42位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(e)配列番号9で示されるアミノ酸配列の44位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(f)配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(g)配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置と55位に相当する位置の間に対する少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入;
(h)少なくとも1つのプロリンの欠失、
からなる群より選択される少なくとも1つの変異を有するアミノ酸配列からなり、イムノグロブリンκ鎖結合活性を有する、
イムノグロブリン結合タンパク質。
本発明はまた、前記ポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
本発明はまた、前記ベクターを含む形質転換体を提供する。
本発明はまた、固相担体と、該固相担体に結合した前記イムノグロブリン結合タンパク質とを含む、アフィニティー担体を提供する。
本発明はまた、前記アフィニティー担体を用いる、抗体又はその断片の単離方法を提供する。
本発明はまた、前記イムノグロブリン結合タンパク質を、前記形質転換体、もしくは無細胞タンパク質合成系において発現させるか、又は化学合成することを含む、イムノグロブリン結合タンパク質の製造方法を提供する。
イムノグロブリン結合ドメインの変異体の製造方法であって、
配列番号1~9のいずれかで示されるアミノ酸配列又はこれらと少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つイムノグロブリンκ鎖結合活性を有するポリペプチドに対して、以下の(a)~(h):
(a)配列番号9で示されるアミノ酸配列の17位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(b)配列番号9で示されるアミノ酸配列の26位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(c)配列番号9で示されるアミノ酸配列の35位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(d)配列番号9で示されるアミノ酸配列の42位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(e)配列番号9で示されるアミノ酸配列の44位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(f)配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(g)配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置と55位に相当する位置の間に対する少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入;
(h)少なくとも1つのプロリンの欠失、
からなる群より選択される少なくとも1つの変異を加えることを含む、方法。
〔1〕イムノグロブリン結合タンパク質であって、
イムノグロブリン結合ドメインの変異体を少なくとも1つ含み、
該イムノグロブリン結合ドメインの変異体が、配列番号1~9のいずれかで示されるアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列であって且つ以下の(a)~(h):
(a)配列番号9で示されるアミノ酸配列の17位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(b)配列番号9で示されるアミノ酸配列の26位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(c)配列番号9で示されるアミノ酸配列の35位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(d)配列番号9で示されるアミノ酸配列の42位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(e)配列番号9で示されるアミノ酸配列の44位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(f)配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(g)配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置と55位に相当する位置の間に対する少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入;
(h)少なくとも1つのプロリンの欠失、
からなる群より選択される少なくとも1つの変異を有するアミノ酸配列からなり、イムノグロブリンκ鎖結合活性を有する、
イムノグロブリン結合タンパク質。
〔2〕前記(a)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の17位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換であり、
前記(b)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の26位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換であり、
前記(c)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の35位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換であり、
前記(d)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の42位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換であり、
前記(e)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の44位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換であり、
前記(f)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換であり、
前記(g)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置と55位に相当する位置の間に対する1個のアミノ酸残基の挿入であり、
前記(h)の変異が、1~3個のプロリンの欠失である、
〔1〕記載のイムノグロブリン結合タンパク質。
〔3〕前記(a)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の17位に相当する位置におけるリジンのアルギニン、グルタミン酸又はアスパラギン酸への置換であり、
前記(b)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の26位に相当する位置におけるリジンのアルギニン、グルタミン酸又はアスパラギン酸への置換であり、
前記(c)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の35位に相当する位置におけるトレオニンのアルギニン、グルタミン酸又はアスパラギン酸への置換であり、
前記(d)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の42位に相当する位置におけるグルタミン酸のリジンへの置換であり、
前記(e)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の44位に相当する位置におけるチロシンのフェニルアラニン又はトリプトファンへの置換であり、
前記(f)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置におけるアスパラギンのグルタミンへの置換であり、
前記(g)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置におけるアスパラギンと55位に相当する位置におけるグリシンとの間に対するアラニン、ロイシン又はチロシンの挿入であり、
前記(h)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の4位に相当する位置におけるプロリン、7位に相当する位置におけるプロリン、及び10位に相当する位置におけるプロリンからなる群より選択される1つ以上のプロリンの欠失である、
〔1〕又は〔2〕記載のイムノグロブリン結合タンパク質。
〔4〕前記イムノグロブリン結合ドメインの変異体が、配列番号1~9のいずれかで示されるアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有し且つ以下の(a’)~(h’):
(a’)配列番号9で示されるアミノ酸配列の17位に相当する位置におけるアルギニン、グルタミン酸又はアスパラギン酸;
(b’)配列番号9で示されるアミノ酸配列の26位に相当する位置におけるアルギニン、グルタミン酸又はアスパラギン酸;
(c’)配列番号9で示されるアミノ酸配列の35位に相当する位置におけるアルギニン、グルタミン酸又はアスパラギン酸;
(d’)配列番号9で示されるアミノ酸配列の42位に相当する位置におけるリジン;
(e’)配列番号9で示されるアミノ酸配列の44位に相当する位置におけるフェニルアラニン又はトリプトファン;
(f’)配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置におけるグルタミン;
(g’)配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置と55位に相当する位置の間におけるアラニン、ロイシン又はチロシン;
(h’)配列番号9で示されるアミノ酸配列の4位に相当する位置、7位に相当する位置、及び10位に相当する位置からなる群より選択される少なくとも1つの位置におけるプロリンの欠失、
からなる群より選択される少なくとも1つを有するアミノ酸配列からなる、〔1〕~〔3〕のいずれか1項記載のイムノグロブリン結合タンパク質。
〔5〕前記イムノグロブリン結合ドメインの変異体が、配列番号1~9のいずれかで示されるアミノ酸配列と少なくとも85%の同一性を有し且つ以下の(a")~(l")のいずれか:
(a")配列番号9で示されるアミノ酸配列の17位に相当する位置におけるアルギニン;
(b")配列番号9で示されるアミノ酸配列の26位に相当する位置におけるアルギニン;
(c")配列番号9で示されるアミノ酸配列の35位に相当する位置におけるアルギニン;
(d")配列番号9で示されるアミノ酸配列の42位に相当する位置におけるリジン;
(e")配列番号9で示されるアミノ酸配列の44位に相当する位置におけるフェニルアラニン;
(f")配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置におけるグルタミン;
(g1")配列番号9で示されるアミノ酸配列の55位に相当する位置と56位に相当する位置の間におけるアラニン;
(g2")配列番号9で示されるアミノ酸配列の55位に相当する位置と56位に相当する位置の間におけるチロシン;
(h1")配列番号9で示されるアミノ酸配列の4位に相当する位置におけるプロリンの欠失;
(h2")配列番号9で示されるアミノ酸配列の4位に相当する位置及び7位に相当する位置におけるプロリンの欠失;
(h3")配列番号9で示されるアミノ酸配列の4位に相当する位置、7位に相当する位置、及び10位に相当する位置におけるプロリンの欠失;
(i")該(a")及び(b")の組み合わせ;
(j")該(b")、(c")及び(f")の組み合わせ;
(k")該(b")、(c")、(d")及び(f")の組み合わせ;
(l")該(a")、(b")、(c")、(d")、(f")及び(h3")の組み合わせ、
を有するアミノ酸配列からなる、〔1〕~〔4〕のいずれか1項記載のイムノグロブリン結合タンパク質。
〔6〕前記配列番号1~9のいずれかで示されるアミノ酸配列が、配列番号9で示されるアミノ酸配列である、〔1〕~〔5〕のいずれか1項記載のイムノグロブリン結合タンパク質。
〔7〕前記少なくとも85%の同一性が少なくとも90%の同一性である、〔1〕~〔6〕のいずれか1項記載のイムノグロブリン結合タンパク質。
〔8〕前記イムノグロブリン結合ドメインの変異体を2個以上含む、〔1〕~〔7〕のいずれか1項記載のイムノグロブリン結合タンパク質。
〔9〕〔1〕~〔8〕のいずれか1項記載のイムノグロブリン結合タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
〔10〕〔9〕記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
〔11〕〔10〕記載のベクターを含む形質転換体。
〔12〕固相担体と、該固相担体に結合した〔1〕~〔8〕のいずれか1項記載のイムノグロブリン結合タンパク質とを含む、アフィニティー担体。
〔13〕〔12〕記載のアフィニティー担体を用いる、抗体又はその断片の単離方法。
〔14〕〔1〕~〔8〕のいずれか1項記載のイムノグロブリン結合タンパク質を、〔11〕記載の形質転換体、もしくは無細胞タンパク質合成系において発現させるか、又は化学合成することを含む、イムノグロブリン結合タンパク質の製造方法。
〔15〕イムノグロブリン結合ドメインの変異体の製造方法であって、
配列番号1~9のいずれかで示されるアミノ酸配列又はこれらと少なくとも85%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つイムノグロブリンκ鎖結合活性を有するポリペプチドに対して、以下の(a)~(h):
(a)配列番号9で示されるアミノ酸配列の17位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(b)配列番号9で示されるアミノ酸配列の26位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(c)配列番号9で示されるアミノ酸配列の35位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(d)配列番号9で示されるアミノ酸配列の42位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(e)配列番号9で示されるアミノ酸配列の44位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(f)配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(g)配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置と55位に相当する位置の間に対する少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入;
(h)少なくとも1つのプロリンの欠失、
からなる群より選択される少なくとも1つの変異を加えることを含む、方法。
〔16〕前記(a)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の17位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換であり、
前記(b)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の26位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換であり、
前記(c)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の35位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換であり、
前記(d)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の42位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換であり、
前記(e)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の44位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換であり、
前記(f)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換であり、
前記(g)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置と55位に相当する位置の間に対する1個のアミノ酸残基の挿入であり、
前記(h)の変異が、1~3個のプロリンの欠失である、
〔15〕記載の製造方法。
〔17〕前記(a)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の17位に相当する位置におけるリジンのアルギニン、グルタミン酸又はアスパラギン酸への置換であり、
前記(b)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の26位に相当する位置におけるリジンのアルギニン、グルタミン酸又はアスパラギン酸への置換であり、
前記(c)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の35位に相当する位置におけるトレオニンのアルギニン、グルタミン酸又はアスパラギン酸への置換であり、
前記(d)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の42位に相当する位置におけるグルタミン酸のリジンへの置換であり、
前記(e)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の44位に相当する位置におけるチロシンのフェニルアラニン又はトリプトファンへの置換であり、
前記(f)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置におけるアスパラギンのグルタミンへの置換であり、
前記(g)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置におけるアスパラギンと55位に相当する位置におけるグリシンとの間に対するアラニン、ロイシン又はチロシンの挿入であり、
前記(h)の変異が、配列番号9で示されるアミノ酸配列の4位に相当する位置におけるプロリン、7位に相当する位置におけるプロリン、及び10位に相当する位置におけるプロリンからなる群より選択される1つ以上のプロリンの欠失である、
〔15〕又は〔16〕記載の製造方法。
〔18〕前記少なくとも1つの変異が、以下の(a")~(l")のいずれか:
(a")配列番号9で示されるアミノ酸配列17位に相当する位置におけるリジンのアルギニンへの置換;
(b")配列番号9で示されるアミノ酸配列の26位に相当する位置におけるリジンのアルギニンへの置換;
(c")配列番号9で示されるアミノ酸配列の35位に相当する位置におけるトレオニンのアルギニンへの置換;
(d")配列番号9で示されるアミノ酸配列の42位に相当する位置におけるグルタミン酸のリジンへの置換;
(e")配列番号9で示されるアミノ酸配列の44位に相当する位置におけるチロシンのフェニルアラニンへの置換;
(f")配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置におけるアスパラギンのグルタミンへの置換;
(g1")配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置と55位に相当する位置の間に対するアラニンの挿入;
(g2")配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置と55位に相当する位置の間に対するチロシンの挿入;
(h1")配列番号9で示されるアミノ酸配列の4位に相当する位置におけるプロリンの欠失;
(h2")配列番号9で示されるアミノ酸配列の4位に相当する位置及び7位に相当する位置におけるプロリンの欠失;
(h3")配列番号9で示されるアミノ酸配列の4位に相当する位置、7位に相当する位置、及び10位に相当する位置におけるプロリンの欠失;
(i")該(a")及び(b")の組み合わせ;
(j")該(b")、(c")及び(f")の組み合わせ;
(k")該(b")、(c")、(d")及び(f")の組み合わせ;
(l")該(a")、(b")、(c")、(d")、(f")及び(h3")の組み合わせ、
である、〔15〕~〔17〕のいずれか1項記載の製造方法。
〔19〕前記配列番号1~9のいずれかで示されるアミノ酸配列が、配列番号9で示されるアミノ酸配列である、〔15〕~〔18〕のいずれか1項記載の製造方法。
〔20〕前記少なくとも85%の同一性が少なくとも90%の同一性である、〔15〕~〔19〕のいずれか1項記載の製造方法。
〔21〕前記イムノグロブリン結合ドメインの変異体が、親ドメインと比べてアルカリ耐性が向上している、〔15〕~〔20〕のいずれか1項記載の製造方法。
〔22〕前記変異を加えたポリペプチドを〔11〕記載の形質転換体、もしくは無細胞タンパク質合成系において発現させるか、又は化学合成することをさらに含む、〔15〕~〔21〕のいずれか1項記載の製造方法。
〔23〕固相担体に、〔1〕~〔8〕のいずれか1項記載のイムノグロブリン結合タンパク質を固定化することを含む、アフィニティー担体の製造方法。
本発明のイムノグロブリン結合タンパク質は、プロテインLのイムノグロブリン結合ドメインに由来するイムノグロブリン結合ドメインの変異体(以下、本発明の変異体ともいう)を少なくとも1つ含む。本発明の変異体は、親ドメインであるプロテインL由来のイムノグロブリン結合ドメイン又はその変異体に所定の変異を加えることによって得ることができる。本発明の変異体は、イムノグロブリンκ鎖結合性を有し、且つ親ドメインと比べてアルカリ耐性が向上している。本発明の変異体を有する本発明の変異イムノグロブリン結合タンパク質は、アフィニティー担体のリガンドとして使用することができる。
(a)配列番号9で示されるアミノ酸配列の17位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(b)配列番号9で示されるアミノ酸配列の26位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(c)配列番号9で示されるアミノ酸配列の35位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(d)配列番号9で示されるアミノ酸配列の42位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(e)配列番号9で示されるアミノ酸配列の44位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(f)配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置におけるアミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換もしくは欠失、又は当該位置の前もしくは後の位置への他のアミノ酸残基の挿入;
(g)配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置と55位に相当する位置の間に対する少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入;
(h)少なくとも1つのプロリンの欠失、
からなる群より選択される少なくとも1つの変異を導入して得られたポリペプチドであって、イムノグロブリンκ鎖結合活性を保持しているものである。
(a’)配列番号9で示されるアミノ酸配列の17位に相当する位置におけるアルギニン、グルタミン酸又はアスパラギン酸;
(b’)配列番号9で示されるアミノ酸配列の26位に相当する位置におけるアルギニン、グルタミン酸又はアスパラギン酸;
(c’)配列番号9で示されるアミノ酸配列の35位に相当する位置におけるアルギニン、グルタミン酸又はアスパラギン酸;
(d’)配列番号9で示されるアミノ酸配列の42位に相当する位置におけるリジン;
(e’)配列番号9で示されるアミノ酸配列の44位に相当する位置におけるフェニルアラニン又はトリプトファン;
(f’)配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置におけるグルタミン;
(g’)配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置と55位に相当する位置の間におけるアラニン、ロイシン又はチロシン;
(h’)配列番号9で示されるアミノ酸配列の4位に相当する位置、7位に相当する位置、及び10位に相当する位置からなる群より選択される少なくとも1つの位置におけるプロリンの欠失、
からなる群より選択される少なくとも1つを有するアミノ酸配列からなり、イムノグロブリンκ鎖結合活性を有するポリペプチドが挙げられる。
(a")配列番号9で示されるアミノ酸配列の17位に相当する位置におけるアルギニン;
(b")配列番号9で示されるアミノ酸配列の26位に相当する位置におけるアルギニン;
(c")配列番号9で示されるアミノ酸配列の35位に相当する位置におけるアルギニン;
(d")配列番号9で示されるアミノ酸配列の42位に相当する位置におけるリジン;
(e")配列番号9で示されるアミノ酸配列の44位に相当する位置におけるフェニルアラニン;
(f")配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置におけるグルタミン;
(g1")配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置と55位に相当する位置の間におけるアラニン;
(g2")配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位に相当する位置と55位に相当する位置の間におけるチロシン;
(h1")配列番号9で示されるアミノ酸配列の4位に相当する位置におけるプロリンの欠失;
(h2")配列番号9で示されるアミノ酸配列の4位に相当する位置及び7位に相当する位置におけるプロリンの欠失;
(h3")配列番号9で示されるアミノ酸配列の4位に相当する位置、7位に相当する位置及び10位に相当する位置におけるプロリンの欠失;
(i")該(a")及び(b")の組み合わせ;
(j")該(b")、(c")及び(f")の組み合わせ;
(k")該(b")、(c")、(d")及び(f")の組み合わせ;
(l")該(a")、(b")、(c")、(d")、(f")及び(h3")の組み合わせ、
を有するアミノ酸配列からなり、イムノグロブリンκ鎖結合活性を有するポリペプチドが挙げられる。
本発明のイムノグロブリン結合タンパク質は、当該分野で公知の手法、例えばアミノ酸配列に基づく化学合成法や、リコンビナント法などにより製造することができる。例えば、本発明のイムノグロブリン結合タンパク質は、Frederick M. AusbelらによるCurrent Protocols In Molecular Biologyや、Sambrookら編集のMolecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press,3rd edition,2001)などに記載されている公知の遺伝子組換え技術を利用して製造することができる。すなわち、本発明のイムノグロブリン結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを大腸菌などの宿主に形質転換し、得られた組換え体を適切な液体培地で培養することにより、培養後の細胞から、目的のタンパク質を大量且つ経済的に取得することができる。好ましい発現ベクターとしては、宿主細胞内で複製可能な既知のベクターのいずれをも用いることができ、例えば、米国特許第5,151,350号明細書に記載されているプラスミドや、Sambrookら編集のMolecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press,3rd edition,2001)などに記載されているプラスミドが挙げられる。また、形質転換のための宿主としては、特に限定されないが、大腸菌などのバクテリア、真菌類、昆虫細胞、哺乳類細胞等の組換えタンパク質を発現させるために用いられる公知の宿主を用いることができる。宿主中に核酸を導入することにより宿主を形質転換させるためには、各宿主に応じて当該技術分野において知られるいずれの方法を用いてもよく、例えば、Sambrookら編集のMolecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press,3rd edition,2001)などに記載されている公知の方法を利用することができる。得られた形質転換体(例えば細菌等の細胞)を培養して発現されたタンパク質を回収する方法は、当業者によく知られている。あるいは、本発明のイムノグロブリン結合タンパク質は、無細胞タンパク質合成系を用いて発現させてもよい。
本発明のイムノグロブリン結合タンパク質は、アフィニティーリガンドとして使用することができる。本発明のイムノグロブリン結合タンパク質を固相担体に固定化することによって、該本発明のイムノグロブリン結合タンパク質をリガンドとしたアフィニティー担体を製造することができる。当該アフィニティー担体は、プロテインL由来のイムノグロブリン結合タンパク質をリガンドとする担体であり、イムノグロブリンκ鎖結合活性を有する。また当該アフィニティー担体は、野生型プロテインLやそのドメインをリガンドとする担体に比べて、アルカリ耐性が向上している。
本発明の一実施形態に係る抗体又はその断片(以下、単に抗体と表記する。)の単離方法を説明する。本実施形態に係る抗体の単離方法は、好適には、本発明のイムノグロブリン結合タンパク質を固定化したアフィニティー担体に、抗体を含有する試料を通液し、該担体に抗体を吸着させる工程(第一の工程)、及び、該担体から該抗体を溶出させる工程(第二の工程)を含む。
(1)グリシジルメタクリレート(三菱レーヨン社製)8.2g、トリメチロールプロパントリメタクリレート(サートマー社製)65.9g及びグリセリンモノメタクリレート(日油社製)90.6gを、2-オクタノン(東洋合成工業社製)245.8g及びアセトフェノン(和光純薬工業社製)62gに溶解させ、2,2’-アゾイソブチロニトリル(和光純薬工業社製)2gを添加し、有機モノマー溶液を調製した。
(2)4240gの純水に、ポリビニルアルコール(クラレ社製 PVA-217)8.5g、ドデシル硫酸ナトリウム(花王社製 エマール10G)0.43g及び硫酸ナトリウム(和光純薬工業社製)21.3gを添加し、一晩撹拌して水溶液を調製した。
(3)(2)で得られた水溶液を7Lセパラブルフラスコ内に投入し、温度計、攪拌翼及び冷却管を装着して、温水バスにセットし、窒素雰囲気下、600rpmで撹拌した。続いて、セパラブルフラスコを温水バスにより加温し、水溶液の温度が85℃になったところで、この水溶液に滴下ロートを用いて(1)で得られた有機モノマー溶液を添加し、5時間攪拌を行った。
(4)(3)で得られた反応液を冷却した後、5Lのポリプロピレン製ビンに移し、粒子が浮遊するまで静置し、余分な水を下方から吸い出して廃棄した。残った粒子を含む液に、アセトンを加えて粒子を沈降させ、3分間静置した後、デカンテーションによりアセトンを除去した。この操作を2回繰り返した。残留物に水を加えて粒子を沈降させた後、3分間静置してデカンテーションした。この操作を2回繰り返して粒子を洗浄した後、液分をアセトンで置換して、一晩風乾したのち、真空乾燥機にて乾燥を行い、多孔質粒子(以下、PBと記す)90gを得た。PBの平均粒径は53μm、比表面積は95m2/gであった。
配列番号10~23のいずれかに示すアミノ酸配列からなるイムノグロブリン結合ドメイン変異体(変異ドメイン)を複数個含むタンパク質をコードする遺伝子のそれぞれをpET-24a(+)ベクターに組み込んだプラスミドを、人工遺伝子合成メーカーより入手した。これらのプラスミドを大腸菌コンピテントセルBL21(DE3)(NEW ENGLAND BioLabs製)に形質転換して形質転換細胞を得た。
得られた形質転換細胞を、吸光度(OD600)が約10に到達するまで37℃でインキュベートした。その後、終濃度で1mMになるようにIPTG(Sigma-Aldrich製)を添加し、さらに4時間37℃でインキュベートして、組み換え型イムノグロブリンκ鎖結合タンパク質を発現させた。細胞を回収し、pH9.5のトリス緩衝液中で破砕した。得られた細胞破砕液から、陰イオン交換クロマトグラフィー(Q-セファロースFF、GEヘルスケアバイオサイエンス社製)及び陽イオン交換クロマトグラフィー(SP-セファロースFF、GEヘルスケアバイオサイエンス社製)によって、組み換えイムノグロブリン結合タンパク質を精製した。精製したイムノグロブリン結合タンパク質を、10mMクエン酸緩衝液pH6.6に対して16時間透析した。SDS-PAGEによって確認された組み換え型イムノグロブリン結合タンパク質の純度は95%以上であった。精製された組換え型イムノグロブリンκ鎖結合タンパク質を、それぞれKBP1~14とした。
配列番号9に示すアミノ酸配列からなる野生型イムノグロブリン結合ドメインを複数個含むタンパク質をコードする遺伝子を組み込んだプラスミドを用いて、実施例1と同様の手順で、組換え型イムノグロブリンκ鎖結合タンパク質KBP0を製造した。
実施例1で調製したPBを8mg含むように150μLの純水に懸濁させ、フィルターチューブ(Millipore社)に移し遠心して純水を除いた。ここに、比較例1で調製したKBP0を1mg溶解した450μLの0.85M硫酸ナトリウムを含む0.1M炭酸緩衝液(pH10)を加え、25℃で5時間振盪させ、KBP0をPBに結合させた。生成した粒子を濾過した後、1Mチオグリセロール400μLと混合して25℃で16時間反応させ、残余のエポキシ基をブロッキングし、30mM NaOHで洗浄後、50mMクエン酸ナトリウムバッファー(pH2.5)及び0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7.6)で洗浄し、400μLの結合多孔質粒子(KBP0/PB)を得た。
同様の手順で、KBP1~14のいずれかが結合した多孔質粒子(KBP1/PB~KBP14/PB)を得た。
(1)アルカリ処理なしでの多孔質粒子のSBCの測定
2mgの多孔質粒子(KBP0/PB)を含む100μLの懸濁液をフィルターチューブ(Millipore社)に移し、遠心して透過液を除いた。これに20mMリン酸バッファー(pH7.5)400μLを添加し、遠心して透過液を除去し、チューブ内の粒子を平衡化させた。次いでこれに0.8mgのFabを含む20mMリン酸バッファー(pH7.5)400μLを添加し、1時間インキュベートし、遠心した後、さらに20mMリン酸バッファー(pH7.5)400μLで洗浄し、遠心した。次いで50mMクエン酸ナトリウムバッファー(pH2.5)400μLを添加し、遠心してFabを含む溶出液を回収した。溶出液中のFab量を吸光度測定により算出し、溶出Fab量と担体体積から静的結合容量(SBC)を求めた。同様の手順で、KBP1/PB~KBP14/PBのSBCを求めた。
2mgの多孔質粒子(KBP0/PB)を含む100μLの懸濁液をフィルターチューブ(Millipore社)に移し、遠心して透過液を除いた。これに0.1M NaOHを400μL添加し、24時間振盪しながら浸漬後、遠心して透過液を除去した。次いで20mMリン酸バッファー(pH・BR>V.5)400μLを添加し、遠心して透過液を除去し、チューブ内の粒子を平衡化させた。これに0.8mgのFabを含む20mMリン酸バッファー(pH7.5)400μLを添加し、1時間インキュベートし、遠心した後、さらに20mMリン酸バッファー(pH7.5)400μLで洗浄し、遠心した。次いで50mMクエン酸ナトリウムバッファー(pH2.5)400μLを添加し、遠心してFabを含む溶出液を回収した。溶出液中のFab量を吸光度測定により算出し、溶出Fab量と担体体積から静的結合容量(SBC)を求め、(1)で求めたアルカリ処理なしでのSBCに対する相対値(SBC維持率、%)を算出した。同様の手順で、KBP1/PB~KBP14/PBのSBC維持率(%)を求めた。
測定結果を表3に示す。アルカリ処理をしない条件下では、変異ドメインを用いた多孔質粒子(KBP1/PB~KBP14/PB)のSBCは、野生型ドメインを用いたKBP0/PBとほぼ同等であった。一方、アルカリ処理後には、KBP1/PB~KBP14/PBのSBCは、KBP0/PBと比べて顕著に向上していた。この結果から、変異ドメインを含むリガンドタンパク質KBP1~14は、野生型タンパク質と比べてアルカリ耐性が高く、0.1M水酸化ナトリウムに24時間曝露するという過酷な条件下でも高い抗体結合性を維持することができることが示された。
Claims (11)
- イムノグロブリン結合タンパク質であって、
イムノグロブリン結合ドメインの変異体を少なくとも1つ含み、
該イムノグロブリン結合ドメインの変異体が、配列番号9で示されるアミノ酸配列に対して以下の(b)、(c)及び(f)の変異を加えたアミノ酸配列からなり、且つイムノグロブリンκ鎖結合活性を有する:
(b)配列番号9で示されるアミノ酸配列の26位におけるアミノ酸残基のアルギニンへの置換;
(c)配列番号9で示されるアミノ酸配列の35位におけるアミノ酸残基のアルギニンへの置換;
(f)配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位におけるアミノ酸残基のグルタミンへの置換、
イムノグロブリン結合タンパク質。 - 請求項1記載のイムノグロブリン結合タンパク質に含まれるイムノグロブリン結合ドメインの変異体にさらに以下の(d)、(a)及び(h)の変異を加えたイムノグロブリン結合ドメインの変異体を少なくとも1つ含む、イムノグロブリン結合タンパク質:
(d)配列番号9で示されるアミノ酸配列の42位におけるアミノ酸残基のリジンへの置換;
(a)配列番号9で示されるアミノ酸配列の17位におけるアミノ酸残基のアルギニンへの置換;
(h)配列番号9で示されるアミノ酸配列の4位、7位、及び10位におけるプロリンの欠失。 - 前記イムノグロブリン結合ドメインの変異体を2個以上含む、請求項1又は2記載のイムノグロブリン結合タンパク質。
- 請求項1~3のいずれか1項記載のイムノグロブリン結合タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
- 請求項4記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
- 請求項5記載のベクターを含む形質転換体。
- 固相担体と、該固相担体に結合した請求項1~3のいずれか1項記載のイムノグロブリン結合タンパク質とを含む、アフィニティー担体。
- 請求項7記載のアフィニティー担体を用いる、抗体又はその断片の単離方法。
- 請求項1~3のいずれか1項記載のイムノグロブリン結合タンパク質を、請求項6記載の形質転換体、もしくは無細胞タンパク質合成系において発現させるか、又は化学合成することを含む、イムノグロブリン結合タンパク質の製造方法。
- イムノグロブリン結合ドメインの変異体の製造方法であって、
配列番号9で示されるアミノ酸配列からなり、且つイムノグロブリンκ鎖結合活性を有するポリペプチドに対して、以下の(b)、(c)及び(f)の変異を加えることを含む、方法:
(b)配列番号9で示されるアミノ酸配列の26位におけるアミノ酸残基のアルギニンへの置換;
(c)配列番号9で示されるアミノ酸配列の35位におけるアミノ酸残基のアルギニンへの置換;
(f)配列番号9で示されるアミノ酸配列の54位におけるアミノ酸残基のグルタミンへの置換。 - 固相担体に、請求項1~3のいずれか1項記載のイムノグロブリン結合タンパク質を固定化することを含む、アフィニティー担体の製造方法。
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C21 | Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings |
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