以下、図面を参照しながら医用情報処理装置及び医用情報処理システムの各実施形態を説明する。なお、以下の説明において、略同一の構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置及びその周辺構成を示す模式図であり、図2は重み付け情報の一例を説明するための模式図である。
ここで、医用情報処理システム1は、互いに接続された医用情報処理装置10、画像データベース21、患者情報データベース22及びゲートウェイ(GW)装置23を備えている。ゲートウェイ装置23は、医用情報処理装置10を、ネットワークNwを介して連携先のn個の医用情報処理システム31,32,…,3nに通信可能としている(nは自然数)。すなわち、ある地域において、各々の医療機関における医用情報処理システム1,31,32,…,3nは、ネットワークNwを介した通信により、互いに連携している。但し、各々の医用情報処理システム1,31,…,3nは、互いに独立して患者IDを発行するので、通常の場合、同一の患者に対して異なる患者IDを割り振っている。このため、異なる患者IDに対する患者を同定する際には、医用情報処理システム1は、連携先の医用情報処理システム31,…,3nのうちの1台の医用情報処理システムと通信を行う場合が多い。また、各々の医用情報処理システム1,31,32,…,3nは、互いに同様の構成を有している。このため、医用情報処理システム1についての説明は、適宜、符号を読み替えることにより、医用情報処理システム31,32,…,3nについての説明に読み替えることが可能である。このような医用情報処理システム1及びその周辺装置のハードウェア構成は、一般的なコンピュータシステムとして実現可能である。なお、医用情報処理システム1は、医療施設内システムと呼んでもよい。また、医用情報処理装置10は、画像データベース21及び患者情報データベース22の少なくとも一つを含む構成に変形してもよい。
ここで、医用情報処理装置10は、メモリ11、ディスプレイ12、入力インターフェース13、処理回路15及び通信インターフェース16を備えている。医用情報処理装置10は、画像データベース21及び患者情報データベース22の少なくとも一つを更に備えてもよい。この場合、画像データベース21及び患者情報データベース22の少なくとも一つは、メモリ11に対して同一の記憶装置の異なる記憶領域として実装してもよく、メモリ11に対して異なる記憶装置として実装してもよい。処理回路15は、取得機能151、変更機能152及び比較機能157を実現する。変更機能152は、適宜、検出機能153、表示制御機能154、設定機能155及び調整機能156を含んでもよい。
ここで、メモリ11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hardware Disk Drive)及び画像メモリなど電気的情報を記録するメモリ本体と、それらメモリ本体に付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路から構成されている。メモリ11は、入力された情報、医用画像、患者情報、重み付け情報11a、処理途中のデータ、処理後のデータ、医用情報処理装置10のプログラム等を記憶する。メモリ11に記憶される新規の第1医用画像は、例えば、連携先の医用情報処理システム31~3nのいずれかから取得される。あるいは、メモリ11に記憶される新規の第1医用画像は、例えば、連携先の医用情報処理システム31~3nのいずれかから画像データベース21に書き込まれた後、画像データベース21から取得される。メモリ11に記憶される過去の第2医用画像は、例えば、画像データベース21から読み出される。メモリ11に記憶される重み付け情報11aは、図2に一例を示すように、第1医用画像のID及び部位に対し、解剖学的ランドマークの名称、重み付けの値、特異点フラグ、及び比較対象から外すか否かの情報、が互いに関連付けられて記述される。ここで、第1医用画像のID及び部位は、例えば、第1医用画像の付帯情報から取得される。また、部位、解剖学的ランドマークの名称、重み付けの値、特異点フラグ、及び比較対象から外すか否かの情報は、予め重み付け情報11aのテンプレートに初期設定されている。メモリ11は、医用情報処理装置10を医用情報処理システム1に配置する前に予めプログラムを記憶してもよい。あるいは、メモリ11は、医用情報処理装置10となるコンピュータを医用情報処理システム1に配置した後に、プログラムを配信するサーバ装置、又はプログラムを記憶した非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体などから取得したプログラムを記憶してもよい。メモリ11は、第1記憶部の一例である。
ディスプレイ12は、各種の情報を表示するディスプレイ本体と、ディスプレイ本体に表示用の信号を供給する内部回路、ディスプレイ本体と内部回路とをつなぐコネクタやケーブルなどの周辺回路から構成されている。各種の情報としては、例えば、医用画像や解剖学的ランドマークなどの医用情報、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)、重み付けの設定画面、処理回路15の処理結果などがある。内部回路は、処理回路15から供給される画像データに付帯情報を重畳して表示データを生成し、得られた表示データに対しD/A変換とTVフォーマット変換を行なってディスプレイ本体に表示する。ディスプレイ12は、表示部の一例である。
入力インターフェース13は、情報の入力、条件の設定、各種コマンド信号の入力等を行う。入力インターフェース13は、例えば、入力操作を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、及び表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力インターフェース13は、処理回路15に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し、処理回路15へと出力する。なお、本明細書において入力インターフェース13はマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路15へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース13の例に含まれる。
通信インターフェース16は、有線、無線又はその両方にて外部装置と通信するための回路である。外部装置は、図1に示す例では、画像データベース21及び患者情報データベース22と、ゲートウェイ装置23を介したネットワークNw上の連携先の医用情報処理システム31~3nとであるが、これらに限定されない。外部装置は、例えば、モダリティ、画像処理装置、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiological Information System)、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)及びPACS(Picture Archiving and Communication System)等のシステムに含まれるサーバ、あるいは他のワークステーション等としてもよい。
処理回路15は、操作者により入力インターフェース13を介してから入力された指示に基づいて、メモリ11に記憶されたプログラムを読み出し、実行することでプログラムに対応する各機能を実現するプロセッサである。換言すると、プログラムを読み出した状態の処理回路15は、通常のコンピュータ機能に加え、図1に示された取得機能151、変更機能152及び比較機能157などの各機能を有することとなる。なお、図1においては単一のプロセッサにて各機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路15を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、図1においては単一のメモリ11が各機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数のメモリを分散して配置して、処理回路15は個別のメモリから各機能に対応する各プログラムを読み出す構成としても構わない。
ここで、取得機能151は、連携先のいずれかの医用情報処理システム31~3nから送信され、メモリ11に保存された新規の第1医用画像から複数の第1解剖学的ランドマークの位置を取得する。なお、取得機能151は、連携先のいずれかの医用情報処理システム31~3nから送信され、画像データベース21を介してメモリ11に保存された新規の第1医用画像から複数の第1解剖学的ランドマークの位置を取得してもよい。第1解剖学的ランドマークの位置は、当該第1医用画像における第1解剖学的ランドマークの座標である。補足すると、解剖学的ランドマークは、人体構造において明確に定義された点である。解剖学的ランドマークは、骨、血管又は臓器などの解剖学的構造に関して、解剖学的に定義することができる。解剖学的ランドマークの位置は、座標空間における点と見なすことができる。また、各々の解剖学的ランドマークの位置は、いずれかの解剖学的ランドマークを原点としたときの相対座標とみなすこともできる。これらは、本明細書中で同様である。
なお、取得機能151は、第1解剖学的ランドマークの位置に加え、第1解剖学的ランドマークの名称を取得してもよい。このような取得機能151は、例えば、予め設定された解剖学的ランドマークの形状や名称などを用い、当該解剖学的ランドマークの形状に基づいて第1医用画像から第1解剖学的ランドマークの座標を検出し、検出した座標に当該名称を関連付けることにより、実現可能である。これに限らず、取得機能151は、既存の解剖学的ランドマーク抽出技術が使用可能である。また、取得機能151は、画像データベース21又はメモリ11内の第2医用画像から複数の第2解剖学的ランドマーク情報を取得してもよい。第2解剖学的ランドマーク情報は、当該第2解剖学的ランドマークの名称、座標を含んでいる。取得機能151は、取得部の一例である。
新規の第1医用画像は、連携先の医用情報処理システムにより患者IDが割り振られている。過去の第2医用画像は、医用情報処理システム1により患者IDが割り振られている。第1医用画像及び第2医用画像は、同一又は異なる患者から撮影され、互いに異なる患者IDや画像IDが付帯情報に記述されており、互いに同一の撮影部位が付帯情報に記述されている。
変更機能152は、取得機能151により取得した位置に基づき、過去の第2医用画像内の複数の第2解剖学的ランドマークとの比較に用いる第1解剖学的ランドマークの重み付けの設定を変更する。変更機能152は、変更部の一例である。
ここで、変更機能152は、以下の検出機能153、表示制御機能154、設定機能155及び調整機能156を適宜、含んでもよい。
検出機能153は、取得機能151により取得した位置に基づき、複数の第1解剖学的ランドマークのうち、平均的解剖学的ランドマークの位置から外れた第1解剖学的ランドマークを特異点として検出する。検出機能153は、検出部の一例である。
表示制御機能154は、各機能による処理に応じて、処理途中のデータや処理結果のデータなどを表示するように、ディスプレイ12を制御する。例えば、表示制御機能154は、当該検出した特異点を、比較に用いるか否かを設定するための設定画面をディスプレイ12に表示させる。この設定画面としては、操作者の操作性の観点から、例えば、特異点を比較に用いるか否かを設定(選択)するためのGUI(Graphical User Interface)を含むことが好ましい。GUIとしては、例えば、特異点及びその選択又は非選択を設定(指定)するためのアイコン、特異点を比較に用いるか否かを設定(選択)するためのチェックボックス、あるいは、操作されるボタン等といったGUI部品が適宜、使用可能となっている。なお、ここで例示したGUIは、設定画面中で少なくとも一つを含めばよい。例えば、特異点及びその選択/非選択を示すアイコンの操作により、特異点を比較に用いるか否かを選択可能とすることにより、チェックボックスを設定画面から省略してもよい。あるいは、当該アイコンを、操作によって動作しないランドマーク(特異点の単なるマーク)に代えることにより、設定画面から省略してもよい。また、GUIの種類は他の種類に代えてもよい。例えば、GUIは、チェックボックスに代えて、ラジオボタンを用いてもよい。GUIは、GUI部品と呼んでもよい。表示制御機能154は、表示制御部の一例である。
設定機能155は、設定画面の表示中に、操作者によるGUIの操作に応じて、特異点の重み付けを設定する。設定機能155は、設定部の一例である。
調整機能156は、特異点が臓器の一部を示す場合に、重み付けの値を初期値より低くするように設定を調整する。調整機能156は、調整部の一例である。
比較機能157は、重み付けの設定に基づいて、第1解剖学的ランドマークと第2解剖学的ランドマークとの比較を行う。比較機能157は、比較部の一例である。
画像データベース21は、新規の第1医用画像及び過去の第2医用画像を記憶する記憶装置である。新規の第1医用画像は、連携先の医用情報処理システム31が属する医療機関による患者IDが割り振られている。過去の第2医用画像は、医用情報処理システム1が属する医療機関による患者IDが割り振られており、当該患者IDを介して患者情報データベース22内の患者情報に関連付けられている。画像データベース21は、医用情報処理システムにおける記憶装置の一例である。
患者情報データベース22は、患者情報を保存する記憶装置である。患者情報は、患者ID、年齢、性別、身長、体重及び既往歴など、患者についての情報を含んでいる。なお、既往歴は、患者情報とは別の情報として保存してもよい。例えば、既往歴は、解剖学的ランドマークの変形に関する情報であるので、胃切除術などの治療歴を示した手術報告書の一部としてもよい。胃切除術としては、例えば、胃全摘術、幽門側胃切除術、幽門保存胃切除術、噴門側胃切除術などがあり、それぞれ切除範囲に応じて解剖学的ランドマークを変形させる。すなわち、既往歴は、解剖学的ランドマークの特異点に関連している。
ゲートウェイ装置23は、医用情報処理システム1の内部ネットワークと、外部のネットワークNwとの間を通信可能に接続する装置である。
連携先の医用情報処理システム31~3nは、前述した通り、互いに同様の構成を有する。このため、以下では医用情報処理システム31を代表例として説明する。連携先の医用情報処理システム31は、医用情報処理システム1と連携する医療機関に設けられ、医用画像DB及び診療歴DBに保存される医用画像や各テーブルの内容が患者に応じて異なるものの、医用情報処理システム1と同様の機能をもっている。
次に、以上のように構成された医用情報処理装置及び医用情報処理システムの動作について図4のフローチャート、及び図5乃至図9の模式図を用いて説明する。以下の説明は、互いに連携する医療機関のうち、一方の医療機関が患者の医用情報の提供を要求し、他方の医療機関が当該医用情報を提供する場合を例に挙げて述べる。但し、この患者は、過去の手術等で解剖学的ランドマークが変化したことに加え、意識不明又は認知症などによって患者を同定するための情報を聞き取ることができない状態にあるとする。なお、過去の手術としては、胃切除術を例に用いて述べるが、これに限定されない。
始めに、連携先の医用情報処理システム31は、この患者の新規の第1医用画像を撮影し、当該患者の過去の第2医用画像や患者情報などの医用情報の提供を要求する要求メッセージを医用情報処理システム1に送信する。このとき、要求メッセージは、例えば、分かる範囲での患者個人を特定するための情報が所定のフォーマットで記述されたメッセージ本文と、添付ファイルとしての第1医用画像とを含んでいるとする。ここで、患者個人を特定するための情報としては、例えば、患者が意識不明又は認知症の場合には、見た目での年齢や性別が使用可能である。なお、患者が認知症の場合には、さらに、患者の氏名、住所、年齢などが使用可能である。ただし、氏名や住所は、それぞれ聞き取れた範囲でよい。認知症の場合の年齢は、見た目での年齢を用いてもよい。他に、患者個人を特定するための情報として、性別を用いてもよい。ここで、患者個人を特定する情報が患者の氏名を含む場合、患者の同定は、第1医用画像の患者が、当該患者と同姓同名の過去の第2医用画像の患者に一致することを確認する処理となる。この場合、同定する患者の候補は、通常、一名である。これに対し、患者個人を特定する情報が患者の氏名を含まない場合、患者の同定は、第1医用画像の患者に一致する過去の第2医用画像の患者を、第1医用画像の患者と同じ年齢層の過去の第2医用画像の患者から探す処理となる。この場合、同定する患者の候補は、通常、複数名である。いずれにしても、基本的には、同定する患者の候補を氏名や年齢層で絞り込んでおく。但し、同定する患者の候補を全患者とすることも可能である。また、患者個人を特定する情報が患者の住所を含む場合、連携先の医用情報処理システム31は、要求メッセージの送信先として、患者の住所から近い医療機関の医用情報処理システム1を選択してもよい。この場合、例えば、予め連携先の各々の医用情報処理システムの名称と、物理的に近い住所及び交通手段を用いた場合に近い住所を示す住所範囲とを関連付けた送信先選択テーブルをメモリに記憶しておき、患者の住所から送信先を選択してもよい。あるいは、操作者が経験により送信先を選択してもよい。但し、要求メッセージの送信先は、住所で絞り込む場合に限らず、全ての連携先の医用情報処理システムとしてもよい。また、要求メッセージの送信先は、1つの医用情報処理システム1の場合に限らず、複数の医用情報処理システム1,32,…であってもよい。
医用情報処理システム1内の医用情報処理装置10は、要求メッセージを受けると、処理回路15が、当該要求メッセージをメモリ11に保存すると共に、ディスプレイ12に表示させる。なお、処理回路15は、当該要求メッセージを一旦、画像データベース21に保存した後、画像データベース21から取得した要求メッセージをディスプレイ12に表示してもよい。いずれにしても操作者は、ディスプレイ12に表示された要求メッセージを視認し、入力インターフェース13の操作により、患者個人を特定するための情報を入力する。
これにより、ステップST1において、処理回路15は、患者個人を特定するための情報の入力を受け付ける。以下、処理回路15は、取得機能151、変更機能152及び比較機能157などにより、ステップST2~ST10の処理を実行する。変更機能152は、適宜、検出機能153、表示制御機能154、設定機能155及び調整機能156を含む。
ステップST1の後、ステップST2において、処理回路15は、メモリ11内の第1医用画像から複数の第1解剖学的ランドマークの位置を取得する。
ステップST2の後、ステップST3~ST6において、処理回路15は、取得した位置に基づき、第1解剖学的ランドマークの重み付けの設定を変更する。
具体的には、ステップST3において、処理回路15は、図4に示すように、第1医用画像g1から取得した複数の第1解剖学的ランドマークL11~L15と、平均的医用画像における複数の平均的解剖学的ランドマークL1a~L5aとを比較する。これにより、処理回路15は、複数の第1解剖学的ランドマークL11~L15のうち、平均的解剖学的ランドマークL3a~L5aの位置から外れた第1解剖学的ランドマークL3~L5を特異点P1~P3として検出する(ステップST4;Yes)。この場合、処理回路15は、メモリ11内の重み付け情報11aの特異点フラグを更新した後、図5に示す如き、特異点P1~P3を示す第1医用画像g1をディスプレイ12に表示させてもよい。特異点フラグは、特異点を「1」、特異点以外を「0」で表すが、「1」と「0」を逆に用いてもよい。あるいは、処理回路15は、例えば図6に示す如き、特異点の名称を示すリストを第1医用画像g1と共に、ディスプレイ12に表示させてもよい。いずれにしても、処理回路15は、特異点を検出した場合にはステップST5に移行する。なお、特異点を検出しなかった場合(ST4;No)には、ステップST7に移行する。
ステップST5において、処理回路15は、例えば図7又は図8に示すように、当該検出した特異点P1~P3を、比較に用いるか否かを設定するためのGUIを含む重み付けの設定画面12a,12bをディスプレイ12に表示させる。図7に示す例では、設定画面12aが、第1医用画像g1に重畳され、特異点P1,・・・,P3を示すランドマークと、当該ランドマークの近傍に配置され、特異点P1,・・・,P3を比較に用いるか否かを示すGUI(例、チェックボックス)とを含んでいる。これに加え、設定画面12a,12bは、実行ボタンbtのGUIを含んでもよい。なお、特異点P1,・・・,P3を示すランドマークは、第1医用画像g1に代えて、第1医用画像g1に対応する模式図に重畳してもよい。図8に示す例では、設定画面12bが、特異点の名称と、特異点の名称毎に当該特異点を比較に用いるか否かを示すGUI(例、チェックボックス)とを関連付けた表形式の画面となっている。いずれにしても、設定画面12a,12bは、操作者によるGUIの操作により、特異点P1,・・・,P3を比較に用いるか否かが設定可能となっている。
ステップST5の後、ステップST6において、処理回路15は、例えば設定画面12aの表示中に、操作者によるGUIの操作に応じて、特異点P1,P2,P3の重み付けを設定する。この例では、特異点P1~P3を比較に用いないようにチェックボックスを設定し、実行ボタンbtを操作することにより、メモリ11内の重み付け情報11aの比較対象除外フラグを更新する。比較対象除外フラグは、比較対象から外す場合を「1」、外さない場合を「0」で表すが、「1」と「0」を逆に用いてもよい。なお、実行ボタンbtに代えて、一定時間の経過後に、現在のチェックボックスの状態が設定されるように変形してもよい。すなわち、実行ボタンbtのGUIは、任意の付加的事項であり、省略してもよい。
ステップST6の後、ステップST7において、処理回路15は、受け付けた情報に基づいて患者情報データベース22内の患者情報を検索し、得られた患者情報の患者IDに基づいて画像データベース21を検索する。しかる後、画像データベース21から抽出した第2医用画像をメモリ11に保存する。
ステップST7の後、ステップST8において、処理回路15は、メモリ11内の第2医用画像から複数の第2解剖学的ランドマークの位置を取得する。
ステップST8の後、ステップST9~ST10において、処理回路15は、図9に示すように、特異点P1~P3を比較に用いない設定に基づいて、第1解剖学的ランドマークL11,L12と第2解剖学的ランドマークL21,L22との比較を行う。また、処理回路15は、比較の結果に基づく情報をディスプレイ12に表示させる。比較の結果に基づく情報としては、例えば、解剖学的ランドマーク毎の(重み付き)一致度Da、又は各々の一致度Daを平均した類似度を用いてもよい。一致度Daは、例えば、第1解剖学的ランドマークの相対座標と、第2解剖学的ランドマークの相対座標との差が大きくなるほど小さくなるように定められた値である。また、一致度Daは、第1解剖学的ランドマーク情報の相対座標と、第2解剖学的ランドマーク情報の相対座標との差が0である場合に重み付け情報11a内の重み付けの値wtになるように定められ、第1解剖学的ランドマーク情報の相対座標と、第2解剖学的ランドマーク情報の相対座標との差の絶対値が無限大である極限で0になるように定められた値である。相対座標の差は、例えば、3次元空間上のユークリッドノルムにより導入された距離であり、比較の結果に相当する。実施形態はこれに限らず、例えばL1ノルムにより導入された距離など、その他の種類の距離を用いてもよい。
一致度Daの具体的な表式としては、両者の相対座標間の距離をxとし、解剖学的ランドマークの重み付けの値をwtとすると、例えば、Da=wt/(1+x)で与えられる。換言すると、一致度Daは、第1解剖学的ランドマーク情報の相対座標と、第2解剖学的ランドマーク情報の相対座標の間の距離xに1を足し、逆数を取った値に重み付けの値wtを乗じた値である。
すなわち、この時、距離xが0の時、一致度Daはwtとなる。また、距離xが0から増加するに従って、一致度Daは単調に減少する。また、距離xが無限大である極限で、一致度Daは0になる。従って、一致度Daは、0より大きくwt以下の実数となる。
類似度は、解剖学的ランドマーク毎の一致度Daの平均値である。なお、類似度は、部位毎の一致度と呼んでもよく、一致度と呼んでもよい。
あるいは、比較の結果に基づく情報として、一致度Da又は類似度が閾値より高いか低いかを示す文字列又は記号をディスプレイ12に表示してもよい。
いずれにしても、第1解剖学的ランドマークと、第2解剖学的ランドマークとの比較の結果に基づく情報を表示する。医師は、表示された情報を視認し、患者を同定する。このように、比較の結果に基づく情報を表示することにより、患者の既往歴による解剖学的ランドマークの変化を考慮しつつ、患者の同定を支援することができる。
しかる後、処理回路15は、操作者による入力インターフェース13の操作に応じて、当該同定した患者の患者情報、既往歴、過去の第2医用画像を含む医用情報を、前述した要求メッセージの送信元の医用情報処理システム31に返信する。このようにして、医用情報処理システム1は、ネットワークを介して接続された医用情報処理システム31に連携することができる。また、医用情報処理システム1又は連携先の医用情報処理システム31は、適宜、操作者の操作により、同定した同一患者に対する異なる患者IDを互いに関連付けて患者情報などを管理することができる。
上述したように第1の実施形態によれば、医用情報処理装置が、新規の第1医用画像を記憶する第1記憶部(メモリ11)を備えている。また、医用情報処理システムが、新規の第1医用画像を記憶する記憶装置(画像データベース21)を備えている。医用情報処理装置及び医用情報処理システムは、第1医用画像から複数の第1解剖学的ランドマークの位置を取得する。また、取得した位置に基づき、過去の第2医用画像内の複数の第2解剖学的ランドマークとの比較に用いる第1解剖学的ランドマークの重み付けの設定を変更する。従って、患者の既往歴による解剖学的ランドマークの変化を考慮しつつ、患者の同定を支援することができる。
補足すると、一般的に、患者を同定する仕組みとしては、例えば、PIX(Patient Identifier Cross-reference:患者情報相互参照)やPDQ(Patient Demographics Query:患者基本情報の問合せ)がある。しかしながら、PIXやPDQの仕組みは、例えば、意識がない救急患者や認知症の患者のように、質問に対して正確に回答できない患者を同定できない不都合がある。
これに対し、別の観点から個人を特定する仕組みとして、マイナンバーがある。しかしながら、マイナンバーは法律や条令で定められた社会保障、税、災害対策の手続以外で利用できないため、患者の同定にも利用できない。なお、マイナンバーに限らず、将来、何らかの統一IDの利用が開始された場合でも、その統一IDを当該利用開始前の医用情報に対する患者の同定には利用できない。
また、更に別の観点から個人を特定する技術として、歯の治療歴、指紋、声紋等といった生体情報を照合する技術がある。しかしながら、この種の技術は、患者による追加の情報入力が必要になる場合があり、煩雑であると共に、情報入力できない患者を同定できない不都合がある。
これに対し、第1の実施形態によれば、このような不都合を解消しつつ、患者の既往歴による解剖学的ランドマークの変化を考慮して、患者の同定を支援することができる。補足すると、第1の実施形態によれば、胃切除術などの既往歴による変化を考慮して、特異点を除外することで、変形した同一患者の医用画像を比較可能とし、患者の同定を支援している。
また、第1の実施形態によれば、取得した位置に基づき、複数の第1解剖学的ランドマークのうち、平均的解剖学的ランドマークの位置から外れた第1解剖学的ランドマークを特異点として検出する。また、検出した特異点を比較に用いるか否かを設定するためのGUIを含む重み付けの設定画面を表示部に表示させる。設定画面の表示中に、操作者によるGUIの操作に応じて、特異点の重み付けを設定する。このように、GUIを用いた設定画面を表示する構成によれば、前述した効果に加え、特異点を比較に用いるか否かを容易に設定することができる。
また、第1の実施形態によれば、設定画面が、第1医用画像又は第1医用画像に対応する模式図に重畳され、特異点を示すランドマークと、ランドマークの近傍に配置され、特異点を比較に用いるか否かを設定するためのGUIとを含んでもよい。この場合、特異点を示すランドマークを視認しながら、特異点を比較に用いるか否かを設定できるので、視覚的に分かり易い操作環境を提供することができる。
また、第1の実施形態によれば、設定画面が、特異点の名称と、特異点の名称毎に当該特異点を比較に用いるか否かを設定するためのGUIとを関連付けた表形式の画面であってもよい。この場合、表形式の画面の行又は列を移動しながら設定操作が可能なため、前述したランドマークを用いる設定画面に比べ、特異点の近傍にカーソルを移動させる必要がなく、操作の容易な環境を提供することができる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、第1医用画像内に人工物(例、コイル、ステント、人工眼球、ボトルなど)が撮影されていた際に、重み付けの設定を変更する場合について述べる。例えば、救急患者の胸部大動脈にステントがあった場合、別の患者の同じ位置にステントがある状況がほぼないことから、胸部大動脈にステントがある患者の重み付けの値を上げることで、信頼性の向上を図っている。なお、救急患者の胸部大動脈にステントがある一方、比較対象の患者の同じ位置にステントがない場合には、比較対象から外さずに、重み付けの値を変更しない。比較対象から外さない理由は、新規の第1医用画像に第1人工物があり、過去の第2医用画像に人工物がない場合でも、両医用画像の撮影時の間にステントを留置した等の事情により、両医用画像の患者が同一である可能性があるためである。この場合に重み付けの値を変更しない理由は、信頼性が変わらないからである。
これに伴い、処理回路15の取得機能151は、第1医用画像から複数の第1解剖学的ランドマークの位置を取得すると共に、第1医用画像内に撮影された第1人工物を検出する。
処理回路15の比較機能157は、重み付けの設定に基づいて、第1解剖学的ランドマークと第2解剖学的ランドマークとの比較を行う。ここで、比較機能157は、第1人工物に対応する第2人工物が第2医用画像内にある場合に、第1解剖学的ランドマークの重み付けの値を高くするように、重み付けの設定を変更する。重み付けの値は、図2に示したように、重み付け情報11aに含まれている。
なお、医用情報処理装置10の他の部分の構成は、第1の実施形態と同様である。
次に、以上のように構成された医用情報処理装置10の動作について図10のフローチャート及び図11の模式図を用いて説明する。
いま、前述同様に、ステップST1~ST7が実行されたとする。但し、ステップST2において、処理回路15は、第1解剖学的ランドマークの位置を取得すると共に、第1医用画像内に撮影された第1人工物を検出している。
ステップST7の後、ステップST9において、処理回路15は、重み付けの設定に基づいて、第1解剖学的ランドマークと第2解剖学的ランドマークとの比較を行う。このステップST9は、ステップST9-1~ST9-3に示すように実行される。
ステップST9-1において、処理回路15は、例えば図11に示すように、第1医用画像g1a内の第1人工物A1に対応する第2人工物A2が第2医用画像g2a内にあるか否かを判定する。この判定の結果、否の場合にはステップST9-3に移行する。例えば、救急患者の第1医用画像g1aに第1人工物A1がある一方、第2医用画像g2aの同じ位置に第2人工物A2がない場合には、重み付けの値を変更せず、比較処理に移行する。
一方、ステップST9-1の判定の結果、第2人工物A2がある場合には、ステップST9-2において、処理回路15は、第1解剖学的ランドマークの重み付けの値を高くするように、重み付けの設定を変更する。
ステップST9-2の後、ステップST9-3において、処理回路15は、重み付けの設定に基づいて、第1解剖学的ランドマークと第2解剖学的ランドマークとの比較を行う。以上により、ステップST9(ST9-1~ST9-3)が終了する。
ステップST9の後、前述同様に、ステップST10以降の処理が実行される。
上述したように第2の実施形態によれば、第1医用画像から複数の第1解剖学的ランドマークの位置を取得すると共に、第1医用画像内に撮影された第1人工物を検出する。第1人工物に対応する第2人工物が第2医用画像内にある場合に、第1解剖学的ランドマークの重み付けの値を高くするように設定を変更する。従って、第1の実施形態の効果に加え、第1医用画像と第2医用画像との間で共通する人工物がある場合に、重み付けの値を高くすることにより、各解剖学的ランドマークを比較した結果の信頼性を向上させることができる。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、特異点に重み付けを行う場合について述べる。例えば、肝臓などの臓器の切除は、腫瘍の位置に応じて切除の位置が変動するため、臓器の形が変化し易く、解剖学的ランドマークも変化し易い。このため、特異点が臓器の場合、重み付けの値を低くすることが好ましい。これに対し、形成外科的な治療であれば、解剖学的ランドマークの位置は変化しにくい。このため、特異点が骨の場合、重み付けの値を高くすることが好ましい。
これに伴い、処理回路15の検出機能153は、取得した位置に基づき、複数の第1解剖学的ランドマークのうち、平均的解剖学的ランドマークの位置から外れた第1解剖学的ランドマークを特異点として検出する。
処理回路15の調整機能156は、特異点が臓器の一部を示す場合に、重み付けの値を初期値より低くするように設定を調整する。重み付けの値は、図2に示したように、重み付け情報11aに含まれている。
なお、医用情報処理装置10の他の部分の構成は、第1の実施形態と同様である。
次に、以上のように構成された医用情報処理装置10の動作について図12のフローチャートを用いて説明する。
いま、前述同様に、ステップST1~ST4が実行されたとする。
ステップST4の後、ステップST5が省略され、ステップST6がST6a-1~ST6a-2として実行される。
ステップST6a-1において、処理回路15は、検出された特異点が臓器の一部を示すか否かを判定する。この判定の結果、否の場合にはステップST6を終了し、ステップST7に移行する。
一方、ステップST6a-1の判定の結果、特異点が臓器の一部を示す場合には、ステップST6a-2において、処理回路15は、特異点の重み付けの値を初期値より低くするように、重み付けの設定を調整する。以上により、ステップST6(ST6a-1~ST6a-2)が終了する。
ステップST6の後、前述同様に、ステップST7以降の処理が実行される。
上述したように第3の実施形態によれば、取得した位置に基づき、複数の第1解剖学的ランドマークのうち、平均的解剖学的ランドマークの位置から外れた第1解剖学的ランドマークを特異点として検出する。特異点が臓器の一部を示す場合に、重み付けの値を初期値より低くするように設定を調整する。従って、第1の実施形態の効果に加え、解剖学的ランドマークの部位に応じて重み付けの値を調整できるので、解剖学的ランドマークの比較結果の精度の向上を図ることができる。
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。
第4の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、特異点を除外して使用しない際に、特異点除外情報を保存する場合について述べる。例えば、ある患者の第1医用画像について特異点を除外した際の特異点除外情報に基づいて、他の患者の第1医用画像について特異点を除外するときの手間の省略を図ることができる。
これに伴い、メモリ11は、図13に示す如き、処理回路15から書き込まれた特異点除外情報11bを記憶する。特異点除外情報11bは、複数の特異点を比較に用いないように一括して初期設定した設定画面データと、操作者の操作に応じて入力された既往歴とを関連付けて記述している。設定画面データは、実行ボタン(図示せず)を更に含んでもよい。既往歴は、前述した通り、解剖学的ランドマークの変形に関する情報であるので、胃切除術などの治療歴を示した手術報告書の一部としてもよい。胃切除術としては、例えば、胃全摘術、幽門側胃切除術、幽門保存胃切除術、噴門側胃切除術などがあり、それぞれ切除範囲に応じて解剖学的ランドマークを変形させる。なお、既往歴は、解剖学的ランドマークが変形するような病気やケガを治療しなかった場合の病歴を含んでもよい。いずれにしても、既往歴は、解剖学的ランドマークの特異点に関連している。
処理回路15の設定機能155は、比較に用いないように複数の特異点の重み付けが設定された場合に、特異点除外情報11bをメモリ11(第2記憶部)に書き込む。メモリ11は、第2記憶部の一例である。
処理回路15の表示制御機能154は、第1医用画像の患者の既往歴に基づいてメモリ11内の設定画面データを読み出し、当該設定画面データを用いて設定画面をディスプレイ12に表示させる。
なお、医用情報処理装置10の他の部分の構成は、第1の実施形態と同様である。
次に、以上のように構成された医用情報処理装置10の動作について図14及び図15のフローチャート、並びに図16の模式図を用いて説明する。
いま、ある患者の第1医用画像について、前述同様に、ステップST1~ST5が実行されたとする。
ステップST5の後、図14に示すように、ステップST6が実行される。このステップST6は、ステップST6b-1~ST6b-4を含んでいる。
始めに、ステップST6b-1は、前述したステップST6と同様に実行される。
ステップST6b-1の後、ステップST6b-2において、処理回路15は、複数の特異点の重み付けが新規に設定されたか否かを判定する。この判定の結果、否の場合にはステップST6を終了し、ステップST7に移行する。
一方、ステップST6b-2の判定の結果、新規に設定された場合、ステップST6b-3において、処理回路15は、操作者の操作に応じて、既往歴の入力を受け付ける。
ステップST6b-3の後、ステップST6b-4において、処理回路15は、新規に設定された複数の特異点を比較に用いないように一括して初期設定した設定画面データと、操作者の操作に応じて入力された既往歴とを関連付けてメモリ11に書き込む。メモリ11は、設定画面データと既往歴とを関連付けて保存する。この設定画面データと既往歴とを関連付けた情報を特異点除外情報11bとも呼ぶ。以上により、ある患者の第1医用画像についてのステップST6(ST6b-1~ST6b-4)が終了する。
ステップST6の後、前述同様に、ステップST7以降の処理が実行される。これにより、ある患者の第1医用画像に関するステップST7以降の処理が終了する。
次に、ある患者とは異なる他の患者の第1医用画像について、新たにステップST1以降の処理が開始されたとする。
いま、前述同様に、ステップST1~ST4の処理が実行されたとする。
ステップST4の後、図15に示すように、ステップST5の処理が実行される。このステップST5は、ステップST5c-1~ST5c-4を含んでいる。
始めに、ステップST5c-1において、処理回路15は、当該他の患者の既往歴があるか否かを判定する。この判定の結果、否の場合には前述した設定画面を表示し(ステップST5c-2)、ステップST6cに移行する。
一方、ステップST5c-1の判定の結果、既往歴がある場合、ステップST5c-3において、処理回路15は、既往歴に基づいて、メモリ11から設定画面データを読み出す。
ステップST5c-3の後、ステップST5c-4において、処理回路15は、設定画面データに基づいて、図16に示す如き、設定画面12cを表示する。この設定画面12cは、新規に設定された複数の特異点を比較に用いないように一括して初期設定されている。例えば、設定画面12cは、3つの特異点の名称「幽門」、「胃角」「十二指腸入り口」と、当該3つの特異点を比較に用いないように一括して初期設定されたGUI(チェックボックス)と、実行ボタンbtのGUIとを含んでいる。以上により、他の患者の第1医用画像における複数の第1解剖学的ランドマークのうちの複数の特異点の設定画面を表示するステップST5(ST5c-1~ST5c-4)が終了する。
ステップST5の後、ステップST6cにおいて、処理回路15は、例えば設定画面12cの表示中に、操作者によるGUIの操作に応じて、複数の特異点「幽門」、「胃角」「十二指腸入り口」の重み付けを一括して設定する。この例では、3つの特異点を比較に用いないように一括して初期設定されたGUI(チェックボックス)を操作せず、実行ボタンbtのGUIを操作する。なお、ステップST6cでは、初期設定の状態が維持されればよいので、実行ボタンbtに代えて、設定画面12cをキャンセルするキャンセルボタンを用いてもよい。
ステップST6cの後、前述同様に、ステップST7以降の処理が実行される。これにより、他の患者の第1医用画像に関するステップST7以降の処理が終了する。
上述したように第4の実施形態によれば、比較に用いないように複数の特異点の重み付けが設定された場合に、当該複数の特異点を比較に用いないように一括して初期設定した設定画面データと、操作者の操作に応じて入力された既往歴とを関連付けて第2記憶部に書き込む。また、第1医用画像の患者の既往歴に基づいて第2記憶部内の設定画面データを読み出し、当該設定画面データを用いて設定画面を表示部に表示させる。従って、第1の実施形態の効果に加え、既往歴毎に複数の特異点を一括して除外する初期設定を行う構成により、操作者の設定操作の手間を軽減することができる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、医用情報処理装置が、過去の第1医用画像を記憶する第1記憶部(メモリ11)を備えている。また、医用情報処理システムが、過去の第1医用画像を記憶する記憶装置(画像データベース21)を備えている。医用情報処理装置及び医用情報処理システムは、第1医用画像から複数の第1解剖学的ランドマークの位置を取得する。また、取得した位置に基づき、過去の第2医用画像内の複数の第2解剖学的ランドマークとの比較に用いる第1解剖学的ランドマークの重み付けの設定を変更する。従って、患者の既往歴による解剖学的ランドマークの変化を考慮しつつ、患者の同定を支援することができる。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU (Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ11に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ11にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。