JP7158827B2 - 眼科撮影装置およびその制御方法 - Google Patents
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Description
[装置の全体構成]
図1は本発明による一実施形態の眼科撮影装置の機能ブロック図である。図1において、制御部300により制御される光学系100は測定対象Tに対して測定光を照射し、測定対象Tからの戻り光を検出する。画像生成部400は光学系100の出力である信号Sを処理して画像IMを生成し、表示制御部500に出力する。表示制御部500は液晶ディスプレイ等の表示デバイス(不図示)を含み、入力した画像を表示する。また、生成された画像は記憶部600に測定対象Tを特定する情報と共に記憶される。
図2は、図1における測定対象Tを被検眼118とした場合の光学構成を示す図である。以下に図2を参照して光学系100の構成について説明する。光学系100の主要な構成要素は、光源101、AO部140、参照光学系150、受光光学系160からなる。なお、図2には示していないが、アライメントを容易にするための前眼部観察部、被検眼に固視位置を提示する固視灯光学系、眼底の撮影位置を確認するための広画角眼底撮影部を有していても良い。しかしながら、これは公知の構成による事が出来、本発明の中心的部分ではないため説明は省略する。
AOの動作を以下に説明する。本実施形態では、波面測定手段に対応する波面センサー106としてシャックハルトマンセンサーを用いる。シャックハルトマンセンサーは、マイクロレンズアレイにより入射される戻り光を分割し、それぞれの分割された測定光を測定面を有する2次元センサー上に集光する。図4にシャックハルトマンセンサーの模式図を示す。
dx=f∂xΦ (1)
dy=f∂yΦ (2)
次に制御部300について説明する。前述したように、本実施形態において制御部300は、CPUにより実行されるソフトウェアモジュールであり、光学系100の各部を制御する。更に、本実施形態において眼科撮影装置全体の動作を制御するとともに、本実施形態において選択手段、計測手段、演算手段として機能する。また、制御部300は眼科撮影装置を操作するユーザーの入力も受け付けるものとする。具体的には、制御部300には被検眼を特定する患者ID等の情報、撮影に必要なパラメータ、眼底をスキャンするパターンの選択等を不図示のキーボードやマウス等のデバイスから入力される。そして、これに基づいて各部を制御すると共に得られた信号、画像等のデータを不図示の記憶部600に保存する機能を有する。
画像生成部400は、光学系100から出力された信号Sに対して様々な処理を行う事で、被検眼に関する画像を生成・出力する。
次に表示制御部500について説明する。前述したように表示制御部500は液晶ディスプレイ等の表示デバイスを含み、画像生成部400から入力した画像を表示画面に表示する。図10は表示制御部500によって表示される表示画面の構成を示したものである。なお、同図において示される表示画面とは別に、制御部300によって入力される患者ID等の被検眼の特定情報の入力画面が必要であるが、これは公知の構成による事が出来、本発明の中心的部分ではないため説明は省略する。
次に、本実施形態におけるDMのキャリブレーション方法を図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、被検眼118の位置に模型眼190を取り付ける。ここで、模型眼190は、被検眼118の光学系の特性を模した光学素子191と、網膜を模した模擬網膜192と、瞳孔を模したアパーチャ193からなる。本実施形態では、光学素子191として焦点距離17mmのダブレットレンズ、模擬網膜192として光を拡散する特性を持つフィルムを用いた。なお、光学素子191は3つ以上のレンズを組み合わせたレンズ等であってもよい。また、被検眼118により光学性能を近づけるため、光学素子191と模擬網膜192の間を水で満たすような構成であってもよい。
光源101を点灯し、先述した測定光の光路を介して模型眼190を照射する。
光学素子191で模擬網膜192に集光され、反射・散乱した光は、先述の測定光と同様に戻り光として波面センサー106に到達する。ステージ109を駆動してリレー光学素子130-6を動かし、波面センサー106で測定される光波面421のデフォーカスが最小となるように調整する。
参照となるハルトマン像(参照ハルトマン像)を取得する。DMのキャリブレーションにおいては、AO動作は実施されない。光学系100の収差が存在するため、参照重心454と参照ハルトマン像の輝点455の重心位置456は一般に一致していない(図5(d))。このため、計測手段として機能する制御部300は、参照ハルトマン像の重心位置456を参照(基準)として、DM104のアクチュエータ駆動による輝点451の重心位置452の移動量(dxr、dyr)を求める。
選択手段として機能する制御部300は、駆動パターンに従い、駆動される所定の数のアクチュエータを選択し、正の電圧でアクチュエータの駆動を駆動部へ指示する。駆動パターンとは、単独で駆動するアクチュエータの位置、または略同時に駆動する所定の数のアクチュエータの組み合わせのことを指す。駆動パターンはm=1、2、・・・、Mの順に適用され、総数はMである。また、先述の略同時とは、波面センサー106による1回の計測中に、DM104のメンブレンの複数個所の形状変化を生じさせることを指す。
図7を参照しながら、駆動パターンについて説明する。図7(a)はDMのメンブレン203を反射面側から見た模式図である。また、コンタクト点710は、反射面の裏面からアクチュエータで力を加えるために接触している位置を表している。本実施形態におけるDMのアクチュエータ数は97個である。
計測手段として機能する制御部300は、波面センサー106からハルトマン像を取得する。
ステップS507で取得したハルトマン像から正の電圧印加時の各輝点の移動量(dxr+、dyr+)を求める。
ステップS508~ステップS510で、正の場合と同様、負の電圧印加時の各輝点の移動量(dxr―、dyr―)を求める。
正負の印加電圧それぞれの場合に求められた移動量の差分の絶対値を求め、しきい値(Tx、Ty)と比較する。
||dyr+|-|dyr-||<Ty (4)
式(3)(4)を満たす場合、線形性が良好であると判断してステップS512に進む。また、満たさない場合には非線形性のため精度よく測定できていないと判断し、ステップS520において電圧値を小さくする調整を行い、ステップS505に戻る。
制御部300は波面センサー106の出力に基づいて、ステップS505、S508において、正負の電圧それぞれで複数のアクチュエータを同時駆動した場合の影響範囲を判定する。ここで、影響範囲とは、あるアクチュエータを駆動した場合に、メンブレンが変形し、ハルトマン像の輝点の移動量(dx、dy)が変化する範囲のことである。図8(a)に示しているのは、図7(b)における駆動パターンm=3を適用した場合のハルトマン像である。図8(a)の領域803で示されるのが影響範囲である。
同時駆動の各アクチュエータの影響範囲を考慮して波面センサー106からのデータを分割し、それぞれのアクチュエータに対応付けて記憶する。具体的には、ライン802を境として移動量(dx、dy)のデータを分割し、分割によりデータが無くなった範囲には0の値を埋める。
駆動パターンmが総数Mに満たない場合には、まだ影響関数を取得していない駆動パターンがあると判断し、S522でmを1だけインクリメントしてS505に戻る。また、mがMと等しいか、大きい場合には、すべての駆動パターンを適用したため、S515に移る。
式(5)、(6)で表される影響関数は、アクチュエータへの印加電圧が入力、ハルトマン像の輝点の移動量が出力となるような関係を表す。一方、AO動作においては、ハルトマン像の輝点の移動量を入力とし、アクチュエータへの印加電圧を出力とする制御行列を用いる。影響関数と制御行列はお互いに入力と出力が入れ替わっており、一般の逆行列を求める手続きに従って、影響関数から制御行列を求める。
D=IF・V (7)
ここで、・は行列とベクトルの積を表す。
A+・A=I (8)
ここで、Iは対角成分がすべて1、非対角成分がすべて0の単位行列であり、I・A=Aとなる性質がある。式(7)に左からIFの擬似逆行列IF+を作用させ、式(8)を用いると
V=IF+・D (9)
となる。式(9)におけるIF+は制御行列と呼ばれ、移動量のベクトルDから、DMに入力すべき電圧Vを求めるために用いられる行列である。以降、制御行列をCMと表すと、式(9)は以下のようになる:
V=CM・D (10)
AO動作中は、繰り返しハルトマン像から移動量を求め、ベクトルDにして式(10)に基づきアクチュエータの信号を計算する。求めたアクチュエータの信号は、収差が打ち消されるように符号を反転後、ゲイン倍させて現在の駆動量に付加され、アクチュエータを駆動する。ゲインは、AOによるフィードバックの安定性と収束の速さを調整するために用いられる0から1までの値である。本実施形態では、AO開始直後のアクチュエータ駆動の1回目ではゲイン1、2回目以降はゲイン0.7に設定されている。
図10を参照しながら、本実施形態におけるDMのキャリブレーション時のGUIの一例を説明する。図10は表示制御部500によって表示される表示画面の構成を示したものである。
駆動パターンは、前述したパターンに限らない。
実施例1では模型眼190を用いたが、実施例2においては図11に示す通り、ミラー1101を挿脱する構成でも良い。
実施例3においては図12に示す通り挿脱可能なミラー1201を設置し、キャリブレーション時にミラー1201を光路内に挿入し、光源101を点灯しない状態で、別光源1202を使う構成でも良い。
実施例1~3は、アクチュエータが正常に駆動されることを前提にしている。本実施例4においては、個々のアクチュエータを駆動しても影響範囲803が実測されない場合、当該アクチュエータが故障していると判定して、該当するアクチュエータを被検眼を撮影するときには使用しない駆動パターンに変更する。また、影響関数は該当するアクチュエータを省いて制御行列を計算する。そして、このようにして求めた制御行列に基づいて波面補正を行い、被検眼を撮影することにより、撮影への影響を抑えることができ、更には、撮影ができなくなることがない。
前述した実施例において、撮影データは被検眼118に対して広帯域光源を用いたスペクトラルドメイン方式のOCTによって得たが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば波長掃引型のOCTを用いても良い。
Claims (7)
- 測定面に入射した光の集光位置を検出することにより当該光の波面を測定する波面測定手段と、
入射された光の波面を変化させるための反射面と、前記反射面を変形させるための複数のアクチュエータをそれぞれ駆動する駆動部を有する波面補正手段を有する眼科撮影装置であって、
前記反射面の変形の影響関数を求める時に、光を入射した状態で前記複数のアクチュエータから駆動する所定の数のアクチュエータを選択する選択手段と、
前記選択された所定の数のアクチュエータを駆動部で駆動して前記反射面を変形させた状態で、駆動された所定の数のアクチュエータにより変形された反射面毎に対応する前記測定面の複数の集光位置のずれ量を計測する計測手段と、
前記計測されたずれ量に基づいて、前記影響関数を求める演算手段とを有し、
前記選択手段は、前記駆動部により前記所定の数のアクチュエータを同時駆動して変形された反射面毎の前記測定面の集光位置が、オーバーラップしないアクチュエータを選択することを特徴とする眼科撮影装置。 - 前記演算手段は、前記求めた影響関数を用いて、入射された波面を変化させるために必要な前記所定の数のアクチュエータそれぞれを駆動する駆動量を計算するための関数を求めることを特徴とする請求項1に記載の眼科撮影装置。
- 前記駆動量を計算するための関数を記憶する記憶手段を更に有し、
前記演算手段は、前記波面測定手段が測定した被検眼からの戻り光の波面を補正するための前記所定の数のアクチュエータそれぞれを駆動する駆動量を、前記記憶された関数を用いて求めることを特徴とする請求項2に記載の眼科撮影装置。 - 前記影響関数を求める時の表示画面を表示する表示手段を更に有し、
前記表示画面には、駆動済みのアクチュエータと未駆動のアクチュエータを識別できる前記反射面を示す画像を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の眼科撮影装置。 - 前記アクチュエータを駆動したときに前記測定面に当該アクチュエータに対応する集光位置のずれ量が計測手段により計測されない場合、前記演算手段は、当該アクチュエータの影響関数を省いて前記駆動量を計算するための関数を求めることを特徴とする請求項2又は3に記載の眼科撮影装置。
- 測定面に入射した光の集光位置を検出することにより当該光の波面を測定する波面測定手段と、
入射された光の波面を変化させるための反射面と、前記反射面を変形させるための複数のアクチュエータをそれぞれ駆動する駆動部を有する波面補正手段を有する眼科撮影装置の制御方法であって、
前記反射面の変形の影響関数を求める時に、光を入射した状態で前記複数のアクチュエータから駆動する所定の数のアクチュエータを選択する選択ステップと、
前記選択された所定の数のアクチュエータを前記駆動部で駆動して前記反射面を変形させた状態で、前記駆動部により変形された反射面毎に対応する前記測定面の複数の集光位置のずれ量を計測する計測ステップと、
前記計測されたずれ量に基づいて、前記影響関数を求める演算ステップとを有し、
前記選択ステップにおいて、前記駆動部により前記所定の数のアクチュエータを同時駆動して変形された反射面毎の前記測定面の集光位置が、オーバーラップしないアクチュエータが選択されることを特徴とする制御方法。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の眼科撮影装置を、コンピュータにより実現するためのプログラムを格納したコンピュータ可読記憶媒体。
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