JP7157994B2 - 超高温高圧キャビテーションを発生させる方法、物質の表面に圧縮残留応力を付与するとともに、表面の幾何学的形状、機械的特性および耐食性を変化させる方法、及び、超高温高圧キャビテーションの発生装置 - Google Patents

超高温高圧キャビテーションを発生させる方法、物質の表面に圧縮残留応力を付与するとともに、表面の幾何学的形状、機械的特性および耐食性を変化させる方法、及び、超高温高圧キャビテーションの発生装置 Download PDF

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Description

本発明は、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法、物質の表面に圧縮残留応力を付与するとともに、表面の幾何学的形状、機械的特性および耐食性を変化させる方法、及び、超高温高圧キャビテーションの発生装置に関する。
従来の表面処理技術には、窒化や浸炭、レーザー焼入れ、高周波焼入れ、ショットピーニング、ウォータージェットピーニング等があるが、これらの技術は表面の機械的強度の向上を主目的としている。しかしながら、一長一短あり、例えば、き裂の発生を抑制する圧縮残留応力が表面に付与されない、処理前後の寸法変化が大きい、硬化層が薄い、内部に脆化層を形成する、ボイドやき裂が生じる、耐食性や耐酸化性が低い等の欠点を有しており、これらの欠点をバランス良く補う表面処理技術の開発が求められている。
機械構造用合金鋼(低合金鋼、SCM435、SCM440、SNCM430、SNCM630等)は非常に多くの産業用機材や装置に用いられ、産業の発展には欠かすことのできない鋼材となっている。しかしながら、この鋼材の使用環境は年々過酷となっており、疲労強度や耐食性、高温強度、耐熱性、耐酸化性等の更なる向上が求められている。この問題を解決するための表面処理技術の開発とその実用化が期待されている。
また低合金鋼は、炭素鋼を主成分とし、数質量%以下、多くの場合1質量%以下のNi、Cr、Moの複数の合金元素を組み合わせた鋼材である。炭素鋼に比べてやや高価であるが、耐食性が高くなっている。その種類としては、耐熱鋼、低温用鋼、耐候性鋼、高張力鋼であり、様々な用途に使用されている。低合金鋼は、優れた機械的性質および良好な溶接性を有することが要求されるが、耐食性を改善するのに有効な添加元素は機械的特性や溶接性に有害である。その結果、添加量には限界があり、耐食性をさらに向上させることができないという問題がある。
機械構造用合金鋼の表面改質分野では、古くからショットピーニングによる圧縮残留応力の付与と表面の機械的強度向上の研究開発が盛んに行われてきた。現在では、ばね、歯車、コンティングロッド、クランクシャフトといった自動車部品から、ジェットエンジン、翼、ランディングギアなどの航空機関連、化学プラントの圧力容器など、さまざまな工業製品に利用されている。また近年、圧縮残留応力の付与技術として、ウォータージェットピーニングを用いて金属の表面を改質する研究も行われている(特許文献1参照)。
また、炭素鋼を表面改質する方法として、機械的及び電気化学的キャビテーションを発生させる方法が知られている(特許文献2参照)。この方法では、水中に浸漬させた噴射ノズルからウォータージェットを噴射させると共に、ウォータージェットの噴射に伴い生じる流動キャビテーションに対して超音波を照射して、機能的作用と電気化学的作用との両方を有するキャビテーションを発生させる。
特開2006-255865号公報 国際公開第2016/136656号公報
しかし、特許文献1に記載されている従来の表面改質技術では、内部に脆化層を形成し、ボイドやき裂が生じるという問題があった。また、表面硬化層直下に靭性層が無く、疲労強度と耐食性が低いため、高強度・高耐食性ピーニング技術の開発が熱望されている。
また、特許文献2に記載されている従来の機械的及び電気化学的キャビテーションを発生させる方法においては、温度、圧力は気泡限界まで達しておらず、更なる気泡サイズの増加、更なる気泡温度と圧力の増加が求められる。
本発明は、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法、物質の表面に圧縮残留応力を付与するとともに、表面の幾何学的形状、機械的特性および耐食性を変化させる方法、及び、超高温高圧キャビテーションの発生装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、水中に浸漬させた噴射ノズルからウォータージェットを噴射させると共に、前記ウォータージェットの噴射に伴い流動キャビテーションを発生させ、発生した前記流動キャビテーションに旋回流を与えることにより前記流動キャビテーションにおける気泡半径を膨張させるとともに気泡数を増加させて、前記膨張させた気泡半径の大きい流動キャビテーションの流速が所定の移動速度以下になる位置に超音波を照射して、前記超音波の照射で膨張・収縮を繰り返すことにより生ずる、高温反応場を含んだ前記流動キャビテーションの前記高温反応場を前記噴射ノズルから離間した位置に分布させる、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法である。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記噴射ノズルの軸心から外れた前記流動キャビテーションの位置に向けて、前記噴射ノズルに付加された付加ノズルから水流を与えるか、もしくは噴射ノズルの出口部の低圧化で付加ノズルの周囲水が流入することにより、前記旋回流を前記流動キャビテーションに対して与えることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記旋回流を、前記噴射ノズルから噴射される前記ウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径し前記噴射ノズルに付加された前記付加ノズルにより、前記ウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径させることにより、前記噴射ノズルの軸心の位置における前記ウォータージェットの圧力を低下させることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記拡径する付加ノズルは、前記噴射ノズルから噴射される前記ウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径するテーパ型ノズルにより構成されることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2において、前記噴射ノズルのノズル径はφ0.1~2.0mmであり、前記流動キャビテーションの移動速度は5m/s以下であり、前記付加ノズルの流入孔は1個または2個であり、前記噴射ノズルには1MPa以上70MPa以下の圧力で、0.1L/min~100L/minの流量で高圧水が供給されることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1において、前記超音波の周波数は20kHz以上33kHz以下であり、前記超音波を発生させる超音波発信器の出力は150~2000Wであることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1~請求項6のいずれかにおいて、前記超音波を照射する超音波照射素子から前記ウォータージェットまでの距離は、前記超音波の5波長以下であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1~請求項7のいずれかにおいて、前記噴射ノズルから噴射される前記ウォータージェットを被衝突物に衝突させることによって前記被衝突物の周辺に生じる2次噴流の流動キャビテーションに対して、前記超音波を照射することにより、高温反応場を含んだ前記流動キャビテーションの前記高温反応場を、前記被衝突物の周辺に発生させることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1~請求項8のいずれかに記載の、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法により発生した超高温高圧キャビテーションを、物質に衝突させて、物質の表面に圧縮残留応力を付与するとともに、表面の幾何学的形状、機械的特性および耐食性を変化させる方法である。
請求項10に記載の発明は、請求項9において、前記物質は、Cr-Mo鋼、Ni-Cr-Mo鋼、Ti合金、Ni基合金のうちから選択された少なくとも1つにより構成され、前記Cr-Mo鋼、Ni-Cr-Mo鋼、Ti合金、Ni基合金は、2mm以上の厚さを有することを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項9において、前記物質の表面において、表面の表面電位が高く、表面直下にボイドやき裂がなく、靭性の高い層を形成させることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、水中に浸漬されウォータージェットを噴射する噴射ノズルと、前記噴射ノズルから噴射される前記ウォータージェットにおける前記噴射ノズルの下流側に付加され、前記ウォータージェットの噴射に伴い生じる流動キャビテーションの旋回流により低圧化させる付加ノズルと、前記ウォータージェットの噴射に伴い生じる流動キャビテーションに対して、前記流動キャビテーションが膨張可能な、前記流動キャビテーションの流速が所定の移動速度以下になる位置に超音波を照射して、前記超音波の照射で膨張・収縮を繰り返すことにより生ずる、高温反応場を含んだ前記流動キャビテーションの前記高温反応場を前記噴射ノズルから離間した位置に分布させる超音波振動子と、を備える、超高温高圧キャビテーションの発生装置である。
請求項13に記載の発明は、請求項12において、前記付加ノズルは、前記噴射ノズルの軸心から外れた前記流動キャビテーションの位置に向けて水流を与えることにより、旋回流を前記流動キャビテーションに対して与えることを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項13において、前記付加ノズルは、前記噴射ノズルから噴射される前記ウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径するテーパ型ノズルにより構成され、前記流動キャビテーションを前記ウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径させることにより、前記噴射ノズルの軸心の位置における前記ウォータージェットの圧力を低下させることを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項14において、前記拡径するノズルは、前記噴射ノズルから噴射される前記ウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径するテーパ型ノズルにより構成されることを特徴とする。
本発明によれば、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法、物質の表面に圧縮残留応力を付与するとともに、表面の幾何学的形状、機械的特性および耐食性を変化させる方法、及び、超高温高圧キャビテーションの発生装置を提供することができる。
本発明による実施形態1の超高温高圧キャビテーション(UTPC)を発生させる方法を示す概略図である。 本発明による実施形態1の超高温高圧キャビテーション(UTPC)を発生させる方法で用いられる付加ノズルを示す平面概略図である。 本発明による実施形態2の超高温高圧キャビテーション(UTPC)を発生させる方法を示す概略図である。 本発明による実施形態2の超高温高圧キャビテーション(UTPC)を発生させる方法で用いられる付加ノズルを示す平面概略図である。 本発明による実施形態3の超高温高圧キャビテーション(UTPC)を発生させる方法を示す概略図である。 本発明による実施形態4の超高温高圧キャビテーション(UTPC)を発生させる方法を示す概略図である。 本発明による実施形態1~4の噴射ノズルの出口部圧力と低圧水流入口内の管内流量の関係を示すグラフである。 本発明による実施形態1~4の噴射ノズルの出口部圧力と低圧水流入口内の管内流速の関係を示すグラフである。 本発明による実施形態1及び実施形態4における付加ノズルの中心からの距離と旋回中心圧力との関係を示すグラフである。 本発明による実施形態1及び実施形態4における付加ノズルの中心からの距離とキャビテーション数との関係を示すグラフである。 本発明による実施形態1~4における気泡半径と気泡の周囲圧力との関係を示すグラフである。 本発明による実施形態1~4における異なる気泡半径と気泡の周囲圧力との関係を示すグラフである。 本発明による実施形態1~4における音圧と時間との関係を示すグラフである。 本発明による実施形態1~4における気泡半径と時間との関係を示すグラフである。 本発明による実施形態1~4における気泡圧力と時間との関係を示すグラフである。 本発明による実施形態1~4における気泡温度と時間との関係を示すグラフである。 WJCが施工された被加工物の表面を示す電子顕微鏡写真である。 本発明による実施形態1によるUTPCが施工された被加工物の表面を示す電子顕微鏡写真である。 WJCが施工された被加工物の表面近傍を示す光学顕微鏡写真である。 本発明による実施形態1によるUTPCが施工された被加工物の表面近傍を示す光学顕微鏡写真である。 WJCが施工された被加工物の表面からの距離と硬度との関係を示すグラフである。 本発明による実施形態1によるUTPCが施工された被加工物の表面からの距離と硬度との関係を示すグラフである。 10分間のWJC施行による試料表面のSEM組織を示す写真である。 10分間のWJC施行による試料側面におけるSEM組織を示す写真である。 10分間の実施形態1のUTPC施行による試料表面におけるSEM組織を示す写真である。 本発明による実施形態1の2分間UTPC施行による試料表面近傍の側面SEM組織を示す写真である。 本発明による実施形態1の10分間UTPC施行による試料表面近傍の側面SEM組織を示す写真である。 本発明による実施形態1の2分間UTPC施行による試料の0.5mm~1mm側面部のSEM組織を示す写真である。 本発明による実施形態1の超高温高圧キャビテーション(UTPC)を発生させる方法の変形例を示す概略図である。
以下、本発明に係る、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法、超高温高圧キャビテーションの発生装置の実施形態について説明する。まず、実施形態1について説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明による実施形態1の超高温高圧キャビテーション(UTPC)を発生させる方法を示す概略図である。図2は、本発明による実施形態1の超高温高圧キャビテーション(UTPC)を発生させる方法で用いられる付加ノズルを示す平面概略図である。
図1に示すように、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法を実施するための超高温高圧キャビテーションの発生装置1は、リアクター10と、噴射ノズル20と、超音波照射素子30とを有している。リアクター10には、水道水W1が貯留されている。
噴射ノズル20は、高圧水供給源(図示せず)に接続されている。噴射ノズル20の吐出口は、リアクター10に貯留されている水道水W1に浸漬されている。高圧水供給源(図示せず)から供給される高圧水W2は、吐出口からリアクター10に貯留されている水道水W1へ、0.1L/min~100L/minの流量で、高圧のウォータージェットとして噴射される。高圧水W2の圧力は、1MPa以上70MPa以下である。
高圧水W2の圧力が1MPa未満では、適度に高圧のウォータージェットを得ることができず、超高温高圧キャビテーションの核が発生しにくく、超高温高圧キャビテーションを適度に得ることができないからである。また高圧水W2の圧力が70MPaを超えると、ウォータージェットの圧力が高すぎて、超高温高圧キャビテーションを適度に得ることができないからである。特に、3MPa以上であれば、超高温高圧キャビテーションを容易に発生させるためのウォータージェットを噴射可能である。ここで、「超高温高圧キャビテーション」とは、Cr-Mo鋼に対して圧縮残留応力を付与するとともに、表面の幾何学的形状、機械的特性および耐食性を変化させることが可能なキャビテーションを意味する。
噴射ノズル20は、オリフィス部21と、混合室22と、ホーン部23とを有している。オリフィス部21は、円筒形状を有している。オリフィス部21の上流側の端部は、高圧水供給源(図示せず)に連通している。オリフィス部21には、高圧水供給源(図示せず)から供給される高圧水W2が流入する。
混合室22の上流側の端部は、オリフィス部21の下流側の端部に接続されている。混合室22は、オリフィス部21よりも僅かに拡径している。混合室22には、オリフィス部21から高圧水W2が流入する
ホーン部23の上流側の端部は、混合室22の下流側の端部に接続されている。ホーン部23は、ホーン部23の先端(ホーン部23の下流側の端部により構成される混合室22の吐出口)に向かって、テーパ状に拡径する。従って、噴射ノズル20は、ホーンノズルにより構成されている。ホーン部23の先端の最大直径は0.1mm以上2mm以下であり、本実施形態では、0.8mmである。ホーン部23の先端の最大直径が0.1mm未満では、サイズの大きいウォータージェットキャビテーションを発生させることができないためである。また、ホーン部23の先端の最大直径が2mmを超えると、出口部の流速が下がり、崩壊圧力の高いウォータージェットキャビテーションが得られないためである。以上のような構成を有する噴射ノズル20は、リアクター10に貯留された水道水W1の中で、ウォータージェットを噴射し、これに伴い、水道水W1の中で流動キャビテーションを発生させる。
噴射ノズル20から噴射されるウォータージェットにおける噴射ノズル20の下流側には、付加ノズル50が付加されている。具体的には、ホーン部23には、付加ノズル50が固定されている。付加ノズル50は、鉛直方向に軸心が指向する円筒形状を有している。付加ノズル50の上端部51は閉塞されており、付加ノズル50の上端部51の中央部にホーン部23が固定されている。付加ノズル50の下端部52は、開口しており、付加ノズル50の下端部の開口は、周縁部が付加ノズル50の中心へ延びて開口径が縮径する開口縮径部53を有している。付加ノズル50の各部の寸法については、例えば以下のとおりである。軸方向における高さHは80mm、内径D1は64mmである。また、開口縮径部53により、開口径は、例えば、52mmに形成されている。開口縮径部53を有していることにより、付加ノズル50内の旋回流は安定し、付加ノズル50内の低圧化された圧力の変動が抑制される。
また、付加ノズル50部の側面には、円筒状の低圧水流入口55が形成されており、低圧水流入口55は、リアクター10に浸漬されており、噴射ノズル20の出口部の近傍の高い動圧(流速が大きいため)により静圧が低下(低圧化)するため、低圧水流入口55からリアクター10内における付加ノズル50部の周囲水が低圧水W3として流入する。低圧水流入口55の内径D2は、例えば20mmであり、上下方向におけるホーン部23の下端部から低圧水流入口55の中心までの距離は、例えば0mmとし、一致させる。
円筒状の低圧水流入口55の軸心l2(図2参照)は、水平方向に平行な位置関係を有しており、図2に示す平面視で、付加ノズル50の中央部のホーン部23の中央o1を通る位置関係を有しておらず、低圧水流入口55の中央部o2と、付加ノズル50の中央部のホーン部23の中央o1と、を結ぶ仮想線l1に対して、図2に示すように、7度の角度a1でずれた位置関係を有している。これにより、低圧水流入口55を通して付加ノズル50の内部に流入した低圧水W3によって旋回流(循環)が生じるように構成されている。
図1に示すように、付加ノズル50の下端部の開口は、被衝突物、物質としての被加工物41に対向している。被加工物41は、図1における上下方向において2mm以上の厚さを有する、平坦な板状又は湾曲した板状の、Cr-Mo鋼、Ni-Cr-Mo鋼、Ti合金、Ni基合金のうちから選択された少なくとも1つにより構成されている。付加ノズル50の下端部の開口から鉛直下方へ噴射されるウォータージェットは、被加工物41の上面に対して噴出され衝突する。これより、被加工物41の上側の周辺に2次噴流が発生し、ウォータージェットによる水の流動速度が弱められて、後述のように流動キャビテーションの流速が所定の移動速度である5m/s以下とされ、圧力が低下させられる。
超音波照射素子30は、駆動制御装置(図示せず)に電気的に接続されており、付加ノズル50の下端部の開口から鉛直下方へ噴射されて、流動速度が弱められ、動圧が低下させられたウォータージェットに対して、水平の方向から超音波U1を照射する。超音波照射素子30は、駆動制御装置からの出力により、リアクター10に貯留された水道水W1の中で、超音波U1を照射する。照射される超音波U1の周波数は、20kHz以上33kHz以下である。
照射される超音波U1の周波数が20kHz未満では、周波数が低すぎて、超音波U1の効果を得ることができないからである。照射される超音波U1の周波数が100kHzを超えると、周波数が高すぎて、超音波U1の効果を得ることができず、また、33kHzを超えると、気泡半径を等温膨張・断熱圧縮させやすい共鳴半径から離れてしまい、気泡半径を等温膨張・断熱圧縮させにくくなるからである。より好ましくは、28kHz近辺である。
また、照射される超音波U1の超音波出力定格値は、150W以上2000W以下である。照射される超音波U1の超音波出力定格値が150W未満では、超音波U1の出力が弱すぎて、キャビテーションの核の膨張・収縮による圧壊を十分に行うことができないからである。照射される超音波U1の超音波出力定格値が2000Wを超えると、超音波U1の出力が強い割には、効果的なキャビテーションの核の膨張と、収縮による圧壊とを行うことができず、出力を大きくする意味がないためである。
即ち、気泡振動(キャビテーションの核への振動)の共振周波数を与える半径を、共鳴半径と呼ぶが、音圧(超音波出力)が大きいと、共鳴半径以上では、キャビテーションの核はあまり膨張せず、レイリー収縮(断熱圧縮)を生じさせない。一方、音圧をBlake閾値とする(等温膨張に必要な音圧とする)気泡半径以下でも、気泡の膨張は小さくなる。これらのことから、一般にレイリー収縮を起こすような活性な気泡の平衡半径は、Blake閾値と共鳴半径の間にあるためである。
超音波照射素子30は、リアクター10に貯留された水道水W1において、噴射ノズル20が噴射するウォータージェットから、超音波照射素子30から照射される超音波U1の5波長分の距離以下の距離で離れた位置に配置される。具体的には、照射される超音波U1の周波数が28kHzの場合には、噴射ノズル20が噴射するウォータージェットから約54mm以下で離れた位置に配置される。超音波照射素子30から照射される超音波U1の5波長分の距離を超えると、超音波U1の強度が低下し、超高温高圧キャビテーションの核が膨張している状態から収縮する状態に移らずに、超高温高圧キャビテーションによる物質の表面改質の効果を十分に得ることができないからである。
また、超音波照射素子30は、噴射ノズル20から離間した位置であって、流動キャビテーションが膨張可能な、流動キャビテーションの流速が所定の移動速度以下になる位置にある流動キャビテーションに対して、超音波U1を照射する。これにより、高温反応場を含んだ流動キャビテーションの高温反応場を噴射ノズル20から離間した位置であって、被衝突物である被加工物41の周辺に分布させる。ここで所定の移動速度が、5m/sであることは、前述の特許文献2(国際公開第2016/136656号公報)に記載されている通りである。前述のように、流動速度が弱められ、圧力が低下させられたウォータージェットに対して、超音波照射素子30による超音波U1の照射が行われることにより、超高温高圧キャビテーションが発生する。
以上の構成を有する装置1が用いられて、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法は、以下のとおり実施される。
噴射ノズル20は、リアクター10に貯留されている水道水W1に浸漬された状態で、高圧水W2を水道水W1に対して噴射することによるウォータージェットを噴射する。これにより、ウォータージェット噴流の周囲において循環渦が発生する。循環渦においては渦内部が低圧化される。ウォータージェットの温度における飽和蒸気圧に達すると、流動キャビテーションが発生するが、循環渦により形成される低圧化により、発生する流動キャビテーションの数が増加する。
また、噴射ノズル近傍の静圧の低下により低圧水流入口55から周囲水が低圧水W3として流入する。もしくは、低圧水供給源から低圧水流入口55を通して付加ノズル50の内部に低圧水W3が流入する。これにより、付加ノズル50の内部に旋回流(循環)が発生し、循環中心が低圧化する。これによりウォータージェットにおける気泡は膨張する。
このとき、超音波照射素子30は、ウォータージェットの噴射に伴い生じる流動キャビテーションに対して超音波U1を照射している。これにより、流動キャビテーションにおいて圧力の高低が繰り返し生ずる。このため、核の発生と、核の拡散及び膨張と、核の圧壊と、核の発生と、が繰り返し行われる。そして、この繰り返しの中で、核の拡散及び膨張と、核の発生と、が一致することにより、特許文献2に記載されている従来のUTPCよりも高温高圧の気泡が生成される。
超高温高圧キャビテーションは、圧壊し始めると、物質としての被加工物41に近づく。そして、体積減少を起こし、物質の表面に突き刺さるような高速ジェット(マイクロジェット)を生成する。この超高温高圧キャビテーションによる高速ジェット(マイクロジェット)は、被加工物41に衝突する。これにより、被加工物41の表面に圧縮残留応力を付与するとともに、表面の幾何学的形状、機械的特性および耐食性を変化させる、マイクロジェットによる表面改質が施される。
このように、流動キャビテーションを超音波U1により膨張・収縮させることにより生ずる、高温反応場を含んだ流動キャビテーションの高温反応場は、前述のように、超音波照射素子30は、ウォータージェットの噴射に対して超音波U1を照射しているため、ウォータージェットの噴出方向における噴射ノズル20の先方に分布する。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る超高温高圧キャビテーションを発生させる方法について説明する。実施形態2では、付加ノズル50Aに低圧水流入口が2つ形成されている点において、実施形態1とは異なる。これ以外の点については、実施形態1と同一であるため、同一の部材については、同一の符号を付すこととし、説明を省略する。図3は、本発明による実施形態2の超高温高圧キャビテーションUTPCを発生させる方法を示す概略図である。図4は、本発明による実施形態2の超高温高圧キャビテーションUTPCを発生させる方法で用いられる付加ノズルを示す平面概略図である。
図3に示すように、付加ノズル50Aの側面には、付加ノズル50Aの周方向において半周した位置に、第2低圧水流入口56が形成されている。第2低圧水流入口56は、低圧水流入口55と同一の形状を有し、上下方向において同一の位置にある。円筒状の第2低圧水流入口56の軸心l3(図4参照)は、水平方向に平行な位置関係を有しており、図4に示す平面視で、付加ノズル50Aの中央部のホーン部23の中央o1を通る位置関係を有しておらず、第2低圧水流入口56の中央部o3と、付加ノズル50Aの中央部のホーン部23の中央o1と、を結ぶ仮想線l1に対して、図4に示すように、7度の角度a2でずれた位置関係を有している。この角度a2は、従来の旋回ノズルの角度を参考としたものであり、15度以下であることが好ましい。角度a2が15度よりも大きいと、旋回流(循環)が付加ノズル50Aの内部で続けて生じにくくなるためであり、付加ノズル50Aの内部の低圧化が起こりにくいためである。
そして、ホーン部23の下端部から第2低圧水流入口56の上端部までの距離についても、例えば25mmであり、低圧水流入口55と同様である。
従って、低圧水流入口55の中央部o2と第2低圧水流入口56の中央部o3とを結ぶ仮想線l1は、付加ノズル50Aの中央部のホーン部23の中央o1を通過しているが、低圧水流入口55の軸心l2と第2低圧水流入口56の軸心l3とは、一致する位置関係を有しておらず、平行の位置関係を有している。低圧水流入口55と、第2低圧水流入口56とを通して付加ノズル50Aの内部に流入した低圧水W3、低圧水W4によって、ウォータージェットの周囲に流入する周囲水が増加し、第1実施形態で生じた旋回流(循環)よりも循環中心が更に低圧化され、気泡の大型化を図ることが可能になる。
(実施形態3)
次に、本発明に係る超高温高圧キャビテーションを発生させる方法について説明する。実施形態3では、付加ノズル50Bが載頭円錐形状を有している点において、実施形態1とは異なる。これ以外の点については、実施形態1と同一であるため、同一の部材については、同一の符号を付すこととし、説明を省略する。図5は、本発明による実施形態3の超高温高圧キャビテーションUTPCを発生させる方法を示す概略図である。
図5に示すように、付加ノズル50Bは、噴射ノズル20から噴射されるウォータージェットの上流側から下流側へ向かって、即ち、下方向へ進むにつれて、徐々に拡径する載頭円錐形状のテーパ型ノズルにより構成されている。図5に示すように、付加ノズル50Bの軸心を通る断面視における、付加ノズル50Bの軸心に平行な仮想線l4に対する付加ノズル50Bの側面の傾斜角度a3は、例えば7度である。この傾斜角度a3は、従来の単一気泡を膨張させる基本ノズルであるベンチュ-リノズルの角度を参考にしたものである。付加ノズル50Bの上端部51Bの内径は、第1実施形態における付加ノズル50の上端部51の内径と同一である。平面視における、付加ノズル50Bと、ホーン部23と、低圧水流入口55との位置関係は、実施形態1の平面視における、付加ノズル50と、ホーン部23と、低圧水流入口55との位置関係と同様である。
この構成により、流動キャビテーションがウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径し、循環半径が徐々に増加し循環中心の圧力が低下するので、気泡の更なる大型化と高温高圧化を達成することが可能になる。前述の傾斜角度a3が15度以上になると、旋回流(循環)が付加ノズル50Bの内部で続けて生じにくくなり、低圧化が起こりにくい。
(実施形態4)
次に、本発明に係る超高温高圧キャビテーションを発生させる方法について説明する。実施形態4では、付加ノズル50Cに低圧水流入口が2つ形成されている点において、実施形態3とは異なる。これ以外の点については、実施形態3と同一であるため、同一の部材については、同一の符号を付すこととし、説明を省略する。
図6は、本発明による実施形態4の超高温高圧キャビテーションUTPCを発生させる方法を示す概略図である。
図6に示すように、付加ノズル50Cの側面には、付加ノズル50Cの周方向において半周した位置に、第2低圧水流入口56が形成されている。第2低圧水流入口56は、低圧水流入口55と同一の形状を有している。平面視における、付加ノズル50Cと、ホーン部23と、低圧水流入口55と、第2低圧水流入口56との位置関係は、実施形態2の平面視における、付加ノズル50Aと、ホーン部23と、低圧水流入口55と、第2低圧水流入口56との位置関係と同一である。
従って、低圧水流入口55と、第2低圧水流入口56とを通して付加ノズル50Cの内部に流入した低圧水W3、低圧水W4によって、ウォータージェットの周囲に流入する周囲水が増加し、更に、循環半径が徐々に増加し循環中心の圧力が低下するので、第3実施形態で生じた旋回流(循環)よりも循環中心が更に低圧化され、気泡の更なる大型化と更なる気泡数の増加、高温高圧化を達成することが可能になる。
次に、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法、超高温高圧キャビテーションの発生装置1における、付加ノズル50の内部の旋回流によるキャビテーションの発生数の増加と、気泡膨張に必要な圧力について説明する。
付加ノズル50の内部の圧力Pnが負圧になれば、下記の(1)式により低圧水流入口55における流速viが求まる。ここで、低圧水流入口55の圧力Piは大気圧とする。しかしながら、実際には管入口損失と管摩擦圧損を考慮する必要がある。圧損は、下記の(2)式で表され、管の入口損失係数ζinを0.5とし、管摩擦係数λを0.03として、実際の低圧水流入口55内の管内流速uは(3)式で、流量Qは(4)式で示される。ここで、実施形態2、実施形態4のような低圧水流入口55、第2低圧水流入口56による旋回流(二個孔旋回流)の流速は、実施形態1、実施形態3のような低圧水流入口55による旋回流(一個孔旋回流)の流量の2倍と仮定し、旋回流の最大半径は付加ノズルの内径64mmの半分のφ32mmとした。
Figure 0007157994000001
Figure 0007157994000002
ここで、入口損失係数ζin:0.5
管摩擦係数λ:0.03
管内径d:20mm
とする。
Figure 0007157994000003
Figure 0007157994000004
噴射ノズル20の出口部であるホーン部23の圧力Pnと低圧水流入口55内の管内流速uの関係、及び、噴射ノズル20の出口部であるホーン部23の圧力Pnと低圧水流入口55内の管内流量Qの関係は、図7、図8に示すとおりである。
噴射ノズル20のホーン部23近傍の圧力Pnは、-36.5kPa(圧力計により計測した結果(ゲージ圧))の旋回ストレートノズル(実施形態1のように低圧水流入口55が1個の場合)では、流量が6.83×10-3/s、流速が2.17m/sとなる。噴射ノズル20のホーン部23の圧力Pnが、-47.5kPa(圧力計により計測した結果(ゲージ圧))の旋回テーパノズル(実施形態4のように低圧水流入口55、56が2個の場合)では、流量が7.79×10-4/s、流速が2.48m/sとなる。
付加ノズル50(旋回ノズル)内に流入した渦流れは、(5)式に定義される循環として取り扱うことができる。流入孔から7°の角度で流入した周囲水は,噴射ノズル20の出口部近傍から旋回ノズルの内壁に沿って旋回流が発生する。旋回流発生により,噴射ノズル20の出口部から噴流方向に相当する旋回中心圧力は前記の測定圧力よりさらに減少する。ここで、旋回流の最大半径は付加ノズルの内径64mmの半分のφ32mmとした。
Figure 0007157994000005
ここで循環:Γとし、気泡核のr=0とし、付加ノズル50の中心での圧力:pとし、付加ノズル50内圧力:pとし、循環半径:rとする。渦の中の任意の圧力pは(6)式で与えられる。
Figure 0007157994000006
しかしながら、実際の渦ではその中心までこの状態を続けることができず、渦の強さに応じた核の部分を形成する。核の内部では循環の値は一定でなく、半径位置rcによって、(7)式のように変化する。
Figure 0007157994000007
付加ノズル50における流れを考慮し、核の半径rを低圧水流入口55の位置から求まる旋回半径と定めた。循環Γは流入速度が大きい程増加し、旋回中心(核中心)圧力
は、(8)式に示すようにノズル出口部であるホーン部23の圧力Pnよりも更に低圧化される。
Figure 0007157994000008
ここで旋回半径(核半径)は付加ノズルの内径64mmの半分のφ32mmとした。噴射ノズル20の先端部であるホーン部23からの距離に伴う旋回中心圧力は、噴射ノズル20のみでは旋回流が発生しないので定義されないが、1個孔旋回ストレートノズル(実施形態1、実施形態3)、2個孔テーパノズル(実施形態2、実施形態4)の順に負圧が増加すると考えられる(図9)。
ここで、流体力学において、キャビテーションの解析に用いられる無次元数として、キャビテーション数(Cavitation number)が用いられる。キャビテーション数Caは、液体の圧力と蒸気圧の差を無次元化したもので定義され、(9)式で表される。
Figure 0007157994000009
ここで、
:絶対圧力
:蒸気圧(20℃)
1/2ρvn:代表圧力(動圧)
ρ:流体の密度
vn:流れの代表速度(旋回中心流速)
である。
キャビテーション発生点でCa=1であり、Ca<1ならばこの配管系においてキャビテーションが発生する。キャビテーション数が小さいほど、より具体的には、-1<Ca<1であれば、キャビテーションが起こりやすい。そのため、以下のことが言える。即ち、流れの代表速度が速いほど、キャビテーションが起こりやすくなる。また、一般に、温度が高いと蒸気圧は上がるため、キャビテーションが起こりやすくなる。即ち、付加ノズル50のない場合に対して付加ノズル50がある場合の方が、キャビテーション数が大きくなる。
噴射ノズル20からの自由噴流の広がりからノズル出口であるホーン部23からの流速を推定し、キャビテーション数を求めると図10が得られる。
図10より、付加ノズル50が無い場合と比べて、1孔旋回ストレートノズル(実施形態1)、更には2孔旋回テーパノズル(実施形態2)の方が、キャビテーション数が大きくなり、キャビテーション気泡が多く発生しやすくなることが分かる。その結果、付加ノズル50から流出し超音波照射されるウォータージェット気泡数が増加し、より多くの高温高圧キャビテーションが生成される。
気泡壁近傍での液体圧力pBは(10)式で表される。図11に示すように、初期気泡半径R0=10μmの場合、気泡の周囲圧力(液体圧力)は最小値-0.015bar以下になれば、気泡は大きく膨張できる。図9に示すように、付加ノズル50の中心で大きな負圧になり、噴射ノズル20からのキャビテーションは膨張しやすいと考えられる。
Figure 0007157994000010
ここで、p:水蒸気圧、
:雰囲気圧、
σ:表面張力、
:平衡半径、
R:気泡半径、
κ:比熱比(1~1.4)
とする。
ここで、気泡内に蒸気とともにガスが含まれていると考える。この場合、水中に溶けているガスの気泡内への拡散は、一応小さいものとして省略し、気泡内のガス量は一定とする。従って、気泡内のガスの圧力と体積の積は一定と考えると、(10)式の第二項を
(pg0×R=K、Kは定数)
と置き換えることが可能になり、(11)式が得られる。
Figure 0007157994000011
(11)式を用いて、各種半径における気泡近傍の液体を求めると、図12に示すように気泡半径が大きくなるに従って、低い負圧で気泡は膨張可能になる。
ウォータージェットキャビテーション(以下、「WJC」と言う)のクラウドは多気泡状態であるが、気泡壁の液体圧力が負圧下で激しい膨張を始める気泡半径に達すると急速に膨張する。付加ノズル50内の1つのウォータージェット気泡は発生・成長・崩壊を繰り返し、新たな気泡を生成する過程の中で、容易に膨張する。気泡の成長段階において、付加ノズル50内の高い負圧により、多くのキャビテーション気泡が膨張の機会を与えられる。また、図12に示すように、気泡半径が大きいほど膨張に必要な負圧は小さくなる。キャビテーション気泡の多くが膨張し、その結果、付加ノズル50から流出し、超音波照射される気泡サイズが増加し、超高温高圧キャビテーションが生成される。
次に、Rayleigh-Plesset方程式を用いて、従来の超音波キャビテーション(気泡半径:4μm)と、特許文献2(国際公開第2016/136656号公報)に記載の従来の機能性キャビテーション(気泡半径:100μm)と、本実施形態の超高温高圧キャビテーション(気泡半径:300μm)と、にそれぞれ超音波を照射し、等温膨張・断熱圧縮させた場合の温度と圧力を図13~図16に示す。
図14に示すように、気泡半径は、従来の超音波キャビテーションでは50μmまでしか膨張しない。これに対して、特許文献2(国際公開第2016/136656号公報)に記載の従来の機能性キャビテーションでは230μmまで膨張し、本発明の超高温高圧キャビテーションでは300μm以上まで膨張する。
また、図15に示すように、気泡圧力は、従来の超音波キャビテーションでは10MPaまでしか高温化されず、特許文献2(国際公開第2016/136656号公報)に記載の従来の機能性キャビテーションでは1×10MPaまで高温化されるが、本発明の超高温高圧キャビテーションでは5×10MPaまで高温化される。
図16に示すように、従来の超音波キャビテーションでは、3900Kまでしか高温化されない。一方、従来の機能性キャビテーションでは1×10Kまで高温化され、本実施形態の超高温高圧キャビテーションでは1×1010Kまで高温化される。しかしながら、実際には収縮最終段階では、水蒸気の熱分解に伴う化学反応熱と熱伝導により、気泡内温度の上昇は抑制されるが、計算式上での定性的比較として取り扱う。従来のソノルミネッセンスの計測データでは、気泡温度は最高でも10万度が限度であるとされており、本計算ではこの温度に達していると考えられる。
次に、本実施形態(実施形態1)による超高温高圧キャビテーションの発生装置により実施される、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法を用いる、物質の表面に圧縮残留応力を付与するとともに、表面の幾何学的形状、機械的特性および耐食性を変化させる方法の効果を確かめる試験を行った。
試験においては、表1に示す化学組成の機械構造用材料のCr-Mo鋼(SCM435)を試料として用いた。
Figure 0007157994000012
超高温高圧キャビテーションを発生させる際の条件は、以下のとおりである。
(超高温高圧キャビテーション発生条件)
高圧水供給源から噴射ノズル20へ供給される高圧水の圧力 : 35MPa
高圧水の流量(ポンプ定格) : 15L/分
超音波U1の照射及びウォータージェットの噴射時間 : 2分又は10分
ホーン部23における流量 : 6.9L/分
ホーン部23の断面積から求まるホーン部23から吐出されるウォータージェットの流速 : 229m/s
超音波U1の周波数 : 28kHz
超音波出力定格値 : 225W
ウォータージェットから超音波照射素子30までの距離 : 54mm
表面電位の測定領域は100μm×100μmであり、線分析で3本線を引いた値を平均した。また残留応力はRigaku製のMSF-3Mを用いて、30kV-10mAにて発生したCr-Kα線で(211)格子面間ひずみをそれぞれ半価幅法およびピークトップ法で求めた。ビッカース硬さ試験は、室温にて荷重0.2kgf、負荷時間10sの条件で行った。各点の硬さは10回の測定値の中で最小値と最大値を除去して、残りの8回を平均した値を採用した。組織観察には光学顕微鏡(OM)と株式会社日立製作所製走査型電子顕微鏡(SEM、S-4800)を使用した。SEM観察用の試料は5vol%ナイタール溶液で腐食した後、組織観察した。
実施形態1の装置によって、本発明の方法を施工(実施)した試験結果は、図17A、図17Bの写真に示すとおりである。これらの写真は、実施形態1の方法の実施後(施工後)、数ヵ月経過した状態を示す。施工前にピーニングされている位置を特定するため、試料表面に油性マジックを塗布した。
施工後に油性マジックの剥離状況を観察すると、剥離部の直径は、(国際公開第2016/136656号公報)に記載の従来の機能性キャビテーション(WJC)による施工でΦ40.8mm、実施形態1による超高温高圧キャビテーション(UTPC)による施工でΦ42.2mmとなり、超音波照射によりインク剥離範囲が拡大するとともにピーニング分布も影響を受けた。またこれらの施工後、大気中に数ヵ月放置すると、WJC施工による試料の表面には錆が発生したが、実施形態1によるUTPC施工による試料の表面には、ほとんど錆が発生しなかった。これは、実施形態1によるUTPC施工後に、試料表面に緻密な酸化被膜が形成され、錆の発生を予防止したためであると考えられる。実施形態1によるUTPC施工ではウォータージェットで生じる気泡に超音波を照射することで、気泡内部が高温・高圧に達すると考えられる。また、実施形態1によるUTPC施工をしたSCM435において、表面に酸化被膜が形成された原因は、施工面が加熱されたことにより、酸化被膜が形成されたためであると考えられる。
また、実施形態1の装置によって、本発明の方法を実施した、各施工部側面の表面近傍のOM組織は、図18A、図18Bの写真に示すとおりである。
各施工後の表面から深さ方向における粒径は大きく変化していないが、UTPC施工部は異常に錆が発生した。この錆はフェライト(色が薄い部分)上に存在しておらず、主にパーライト上(色が濃い部分)で観察され、表面から約1mmの深さまで錆が著しく発生した。このことより選択酸化が試料内で生じていると考えられる。選択酸化は合金中の金属元素のうちで、より酸化されやすい元素が選択的に試料内を拡散して表面で酸素(0)と結合して発生する。この試料で選択酸化される元素はCrであると思われる。鋼材中のCrはUTPC施行中、還元雰囲気である表面に移動したことにより、表面直下でCrが欠乏し、錆が発生しやすくなったと考えられる。
各施工した試料表面の耐食性を評価するために表面電位を測定した結果は、表2示すとおりである。
Figure 0007157994000013
超音波やWJCによる施工表面は受け入れ材より表面電位が低下したことが分かる。また表面電位に相当する仕事関数は表面粗さが大きいと減少すると考えられる。一方、最も表面電位が高かったUTPC施工後の試料表面は、表面が加熱されたことにより、表面欠陥がWJC施工より減少したことも表面電位が増加した一因であると思われる。UTPC施工における耐食性の向上は酸化被膜の形成だけでなく、表面欠陥の減少も関与していると判断できる。
各施行による試料の残留応力を測定した結果は、表3に示すとおりである。施工後の残留応力測定では、表面に錆がない状態で各施工面の研削方向から測定した。施工による残留応力値を高めるために、試験片表面にはあらかじめ強研削を施して高い引張残留応力を付与した。この引張応力の付与は、付与しない場合と比較して、シェイクダウン効果により施工後、圧縮残留応力が増加すると考えられる。
未施工材では研削方向に引張残留応力が付与され、研削垂直方向に圧縮残留応力が付与されていることを確認した。引張残留応力により、各種施工条件での圧縮残留応力が向上した。圧縮残留応力は、表面がキャビテーション崩壊圧力により圧縮されて横方向に押し延ばされる塑性変形が周囲から弾性拘束されることによって発生する。WJC施工では施工時間の増加と共に減少したが、実施形態1による施工(UTPC)では逆に増加した。
各種施工部の表面(酸化膜およびピーニング痕を除去した表面)から厚さ方向への硬さ変化は図19A、図19Bに示すとおりである。
表面近傍の硬さは、未施工部で246Hvであった。深さ方向の硬さ分布については、未施工部ではほとんど変化が見られなかった。未施工部では、引張残留応力付与のために行った表面への強平面研削の影響をあまり受けていないと考えられる。WJC施工部の表面近傍の硬さ測定において、2分間施行した施工材では272Hv、10分間施行した施工材では303Hvの硬度が得られた。
表層部から深さ方向へ0.5mmまで離れると、硬さが低下したことから、圧縮応力場は表面から約0.5mm深さ方向まで達すると考えられる。実施形態1によるUTPC施工をした施工部の表面近傍では、図19Bに示すように、深さ2分間施行した施工材で276Hv、10分間施行した施工材では292Hvが得られた。2分間施行した施工材では表層部から深さ0.5mmから硬さの低下が見られたが、10分間施行した施工材では、約1mmの深さから硬さの低下が認められた。以上のように、UTPC施工はWJC施工より表面硬化層が厚くなることが分かった。
10分間のWJC施行により圧縮残留応力が減少した原因をSEM観察し調査したものは、表3に示すとおりである。
Figure 0007157994000014
未施工の試料(未施工材)ではパーライトとフェライトが観察されるだけの組織であった。2分間のWJC施行による施工表面では、ピーニングされた表面が観察され、パーライト内部の層状(ラメラ)組織は折れ曲がってキンクバンドが形成されており、冷間圧延された組織によく類似していることが分かる。側面ではフェライトおよびパーライトが接触する粒界にボイドが形成されやすいことが確認できる。
10分間のWJC施行による試料表面のSEM組織は、図20に示すとおりである。10分間のWJC施行による試料表面においては、図20に示すように、2分間のWJC施行による試料表面と同様に、パーライト内のラメラ組織が著しく変形した。さらに一部では、セメンタイトが突出しているものや消失しているものが観察された。
10分間のWJC施行による試料側面におけるSEM組織は、図21に示すとおりである。図21においては、表面から0.5~1mmの深さの部分(以下、「0.5mm~1mm側面部」と言う)を示している。図21に示すように、0.5mm~1mm側面部には、大きなき裂が観察された。他の箇所においても2分間のWJC施行の場合と同様に、フェライトおよびパーライトが接触する粒界にボイドが形成されていた。このき裂は恐らく、フェライトとパーライトが接触する粒界から発生したと考えられる。
10分間の実施形態1のUTPC施行による試料表面におけるSEM組織は、図22に示すとおりである。
10分間の実施形態1のUTPC施行による試料表面では、WJC施工表面と同様に、パーライト内部には著しい変形が観察された。また、2分間の実施形態1のUTPC施行による試料側面と同様なパーライト組織が確認されたが、更にラメラ組織の黒い領域に相当するフェライトが溶融している様子が観察された。この現象は、2分間の実施形態1の施行による試料表面で観察されず、10分間の実施形態1のUTPC施行による試料表面のパーライト組織全体に認められた。これはパーライトが長時間のUTPC処理中に高温化されたためであると考えられる。
実施形態1のUTPC施行による試料表面近傍の側面組織は、図23A、図23Bに示すとおりである。破線はUTPC施工表面を表している。SEM観察中には、UTPC施工部の表面近傍の側面は、WJC施工部より錆やすく、組織観察するのが困難であった。図23Bに示すように、10分間の実施形態1のUTPC施行による試料は、図23Aに示す2分間の実施形態1のUTPC施行による試料よりも、パーライト内のラメラ組織の間隔が狭く、細かく分断された組織が観察された。表面近傍の硬さ測定において、10分間の実施形態1のUTPC施行による試料の硬さが増加したのは、施工時間の増加に伴い、パーライト内のラメラ間隔が狭くなったためと考えられる。またWJC施工した試料においても同様なことが言える。
2分間の実施形態1のUTPC施行による試料の0.5mm~1mm側面部のSEM組織は、図24に示すとおりである。この組織周囲のパーライトはラメラ組織が分断されており、このラメラ組織内に粒状のものが観察された。この粒状組織は、靱性を高める粒状セメンタイト(球状セメンタイト)であると考えられる。
パーライトをA1点(727℃)直下の温度に加熱すると、層状のセメンタイトが壊れ、徐々にセメンタイトの球状化が起こる。しかし、この反応はゆっくりと進行するため、単なる加熱処理により完全なセメンタイトの球状化を得ることは困難である。ところが、パーライトを冷間加工した後、焼なましするとセメンタイトの球状化は著しく促進される。つまり、UTPC施工後、図24で観察されたセメンタイトの球状化は、表面が塑性変形を受けた影響と、表面から深さ方向にまで温度が伝わり、焼なましされたこととにより形成されたと考えられる。
一方、図22に示す試料表面においては、表3で示す2分間の施工よりも10分間の施工の方が、圧縮残留応力が高いことから、塑性変形中の弾性拘束と施工中の表面温度の上昇により、セメンタイトが球形になる過渡現象が観察されている。更に施工時間を延ばすと、試料表面においていずれはセメンタイトが球状になると考えられる。しかしながら、現時点までの試験結果より、UTPC施工は施工中に0.5mm~1mm側面部にまで温度が達したとする試験例は現在のところ、本実施形態のみである。UTPC施工ではWJC施工後の内部に見られたボイドやき裂は観察されなかった。表面の高温化により、加工硬化で得られた転位が消失し、内部ひずみが無くなったことで内部にはボイドやき裂が生じなかったと考えられる。
上述した実施形態1~実施形態4の、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法、超高温高圧キャビテーションの発生装置によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態1~実施形態4の、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法、超高温高圧キャビテーションの発生装置では、水中に浸漬させた噴射ノズル20からウォータージェットを噴射させると共に、ウォータージェットの噴射に伴い流動キャビテーションを発生させ、発生した流動キャビテーションに旋回流を与えることにより流動キャビテーションにおける気泡半径を膨張させ、膨張させた気泡半径の大きい流動キャビテーションの流速が所定の移動速度以下になる位置に超音波を照射して、超音波の照射で膨張・収縮を繰り返すことにより生ずる、高温反応場を含んだ流動キャビテーションの高温反応場を噴射ノズル20から離間した位置に分布させる。
上記構成により、超音波U1の照射により、流動キャビテーションの核の拡散・膨張の後に核が収縮し圧壊する際に、体積減少を起こして、Cr-Mo鋼等の被加工物41の固体表面に突き刺さるような高速ジェットを発生させて、被加工物41の表面改質を促進させることができる。この際、キャビテーション気泡を大型化するとともに、気泡数を増加させて気泡温度と圧力を極限まで高めることが可能であるため、被加工物41の最表面に、従来にない高い圧縮残留応力を付与できる。また、被加工物41の最表面に硬化層を形成し、その直下に高靭性層を形成できる。また、被加工物41の表面硬化層直下におけるき裂発生を防止することができる。
また、本実施形態1~本実施形態4の超高温高圧キャビテーションを発生させる方法、超高温高圧キャビテーションの発生装置では、噴射ノズル20の軸心から外れた流動キャビテーションの位置に向けて、噴射ノズル20に付加された付加ノズル50、50A、50B、50Cから水流を与えることにより、旋回流を流動キャビテーションに対して与える。
上記構成により、噴射ノズル20から高圧水を噴射する際に、付加ノズル50、50A、50B、50Cの出口部である下端部の開口の動圧が非常に大きくなり、逆に静圧が下がる。このため、低圧水流入口55、第2低圧水流入口56から低圧水W3、W4である周囲水が流入する。その結果、付加ノズル50、50A、50B、50C内に旋回流(循環)が発生し、循環中心が低圧化する。これにより気泡は膨張し、膨張したウォータージェット気泡に超音波を照射すると、特許文献1(国際公開第2016/136656号公報)に記載の従来のMFCよりも高温高圧の気泡が生成され、高温高圧のマイクロジェットにより、被加工物41の表面をマイクロ鍛造することができる。
また、本実施形態3、本実施形態4の超高温高圧キャビテーションを発生させる方法では、旋回流を、噴射ノズル20から噴射されるウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径し噴射ノズル20の付加された付加ノズル50により、ウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径させることにより、噴射ノズル20の軸心の位置におけるウォータージェットの圧力を低下させる。この構成により、拡径する付加ノズル50、50A、50B、50Cにより、循環半径が増加し循環中心の圧力が低下するので、気泡の更なる大型化と高温高圧化を達成することができる。
また、本実施形態3、本実施形態4の超高温高圧キャビテーションを発生させる方法では、拡径する付加ノズル50B、50Cは、噴射ノズル20から噴射されるウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径するテーパ型ノズルにより構成される。この構成により、付加ノズル50B、50Cのテーパにより、循環半径が徐々に増加し、循環中心の圧力が徐々に低下するので、より気泡を大型化でき、更に高温高圧化を達成することができる。
また、本実施形態1~本実施形態4の超高温高圧キャビテーションを発生させる方法では、噴射ノズル20のノズル径はφ0.1~2.0mmであり、流動キャビテーションの移動速度は5m/s以下であり、付加ノズル50の流入孔は1個または2個であり、噴射ノズル20には1MPa以上70MPa以下の圧力で、0.1L/min~100L/minの流量で高圧水が供給される。
上記構成により、効率良くキャビテーション気泡を大型化するとともに、気泡数を増加させて気泡温度と圧力を極限まで高めることが可能となる。特に、付加ノズル50、50A、50B、50Cの低圧水流入口55、第2低圧水流入口56が計2個設けられていることにより、低圧水流入口55が1個の場合と比較して、流入する周囲水が増加し、循環中心がさらに低圧化されて、気泡の大型化を図ることが可能になる。
また、本実施形態1~本実施形態4の超高温高圧キャビテーションを発生させる方法では、超音波の周波数は20kHz以上33kHz以下であり、超音波を発生させる超音波発信器の出力は150~2000Wである。
上記構成により、ウォータージェットキャビテーションのサイズである300μm以上の気泡の共振周波数と同様の周波数の超音波U1を、強い出力で流動キャビテーションに対して照射することができる。この結果、キャビテーションの核を容易に膨張させることが可能になる。これにより、超音波U1の周波数帯域のうちのいずれかの周波数を用いて、機械的及び電気化学的キャビテーションMFCを発生させる方法を実施することができる。
また、本実施形態1~本実施形態4の超高温高圧キャビテーションを発生させる方法では、超音波を照射する超音波照射素子30からウォータージェットまでの距離は、超音波の5波長以下である。この構成により、超音波U1を十分な強度でウォータージェットに対して照射することができる。この結果、超高温高圧キャビテーションを効果的に発生させることができる。
また、本実施形態1~本実施形態4の超高温高圧キャビテーションを発生させる方法では、噴射ノズル20から噴射されるウォータージェットを被衝突物としての被加工物41に衝突させることによって被加工物41の周辺に生じる2次噴流の流動キャビテーションに対して、超音波を照射することにより、高温反応場を含んだ流動キャビテーションの高温反応場を、被加工物41の周辺に発生させる。この構成により、ウォータージェットの圧力を適度に抑えることができ、この結果、超高温高圧キャビテーションを高効率で発生させることができる。
また、本実施形態1~本実施形態4の物質の表面に圧縮残留応力を付与するとともに、表面の幾何学的形状、機械的特性および耐食性を変化させる方法では、本実施形態1~本実施形態4の超高温高圧キャビテーションを発生させる方法により発生した超高温高圧キャビテーションを、物質としての被加工物41に衝突させる。この構成により、被加工物41の表面に、従来にない高い圧縮残留応力を付与できる。また、被加工物41の最表面に硬化層を形成し、その直下に高靭性層を形成できる。また、被加工物41の表面硬化層直下におけるボイドやき裂発生を防止することができ、靭性の高い層を形成させることができる。また、表面の表面電位を高くすることが可能となり、錆の発生を抑えることが可能となり、耐食性を高めることができる。
また、本実施形態1~本実施形態4の物質の表面に圧縮残留応力を付与するとともに、表面の幾何学的形状、機械的特性および耐食性を変化させる方法では、被加工物41としての物質は、Cr-Mo鋼、Ni-Cr-Mo鋼、Ti合金、Ni基合金のうちから選択された少なくとも1つにより構成される。Cr-Mo鋼、Ni-Cr-Mo鋼、Ti合金、Ni基合金は、2mm以上の厚さを有する。この構成により、被加工物41の表層部から深さ2mm以内の部分において、硬化層を形成することが可能である。
本発明に係る超高温高圧キャビテーションを発生させる方法、物質の表面に圧縮残留応力を付与するとともに、表面の幾何学的形状、機械的特性および耐食性を変化させる方法、及び、超高温高圧キャビテーションの発生装置は、上述した実施形態1~4の内容に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能である。
例えば、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法に用いられる装置の構成は、上述の実施形態の装置の構成に限定されない。例えば、本実施形態では、付加ノズル50を用いたりテーパ型ノズルを用いたりして、流動キャビテーションに旋回流を与えたが、このような手段により旋回流を与えることに限定されない。また、例えば、実施形態3、実施形態4では、付加ノズル50B、50Cは、噴射ノズル20から噴射されるウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径するテーパ型ノズルにより構成されていたが、テーパ型に限定されない。例えば、噴射ノズル20から噴射されるウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径するノズルにより構成されていてもよい。
また、本実施形態においては、低圧水流入口55(第2低圧水流入口56)は1つ又は2つ形成されていたが、この数に限定されない。但し、低圧水流入口の数が増え過ぎると、入口損失と管摩擦係数が増加し、流速と流量が減少すると考えられる。また、旋回ノズル内壁の流入孔部が旋回流れを乱すことが考えられる。その結果、旋回流速と旋回による低圧化が減少する。従って、低圧水流入口55(第2低圧水流入口56)は1つ又は2つ形成されていることが好ましい。
また、低圧水流入口55や第2低圧水流入口56から流入する低圧水W3、W4は、図8等に示すように、2m/s程度の流速であったが、この流速に限定されない。流速が速い方が、(5)式より循環Γが大きくなり、旋回中心がより低圧化される。しかしながら、流速が10m/s以上になると、乱流になり、安定な旋回流でなくなるため、流速は、10m/s未満において大きい値であることが好ましい。
また、噴射ノズル20は、ホーンノズルにより構成されていたが、これに限定されない。例えば、他の形状を有するノズルにより構成されてもよい。また、例えば、超音波照射素子30は、鉛直下方へ噴射されるウォータージェットに対して、水平の方向からウォータージェットに対して超音波U1を照射したが、この構成に限定されない。例えば、超音波U1は、ウォータージェットに対して平行に近い方向から照射してもよい。また、本実施形態では、水道水W1が用いられたが、これに限定されない。例えば、水中の次亜塩素酸ナトリウム等の不純物元素との反応を防止する必要がある場合には、水道水に代えて、超純水や純水を用いてもよい。
また、被加工物41は、平坦な板状又は湾曲した板状のステンレス鋼により構成されたが、これに限定されない。
また、第1実施形態~第4実施形態の構成に代えて、図25に示すように、低圧水W3を供給する低圧水供給源(図示せず)が接続されており、低圧水供給源から低圧水流入口55を通して付加ノズル50の内部に低圧水W3が流入する構成としてもよい。
本発明は、流動キャビテーションの高温反応場を利用する分野において利用可能であり、例えば、物質の表面に圧縮残留応力を付与するとともに、表面の幾何学的形状、機械的特性および耐食性を変化させる分野等において、広く応用可能である。
1、1A、1B、1C 超高温高圧キャビテーションの発生装置
20 噴射ノズル
30 超音波照射素子
41 被加工物
50、50A、50B、50C 付加ノズル
55 低圧水流入口
56 第2低圧水流入口
UTPC超高温高圧キャビテーション
U1 超音波
WJC ウォータージェットキャビテーション
W1 水道水
W2 高圧水
W3 低圧水
W3 低圧水

Claims (15)

  1. 水中に浸漬させた噴射ノズルからウォータージェットを噴射させると共に、前記ウォータージェットの噴射に伴い流動キャビテーションを発生させ、発生した前記流動キャビテーションに、水中の前記噴射ノズルの中心軸上で直進する高速の水の噴流である直進水噴流を含まない旋回流を与えることにより前記流動キャビテーションにおける気泡半径を膨張させるとともに気泡数を増加させて、前記膨張させた気泡半径の大きい流動キャビテーションの流速が所定の移動速度以下になる位置に超音波を照射して、前記超音波の照射で膨張・収縮を繰り返すことにより生ずる、高温反応場を含んだ前記流動キャビテーションの前記高温反応場を前記噴射ノズルから離間した位置に分布させる、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法。
  2. 前記噴射ノズルの軸心から外れた前記流動キャビテーションの位置に向けて、前記噴射ノズルに付加された付加ノズルから水流を与えるか、もしくは前記噴射ノズルの出口部の低圧化で前記付加ノズルの周囲水が流入することにより、前記旋回流を前記流動キャビテーションに対して与える、請求項1に記載の超高温高圧キャビテーションを発生させる方法。
  3. 前記旋回流を、前記噴射ノズルから噴射される前記ウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径し前記噴射ノズルに付加された前記付加ノズルにより、前記ウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径させることにより、前記噴射ノズルの軸心の位置における前記ウォータージェットの圧力を低下させる、請求項2に記載の超高温高圧キャビテーションを発生させる方法。
  4. 前記拡径する付加ノズルは、前記噴射ノズルから噴射される前記ウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径するテーパ型ノズルにより構成される、請求項3に記載の超高温高圧キャビテーションを発生させる方法。
  5. 前記噴射ノズルのノズル径はφ0.1~2.0mmであり、前記流動キャビテーションの移動速度は5m/s以下であり、前記付加ノズルの流入孔は1個または2個であり、前記噴射ノズルには1MPa以上70MPa以下の圧力で、0.1L/min~100L/minの流量で高圧水が供給される、請求項2に記載の、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法。
  6. 前記超音波の周波数は20kHz以上33kHz以下であり、前記超音波を発生させる超音波発信器の出力は150~2000Wである請求項1に記載の、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法。
  7. 前記超音波を照射する超音波照射素子から前記ウォータージェットまでの距離は、前記超音波の5波長以下である請求項1~請求項6のいずれかに記載の、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法。
  8. 前記噴射ノズルから噴射される前記ウォータージェットを被衝突物に衝突させることによって前記被衝突物の周辺に生じる2次噴流の流動キャビテーションに対して、前記超音波を照射することにより、高温反応場を含んだ前記流動キャビテーションの前記高温反応場を、前記被衝突物の周辺に発生させる請求項1~請求項7のいずれかに記載の、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法。
  9. 請求項1~請求項8のいずれかに記載の、超高温高圧キャビテーションを発生させる方法により発生した超高温高圧キャビテーションを、物質に衝突させて、物質の表面に圧縮残留応力を付与するとともに、表面の幾何学的形状、機械的特性および耐食性を変化させる方法。
  10. 前記物質は、Cr-Mo鋼、Ni-Cr-Mo鋼、Ti合金、Ni基合金のうちから選択された少なくとも1つにより構成され、
    前記Cr-Mo鋼、Ni-Cr-Mo鋼、Ti合金、Ni基合金は、2mm以上の厚さを有する、請求項9に記載の、物質の表面に圧縮残留応力を付与するとともに、表面の幾何学的形状、機械的特性および耐食性を変化させる方法。
  11. 前記物質の表面において、表面の表面電位が高く、表面直下にボイドやき裂がなく、靭性の高い層を形成させる、請求項9に記載の、物質の表面に圧縮残留応力を付与するとともに、表面の幾何学的形状、機械的特性および耐食性を変化させる方法。
  12. 水中に浸漬されウォータージェットを噴射する噴射ノズルと、
    前記噴射ノズルから噴射される前記ウォータージェットにおける前記噴射ノズルの下流側に付加され、前記ウォータージェットの噴射に伴い生じる流動キャビテーションを、水中の前記噴射ノズルの中心軸上で直進する高速の水の噴流である直進水噴流を含まない旋回流により低圧化させる付加ノズルと、
    前記ウォータージェットの噴射に伴い生じる流動キャビテーションに対して、前記流動キャビテーションが膨張可能な、前記流動キャビテーションの流速が所定の移動速度以下になる位置に超音波を照射して、前記超音波の照射で膨張・収縮を繰り返すことにより生ずる、高温反応場を含んだ前記流動キャビテーションの前記高温反応場を前記噴射ノズルから離間した位置に分布させる超音波振動子と、を備える、超高温高圧キャビテーションの発生装置。
  13. 前記付加ノズルは、前記噴射ノズルの軸心から外れた前記流動キャビテーションの位置に向けて水流を与えることにより、旋回流を前記流動キャビテーションに対して与える、請求項12に記載の超高温高圧キャビテーションの発生装置。
  14. 前記付加ノズルは、前記噴射ノズルから噴射される前記ウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径するテーパ型ノズルにより構成され、前記流動キャビテーションを前記ウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径させることにより、前記噴射ノズルの軸心の位置における前記ウォータージェットの圧力を低下させる、請求項12又は請求項13に記載の超高温高圧キャビテーションの発生装置。
  15. 前記拡径するノズルは、前記噴射ノズルから噴射される前記ウォータージェットの上流側から下流側へ向かって拡径するテーパ型ノズルにより構成される、請求項14に記載の超高温高圧キャビテーションの発生装置。
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