以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態における画像形成装置1の外観構成の一例を示す図である。この画像形成装置1は、例えばMFPなどで構成され、プリンタ機能やスキャン機能、コピー機能などの複数の機能を備える。例えば、画像形成装置1は、LAN(Local Area Network)などのネットワークに接続可能であり、ネットワーク経由で他のコンピュータから印刷ジョブを受信すると、プリンタ機能を動作させ印刷ジョブに含まれる画像データに基づいて印刷出力を行うことが可能である。
画像形成装置1は、装置本体の中央部に、画像データに基づいて用紙に画像形成を行うことにより、印刷出力を行うプリンタ部4を備えている。尚、本実施形態では、画像形成装置1が画像形成を行う印刷媒体として、印刷用紙などの用紙を例示する。しかし、印刷媒体は、用紙に限られるものではなく、例えば封筒やOHP用のプラスチックフィルムなどのシート状の印刷媒体であれば良い。画像形成装置1のプリンタ部4の下部には、プリンタ部4に対して用紙を1枚ずつ給紙するために設けられる複数の給紙トレイ5が設けられている。これらプリンタ部4および給紙トレイ5は、プリンタ機能、コピー機能又はFAX機能が選択されたときに作動する。給紙トレイ5から装置本体内部に設けられる搬送路に用紙が1枚ずつ給紙されると、プリンタ部4はその用紙に画像形成を行う。プリンタ部4において画像形成が行われた用紙は、さらに搬送路に沿って搬送され、プリンタ部4の上部に設けられた排紙部6に排出される。
上記のような画像形成装置1は、プリンタ部4および給紙トレイ5の内部側に、画像形成部と、用紙を搬送するための用紙搬送機構とが組み込まれている。図2は、画像形成装置1の内部に設けられる画像形成部11及び用紙搬送機構10の一例を示す図である。画像形成部11は、図中矢印F1で示す方向に循環移動する転写ベルト20を備えている。この画像形成部11は後述する制御部によって指定される画像データに基づいて画像形成を行い、形成した画像を転写ベルト20に転写する。
用紙搬送機構10は、給紙用カセットなどで構成される複数の給紙トレイ5a,5b,5c,5d及び手差しトレイ5eを備える給紙トレイ5から給紙される用紙を、搬送路12に沿って図中矢印F2で示す方向に搬送して排紙口18から排紙部6上に排出する。この搬送路12には、複数の給紙ローラ13a,13b,13c,13d,13eを備える給紙ローラ13と、レジストローラ14と、搬送される用紙を検出する用紙検出センサ24と、転写部15と、定着部16と、排出ローラ17と、エンプティセンサ70と、用紙種類判別部71とが設けられている。給紙ローラ13aは給紙トレイ5aに、給紙ローラ13bは給紙トレイ5bに、給紙ローラ13cは給紙トレイ5cに、給紙ローラ13dは給紙トレイ5dに、給紙ローラ13eは給紙トレイ5eにそれぞれ対応している。給紙ローラ13は対応する給紙トレイにセットされる用紙を給紙する際に動作する。また、以下においては、複数の給紙トレイ5a,5b,5c,5d,5eを特に区別しないときには、複数の給紙トレイ5a~5eのうちの一の給紙トレイを指して給紙トレイ5と呼ぶことがある。複数の給紙ローラ13a,13b,13c,13d,13eについても、特に区別しないときには、複数の給紙ローラ13a~13eのうちの一の給紙ローラを指して給紙ローラ13と呼ぶことがある。
転写部15は、トナー像と反対極性の転写電圧を搬送される用紙に印加する。これにより、トナー像は、転写ベルト20から用紙に引き付けられることにより、用紙に転写される。尚、用紙に印加される転写電圧は、用紙の種類に応じて設定されるようになっている。ここで、用紙の種類に適した転写電圧が設定されない場合には、転写不良が発生する可能性がある。
定着部16は、定着ローラ22と、加圧ローラ21とを備えている。定着ローラ22は、ハロゲンヒータ等の定着ヒータ23を内蔵している。定着ローラ22は、トナー像が転写された用紙の画像形成面に接触して、用紙を所定の定着温度で加熱する。ここで、所定の定着温度は、用紙の種類に応じて設定されるようになっており、一般的に紙厚の大きい用紙ほど高い定着温度に設定される。加圧ローラ21は、定着ローラ22に対向して配置され、定着ローラ22に所定の押圧力で押圧される。すなわち、加圧ローラ21は、定着ローラ22と共に、搬送される用紙を挟み込んで加圧する加圧部として機能する。搬送路12に沿って搬送される用紙は、定着ローラ22と加圧ローラ21との間を通るよう構成される。搬送される用紙は、定着ローラ22と加圧ローラ21との間を通過するときに、加熱加圧処理を受け、用紙に転写されたトナー像が定着される。
エンプティセンサ70は、給紙ローラ13のすぐ下流の位置に設けられ、給紙トレイ5がエンプティ状態であることを検出することが可能なセンサである。エンプティセンサ70は、ジョブが実行されているにも関わらず給紙トレイ5から給紙される用紙を検出できない場合に、給紙トレイ5がエンプティ状態であることを検出する。エンプティセンサ70は、エンプティ状態を検出すると、エンプティ検出信号を制御部に出力する。
用紙種類判別部71は、透過型の超音波センサなどを備え、給紙ローラ13のすぐ下流の位置に設けられる。用紙種類判別部71は、制御部の指示によって機能し、用紙種類判別を行う。用紙種類判別部71は、透過型の超音波センサを動作させて所定位置を通過する用紙の紙厚を検出する。用紙種類判別部71は、検出した紙厚に基づいて用紙の種類を判別することが可能であり、その判別結果を制御部に出力する。用紙種類判別部71が行う用紙種類判別の詳細については後述する。
用紙搬送機構10は、ジョブの実行に伴い給紙ローラ13を動作させ、給紙トレイ5に補充された用紙を1枚ずつ取り出して搬送路12に供給する。用紙搬送機構10は、給紙トレイ5から給紙した用紙を搬送路12に沿って搬送し、用紙検出センサ24がその用紙の先端を検出すると、その用紙がレジストローラ14に到達するタイミングで用紙の搬送動作を一旦停止させる。そして転写ベルト20に転写された画像が転写部15の転写位置に到達するタイミングに合わせてレジストローラ14を駆動して用紙を転写部15へ送り出す。そして転写部15を駆動して用紙に画像を転写させる。その後、その用紙は定着部16を通過することで画像を定着し、排出ローラ17によって排紙口18から排紙部6上に排出される。
このような用紙搬送機構10が用紙を搬送する際の搬送速度は、制御部によって制御される。本実施形態の画像形成装置1は、給紙トレイ5に補充される用紙のエンプティ状態を検出後、用紙が補充されて搬送を開始するとき、所定の条件下において用紙の搬送速度をエンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定する。すなわち、本実施形態の画像形成装置1は、所定の条件下において、エンプティ状態が検出された前後で同じ搬送速度となるように、エンプティ状態が解除された後に搬送される用紙の搬送速度を設定する。エンプティ状態が検出された時点の搬送速度は、基本的にはエンプティ状態が検出されるまで給紙トレイ5に補充されていた用紙の種類に適した搬送速度である。そのため、本実施形態の画像形成装置1は、用紙が補充された後に搬送開始される用紙の搬送速度を最低速度にする場合と比べて、印刷時間を短いものとすることが可能である。以下、このような画像形成装置1についてさらに詳しく説明する。
図3は、画像形成装置1のハードウェア構成及び機能構成の一例を示す図である。画像形成装置1はその構成として、上述したプリンタ部4、エンプティセンサ70及び用紙種類判別部71の他に、スキャナ部2と、FAX部7と、ネットワークインタフェース31と、操作パネル32と、記憶部35と、制御部40と、ユーザー検出部72とを備えている。
ネットワークインタフェース31は、画像形成装置1をLANなどのネットワークに接続するためのインタフェースである。画像形成装置1は、このネットワークインタフェース31を介して、ユーザーが所持するコンピュータなどと通信を行う。尚、ネットワークインタフェース31には、ユーザーが所持する携帯端末などと無線通信を行う無線通信部が搭載されていても構わない。
操作パネル32は、表示部33と、操作部34とを備えている。表示部33は、例えばカラー液晶ディスプレイなどで構成され、ユーザーが操作可能な各種画面を表示する。操作部34は、例えば表示部33の表示画面上に配置されるタッチパネルキーと、表示部33の表示画面の周囲に配置される押しボタンキーとを備えて構成され、ユーザーによる操作を受け付ける。
スキャナ部2は、ユーザーによって補充された原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成するものである。また、スキャナ部2は、図示しない原稿搬送部を備えている。原稿搬送部は、ユーザーによって補充される原稿を図示しない原稿搬送部から1枚ずつ取り出してスキャナ部2の原稿読み取り位置へ自動搬送する。
上述したプリンタ部4は、制御部40の指示に基づいて用紙に画像形成を行うことにより、印刷出力を行うためのものである。プリンタ部4は、上述した、複数の給紙トレイ5と、用紙搬送機構10と、画像形成部11とを備えている。
FAX部7は、図示を省略する公衆電話回線を介してFAXデータの送受信を行うためのものである。
記憶部35は、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などによって構成される不揮発性の記憶装置である。この記憶部35には、様々なプログラムやデータなどが記憶され、例えば、図3に示すように、プログラム60、用紙種類テーブル61、トレイ設定62、設定条件情報63、搬送速度テーブル64などが記憶される。
用紙種類テーブル61は、用紙の紙厚と、用紙種類とが関連付けられたテーブルである。図4は、用紙種類テーブル61の一例を示す図である。図4に示すように、用紙種類テーブル61は、用紙の紙厚毎に対応する用紙種類を関連付けている。このような用紙種類テーブル61は、用紙種類判別部71によって用紙種類判別が行われる際に参照される。
次に、用紙種類判別部71が行う用紙種類判別について説明する。用紙種類判別部71は、用紙種類判別を開始すると、搬送される用紙の紙厚を検出する。その後、用紙種類判別部71は、用紙種類テーブル61を参照し、検出した用紙の紙厚に対応する用紙種類を特定する。搬送される用紙の種類を特定した後、用紙種類判別部71は、判別結果を後述するトレイ設定管理部45に出力する。
図3に戻り、トレイ設定62は、複数ある給紙トレイ5a~5eの各トレイに補充される用紙に関する設定である。トレイ設定62は、トレイ設定管理部45によって管理される。また、設定条件情報63は、上述した所定の条件を定義した情報である。搬送速度テーブル64は、用紙種類と、用紙種類に適した搬送速度とが関連付けられたテーブルである。トレイ設定62、設定条件情報63及び搬送速度テーブル64は、後述する搬送速度決定部42によって用紙の搬送速度が設定される際に参照される。
制御部40は、図示を省略するCPUやメモリなどを備えて構成される。CPUは、プログラム60を実行するためのものであり、メモリは、CPUがプログラム60を実行する際に発生する一時的なデータなどを記憶するためのものである。
制御部40のCPUは、画像形成装置1に電源が投入されることにより、記憶部35からプログラム60を読み出して実行する。これにより、制御部40は、ジョブ受付部41、搬送速度決定部42、搬送速度制御部43、判別制御部44、トレイ設定管理部45として機能する。上述したように、これら各部は、給紙トレイ5の用紙のエンプティ状態が検出された後に、給紙トレイ5に補充される用紙の搬送速度を、設定条件情報63により定義される所定の条件が満たされている場合に、エンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定するように機能する。以下、これらの各部の詳細について説明する。
ジョブ受付部41は、ユーザーによって投入されるジョブを受け付ける処理部である。ジョブ受付部41は、ジョブを受け付けると、そのジョブのヘッダーデータなどに含まれるユーザー識別情報を抽出する。ユーザー識別情報は、ジョブを投入したユーザーを識別するための情報であり、例えばユーザー名やユーザーIDなどである。そしてジョブ受付部41は、そのユーザー識別情報を搬送速度決定部42へ出力する。
トレイ設定管理部45は、トレイ設定62を管理する処理部である。図5は、トレイ設定62の一例を示す図である。トレイ設定62には、複数のトレイに補充される用紙が設定可能であり、図5に示す例では、トレイ1~4及び手差しトレイに補充される用紙が設定されている。そしてトレイ設定62は、それらの各トレイに設定される項目として、各トレイに補充される用紙のサイズが設定されるサイズ設定欄111と、各トレイに補充される用紙の補充方向が設定される方向設定欄112と、各トレイに補充される用紙種類が設定される用紙種類設定欄113と、用紙種類判別が行われたか否かを示す判別実行欄114とを有している。このようなトレイ設定62は、ユーザーが操作パネル32に対して、又はネットワークを介して画像形成装置1と接続されるコンピュータに対して、所定の操作を行うことによって設定可能である。
トレイ設定管理部45は、以下の3つの場合において、トレイ設定62を更新する。ユーザーによってトレイ設定62を変更する操作が行われた場合、トレイ設定管理部45は、ユーザーの操作を反映させてトレイ設定62を更新する。例えばユーザーによってトレイ1に対応する用紙種類設定を「普通紙」から「厚紙1」に変更する操作が行われた場合、レイ設定管理部45は、用紙種類設定欄113をユーザーの操作に基づいて変更する。用紙種類設定欄113に対する変更に伴い、トレイ設定管理部45は、判別実行欄114を「実行済」から「未実行」に変更してトレイ設定62を更新する。このように用紙種類が変更される場合には、用紙厚が変更されていることが考えられるため、再度用紙種類判別を行う必要があるためである。トレイ設定管理部45は、用紙種類判別部71から用紙種類判別の結果情報を入力した場合にも、結果情報を反映させてトレイ設定62を更新する。トレイ設定62における用紙種類と、結果情報に含まれる用紙種類とが一致する場合、トレイ設定管理部45は、用紙種類設定欄113を変更せずに、判別実行欄114を「実行済」にしてトレイ設定62を更新する。一方、トレイ設定62における用紙種類と、結果情報に含まれる用紙種類とが一致しない場合、トレイ設定管理部45は、結果情報に含まれる用紙種類に応じて用紙種類設定欄113を変更し、判別実行欄114を「実行済」にしてトレイ設定62を更新する。また、トレイ設定管理部45は、エンプティセンサ70からエンプティ検出信号を入力した場合、判別実行欄114を「未実行」にしてトレイ設定62を更新する。ここで、トレイ設定62の判別実行欄114が「未実行」である状態は、給紙トレイ5における用紙のエンプティ状態が検出された後に、当該給紙トレイ5から給紙される用紙に対する用紙種類判別が実行されていない状態である。
搬送速度決定部42は、ジョブの実行に伴って用紙が搬送される際の搬送速度を設定する処理部である。ジョブの実行開始時、ジョブの再開時又はトレイ設定62が更新された時等のタイミングで搬送速度を設定する。搬送速度決定部42は、搬送速度を設定する際、トレイ設定62を参照して、搬送される用紙が補充された給紙トレイ5の用紙種類設定欄113、判別実行欄114を確認する。判別実行欄114が「実行済」である場合、搬送速度決定部42は、搬送される用紙の種類とトレイ設定62における用紙種類とが一致すると判断する。次に搬送速度決定部42は、搬送速度テーブル64を参照し、トレイ設定62における用紙種類に適した搬送速度を設定する。図6は、搬送速度テーブル64の一例を示す図である。図6に示すように、搬送速度テーブル64は、用紙種類と用紙種類に適した搬送速度を関連付けている。ここで、搬送速度V1は、搬送速度V2、搬送速度V3及び搬送速度V4より高速であり、搬送速度V2は搬送速度V3及び搬送速度V4より高速であり、搬送速度V3は搬送速度V4より高速である。一般的に、用紙の紙厚が小さいほど、速い搬送速度で搬送することが可能である。例えば、トレイ設定62における用紙種類が「普通紙」である場合、搬送速度決定部42は、搬送速度をV2に設定する。
次に、トレイ設定62において、搬送される用紙が補充された給紙トレイ5の判別実行欄114が「未実行」である場合について説明する。基本的に、搬送速度決定部42は、トレイ設定62を参照して、搬送される用紙が補充された給紙トレイ5の判別実行欄114が「未実行」である場合、搬送速度をトレイ設定62における用紙種類に適した搬送速度に設定しない。搬送される用紙の種類と、トレイ設定62における用紙種類が一致するかが不明なためである。このような場合に、搬送速度決定部42は、搬送速度を、設定可能な搬送速度のうちの最低速度(例えば搬送速度V4)に設定する。ジャムが発生する可能性を低くするためである。しかし、本実施形態の搬送速度決定部42は、所定の条件を満たす場合に、搬送速度を最低速度に設定するのではなく、エンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定する。
搬送速度決定部42は、トレイ設定62を参照して、搬送される用紙が補充された給紙トレイ5の判別実行欄114が「未実行」である場合、設定条件情報63を参照し、所定の条件を満たすか否かを判定する。これら所定の条件を満たす場合には、給紙トレイ5に補充された用紙の種類とトレイ設定62における用紙種類とが一致する可能性が高いと考えられる。設定条件情報63は、このような所定の条件を定義した情報である。搬送速度決定部42は、設定条件情報63によって定義される所定の条件を満たす場合に、用紙の搬送速度をエンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定する。設定条件情報63によって定義される所定の条件を満たす場合には、給紙トレイ5に補充される用紙の種類が、エンプティ状態が検出された時点のトレイ設定62における用紙種類と一致する可能性が高い。そこで、搬送速度決定部42は、搬送速度を最低速度に設定するのではなく、エンプティ状態が検出された時点のトレイ設定62における用紙種類に適した搬送速度、すなわちエンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定するのである。そうすることにより、本実施形態の画像形成装置1は、給紙トレイ5に用紙が補充された後の搬送速度が最低速度に設定される場合と比べて、印刷時間を短縮することが可能である。以下、所定の条件の詳細について説明する。
図7は、設定条件情報63の一例を示す図である。図7に示すように設定条件情報63には、メイン条件120と、メイン条件120に付属するサブ条件121a~121eとが定義として規定される。メイン条件120には、「ジョブの実行中にエンプティ状態となったジョブが再開されたこと」が条件として規定される。搬送速度決定部42は、用紙の搬送速度を決定するタイミングが、エンプティ状態が検出されることにより中断されたジョブの再開時である場合、メイン条件120を満たすと判断する。このメイン条件120を満たすと判断される場合、エンプティ状態が検出された時点でトレイ設定62に規定されている用紙種類と同じ種類の用紙が給紙トレイ5に補充される可能性が高い。そこで、搬送速度決定部42は、搬送速度をエンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定する。このように、エンプティ状態が検出された時点の搬送速度を設定することで、ジャム発生の可能性を高くすることなく、印刷時間を短縮させることが可能である。一方、搬送速度決定部42は、メイン条件120を満たしていないと判断すると、搬送速度を最低速度に設定する。その後、搬送速度決定部42は、メイン条件120を満たしていると判断すると、サブ条件121が設定されているか否かを確認する。
複数のサブ条件121は、メイン条件120に付属する条件であり、メイン条件120を限定する条件である。メイン条件120を満たしていると判断した場合、搬送速度決定部42は、サブ条件121を満たすか否かを判断する。搬送速度決定部42は、サブ条件121を満たしていると判断すると、搬送速度をエンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定する。本実施形態において、サブ条件121が複数設定されている場合、搬送速度決定部42は、複数のサブ条件121のうち少なくとも1つの条件を満たしているか否かを判断する。複数のサブ条件121のうち少なくとも1つの条件を満たしていると判断した場合、搬送速度決定部42はエンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定する。ただし、これに限られるものでなく、サブ条件121が複数設定されている場合、搬送速度決定部42は、複数のサブ条件121の全ての条件を満たしているか否かを判断しても良い。この場合においても、搬送速度決定部42はエンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定する。以下、サブ条件121の詳細について説明する。
サブ受験121aは、補充された用紙の種類とトレイ設定62における用紙の種類とが一致する可能性をより高いものとするために、中断されたジョブの再開時の状況を限定する条件である。図7に示すように、サブ条件121aには、「ジョブ再開時にジョブを投入したユーザーが近傍に存在すること」が条件として規定される。ジョブの再開時にジョブを投入したユーザーが近傍に存在するということは、ジョブを投入したユーザーによって用紙補充がなされた可能性が高いと考えられる。通常、ジョブを投入したユーザーは、ジョブが中断されるまでに使用していた用紙の種類を知っているため、ジョブを投入したユーザーが補充した用紙の種類と、トレイ設定62における用紙種類とが一致する可能性は極めて高い。このようなサブ条件121aが規定されることにより、補充された用紙の種類と、トレイ設定62における用紙種類とが一致する可能性がより高くなるのである。搬送速度決定部42は、ジョブ受付部41から入力するユーザー識別情報をユーザー検出部72に出力すると共に、ジョブを投入したユーザーが画像形成装置1の近傍に存在するか否かをユーザー検出部72に確認する。確認の結果、搬送速度決定部42は、ユーザー検出部72からユーザーを検出した旨の信号を入力した場合、サブ条件121aを満たしていると判断する。
ユーザー検出部72は、画像形成装置1を中心とする所定の範囲内に存在するジョブを投入したユーザーを検出する。例えば、ユーザー検出部72は、所定の範囲内に存在するユーザーが所持しているIC(Integrated Circuit)カードから、当該ICカードに登録されるユーザー識別情報を検出する。また、搬送速度決定部42は、ジョブ受付部41より受け付けたユーザー識別情報をユーザー検出部72に出力する。ユーザー検出部72は、検出したユーザー識別情報と、搬送速度決定部42から入力したユーザー識別情報とを照らし合わせて、所定の範囲内に存在するユーザーがジョブを投入したユーザーであるかを確認する。ユーザー検出部72は、所定の範囲内に存在するユーザーがジョブを投入したユーザーであった場合に、ジョブを投入したユーザーを検出したことを知らせる信号を搬送速度決定部42に出力する。尚、ビーコン発信機及びビーコン受信機を用いて、オフィス内におけるユーザーの現在位置を特定するシステムを導入しているオフィスなどであれば、ユーザー検出部72は、ユーザーの位置情報を管理するサーバーなどの情報処理装置にアクセスすることでジョブを投入したユーザーを検出するものでもよい。
次にサブ条件121b~121eについて説明する。サブ条件121b~eは、補充された用紙とトレイ設定62の用紙種類とが一致しない場合であっても、画質低下が問題とならないようにするために、中断されたジョブを所定のジョブに限定する条件である。図7に示すように、サブ条件121bには、「モノクロ印刷のみを行うジョブであること」が条件として規定されている。上述のように、搬送速度決定部42がメイン条件120を満たしていると判断した場合、補充された用紙の種類とトレイ設定62における用紙種類とが一致する可能性が高い。しかし、補充された用紙とトレイ設定62の用紙種類とが確実に一致する訳ではない。そこで、用紙種類が一致しなかった場合であっても、異なる種類の用紙を補充したり、トレイ設定62を変更したりして再度ジョブを投入する等のユーザーの負担を減らすことが可能な条件を規定しておくことが望ましい。補充された用紙の種類に適さない搬送速度が設定されていた場合には、定着部16による加熱加圧処理が行われる時間が短くなり、画質の低下が起こる可能性がある。しかし、画質が悪くてもユーザーが気にならないような内容の印刷物であれば、再度ジョブを投入する必要がなく、ユーザーの負担は発生しない。そこで、画質が悪くても問題とならないような画像を形成するジョブであることをサブ条件121とすることで、用紙種類が一致しなかった場合であっても、再度ジョブを投入する等のユーザーの負担を減らすことが可能である。カラー印刷を行うジョブと比較して、モノクロ印刷のみを行うジョブであれば、画質の低下が発生しても、ユーザーは気にならないことが多い。したがって、「モノクロ印刷のみを行うジョブであること」を条件としたサブ条件121bが規定されることにより、用紙種類が一致しなかった場合であっても、再度ジョブを投入する等の必要が無く、ユーザーの負担を減らすことが可能である。搬送速度決定部42は、投入されたジョブに含まれる画像データ又はヘッダーデータを解析することにより、当該ジョブがモノクロ印刷のみを行うジョブであるか否かを判断する。例えば、ヘッダーデータに含まれる印刷設定情報において、モノクロ印刷設定がなされている場合、搬送速度決定部42は、サブ条件121bを満たすと判断する。
次に、サブ条件121cについて説明する。図7に示すように、サブ条件121cには、「解像度が所定の解像度以下のジョブであること」が条件として規定されている。このサブ条件121cはサブ条件121bと同様に、画質が悪くてもユーザーが気にならないような内容の印刷物を出力するジョブであることを条件としている。所定の解像度以下で画像を形成するジョブであれば、高い解像度で画像を形成するジョブと比較して、画質の低下が発生してもユーザーは気にならないことが多い。したがって、「解像度が所定の解像度以下のジョブであること」を条件としたサブ条件121cが規定されることより、用紙種類が一致しなかった場合であっても、再度ジョブを投入する等の必要が無く、ユーザーの負担を減らすことが可能である。搬送速度決定部42は、投入されたジョブに含まれる画像データ又はヘッダーデータを解析することにより、解像度が所定の解像度以下のジョブであるか否かを判断する。例えば、ヘッダーデータに含まれる印刷設定情報において、所定の解像度以下の解像度設定がなされている場合、搬送速度決定部42は、サブ条件121cを満たすと判断する。
次に、サブ条件121dについて説明する。図7に示すように、サブ条件121dには、「文字のみの画像形成を行うジョブであること」が条件として規定されている。このサブ条件121cはサブ条件121b,121cと同様に、画質が悪くてもユーザーが気にならないような内容の印刷物を出力するジョブであることを条件としている。文字のみの画像形成を行うジョブであれば、印刷された文字を読むことさえできれば構わないことが多い。したがって、「文字のみの画像形成を行うジョブであること」を条件としたサブ条件121dが規定されることにより、用紙種類が一致しなかった場合であっても、再度ジョブを投入する等のユーザーの負担を減らすことが可能である。搬送速度決定部42は、投入されたジョブに含まれる画像データ又はヘッダーデータを解析することにより、文字のみの画像形成を行うジョブであるか否かを判断する。例えば、ヘッダーデータに含まれるドキュメント情報がそのドキュメントは文字入力のみを行うアプリケーションによって作成されていることを示す場合、搬送速度決定部42は、サブ条件121dを満たすと判断する。
次に、サブ条件121eについて説明する。図7に示すように、サブ条件121eには、「2つの給紙トレイを使用するジョブであって、用紙使用量の少ない給紙トレイにおいてエンプティ状態を検出していること」が条件として規定されている。このサブ条件121eはサブ条件121b~121dと同様に、画質が悪くてもユーザーが気にならないような内容の印刷物を出力するジョブであることを条件としている。ジョブの中には、2つの給紙トレイ5を使用するジョブがある。このようなジョブにおいては、2つの給紙トレイ5のうちの一方の給紙トレイ5に補充された用紙は、そのジョブのメイン印刷物用に使用され、他方の給紙トレイ5に補充された用紙はサブ印刷物用に使用されることが多い。ここで、メイン印刷物とは、例えば報告書や配布資料などの印刷物のことをいう。サブ印刷物は、例えば配布資料が複数部数印刷される場合に、複数部数ある配付資料を部数単位で区別するために挿入されたりする印刷物のことをいう(以下「合紙」と称する)。合紙は複数部数ある配布資料を部数単位で区別するために挿入されるものであるため、配布資料などのメイン印刷物用に使用される用紙より少ないことが一般的である。また、このような合紙は、合紙に形成される画像自体に品質が求められない場合が多い。したがって、「2つの給紙トレイを使用するジョブであって、用紙使用量の少ない給紙トレイにおいてエンプティ状態を検出していること」を条件としたサブ条件121eが規定されることにより、用紙種類が一致しなかった場合であっても、再度ジョブを投入する等の必要がなく、ユーザーの負担を減らすことが可能である。搬送速度決定部42は、投入されたジョブに含まれるヘッダーデータを解析することにより、2つの給紙トレイを使用するジョブであるか否かを確認する。例えば、ヘッダーデータに含まれる印刷設定情報が合紙を出力する設定がなされていることを示す場合、搬送速度決定部42は、2つの給紙トレイ5を使用するジョブであると判断する。次に搬送速度決定部42は、エンプティ状態が検出された給紙トレイ5には、合紙に使用される用紙が補充されているか否かを確認する。合紙に使用される用紙が補充された給紙トレイ5においてエンプティ状態が検出されていた場合、搬送速度決定部42は、サブ条件121eを満たすと判断する。
ここまでメイン条件120及び複数のサブ条件121a~121eについて説明したが、これらの条件に限られるものではない。ユーザーや管理者が操作パネル32に対して、又は、ネットワークを介して画像形成装置1と接続されるコンピュータに対して所定の操作を行うことで、例示した条件とは異なる条件を設定することが可能である。例えば、サブ条件121として、中断されたジョブが、FAXデータ受信に伴う印刷ジョブであることを設定してもよい。また、中断されたジョブが、画像形成装置1の状態をユーザーに示すためのレポートを出力する印刷ジョブであることをサブ条件121として設定してもよい。さらに、中断されたジョブが、画像形成装置1のジョブ履歴、送信履歴などをユーザーに示すためのレポートを出力する印刷ジョブであることをサブ条件121として設定してもよい。例示したこれらのジョブは、文字を読むことができれば、多少画質が悪くとも問題がないことが多いからである。
以上のように、搬送速度決定部42は、トレイ設定62の判別実行欄114が「未実行」の場合であっても、所定の条件を満たすと判断すれば、エンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定する。そうすることにより、本実施形態の画像形成装置1は、給紙トレイ5に用紙が補充された後の搬送速度を最低速度に設定する場合と比べて、印刷時間を短縮することが可能である。
搬送速度制御部43は、搬送速度決定部42によって設定される搬送速度に基づいて、用紙搬送機構10を制御する処理部である。
判別制御部44は、用紙種類判別部71を制御することにより用紙種類判別を実行させる処理部である。本実施形態の判別制御部44は、給紙トレイ5におけるエンプティ状態が検出され用紙が補充された後、用紙搬送機構10によって最初に搬送される用紙の種類を判別するように用紙種類判別部71を制御する。用紙補充後に最初に搬送される用紙に対して用紙種類判別が行われることで、補充された用紙の種類をすぐに判別することが可能となる。
次に画像形成装置1における具体的な動作の一例について説明する。図8は画像形成装置1において行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は画像形成装置1がジョブを受け付けることによって開始される。画像形成装置1は、ジョブを受け付けると(ステップS1)、ジョブ開始処理を実行する(ステップS2)。このジョブ開始処理では、ジョブ開始時の搬送速度が設定され、用紙の搬送が開始される。ジョブ開始処理の詳細については後述する。ジョブ開始処理が実行され、用紙の搬送が開始されると、画像形成装置1は、給紙トレイ5におけるエンプティ状態が検出されたか否かを確認する(ステップS3)。エンプティ状態が検出されていない場合(ステップS3でNO)、処理はステップS8までスキップする。一方、エンプティ状態が検出された場合(ステップS3でYES)、画像形成装置1はジョブを中断する(ステップS4)。次に画像形成装置1は、用紙が補充されたか否かを確認し(ステップS5)、用紙が補充されていればジョブ再開処理を実行する(ステップS6)。ジョブ再開処理は、ジョブ再開時の搬送速度を設定して用紙の搬送を再開する処理である。ジョブ再開処理の詳細については後述する。ジョブ再開処理が実行され、用紙の搬送が再開されると、画像形成装置1は、用紙種類判別処理を実行する(ステップS7)。用紙種類判別処理は、搬送される用紙の種類を判別してトレイ設定62を更新する処理である。用紙種類判別処理の詳細については後述する。用紙種類判別処理を実行した後、画像形成装置1は、ジョブが終了したか否かを確認し(ステップS8)、ジョブが終了していれば(ステップS8でYES)、処理を終了する。一方、ジョブが終了していなければ(ステップS8でNO)、ステップS3~S7の処理を繰り返す。
次に、ジョブ開始処理(ステップS2)の詳細な処理手順について説明する。図9は、ジョブ開始処理(ステップS2)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置1はジョブ開始処理を開始すると、記憶部35に記憶されるトレイ設定62を確認する(ステップS20)。尚、本実施形態においては、ジョブ開始時にトレイ設定62に設定される各給紙トレイ5に対応する判別実行欄114は「実行済」となっている場合について説明する。画像形成装置1は、ジョブのヘッダー情報などに含まれるトレイ情報に基づいてトレイ設定62を確認する。画像形成装置1は、トレイ設定62を参照し、ジョブで指定されたトレイに対応する用紙種類を判定する。その後、画像形成装置1は、搬送速度テーブル64を参照し、判定した用紙種類に対応する搬送速度を設定する(ステップS21)。搬送速度を設定した後、画像形成装置1は用紙の搬送を開始する(ステップS22)。以上で、ジョブ開始処理(ステップS2)が終了する。
次に、ジョブ再開処理(ステップS6)の詳細な処理手順について説明する。図10は、ジョブ再開処理(ステップS6)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置1は、ジョブ再開処理を開始すると、記憶部35に記憶される設定条件情報63を参照し、サブ条件121が設定されているか否かを確認する(ステップS30)。サブ条件121が設定されていない場合(ステップS30でNO)、処理はステップS33に進む。一方、サブ条件121が設定されている場合(ステップS30でYES)、画像形成装置1は条件判定処理を実行する(ステップS31)。条件判定処理とは、設定条件情報63に定義されるサブ条件121を満たすか否かを判定する処理である。ここで、メイン条件120を満たすか否かを判定しないのは、ジョブ再開処理が行われている時点で、メイン条件120である「ジョブ実行中にエンプティ状態となったジョブが再開されたこと」を満たすからである。条件判定処理の詳細については後述する。条件判定処理を実行した後、画像形成装置1は設定条件情報63に設定されている所定の条件を満たすかどうかを判断する(ステップS32)。所定の条件を満たしていると判断した場合(ステップS32でYES)、画像形成装置1は、搬送速度をエンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定する(ステップS33)。所定の条件を満たす場合には、エンプティ検出時点の速度が、補充された用紙の種類に適した搬送速度である可能性が高いからである。一方、所定条件を満たさないと判断した場合(ステップS32でNO)、画像形成装置1はジョブ再開時に適用する搬送速度を、エンプティ検出時点の搬送速度より低速である最低速度(搬送速度V4)に設定する(ステップS34)。所定の条件を満たさない場合には、エンプティ検出時点の搬送速度が、補充された用紙の種類に適した搬送速度である可能性が、所定の条件を満たした場合と比べて低い。そのため、ジョブ再開時に適用する搬送速度をエンプティ検出時点の搬送速度に設定してしまうと、ジャムの発生や画質低下の可能性が高くなるのである。ジョブ再開時に適用する搬送速度を設定した後、画像形成装置1は、搬送を再開させる(ステップS35)。以上で、ジョブ再開処理(ステップS6)が終了する。
次に、条件判定処理(ステップS31)の詳細な処理手順について説明する。図11は、条件判定処理(ステップS31)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置1は、条件判定処理を開始すると、サブ条件121aを満たすかどうかを判断する。具体的には、条件判定処理開始時点でジョブを投入したユーザーが画像形成装置1の近傍に存在するか否かを確認する(ステップS40)。画像形成装置1は、ユーザー検出部72によって、ジョブを投入したユーザーが画像形成装置1の近傍で検出されているか否かを確認する。ユーザー検出部72によって、ジョブを投入したユーザーが画像形成装置1の近傍で検出されている場合(ステップS40でYES)、画像形成装置1は、条件を満たすと判定する(ステップS46)。このとき、図7の例では複数のサブ条件121a~121eが設定されているが、これら複数のサブ条件のうち少なくとも一つのサブ条件を満たせばよい。したがって、サブ条件121aを満たす場合には、画像形成装置1は、条件を満たすと判定するのである。以降の処理についても同様である。一方、ユーザー検出部72によって、ジョブを投入したユーザーが画像形成装置1の近傍で検出されていない場合は(ステップS40でNO)、処理はステップS41に進む。
次に、画像形成装置1は、サブ条件121bを満たすかどうかを判断するため、ジョブがモノクロ印刷のみを行うジョブであるか否かを確認する(ステップS41)。当該ジョブがモノクロ印刷のみを行うジョブである場合(ステップS41でYES)、画像形成装置1は条件を満たすと判定する(ステップS46)。一方、当該ジョブがモノクロ印刷のみを行うジョブでない場合(ステップS41でNO)、画像形成装置1は、サブ条件121cを満たすかどうかを判断するため、当該ジョブが所定値以下の解像度で画像形成を行うジョブであるか否かを確認する(ステップS42)。当該ジョブが所定値以下の解像度で画像形成を行うジョブである場合(ステップS42でYES)、画像形成装置1は条件を満たすと判定する(ステップS46)。一方、当該ジョブが所定値以下の解像度で画像形成を行うジョブでない場合(ステップS42でNO)、画像形成装置1は、サブ条件121dを満たすかどうかを判断するため、当該ジョブが、文字のみの画像形成を行うジョブであるか否かを確認する(ステップS43)。当該ジョブが文字のみの画像形成を行うジョブである場合(ステップS43でYES)、画像形成装置1は条件を満たすと判定する(ステップS46)。一方、当該ジョブが文字のみの画像形成を行うジョブでない場合(ステップS43でNO)、処理はステップS44に進む。
次に、画像形成装置1は、サブ条件121eを満たすかどうかを判断するため、当該ジョブが2つの給紙トレイ5を使用するジョブであるか否かを確認する(ステップS44)。当該ジョブが2つの給紙トレイ5を使用するジョブでない場合(ステップS44でNO)、画像形成装置1は、条件を満たさないと判定する(ステップS47)。一方、当該ジョブが2つの給紙トレイ5を使用するジョブである場合(ステップS44でYES)、画像形成装置1は、エンプティ状態が検出された給紙トレイ5が、当該ジョブにおいて使用される2つの給紙トレイ5のうち、ジョブによって使用される用紙量が少ない給紙トレイ5であるか否かを確認する(ステップS45)。エンプティ状態が検出された給紙トレイ5が、用紙の使用量の少ない給紙トレイ5である場合(ステップS45でYES)、画像形成装置1は、条件を満たすと判定する(ステップS46)。一方、エンプティ状態が検出された給紙トレイ5が、用紙の使用量の少ない給紙トレイ5でない場合(ステップS45でNO)、画像形成装置1は、条件を満たさないと判定する(ステップS47)。以上で、条件判定処理(ステップS31)が終了する。
次に、用紙種類判別処理(ステップS7)の詳細な処理手順について説明する。図12は、用紙種類判別処理(ステップS7)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置1は、用紙種類判別処理を開始すると、用紙種類判別部71を制御して用紙種類判別を実行する(ステップS36)。そして画像形成装置1は、判別実行欄114を「実行済」に変更してトレイ設定62を更新する(ステップS37)。画像形成装置1は、トレイ設定62の用紙種類に変更があるか否かを判断する(ステップS38)。トレイ設定62の用紙種類に変更がある場合(ステップS38でYES)、画像形成装置1は、更に搬送テーブル64を参照し、変更された用紙種類に対応する搬送速度を決定し、変更する(ステップS39)。すなわち、画像形成装置1は、用紙種類判別部71によって判別される用紙の種類に応じて用紙搬送機構10による用紙の搬送速度を設定する。一方、トレイ設定62の用紙種類に変更がない場合(ステップS38でNO)、処理は終了する。以上で、用紙種類判別処理(ステップS7)が終了する。
上述したように、本実施形態における画像形成装置1は、ジョブ実行中に給紙トレイ5に補充される用紙のエンプティ状態が検出された後、用紙搬送機構10によって補充後の用紙の搬送動作が開始されるときに、所定の条件が満たされているか否かを判定し、所定の条件が満たされていると判定した場合に、用紙搬送機構10による用紙の搬送速度を、エンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定することが可能な構成である。したがって、用紙が補充された後の用紙の搬送速度を最低速度に設定する場合と比べて、印刷時間を短いものとすることが可能である。
さらに、本実施形態における画像形成装置1は、給紙トレイ5のエンプティ状態が検出されて用紙の補充が行われた後、用紙搬送機構10によって最初に搬送される用紙の種類を判別することが可能な構成である。そのため、エンプティ状態が検出された時点の搬送速度が、補充された用紙の種類に適した搬送速度でない場合であっても、補充された用紙の種類に適した搬送速度に早期に変更することが可能であり、ジャムの発生や質の低下を防ぐことが可能である。
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、ジョブの実行中に、給紙トレイ5に補充される用紙のエンプティ状態が検出された場合に、補充する用紙の種類を変更するかどうかをユーザーに問い合わせて確認することが可能な一形態について説明する。
図13は、ジョブの実行中に給紙トレイ5のエンプティ状態が検出された場合に、補充する用紙を変更するか否かをユーザーに問い合わせる用紙種類変更確認画面の一例を示す図である。図13(a)に示すように、ジョブの実行中に給紙トレイ5のエンプティ状態が検出されると、表示部33には、用紙種類変更確認画面G1が表示される。この用紙種類変更確認画面G1は、給紙トレイ5に補充された用紙がなくなったことをユーザーに通知するとともに、用紙種類を変更するか否かをユーザーに確認するメッセージM1が表示される。用紙種類変更確認画面G1には、ユーザーに対して用紙種類を変更するか否かを問い合わせるためのボタンB1,B2が表示される。用紙を補充しようとするユーザーは、用紙種類を変更しないのであれば、ボタンB2を操作する。一方、用紙種類を変更するのであればボタンB1を操作する。ユーザーによってボタンB1が操作されると、用紙種類変更確認画面G1は図13(b)に示すように、用紙種類変更確認画面G2に遷移する。用紙種類変更確認画面G2では、変更後の用紙種類をユーザーに確認するメッセージM2と、変更後の用紙種類をユーザーに選択させるボタンB3とが表示される。ユーザーは、ボタンB3を操作することにより変更後の用紙種類を選択し、その後ボタンB4を操作することにより、変更後の用紙種類を確定させる。このような用紙種類変更確認画面は、搬送速度決定部42によって生成され、表示部33に表示されるものであってもよいし、トレイ設定管理部45によって生成され、表示部33に表示されるものであってもよい。尚、用紙種類変更確認画面が表示部33に表示されることを例示したが、これに限られるものではない。用紙種類変更確認画面は、ジョブを投入したユーザーのコンピュータに送信され、ユーザーのコンピュータの表示部に表示されるものでもよい。この場合は、ユーザーのコンピュータは持ち運びが可能な携帯端末であることが望ましい。ユーザーは、出力された印刷物を取りにいくために自席を離れていることが多いと考えられるためである。
次に、本実施形態の画像形成装置1における具体的な動作の一例について説明する。本実施形態の画像形成装置1による主たる処理手順は、図8で示したフローチャートと同様である。ただし、本実施形態では、図10に示したジョブ再開処理(ステップS6)の処理手順の詳細が第1実施形態と異なる。そのため、本実施形態におけるジョブ再開処理(ステップS6)の詳細について説明する。
図14は、本実施形態におけるジョブ再開処理(ステップS6)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置1は、ジョブ再開処理を開始すると、用紙種類変更確認画面G1においてユーザーによって「変更する」が選択されたか否かを確認する(ステップS50)。ユーザーによって「変更する」が選択されていれば(ステップS50でYES)、画像形成装置1は、用紙種類設定欄113をユーザーによって選択された用紙種類に変更してトレイ設定62を更新する(ステップS51)。一方、ユーザーによって「変更する」が選択されていない場合、すなわち、「変更しない」が選択されている場合(ステップS50でNO)、画像形成装置1は、トレイ設定62を更新しない(ステップS52)。そして、画像形成装置1は、搬送速度をトレイ設定62における用紙種類に適した搬送速度に設定する(ステップS53)。すなわち、用紙種類変更確認画面G1において、「変更しない」を選択されたことが確認されている場合には、エンプティ検出時点の搬送速度をジョブ再開時の搬送速度として設定する。ジョブ再開時の搬送速度を設定すると、画像形成装置1は搬送を開始する(ステップS54)。以上で、本実施形態におけるジョブ再開処理(ステップS6)を終了する。
本実施形態における画像形成装置1は、ジョブの実行中に、給紙トレイ5のエンプティ状態が検出された場合に、補充する用紙の種類を変更するか否かをユーザーに問い合わせる。そのため、トレイ設定62における用紙種類と補充される用紙の種類が一致する可能性は極めて高い。そして、第1実施形態と同様に、用紙が補充された後の用紙の搬送速度を最低速度に設定する場合と比べて、印刷時間を短くすることが可能である。
また、ユーザーが間違った種類の用紙を補充したとしても、第1実施形態における画像形成装置1と同様に、給紙トレイ5のエンプティ状態を検出し、用紙補充後に、用紙搬送機構10によって最初に搬送される用紙の種類を判別することが可能な構成である。そのため、トレイ設定62における用紙種類に適した搬送速度が、実際に補充された用紙の種類に適した搬送速度でない場合であっても、補充された用紙の種類に適した搬送速度に早期に変更することが可能であり、ジャムの発生や画質の低下を防ぐことが可能である。
尚、本実施形態において上述した点以外については、第1実施形態で説明したものと同様である。そのため、本実施形態の画像形成装置1は、第1実施形態と同様の作用効果を奏するものである。
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態では、用紙搬送機構10による用紙の搬送速度をエンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定した場合、ジョブの実行が完了するまでエンプティ状態が検出された時点の搬送速度を維持し、当該ジョブの実行が完了するまでにジャムが発生した場合に、その後の用紙搬送機構10による用紙の搬送速度を、エンプティ状態が検出された時点の搬送速度よりも低速である所定の搬送速度(最低速度)に設定することが可能な一形態について説明する。
図15は、本実施形態の画像形成装置1におけるハードウェア構成及び機能構成の一例を示す図である。画像形成装置1はその構成として、スキャナ部2と、プリンタ部4と、FAX部7と、ネットワークインタフェース31と、操作パネル32と、記憶部35と、制御部40と、エンプティセンサ70と、用紙種類判別部71と、ユーザー検出部72と、ジャム検出部73とを備えている。第1実施形態の画像形成装置1におけるハードウェア構成及び機能構成の一例と異なる点は、ジャム検出部73を更に備えている点である。ジャム検出部73は、用紙の搬送中に上述した各種ローラが異常停止するとジャムの発生を検出する。
次に、本実施形態の画像形成装置1における具体的な動作の一例について説明する。図16は、本実施形態の画像形成装置1において行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。尚、ステップS1~S8の処理については図8で示した処理と同様である。この処理は画像形成装置1がジョブを受け付けることによって開始される。画像形成装置1は、ジョブを受け付けると(ステップS1)、ジョブ開始処理を実行する(ステップS2)。ジョブ開始処理が実行され、用紙の搬送が開始されると、画像形成装置1は、給紙トレイ5におけるエンプティ状態が検出されたか否かを確認する(ステップS3)。エンプティ状態が検出されていない場合(ステップS3でNO)、処理はステップS60までスキップする。一方、エンプティ状態が検出された場合(ステップS3でYES)、画像形成装置1はジョブを中断する(ステップS4)。次に画像形成装置1は、用紙が補充されたか否かを確認し(ステップS5)、用紙が補充されていれば第1のジョブ再開処理を実行する(ステップS6)。第1のジョブ再開処理は、図10で示したジョブ再開処理(ステップS6)と同様の処理である。
ステップS60において、画像形成装置1はジャム検出部73によってジャムが検出されたか否かを確認する(ステップS60)。ジャム検出部73によってジャムが検出されていない場合(ステップS60でNO)、処理はステップS8までスキップする。一方、ジャム検出部73によってジャムが検出されている場合(ステップS60でYES)、画像形成装置1はジョブを中断する(ステップS61)。その後、画像形成装置1はジャムが解消されたか否かを確認し(ステップS62)、ジャムが解消されている場合(ステップS62でYES)、第2のジョブ再開処理を実行する(ステップS63)。
図17は、第2のジョブ再開処理(ステップS63)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置1は、第2のジョブ再開処理を開始すると、ステップ60においてジャムが検出されたことにより中断されたジョブが、そのジャムが発生するより前にエンプティ状態が検出されていたジョブであるか否かを確認する(ステップS65)。当該ジョブが、ジャム検出による中断前にエンプティ状態を検出していたジョブである場合(ステップS65でYES)、画像形成装置1は、用紙の搬送速度を最低速度(搬送速度V4)に変更する(ステップS66)。すなわち、画像形成装置1は、当該ジョブが、ジャム検出による中断前にエンプティ状態を検出していたジョブである場合、エンプティ状態が検出された時点の搬送速度より低速な搬送速度V4に変更することにより、この後に再度ジャムが発生すること防止する。その後、画像形成装置1は、搬送を再開する(ステップS67)。以上で、第2のジョブ再開処理を終了する。
図16に戻り、ジョブを再開した画像形成装置1は、用紙種類判別処理を実行する(ステップS7)。用紙種類判別処理は、搬送される用紙の種類を判別してトレイ設定62を更新する処理であり、用紙種類判別処理の詳細な処理手順は図12で示した処理と同様である。用紙種類判別処理を実行した後、画像形成装置1は、ジョブが終了したか否かを確認し(ステップS8)、ジョブが終了していれば(ステップS8でYES)、処理を終了する。一方、ジョブが終了していなければ(ステップS8でNO)、ステップS3~S7の処理を繰り返す。
上述したように、本実施形態における画像形成装置1は、用紙搬送機構10による用紙の搬送速度をエンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定した場合、ジョブの実行が完了するまでエンプティ状態が検出された時点の搬送速度を維持し、当該ジョブの実行が完了するまでにジャムが発生した場合には、ジャム解消後に再開される用紙搬送機構10による用紙の搬送速度を、エンプティ状態が検出された時点の搬送速度よりも低速である所定の搬送速度に設定することが可能な構成である。第1実施形態における画像形成装置1と同様に、エンプティ状態が検出された後ジョブが再開する際、所定の条件を満たしている場合には、エンプティ時点の搬送速度に設定することにより、搬送速度を最低速度に設定する場合と比べて、印刷時間を短いものとすることが可能である。
エンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定した後に、ジャムが発生した場合には、搬送速度をエンプティ状態が検出された時点の搬送速度よりも低速な搬送速度V4に変更することにより、再度のジャムの発生を防ぐことが可能である。
尚、本実施形態において上述した点以外については、第1実施形態又は第2実施形態と同様である。そのため、本実施形態の画像形成装置1は、第1実施形態又は第2実施形態と同様の作用効果を奏するものである。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態の画像形成装置1は後述する検査画像取得部と、画像検査部とを更に備える。本実施形態の画像形成装置1は、エンプティ状態が検出されてジョブが中断された場合、用紙搬送機構10による用紙の搬送速度をエンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定してジョブを再開する。この場合、ジョブの実行が完了するまでエンプティ状態が検出された時点の搬送速度を維持し、当該ジョブの実行が完了するまでに画像検査部によって画像の品質が所定品質よりも低いかどうかが検査される。検査される画像の品質が所定の品質よりも低い場合、画像形成装置1がエンプティ状態の検出された時点の搬送速度よりも低速である所定の搬送速度(最低速度)に設定することを可能とする一形態について説明する。
図18は、本実施形態の画像形成装置1の内部に設けられる用紙搬送機構10の一例を示す図である。この用紙搬送機構10は、複数の給紙トレイ5a,5b,5c,5d,5eを備える給紙トレイ5から給紙される用紙を、搬送路12に沿って図中矢印F2で示す方向に搬送して排紙口18から排紙部6上に排出する。この搬送路12には、複数の給紙ローラ13a,13b,13c,13d,13eを備える給紙ローラ13と、レジストローラ14と、用紙検出センサ24と、転写部15と、定着部16と、排出ローラ17と、エンプティセンサ70と、用紙種類判別部71と、検査画像取得部74とが設けられている。第1実施形態の画像形成装置1における用紙搬送機構10の一例と異なる点は、検査画像取得部74が更に設けられている点である。
検査画像取得部74は、搬送される用紙が所定の位置を通過する際に、搬送される用紙を照明し、用紙からの反射光を、所定の読取センサに導き、読取センサが読み取った画像を後述する画像検査部に出力する。所定の読取センサは、例えば、複数の画素を主走査方向に配列したCCDラインセンサなどで構成される。このような検査画像取得部74は、排出ローラ17の下流に設けられることが望ましい。搬送される用紙の種類に適した搬送速度に設定されていない場合に、トナー像の定着不良が発生することがあるが、用紙が定着部16を通過した直後では、トナー像のはがれが生じていない可能性が高い。そこで、排出ローラ17の下流に設けることで、トナー像のはがれを検出できることが望ましいからである。
図19は、本実施形態の画像形成装置1におけるハードウェア構成及び機能構成の一例を示す図である。画像形成装置1はその構成として、スキャナ部2と、プリンタ部4と、FAX部7と、ネットワークインタフェース31と、操作パネル32と、記憶部35と、制御部40と、エンプティセンサ70と、用紙種類判別部71と、ユーザー検出部72と、上述した検査画像取得部74とを備えている。
記憶部35には、第1実施形態において説明したプログラム60等に加え、ジョブ受付部41によって受け付けられたジョブに含まれる画像データ66が記憶されている。画像データ66は、検査画像取得部74によって取得された画像と比較するためのデータである。
制御部40のCPUは、画像形成装置1に電源が投入されることにより、記憶部35からプログラム60を読み出して実行する。これにより、制御部40は、第1実施形態において説明したジョブ受付部41などに加え、画像検査部46として機能する。
画像検査部46は、検査画像取得部74によって取得される画像を検査する処理部である。画像検査部46は、エンプティ状態が検出されたことによって中断されたジョブの再開時に用紙搬送機構10による用紙の搬送速度をエンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定した場合に、その後に搬送される用紙の画像を取得するように検査画像取得部74を制御する。画像検査部46は、検査画像取得部74によって取得される検査画像を入力すると、記憶部35に記憶される画像データ66と比較し、検査画像取得部74によって取得される画像が所定の品質以下であるかを検査する。画像検査部46は、検査結果を搬送速度決定部42に出力する。
画像検査部46から出力される検査結果に基づいて、検査画像取得部74によって取得される画像が所定の品質以下であると判断される場合、搬送速度決定部42は、用紙の搬送速度をエンプティ検出時点の搬送速度より低速な搬送速度V4(最低速度)に変更する。低速な搬送速度に設定することで、トナー像の定着不良を防ぎ、画像の品質を向上させるためである。
次に、本実施形態の画像形成装置1における具体的な動作の一例について説明する。図20は、本実施形態の画像形成装置1において行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。尚、ステップS1~S8の処理については図8で示した処理と同様である。この処理は、画像形成装置1がジョブを受け付けることによって開始される。画像形成装置1は、ジョブを受け付けると(ステップS1)、ジョブ開始処理を実行する(ステップS2)。ジョブ開始処理が実行され、用紙の搬送が開始されると、画像形成装置1は、給紙トレイ5のエンプティ状態が検出されたか否かを確認する(ステップS3)。エンプティ状態が検出されていない場合(ステップS3でNO)、処理はステップS72までスキップする。一方、エンプティ状態が検出された場合(ステップS3でYES)、画像形成装置1はジョブを中断する(ステップS4)。次に画像形成装置1は、用紙が補充されたか否かを確認し(ステップS5)、用紙が補充されていれば(ステップS5でYES)、ジョブ再開処理を実行する(ステップS6)。ジョブ再開処理は、図10で示したジョブ再開処理(ステップS6)と同様の処理である。
ジョブ再開処理を実行した後、画像形成装置1は、ジョブ再開処理でエンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定されているか否かを確認する(ステップS70)。エンプティ状態が検出された時点の搬送速度である場合(ステップS70でYES)、画像取得フラグをONにする(ステップS71)。画像取得フラグとは、搬送される用紙の画像を検査画像取得部74が読み取るか否かを決定するフラグである。次に画像形成装置1は、画像取得フラグがONとなっているか否かを確認する(ステップS72)。画像取得フラグがONとなっている場合(ステップS72でYES)、搬送される用紙の画像を検査画像取得部74が読み取り、画像検査部46に読み取った画像を出力する。画像を入力した後、画像検査部46は、記憶部35に記憶されている画像データ66と検査画像取得部74から入力する画像とを比較し、検査画像取得部74から入力する画像が所定の品質以下であるかを検査する。そして検査画像取得部74によって読み取られた画像が所定の品質以下である場合(ステップS73でYES)、画像形成装置1は、搬送速度をエンプティ時点の搬送速度より低速の搬送速度V4(最低速度)に変更する(ステップS74)。一方、画像取得フラグがONになっていない場合(ステップS72でNO)、又は、検査画像取得部74から入力する画像が所定の品質以下でない場合は(ステップS73でNO)、処理はステップS8までスキップする。ステップS74で搬送速度を搬送速度V4に変更すると、画像形成装置1は、用紙種類判別処理を行う(ステップS7)。用紙種類判別処理は、搬送される用紙の種類を判別してトレイ設定62を更新する処理であり、用紙種類判別処理の詳細な処理手順は図12で示した処理と同様である。用紙種類判別処理を実行した後、画像形成装置1は、画像取得フラグをOFFにする(ステップS75)。画像形成装置1は、ジョブが終了したか否かを確認し(ステップS8)、ジョブが終了していれば(ステップS8でYES)、画像取得フラグをOFFにして(ステップS76)、処理を終了する。一方、ジョブが終了していなければ(ステップS8でNO)、ステップS3~S7の処理を繰り返す。
上述したように、本実施形態における画像形成装置1は、用紙搬送機構10による用紙の搬送速度をエンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定した場合、ジョブの実行が完了するまでエンプティ状態が検出された時点の搬送速度を維持し、当該ジョブの実行が完了するまでに画像検査部46において搬送される用紙の画像の品質が所定品質よりも低いかどうかを検査する。検査した結果、搬送される用紙の画像の品質が所定品質よりも低い場合に、エンプティ状態が検出された時点の搬送速度よりも低速である所定の搬送速度(最低速度)に設定することが可能な構成である。第1実施形態における画像形成装置1と同様に、エンプティ状態が検出された後にジョブを再開する際に、所定の条件を満たしている場合には、エンプティ時点の搬送速度に設定することにより、搬送速度を最低速度に設定する場合と比べて、印刷時間を短いものとすることが可能である。
エンプティ状態が検出された時点の搬送速度に設定した後、搬送される用紙に形成される画像の品質が所定品質よりも低い場合は、搬送速度をエンプティ状態が検出された時点の搬送速度よりも低速な搬送速度V4(最低速度)に変更することにより、画像の品質を向上することが可能である。
尚、本実施形態において上述した点以外については、第1乃至第3実施形態のいずれかで説明したものと同様である。そのため、本実施形態の画像形成装置1は、第1乃至第3実施形態と同様の作用効果を奏するものである。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態では、用紙種類判別を実行するか否かをユーザーに選択させることが可能な一形態について説明する。
図21は、ジョブの実行中に、用紙種類判別を実行するか否かをユーザーに選択させる判別実行選択画面の一例を示す図である。図21に示すように、判別実行選択画面G3には、ジョブの実行中に用紙種類判別を実行するか否かをユーザーに確認するメッセージM3と、ユーザーによって操作されるボタンB5,B6が表示されている。ユーザーは、用紙種類判別を実行したい場合はボタンB5を操作し、用紙種類判別を実行したくない場合はボタンB6を操作する。ユーザーによってボタンB5が操作されると、判別制御部44は、用紙種類判別部71を制御し、用紙種類判別部71を通過する1枚目の用紙の種類を判別させる。このような判別実行選択画面G3は、ジョブの実行が開始されるタイミングで判別制御部44によって生成され、表示部33に表示されるものであってもよいし、エンプティ状態が検出された場合に判別制御部44によって生成され、表示部33に表示されるものであってもよい。また、ユーザーがジョブの設定操作を行うための操作画面において、用紙種類判別を実行するか否かをユーザーに選択させるメッセージやボタンを表示させるものであってもよい。ユーザーがジョブの設定操作を行うための操作画面は、表示部33に表示されるものに限られず、ネットワークを介して画像形成装置1と接続されるコンピュータの表示部に表示される操作画面であってもよい。
上述したように、本実施形態における画像形成装置1は、用紙種類判別を実行するか否かをユーザーに選択させることが可能な構成である。ユーザーに用紙種類判別を実行するか否かを選択させることで、ユーザーが用紙種類判別を実行したいと思ったときに用紙種類判別を実行させることが可能となる。
尚、本実施形態において上述した点以外については、第1乃至第4実施形態のいずれかで説明したものと同様である。そのため、本実施形態の画像形成装置1は、第1乃至第4実施形態と同様の作用効果を奏するものである。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態では、トレイ設定62の判別実行欄114が「未実行」である場合に、用紙種類判別を実行することが可能な一構成について説明する。
本実施形態の画像形成装置1における具体的な動作の一例について説明する。図22は、本実施形態の画像形成装置1において行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。尚、ステップS1,S3~S8の処理については図8で示した処理と同様である。この処理は画像形成装置1がジョブを受け付けることによって開始される。画像形成装置1は、ジョブを受け付けると(ステップS1)、ジョブ開始処理を実行する(ステップS2a)。
図23は、本実施形態におけるジョブ開始処理(ステップS2a)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置1は、ジョブ開始処理を開始すると、トレイ設定62を確認する(ステップS20)。ここで、トレイ設定62の判別実行欄114が「実行済」であれば(ステップS90でYES)、画像形成装置1は、搬送速度をトレイ設定62における用紙種類、すなわち用紙種類判別部71によって判別される用紙種類に応じた搬送速度に設定する(ステップS21)。一方、トレイ設定62の判別実行欄114が「実行済」ではない場合、すなわち「未実行」である場合(ステップS90でNO)、画像形成装置1は、搬送速度を搬送速度V4(最低速度)に設定する(ステップS91)。当該ジョブの前に実行されたジョブにおいて、エンプティ状態が検出され、その後用紙種類判別が実行されないままジョブが終了していることがある。そのような場合は、トレイ設定62の判別実行欄114が「未実行」となっている。トレイ設定62の判別実行欄114が「未実行」である場合には、用紙の搬送速度を低速なものに設定し、ジャムの発生等を防ぐのである。尚、ステップS91の処理において、トレイ設定62の判別実行欄114が「未実行」である場合、ユーザーに搬送速度の設定をトレイ設定62の用紙種類に応じた搬送速度に設定するか、低速な搬送速度に設定するかを選択させるようにしてもよい。搬送速度を設定した後、画像形成装置1は、用紙の搬送を開始する(ステップS22)。以上で、ジョブ開始処理(ステップS2a)を終了する。
図22に戻り、用紙の搬送が開始されると、画像形成装置1は、給紙トレイ5におけるエンプティ状態が検出されたか否かを確認する(ステップS3)。エンプティ状態が検出されていない場合(ステップS3でNO)、処理はステップS80までスキップする。一方、エンプティ状態が検出された場合(ステップS3でYES)、画像形成装置1はジョブを中断する(ステップS4)。次に画像形成装置1は、用紙が補充されたか否かを確認し(ステップS5)、用紙が補充されていればジョブ再開処理を実行する(ステップS6)。ジョブ再開処理は、図10で示したジョブ再開処理(ステップS6)と同様の処理である。
ステップS80において、画像形成装置1は、トレイ設定62の判別実行欄114が「実行済」であるか否かを確認する(ステップS80)。トレイ設定62の判別実行欄114が「実行済」である場合には(ステップS80でYES)、処理はステップS8までスキップする。一方、トレイ設定62の判別実行欄114が「実行済」でない場合、すなわち「未実行」である場合には(ステップS80でNO)、画像形成装置1は用紙種類判別処理を実行する(ステップS7)。用紙種類判別処理の詳細な処理手順は、図12で示した処理と同様である。ステップS8において、画像形成装置1は、ジョブが終了したか否かを確認し(ステップS8)、ジョブが終了していれば(ステップS8でYES)、処理を終了する。一方、ジョブが終了していなければ(ステップS8でNO)、ステップS3~S7の処理を繰り返す。
上述したように、本実施形態における画像形成装置1は、トレイ設定62の判別実行欄114が「未実行」である場合に、用紙種類判別を実行することが可能な構成である。トレイ設定62の判別実行欄114が「未実行」の状態でジョブが開始され、低速な搬送速度が設定された場合に、早期に用紙種類判別を実行することにより、給紙トレイ5に補充された用紙に適した搬送速度等に設定することが可能である。
尚、本実施形態において上述した点以外については、第1乃至第5実施形態のいずれかで説明したものと同様である。そのため、本実施形態の画像形成装置1は、第1乃至第5実施形態と同様の作用効果を奏するものである。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。本実施形態では、ジョブの実行中に給紙トレイ5に補充された用紙のエンプティ状態が検出された後、用紙搬送機構10によって補充後の用紙の搬送動作が開始されるとき、用紙搬送機構10による用紙の搬送速度を、エンプティ状態が検出された時点の搬送速度よりも低速である所定の搬送速度に設定することが可能な一形態について説明する。
本実施形態の画像形成装置1における具体的な動作の一例について説明する。本実施形態の画像形成装置1による主たる処理手順は、図8で示したフローチャートと同様である。ただし、本実施形態では、図10に示したジョブ再開処理(ステップS6)の処理の詳細が第1実施形態と異なる、そのため、本実施形態におけるジョブ再開処理(ステップS6)の詳細について説明する。
図24は、本実施形態におけるジョブ再開処理(ステップS6)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置1は、ジョブ再開処理を開始すると、記憶部35に記憶される設定条件情報63を参照し、サブ条件121の設定があるか否かを確認する(ステップS30)。設定条件情報63を確認し、サブ条件121の設定があった場合(ステップS30でYES)、画像形成装置1は条件判定処理を実行する(ステップS31)。一方、サブ条件121の設定がなかった場合(ステップS30でNO)、処理はステップS100に進む。条件判定処理の詳細な処理手順は図11で示した処理と同様である。条件判定処理を実行した画像形成装置1は、所定の条件を満たさない場合(ステップS32でNO)、搬送速度を、搬送速度V4(最低速度)に設定する(ステップS34)。一方、条件判定処理の結果、所定の条件を満たす場合には(ステップS32でYES)、画像形成装置1は、エンプティ時点の搬送速度より低速かつ搬送速度V4より高速の搬送速度が存在するか否かを確認する(ステップS100)。ここで、例えば、エンプティ検出時点の搬送速度が搬送速度V1である場合であれば、搬送速度V2,V3が該当する。また、エンプティ検出時点の搬送速度が搬送速度V2である場合であれば、搬送速度V3が該当する。さらに、エンプティ検出時点の搬送速度が搬送速度V3又はV4である場合には、該当する搬送速度は存在しない。ステップS100において、該当する搬送速度が存在する場合(ステップS100でYES)、画像形成装置1は搬送速度を、エンプティ検出時点の搬送速度より低速かつ搬送速度V4より高速の搬送速度に設定する(ステップS101)。ここで、複数の搬送速度が該当する場合、その中で最も高速の搬送速度を設定するようにしてもよいし、予めユーザーに搬送速度の速さを重視するのか、ジャム等を防止することを重視するのかを設定させておいてもよい。ステップS100において、該当する搬送速度が存在しない場合(ステップS100でNO)、画像形成装置1は、搬送速度をエンプティ検出時点の搬送速度に設定する(ステップS102)。搬送速度を設定した後、画像形成装置1は、用紙の搬送を再開する(ステップS35)。以上で、ジョブ再開処理(ステップS6)を終了する。
上述したように、本実施形態における画像形成装置1は、ジョブの実行中に給紙トレイ5に補充された用紙のエンプティ状態が検出された後、用紙搬送機構10によって補充後の用紙の搬送動作が開始されるとき、用紙搬送機構10による用紙の搬送速度を、エンプティ状態が検出された時点の搬送速度よりも低速である所定の搬送速度に設定することが可能な構成である。したがって、用紙が補充された後の用紙の搬送速度として設定可能な搬送速度のうち最も低速なものを設定する場合と比べて、印刷時間を短いものとすることが可能である。また、エンプティ状態が検出された時点の搬送速度よりも低速であるため、ジャムの発生や画質の低下を防止することも可能である。
尚、本実施形態において上述した点以外については、第1乃至第6実施形態のいずれかで説明したものと同様である。そのため、本実施形態の画像形成装置1は、第1乃至第6実施形態と同様の作用効果を奏するものである。
(変形例)
以上、本発明に関する幾つかの実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記各実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
例えば、上記第1乃至第7実施形態のそれぞれにおいて説明した構成及び動作は、他の実施形態においても適用することが可能である。
上記実施形態では、プログラム60が画像形成装置1に予めインストールされている場合を例示した。しかし、プログラム60は、画像形成装置1に予めインストールされているものに限られず、それ単独で取引の対象となるものであっても構わない。この場合、プログラム60は、インターネットなどを介してユーザー自身がダウンロードする形態で画像形成装置1に提供されるものであってもよいし、CD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な印刷媒体に記録された状態で画像形成装置1に提供されるものであっても構わない。
上記実施形態では、エンプティセンサ70が給紙ローラ13のすぐ下流の位置に設けられる場合を例示した。しかし、エンプティセンサ70は、給紙ローラ13のすぐ下流の位置に設けられるものに限られず、各給紙トレイ5の底部などに設けられるセンサであっても構わない。この場合、エンプティセンサ70は、各給紙トレイ5にセットされる用紙との接触を検出する接触センサや、用紙によって遮光されたことを検出する光センサなどで構成され、これらのセンサが給紙トレイ5にセットされる用紙を検出できない場合に、エンプティ状態を検出する。また、エンプティセンサ70が各給紙トレイ5の底部などに設けられるセンサである場合、ジョブの実行に伴うエンプティ状態と、用紙の入れ替えに伴うエンプティ状態を区別できることが望ましい。用紙の入れ替えに伴うエンプティ状態が検出された後にセットされる用紙は、元々給紙トレイ5にセットされていた用紙と種類が異なることが通常だからである。ジョブの実行に伴うエンプティ状態と、用紙の入れ替えに伴うエンプティ状態を区別するために、エンプティセンサ70は、給紙トレイ5のカセットが引き出された状態においてはエンプティ状態を検出しないようにすればよい。
上記実施形態では、用紙種類判別部71が透過型の超音波センサなどで構成される場合を例示した。しかし、用紙種類判別部71は透過型の超音波センサなどで構成されるものに限られず、反射型の変位センサなどで構成されるものであっても構わない。