以下、添付図面を参照して、本願の開示する液体吐出ヘッドおよび記録装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
<プリンタの構成>
まず、図1および図2を参照して実施形態に係る記録装置の一例であるプリンタ1の概要について説明する。図1および図2は、実施形態に係るプリンタ1の説明図である。具体的には、図1は、プリンタ1の概略的な側面図であり、図2は、プリンタ1の概略的な平面図である。実施形態に係るプリンタ1は、たとえば、カラーインクジェットプリンタである。
図1に示すように、プリンタ1は、給紙ローラ2と、ガイドローラ3と、塗布機4と、ヘッドケース5と、複数の搬送ローラ6と、複数のフレーム7と、複数の液体吐出ヘッド8と、搬送ローラ9と、乾燥機10と、搬送ローラ11と、センサ部12と、回収ローラ13とを備える。搬送ローラ6は、搬送部の一例である。
さらに、プリンタ1は、給紙ローラ2、ガイドローラ3、塗布機4、ヘッドケース5、複数の搬送ローラ6、複数のフレーム7、複数の液体吐出ヘッド8、搬送ローラ9、乾燥機10、搬送ローラ11、センサ部12および回収ローラ13を制御する制御部14を備える。
プリンタ1は、印刷用紙Pに液滴を着弾させることにより、印刷用紙Pに画像や文字の記録を行う。印刷用紙Pは、記録媒体の一例である。印刷用紙Pは、使用前において給紙ローラ2に巻かれた状態になっている。そして、プリンタ1は、印刷用紙Pを、給紙ローラ2からガイドローラ3および塗布機4を介してヘッドケース5の内部に搬送する。
塗布機4は、コーティング剤を印刷用紙Pに一様に塗布する。これにより、印刷用紙Pに表面処理を施すことができることから、プリンタ1の印刷品質を向上させることができる。
ヘッドケース5は、複数の搬送ローラ6と、複数のフレーム7と、複数の液体吐出ヘッド8とを収容する。ヘッドケース5の内部には、印刷用紙Pが出入りする部分などの一部において外部と繋がっている他は、外部と隔離された空間が形成されている。
ヘッドケース5の内部空間は、必要に応じて、温度、湿度、および気圧などの制御因子のうち、少なくとも1つが制御部14によって制御される。搬送ローラ6は、ヘッドケース5の内部で印刷用紙Pを液体吐出ヘッド8の近傍に搬送する。
フレーム7は、矩形状の平板であり、搬送ローラ6で搬送される印刷用紙Pの上方に近接して位置している。また、図2に示すように、フレーム7は、長手方向が印刷用紙Pの搬送方向に直交するように位置している。そして、ヘッドケース5の内部には、複数(たとえば、4つ)のフレーム7が、印刷用紙Pの搬送方向に沿って位置している。
液体吐出ヘッド8には、図示しない液体タンクから液体、たとえば、インクが供給される。液体吐出ヘッド8は、液体タンクから供給される液体を吐出する。
制御部14は、画像や文字などのデータに基づいて液体吐出ヘッド8を制御し、印刷用紙Pに向けて液体を吐出させる。液体吐出ヘッド8と印刷用紙Pとの間の距離は、たとえば、0.5~20mm程度である。
液体吐出ヘッド8は、フレーム7に固定されている。液体吐出ヘッド8は、長手方向が印刷用紙Pの搬送方向に直交するように位置している。
すなわち、実施形態に係るプリンタ1は、プリンタ1の内部に液体吐出ヘッド8が固定されている、いわゆるラインプリンタである。なお、実施形態に係るプリンタ1は、ラインプリンタに限られず、いわゆるシリアルプリンタであってもよい。
シリアルプリンタとは、液体吐出ヘッド8を、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向、たとえば、略直交する方向に往復させるなどして移動させながら記録する動作と、印刷用紙Pの搬送とを交互に行う方式のプリンタである。
図2に示すように、1つのフレーム7に複数(たとえば、5つ)の液体吐出ヘッド8が固定されている。図2では、印刷用紙Pの搬送方向の前方に3つ、後方に2つの液体吐出ヘッド8が位置している例を示しており、印刷用紙Pの搬送方向において、それぞれの液体吐出ヘッド8の中心が重ならないように液体吐出ヘッド8が位置している。
そして、1つのフレーム7に位置する複数の液体吐出ヘッド8によって、ヘッド群8Aが構成されている。4つのヘッド群8Aは、印刷用紙Pの搬送方向に沿って位置している。同じヘッド群8Aに属する液体吐出ヘッド8には、同じ色のインクが供給される。これにより、プリンタ1は、4つのヘッド群8Aを用いて4色のインクによる印刷を行うことができる。
各ヘッド群8Aから吐出されるインクの色は、たとえば、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。制御部14は、各ヘッド群8Aを制御して複数色のインクを印刷用紙Pに吐出することにより、印刷用紙Pにカラー画像を印刷することができる。
なお、印刷用紙Pの表面処理をするために、液体吐出ヘッド8からコーティング剤を印刷用紙Pに吐出してもよい。
また、1つのヘッド群8Aに含まれる液体吐出ヘッド8の個数や、プリンタ1に搭載されているヘッド群8Aの個数は、印刷する対象や印刷条件に応じて適宜変更可能である。たとえば、印刷用紙Pに印刷する色が単色で、かつ、1つの液体吐出ヘッド8で印刷可能な範囲を印刷するのであれば、プリンタ1に搭載されている液体吐出ヘッド8の個数は1つでもよい。
ヘッドケース5の内部で印刷処理された印刷用紙Pは、搬送ローラ9によってヘッドケース5の外部に搬送され、乾燥機10の内部を通る。乾燥機10は、印刷処理された印刷用紙Pを乾燥する。乾燥機10で乾燥された印刷用紙Pは、搬送ローラ11で搬送されて、回収ローラ13で回収される。
プリンタ1では、乾燥機10で印刷用紙Pを乾燥することにより、回収ローラ13において、重なって巻き取られる印刷用紙P同士が接着したり、未乾燥の液体が擦れたりすることを抑制することができる。
センサ部12は、位置センサや速度センサ、温度センサなどにより構成されている。制御部14は、センサ部12からの情報に基づいて、プリンタ1の各部における状態を判断し、プリンタ1の各部を制御することができる。
ここまで説明したプリンタ1では、印刷対象(すなわち、記録媒体)として印刷用紙Pを用いた場合について示したが、プリンタ1における印刷対象は印刷用紙Pに限られず、ロール状の布などを印刷対象としてもよい。
また、プリンタ1は、印刷用紙Pを直接搬送する代わりに、搬送ベルト上に載せて搬送するものであってもよい。搬送ベルトを用いることで、プリンタ1は、枚葉紙や裁断された布、木材、タイルなどを印刷対象とすることができる。
また、プリンタ1は、液体吐出ヘッド8から導電性の粒子を含む液体を吐出するようにして、電子機器の配線パターンなどを印刷してもよい。また、プリンタ1は、液体吐出ヘッド8から反応容器などに向けて所定量の液体の化学薬剤や化学薬剤を含んだ液体を吐出させて、化学薬品を作製してもよい。
また、プリンタ1は、液体吐出ヘッド8をクリーニングするクリーニング部を備えていてもよい。クリーニング部は、たとえば、ワイピング処理やキャッピング処理によって液体吐出ヘッド8の洗浄を行う。
ワイピング処理とは、たとえば、柔軟性のあるワイパーで、液体が吐出される部位の面、たとえば、流路部材24(図3参照)の第2面24b(図3参照)を擦ることで、第2面24bに付着していた液体を取り除く処理である。
また、キャッピング処理は、たとえば、次のように実施する。まず、液体を吐出される部位、たとえば、流路部材24の第2面24bを覆うようにキャップを被せる(これをキャッピングという)。これにより、第2面24bとキャップとの間に、略密閉された空間が形成される。
次に、このような密閉された空間で液体の吐出を繰り返す。これにより、吐出孔243(図6参照)に詰まっていた、標準状態よりも粘度が高い液体や異物などを取り除くことができる。
<液体吐出ヘッドの構成>
次に、図3を参照して実施形態に係る液体吐出ヘッド8の構成について説明する。図3は、実施形態に係る液体吐出ヘッド8の概略構成を示す分解斜視図である。
図3に示すように、液体吐出ヘッド8は、ヘッド本体20と、供給部材21と、回路基板22と、ヘッドカバー23とを備える。また、ヘッド本体20は、流路部材24と、圧電アクチュエータ基板25と、信号伝達部26と、駆動IC27とを備える。
ヘッド本体20の流路部材24は、略平板形状であり、1つの主面である第1面24aと、第1面24aの反対側に位置する第2面24bとを有している。第1面24aは、開口241a(図4参照)を有し、後述する供給部材21から開口241aを介して流路部材24の内部に液体が供給される。
第2面24bには、印刷用紙Pに液体を吐出する複数の吐出孔243(図4参照)が位置している。そして、流路部材24の内部には、第1面24aから第2面24bに液体を流す流路が位置している。
圧電アクチュエータ基板25は、流路部材24の第1面24a上に位置している。圧電アクチュエータ基板25は、複数の変位素子30(図6参照)を有している。変位素子30は、加圧部の一例である。変位素子30は、流路部材24の第1面24a上に位置している。なお、圧電アクチュエータ基板25については、図6を用いて後述する。
圧電アクチュエータ基板25には、2つの信号伝達部26が電気的に接続されている。それぞれの信号伝達部26は、複数の駆動IC(Integrated Circuit)27を含んでいる。なお、図3では、理解の容易のため、信号伝達部26のうち1つの図示を省略している。
信号伝達部26は、圧電アクチュエータ基板25の各変位素子30に信号を供給する。信号伝達部26は、たとえば、FPC(Flexible Printed Circuit)などを例示できる。
駆動IC27は、信号伝達部26に搭載されている。駆動IC27は、圧電アクチュエータ基板25における各変位素子30の駆動を制御する。
なお、ヘッド本体20は、液体を吐出する吐出面およびこの吐出面の反対側に位置する反対面を有している。以下においては、吐出面を流路部材24における第2面24b、反対面を流路部材24における第1面24aとして説明する。
供給部材21は、ヘッド本体20の反対面側に位置している。供給部材21は、内部に後述するリザーバ43(図7参照)を含む流路を有しており、外部から開口21aを介して液体が供給される。供給部材21は、流路部材24に液体を供給する機能および供給される液体を貯留する機能を有している。なお、図3(および図7)には、供給部材21の概略形状を示している。また、供給部材21における流路の詳細については、図7などを用いて後述する。
供給部材21におけるヘッド本体20とは反対側の面には、回路基板22が立設している。回路基板22における供給部材21側の端部には、複数のコネクタ28が位置している。それぞれのコネクタ28には、信号伝達部26の端部が収容される。
回路基板22における供給部材21とは反対側の端部には、給電用のコネクタ29が位置している。回路基板22は、外部からコネクタ29を介して供給された電流をコネクタ28に分配し、信号伝達部26に電流を供給する。
ヘッドカバー23は、ヘッド本体20の反対面側に位置しており、信号伝達部26および回路基板22を覆っている。これにより、液体吐出ヘッド8は、信号伝達部26および回路基板22を封止することができる。
また、ヘッドカバー23は、開口23aを有している。回路基板22のコネクタ29は、開口23aから外部に露出するように挿通される。
ヘッドカバー23の内部側面には、駆動IC27が接触している。駆動IC27は、たとえば、ヘッドカバー23の内部側面に押し当てられている。これにより、駆動IC27で発生する熱を、ヘッドカバー23の側面における接触部分から放散(放熱)することができる。
なお、液体吐出ヘッド8は、図3に示した部材以外の部材をさらに含んでもよい。
<ヘッド本体の構成>
次に、図4~6を参照して実施形態に係るヘッド本体20の構成について説明する。図4は、実施形態に係るヘッド本体20の拡大平面図である。図5は、図4に示す一点鎖線に囲まれた領域の拡大図である。図6は、図4に示すA-A線の断面図である。
図4に示すように、ヘッド本体20は、流路部材24と圧電アクチュエータ基板25とを有している。流路部材24は、供給マニホールド241と、複数の加圧室242と、複数の吐出孔243とを有している。
複数の加圧室242は、供給マニホールド241に繋がっている。複数の吐出孔243は、複数の加圧室242にそれぞれ繋がっている。
加圧室242は、流路部材24の第1面24a(図6参照)に開口している。また、流路部材24の第1面24aは、供給マニホールド241と繋がる開口241aを有している。そして、供給部材21(図2参照)から、開口241aを介して流路部材24の内部に液体が供給される。
図4に示す例において、ヘッド本体20は、流路部材24の内部に4つの供給マニホールド241を有している。供給マニホールド241は、流路部材24の長手方向に沿って延びる細長い形状であり、その両端において、流路部材24の第1面24aに供給マニホールド241の開口241aが位置している。
流路部材24には、複数の加圧室242が2次元的に広がって位置している。加圧室242は、角部にアールが施されたほぼ菱形の平面形状を有する中空の領域である。加圧室242は、流路部材24の第1面24aに開口しており、第1面24aに圧電アクチュエータ基板25が接合されることによって閉塞される。
加圧室242は、長手方向に配列された加圧室行を構成する。加圧室行の加圧室242は、近隣する2行の加圧室行の間において千鳥状に配置されている。1つの供給マニホールド241に繋がっている4行の加圧室行によって、1つの加圧室群が構成されている。図4に示す例では、流路部材24が4つの加圧室群を有している。
また、各加圧室群内における加圧室242の相対的な配置は同じになっており、各加圧室群は長手方向にわずかにずれて配置されている。吐出孔243は、流路部材24のうち供給マニホールド241と対向する領域を避けた位置に配置されている。すなわち、流路部材24を第1面24a側から透過視した場合に、吐出孔243は、供給マニホールド241と重なっていない。
さらに、平面視して、吐出孔243は、圧電アクチュエータ基板25の搭載領域に収まるように配置されている。このような吐出孔243は、1つの群として圧電アクチュエータ基板25と略同一の大きさおよび形状の領域を占有している。
そして、対応する圧電アクチュエータ基板25の加圧部である変位素子30(図6参照)を変位させることにより、吐出孔243から液滴が吐出される。
なお、加圧室242および供給マニホールド241は、個別供給流路245(図6参照)を介して繋がっている。個別供給流路245は、他の部分よりも幅の狭いしぼり36を含んでいる。しぼり36は、個別供給流路245の他の部分よりも幅が狭いため、流路抵抗が高い。このように、しぼり36の流路抵抗が高いとき、加圧室242に生じた圧力は、供給マニホールド241に逃げにくい。
図6に示すように、流路部材24は、複数のプレートが積層された積層構造を有している。これらのプレートは、流路部材24の上面から順に、キャビティプレート24A、ベースプレート24B、アパーチャ(しぼり)プレート24C、サプライプレート24D、マニホールドプレート24E,24F,24G、カバープレート24Hおよびノズルプレート24Iである。
プレートには、多数の孔が位置している。プレートの厚さは、10μm~300μm程度である。これにより、孔の形成精度を高くすることができる。プレートは、これらの孔が互いに連通して個別流路244および供給マニホールド241を構成するように、位置合わせして積層されている。
ヘッド本体20は、加圧室242が流路部材24の上面に、供給マニホールド241が内部の下面側に、吐出孔243が下面に、個別流路244を構成する各部分が異なる位置に互いに近接して配設されている。ヘッド本体20は、供給マニホールド241および吐出孔243が加圧室242を介して繋がる構成を有している。
圧電アクチュエータ基板25は、圧電セラミック層25a,25bと、共通電極31と、個別電極32と、接続電極33と、ダミー接続電極34と、表面電極35(図4参照)とを含んでいる。
圧電アクチュエータ基板25は、圧電セラミック層25a、共通電極31、圧電セラミック層25bおよび個別電極32がこの順に積層されている。
圧電セラミック層25a,25bは、それぞれ20μm程度の厚さを有している。圧電セラミック層25a,25bのいずれの層も複数の加圧室242を跨ぐように延在している。圧電セラミック層25a,25bは、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料を用いることができる。
共通電極31は、圧電セラミック層25aおよび圧電セラミック層25bの間の領域に面方向の略全面にわたって位置している。すなわち、共通電極31は、圧電アクチュエータ基板25に対向する領域内の全ての加圧室242と重なっている。共通電極31の厚さは、2μm程度である。共通電極31は、たとえば、Ag-Pd系などの金属材料を用いることができる。
個別電極32は、個別電極本体32aと、引出電極32bとを含んでいる。個別電極本体32aは、圧電セラミック層25b上のうち加圧室242と対向する領域に位置している。個別電極本体32aは、加圧室242より一回り小さく、加圧室242と略相似な形状である。
引出電極32bは、個別電極本体32aから引き出されている。引出電極32bの一端における加圧室242と対向する領域外に引き出された部分には、接続電極33が位置している。個別電極32は、たとえば、Au系などの金属材料を用いることができる。
接続電極33は、引出電極32b上に位置し、厚さが15μm程度で凸状である。また、接続電極33は、信号伝達部26(図3参照)に設けられた電極と電気的に接合されている。接続電極33は、たとえば、ガラスフリットを含む銀-パラジウムを用いることができる。
ダミー接続電極34は、圧電セラミック層25b上に位置しており、個別電極32などの各種電極と重ならないように位置している。ダミー接続電極34は、圧電アクチュエータ基板25と信号伝達部26とを接続し、接続強度を高めている。
また、ダミー接続電極34は、圧電アクチュエータ基板25と、圧電アクチュエータ基板25との接触位置の分布を均一化し、電気的な接続を安定させる。ダミー接続電極34は、接続電極33と同等の材料、同等の工程により形成すればよい。
表面電極35は、圧電セラミック層25b上において、個別電極32を避けて位置している。表面電極35は、圧電セラミック層25bに位置するビアホールを介して共通電極31と繋がっている。このため、表面電極35は、接地され、グランド電位に保持されている。表面電極35は、個別電極32と同等の材料、同等の工程により形成すればよい。
複数の個別電極32は、個別に電位を制御するために、それぞれが信号伝達部26および配線を介して、個別に制御部14(図1参照)に電気的に接続されている。個別電極32および共通電極31に狭持された圧電セラミック層25bは、個別電極32および共通電極31を異なる電位にして、圧電セラミック層25bに対してその分極方向に電界を印加したとき、電界が印加された部分が圧電効果により歪む活性部として働く。
これにより、加圧室242に対向する、個別電極32と、圧電セラミック層25bと、共通電極31とが変位素子30として機能する。そして、変位素子30がユニモルフ変形することにより、加圧室242を押圧し、吐出孔243から液体が吐出される。
ここで、本実施形態における駆動手順を説明する。まず、個別電極32を予め共通電極31より高い電位(以下、高電位という)にしておく。次いで、吐出要求があるごとに個別電極32を共通電極31と一旦同じ電位(以下、低電位という)とし、所定のタイミングで再び高電位とする。
これにより、個別電極32が低電位になるタイミングで、圧電セラミック層25a,25bが元の形状に戻り、加圧室242の容積が初期状態(両電極の電位が異なる状態)よりも増加する。
このとき、加圧室242内に負圧が与えられ、液体が供給マニホールド241側から加圧室242内部に吸い込まれる。その後、再び個別電極32を高電位にしたタイミングで、圧電セラミック層25a,25bが加圧室2452側へ向けて凸となるように変形し、加圧室242の容積減少により加圧室242内の圧力が正圧となる。
この結果、加圧室242内部の液体に付与する圧力が上昇し、液滴が吐出される。つまり、液滴を吐出させるため、高電位を基準とするパルスを含む駆動信号を個別電極32に供給することになる。
このパルス幅は、圧力波がしぼり36から吐出孔243まで伝播する時間の長さであるAL(Acoustic Length)とすればよい。これによると、加圧室242の内部が負圧状態から正圧状態に反転するときに両者の圧力が合わさり、より強い圧力で液滴を吐出させることができる。
また、階調印刷においては、吐出孔243から連続して吐出される液滴の数、すなわち、液滴吐出回数で調整される液滴量(体積)で階調表現が行われる。このため、指定された階調表現に対応する回数の液滴吐出を、指定されたドット領域に対応する吐出孔243から連続して行う。
一般に、液体吐出を連続して行う場合は、液滴を吐出させるために供給するパルスとパルスとの間隔をALとしてもよい。これにより、先に吐出された液滴を吐出させるときに発生した圧力の残余圧力波と、後に吐出させる液滴を吐出させるときに発生する圧力の圧力波との周期が一致する。このため、残余圧力波と圧力波とが重畳して液滴を吐出するための圧力を増幅させることができる。なお、この場合、後から吐出される液滴の速度が速くなり、複数の液滴の着弾点が近くなる。
<第1実施形態に係る供給部材の流路構成>
次に、図7~11を参照して第1実施形態に係る供給部材21の流路(リザーバ43における上流側および下流側)構成について説明する。図7は、第1実施形態に係る供給部材21の流路構成を示す斜視図である。図8は、図7における第1端211側の拡大図である。図9は、図7における第2端212側の拡大図である。
また、図10は、図7に示すB1方向視の側面図である。図11は、図7に示すB2方向視の側面図である。なお、図7~11には、流路となる空間を示している。
図7~9を参照して供給部材21上流側の流路構成について説明する。供給部材21は、流路部材24(図6参照)に繋がっている。図7に示すように、供給部材21は、長手方向における一方の端部である第1端211から他方の端部である第2端212に向かう第1方向Xに延びている。供給部材21は、第1供給流路41と、第1接続流路42と、リザーバ43とを備える。
第1供給流路41は、供給口40からの液体が流れる。第1接続流路42は、第1供給流路41に繋がっている。第1接続流路42は、第1供給流路41からの液体が流れる。リザーバ43は、第1接続流路42からの液体を貯留し、流路部材24に供給する。
第1接続流路42は、リザーバ43における、流路部材24の第2面24b(図6参照)側の面(図7においては、リザーバ43の下面)に繋がっている。
図7に示すように、リザーバ43は、第1方向Xに延びている。供給部材21は、複数のリザーバ43を有している。本実施形態では、供給部材21は、2つのリザーバ43を1組として、第1リザーバ組431および第2リザーバ組432の2組を有している。
第1リザーバ組431は、リザーバA(リザーバ43a)と、リザーバB(リザーバ43b)とを有している。リザーバ43aおよびリザーバ43bは、それぞれ同等の略矩形状であり、長手方向が第1方向Xに沿って、第1方向Xに直列に並んでいる。リザーバ43aは、第1端211側に位置し、リザーバ43bは、第2端212側に位置している。
図8に示すように、供給部材21は、第1リザーバ組431として、第1端211側に位置するリザーバ43aの他、供給口A(供給口40a)と、供給流路A(第1供給流路41a)と、接続流路A(第1接続流路42a)とを有している。
供給口40aは、液体の入り口であり、上流から液体が供給される。第1供給流路41aは、供給口40aに繋がっている。第1供給流路41aは、第1方向Xに延びている部分(延伸部411)を有している。
第1接続流路42aは、第1供給流路41aに繋がっている。そして、リザーバ43aは、第1接続流路42aに繋がっている。第1接続流路42aは、リザーバ43aにおける第2面24b側に繋がっている。
第1接続流路42aは、リザーバ43aの第2端212側に繋がっている。第1供給流路41aは、第2端212側において第1方向Xに対して交差(たとえば、直交)する第2方向Yに延びている部分(屈曲部412)を有している。第1供給流路41aは、屈曲部412が第1接続流路42aに繋がっている。
図9に示すように、供給部材21は、第1リザーバ組431として、第2端212側に位置するリザーバ43bの他、供給口B(供給口40b)と、供給流路B(第1供給流路41b)と、接続流路B(第1接続流路42b)とを有している。
供給口40bは、液体の入り口であり、上流から液体が供給される。第1供給流路41bは、供給口40bに繋がっている。
第1接続流路42bは、第1供給流路41bに繋がっている。そして、リザーバ43bは、第1接続流路42bに繋がっている。第1接続流路42bは、リザーバ43bにおける第2面24b側に繋がっている。
第1接続流路42bは、リザーバ43bの第1端211側に繋がっている。第1供給流路41bは、第1方向Xに沿って延びている。
第1リザーバ組431においては、供給部材21のインターフェースとなる供給口40aおよび供給口40bがそれぞれ第1端211側に位置している。
図7に示すように、第2リザーバ組432は、リザーバC(リザーバ43c)と、リザーバD(リザーバ43d)とを有している。リザーバ43cおよびリザーバ43dは、リザーバ43aおよびリザーバ43bと同様、それぞれ同等の略矩形状であり、長手方向が第1方向Xに沿って、第1方向Xに直列に並んでいる。リザーバ43cは、第1端211側に位置し、リザーバ43dは、第2端212側に位置している。
リザーバ43cは、リザーバ43aに対して第1方向Xと直交する方向(第2方向Y)に間隔をあけて向かい合い、リザーバ43dは、リザーバ43bに対して第2方向Yに間隔をあけて向かい合う。なお、第2リザーバ組432は、第1リザーバ組431と第2方向Yについて対称であり、上記した第1リザーバ組431と同様、供給口40、供給流路(第1供給流路)41、接続流路(第1接続流路)42などを、リザーバ43cおよびリザーバ43dごとにそれぞれ有している。
第2リザーバ組432においても、供給部材21のインターフェースとなる供給口40cおよび供給口40dがそれぞれ第1端211側に位置している。すなわち、供給部材21のインターフェースは、第1端211側に集約されている。
また、図7に示すように、供給部材21は、第2接続流路44と、第2供給流路45とを有している。第2接続流路44および第2供給流路45は、リザーバ43から流路部材24(図6参照)に向けて液体が流れる流路であり、リザーバ43から流路部材24に向かう順、すなわち、上流側から、第2接続流路44、第2供給流路45の順に並んでいる。
第2接続流路44は、リザーバ43に繋がっている。第2接続流路44は、たとえば、リザーバ43における、流路部材24の第2面24b側の面(図7においては、リザーバ43の下面)に繋がっている。第2供給流路45は、第2接続流路44に繋がっている。第2供給流路45は、流路部材24に向けて液体を供給する。
図8および図9に示すように、供給部材21は、フィルタ46を有している。フィルタ46は、リザーバ43および第2接続流路44の間に位置している。
このような第1実施形態によれば、第1接続流路42がリザーバ43における第2面24b側に繋がるため、第1供給流路41に気泡が混入したとしても、リザーバ43に供給される液体の供給方向および気泡に作用する浮力の方向が同じ方向となる。これにより、気泡が第1接続流路42に滞留しにくくなり、気泡が液体の流れを妨げるのを抑えることができる。この結果、リザーバ43に対する液体の供給不良を抑えることができる。
また、リザーバ43aの供給口40aおよびリザーバ43bの供給口40bが共に第1端211側に位置するため、2つの供給口40a,40bのそれぞれの供給源に対する接続を第1端211側から行うことができる。これにより、ヘッド本体20をプリンタ1に組み込む作業が容易となり、生産性を向上させることができる。
また、供給口40aに近い第1供給流路41aにおいて第2方向Yに延びている屈曲部412があるため、第1供給流路41aおよび第1供給流路41bの流路長を略同等の長さにすることができ、リザーバ43a,43bまでの圧力損失を近似させることが可能となる。
また、供給口40bから遠い第1供給流路41bが第1方向Xに延びているため、第1供給流路41bの流路長を最短にすることができ、リザーバ43bの圧力損失を低減させることができる。
また、流路部材24に向けて液体を供給する第2接続流路44がリザーバ43の第2面21b側に繋がるため、リザーバ43に入り込んだ気泡が第2接続流路44や第2供給流路45などの下流側の流路に混入するのを抑えることができる。また、第2接続流路44や第2供給流路45に気泡が混入しても、リザーバ43に気泡を戻しやすくなり、下流側の流路に気泡が残りにくい。
また、フィルタ46がリザーバ43および第2接続流路44の間に位置するため、異物を除去することができるとともに、第2接続流路44や第2供給流路45などの下流側の流路に異物が混入するのを抑えることができる。
図10および図11を参照して供給部材21下流側の流路構成について説明する。なお、図10および図11においては、2つのリザーバ43a,43bのうち一方(リザーバ43bおよびリザーバ43b周辺の流路)に斜線を付している。図10および図11に示すように、供給部材21は、供給口40と、第1供給流路41と、リザーバ43と、第2供給流路45とを備える。
そして、図10に示すように、供給部材21上にはヒータ37が位置している。ヒータ37は、2つのリザーバ43a,43bに対応する供給部材21の上面に位置しており、2つのリザーバ43a,43bの内部の液体を温めている。なお、図示していないが、ヒータ37は、2つのリザーバ43c,43d上にも位置している。
第1供給流路41は、供給口40に繋がっており、リザーバ43は、第1供給流路41に繋がっている。第2供給流路45は、リザーバ43および流路部材24(図6参照)に繋がっている。
リザーバ43および第2供給流路45は、それぞれ複数である。供給部材21は、リザーバ43a、第2供給流路A(第2供給流路45a)、リザーバ43b、第2供給流路B(第2供給流路45b)を少なくとも有している。第2供給流路45aは、リザーバ43aおよび流路部材24に繋がっている。第2供給流路45bは、リザーバ43bおよび流路部材24に繋がっている。
供給部材21は、リザーバ43から下流側の流路において、第2供給流路45aおよび第2供給流路45bが重畳する第1重畳領域AR1を有している。第1重畳領域AR1においては、第2供給流路45aおよび第2供給流路45bが第3方向Z視で重畳している。
第2供給流路45aは、分岐部A(分岐部451a)と、分岐流路A(分岐流路452a)とを有している。分岐流路452aは、分岐部451aよりも下流に位置している。第2供給流路45bは、分岐部B(分岐部451b)と、分岐流路B(分岐流路452b)とを有している。分岐流路452bは、分岐部451bよりも下流に位置している。
供給部材21は、リザーバ43から下流側の流路において、分岐流路452aおよび分岐流路452bが重畳する第2重畳領域AR2を有している。第2重畳領域AR2においては、分岐流路452aおよび分岐流路452bが第3方向Z視で重畳している。
第2重畳領域AR2においては、分岐流路452aを流れる液体Iaと、分岐流路452bを流れる液体Ibとが並流である。並流とは、液体Ia,Ibが互いに同じ方向に流れることをいう。図10においては、液体Ia,Ibが第2方向Y(図7参照)視で第1方向Xについて同じ方向に流れる。
また、図示しないが、第2重畳領域AR2において、分岐流路452aを流れる液体Iaと、分岐流路452bを流れる液体Ibとが対向流となるよう構成されてもよい。対向流とは、液体Ia,Ibが相反する方向に流れることをいう。図10においては、液体Ia,Ibが第2方向Y視で第1方向Xについて互いに異なる方向に流れる。
供給部材21は、接続流路(第2接続流路)44aを有している。第2接続流路44aは、リザーバ43aに一端が繋がっており、分岐流路452aに他端が繋がっている。供給部材21は、第1端211に位置するリザーバ43aから下流側の流路において、第2接続流路44aおよび分岐流路452bが重畳する第3重畳領域AR3を有している。なお、第3重畳領域AR3は、第3方向Z視で重畳している。
また、供給部材21は、第2接続流路44bを有している。第2接続流路44bは、リザーバ43bに一端が繋がっており、分岐流路452bに他端が繋がっている。供給部材21は、第2端212に位置するリザーバ43bから下流側の流路において、第2接続流路44bおよび分岐流路452aが重畳する第4重畳領域AR4を有している。なお、第4重畳領域AR4は、第3方向Z視で重畳している。
また、供給部材21は、第1端211に位置するリザーバ43aから下流側の流路において、図11に示すように、供給口40aに繋がる第1供給流路41aおよび第2接続流路44bが重畳する第5重畳領域AR5を有している。なお、第5重畳領域AR5は、第3方向Z視で重畳している。
また、供給部材21は、第2端212に位置するリザーバ43bから下流側の流路において、図11に示すように、供給口40bに繋がる第1供給流路41bおよび第2接続流路44aが重畳する第6重畳領域AR6を有している。なお、第6重畳領域AR6は、第3方向Z視で重畳している。
このような第1実施形態によれば、第2供給流路45aおよび第2供給流路45bが重畳する第1重畳領域AR1を有するため、少なくともリザーバ43aおよびリザーバ43bを有するような複数系統(2系統)の間で液体同士が互いに熱交換することができる。これにより、リザーバ43a,43bから下流側において液体の温度を均一に近づけることができる。この結果、液体の吐出性能の低下を抑えることができる。
また、第2供給流路45aおよび第2供給流路45bが重畳する第1重畳領域AR1を有することにより、リザーバ43a,43bから下流側において液体の温度を均一に近づけることができるため、リザーバ43a,43bを重畳させる必要がない。これにより、供給部材21の第3方向Zの厚みが大きくなりにくい。
また、分岐流路452aおよび分岐流路452bが重畳する第2重畳領域AR2を有するため、上記同様、複数系統(2系統)の間で液体同士が互いに熱交換することができ、液体の温度を均一に近づけることができる。
また、分岐流路452aを流れる液体Iaおよび分岐流路452bを流れる液体Ibが並流であるため、2つの分岐流路452a,452bを流れる液体Ia,Ibは熱交換しながら同じ方向に向かう。これにより、液体Ia,Ibの温度をより均一に近づけることができる。
また、分岐流路452aを流れる液体Iaおよび分岐流路452bを流れる液体Ibが対向流であっても、並流の場合と同様、2つの分岐流路452a,452bを流れる液体Ia,Ibは熱交換しながら流れるため、液体Ia,Ibの温度をより均一に近づけることができる。
また、第2接続流路44aおよび分岐流路452bが重畳する第3重畳領域AR3を有することで、第2接続流路44aを流れる液体を、分岐流路452bを流れる液体の温度で予備加熱することができる。これにより、液体の温度をより均一に近づけることができる。
また、第2接続流路44bおよび分岐流路452aが重畳する第4重畳領域AR4を有することで、第2接続流路44bを流れる液体を、分岐流路452aを流れる液体の温度で予備加熱することができる。これにより、液体の温度をより均一に近づけることができる。
また、第1供給流路41aおよび第2接続流路44bが重畳する第5重畳領域AR5を有することで、第1供給流路41aを流れる液体を、第2接続流路44bを流れる液体の温度で予備加熱することができ、液体の温度をより均一に近づけることができる。
さらに、第1供給流路41bおよび第2接続流路44aが重畳する第6重畳領域AR6を有することで、第1供給流路41bを流れる液体を、第2接続流路44aを流れる液体の温度で予備加熱することができ、液体の温度をより均一に近づけることができる。
なお、供給部材21は、第1~6重畳領域AR1~AR6を有することにより、効率的に熱交換を行っているが、熱交換の効率をさらに向上させるためには、第1~6重畳領域AR1~AR6の重畳する面積を増加させればよい。たとえば、第2重畳領域AR2の重畳する面積を増加させるためには、分岐流路452aおよび分岐流路452bが、第2方向Yに互いに沿っていればよい。
また、それぞれ重畳する流路は、第3方向Zに隣り合っていてもよい。これにより、第1~6重畳領域AR1~AR6により、効率的な熱交換を行うことができる。
供給部材21は、金属、合金、あるいは熱硬化性の樹脂により作製される。金属材料としては、たとえば、SUS430等のステンレスを例示することができる。熱硬化性の樹脂としては、たとえば、ガラス繊維あるいは無機フィラーを含んだ熱硬化性エポキシ系樹脂を例示することができる。ガラス繊維あるいは無機フィラーを含んだ熱硬化性エポキシ系樹脂の熱伝導率は、0.3~0.7w/m・Kであればよい。なお、熱膨張率の測定は、たとえば、JIS K7197に規定される、プラスチックの熱機械分析による線膨張率試験方法により測定すればよい。
図12は、基板配置の説明図である。図12に示すように、回路基板22は、第1方向Xおよび第2方向Yのそれぞれに対して直交する第3方向Z視(平面視)において,第1リザーバ組431および第2リザーバ組432の間に位置している。
このように、回路基板22が第1リザーバ組431および第2リザーバ組432の間に位置することで、回路基板22の直下にリザーバ43a~43dが位置しないこととなり、リザーバ43a~43dが回路基板22から熱の影響を受けにくい。すなわち、ヒータ37(図10参照)以外の熱がリザーバ43a~43dに伝わりにくい。このため、液体の温度を正確に制御することができる。
<第2実施形態に係る供給部材の流路構成>
次に、図13~19を参照して第2実施形態に係る供給部材210の流路構成について説明する。図13は、第2実施形態に係る供給部材210の流路構成を示す斜視図である。図14は、図13における第1端211側の拡大図である。図15は、図13における第2端212側の拡大図である。
また、図16は、図15に示すC1-C1線の断面図である。図17は、図15に示すC2-C2線の断面図である。図18は、図13に示すD1方向視の側面図である。図19は、図13に示すD2方向視の側面図である。なお、図12~15、図18および図19には、流路となる空間を示している。
なお、以下の第2実施形態では、上記した第1実施形態と同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
第2実施形態に係る供給部材210は、主に、気泡の排出流路47および排出口48を有する点において上記した第1実施形態とは構成が異なる。図13に示すように、供給部材210は、リザーバ43から気泡を排出する排出流路47を有している。
排出流路47は、第2面24b(図6参照)に対してリザーバ43における第1面24a(図6参照)側に繋がっている。排出流路47は、リザーバ43の第1方向Xにおける外側の面に接続されている。
排出流路47a~47dのうち、排出流路47a,47cは、リザーバ43a,43dから第1方向Xに沿って第1端211側に向けて突出している。排出流路47a,47cは、第3方向Z視においてリザーバ43a,43cの第1端211側に繋がっている。
また、排出流路47a~47dのうち、排出流路47b,47dは、リザーバ43から第1方向Xに沿って第2端212側に向けて突出し、屈曲して第2方向Yに沿って延伸し、再度屈曲して第1方向Xに沿って第1端211側に延びている。
図14に示すように、排出流路47a~47dの下流側となる第1端211側の各端部には、それぞれ排出口48a~48dが位置している。供給部材210においては、供給口40a~40dおよび排出口48a~48dがそれぞれ第1端211側に位置することで、インターフェースが第1端211側に集約される。
図15に示すように、供給部材21は、フィルタ46を有している。図16に示すように、フィルタ46は、リザーバ43(43c)および第2接続流路44の間に位置している。
また、図17に示すように、排出流路47は、リザーバ43における、第1面24a側の面(図15および図16においては、上面)と同等または第1面24a側の面よりも第1面24a側に位置している。すなわち、排出流路47は、リザーバ43の上面に対して面一となるよう連続している。なお、排出流路47は、リザーバ43の上面に、この上面よりも高くなるように繋がっていてもよい。
また、排出流路47は、フィルタ46上、すなわち、フィルタ46のすぐ下流側に位置している。
このような第2実施形態によれば、上記した第1実施形態と同様の作用効果に加え、気泡を排出する排出流路47によって、リザーバ43の内部の気泡を外部に排出することができる。
また、排出流路47がリザーバ43における第1面24a側に繋がり、排出流路47がリザーバ43における第1面24a側の面と同等または第1面24a側の面よりも第1面24a側に位置するため、リザーバ43の気泡がスムーズに排出される。
また、排出流路47がフィルタ46のすぐ下流側に位置するため、リザーバ43の気泡がフィルタ46にトラップされても、トラップされた気泡を効率良く回収および排出することができる。
図18および図19を参照して供給部材21下流側の流路構成について説明する。なお、図18および図19においては、2つのリザーバ43a,43bのうち一方(リザーバ43bおよびリザーバ43b周辺の流路)に斜線を付している。図18および図19に示すように、供給部材210は、リザーバ43から下流側の流路において、第2供給流路45aおよび第2供給流路45bが重畳する第1重畳領域AR1を有している。
供給部材210は、リザーバ43から下流側の流路において、分岐流路452aおよび分岐流路452bが重畳する第2重畳領域AR2を有している。
第2重畳領域AR2においては、分岐流路452aを流れる液体Iaと、分岐流路452bを流れる液体Ibとが並流である。また、図示しないが、第2重畳領域AR2において、分岐流路452aを流れる液体Iaと、分岐流路452bを流れる液体Ibとが対向流となるよう構成されてもよい。
供給部材210は、第1端211に位置するリザーバ43aから下流側の流路において、第2接続流路44aおよび分岐流路452bが重畳する第3重畳領域AR3を有している。
また、供給部材210は、第2端212に位置するリザーバ43bから下流側の流路において、第2接続流路44bおよび分岐流路452aが重畳する第4重畳領域AR4を有している。
また、供給部材210は、第1端211に位置するリザーバ43aから下流側の流路において、図19に示すように、供給口40aに繋がる第1供給流路41aおよび第2接続流路44bが重畳する第5重畳領域AR5を有している。
また、供給部材210は、第2端212に位置するリザーバ43bから下流側の流路において、図19に示すように、供給口40bに繋がる第1供給流路41bおよび第2接続流路44aが重畳する第6重畳領域AR6を有している。
このような第2実施形態によれば、上記した第1実施形態と同様、第2供給流路45aおよび第2供給流路45bが重畳する第1重畳領域AR1を有するため、複数系統(2系統)の間で液体同士が互いに熱交換することができる。これにより、リザーバ43a,43bの下流側において液体の温度を均一に近づけることができる。この結果、液体の吐出性能の低下を抑えることができる。
また、第2供給流路45aおよび第2供給流路45bが重畳する第1重畳領域AR1を有することにより、リザーバ43a,43bから下流側において液体の温度を均一に近づけることができるため、リザーバ43a,43bを重畳させる必要がない。これにより、供給部材21の第3方向Zの厚みが大きくなりにくい。
また、第2重畳領域AR2を有するため、上記同様、複数系統(2系統)の間で液体同士が互いに熱交換することができ、液体の温度を均一に近づけることができる。
また、分岐流路452aを流れる液体Iaおよび分岐流路452bを流れる液体Ibが並流であるため、2つの分岐流路452a,452bを流れる液体Ia,Ibは熱交換しながら同じ方向に向かい、液体Ia,Ibの温度をより均一に近づけることができる。
また、分岐流路452aを流れる液体Iaおよび分岐流路452bを流れる液体Ibが対向流であっても、並流の場合と同様、2つの分岐流路452a,452bを流れる液体Ia,Ibは熱交換しながら流れ、液体Ia,Ibの温度をより均一に近づけることができる。
また、第3重畳領域AR3を有することで、第2接続流路44aを流れる液体を、分岐流路452bを流れる液体の温度で予備加熱することができる。これにより、液体の温度をより均一に近づけることができる。
また、第4重畳領域AR4を有することで、第2接続流路44bを流れる液体を、分岐流路452aを流れる液体の温度で予備加熱することができる。これにより、液体の温度をより均一に近づけることができる。
また、第5重畳領域AR5を有することで、第1供給流路41aを流れる液体を、第2接続流路44bを流れる液体の温度で予備加熱することができ、液体の温度をより均一に近づけることができる。
さらに、第6重畳領域AR6を有することで、第1供給流路41bを流れる液体を、第2接続流路44aを流れる液体の温度で予備加熱することができ、液体の温度をより均一に近づけることができる。
また、実施形態に係る記録装置(プリンタ1)は、上記した液体吐出ヘッド8と、記録媒体(印刷用紙P)を液体吐出ヘッド8に搬送する搬送部(搬送ローラ6)と、液体吐出ヘッド8を制御する制御部14とを備える。これにより、リザーバ43に対する液体の供給不良を抑えることができる。また、液体の吐出性能の低下を抑えることができる。
また、実施形態に係る記録装置(プリンタ1)は、上記した液体吐出ヘッド8と、記録媒体(印刷用紙P)にコーティング剤を塗布する塗布機4と、を備える。これにより、プリンタ1の印刷品質を向上させることができる。
また、実施形態に係る記録装置(プリンタ1)は、上記した液体吐出ヘッド8と、記録媒体(印刷用紙P)を乾燥させる乾燥機10と、を備える。これにより、回収ローラ13において、重なって巻き取られる印刷用紙P同士が接着したり、未乾燥の液体が擦れたりするのを抑制することができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。