JP7153459B2 - 粘着剤層、粘着剤層付片保護偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法 - Google Patents

粘着剤層、粘着剤層付片保護偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7153459B2
JP7153459B2 JP2018063036A JP2018063036A JP7153459B2 JP 7153459 B2 JP7153459 B2 JP 7153459B2 JP 2018063036 A JP2018063036 A JP 2018063036A JP 2018063036 A JP2018063036 A JP 2018063036A JP 7153459 B2 JP7153459 B2 JP 7153459B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adhesive layer
pressure
sensitive adhesive
polarizing film
meth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018063036A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019172839A (ja
Inventor
有 森本
雄祐 外山
雅人 藤田
卓 江原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2018063036A priority Critical patent/JP7153459B2/ja
Priority to PCT/JP2018/013242 priority patent/WO2018181715A1/ja
Priority to KR1020197024031A priority patent/KR102460885B1/ko
Priority to TW107111034A priority patent/TWI756400B/zh
Priority to CN201880015688.7A priority patent/CN110382648B/zh
Publication of JP2019172839A publication Critical patent/JP2019172839A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7153459B2 publication Critical patent/JP7153459B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)

Description

本発明は、粘着剤層、及び当該粘着剤層を有する粘着剤層付片保護偏光フィルムに関する。前記粘着剤層付片保護偏光フィルムはこれ単独で、またはこれを積層した光学フィルムとして液晶表示装置(LCD)、有機EL表示装置などの画像表示装置を形成しうる。
液晶表示装置には、その画像形成方式から液晶パネル表面を形成するガラス基板の両側に偏光フィルムを配置することが必要不可欠である。偏光フィルムは、一般的には、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素等の二色性材料からなる偏光子の片面または両面に、保護フィルムをポリビニルアルコール系接着剤等により貼り合わせたものが用いられている。
前記偏光フィルムを液晶セル等に貼着する際には、通常、粘着剤が使用される。また、偏光フィルムを瞬時に固定できること、偏光フィルムを固着させるのに乾燥工程を必要としないこと等のメリットを有することから、粘着剤は、偏光フィルムの片面に予め粘着剤層として設けられている。即ち、偏光フィルムの貼着には粘着剤層付片保護偏光フィルムが一般的に用いられる。
また、偏光フィルムや粘着剤層付片保護偏光フィルムは、熱衝撃(例えば、-30℃と80℃の温度条件を繰り返すヒートショック試験や100℃の高温下試験)の過酷な環境下では偏光子の収縮応力の変化によって、偏光子の吸収軸方向の全体にクラック(貫通クラック)が生じやすい問題がある。即ち、粘着剤層付片保護偏光フィルムは、前記過酷な環境下における熱衝撃による耐久性が十分ではなかった。特に、薄型化の観点から、偏光子の片面にのみ保護フィルムを設けた片保護偏光フィルムを用いた粘着剤層付片保護偏光フィルムでは、前記熱衝撃による耐久性が不十分であった。また、前記熱衝撃により生じる貫通クラックは、偏光フィルムのサイズが大きくなった場合に発生しやすいものであった。
例えば、高温環境での高耐久性を付与するために、粘着剤層付片保護偏光フィルムの粘着剤層として、23℃における貯蔵弾性率が0.2~10MPaであり、かつ厚みが2μm以上25μm未満のものを用いることが提案されている(特許文献1)。また、高温環境下でも良好な耐久性を付与するために、偏光子の片面に感圧接着剤層が設けられ、偏光子の他面には透明樹脂フィルムからなる保護層が設けられている偏光板において、前記感圧接着剤層として、23~80℃の温度範囲において0.15~1MPaの貯蔵弾性率を示すものを用いることが提案されている(特許文献2)。また、前記貫通クラックの発生の抑制のために、粘着剤層付片保護偏光フィルムの粘着剤層として、偏光子の吸収軸と直交する方向の収縮力を小さく制御し、かつ、粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率が0.20MPa以上のものを用いることが提案されている(特許文献3)。また、薄型化は偏光子についても行われており、例えば、単体透過率、偏光度の光学特性を制御した、高い配向性を示す薄型偏光子が提案されている(特許文献4)。
しかし、特許文献1では耐久性を満足したとしても、偏光子の厚みが25μmと大きいために、偏光子の収縮応力による貫通クラックの発生を防ぐことができていない。また、特許文献1~3では、粘着剤層付片保護偏光フィルムの耐久性を向上させることを課題としているため、偏光子に用いるホウ酸が比較的に多い。偏光子に含まれるホウ酸が特定の数値よりも多い場合には、加熱時にホウ酸による架橋が促進され、偏光子の収縮応力が大きくなるため、貫通クラックの発生を抑制する観点からは好ましくないことも分かった。即ち、特許文献1~3では粘着剤層の貯蔵弾性率の制御によって、貫通クラックはある程度は防ぐことができるものの、十分に貫通クラックの発生を抑制できているとは言えなかった。
一方、薄型化は偏光子についても行われている。粘着剤層付片保護偏光フィルムに用いる偏光子を薄くした場合には、偏光子の収縮応力の変化が小さくなる。そのため、薄型化した偏光子によれば、前記貫通クラックの発生を抑制することができることが分かった。
しかし、前記貫通クラックの発生が抑制された粘着剤層付片保護偏光フィルムにおいて、特許文献4のように光学特性を制御し、かつ偏光子を薄くした場合(例えば、厚み12μm以下にした場合)には、粘着剤層付片保護偏光フィルムに機械衝撃が負荷されたとき(偏光子側に凸折れによる負荷がかかる場合を含む)に、偏光子の吸収軸方向に部分的に極細のスリット(以下、ナノスリットともいう)が発生することが分かった。前記ナノスリットは、偏光フィルムのサイズに無関係に生じることも分かった。さらには、前記ナノスリットは、偏光子の両面に保護フィルムを有する両保護偏光フィルムを用いた場合には生じないことも分かった。また、偏光子に貫通クラックが生じた場合には、貫通クラックの周辺の応力が解放されるため、貫通クラックは隣接して生じることはないが、ナノスリットは単独で生じる他に、隣接して生じることが分かった。また、貫通クラックは、クラックが生じた偏光子の吸収軸方向に伸びる進行性を有しているが、ナノスリットは前記進行性のないことも分かった。このように、前記ナノスリットは、貫通クラックの発生が抑制された片保護偏光フィルムにおいて、偏光子を薄く、かつ、光学特性を所定の範囲に制御した場合に生じる新たな課題であり、従来知られていた前記貫通クラックとは異なる現象により生じる課題であることが分かった。
また、前記ナノスリットは極細であるため、通常の環境下では検出できない。従って、仮に、偏光子にナノスリットが発生していたとしても、粘着剤層付片保護偏光フィルムの光抜けによる欠陥を確認することは一見したのみでは困難である。すなわち、通常、片保護偏光フィルムは長尺フィルム状に作製され、自動的光学検査にて欠陥検査されるが、この欠陥検査でナノスリットを欠陥として検出することが困難である。前記ナノスリットによる欠陥は、粘着剤層付片保護偏光フィルムが画像表示パネルのガラス基板等に貼り合わされたうえで加熱環境下におかれた場合に、ナノスリットが幅方向に広がることで検出可能(例えば、前記光抜けの有無)になることも分かった。
よって、薄型偏光子を用いた粘着剤層付片保護偏光フィルムにおいては、貫通クラックだけでなく、ナノスリットによる欠陥も抑制しておくことが望まれる。さらには粘着剤層付片保護偏光フィルムにおいては、両側に保護フィルムを有する両保護構成の偏光フィルムと比較して薄いため取り扱い時に偏光フィルムに折れや破断が発生しやすい。
前記ナノスリットによる欠陥を抑制するために、粘着剤層付片保護偏光フィルムの偏光子と粘着剤層との間に透明層(コーティング層)を設ける技術が提案されている(特許文献5)。透明層を設けることにより、前記偏光フィルムに外部応力が加わった時に前記偏光フィルムが撓みにくくなるため、ナノスリットの発生を抑制することができる。
また、液晶表示装置の製造時、粘着剤層付片保護偏光フィルムを液晶セルに貼り付ける際には、粘着剤層付片保護偏光フィルムの粘着剤層から離型フィルムを剥離するが、当該離型フィルムの剥離により静電気が発生する。このようにして発生した静電気は、液晶表示装置内部の液晶の配向に影響を与え、不良を招くようになる。また、液晶表示装置の使用時に静電気による表示ムラが生じる場合がある。静電気の発生は、例えば、偏光フィルムの外面に帯電防止層を形成することにより抑えることができるが、その効果は少なく、静電気発生を根本的に防止できないという問題点がある。そのため、静電気発生の根本的な位置で発生を抑えるためには、粘着剤層に帯電防止機能を付与することが求められる。粘着剤層に帯電防止機能を付与する手段として、例えば、粘着剤層を形成する粘着剤に、イオン性化合物を配合することが提案されている(特許文献6~8)。詳しくは、特許文献6では、アルカリ金属塩及び/又は有機カチオン-アニオン塩を配合した光学フィルム用粘着剤組成物が提案されている。特許文献7では、粘着剤層付偏光フィルムの粘着剤層の原料として、オニウム-アニオン塩およびアルカリ金属塩を含有する粘着剤組成物が提案されている。特許文献8では、粘着型偏光板の粘着剤層の原料として、アルカリ金属塩を含有する粘着剤組成物が提案されている。
特開2010-44211号公報 特開2008-197309号公報 特開2013-72951号公報 特許第4751481号明細書 特許第6077618号明細書 特開2015-199942号公報 特開2014-48497号公報 特開2012-247574号公報
しかし、粘着剤層付片保護偏光フィルムの粘着剤層にイオン性化合物を配合した場合には、粘着剤層付片保護偏光フィルムを加湿環境下に曝すと、粘着剤層の帯電防止機能が低下したり、偏光子が劣化して、いわゆる色抜けが生じ、偏光度が低下する等の問題がある。
また、液晶パネル表面を形成するガラス基板等に粘着剤層付片保護偏光フィルムを貼り合せる際に、異物や気泡が混入して貼り合せミスが生じた場合には、前記偏光フィルムをガラス基板等から剥離する必要がある。薄型偏光子を用いた粘着剤層付片保護偏光フィルムは、偏光子が薄く、さらに保護フィルムが偏光子の片面にしか設けられていないため、全体の厚みが非常に薄い。そのため、従来の薄型偏光子を用いた粘着剤層付片保護偏光フィルムは、ガラス基板等から剥離する際に破断しやすいという問題がある。
本発明は、ナノスリットによる欠陥を抑制することができ、さらに帯電防止機能及びリワーク性に優れる粘着剤層、ならびに当該粘着剤層を有する粘着剤層付片保護偏光フィルムを提供することを目的とする。
また本発明は、前記粘着剤層付片保護偏光フィルムを有する画像表示装置、及びその連続製造方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは、鋭意検討の結果、下記の粘着剤層により上記課題を解決し得ることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、ベースポリマーとして(メタ)アクリル系ポリマーを含有する粘着剤層であって、
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、アルキル基の炭素数が2~12であるアルキル(メタ)アクリレート、及びメチル(メタ)アクリレートを含有し、
前記粘着剤層は、下記式(1)を満たすことを特徴とする粘着剤層、に関する。
Figure 0007153459000001
Abs(a):前記粘着剤層の全反射測定法によるIR測定において、メチル(メタ)アクリレートのC-O-C結合の逆対称伸縮振動に由来するピーク吸光度
Abs(b):前記粘着剤層の全反射測定法によるIR測定において、前記アルキル(メタ)アクリレートのC-O-C結合の逆対称伸縮振動に由来するピーク吸光度
Abs(c):前記粘着剤層の全反射測定法によるIR測定において、800~900cm-1の範囲における最も低い吸光度
本発明者らは、偏光フィルムに設ける粘着剤層の材料と、ナノスリットの発生数、帯電防止機能及びリワーク性との関係について鋭意検討を重ねた結果、上記式(1)を満たす粘着剤層は、ナノスリットによる欠陥を効果的に抑制することができ、さらに帯電防止機能及びリワーク性に優れるものであることを見出した。詳しくは、粘着剤層の材料である(メタ)アクリル系ポリマーの共重合モノマーとしてメチル(メタ)アクリレートを用いることにより、粘着剤層を高弾性化することができる。それにより、偏光子にナノスリットが発生しにくくなる。そして、メチル(メタ)アクリレートの含有量が多ければ多いほど粘着剤層はより高弾性化するため、偏光子にナノスリットがより発生しにくくなる。しかし、メチル(メタ)アクリレートは(メタ)アクリル系ポリマーの凝集力を高めるため、メチル(メタ)アクリレートの含有量が多ければ多いほど粘着剤層の粘着力はより高くなり、リワーク性が悪化する。また、メチル(メタ)アクリレートの含有量が多ければ多いほど、(メタ)アクリル系ポリマーの立体障害によって帯電防止剤の動きが抑制されるため、粘着剤層の帯電防止機能は低下する。前記のように、本発明者らは、(メタ)アクリル系ポリマーの共重合モノマーであるメチル(メタ)アクリレートの含有量が、ナノスリットの発生数、粘着剤層の帯電防止機能及びリワーク性に大きな影響を与えていると考えた。そして、本発明者らは、粘着剤層の全反射測定法(Attenuated Total Reflection、ATR法)によるIR測定において、アルキル基の炭素数が2~12であるアルキル(メタ)アクリレートのC-O-C結合の逆対称伸縮振動に由来するピーク吸光度に対する、メチル(メタ)アクリレートのC-O-C結合の逆対称伸縮振動に由来するピーク吸光度が0.30以上0.48未満である粘着剤層は、ナノスリットによる欠陥を効果的に抑制することができ、さらに優れた帯電防止機能及びリワーク性を両立できることを見出した。
前記粘着剤層は、アルカリ金属塩を含有することが好ましく、また、リワーク向上剤を含有することが好ましい。
また、前記粘着剤層は、厚みが25μm以下であることが好ましい。
また、本発明は、偏光子の片面にのみ保護フィルムを有する片保護偏光フィルムおよび前記片保護偏光フィルムの偏光子側に直接またはコーティング層を介して前記粘着剤層を有する粘着剤層付片保護偏光フィルム、に関する。
前記偏光子は、厚みが12μm以下であることが好ましい。
また、前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有し、かつ、単体透過率T及び偏光度Pによって表される光学特性が、下記式
P>-(100.929T-42.4-1)×100(ただし、T<42.3)、又は、
P≧99.9(ただし、T≧42.3)の条件を満足するように構成されたものであることが好ましい。
また、前記偏光子は、偏光子全量に対してホウ酸を25重量%以下で含有することが好ましい。
前記粘着剤層付片保護偏光フィルムの粘着剤層にはセパレータを設けることができる。セパレータが設けられた粘着剤層付片保護偏光フィルムは巻回体として用いることができる。
また、本発明は、前記粘着剤層付片保護偏光フィルムを有する画像表示装置、に関する。
また、本発明は、前記粘着剤層付片保護偏光フィルムの巻回体から繰り出され、前記セパレータにより搬送された前記粘着剤層付片保護偏光フィルムを、前記粘着剤層を介して画像表示パネルの表面に連続的に貼り合せる工程を含む画像表示装置の連続製造方法、に関する。
本発明の粘着剤層付片保護偏光フィルムは、前記粘着剤層を有しているため、コーティング層を設けなくてもナノスリットの発生を効果的に抑制することができる。また、本発明の粘着剤層付片保護偏光フィルムは、コーティング層を設ける工程を省略することができるため、コーティング層を設けた従来のものと比べて生産性を向上させることができる。また、本発明の粘着剤層付片保護偏光フィルムは、帯電防止機能に優れるため、色抜けが生じにくい。また、本発明の粘着剤層付片保護偏光フィルムは、リワーク性に優れるため、薄型偏光子を用いた場合であっても、前記偏光フィルムをガラス基板等から破断することなく剥離することができる。
本発明の粘着剤層付片保護偏光フィルムの概略断面図の一例である。 偏光子に生じるナノスリットと貫通クラックを対比する概念図の一例である。 実施例および比較例のナノスリットに係る評価項目を説明する概略図である。 実施例および比較例の評価に係るナノスリットにより生じるクラックを示す写真の一例である。 画像表示装置の連続製造システムの概略断面図の一例である。
以下に本発明の粘着剤層付片保護偏光フィルムを、図1を参照しながら説明する。本発明の粘着剤層付片保護偏光フィルム11は、例えば、片保護偏光フィルム10および粘着剤層4を有する。粘着剤層4は、本発明に係る粘着剤層である。片保護偏光フィルム10は、図1に示すように、偏光子1の片面にのみ保護フィルム2を有する。偏光子1と保護フィルム2とは接着剤層3(その他、粘着剤層、下塗り層(プライマー層)などの介在層)を介して積層されている。なお、図示していないが、片保護偏光フィルム10は、保護フィルム2に易接着層を設けたり活性化処理を施したりして、当該易接着層と接着剤層を積層することができる。また図示していないが、保護フィルム2は複数設けることができる。複数の保護フィルム2は接着剤層3(その他、粘着剤層、下塗り層(プライマー層)などの介在層)により積層することができる。
また、図1に示すように、本発明の粘着剤層付片保護偏光フィルム11における粘着剤層4は、片保護偏光フィルム10の偏光子1の側に設けられる。また図示していないが、偏光子1と粘着剤層4との間にコーティング層を設けてもよい。前記コーティング層は特に制限されず、例えば、特許第6077618号明細書等に記載されている公知の透明層等を適用することができる。なお、本発明の粘着剤層付片保護偏光フィルム11の粘着剤層4にはセパレータ5を設けることができ、その反対側には、表面保護フィルム6を設けることができる。図1の粘着剤層付片保護偏光フィルム11では、セパレータ5および表面保護フィルム6がいずれも設けられている場合が示されている。少なくともセパレータ5を有する粘着剤層付片保護偏光フィルム11(さらには、表面保護フィルム6を有するもの)は巻回体として用いることができ、後述するように、例えば、巻回体から繰り出され、セパレータ5により搬送された粘着剤層付片保護偏光フィルム11を、粘着剤層4を介して画像表示パネルの表面に貼り合せる方式(以下、「ロール・トゥ・パネル方式」ともいう。代表的には、特許第4406043号明細書)への適用に有利である。図1に記載の粘着剤層付片保護偏光フィルムは、貼り合せ後の表示パネルの反り抑制、ナノスリットの発生抑制等の観点から好ましく用いられる。
図2は、偏光子に生じるナノスリットaと貫通クラックbを対比する概念図である。図2(A)には、偏光子1に生じるナノスリットaが、図2(B)には、偏光子1に生じる貫通クラックbが示されている。ナノスリットaは、機械衝撃により発生し、偏光子1の吸収軸方向に部分的に発生する、ナノスリットaは、発生した当初は確認できないが、熱環境下(例えば、80℃や60℃,90%RH)において、幅方向への広がりによって確認することができる。一方、ナノスリットaは偏光子の吸収軸方向に伸びる進行性は有しないと考えられる。また、前記ナノスリットaは、偏光フィルムのサイズに無関係に生じると考えられる。ナノスリットaは単独で生じる他に、隣接して生じることもある。一方、貫通クラックbは、熱衝撃(例えば、ヒートショック試験)により生じる。貫通クラックは、クラックが生じた偏光子の吸収軸方向に伸びる進行性を有している。貫通クラックbが発生した場合には周辺の応力が解放されるため、貫通クラックは隣接して生じることはない。
<偏光子>
本発明において、偏光子の厚みは、薄型化および貫通クラックの発生を抑える観点から12μm以下であるのが好ましく、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは8μm以下、より更に好ましくは7μm以下、特に好ましくは6μm以下である。一方、偏光子の厚みは1μm以上であることが好ましい。このような薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため熱衝撃に対する耐久性に優れる。
偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を用いたものが使用される。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3~7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いし、ヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液や水浴中でも延伸することができる。
偏光子はホウ酸を含有していることが延伸安定性や光学耐久性の点から好ましい。また、偏光子に含まれるホウ酸含有量は、貫通クラックおよびナノスリットの発生抑制、拡張抑制の観点から、偏光子全量に対して25重量%以下であるのが好ましく、さらには20重量%以下であるのが好ましく、さらには18重量%以下、さらには16重量%以下であることが好ましい。偏光子に含まれるホウ酸含有量が25重量%を超える場合には、偏光子の厚みを薄く(例えば厚み12μm以下)した場合であっても偏光子の収縮応力が高まり貫通クラックが発生しやすくなるため好ましくない。一方、偏光子の延伸安定性や光学耐久性の観点から、偏光子全量に対するホウ酸含有量は10重量%以上であることが好ましく、さらには12重量%以上であることが好ましい。
薄型の偏光子としては、代表的には、
特許第4751486号明細書、
特許第4751481号明細書、
特許第4815544号明細書、
特許第5048120号明細書、
特許第5587517号明細書、
国際公開第2014/077599号パンフレット、
国際公開第2014/077636号パンフレット、
等に記載されている薄型偏光子またはこれらに記載の製造方法から得られる薄型偏光子を挙げることができる。
前記偏光子は、単体透過率T及び偏光度Pによって表される光学特性が、次式
P>-(100.929T-42.4-1)×100(ただし、T<42.3)、又は、
P≧99.9(ただし、T≧42.3)の条件を満足するように構成されていることが好ましい。前記条件を満足するように構成された偏光子は、一義的には、大型表示素子を用いた液晶テレビ用のディスプレイとして求められる性能を有する。具体的にはコントラスト比1000:1以上かつ最大輝度500cd/m以上である。他の用途としては、例えば有機EL表示装置の視認側に貼り合される。
一方、前記条件を満足するように構成された偏光子は、構成する高分子(例えばポリビニルアルコール系分子)が高い配向性を示すため、薄型(例えば厚み12μm以下)であることと相俟って、偏光子の吸収軸方向に直交する方向の引張破断応力が顕著に小さくなる。その結果、例えば、偏光フィルムの製造過程において当該引張破断応力を超える機械的衝撃に晒された際に、ナノスリットが偏光子の吸収軸方向に生じる可能性が極めて高い。よって、本発明は、当該偏光子を採用した片保護偏光フィルム(またはそれを用いた粘着剤層付片保護偏光フィルム)に特に好適である。
前記薄型偏光子としては、積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法の中でも、高倍率に延伸できて偏光性能を向上させることのできる点で、特許第4751486号明細書、特許第4751481号明細書、特許4815544号明細書に記載のあるようなホウ酸水溶液中で延伸する工程を含む製法で得られるものが好ましく、特に特許第4751481号明細書、特許4815544号明細書に記載のあるホウ酸水溶液中で延伸する前に補助的に空中延伸する工程を含む製法により得られるものが好ましい。これら薄型偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂ともいう)層と延伸用樹脂基材を積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法によって得ることができる。この製法であれば、PVA系樹脂層が薄くても、延伸用樹脂基材に支持されていることにより延伸による破断などの不具合なく延伸することが可能となる。
<保護フィルム>
前記保護フィルムを構成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または上記ポリマーのブレンド物なども上記保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。
なお、保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などがあげられる。保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50~100重量%、より好ましくは50~99重量%、さらに好ましくは60~98重量%、特に好ましくは70~97重量%である。保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。
前記保護フィルムとしては、位相差フィルム、輝度向上フィルム、拡散フィルム等も用いることができる。位相差フィルムとしては、正面位相差が40nm以上および/または、厚み方向位相差が80nm以上の位相差を有するものが挙げられる。正面位相差は、通常、40~200nmの範囲に、厚み方向位相差は、通常、80~300nmの範囲に制御される。保護フィルムとして位相差フィルムを用いる場合には、当該位相差フィルムが偏光子保護フィルムとしても機能するため、薄型化を図ることができる。
位相差フィルムとしては、熱可塑性樹脂フィルムを一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルムが挙げられる。上記延伸の温度、延伸倍率等は、位相差値、フィルムの材料、厚みにより適宜に設定される。
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1~500μm程度である。特に1~300μmが好ましく、5~200μmがより好ましく、さらには、5~150μm、特に、5~80μmの薄型の場合に特に好適である。
前記保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層、反射防止層、スティッキング防止層、拡散層ないしアンチグレア層などの機能層を設けることができる。なお、上記ハードコート層、反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層などの機能層は、保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途、保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
<介在層>
前記保護フィルムと偏光子は接着剤層、粘着剤層、下塗り層(プライマー層)などの介在層を介して積層される。この際、介在層により両者を空気間隙なく積層することが望ましい。前記保護フィルムと偏光子は接着剤層を介して積層するのが好ましい。
接着剤層は接着剤により形成される。接着剤の種類は特に制限されず、種々のものを用いることができる。前記接着剤層は光学的に透明であれば特に制限されず、接着剤としては、水系、溶剤系、ホットメルト系、活性エネルギー線硬化型等の各種形態のものが用いられるが、水系接着剤または活性エネルギー線硬化型接着剤が好適である。
水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等を例示できる。水系接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、通常、0.5~60重量%の固形分を含有してなる。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、電子線、紫外線(ラジカル硬化型、カチオン硬化型)等の活性エネルギー線により硬化が進行する接着剤であり、例えば、電子線硬化型、紫外線硬化型の態様で用いることができる。活性エネルギー線硬化型接着剤は、例えば、光ラジカル硬化型接着剤を用いることができる。光ラジカル硬化型の活性エネルギー線硬化型接着剤を、紫外線硬化型として用いる場合には、当該接着剤は、ラジカル重合性化合物および光重合開始剤を含有する。
接着剤の塗工方式は、接着剤の粘度や目的とする厚みによって適宜に選択される。塗工方式の例として、例えば、リバースコーター、グラビアコーター(ダイレクト,リバースやオフセット)、バーリバースコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター、ロッドコーター等が挙げられる。その他、塗工には、デイッピング方式などの方式を適宜に使用することができる。
また、前記接着剤の塗工は、水系接着剤等を用いる場合には、最終的に形成される接着剤層の厚みが30~300nmになるように行うのが好ましい。前記接着剤層の厚さは、さらに好ましくは60~250nmである。一方、活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる場合には、前記接着剤層の厚みは、0.1~200μmになるよう行うのが好ましい。より好ましくは、0.5~50μm、さらに好ましくは0.5~10μmである。
なお、偏光子と保護フィルムの積層にあたって、保護フィルムと接着剤層の間には、易接着層を設けることができる。易接着層は、例えば、ポリエステル骨格、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格、ポリウレタン骨格、シリコーン系、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格、ポリビニルアルコール骨格などを有する各種樹脂により形成することができる。これらポリマー樹脂は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また易接着層の形成には他の添加剤を加えてもよい。具体的にはさらには粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤などの安定剤などを用いてもよい。
易接着層は、通常、保護フィルムに予め設けておき、当該保護フィルムの易接着層側と偏光子とを接着剤層により積層する。易接着層の形成は、易接着層の形成材を保護フィルム上に、公知の技術により塗工、乾燥することにより行われる。易接着層の形成材は、乾燥後の厚み、塗工の円滑性などを考慮して適当な濃度に希釈した溶液として、通常調整される。易接着層は乾燥後の厚みは、好ましくは0.01~5μm、さらに好ましくは0.02~2μm、さらに好ましくは0.05~1μmである。なお、易接着層は複数層設けることができるが、この場合にも、易接着層の総厚みは上記範囲になるようにするのが好ましい。
粘着剤層は、粘着剤から形成される。粘着剤としては各種の粘着剤を用いることができ、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などが挙げられる。前記粘着剤の種類に応じて粘着性のベースポリマーが選択される。前記粘着剤のなかでも、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れる点から、アクリル系粘着剤が好ましく使用される。
下塗り層(プライマー層)は、偏光子と保護フィルムとの密着性を向上させるために形成される。プライマー層を構成する材料としては、基材フィルムとポリビニルアルコール系樹脂層との両方にある程度強い密着力を発揮する材料であれば特に限定されない。たとえば、透明性、熱安定性、延伸性などに優れる熱可塑性樹脂などが用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、又はそれらの混合物が挙げられる。
<粘着剤層>
前記片保護偏光フィルムに設けられる本発明の粘着剤層は、ベースポリマーとして(メタ)アクリル系ポリマーを含有する。前記(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、アルキル基の炭素数が2~12であるアルキル(メタ)アクリレート、及びメチル(メタ)アクリレートを含有する。そして、本発明の粘着剤層は、下記式(1)を満たすことを特徴とする。なお、前記アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は各種の置換基を有していてもよい。その場合、前記アルキル基の炭素数は、前記置換基の炭素数を含まない。
Figure 0007153459000002
Abs(a):前記粘着剤層の全反射測定法によるIR測定において、メチル(メタ)アクリレートのC-O-C結合の逆対称伸縮振動に由来するピーク吸光度
Abs(b):前記粘着剤層の全反射測定法によるIR測定において、前記アルキル(メタ)アクリレートのC-O-C結合の逆対称伸縮振動に由来するピーク吸光度
Abs(c):前記粘着剤層の全反射測定法によるIR測定において、800~900cm-1の範囲における最も低い吸光度
メチル(メタ)アクリレートのC-O-C結合の逆対称伸縮振動に由来するピークは、1100~1130cm-1の範囲に現れる。また、前記アルキル(メタ)アクリレートのC-O-C結合の逆対称伸縮振動に由来するピークは、1150~1260cm-1の範囲に現れる。
Abs(c)は、800~900cm-1の範囲における最も低い吸光度、つまり、ベースラインの吸光度である。
前記式(1)のIRパラメータ〔(Abs(a)-Abs(c))/(Abs(b)-Abs(c))〕が前記数値範囲外の場合には、粘着剤層のクラック抑制機能、リワーク性、又は帯電防止機能のいずれかの特性が悪くなる。
本発明の粘着剤層の形成には、アクリル系粘着剤を用いる。アクリル系粘着剤は、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるため、粘着剤層の形成材料として好適である。
前記アクリル系粘着剤としては、アルキル基の炭素数が2~12であるアルキル(メタ)アクリレートのモノマーユニットを主骨格とし、かつメチル(メタ)アクリレートのモノマーユニットを含む(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとするものを用いる。前記(メタ)アクリル系ポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で、前記以外の(メタ)アクリレートのモノマーユニットを含んでいてもよい。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
前記アルキル基の炭素数が2~12であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、及びドデシル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、後述する、カルボキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、及びアルコキシアルキル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が2~12である置換アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは単独または組み合わせて使用できる。これらのうち、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ペンチルメタクリレート、n-ヘキシルアクリレート、及び2-エチルヘキシルアクリレートから選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、n-ブチルアクリレートを用いることがより好ましい。なお、2種以上の前記アルキル(メタ)アクリレートを用いる場合、前記式(1)におけるAbs(b)は、各ピーク吸光度の合計値である(ただし、1つのピークで現れることもある。)。
前記式(1)を満たす粘着剤層を得るために、前記(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、前記アルキル基の炭素数が2~12であるアルキル(メタ)アクリレートを70~99重量%含むことが好ましく、より好ましくは75~98重量%であり、さらに好ましくは80~96重量%である。また、前記(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、メチル(メタ)アクリレートを1~15重量%含むことが好ましく、より好ましくは2~12重量%であり、さらに好ましくは4~10重量%である。
前記(メタ)アクリル系ポリマー中には、接着性や耐熱性などの改善を目的に、1種類以上の各種モノマーを共重合により導入することができる。そのような共重合モノマーの具体例としては、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、窒素含有モノマー、及び芳香族基含有モノマー等が挙げられる。
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが挙げられる。これらは単独または組み合わせて使用できる。
水酸基含有モノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレートや(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)-メチルアクリレートなどが挙げられる。これらは単独または組み合わせて使用できる。
窒素含有モノマーとしては、例えば、ラクタム環を有するビニル系モノマー(例えば、N-ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドンなどのビニルピロリドン系モノマー、及びβ-ラクタム環、δ-ラクタム環、及びε-ラクタム環などのラクタム環を有するビニルラクタム系モノマーなど);マレイミド、N-シクロへキシルマレイミド、N-フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N-置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル、3-(3-ピリニジル)プロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ(メタ)アクリレート系モノマー;ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N-ビニルカルボン酸アミド類などが挙げられる。これらは単独または組み合わせて使用できる。
芳香族基含有モノマーとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独または組み合わせて使用できる。
上記モノマーの他に、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマーなどが挙げられる。これらは単独または組み合わせて使用できる。
さらに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、α-メチルスチレン、N-ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2-メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマーなども使用することができる。これらは単独または組み合わせて使用できる。
前記(メタ)アクリル系ポリマーの凝集力を向上させて、前記ナノスリットの発生をより効果的に抑制する観点から、前記カルボキシル基含有モノマー、前記水酸基含有モノマー、及び前記窒素含有モノマーから選択される少なくとも1種の極性モノマーを共重合により前記(メタ)アクリル系ポリマーに導入することが好ましく、より好ましくは前記カルボキシル基含有モノマー、前記水酸基含有モノマー、及び前記窒素含有モノマーを共重合により前記(メタ)アクリル系ポリマーに導入する。前記カルボキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸が好ましい。前記水酸基含有モノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートから選択される1種以上が好ましい。前記窒素含有モノマーは、ラクタム環を有するビニル系モノマーであることが好ましく、より好ましくは前記ビニルピロリドン系モノマーであり、さらに好ましくはN-ビニルピロリドンである。前記窒素含有モノマーを共重合により前記(メタ)アクリル系ポリマーに導入することにより、ナノスリットの発生をより効果的に抑制することができると共に、高温及び/又は高湿時における粘着剤層の耐久性(耐剥がれ性)を向上させることができる。
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、前記カルボキシル基含有モノマーを0.01~2重量%含有することが好ましく、より好ましくは0.05~1重量%であり、さらに好ましくは0.1~0.3重量%である。
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、前記水酸基含有モノマーを0.01~1重量%含有することが好ましく、より好ましくは0.05~1重量%であり、さらに好ましくは0.1~0.5重量%である。
前記(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、前記窒素含有モノマーを0.1~5重量%含有することが好ましく、より好ましくは0.5~3重量%であり、さらに好ましくは1.5~3重量%である。
前記(メタ)アクリル系ポリマーの平均分子量は特に制限されないが、重量平均分子量は、50万~250万程度であるのが好ましい。前記(メタ)アクリル系ポリマーの製造は、各種公知の手法により製造でき、たとえば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等のラジカル重合法を適宜選択できる。ラジカル重合開始剤としては、アゾ系、過酸化物系の各種公知のものを使用できる。反応温度は通常50~80℃程度、反応時間は1~8時間とされる。また、前記製造法の中でも溶液重合法が好ましく、(メタ)アクリル系ポリマーの溶媒としては一般に酢酸エチル、トルエン等が用いられる。
前記粘着剤には架橋剤を配合することができる。架橋剤により、密着性や耐久性を向上でき、また高温での信頼性や粘着剤自体の形状の保持を図ることができる。架橋剤としては、イソシアネート系、エポキシ系、過酸化物系、金属キレート系、オキサゾリン系などを適宜に使用可能である。これら架橋剤は1種を、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート化合物が用いられる。イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマー及びこれらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンなどと付加したアダクト系イソシアネート化合物;イソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、さらには公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどを付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネートなどが挙げられる。
上記イソシアネート系架橋剤は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、ベースポリマー100重量部に対し、前記イソシアネート系架橋剤を0.01~2重量部含有してなることが好ましく、0.02~2重量部含有してなることがより好ましく、0.05~1.5重量部含有してなることがさらに好ましい。凝集力、耐久性試験での剥離の阻止などを考慮して適宜含有させることが可能である。
過酸化物系架橋剤としては、各種過酸化物が用いられる。過酸化物としては、ジ(2‐エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4‐t‐ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ‐sec‐ブチルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t‐へキシルパーオキシピバレート、t‐ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ‐n‐オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3‐テトラメチルブチルパーオキシイソブチレート、1,1,3,3‐テトラメチルブチルパーオキシ2‐エチルヘキサノエート、ジ(4‐メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t‐ブチルパーオキシイソブチレート、などが挙げられる。これらのなかでも、特に架橋反応効率に優れる、ジ(4‐t‐ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、ジラウロイルパーオキシド、ジベンゾイルパーオキシドが好ましく用いられる。
前記過酸化物は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、ベースポリマー100重量部に対し、前記過酸化物0.01~2重量部であり、0.04~1.5重量部含有してなることが好ましく、0.05~1重量部含有してなることがより好ましい。加工性、リワーク性、架橋安定性、剥離性などの調整の為に、この範囲内で適宜選択される。
さらに、前記粘着剤は、シランカップリング剤を含有することできる。シランカップリング剤を用いることにより、耐久性を向上させることができる。シランカップリング剤としては、任意の適切な官能基を有するものを用いることができる。具体的には、官能基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、(メタ)アクリロキシ基、アセトアセチル基、イソシアネート基、スチリル基、ポリスルフィド基等が挙げられる。具体的には、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤;γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのメルカプト基含有シランカップリング剤;p-スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基含有シランカップリング剤;γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤;ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のポリスルフィド基含有シランカップリング剤などが挙げられる。
前記シランカップリング剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、ベースポリマー100重量部に対し、前記シランカップリング剤0.001~5重量部が好ましく、さらには0.01~1重量部が好ましく、さらには0.02~1重量部がより好ましく、さらには0.05~0.6重量部が好ましい。
さらに、前記粘着剤は、リワーク性を向上させる観点から、リワーク向上剤を含有することが好ましい。前記リワーク向上剤は、極性基を有し、ガラス界面に相互作用しやすく、ガラス界面に偏析しやすい化学物質である。前記リワーク向上剤としては、例えば、EO及びPOなどのアルキレンオキシ基を有するジオール、パーフルオロアルキル基を有するオリゴマー、及び反応性シリル基を有するポリエーテル化合物などが挙げられる。前記ポリエーテル化合物は、例えば、特開2010-275522号公報に開示されているものを用いることができる。
前記反応性シリル基を有するポリエーテル化合物としては、例えば、カネカ社製のMSポリマーS203、S303、S810;SILYL EST250、EST280;SAT10、SAT200、SAT220、SAT350、SAT400、旭硝子社製のEXCESTAR S2410、S2420又はS3430等が挙げられる。
リワーク向上剤の含有量は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上、さらに好ましくは0.1重量部以上であり、また、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、さらに好ましくは2重量部以下、よりさらに好ましくは1重量部以下である。リワーク向上剤の含有量が0.001重量部未満の場合には、粘着剤層のリワーク性が向上しにくくなり、10重量部を超えると粘着剤層の粘着特性が低下する傾向にある。
さらに、前記粘着剤は、帯電防止剤を含有することが好ましい。液晶表示装置の製造時、粘着剤層付片保護偏光フィルムを液晶パネルに貼り付ける際には、粘着剤層付片保護偏光フィルムの粘着剤層から離型フィルムを剥離するが、当該離型フィルムの剥離により静電気が発生する。また、液晶パネルに粘着剤層付片保護偏光フィルムを貼り合せる際に、貼り合せミスが生じた場合には、前記偏光フィルムを剥離する必要があるが、当該偏光フィルムの剥離により静電気が発生する。発生した静電気は、液晶表示装置内部の液晶の配向に影響を与え、不良を招くようになる。また、液晶表示装置の使用時に静電気による表示ムラが生じる場合がある。粘着剤に帯電防止剤を添加することにより、粘着剤層付片保護偏光フィルムの粘着剤層に帯電防止機能を付与し、これらの不具合を防止することができる。
前記帯電防止剤は特に制限されず、例えば、オニウム-アニオン塩、及びアルカリ金属塩などのイオン性化合物が挙げられる。イオン性化合物を添加した場合には、粘着剤層の表面にイオン性化合物がブリードアウトすることで効率的に帯電防止機能が発現すると考えられる。一方、偏光子にイオン性化合物が接触することで、偏光度などの光学特性が低下する場合がある。前記光学特性の低下を抑制する観点から、特にアルカリ金属塩を用いることが好ましい。
アルカリ金属塩は、アルカリ金属の有機塩又は無機塩を用いることができる。アルカリ金属塩は1種を単独でまたは複数を併用することができる。
アルカリ金属塩のカチオン部を構成するアルカリ金属イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムの各イオンが挙げられる。これらアルカリ金属イオンのなかでもリチウムイオンが好ましい。
アルカリ金属塩のアニオン部は有機物で構成されていてもよく、無機物で構成されていてもよい。有機塩を構成するアニオン部としては、例えば、CHCOO、CFCOO、CHSO 、CFSO 、(CFSO、(CFSO、CSO 、(CSO、CCOO、(CFSO)(CFCO)NS(CFSO 、PF 、CO 2-、などが用いられる。特に、フッ素原子を含むアニオン部は、イオン解離性の良いイオン化合物が得られることから好ましく用いられる。無機塩を構成するアニオン部としては、Cl、Br、I、AlCl 、AlCl 、BF 、PF 、ClO 、NO 、AsF 、SbF 、NbF 、TaF6-、(CN)、などが用いられる。アニオン部としては、(CFSO、(CSO等の(ペルフルオロアルキルスルホニル)イミドが好ましく、特に(CFSO、で表わされる(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが好ましい。
アルカリ金属の有機塩としては、具体的には、酢酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CSON、Li(CFSOC、KOS(CFSOK、LiOS(CFSOK等が挙げられ、これらのうちLiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CSON、Li(CFSOC等が好ましく、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CSON等のフッ素含有リチウムイミド塩がより好ましく、特に(ペルフルオロアルキルスルホニル)イミドリチウム塩が好ましい。
また、アルカリ金属の無機塩としては、過塩素酸リチウム、ヨウ化リチウムが挙げられる。
粘着剤中のアルカリ金属塩の含有量は、ベースポリマー100重量部に対して、0.001~5重量部が好ましい。前記アルカリ金属塩が0.001重量部未満では、帯電防止性能の向上効果が十分ではない場合がある。前記アルカリ金属塩は、0.01重量部以上が好ましく、さらには0.1重量部以上であるのが好ましい。一方、前記アルカリ金属塩が5重量部より多いと、耐久性が十分ではなくなる場合がある。前記アルカリ金属塩は、3重量部以下が好ましい。
粘着剤層を形成する方法としては、例えば、前記粘着剤を剥離処理したセパレータなどに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を形成した後に、片保護偏光フィルムの偏光子側(図1の態様では偏光子)に転写する方法、または前記粘着剤を塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を前記偏光子側に形成する方法などにより作製される。なお、粘着剤の塗布にあたっては、適宜に、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
粘着剤層の厚さは特に限定されないが、ナノスリットによる欠陥を効果的に抑制し、優れた帯電防止機能及びリワーク性を両立する観点から、好ましくは25μm以下、より好ましくは23μm以下、さらに好ましくは20μm以下であり、また、好ましくは10μm以上、より好ましくは12μm以上、さらに好ましくは15μm以上である。
剥離処理したセパレータとしては、シリコーン剥離ライナーが好ましく用いられる。このようなライナー上に本発明の粘着剤を塗布、乾燥させて粘着剤層を形成する工程において、粘着剤を乾燥させる方法としては、目的に応じて、適宜、適切な方法が採用され得る。好ましくは、上記塗布膜を過熱乾燥する方法が用いられる。加熱乾燥温度は、好ましくは40℃~200℃であり、さらに好ましくは、50℃~180℃であり、特に好ましくは70℃~170℃である。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する粘着剤を得ることができる。
乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、好ましくは5秒~20分、さらに好ましくは5秒~10分、特に好ましくは、10秒~5分である。
粘着剤層の形成方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法があげられる。
前記粘着剤層が露出する場合には、実用に供されるまで剥離処理したシート(セパレータ)で粘着剤層を保護してもよい。
セパレータの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などをあげることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
そのプラスチックフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
前記セパレータの厚みは、通常5~200μm、好ましくは5~100μm程度である。前記セパレータには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、前記セパレータの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理を適宜おこなうことにより、前記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
<表面保護フィルム>
粘着剤層付片保護偏光フィルムには、表面保護フィルムを設けることができる。表面保護フィルムは、通常、基材フィルムおよび粘着剤層を有し、当該粘着剤層を介して偏光子を保護する。
表面保護フィルムの基材フィルムとしては、検査性や管理性などの観点から、等方性を有する又は等方性に近いフィルム材料が選択される。そのフィルム材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂のような透明なポリマーがあげられる。これらのなかでもポリエステル系樹脂が好ましい。基材フィルムは、1種または2種以上のフィルム材料のラミネート体として用いることもでき、また前記フィルムの延伸物を用いることもできる。基材フィルムの厚さは、一般的には、500μm以下、好ましくは10~200μmである。
表面保護フィルムの粘着剤層を形成する粘着剤としては、(メタ)アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとする粘着剤を適宜に選択して用いることができる。透明性、耐候性、耐熱性などの観点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。粘着剤層の厚さ(乾燥膜厚)は、必要とされる粘着力に応じて決定される。通常1~100μm程度、好ましくは5~50μmである。
なお、表面保護フィルムには、基材フィルムにおける粘着剤層を設けた面の反対面に、シリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの低接着性材料により、剥離処理層を設けることができる。
<他の光学層>
本発明の粘着剤層付片保護偏光フィルムは、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4などの波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置などの形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、本発明の粘着剤層付片保護偏光フィルムに更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光フィルムまたは半透過型偏光フィルム、粘着剤層付片保護偏光フィルムに更に位相差板が積層されてなる楕円偏光フィルムまたは円偏光フィルム、粘着剤層付片保護偏光フィルムに更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光フィルム、あるいは粘着剤層付片保護偏光フィルムに更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光フィルムが好ましい。
粘着剤層付片保護偏光フィルムに上記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置などの製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業などに優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着剤層などの適宜な接着手段を用いうる。上記の粘着剤層付片保護偏光フィルムやその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
本発明の粘着剤層付片保護偏光フィルムまたは光学フィルムは液晶表示装置、有機EL表示装置などの各種画像表示装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと粘着剤層付片保護偏光フィルムまたは光学フィルム、及び必要に応じての照明システムなどの構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による、粘着剤層付片保護偏光フィルムまたは光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばIPS型、VA型などの任意なタイプのものを用いうるが、特にIPS型に好適である。
液晶セルの片側又は両側に粘着剤層付片保護偏光フィルムまたは光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による粘着剤層付片保護偏光フィルムまたは光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に粘着剤層付片保護偏光フィルムまたは光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
<画像表示装置の連続製造方法>
上記の画像表示装置は、本発明の粘着剤層付片保護偏光フィルムの巻回体(ロール)から繰り出され、前記セパレータにより搬送された前記粘着剤層付片保護偏光フィルムを、前記粘着剤層を介して画像表示パネルの表面に連続的に貼り合せる工程を含む連続製造方法(ロール・トゥ・パネル方式)にて製造されることが好ましい。本発明の粘着剤層付片保護偏光フィルムは非常に薄いフィルムであるため、シート状に切断(枚葉切断)したうえで画像表示パネルに1枚ずつ貼り合せる方式(「シート・トゥ・パネル方式」ともいう。)によると、シートの搬送や表示パネルへの貼合せ時のハンドリングが難しく、それらの過程で粘着剤層付片保護偏光フィルム(シート)が大きな機械的衝撃(例えば、吸着による撓み等)を受けるリスクが高くなる。このようなリスクを低減するには、例えば基材フィルムの厚みが50μm以上の厚めの表面保護フィルムを用いる等の対策が別途必要となる。一方、ロール・トゥ・パネル方式によれば、粘着剤層付片保護偏光フィルムがシート状に切断(枚葉切断)されることなく、連続状のセパレータによりロールから画像表示パネルまで安定的に搬送され、そのまま画像表示パネルに貼り合わされるため、厚めの表面保護フィルムを用いることなく、上記リスクを大幅に低減することができる。その結果、膜厚と貯蔵弾性率が所定の関係式を満足するように制御した粘着剤層により機械的衝撃を緩和することができることと相まって、ナノスリットの発生が効果的に抑制された画像表示パネルを高速連続生産することができる。
図5は、ロール・トゥ・パネル方式を採用した液晶表示装置の連続製造システムの一例を示す概略図である。液晶表示装置の連続製造システム100は、図5に示すように、液晶表示パネルPを搬送する一連の搬送部X、第1偏光フィルム供給部101a、第1貼合部201a、第2偏光フィルム供給部101b、及び第2貼合部201bを含む。なお、第1粘着剤層付片保護偏光フィルムの巻回体(第1ロール)20a及び第2粘着剤層付片保護偏光フィルムの巻回体(第2ロール)20bとしては、長手方向に吸収軸を有し、かつ図1に記載の態様のものを用いる。
(搬送部)
搬送部Xは、液晶表示パネルPを搬送する。搬送部Xは、複数の搬送ローラおよび吸着プレート等を有して構成される。搬送部Xは、第1貼合部201aと第2貼合部201bとの間に、液晶表示パネルPの搬送方向に対して液晶表示パネルPの長辺と短辺との配置関係を入れ替える配置入替部(例えば、液晶表示パネルPを90°水平回転させる)300を含む。これにより、液晶表示パネルPに対して第1粘着剤層付片保護偏光フィルム21a及び第2粘着剤層付片保護偏光フィルム21bをクロスニコルの関係で貼り合せることができる。
(第1偏光フィルム供給部)
第1偏光フィルム供給部101aは、第1ロール20aから繰り出され、セパレータ5aにより搬送された第1粘着剤層付片保護偏光フィルム(表面保護フィルム付)21aを第1貼合部201aに連続的に供給する。第1偏光フィルム供給部101aは、第1繰出部151a、第1切断部152a、第1剥離部153a、第1巻取部154a、および複数の搬送ローラ部、ダンサーロール等のアキュムレート部等を有する。
第1繰出部151aは、第1ロール20aが設置される繰出軸を有し、第1ロール20aからセパレータ5aが設けられた帯状の粘着剤層付片保護偏光フィルム21aを繰り出す。
第1切断部152aは、カッター、レーザー装置等の切断手段および吸着手段を有する。第1切断部152aは、セパレータ5aを残しつつ帯状の第1粘着剤層付片保護偏光フィルム21aを所定の長さで幅方向に切断する。ただし、第1ロール20aとして、複数の切込線が所定の長さで幅方向に形成された帯状の粘着剤層付片保護偏光フィルム21aがセパレータ5a上に積層されたもの(切り目入りの光学フィルムロール)を用いた場合、第1切断部152aは不要となる(後述する第2切断部152bについても同様)。
第1剥離部153aは、セパレータ5aを内側にして折り返すことで、セパレータ5aから第1粘着剤層付片保護偏光フィルム21aを剥離する。第1剥離部153aとしては、楔型部材、ローラなどが挙げられる。
第1巻取部154aは、第1粘着剤層付片保護偏光フィルム21aが剥離されたセパレータ5aを巻き取る。第1巻取部154aはセパレータ5aを巻き取るためのロールが設置される巻取軸を有する。
(第1貼合部)
第1貼合部201aは、搬送部Xによって搬送された液晶表示パネルPに、第1剥離部153aによって剥離された第1粘着剤層付片保護偏光フィルム21aを、第1粘着剤層付片保護偏光フィルム21aの粘着剤層を介して連続的に貼り合わせる(第1貼合工程)。第1貼合部81は、一対の貼合ローラを有して構成され、貼合ローラの少なくとも一方が駆動ローラで構成される。
(第2偏光フィルム供給部)
第2偏光フィルム供給部101bは、第2ロール20bから繰り出され、セパレータ5bにより搬送された第2粘着剤層付片保護偏光フィルム(表面保護フィルム付)21bを第2貼合部201bに連続的に供給する。第2偏光フィルム供給部101bは、第2繰出部151b、第2切断部152b、第2剥離部153b、第2巻取部154b、および複数の搬送ローラ部、ダンサーロール等のアキュムレート部等を有する。なお、第2繰出部151b、第2切断部152b、第2剥離部153b、第2巻取部154bは、それぞれ第1繰出部151a、第1切断部152a、第1剥離部153a、第1巻取部154aと同様の構成および機能を有する。
(第2貼合部)
第2貼合部201bは、搬送部Xによって搬送された液晶表示パネルPに、第2剥離部153bによって剥離された第2粘着剤層付片保護偏光フィルム21bを、第2粘着剤層付片保護偏光フィルム21bの粘着剤層を介して連続的に貼り合わせる(第2貼合工程)。第2貼合部201bは、一対の貼合ローラを有して構成され、貼合ローラの少なくとも一方が駆動ローラで構成される。
以下に、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下に示した実施例に制限されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。以下に特に規定のない室温放置条件は全て23℃65%RHである。
<片保護偏光フィルムの作製>
(偏光子の作製)
吸水率0.75%、Tg75℃の非晶質のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(厚み:100μm)基材の片面に、コロナ処理を施し、このコロナ処理面に、ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(重合度1200、アセトアセチル変性度4.6%、ケン化度99.0モル%以上、日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を9:1の比で含む水溶液を25℃で塗布および乾燥して、厚み11μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、120℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2.0倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸処理)。
次いで、積層体を、液温30℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴に、偏光板が所定の透過率となるようにヨウ素濃度、浸漬時間を調整しながら浸漬させた。本実施例では、水100重量部に対して、ヨウ素を0.2重量部配合し、ヨウ化カリウムを1.0重量部配合して得られたヨウ素水溶液に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温30℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を3重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合し、ヨウ化カリウムを5重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸処理)。
その後、積層体を液温30℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
以上により、厚み5μm、ホウ酸含有量16%の偏光子を含む光学フィルム積層体を得た。偏光子中のホウ酸含有量は下記方法により測定した。
得られた偏光子について、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)(Perkin Elmer社製、商品名「SPECTRUM2000」)を用いて、偏光を測定光とする全反射減衰分光(ATR)測定によりホウ酸ピーク(665cm-1)の強度および参照ピーク(2941cm-1)の強度を測定した。得られたホウ酸ピーク強度および参照ピーク強度からホウ酸量指数を下記式により算出し、さらに、算出したホウ酸量指数から下記式によりホウ酸含有量(重量%)を決定した。
(ホウ酸量指数)=(ホウ酸ピーク665cm-1の強度)/(参照ピーク2941cm-1の強度)
(ホウ酸含有量(重量%))=(ホウ酸量指数)×5.54+4.1
(透明保護フィルムの作製)
透明保護フィルム:厚み40μmのラクトン環構造を有する(メタ)アクリル樹脂フィルムの易接着処理面にコロナ処理を施して用いた。
(透明保護フィルムに適用する接着剤の作製)
N-ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)40重量部とアクリロイルモルホリン(ACMO)60重量部と光開始剤「IRGACURE 819」(BASF社製)3重量部を混合し、紫外線硬化型接着剤を調製した。
(片保護偏光フィルムの作製)
上記光学フィルム積層体の偏光子の表面に、上記紫外線硬化型接着剤を硬化後の接着剤層の厚みが0.5μmとなるように塗布しながら、上記透明保護フィルムを貼合せたのち、活性エネルギー線として、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。紫外線照射は、ガリウム封入メタルハライドランプ、照射装置:Fusion UV Systems,Inc社製のLight HAMMER10、バルブ:Vバルブ、ピーク照度:1600mW/cm、積算照射量1000/mJ/cm(波長380~440nm)を使用し、紫外線の照度は、Solatell社製のSola-Checkシステムを使用して測定した。次いで、非晶性PET基材を剥離し、薄型偏光子を用いた片保護偏光フィルムを作製した。得られた片保護偏光フィルムを用いて、下記方法により偏光子の単体透過率Tおよび偏光度Pを測定したところ、偏光子の単体透過率Tは42.8%、偏光子の偏光度Pは99.99%であった。
得られた片保護偏光フィルムの偏光子の単体透過率Tおよび偏光度Pを、積分球付き分光透過率測定器(村上色彩技術研究所のDot-3c)を用いて測定した。
なお、偏光度Pは、2枚の同じ片保護偏光フィルムを両者の透過軸が平行となるように重ね合わせた場合の透過率(平行透過率:Tp)および、両者の透過軸が直交するように重ね合わせた場合の透過率(直交透過率:Tc)を以下の式に適用することにより求められるものである。偏光度P(%)={(Tp-Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
各透過率は、グランテラープリズム偏光子を通して得られた完全偏光を100%として、JIS Z8701の2度視野(C光源)により視感度補整したY値で示したものである。
<粘着剤層の形成>
(アクリル系粘着剤Aの調製)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、n-ブチルアクリレート93.82部、メチルメタクリレート4部、N-ビニルピロリドン1.5部、アクリル酸0.2部、及び4-ヒドロキシブチルアクリレート0.48部を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、前記モノマー混合物(固形分)100部に対して、重合開始剤として2,2´-アゾビスイソブチロニトリル0.15部を酢酸エチルと共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を60℃付近に保って7時間重合反応を行った。その後、得られた反応液に、酢酸エチルを加えて、固形分濃度20%に調整した、重量平均分子量130万のアクリル系ポリマーの溶液を調製した。
前記アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、東ソー株式会社製GPC装置(HLC-8220GPC)を用いて測定を行った。測定条件は下記の通りである。
サンプル濃度:0.2質量%(THF溶液)
サンプル注入量:10μl
溶離液:THF
流速:0.6ml/min
測定温度:40℃
カラム:サンプルカラム;TSKguardcolumn SuperHZ-H(1本)+TSKgel SuperHZM-H(2本)
リファレンスカラム;TSKgel SuperH-RC(1本)
検出器:示差屈折計(RI)
重量平均分子量はポリスチレン換算値にて求めた。
調製したアクリル系ポリマー溶液の固形分100部に対して、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(三菱マテリアル電子化成社製)1.5部、エチルメチルピロリジニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(東京化成工業製)1部、イソシアネート系架橋剤(三井化学社製、商品名「タケネートD160N」)0.17部、過酸化物系架橋剤(日本油脂社製、商品名「ナイパーBMT」)0.25部、及びリワーク向上剤(カネカ社製、商品名「SAT10」)0.1部を配合して、アクリル系粘着剤Aを調製した。
(アクリル系粘着剤B~Iの調製)
上記アクリル系粘着剤Aの調製において、モノマーの組成を表1に示すように変え、重合条件を調整したこと以外は同様の方法でアクリル系ポリマーの溶液を調製し、アクリル系粘着剤B~Iを調製した。
(粘着剤層の形成)
次いで、調製したアクリル系粘着剤A~Iを、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータフィルム)の表面に、ファウンテンコータでそれぞれ均一に塗工し、155℃の空気循環式恒温オーブンで1分間乾燥し、各セパレータフィルムの表面に粘着剤層をそれぞれ形成した。
Figure 0007153459000003
表1中の化合物は以下の通りである。
BA:n-ブチルアクリレート
MMA:メチルメタクリレート
NVP:N-ビニルピロリドン
AA:アクリル酸
4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート
LiTFSi:リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(三菱マテリアル電子化成社製)
EMPTFSi:エチルメチルピロリジニウム-ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(東京化成工業製)
SAT10:リワーク向上剤(カネカ社製)
実施例1~11、比較例1及び2
<粘着剤層付片保護偏光フィルムの作製>
作製した片保護偏光フィルムの偏光子側に、作製した粘着剤層をそれぞれ貼り合わせて、粘着剤層付片保護偏光フィルムをそれぞれ作製した。
上記で得られた粘着剤層、粘着剤層付片保護偏光フィルムについて下記の測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
<ピーク吸光度の測定>
得られた粘着剤層付片保護偏光フィルムの粘着剤層面側ついて、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)(Perkin Elmer社製、商品名「FT-IR Spectrometer Frontier」)を用いて、粘着剤中のモノマー成分におけるエステル結合由来の伸縮振動に対し、全反射測定(ATR)により吸光度を測定した。積算回数8回、分解能-4cm-1の条件で測定した。1100~1130cm-1の範囲における吸光度ピークをメチル(メタ)アクリレートのC-O-C結合の逆対称伸縮振動に由来するピーク吸光度Abs(a)とし、1150~1260cm-1の範囲における吸光度ピークをアルキル(メタ)アクリレートのC-O-C結合の逆対称伸縮振動に由来するピーク吸光度Abs(b)とし、800~900cm-1の範囲における最も低い吸光度(ベースライン)を吸光度Abs(c)とした。そして、得られた各吸光度を下記式に代入してIRパラメータを算出した。
Figure 0007153459000004
<ナノスリットの発生抑制:ギターピック試験>
実施例及び比較例で得られた粘着剤層付片保護偏光フィルムを、50mm×150mmのサイズ(吸収軸方向が50mm)に裁断したものをサンプル11とした。サンプル11は、保護フィルム2の側に、下記方法で作製した表面保護フィルム6を貼り合わせて用いた。
(試験用の表面保護フィルム)
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)94質量部、N,N-ジエチルアクリルアミド(DEAA)1質量部、エトキシジエチレングリコールアクリレート(EDE)1質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)4質量部、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部、酢酸エチル150質量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って5時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー溶液(40質量%)を調製した。前記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は57万、ガラス転移温度(Tg)は-68℃であった。
前記アクリル系ポリマー溶液(40質量%)を酢酸エチルで20質量%に希釈し、この溶液500質量部(固形分100質量部)に、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、コロネートHX:C/HX)2質量部(固形分2質量部)、架橋触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(1質量%酢酸エチル溶液)2質量部(固形分0.02質量部)を加えて、混合攪拌を行い、アクリル系粘着剤溶液を調製した。
前記アクリル系粘着剤溶液を、厚さ38μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ポリエステルフィルム)に塗布し、130℃で1分間加熱して、厚さ15μmの粘着剤層を形成して表面保護フィルムを作製した。
次に、図3(A)の概念図、図3(B)の断面図に示すように、サンプル11から離型シート(セパレータ)を剥離し、露出した粘着剤層4を介してガラス板20上に貼り付けた。次いで、サンプル11(表面保護フィルム6側)の中央部に対して、ギターピック(HISTORY社製、型番「HP2H(HARD)」)により荷重200gを掛けて、サンプル11における偏光子1の吸収軸に直交する方向に100mmの距離に50往復の荷重負荷を繰り返した。前記荷重負荷は、1箇所で行った。また、前記荷重負荷は、高速(5m/分)で行った。
次いで、サンプル11を80℃の環境下に1時間放置した後に、下記の基準により、サンプル11の光抜けのクラックの有無を確認した。
◎:0~10個
○:11~30個
×:31個以上
図4は、粘着剤層付片保護偏光フィルム11のギターピック試験における光抜けのクラック(ナノスリットa)の確認の下記指標となるものであり、偏光フィルム表面の顕微鏡の写真の一例である。図4(A)では、ナノスリットaによる光抜けのクラックは確認されていない。一方、図4(B)は、加熱によってナノスリットaによる光抜けのクラックが偏光子の吸収軸方向に3個発生している場合である。図4は、ナノスリットが発生しているサンプルを微分干渉顕微鏡にて観察を行った。サンプルを撮影する際に、ナノスリットが発生しているサンプルの下側(透過光源側)にナノスリットが発生していないサンプルをクロスニコルになるようにセットして透過光にて観察を行った。
<リワーク性の評価>
作製した粘着剤層付片保護偏光フィルムを、32インチに裁断したものをサンプルとした。当該サンプルを無アルカリガラス板にラミネーターを用いて貼り付け、次いで50℃、5atmで15分間オートクレーブ処理して完全に密着させた。その後、リワーク装置を用いて、剥離角度90°、剥離速度300mm/minの条件でリワークした時の粘着力(N/25mm)を測定した。そして、下記基準で評価した。
◎:3(N/25mm)以下
○:3(N/25mm)超6(N/25mm)以下
×:6(N/25mm)超
<帯電防止性の評価>
作製した粘着剤層付片保護偏光フィルムのセパレータフィルムを剥がした後、粘着剤表面の表面抵抗値(Ω/□)を三菱化学アナリテック社製MCP-HT450を用いて測定した。また、作製した粘着剤層付片保護偏光フィルムを100mm×100mmの大きさに切断し、液晶パネルに貼り付けた。このパネルを10000cdの輝度を持つバックライト上に置き、静電気発生装置であるESD(ESD-8012A、SANKI社製)を用いて、15kVの静電気を発生させることで液晶の配向乱れを起こした。その配向不良による表示不良の回復時間(秒)を、瞬間マルチ測光検出器(MCPD-3000、大塚電子(株)製)を用いて測定した。そして、下記基準で評価した。
◎:5秒以内
○:5秒超7秒以下
△:7秒超10秒以下
×:10秒超
Figure 0007153459000005
表2から、実施例1~11の粘着剤層付片保護偏光フィルムは、クラックが発生しにくく、さらにリワーク性及び帯電防止機能に優れることがわかる。一方、比較例1及び2の粘着剤層付片保護偏光フィルムは、クラックの抑制機能、リワーク性、又は帯電防止機能のいずれかの特性が劣ることがわかる。
本発明の粘着剤層付片保護偏光フィルムは、これ単独で、またはこれを積層した光学フィルムとして液晶表示装置(LCD)、有機EL表示装置などの画像表示装置に用いられる。
1 偏光子
2 保護フィルム
3 接着剤層等
4 粘着剤層
5、5a、5b セパレータ
6、6a、6b 表面保護フィルム
10 片保護偏光フィルム
11 粘着剤層付片保護偏光フィルム
20a、20b 粘着剤層付片保護偏光フィルムの巻回体(ロール)
21a、21b 粘着剤層付片保護偏光フィルム(表面保護フィルム付)
100 画像表示装置の連続製造システム
101a、101b 偏光フィルム供給部
151a、151b 繰出部
152a、152b 切断部
153a、153b 剥離部
154a、154b 巻取部
201a、201b 貼合部
300 配置入替部
P 画像表示パネル
X 画像表示パネルの搬送部

Claims (33)

  1. ベースポリマーとして(メタ)アクリル系ポリマーを含有する粘着剤層であって、
    前記(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、アルキル基の炭素数が2~12であるアルキル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、及び窒素含有モノマーを含有し、
    前記粘着剤層は、アルカリ金属塩を含有し、かつ、下記式(1)を満たすことを特徴とする粘着剤層。
    Figure 0007153459000006
    Abs(a):前記粘着剤層の全反射測定法によるIR測定において、メチル(メタ)アクリレートのC-O-C結合の逆対称伸縮振動に由来するピーク吸光度
    Abs(b):前記粘着剤層の全反射測定法によるIR測定において、前記アルキル(メタ)アクリレートのC-O-C結合の逆対称伸縮振動に由来するピーク吸光度
    Abs(c):前記粘着剤層の全反射測定法によるIR測定において、800~900cm-1の範囲における最も低い吸光度
  2. ベースポリマーとして(メタ)アクリル系ポリマーを含有する粘着剤層であって、
    前記(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、アルキル基の炭素数が2~12であるアルキル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、及び窒素含有モノマーを含有し、
    前記粘着剤層は、リワーク向上剤を含有し、かつ、下記式(1)を満たすことを特徴とする粘着剤層。
    Figure 0007153459000007
    Abs(a):前記粘着剤層の全反射測定法によるIR測定において、メチル(メタ)アクリレートのC-O-C結合の逆対称伸縮振動に由来するピーク吸光度
    Abs(b):前記粘着剤層の全反射測定法によるIR測定において、前記アルキル(メタ)アクリレートのC-O-C結合の逆対称伸縮振動に由来するピーク吸光度
    Abs(c):前記粘着剤層の全反射測定法によるIR測定において、800~900cm -1 の範囲における最も低い吸光度
  3. 前記粘着剤層は、リワーク向上剤を含有する請求項1に記載の粘着剤層。
  4. モノマー単位として、前記アルキル(メタ)アクリレートの含有量が、70~98重量%である請求項1~3のいずれかに記載の粘着剤層。
  5. モノマー単位として、前記メチル(メタ)アクリレートの含有量が、1~15重量%である請求項1~4のいずれかに記載の粘着剤層。
  6. モノマー単位として、前記カルボキシル基含有モノマーの含有量が、0.01~2重量%である請求項1~のいずれかに記載の粘着剤層。
  7. モノマー単位として、前記水酸基含有モノマーの含有量が、0.01~1重量%である請求項1~のいずれかに記載の粘着剤層。
  8. モノマー単位として、前記窒素含有モノマーの含有量が、0.1~5重量%である請求項1~のいずれかに記載の粘着剤層。
  9. 前記窒素含有モノマーは、ラクタム環を有するビニル系モノマーである請求項1~のいずれかに記載の粘着剤層。
  10. 前記粘着剤層は、厚みが25μm以下である請求項1~9のいずれかに記載の粘着剤層。
  11. 偏光子の片面にのみ保護フィルムを有する片保護偏光フィルムおよび前記片保護偏光フィルムの偏光子側に直接またはコーティング層を介して請求項1~10のいずれかに記載の粘着剤層を有する粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  12. 前記偏光子は、厚みが12μm以下である請求項11に記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  13. 前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有し、かつ、単体透過率T及び偏光度Pによって表される光学特性が、下記式
    P>-(100.929T-42.4-1)×100(ただし、T<42.3)、又は、
    P≧99.9(ただし、T≧42.3)の条件を満足するように構成されたものである請求項11又は12に記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  14. 前記偏光子は、偏光子全量に対してホウ酸を25重量%以下で含有する請求項11~13のいずれかに記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  15. 前記粘着剤層にセパレータが設けられている請求項11~14のいずれかに記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  16. 巻回体である請求項15に記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  17. 請求項11~14のいずれかに記載の粘着剤層付片保護偏光フィルムを有する画像表示装置。
  18. 請求項16に記載の前記粘着剤層付片保護偏光フィルムの巻回体から繰り出され、前記セパレータにより搬送された前記粘着剤層付片保護偏光フィルムを、前記粘着剤層を介して画像表示パネルの表面に連続的に貼り合せる工程を含む画像表示装置の連続製造方法。
  19. 偏光子の片面にのみ保護フィルムを有する片保護偏光フィルムおよび前記片保護偏光フィルムの偏光子側に直接またはコーティング層を介して、粘着剤層を有する粘着剤層付片保護偏光フィルムであって、
    前記粘着剤層は、ベースポリマーとして(メタ)アクリル系ポリマーを含有し、
    前記(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、アルキル基の炭素数が2~12であるアルキル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマー、及び窒素含有モノマーを含有し、
    前記粘着剤層は、下記式(1)を満たすことを特徴とする粘着剤層付片保護偏光フィルム。
    Figure 0007153459000008
    Abs(a):前記粘着剤層の全反射測定法によるIR測定において、メチル(メタ)アクリレートのC-O-C結合の逆対称伸縮振動に由来するピーク吸光度
    Abs(b):前記粘着剤層の全反射測定法によるIR測定において、前記アルキル(メタ)アクリレートのC-O-C結合の逆対称伸縮振動に由来するピーク吸光度
    Abs(c):前記粘着剤層の全反射測定法によるIR測定において、800~900cm -1 の範囲における最も低い吸光度
  20. モノマー単位として、前記アルキル(メタ)アクリレートの含有量が、70~98重量%である請求項20に記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  21. モノマー単位として、前記メチル(メタ)アクリレートの含有量が、1~15重量%である請求項19又は20に記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  22. モノマー単位として、前記カルボキシル基含有モノマーの含有量が、0.01~2重量%である請求項19~21のいずれかに記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  23. モノマー単位として、前記水酸基含有モノマーの含有量が、0.01~1重量%である請求項19~22のいずれかに記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  24. モノマー単位として、前記窒素含有モノマーの含有量が、0.1~5重量%である請求項19~23のいずれかに記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  25. 前記窒素含有モノマーは、ラクタム環を有するビニル系モノマーである請求項19~24のいずれかに記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  26. 前記粘着剤層は、厚みが25μm以下である請求項19~25のいずれかに記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  27. 前記偏光子は、厚みが12μm以下である請求項19~16のいずれかに記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  28. 前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有し、かつ、単体透過率T及び偏光度Pによって表される光学特性が、下記式
    P>-(10 0.929T-42.4 -1)×100(ただし、T<42.3)、又は、
    P≧99.9(ただし、T≧42.3)の条件を満足するように構成されたものである請求項19~27のいずれかに記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  29. 前記偏光子は、偏光子全量に対してホウ酸を25重量%以下で含有する請求項19~28のいずれかに記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  30. 前記粘着剤層にセパレータが設けられている請求項19~29のいずれかに記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  31. 巻回体である請求項30に記載の粘着剤層付片保護偏光フィルム。
  32. 請求項19~29のいずれかに記載の粘着剤層付片保護偏光フィルムを有する画像表示装置。
  33. 請求項31に記載の前記粘着剤層付片保護偏光フィルムの巻回体から繰り出され、前記セパレータにより搬送された前記粘着剤層付片保護偏光フィルムを、前記粘着剤層を介して画像表示パネルの表面に連続的に貼り合せる工程を含む画像表示装置の連続製造方法。
JP2018063036A 2017-03-29 2018-03-28 粘着剤層、粘着剤層付片保護偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法 Active JP7153459B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018063036A JP7153459B2 (ja) 2018-03-28 2018-03-28 粘着剤層、粘着剤層付片保護偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法
PCT/JP2018/013242 WO2018181715A1 (ja) 2017-03-29 2018-03-29 粘着剤層、粘着剤層付片保護偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法
KR1020197024031A KR102460885B1 (ko) 2017-03-29 2018-03-29 점착제층, 점착제층을 구비한 편보호 편광 필름, 화상 표시 장치 및 그 연속 제조 방법
TW107111034A TWI756400B (zh) 2017-03-29 2018-03-29 黏著劑層、附黏著劑層之單面保護偏光薄膜、影像顯示裝置及其連續製造方法
CN201880015688.7A CN110382648B (zh) 2017-03-29 2018-03-29 粘合剂层、带粘合剂层的单侧保护偏振膜、图像显示装置及其连续制造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018063036A JP7153459B2 (ja) 2018-03-28 2018-03-28 粘着剤層、粘着剤層付片保護偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019172839A JP2019172839A (ja) 2019-10-10
JP7153459B2 true JP7153459B2 (ja) 2022-10-14

Family

ID=68168153

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018063036A Active JP7153459B2 (ja) 2017-03-29 2018-03-28 粘着剤層、粘着剤層付片保護偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7153459B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022027338A (ja) * 2020-07-31 2022-02-10 日東電工株式会社 偏光板および該偏光板の製造方法
WO2022024576A1 (ja) * 2020-07-31 2022-02-03 日東電工株式会社 偏光板および該偏光板の製造方法
WO2023042840A1 (ja) * 2021-09-16 2023-03-23 積水化学工業株式会社 仮保護材

Citations (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010126054A1 (ja) 2009-04-30 2010-11-04 日東電工株式会社 光学フィルム用粘着剤組成物、光学フィルム用粘着剤層、粘着型光学フィルムおよび画像表示装置
JP2011057794A (ja) 2009-09-08 2011-03-24 Nitto Denko Corp 溶剤系光学部材用粘着剤組成物、粘着剤層、および粘着剤付光学部材
JP2012247574A (ja) 2011-05-26 2012-12-13 Nitto Denko Corp 粘着型偏光板および画像表示装置
JP2013007029A (ja) 2011-05-26 2013-01-10 Nitto Denko Corp 光学フィルム用粘着剤組成物、光学フィルム用粘着剤層、粘着剤層付光学フィルムおよび画像表示装置
JP2013104006A (ja) 2011-11-15 2013-05-30 Nitto Denko Corp 粘着シート
JP2013177577A (ja) 2012-02-06 2013-09-09 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 耐熱粘着フィルム用粘着剤組成物、これを架橋させてなる耐熱粘着フィルム用粘着剤、この粘着剤を有するマスキング用耐熱粘着フィルム、およびこの耐熱粘着フィルムの使用方法
JP2014118485A (ja) 2012-12-17 2014-06-30 Fujimori Kogyo Co Ltd 粘着剤層、及び粘着フィルム
JP2014152319A (ja) 2013-02-13 2014-08-25 Lintec Corp 粘着性組成物、粘着剤および粘着シート
JP2015010193A (ja) 2013-06-28 2015-01-19 リンテック株式会社 粘着性組成物、粘着剤および粘着シート
WO2016052549A1 (ja) 2014-09-30 2016-04-07 日東電工株式会社 片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法
JP2016160417A (ja) 2015-03-05 2016-09-05 大王製紙株式会社 粘着シートおよびこれを備える電気電子機器
WO2016157921A1 (ja) 2015-03-31 2016-10-06 リンテック株式会社 表面保護フィルム
JP2017171703A (ja) 2016-03-18 2017-09-28 日本カーバイド工業株式会社 粘着剤組成物及び粘着剤層付偏光板
JP2018053066A (ja) 2016-09-28 2018-04-05 藤森工業株式会社 粘着剤組成物及び粘着フィルム
JP2018169612A (ja) 2017-03-29 2018-11-01 日東電工株式会社 粘着剤層付片保護偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08199148A (ja) * 1995-01-27 1996-08-06 Dainippon Ink & Chem Inc アクリル系粘着剤組成物

Patent Citations (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010126054A1 (ja) 2009-04-30 2010-11-04 日東電工株式会社 光学フィルム用粘着剤組成物、光学フィルム用粘着剤層、粘着型光学フィルムおよび画像表示装置
JP2011057794A (ja) 2009-09-08 2011-03-24 Nitto Denko Corp 溶剤系光学部材用粘着剤組成物、粘着剤層、および粘着剤付光学部材
JP2012247574A (ja) 2011-05-26 2012-12-13 Nitto Denko Corp 粘着型偏光板および画像表示装置
JP2013007029A (ja) 2011-05-26 2013-01-10 Nitto Denko Corp 光学フィルム用粘着剤組成物、光学フィルム用粘着剤層、粘着剤層付光学フィルムおよび画像表示装置
JP2013104006A (ja) 2011-11-15 2013-05-30 Nitto Denko Corp 粘着シート
JP2013177577A (ja) 2012-02-06 2013-09-09 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 耐熱粘着フィルム用粘着剤組成物、これを架橋させてなる耐熱粘着フィルム用粘着剤、この粘着剤を有するマスキング用耐熱粘着フィルム、およびこの耐熱粘着フィルムの使用方法
JP2014118485A (ja) 2012-12-17 2014-06-30 Fujimori Kogyo Co Ltd 粘着剤層、及び粘着フィルム
JP2014152319A (ja) 2013-02-13 2014-08-25 Lintec Corp 粘着性組成物、粘着剤および粘着シート
JP2015010193A (ja) 2013-06-28 2015-01-19 リンテック株式会社 粘着性組成物、粘着剤および粘着シート
WO2016052549A1 (ja) 2014-09-30 2016-04-07 日東電工株式会社 片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法
JP2016160417A (ja) 2015-03-05 2016-09-05 大王製紙株式会社 粘着シートおよびこれを備える電気電子機器
WO2016157921A1 (ja) 2015-03-31 2016-10-06 リンテック株式会社 表面保護フィルム
JP2017171703A (ja) 2016-03-18 2017-09-28 日本カーバイド工業株式会社 粘着剤組成物及び粘着剤層付偏光板
JP2018053066A (ja) 2016-09-28 2018-04-05 藤森工業株式会社 粘着剤組成物及び粘着フィルム
JP2018169612A (ja) 2017-03-29 2018-11-01 日東電工株式会社 粘着剤層付片保護偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019172839A (ja) 2019-10-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6077618B2 (ja) 片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法
US11137522B2 (en) One-side-protected polarizing film, pressure-sensitive-adhesive-layer-attached polarizing film, image display device, and method for continuously producing same
JP7227185B2 (ja) 粘着剤層付片保護偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法
JP2020177243A (ja) 粘着剤層付片保護偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法
JP6763102B2 (ja) 粘着剤層付片保護偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法
JP7153459B2 (ja) 粘着剤層、粘着剤層付片保護偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法
WO2016052531A1 (ja) 片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法
JP7142497B2 (ja) 粘着剤層付片保護偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法
JP6931518B2 (ja) 片保護偏光フィルム、粘着剤層付偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法
CN110382648B (zh) 粘合剂层、带粘合剂层的单侧保护偏振膜、图像显示装置及其连续制造方法
WO2018181014A1 (ja) 粘着剤層付片保護偏光フィルム、画像表示装置およびその連続製造方法
CN110462473B (zh) 带粘合剂层的单侧保护偏振膜、图像显示装置及其连续制造方法
JP7190268B2 (ja) 粘着剤層付偏光フィルム及びその剥離方法、並びに画像表示装置
KR102460885B1 (ko) 점착제층, 점착제층을 구비한 편보호 편광 필름, 화상 표시 장치 및 그 연속 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20211202

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220506

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220630

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220826

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220927

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20221003

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7153459

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150