JP7152206B2 - 運行記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のホイールなどに搭載可能な運行記録装置に関する。
従来より、例えばトラックなどの車両に搭載可能な様々な種類の運行記録装置が開発され実用化および販売されている。
また、例えば特許文献1は、自転車のように電源を搭載していない車両への搭載が可能な車両用ドライブレコーダを示している。特許文献1のドライブレコーダは、交流電力発生器から供給される、人力で回転する車輪の回転に応じて大きさが変動する交流電力を直流電力に変換する直流変換部と、直流電力に基づいて駆動され、車両の周囲を撮影して撮影データを生成する撮影部とを備えている。具体的には、前記交流電力発生器は、自転車の前輪ハブに搭載されているハブダイナモ(発電機:オルタネータ)である。このような自転車用のハブダイナモは、一般に自転車の車体側に固定され、回転部が前輪ハブと連結されて回転運動を電力に変換する。
特開2018-10350号公報
例えばトラックなどの車両に搭載されるデジタルタコグラフなどの車載器を車輪に取り付けることができれば、車体に取り付ける場合と比べて装着やメンテナンスが容易になると考えられる。しかしながら、車輪は高速で回転するので、車輪側に車載器を搭載した場合には、この車載器と車体側との間を電気的に接続するのが困難になる。つまり、車体側から車載器に電源電力を供給したり、車載器から車体側にデータを転送するための配線が難しい。
そこで、上記のような場合には車載器自体にバッテリーを搭載することが想定されるが、バッテリーの交換や充電のために、短い周期で定期的なメンテナンスが必要になる。また、車載器自体に発電機を搭載することも考えられるが、車両が停止しているときには発電も停止することになるため、車載器の動作が停止する。
特許文献1のような自転車用のドライブレコーダであれば、停止しているときにドライブレコーダの動作が停止しても問題はないと考えられる。しかし、トラックなどの車両の場合には、停車中であってもある程度、車両の運行記録や運行管理を継続する必要があるので、発電機を搭載しただけでは上記の問題が解決しない。また、例えば大型のバッテリーを車載器自体に搭載すると、車載器が大型化し重量も増大するので、車輪への取り付けが困難になる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の車輪上に車載器を搭載する場合に、配線や大型のバッテリーの搭載を不要にすると共に、交換や充電などに起因するメンテナンスの必要性を減らし、且つ継続的に動作させることが可能な運行記録装置を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る運行記録装置は、下記(1)~()を特徴としている。
(1) 車両において車輪と共に回動するホイール、又はその近傍の回動部位に装着される車載器として構成される運行記録装置であって、
前記車載器において消費される電力を発電する自立発電部と、
無線信号を利用してデータを送信可能な無線通信部と、
前記車両の運行に関連する情報を収集して記録する情報記録部と、
前記車載器が消費する電源電力を制御する電源制御部と、
を備え、
前記電源制御部は、前記車両の状態に応じて前記車載器が消費する電源電力を制御
振動センサを更に備え、
前記電源制御部は、前記振動センサの検知状態に基づいて、前記車両の発進の有無を識別し、識別結果を省電力に関連する動作モードに反映する、
ことを特徴とする運行記録装置。
(2) 前記電源制御部は、前記車両の発進検知、および停止検知をトリガとして、省電力に関連する動作モードを切り替える、
ことを特徴とする上記(1)に記載の運行記録装置。
(3) 前記自立発電部が発電した電力を蓄電可能な二次電池、を更に備え、
前記電源制御部は、前記自立発電部の発電状態に応じて、省電力に関連する動作モードを切り替える、
ことを特徴とする上記(1)に記載の運行記録装置。
車両において車輪と共に回動するホイール、又はその近傍の回動部位に装着される車載器として構成される運行記録装置であって、
前記車載器において消費される電力を発電する自立発電部と、
無線信号を利用してデータを送信可能な無線通信部と、
前記車両の運行に関連する情報を収集して記録する情報記録部と、
前記車載器が消費する電源電力を制御する電源制御部と、
を備え、
前記電源制御部は、前記車両の状態に応じて前記車載器が消費する電源電力を制御し、
前記車両のフロント側車輪のハブキャップの箇所に取り付け可能な筐体に収容され、前記筐体が防水構造を有する、
ことを特徴とする行記録装置。
上記(1)の構成の運行記録装置によれば、自立発電部を搭載しているので、この車載器の内部に大型のバッテリーなどを搭載する必要がない。また、車載器が消費する電源電力を電源制御部が車両の状態に応じて自動的に制御するので、自立発電部が発電できない状況であっても、小型の蓄電部が保持する電力だけで車載器の動作を維持することが可能になる。
更に、上記(1)の構成の運行記録装置によれば、振動センサの検出状態に基づいて、車両の発進時の変化を容易に検知できる。車両の発進の有無に応じて自立発電部の発電環境が大きく変化するので、車両の発進の有無を動作モードに反映することにより、適切な省電力制御が可能になる。
上記(2)の構成の運行記録装置によれば、車両の発進検知、および停止検知をトリガとして、電源制御部が省電力に関連する動作モードを切り替えるので、高精度の省電力制御が可能になる。すなわち、車両が発進すると自立発電部が発電可能な状態が継続し、車両が停止すると自立発電部が発電できない状態が継続するので、このような状態変化を省電力の動作モード切替に反映すれば、自立発電部が発電できない状態で消費される電力を適切に削減できる。
上記(3)の構成の運行記録装置によれば、車載器が二次電池を搭載しているので、自立発電部が発電した電力で二次電池を充電することができ、自立発電部が発電できない時に、二次電池が蓄積している電力を利用できる。更に、自立発電部の発電状態に応じて、電源制御部が省電力に関連する動作モードを切り替えるので、消費電力を適切に管理できる。例えば、自立発電部が発電できない時には、消費電力を削減することにより、二次電池からの放電を抑制し、車載器が動作可能な時間を長くすることができる。
上記()の構成の運行記録装置によれば、車輪のハブキャップの箇所に取り付けるので、装着が容易であり、メンテナンスも容易になる。また、装飾効果も得られるので商品価値が高くなる。更に、フロント側の車輪に装着することにより、被牽引車(トレーラ)が変わったり荷物が変化した場合でも影響を受けにくい。
本発明の運行記録装置によれば、車両の車輪上に車載器を搭載する場合に、大型のバッテリーの搭載を不要にすると共に、交換や充電などに起因するメンテナンスの必要性を減らし、且つ継続的に動作させることが可能になる。すなわち、自立発電部を搭載しているので、この車載器の内部に大型のバッテリーなどを搭載する必要がない。また、車載器が消費する電源電力を電源制御部が車両の状態に応じて自動的に制御するので、自立発電部が発電できない状況であっても、小型の蓄電部が保持する電力だけで車載器の動作を維持することが可能になる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1(a)はハブキャップ型車載器を取り付ける車両の車輪を示す正面図、図1(b)はハブキャップ型車載器の取り付け部分の外観を示す斜視図である。 図2は、ハブキャップ型車載器の構成例を示すブロック図である。 図3は、ハブキャップ型車載器に内蔵されたダイナモの構成例を示す電気回路図である。 図4は、ハブキャップ型車載器における主要な動作例を示すフローチャートである。 図5は、ハブキャップ型車載器を装着した自動車の運行中の状態変化と動作モードとの関係を示す状態遷移図である。
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
<取り付け部位及び外観>
ハブキャップ型車載器20を取り付ける車両の車輪の例を図1(a)に示す。また、このハブキャップ型車載器20の取り付け部分の外観を図1(b)に示す。
図1(a)および図1(b)に示したハブキャップ型車載器20が本発明の運行記録装置に相当する。このハブキャップ型車載器20の基本的な機能は、一般的なデジタルタコグラフと同様である。例えば、車両の現在位置、車速、移動距離、時間(時刻)など自車両の運行に関連する情報を収集して記録したり出力することができる。
図1(a)に示すように、タイヤホイール11の外周にリング状のタイヤ10が装着されている。タイヤホイール11の中心部は、自動車の車体側に備わっている回転可能なハブ12に図1(b)に示した複数のボルト13で固定され支持される。
一般的なハブキャップ、あるいはホイールセンターキャップと呼ばれる部品は、ハブ12の外側を覆うような形状に構成され、タイヤホイール11の中心部に固定される。図1(a)および図1(b)に示したハブキャップ型車載器20は、一般的なハブキャップの代わりとしてタイヤホイール11の中心部に固定できるように構成されている。
図1(a)および図1(b)に示したハブキャップ型車載器20は、ほぼ円柱形状に形成され防水構造を有する筐体に収容されている。また、ハブキャップ型車載器20は開閉可能なメンテナンス蓋20aを備えている。メンテナンス蓋20aも防水構造である。すなわち、ハブキャップ型車載器20はタイヤホイール11中央部の外側に露出する状態で装着されるので、防水構造にする必要がある。また、メンテナンス蓋20aの部位も外側に露出しているので、メンテナンス蓋20aを利用して外部装置をハブキャップ型車載器20に有線で接続しメンテナンスを容易に行うことができる。
なお、図1(a)および図1(b)に示した例では、ハブキャップ型車載器20をタイヤホイール11の中央部に取り付ける場合を想定しているが、例えばハブキャップ型車載器20をリング状に形成し、これをハブ12の外周に取り付け可能に構成することも考えられる。いずれにしても、ハブキャップ型車載器20は自動車が走行する際に回転する部位に装着する必要がある。
なお、ハブキャップ型車載器20を装着する位置については、自動車の4つ又はそれ以上の車輪の中でフロント側の左右いずれかの車輪とすることが想定される。例えばトラックの車両にハブキャップ型車載器20を装着する場合には、フロント側の車輪は変化する荷物の重量の影響を受けにくいので、より安定したハブキャップ型車載器20の動作が期待できる。
<ハブキャップ型車載器の構成例>
図2は、ハブキャップ型車載器20の構成例を示すブロック図である。
図2に示した例では、ハブキャップ型車載器20の車載器筐体21の中に、CPU22、ジャイロ23、RTC24、二次電池25、電源部26、監視回路27、ダイナモ30、振動感知器31、狭域無線通信部32、GPS受信器33、アンテナ34、35、不揮発性メモリ36、揮発性メモリ37、LED表示部38、およびメンテナンスコネクタ39が収容されている。
CPU22は、マイクロコンピュータの機能を有する集積回路で構成されたデバイスである。このCPU22は、予め用意されているソフトウェアのプログラムを実行することにより、ハブキャップ型車載器20に必要とされる各種機能を実現する。
ダイナモ30は、詳細については後述するが、自車両の車輪の回転に伴って自立発電する機能を有している。ダイナモ30は直流の電源電力を出力する。ダイナモ30が出力する直流の電源電力は、電源部26を経由してCPU22などの内部回路に供給される。電源部26は、CPU22に供給する電源電圧を安定化する機能を有している。
但し、ダイナモ30は車輪の回転に基づいて発電するので、常に安定した電力を生成できるわけではない。そこで、CPU22は、監視回路(A/D変換器など)27を介して例えば電源部26が出力する所定部位の直流電圧を監視し、その結果を制御に反映する。
電源部26と同様に、二次電池25も、CPU22等に対して直流の電源電力を供給することができる。また、ダイナモ30の出力に余剰電力が存在するような状況においては、ダイナモ30の出力又は電源部26の出力から二次電池25に対して充電を行うことができる。本実施形態では車両が走行しているときにはダイナモ30の出力する電力を利用できる。
ジャイロ23は、それ自身の回転による角速度を表す電気信号を出力することができる。本実施形態では、ジャイロ23を支持する車載器筐体21が自動車のタイヤホイール11の中央部などに固定された状態で使用されるので、自車両の車輪が回転すると、その角速度を表す信号をジャイロ23が出力する。
RTC(real-time clock)24は、時計やタイマの機能を内蔵した半導体の集積回路デバイスである。CPU22は、RTC24を制御することにより、現在の日時、曜日などを把握したり、時間の長さを計測することができる。
振動感知器31は、自車両の進行方向の前後方向における振動を振り子などを利用して物理的に感知することが可能なセンサである。具体的には、自車両の発進時における前後方向の加速度に起因する比較的大きな振動や、自車両の停止時における前後方向の加速度に起因する比較的大きな振動を検知することができる。したがって、CPU22は振動感知器31が出力する信号の状態に基づいて、例えば自車両の発進の有無を識別することが可能になる。
狭域無線通信部32は、例えば無線LANのような狭域無線通信を行う機能を有している。本実施形態では、自車両の車体側に無線LANのような狭域無線通信機能を有する車上無線基地局42が搭載された場合を想定している。したがって、ハブキャップ型車載器20内のCPU22は、狭域無線通信部32およびアンテナ34を介して、自車両の車上無線基地局42との間で狭域無線通信を行いデータの送受信を行うことができる。
GPS(Global Positioning System)受信器33は、複数のGPS衛星41から到来する電波をアンテナ35を介して受信し、受信時刻に基づいて自車両の現在位置を算出することができる。
不揮発性メモリ36は、CPU22からのアクセスによりデータの読み出し及び書き換えが可能な半導体デバイスであり、ハブキャップ型車載器20が収集した自車両の運行データを蓄積したり、更新する可能性のあるソフトウェアや定数データなどを保持するために利用される。
揮発性メモリ37は、CPU22からのアクセスによりデータの読み出し及び書き込みが自在な半導体デバイスであり、CPU22が生成したデータなどを一時的に保持するために利用される。
LED表示部38は、複数のLEDデバイスを備えており、点灯/消灯、数値などを表示して、ハブキャップ型車載器20の状態などを表示することができる。例えばメンテナンス蓋20aをガラスなどの透明な材料で構成することにより、ハブキャップ型車載器20の外側からLED表示部38の表示状態をユーザ等が視認できる。
ハブキャップ型車載器20のメンテナンスを実施する際には、メンテナンス蓋20aを一時的に開いて接続ケーブル40をメンテナンスコネクタ39に接続することにより、自車両外部のメンテナンスPC43とハブキャップ型車載器20とが有線の回線を経由して通信可能な状態になる。また、接続ケーブル40は電源のバスラインを含んでいるので、メンテナンスPC43から接続ケーブル40のバスラインを経由して、ハブキャップ型車載器20内の電源部26に電源電力を供給することができる。
なお、メンテナンスPC43は、例えばハブキャップ型車載器20に対して定期的なメンテナンスを実施する際や、ハブキャップ型車載器20のデータのバックアップを作成するような場合に利用することが想定される。
<ダイナモの構成例>
図3は、ハブキャップ型車載器20に内蔵されたダイナモ30の構成例を示す電気回路図である。なお、この電気回路の構成は一例にすぎない。
図3に示したダイナモ30は、永久磁石30aおよび電気コイル30bを含んでいる。電気コイル30bはハブキャップ型車載器20の車載器筐体21内に固定されている。永久磁石30aは、自車両の車体側の所定位置に固定され、電気コイル30bと比較的近距離で常時対向するように配置されている。
自車両が走行する際には、車輪が回転するので、この回転に伴う電気コイル30bの移動により、永久磁石30aと電気コイル30bとが相対的に回転移動する。したがって、永久磁石30aと電気コイル30bとの間に生じる電磁誘導作用により、電気コイル30b側に交流電流が誘起する。
図3に示したように、電気コイル30bの出力端子に、整流回路30cが接続されている。整流回路30cは、発電により電気コイル30bに生じた交流電流を整流して直流(脈流)電力に変換する。平滑用コンデンサ30dは、整流回路30cから出力される脈流を平滑して比較的電圧の安定している直流電力を生成する。ダイナモ30の発電した直流電力は出力端子30eから出力され、図2に示した電源部26等へ供給される。
つまり、図2に示したハブキャップ型車載器20の内部に搭載されたダイナモ30が自立発電機能を有しているので、自車両の車体側からハブキャップ型車載器20に対して電源電力を供給する必要はなく、これらの間をケーブル等で接続する必要もない。また、車輪が停止してダイナモ30が発電できない時には、ハブキャップ型車載器20に内蔵されている二次電池25の直流電力を利用できる。
また、ハブキャップ型車載器20と車体側との間では狭域無線通信部32を利用して無線通信できるので、ハブキャップ型車載器20と車体との間を信号ケーブル等で接続する必要はない。したがって、ハブキャップ型車載器20のタイヤホイール11に対する着脱は極めて容易である。
<主要な動作例>
図4は、ハブキャップ型車載器20における主要な動作例を示すフローチャートである。
すなわち、図2に示したCPU22が、内蔵されたプログラムに従って図4に示した動作を実行することにより、ハブキャップ型車載器20における特徴的な機能を実現できる。
なお、図示しないが、ハブキャップ型車載器20を車両に取り付けた後の初期化の際に、CPU22は自車両の車輪の1回転を認識することができる。すなわち、車輪が回転する際に、ジャイロ23が出力する角速度の変化を監視して1回転毎の変化を認識する。その後、CPU22はジャイロ23の出力信号を監視しながら、例えば車輪の1回転あたり8パルスの回転信号をCPU22の内部で生成し、この回転信号により自車両の運行状態を把握する。
図4の動作について以下に説明する。CPU22は、自車両が運行開始前の走行していない状態では、ダイナモ30が発電せず、二次電池25の電力だけを使用する必要があるので、S11で「超低消費モード」を選択する。この「超低消費モード」では、状態の変化の有無を監視しながらプログラムの実行を継続し、ハブキャップ型車載器20の消費電力を最小化する。
CPU22は、「超低消費モード」を選択した状態で、振動感知器31から出力する信号により「振動トリガー」をS12で検知すると次のS13に進む。すなわち、自車両が停止している状態で、大きな振動が検知されたことは、自車両が走行を開始したことを意味するので、S12でダイナモ30における発電開始を予想する。
CPU22は、S13で「低消費モード」を選択し、このモードにおいて自車両における運行状態の記録動作を開始する。すなわち、ジャイロ23の出力する角速度信号から算出される車速、走行距離、GPS受信器33で得られる現在位置情報や、現在時刻などのデータを取得する。但し「低消費モード」では狭域無線通信部32、GPS受信器33などの消費電力を抑制する。具体的には、狭域無線通信部32は通信相手先の検索を停止する。また、GPS受信器33はCPU22が所定のコマンドを送信した任意のタイミング以外は動作しないようにする。
CPU22は、「低消費モード」において、ダイナモ30の出力する電圧を監視回路27を介して監視し、安定した状態で十分に高い電圧が現れているか否かをS14で識別する。安定していない状態であれば、「低消費モード」で収集した運行データをS15で不揮発性メモリ36に書き込み保存する。
電圧が安定した場合には、CPU22はS14からS16に進み、「通常モード」に切り替える。また、この「通常モード」では、消費電力を格別に低減する必要がないので、狭域無線通信部32を利用した通常の無線通信が可能であるし、GPS受信器33を利用して定期的に現在位置情報を取得することもできる。すなわち、狭域無線通信部32は通信相手先の検索を例えば分単位の周期で繰り返す。GPS受信器33は例えば秒単位で通信を繰り返し現在位置の更新を繰り返す。CPU22は、GPS受信器33が取得した最新の現在位置情報を、他の運行データと共に不揮発性メモリ36上の記憶領域に書き込み保存する。また、「通常モード」でダイナモ30の出力に余剰電力が発生している場合には、この余剰電力を用いて二次電池25を充電する。
「通常モード」においては、CPU22は不揮発性メモリ36上に保存されている運行データの中に未送信のデータが存在するか否かをS17で識別する。未送信のデータが存在する場合はS17からS18に進み、未送信のデータが存在しない場合はS17からS21に進む。
CPU22は、S18で予め登録された「通信先」との間で無線通信できるか否かを識別する。CPU22が「通信先」との間で無線通信できる場合、つまり、通信できる相手が見つかった場合には、不揮発性メモリ36上の未送信の運行データをCPU22がS19で「通信先」に向けて送信する。なお、送信が完了した運行データは、不揮発性メモリ36から削除するか又は送信済みデータとして例えば一定期間だけ不揮発性メモリ36上に保持する。CPU22が「通信先」との間で無線通信できない状態であれば、CPU22は未送信の運行データの不揮発性メモリ36上での保存を継続する(S20)。
なお、S18における「通信先」は、例えば図5に示した管理用端末45のような車両外の装置に相当する。勿論、自車両の車体上の他の車載器が「通信先」であってもよい。例えば、車両上の車上無線基地局42を所定の広域無線通信モジュール(図示せず)と接続することにより、インターネット44等を経由して管理用端末45と接続することが可能である。
CPU22は、S21で例えばジャイロ23が出力する角速度変化が0になったか否かを識別することにより、自車両が「停止」状態か否かを把握する。自車両が「停止」状態の場合は次のS22に進み、「停止」状態でなければS17に戻って上記の処理を繰り返す。
CPU22は、S22で新たな運行データの記録動作を終了し、データ送信の動作も終了する。これにより、無駄な電力消費を抑制できる。
CPU22は、「通常モード」においてS21で自車両の「停止」状態を検知してからの経過時間の長さをS23で第1の所定時間と比較することにより、「連続停止」状態か否かを識別する。「連続停止」状態であればS24に進み、「連続停止」状態でなければS17に戻って同じ処理を繰り返す。
CPU22はS24で「通常モード」から「低消費モード」へ切り替える。すなわち、狭域無線通信部32やGPS受信器33の動作を停止して消費電力を抑制し、比較的電力消費の少ない動作だけを継続する。
CPU22は、S24で「低消費モード」へ切り替わった後の経過時間の長さを、S25で第2の所定時間と比較することにより、「連続停止」状態が長く継続しているか否かを識別する。
「連続停止」状態が長く継続している場合には、CPU22はS25からS26の処理に進み、「低消費モード」から「超低消費モード」へ切り替える。すなわち、電力消費を最小限に抑制しつつ、振動感知器31の出力を監視して自車両が動き始めるまで待機する状態になる。「連続停止」状態になってからの時間が比較的短い場合には、S25からS17に戻り同じ状態の動作を継続する。
<自動車の運行中の状態変化と動作モード>
図5は、ハブキャップ型車載器20を装着した自動車50の運行中の状態変化と動作モードとの関係を示す状態遷移図である。
図5に示すように、ハブキャップ型車載器20が装着されたトラックなどの自動車50が運行を開始する前の状態C1では、ハブキャップ型車載器20の動作モードM1は「超低消費モード」である。つまり、ハブキャップ型車載器20は、振動感知器31が出力する信号の振動トリガーを監視して、自動車50が走行を開始するまで待機する。
自動車50が走行を開始した状態C2においては、車輪の回転開始に伴う振動トリガー発生により、ハブキャップ型車載器20の動作モードM2は、「超低消費モード」から「低消費モード」へ切り替わる。これにより、ハブキャップ型車載器20は「低消費モード」で運行データの収集および記録の動作を繰り返し実施する。
自動車50が走行を開始した直後などは、車輪の回転が低速であり、ダイナモ30の出力電圧が安定していない。したがって、ハブキャップ型車載器20は、状態C2では「低消費モード」を選択することにより、二次電池25が蓄積している電力の消耗を抑制できる。
自動車50が安定して走行しているときの状態C3においては、ダイナモ30の出力電圧が安定しているので、ハブキャップ型車載器20は動作モードM3を「低消費モード」から「通常モード」へ切り替える。「通常モード」では電力消費を抑制する必要がないので、ハブキャップ型車載器20は、GPS受信器33における位置情報の更新や、狭域無線通信部32における通信相手先の検索を短い周期で実行する。また、ハブキャップ型車載器20は運行データの収集および記録を短い周期で繰り返すと共に、不揮発性メモリ36に保存されている運行データを狭域無線通信により車上無線基地局42へ送信する。この運行データは車上無線基地局42で中継され、広域無線通信の利用によりインターネット44を介して管理用端末45へ転送される。
また、自動車50が一時的に停止したような状態C4においては、ダイナモ30の発電が停止するが、自動車50がすぐに走行を再開する可能性もあるので、ハブキャップ型車載器20の動作モードM4は「通常モード」を継続する。但し、自動車50が動かない状態なので運行データの記録は終了し、ハブキャップ型車載器20と車上無線基地局42との間の通信も終了し、無駄な電力消費を抑制する。
一方、自動車50が駐車している場合のように、車輪が所定時間以上、連続的に停止している状態C5においては、ハブキャップ型車載器20の電力消費を抑制するために、動作モードM5はまず「通常モード」から「低消費モード」に切り替わる。更に、「低消費モード」の状態C5が所定時間以上継続して状態C1になると、ハブキャップ型車載器20の動作モードM1は「低消費モード」から「超低消費モード」へ切り替わる。
トラックなどの自動車50の運行を管理する企業等においては、管理用端末45が遠隔地を運行中の各自動車50に装着されたハブキャップ型車載器20から運行データを収集し、ほぼリアルタイムで車両毎の現在位置などの状況を例えば地図に重ねた状態で図5のように画面に表示する。したがって、管理用端末45を扱う管理者は、各車両の運行状況を把握することができる。
なお、ハブキャップ型車載器20が記録する運行データの時刻については、RTC24から取得可能な現在時刻と、GPS受信器33から取得可能なGPSの時刻とに基づいてより適切な時刻をCPU22が算出する。また、ハブキャップ型車載器20が記録する運行データにおける自車両の走行距離[km]については、ジャイロ23の出力信号から把握可能な車輪の回転数と事前に定めた定数とに基づいてCPU22が算出する。また、ハブキャップ型車載器20が記録する運行データにおける自車両の走行速度[km/h]については、ジャイロ23の出力信号から把握可能な1秒間あたりの車輪の回転数と事前に定めた定数とに基づいてCPU22が算出する。
<ハブキャップ型車載器20の利点>
ハブキャップ型車載器20は、電源を内蔵しているので、電源電力供給のために車体との間で配線する必要がない。したがって、ハブキャップ型車載器20は回転するタイヤホイール11上に極めて簡単に装着できる。また、ハブキャップ型車載器20は狭域無線通信部32を利用して狭域無線通信により車体側の車上無線基地局42との間で通信するので、データ通信のための配線も不要である。
また、ハブキャップ型車載器20は電源として自立発電を行うダイナモ30を搭載しているので、小型化および軽量化が可能である。また、ハブキャップ型車載器20は、車輪が停止してダイナモ30が発電できないか又は出力が安定しないような状況では、前述の「低消費モード」又は「超低消費モード」を自動的に選択するので、二次電池25の放電を抑制することができる。したがって、特別な充電などのメンテナンスを実施しなくても、長期間に亘って連続的にハブキャップ型車載器20を使用することができる。
また、ハブキャップ型車載器20の電源は車体側から独立しているので、車体側のバッテリーに余分な負担をかけることがなく、安心して使用できる。また、ハブキャップ型車載器20によりハブ12の外側を覆うことにより、ハブ12に錆が発生するのを予防することができる。また、ハブキャップ型車載器20を外側に露出させることで装飾効果も得られる。
ここで、上述した本発明の実施形態に係る運行記録装置の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する
[1] 車両において車輪(タイヤ10)と共に回動するホイール(タイヤホイール11)、又はその近傍の回動部位(ハブ12)に装着される車載器として構成される運行記録装置(ハブキャップ型車載器20)であって、
前記車載器において消費される電力を発電する自立発電部(ダイナモ30)と、
無線信号を利用してデータを送信可能な無線通信部(狭域無線通信部32)と、
前記車両の運行に関連する情報を収集して記録する情報記録部(CPU22,S15,S20)と、
前記車載器が消費する電源電力を制御する電源制御部(CPU22)と、
を備え、
前記電源制御部は、前記車両の状態に応じて前記車載器が消費する電源電力を制御する(S11~S26)、
ことを特徴とする運行記録装置。
[2] 前記電源制御部は、前記車両の発進検知(S12)、および停止検知(S21)をトリガとして、省電力に関連する動作モードを切り替える(S13,S22)、
ことを特徴とする上記[1]に記載の運行記録装置。
[3] 前記自立発電部が発電した電力を蓄電可能な二次電池(25)、を更に備え、
前記電源制御部は、前記自立発電部の発電状態に応じて、省電力に関連する動作モードを切り替える(S14,S16)、
ことを特徴とする上記[1]に記載の運行記録装置。
[4] 振動センサ(振動感知器31)を更に備え、
前記電源制御部は、前記振動センサの検知状態に基づいて、前記車両の発進の有無を識別し、識別結果を省電力に関連する動作モードに反映する(S12,S13)、
ことを特徴とする上記[1]に記載の運行記録装置。
[5] 前記車両のフロント側車輪のハブキャップの箇所に取り付け可能な筐体(21)に収容され、前記筐体が防水構造を有する(図1(a)、図1(b)参照)、
ことを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の運行記録装置。
10 タイヤ
11 タイヤホイール
12 ハブ
13 ボルト
20 ハブキャップ型車載器
20a メンテナンス蓋
21 車載器筐体
22 CPU
23 ジャイロ
24 RTC
25 二次電池
26 電源部
27 監視回路
30 ダイナモ
30a 永久磁石
30b 電気コイル
30c 整流回路
30d 平滑用コンデンサ
30e 出力端子
31 振動感知器
32 狭域無線通信部
33 GPS受信器
34,35 アンテナ
36 不揮発性メモリ
37 揮発性メモリ
38 LED表示部
39 メンテナンスコネクタ
40 接続ケーブル
41 GPS衛星
42 車上無線基地局
43 メンテナンスPC
44 インターネット
45 管理用端末
50 自動車
C1,C2,C3,C4,C5 状態
M1,M2,M3,M4,M5 動作モード

Claims (4)

  1. 車両において車輪と共に回動するホイール、又はその近傍の回動部位に装着される車載器として構成される運行記録装置であって、
    前記車載器において消費される電力を発電する自立発電部と、
    無線信号を利用してデータを送信可能な無線通信部と、
    前記車両の運行に関連する情報を収集して記録する情報記録部と、
    前記車載器が消費する電源電力を制御する電源制御部と、
    を備え、
    前記電源制御部は、前記車両の状態に応じて前記車載器が消費する電源電力を制御
    振動センサを更に備え、
    前記電源制御部は、前記振動センサの検知状態に基づいて、前記車両の発進の有無を識別し、識別結果を省電力に関連する動作モードに反映する、
    ことを特徴とする運行記録装置。
  2. 前記電源制御部は、前記車両の発進検知、および停止検知をトリガとして、省電力に関連する動作モードを切り替える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の運行記録装置。
  3. 前記自立発電部が発電した電力を蓄電可能な二次電池、を更に備え、
    前記電源制御部は、前記自立発電部の発電状態に応じて、省電力に関連する動作モードを切り替える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の運行記録装置。
  4. 車両において車輪と共に回動するホイール、又はその近傍の回動部位に装着される車載器として構成される運行記録装置であって、
    前記車載器において消費される電力を発電する自立発電部と、
    無線信号を利用してデータを送信可能な無線通信部と、
    前記車両の運行に関連する情報を収集して記録する情報記録部と、
    前記車載器が消費する電源電力を制御する電源制御部と、
    を備え、
    前記電源制御部は、前記車両の状態に応じて前記車載器が消費する電源電力を制御し、
    前記車両のフロント側車輪のハブキャップの箇所に取り付け可能な筐体に収容され、前記筐体が防水構造を有する、
    ことを特徴とする行記録装置。
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