以下、図面を参照し、本発明の温度推定装置、温度推定方法、情報処理装置、情報処理方法、プログラム、および記憶媒体の実施形態について説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
以下の説明では、実施形態の情報処理装置が、電動車両に着脱可能に搭載される(着脱自在に装着される)蓄電装置であるバッテリ(以下「着脱式バッテリ」と称する)を共同利用するバッテリ共同利用サービスのシステム(バッテリシェアサービスシステム)に適用された場合について説明する。さらに言えば、実施形態の情報処理装置が、上記バッテリシェアサービスシステムにおいて、着脱式バッテリの受領と、代わりの着脱式バッテリの供与(提供)とを行うバッテリ交換ステーションを管理する管理サーバ装置に適用された例である。ただし、実施形態の情報処理装置の一部または全部は、管理サーバ装置に代えて、バッテリ交換ステーションの一部として設けられてもよい。
以下の説明において、電動車両には、鞍乗り型の電動車両(以下「電動二輪車」と称する)や、四輪の電動車両(以下「電動自動車」と称する)など、着脱式バッテリの電力を利用して走行する種々の車両が含まれ得る。例えば、二輪や四輪の車両のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)の車両、さらには、アシスト式の自転車など、着脱式バッテリから供給される電力によって駆動される電動モータによって走行する車両型の移動体の全般が含まれる。ただし、実施形態の情報処理装置が適用可能な移動体は、これら車両型の移動体に代えて、移動ロボット、自律走行装置、自律走行車、その他の電動車両、ドローン飛行体、またはその他の電動式移動装置(電動モビリティ)などの移動体であってもよい。
(第1実施形態)
[1.全体構成]
図1は、第1実施形態のバッテリシェアサービスシステム1の一例を示す図である。バッテリシェアサービスシステム1は、1つ以上(例えば複数)のバッテリ交換ステーション200(図1では4つのバッテリ交換ステーション200-1~200-4を図示)と、管理サーバ装置300とを含む。バッテリシェアサービスシステム1は、「情報処理システム」または「蓄電装置管理システム」の一例である。
バッテリ交換ステーション200は、例えば、ステーション制御装置210と、1つ以上のバッテリ交換装置220(図1では2つのバッテリ交換装置220-a,220-bを図示)と、を備える。ステーション制御装置210とバッテリ交換装置220とは、有線または無線により通信可能である。ステーション制御装置210とバッテリ交換装置220とは、別体の装置としてではなく、1つの装置として一体に構成されてもよい。バッテリ交換装置220は、「電力装置」の一例であり、「充電装置」の一例である。
ステーション制御装置210は、バッテリ交換装置220における着脱式バッテリ100の充放電と、着脱式バッテリ100の受領および供与(以下「着脱式バッテリ100の交換」と称する)とを管理する。ステーション制御装置210は、電動車両10のユーザがバッテリ交換ステーション200を利用する場合に、着脱式バッテリ100の交換のための情報をユーザに提供する。例えば、ステーション制御装置210は、電動車両10で使用されて残容量が少なくなった着脱式バッテリ100を受領するバッテリスロット221を示す情報や、受領した着脱式バッテリ100の代わりに提供する別の着脱式バッテリ100が収容されているバッテリスロット221を示す情報などをユーザに提供する。バッテリスロット221は、着脱式バッテリ100の少なくとも一部を収容する。バッテリスロット221は、「収容部」の一例である。
バッテリ交換装置220は、バッテリスロット221に着脱式バッテリ100を収容することにより、着脱式バッテリ100を保管する。着脱式バッテリ100は、保管対象物の一例である。保管対象物は、電力装置の種類に応じて、着脱式バッテリ100以外のものでもよい。
バッテリ交換装置220は、着脱式バッテリ100の充放電および交換を行う装置である。バッテリ交換装置220は、1つ以上(例えば複数)のバッテリスロット221を有する。バッテリスロット221は、着脱式バッテリ100を収容して充放電可能な収容部である。バッテリスロット221は、着脱式バッテリ100の蓄電部120を着脱可能に保持する。バッテリスロット221は、「保持部」の一例である。図1に示す例では、1つのバッテリ交換装置220は、8つのバッテリスロット221を有し、8つの着脱式バッテリ100を同時に収容可能である。
バッテリ交換装置220は、複数のバッテリスロット221に収容された複数の着脱式バッテリ100(図1に示す例では、最大8個の着脱式バッテリ100)を同時に充電可能である。本明細書で「同時に充電」または「同時充電」とは、複数の着脱式バッテリ100の充電を同時に開始する場合に限定されず、ある着脱式バッテリ100の充電時間の一部と、別の着脱式バッテリ100の充電時間の一部とが同時である場合なども含む。
バッテリ交換装置220には、外部電源PSから電力が供給される。外部電源PSは、例えば交流100Vの商用電源である。バッテリ交換装置220は、ステーション制御装置210による制御に応じて、電動車両10のユーザから受領した着脱式バッテリ100を充電する。バッテリ交換装置220は、着脱式バッテリ100の充電が完了した場合に、充電が完了したことを示す通知をステーション制御装置210に送信する。これにより、ステーション制御装置210は、電動車両10のユーザに供与可能な着脱式バッテリ100を認識する。バッテリ交換装置220は、着脱式バッテリ100に残っている電力を放電させることを行ってもよい。バッテリ交換ステーション200の詳細については後述する。
管理サーバ装置300は、ネットワークNWに接続されている。ネットワークNWは、例えば、インターネット、セルラー網、Wi-Fi網、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)などのうち1つ以上を含む。第1実施形態では、管理サーバ装置300は、ネットワークNWを介して複数のバッテリ交換ステーション200と通信し、複数のバッテリ交換ステーション200を管理する。例えば、管理サーバ装置300は、各バッテリ交換ステーション200からバッテリ交換ステーション200の状態を示す情報(以下「状態情報」と称する)を受信し、状態情報に基づき各バッテリ交換ステーション200の状態を判定する。管理サーバ装置300は、「情報処理装置」の一例である。
管理サーバ装置300は、直接またはネットワークNWを介して、バッテリシェアサービスシステム1を管理する管理者P1が使用する端末装置T1と通信を行い、バッテリ交換ステーション200の状態に関する所定の通知を端末装置T1に出力する。端末装置T1は、設置型またはノート型のパーソナルコンピュータなどである。
管理サーバ装置300は、ネットワークNWを介して、バッテリ交換ステーションの保守を担当する保安要員P2が使用する端末装置T2と通信を行い、バッテリ交換ステーション200の状態に関する所定の通知を端末装置T2に出力する。端末装置T2は、例えば携帯型の端末装置であり、スマートフォンやタブレット端末などである。管理サーバ装置300の詳細については後述する。
[2.電動車両の構成]
図2は、第1実施形態の電動車両10の構成の一例を示す図である。電動車両10は、着脱式バッテリ100から供給される電力によって駆動される電動機(電動モータ)の駆動力で走行する。ただし、電動車両10は、着脱式バッテリ100と、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関とを組み合わせた駆動力によって走行するハイブリッド電動車両であってもよい。電動車両10は、例えば、バッテリ接続部12と、車両制御部14と、走行駆動力出力装置16と、車両センサ18と、HMI(Human Machine Interface)20と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機22と、を備える。
バッテリ接続部12は、着脱式バッテリ100が電動車両10に装着された場合に、着脱式バッテリ100と電気的に接続される。バッテリ接続部12は、着脱式バッテリ100から電力供給を受ける電力線の接続端子や、着脱式バッテリ100と車両制御部14との間でデータ通信を行う通信線の接続端子などを含む。
車両制御部14は、車両センサ18から測定結果を取得し、着脱式バッテリ100が備えるBMU(Battery Management Unit)110から蓄電部120の充電状態を表す値(State Of Charge:SOC)を取得し、GNSS受信機22から電動車両10の位置を取得する。車両制御部14は、取得したデータに基づき、走行駆動力出力装置16を制御する。車両制御部14は、GNSS受信機22から取得した電動車両10の位置情報を、バッテリ接続部12を介して着脱式バッテリ100に送信してもよい。
走行駆動力出力装置16は、例えば、電動モータと、インバータと、インバータを制御するECU(Electronic Control Unit)と、を備える。ECUは、例えば、インバータを制御することによって、着脱式バッテリ100から電動モータに供給される電力を制御する。車両センサ18は、電動車両10に搭載された速度センサ、加速度センサ、回転速度センサ、オドメータ、その他の各種のセンサを含む。車両センサ18は、測定結果を車両制御部14に出力する。
HMI20は、電動車両10のユーザに対して各種の情報を出力するとともに、ユーザによる入力操作を受け付ける。HMI20は、例えば、HUD(Head Up Display)およびメーター表示部などの各種の表示装置(タッチパネルであってもよい)、スピーカなどを備える。GNSS受信機22は、例えば、GPS衛星などのGNSS衛星から到来する電波に基づいて、電動車両10の位置を測位する。
[3.着脱式バッテリ]
図3は、第1実施形態の着脱式バッテリ100の構成の一例を示す図である。着脱式バッテリ100は、例えば、蓄電部120と、BMU110と、接続部150と、を備える。BMU110は、例えば、測定センサ130と、記憶部140と、を備える。
蓄電部120は、例えば、複数の単電池を直列に接続した組電池である。蓄電部120は、電力を蓄える。蓄電部120を構成する単電池は、例えば、リチウムイオン電池(Lithium-Ion Battery:LIB)や、ニッケル水素電池、全固体電池など、充電と放電とを繰り返すことができる二次電池である。蓄電部120を構成する二次電池としては、例えば、鉛蓄電池、ナトリウムイオン電池などの他、電気二重層キャパシタなどのキャパシタ、または二次電池とキャパシタとを組み合わせた複合電池なども考えられる。蓄電部120を構成する二次電池の構成に関しては特に限定されない。
BMU110は、蓄電部120の充電や放電の制御、セルバランシング、蓄電部120の異常検出、蓄電部120のセル温度の導出、蓄電部120の充放電電流の導出、蓄電部120のSOCの推定などを行う。BMU110は、測定センサ130の測定結果に基づいて把握した蓄電部120の異常や故障などを、バッテリ状態情報として記憶部140に記憶させる。測定センサ130は、蓄電部120の充電状態を測定するための電圧センサ、電流センサ、温度センサなどである。測定センサ130は、測定された電圧、電流、温度などの測定結果をBMU110に出力する。より具体的には、測定センサ130は、少なくとも温度センサ131を備える。温度センサ131は、電気的に稼働している着脱式バッテリ100の温度を測定し、その温度の値をBMU110に出力する。温度センサ131は、「温度検出部」の一例である。なお、電気的に稼働していない着脱式バッテリ100は、可動が終了した着脱式バッテリ100であると定義してよい。そしてそのように定義された着脱式バッテリ100以外を、電気的に稼働している着脱式バッテリ100と定義してよい。電気的に稼働している状態とは、一例として、着脱式バッテリ100が充電されている状態、または着脱式バッテリ100が放電している状態の何れかの状態であると定義してよい。
記憶部140は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置を含む。記憶部140は、上述したバッテリ状態情報を記憶する。記憶部140には、着脱式バッテリ100に対して割り当てられた識別情報(バッテリID)が記憶されてもよい。接続部150は、着脱式バッテリ100が電動車両10に装着された場合に、電動車両10のバッテリ接続部12に電気的に接続される。この状態で、着脱式バッテリ100は、蓄電部120に蓄えた電力を電動車両10が備える電動モータに供給する。
[4.バッテリ交換ステーション]
[4.1 バッテリ交換装置の物理構成]
次に、バッテリ交換ステーション200について詳しく説明する。まず、バッテリ交換装置220の物理構成について説明する。
図4は、第1実施形態のバッテリ交換装置220の一例を示す斜視図である。バッテリ交換装置220は、筐体251を有する。筐体251は、例えば、縦長の直方体状に形成されている。より詳しく述べると、筐体251は、下壁251a、前壁(前面パネル)251b、後壁251c、左側壁251d、右側壁251e、および上壁251fを有する。下壁251aは、床面に設置される。前壁251b、後壁251c、左側壁251d、および右側壁251eは、それぞれ下壁251aの前端、後端、左端、および右端から起立しており、鉛直方向に延びている。上壁251fは、前壁251b、後壁251c、左側壁251d、および右側壁251eの上端同士を繋いでいる。
前壁251bには、筐体251の内部に設けられたバッテリスロット221を筐体251の外部に露出させる開口部(バッテリ交換口)221aが設けられている。第1実施形態では、8つのバッテリスロット221が水平方向に2列、鉛直方向に4段のマトリクス状に配置されている。着脱式バッテリ100は、開口部221aからバッテリスロット221に挿入されることで、筐体251の内部に配置される。バッテリスロット221に挿入された着脱式バッテリ100は、バッテリ交換装置220により充電されることで発熱する。着脱式バッテリ100で発熱した熱の少なくとも一部は、筐体251の内部の空気に伝わる。
第1実施形態では、前壁251bには、複数の吸気口252が開口している。吸気口252は、バッテリスロット221よりも上方に設けられている。吸気口252は、筐体251の内部と外部とを連通させる。一方で、後壁251cには、複数の排気口253が開口している(図8参照)。排気口253は、後壁251cにおいて吸気口252と対応する位置(例えば吸気口252と同じ高さ位置)に配置されている。排気口253は、筐体251の内部と外部とを連通させる。筐体251の内部において、排気口253の近くには、ファン254(図8参照)が配置されている。ファン254が駆動されると、筐体251の内部の空気が排気口253を通じて筐体251の外部に排気されるとともに、筐体251の外部の新しい空気が吸気口252を通じて筐体251の内部に入る。
図5は、第1実施形態のバッテリ交換装置220の内部を示す斜視図である。図5では、説明の便宜上、バッテリスロット221に収容された着脱式バッテリ100を抜き出して示している。バッテリ交換装置220は、AC/DC変換器260を有する。AC/DC変換器260は、外部電源PSから供給された交流電力を直流電力に変換する電力変換器である。AC/DC変換器260は、着脱式バッテリ100の蓄電部120に電気的に接続される。AC/DC変換器260は、「電力変換器」の一例であり、「電気部品」の一例であり、「電気動作部」の一例である。電気動作部には、AC/DC変換器260などの電力変換のほか、電力部品が含まれる。AC/DC変換器260の詳細は、後述する。
第1実施形態では、筐体251の内部には、棚255が設けられている。棚255は、複数のバッテリスロット221(複数の着脱式バッテリ100)よりも上方に配置されている。AC/DC変換器260は、棚255の上に載せられ、複数のバッテリスロット221(複数の着脱式バッテリ100)よりも上方に配置されている。言い換えると、AC/DC変換器260は、複数のバッテリスロット221(複数の着脱式バッテリ100)と比べて、吸気口252および排気口253の近くに配置されている。第1実施形態では、AC/DC変換器260の少なくとも一部は、水平方向で吸気口252および排気口253と並ぶ高さに配置されている。
図6は、第1実施形態のバッテリ交換装置220の内部の電気的構成を示す図である。図6中で実線は電力線(電力ケーブルなど)を示す。図6中の破線は信号線(通信ケーブルなど)を示す。バッテリ交換装置220は、AC/DC変換器260に加え、複数のDC/DC変換器271、複数のインターフェース基板(I/F基板)272、および制御基板273を有する。
AC/DC変換器260には、外部電源PSから交流電力が供給される。AC/DC変換器260は、外部電源PSから供給された交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を複数のDC/DC変換器271に供給する。AC/DC変換器260は、複数のバッテリスロット221(複数の着脱式バッテリ100)に対して1つ設けられている。AC/DC変換器260は、複数のバッテリスロット221に収容された複数の着脱式バッテリ100に対して充電電力を同時に供給可能に配置されている。すなわち、1つのAC/DC変換器260に対して複数のバッテリスロット221が接続されている。AC/DC変換器260は、複数の着脱式バッテリ100を同時に充電する場合に、複数の着脱式バッテリ100に流れる充電電流を合計した電流が流れて発熱する。AC/DC変換器260の発熱量は、同時充電する着脱式バッテリ100の個数が多いほど大きくなる。
複数のDC/DC変換器271は、複数のバッテリスロット221に対して1対1の関係で設けられている。複数のDC/DC変換器271は、AC/DC変換器260に対して電気的に並列に接続されている。DC/DC変換器271に電気的に接続された着脱式バッテリ100は、DC/DC変換器271に対して放電したり、DC/DC変換器271によって充電されたりする。DC/DC変換器271は、「動作部」の一例である。DC/DC変換器271は、バッテリスロット221の接続部221b(図8参照)を介して、バッテリスロット221に収容された着脱式バッテリ100に接続される。DC/DC変換器271は、AC/DC変換器260から供給される直流電力を、着脱式バッテリ100の充電に適した電圧を持つ直流電力に変換し、変換した直流電力を着脱式バッテリ100に供給する。DC/DC変換器271は、AC/DC変換器260から供給される直流電力を、ファン254の充電に適した電圧を持つ直流電力に変換し、変換した直流電力を、I/F基板272を介してファン254に供給する。I/F基板272とファン254の間の配線には、電力検出器258が接続されている。
複数のIF基板272は、複数のバッテリスロット221に対して1対1の関係で設けられている。IF基板272は、バッテリスロット221の接続部221b(図8参照)を介して、バッテリスロット221に収容された着脱式バッテリ100に接続される。IF基板272は、着脱式バッテリ100と通信を行い、着脱式バッテリ100の記憶部140に記憶された情報(例えば、バッテリ状態情報やバッテリID)を着脱式バッテリ100から取得する。IF基板272は、着脱式バッテリ100から取得した情報を制御基板273に出力する。
制御基板(制御部)273は、AC/DC変換器260、複数のDC/DC変換器271、および複数のIF基板272を制御する。例えば、制御基板273は、同時に充電する着脱式バッテリ100の個数に応じてAC/DC変換器260に含まれる電界効果トランジスタ261(Field effect transistor:FET、図8参照)を制御することで、AC/DC変換器260により変換される電力の大きさを制御する。
図7は、AC/DC変換器260の構成の一部を示す電気回路図である。AC/DC変換器260は、複数のサイリスタ262a,262b,262c,262d,262e,262f、複数の帰還ダイオード263a,263b,263c,263d,263e,263f、および1つ以上のコンデンサ(平滑コンデンサ)264を有する。以下では、複数のサイリスタ262a~262fを互いに区別しない場合は、サイリスタ262と称する。帰還ダイオード263a~263fを互いに区別しない場合は、帰還ダイオード263と称する。
2つのサイリスタ262a,262bは、正極線L1と負極線L2との間に直列に接続されている。2つのサイリスタ262a,262bの間の中間ノードは、交流電力が入力されるU相線に接続されている。同様に、2つのサイリスタ262c,262dは、正極線L1と負極線L2との間に直列に接続されている。2つのサイリスタ262c,262dの間の中間ノードは、交流電力が入力されるV相線に接続されている。2つのサイリスタ262e,262fは、正極線L1と負極線L2との間に直列に接続されている。2つのサイリスタ262e,262fの間の中間ノードは、交流電力が入力されるW相線に接続されている。
複数の帰還ダイオード263a~263fは、複数のサイリスタ262a~262fに対してそれぞれ逆並列に接続されている。コンデンサ264は、正極線L1と負極線L2との間に接続されている。コンデンサ264は、例えば電解コンデンサである。第1実施形態では、コンデンサ264は、上述したFET261、サイリスタ262,および帰還ダイオード263と比べて、耐熱温度が低い部品である。一方で、FET261、サイリスタ262,および帰還ダイオード263は、AC/DC変換器260の作動時にコンデンサ264よりも高温になる部品である。FET261、サイリスタ262,および帰還ダイオード263の各々は、「第1部品」の一例である。コンデンサ264は、「第2部品」の一例である。
AC/DC変換器260は、上述した構成以外に、基板265(図8参照)を有する。FET261、サイリスタ262、帰還ダイオード263、およびコンデンサ264は、基板265上に搭載されている。ここで言う「基板」は、部品が実装される基台の意味であり、プリント配線板に限らず、金属製のプレートなどでもよい。
図8は、バッテリ交換装置220の一部を示す断面図である。
図8で示すようにバッテリ交換装置220は、複数の着脱式バッテリ100を格納することができる。着脱式バッテリ100は、開口部221aからバッテリスロット221に挿入されることで、筐体251の内部に配置される。着脱式バッテリ100には、予め、温度センサ131が備わる。温度センサ131は、例えば、着脱式バッテリ100がバッテリスロット221に収容された状態で、筐体251の外縁よりも内側に位置するように、バッテリスロット221の内部に配置される。温度センサ131は、一例としては、着脱式バッテリ100の表面温度の値を測定するものである。または温度センサ131は、着脱式バッテリ100の内部の温度(以下、「内部温度」ともいう)の値を測定するものであってもよい。バッテリ交換装置220に配置される複数の着脱式バッテリ100は、電気的に稼働状態となる(稼働している)着脱式バッテリ100と、電気的に稼働状態でない(稼働していない)着脱式バッテリ100とに区分けされる。温度センサ131は、これら電気的に稼働状態でない着脱式バッテリ100と、電気的に稼働状態である着脱式バッテリ100のそれぞれの温度の値をBMU110の制御等に基づいて検出する。
第1実施形態によるバッテリ交換装置220の吸気口252の開口位置には、フィルタ266が設けられる。フィルタ266は清浄装置の一態様である。フィルタ266は筐体251の外部の空気が吸気口252から内部に流入する際に、当該気体に含まれる埃などの異物を吸着する。フィルタ266に吸着した異物の量が増えることにより目詰まりが発生すると、十分な外部の空気が筐体251の内部に供給されずに冷却効果が薄れ、バッテリ交換装置220の内部の温度が上昇する場合がある。このような場合、管理者は、フィルタ266の交換を行うことができる。第1実施形態においては、管理サーバ装置300は、フィルタ266の目詰まり等の影響による、バッテリ交換装置220の内部の温度の上昇による異常を、着脱式バッテリ100の内部に備わる温度センサ131の計測結果により推定する。管理サーバ装置300は、バッテリ交換装置220の内部の温度の上昇に基づいてフィルタ266の異常を判定する。フィルタ266に異常が生じていることの判定は、連通路に異常が生じていることの一態様である。フィルタ266の異常は、フィルタ266に生じた異変の一態様である。フィルタ266に生じた異変は、フィルタ266に生じた異常の他、変調などの通常時や平常時と異なる状態にあることをいい、例えばフィルタ266に生じた目詰まりが含まれる。フィルタ266に生じた異常は、例えば、フィルタ266に生じた目詰まりが所定以上なったものであり、フィルタ266が破れたり外れたりといった破損などであり、修理などをも含む。フィルタ266に生じた目詰まりは、例えば、詰まった粉塵を除去することで解消することが多い。
なお、フィルタ266の異常以外にも、ファン254の異常停止や回転速度の低下によってもバッテリ交換装置220の内部の温度は上昇する。管理者はフィルタ266に異常が無い場合でも、ファン254の動きの異常を判定して、異常である場合にはファン254を交換するようにしてもよい。ファン254も筐体内部の空気を循環させて内部の空気の清浄を保つ機能を有するため、清浄装置の位置態様としてよい。
または、第1実施形態においては、排気口253にフィルタ267が設けられていてもよい。フィルタ267は筐体251の内部の空気が排気口253から放出される際に、当該気体に含まれる埃などの異物を吸着する。第1実施形態においては、管理サーバ装置300は、フィルタ267の目詰まり等の影響による、バッテリ交換装置220の内部の温度の上昇による異常を、着脱式バッテリ100の内部に備わる温度センサ131の計測結果により推定するものであってよい。管理サーバ装置300は、バッテリ交換装置220の内部の温度の上昇に基づいてフィルタ267の異常を判定する。フィルタ267に異常が生じていることの判定は、連通路に異常が生じていることの一態様である。
図8においては、フィルタ266が吸気口252の開口位置の筐体251内部側に、またフィルタ267が排気口253の開口位置の筐体251内部側にそれぞれ設けられる態様について記載しているが、各開口位置の筐体251の外部側にそれぞれ設けられていてもよい。またフィルタ266とフィルタ267は、少なくとも一方が設けられるようにしてよい。
[4.2 バッテリ交換ステーションのシステム構成]
次に、バッテリ交換ステーション200のシステム構成について説明する。
図9は、バッテリ交換ステーション200のシステム構成を示すブロック図である。第1実施形態では、ステーション制御装置210は、例えば、バッテリ管理部211と、充放電制御部212と、バッテリ温度検出部213と、情報出力部214と、記憶部216とを有する。
バッテリ管理部211、充放電制御部212、バッテリ温度検出部213、および情報出力部214は、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、予めステーション制御装置210が備えるHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、ステーション制御装置210が備えるドライブ装置に記憶媒体が装着されることでステーション制御装置210が備えるHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。記憶部216は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置のうち1つまたは組み合わせにより実現される。
バッテリ管理部211は、複数のバッテリスロット221に収容された複数の着脱式バッテリ100を管理する。例えば、バッテリ管理部211は、電動車両10のユーザからの着脱式バッテリ100の受領、着脱式バッテリ100の充放電の要否判定、充電が完了した着脱式バッテリ100の電動車両10のユーザへの供与を管理する。
充放電制御部212は、バッテリ管理部211により充電が必要と判定された着脱式バッテリ100の充放電を制御する。例えば、充放電制御部212は、バッテリ交換装置220に含まれるAC/DC変換器260およびDC/DC変換器271などを制御することで、着脱式バッテリ100の充放電を行う。充放電制御部212は、着脱式バッテリ100の充放電に関する制御の履歴を、制御履歴情報I12として記憶部216に記憶させる。着脱式バッテリ100の充放電に関する制御の履歴は、着脱式バッテリ100の稼働状態の情報の一例である。制御履歴情報I12は、例えば、各着脱式バッテリ100の充電開始時刻および充電終了時刻や、同時充電中の着脱式バッテリ100の個数と日時情報とが対応付けされた情報などを含む。また制御履歴情報I12には、着脱式バッテリ100の放電開始時刻および放電終了時刻が含まれてよい。
バッテリ温度検出部213は、温度センサ131の測定結果に基づき、各着脱式バッテリ100の温度を検出する。バッテリ温度検出部213は、電気的に稼働状態となる(稼働している)着脱式バッテリ100と、電気的に稼働状態でない(稼働していない)着脱式バッテリ100の温度を検出する。例えば、温度センサ131の測定結果に基づいて、バッテリの表面温度またはバッテリの内部温度を、当該温度センサ131の測定結果と予め求められた関係式や計算テーブルなどに基づき、推定してもよい。バッテリ温度検出部213は、検出したバッテリの温度を日時情報と対応付けて、バッテリ状態情報I13として記憶部216に記憶させる。バッテリ温度検出部213が検出した温度は、「蓄電装置温度」の一例である。
情報出力部214は、記憶部216に記憶された制御履歴情報I12、バッテリ状態情報I13を含むバッテリ交換ステーション200の状態情報を、所定の周期で管理サーバ装置300に送信する。所定の周期は、例えば10分毎であるが、上記例には限定されない。状態情報は、記憶部216に記憶されたステーションIDI11と紐付けられて管理サーバ装置300に送信される。ステーションIDI11は、バッテリ交換ステーション200を識別可能な識別情報である。
[5.管理サーバ装置]
次に、管理サーバ装置300について詳しく説明する。
図10は、管理サーバ装置300のシステム構成を示すブロック図である。管理サーバ装置300は、例えば、情報取得部310と、ステーション管理部320と、温度推定部330と、比較部335と、異常判定部340と、報知情報出力部350と、制御指令出力部360と、記憶部370とを有する。
情報取得部310、ステーション管理部320、温度推定部330、異常判定部340、報知情報出力部350、および制御指令出力部360は、それぞれ、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、予め管理サーバ装置300が備えるHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、管理サーバ装置300が備えるドライブ装置に記憶媒体が装着されることで管理サーバ装置300が備えるHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。記憶部370は、HDDやフラッシュメモリ、RAMなどの記憶装置のうち1つまたは組み合わせにより実現される。
情報取得部310は、各バッテリ交換ステーション200から送信された状態情報を取得する。例えば、情報取得部310は、各バッテリ交換ステーション200から送信された制御履歴情報I12、バッテリ状態情報I13を取得する。本明細書で「取得する」とは、外部から受信することで取得する場合に加えて、内部で生成される(例えば外部から受信した情報に対して所定の計算を行うことで生成される)場合なども含む。情報取得部310は、各バッテリ交換ステーション200から取得した状態情報を、状態履歴情報I21として記憶部370に蓄積する。情報取得部310は、「取得部」の一例である。
ステーション管理部320は、各バッテリ交換ステーション200から取得された状態情報に基づき、各バッテリ交換ステーション200の管理を行う。例えば、ステーション管理部320は、各バッテリ交換ステーション200の稼働状態、各バッテリ交換ステーション200が受領した着脱式バッテリ100の個数、各バッテリ交換ステーション200から供与された着脱式バッテリ100の個数などを管理する。
温度推定部330は、各バッテリ交換ステーション200から取得された状態情報に基づき、着脱式バッテリ100が装着されたバッテリ交換装置220の温度を推定する。当該温度は、バッテリ交換装置220の内部の温度である。内部の温度とは、バッテリ交換装置220の筐体251の内部の空気の温度である。以下、この内容について詳しく説明する。温度推定部330は、「推定部」の一例である。
図11は、着脱式バッテリ100の温度推移の例を示す図である。
図11において「◆」の印で連なるグラフは、着脱式バッテリ100が6個バッテリ交換装置220に装着されて排気口253を50%閉じた場合において温度センサ131が計測した着脱式バッテリ100の温度の推移を示す。また図11において「●」の印で連なるグラフは、着脱式バッテリ100が6個バッテリ交換装置220に装着されて排気口253の開度が100%である場合において温度センサ131が計測した着脱式バッテリ100の温度の推移を示す。また図11において「▲」の印で連なるグラフは、着脱式バッテリ100が2個バッテリ交換装置220に装着されて排気口253の開度が100%である場合において温度センサ131が計測した着脱式バッテリ100の温度の推移を示す。
これら3つのグラフによれば、例えば、充電が終了するなどした場合において、排気口253の開度が100%であるときには、時刻t1を境に着脱式バッテリ100の温度が徐々に減少する。これに対して、排気口253の開度が50%であるときには、時刻t1を境に着脱式バッテリ100の温度が上昇する。さらに、「◆」の印で連なるグラフが示す温度と、その他の印で連なるグラフとの温度が、時間の経過とともに乖離し、「◆」の印で連なるグラフが示す温度が高くなっている。つまりこれは、排気口253における排気状態が悪化した場合において、温度センサ131が計測した着脱式バッテリ100の温度が上昇することを示している。第1実施形態による温度推定部330は、排気口253の状態が悪化したかどうかを判定するために、温度センサ131が計測した着脱式バッテリ100の温度に基づいて、バッテリ交換装置220の内部の温度を推定する。なお排気口253の状態が悪化することの一因として、排気口253に設けられたフィルタの目詰まりがある。なお、着脱式バッテリ100などのバッテリの温度は、充電電流、内部電気抵抗、周囲温度の影響で変化する。
温度推定部330は、記憶部370に予め記憶された状態履歴情報I21と、記憶部370に予め記憶された関係情報I22とに基づき、バッテリ交換装置220の内部の温度を推定する。温度推定部330は、例えば、電気的に稼働している着脱式バッテリ100が複数存在する場合に、それらの着脱式バッテリ100に設けられた温度センサ131が検出した複数の温度のうち、最も大きな温度に基づいて、バッテリ交換装置220の内部の温度を推定する。あるいは、温度推定部330は、例えば、電気的に稼働している着脱式バッテリ100が複数存在する場合に、それらの着脱式バッテリ100に設けられた温度センサ131が検出した複数の温度に基づいて、バッテリ交換装置220の内部の温度を推定する。
図12は、関係情報I22の一例を示す図である。関係情報I22は、同時稼働状態のバッテリ(着脱式バッテリ100)の個数と、同時稼働時間と、着脱式バッテリ100の温度の統計値と、バッテリ交換装置220の内部の温度との対応関係を示している。関係情報I22が示す対応関係は、一例として予め実験などで計測して得られた値であってよい。例えば、バッテリシェアサービスシステム1の管理者は、同時に稼働状態となる着脱式バッテリ100の個数が2つであるときの、同時の稼働状態となっている時間(同時稼働時間)に応じた、着脱式バッテリ100の温度の統計値を、各着脱式バッテリ100に備わる温度センサ131から得られた値に基づいて算出する。着脱式バッテリ100の温度の統計値は、対応する同時稼働時間における各着脱式バッテリ100の温度の平均値であってよい。この場合、温度推定部330は、バッテリ温度検出部213が検出した複数の温度の平均値に基づいて、バッテリ交換装置220の内部の温度を推定する。また管理者は、同時に稼働状態となる着脱式バッテリ100の個数が2つであるときの、同時の稼働状態となっている時間(同時稼働時間)に応じた、バッテリ交換装置220の内部の温度の計測値や統計値を計測する。管理者は、同時に稼働状態となる着脱式バッテリ100の個数が2つ以外の個数である場合の同時の稼働状態となっている時間(同時稼働時間)に応じた、着脱式バッテリ100の温度の統計値と、バッテリ交換装置220の内部の温度の計測値や統計値を算出、又は、計測する。管理者は、同時に稼働状態となる着脱式バッテリ100の個数がn(n≧1)であるときの、同時の稼働状態となっている時間(同時稼働時間)に応じた、着脱式バッテリ100の温度の統計値と、バッテリ交換装置220の内部の温度の計測値や統計値とを紐づけた、関係情報I22を作成し、管理サーバ装置300の記憶部370に記録しておく。
温度推定部330は、図12で示す関係情報I22を用いて、以下のように、バッテリ交換装置220の内部の温度を推定する。具体的には、温度推定部330は、現在の同時稼働状態の着脱式バッテリ100の個数とその稼働状態の着脱式バッテリ100の識別子と、それら識別子の着脱式バッテリ100の同時稼働時間とを、制御履歴情報I12から特定する。温度推定部330は、特定した識別子の各着脱式バッテリ100の温度の統計値を算出する。温度推定部330は、バッテリ交換装置220に装着されている現在の各着脱式バッテリ100の個数、それらの同時稼働時間、温度の統計値の組み合わせと、関係情報I22に同じ着脱式バッテリ100の個数に紐づいて記録されている同時稼働時間と、着脱式バッテリ100の温度の統計値と、バッテリ交換装置220の内部の温度の組み合わせとの関係に基づいて、現在のバッテリ交換装置220の内部の温度を、補間計算による推定する。
着脱式バッテリ100は、DC/DC変換器271に対して充電している、または、着脱式バッテリ100がDC/DC変換器271によって充電されている状態(以下、「充放電状態」という)にあることがある。温度推定部330は、例えば、着脱式バッテリ100が充放電状態にあるときに、温度センサ131が検出した温度に基づいて、バッテリ交換装置220の温度を推定する。
以上の説明では、温度推定部330が関係情報I22のようなテーブル情報に基づいて、バッテリ交換装置220の内部の温度を推定する例について説明したが、上記例に限定されない。例えば、温度推定部330は、回帰分析により求められた計算式を用いてバッテリ交換装置220の内部の温度の推定を行ってもよいし、機械学習により求められた学習済みモデル(例えばニューラルネットワーク)を用いて当該温度の推定を行ってもよい。
比較部335は、バッテリ交換装置220の異常の判定を行うために、温度推定部330により推定されたバッテリ交換装置220の内部の温度と、記憶部370に記憶された所定温度、又は、基準温度を比較する。
異常判定部340は、バッテリ交換装置220の異常の判定として、バッテリ交換装置220の内部の温度が所定以上(所定温度以上)のとき、又は、当該内部の温度と基準温度との差異が所定以上のとき、に、排気口253に異常が生じていると判定する。「判定部」の一例であり、「対処部」の一例である。このときのバッテリ交換装置220の内部の温度は「観測量」の一例であり、記憶部370に記憶された所定温度及び基準温度は「参照量」の一例である。記憶部370に記憶された所定温度は、例えば、過去の所定温度であり、基準温度は、例えば、予め求めたバッテリ交換装置220の使用中における観測量である。排気口253は、バッテリ交換装置220の筐体251の内部と外部とを連通する連通路の一例である。
報知情報出力部350は、情報取得部310により取得された状態情報と、記憶部370に記憶されたステーション管理情報I23とに基づき、所定のモニタリング情報を生成し、生成したモニタリング情報を、バッテリシェアサービスシステム1の管理者P1が使用する端末装置T1に送信する。モニタリング情報は、各バッテリ交換ステーション200に関する監視に供される情報であり、例えば、各バッテリ交換ステーション200のステーションIDや位置(設置場所)と、各バッテリ交換ステーション200で測定された着脱式バッテリ100の温度の推移などを含む情報である。これにより、管理者P1は、各バッテリ交換ステーション200で測定された着脱式バッテリ100の温度の推移を遠隔監視することができる。
さらに、報知情報出力部350は、温度推定部330により推定した各バッテリ交換装置220の内部の温度を含む報知情報を生成する。そして報知情報出力部350は、生成した報知情報を、上記端末装置T1と各バッテリ交換ステーション200を担当する保安要員P2が使用する端末装置T2に送信することにより、バッテリ交換装置220の異常に対処する。またさらに、報知情報出力部350は、異常判定部340により判定した排気口253の異常の有無を含む報知情報を生成してよい。そして報知情報出力部350は、生成した報知情報を、上記端末装置T1と各バッテリ交換ステーション200を担当する保安要員P2が使用する端末装置T2に送信する。これにより、端末装置T1,T2は、画面出力または音声出力により報知情報を報知する。報知情報出力部350は、「対処部」の別の一例であり、「出力部」の一例でもある。
報知情報は、バッテリ交換ステーション200の保守若しくは整備に供される情報であり、例えばバッテリ交換ステーション200のステーションIDおよび位置(設置場所)、保安要員P2または保守整備要員がバッテリ交換ステーション200を訪問すべき時期、バッテリ交換ステーション200の修理または交換を行う場合に必要な保守整備要員の数、持ち運ぶべき電気部品の種類および数、などの情報を含んでもよい。
制御指令出力部360は、異常判定部340が排気口253の異常が有ると判定した場合に、排気口253に異常が生じていることを示す報知を行う、又は、バッテリ交換装置の稼働状態を抑制する。制御指令出力部360は、「対処部」の別の一例であり、「出力部」の一例でもある。
記憶部370は、状態履歴情報I21、関係情報I22、ステーション管理情報I23、制御情報I24を記憶する。制御情報I24は、管理サーバ装置300、ステーション制御装置210、バッテリ交換装置220を制御するための情報であってよい。
[6.処理流れ]
次に、温度推定に関する処理流れについて説明する。
図13は、ステーション制御装置210の処理流れの一例を示すフローチャートである。
温度推定部330は、着脱式バッテリ100がバッテリ交換装置220に装着された状態を状態履歴情報I21から検出すると、以下の処理フローを開始する。
まず、温度推定部330は、バッテリ交換ステーション200から取得される制御履歴情報I12に基づき、同時稼働状態となる着脱式バッテリ100の個数を特定する(S101)。例えば温度推定部330は、制御履歴情報I12において、充電開始時刻または放電開始時刻の情報が紐づいて記録される一方で、充電終了時刻や放電終了時刻が紐づいて記録されていない着脱式バッテリ100の識別子と、それら着脱式バッテリ100の稼働開始時刻(充電開始時刻、又は、放電開始時刻)を、制御履歴情報I12から読み取る。当該着脱式バッテリ100の識別子は稼働状態の着脱式バッテリ100を示す。温度推定部330は、その読み取った着脱式バッテリ100の識別子の個数を、同時稼働状態となる着脱式バッテリ100の個数と特定する。
温度推定部330は、同時稼働状態の各着脱式バッテリ100の稼働開始時刻に基づいて、同時稼働時間を算出する(S102)。例えば、同時稼働状態の着脱式バッテリ100が2つであるとすると、そのうちの第一の着脱式バッテリ100の稼働開始時刻から現在時刻までの第一稼働時間と、第二の着脱式バッテリ100の稼働開始時刻から現在時刻までの第二稼働時間との差が、同時稼働時間として算出できる。
温度推定部330は、バッテリ交換ステーション200から取得されるバッテリ状態情報I13に基づき、現在の同時稼働状態となる各着脱式バッテリ100の識別子に紐づく温度を取得する(S103)。温度推定部330は、現在の同時稼働状態となる各着脱式バッテリ100の識別子に紐づく温度の平均値を、着脱式バッテリ100の温度の統計値として算出する(S104)。など、温度推定部330は、現在時刻を基準とした過去の複数時刻における同時稼働状態となる各着脱式バッテリ100の識別子に紐づく温度に基づいて、現在の同時稼働状態となる各着脱式バッテリ100の識別子に紐づく温度の統計値を算出するようにしてもよい。
温度推定部330は、上述の処理により算出した、現在の同時稼働状態の着脱式バッテリ100の個数、同時稼働時間、現在の着脱式バッテリ100の温度の統計値からなる第一の組み合わせを特定する。また温度推定部330は、関係情報I22において、第一の組み合わせが示す個数と同数の同時稼働状態の着脱式バッテリ100の個数に紐づいて記録されている同時稼働時間、着脱式バッテリ100の温度の統計値、バッテリ交換装置220の内部の温度からなる第二の組み合わせを特定する。そして、温度推定部330は、第一の組み合わせに含まれる、同時稼働時間と、現在の着脱式バッテリ100の温度の統計値と、第二の組み合わせに含まれる、同時稼働時間、着脱式バッテリ100の温度の統計値と、バッテリ交換装置220の内部の温度との関係に基づいて、補間計算により、現在のバッテリ交換装置220の内部の温度を算出する(S105)。
温度推定部330は、任意の着脱式バッテリ100の個数に応じた、同時稼働時間と、着脱式バッテリ100の温度の統計値とを入力として、その入力値の時のバッテリ交換装置220の内部の温度を出力とした場合の、入力と出力の関係を機械学習して、バッテリ交換装置220の内部の温度の推定値を予測する予測モデルを生成してもよい。そして温度推定部330は、その同時稼働状態の着脱式バッテリ100の個数に応じた予測モデルに、同時稼働時間と、着脱式バッテリ100の温度の統計値を入力した結果、バッテリ交換装置20の内部の温度を算出するようにしてもよい。報知情報出力部350は、算出したバッテリ交換装置20の内部の温度を報知情報として所定の出力先に出力してよい。出力先は、端末装置T1,T2であってよい。
異常判定部340は、温度推定部330の算出結果に基づいて、フィルタ266またはファン254に異常が生じているかを判定する(S106)。具体的には、異常判定部340は、バッテリ交換装置220の内部の温度と閾値とを比較して、当該内部の温度が閾値以上のときに、フィルタ266またはファン254に異常が生じていると判定する。または、異常判定部340は、バッテリ交換装置220の内部の温度と基準温度との差を算出して、当該差が所定値以上であるときに、フィルタ266またはファン254に異常が生じていると判定する。これら異常が生じているとの判定は、連通路に異常が生じていると判定する処理の一態様である。
なお管理サーバ装置300の異常判定部340は、基準温度を、バッテリ交換装置220の筐体251の外部の温度(以下、「外部温度」ともいう)に基づいて、求めるようにしてもよい。この場合、管理サーバ装置300の情報取得部310は、バッテリ交換装置220の筐体251の外部に設けられた温度センサの計測した温度の値を、ステーション制御装置210を介してバッテリ交換装置220から受信する。温度推定部330は、情報取得部310により取得された温度に基づいて、筐体251の外部の温度を推定する。異常判定部30は、温度推定部330により推定された筐体251の外部の温度の値を用いて基準温度を算出してよい。基準温度は、バッテリ交換装置220の筐体251の外部に設けられた温度センサの計測した温度の値そのものであってもよいし、その温度の値に何等かの係数を乗じて算出しても、所定の基準温度算出式に入力して算出してもよい。
なお、基準温度を求めるために用いる、バッテリ交換装置220の外部の温度は、電気的に稼働していない着脱式バッテリ100のうち、前回の稼働終了時点から所定時間が経過している着脱式バッテリ100の内部に設けられた温度センサ131が検出した温度であってもよい。この場合も、管理サーバ装置300の情報取得部310は、電気的に稼働していないのうち、前回の稼働終了時点から所定時間が経過している着脱式バッテリ100の内部に設けられた温度センサ131の計測した温度の値を、ステーション制御装置210を介してバッテリ交換装置220から受信し、その温度の値を用いて基準温度を算出してよい。基準温度は、電気的に稼働していない着脱式バッテリ100の内部に設けられた温度センサ131の計測した温度の値そのものであってもよいし、その温度の値に何等かの係数を乗じて算出しても、所定の基準温度算出式に入力して算出してもよい。この場合、温度推定部330は、例えば、複数のバッテリスロット221に収容された着脱式バッテリ100のうち、電気的に稼働していない着脱式バッテリ100に設けられた温度センサ131が検出した温度に基づいて、筐体251の外部の温度を推定してもよい。
基準温度の算出において、電気的に稼働していない着脱式バッテリ100が存在しない場合、基準温度を、過去の所定期間内の総稼働時間が最も少ないバッテリ交換装置220の内部に設けられた温度センサ131の検出した温度に基づいて、求めるようにしてもよい。この場合、管理サーバ装置300の異常判定部340は、制御履歴情報I12に含まれる各バッテリ交換装置220の稼働開始時刻と稼働終了時刻とを取得して、各バッテリ交換装置220の過去の所定期間内の総稼働時間を算出する。異常判定部340は、最も総稼働時間が短いバッテリ交換装置220を特定し、そのバッテリ交換装置220の内部に設けられた温度センサ131の計測した温度の値を用いて、基準温度を上述と同様に求める。
この場合、温度推定部330は、電気的に稼働していない着脱式バッテリ100のうち、前回の稼働終了時点から所定時間が経過している着脱式バッテリ100に設けられた温度センサ131が検出した温度に基づいて、筐体251の外部の温度を推定してもよい。あるいは、温度推定部330は、電気的に稼働していない着脱式バッテリ100が存在しない場合、電気的に稼働している着脱式バッテリ100のうち、過去の所定期間内の総稼働量が最も少ない着脱式バッテリ100に設けられた温度センサ131が検出した温度に基づいて、筐体251の外部の温度を推定してもよい。総稼働量は、総稼働時間の一例である。総稼働量は、総稼働時間以外、例えば、創出入力電力量でもよい。
異常判定部340はフィルタ266またはファン254に異常が生じていると判定した場合、報知情報出力部350と、制御指令出力部360に異常時の処理を指示する。
報知情報出力部350は、異常判定部340から異常時の処理の指示を取得すると、異常を示す情報を報知情報として所定の出力先に出力する(S107)。出力先は、端末装置T1,T2であってよい。異常を示す情報には、推定したバッテリ交換装置220の内部の温度、その温度と閾値との差、推定したバッテリ交換装置220の内部の温度と基準温度との差、当該バッテリ交換装置220の識別子、当該バッテリ交換装置220と接続されるステーション制御装置210の識別子、異常と判定された日時、などの情報が含まれてよい。これら、報知情報に含まれる、バッテリ交換装置220の識別子、当該バッテリ交換装置220と接続されるステーション制御装置210の識別子、異常と判定された日時、などの情報は、バッテリ交換装置220(電力装置)の保守又は整備に供される情報の一例である。つまり報知情報出力部350は、バッテリ交換装置220の内部の温度が所定以上のとき、又は、バッテリ交換装置220の内部の温度と基準温度との差異が所定以上のとき、に、バッテリ交換装置220(電力装置)の保守又は整備に供される情報を出力する出力部の一態様である。
制御指令出力部360は、異常判定部340から異常時の処理の指示を取得すると、所定の制御指令を生成する(S108)。制御指令出力部360は、制御指令として、バッテリ交換装置220の稼働状態を抑制する情報を生成してよい。バッテリ交換装置220の稼働状態を抑制する情報とは、一例としては、着脱式バッテリ100の充電、又は、放電を停止させることを指示する情報であってよい。またはバッテリ交換装置220の稼働状態を抑制する情報とは、一例としては、着脱式バッテリ100の単位時間当たりの充電量、又は、単位時間当たりの放電量を低下させることを指示する情報であってよい。制御指令出力部360は、生成した制御指令を、異常と判定されたバッテリ交換装置220と接続するステーション制御装置210へ送信する(S109)。
ステーション制御装置210は制御指令を受信する。ステーション制御装置210の充放電制御部212は、制御指令に基づいて、異常と判定されたバッテリ交換装置220の、稼働状態を抑制する制御を行う。具体的には、充放電制御部212は、異常と判定されたバッテリ交換装置220に装着されている着脱式バッテリ100の充電、又は、放電を停止させることを指示する。または充放電制御部212は、異常と判定されたバッテリ交換装置220に装着されている着脱式バッテリ100の単位時間当たりの充電量、又は、単位時間当たりの放電量を低下させる。これにより、一連の処理が終了する。
[7.利点]
第1実施形態では、管理サーバ装置300(温度推定装置)は、バッテリ交換装置220(電力装置)に着脱可能に保持される着脱式バッテリ100(蓄電装置)の内部に設けられた温度センサ131(温度検出部)が検出した温度に基づいて、着脱式バッテリ100(蓄電装置)が装着されたバッテリ交換装置220(電力装置)の筐体251の内部の温度を推定する。このような構成によれば、バッテリ交換装置220(電力装置)の内部に温度センサ(温度検出部)を備えることなく、着脱式バッテリ100(蓄電装置)の内部に設けられた温度センサ131(温度検出部)を用いて、バッテリ交換装置220(電力装置)の筐体251の内部の温度を推定することができる。従って、バッテリ交換装置220(電力装置)の筐体251の内部の温度を推定するために、バッテリ交換装置220(電力装置)の内部に温度センサ(温度検出部)を備える必要が無いため、バッテリ交換装置220(電力装置)の構成(部品点数)を削減することができる。そして、バッテリ交換装置220(電力装置)の構成(部品点数)を削減により、バッテリ交換装置220に対するコストをかけずに、バッテリ交換装置220(電力装置)の筐体251の内部の温度を推定することができる。
また第1実施形態では、管理サーバ装置300(温度推定装置)は、着脱式バッテリ100(蓄電装置)の内部の温度が所定以上のとき、又は、当該内部の温度と基準温度との差異が所定以上のとき、に、フィルタ266またはファン254(連通路)に異常が生じていると判定し、フィルタ266またはファン254に異常が生じていることを示す報知を行う、又は、バッテリ交換装置220(電力装置)の稼働状態を抑制する。このような構成によれば、フィルタ266またはファン254などの連通路に関する異常、清浄装置に関する異常を、バッテリ交換装置220(電力装置)の筐体251の内部空間にセンサを備えなくとも、着脱式バッテリ100(蓄電装置)の内部に設けられた温度センサ131(温度検出部)を用いて、判定することができる。フィルタ266またはファン254などの連通路に関する異常、清浄装置に関する異常を判定するために、バッテリ交換装置220(電力装置)の内部に温度センサ(温度検出部)を備える必要が無いため、バッテリ交換装置220(電力装置)の構成(部品点数)を削減することができる。そして、バッテリ交換装置220(電力装置)の構成(部品点数)を削減により、バッテリ交換装置220に対するコストをかけずに、フィルタ266またはファン254などの連通路に関する異常、清浄装置に関する異常を判定することができる。またこのような構成によれば、フィルタ266またはファン254などの連通路に関する異常、清浄装置に関する異常がある場合に、管理者にその異常を通知することができ、又は、バッテリ交換装置220(電力装置)の稼働状態を抑制により、バッテリ交換装置220(電力装置)の内部に装着されている着脱式バッテリ100の障害の発生を抑制することができる。
また第1実施形態では、管理者は、端末装置T1、T2で受信した報知情報に含まれるバッテリ交換装置220の内部の温度を継続的にモニターすることで、フィルタ266の交換などの連通路のメンテンナスが、いつ頃必要かを想定することができるので、メンテナンスに必要なフィルタなどの部品の余剰在庫を削減することができる。また管理者は、計画的にメンテナンスをすることができるので、突発作業が無く、作業者の勤務計画をたてやすくなる。
以上説明した本実施形態では、着脱式バッテリ100を格納するバッテリ交換装置220(電力装置)において、適切に、そのバッテリ交換装置220の筐体251の内部の温度管理を行うことができる。また本実施形態では、着脱式バッテリ100を格納するバッテリ交換装置220の筐体251の内部に温度センサを設けなくとも、適切に、その筐体251の内部の温度管理を行うことができる。
次に、いくつかの変形例ついて説明する。
(第1変形例)
温度推定部330、異常判定部340、報知情報出力部350、制御指令出力部360、および記憶部370のうち全部または一部の機能部は、管理サーバ装置300に代えて、バッテリ交換ステーション200の内部に設けられてもよい。このような構成でも、上述した第1実施形態と同様に、バッテリ交換ステーション200は、着脱式バッテリ100を格納するバッテリ交換装置(電力装置)の筐体251の内部に温度センサを設けなくとも、適切に、その筐体251の内部の温度管理を行うことができる。
(第2変形例)
温度推定部330、異常判定部340、報知情報出力部350、制御指令出力部360、および記憶部370のうち全部または一部の機能部は、管理サーバ装置300に代えて、バッテリ交換装置220の内部に設けられてもよい。このような構成でも、上述した第1実施形態と同様に、バッテリ交換装置220は、着脱式バッテリ100を格納するバッテリ交換装置(電力装置)の筐体251の内部に温度センサを設けなくとも、適切に、その筐体251の内部の温度管理を行うことができる。
上述の管理サーバ装置300、バッテリ交換ステーション200、バッテリ交換装置220の何れかは、上述したような構成を備えた温度推定装置と定義されてよい。温度制御装置は、推定部を備える。当該推定部は、バッテリ交換装置220に着脱可能に保持される着脱式バッテリ100内に設けられた温度センサ131が検出した温度に基づいて、着脱式バッテリ100が装着されたバッテリ交換装置220の温度を推定する。そして温度制御装置は、バッテリ交換装置220の筐体251の内部の温度が所定以上のとき、又は、当該筐体251の内部の温度と基準温度との差異が所定以上のとき、に、連通路に異常が生じていると判定し、連通路に異常が生じていることを示す報知を行う、又はバッテリ交換装置220の稼働状態を抑制する。
上述の管理サーバ装置300、バッテリ交換ステーション200、バッテリ交換装置220の何れかは、上述したような構成を備えた異常対応装置と定義されてよい。異常対応装置は、推定部を備える。当該推定部は、バッテリ交換装置220に着脱可能に保持される着脱式バッテリ100内に設けられた温度センサ131が検出した温度に基づいて、着脱式バッテリ100が装着されたバッテリ交換装置220の温度を推定する。そして異常対応装置は、バッテリ交換装置220に格納される複数のバッテリ交換装置220のうち電気的に稼働しているバッテリ交換装置220に設けられた温度センサ131が検出した温度に基づいて、バッテリ交換装置220に異常が生じていると判定する、バッテリ交換装置220に異常が生じていることを示す報知を行う、又は、バッテリ交換装置220の稼働状態を抑制する、の少なくとも何れか一つである対応制御を行う。異常対応装置は、温度センサ131が検出した温度と、複数の着脱式バッテリ100のうち電気的に稼働していない着脱式バッテリ100に設けられた温度センサ131が検出した他の温度と、に基づいて、対応制御を行う。
(他の実施形態)
上述の第1実施形態では、管理サーバ装置300は、着脱式バッテリ100(蓄電装置)内に設けられた温度センサ131(温度検出部)が検出した温度に基づいて、バッテリ交換装置220(電力装置)の内部の温度を推定している。そして上述の第1実施形態では、管理サーバ装置300は、バッテリ交換装置220(電力装置)の内部の温度が所定以上の場合、又は、当該内部の温度と基準温度との差異が所定以上の場合、に、排気口253等の連通路に異常が生じていると判定する、当該連通路に異常が生じていることを示す報知を行う、又は、バッテリ交換装置220(電力装置)の稼働状態を抑制している。しかしながら、管理サーバ装置300は、稼働している着脱式バッテリ100(蓄電装置)内に設けられた温度センサ131(温度検出部)が検出した温度と、稼働していない着脱式バッテリ100(蓄電装置)内に設けられた温度センサ131(温度検出部)が検出した温度との差に基づいて、排気口253等の連通路に異常が生じていると判定する、当該連通路に異常が生じていることを示す報知を行う、又は、バッテリ交換装置220(電力装置)の稼働状態を抑制するようにしてもよい。この場合の例について、以下に説明する。
[処理流れ]
次に、他の実施形態における温度推定に関する処理流れについて説明する。
図14は、ステーション制御装置210の処理流れの一例を示す第二のフローチャートである。
温度推定部330は、着脱式バッテリ100がバッテリ交換装置220に装着された状態を状態履歴情報I21から検出すると、以下の処理フローを開始する。
温度推定部330は、バッテリ交換ステーション200から取得される制御履歴情報I12に基づき、電気的に稼働状態となる着脱式バッテリ100と、電気的に稼働状態でない着脱式バッテリ100とを特定する(S201)。例えば温度推定部330は、制御履歴情報I12において、充電開始時刻または放電開始時刻の情報が紐づいて記録される一方で、充電終了時刻や放電終了時刻が紐づいて記録されていない着脱式バッテリ100の識別子を特定し、それらの着脱式バッテリ100を電気的に稼働状態となる着脱式バッテリ100と特定する。温度推定部330は着脱式バッテリ100と特定しない着脱式バッテリ100を、電気的に稼働状態でない着脱式バッテリ100と特定する。温度推定部330は、制御履歴情報I12において、充電終了時刻や放電終了時刻が紐づいて記録されている着脱式バッテリ100の識別子を特定し、それらの着脱式バッテリ100を電気的に稼働状態でない着脱式バッテリ100と特定してもよい。
温度推定部330は、電気的に稼働状態となる着脱式バッテリ100それぞれの温度を、ステーション制御装置210から取得したバッテリ状態情報I13に基づいて検出する。温度推定部330は、電気的に稼働状態となる着脱式バッテリ100が複数ある場合には、それらの温度のうち最も高い温度を代表バッテリ温度と特定する(S202)。温度推定部330は、電気的に稼働状態となる着脱式バッテリ100が複数ある場合には、それらの温度の平均を算出して代表バッテリ温度と特定してもよい。温度推定部330は、電気的に稼働状態となる着脱式バッテリ100が1つである場合には、その温度を代表バッテリ温度と特定してよい。
温度推定部330は、電気的に稼働状態でない着脱式バッテリ100それぞれの温度を、ステーション制御装置210から取得したバッテリ状態情報I13に基づいて検出する。温度推定部330は、電気的に稼働状態でない着脱式バッテリ100が複数ある場合には、それらの温度のうち最も低い温度を推定外部温度と特定する(S203)。なお推定外部温度は、バッテリ交換装置220の筐体251の外部の温度であってよい。温度推定部330は、電気的に稼働状態でない着脱式バッテリ100が複数ある場合には、それらの温度の平均を算出して推定外部温度と特定してよい。温度推定部330は、電気的に稼働状態となる着脱式バッテリ100が1つである場合には、その温度を推定外部温度と特定してよい。報知情報出力部350は、算出した代表バッテリ温度と推定外部温度の少なくとも一方を、報知情報として所定の出力先に出力してよい。出力先は、端末装置T1,T2であってよい。
異常判定部340は、温度推定部330の代表バッテリ温度と推定外部温度との算出結果に基づいて、フィルタ266またはファン254に異常が生じているかを判定する。具体的には、異常判定部340は、代表バッテリ温度と推定外部温度との差異を算出する(S204)。なお代表バッテリ温度は電気的に稼働している着脱式バッテリ100の温度であるため代表バッテリ温度>推定外部温度となる。異常判定部340は、代表バッテリ温度と推定外部温度との差異が所定の閾値以上であるかを判定する(S205)。異常判定部340は、代表バッテリ温度と推定外部温度との差異が所定の閾値以上の時に、フィルタ266またはファン254に異常が生じていると判定する。なお、異常判定部340は、代表バッテリ温度が所定の値以上の時に、フィルタ266またはファン254に異常が生じていると判定してもよい。これら異常が生じているとの判定は、連通路に異常が生じていると判定する処理の一態様である。
なお管理サーバ装置300の異常判定部340は、推定外部温度を、バッテリ交換装置220の筐体251の外部の温度に基づいて、求めるようにしてもよい。この場合、管理サーバ装置300の情報取得部310は、バッテリ交換装置220の筐体251の外部に設けられた温度センサの計測した温度の値を、ステーション制御装置210を介してバッテリ交換装置220から受信し、その温度の値を用いて推定外部温度を算出してよい。推定外部温度は、バッテリ交換装置220の筐体251の外部に設けられた温度センサの計測した温度の値そのものであってもよいし、その温度の値に何等かの係数を乗じて算出しても、所定の推定外部温度算出式に入力して算出してもよい。
推定外部温度の算出において、電気的に稼働していないバッテリ交換装置220が存在しない場合、推定外部温度を、過去の所定期間内の総稼働時間が最も少ないバッテリ交換装置220の内部に設けられた温度センサ131の検出した温度に基づいて、求めるようにしてもよい。この場合、管理サーバ装置300の異常判定部340は、制御履歴情報I12に含まれる各バッテリ交換装置220の稼働開始時刻と稼働終了時刻とを取得して、各バッテリ交換装置220の過去の所定期間内の総稼働時間を算出する。異常判定部340は、最も総稼働時間が短いバッテリ交換装置220を特定し、そのバッテリ交換装置220の内部に設けられた温度センサ131の計測した温度の値を用いて、推定外部温度を上述と同様に求める。
異常判定部340はフィルタ266またはファン254に異常が生じていると判定した場合、報知情報出力部350と、制御指令出力部360に異常時の処理を指示する。
報知情報出力部350は、異常判定部340から異常時の処理の指示を取得すると、異常を示す情報を報知情報として所定の出力先に出力する(S206)。出力先は、端末装置T1,T2であってよい。異常を示す情報には、代表バッテリ温度、推定外部温度、代表バッテリ温度と推定外部温度との差異、それら温度を推定した着脱式バッテリ100を格納するバッテリ交換装置220の識別子、当該バッテリ交換装置220と接続されるステーション制御装置210の識別子、異常と判定された日時、などの情報が含まれてよい。これら、報知情報に含まれる、バッテリ交換装置220の識別子、当該バッテリ交換装置220と接続されるステーション制御装置210の識別子、異常と判定された日時、などの情報は、バッテリ交換装置220(電力装置)の保守又は整備に供される情報の一例である。つまり報知情報出力部350は、電気的に稼働している着脱式バッテリ100の温度と、電気的に稼働していない着脱式バッテリ100の温度との差異が所定以上の場合、に、バッテリ交換装置220(電力装置)の保守又は整備に供される情報を出力する出力部の一態様である。
制御指令出力部360は、異常判定部340から異常時の処理の指示を取得すると、所定の制御指令を生成する(S207)。制御指令出力部360は、制御指令として、バッテリ交換装置220の稼働状態を抑制する情報を生成してよい。バッテリ交換装置220の稼働状態を抑制する情報とは、一例としては、着脱式バッテリ100の充電、又は、放電を停止させることを指示する情報であってよい。またはバッテリ交換装置220の稼働状態を抑制する情報とは、一例としては、着脱式バッテリ100の単位時間当たりの充電量、又は、単位時間当たりの放電量を低下させることを指示する情報であってよい。制御指令出力部360は、生成した制御指令を、異常と判定されたバッテリ交換装置220と接続するステーション制御装置210へ送信する(S208)。
ステーション制御装置210は制御指令を受信する。ステーション制御装置210の充放電制御部212は、制御指令に基づいて、異常と判定されたバッテリ交換装置220の、稼働状態を抑制する制御を行う。具体的には、充放電制御部212は、異常と判定されたバッテリ交換装置220に装着されている着脱式バッテリ100の充電、又は、放電を停止させることを指示する。または充放電制御部212は、異常と判定されたバッテリ交換装置220に装着されている着脱式バッテリ100の単位時間当たりの充電量、又は、単位時間当たりの放電量を低下させる。これにより、一連の処理が終了する。
[利点]
本実施形態では、管理サーバ装置300(温度推定装置)は、バッテリ交換装置220(電力装置)に着脱可能に保持される着脱式バッテリ100(蓄電装置)の内部に設けられた温度センサ131(温度検出部)が検出した温度に基づいて、着脱式バッテリ100(蓄電装置)の温度を推定(特定)する。このような構成によれば、バッテリ交換装置220(電力装置)の内部に温度センサ(温度検出部)を備えることなく、着脱式バッテリ100(蓄電装置)の温度を推定(特定)することができる。従って、着脱式バッテリ100(蓄電装置)の温度を推定するために、バッテリ交換装置220(電力装置)の内部に温度センサ(温度検出部)を備える必要が無いため、バッテリ交換装置220(電力装置)の構成(部品点数)を削減することができる。そして、バッテリ交換装置220(電力装置)の構成(部品点数)を削減により、バッテリ交換装置220に対するコストをかけずに、着脱式バッテリ100(蓄電装置)の温度を推定することができる。
また本実施形態では、管理サーバ装置300(温度推定装置)は、着脱式バッテリ100(蓄電装置)の代表温度と推定外部温度との差異が所定以上のとき、又は、着脱式バッテリ100(蓄電装置)の代表温度の値が所定の閾値以上のとき、に、フィルタ266またはファン254(連通路)に異常が生じていると判定し、フィルタ266またはファン254に異常が生じていることを示す報知を行う、又は、バッテリ交換装置220(電力装置)の稼働状態を抑制する。このような構成によれば、フィルタ266またはファン254などの連通路に関する異常、清浄装置に関する異常を、バッテリ交換装置220(電力装置)の筐体251の内部空間にセンサを備えなくとも、着脱式バッテリ100(蓄電装置)の内部に設けられた温度センサ131(温度検出部)を用いて、判定することができる。フィルタ266またはファン254などの連通路に関する異常、清浄装置に関する異常を判定するために、バッテリ交換装置220(電力装置)の内部に温度センサ(温度検出部)を備える必要が無いため、バッテリ交換装置220(電力装置)の構成(部品点数)を削減することができる。そして、バッテリ交換装置220(電力装置)の構成(部品点数)を削減により、バッテリ交換装置220に対するコストをかけずに、フィルタ266またはファン254などの連通路に関する異常、清浄装置に関する異常を判定することができる。またこのような構成によれば、フィルタ266またはファン254などの連通路に関する異常、清浄装置に関する異常がある場合に、管理者にその異常を通知することができ、又は、バッテリ交換装置220(電力装置)の稼働状態を抑制により、バッテリ交換装置220(電力装置)の内部に装着されている着脱式バッテリ100の障害の発生を抑制することができる。
また本実施形態では、管理者は、端末装置T1、T2で受信した報知情報に含まれる代表バッテリ温度や、代表バッテリ温度と推定外部温度との差異を継続的にモニターすることで、フィルタ266の交換などの連通路のメンテンナスが、いつ頃必要かを想定することができるので、メンテナンスに必要なフィルタなどの部品の余剰在庫を削減することができる。また管理者は、計画的にメンテナンスをすることができるので、突発作業が無く、作業者の勤務計画をたてやすくなる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態のバッテリシェアサービスシステムは、第1実施形態と比較して、バッテリ交換装置230(図15)及び管理サーバ装置400(図16)の構成が主に異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心として、第2実施形態のバッテリシェアサービスについて説明する。以下の説明において、第1実施形態と共通する部材や機能については、同一の番号を付してその説明を省略することがある。
第2実施形態のバッテリ交換装置230について説明する。図15は、第2実施形態のバッテリ交換装置230の一例を示す断面図である。第2実施形態のバッテリ交換装置230は、第1実施形態のバッテリ交換装置220と比較して、外部温度センサ231及びファン制御基板256を備える点で主に異なる。
外部温度センサ231は、例えば、筐体251の外側における前壁251bの上部であって、フィルタ266よりも上方に設けられる。外部温度センサ231は、筐体251の外部の空気温度(以下、外部温度)を検出する。外部温度センサ231は、排気口253よりも吸気口252に近い位置に配置されている。外部温度センサ231は、「空気温度検出部」及び「外部温度検出部」の一例である。
筐体251における吸気側では、筐体251から排出される比較的高熱の空気がないので、外気の温度を精度良く検出できる。外部温度センサ231は、筐体251の外部に設けられるが、その他の位置に設けられてもよい。外部温度センサ231は、筐体251の内部に設けられてもよい。外部温度センサ231は、フィルタ266よりも下方に設けられてもよいし、後壁251cに設けられてもよい。
外部温度センサ231は、検出した外部温度の情報をステーション制御装置210に出力する。ステーション制御装置210は、外部温度センサ231により出力された外部温度の情報を情報出力部214により管理サーバ装置400に送信する。バッテリ交換装置230は、「電力装置」の一例である。情報出力部214は、「送信部」の一例である。
バッテリ交換装置230は、第1実施形態と同様に、バッテリ交換装置230に装着された着脱式バッテリ100を備える。着脱式バッテリ100は、蓄電部120を備える。バッテリ交換装置230は、着脱式バッテリ100を着脱可能に収容するバッテリスロット221を備える。着脱式バッテリ100は、「蓄電装置」の一例である。第2実施形態の着脱式バッテリ100は、バッテリ交換装置230に対して着脱式とされているが、バッテリ交換装置230に対して着脱不能に装着されていてもよい。バッテリスロット221が着脱式バッテリを収容することにより、筐体251は、蓄電部120を収容する。
バッテリ交換装置230は、第1実施形態と同様のファン254のほか、ファン254を制御するファン制御基板256を備える。ファン254は、筐体251の内外の空気の流動を補助する。ファン254は、モータ及び羽根を備える。ファン254は、ファン制御基板256の制御に応じて駆動する。ファン254は、「起風部」及び「冷却ファン」の一例である。
ファン制御基板256は、バッテリ交換装置230の使用中に、ファン254のモータを駆動させることによって羽根を回転させてファン254を稼働させる。ファン制御基板256は、例えば、外部温度センサ231により検出される外部温度及び管理サーバ装置400の温度推定部330において推定されたバッテリ交換装置230の内部の温度(以下、内部温度)に基づいて、ファン254を駆動制御する。ファン制御基板256は、制御基板273とは独立して設けられるが、制御基板273の一部として設けられてもよい。
内部温度は、温度推定部330において推定された温度以外の温度でもよく、例えば、バッテリ交換装置230の内部の温度を検出する内部温度センサにより検出された温度でもよい。内部温度センサは、バッテリ交換装置230の内部の空気温度を検出するものでもよいし、バッテリ交換装置230の内部に設けられた部品の温度を検出するものでもよいし、これらの温度に基づいて算出された温度でもよい。
ファン制御基板256は、例えば、外部温度センサ231により検出される外部温度に基づいて、単位時間当たりのファン254の稼働時間を設定する。ファン制御基板256は、ファン254を稼働させる間、温度推定部330により推定される内部温度に基づいて、ファン254の稼働時間(以下、ファン稼働時間)を調整する。例えば、ファン254を回転させることにより、内部温度が下降して、外部温度に近づいていく。内部温度の下降に伴い、ファン制御基板256は、ファン254の稼働時間を徐々に減少させる。内部温度の下降度合いが低いと、ファン254の稼働時間の減少量が少なくなる。
ファン制御基板256は、ファン254は間欠的に稼働させる。ここでいうファン稼働時間は、単位時間当たりのファン254の稼働時間を意味する。したがって、例えば一定の動力でファン254を作動させた場合には、ファン稼働時間が長くなるほどファン254の稼働によるバッテリ交換装置230の冷却能力は高くなる。
ファン制御基板256は、内部温度が所定の冷却完了温度まで下降した時点でファン254を回転させる制御を終了する。冷却完了温度は、一定の温度でもよいし、外部温度などに応じて調整された温度でもよい。ファン制御基板256は、ファン254を稼働させている時間を計測して検出する。情報出力部214は、ファン制御基板256が検出したファン稼働時間の情報を管理サーバ装置300に送信する。
ファン制御基板256は、ファン254が稼働していることを示す稼働中情報を稼働に関する情報として管理サーバ装置300に送信し、管理サーバ装置300が稼働中情報を受信している時間に応じてファン稼働時間を計測するようにしてもよい。ファン稼働時間は、「稼働量」の一例である。ファン制御基板256は、稼働量検出部の一例である。
第1実施形態と同様に、バッテリ交換装置230における筐体251の前壁251bに、筐体251内に空気を吸気する吸気口252が開口し、後壁251cに、筐体251内の空気を排気する排気口253が開口している。筐体251内における吸気口252と排気口253の間は、空気が流動する流動路となる。筐体251の吸気口252には、フィルタ266が設けられている。フィルタ266は、筐体251の内部に流入する空気を清浄する。フィルタ266は、「清浄装置」の一例である。
第2実施形態では、バッテリ交換装置230を冷却するための冷却装置としてファン254が設けられているが、バッテリ交換装置230を冷却するための冷却装置をファン254に代えてまたは加えて設けられていてもよい。冷却装置としては、例えば、空冷式の他の装置や水冷式のラジエータなどの熱交換器を用いてもよい。あるいは、バッテリ交換装置230を寒冷地に設置する場合などを考慮して。バッテリ交換装置230を加熱するヒータなどの加熱装置がバッテリ交換装置230に設けられていてもよい。
次に、第2実施形態の管理サーバ装置400について説明する。図16は、第2実施形態の管理サーバ装置400のシステム構成の一例を示すブロック図である。第2実施形態の管理サーバ装置400は、例えば、第2情報取得部410と、ステーション管理部320と、温度推定部330と、比較部430と、故障判定部440と、報知情報出力部450と、制御指令出力部360と、記憶部470とを備える。管理サーバ装置400は、「情報処理装置」の一例である。
記憶部470は、例えば、第2状態履歴情報I31と、第2関係情報I32と、ステーション管理情報I23と、制御情報I24と、学習済モデルI35を記憶する。第2状態履歴情報I31は、外部温度及びファン稼働時間の情報(以下、判定対象情報)を含む。第2関係情報I32は、バッテリ交換装置230の使用中における外気温度と稼働量の関係(以下、第2関係)を含む。
第2関係は、例えば、バッテリ交換装置230の使用中に、筐体251の外気温度とファン254の稼働量の関係を機械学習して得られた相関関係である。第2関係は、予め求められて記憶部470に記憶されている。第2関係は、「所定の関係」の一例である。記憶部470は、「相関関係記憶部」の一例である。記憶部470は、「モデル記憶部」の一例である。ステーション管理情報I23及び制御情報I24は、第1実施形態と同様である。
機械学習は、例えば、第2関係を入力データとする教師なし学習である。教師なし学習は、複数の入力データに含まれるパターンや特徴を学習してモデル化された学習済モデルを生成するものである。機械なし学習には、例えば、クラスタリング、アソシエーション分析、確率分布の推定、主成分分析、対応分析、正準相関分析、独立成分分析等の手法が含まれる。
教師なし学習を異常検出に用いる場合には、例えば、得られた結果を異常か否かの結論に結び付ける方法が求められる。このため、例えば、データの発生確率がわかれば「確率が低ければ異常である」という簡単な判断基準を採用できることから、異常検出には、確率分布の推定が好適に用いられる。確率分布を用いた異常検出は、例えば、入力データの確率分布を推定し、確率分布を用いて新規の入力の発生確率を導き、発生確率が一定以下ならば「典型的な挙動から大きく外れる異常なデータとみなす、という手順で実行される。
教師なし学習では、教師あり学習のような正解例付きデータを用意する必要がない。このため、機械学習を教師なし学習をとすることにより、正解例を作成する時間とコストを省くことができる。機械学習は、教師なし学習に代えて、例えば、第2情報取得部410により取得され、記憶部470に記憶された外部温度及びファン稼働時間を教師データとした教師あり学習としてもよい。
第2情報取得部410は、各バッテリ交換ステーション200から送信された外部温度及びファン稼働時間を取得する。第2情報取得部410は、取得した情報を判定対象情報として第2状態履歴情報I31に含めて記憶部470に蓄積する。第2情報取得部410は、「温度取得部」及び「稼働量取得部」の一例である。第2情報取得部410が、判定対象情報を記憶部470に記憶させることなく、そのまま故障判定部440に通知してもよい。
比較部430は、第2状態履歴情報に含まれる判定対象情報における外部温度とファン稼働時間の関係(以下、判定対象関係)を算出する。比較部430は、算出した判定対象関係を記憶部370に格納する。比較部430は、算出した判定対象関係と、判定対象関係を算出するよりも過去に算出した複数の判定対象関係と、を比較する。算出した判定対象関係は、「観測量」の一例である。判定対象関係を算出するよりも過去に算出した複数の判定対象関係は、「参照量」の一例である。
故障判定部440は、比較部430の比較結果に基づいて、以下、判定対象関係の逸脱の有無を判定する逸脱判定処理を実行する。判定対象関係の逸脱は、例えば、記憶部470に記憶された第2関係情報I32に含まれる第2関係からの判定対象関係の逸脱を含む。故障判定部440は、「判定部」の一例である。
故障判定部440は、第2関係情報に含まれる第2関係に基づいてバッテリ交換装置230に異常を検出する態様に代えてまたは加えて、第2状態履歴情報I31に含まれる外部温度情報及び状態履歴情報を記憶部470に記憶された学習済モデルI35に入力することにより、判定対象関係の逸脱の有無を判定してもよい。
故障判定部440は、学習済モデルI35を利用する場合には、第2状態履歴情報I31に含まれる判定対象関係を学習済モデルI35に入力した入力結果に基づいて判定対象関係の逸脱の有無を判定する。学習済モデルI35は、例えば、筐体251の外部温度及びファン254の稼働量を入力データとするモデルである。
故障判定部440は、逸脱判定処理の結果に基づいて、ファン254に生じた故障を判定する。ファン254に生じた故障は、ファン254に生じた異変(ファン254の異常)の一例である。ファン254に故障が生じた場合には、ファン254の冷却能力が低下する。ファン254の故障は、「冷却能力を低下させる異常」の一例である。
故障判定部440は、例えば、逸脱判定処理の結果、判定対象関係が第2関係から逸脱し、判定対象関係における外部温度に対するファン稼働時間が、第2関係よりも長い場合に、ファン254に故障が生じたと判定する。ファン254の故障としては、例えば、羽根の欠損やモータの劣化などによる冷却能力が低下する故障が挙げられる。
報知情報出力部450は、第1実施形態で説明した処理のほか、故障判定部440の処理結果(判定結果)として、ファン254が故障したと判定された場合に、ファン254が故障したことを知らせるとともに、ファン254の故障に対する対応を要請する第2報知情報を生成する。第2報知情報は、例えば、ファン254の故障に応じたメンテナンスや部品の発注などを要請する情報である。
報知情報出力部450は、生成した第2報知情報を、バッテリシェアサービスシステム1を管理する管理者P1が使用する端末装置T1と各バッテリ交換ステーションを担当する保安要員P2が使用する端末装置T2に送信する。報知情報出力部450は、第2報知情報を送信することにより、端末装置T1、T2にメンテナンスや部品の発注などを要請する。要請を受けた端末装置T1,T2は、画面出力または音声出力により第2報知情報を報知する。報知情報出力部450は、「対応実行部」の一例である。ステーション管理部320、温度推定部330、及び制御指令出力部360は、第1実施形態と同様である。
次に、第2実施形態における管理サーバ装置400の処理流れについて説明する。
図17は、第2実施形態の管理サーバ装置400の処理流れの一例を示すフローチャートである。
管理サーバ装置400は、バッテリ交換ステーション200のステーション制御装置210により送信される判定対象情報を受信すると、以下のよりフローを開始する。
第2情報取得部410は、ステーション制御装置210により送信された判定対象情報を受信することにより取得する(S301)。第2情報取得部410は、取得した判定対象情報を第2状態履歴情報I31として記憶部470に蓄積する。
故障判定部440は、記憶部470に蓄積された第2状態履歴情報I31に含まれる判定対象情報が示す判定対象関係を、記憶部470に記憶された第2関係情報I32に含まれる第2関係に照合する(S302)。故障判定部440は、判定対象関係が第2関係を逸脱するか否かを判定する(S303)。ここで、第2関係情報I32に含まれる第2関係について説明する。図18は、第2関係の一例を示す図である。
第2関係情報I32に含まれる第2関係は、バッテリ交換装置230の使用中における外部温度に対するファン稼働時間の多数の学習値Lよりなる学習値群LCを含む。故障判定部440は、学習値群LCと第2状態履歴情報I31に含まれる判定対象情報が示す判定対象関係のファン稼働時間Qを比較する。図18の例では、判定対象関係が示す外部温度に対するファン稼働時間Qは、学習値群LCに含まれる外部温度に対するファン稼働時間よりも長く、判定対象関係のファン稼働時間Qは学習値群LCから外れている。この場合、判定対象関係は第2関係を逸脱すると判定する。
ステップS303において、判定対象関係が第2関係を逸脱すると判定した場合、故障判定部440は、ファン254に故障が生じたと判定する(S304)。ファン254の冷却能力が低下すると、ファン254の稼働時間が相対的に長くなることから、判定対象関係における外部温度に対するファン稼働時間が、第2関係よりも長くなる。このため、故障判定部440は、判定対象関係における外部温度に対するファン稼働時間が、第2関係よりも長くなったときに、ファン254の冷却能力が低下する異常が発生したと判定する。
報知情報出力部450は、故障判定部440が判定したファン254の故障のメンテナンスを要請する第2報知情報を生成し、端末装置T1,T2に送信する(S305)。判定対象関係が第2関係を逸脱しないと判定した場合、故障判定部440は、ファン254に故障が生じていないと判定し、管理サーバ装置400は、図17に示す処理を終了する。
第2実施形態では、管理サーバ装置400(情報処理装置)は、予め求めたバッテリ交換装置230(電力装置)の使用中における判定対象関係と第2関係に基づいて、判定対象関係の逸脱の有無を判定する。このような構成にすれば、簡素な構成で電力装置における各種機器の点検や異常検出を行うことができる。
(変形例)
第2実施形態では、外部温度センサ231により検出された外部温度とファン稼働時間の関係を判定対象関係としたが、外部温度に代えてまたは加えて、内部温度を用いてもよい。この場合の内部温度は、筐体251の内部温度を検出する内部温度センサを用いて筐体251の内部温度を計測して取得してもよいし、第1実施形態で説明したように、温度推定部330において、着脱式バッテリ100の温度を計測する温度センサ131の計測結果を用いて推定して取得してもよい。温度センサ131は、「温度検出部」の一例である。
第2実施形態では、故障判定部440は、判定対象関係の逸脱の有無を判定する逸脱判定処理及び逸脱判定処理に基づくファン254の故障を判定するが、故障判定部440は、これらの処理に代えてまたは加えて、筐体251の流動路の異変(流動異変)を判定してもよい。故障判定部440は、ファン254や筐体251の流動路の他の異変の発生を判定する処理を実行するものでもよい。
故障判定部440は、ファン254や筐体251の流動路の他の異変として、例えば、筐体251に収容され流動路に配置された電気部品、例えば、電気回路やDC/DC変換器271の劣化を判定してもよい。例えば、DC/DC変換器271などの部品が劣化すると、筐体251内の空気温度が同じであっても、劣化が進んでいない電気部品と比較すると、温度上昇が大きくなる。このため、電気部品の異常は、発熱を伴う異常である。
これらの電気部品の異常が生じると、判定対象関係における外部温度に対するファン稼働時間が、第2関係よりも長くなる。このため、故障判定部440は、例えば、判定対象関係における外部温度に対するファン稼働時間が、第2関係よりも長くなったときに、電気部品が劣化する異常が発生したと判定する。判定対象関係における外部温度に対するファン稼働時間の長さに応じて、電気部品の劣化の度合を判定してもよい。
故障判定部440は、ファン254や筐体251の流動路の他の異変として、ファン254や筐体251の流動路の所定以上の劣化(流動異変)を判定してもよい。ファン254や筐体251の流動路に生じた異変は、例えば、ファン254や筐体251の流動路の経時劣化や流動路の吸気口252に設けられたフィルタ266が目詰まりした異変としてよい。
例えば、フィルタ266が目詰まりすると、筐体251に対する外部空気の流入量が減少しファン254の稼働時間に対する冷却効率が低下することから、判定対象関係における外部温度に対するファン稼働時間が、第2関係よりも長くなる。このため、故障判定部440は、例えば、判定対象関係における外部温度に対するファン稼働時間が、第2関係よりも長くなったときに、フィルタ266が目詰まりしたと判定する。フィルタ266の目詰まりは、「流動路の所定以上の劣化」の一例である。判定対象関係における外部温度に対するファン稼働時間の長さに応じて、フィルタ266の目詰まりの度合を判定してもよい。
管理サーバ装置400は、ファン254や筐体251の流動路に生じた異変を判定する故障判定部440に代えてまたは加えて、バッテリ交換装置230の作動の抑制の要否を判定する要否判定部を備えてもよい。要否判定部は、例えば、判定対象関係が第2関係から逸脱するか否かを判定し、判定対象関係が第2関係を逸脱する場合に、バッテリ交換装置230の作動を抑制すると判定してもよい。バッテリ交換装置230の作動の抑制は、例えば、バッテリ交換装置230の作動の禁止またはバッテリ交換装置230の作動量の低減としてよい。
バッテリ交換装置230の作動の禁止は、例えば、バッテリスロット221を介した着脱式バッテリ100の充放電の禁止としてよい。バッテリ交換装置230の作動の抑制は、例えば、着脱式バッテリ100に対する充放電が可能となるバッテリスロット221の数の減少や充放電可能時間の短縮としてよい。
報知情報出力部450は、第2報知情報を送信する際に、ファン254が故障したバッテリ交換装置230が設けられたバッテリ交換ステーション200のステーションIDや、地理的な位置の情報、保守作業を行うための情報(保守情報)を合わせて送信してもよい。報知情報出力部450は、例えば、それぞれの情報、特に地理的な位置の情報を表す画像を生成し、第2報知情報とともに送信してもよい。
報知情報出力部450は、故障判定部440がフィルタ266の目詰まりを判定した場合には、フィルタ266の目詰まりを解消するための処理、例えばフィルタ266の清掃やフィルタ266の交換を要請する報知情報を生成し、端末装置T1,T2に送信してもよい。報知情報出力部450は、故障判定部440が電子部品の劣化を判定した場合には、電子部品の劣化に応じた処理、例えば電子部品のメンテナンスや新しい電子部品の発注を要請する報知情報を生成し、端末装置T1,T2に送信してもよい。
報知情報出力部450は、故障判定部440がバッテリ交換装置230の作動の抑制の要否を判定した場合に、故障判定部440の判定結果に応じた制御指令をバッテリ交換装置230に送信する。制御指令を送信されたバッテリ交換装置230は、制御基板273及びファン制御基板256により、制御指令に応じた制御を実行する。
上記の実施形態において、管理サーバ装置400における第2情報取得部410、故障判定部440、及び報知情報出力部450の各機能の一部または全部は、バッテリ交換ステーション200におけるステーション制御装置210やバッテリ交換装置230に設けられていてもよい。これらの各機能は、例えば、管理サーバ装置400、ステーション制御装置210、バッテリ交換装置230の一部または全部に分散されて設けられていてもよい。
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
筐体に収容された蓄電部及び前記筐体の内外の空気の流動を補助する起風部を備える電力装置の空気温度を取得し、
前記起風部の稼働量を取得し、
予め求めた前記電力装置の使用中における前記空気温度と前記稼働量の関係と、取得された前記空気温度と、取得された前記稼働量に基づいて、前記起風部もしくは前記筐体における空気が流動する流動路に生じた異変を判定する異変判定処理、前記空気温度と前記稼働量の関係の逸脱の有無を判定する逸脱判定処理、または前記電力装置の作動の抑制の要否を判定する抑制判定処理、のうち少なくとも1つの判定処理を実行する、
ように構成されている、情報処理装置。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態のバッテリシェアサービスシステムは、第1実施形態と比較して、バッテリ交換装置230(図19)及び管理サーバ装置500(図20)の構成が主に異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心として、第3実施形態のバッテリシェアサービスについて説明する。以下の説明において、第1実施形態と共通する部材や機能については、同一の番号を付してその説明を省略することがある。
第3実施形態のバッテリ交換装置230について説明する。図19は、第3実施形態のバッテリ交換装置230の一例を示す断面図である。第3実施形態のバッテリ交換装置230は、第1実施形態のバッテリ交換装置220と比較して、外部温度センサ231、ファン制御基板256、電力検出器258、充電電力検出器280、及び交換回数カウンタ282を備える点で主に異なる。
外部温度センサ231は、例えば、筐体251の外側における前壁251bの上部であって、フィルタ266よりも上方に設けられる。外部温度センサ231は、筐体251の外部の空気温度(以下、外部温度)を検出する。外部温度センサ231は、排気口253よりも吸気口252に近い位置に配置されている。筐体(電力装置)の空気温度(外部温度)は、「電力装置の稼働量と相関する第2相関量」の一例である。
筐体251における吸気側では、筐体251から排出される比較的高熱の空気がないので、外気の温度を精度良く検出できる。外部温度センサ231は、筐体251の外部に設けられるが、その他の位置に設けられてもよい。外部温度センサ231は、筐体251の内部に設けられてもよい。外部温度センサ231は、フィルタ266よりも下方に設けられてもよいし、後壁251cに設けられてもよい。外部温度センサ231は、検出した外部温度の情報をステーション制御装置210に出力する。
バッテリ交換装置230は、第1実施形態と同様に、バッテリ交換装置230に装着された着脱式バッテリ100を備える。着脱式バッテリ100は、蓄電部120を備える。バッテリ交換装置230は、着脱式バッテリ100を着脱可能に収容するバッテリスロット221を備える。着脱式バッテリ100は、「蓄電装置」の一例である。第3実施形態の着脱式バッテリ100は、バッテリ交換装置230に対して着脱式とされているが、バッテリ交換装置230に対して着脱不能に装着されていてもよい。バッテリスロット221が着脱式バッテリを収容することにより、筐体251は、蓄電部120を収容する。
バッテリ交換装置230は、第1実施形態と同様のファン254のほか、ファン254を制御するファン制御基板256を備える。ファン254は、筐体251の内外の空気の流動を補助する。ファン254は、モータ及び羽根を備える。ファン254は、ファン制御基板256の制御に応じて駆動する。ファン254は、「起風部」及び「冷却ファン」の一例である。
ファン制御基板256は、バッテリ交換装置230の使用中に、ファン254のモータを駆動させることによって羽根を回転させてファン254を稼働させる。ファン制御基板256は、例えば、外部温度センサ231により検出される外部温度及び管理サーバ装置500の温度推定部330において推定されたバッテリ交換装置230の内部の温度(以下、内部温度)に基づいて、ファン254を駆動制御する。ファン制御基板256は、制御基板273とは独立して設けられるが、制御基板273の一部として設けられてもよい。
内部温度は、温度推定部330において推定された温度以外の温度でもよく、例えば、バッテリ交換装置230の内部の温度を検出する内部温度センサにより検出された温度でもよい。内部温度センサは、バッテリ交換装置230の内部の空気温度を検出するものでもよいし、バッテリ交換装置230の内部に設けられた部品の温度を検出するものでもよいし、これらの温度に基づいて算出された温度でもよい。
電力検出器258は、ファン254(IF基板272(図6)とファン254の間の配線)に取り付けられている。電力検出器258は、例えば、電流センサと電圧センサを備える。電力検出器258の電流センサはファン254の電流を計測し、電圧センサはファン254の電圧を検出する。電力検出器258は、計測したファン254の電流及び電圧に基づいて、ファン254の消費電力を検出する。電力検出器258により検出される消費電力は、ファン254の駆動(稼動)により消費される電力(以下、ファン稼働電力)である。電力検出器258は、検出したファン254の消費電力の情報をステーション制御装置210に出力する。ファン254の消費電力は、「起風部の稼働量と相関する第1相関量」の一例である。ファン254は、「電力装置」の一例であり、消費電力は「稼働量」の一例である。稼働量は、電力装置の種類等により、消費電力以外でであってもよい。例えば、稼働量は、電力装置が着脱式バッテリ100である場合の充放電量(充放電時間、充放電電力)や交換頻度、電力装置がファン254である場合のファン稼働量(稼働時間、稼働電力)でもよい。電力検出器258は、「第1相関量検出部」の一例である。電力検出器258により検出されたファン254の消費電力を示す消費電力量は、「観測量」の一例であり、「第1観測量」の一例である。電力装置がファン254である場合のファン稼働量は、「第2観測量」の一例である。観測量は、電力装置の稼働量と電力装置の環境情報のうち、観測(検出)により得られたものである。
充電電力検出器280は、バッテリスロット221に収容される複数の着脱式バッテリ100に対する充電電力を検出する。充電電力検出器280は、検出した充電電力の情報をステーション制御装置210に出力する。充電電力検出器280は、充電電力をどのような単位で検出してもよい。充電電力検出器280は、例えば、バッテリスロット221に収容されるすべての着脱式バッテリ100に対する充電電力を一括で検出してもよいし、収容されるバッテリスロット221ごとに充電電力を検出してもよい。充電電力は、「電力装置の稼働量と相関する第2相関量」の一例である。
交換回数カウンタ282は、バッテリスロット221に収容される着脱式バッテリ100が交換された回数(交換回数)を計測する。交換回数カウンタ282は、計測した交換回数の情報をファン制御基板256に出力する。交換回数カウンタ282は、着脱式バッテリ100の交換回数をどのような単位で計測してもよい。交換回数カウンタ282は、例えば、すべてのバッテリスロット221における着脱式バッテリ100の交換回数を一括して計測してもよいし、バッテリスロット221ごとに着脱式バッテリ100の交換回数を計測してもよい。
ファン制御基板256は、出力された交換回数の情報に基づいて、単位時間当たりの着脱式バッテリ100の交換回数(以下、交換頻度)を算出する。ファン制御基板256は、算出した着脱式バッテリ100の交換頻度の情報をステーション制御装置210に出力する。着脱式バッテリ100の交換頻度は、「電力装置の稼働量と相関する第2相関量」の一例である。
ステーション制御装置210は、外部温度センサ231、電力検出器258、充電電力検出器280、及びファン制御基板256により出力された外部温度、消費電力、充電電力、及び交換頻度の各情報を情報出力部214により管理サーバ装置500に送信する。バッテリ交換装置230は、「電力装置」の一例である。情報出力部214は、「送信部」の一例である。
第1実施形態と同様に、バッテリ交換装置230における筐体251の前壁251bに、筐体251内に空気を吸気する吸気口252が開口し、後壁251cに、筐体251内の空気を排気する排気口253が開口している。筐体251内における吸気口252と排気口253の間は、空気が流動する流動路となる。筐体251の吸気口252には、フィルタ266が設けられている。フィルタ266は、筐体251の内部に流入する空気を清浄する。フィルタ266は、「清浄装置」の一例である。
この実施形態では、バッテリ交換装置230を冷却するための冷却装置としてファン254が設けられているが、バッテリ交換装置230を冷却するための冷却装置をファン254に代えてまたは加えて設けられていてもよい。冷却装置としては、例えば、空冷式の他の装置や水冷式のラジエータなどの熱交換器を用いてもよい。あるいは、バッテリ交換装置230を寒冷地に設置する場合などを考慮して。バッテリ交換装置230を加熱するヒータなどの加熱装置がバッテリ交換装置230に設けられていてもよい。
次に、第3実施形態の管理サーバ装置500について説明する。図20は、第3実施形態の管理サーバ装置500のシステム構成の一例を示すブロック図である。第3実施形態の管理サーバ装置500は、例えば、取得部510と、ステーション管理部320と、温度推定部330と、比較部530と、劣化判定部540と、報知情報出力部550と、制御指令出力部360と、記憶部570とを備える。管理サーバ装置500は、「情報処理装置」の一例である。
管理サーバ装置500は、図示しない天候サーバとネットワークNW(図1)を介して接続されている。管理サーバ装置500は、天候サーバにより送信される情報、例えば気象情報を受信する。天候サーバにより送信される気象情報は、バッテリ交換ステーション200を介して管理サーバ装置500に送信されてもよい。気象情報は、「電力装置の環境状態と相関する第2相関量」の一例であり、「観測量」の一例である。環境状態は、バッテリ交換ステーション200の周囲の環境に関する状態であり、例えば、気象情報のほか、内部温度、外部温度、部品温度なども含まれる。観測量には、気象情報のほか、バッテリ交換ステーション200の周囲の環境に関する状態が含まれる。
記憶部570は、例えば、第3状態履歴情報I41と、基準相関関係情報I42と、ステーション管理情報I23と、制御情報I24と、学習済モデルI45を記憶する。第3状態履歴情報I41は、第1相関情報I51と第2相関情報I52を含む。第1相関情報I51は、例えば、ステーション制御装置210により送信された消費電力(以下、第1相関量)の情報(以下、第1相関情報)を含む。
第2相関情報I52は、例えば、ステーション制御装置210により送信された外部温度、充電電力量、バッテリ交換頻度、図示しない天候サーバにより送信された気象情報などの複数の要素(以下、第2相関量)の情報(以下、第2相関情報)を含む。バッテリ交換装置230の外部温度に代えてまたは加えて、バッテリ交換装置230の内部温度を用いてもよい。
基準相関関係情報I42は、バッテリ交換装置230の使用中における第1相関量と第2相関量の関係(以下、基準相関関係)を含む。基準相関関係は、例えば、バッテリ交換装置230の使用中に、第1相関量と第2相関量の関係を機械学習して得られた相関関係である。基準相関関係は、予め求められて記憶部570に記憶されている。基準相関関係は、「所定の関係」の一例である。記憶部570は、「相関関係記憶部」の一例である。記憶部570は、「モデル記憶部」の一例である。ステーション管理情報I23及び制御情報I24は、第1実施形態と同様である。機械学習は、第2実施形態と同様、例えば教師なし学習である。機械学習は、教師なし学習に代えて、教師あり学習としてもよい。
取得部510は、例えば、第1取得部511と、第2取得部512とを備える。第1取得部511は、各バッテリ交換ステーション200から送信された消費電力の情報を含む第1相関情報(観測量)を取得する。第1取得部511は、取得した第1相関情報を第3状態履歴情報I41に含めて記憶部570に蓄積する。
第2取得部512は、各バッテリ交換ステーション200から送信された外部温度、充電電力量、ファン交換頻度、及び天候サーバにより送信された気象情報を第2相関情報として取得する。第2取得部512は、取得した第2相関情報を第3状態履歴情報I41に含めて記憶部570に蓄積する。取得部510は、取得した第2相関量の情報を記憶部570に記憶させることなく、そのまま劣化判定部540に通知してもよい。記憶部570に記憶された第2相関情報は、参照量の一例である。参照量は、観測量と比較される対象となるものである。参照量は、例えば、例えば、過去の観測量の値の集合でもよいし、予め求めた第1相関量の値でもよい。
比較部530は、第3状態履歴情報I41に含まれる第1相関量と第2相関量とを比較する。劣化判定部540は、比較部530による比較結果に基づいて、第3状態履歴情報I41に含まれる第1相関量と第2相関量の関係(以下、判定相関関係)の逸脱の有無を判定する逸脱判定処理を実行する。判定相関関係の逸脱は、例えば、記憶部570に記憶された基準相関関係情報I42に含まれる基準相関関係からの判定相関関係の逸脱を含む。劣化判定部540は、「判定部」の一例である。
劣化判定部540は、基準相関関係情報I42に含まれる基準相関関係に基づいて判定相関関係の逸脱の有無を検出する態様に代えてまたは加えて、第3状態履歴情報I41に含まれる第1相関情報及び第2相関情報を記憶部570に記憶された学習済モデルI45に入力することにより、判定相関関係の逸脱の有無を判定してもよい。
劣化判定部540は、学習済モデルI45を利用する場合には、第3状態履歴情報I41に含まれる判定相関関係を学習済モデルI45に入力した入力結果に基づいて判定相関関係の逸脱の有無を判定する。学習済モデルI45は、例えば、第1相関情報及び第2相関情報を入力データとするモデルである。
劣化判定部540は、逸脱判定処理の結果に基づいて、フィルタ266に発生した目詰まりを判定する。フィルタ266の目詰まりは、「流動路の所定以上の劣化」の一例である。フィルタ266に目詰まりが発生した場合には、筐体251内と外部との通気性が低下することから、ファン254の冷却能力が低下する。このため、劣化判定部540は、例えば、逸脱判定処理の結果、判定相関関係が基準相関関係から逸脱し、判定相関関係における第2相関量に対する第1相関量(消費電力)が、基準相関関係よりも大きい場合に、フィルタ266に目詰まりが発生したと判定する。判定相関関係における第2相関量に対する第1相関量の大きさに応じて、フィルタ266の目詰まりの度合を判定してもよい。
報知情報出力部550は、第1実施形態で説明した処理のほか、劣化判定部540の処理結果(判定結果)として、フィルタ266に目詰まりが発生した場合に、フィルタ266が目詰まりしたことを知らせるとともに、フィルタ266の目詰まりに対する対応を要請する第2報知情報を生成する。第2報知情報は、例えば、フィルタ266の目詰まりに応じたメンテナンスや部品の発注などを要請する情報である。
報知情報出力部550は、生成した第2報知情報を、バッテリシェアサービスシステム1を管理する管理者P1が使用する端末装置T1と各バッテリ交換ステーションを担当する保安要員P2が使用する端末装置T2に送信する。報知情報出力部550は、第2報知情報を送信することにより、端末装置T1、T2にメンテナンスや部品の発注などを要請する。要請を受けた端末装置T1,T2は、画面出力または音声出力により第2報知情報を報知する。報知情報出力部550は、「対応実行部」の一例である。ステーション管理部320、温度推定部330、及び制御指令出力部360は、第1実施形態と同様である。
報知情報出力部550は、劣化判定部540がフィルタ266の目詰まりを判定した場合には、フィルタ266の目詰まりを解消するための処理、例えばフィルタ266の清掃やフィルタ266の交換を要請する報知情報を生成し、端末装置T1,T2に送信してもよい。報知情報出力部550は、劣化判定部540が電子部品の劣化を判定した場合には、電子部品の劣化に応じた処理、例えば電子部品のメンテナンスや新しい電子部品の発注を要請する報知情報を生成し、端末装置T1,T2に送信してもよい。
次に、第3実施形態における管理サーバ装置500の処理流れについて説明する。
図21は、第3実施形態の管理サーバ装置500の処理流れの一例を示すフローチャートである。
管理サーバ装置500は、バッテリ交換ステーション200により送信される第1相関情報を受信すると、以下のフローを開始する。
取得部510は、第1取得部511において、バッテリ交換ステーション200のステーション制御装置210により送信された第1相関情報を受信することにより取得する(S401)。第1取得部511は、取得した第1相関情報を第3状態履歴情報I41に含めて記憶部570に蓄積する。
取得部510は、第2取得部512において、ステーション制御装置210により送信される外部温度、充電電量、及びバッテリ交換頻度、天候サーバにより送信される気象情報を受信し、第2相関情報として取得する(S402)。第2取得部512は、取得した第2相関情報を第3状態履歴情報I41に含めて記憶部570に蓄積する。
取得部510は、第1取得部511において取得する第1相関情報と、第2取得部512において取得する第2相関情報とを、時間間隔を空けた異なる複数のタイミングで取得する。第1取得部511及び第2取得部512は、第1相関情報及び第2相関情報をどのようなタイミングで取得してもよい。例えば、第1取得部511及び第2取得部512は、互いに異なるタイミングで適時に送信される第1相関情報及び第2相関情報を取得してもよいし、第2取得部512は、第1取得部511が第1相関情報を取得した際に、一定時間経過後のタイミングで第2相関情報を取得してもよい。
劣化判定部540は、記憶部570に蓄積された第3状態履歴情報I41に含まれる第1相関情報と第2相関情報の関係である判定相関関係を、記憶部570に記憶された基準相関関係情報I42に含まれる基準相関関係に照合する(S403)。劣化判定部540は、判定相関関係が基準相関関係を逸脱するか否かを判定する(S404)。ここで、基準相関関係情報I42に含まれる基準相関関係について説明する。図22は、基準相関関係の一例を示すマップである。図22の上図の例では、第1相関量は消費電力であり、第2相関量は充電電力、交換頻度等である。基準相関関係は、適宜設定してよい。基準相関関係は、例えば、図22の下図に示すように、第1相関量をファン稼働電力とし、第2相関量は充電電力、交換頻度、環境条件等としてもよい。
基準相関関係情報I42に含まれる基準相関関係は、バッテリ交換装置230の使用中における第2相関量に対する第1相関量の多数の学習値LVよりなる学習値群LC1を含む。劣化判定部540は、学習値群LC1と第3状態履歴情報I41に含まれる判定相関情報が示す第1相関情報の第1相関量Q1を比較する。図22の例では、判定相関情報の第1相関量Q1は、学習値群LC1に含まれる第2相関量に対する第1相関量よりも大きく、判定相関情報の第1相関量Q1は学習値群LC1から外れている。この場合、判定相関関係は基準相関関係を逸脱すると判定する。
ステップS404において、判定相関関係が基準相関関係を逸脱すると判定した場合、劣化判定部540は、フィルタ266が目詰まりしたと判定する(S405)。ファン254の冷却能力が低下すると、ファン254の稼働時間が相対的に長くなることから、判定相関関係における第2相関量に対する第1相関量が、基準相関関係よりも大きくなる。このため、劣化判定部540は、第2相関量に対する第1相関量が、基準相関関係よりも大きくなったときに、ファン254の冷却能力が低下する異常が発生したと判定する。
報知情報出力部550は、劣化判定部540が判定したフィルタ266の目詰まりに対するメンテナンス等を要請する第2報知情報を生成し、端末装置T1,T2に送信する(S406)。判定相関関係が基準相関関係を逸脱しないと判定した場合、劣化判定部540は、フィルタ266が目詰まりしていないと判定し、管理サーバ装置500は、図21に示す処理を終了する。
第3実施形態では、管理サーバ装置500(情報処理装置)は、予め求めたバッテリ交換装置230(電力装置)の使用中における判定相関関係と基準相関関係に基づいて、判定相関関係の逸脱の有無を判定する。このような構成にすれば、機器の異常などを予見する可能性を高めることができる。
(変形例)
第3実施形態では、電力検出器258により検出されたファン254の消費電力を第1相関量とし、第2相関量との関係を判定相関関係としたが、第1相関量は、ファン254の稼働量と相関する他の要素として、ファン254の消費電力に代えてまたは加えて、ファン254の稼働時間(以下、ファン稼働時間)を用いてもよい。ファン254の稼働時間は、稼働時間の総量でもよいし、単位時間当たりの稼働時間でもよい。
第3実施形態では、第1相関量として、ファン254の消費電力を例示したが、第1相関量は、ファン254の稼働量と相関する他の要素、例えばファン254の稼働時間(以下、ファン稼働時間)としてもよい。ファン254の稼働時間は、稼働時間の総量でもよいし、単位時間当たりの稼働時間でもよい。第2相関量として、充電電力、交換頻度、筐体(電力装置)の外部温度、及び気象情報を例示したが、第2相関量は、これらの一部でもよいし、電力装置の稼働量または電力装置の環境状態と相関する他の要素でもよい。
この場合、ファン制御基板256は、例えば、外部温度センサ231により検出される外部温度に基づいて、単位時間あたりのファン254の稼働時間を設定する。ファン制御基板256は、ファン254を稼働させる間、温度推定部330により推定される内部温度に基づいて、以下、ファン稼働時間を調整する。例えば、ファン254を回転させることにより、内部温度が下降して、外部温度に近づいていく。内部温度の下降に伴い、ファン制御基板256は、ファン254の稼働時間を徐々に減少させる。内部温度の下降度合いが低いと、ファン254の稼働時間の減少量が少なくなる。
ファン制御基板256は、ファン254は間欠的に稼働させる。ここでいうファン稼働時間は、単位時間当たりのファン254の稼働時間を意味する。したがって、例えば一定の動力でファン254を作動させた場合には、ファン稼働時間が長くなるほどファン254の稼働によるバッテリ交換装置230の冷却能力は高くなる。
ファン制御基板256は、内部温度が所定の冷却完了温度まで下降した時点でファン254を回転させる制御を終了する。冷却完了温度は、一定の温度でもよいし、外部温度などに応じて調整された温度でもよい。ファン制御基板256は、ファン254を稼働させている時間を計測して検出する。情報出力部214は、ファン制御基板256が検出したファン稼働時間の情報をステーション制御装置210に出力する。
ファン制御基板256は、ファン254が稼働していることを示す稼働中情報を稼働に関する情報として管理サーバ装置300に送信し、管理サーバ装置300が稼働中情報を受信している時間に応じてファン稼働時間を計測するようにしてもよい。ファン稼働時間は、「稼働量」の一例である。
第3実施形態では、劣化判定部540は、判定対象関係の逸脱の有無を判定する逸脱判定処理及び逸脱判定処理に基づくフィルタ266の目詰まりを判定するが、劣化判定部540は、これらの処理に代えてまたは加えて、筐体251の流動路に生じた異変を判定してもよい。劣化判定部540は、ファン254や筐体251の流動路の他の異変の発生を判定する処理を実行するものでもよい。
劣化判定部540は、ファン254や筐体251の流動路の異変として、例えば、ファン254の異常を判定してもよい。この場合のファン254の故障としては、例えば、ファン254の羽根が欠損したりモータが劣化したりすることによって、冷却能力の低下が低下する故障を挙げることができる。
劣化判定部540は、ファン254や筐体251の流動路の他の異変として、例えば、筐体251に収容され流動路に配置された電気部品、例えば、電気回路やDC/DC変換器271の劣化を判定してもよい。例えば、DC/DC変換器271などの部品が劣化すると、筐体251内の空気温度が同じであっても、劣化が進んでいない電気部品と比較すると、温度上昇が大きくなる。このため、電気部品の異常は、発熱を伴う異常である。
これらの電気部品の異常が生じると、判定相関関係における第2相関量に対する第1相関量が、基準相関関係よりも長くなる。このため、劣化判定部540は、例えば、判定相関関係における第2相関量に対する第1相関量が、基準相関関係よりも長くなったときに、電気部品が劣化する異常が発生したと判定する。判定相関関係における第2相関量に対する第1相関量の大きさに応じて、電気部品の劣化の度合を判定してもよい。
管理サーバ装置500は、ファン254や筐体251の流動路に生じた異変を判定する劣化判定部540に代えてまたは加えて、バッテリ交換装置230の作動の抑制の要否を判定する要否判定部を備えてもよい。要否判定部は、例えば、判定対象関係が第2関係から逸脱するか否かを判定し、判定対象関係が第2関係を逸脱する場合に、バッテリ交換装置230の作動を抑制すると判定してもよい。バッテリ交換装置230の作動の抑制は、例えば、バッテリ交換装置230の作動の禁止またはバッテリ交換装置230の作動量の低減としてよい。
バッテリ交換装置230の作動の禁止は、例えば、バッテリスロット221を介した着脱式バッテリ100の充放電の禁止としてよい。バッテリ交換装置230の作動の抑制は、例えば、着脱式バッテリ100に対する充放電が可能となるバッテリスロット221の数の減少や充放電可能時間の短縮としてよい。
報知情報出力部550は、第2報知情報を送信する際に、ファン254が故障したバッテリ交換装置230が設けられたバッテリ交換ステーション200のステーションIDや、地理的な位置の情報、保守作業を行うための情報(保守情報)を合わせて送信してもよい。報知情報出力部550は、例えば、それぞれの情報、特に地理的な位置の情報を表す画像を生成し、第2報知情報とともに送信してもよい。
報知情報出力部550は、劣化判定部540がバッテリ交換装置230の作動の抑制の要否を判定した場合に、劣化判定部540の判定結果に応じた制御指令をバッテリ交換装置230に送信する。制御指令を送信されたバッテリ交換装置230は、制御基板273及びファン制御基板256により、制御指令に応じた制御を実行する。
上記の実施形態において、管理サーバ装置500における取得部510、劣化判定部540、及び報知情報出力部550の各機能の一部または全部は、バッテリ交換ステーション200におけるステーション制御装置210やバッテリ交換装置230に設けられていてもよい。これらの各機能は、例えば、管理サーバ装置500、ステーション制御装置210、バッテリ交換装置230の一部または全部に分散されて設けられていてもよい。
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
筐体に収容された蓄電部及び前記筐体の内外の空気の流動を補助する起風部を備える電力装置における前記起風部の稼働量と相関する第1相関量の第1相関情報を取得し、
前記電力装置の稼働量または前記電力装置の環境状態のうち少なくともいずれか一方と相関する第2相関量の第2相関情報を取得し、
予め求めた前記電力装置の使用中における前記第1相関量と前記第2相関量との関係を含む相関関係情報と、前記第1相関情報と、前記第2相関情報に基づいて、前記起風部もしくは前記筐体における空気が流動する流動路に生じた異変を判定する異変判定処理、前記第1相関量と前記第2相関量の関係の逸脱の有無を判定する逸脱判定処理、または前記電力装置の作動の抑制の要否を判定する抑制判定処理、のうち少なくとも1つの判定処理を実行する、
ように構成されている、情報処理装置。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態のバッテリシェアサービスシステムは、第1実施形態と比較して、バッテリ交換装置240(図23、図24)及び管理サーバ装置700(図25)の構成が主に異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心として、第4実施形態のバッテリシェアサービスについて説明する。以下の説明において、第1実施形態と共通する部材や機能については、同一の番号を付してその説明を省略することがある。
図23は、第4実施形態のバッテリ交換装置240の一部を示す断面図である。バッテリ交換装置240は、空気温度センサS1と、部品温度センサS2とを有する。空気温度センサS1および部品温度センサS2は、例えば筐体251の内部に設けられている。
空気温度センサS1は、筐体251の内部の空気に関する温度である空気温度(以下では単に「空気温度」と称する)を測定する温度センサである。「筐体251の内部の空気に関する温度」とは、筐体251の内部の空気温度そのものに限らず、筐体251の内部の空気温度と関係のある温度(筐体251の内部の空気温度の推定に用いることができる温度、または筐体251の内部の空気温度と比例関係にある温度など)でもよい。このような温度の一例は、筐体251の外部の空気温度(例えば吸気口252または排気口253の近くで測定される筐体251の外部の空気温度)や、筐体251自体の温度などである。ある観点によれば、「空気温度」は、筐体251の外部の温度(バッテリ交換ステーション200が設置された空間の室温または外気温、環境温度)が影響する温度(例えば外部の温度と比例関係にある温度)である。
本実施形態では、空気温度センサS1は、筐体251の内部で吸気口252と比べて排気口253の近くに配置されている(図23中の位置A参照)。さらに言えば、空気温度センサS1は、筐体251の内部に収容された発熱部品(AC/DC変換器260や、DC/DC変換器271、着脱式バッテリ100など)と比べて排気口253の近くに配置されている。別の観点によれば、「空気温度」は、筐体251の内部に収容された発熱部品(AC/DC変換器260や、DC/DC変換器271、着脱式バッテリ100など)の発熱の一部が伝わった空気の温度(例えば発熱状態と比例関係にある温度)である。空気温度センサS1の測定結果は、制御基板273に出力される。
ただし、空気温度センサS1の位置は、上記例に限定されない。空気温度センサS1は、筐体251の内部で吸気口252の近くに配置されてもよく(図23中の位置B参照)、上述したように筐体251の外部で吸気口252または排気口253の近くに配置されてもよい(図23中の位置C,D参照)。空気温度センサS1は、2つ以上設けられてもよい。この場合、空気温度は、2つ以上の空気温度センサS1で測定された温度の平均値でもよいし、2つ以上の空気温度センサS1で測定された温度のうち最も高い温度が採用されてもよい。
一方で、部品温度センサS2は、AC/DC変換器260(電気部品)に関する温度である部品温度(電力変換器温度、以下では単に「部品温度」と称する)を測定する温度センサである。「電気部品に関する温度」とは、電気部品の温度そのものに限らず、電気部品の温度と関係のある温度(電気部品の温度の推定に用いることができる温度、または電気部品の温度と比例関係にある温度など)でもよい。このような温度の一例は、電気部品の近傍の空気温度、または電気部品が取り付けられた放熱部品の温度などである。
本実施形態では、部品温度センサS2は、AC/DC変換器260のコンデンサ264に取り付けられ、コンデンサ264の温度を測定する(図23中の位置A参照)。これに代えて、部品温度センサS2は、FET261や、サイリスタ262、帰還ダイオード263などの部品に取り付けられてもよいし、基板265に取り付けられてもよい(図23中の位置B,C参照)。基板265が金属製のプレートなどである場合、基板265の温度を測定することで、AC/DC変換器260に含まれる部品の温度を精度良く測定することができる。部品温度センサS2の測定結果は、制御基板273に出力される。
ただし、部品温度センサS2の位置は、上記例に限定されない。部品温度センサS2は、AC/DC変換器260に直接に取り付けられることに代えて、上述したようにAC/DC変換器260の近傍の空気温度を測定するようにAC/DC変換器260から離間して配置されてよく、AC/DC変換器260に取り付けられた放熱部品に取り付けられてもよい。部品温度センサS2は、2つ以上設けられてもよい。この場合、部品温度センサS2は、コンデンサ264と、コンデンサ264と比べて耐熱温度が高いが高温になる別部品(例えばFET261)などにそれぞれ取り付けられてもよい。この場合、部品温度は、2つ以上の部品温度センサS2で測定された温度の平均値でもよいし、別の観点で導出された温度でもよい。または、2つ以上の部品温度センサS2で測定された2つ以上の部品温度に対して、それぞれ後述する劣化に関する判定が行われてもよい。
[4.2 バッテリ交換ステーションのシステム構成]
次に、バッテリ交換ステーション200のシステム構成について説明する。
図24は、第4実施形態のバッテリ交換ステーション200のシステム構成を示すブロック図である。本実施形態では、ステーション制御装置610は、例えば、バッテリ管理部211と、充放電制御部212と、空気温度検出部613と、部品温度検出部614と、情報出力部214と、記憶部216とを有する。
バッテリ管理部211、充放電制御部212、空気温度検出部613、部品温度検出部614、および情報出力部214は、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、予めステーション制御装置610が備えるHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、ステーション制御装置610が備えるドライブ装置に記憶媒体が装着されることでステーション制御装置610が備えるHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。記憶部216は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置のうち1つまたは組み合わせにより実現される。
バッテリ管理部211は、複数のバッテリスロット221に収容された複数の着脱式バッテリ100を管理する。例えば、バッテリ管理部211は、電動車両10のユーザからの着脱式バッテリ100の受領、着脱式バッテリ100の充放電の要否判定、充電が完了した着脱式バッテリ100の電動車両10のユーザへの供与を管理する。
充放電制御部212は、バッテリ管理部211により充電が必要と判定された着脱式バッテリ100の充放電を制御する。例えば、充放電制御部212は、バッテリ交換装置240に含まれるAC/DC変換器260およびDC/DC変換器271などを制御することで、着脱式バッテリ100の充放電を行う。充放電制御部212は、着脱式バッテリ100の充放電に関する制御の履歴を、制御履歴情報I62として記憶部216に記憶させる。制御履歴情報I62は、例えば、各着脱式バッテリ100の充電開始時刻および充電終了時刻や、同時充電中の着脱式バッテリ100の個数と日時情報とが対応付けされた情報などを含む。
空気温度検出部613は、空気温度センサS1の測定結果に基づき、空気温度を検出する。例えば、空気温度センサS1の測定結果が筐体251の内部の空気温度を直接含まない場合、空気温度検出部613は、空気温度センサS1の測定結果と予め求められた関係式や計算テーブルなどに基づき、筐体251の内部の空気温度を推定してもよい。空気温度検出部613は、検出した空気温度を日時情報と対応付けて、空気温度情報I63として記憶部216に記憶させる。ただし上述したように、空気温度は、上述したような計算が行われずに、筐体251の外部の空気温度がそのまま用いられてもよい。
部品温度検出部614は、部品温度センサS2の測定結果に基づき、部品温度を検出する。例えば、部品温度センサS2の測定結果がAC/DC変換器260の部品温度を直接含まない場合、部品温度検出部614は、部品温度センサS2の測定結果と予め求められた関係式や計算テーブルなどに基づき、AC/DC変換器260の部品温度を推定してもよい。部品温度検出部614は、検出した部品温度を日時情報と対応付けて、部品温度情報I64として記憶部216に記憶させる。ただし上述したように、部品温度は、上述したような計算が行われずに、AC/DC変換器260の近傍の温度などがそのまま用いられてもよい。
情報出力部214は、記憶部216に記憶された制御履歴情報I62、空気温度情報I63、および部品温度情報I64を含むバッテリ交換ステーション200の状態情報を、所定の周期で管理サーバ装置700に送信する。所定の周期は、例えば10分毎であるが、上記例には限定されない。状態情報は、記憶部216に記憶されたステーションIDI61と紐付けられて管理サーバ装置700に送信される。ステーションIDI61は、バッテリ交換ステーション200を識別可能な識別情報である。
[5.管理サーバ装置]
次に、管理サーバ装置700について詳しく説明する。
図25は、第4実施形態の管理サーバ装置700のシステム構成を示すブロック図である。管理サーバ装置700は、例えば、情報取得部310と、ステーション管理部320と、劣化判定部730と、劣化予測部740と、報知情報出力部350と、制御指令出力部360と、記憶部370とを有する。
情報取得部310、ステーション管理部320、比較部720、劣化判定部730、劣化予測部740、報知情報出力部350、および制御指令出力部360は、それぞれ、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、予め管理サーバ装置700が備えるHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、管理サーバ装置700が備えるドライブ装置に記憶媒体が装着されることで管理サーバ装置700が備えるHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。記憶部370は、HDDやフラッシュメモリ、RAMなどの記憶装置のうち1つまたは組み合わせにより実現される。
情報取得部310は、各バッテリ交換ステーション200から送信された状態情報を取得する。例えば、情報取得部310は、各バッテリ交換ステーション200から送信された制御履歴情報I62、空気温度情報I63、および部品温度情報I64を取得する。本明細書で「取得する」とは、外部から受信することで取得する場合に加えて、内部で生成される(例えば外部から受信した情報に対して所定の計算を行うことで生成される)場合なども含む。情報取得部310は、各バッテリ交換ステーション200から取得した状態情報を、状態履歴情報I71として記憶部370に蓄積する。情報取得部310は、「取得部」の一例である。
ステーション管理部320は、各バッテリ交換ステーション200から取得された状態情報に基づき、各バッテリ交換ステーション200の管理を行う。例えば、ステーション管理部320は、各バッテリ交換ステーション200の稼働状態、各バッテリ交換ステーション200が受領した着脱式バッテリ100の個数、各バッテリ交換ステーション200から供与された着脱式バッテリ100の個数などを管理する。
本実施形態では、比較部720は、予め求められたAC/DC変換器260の作動中における空気温度と部品温度との関係を含む情報と、情報取得部310により取得された空気温度および部品温度とを比較する。劣化判定部730は、比較部720の比較結果に基づいて、AC/DC変換器260の劣化に関する判定を行う。本実施形態では、劣化判定部730は、AC/DC変換器260に所定以上の劣化が生じているか否かを判定する。以下、この内容について詳しく説明する。劣化判定部730は、「判定部」の一例であり、「処理部」の一例である。AC/DC変換器260の所定以上の劣化は、「電気動作部異変」の一例である。
図26は、第4実施形態の劣化判定部730による判定を説明するための図である。図中において「◆」は、バッテリ交換装置240において6個の着脱式バッテリ100が同時充電された場合の部品温度の変化であって、AC/DC変換器260に劣化が生じていない場合の部品温度の変化である。図中において「×」は、バッテリ交換装置240において2個の着脱式バッテリ100が同時充電された場合の部品温度の変化であって、AC/DC変換器260に劣化が生じていない場合の部品温度の変化である。図26中において「△」は、バッテリ交換装置240において6個の着脱式バッテリ100が同時充電された場合の部品温度の変化であって、AC/DC変換器260に所定以上の劣化が生じている場合の部品温度の変化である。図中において「□」の印は、空気温度の変化である。上述した「◆」、「×」、および「△」は、同じ空気温度が測定された場合の部品温度である。
図26に示すように、例えば、充電が終了するなどした場合において、AC/DC変換器260に所定以上の劣化が生じていないときには、測定された空気温度が同じである条件の下で、時刻t2を境に部品温度が徐々に減少する。これに対して、AC/DC変換器260に所定以上の劣化が生じると、測定された空気温度が同じである場合、時刻t2を超えてもAC/DC変換器260の温度が増加し、温度上昇が大きくなる。このため、劣化判定部730は、例えば、同じ空気温度が測定された場合における正常時(非劣化状態)の部品温度の最大値と、情報取得部310により取得された部品温度の最大値とを比較し、これら部品温度の最大値の差が所定以上となった場合に、AC/DC変換器260に所定以上の劣化が存在すると判定することができる。
ところで、図26に示すように、同時充電される着脱式バッテリ100の個数によって、測定される部品温度の最大値が異なる。このため、劣化判定部730は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数を考慮して判定を行うことで、劣化に関する判定をより高い精度で行うことができる。
以下では、劣化判定部730の具体的な処理の一例を説明する。劣化判定部730は、記憶部370に予め記憶された関係情報I72と、情報取得部310により取得された空気温度および部品温度とに基づき、AC/DC変換器260(例えば、コンデンサ264)に所定以上の劣化が生じているか否かを判定する。
図27は、関係情報I72の一例を示す図である。関係情報I72は、予め求められたAC/DC変換器260(電気部品)の作動中における空気温度と部品温度との関係(例えば相関関係)を含む情報である。本実施形態に係る関係情報I72は、非劣化状態のAC/DC変換器260が作動中における空気温度と部品温度の最大値との関係(例えば相関関係)を含む。本実施形態に係る関係情報I72は、AC/DC変換器260が同時に充電電力を供給している着脱式バッテリ100の個数別の、空気温度と部品温度との関係(例えば相関関係)を含む。
図27に示す例では、同時充電される着脱式バッテリ100の個数別に、正常時の部品温度の最大値と、劣化判定用の閾値(正常時の部品温度の最大値に対する差分値)とが登録されている。例えば、図中の「Tc11max」は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が1つであり、測定された空気温度が「Ta1[℃]」の場合における、正常時(非劣化時)の部品温度の最大値を示す。同様に、図中の「Tc12max」は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が1つであり、測定された空気温度が「Ta2[℃]」の場合における、正常時(非劣化時)の部品温度の最大値を示す。図中の「Tc13max」は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が1つであり、測定された空気温度が「Ta3[℃]」の場合における、正常時(非劣化時)の部品温度の最大値を示す。Ta1、Ta2、Ta3は、互いに異なる温度であり、例えば、Ta3>Ta2>Ta1である。この場合、Tc13max>Tc12max>Tc11maxの関係が成り立つ。
図中の「Tth1」は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が1つの場合の劣化判定用の閾値である。Tth1は、正常時の部品温度の最大値であるTc11max、Tc12max、Tc13maxの各々と組み合わされて用いられる。例えば、劣化判定部730は、情報取得部310により取得された空気温度が「Ta1[℃]」である場合、情報取得部310により取得された部品温度の最大値がTc11maxとTth1との合計値(Tc11max+Tth1)以上であることに応じて、AC/DC変換器260に所定以上の劣化が生じていると判定する。
一方で、劣化判定部730は、情報取得部310により取得された空気温度が「Ta1[℃]」である場合、情報取得部310により取得された部品温度の最大値がTc11maxとTth1との合計値(Tc11max+Tth1)未満であることに応じて、AC/DC変換器260に所定以上の劣化が生じていないと判定する。本実施形態では、Tth1は、Tc11max、Tc12max、Tc13maxに対して共通に設定されているが、Tc11max、Tc12max、Tc13maxの個々に対して異なる値が設定されてもよい。これは他の閾値(Tth2、Tth3、…)についても同様である。
同様に、図中の「Tc21max」は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が2つであり、測定された空気温度が「Ta1[℃]」の場合における、正常時(非劣化時)の部品温度の最大値を示す。図中の「Tc22max」は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が2つであり、測定された空気温度が「Ta2[℃]」の場合における、正常時(非劣化時)の部品温度の最大値を示す。これら定義は、他の部品温度についても同様である。図27に示す例では、Tc21max>Tc11maxの関係が成り立ち、Tc22max>Tc12maxの関係が成り立つ。これら関係は、他の部品温度についても同様である。
図中の「Tth2」は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が2つの場合の劣化判定用の閾値である。Tth2は、正常時の部品温度の最大値であるTc21max、Tc22max、Tc23maxの各々と組み合わされて用いられる。これら定義は、他の閾値についても同様である。図27に示す例では、Tth3>Tth2>Tth1の関係が成り立つ。これら関係は、他の閾値についても同様である。
図28は、関係情報I72の別の一例である関係情報I72Aを示す図である。関係情報I72Aは、予め求められたAC/DC変換器260(電気部品)の作動中における空気温度と部品温度との関係(例えば相関関係)を含む情報として、非劣化状態のAC/DC変換器260が作動中における空気温度と部品温度の最大値との関係に代えて、AC/DC変換器260が作動中における空気温度と劣化判定用の閾値(部品温度に関する閾値)との関係を直接に含む。このような情報であっても、本明細書で言う「予め求められた電気部品の作動中における空気温度と部品温度との関係を含む情報」に該当する。
図28に示す例では、同時充電される着脱式バッテリ100の個数別に、空気温度と劣化判定用の閾値との関係を含む。図28に示す例では、劣化判定用の閾値は、図27に示すような部品温度の最大値に対する差分値ではなく、部品温度の絶対値である。例えば、図中の「Tth11」は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が1つであり、測定された空気温度が「Ta1[℃]」の場合における、劣化判定用の閾値である。劣化判定部730は、情報取得部310により取得された空気温度が「Ta1[℃]」である場合、情報取得部310により取得された部品温度の最大値がTth11以上であることに応じて、AC/DC変換器260に所定以上の劣化が生じていると判定する。一方で、劣化判定部730は、情報取得部310により取得された空気温度が「Ta1[℃]」である場合、情報取得部310により取得された部品温度の最大値がTth11未満であることに応じて、AC/DC変換器260に所定以上の劣化が生じていないと判定する。
同様に、図中の「Tth12」は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が1つであり、測定された空気温度が「Ta2[℃]」の場合における、劣化判定用の閾値である。図中の「Tth13」は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が1つであり、測定された空気温度が「Ta3[℃]」の場合における、劣化判定用の閾値である。ここで、Ta3>Ta2>Ta1である場合、Tth13>Tth12>Tth11の関係が成り立つ。
同様に、図中の「Tth21」は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が2つであり、測定された空気温度が「Ta1[℃]」の場合における、劣化判定用の閾値である。図中の「Tth22」は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が2つであり、測定された空気温度が「Ta2[℃]」の場合における、劣化判定用の閾値である。これら定義は、他の閾値についても同様である。図28に示す例では、Tth21>Tth11の関係が成り立ち、Tth22>Tth12の関係が成り立つ。これら関係は、他の部品温度についても同様である。
以上のように、本実施形態の劣化判定部730は、情報取得部310により取得された空気温度に応じて関係情報I72から得られる部品温度の最大値と、情報取得部310により取得された部品温度(例えば情報取得部310により取得された部品温度の最大値)との温度差に基づき、AC/DC変換器260の劣化に関する判定を行う。
以上の説明では、劣化判定部730が関係情報I72(または関係情報I72A)のようなテーブル情報に基づいて判定を行う例について説明したが、上記例に限定されない。例えば、劣化判定部730は、回帰分析により求められた計算式を用いて判定を行ってもよいし、機械学習により求められた学習済みモデル(例えばニューラルネットワーク)を用いて判定を行ってもよい。機械学習により求められた学習済みモデルは、「予め求められた電気部品の作動中における空気温度と部品温度との関係を含む情報」の一例である。
本実施形態では、劣化判定部730は、AC/DC変換器260が2個以上の着脱式バッテリ100に対して充電電力を供給する場合に、上記判定を行う。このような構成によれば、AC/DC変換器260の温度変化が大きくなるので、誤判定の可能性を低減することができる。
本実施形態では、劣化判定部730は、バッテリ交換装置240に収容された複数の着脱式バッテリ100のうち同時に充電可能な全ての着脱式バッテリ100に対してAC/DC変換器260が充電電力を供給する場合に、上記判定を行う。このような構成によれば、AC/DC変換器260の温度変化が最大化するので、誤判定の可能性をさらに低減することができる。
劣化予測部740は、劣化判定部730により所定以上の劣化が生じていると判定された場合に、その後の劣化進行の速さを予測する。例えば、劣化予測部740は、状態履歴情報I71から得られる部品温度の最大値の変化(例えば、同じ空気温度における部品温度の最大値の変化)の時系列に基づき劣化進行の速度を算出し、算出した劣化進行の速度に基づき、AC/DC変換器260がより深刻な劣化レベルに達する時期(すなわち、劣化の度合いが所定の閾値を超える時期、例えば、実際に故障が発生し得る状態になる時期)を算出してもよい。または、劣化予測部740は、劣化判定部730により所定以上の劣化が生じていないと判定された場合に、上記と同様に算出した劣化進行の速度に基づき、AC/DC変換器260に上記所定以上の劣化が生じる時期(すなわち、劣化の度合いが所定の閾値を超える時期)を算出してもよい。
なお、劣化予測部740は、部品温度の最大値の変化の時系列に代えて/加えて、各バッテリ交換ステーション200の制御履歴情報I62に基づき、各バッテリ交換ステーション200での充電頻度(所定期間における充電回数)などに基づき、劣化進行の速度を算出してもよい。
報知情報出力部350は、情報取得部310により取得された状態情報と、記憶部370に記憶されたステーション管理情報I73とに基づき、所定のモニタリング情報を生成し、生成したモニタリング情報を、バッテリシェアサービスシステム1の管理者P1が使用する端末装置T1に送信する。モニタリング情報は、各バッテリ交換ステーション200に関する監視に供される情報であり、例えば、各バッテリ交換ステーション200のステーションIDや位置(設置場所)と、各バッテリ交換ステーション200で測定された空気温度および部品温度の推移などを含む情報である。これにより、管理者P1は、各バッテリ交換ステーション200で測定された空気温度および部品温度の推移を遠隔監視することができる。
さらに、報知情報出力部350は、劣化判定部730により所定以上の劣化が生じていると判定された場合に、ステーション管理情報I73に基づき、警告表示を含む所定の報知情報を生成する。そして報知情報出力部350は、生成した報知情報を、上記端末装置T1と各バッテリ交換ステーション200を担当する保安要員P2が使用する端末装置T2に送信する。これにより、端末装置T1,T2は、画面出力または音声出力により報知情報を報知する。報知情報出力部350は、「処理部」の別の一例であり、「出力部」の一例でもある。
報知情報は、バッテリ交換ステーション200の保守若しくは整備に供される情報であり、例えばバッテリ交換ステーション200のステーションIDおよび位置(設置場所)、保安要員P2または保守整備要員がバッテリ交換ステーション200を訪問すべき時期、バッテリ交換ステーション200の修理または交換を行う場合に必要な保守整備要員の数、持ち運ぶべき電気部品の種類および数、などである。さらに、報知情報は、電気部品(例えばAC/DC変換器)の製造、流通、若しくは保管に供される情報(例えば、電気部品の必要製造数、納入数、製造時期、保管数、保管時期、などを示す情報を含んでもよい。これら報知情報を生成するための情報は、ステーション管理情報I73の一部として予め記憶部370に登録されている。さらに、報知情報は、緊急度を示す情報として、劣化予測部740により予測されたAC/DC変換器260がより深刻な劣化レベルに達するまでの残り時間(すなわち、劣化の度合いが所定の閾値を超えるまでの残り時間、例えば、実際に故障が発生し得る状態になるまでの残り時間)を含んでもよい。
制御指令出力部360は、劣化判定部730により所定以上の劣化が生じていると判定された場合に、バッテリ交換ステーション200の動作状態を変更する制御指令を生成し、対象となるバッテリ交換ステーション200に生成した制御指令を送信する。上記制御指令は、所定以上の劣化が生じていると判定されたAC/DC変換器260の作動状態を低減する指令である。AC/DC変換器260の作動状態を低減する指令とは、例えばAC/DC変換器260に流れる電流量を低減する指令であり、例えば、同時充電を行う着脱式バッテリ100の数に制約を課す指令など(バッテリスロット221が8個ある場合であっても、4個の着脱式バッテリ100までしか同時充電を許可しないなど)である。このような制御指令は、記憶部370に予め記憶された制御情報I74に基づいて生成可能である。これにより、バッテリ交換ステーション200で実際に故障が生じるまでの時間を延ばすことができる。なお、AC/DC変換器260の作動状態を低減する指令は、バッテリ交換装置240の一部または全部の使用を禁止する指令でもよい。制御指令出力部360は、「処理部」の別の一例である。
さらに、制御指令出力部360は、劣化予測部740により予測されたAC/DC変換器260がより深刻な劣化レベルに達するまでの残り時間(例えば、実際に故障が発生し得る状態になるまでの残り時間)に応じて、上記制御指令の内容を変更してもよい。例えば、AC/DC変換器260がより深刻な劣化レベルに達するまでの残り時間が所定よりも短い場合、AC/DC変換器260の作動状態をより大きく低減させる制御指令が生成されてもよい。
[6.処理流れ]
次に、劣化判定に関する処理流れについて説明する。
図29は、第4実施形態の劣化判定に関する処理流れの一例を示すフローチャートである。劣化判定部730は、着脱式バッテリ100の充電が開始される場合、以下の処理フローを開始する。
まず、劣化判定部730は、バッテリ交換ステーション200から取得される制御履歴情報I62に基づき、同時充電される着脱式バッテリ100の個数を特定する(S501)。次に、劣化判定部730は、S501で特定された個数がバッテリ交換装置240で同時充電可能な最大個数(本実施形態の例では8個)であるか否かを判定する(S502)。S501で特定された個数がバッテリ交換装置240で同時充電可能な最大個数である場合(S502:YES)、処理はS504に進む。
一方で、S501で特定された個数がバッテリ交換装置240で同時充電可能な最大個数でない場合(S502:NO)、劣化判定部730は、S501で特定された個数よりも多い個数での劣化判定が過去の所定期間内(例えば1週間以内)に行われたか否かを判定する(S503)。例えば、S501で特定された個数が4個である場合、劣化判定部730は、5個以上の着脱式バッテリ100が同時充電された状態での劣化判定が過去の所定期間内に行われたか否かを判定する。S503がYESの場合、劣化判定部730は、特段の処理を行うことなく、処理フローを終了する。
S503がNOの場合、劣化判定部730は、上述した劣化判定を行う。すなわち、劣化判定部730は、記憶部370に記憶された関係情報I72(または関係情報I72A)と、情報取得部310により取得された空気温度および部品温度に基づき、AC/DC変換器260に所定以上の劣化が生じているか否かを判定する(S504)。
そして、AC/DC変換器260に所定以上の劣化が生じていない場合(S504:NO)、報知情報出力部350および制御指令出力部360は、特段の処理を行うことなく、処理フローを終了する。一方で、AC/DC変換器260に所定以上の劣化が生じている場合(S504:YES)、報知情報出力部350は、上述した報知情報を生成し、生成した報知情報を端末装置T1,T2に送信する(S505)。さらに、制御指令出力部360は、AC/DC変換器260の作動状態を低減する制御指令を出力する(S106)。これにより、一連の処理が終了する。
[7.利点]
本実施形態では、情報処理装置(例えば管理サーバ装置700)は、空気温度と部品温度とを取得する情報取得部310と、予め求められた電気部品(例えばAC/DC変換器260)の作動中における空気温度と部品温度との関係を含む情報と、情報取得部310により取得された空気温度および部品温度とに基づいて、電気部品の劣化に関する判定、電気部品に劣化が生じたことを示す報知の出力、又は前記電気部品の作動状態を低減する指令の出力のうち少なくとも1つを行う処理部(例えば、劣化判定部730、報知情報出力部350、制御指令出力部360)とを備える。このような構成によれば、実際に不具合が生じる前に劣化を検知することができ、電力装置(例えばバッテリ交換ステーション200)に関する不具合の発生を抑制することができる。
例えば、バッテリシェアサービスシステムにおいて、バッテリ交換装置240の遠隔監視を行う場合、AC/DC変換器260が故障するとサービスの停止または制約を余儀なくされ、部品納期も長いため影響が大きい場合がある。そのため、故障を検知した場合に備えて在庫部品を保有するなどの対策を取ることが考えられる。しかしながら、部品が高額な上に長期保管(過剰在庫)によって性能が劣化する場合がある。一方で、上記構成によれば、電気部品の劣化に応じて空気温度と部品温度との差が大きくなるため、故障が生じる前に劣化を検知することができる。これにより、速やかに部品を準備することが可能となり、サービスに制約が生じることを抑制することができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態は、電気部品の劣化度合いが算出される点で、第4実施形態とは異なる。以下に説明する以外の構成は、第4実施形態の構成と同様である。
図30は、第5実施形態の管理サーバ装置700Aのシステム構成を示すブロック図である。管理サーバ装置700Aは、例えば、第4実施形態の劣化判定部730および劣化予測部740に代えて、劣化判定部730Aおよび劣化予測部740Aを有する。劣化判定部730Aは、「処理部」の一例である。記憶部370には、劣化度合い判定情報I75が記憶されている。
本実施形態では、劣化判定部730Aは、予め求められたAC/DC変換器260の作動中における空気温度と部品温度との関係を含む情報(例えば関係情報I72)と、情報取得部310により取得された空気温度および部品温度とに基づいて、AC/DC変換器260の劣化の度合い(劣化の進行度合い)を判定する。例えば、劣化判定部730Aは、情報取得部310により取得された空気温度に応じて関係情報I72から得られる正常時(非劣化状態)の部品温度の最大値と、情報取得部310により直近に取得された部品温度の最大値との温度差に基づき、AC/DC変換器260の劣化の度合いを随時判定する。
具体的な一例では、劣化判定部730Aは、関係情報I72(図27参照)と情報取得部310により取得された空気温度および部品温度とに基づき、空気温度が同じ場合における正常時(非劣化状態)のAC/DC変換器260の部品温度の最大値と、情報取得部310により直近に取得された部品温度の最大値との温度差ΔTを算出する。なお、温度差ΔTは、例えば同時充電される着脱式バッテリ100の個数別に行われる。そして、劣化判定部730Aは、温度差ΔTの大きさに基づき、AC/DC変換器260の劣化の度合いを判定する。
図31は、劣化度合い判定情報I75の一例を示す図である。劣化度合い判定情報I75には、温度差ΔTの大きさと、AC/DC変換器260の劣化の度合いとが対応付けられて登録されている。例えば、温度差ΔT1(例えば温度差ΔTが1℃)と、劣化度合い「2」とが対応付けられている。温度差ΔT2(例えば温度差ΔTが2℃)と、劣化度合い「4」とが対応付けられている。劣化度合い「4」は、劣化度合い「2」よりも劣化が進行した状態を示す。以下、温度差ΔT3,ΔT4,…についても同様である。
劣化予測部740Aは、劣化判定部730Aにより判定された劣化の度合いに基づき(例えば、劣化判定部730Aにより随時判定された劣化の度合いの変化の時系列)に基づき、AC/DC変換器260の劣化が所定以上の劣化(例えば、劣化度合い「10」の劣化)に達する時期(すなわち、劣化の度合いが所定の閾値を超える時期)を算出する。
なお、劣化予測部740Aは、劣化判定部730Aにより判定された劣化の度合いに加えて、各バッテリ交換ステーション200の制御履歴情報I62から得られる各バッテリ交換ステーション200での充電頻度(所定期間における充電回数)などに基づき、AC/DC変換器260の劣化が上記所定以上の劣化に達する時期を算出してもよい。
以上説明した本実施形態では、第4実施形態と同様に、実際に不具合が生じる前に劣化を検知することができ、電力装置に関する不具合の発生を抑制することができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。第6実施形態は、空気温度を用いずに、部品温度のみに基づき電気部品の劣化に関する判定が行われる点で、第4実施形態とは異なる。以下に説明する以外の構成は、第4実施形態の構成と同様である。
図32は、第6実施形態の管理サーバ装置700Bのシステム構成を示すブロック図である。管理サーバ装置700Bは、例えば、第4実施形態の劣化判定部730に代えて、劣化判定部730Bを有する。劣化判定部730Bは、「処理部」の一例である。記憶部370には、部品温度基準情報I82が記憶されている。
本実施形態では、劣化判定部730Bは、AC/DC変換器260の過去の作動中における部品温度の最大値を含む情報(例えば後述する部品温度基準情報I82)と、情報取得部310により直近に取得された部品温度とに基づいて、AC/DC変換器260の劣化に関する判定を行う。
図33は、部品温度基準情報I82の一例を示す図である。部品温度基準情報I82は、AC/DC変換器260が同時に充電電力を供給している着脱式バッテリ100の個数別の、AC/DC変換器260の過去(非劣化状態)の作動中における部品温度の最大値を含む。
図33に示す例では、同時充電される着脱式バッテリ100の個数別に、正常時(非劣化状態)の部品温度の最大値と、劣化判定用の閾値(正常時の部品温度の最大値に対する差分値)とが登録されている。例えば、図中の「Tc1max」は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が1つである場合における、正常時(非劣化時)の部品温度の最大値を示す。同様に、図中の「Tc2max」は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が2つである場合における、正常時(非劣化時)の部品温度の最大値を示す。これら定義は、他の部品温度についても同様である。図33に示す例では、Tc2max>Tc1maxの関係が成り立つ。この関係は、他の部品温度についても同様である。
図中の「Tth1´」は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が1つの場合の劣化判定用の閾値である。Tth1´は、正常時の部品温度の最大値であるTc1maxと組み合わされて用いられる。例えば、劣化判定部730は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が1つの場合、情報取得部310により取得された部品温度の最大値がTc11maxとTth1´との合計値(Tc11max+Tth1´)以上であることに応じて、AC/DC変換器260に所定以上の劣化が生じていると判定する。図中の「Tth2´」は、同時充電される着脱式バッテリ100の個数が2つの場合の劣化判定用の閾値である。Tth2´は、正常時の部品温度の最大値であるTc2maxと組み合わされて用いられる。これら定義は、他の閾値についても同様である。図33に示す例では、Tth2´>Tth1´の関係が成り立つ。この関係は、他の閾値についても同様である。
なお、劣化判定部730Bは、上記例に代えて、第5実施形態の劣化判定部730Bと同様に、部品温度基準情報I82に含まれる部品温度の最大値と、情報取得部310により取得された部品温度の最大値との温度差に基づき、AC/DC変換器260の劣化の度合いを随時判定してもよい。
以上説明した本実施形態では、実際に不具合が生じる前に劣化を検知することができ、電力装置に関する不具合の発生を抑制することができる。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。第7実施形態は、電気部品の劣化とともに、フィルタ266に生じた異変、例えばフィルタ266の目詰まりに関する判定が行われる点で、第4実施形態と異なる。以下に説明する以外の構成は、第4実施形態の構成と同様である。
図34は、第7実施形態の管理サーバ装置700Cのシステム構成を示すブロック図である。管理サーバ装置700Cは、例えば、第4実施形態の劣化判定部730に代えて、異変判定部730Cを有する。記憶部370には、部品温度基準情報I82が記憶されている。部品温度基準情報I82は、例えば、図33に示す第6実施形態の部品温度基準情報I82と同様である。
本実施形態では、異変判定部730Cは、第4実施形態の劣化判定部730におけるAC/DC変換器260の劣化の判定と同様の判定とともに、フィルタ266に生じた異変に関する判定を行う。異変判定部730Cは、第4実施形態と同様に、AC/DC変換器260の部品温度が時刻t2(図26)を超えたときに増加するか否かに基づいて、AC/DC変換器260の劣化を判定する。また、異変判定部730Cは、AC/DC変換器260の部品温度が時刻t2を超えて減少するときの減少度合に基づいて、フィルタ266に生じた異変を判定する。
図35は、第7実施形態の異変判定部730Cによる判定を説明するための図である。図中において「◆」は、バッテリ交換装置240において6個の着脱式バッテリ100が同時充電された場合の部品温度の変化であって、AC/DC変換器260に劣化が生じていない場合の部品温度の変化である。図中において「△」は、バッテリ交換装置240において6個の着脱式バッテリ100が同時充電された場合の部品温度の変化であって、AC/DC変換器260に所定以上の劣化が生じている場合の部品温度の変化である。図中において「〇」は、バッテリ交換装置240において6個の着脱式バッテリ100が同時充電された場合の部品温度の変化であって、AC/DC変換器260に所定以上の劣化が生じておらず、フィルタ266に目詰まりの異変が生じている場合の部品温度の変化である。図中において「□」の印は、空気温度の変化である。上述した「◆」、「△」、及び「〇」は、同じ空気温度が測定された場合の部品温度である。
図35に示すように、例えば、時刻t2に充電が終了するなどした場合において、AC/DC変換器260に所定以上の劣化が生じていないときには、測定された空気温度が同じである条件の下で、時刻t2を境に部品温度が徐々に減少する。このとき、フィルタ266に目詰まりの異変が生じているときには、部品の冷却が進まず、異変が生じている場合よりも部品温度の減少割合(減少度)が低下する。このため、異変判定部730Cは、例えば、時刻t2から一定時間が経過した後に、フィルタ266に異変が生じている場合と生じていない場合とで、異変を検出できる程度の差が生じる。したがって、充電が終了した後などに部品温度が低下する際の温度変化に基づいて、フィルタ266に生じた異変が存在すると判定することができる。
次に、いくつかの変形例ついて説明する。
(第1変形例)
劣化判定部730(または劣化判定部730A,730B)、劣化予測部740(または劣化予測部740A)、報知情報出力部350、制御指令出力部360、および記憶部370のうち全部または一部の機能部は、管理サーバ装置700(管理サーバ装置700A,700B)に代えて、バッテリ交換ステーション200に設けられてもよい。このような構成でも、上述した実施形態と同様に、実際に不具合が生じる前に劣化を検知することができ、バッテリ交換ステーション200に関する不具合の発生を抑制することができる。
(第2変形例)
上述した実施形態は、電気部品であるAC/DC変換器260の部品温度を取得し、AC/DC変換器260に関する劣化を判定する例である。これに代えて、部品温度が取得されて劣化判定の対象となる電気部品は、DC/DC変換器(例えば、DC/DC変換器271)でもよく、DC/AC変換器でもよく、電力変換器以外の電気部品でもよい。
(第3変形例)
第1および第2の実施形態は、空気温度と部品温度との関係に基づき、電気部品の劣化に関する判定が行われる。ここで、電気部品が第1部品(耐熱温度が相対的に高く、経年劣化による部品温度の上昇が相対的に小さい部品)と、第2部品(耐熱温度が相対的に低く、経年劣化による部品温度の上昇が相対的に大きい部品)とを含む場合がある。第1部品は、例えば、FET261、サイリスタ262,または帰還ダイオード263である。第2部品は、コンデンサ264である。
この場合、情報処理装置は、次のような構成を有してもよい。すなわち、情報処理装置は、上記第1部品に関する温度である第1部品温度と、上記第2部品に関する温度である第2部品温度とを取得する取得部と、予め求められた電気部品の作動中における上記第1部品温度と上記第2部品温度との関係を含む情報と、上記取得部により取得された上記第1部品温度および上記第2部品温度とに基づいて、上記電気部品の劣化に関する判定、上記電気部品に劣化が生じたことを示す報知の出力、又は上記電気部品の作動状態を低減する指令の出力のうち少なくとも1つである処理を実行する処理部とを有する。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。