以下、添付図面にもとづき、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るコネクタ連結体を相手コネクタとともに示す斜視図であり、雄コネクタ側から見た状態に示している。図2は、図1のコネクタ連結体を雌コネクタ側から見た斜視図である。図1及び図2では、相手コネクタを二点鎖線で示している。図3は、図1のコネクタ連結体のコネクタ幅方向に対して直角な面での断面図であり、(A)はコネクタ幅方向での端子位置での断面、(B)はコネクタ幅方向での連結部材の位置での断面を示している。図4は、図2に示されるコネクタ連結体を上下反転させて示した斜視図である。図5は、図2に示されるコネクタ連結体の雄コネクタ、雌コネクタ及び連結部材を互いに分離した状態で示した斜視図である。
本実施形態に係るコネクタ連結体は、雄コネクタ1と雌コネクタ2とが連結部材150で連結されて構成されている。雄コネクタ1及び雌コネクタ2は、それぞれの回路基板に半田接続により実装される回路基板用電気コネクタであり、図1及び図2に見られるように、1つの回路基板Bの実装面上に、X軸方向を隣接方向として互いに隣接する位置で実装されている。本実施形態では、必要に応じて、雄コネクタ1と雌コネクタ2とが互いに隣接する方向(X軸方向)を「前後方向」、回路基板Bの実装面に対して直角な方向(Z軸方向)を「コネクタ高さ方向」、隣接方向及びコネクタ高さ方向の両方向に対して直角な方向(Y軸方向)を「コネクタ幅方向」という。
本実施形態では、雄コネクタ1と雌コネクタ2とが連結部材150で連結されて構成されたコネクタ連結体が複数用意され、この複数のコネクタ連結体のそれぞれが、対応する回路基板の実装面に実装された状態で、前後方向(X軸方向)をコネクタ接続方向として直列的に嵌合接続されるようになっている(図1及び図2参照)。
図1及び図2に見られるように、1つのコネクタ連結体の雄コネクタ1には、前後方向(X軸方向)での後方側(X2側)に位置する他のコネクタ連結体に設けられた相手コネクタとしての雌コネクタR(二点鎖線にて図示)が後方から嵌合接続される。また、コネクタ連結体の雌コネクタ2には、前後方向での前方側(X1側)に位置する他のコネクタ連結体に設けられた相手コネクタとしての雄コネクタP(二点鎖線にて図示)が前方から嵌合接続される。本実施形態では、雌コネクタRは雌コネクタ2と同じ構成のコネクタであり、雄コネクタPは雄コネクタ1と同じ構成のコネクタである。
雄コネクタ1は、電気絶縁材製で略直方体外形に作られたハウジング10と、該ハウジング10に配列保持される複数の金属製の上側雄端子20及び金属製の下側雄端子30と、該ハウジング10に取り付けられる金属製の上側シールド板40及び下側シールド板70とを有している。以下、上側雄端子20と下側雄端子30とを区別する必要がない場合には、これらを「雄端子20,30」と総称する。
ハウジング10は、その後部(X2側の部分)が相手コネクタとしての雌コネクタRとの嵌合のための嵌合部11として形成され、前部(X1側の部分)が雄端子20,30を保持するための端子保持部12として形成されている。図1に見られるように、嵌合部11は、上下方向で対向してコネクタ幅方向(Y軸方向)に延びる上壁13及び下壁14と、該嵌合部11のコネクタ幅方向両端位置で上下方向(コネクタ高さ方向)に延び上壁13の端部と下壁14の端部とを連結する一対の端壁15とを有している。また、上壁13、下壁14及び一対の端壁15で囲まれた空間は、雌コネクタRに設けられた対応嵌合部を受け入れるために後方(X2方向)に開口された受入凹部16として形成されている。
上壁13には、図1に見られるように、コネクタ幅方向での複数箇所(本実施形態では4箇所)にて、該上壁13の後端部(受入凹部16の開口縁部を形成する部分)の下面から没した上側取付溝13Aが形成されている。該上側取付溝13Aは、後方から圧入された上側内シールド部60を保持するようになっている。
また、下壁14には、図1に見られるように、コネクタ幅方向での複数箇所(本実施形態では4箇所)にて、該下壁14の後端部(受入凹部16の開口縁部を形成する部分)の上面から没した下側取付溝14Aが形成されている。該下側取付溝14Aは、後方から圧入された下側シールド板70を保持するようになっている。
図1及び図2に見られるように、端子保持部12は、コネクタ幅方向の両端に位置する外側面(コネクタ幅方向に対して直角な面)から没した連結部材保持部12Aを有している。該連結部材保持部12Aは、前後方向に延びるとともに前方(X1方向)及びコネクタ幅方向外方へ向けて開放されており、連結部材150の後述の後方被保持部151を収容して圧入保持するようになっている。
連結部材保持部12Aの上部には、連結部材150の上部を収容するための上溝部12A-1が形成されており、該連結部材保持部12Aの下部には、連結部材150の下部を収容するための下溝部12A-2が形成されている。上溝部12A-1は、前後方向に延びるとともに前方及び下方に開放されている。該上溝部12A-1の上側内壁面(上下方向に対して直角な面)は、図3(B)に見られるように、前後方向中間位置で段状をなしており、前半部(X1側部分)が後半部(X2側部分)よりも上方に位置している。下溝部12A-2は、上溝部12A-1を上下反転させた形状をなしている。
図3(A)に見られるように、端子保持部12は、コネクタ幅方向に対して直角に拡がるスリット状の端子保持溝17を有している。端子保持部12は、雄端子20,30の板厚よりも若干大きい溝幅寸法(コネクタ幅方向での寸法)で形成されており、雄端子20,30を収容可能となっている。
端子保持溝17の形状の説明に先立って、まず、該端子保持溝17で保持される雄端子20,30の形状を説明する。雄端子20,30は、金属板部材をその板厚方向に打ち抜くことにより作られ、図3(A)に見られるように全体が略L字状をなしており、図1に見られるようにコネクタ幅方向(Y軸方向)を端子配列方向としてハウジング10に配列保持されている。また、雄端子20,30は、図3(A)に見られるようにコネクタ幅方向に対して板面が直角をなした姿勢で端子保持溝17内に保持されている。雄端子20,30のうち、上側雄端子20は、端子保持溝17内で前後方向(X軸方向)に直状に延びる横部21と、端子保持溝17内で該横部21の前端部(X1側の端部)から下方へ直状に延びる縦部22と、横部21の後端部(X2側の端部)から後方(X2方向)へ直状に延び受入凹部16内に位置する接触部23とを有している。
横部21は、その上縁に複数の係止突起が形成されており、該係止突起が端子保持溝17の後述する上溝部17Aの内壁面に喰い込むことにより該上溝部17A内で保持されるようになっている。縦部22は、端子保持部12の底面から若干突出する位置まで下方に延びており、その突出している下端部は回路基板B(図1及び図2参照)の実装面への半田接続のための接続部22Aとして形成されている(図4をも参照)。接触部23は、横部21よりも細く、すなわち、コネクタ高さ方向(上下方向)での寸法が小さく形成されており、図1に見られるように略ピン状をなしている。
下側雄端子30は、既述した上側雄端子20と同様に横部31、縦部32及び接触部33を有しているが、該横部31、該縦部32がそれぞれ上側雄端子20の横部21、縦部22よりも短くなっている点で上側雄端子20と異なる。横部31は、その下縁に複数の係止突起が形成されており、該係止突起が端子保持溝17の後述する下溝部17Bの内壁面に喰い込むことにより該下溝部17B内で保持されるようになっている。縦部32は、端子保持部12の底面から若干突出する位置、すなわち上側雄端子20の縦部22の下端と同じ位置まで下方に延びており、その突出している下端部は回路基板Bの実装面への半田接続のための接続部32Aとして形成されている(図4をも参照)。また、接触部33は上側雄端子20の接触部23と同じ寸法で形成されており、図3(A)に見られるように、該接触部23の後端と同じ位置まで延びている。
ハウジング10の説明に戻る。上述した雄端子20,30を保持するハウジング10の端子保持溝17は、図3(A)に見られるように、上側雄端子20の横部21を収容する上溝部17Aと、下側雄端子30の横部31を収容する下溝部17Bと、上溝部17A及び下溝部17Bよりも前方の領域で端子保持部12の前端そして下端まで拡がる前溝部17Cとを有している。
図3(A)に見られるように、上溝部17Aは、端子保持部12の上部で前後方向(X軸方向)に延びており、後端が受入凹部16へ向けて開口して該受入凹部16に連通しているとともに、前端が前溝部17Cに連通している。下溝部17Bは、上溝部17Aより下方に位置して前後方向に延びており、上溝部17Aよりも前後方向で短く形成されている。該下溝部17Bは、その後端が上溝部17Aの後端と同位置で受入凹部16へ向けて開口して該受入凹部16に連通しており、前端が上溝部17Aの前端よりも後方に位置し前溝部17Cに連通している。前溝部17Cは、既述したように端子保持部12の前端そして下端まで拡がっており、前方そして下方へ開放されて外部と連通している。コネクタ幅方向で互いに隣接する端子保持溝17は、端子保持溝17と平行に拡がる隔壁によって隔てられている。
ハウジング10の上部では、図3(A)に見られるように、端子保持部12の上面が嵌合部11の上面よりも下方に位置しており、嵌合部11と端子保持部12との境界域に段部10Aが形成されている。該段部10Aには、嵌合部11の前部を前後方向に貫通する上側貫通孔18が形成されている。該上側貫通孔18は、図2に見られるように、コネクタ幅方向での複数箇所(図2では5箇所)に形成されており、後述する上側内シールド部60の内接続部63が後方から挿入されるようになっている。
ハウジング10の下部では、図3(A)及び図4に見られるように、端子保持部12の下面が嵌合部11の下面よりも上方に位置しており、嵌合部11と端子保持部12との境界域に段部10Bが形成されている。図4に見られるように、該段部10Bには、後方そして下方(図4では上方(Z2方向))に開口する下側貫通孔19が形成されている。端子保持部12の下方(図4では上方(Z2方向))に位置する空間と受入凹部16とは、この下側貫通孔19を経て連通している。下側貫通孔19は、図4に見られるように、後述する下側シールド板70の脚部72に対応してコネクタ幅方向での複数箇所(図4では6箇所)に形成されており、該脚部72を後方側から受け入れるようになっている。
ハウジング10に取り付けられるシールド板は、回路基板Bから離れた位置でハウジング10に取り付けられる上側シールド板40と、回路基板B寄り位置でハウジング10に取り付けられる下側シールド板70とを有している。また、上側シールド板40は、ハウジング10の端子保持部12の外面(上面及び前面)を覆う上側外シールド部50と、ハウジング10の受入凹部16の上側の内壁面を覆う上側内シールド部60とを有している。
上側外シールド部50は、コネクタ幅方向に見たときの全体形状が略L字状をなすように金属板部材を板厚方向に屈曲して作られている。該上側外シールド部50は、端子保持部12の上面に沿って延びる上板部51と、端子保持部12の前面に沿って延びる前板部52と、前板部52の下端から前方へ屈曲されて形成された前方接地部53とを有している。上側外シールド部50は、上板部51で端子保持部12の上面のほぼ全域を覆っているとともに、前板部52で端子保持部12の前面のほぼ全域を覆っている。
上板部51は、図2に見られるように、コネクタ幅方向でハウジング10の上側貫通孔18に対応する複数箇所(図2では5箇所)で、コネクタ幅方向に見たときに該上板部51の後端部をクランク状をなすように板厚方向に屈曲して形成した外接続部51Aを有している(図3(A)をも参照)。図3(A)に見られるように、外接続部51Aは、上板部51における他部よりも上方に位置しており、端子保持部12の上面との間に、後述する上側内シールド部60の内接続部63を後方から受け入れるための隙間を形成している。外接続部51Aは、その下面で内接続部63の上面と接触するようになっており、それによって、上側外シールド部50と上側内シールド部60との電気的な導通が図られる(図3(A)参照)。
前板部52は、図5に見られるように、コネクタ幅方向での複数箇所(図4では5箇所)で、該前板部52の下部が後方へ向けて切り起こされて被保持片52Aが形成されている。被保持片52Aは、後述するように上側外シールド部50を端子保持部12に対して前方から取り付ける際に端子保持部12に形成された保持孔(図示せず)に前方から圧入されて保持される。
前方接地部53は、図5に見られるように、コネクタ幅方向で外接続部51Aと対応する位置のそれぞれに2つずつ設けられている。該前方接地部53は、図3(A)に見られるように、雄端子20,30の接続部22A,32Aと同じ高さに位置しており、回路基板Bの実装面の対応回路部に対して半田接続されて接地可能となっている。
上側内シールド部60は、上側外シールド部50とは別体をなし、金属板部材を板厚方向に屈曲して作られている。該上側内シールド部60は、図3(A),(B)に見られるように、ハウジング10の受入凹部16内で、該受入凹部16を形成する内壁面のうち上側の内壁面に沿って位置し、該内壁面のほぼ全域を覆っている。
上側内シールド部60は、コネクタ幅方向に配列して形成された複数の上側長シールド接触片61及び上側短シールド接触片62(以下、必要に応じて「上側シールド接触片61,62」と総称する)と、該上側内シールド部60の前端部に形成された複数の内接続部63と、該上側内シールド部60の後端部に形成された複数の取付片とを有している。
上側長シールド接触片61及び上側短シールド接触片62は、コネクタ幅方向で交互に配されて形成されている。上側長シールド接触片61及び上側短シールド接触片62は、上側内シールド部60を切り起こして形成されており、図3(A)に見られるように、後方(X2方向)へ向かうにつれて若干下方へ傾斜するように延び、上下方向(板厚方向)に弾性変位可能な片持ち梁状の弾性片として形成されている。また、上側短シールド接触片62は、上側長シールド接触片61よりも前後方向で短く形成されている。上側シールド接触片61,62のそれぞれの後端部には、雌コネクタR(図1及び図2参照)に設けられた後述の上側シールド板110と接触するための接触部が下方へ向けて突出して形成されている。
内接続部63は、コネクタ幅方向でハウジング10の上側貫通孔18に対応する箇所で、図3(A)に見られるように、上側内シールド部60の前端部をクランク状に屈曲させることにより形成されている。内接続部63は、図3(A)に見られるように、上側内シールド部60の他部よりも下方に位置しており、ハウジング10の上側貫通孔18を後方から貫通しているとともに、上側外シールド部50の外接続部51Aと端子保持部12の上面との間の隙間へ後方から進入している。上記隙間内に位置する内接続部63は、該内接続部63の上面で該外接続部51Aの下面と接触するようになっている。
取付片は、コネクタ幅方向でハウジング10の上側取付溝13Aに対応する複数箇所(本実施形態では4箇所)にて、上側内シールド部60の後端部をクランク状に屈曲させることにより形成されている。上側内シールド部60は、上記取付片が上側取付溝13Aへ後方から圧入されることによりハウジング10の嵌合部11に取り付けられる(図1参照)。
下側シールド板70は、金属板部材を板厚方向に屈曲して作られている。該下側シールド板70は、ハウジング10の受入凹部16内で該受入凹部16の下側の内壁面に沿って位置し該内壁面のほぼ全域を覆う下側内シールド部71と、該下側内シールド部71の前端縁からクランク状に屈曲して延びる複数の脚部72と、下側内シールド部71の後端縁から屈曲して延びる複数の取付片とを有している。
下側内シールド部71は、既述した上側内シールド部60を上下反転させたような形状をなしている。つまり、図1に見られるように、下側内シールド部71には、上下方向に弾性変位可能な弾性片としての下側長シールド接触片75及び下側短シールド接触片76(以下、必要に応じて「下側シールド接触片75,76」と総称する)がコネクタ幅方向に交互に位置して配列形成されている(図3(A)をも参照)。下側シールド接触片75,76自体も上側内シールド部60の上側シールド接触片61,62を上下反転させた形状をなしている。下側シールド接触片75,76は、後端部に形成された接触部で雌コネクタR(図1及び図2参照)に設けられた下側シールド板140と弾性接触が可能となっている。
脚部72は、コネクタ幅方向でハウジング10の下側貫通孔19に対応する複数箇所(本実施形態では6箇所)に設けられている(図4参照)。該脚部72は、上側内シールド部60の前端部をクランク状に屈曲させることにより形成されている。脚部72は、端子保持部12の後部位置で回路基板Bの実装面に沿って位置し前方へ延びる後方接地部72Aを有しており(図4をも参照)、該後方接地部72Aで上記実装面に接地される。
取付片は、コネクタ幅方向でハウジング10の下側取付溝14Aに対応する複数箇所(本実施形態では4箇所)に設けられており、下側内シールド部71の後端縁からクランク状をなすように屈曲して形成されている。下側シールド板70は、上記取付片が下側取付溝14Aへ後方から圧入されることによりハウジング10の嵌合部11に取り付けられる(図1参照)。
以上の構成の雄コネクタ1は次の要領で組み立てられる。まず、下側雄端子30をハウジング10の端子保持溝17へ前方から挿入し、該下側雄端子30の横部31を端子保持溝17の下溝部17Bへ圧入して、下側雄端子30をハウジング10に取り付ける。次に、上側雄端子20をハウジング10の端子保持溝17へ前方から挿入し、該上側雄端子20の横部21を端子保持溝17の上溝部17Aへ圧入して、上側雄端子20をハウジング10に取り付ける。このようにして雄端子20,30がハウジング10に取り付けられた状態にて、該雄端子20,30の接触部23,33はハウジング10の受入凹部16内に配列される。
次に、上側外シールド部50の被保持片52Aをハウジング10の端子保持部12の保持孔(図示せず)へ前方から圧入して、該上側外シールド部50を端子保持部12に取り付ける。上側外シールド部50が取り付けられた状態にて、該上側外シールド部50の外接続部51Aと端子保持部12の上面との間には隙間が形成される。
次に、上側内シールド部60の取付片をハウジング10の上側取付溝13Aへ後方から圧入して、上側内シールド部60をハウジング10の嵌合部11に取り付ける。上側内シールド部60が嵌合部11に取り付けられると、上側内シールド部60の内接続部63は、ハウジング10の上側貫通孔18を後方から貫通するとともに、外接続部51Aと端子保持部12の上面との間の隙間へ進入し、該外接続部51Aの下面と接触して電気的に導通可能な状態となる。また、上側内シールド部60のうち受入凹部16内に位置する部分は、該受入凹部16の上側の内壁面に沿って位置し該内壁面を覆う。
続いて、下側シールド板70の取付片をハウジング10の下側取付溝14Aへ後方から圧入して、下側シールド板70をハウジング10の嵌合部11に取り付ける(図1参照)。下側シールド板70が嵌合部11に取り付けられると、下側シールド板70の下側内シールド部71は、該受入凹部16の下側の内壁面に沿って位置し該内壁面を覆う。また、このとき、下側シールド板70の脚部72はハウジング10の下側貫通孔19を経て、下側貫通孔19外にて、回路基板Bと半田接続可能な位置にもたらされる。
このように、上側雄端子20、下側雄端子30、上側外シールド部50、上側内シールド部60及び下側シールド板70をハウジング10に取り付けることにより、雄コネクタ1が完成する。本実施形態では、上側外シールド部50、上側内シールド部60、下側シールド板70をこの順でハウジング10に取り付けることとしたが、取付けの順序はこれに限られず、いずれが先に取り付けられてもよく、また、同時に取り付けられてもよい。
次に、雌コネクタ2の構成について説明する。該雌コネクタ2は、既述したように、相手コネクタとしての雄コネクタP(図1及び図2にて二点鎖線で図示)が前方(X1側)から嵌合接続される。
雌コネクタ2は、図1、図2、図4及び図5に見られるように、電気絶縁材製で略直方体外形に作られたハウジング80と、該ハウジング80に配列保持される複数の金属製の金属製の上側雌端子90及び金属製の下側雌端子100と、該ハウジング80に取り付けられる金属製の上側シールド板110及び下側シールド板140とを有している。以下、上側雌端子90と下側雌端子100とを区別する必要がない場合には、これらを「雌端子90,100」と総称する。
ハウジング80は、その前部(X1側の部分)が相手コネクタとしての雄コネクタPとの嵌合のための嵌合部81として形成され、後部(X2側の部分)が雌端子90,100を保持するための端子保持部82として形成されている。図2に見られるように、該ハウジング80は、コネクタ高さ方向(上下方向(Z軸方向))で対向してコネクタ幅方向(Y軸方向)に延びる上壁83及び下壁84と、コネクタ幅方向での嵌合部81の両端位置で上下方向に延び上壁83の端部と下壁84の端部とを連結する一対の端壁85とを有している。
端子保持部82は、図3(A),(B)に見られるように、その上面が嵌合部81の上面と同じ高さに位置しているが、下面が嵌合部81の下面よりも上方に位置している。また、図1に見られるように、端子保持部82のコネクタ幅方向での両端に位置する外側面(コネクタ幅方向に対して直角な面)は、嵌合部81の外側面よりもコネクタ幅方向で外側に位置している。
端子保持部12は、上記外側面から没した連結部材保持部82Aを有している。該連結部材保持部82Aは、前後方向に延びるとともに後方(X2方向)及びコネクタ幅方向外方へ向けて開放されており、連結部材150の後述の前方被保持部152を収容して圧入保持するようになっている。連結部材保持部82Aは、既述した雄コネクタ1の連結部材保持部12Aを前後方向で反転させた形状をなしており、該連結部材保持部12Aと同様に、上溝部82A-1及び下溝部82A-2を有している。
また、ハウジング80は、図2に見られるように、上下方向での中央位置にてコネクタ幅方向に延び端壁85の内壁面同士を連結する1つの横隔壁86と、コネクタ幅方向での複数位置にて上下方向に延び上壁83と下壁84の内壁面同士を連結する複数の縦隔壁87とを有している。上壁83、下壁84及び2つ端壁85で形成される周壁によって囲まれた空間は、上記1つの横隔壁86及び複数の縦隔壁87によって、複数の小空間に仕切られている。該小空間は、上下方向で2段、コネクタ幅方向で13列をなして形成されている。
上記小空間は、図3(A)に見られるように、前後方向でハウジング80を貫通している。上記複数の小空間のうち、上段に位置する小空間は後述する端子収容部88の上孔部88Aをなし、上段に位置する小空間は後述する端子収容部88の下孔部88Bをなしている。該上孔部88Aは上側雌端子90の後述の横部を収容し、下孔部88Bは下側雌端子100の後述の横部を収容するようになっている(図3(A)参照)。
上壁83には、図2に見られるように、コネクタ幅方向での複数箇所(本実施形態では5箇所)にて、該上壁83の前端部(X1側の端部)の上面から没した上側取付溝83Aが形成されている。該上側取付溝83Aは、上方(Z1方向)及び前方(X1方向)へ開放されており、後述するように前方から圧入された上側前シールド部130の取付片134を保持するようになっている(図3(A)参照)。
下壁84は、図4に見られるように、コネクタ幅方向で上側取付溝83Aと対応する複数箇所(本実施形態では5箇所)にて、該下壁84の前端部(X1側の端部)の下面(図4では上面)から没した下側取付溝84Aが形成されている。該ハウジング80は、該下側取付溝84Aで、後述するように前方から圧入された下側シールド板140の取付片143を保持するようになっている(図3(A)参照)。
図3(A)に見られるように、ハウジング80は、雌端子90,100を収容保持するための端子収容部88を有している。
端子収容部88の形状の説明に先立って、まず、該端子収容部88で保持される雌端子90,100の形状を説明する。上側雌端子90は、金属板部材を板厚方向に屈曲して形成されており、コネクタ幅方向に見たときに、前後方向に延びる横部と上下方向に延びる縦部を有しており全体として略横L字形状をなしており、端子収容部88内に収容されている。該上側雌端子90は、上記横部の前端部に一対の弾性腕部91を有しているとともに、上記縦部の下端部にハウジング80外に位置する接続部92を有している。
一対の弾性腕部91は、図3(A)に見られるように、上下方向で対面して上下方向に弾性変位可能となっている。対をなす2つの弾性腕部91は、前方へ向かうにつれて互いに近づくように傾斜して延びているとともに、その前端部で互いに離れる方向へ傾斜するように屈曲されている。前端部における屈曲部分、すなわち互いに近づくように突出した部分は、上側雄端子20の接触部23と接触可能な接触突部をなしている。接触突部同士の上下方向での間隔は上側雄端子20の接触部23の上下方向寸法よりも小さく、コネクタ嵌合状態にて一対の接触突部が上側雄端子20の接触部23を上下方向で挟圧するようになっている。
接続部92は、上記縦部の下端部が板厚方向に直角に屈曲されて形成されており、ハウジング80の端子保持部82の下面よりも下方に位置している(図4をも参照)。該接続部92は、雌コネクタ2が回路基板Bの実装面に配置された状態において、該接続部92の下面(上下方向に対して直角な板面)が上記実装面に接面するように位置しており、該実装面の対応回路部と半田接続可能となっている。
下側雌端子100は、既述した上側雌端子90の横部と縦部のそれぞれを短くした形状をなしており、上側雌端子90と同様、一端側に一対の弾性腕部101を有しているとともに、他端側に接続部102を有している。一対の弾性腕部101は、図3(A)に見られるように、端子収容部88の下孔部88B内に位置しており、コネクタ嵌合状態にて一対の接触突部によって下側雄端子30の接触部33を上下方向で挟圧するようになっている。接続部102は、図3(A)に見られるように、上側雌端子90の接続部92と同じ高さ位置、かつ、該接続部92よりも前方に位置している(図4をも参照)。
端子収容部88の説明に戻る。端子収容部88は、図3(A)に見られるように、上側雌端子90の横部を収容する上孔部88Aと、下側雌端子100の横部を収容する下孔部88Bと、上側雌端子90の縦部及び下側雌端子100の縦部を収容する後溝部88C(図4参照)とを有している。上孔部88A及び下孔部88Bは、互いに並行をなして前後方向に延びハウジング80を貫通している。後溝部88Cは、ハウジング80の後端側部分にて端子保持部82の後端そして下端まで拡がるスリット状をなし、上孔部88A及び下孔部88Bと外部とを連通している。
ハウジング80の下部では、図3(A)に見られるように、端子保持部82の下面が嵌合部81の下面よりも下方に位置しており、嵌合部81と端子保持部82との境界域に段部80Aが形成されている(図4をも参照)。該段部80Aには、図4に見られるように、下側シールド板140の脚部142を収容するための凹部80Bが前方及び下方に開放されて形成されている。
ハウジング80に取り付けられるシールド板は、回路基板Bから離れた位置でハウジング80に取り付けられる上側シールド板110と、回路基板B寄り位置でハウジング80に取り付けられる下側シールド板140とを有している。また、上側シールド板110は、ハウジング80の端子保持部82の外面(上面及び後面)を覆う上側後シールド部120と、ハウジング80の嵌合部81の上面を覆う上側前シールド部130とを有している。
上側後シールド部120は、図1~3及び図5に見られるように、雄コネクタ1の上側外シールド部50とほぼ同形状をなしており、前後方向で該上側外シールド部50とは反対側へ向けた姿勢でハウジング80の端子保持部82に後方から取り付けられている。本実施形態では、上側後シールド部120における、上記上側外シールド部50と対応する部分については、上側外シールド部50における符号に「70」を加えた符号を付して説明を省略する。
上側前シールド部130は、図1~3及び図5に見られるように、雄コネクタ1の上側内シールド部60の上側シールド接触片61,62を省略したような形状をなしている。該上側前シールド部130は、前後方向で該上側内シールド部60とは反対側へ向けた姿勢でハウジング80の嵌合部81に前方から取り付けられている。本実施形態では、上側前シールド部130における、上記上側内シールド部60と対応する部分については、上側内シールド部60における符号に「70」を加えた符号を付して説明を省略する。
下側シールド板140は、図1~3及び図5に見られるように、雄コネクタ1の下側シールド板70の下側シールド接触片75,76を省略したような形状をなしている。該下側シールド板140は、前後方向で該下側シールド板70とは反対側へ向けた姿勢でハウジング80の嵌合部81に前方から取り付けられている。本実施形態では、下側シールド板140における、上記下側シールド板70と対応する部分については、下側シールド板70における符号に「70」を加えた符号を付して説明を省略する。
以上の構成の雌コネクタ2は次の要領で組み立てられる。まず、下側雌端子100の横部を端子収容部88の上孔部88Aへ後方から圧入して、該下側雌端子100をハウジング80に取り付ける。次に、上側雌端子90の横部を端子収容部88の下孔部88Bへ圧入して、上側雌端子90をハウジング80に取り付ける。
次に、上側後シールド部120の被保持片(図示せず)をハウジング80の端子保持部82の保持孔(図示せず)へ後方から圧入して、該上側後シールド部120を端子保持部82に取り付ける。上側後シールド部120が取り付けられた状態にて、該上側後シールド部120の外接続部121Aと端子保持部82の上面との間には隙間が形成される。
次に、上側前シールド部130の取付片134をハウジング80の上側取付溝83Aへ前方から圧入して、上側前シールド部130をハウジング80の嵌合部81に取り付ける(図3(A)参照)。上側前シールド部130が嵌合部81に取り付けられると、図3(A)に見られるように、上側前シールド部130の内接続部133は、外接続部121Aと端子保持部82の上面との間の隙間へ進入し、該外接続部121Aの下面と接触して電気的に導通可能な状態となる。
続いて、下側シールド板140の取付片143をハウジング80の下側取付溝84Aへ後方から圧入して、下側シールド板140をハウジング80の嵌合部81に取り付ける(図3(A)参照)。下側シールド板140が嵌合部81に取り付けられると、下側シールド板140の下側シールド部141は、嵌合部81の下面に沿って位置し該下面を覆う。また、このとき、下側シールド板140の脚部142は嵌合部81の下面より下方に位置し、回路基板Bと半田接続可能な位置にもたらされる。
このように、上側雌端子90、下側雌端子100、上側後シールド部120、上側前シールド部130及び下側シールド板140をハウジング80に取り付けることにより、雌コネクタ2が完成する。本実施形態では、上側後シールド部120、上側前シールド部130及び下側シールド板140をこの順でハウジング80に取り付けることとしたが、取付けの順序はこれに限られず、いずれが先に取り付けられてもよく、また、同時に取り付けられてもよい。
連結部材150は、金属板製であり、金属板部材を板厚方向に打ち抜くとともに、一部にプレス加工を施して作られている。連結部材150は、図5ないし図7に見られるように、前後方向(X軸方向)を長手方向として両コネクタ1,2にわたる範囲に延びているとともに、該連結部材150の板厚方向がコネクタ幅方向(Y軸方向)に一致した姿勢で、両コネクタ1,2のコネクタ幅方向での両側に1つずつ設けられている。
連結部材150は、図6(A)に見られるように、前後方向での中央位置に対して前後方向でも上下方向でも対称をなしており、前後方向での後端側(X2側)に位置し雄コネクタ1に保持される後方被保持部151と、前端側(X1側)に雌コネクタ2に位置し保持される前方被保持部152と、前後方向での中央位置で上方及び下方に向けて延びる延出部153とを有している。
後方被保持部151は、前後方向に延びる上縁部151A及び下縁部151Bと、該上縁部151A及び該下縁部151Bのそれぞれから突出した圧入部151C,151D(後述の大圧入部151C及び小圧入部151D)及び支点部151Eとを有している。
後方被保持部151は、上下対称な形状をなしているので、圧入部151C,151D及び支点部151Eについては、上縁部151A側に設けられた各部を説明し、下縁部151B側に設けられた各部の説明は省略する。
圧入部151C,151Dは、後方被保持部151が雄コネクタ1の連結部材保持部12Aへ圧入された際に、図3(B)に見られるように、該連結部材保持部12Aの上側の内壁面(上下方向に対して直角な面)に喰い込んで、後方被保持部151の抜けを防止するようになっている(図7をも参照)。該圧入部151C,151Dは、前後方向で互いに離間して位置しており、図6(A)に見られるように、前後方向で延出部153に寄って位置する大圧入部151Cと、該大圧入部151Cよりも後方(X2方向)で後方被保持部151の後端に寄って位置する小圧入部151Dとを有している。
圧入部151C,151Dは、図6(A)に見られるように、コネクタ幅方向(Y軸方向)に見たときに、後方へ向かうにつれて下方に傾斜する傾斜縁をもつ略三角形状をなしている。小圧入部151Dは大圧入部151Cよりも低く、すなわち上下方向で小さく形成されている。また、圧入部151C,151Dは、その板厚方向(コネクタ幅方向(Y軸方向))でY2側からプレス加工を施されており、図6(B),(C)に見られるように、後方被保持部151における他の部分より薄く形成されている。このように圧入部151C,151Dが薄くなっていることにより、圧入部151C,151Dが連結部材保持部12Aの内壁面に喰い込みやすくなっている。
支点部151Eは、後述するように、連結部材150が前後方向(X軸方向)に対して傾斜していない正規の姿勢(図3(B)参照)から傾斜姿勢(図7参照)となるときに、連結部材保持部12Aの内壁面と摺接する支点として機能する。該支点部151Eは、後方被保持部151の後端部、すなわち小圧入部151Dよりも後方で該小圧入部151Dから離間して該位置している。該支点部151Eは、図6(A)に見られるように、コネクタ幅方向(Y軸方向)に見たときに、略三角形状をなしているが、その後方へ向かうにつれて下方に近づくように傾斜する縁部は円弧状の円弧部151E-1をなしている。本実施形態では、後方被保持部151の後端部の上部及び下部に位置する2つの支点部151Eの円弧部151E-1は、図6(A)に見られるように、後方被保持部151の後端寄り位置に共通の中心P1(図6(A)にて「+」印で図示)を有している。
前方被保持部152は、既述した後方被保持部151を前後方向で反転した形状をなしている。前方被保持部152については、後方被保持部151における符号に「1」を加えた符号を付して説明を省略する。また、図6(A)では、2つの支点部152Eの円弧部152E-1の共通の中心P2が「+」印で図示されている。
延出部153は、図3(B)及び図7に見られるように、上下方向で両コネクタ1,2の連結部材保持部12A,82Aの範囲外にまで及んでおり、その板厚面が雄コネクタ1の前面及び雌コネクタ2の後面に対向している。つまり、延出部153は、前後方向で両コネクタ1,2に当接可能に位置しており、これによって、被保持部151,152が連結部材保持部12A,82Aへ過剰に圧入されることが防止されている。
本実施形態に係るコネクタ連結体は、次の要領で組み立てられる。まず、連結部材150の後方被保持部151を、雄コネクタ1のハウジング10の連結部材保持部12Aへ前方から圧入する。このとき、図3(B)及び図7に見られるように、後方被保持部151の圧入部151C,151Dが連結部材保持部12Aの内壁面に喰い込むことにより、該連結部材保持部12Aで後方被保持部151が保持される。このとき、大圧入部151Cは、連結部材保持部12Aの上溝部12A-1及び下溝部12A-2の前半部の内壁面に喰い込み、小圧入部151Dは、上溝部12A-1及び下溝部12A-2の後半部の内壁面に喰い込む。また、支点部151Eの円弧部151E-1は、その一部が連結部材保持部12Aの後半部の内壁面に当接する。また、後方被保持部151の上縁部151A及び下縁部151Bと連結部材保持部12Aの内壁面との間には、上下方向で隙間が形成される。
次に、上述した後方被保持部151と同じ要領で、連結部材150の前方被保持部152を、雌コネクタ2のハウジング80の連結部材保持部82Aへ後方から圧入する。この結果、連結部材150によって雄コネクタ1と雌コネクタ2とが連結され、コネクタ連結体が完成する。
ここでは、連結部材150を雄コネクタ1に取り付けてから雌コネクタ2に取り付けることとしたが、取付けの順序はこれに限られず、雌コネクタ2に先に取り付けてもよいし、両コネクタ1,2へ同時に取り付けてもよい。
次にコネクタ連結体同士の嵌合接続動作を説明する。まず、組み立てられたコネクタ連結体を回路基板Bの実装面上に実装する。具体的には、雄コネクタ1に設けられている雄端子20,30の接続部22A,32A、上側外シールド部50の前方接地部53、及び下側シールド板70の後方接地部72Aを、回路基板Bの実装面上の対応回路部に半田接続する。また、雌コネクタ2に設けられている雌端子90,100の接続部92,102、上側後シールド部120の後方接地部123、及び下側シールド板140の前方接地部142Aを、回路基板Bの実装面上の対応回路部に半田接続する。以下、必要に応じて、上述の「接続部22A,32A」、「前方接地部53」、「後方接地部72A」、「接続部92,102」、「後方接地部123」、「前方接地部142A」を「半田実装部」と総称する。
本実施形態では、仮に、コネクタ連結体の製造誤差等に起因して、雄コネクタ1と雌コネクタ2との間で半田実装部の高さ位置(上下方向での位置)にずれが生じていたとしても、図7に基いて後述するように、連結部材150が回路基板の実装面に対して傾斜姿勢となることにより、上記ずれに対処して、1つの回路基板の実装面上に形成された対応回路部に両コネクタ1,2の半田実装部を配置して半田接続することが可能となる。
コネクタ連結体が完成時においては、連結部材150は、回路基板Bの実装面に対して傾斜することなく前後方向へまっすぐ延びた正規の姿勢(図3(B)参照)となっている。仮に、連結部材150が正規の姿勢にある状態で、両コネクタ1,2の半田実装部の高さ位置が異なっている場合、例えば、雌コネクタ2の半田実装部が雄コネクタ1の半田実装部よりも上方にずれて位置している場合、まず、相対的に下方に位置する雄コネクタ1の半田実装部を回路基板Bの対応回路部に半田接続する。
次に、雌コネクタ2を下方へ移動させて、該雌コネクタ2の半田実装部を雄コネクタ1の半田実装部と同じ高さ位置、すなわち回路基板Bの対応回路部に接触する位置にもたらす。このとき、雌コネクタ2の下方への移動は、連結部材150が図7に見られるような傾斜姿勢、すなわち、該連結部材150の前端が後端よりも下方に位置するような傾斜姿勢となることにより許容される。この連結部材150の傾斜は、被保持部151,152の上縁部151A,152A及び下縁部151B,152Bと、連結部材保持部12A,82Bの内壁面との間に形成される上下方向での隙間の範囲内で許容される。図7では、連結部材150について、正規の姿勢に対する傾斜角度が「θ」で示されている。そして、雌コネクタ2の半田実装部を対応回路部に半田接続することにより、コネクタ連結体の実装が完了する。
このように、本実施形態によれば、電気コネクタを連結部材で連結することで両コネクタ1,2をほぼ同時に効率よく実装できることに加え、両コネクタ1,2同士のコネクタ高さ方向でのずれに対処して、1つの回路基板の実装面上に形成された対応回路部に両コネクタ1,2の端子の接続部及びシールド板の接地部を配置して半田接続することが可能となる。
連結部材150は、正規の姿勢から傾斜姿勢になる際、支点部151E,152Eを支点として変位する。このとき、支点部151E,152Eに着目すると、該支点部151E,152Eは円弧部151E-1,151E-1で連結部材保持部12A,82Aの内壁面と摺接しながら、それぞれ中心P1,P2まわりにXZ平面内で回動する。図7の例では、後方被保持部151の上側の支点部151E及び前方被保持部152の下側の支点部152Eが支点となったが、連結部材150の後端側が下がるように傾斜する場合には、後方被保持部151の下側の支点部151E及び前方被保持部152の上側の支点部152Eが支点となる。
本実施形態では、上述したように、2つの支点部151Eの円弧部151E-1が共通の中心P1を有しているとともに、2つの支点部152Eの円弧部152E-1が共通の中心P2を有しているので、支点部151E,152Eの円滑な回動が可能となっている。
次に、雄コネクタPと雌コネクタRとを有する他のコネクタ連結体、つまり、既述した雄コネクタ1と雌コネクタ2とを連結したコネクタ連結体と同じ構成のコネクタ連結体を複数(例えば、2つ)用意する。そして、それらのコネクタ連結体を、雄コネクタ1と雌コネクタ2とを有するコネクタ連結体について既述したのと同じ要領で、それぞれ対応する回路基板に実装する。
続いて、図1に見られるように、2つの他のコネクタ連結体のうち一方のコネクタ連結体に設けられた相手コネクタとしての雌コネクタR(二点鎖線で図示)を、雄コネクタ1へ後方から嵌合接続する。このとき、雄コネクタ1の受入凹部16が雌コネクタRの嵌合部を受け入れるとともに、該雄コネクタ1の雄端子80,90が雌コネクタRの対応雌端子の一対の弾性接触部によって挟圧され、該対応雌端子に電気的に接続される。また、雄コネクタ1の上側内シールド部60の上側シールド接触片61,62が、雌コネクタRの上側前シールド部の上面に弾性接触するとともに、雄コネクタ1の下側シールド板70の下側シールド接触片75,76が、雌コネクタRの下側シールド板の下面に弾性接触する。
さらに、図1に見られるように、2つの他のコネクタ連結体のうち他方のコネクタ連結体に設けられた相手コネクタとしての雄コネクタP(二点鎖線で図示)を、雌コネクタ2へ前方から嵌合接続する。このとき、雄コネクタPと雌コネクタ2とは、雄コネクタ1と雌コネクタRとについて既述したのと同じ要領で嵌合接続される。
本実施形態では、連結部材150は板状をなしていることとしたが、連結部材の形状はこれに限られず、種々の形状で形成することができる。また、本実施形態では、連結部材150は金属製であることとしたが、連結部材の材料はこれに限られず、例えば、樹脂等の電気絶縁材であってもよい。
連結部材150の圧入部151C、151D,152C,152Dは、連結部材150の他部よりも薄く形成されていることとしたが、圧入部が薄くなっていることは必須ではなく、圧入部が連結部材保持部の内壁面に十分に喰い込む形状に形成されているのであれば、連結部材の他部と同じ厚さで形成されていてもよい。
本実施形態では、連結部材150に、高さの異なる圧入部、すなわち大圧入部と小圧入部を別個に形成することとしたが、これに代えて、同じ高さの圧入部を形成してもよい。また、本実施形態では、連結部材150の各縁部に2つずつ圧入部を設けたが、圧入部の数はこれに限られず、1つであってもよく、また、3つ以上であってもよい。
本実施形態では、コネクタ連結体は、雄コネクタ1と雌コネクタ2とを連結して構成されたが、連結されるコネクタの組み合わせはこれに限られず、例えば、雄コネクタ同士を連結して、あるいは、雌コネクタ同士を連結してコネクタ連結体が構成されていてもよい。また、本実施形態では、回路基板の実装面に対して平行な方向を相手コネクタとの接続方向とするコネクタ連結体に本発明を適用する形態を説明したが、本発明は、例えば、回路基板の実装面に対して直角な方向を相手コネクタとの接続方向とするコネクタ連結体にも適用可能である。つまり、本発明は、1つの回路基板の実装面に実装されるコネクタ同士が連結されたコネクタ連結体に適用可能である。