JP7147256B2 - 銀ナノ粒子積層膜及びその製造方法並びに銀ナノ粒子積層膜の呈色方法 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の一実施形態に係る銀ナノ粒子積層膜5の構成を模式的に示す断面図である。図1に示す銀ナノ粒子積層膜5は、基材1と、基材1上に形成された下地層2と、下地層2上に形成され、銀ナノ粒子4を含有する銀ナノ粒子含有層3と、を少なくとも備えている。また、本実施形態に係る銀ナノ粒子積層膜5は、様々な色を呈するが、銀ナノ粒子による構造色起因の反射色は何れの場合も緑色を呈する。そのため、銀ナノ粒子積層膜5は、一般に「呈色膜」または「呈色フィルム」とも呼ばれる。また、「下地層2」は、比較的厚みが薄い場合には「薄膜層」とも呼ばれ、比較的厚みが厚い場合には「フィルム」あるいは「厚膜層」とも呼ばれる。以下、これら各層の詳細について説明する。
基材1は、下地層2を支持する層であり、構造色をより鮮明に発色させるために黒色である必要がある。このため、下地層2を支持し形成することが可能で黒色あれば、基材の種類を問わない。本実施形態では、基材1としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、ポリメタクリル酸エステルフィルム等に黒色顔料を練りこんだもの、表面或いは裏面に黒色塗料を塗布したもの等を用いることが出来る。さらに、メッシュ(ポリエチレン糸、ナイロン糸等黒染め、NBC社製)の他、黒色のコート紙、上質紙等の紙も用いることが出来る。
基材1の表面は、下地層2の形成が容易になるように処理が施されていてもよい。基材1の表面に施す処理としては、例えば、コロナ処理が挙げられる。
下地層2は、銀ナノ粒子含有層3を支持する、4μm~60μmの厚みを有する層である。本実施形態において、下地層2は、例えば、1種類または2種類以上の(メタ)アクリル酸エステル化合物を重合させて形成した層である。より詳しくは、下地層2は、1種類または2種類以上のウレタンアクリルオリゴマー等を用いて形成された層であって、例えば、後述する下地層用組成物2a(図3参照)を窒素パージした環境下、或いは大気下で硬化させた層である。
なお、下地層2は、電離放射線により重合開始種を発生する化合物、例えば、光重合開始剤を含んでいてもよい。
また、上述した「窒素パージした環境下」とは、大気中における窒素濃度よりも高い窒素濃度における環境下を意味する。
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」の両方を示す。例えば、「ウレタン(メタ)アクリレート」は「ウレタンアクリレート」と「ウレタンメタクリレート」の両方を示す。
銀ナノ粒子含有層3は、下地層2上に形成された、1μm~7μmの厚みを有する層である。
銀ナノ粒子含有層3は、分子内に少なくとも1個以上のカルボキシ基と1個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物を少なくとも含んでおり、それらの一部は重合している。このため、銀ナノ粒子含有層3は、三次元架橋構造を有する樹脂を含む場合もある。なお、銀ナノ粒子含有層3は、電離放射線により重合開始種を発生する化合物、例えば、光重合開始剤を含んでいてもよい。
また、上述の分子内に少なくとも1個以上のカルボキシ基と1個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物の具体例については、後述する。
また、上述の光重合開始剤は、上述の重合性化合物を光重合させるための開始剤である。このため、上述の重合性化合物を光重合させることが可能であれば、その種類を問わない。なお、本実施形態で使用可能な光重合開始剤の具体例については、後述する。
図2は、実施形態に係る銀ナノ粒子積層膜5における銀ナノ粒子4の分散・凝集状態を模式的に示す1例の断面図であって、図1の破線で囲まれた部分を拡大した図である。図2に示すように、銀ナノ粒子4の多くは、銀ナノ粒子含有層3の表層(上部)に、銀ナノ粒子含有層3の表面に沿って層状に凝集しており、この時の銀ナノ粒子が短距離秩序によって配列していることから角度依存性のない構造色がみられると予想される。
上述した実施形態に係る銀ナノ粒子積層膜5を製造する上で必要となる銀ナノ粒子4の合成方法について、まず説明する。次に、銀ナノ粒子4を含んだ銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子含有層用組成物)3a(図3参照)の調製等について説明する。次に、下地層2を形成するために用いる下地層用組成物2aの調製等について説明する。そして、最後に、上述した銀ナノ粒子積層膜5の製造工程を、図3を参照しつつ説明する。
銀ナノ粒子4を構成する銀の原料としては、含銀化合物のうちで、加熱により容易に分解して金属銀を生成する銀化合物が好ましく使用される。このような銀化合物としては、例えば、蟻酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、安息香酸、フタル酸などのカルボン酸と銀が化合したカルボン酸銀の他、塩化銀、硝酸銀、炭酸銀等がある。そして、それらの銀化合物の中でも、分解により容易に金属を生成し、かつ、銀以外の不純物を生じにくい観点からシュウ酸銀が好ましく用いられる。シュウ酸銀は、銀含有率が高いとともに、加熱によりシュウ酸イオンが二酸化炭素として分解除去される。このために、還元剤を必要とせず熱分解により金属銀がそのまま得られ、不純物が残留しにくい点で有利といえる。
上記アルキルジアミンの銀原子への配位の容易さを考慮すると、アミノ基は1級であるRNH2(Rは炭化水素基)であることが好ましく、アミノ基が3級であるR3N(Rは炭化水素基)であると空間的に困難となる。このため、アルキルジアミンが1級のアミノ基(1級アミノ基)と3級のアミノ基(3級アミノ基)とを備えていれば、1級アミノ基が選択的に銀原子に配位し、3級アミノ基は分子鎖に応じて外側を向くことになる。なお、2級アミノ基は、配位可能であるが、合成上の問題で高価であることと、反応性が1級よりも落ちるため、1級アミノ基及び3級アミノ基の使用が好ましい。
本実施形態に係る銀ナノ粒子4を分散溶媒として用いられる溶剤等に分散させる際、つまり銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子含有層用組成物)3aの調製する際には、銀ナノ粒子4が溶剤に対して3質量%以上20質量%以下の範囲内とすることが好ましい。また、銀ナノ粒子4の表面を保護する保護膜を脱離させないような条件で、保護膜を形成する際に用いた過剰のアルキルジアミン等を除去すると共に使用する溶剤で置換することで、保護膜を有する銀ナノ粒子4が分散した分散液を得ることが好ましい。
なお、本実施形態において、上述した成分以外に、必要に応じて相溶性のある添加物、例えば、可塑剤、安定剤、界面活性剤、レベリング剤、カップリング剤などを、本実施形態の目的を損なわない範囲で添加することができる。
<シュウ酸銀>
シュウ酸銀は、銀含有率が高く、通常200℃で分解する。熱分解すると、シュウ酸イオンが二酸化炭素として除去され金属塩がそのまま得られるため、還元剤を必要とせず、不純物が残留しにくい点で有利である。このため、本実施形態において銀ナノ粒子4を得るための銀の原料となる銀化合物としてはシュウ酸銀が好ましく用いられる。そこで、以下、銀化合物としてシュウ酸銀を用いた場合について、本実施形態を説明する。但し、上記のように、銀化合物と所定のジアミンとの間で生成する錯化合物において、当該ジアミンが銀原子に配位した状態であればシュウ酸銀に限定されずに用いられることは言うまでもない。
本実施形態で用いられるアルキルジアミンは、特に、その構造に制限はない。アルキルジアミンは、シュウ酸銀と反応して、上述の錯化合物を形成するため、少なくともひとつのアミノ基が1級アミノ基、或いは2級アミノ基であることが必要であり、1級アミノ基であることが好ましい。さらに、非極性の分散溶媒との親和性を高めるため、もう一方のアミノ基は3級アミノ基であることが望ましい。アルキルジアミンとしては、例えば、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジエチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジメチル-1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、N,N-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン等が挙げられるが、この限りではない。また、複数の異なるアルキルジアミンを同時にシュウ酸銀と反応させてもよい。
なお、本実施形態において、上述した成分以外に、必要に応じて相溶性のある添加物、例えば、可塑剤、安定剤、界面活性剤、レベリング剤、カップリング剤などを、本実施形態の目的を損なわない範囲で添加することができる。但し、カールを抑制するため、或いは硬度を上げるためのフィラー類は、透過率の低下や分散性に不具合を生じるため加えないことが好ましい。
本実施形態では、(メタ)アクリル酸エステル化合物と、電離放射線により重合開始種を発生する化合物とを含む塗液組成物である下地層用組成物2aを基材1上に塗布し、下地層用組成物2aに電離放射線を照射し硬化させて、所謂下地層2を形成してもよい。なお、下地層2の形成工程の詳細については、後述する。
下地層2の形成に用いる(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、下地層2が光硬化後に適度な靭性、伸びを有し自立膜として基材1から剥離可能な層であることから、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等のオリゴマー、プレポリマー、モノマー等のラジカル重合性化合物等が挙げられる。これらの樹脂は、例えば、熱、紫外線、電子線等のエネルギーを加えることで架橋するものである。これらの化合物を、膜強度、基材との密着性、カール量を考慮しながら適宜選択する。
なお、下地層用組成物2aを用いて形成した下地層2に含まれる(メタ)アクリル酸エステル化合物は、PET等の基材1から容易に剥離しないために、靭性、伸度、基材密着性を必要とする。そのため、ウレタン(メタ)アクリレート以外のオリゴマーやモノマーのみを使用した場合、必要に応じて基材側の表面処理をする必要がある。
また、下地層用組成物2aは、溶剤をさらに含んでもよい。下地層用組成物2aに含まれる溶剤は、樹脂Aや樹脂Bとの相溶性が高いケトン系溶剤であるアセトン、またはメチルエチルケトンの中から塗工適性等を考慮して適宜選択し得る。
上述した実施形態に係る各銀ナノ粒子積層膜5を製造するための各工程を、図3を参照しつつ、説明する。
図3(a)に示すように、PETフィルム等の基材1上に上述の下地層用組成物2aを、例えば、下地層用組成物2aの厚みが4μm~60μmとなるようにバーコーターを用いて塗布する。
次に、銀ナノ粒子分散液3aを、例えば、90℃の環境下に60秒間置いて乾燥させる。最後に、銀ナノ粒子分散液3aに電離放射線等を照射して銀ナノ粒子分散液3aを硬化させることで、銀ナノ粒子含有層3を形成する。なお、銀ナノ粒子分散液3aに照射する電離放射線としては、例えば、超高圧水銀灯、キセノン灯、UV-LED等が挙げられ、それらの中から照射波長や照射強度に応じて適宜選択される。また、電離放射線の照射エネルギーは、例えば、窒素パージした環境下で紫外光を照射する場合には230mJ/cm2程度である。また、電離放射線照射部位は窒素パージを行うことにより表面硬化が促進される。
こうして、図3(d)に示す銀ナノ粒子積層膜5を製造する。
銀ナノ粒子積層膜5が呈色する機構の詳細については明らかとなっていないが、角度依存性のない構造発色に起因していると考えられる。すなわち、本実施形態に係る銀ナノ粒子積層膜5は、銀ナノ粒子含有層3に含まれる銀ナノ粒子の少なくとも一部が表層Rs(図2参照)に層状に凝集しているが、屈折率に短距離秩序をもった状態であると予想される。この微細構造によって散乱した光の多くは位相がずれるため、干渉して相殺されてしまうが、短距離秩序の長さの約2倍の波長の光は、あらゆる方向に強められた状態で散乱される。その結果、ここでは角度依存性のない緑色を示すと考えられる。さらに、それを際立たせるために、他の波長の影響を軽減する必要があり、黒色物質の存在がその効果を生み出すのだが、銀ナノ粒子分散液3a中に黒色物質を入れると紫外線硬化が出来なくなるため基材を黒色にすると同様の効果が得られる。
L*a*b*表色系とは、CIE(国際照明委員会)が推奨した表色系である。L*は明るさを示し、0から100まで数値が大きいほど明るくなる。
L*a*b*表色系は、L*、a*、b*の3つの軸がお互いに直交した座標系である。3つの軸が直交する点は、L*=50、a*、b*それぞれが0の値である。
基材の材質、形状については次のようなものが利用可能である。
銀ナノ粒子積層膜を形成する面が紙、樹脂、金属、セラミックなどが挙げられる。基材は枚葉でも連続したロールでもよい。
また、基材表面が平面でなく凹凸があってもよく、メッシュ形状(基材の一部が不連続)であっても良い。
基材表面に凹凸があるとは、基材の平滑性由来(基材自体が持っている凹凸)でもよく、エンボス加工などにより賦形したもの、基材を湾曲(変形)させたものでも良い。
本願での黒色基材とはこのようなものを包含する。
なお、紙基材やメッシュ基材のように銀ナノ粒子分散液3aを吸収する、または保持しにくい基材を用いる場合は、本実施形態(図1参照)のように下地層2を備えることが好ましい。下地層2を有することで銀ナノ粒子含有層3を所望の厚さに形成しやすくなる。
また、セラミックは表面状態で銀ナノ粒子分散液3aの吸収し易さが変わるため、このような材料を基材として用いる場合は、表面状態に応じて下地層2の有無を設定することが好ましい。
上記に関わらず、下地層2が不要な基材の目安としては、銀ナノ粒子が基材内に埋まってしまうと予想される、基材表面の細孔サイズが10nm程度以下であることが好ましいと考えられる。
〔シュウ酸銀の合成〕
シュウ酸二水和物(関東化学社)9.92gに蒸留水60mLを加え加温しながら溶解させ、110℃のオイルバス中で攪拌しながら、硝酸銀(関東化学社)26.7gに20mLの蒸留水を加え加温しながら溶解させたものを加え、1時間加熱攪拌を続けた。析出したシュウ酸銀を自然ろ過で回収し、さらに熱水200mL、メタノール(関東化学社)50mLでろ過洗浄した後、遮光デシケーター内で減圧しながら室温乾燥した。こうして得たシュウ酸銀の収量は、21.6g(収率90.4%)であった。
N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン(東京化成社)3.26gにオレイン酸0.13gを加えたところに、上述の工程で得たシュウ酸銀1.90gを加え、110℃のオイルバスで加熱攪拌した。1分以内で二酸化炭素の発泡が起こり、数分後に褐色の懸濁液に変化した。5分間加熱後、冷却したところにメタノール30mLを加え、遠心分離により得られた沈殿物を自然乾燥すると青色固形物1.48g(銀基準収率97.0)を得た。
上述の工程で得た青色固形物0.10gをトルエン(関東化学社)2.0gに分散させたところに、メタクリロイルオキシエチルコハク酸(SA、新中村化学社)5.0gを添加しよく攪拌したものに、光重合開始剤EsacureONE(ランバルティ社)を0.25g添加し溶解させたものを塗液、即ち銀ナノ粒子分散液(銀ナノ粒子含有層用組成物)3aとした。
ウレタンアクリレート化合物(UA-1280MK(新中村化学社製):UV7000B(日本合成化学社製)=25.40g:8.63g)の混合物にMEK12.96g、光重合開始剤EsacureONE(ランバルティ社)0.34gを加え溶解したものを基材用塗液、即ち下地層用組成物2aとした。
実施例1のウレタンアクリレート化合物(UA-1280MK(新中村化学社製):UV7000B(日本合成化学社製)=25.40g:8.63g)の混合物にMEK12.96gを加えた代わりに、UF-8001G(共栄社化学製):UV7000B(日本合成化学社製)=20.14g:8.63gの混合物にMEK18.22gを加える以外は実施例1と同様に操作し銀ナノ粒子積層膜5を得た。こうして得た硬化膜はどの角度から見ても緑色に呈色してみえた。極大反射波長は505nmであった。
実施例1で得られた青色固形物0.1gをトルエン2.0gに分散させたところに、メタクリロイルオキシエチルコハク酸(SA、新中村化学社)3.0gとメタクリロイルオキシエチルフタル酸多塩基酸変性アクリレートであるジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸変性物(DPE6A-MS、共栄社化学社)2.0gを添加し塗液とした以外は実施例1と同様に操作し銀ナノ粒子積層膜5を得た。こうして得た硬化膜はどの角度から見ても緑色に呈色し、極大反射波長は504nmであった。
実施例1の基材用塗液中の光重合開始剤EsacureONE(ランバルティ社)0.34gの代わりにイルガキュアー184(BASF社製)1.70gを添加した塗液とした以外は実施例1と同様に操作し銀ナノ粒子積層膜5を得た。こうして得た硬化膜は緑色に呈色し、極大反射波長は505nmであった。
実施例1の黒PET基材の代わりに、黒メッシュ(T-NO 420T B-LH BLACK、NBC社製、L*a*b*は表1)を用いた以外は実施例1と同様に操作し銀ナノ粒子積層膜5を得た。こうして得た硬化膜はどの角度から見ても緑色に呈色し、極大反射波長は504nmであった。
実施例1のウレタンアクリレート化合物(UA-1280MK(新中村化学社製):UV7000B(日本合成化学社製)=25.40g:8.63g)の混合物にMEK12.96gを加えた代わりに、トリメチロールプロパントリアクリレート(ライトアクリレートTMP-A、共栄社化学製):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ライトアクリレートTMP-A、共栄社化学製DPE-6A)=20.14g:8.63gの混合物にMEK18.22gを加える以外は実施例1と同様に操作し銀ナノ粒子積層膜5を得た。こうして得た硬化膜はどの角度から見ても緑色に呈色してみえた。極大反射波長は506nmであった。
実施例1の黒PET基材の代わりに、黒上質紙(A4版、90μm厚、HEIKOブランド、L*a*b*は表1)を用いた以外は実施例1と同様に操作し銀ナノ粒子積層膜5を得た。こうして得た硬化膜はどの角度から見ても緑色に呈色し、極大反射波長は504nmであった。
以上に示すように、実施例1~7で得られた各銀ナノ粒子積層膜5を黒色の基材上に設ければ、角度依存性のない明るい、構造色由来の緑色に呈色したフィルム、紙、メッシュ樹脂・金属を基材とした積層体を得ることができる。
上述した実施形態では、黒色の基材1と銀ナノ粒子含有層3との間に下地層2を設けた銀ナノ粒子積層膜5に本発明を適用した場合について説明した。しかしながら、本発明はこの銀ナノ粒子積層膜5に限定されるものではなく、図7に示すように、下地層2を設けず、黒色の基材1上に、直接、銀ナノ粒子含有層3を設けた銀ナノ粒子積層膜5Aにも本発明を適用することが可能である。この銀ナノ粒子積層膜5Aにおいても、上述の銀ナノ粒子積層膜5と同様の効果が得られる。
2 …下地層
2a…下地層用組成物
3 …銀ナノ粒子含有層
3a…銀ナノ粒子分散液
4 …銀ナノ粒子
5,5A …銀ナノ粒子積層膜
Claims (12)
- 黒色の基材と、前記黒色の基材上に形成され、銀ナノ粒子を含む銀ナノ粒子含有層とを備え、
前記銀ナノ粒子含有層に含まれる前記銀ナノ粒子の少なくとも一部は、前記銀ナノ粒子含有層の表層に、前記銀ナノ粒子含有層の表面に沿って層状に凝集しており、
前記銀ナノ粒子の平均一次粒子径(D50)は、1nm以上30nm以下の範囲内であり、
前記銀ナノ粒子の表面は、複数の保護分子により覆われており、
前記銀ナノ粒子の表面を覆っている前記複数の保護分子のうち最も多い分子は、1級アミノ基と3級アミノ基とを有するアルキルジアミンであることを特徴とする銀ナノ粒子積層膜。 - 黒色の基材と、前記黒色の基材上に形成され、銀ナノ粒子を含む銀ナノ粒子含有層とを備え、
前記銀ナノ粒子含有層に含まれる前記銀ナノ粒子の少なくとも一部は、前記銀ナノ粒子含有層の表層に、前記銀ナノ粒子含有層の表面に沿って層状に凝集しており、
前記銀ナノ粒子含有層は、分子内に少なくとも1個以上のカルボキシ基と1個以上の重合性不飽和二重結合とを有する化合物をさらに含み、
前記銀ナノ粒子の質量(W Ag )と、前記分子内に少なくとも1個以上のカルボキシ基と1個以上の重合性不飽和二重結合とを有する化合物(W C )との混合質量割合(W Ag /W C )は、1/70以上1/10以下の範囲内であることを特徴とする銀ナノ粒子積層膜。 - 前記黒色の基材と前記銀ナノ粒子含有層との間に下地層を更に有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の銀ナノ粒子積層膜。
- 前記分子内に少なくとも1個以上のカルボキシ基と1個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物の前記カルボキシ基は、コハク酸であることを特徴とする請求項2に記載の銀ナノ粒子積層膜。
- 前記下地層は、(メタ)アクリル酸エステル化合物を含むことを特徴とする請求項3に記載の銀ナノ粒子積層膜。
- 黒色の基材上に、銀ナノ粒子を含む銀ナノ粒子含有層を形成する工程を有し、
前記銀ナノ粒子の平均一次粒子径(D50)は、1nm以上30nm以下の範囲内であり、
前記銀ナノ粒子の表面は、複数の保護分子により覆われており、
前記銀ナノ粒子の表面を覆っている前記複数の保護分子のうち最も多い分子は、1級アミノ基と3級アミノ基とを有するアルキルジアミンであることを特徴とする銀ナノ粒子積層膜の製造方法。 - 黒色の基材上に、銀ナノ粒子を含む銀ナノ粒子含有層を形成する工程を有し、
前記銀ナノ粒子含有層は、分子内に少なくとも1個以上のカルボキシ基と1個以上の重合性不飽和二重結合とを有する化合物をさらに含み、
前記銀ナノ粒子の質量(W Ag )と、前記分子内に少なくとも1個以上のカルボキシ基と1個以上の重合性不飽和二重結合とを有する化合物(W C )との混合質量割合(W Ag /W C )は、1/70以上1/10以下の範囲内であることを特徴とする銀ナノ粒子積層膜の製造方法。 - 前記銀ナノ粒子含有層を形成する工程の前に、前記黒色の基材上に、下地層を形成する工程を更に有することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の銀ナノ粒子積層膜の製造方法。
- 前記下地層を形成する工程は、
前記黒色の基材上に、(メタ)アクリル酸エステル化合物と、電離放射線により重合開始種を発生する化合物とを含む下地層用組成物を塗布する工程と、
前記基材上に塗布した前記下地層用組成物に前記電離放射線を照射して、前記下地層用組成物を硬化させる工程と、
を含み、
前記下地層用組成物の前記電離放射線により重合開始種を発生する化合物の添加量は、前記(メタ)アクリル酸エステル化合物の質量に対して0.5質量%以上1質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項8に記載の銀ナノ粒子積層膜の製造方法。 - 前記銀ナノ粒子含有層を形成する工程では、前記下地層上に、銀ナノ粒子と、(メタ)アクリレートモノマーとを含む銀ナノ粒子含有層用組成物を塗布し乾燥させて前記銀ナノ粒子含有層を形成することを特徴とする請求項9に記載の銀ナノ粒子積層膜の製造方法。
- 黒色の基材上に銀ナノ粒子を含む銀ナノ粒子含有層を備えた銀ナノ粒子積層膜の、前記銀ナノ粒子の少なくとも一部を前記銀ナノ粒子含有層の表層に層状に凝集させ、
前記銀ナノ粒子の平均一次粒子径(D50)は、1nm以上30nm以下の範囲内であり、
前記銀ナノ粒子の表面は、複数の保護分子により覆われており、
前記銀ナノ粒子の表面を覆っている前記複数の保護分子のうち最も多い分子は、1級アミノ基と3級アミノ基とを有するアルキルジアミンであることを特徴とする銀ナノ粒子積層膜の呈色方法。 - 黒色の基材上に銀ナノ粒子を含む銀ナノ粒子含有層を備えた銀ナノ粒子積層膜の、前記銀ナノ粒子の少なくとも一部を前記銀ナノ粒子含有層の表層に層状に凝集させ、
前記銀ナノ粒子含有層は、分子内に少なくとも1個以上のカルボキシ基と1個以上の重合性不飽和二重結合とを有する化合物をさらに含み、
前記銀ナノ粒子の質量(W Ag )と、前記分子内に少なくとも1個以上のカルボキシ基と1個以上の重合性不飽和二重結合とを有する化合物(W C )との混合質量割合(W Ag /W C )は、1/70以上1/10以下の範囲内であることを特徴とする銀ナノ粒子積層膜の呈色方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20110008602A1 (en) | 2007-12-28 | 2011-01-13 | Hauzer Techno Coating Bv | Method of Giving an Article a Colored Appearance and an Article Having a Colored Appearance |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20110008602A1 (en) | 2007-12-28 | 2011-01-13 | Hauzer Techno Coating Bv | Method of Giving an Article a Colored Appearance and an Article Having a Colored Appearance |
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